JPH1135465A - 虚血心筋保護剤 - Google Patents

虚血心筋保護剤

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JPH1135465A
JPH1135465A JP18975097A JP18975097A JPH1135465A JP H1135465 A JPH1135465 A JP H1135465A JP 18975097 A JP18975097 A JP 18975097A JP 18975097 A JP18975097 A JP 18975097A JP H1135465 A JPH1135465 A JP H1135465A
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JP
Japan
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compound
present
myocardiopathy
ischemic
medicine
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Application number
JP18975097A
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English (en)
Inventor
Masahiko Kojima
政彦 小島
Masao Fujita
征夫 藤田
Masashi Ochi
誠支 越智
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Nippon Shinyaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shinyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、虚血心筋保護剤及びその作用
に基づく狭心症治療剤として有用な物質を提供すること
にある。 【解決手段】本発明は、一般式〔I〕で表される化合物
を有効成分としてなる虚血心筋保護剤および狭心症治療
剤を提供するものである。 【化3】 式中Rは、炭素数1〜8のアルキル、又は置換されてい
てもよい炭素数9〜18のアラルケニルを表す。Aは、
炭素数6〜18のアシルを表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、虚血心筋保護剤お
よび狭心症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】狭心症や心筋梗塞のような虚血性心疾患
は、冠状動脈の狭窄による血行障害に起因する。冠状動
脈は心筋に血液を送る役割を担っており、この血行障害
が進行すると狭心症症状が現れ、さらに進行すると心筋
が壊死を起こし、心筋梗塞を発症する。心筋梗塞をおこ
した心筋は、回復することができず、収縮運動に障害を
きたす。従って、虚血時の心筋を保護することにより、
虚血による心筋のダメージを最小限に抑え、心筋を回復
可能な状態に保持しておくことは、生死を分ける要因の
一つとなる。
【0003】虚血性心疾患の薬剤には、冠血管拡張剤や
コレステロール低下剤が用いられている。しかし、これ
らの薬剤は、冠動脈の血液循環を改善することが目的で
あり、虚血時における心筋細胞そのものを保護するもの
ではない。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、モラ
ノリン誘導体が虚血心筋保護に優れた効果を有すること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、虚血
心筋保護剤及びその作用に基づく狭心症治療剤として有
用な物質を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意、心
筋壊死抑制作用を有する医薬を探究した結果、一般式
〔I〕で表される化合物が、後述するように優れた虚血
心筋保護作用を有することを見い出し本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、一般式〔I〕で表される化合
物を有効成分としてなる虚血心筋保護剤および狭心症治
療剤を提供するものである。
【化2】
【0006】式中Rは、炭素数1〜8のアルキル、又は
置換されていてもよい炭素数9〜18のアラルケニルを
表す。Aは、炭素数6〜18のアシルを表す。
【0007】
【発明の実施の形態】Rで表される炭素数1〜8のアル
キルとしては、直鎖状、又は分枝鎖状のものが挙げら
れ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オク
チル等を挙げることができる。特に、メチル、エチル、
プロピルが好ましい。
【0008】Rで表される置換されていてもよい炭素数
9〜18のアラルケニルとしては、複数の二重結合をア
ルケニル部分に有していてもよく、例えばシンナミル、
p−シアノシンナミル、p−カルボキシシンナミル、m
−エトキシシンナミル、m−メトキシエトキシエトキシ
シンナミル、m−メトキシエトキシシンナミル、m−エ
トキシ−γ−メチルシンナミル、m−メチル−γ−メチ
ルシンナミル、3,4−ジメトキシシンナミル、m−メ
トキシエトキシ−γ−メチルシンナミル、m−メトキシ
メトキシシンナミル、p−クロロシンナミル、p−クロ
ロ−γ−メチルシンナミル、p−クロロ−γ−フェニル
シンナミル、3−ビス(o−クロロフェニル)−2−プ
ロペニル、4−ビス(o−メトキシフェニル)−3−ブ
テニル等を挙げることができる。
【0009】Aで表される炭素数6〜18のアシルは、
不飽和結合を含んでいてもよく、例えば、ヘキサノイ
ル、オクタノイル、10−ウンデセノイル、ラウロイ
ル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル等を挙
げることができる。
【0010】以下に本発明に係る化合物を例示するが、
本発明に係る化合物はこれらに限定されるものではな
い。 N-フ゜ロヒ゜ル-6-O-ヘキサノイルモラノリン N-エチル-6-O-ヘフ゜タノイルモラノリン N-メチル-6-O-オクタノイルモラノリン N-エチル-6-O-(10-ウンテ゛セノイル)モラノリン N-フ゜ロヒ゜ル-6-O-テ゛カノイルモラノリン N-フ゛チル-6-O-ラウロイルモラノリン N-ヘキシル-6-O-ミリストイルモラノリン N-ヘフ゜チル-6-O-ハ゜ルミトイルモラノリン N-オクチル-6-O-ステアロイルモラノリン
【0011】N-(p-シアノシンナミル)-6-O-ヘキサノイルモラノリン N-(p-カルホ゛キシシンナミル)-6-O-ヘフ゜タノイルモラノリン N-シンナミル-6-O-オクタノイルモラノリン N-(m-エトキシシンナミル)-6-O-(10-ウンテ゛セノイル)モラノリン N-(m-メトキシエトキシシンナミル)-6-O-テ゛カノイルモラノリン N-(m-メチル- γ-メチルシンナミル)-6-O-ラウロイルモラノリン N-(p-クロロシンナミル)-6-O-ミリストイルモラノリン N-(p-クロロ- γ-メチルシンナミル)-6-O-ハ゜ルミトイルモラノリン N-(p-クロロ- γ-フェニルシンナミル)-6-O-ステアロイルモラノリン N-〔3-ヒ゛ス(o- クロロフェニル)-2-フ゜ロヘ゜ニル〕−6−O−オクタ
ノイルモラノリン
【0012】上記一般式〔1〕で表される化合物は、特
開平1-250350号公報及び、特開平8-217750号公報に記載
の方法もしくはそれらに準じて、製造することができ
る。本発明化合物の製造例として、6-O-アシル-N-メチルモラノリン
を以下に挙げる。
【0013】〔製造例1〕6-O-テ゛カノイル-N-メチルモラノリンの合
成 N-メチルモラノリン (1.2g) をヒ゜リシ゛ン(40ml)に溶解し、ヒ゛ニル テ゛カ
ノエート(10.0g) 、名糖産業製リハ゜ーセ゛QL(1.2g)を加えて密栓
をし、室温で5 日間攪拌した。反応液をメンフ゛レンフィルター(Ad
vantec, Toyo, 0.2 μm)を用いて濾過し、酵素を除去し
た。減圧下、ピリジンを減圧留去し、残渣をシリカケ゛ルカラムク
ロマトク゛ラフィー(クロロホルム/メタノール:17/1) で精製して、粗結晶
(2.3g)を得た。粗結晶をイソフ゜ロヒ゜ルエーテル/ヘキサン から再結晶
して標記化合物(1.7g)を白色結晶として得た。 融点 92 〜93℃ 元素分析 C17O33NO5として 理論値(%) C 61.69 H 10.04 N 4.28 実測値(%) C 61.22 H 9.90 N 4.18
【0014】〔製造例2〕6-O-ラウロイル-N-メチルモラノリンの合成 N-メチルモラノリン (1.2g) をヒ゜リシ゛ン(40ml)に溶解し、ヒ゛ニル ラウレ
ート(10.0g)、名糖産業製リハ゜ーセ゛QL(1.2g)を加えて密栓を
して、室温で5 日間攪拌した。反応液をメンフ゛レンフィルター(Ad
vantec, Toyo, 0.2 μm)を用いて濾過し、酵素を除去し
た。減圧下、濾液のヒ゜リシ゛ンを留去して得た残渣をシリカケ゛ル
カラムクロマトク゛ラフィー(クロロホルム/メタノール:17/1)で精製して、粗結
晶(1.8g)を得た。粗結晶をn-ヘキサンから再結晶して標記化
合物(1.6g)を白色結晶として得た。 融点 86 〜87℃ 元素分析 C19H37NO5として 理論値(%) C 63.48 H 10.37 N 3.90 実測値(%) C 63.10 H 10.1
7 N 3.98
【0015】〔製造例3〕6−O−ミリストイル−N−
メチルモラノリン の合成 N-メチルモラノリン (1.2g) をヒ゜リシ゛ン(40ml)に溶解し、ヒ゛ニル ミリス
テート(10.0g) 、名糖産業製リハ゜ーセ゛QL(1.0g)を加えて密栓
をして、室温で5 日間攪拌した。反応液をメンフ゛レン フィルター
(Advantec, Toyo, 0.2 μm)を用いて濾過し、酵素を除
去した。減圧下、濾液のヒ゜リシ゛ンを留去して得た残渣をシリ
カケ゛ルカラムクロマトク゛ラフィー(クロロホルム/メタノール:19/1) で精製して得
た結晶2.0gをアセトンから再結晶して、標記化合物(1.9g)を
白色結晶として得た。 融点 89 〜90℃ 元素分析 C21H441O5として 理論値(%) C 65.08 H 10.66 N 3.61 実測値(%) C 64.98 H 10.50 N 3.68
【0016】〔製造例4〕N-メチル-6-O-(10-ウンテ゛セノイル)モラノ
リン の合成 製造例3において、ヒ゛ニル ミリステートの代わりにヒ゛ニル ウンテ゛セネ
ート を用い、同様の処理を行うことにより標記化合物を
得た。 融点 73 〜74℃ 元素分析 C18H33NO5として 理論値(%) C 62.95 H 9.68 N 4.08 実測値(%) C 62.60 H 9.42 N 4.16
【0017】〔製造例5〕6-O-(ヘキサテ゛カノイル)-N-メチルモラノリン
の合成 製造例3において、ヒ゛ニル ミリステートの代わりにヒ゛ニル ヘキサテ゛カ
ノエート を用い、同様の処理を行うことにより標記化合物
を得た。 融点 90 〜92℃ 元素分析 C23H45NO5として 理論値(%) C 66.47 H 10.91 N 3.37 実測値(%) C 66.62 H 10.5
8 N 3.41
【0018】〔製造例6〕N−シンナミル−6−O−オ
クタノイルモラノリン の合成 製造例3において、N-メチルモラノリンの代わりにN-シンナミル
モラノリンを、ヒ゛ニル ミリステートの代わりにヒ゛ニル オクタネートを用
い、同様の処理を行うことにより標記化合物を得た。 融点 94 〜95℃ 元素分析 C23H35NO5として 理論値(%) C 68.12 H 8.70 N 3.45 実測値(%) C 67.99 H 8.50 N 3.36
【0019】〔製造例7〕6-O-ステアロイル-N-メチルモラノリン の合
成 製造例3において、ヒ゛ニル ミリステートの代わりにヒ゛ニル ステアレート
を用い、同様の処理を行うことにより標記化合物を得
た。 融点 92 〜93℃ 元素分析 C25H49NO5として 理論値(%) C 67.68 H 11.13 N 3.16 実測値(%) C 67.43 H 10.85 N 3.23
【0020】本発明に係る化合物は、遊離のアミンのま
ま治療に用いることができるが、公知の方法により薬学
的に許容される塩の形にして用いることができる。塩と
しては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸などの鉱酸の
塩、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、
フマル酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸、メタンスルホン酸などの有機酸の塩などを挙げるこ
とができる。
【0021】例えば、本発明に係る化合物の塩酸塩は、
塩酸のアルコール溶液に溶解することにより得ることが
できる。本発明に係る化合物又はその塩の溶媒和物(水
和物を含む)も本発明に含まれる。溶媒和物は通常、対
応する溶媒又は対応する溶媒を含む適当な混合溶媒から
被溶媒和物を再結晶することにより得ることができる。
【0022】例えば、本発明に係る化合物の水和物は、
含水アルコールから再結晶することにより得ることがで
きる。本発明に係る化合物は、結晶多形を取る場合があ
る。その結晶多形も本発明に含まれる。また、本発明に
係る化合物は極めて毒性が低いことが判っている。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明医薬を投与する場合、単独
投与でも良いし、又は同時に投与できる薬剤と併用する
か若しくは混合することにより適用することができる。
本発明化合物はそのまま又は医薬的に許容される無毒性
かつ不活性の担体中に、例えば0.01%〜99.5%、好まし
くは 0.1%〜90%含有する医薬組成物として、人を含む
動物に投与することができる。
【0024】担体としては、固形、半固形、又は液状の
希釈剤、充填剤、及びその他の処方用の助剤一種以上が
用いられる。医薬組成物は、投与単位形態で投与するこ
とが望ましい。本発明医薬組成物は、経口投与、組織内
投与、局所投与(経皮投与等)又は経直腸的に投与する
ことができる。これらの投与方法に適した剤型で投与さ
れるのはもちろんである。例えば、経口投与及び組織内
投与(特に静脈内投与)が好ましい。
【0025】虚血心筋保護剤または狭心症治療剤として
の用量は、年齢、体重、等の患者の状態、投与経路、病
気の性質と程度等を考慮した上で調整することが望まし
いが、通常は、成人に対して本発明の有効成分量とし
て、1日あたり、0.1g〜10g /日/ヒトの範囲が、好ま
しくは、1g〜5g/日/ヒトの範囲が一般的である。場合
によっては、これ以下でも足りるし、また逆にこれ以上
の用量を必要とすることもある。また1日2〜3回に分
割して投与することが望ましい。
【0026】経口投与は固形又は液状の用量単位、例え
ば、末剤、散剤、細粒剤、錠剤、糖衣剤、フィルム剤、
カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、ドロ
ップ剤、舌下錠その他の剤型によって行うことができ
る。末剤は本発明に係る化合物を適当な細かさにするこ
とにより製造される。散剤は本発明に係る化合物を適当
な細かさと成し、ついで同様に細かくした医薬用担体、
例えば澱粉、マンニトールのような可食性炭水化物その
他と混合することにより製造される。必要に応じ風味
剤、保存剤、分散剤、着色剤、香料その他のものを混じ
てもよい。
【0027】カプセル剤は、まず上述のようにして粉末
状となった末剤や散剤あるいは錠剤の項で述べるように
顆粒化したものを、例えばゼラチンカプセルのようなカ
プセル外皮の中へ充填することにより製造される。滑沢
剤や流動化剤、例えばコロイド状のシリカ、タルク、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固
形のポリエチレングリコールのようなものを粉末状態の
ものに混合し、然るのちに充填操作を行うこともでき
る。崩壊剤や可溶化剤、例えばカルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換
度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロース
ナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、炭
酸カルシウム、炭酸ナトリウム、を添加すれば、カプセ
ル剤が摂取されたときの医薬の有効性を改善することが
できる。
【0028】また、本発明に係る化合物の微粉末を植物
油、ポリエチレングリコール、グリセリン、界面活性剤
中に懸濁分散し、これをゼラチンシートで包んで軟カプ
セル剤とすることができる。錠剤は賦形剤を加えて粉末
混合物を作り、顆粒化もしくはスラグ化し、ついで崩壊
剤又は滑沢剤を加えたのち又は粉末混合物を直接打錠す
ることにより製造される。
【0029】粉末混合物は、適当に粉末化された物質を
上述の希釈剤やベースと混合し、必要に応じ結合剤(例
えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロ
キシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコールなど)、溶解遅延化剤
(例えば、パラフィン、ワックス、硬化ヒマシ油な
ど)、再吸収剤(例えば、四級塩)や吸着剤(例えばベ
ントナイト、カオリン、リン酸ジカルシウムなど)をも
併用してもよい。粉末混合物は、まず結合剤、例えばシ
ロップ、澱粉糊、アラビアゴム、セルロース溶液又は高
分子物質溶液で湿らせ、攪拌混合し、これを乾燥、粉砕
して顆粒とすることができる。このように粉末を顆粒化
するかわりに、まず打錠機にかけたのち、得られる不完
全な形態のスラグを破砕して顆粒にすることも可能であ
る。
【0030】このようにして作られる顆粒は、滑沢剤と
してステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、ミネラル
オイルその他を添加することにより、互いに付着するこ
とを防ぐことができる。このように滑沢化された混合物
をついで打錠する。
【0031】こうして製造した素錠にフィルムコーティ
ングや糖衣を施すことができる。また本発明に係る化合
物は、上述のように顆粒化やスラグ化の工程を経ること
なく、流動性の不活性担体と混合したのちに直接打錠し
てもよい。シェラックの密閉被膜からなる透明又は半透
明の保護被覆、又はその代わりに若しくはその上に、糖
や高分子材料の被覆、及び、ワックスよりなる磨上被覆
の如きも用いうる。
【0032】他の経口投与剤型、例えば溶液、シロッ
プ、エリキシルなどもまたその一定量が本発明に係る化
合物の一定量を含有するように用量単位形態にすること
ができる。シロップは、本発明に係る化合物を適当な甘
味剤を含む水溶液に溶解して製造され、またエリキシル
は非毒性のアルコール性担体を用いることにより製造さ
れる。懸濁剤は、本発明に係る化合物を非毒性担体中に
分散させることにより処方される。可溶化剤や乳化剤
(例えば、エトキシ化されたイソステアリルアルコール
類、ポリオキシエチレンソルビトールエステル類)、保
存剤、風味賦与剤(例えば、ペパミント油、サッカリ
ン)その他もまた必要に応じ添加することができる。
【0033】必要とあらば、経口投与のための用量単位
処方はマイクロカプセル化してもよい。該処方はまた被
覆をしたり、高分子・ワックス等中にうめこんだりする
ことにより作用時間の延長や持続放出をもたらすことも
できる。
【0034】組織内投与は、皮下・筋肉又は静脈内注射
用としたところの液状用量単位形態、例えば溶液や懸濁
剤の形態を用いることによって行うことができる。これ
らのものは、本発明に係る化合物の一定量を、注射の目
的に適合する非毒性の液状担体、例えば水性や油性の媒
体に懸濁し又は溶解し、ついで該懸濁液又は溶液を滅菌
することにより製造される。注射液を等張にするために
非毒性の塩や塩溶液を添加してもよい。直腸投与は、本
発明に係る化合物を低融点の水に可溶又は不溶の固体に
より製造し、坐剤を用いることによって行うことができ
る。
【0035】
【実施例】以下に製剤の処方例を挙げてさらに具体的に
説明する。
【0036】製剤例1 一錠(150mg) あたり、本発明に係る化合物100mg 、乳糖
25mg、トウモロコシデンプン10mg、低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロース7.5mg 、ヒドロシキプロピルセルロ
ース2.5mg 、ステアリン酸マグネシウム5mg を含有する
よう、常法に従って錠剤を調製した。
【0037】製剤例2 注射用蒸留水を用いて、一管(5ml)あたり、本発明に係
る化合物100mg 、塩化ナトリウム45mgを含有するよう、
常法に従って注射剤を調製した。
【0038】試験例 本発明に係る化合物の虚血心筋保
護作用 1.実験方法 〔実験モデルの作製〕7 週齢の雄性 SD 系ラットをペン
トバルビタール 60 mg/kg i.p. にて麻酔し背位に固定
した。気管カニューレを気管切開後挿管し、人工呼吸器
に接続した。動脈血の PO2, PCO2ならびに pH が生理的
範囲になるように、酸素ガス付加と換気量調節を行なっ
た。心電図を標準肢II誘導によりレコーダー上に記録し
た。左第四肋間にて開胸し心嚢膜を切開して心臓を露出
し、左心耳直下にて左冠状動脈に 7-0 の絹糸をかけ、
その両端をシリコンチューブに通して冠状動脈閉塞のた
めのオクルーダーを作製した。絹糸を引っ張りながらシ
リコンチューブを心臓に圧迫して冠状動脈を閉塞し、圧
迫解除により再潅流を行なった。冠状動脈閉塞および再
潅流は心電図上の ST 変化と冠状動脈閉塞部位より末梢
の心臓表面の色調変化により確認した。実験経過中に心
室細動を生じた場合には、心マッサージを施行した。再
潅流後は心筋にかけた絹糸を残して閉胸した。気管カニ
ューレから人工呼吸器をはずしてラットの自発呼吸を確
認した後に抜管し気管を縫合した。
【0039】〔薬物投与〕薬物として、本発明に係る化
合物であるN-メチル-6-O-オクタノイルモラノリン を用いた。薬物を生
理的食塩液に溶解し、左冠状動脈閉塞 30 分前に大腿静
脈内に投与した。対照として生理的食塩液を投与した。
【0040】〔危険領域と梗塞領域の計測〕虚血 30 分
再潅流 6時間後にペントバルビタール 60 mg/kg i.p.に
てラットを麻酔し大腿静脈よりヘパリン 50 単位を投与
した。心臓を摘出し、直ちにランゲンドルフ装置に懸垂
してヘパリン加生理的食塩液 (100 IU/ml)で潅流し、血
液を洗い出した。その後、残しておいた絹糸を結んで冠
状動脈を結紮した後に 3%モナストラルブルー液に回路
を切換えて、0.25 ml 潅流した。ランゲンドルフ装置か
ら心臓を外して心房や右心室を除去して左心室のみにし
た後に、心尖部から心基部へ約 1 mm 幅の輪切り切片に
分けた。5 枚目までの切片を室温の1 % 2,3,5- トリフ
ェニルテトラゾリウムクロライド溶液(0.2M Tris-HCl
(pH 8.0))に 4分間浸して染色(TTC染色) した後に生理
的食塩液で洗い 10 %ホルマリン液で固定した。ホルマ
リン固定した心筋切片の心基部側断面を顕微鏡下で写真
撮影し、約5倍に拡大した。各切片の左心室と危険領域
(モナストラルブルーで染まらなかった部分)と梗塞領
域(TTC 染色で染まらなかった部分)を OHPフィルムに
敷き写した後、デジタイザーおよびコンピュータを用い
て各々の面積を計測した。梗塞領域面積の総和 (IS) の
危険領域面積の総和 (AAR)に対する割合を算出した。
【0041】2.実験結果
【表1】 表1について、本発明に係る化合物を単回投与した群
と、対照として生理的食塩液のみを投与した群(Saline)
の、危険領域に対する梗塞領域の割合を比較すると、本
発明に係る化合物の薬効が認められた。すなわち対照群
に比べてどれだけ梗塞領域を低下させたか(阻害(%) )
を見ると、本発明に係る化合物は 70.6 %であり顕著に
梗塞領域の割合を低下させることが判明した。このこと
から、本発明に係る化合物が優れた虚血心筋保護作用を
有していることが明らかである。
【0042】
【発明の効果】本発明に係る化合物は、遊離状、その塩
又はその溶媒和物の形で人や動物に投与した場合、顕著
な虚血心筋保護作用を示し、しかも著しく低い毒性を有
するので、虚血心筋保護剤およびその作用に基づく狭心
症治療剤として好適である。
【0043】さらに、本発明に係る化合物は、虚血によ
る細胞壊死を抑制できることから、PTCA施行時にお
いて、バルーンの拡張時間をより長く確保できるので、
狭窄血管の拡張がより十分になされ、再狭窄の発症率を
低下させることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕 【化1】 (式中Rは、炭素数1〜8のアルキル又は置換されてい
    てもよい炭素数9〜18のアラルケニルを表す。Aは、
    炭素数6〜18のアシルを表す。)で表される化合物を
    有効成分として含有する虚血心筋保護剤。
  2. 【請求項2】請求項1で表される化合物を有効成分とし
    て含有する狭心症治療剤。
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