JP6248155B2 - 表面保護シート - Google Patents

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本発明は、表面保護シートに関する。本発明の表面保護シートは、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それら部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に用いられる。特に、金属板、樹脂板、ガラス板などの表面が親水性塗膜や表面処理により親水化された親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの低汚染が求められる表面保護シートとして有用である。
塗装鋼板などの塗装板には、表面が平滑なものから表面が粗面なものまで様々なものが存在し、その表面を運搬時、加工時の傷付き等から保護するために、該表面に表面保護シートを貼り付けることが一般的に行われている。表面保護シートは、通常、基材層の片側に粘着剤層が設けられている。
表面保護シートとして、経日の粘着力昂進に優れた表面保護シートが報告されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の表面保護シートは、粘着剤が硬く、粗面の塗装板には接着しないという問題がある。
そこで、粗面に対する粘着性や糊残り性に優れた表面保護シートが報告されている(特許文献2、3、4)。特許文献2、3および4に記載の表面保護シートは、汎用の塗装板に使用した場合には、粗面に対する粘着性に優れ、糊残りに関しても目視では確認されず、実使用において大きな問題はない。
近年、従来の塗装板に変わる新たな塗装板として、親水性微粒子や親水性ポリマーを添加した親水性塗装板が普及しつつある。これら親水性塗装板は、セルフクリーニング性を有しており、表面に汚れが生じた場合でも雨水等によって除去できるという機能を有している。ところが、特許文献2、3および4に記載の表面保護シートをこのような親水性塗装板に使用した場合には、良好な粘着性を示し、目視による糊残りは確認されないものの、親水性塗装板表面に目視では確認不可能な粘着剤残留物が存在しており、結果として、表面保護シート剥離後の親水性塗装板のセルフクリーニング性が消失してしまうという重大な課題がある。
特開2010−42580号公報 特開2007−270022号公報 特開2001−106995号公報 特開2010−106231号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することにある。
本発明の表面保護シートは、
基材層と粘着剤層とを備える表面保護シートであって、
厚みが10〜200μmであり、
該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、
該ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーであり、
該モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの含有割合が80〜97重量%であり、
該モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、
該モノマー組成物中の該カルボキシル基含有モノマーの含有割合が3〜20重量%であり、
該ポリマーAの重量平均分子量Mwが、500000〜1500000であり、
該ポリマーAの分散度Mw/Mnが8.0以下であり、
該ポリマーPの35℃でのパルスNMR測定において、測定されるプロトンのスピン−スピン緩和時間T2の全ての中における最大スピン−スピン緩和時間T2MAXが300〜800μsの間にあり、
該最大スピン−スピン緩和時間T2MAXに対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合が60%以上である該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、該ポリマーPの30℃でのパルスNMR測定において、測定されるプロトンのスピン−スピン緩和時間T2の全ての中における最大スピン−スピン緩和時間T2MAXが300〜800μsの間にあり、該最大スピン−スピン緩和時間T2MAXに対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合が60%以上である。
好ましい実施形態においては、上記スピン−スピン緩和時間T2に対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合をAMとした時に、ΣT2AMが300μs以上である。
好ましい実施形態においては、上記ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が、98重量%以上である。
好ましい実施形態においては、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する該粘着剤層の粘着力が、0.05〜2.5N/20mmである。
本発明の別の局面によれば、物品が提供される。この物品は、上記表面保護シートが剥離可能に貼着される。
本発明のさらに別の局面によれば、表面保護シートの使用方法が提供される。この表面保護シートの使用方法は、上記表面保護シートを被着体に剥離可能に貼着して、該被着体を保護することを含む。
本発明によれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態による表面保護シートの概略断面図である。
≪A.表面保護シート≫
本発明の表面保護シートは、基材層と粘着剤層とを備える。図1は、本発明の好ましい実施形態による表面保護シートの概略断面図である。表面保護シート10は、基材層1と粘着剤層2を備える。本発明の表面保護シートは、必要に応じて、任意の適切な他の層をさらに有していてもよい(図示せず)。
基材層1の粘着剤層2を付設しない面に対しては、巻戻しが容易な巻回体の形成などを目的として、例えば、基材層に、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミン、長鎖アルキル系添加剤等を添加して離型処理を行ったり、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの任意の適切な剥離剤からなるコート層を設けたりすることができる。また、基材とは別に、離型性を有する剥離ライナーを貼り合わせても構わない。
本発明の表面保護シートの厚みは、用途に応じて、任意の適切な厚みに設定し得る。傷付き防止および粘着力などの観点から、好ましくは10〜300μmであり、より好ましくは15〜250μmであり、さらに好ましくは20〜200μmであり、特に好ましくは25〜150μmである。
本発明の表面保護シートは、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着剤層の粘着力は、好ましくは0.05〜2.5N/20mmであり、より好ましくは0.10〜1.5N/20mmであり、さらに好ましくは0.10〜1.0N/20mmであり、特に好ましくは0.15〜0.8N/20mmであり、最も好ましくは0.20〜0.8N/20mmである。ここで、「十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板」とは、本発明の表面保護シートにおける粘着剤層の粘着力を評価する上での基準とする被着体を規定したものである。「十点平均表面粗さRz」は、表面の粗さを示す指標として公知の指標である。本発明の表面保護シートについて、十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着剤層の粘着力が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好な粘着性を発現できる。
本発明の表面保護シートは、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材等の被着体に、剥離可能に貼着して使用され得る。
<A−1.基材層>
基材層の厚みとしては、用途に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜250μmであり、さらに好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜150μmである。
基材層は、単層でも良いし、2層以上の積層体であっても良い。基材層は、延伸されたものであっても良い。
基材層の材料としては、用途に応じて、任意の適切な材料を採用し得る。例えば、プラスチック、紙、金属フィルム、不織布などが挙げられる。好ましくは、プラスチックである。基材層は、1種の材料から構成されていても良いし、2種以上の材料から構成されていても良い。例えば、2種以上のプラスチックから構成されていても良い。
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンモノマーの単独重合体、オレフィンモノマーの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ホモポリプロピレン;エチレン成分を共重合成分とするブロック系、ランダム系、グラフト系等のプロピレン系共重合体;リアクターTPO;低密度、高密度、リニア低密度、超低密度等のエチレン系重合体;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体;などが挙げられる。
基材層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材層に含有され得る添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。基材層に含有され得る添加剤の種類、数、量は、目的に応じて適切に設定され得る。特に、基材層の材料がプラスチックの場合は、劣化防止等を目的として、上記の添加剤のいくつかを含有することが好ましい。耐候性向上等の観点から、添加剤として特に好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、任意の適切な酸化防止剤を採用し得る。このような酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、フェノール・リン系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤の含有割合は、基材層のベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.2重量部である。
紫外線吸収剤としては、任意の適切な紫外線吸収剤を採用し得る。このような紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の含有割合は、基材層を形成するベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
光安定剤としては、任意の適切な光安定剤を採用し得る。このような光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤などが挙げられる。光安定剤の含有割合は、基材層を形成するベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
充填剤としては、任意の適切な充填剤を採用し得る。このような充填剤としては、例えば、無機系充填剤などが挙げられる。無機系充填剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。充填剤の含有割合は、基材層を形成するベース樹脂(基材層がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは0.01〜10重量部である。
さらに、添加剤としては、帯電防止性付与を目的として、界面活性剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボン等の無機系、低分子量系および高分子量系帯電防止剤も好ましく挙げられる。特に、汚染、粘着性維持の観点から、高分子量系帯電防止剤やカーボンが好ましい。
<A−2.粘着剤層>
粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは2〜50μmであり、さらに好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
粘着剤層は粘着剤により構成される。粘着剤は1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。粘着剤は、好ましくはポリマーAが架橋されたポリマーPを主成分とする。具体的には、粘着剤中のポリマーPの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
ポリマーAの重量平均分子量Mw(標準ポリスチレン換算)は、好ましくは500000〜1500000であり、より好ましくは520000〜1200000であり、さらに好ましくは550000〜1000000である。ポリマーAの重量平均分子量Mwが上記範囲内にあれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
ポリマーAの分散度Mw/Mnは、好ましくは8.0以下であり、より好ましくは2.0〜7.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0である。ポリマーAの分散度Mw/Mnが上記範囲内にあれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
ポリマーPの35℃でのパルスNMR測定において、測定されるプロトンのスピン−スピン緩和時間T2(以下単にスピン−スピン緩和時間T2ともいう)の全ての中における最大スピン−スピン緩和時間T2MAXは、300〜800μsの間にあり、好ましくは400〜600μsの間にあり、さらに好ましくは450〜550μsの間にある。スピン−スピン緩和時間の逆数とポリマーの架橋密度(分子運動の拘束の度合い)とは正の直線相関を示すため、スピン−スピン緩和時間T2はポリマーPを構成するポリマー成分の架橋密度の指標となり得る。具体的には、ポリマーPをパルスNMR測定すると、1以上の(例えば、2または3の)スピン−スピン緩和時間T2が得られ、スピン−スピン緩和時間T2の大小は、ポリマーPを構成するポリマー成分の架橋密度の高低に対応する。すなわち、分子運動が拘束された架橋密度の高いポリマー成分は、小さいスピン−スピン緩和時間T2を示す。一方、架橋密度の低いポリマー成分は、大きいスピン−スピン緩和時間T2を示す。本発明においては、最大スピン−スピン緩和時間T2MAXが上記範囲の間にあるポリマー成分を含むことによって、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。ポリマーPのスピン−スピン緩和時間T2(すなわち、ポリマー成分の架橋密度および架橋密度分布)は、例えば、ポリマーP架橋時の架橋剤(後述)の種類および含有量を調整することにより、制御することができる。なお、本明細書において、スピン−スピン緩和時間T2はソリッドエコー法(90°x−τ−90°y)により測定される。
最大スピン−スピン緩和時間T2MAXに対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合は60%以上であり、好ましくは63〜90%であり、さらに好ましくは68〜85%である。このような範囲であれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。なお、最大スピン−スピン緩和時間T2MAXに対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合は、パルスNMR測定により得られた自由誘導減衰(FID)曲線を線形二乗法解析後、緩和時間の長い成分から計算する範囲を指定して非線形の最小二乗法の再計算を行うことにより求められる。
スピン−スピン緩和時間T2に対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合をAM(%)とした時に、ΣT2AM(すなわち、ポリマー成分の含有割合を重みとしたスピン−スピン緩和時間T2の加重平均)は、好ましくは300μs以上であり、より好ましくは350μs以上であり、さらに好ましくは400μs以上であり、特に好ましくは400〜550μsである。ΣT2AMがこのような範囲であれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分は、好ましくは98重量%以上であり、より好ましくは99重量%以上である。ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が上記範囲内にあれば、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
好ましくは、粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤である。
アクリル系粘着剤に含まれる主成分としてのポリマーPの架橋前のポリマーAとしては、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーが好ましい。このようなアクリル系ポリマーをポリマーAとして採用することによって、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。なお、「(メタ)アクリレート」なる表現は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60〜99重量%であり、さらに好ましくは70〜98重量%であり、特に好ましくは80〜97重量%である。モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの含有割合が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
モノマー組成物中には、架橋を目的とする官能基含有モノマーを含んでいることが好ましい。このような官能基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アジリジン基含有モノマーなどが挙げられる。このような官能基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル酸」なる表現は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」なる表現は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
モノマー組成物中の官能基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
モノマー組成物中の官能基含有モノマーの含有割合は、好ましくは1〜25重量%であり、より好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜15重量%であり、特に好ましくは3〜10重量%である。モノマー組成物中の官能基含有モノマーの含有割合が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない表面保護シートを提供することができる。
モノマー組成物中には、剥離性コントロールを目的とするモノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどが含まれていても良い。このようなモノマーとしては、具体的には、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられる。モノマー組成物中のこのようなモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層を構成する粘着剤のFOXの式におけるガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−80〜0℃であり、より好ましくは−70〜−10℃であり、さらに好ましくは−60〜−20℃である。ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内にあれば、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し得る表面保護シートを提供することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、使用するモノマー成分やそれらの組成比を適宜変更することにより調整することができる。
ポリマーPはポリマーAを架橋して得られる。すなわち、ポリマーPとしては、例えば、ポリマーAと任意の適切な架橋剤を反応させた架橋ポリマー、ポリマーAに活性エネルギー線(紫外線や電子線など)を照射して架橋反応させた架橋ポリマーなどが挙げられる。
ポリマーAを架橋してポリマーPとするために用い得る架橋剤としては、任意の適切な架橋剤を採用し得る。このような架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、多官能イソシアネート系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤の使用の有無にかかわらず、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射によって架橋構造を構築することも可能である。架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
架橋剤の使用量は、粘着剤の主成分であるポリマーPの架橋前のポリマーA100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは1〜8重量部である。架橋剤の含有割合が上記範囲を外れると、架橋剤自体が汚染の原因となるおそれがある。
特に好ましく用いられる架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、多官能イソシアネート系架橋剤が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、好ましくは多官能性エポキシ化合物が用いられ、分子中に2個以上のエポキシ基を有する種々の化合物が含まれる。その代表的な例としては、例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパングリシジルエーテル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフエノールなどが挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、好ましくは多官能イソシアネート化合物が用いられ、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する種々の化合物が含まれる。その代表的な例としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
粘着剤層を構成する粘着剤中には、任意の適切な添加剤を含有し得る。このような添加剤としては、例えば、軟化剤、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料、溶剤などが挙げられる。
粘着付与剤は、粘着力の向上、特に、粗面被着体への粘着性向上に有効である。粘着付与剤としては、任意の適切な粘着付与剤を採用し得る。このような粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂またはこれらの水添物などが挙げられる。粘着付与剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着付与剤の含有割合は、粘着剤の主成分であるポリマーP100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下であり、さらに好ましくは10重量部以下である。粘着付与剤の含有割合が上記範囲を外れると、低温時の粘着性に劣ったり、高温時での糊残りが顕著となったりするおそれがある。
粘着剤層を構成する粘着剤は、任意の適切な方法によって製造し得る。粘着剤層を構成する粘着剤は、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、紫外線(UV)による重合など、ポリマーの合成手法として一般的に用いられる重合方法を用いるとともに、任意の適切な架橋方法を採用し、必要に応じて任意の適切な添加剤を用いることによって製造し得る。
重合方法としては、高分子量で且つ分散度の低い粘着剤が製造できる点で、溶液重合、乳化重合、縣濁重合、紫外線(UV)による重合が好ましい。例えば、溶液重合としては、モノマー組成物に、重合開始剤および溶剤を加え、必要により任意の適切な添加剤を加えて、溶液重合を行う。
重合開始剤としては、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物や過酸化物などが挙げられる。このような重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどが挙げられる。
≪B.表面保護シートの製造方法≫
本発明の表面保護シートは、任意の適切な方法により製造することができる。このような製造方法としては、例えば、
(1)粘着剤の溶剤による溶液や熱溶融液を基材に塗布する方法、
(2)それに準じ、セパレータ状に塗布、形成した粘着剤層を移着する方法、
(3)粘着剤層の形成材料を基材上に押出して形成塗布する方法、
(4)基材と粘着剤層を二層または多層にて押出しする方法、
(5)基材上に粘着剤層を単層ラミネートする方法またはラミネート層とともに粘着剤層を二層ラミネートする方法、
(6)粘着剤層とフィルムやラミネート層等の基材形成材とを二層または多層ラミネートする方法、
などの、任意の適切な粘着シートの製造方法に準じて行うことができる。
上記塗布の方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター、ロールコーター、ナイフコーター、アプリケーター等を用いる方法が挙げられる。
生産性およびコストの点からは、本発明の表面保護シートの製造方法としては、特に、粘着剤の溶剤による溶液や熱溶融液を基材に塗布する方法が好ましい。
≪C.表面保護シートの用途≫
本発明の表面保護シートは、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない。このため、本発明の表面保護シートは、任意の適切な用途に用い得るが、例えば、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それら部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に好ましく用いることができる。特に、金属板、樹脂板、ガラス板などの表面が親水性塗膜や表面処理により親水化された親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの低汚染が求められる表面保護シートとして有用である。より具体的な用途としては、例えば、本発明の表面保護シートは、親水性塗装板の表面の保護や、低汚染が要求される基板の表面の保護や、反射防止膜を有する基板の保護や、太陽電池用カバーガラスの表面の保護に、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、「部」は「重量部」を意味する。
(スピン−スピン緩和時間T2の測定)
ポリマーPのスピン−スピン緩和時間T2は、パルスNMR(JNM−MU25A型、日本電子データム株式会社製)により測定した。具体的には、ソリッドエコー法(90°x−τ−90°y)を用いて、以下の測定条件下で測定して自由誘導減衰シグナルを得、当該自由誘導減衰シグナルの値を線形最小二乗法により統計処理して、架橋密度が異なるポリマー成分について、それぞれのスピン−スピン緩和時間T2を得た。当該統計処理におけるワイブル係数は2とした。
<測定条件>
サンプル:得られた保護シートの粘着剤層からポリマーPのサンプル(約1g;1mm×10mm、厚み100μmの短冊状)を採取して、所定のサンプル管(Norell社製、商品名「1008−up−7」に入れた。
RFパルス幅:2.2μS
RFパルス間隔:8.0μS
パルス系列繰り返し時間:2.0S
測定温度:35℃
また、各ポリマー成分のポリマーP中の含有割合AMを、パルスNMR測定により得られた自由誘導減衰(FID)曲線を線形二乗法解析後、各緩和時間T2に対応する成分から計算する範囲を指定して非線形の最小二乗法の再計算を行うことにより求めた。
さらに、得られたスピン−スピン緩和時間T2とポリマー成分の含有割合AMからΣT2AMを算出した。
(酢酸エチルへの不溶分)
ポリマー(架橋反応後)約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とした。なお、該浸漬前重量は、ポリマー(上記で採取したもの)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とした。
次に、上記のポリマーをテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置した。
その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とした。
下記の式から溶剤不溶分を算出した。
溶剤不溶分(重量%)=(a−b)/(c−b)×100 (1)
なお、式(1)において、aは浸漬後重量であり、bは包袋重量であり、cは浸漬前重量である。
また、ポリマー(架橋反応後)の採取にあたっては、表面保護シートの粘着面より採取しても構わないし、別途表面保護シートに設けたものと同一のポリマーをシリコーンライナー等に塗布乾燥させたものから採取しても構わない。
(重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mn)
重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnの測定は,ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)において行い、HLC−8120(東ソー社製)による内径6.0mm、長さ150mmのカラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000)を直列に接続して使用し、溶離液にテトラヒドロフランを用いて濃度1g/L、流量0.6ml/分、温度40℃、サンプル注入量20μlの条件で行い、検出器にはRI検出器を用いた。また分子量の検量線の作成には,TSK 標準ポリスチレン(東ソー社製)を用いた。
(十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する粘着力)
表面保護シートの粘着力の測定は、JIS Z0237(2000)に準じて行った。すなわち、十点平均表面粗さRzが8.0μmである親水性塗装板(JFE鋼板製、A02Wアピアクリーンシロ)に、供試表面保護シートを線圧78.7N/cmにて貼付し、貼付から30分後にインストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)にて、剥離角度180度、引張速度0.3m/minの条件で、粘着力を測定した。
なお、塗装鋼板の十点平均表面粗さRは以下のようにして測定した。すなわち、親水性塗装鋼板の表(おもて)面の表面粗さについて、光学式プロファイラーNT9100(Veeco社製)を使用して、Measurement Type:VSI(Infinite Scan)、Objective:2.5X、FOV:1.0X、Modulation Threshold:0.1%の条件で、n=3で測定した。測定後、Terms Removal:Tilt Only(Plane Fit)、Window Filtering:Noneにてデータ解析を行い、十点平均表面粗さRzを求めた。
(雨筋汚染性)
得られた表面保護シートを貼り付けた親水性塗装鋼板(100×200×0.3mm)を南側暴露角度45度の屋外暴露台に取り付け、愛知県豊橋市の日東電工(株)屋上にて1ヶ月間曝露試験を行った。その後表面保護シートを剥離し、さらに1ヶ月間同様の暴露試験を行い、晴天時に雨筋汚染性(雨筋上の汚れ跡)を目視にて確認した。
雨筋汚染性の評価基準は下記の通りである。
○:雨筋跡が見られないもしくはわずかに認められる。
×:雨筋跡が残る。
〔製造例1〕:基材1の作製
プロピレン樹脂(プライムポリマー社製、プライムポリプロF−744NPT)100部に対して酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)9部を配合した混合物をTダイ法にてダイス温度230℃となるように製膜し、厚みが40μmの基材1を得た。
〔製造例2〕:基材2の作製
ポリエチレン樹脂(東ソー製、ペトロセン183)100部に対して酸化チタン(堺化学工業社製、FTR−700)3部およびヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製、キマソーブ2020)0.1部を配合した混合物を、インフレーション法にてダイス温度160℃となるように製膜し、厚みが50μmの基材2を得た。
〔製造例3〕:基材3の作製
厚みを55μmとした以外は、製造例2と同様にして基材3を得た。
〔製造例4〕:基材4の作製
厚みを60μmとした以外は、製造例2と同様にして基材4を得た。
〔製造例5〕:ポリマーA(1)の作製
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル97部およびアクリル酸3部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.20部、酢酸エチル200部を入れ、60℃で12時間重合して、ポリマーA(1)の溶液を得た。ポリマーA(1)の重量平均分子量Mwは100万、分散度Mw/Mnは3.9であった。
〔製造例6〕:ポリマーA(2)の作製
アクリル酸ブチル56部、アクリル酸エチル40部、およびアクリル酸4部の混合溶液、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.20部、トルエン200部を使用した以外は、製造例5と同様にして、ポリマーA(2)の溶液を得た。ポリマーA(2)の重量平均分子量Mwは130万、分散度Mw/Mnは8.1であった。
〔製造例7〕:ポリマーA(3)の作製
アクリル酸ブチル95部およびアクリル酸5部の混合溶液、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.40部、酢酸エチル300部を使用した以外は、製造例5と同様にして、ポリマーA(3)の溶液を得た。ポリマーA(3)の重量平均分子量Mwは60万、分散度Mw/Mnは4.0であった。
〔製造例8〕:ポリマーA(4)の作製
アクリル酸2−エチルへキシル50部、アクリル酸エチル50部、メタクリル酸ブチル5部、アクリル酸ヒドロキシエチル4部の混合溶液を用いた以外は、製造例5と同様にしてポリマーA(4)の溶液を得た。ポリマーA(4)の重量平均分子量Mwは40万、分散度Mw/Mnは4.0であった。
〔製造例9〕:ポリマーA(5)の作製
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル95部およびアクリル酸5部の混合溶液、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.20部、トルエン300部を入れ、60℃で重合率が90%になるまで重合を行った。重合率が90%となった時点で温度を90℃に昇温後2時間重合して、ポリマーA(5)の溶液を得た。その後、ポリマーA(5)の重量平均分子量Mwは49万、分散度Mw/Mnは15.5であった。
〔実施例1〕
上記ポリマーA(1)の溶液に、ポリマーA(1)の固形分100部に対して、エポキシ系架橋剤(三菱瓦斯化学社製、商品名「TETRAD C」)1部を添加して得られた混合溶液を、片面にコロナ処理が施された基材1のコロナ処理面に、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布し、表面保護シートを作製した。また、乾燥時の条件は85℃、5分とした。得られた表面保護シートをポリエチレンフィルムに貼合をし、40℃で2日間放置した。このようにして得られた、ポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(1)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(1)を備える表面保護シート(1)の評価結果を表1に示した。
〔実施例2〕
乾燥後の厚みが5μmとなるように混合溶液を塗布した以外は、実施例1と同様にして表面保護シート(2)を作製した。表面保護シート(2)の評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
エポキシ系架橋剤の添加量を2部とし、乾燥後の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(2)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(2)を備える表面保護シート(3)を作製した。表面保護シート(3)の評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
基材1に代えて基材3を用いた以外は、実施例3と同様にして表面保護シート(4)を作製した。表面保護シート(4)の評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
エポキシ系架橋剤の添加量を3部とし、基材1に代えて基材3を用い、乾燥後の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(3)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(3)を備える表面保護シート(5)を作製した。表面保護シート(5)の評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
基材1に代えて東レ社製の商品名「ルミラーS10」(厚み:38μm)を基材(基材6)として用い、乾燥後の厚みを3μmとした以外は、実施例5と同様にして表面保護シート(6)を作製した。表面保護シート(6)の評価結果を表1に示す。
〔実施例7〕
エポキシ系架橋剤の添加量を4部とした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(4)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(4)を備える表面保護シート(7)を作製した。表面保護シート(7)の評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
エポキシ系架橋剤の添加量を5部とした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(1)が架橋されたポリマーP(5)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(5)を備える表面保護シート(8)を作製した。表面保護シート(8)の評価結果を表1に示す。
〔実施例9〕
ポリマーA(1)の溶液に代えてポリマーA(2)の溶液を用い、エポキシ系架橋剤の添加量を2部とし、基材1に代えて東レ社製の商品名「ルミラーS10」(厚み:25μm)を基材(基材5)として用い、乾燥後の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(2)が架橋されたポリマーP(6)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(6)を備える表面保護シート(9)を作製した。表面保護シート(9)の評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
ポリマーA(1)の溶液に代えてポリマーA(3)の溶液を用い、エポキシ系架橋剤の添加量を2部とし、基材1に代えて基材5を用い、乾燥後の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(3)が架橋されたポリマーP(7)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(7)を備える表面保護シート(10)を作製した。表面保護シート(10)の評価結果を表1に示す。
〔実施例11〕
ポリマーA(1)の溶液に代えてポリマーA(4)の溶液を用い、エポキシ系架橋剤1部に代えてイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)2部を用い、基材1に代えて基材4を用い、乾燥後の厚みを2.5μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(4)が架橋されたポリマーP(8)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(8)を備える表面保護シート(11)を作製した。表面保護シート(11)の評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ポリマーA(1)の溶液に代えてポリマーA(2)の溶液を用い、エポキシ系架橋剤の添加量を5部とし、基材1に代えて基材2を用い、乾燥後の厚みを8μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(2)が架橋されたポリマーP(9)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(12)を備える表面保護シート(C1)を作製した。表面保護シート(C1)の評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ポリマーA(1)の溶液に代えてポリマーA(3)の溶液を用い、エポキシ系架橋剤の添加量を5部とし、基材1に代えて基材5を用い、乾燥後の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(3)が架橋されたポリマーP(10)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(13)を備える表面保護シート(C2)を作製した。表面保護シート(C2)の評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
ポリマーA(1)の溶液に代えてポリマーA(5)の溶液を用い、エポキシ系架橋剤の添加量を2部とし、基材1に代えて基材3を用い、乾燥後の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリマーA(5)が架橋されたポリマーP(11)を主成分とする粘着剤から構成される粘着剤層(14)を備える表面保護シート(C3)を作製した。表面保護シート(C3)の評価結果を表1に示す。
Figure 0006248155
表1から明らかなように、本発明の表面保護シートは、表面の粗い塗装面に対しても良好に粘着し、且つ、目視での糊残りのみならず、塗装板表面のセルフクリーニング性を損なわない。
本発明の表面保護シートは、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材;偏光シート、液晶パネル等の光学部材;電子部材;などを運搬、加工または養生する際等に、それらの部材の表面に貼り付けて該表面を保護する用途等に用いられる。特に、親水性塗装板などの親水性部材や、反射防止をさせたい波長の1/4となる膜厚が形成された反射防止機能付き基板やナノレベルの凹凸構造による反射防止機能付き基板などの表面保護シートとして有用である。
1 基材層
2 粘着剤層
10 表面保護シート

Claims (6)

  1. 基材層と粘着剤層とを備える表面保護シートであって、
    厚みが10〜200μmであり、
    該粘着剤層を構成する粘着剤に含まれる主成分が、ポリマーAが架橋されたポリマーPであり、
    該ポリマーAが、(メタ)アクリレートモノマーを主成分とするモノマー組成物を重合して得られるアクリル系ポリマーであり、
    該モノマー組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの含有割合が80〜97重量%であり、
    該モノマー組成物がカルボキシル基含有モノマーを含み、
    該モノマー組成物中の該カルボキシル基含有モノマーの含有割合が3〜20重量%であり、
    該ポリマーAの重量平均分子量Mwが、500000〜1500000であり、
    該ポリマーAの分散度Mw/Mnが8.0以下であり、
    該ポリマーPの35℃でのパルスNMR測定において、測定されるプロトンのスピン−スピン緩和時間T2の全ての中における最大スピン−スピン緩和時間T2MAXが300〜800μsの間にあり、
    該最大スピン−スピン緩和時間T2MAXに対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合が60%以上である、
    表面保護シート。
  2. 前記スピン−スピン緩和時間T2に対応するポリマー成分のポリマーP中の含有割合をAMとした時に、ΣT2AMが300μs以上である、請求項1に記載の表面保護シート。
  3. 前記ポリマーPの酢酸エチルへの不溶分が、98重量%以上である、請求項1または2に記載の表面保護シート。
  4. 十点平均表面粗さRzが8.0μmである塗装鋼板に対する該粘着剤層の粘着力が、0.05〜2.5N/20mmである、請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
  5. 請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シートが剥離可能に貼着された、物品。
  6. 請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シートを被着体に剥離可能に貼着して、該被着体を保護すること含む、表面保護シートの使用方法。

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