JP2007538016A - 医薬品中におけるカウレン類化合物の使用 - Google Patents

医薬品中におけるカウレン類化合物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は冠動脈系疾患や心臓発作、脳虚血、不整脈などの治療や予防において(I)に示す化学構造を持つカウレン(Kaurene)化合物の医薬品使用に関するものである。
【化1】

カウレン化合物は以下の構造を有する。
R: 水素、水酸基あるいはアルコキシ基
R: カルボキシル基、カルボン酸塩、ハロゲン化アシル基、アルデヒド基、水酸化メチル基、エステル基、アシルアミド基、カルボキシル基へと加水分解可能なアシル基やエーテル基
R,R, R, R, R: 独立的に、酸素、水酸基、水酸化メチル基あるいは水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基やアルキロキシメチル基
R: メチル基、水酸基、水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基あるいはアルキロキシメチル基
R: メチレン基あるいは酸素

Description

本発明はカウレン化合物、特に化合物AおよびBの医薬使用に関するものである。
冠動脈系疾患は罹患率の高い病気の一つであり、冠動脈の狭窄や閉塞によって引き起こされる。その結果として狭心症や不整脈、心筋虚血あるいは梗塞、心不全などを発症することがある。心筋傷害は、閉塞された冠動脈が冠動脈形成術やステントあるいは血栓溶解療法により血流が再開された時、すなわち再還流時にも生じる。再還流は重度の不整脈や心不全を生じせしめる。これまでに虚血や再還流により引き起こされる心筋傷害や不整脈の治療を目的とする薬物が幾つか開発されている。しかしながら、それらの薬物の治療効果は毒性あるいは効力の弱さのために限定的である。
脳虚血や脳出血を含めた脳卒中はアメリカ合衆国における死因の上位を占める疾患である。虚血や低酸素症の結果として生じる神経障害や脳機能障害へと進行する場合もある。脳虚血は頭部の外傷や出血性ショックによっても引き起こされる。代謝速度や酸素消費は脳や中枢神経系において他の臓器に比べて高いことから、虚血や低酸素症に対してより脆弱であり、そのことが死や回復不可能な傷害を生じせしめることになる。したがって、脳虚血傷害に対する保護あるいは脳機能維持に関するより効果の高い医薬品の登場が待望されている。
天然物由来の化合物は効力の高い上に毒性が低い事が証明されてきた。例えば、天然のジギタリス配糖体は心不全や不整脈の治療薬として今でも重要な役割を果たしている。しかしながら、その使用に当たっては厳重な注意が必要であるのは、毒性を示す投与量が治療で用いられる量と非常に近いためである。冠動脈系疾患や不整脈、心不全、脳卒中の治療において薬物療法をさらに一層改善するには、重要なアプローチの一つとして、天然資源からより望ましい薬物を発見することが挙げられる。
カウレン化合物は(I)に示す化学構造を持ち、天然物由来であり、それらの生物学的・薬理学的作用については潜在性を含めて広く研究されている。カウレン化合物の代謝に及ぼす作用に関する研究は多くあり(kinghorn, AD.2002, Stevia, by Taylor & Francis, Inc.)、例えば、カウレン化合物は細胞の代謝産物や小腸におけるグルコース吸収、炭水化物代謝、肝細胞のミトコンドリアにおけるエネルギー代謝、腎細胞における炭水化物や酸素の代謝物に影響を及ぼすことが報告されている。さらにカウレン化合物は、血管拡張や血圧低下作用を示すことも報告されている。しかしながら、カウレン化合物の心臓に対する作用についてはほとんど注目されておらず、これまでに心臓と脳における虚血、不整脈、心筋収縮に関する本化合物の作用に関する技術的な研究はなされていない。
カウレン化合物は以下の構造を有する。
R: 水素、水酸基あるいはアルコキシ基
R: カルボキシル基、カルボン酸塩、ハロゲン化アシル基、アルデヒド基、水酸化メチル基、エステル基、アシルアミド基、カルボキシル基へと加水分解可能なアシル基やエーテル基
R,R, R, R, R: 独立的に、酸素、水酸基、水酸化メチル基あるいは水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基やアルキロキシメチル基
R: メチル基、水酸基、水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基あるいはアルキロキシメチル基
R: メチレン基あるいは酸素
天然のステビオシド(stevioside)はアグリコンとして単一のカウレン骨格をもち、ショ糖の300倍の甘さを有する。天然のステビオシドは多くの国々において食品甘味料として利用されている。ステビオシドには血糖を低下作用(Gregersen S et al., 2004)や血圧低下作用(Jeppesen PB, 2000)が示されている。その一方で、心拍数や心機能に関する他のパラメータには影響しない(Hseih, MH et al., 2003)。動物実験ではあるが、ステビオシドには利尿作用やインスリン分泌の促進作用(Jeppesen PB, 2000)、ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝産物の阻害作用(WHO, 1999)が示されている。しかしながら、心臓と脳における虚血時におけるステビオシドの考えられうる役割に関してはこれまで報告されていない。
良く知られる2種類のステビオシド関連カウレン化合物は化合物A(化学構造(II)参照)並びに化合物B(化学構造(III)参照)である。
ステビオシドのアグリコンとして、化合物Bは非常に注目された化合物であり、その生物学的・薬理学的作用は多くの動物実験によって報告されている。これらの研究の中にはインスリン分泌促進作用や炭水化物の吸収・輸送・代謝の阻害、エネルギー代謝産物の阻害作用 (Jeppesen BP, 2000)、ある種の外因性化合物の尿細管輸送の阻害、腎臓におけるナトリウムや水の排泄作用(Chatsudthipong et al., 2001)も含まれている。化合物Bにはある種の変異原性の報告(Puzzuto JM et al, 1984)もあるが、これまでの先行技術の中で化合物Bについて、通常の心機能あるいは心虚血や再還流傷害、不整脈、脳卒中におけるいかなる治療的作用の報告もなされていない。
化合物Bは消化酵素によって触媒されないし、ステビオシドから開裂もされない。しかしながら、動物の小腸中の微生物の作用により触媒あるいは開裂され、吸収されるかもしれない。ステビオシドを静脈内投与した場合にはステビオシドは化合物Aや化合物Bには代謝されない。したがって、ステビオシド研究から得られた結果はステビオシドのアグリコン、例えば化合物Aあるいは化合物Bの作用を理解することは必ずしも有益ではないというものであった。
化合物Aと化合物Bの生物学的毒性は比較的低い。化合物Aの最小経口致死量はマウスでは5060 mg/kgでラットでは3160 mg/kgである。静脈内投与した場合の50%致死量(LD50)はラットでは503 mg/kgである。致死量における毒性の症状は血管拡張と腎不全である(Zhongguo et al., 1994)。化合物Bの経口50%致死量(LD50)はラットでは1500 mg/kgである(WHO, 1999)。化合物Aと化合物Bは致死量に関して言えば、一般的な薬物と比べて比較的安全である。
技術に関して知る限り、化合物Aと化合物Bは治療的な利用を目的として医薬組成物として用いられたことはない。
簡単に言えば、心疾患や脳卒中は人間の健康にとって深刻な脅威となっている。利用可能な天然由来の薬物としてジギタリスなどはこれらの疾患に対して有効であるが、臨床上の利点はその毒性のために限られている。(I)で示す化学構造をもつカウレン化合物は天然物に分類され、それらの化合物の中には甘味料として広く研究され、安全性が高いことが明らかとなっている。しかしながら、心疾患あるいは脳卒中におけるカウレン化合物の治療薬として予想される役割についてはこれまで明らかにされていない。その不足点を乗り越えるために、本発明において我々は(I)で示す化学構造をもつカウレン化合物の治療への使用について、また、すでに特徴が明らかになっている疾患モデルラットとより特異的かつ徹底的なスクリーニングと試験を行うことによって心臓と脳における虚血疾患の治療に最適な化合物を初めて決定し、報告するものである。
(特許説明)
(発明の目的)本発明の目的は心臓疾患や脳卒中の治療や予防を目的に低毒性天然物であるカウレン化合物を用いることで、より望ましい手段あるいは薬物療法を提供することである。臨床の場における組織や臓器の虚血性疾患の治療に際して前述の手段あるいは薬物療法は現在用いられている薬物に比して、効果や安全性より高いことが求められるであろう。本発明では心不全の治療が可能なカウレン化合物を提供することも目的の一つであり、不整脈の治療が可能なカウレン化合物を提供することも目的の一つである。本発明の目的は組織や臓器の虚血性疾患の治療に際して医薬組成物の製品中にカウレン化合物を使用することによって達成できる。この発明の目的は以下の技術や方法を用いてさらに達成されるものである。上述の組織や臓器における虚血性疾患には心臓と脳における虚血疾患を含む。上述の組織や臓器における虚血性疾患は四肢の末端や網膜、視神経、腎臓の傷害や壊死を含む。上述の組織や臓器における虚血性疾患は冠動脈系疾患や脳卒中、脳虚血性傷害、虚血-再還流傷害を含む。前述の冠動脈系疾患は狭心症や急性心不全を含む。前述の脳卒中は虚血性脳卒中や出血性脳卒中を含む。前述の脳虚血性傷害は外傷、出血性ショックあるいは動脈硬化や血管狭窄によって引き起こされる血液供給の低下を含む。前述の再還流傷害は冠動脈形成術や血栓溶解術、冠動脈拡張薬の使用、心臓手術における体外循環、脳血栓溶解術によって引き起こされる。発明の目的は心不全の治療のために医薬組成物の製品中へのカウレン化合物の使用によって達成できる。この発明の目的は以下の技術や方法を用いてさらに達成されるものである。前述の心不全は心収縮能や心拍出の低下によって引き起こされる心不全あるいはうっ血性心不全を含む。
発明の目的は不整脈の治療のために医薬組成物の製品中へのカウレン化合物の使用によって達成できる。この発明の目的は以下の技術や方法を用いてさらに達成されるものである。上述の不整脈は心筋虚血や再還流傷害によって引き起こされる。前述の不整脈は起源によって、心室性、上室性、心房性の不整脈を含む。前述の不整脈は心室性頻脈あるいは心室性細動を含む。
発明によると、前述のカウレン化合物は化学構造(I)で示す一般構造を持っている。
カウレン化合物は以下の構造を有する。
R: 水素、水酸基あるいはアルコキシ基
R: カルボキシル基、カルボン酸塩、ハロゲン化アシル基、アルデヒド基、水酸化メチル基、エステル基、アシルアミド基、カルボキシル基へと加水分解可能なアシル基やエーテル基
R,R, R, R, R: 独立的に、酸素、水酸基、水酸化メチル基あるいは水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基やアルキロキシメチル基
R: メチル基、水酸基、加水分解可能なエステル基あるいはアルキロキシメチル基
R: メチレン基あるいは酸素
前述のカウレン化合物は、構造式(I)に示す化合物が構造式(II)で表される化合物Aであるところの前述のカウレン化合物。
構造式(I)に示す化合物が構造式(III)で表される化合物Bであるところの前述のカウレン化合物。
カルボン酸塩はアルカリ土類金属や塩基性金属、アンモニウムのカルボン酸塩を含む前述のカウレン化合物。
錠剤やカプセル、顆粒、注射液、座薬、軟膏に加え、経口や注射、植込、カテーテル処置などで投与されるあらゆる遅延型あるいは徐放剤型を含む前述の薬物あるいは医薬組成物である前述のカウレン化合物。
本発明によって達成される目的や発明の恩恵や利点は後述の好適な実施例の説明や請求項によって明らかである。
(本発明の説明)
本発明は化学構造(I)で示されるカウレン化合物の心臓と脳における虚血や不整脈、心不全の治療に関する作用について開示するものである。化学構造(I)で示される本化合物は一連の天然物や合成あるいは半合成化合物である。これらの化合物の多くは一般に知られている(Kinghorn AD, 2002, p86-137; Sinder BB et al., 1998; Chang FR et al., 1998; Hsu FL et al, 2002)。化学構造(I)で示される本化合物には一つ以上の不斉中心をもつもの、異なる立体異性体の形で存在するものがある。
カウレン化合物は以下の構造を有する。
R: 水素、水酸基あるいはアルコキシ基
R: カルボキシル基、カルボン酸塩、ハロゲン化アシル基、アルデヒド基、水酸化メチル基、エステル基、アシルアミド基、カルボキシル基へと加水分解可能なアシル基やエーテル基
R, R, R, R, R: 独立的に、酸素、水酸基、水酸化メチル基あるいは水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基やアルキロキシメチル基
R: メチル基、水酸基、水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基あるいはアルキロキシメチル基
R: メチレン基あるいは酸素
好適な化合物の群は化学構造(I')で示される。前述の化合物はカウレン構造を持ち、13位炭素に隣接した置換基を持ち、17位と18位の炭素において誘導体を派生する。これら前述の化合物は複数の不斉中心を持つものがあり、立体異性体やジアステレオ異性体としても存在する場合がある。8位と13位炭素に関連した絶対配置は(8R, 13S)あるいは(8S, 13R)である。
以下の構造を有する。
R: カルボキシル基、カルボン酸塩、アルデヒド基、水酸化メチル基、メチルエステル基、アシル化メチル基、ハロゲン化アシル基
R: メチル基、水酸化メチル基、メチルエステル基
R: メチレン基、酸素
化合物Aは天然のステビオシドの酸性加水分解によって得られる。化合物Bはステビオシドのアグリコンであり、ステビオシドは化合物Bのグリコシドである。化合物AとBは異性体の関係にある。化合物Bは加水分解や酸化といった化学反応によって、また動物の小腸においてバクテリアの触媒反応によって、ステビオシドから得られる。
化合物A、分子式、C20H30O: 化学名: (4α, 8β, 13β)-13-methyl-16-oxo-17-norkauran-18-oic acid; 化合物Aはイソステビオール(isosteviol)、ent-16-ketobeyran-18-oic acidとしても命名されている。前述の化合物はカウレン骨格を有するテトラジテルペンであり、不斉炭素の絶対配置は (4R, 5S, 8R, 9R, 10S, 13S)-であり、13位炭素に置換された水酸基と16位炭素にカルボニル基と18位炭素にカルボキシル基をもつ化合物である(Rodrigues et al., 1988)。
化合物B、分子式、C20H30O: 化学名: ent-13-hydroxykaur-16-en-18-oic acid、化合物Bはステビオール(steviol)としても命名されている。前述の化合物もまたカウレン骨格を有するテトラジテルペンであり、不斉炭素の絶対配置は (4R, 5S, 8R, 9R, 10S, 13S)-であり、13位炭素に置換された水酸基と16位炭素に隣接した二重結合によって結合されたメチレン基をもつ化合物である(Rodrigues et al., 1993)。
化合物AおよびBは18位のカルボン酸塩としても存在することがあり、カルボン酸塩はナトリウム塩や塩基性金属塩あるいは塩素化物やハロゲン化物である。
化合物AおよびBはともにカウレン構造をもつカウレン化合物である。化合物Aは本研究において好適化合物である。
本発明は虚血や再還流によって引き起こされる虚血性心筋傷害や不整脈の治療や予防、そして虚血心筋の収縮能を保持ならびに増強作用について化合物AとBが同等の治療効果をもつことを開示するものである。化学構造(I)で示されるその他全ての化合物が化合物Aの作用と同様の治療効果を示すことが推測される。大量の化合物Bはある種の in vitro実験下において変異原性を示す可能性があることから、医薬品として用いる場合には化合物Bに比べて化合物Aがより好適化合物であると言える。
この発明では化学構造(I)で示される化合物の構造-活性相関についても開示する。化合物Aと化合物B試験結果を比較することで、上記の治療効果がカウレン骨格の塩基性構造に基づくことが推測される。カウレン骨格上の基の置換(13位や17位の炭素)は作用を変化させるものではないこと、また立体配置の変更((8位や13位の炭素)もまた作用を変化させるものではなく、ただ、化合物の作用の強さにのみ影響があると考えられる。また、化学構造(I)で示される他の全ての化合物は心臓や脳における虚血、不整脈、心機能の増強といった化合物Aで示された作用と同様の治療効果を持つことを示している。
本発明は化学構造(I)で示される化合物における塩化合物の作製法、医薬組成物の調製法、必要とする患者への投与法について教示する。化合物AとBは水への溶解性を向上させるために塩基性金属(例えばナトリウム)やハロゲンのような物質を用いて医薬用途に使用できる塩を形成できる。化合物AとBは固体や液体の剤型で適当な薬物キャリアや溶媒を用いて処方することができる。剤型は錠剤、カプセル、放出制御型あるいは徐放性剤、注射液、座薬、経皮貼布、軟膏などである。長期あるいは短期間投与時のこれらの適当な剤型は口、静脈、直腸、膣、舌下を経由して、あるいは静脈や動脈へのカテーテル処置を経由して投与することができる。
本発明は化合物Aの効果的な投与量の幅として0.5から4.0 mg/kgまた静脈内投与した場合に40 mg/kgの用量まで明らかな毒性は認められないことを開示する。これまでに報告された化合物Aの急性毒性は極めて低く、静脈内投与時において50%致死量(LD50)は650 mg/kgであった。臨床での使用に関する安全な薬物量は0.1-0.2 mg/kg程度であると推定している。化合物Bのような化学構造(I)で示される他の化合物もまた比較的低用量で薬効を発揮し、毒性は高い用量でないと現れない。本発明は化合物Bの薬効量は2-8 mg/kgであり、急性毒性研究(WHO, 1999)で報告されているように化合物Bの50%致死量(LD50)は1500 mg/kgであった。加えて、化合物Bは虚血心臓における収縮力の向上や虚血や再還流により損傷した心筋の保護や改善作用、抗不整脈作用など、化合物Aと同様の治療効果をもつ。一般に、化合物Aと同等の薬効を得るためには化合物Bはより高用量を要する。
本発明は化合物AとBの最小薬効量を明らかにしている。化合物Aは50%致死量(LD50)が高く、比較的安全性が高いため、過去に研究者は治療の研究において初めから常に高用量を使いがちであったが、それは低用量における効果を見過ごしていたと言える。本発明では、化合物のAとBの薬効量はラットにおいてわずか1-2 mg/kgであった。体表面積に基づいて換算した場合、ブタに対する薬効量は0.2-0.4 mg/kgでヒトでは0.1-0.2 mg/kgである。本発明における化合物AとBの薬効量は過去に公表されたデータとして報告された量よりもかなり低いものであった。公表された報告中でin vivo実験において使用された化合物AとBの最小薬効量はラット25 mg/kg(Liu CJ, et al., 2001)で、ハムスターでは250 mg/kg(Wasuntarawat C, 1998)であった。ヒトにおいては、抗高血圧研究において250 mgと500 mgの用量でステビオシドの一日三回投与が用いられた(Chen P et al., Hsieh MH et al., 2003)。その投与量はステビオシドに対する化合物Bの分子量から換算してヒトにおいて経口で80-160 mgの化合物Bの投与量に匹敵し、1.2-2.4 mg/kg相当にする。
技術に関して公表された研究では、化学構造(I)で示される化合物、特に化合物AとBについて本発明で示した心臓と脳における虚血に対する治療効果を示すに至っていない。この結果は二点が原因していると思われる。第一に、これらの研究で用いられた化合物AとB投与量が高すぎること、第2に、適切かつ効果的な動物虚血モデルを選択しなかったことである。本発明ではこの点においては、これまでの研究とは完全に異なるものである。
高用量の化合物A(25 mg/kg)をラットに腹腔内投与した場合に血管拡張や動脈血圧の低下を引き起こすことが報告された(Lucy et al., 2001)。本発明において、低用量の化合物A(1 mg/kg)をラットに静脈内投与した場合にこの様な血圧低下作用は認められなかったが、心臓と脳における虚血に対する保護作用が認められた。
このことは、本発明における保護効果の作用機序は過去に報告された血圧低下作用のものとは異なることを示している。加えて、本発明と過去に報告された薬効量の相違は化合物Aの投与経路の違い、すなわち、腹腔内(過去の報告)に対する静脈内(本発明)、が原因ではないと思われる。ラットを用いた化合物Aに関する急性毒性研究の結果は、腹腔内あるいは静脈内への投与で同様であった(LD50はそれぞれ503 mg/kgと617 mg/kg)(Zhonggou et al., 1994)。この報告ではラットへ腹腔内あるいは静脈内に投与しても化合物Aの吸収や利用に関して差はないことを示している。さらに、同様の研究が報告されており、ラットに経口投与した場合は上記二つ投与法のLD50値に比べ2倍をはるかに越える3160 mg/kgであった。
上述の化合物AあるいはBの治療効果は多様な作用機序が関与しているようである。過去の研究において化合物Aの血圧低下作用は心筋細胞膜のカリウムチャネルが関与するらしい(Wang, KL et al., 2004)。一方、このカリウムチャネルは化合物Bのインスリン分泌促進作用には関与していなかった(Jeppesaen PB, et al., 2000)。本発明は化合物AとBが虚血時のミトコンドリアにおいて保護作用を示すことを明らかにし、保護作用はカリウムATPチャネルブロッカーである5-水酸化デカン酸によって部分的に阻害されたにすぎなかった。
本発明の目的は、よく研究された虚血-再還流ラットモデルの利用によって達成される。このモデルは臨床上の病理や症状を再現するために適したモデルである。心不全や不整脈、心筋傷害がラットにおいて冠動脈完全閉鎖や血流再開の間に起こり、心臓発作や血栓溶解術や血管形成術により引き起こされる冠動脈再還流に認められる臨床所見と良く相関するモデルである。
前述の動物モデルは不整脈研究においても適切なモデルである。虚血-再還流はそれ自体、多様な病理学的過程に関与しているため、本発明で再現された不整脈は様々な作用機序が起因する臨床での不整脈と相関しているであろう。
前述の動物モデルは心不全の研究にとって適切なモデルでもある。本モデルでは、心不全に先だって起こると予想される部分的な心筋虚血傷害の結果として心拍出量の減少を生じた。このことは臨床上の心不全あるい心拍出量の減少によって引き起こされるうっ血性心不全と良く相関している。
前述したように、本発明は医薬組成物中の活性成分としてカウレン化合物の使用を含む冠動脈系疾患や心不全、脳虚血、不整脈、脳卒中の治療や予防の方法を開示するものである。前述の化合物の中には、ステビオシドのアグリコンで好適化合物である化合物B; ステビオシドの酸加水分解産物でより好適な化合物である化合物Aが含まれている。本発明では、前述の化合物使用を含む虚血や再還流傷害に対する保護作用、心収縮機能の増強作用、不整脈の予防、心室性頻脈あるいは細動のリスクの減少の方法を開示する。
本発明は脳虚血モデルの利用によって、脳虚血や虚血傷害、虚血時の脳機能の保護作用について前述の化合物の使用の方法について示している。
本発明の主要な利点を以下に示す。
1, 心臓と脳における虚血疾患や不整脈、心不全の治療並びに予防に関して化合物AとBを含むカウレン化合物の治療的使用。前述の化合物は天然の植物由来であり、人間が長年に渡り使ってきたものである。特に、化合物AとBは比較的に高い薬効と高い安全投薬量、また治療薬と予防薬の性質を有するために臨床によって大いに用いられる可能性をもっている。
2. 本発明は化学構造(I)で示される化合物の心筋細胞の超微細構造における作用について初めて検討している。本発明は形態学的および機能学的方法を用いて、動物モデルによる心筋虚血の病態を再現している。また、前述の化合物、特に化合物AとBは虚血心筋やミトコンドリア傷害に対する保護作用、梗塞部の低減、心収縮機能の保護や増強、虚血時の重篤な不整脈リスクの減弱において治療的な効果があることを示している。
3. 本発明は心筋におけるカウレン化合物の顕著な陽性変力作用を開示している。その作用は、収縮能の低下を減少させ、虚血時において正常な機能へと導き保護するものである。臨床上、心不全やうっ血性心不全は心拍出量が低下する疾患であるが、化合物AやBの使用によって治療できる。化学構造(I)で示される化合物において他の薬物には認められない利点は、それらの化合物が重篤な不整脈のリスクを減少させ、虚血時における心筋傷害を回復させ、その一方で心収縮能を増強するという点である。カウレン化合物はジギタリス配糖体を越える、より良好な治療指数を持っている。ジギタリス配糖体は一般的に陽性変力作用薬の一つとして使用されるが、その一方で、適正量を越える投与を行った場合、虚血心筋の状態を悪化させ、梗塞部位の拡大、重篤な不整脈を引き起こす。その欠点を考慮すると、カウレン化合物の治療的使用に関する本発明は臨床的意味において重要である。
4. 本発明は再還流傷害に対する顕著な保護作用を開示する。心再還流傷害は冠動脈形成術やステント術、バイパス手術、血栓溶解術、冠動脈拡張薬の使用、心臓手術における体外循環などを含む臨床的処置で生じることがある。発症機序については、過剰の酸素ラジカル類やカルシウムの過剰負荷、その他の要素が関与するかもしれない。再還流は本発明で示したように、心筋の損傷や心不全、心室性頻脈や細動のような致死的な不整脈へとつながっている。本発明は化合物AとBの使用が心筋損傷を顕著に回復させ、再還流により引き起こされる心室性頻脈や細動のリスクを減少させ、心機能を維持することを示している。したがって、前述のカウレン化合物、特に化合物AとBは、上述の臨床的処置や発作や血栓後の自然発生的な心血流再開により引き起こされる再還流傷害の治療薬また予防薬として使用できる。
5. 本発明は不整脈の治療においてカウレン化合物の使用を開示するものである。ラットにおいて心虚血や再還流によって引き起こされる心室性頻脈や細動の発生頻度や期間は、化合物AやBの投与によって顕著に減少した。化学構造(I)で示される化合物、特に本発明における化合物AとBは虚血や再還流によって引き起こされる不整脈の治療薬として、また他の作用機序によって引き起こされる不整脈の治療薬としても用いることができる。なぜなら、虚血や再還流モデルはそれ自体、様々な病態の過程に関与しているからである。
6. 本発明は脳卒中や脳傷害に対する保護においてカウレン化合物の使用を開示する。基本的な生命機能、例えば呼吸機能はマウスでは頭部への血液供給を停止するとただちに失われる。しかしながら、血液供給を停止した後、呼吸機能の維持は化合物AとBのいずれかのカウレン化合物の処置によって延長される。この結果はカウレン化合物が脳卒中(虚血性やうっ血性卒中を含む)や脳虚血あるいは全身性の血液循環機能障害や頭部外傷によって引き起こされる脳傷害の治療や予防において顕著な治療効果をもつことを示している。
7. 本発明は虚血に対する心あるいは脳組織の保護に関してカウレン化合物の使用の方法を開示するものである。本発明は糖尿病あるいは末梢動脈異常の結果として四肢の末端の虚血性の壊死や網膜や視神経の虚血、腎臓の虚血(例えば、急性腎不全)などの治療や予防において前述の化合物の使用の方法についても指示している。
8. 本発明は前述のカウレン化合物と前述の作用の間にある非線形的用量反応相関を示している。化合物Aの投与は心収縮能を用量非依存的に増強させるので、ある範囲を超えた用量で投与が行われた場合、前述の作用のさらなる増強はない。極めて高い用量では前述の作用はなくなることもある。本発明中のブタを用いた研究では、バルーンカテーテルを血管造影のガイドを頼りに左前下行冠状動脈(LAD)中に入れた。冠動脈虚血や再還流はバルーンを膨らませたり、しぼませたりすることで再現した。虚血によって引き起こされた重篤な不整脈はカウレン化合物(例えば化合物A)のブタへの前投与によって抑制された。その用量はそれ自体、虚血前の心臓には何ら作用がない程度の少量である。極めて高用量(20倍以上)の化合物AをLADから投与した場合には、心収縮能の顕著な減少が認められた。この結果はカウレン化合物が異なる親和性で異なる受容体あるいは標的細胞に作用する可能性を示している。この高用量のカウレン化合物は上述の治療効果を減弱させたり、無効にしたりするといった反対の作用あるいは望まれない作用を発現させるかもしれない。
9. 本発明はカウレン化合物の治療的および予防的使用の両面の方法について指示している。化合物AあるいはBで動物を前処理すると、心臓と脳における虚血や再還流傷害を効果的に予防でき、加えてカウレン化合物は良好な安全性を持っているので前述の化合物は冠動脈あるいは脳動脈系疾患の治療的および予防的薬物治療の双方に適している。臨床では、化合物Aは狭心症や心臓発作、脳虚血あるいは脳塞栓、あるいは、重篤な不整脈のリスクのある患者や再還流傷害のリスクのある患者のための予防薬として長期にわたり、継続的に投与されるようになるかもしれない。
まとめとして、本発明は冠動脈疾患や脳卒中、臓器や組織の虚血に関連した疾患、不整脈、心不全の治療や予防において様々な医薬組成物中の活性化合物として化学構造(I)で示されるカウレン化合物の使用方法に関連している。化合物BとAは本発明において、それぞれ好適な化合物とより好適な化合物であると言える。
化学構造(I)で示される化合物は天然にあるいは人工的に合成された形で存在する。化学構造(I)で示される化合物は本発明に沿った冠動脈虚血-再還流ラットモデルと脳虚血マウスモデルを用いる事によって、スクリーニングされ評価されている。本発明では化合物BとAはそれぞれ好適化合物とより好適な化合物である。本発明において発見した主要な治療的効果や薬物作用は以下の通りである。
虚血心臓における陽性変力作用は左心室収縮期圧や左心室圧の変化速度(dp/dt Max.mmHG/sec)、収縮能を増加させる。化学構造(I)で示される化合物が心筋やミトコンドリアの虚血-再還流傷害を改善し、虚血性梗塞部位のサイズの減少、再還流下の心臓における収縮能の保持することを組織学的検討は示している。対照群において、重篤な不整脈つまり心室性頻脈や細動は虚血中も再還流中でもともに全ての動物で生じる。1/3の動物は心室性細動の持続によって死に至る。化学構造(I)で示される化合物の投与群では、不整脈の結果死に至る動物は認められず、虚血や再還流時に発症頻度や発症時間、心室性細動の持続時間は顕著に減少する。化学構造(I)で示される化合物の優れた優位性は心筋虚血や不整脈の両方を改善する化合物であり、心収縮能の増強において重要な役割を果たす点である。前述の化合物は不整脈誘発性や心筋虚血を増悪化する副作用をもつジギタリス配当体に比べて、より優れた治療指数を示すことは明らかである。脳虚血動物において、化学構造(I)で示される化合物は虚血脳を保護し、脳機能を顕著により長く保つ。本発明では、化学構造(I)で示されるカウレン化合物は以下に示す臨床局面において治療薬として使用することができる: 狭心症や急性心筋梗塞といった虚血性心疾患(冠動脈系疾患)の治療や予防; 陽性変力作用として、心機能低下あるいは心不全(例えばうっ血性心不全)の治療や予防;心室性頻脈や細動のような不整脈の治療や予防; 心臓や脳における再還流傷害の治療と予防; 虚血性脳卒中や出血性脳卒中、他の血管系疾患、またショックや頭部外傷によって引き起こされる脳傷害あるいは脳機能障害の治療と予防;
四肢の末端や網膜、視神経あるいは腎臓に虚血性傷害の治療と予防。化学構造(I)で示される化合物治療効果はある用量の範囲であれば用量依存的である。一般に、化合物Aの薬効は化合物Bのものより高い。
化合物AとBを含む化学構造(I)で示される化合物は塩基性金属(例えばナトリウム)やハロゲンのような物質を用いて医薬用途に使用できる塩を形成できる。それら医薬組成物を処方するために薬物キャリアと混合することができる。化学構造(I)で示される化合物やそれらの医薬組成物は経口や静脈内あるいはその他の経路、あるいは静脈や動脈へのカテーテル処置によって投与することができる。
冠動脈系疾患や脳卒中、心不全、不整脈の治療において高い薬効と低毒性をもつ臨床的に広く使用される薬物はこれまでにない。この薬物がないという観点から、本発明は低い生物毒性のカウレン化合物で高い薬効と低い副作用をもつより好適な薬物を開示する。前述の化合物は冠動脈系疾患や脳卒中、心不全、不整脈の治療においてこれまでの技術に比べてより治療的な薬物である。既知技術におけるカウレン化合物の研究では同様の動物モデルやプロトコールは使用されておらず、本発明でなされたものと同様の知見は報告されていない。本発明は心筋細胞の超微細構造に及ぼすカウレン化合物の作用を初めて示したものである。本発明はin vivoにおいて前述の化合物の最大の薬効と薬効の強さを示している。それら前述の化合物の薬効と薬効の強さは公知技術で報告されたいかなる化合物よりも高いものである。さらに、本発明における前述の化合物は心不全や不整脈の治療で一般的に使用されているジギタリスに比べて治療指標がより良いことを示している。本発明はカウレン化合物について新規な治療用途を開示すること、また本発見が自明のものではないことは明らかである。
上記は本発明の一般的な記述である。本発明おける方法や技術は以下の例によって、より良く説明する。そのため、本発明おける方法や技術は技術的に熟練した者によってなされている。本発明における方法論と実施例は以下の例において詳しく述べる。
(実施例)
本発明の目的を達成するために用いた技術をさらに説明するため、本発明におけるカウレン化合物の医薬的、治療的有用性を決定し、同定に関する詳細な方法、技術、操作手順、特記事項について以下に述べる。
実施例は本発明を支えるため、あるいは本発明で用いた動物モデルの有効性を確かめるために利用した実験方法や結果を示す。本発明では全ての実験において適切な対照群と統計解析法を用いている。以下に示す例は本発明を説明するために用いられている。実施例は化学構造(I)で示される化合物中において治療的使用に適した幾つかのカウレン化合物をスクリーニングし、決定するために用いられた方法や技術を説明する。化学構造(I)で示される他の化合物の治療的使用についても同様に決定している。
(実験材料)
動物: 雌雄Sprague-Dawleyラットおよびマウス。化学物質: 化合物A(ent-17-norkaurane-16-oxo-18-oic acid、分子式: C20H40O3、分子量: 318.5)は酸加水分解や結晶化、精製を経てステビオシドから得られる。化合物Aの構造は赤外スペクトル分析やNMRによって確認され、それらのデータは過去に報告されたデータと一致している。化合物Aの純度は高性能液体クロマトグラフィーにより99%以上であると計測されている。化合物B(ent-13-hydroxykaur-16-en-18-oic acid)はステビオシドの酸化、加水分解、酸性化、抽出、精製、結晶化といった一連の過程を経て得られる。化合物Bの構造は赤外スペクトル分析やNMRによって確認され、それらのデータが過去に報告されたデータ(Mosettig E et al., 1963)と一致している。化合物Aの純度は高性能液体クロマトグラフィーにより99%以上であると計測されている。試験化合物の投与:静脈内あるいは腹腔内注射、あるいは経口投与。用量:化合物A:0.5 mg/kg から4 mg/kg ; 化合物B:2 mg/kgから8 mg/kg
(実験方法)
1. 心臓力学的パラメータ
ラットに麻酔をした。気管切開を行い、挿管されたカニューレを人工呼吸用の装置に繋げた。動脈圧は大腿部の動脈部を介して血圧計によってモニターした。ミラー血圧計は心室圧をモニターするために頸動脈を介して左心室中に置いた。血圧計はPower-lab biologicalreal-time data recording systemに繋げた。ECGはラットの腕において皮下針状プローブで記録した。記録したパラメータは以下のものを含んでいる:平均動脈血圧(MAP)、左心室収縮期圧(LVSP)、左心室圧の変化量(±dp/dt Max.)、左心室拡張期圧(LVDP)、左心室拡張末期圧(LVEDP)、心拍数(HR)。
2. 心虚血-再還流動物モデルの確立
第4肋間腔の間で左側から開胸によって胸郭を開いた。心膜は心臓を露出させるために開けた。ステンレス製の針と絹縫合糸で左冠状動脈(LCD)近傍に位置させ、ゆるめたスネア結紮を作っておく。手術の終了後、動物はLCDの閉塞前10分間安定性を確かめ、スネアをきつく締める。閉塞の成功はECGにおいてT波あるいはST部の上昇する心臓周辺のチアノーゼを示す領域と関連している。閉塞による虚血段階は20分あるいは30分間維持した。
心臓再還流はスネアを解放させることで行い、チアノーゼ状態にある虚血部分の充血性紅潮やECGシグナル上での変化のゆるやかな回復によって確認した。再還流段階は50から80分間維持した。ECGやMAP、他の心動力学的データは虚血前(対照群)、虚血や再還流段階中記録した。
上述の動物モデルは良く研究されてきたもので、関連研究において長い間用いられてきたモデルである(Liu Y and Downey J, 1992)。
虚血段階:
LCDの閉塞はラット心臓部において心筋虚血を生じる。このモデルは臨床における冠動脈系疾患による急性心筋梗塞あるいは心臓虚血の症状や病態に類似している。
再還流段階:
心臓は結紮を解くことにより冠動脈の血流再開によって再還流させた。この方法は臨床において認められる心臓の虚血-再還流の状況と類似している。例えばカニューレ挿入による血管形成術や薬物誘導性あるいは自発性の血栓溶解、心臓発作の解除、心臓手術における体外循環、急性のバイパス手術などの冠動脈の血流再開の様な状況である。上述の臨床状況は心臓の速やかな再還流という結果となり、心筋傷害や不整脈の原因となる。
3.実験プロトコールと動物のグループ化
動物の群分け:ラットは以下の群に無作為に割り当てた。各群6から8匹(雌雄同数)。
対照群:冠動脈の結紮/虚血-再還流。
投与群:冠動脈の結紮/虚血-再還流に化合物AあるいはBを加えた。
シャム手術群:冠動脈の結紮しない/シャム手術
プロトコール
対照群: |-10分--|----20分----|-------------50分----------------|
(生理食塩水) 静脈内投与 結紮LCA 結紮解除,再還流
投与群: |-10分--|----20分----|-------------50分--------------|
(化合物) 静脈内投与 結紮LCA 結紮解除,再還流
実験の一部に、冠動脈の結紮や結紮解除の時間は30分と80分とした。それは、虚血-再還流の結果を増強するためである。
4. 統計解析
データは平均± SDとして報告している。t-検定あるいは対応のあるt-検定で2群間の有意差検定を行った。係数データの比較のために、2x2分割検定を用いた。
この例は虚血時の心臓機能の保護と増強における化合物Aの心臓力学的データに及ぼす作用を説明する。
表1で示すように、対照群では冠動脈の結紮による虚血の前後でHR と -dp/dt Max.に有意な差はなく、MAPの減少とLVEDPの増加の傾向があるものの、統計的に有意ではなかった(P>0.05)。しかしながら、心臓の収縮能を表すLVSPと+dp/dtMax.では冠動脈の結紮による虚血後に虚血前に比べて有意に減少した(P<0.01)。これらの結果は対照群の心収縮能が虚血時に有意に低下したことを示していた。
化合物A(1 mg/kg)の投与群の結果は対照群に比べて異なっている。表2で示すように冠動脈の結紮による虚血後のLVSP や +dp/dtMax..LVSPを含めた心臓力学的パラメータの全ては虚血前に比べて有意な減少は認められなかった。対照群と投与群とを比較すると、その相違は化合物Aが虚血下の心臓で心収縮能において顕著な保護作用や増強作用をもつことを示している。
この例は不整脈の治療における化合物Aの治療効果を説明する。心室性頻脈(VT)や心室性細動(VF)を含む不整脈は、臨床における主要死因である。虚血下の対照群において、VTは11例中全ての動物で起こった。VFは11例中10匹の動物で起こり、11例中3匹の動物はVFの継続により死亡した。しかしながら、化合物Aを投与した群では、全ての動物が心虚血を生き延びた。表3に心臓虚血下における対照群と投与群から得られたVTやVFの発生頻度や発症時間、持続時間の結果を示す。これらの結果は、化合物A(1 mg/kg)の投与群では対照群に比べて、VTやVFの発生頻度や持続時間は有意に減少し(P<0.01)、VTやVFの発症時間は有意に遅延した(P<0.01)ことを示している。これらの結果は、化合物AがVTやVFを含めた致死的な不整脈のリスクを効果的に減少させることにより心機能を保護または不整脈の重篤性を軽減できることを示している。
本例では虚血後の再還流時の心臓における化合物Aの保護作用と心臓力学的パラメータの変化について説明する。対象群では冠動脈の血流再開後50分の再還流の間、心機能と心臓力学的パラメータは虚血時同様に減少したままである。虚血前と比較すると、心収縮能を反映するLVSPと+dp/dtMax.LVSPは有意に減少している(それぞれ、P<0.05とP<0.01)。しかしながら、HRやLVEDP、-dp/dtMax.LVSPには明らかな変化は認められない。MAPは若干低いが、統計上有意差はない(P>0.05)。これらの結果は、対象群において再還流によって虚血で観察された(表1参照)心収縮能の減少を生じたとことを示している。しかしながら化合物A(1 mg/kg)の投与群では、再還流時、LVSPや+dp/dtMax.LVSP、その他の心臓力学的パラメータは虚血前と比較して変化はないままである。虚血時と比較して、MAPやLVSPや+dp/dtMax. LVSPは上昇傾向が認められたが、統計上有意差はない(P>0.05)(表2参照)。上記の両群から得られた結果は、化合物Aが再還流傷害に対して心収縮能における有意な保護作用をもつことを示している。
本例では虚血時の心筋の梗塞の大きさの限定化に関して化合物Aの保護作用について説明する。心筋の梗塞の大きさの決定:対象群と投与群の両群で再還流時間の終了後、冠動脈は閉塞された。エバンス・ブルー 色素(1%、) 0.5 ml)を心筋の虚血領域と非虚血領域の決定のために投与した。続いて、心臓を摘出し、凍結し、薄切片を作製し、トリス緩衝液で洗浄した。薄切片は顕微鏡で観察した。梗塞領域や虚血領域(リスク部)は染色によって区別された。対応する組織サンプルの重量を計測後、心筋の梗塞の大きさを計算し、以下のように表した:梗塞の大きさ = 梗塞組織の重量/(梗塞組織の重量 + 虚血組織の重量)x %。
結果:虚血後の梗塞の大きさは対象群で58.6±4.7、化合物A(1 mg/kg)の投与群で 45.8±2.9%であった。両群間で統計上の有意差認められた(P<0.01)。このことは、化合物Aが虚血心筋における梗塞の大きさの限定化において保護的作用をもつことを示している。
本例では虚血心筋の形態における化合物Aの保護作用について説明する。実験の最後に、対象群と投与群(化合物A 1mg/kg)から虚血領域で虚血心筋と非虚血の正常の心筋を取り出し、シャム手術動物からも同様の領域で心筋を取り出した。組織はパラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋し、薄切片あるいは超薄切片に切り、染色し、光学あるいは電子顕微鏡で観察した。
光学顕微鏡による検討:組織切片を倍率100xの顕微鏡で調べた。非虚血心筋細胞では心筋の横紋が明らかに確認された。心筋細胞の内部空間は狭く、浮腫や炎症の兆候はない。虚血心筋細胞では、通常認められる横紋が消失し、空胞変性が心筋細胞内に認められた。心筋細胞の内部空間は拡大し浮腫や炎症細胞の浸潤が認められた。心筋細胞が破壊されていることは明らかであった。化合物Aの投与群では、横紋が観察された。空胞変性は認められない。心筋細胞の内部空間は正常で、炎症細胞は散見されるのみである。心筋細胞の破壊は明らかではなかった。
電子顕微鏡における検討:超薄切片を倍率12000xの透過型電子顕微鏡で調べた。非虚血心筋細胞では、心筋細胞とミトコンドリアの両方の膜は損なわれていなかった。ミトコンドリア内部クリステは密度が高く、マトリックスと顆粒は正常に分布していた。虚血の対象群では、細胞膜は破壊され、ミトコンドリアは膜が破壊され、スエリングを起こしていた。ミトコンドリア内部のマトリックスは減少し、大きな空胞が認められ、クリステは数の減少や構造の崩れ、破壊が認められた。
ミトコンドリアの損傷は正常と比べて明らかであった。化合物Aの投与群では、心筋細胞とミトコンドリアの両方の膜は損なわれていなかった。クリステやマトリックスの密度や顆粒の分布は正常であるように思われた。非虚血心筋細胞と比較して、心筋細胞やミトコンドリアには損傷は認められなかった。
組織学的検討は化合物Aの心筋細胞における顕著な保護作用を示しており、その作用は心筋細胞やミトコンドリアの虚血による損傷を軽減することによる。
実施例6から8は化合物Bの医薬的、治療的使用に関する説明である。
本例は、冠動脈閉塞により引き起こされる虚血心筋細胞の形態に及ぼす化合物Bの保護作用について説明する。化合物Bは化合物Aの異性体である。本例は虚血心筋細胞の形態に及ぼす化合物Bの保護作用について説明している。化合物B(2 mg/kg)投与した事を除き、実施例5に類似している。非虚血や虚血、投与群の動物から上記のように心筋組織を取り出した。心筋細胞とその超微細構造を光学および透過型電子顕微鏡で調べた。化合物Bの投与群では、心筋細胞とミトコンドリアの両方の膜は損なわれていなかった。ミトコンドリア内部クリステやマトリックスの密度は正常のように思われ、顆粒は正常に分布していた。心筋細胞とミトコンドリアの両方の損傷は非虚血心筋細胞と比較して明らかでなかった。本組織学的検討は化合物A(1 mg/kg)を動物に投与した場合の結果と類似しており、化合物Bが示す心筋細胞における顕著な保護作用は心筋細胞やミトコンドリアの虚血による損傷を軽減することによることを示している。
本例は心虚血の間における不整脈の治療における化合部Bの治療的使用について説明している。
虚血の対象群では、細胞膜は破壊され、ミトコンドリアは膜が破壊され、スエリングを起こしていた。、ミトコンドリア内部のマトリックスは減少し、大きな空胞が認められ、クリステは数の減少や構造の崩れ、破壊が認められた。実施例2に類似し、不整脈の治療における化合部Bの治療的使用について研究したものである。結果を以下に示す(実施例2の表3参照):
対照群において、心室性頻脈は11例中全ての動物で起こった。11例中3匹の動物は心室性細動の継続により死亡した。しかしながら、化合物B(2 mg/kg)を投与した群(n = 5)では、心虚血の間に死亡した動物はおらず。対照群との比較において、対照群に比べて心室性頻脈や心室性細動の発生頻度や持続時間は有意に減少し(P<0.01)、心室性頻脈や心室性細動の発症時間は有意に遅延した(P<0.01)。加えて、不整脈における治療効果に関して、2 mg/kgの化合物Bの薬効は実施例の結果(実施例2の表3)によると1 mg/kg化合物Aと同等である。このことは化合物Aが化合物Bに比べてより強力であることを示している。
本例は虚血時における心収縮能の増強における化合部Bの治療的使用について説明している。実施例1に類似し、化合部Bの治療的使用について研究したものである。結果を以下に示す:
対照(虚血)群では、左心室収縮期圧(LVSP)とその最大変化量(+dp/dt Max.LVSP)は虚血前ではそれぞれ118 ± 6 mmHg と 8704 ± 326 mmHg/secであり、虚血時では98 ± 2 mmHg と 6472 ± 219 mmHg/secである。LVSPと+dp/dt Max.LVSPは再還流時で107 ± 4 mmHg と 6437 ± 395 mmHg/secである。虚血前のそれぞれの値と比較してLVSPと+dp/dtMax. LVSPは虚血と再還流時に有意に減少する(P<0.01)。これらの結果は虚血や再還流時において対照(虚血)群では心収縮能の有意な減少が生じることを示している。
一方、化合物B(2 mg/kg)を投与した群ではLVSPと+dp/dtMax. LVSPは虚血前で112 ± 5 mmHg と 8609 ± 543 mmHg/sec;虚血時で104 ± 4 mmHg and 7592 ± 433 mmHg/sec;
再還流時で110 ± 4 mmHg と 8362 ± 498 mmHg/secである。虚血時と再還流時におけるLVSPと+dp/dtMax.LVSPは虚血前のそれぞれの値と比較して同様であった(P>0.05)。これらの結果は化合物Bを投与した動物における心収縮能は虚血や再還流時に変化しないままの状態であることを示している。
上述の結果は化合物Bが虚血に対して有意に心臓を保護し、虚血時の心収縮能を有意に増強することを示している。化合物Bの作用は、虚血時の心収縮能の向上や虚血および再還流傷害の保護や改善、虚血や再還流によって引き起こされる不整脈の軽減といった観点において化合物Aと同等であることは明らかである。
本例では本発明において前述したものと同様の治療効果がステビオシドにはないことを説明する。実施例1に類似し、ステビオシドの治療的効果をラットで検討した。ステビオシド(10 - 15 mg/kg)の投与群では、心収縮能あるいは不整脈における治療効果は観察されなかった。本結果は、ステビオシドそれ自体は化合物Aや化合物Bと同様な治療効果はないことを示している。
本例は脳虚血の治療における化合物AあるいはBの治療効果を説明する。
脳虚血動物モデルと実験方法
断頭マウスモデル:マウスを断頭し、開口の運動を呼吸の兆候として計測した。
開口の回数と長さは断頭後の脳機能の指標として用いた。動物は無作為に3群(n = 8, 雌雄同数)に分けた。対象群は溶媒である生理食塩水のみを投与し、投与群は生理食塩水で溶解させた化合物A(4 mg/kg)を投与した。陽性対象群は対照薬であるエダラボン(Edaravone)(8 mg/kg)を生理食塩水で溶解させたものを投与した。エダラボンは抗酸化剤であり、神経傷害における保護作用を有する(Granl A. et al., 1996)。溶媒あるいは化合物は断頭の30分前に腹腔内投与した。
結果:化合物AあるいはBの両投与群やエダラボン投与群では、断頭による血液供給の遮断後の開口の回数と長さは、対象群と比べて有意に増加した。化合物AとBは虚血傷害に対する脳や中枢神経系の保護において治療的な作用をもつことを示している。
化合物A(4 mg/kg)あるいは化合物B(8 mg/kg)の治療的作用は、エダラボン(8 mg/kg)の作用とほぼ同様であった。これらの結果を表4に示す。
本例は化合物AあるいはBの医薬用途に使用できる塩と注射剤の調製法について説明する。
注射剤の調製:化合物AとBは水中で容易に溶解されないため、非経口投与のために液剤の調製の前に可溶性の塩を形成させる必要がある。塩はナトリウムやカリウム、他の無機イオンを用いる。好適な方法はナトリウムの使用である。方法を以下に示す:0.01 moleのNaOH溶液を調製する。1gの化合物AあるいはBを10 mlの上記NaOH溶液に溶解させ、pHを中性に調整することで、化合物AあるいはBのナトリウム塩溶液を調製する。このナトリウム塩溶液は滅菌水による希釈や非経口的な投与のために必要な濃度で薬物キャリアとともに混合させる。調整した薬剤は室温で保存できる。
本例は治療用に使用するための化合物Aの医薬組成物の調製について説明する。
一般に、化合物Aは活性成分として用いられ、医薬用途に使用できる薬物キャリアと混合することができる。化合物AとBを含むカウレン化合物は小腸から吸収されると考えられるため、固形の医薬組成物中で用いられ、経口で投与できる。
固形組成物の調製:カウレン化合物、特に化合物AとBをデンプンや乳酸、カルボキシルメチルセルロースナトリウムのような薬物キャリアをある分量で混合した。その混合物は経口投与用に錠剤やカプセル、顆粒などの形成に用いられる。
錠剤:化合物Aは適量のキャリア(デンプンや乳酸、ショ糖、デキストリン、微結晶セルロース)と異なる分量(1 - 99%)で混合される。;崩壊剤(乾燥デンプン、デンプンナトリウム、カルボキシルメチルセルロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)など。結合剤(デンプン類、エタノール、カルボキシル基を含むデンプンナトリウム、カルボキシルプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシルプロピルメチルセルロース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)。好適な組成物の一例:化合物A 2;デンプン 40 g;乳酸 45 g;カルボキシル基を含むデンプンナトリウム 10 g;8%デンプンのり、1% ステアリン酸マグネシウムが適量である。上記の粉体は混合され、顆粒化、乾燥、篩にかけられる。得られたマスは1000錠へと打錠される。それぞれの錠剤一錠には2 mgの化合物Aを含んでいる。
カプセル:化合物Aは上記の適量のキャリアや滑沢剤と異なる分量(1 - 99%)で混合され、カプセルに詰められる。組成物の一例:化合物A 2 g;デンプン 200 gで混合され、1000カプセルに詰められる。それぞれのカプセル一錠には2 mgの化合物Aを含んでいる。化合物Aはソフトカプセルの調製のために、異なる溶媒と混ぜ合わされる場合もある。
放出制御型あるいは徐放性の錠剤やカプセル:上述の錠剤やカプセルの調製法に従い、放出制御型あるいは徐放性の化合物Aの剤型は基材としてとして他の医薬受容基材(すなわち、高分子ポリマー)と混合することによって調製される。また、送達用阻害剤あるいは浸透圧ポンプを形成する半透膜をから作られたマイクロカプセルで錠剤をコーティングすることによって、あるいはリポソームとの組み合わせによって調製される。これらの剤型は化合物Aの放出あるいは作用時間を延長する経口で投与される。
非経口投与用液体組成物:非経口投与用液体組成物は滅菌した液体で医薬用途に使用できる基材中に化合物A(1 - 90%の分量で)を含んでいる。混合溶液はpHを調整し、安定化、濾過、滅菌処理後に非経口用の注射や点滴の瓶に詰める。
組成物の一例:化合物A 2g、NaHCO 2 g、1000 mlの滅菌水で溶解;溶液のpHを調整し、濾過、滅菌処理後に2 mlあるいは5 mlの瓶に詰める。このとき、化合物Aの含量はそれぞれ4 mg と10 mgである。化合物Aのこれらの液体剤型は非経口用の注射や点滴に用いられる。
他の医薬組成物:化合物Aは他の医薬組成物である座薬や軟膏、経皮貼布、トローチなどに使用することもできる。
上述の例は本発明の好適な具体例であるが、いかなる方法でも、本発明を制限するものではない。
これらの例に対するいかなる修正や再構成は発明によって開示された事項にしたがって技術的に熟練した技術員によってなされることもある。これらの修正や再構成は本発明と同一の適応範囲に含まれるはずである。
(産業応用)
本発明は冠動脈系疾患や心臓発作や不整脈などの治療や予防のための医薬品中のカウレン化合物の使用に関するものである。動物モデルで示したように、本発明は脳虚血や脳卒中時の脳機能を保護と維持のための医薬品の使用に関するものである。

Claims (20)

  1. 必要とする患者への投与を目的とした医薬組成物の製品中にカウレン化合物の使用を含む、組織や臓器における虚血性疾患の治療法。
  2. 虚血性疾患は心臓と脳における虚血から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
  3. 虚血性疾患は四肢の末端や網膜、視神経、腎臓の傷害や壊死に関係する請求項1に記載の方法。
  4. 心臓と脳における虚血は冠動脈系疾患や脳卒中、脳虚血性傷害、虚血-再還流傷害から構成される群から選択される請求項2に記載の方法。
  5. 冠動脈系疾患は狭心症や急性心不全から構成される群から選択される請求項4に記載の方法。
  6. 脳虚血性傷害は頭部の外傷、出血性ショックあるいは脳動脈硬化や狭窄によって引き起こされる虚血から構成される群から選択される請求項4に記載の方法。
  7. 再還流傷害は冠動脈形成術や血栓溶解術、冠動脈拡張薬の使用、心臓手術における体外循環、脳血栓溶解術からなる方法によって引き起こされる請求項4に記載の方法。
  8. 必要とする患者への投与を目的とした製薬学的組成物の製品中にカウレン化合物が使用された心不全の治療法。
  9. 心不全は心収縮能や心拍出の低下によって引き起こされる心不全あるいはうっ血性心不全である、請求項8に記載の方法。
  10. 必要とする患者への投与を目的とした医薬組成物の製品中にカウレン化合物が使用された不整脈の予防と治療の方法。
  11. 不整脈は心筋虚血や再還流傷害によって引き起こされる請求項10に記載の方法。
  12. 不整脈は解剖学的、生理的起源によって、心室性、上室性、心房性の不整脈から構成される群から選択される請求項10に記載の方法。
  13. 不整脈は心室性頻脈あるいは心室性細動から構成される群から選択される請求項10に記載の方法。
  14. 前述の医薬組成物の製品中のカウレン化合物は(I)に示す化学構造を持つ化合物である請求項1〜13に記載の方法。
    カウレン化合物は以下の構造を有する。
    R: 水素、水酸基あるいはアルコキシ基
    R: カルボキシル基、カルボン酸塩、ハロゲン化アシル基、アルデヒド基、水酸化メチル基、エステル基、アシルアミド基、カルボキシル基へと加水分解可能なアシル基やエーテル基
    R,R, R, R, R: 独立的に、酸素、水酸基、水酸化メチル基あるいは水酸化メチル基に加水分解可能なエステル基やアルキロキシメチル基
    R: メチル基、水酸基、加水分解可能なエステル基あるいはアルキロキシメチル基
    R: メチレン基あるいは酸素
  15. (I)に示す化学構造を持つ化合物の中で、Rがカルボキシル基、水酸基、カルボン酸塩、アルデヒド基、メチルヒドロキシル基、メチルエステル基、メチルエステル基、アシル化メチル基、ハロゲン化アシル基であり;Rがメチル基、メチルヒドロキシル基あるいはメチルエステル基であり;Rがメチレン基か酸素である請求項14に記載の方法。
  16. (I)に示す化学構造を持つ前述の化合物が化学構造(II)で表された化合物である請求項14に記載の方法。
  17. (I)に示す化学構造を持つ前述の化合物が化学構造(III)で表された化合物である請求項14に記載の方法。
  18. 前述のカルボン酸塩はアルカリ土類金属や塩基性金属、アンモニウムのカルボン酸塩を含む群から選択される請求項14に記載の方法。
  19. 前述の医薬組成物は錠剤、カプセル、顆粒、経口あるいは非経口注射液、座薬、軟膏、経口や非経口、植込での使用のための徐放性の剤型あるいはカテーテル処置を経て送達される好適な剤型を含む群から選択される請求項14にしたがった医薬組成物の製品中におけるカウレン化合物の使用の方法。
  20. いかなる割合でも化合物Aおよび/あるいは化合物Bの薬効量と化合物Bの配糖体混合とを混合した調剤を含む前述のカウレン化合物である請求項1あるいは8、14に記載の方法。
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