JP2007536206A - 尿中トリプシンインヒビターを検出するためのモノクローナル抗体 - Google Patents

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Abstract

一定のモノクローナル抗体は、ヒトの疾患に特徴的である尿中トリプシンインヒビター(UTI)を検出することができる。特に、このUTIは、本明細書に定義されたとおりのAMBK、ビクニン、ウリスタチン、ウリスタチン1、ウリスタチン2を包含して、それらの断片および集合体も包含する。

Description

発明の背景
本発明は、一般的には、ヒトの尿中の尿中トリプシンインヒビター(UTI)の検出に関するものである。UTIは、セリンプロテアーゼの一種またはそれ以上を阻害する。トリプシンは、セリンプロテアーゼのファミリー、すなわちトリプシン、エラスターゼ、カリクレイン、プラスミン、トロンビン、キモトリプシンおよびカテプシンをとりわけ包含する、酵素の一員である。インヒビターのこの群は、もっぱら、感染または炎症の際にエラスターゼが放出されるために、血中の白血球の数が増加した後に形成される。UTIは、健康な個体が産生する尿中には見出されないのが普通である。その量は、その身体が細菌感染および炎症性障害、またはとりわけ悪性腫瘍、腎疾患、心筋梗塞、肺気腫、外科的外傷および腎結石のような、その他の悪疾を有する者で増加する。
感染および/または炎症が生じたとき、身体の応答は、好中球が放出するエラスターゼのようなセリンプロテアーゼの産生を伴う。UTIの非インヒビター形態(プロインヒビターと呼ばれる)、たとえばインターロイキンαインヒビター(I−α−I)およびプレインターロイキンαインヒビター(P−α−I)は、健康および疾患を有する者の血漿中を自由に循環する。セリンプロテアーゼは、プロインヒビターのタンパク質分解を引き起こし、低分子量のUTIを活性機能へと解放する。放出された尿中トリプシンインヒビターは、セリンプロテアーゼに作用し、その後、尿中に排出される。1909年に発見された尿中トリプシンインヒビターは、クーニッツ(Kunitz)型プロテアーゼインヒビターであり、何年以上もHI−30、ミンギン、ウリナスタチン(Urinastatin)、セルピンおよびウリナスタチン(Ulinastatin)と名付けられてきたが、科学界では、30Kda以下の分子量の有力な断片にちなんでビクニンなる名称に落ち着いた。ビクニンインヒビター断片のアミノ酸配列は、公知である。それは、二つのクーニッツ阻害結合ドメイン、および巨大な可変性コンドロイチン硫酸鎖を含む。International Journal of Biochemistry and Cell Biology 32 (2000) 125-137を参照されたい。
尿中トリプシンインヒビターの量は、いくつかの方法、たとえば酵素阻害、抗体染色、ラテックス凝集および放射免疫アッセイによって測定されているが、サンプル中のUTIのすべてが測定される。インヒビターの一定の形態は、慢性的疾患の結果として生じうるものであり、より軽度の炎症を有する個体に存在するインヒビターと容易に区別されることは示されていない。その結果、UTIの診断における使用は、現在まで、感染および/または炎症の非特異的マーカーとしてのみであるにすぎない。非特異的な性質は、UTIの決定としての臨床的効用を低減し、介護士が感染の種類または部位を知る助けにならず、患者が治療を必要とする状態を一般的な軽疾から区別するのを困難にする。本発明は、そのような区別をつけることを対象とする。
尿サンプルのUTI含量を測定する一つの方法は、既知量のトリプシンのサンプルを加え、次いで、トリプシンが阻害された程度を測定することを含む。この手法の例は、3点の米国特許出願公開公報2001/0055816 A1、2002/0004219 A1および2003/0125577 A1に見出すことができる。これらの出願公開公報では、検出可能な応答を生じることができる、基質上の既知量のトリプシンを、尿サンプルに加える。基質をトリプシンによって切断して、検出可能な副生物を得る。トリプシンインヒビターが存在するならば、利用できる基質のいくらかが切断されないことから、応答は減る。したがって、存在するトリプシンの量を測定し、加えられた量に関連させて関数化することによって、UTI含量を決定することができる。この方法は、トリプシン活性のいかなるインヒビターをも検出し、尿中に排出された、与えられたいかなるトリプシンインヒビターに対しても非特異的である。2001年の特許出願公開公報は、サンプル中のカルシウムの干渉を阻害するのにポリカルボン酸キレート化剤を用いることを開示している。2002年および2003年に特許出願公開公報は、まさに記載された方法においてトリプシンに対する基質として役立つことが示された、アルギニンの特定の芳香族エステルに関する。
尿サンプル中のUTIの量を直接決定するもう一つの方法は、尿中トリプシンインヒビターに結合する抗体の開発を含み、抗体を含む免疫アッセイ試薬の添加によって、応答シグナルを発生させる。本発明の抗体を適用するのに用いることができるような、様々な免疫アッセイ法、たとえば、微粒子捕捉免疫アッセイ(MIC)、ラテックス凝集阻害(LAI)、固相クロマトグラフィー(IC)、放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、酵素結合アッセイ(EIA)、蛍光結合アッセイ(FIA)、発光結合アッセイ(LIA)、希土類金属標識アッセイ、化学発光アッセイ(CLA)、ならびに着色ラテックス粒子およびコロイド状金のような光学的色彩標識アッセイ(OA)が存在する。電流測定、抵抗測定および電圧測定による検出法に基づく、電気化学的シグナル変換器(EST)を用いることも、実施可能である。
原則として、免疫アッセイは、分離工程を必要とする異種構成のものか、または分離なしの同種構成のもののいずれか、および競合的または非競合的性格のいずれかのものであることができる。異種アッセイのためには、固相を用いて、結合抗原を遊離抗原から分離することができ、またプラスチックのウエル、管、毛細管、膜、ラテックス粒子および磁性粒子を含むことができる。抗体は、検出可能な応答を直接または間接的に発生する試薬、その他の抗体もしくはその他の試薬に、様々な方式で結合またはコンジュゲート(標識化)させることもできる。免疫アッセイは、検出しようとする材料の検出上の必要に応じてサンドイッチアッセイ、二重標識アッセイ、および多重サンドイッチアッセイのような、様々な様式で、多数の、かつ異なる抗体を用いることもできる。
一般に、免疫アッセイ試薬は、変化を生じて、それがシグナルを発生させ、発生したシグナルの強さは、標本またはサンプル中で測定される分析対象の濃度に比例する。免疫アッセイ試薬は、指示染料、金属、酵素、重合体、抗体、界面活性剤、粒子、電気化学反応性成分、および乾燥させたか、または担体に充填したその他様々な化学物質を含有する。頻用される担体は、様々なサンプル量、摂取および輸送特性を有する、管、カップ、毛細管、小片、バイアル、紙、微量流体装置、カセット、膜または重合体である。
腎疾患を有する患者の尿から精製した尿中トリプシンインヒビターを接種された、ウサギから生成されたポリクローナル抗体は、健康な個体、および疾患を有する個体の双方からの、尿サンプル中の総UTIの量を測定するのに役立つ。しかし、ポリクローナル抗体は、UTIの様々な形態を相互に区別することができず、特にインターロイキンαインヒビター(I−α−I)およびプレインターロイキンαインヒビター(P−α−I)なるプロインヒビターから区別することができない。これらのタンパク質は、すべて、健康な患者に容易に存在することから、ポリクローナル抗体の交差反応性は、血液試料を用いて、罹病した患者を健康な患者から区別することの役に立たなくなる。尿試料の場合、P−α−IおよびI−α−Iの高い分子量は、それらが腎臓を通過し、そうしてポリクローナル抗体が、その低下した特異性にもかかわらず、より効果的であるという可能性を低くする。しかしながら、ポリクローナル抗体は、非特異的である性質のため、従来から論じられてきた一般的な酵素阻害法より効果的であると判明してはいない。ポリクローナル抗体は、尿中のすべての形態のUTIに交差反応性であり、いかなる一形態にも特異的でなく、阻害性および非阻害性UTIの双方を測定すると思われる。
Journal of Immunoassay 1991; 12:347-69で、Trefzらは、高分子量(240kDa)のインター−α−トリプシンインヒビター(不活性プロインヒビター)で免疫されたマウスから生成されたモノクローナル抗体の、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)における使用を開示している。結果は、この方法が健康個体と疾患を有する個体とを区別するのに効果的であることを示したが、それは、罹病した個体の尿中のUTIレベルが、罹病していない個体のそれより高いからであった。著者らは、約240kDaの分子量を有するインター−α−トリプシンインヒビター(ITI)は、ITIの崩壊の結果生じたと理解される、より低分子量のいくつかのペプチドを含むことに触れた。彼らのモノクローナル抗体、すなわちIATI5は、主要な3帯域、すなわち240kDa、120kDaおよび50kDaの帯域を認識することが見出された。
2000年7月14日発行のJournal of Biological Chemistry、第275巻第28号の21,185〜21,191ページに報告された論文で、小林浩らは、SDS−PAGEおよびウエスタンブロット分析で約40〜80kDaの範囲内の分子量を有することが示されたUTIの精製標品に対して、誘発したポリクローナル抗体とモノクローナル抗体とを比較した。誘導体は、約7kDa、30kDaおよび60kDaの分子量を有することが見出された。
Bayerが調製したUTIに対するポリクローナル抗体の交差反応性の研究の際、本発明者らは、急性期の感染の際に、阻害性ビクニンの更なる崩壊が患者に発生して、両クーニッツインヒビタードメインを含み、コンドロイチン硫酸鎖を欠く、その他の阻害性UTIの形成へと導くことを発見して驚いた。このUTIは、ウリスタチン(Uristatin)と呼ばれて、17kDa以下の分子量を有した。尿中トリプシンインヒビターについてのディップスティックによる試験を報告する論文[Clinical Chemistry Acta (2004) 341:73-81]で、Pugiaらは、ディップスティックがUTIに関する二形態;すなわちビクニンおよびウリスタチンの存在を記録したことを示した。彼らは、ビクニンの代表的な分子量(30.9kDa)、およびウリスタチンの枢要な三形態を特定して、ウリスタチン1(5.9kDa)、ウリスタチン2(8.5kDa)、ならびにウリスタチンと呼ばれるウリスタチン1およびウリスタチン2の組合せ(17.4kDa)を名付けた。ウリスタチンの形態は、すべて、コンドロイチン硫酸鎖を欠き、電気泳動によって分析したとき、患者の試料中に非常に多量であった。ウリスタチンの形態は、すべて、トリプシンファミリーのプロテアーゼに対して阻害的であり、そのため、結合するとプロテアーゼの活性部位を阻害する、二つのクーニッツ阻害性ドメインの少なくとも一つを含む。ウリスタチン1は、結合ドメイン2を含み、ウリスタチン2は、結合ドメイン1を含む。
更に、採集に用いられた患者の条件を考えると、UTIの代表的な分子量は、著しく変動し得ることにも触れられた。ビクニンおよびウリスタチンの更なる変動は、ペプチド構造の断片化、ペプチド配列の変動、ならびにビクニンおよびウリスタチンに結合した炭水化物配列の変動による。断片の結果として生じる分子量の変動は、ペプチド配列の切断によって生じる。炎症の際は、切断を生じることができるプロテアーゼにインヒビターが接触するため、高度の断片化が予測される。炭水化物部分の伸張および断片化も、炎症の際に、糖タンパク質が数多くの糖転移酵素およびグリコシダーゼによって代謝されて、ビクニンに結合したコンドロイチン硫酸鎖、およびウリスタチンに結合した糖鎖に非常に多くのあり得る変異型を生じるため、予測される。更なる変動は、特に炭水化物部分の会合および代謝を通じて、二量体またはより高分子のオリゴマーへの断片の集合によっても生じる。そのため、機能性UTIタンパク質は、代表的な分子量の前後の可能性のあるタンパク質の範囲を示す。
このスーパーファミリーの更なるタンパク質は、阻害性およびプロインヒビター形態の生合成を開始させる、前駆体タンパク質(AMBK)である。このタンパク質は、遺伝子が生合成を開始するためのアップレギュレーションを発信したときに、患者の血漿中に存在する。AMBKは、ビクニンを含むが、阻害性ドメインを不活性化し、α1ミクログロブリンに結合した重鎖を欠く。インヒビターのこの形態の検出も、炎症および感染に対する身体の応答を決定するのに重要である。
健康な個体には見出されない特徴的な特定のUTIを決定することによって、疾患の存在を検出することができる、特定の尿中トリプシンインヒビターを測定する方法に対する需要が存続している。本発明者らは、以下に詳述するとおり、特定のモノクローナル抗体を用いることによって、そのような決定を可能にする方法を開発した。
発明の要約
本発明は、ヒトの疾患に特徴的な阻害性の尿中トリプシンインヒビター(UTI)にそれ自身を結合させることができ、異種アッセイおよび同種アッセイの双方において、MIC、LAI、IC、ELISA、EIA、RIA、LIA、CLA、OAおよびEST(先に定義された頭字語)をはじめとする、標準的な分析手法によって検出することができる、一定のモノクローナル抗体を包含する。これらのモノクローナル抗体は、ビクニン、ウリスタチン、ウリスタチン1、ウリスタチン2およびAMBKのような尿中トリプシンインヒビターの、ヒト血清アルブミン(HSA)、タム−ホースフォールタンパク質(THP)、α1ミクログロブリン(α−1M)、α1アンチキモトリプシン(α−1ACT)、ならびにI−α−IおよびP−α−Iのような非阻害性尿中トリプシンインヒビター(プロインヒビター形態)のような、その他の一般的なタンパク質の存在下での直接または間接的な測定を可能とする能力を特徴とする。
UTIの直接測定は、この特定のUTIのみを認識する抗体をいずれにせよ用いることによって達成し得る。UTIの間接測定は、問題のもの以外のUTIを認識する抗体と、および有力なUTIの全部または大部分を認識する抗体との差し引きによって実施し得る。以下の実施例では、ハイブリドーマATCC421−3G5.4C5.3B6およびハイブリドーマATCC421−5G8.1A8.5C1が分泌する抗体が、尿中および血中双方のUTIの量を決定するのに適切であることを示し、一方、ハイブリドーマATCC420−5D11.5G8.1E4は、交差反応性の補正、およびUTIの量の決定に適切である。その他の抗体は、類似する特徴性を有することが示されることになる。
そのようなモノクローナル抗体は、精製されたUTIを免疫原としてマウスに導入することによって生成し得る。ただ一種の抗体のみを産生する単一のハイブリドーマクローンは、KohlerおよびMilsteinの手順を実施することによって創出されている。モノクローナル抗体の特徴的な性質は、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)手法、ELISAおよびその他の免疫アッセイ法を用いて研究されている。
もう一つの態様では、本発明は、問題の尿中トリプシンインヒビターの形態、すなわち疾患を有する者を特徴付けるそれを検出かつ測定するために、新規なモノクローナル抗体を用いる方法を包含する。モノクローナル抗体は、阻害性UTI、たとえばビクニンおよびウリスタチン、または前駆体であるAMBKに特異的な場合に、直接測定することができる。モノクローナル抗体が二種類以上のウリスタチンに結合できるときは、二種類以上の抗体を用いることによって、問題の特定のUTIの含量は、差によって決定し得る。先に参照した三種類のモノクローナル抗体は、ウリスタチンならびにウリスタチン1および2(Mab421−5G8)、タム−ホースフォールタンパク質(THP)(Mab420−5D11)、ならびに全UTIおよびTHPに優先的に結合するが、プロインヒビター(421−3G5)には結合しないことが見出されている。
分析は、血液、尿、水、唾液、脊髄液、間質液、食物および血漿を非限定的に包含する、多くの生物学的流体のサンプルに対して実施し得る。血液および尿が特に問題となる。
好ましい実施態様の記載
定義
文献は、酵素インヒビターに対して様々な名称を用いていることから、下記で、本明細書に用いられる用語について定義を与える。以下に考察されるSELDI分析では、多くの変異型が検出されたことが見出されている。その結果、定義は、これらのインヒビターの主たる分子量ばかりでなく、ある範囲の関連する分子量のタンパク質も包含すべきと考えられる。
尿中トリプシンインヒビター(UTI)は、セリンプロテアーゼを阻害するとして特定される、阻害が可能である断片ならびに変異型および集合体も含めて、ビクニン、HI−30、AMBK、ウリスタチン、ウリスタチン1およびウリスタチン2を非限定的に包含する、すべてのインヒビターを意味する。
HI−30は、ビクニンおよび集合体と同一であってもなくてもよい、高分子量尿中トリプシンインヒビターの断片を意味する。その単量体分子量は、30kDaであって、断片および変異型については、21〜46kDaの範囲を有すると報告されている。
AMBKは、三種類の結合したタンパク質、すなわちインヒビター部分(HI−30)およびα1ミクログロブリン、ならびに25kDaの未確認タンパク質を有し、42〜70kDaの範囲内で、コンドロイチン硫酸を伴って約66kDa、コンドロイチン硫酸なしでは42kDaの分子量を有する、プロインヒビターのタンパク質前駆体を意味する。それは、阻害性セリンプロテアーゼの生合成における機能に関係なく、本発明が目的とするUTIの定義内にあると見なされる。
タム−ホースフォール糖タンパク質は、尿中に一般的に見出されるウロムコイドとしても公知であり、80〜91kDaの範囲を伴う、約85kDaの代表的分子量を有し、その様々な断片および変異型を包含する、糖タンパク質を意味する。
ビクニンは、短いペプチド鎖によって結合され、NおよびC末端ポリペプチド鎖によって伸張されることができる、クーニッツ型の一つまたは二つのプロテイナーゼインヒビタードメインからなるタンパク質を意味する。このタンパク質は、硫酸化されたコンドロイチン鎖およびオリゴ糖に結合されており、約33kDa(21〜46kDaの範囲)の分子量を有する。構造は、Clinical Biochemistry 32 (2002) 105-110でPugiaら、および先に論じた International Journal of Biochemistry & Cell BiologyのFriesおよびBlomによる2000年の論文によって示されている。ビクニンの算出された分子量は、コンドロイチン硫酸鎖(13.5kDa)および糖側鎖(1.9kDa)の双方の存在下で30.9kDaであって、これらの値は、HI−30について以前に刊行された配列に基づく。
ウリスタチンは、ビクニンからコンドロイチン硫酸鎖を切断した結果生じた、断片および変異型については11〜22kDaの範囲を伴う、約17kDaの単量体分子量を有する。ウリスタチンの算出された分子量は、17.4kDaであって、コンドロイチン硫酸鎖(13.5kDa)を欠き、これらの値は、HI−30について以前に刊行された配列に基づく。
ウリスタチン1および2は、クーニッツ型インヒビタードメイン1または2のいずれかを含み、それぞれ、断片および変異型について2〜9kDaの範囲を伴う約6kDaの単量体分子量、ならびに断片および変異型について2〜12kDaの範囲を伴う約8.5kDaの単量体分子量を有する、ウリスタチンのタンパク質断片を意味する。ウリスタチン1および2の算出された分子量は、それぞれ、5.9kDaおよび8.5kDaであって、これらの値は、HI−30について以前に刊行された配列に基づく。
プロインヒビターは、尿中トリプシンインヒビターのタンパク質前駆体の非阻害性形態を意味して、I−α−IおよびP−α−Iのようなタンパク質を非限定的に包含する。これらの形態は、その測定された阻害活性がビクニンおよびウリスタチン形態より数倍も低いため、不活性UTIと見なされる。これらは、健康な患者および感染した患者に存在する。
I−α−Iは、二つの重鎖、代表的にはH1およびH2にコンドロイチン硫酸鎖によって結合されたビクニンを指すと理解される、インターαインヒビターを意味して、180〜240kDaの代表的な分子量を有する。P−α−Iは、一つの重鎖、代表的にはH3に結合されたビクニンを指すと理解される、プレαインヒビターを意味して、125kDaの代表的な分子量を有する。インターαインヒビターおよびプレαインヒビターの群は、H1、H2、H3、H4等と称する4本またはそれ以上の重(H)鎖の相異なるセットとは別個の、重鎖を有するビクニンの集合である。これらのH鎖は、進化の上で関連する1セットのH遺伝子によってコード化され、ビクニンは、α1ミクログロブリン/ビクニン前駆体遺伝子(AMBK)によってコード化されている。
モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、同一であり、抗原の唯一のエピトープに自身を結合させることができるという点で、ポリクローナル抗体とは区別される。対照的に、ポリクローナル抗体は、同一ではなく、そのため、モノクローナル抗体が役に立つような精密な分析を与えることができない。モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein[Nature 256:495 (1975)]の方法によって生成され得る。問題の免疫原(抗原)を、マウスに注入し、ある期間の後、この免疫原に応答して生成されたB細胞リンパ球を採集する。B細胞を、マウスから得られた骨髄腫細胞と組み合わせ、B細胞が骨髄腫細胞と融合するのを可能にする許す培地に導入して、ハイブリドーマを形成する。次いで、これらの融合細胞(ハイブリドーマ)を、微量滴定プレートの別個のウエルに入れ、モノクローナル抗体を産生するよう増殖させる。モノクローナル抗体を試験して、それらのいずれが、問題の抗原を検出するのに適切であるかを決定する。選別した後、モノクローナル抗体は、細胞培養でか、ハイブリドーマをマウスに注入することによって増殖させることができる。
好ましいモノクローナル抗体の生成および分離
マウスに、分析上の標的として精製したUTIを注入する。抗体産生細胞を、動物から取り出す。抗体産生細胞を、培養中に持続的に増殖して、ハイブリドーマを形成する細胞と融合させる。単一のハイブリドーマは、唯一の抗体を産生する。単一のハイブリドーマは、分裂して、すべてが同じ「モノクローナルな」抗体を生成する、「クローン」の大集団を形成する。生ハイブリドーマを、液体窒素中で無期限に凍結させる。
モノクローナル抗体を調製するために本発明者らが用いた、特定の手順は、実施例中に詳しく記載されている。当業者には、これらの手順は、変更または増補することができ、本発明の範囲を限定すると見なされてはならないことが理解されると思われる。たとえば、ハイブリドーマを生成させる感作および融合のプロトコルの双方のその他の手法は、モノクローナル抗体の分野の作業者に周知である。
本発明は、一種類またはそれ以上のUTIに結合することができ、かつ完全な分子の、その後にUTIの分解が生じたならば、特定の断片上に出現する、特定のエピトープに優先的に結合することができるその能力を根拠に選別された、モノクローナル抗体を含む。
生物学的流体、たとえば尿中のトリプシンインヒビターの検出
選択的なモノクローナル抗体を特定したならば、それらを、慣用の手順によって増殖させ、ELISA試験、または感染および/または炎症に特徴的であるUTIの存在を検出するための、先に記載された、その他のいかなる免疫アッセイの手法にも用いてよい。
ELISAは、抗原を検出するための非常に敏感な方法を提供する。抗原ダウンELISAでは、微量滴定プレートに、特定の抗原を含有すると思われるサンプルを与える。プレートへ抗原を吸着させ、結合しなかったすべての材料を洗い落とした後、モノクローナル抗体を加え、抗原に結合できるようにインキュベートし、過剰なものを洗い落とす。加えたモノクローナル抗体は、多数の手法によって読み取られるシグナルの発生を許すための、リポーター分子で既に標識化されていてよい。あるいは、抗体に結合できるリガンド(たとえば、リポーター分子に結合した抗マウス抗体)を加える。過剰量の酵素結合リガンドを洗い落とした後、必要ならば、色素原またはその他の基質を加え、発色した色を、存在する抗原の量の指標として用いる。
本発明の抗体を適用するのに用いることができるような、様々な免疫アッセイ法、たとえば、微粒子捕捉免疫アッセイ(MIC)、ラテックス凝集阻害(LAI)、固相クロマトグラフィー(IC)、放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、酵素結合アッセイ(EIA)、蛍光結合アッセイ(FIA)、発光結合アッセイ(LIA)、希土類金属標識アッセイ、化学発光アッセイ(CLA)、ならびに着色ラテックス粒子およびコロイド状金のような光学的色彩標識アッセイ(OA)が存在する。電流測定、抵抗測定および電圧測定による検出法に基づく、電気化学的シグナル変換器(EST)を用いることも、実施可能である。
モノクローナル抗体の調製
SciPac Ltd., Sittingbourne, Kent(英国)によって腎臓患者から得られた、製品コードP250−1なる精製UTI100μg/マウスで、BALB/c系マウスを感作して、応答を生じさせた。SDS−PAGEによって決定された限りでの免疫原の組成は、15〜20%の17kDa、50〜55%の35kDa、および25〜30%の60〜80kDaであって、多少の材料は、2〜12kDaの範囲内にあった。1ヶ月後、各マウスから眼出血を採取し、ELISAによって免疫原に対して滴定して、免疫応答を査定した。最高の応答を示すマウスを、100μg/マウスの注入によって免疫原で追加刺激した。4日後、マウスを殺処分し、その脾臓を、KohlerおよびMilstein[Nature 256:495 (1975)]の方法による融合に用いた。脾臓細胞を、脾臓細胞対骨髄腫細胞の5:1の比率を有するPEG(ポリエチレングリコール)溶液を用いて、SP2−0Ag14なる骨髄腫細胞と融合させ、50%PEG/HATの成長培地を用いて、96ウェルプレートに播種した。37℃で7〜10日のインキュベートの後、融合培養体を、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選別法を用い、3〜4日ごとに栄養補給することによって追跡し、次いで、HAT成長培地で継代培養した。
2〜3週間後、ハイブリドーマコロニーの成長を有するウエルを、ELISAによって試験して、どの成長がウリスタチンペプチドに対する抗体免疫応答を生起したかを決定した。96ウェルプレートの培養体を、1μg/ml被覆プレートにてウリスタチンペプチドで試験した。プレートを2〜8℃で終夜被覆した後、すべてのプレートを、洗浄かつ遮断した。次いで、細胞培養上清を、室温で1時間、1ウエルあたり100μg塗布した。プレートを洗浄した後、ヤギ抗マウスIgGセイヨウワサビペルオキシダーゼを、1:2000の希釈にて1時間、1ウエルあたり100μlで塗布した。再びプレートを洗浄し、次いで、OPD(o−フェニレンジアミンジヒドロクロリド)なる基質を与え、Spectra Maxなるプレートリーダー上で、490nmについて読み取った。
陽性の応答を示すコロニーを、24ウェルプレートに移して、更に展開し、陽性の結果を得るために再試験した。陽性を試験するコロニーを、6ウェルプレート内で、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むイスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove's Modified Dulbecco Medium:IMDM)中で更に展開した。展開後、コロニーを−70℃で凍結させ、次いで、長期間の貯蔵のために液体窒素に移した。
精製UTIを用いたELISAの結果に基づき、様々なクローンを、IMDM、10%FBS中で更に展開し、凍結させた。
ポリクローナル抗体のスクリーニング手順
精製UTIに対して誘発したウサギポリクローナル抗体はUTIの与えられたいかなる形態にも非特異的であると予測されたため、この抗体をスクリーニング工程に用いた。感染症を有する3名の患者、および健康な2名の対照からの血清および尿試料を、これらのポリクローナル抗体を用いた、ウエスタンブロット分析によって特徴付けした。ウエスタンブロット分析は、商業的なプレキャストゲルシステム(Invitrogen, San Diego, CA)を用いた。尿および血漿試料を、1レーンあたり1μgおよび5μlで装荷した。ウエスタンブロットは、WesternBreeze(登録商標)なる発色性免疫検出キット(Invitrogenより)を用い、製造者の教示に従って染色した。ウサギ抗UTI抗血清は、1:250,000の希釈でウエスタンブロット分析における一次抗体として用いた(表1参照)。これらのウエスタンブロット分析の結果は、ウサギポリクローナル抗血清がウリスタチン、ビクニン、AMBK、THP、P−α−IおよびI−α−Iを検出することを立証した。THPの交差反応性は、予想外であり、おそらく尿中トリプシンインヒビターとTHPとの間の共通ペプチド配列によるものと思われる。
Figure 2007536206
これらのウエスタンブロット試験は、ウリスタチンが、罹患した患者を健康な対照から、ビクニン、P−α−I、I−α−I、AMBKおよびTHPより充分に識別できることも立証した。すべての患者および対照は、尿中にTHPがあった。同様に、すべて、P−α−I、I−α−IおよびAMBKが血漿中にあった。結果は、ビクニンが、感染症を有する患者3名の尿中に、しかし対照被験者1名の尿中にも見出されたことを示した。本発明者らは、ウリスタチンを、患者3名のすべてに見出したが、対照被験者のいずれにも見出さなかった。また、本発明者らは、一患者のウリスタチンの顕著な上昇を見出した。結果は、AMBKが、感染症を有する患者3名の尿中に、しかし対照被験者1名の尿中にも見出されたことを示した。これは、UTIの特定の形態が、一定の患者では他の者より深く疾患に関連することができるとの本発明者らの考えを裏付ける。ここで、ビクニンおよび特にウリスタチンは、容易に腎臓に進入するために、プロインヒビターIα−IおよびP−α−Iよりはるかに低い濃度で血中に存在することに注目すべきである。プロインヒビターは、腎臓から尿へと有意な量で通過することはないので、血中よりも、尿中にウリスタチンおよびビクニンを検出することを容易にする。THPは、腎臓の近位尿細管に排出され、そのため、腎臓を通過することを必要とせず、試験された患者および対照における存在によって立証されるとおり、尿中の最も一般的なタンパク質である。ポリクローナル方の高い交差反応性は、血中または尿中のビクニンもしくはウリスタチンの相対的に低い濃度の検出を許さない。
尿中トリプシンインヒビターの存在は、数多くの疾患で深い意味があることが示されている。これらの疾患は、感染症(肺炎、尿路感染症、上部呼吸路感染症、新生児敗血症、髄膜炎、虫垂炎、細菌感染症、骨および関節感染症)、急性炎症(外傷、腎結石、外科的外傷、心肺バイパス、心筋梗塞および火傷)、慢性炎症(関節リウマチ、肺気腫、炎症性腸疾患、膵炎、クローン病、および心血管疾患に関する危険因子として)、新生物(白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンスリンパ腫、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌)および腎臓疾患を包含する。
臨床的価値は、ある方法についての、疾患における方がより優勢である尿中トリプシンインヒビターの形態を検出できる能力によって査定される。また、尿ばかりでなく血中でも機能できる方法は、更なる臨床的価値を有すると思われる。血液は、一貫した結果を与える臨床研究室の分析に好ましい流体であるが、尿は、看護の現場での非侵襲的なサンプル採取をするのに好ましい流体である。
したがって、UTIの特定の形態のみ、たとえば、P−α−I、I−α−IまたはTHPではなく、ウリスタチン、ビクニンおよびAMBKを検出するにすぎない免疫アッセイは、臨床的な効用を有すると思われる。本発明者らの試験の結果は、検出可能なP−α−IまたはI−α−Iは、対照および患者からの尿中には皆無であったが、すべての血漿試料中に存在したことも示した。血中の支配的な帯域は、患者および対照の双方で、63kDaのAMBK、115〜125kDaのP−α−I、および220kDaのI−α−Iにほぼ相当した。
すべてのモノクローナル抗体クローンを、実施例1に記載した手順を用いたELISAアッセイでUTIに結合できる能力、ならびに表1に記載した患者および健康体の試料を用いた抗体についてのウエスタンブロット試験で観察されたパターンに基づいてスクリーニングした。抗体を、パターンの類似性によって三群に類別し、各群の最も代表的な抗体を、UTI標準に対するELISA試験に基づいて選別した。更なる研究のためのクローンの選別は、下記のとおり、群A:421−3G5から、群B:421−5G8から、および群C:420−5D11からであった。選ばれた母コロニーについて、細胞培養上清を、限界希釈法を用いて2回クローニングして、抗体がモノクローナルであることを確認した。これらのモノクローナル抗体をイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、30%ウシ胎児血清(FBS)および10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に分泌するハイブリドーマを、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託し、ATCC420−5D11.5G8.1E4、ATCC421−3G5.4C5.3B6およびATCC420−5G8.1A8.5C1と名付けた。
精製ウリスタチンおよびビクニン標準に対するモノクローナル抗体の特徴付け
尿中トリプシンインヒビターは、本発明者らの研究のためにSciPac Ltd.(Sittingbourne, Kent、英国)が製造した(製品コード:P205−1)。これらは、慢性腎不全の患者の尿から精製された。標準を、SDS−PAGEによって特徴付けした。本発明者らは、商業的なプレキャストゲルシステム(Invitrogen, San Diego, CA)、4〜12%NuPAGE(登録商標)Bis−TrisをMES(2−モルホリノエタンスルホン酸)の泳動用緩衝液(還元性および非還元性)とともに製造者の手順に厳密に従って用いた。試料を、1レーンあたり2μgで装荷した。タンパク質の分子量の推定は、標準:すなわちMagicMark12(商標)(Invitrogen)およびSeeBlue(登録商標)Plus2(Invitrogen)の完全セットを根拠とした。タンパク質の帯域は、Colloidal Blue(登録商標)(Invitrogen)で染色した。
これらの試験の結果は、UTIのロット第20−120号が、15〜20%の17kDaタンパク質、50〜55%の35kDaタンパク質、および25〜30%の60〜80kDaタンパク質を含有することを示した。UTIのロット第124−111号は、材料の約85%を17.4kDa帯域(ウリスタチン)として有したが、ある量のウリスタチン1(5.9kDa)、および10〜15%のビクニン(30.9kDa)も含有したが、AMBKは認められなかった。UTIのロット第80−117号は、実質的に17kDaのウリスタチンなる材料のみを含有するにすぎなかった。
これらの初期の結果を、以下に論じるSELDIの手法によって更に精緻化した。UTIのロット第20−120号は、10%の2〜12kDaタンパク質(ウリスタチン1および2)、15%の17kDaタンパク質(ウリスタチン)、45%の35kDaタンパク質(ビクニン)、および30%の60〜80kDaタンパク質(AMBKまたはTHP)を含有することが見出された。UTIのロット第124−111号は、材料の約80%を17.4kDa帯域(ウリスタチン)として有したが、ある量(10%)のウリスタチン1および2(5.9kDa)も含有したが、AMBKは存在することが認められなかった。UTIのロット第80−117号は、実質的に17kDaのウリスタチンという材料、および2%未満のその他の分子量範囲のみを含有するにすぎなかった。
対照についての尿サンプルを、実施例1に記載のELISAによって、実施例2で選んだ三種類のモノクローナル抗体、およびヤギ抗マウス二次抗体結合体を用いて検定した。A群のクローン421−3G5、群Bのクローン421−5G8、および群Cのクローン420−5D11についての結果を、表2に示し、対照としてのポリクローナル抗体と比較した。
OPD基質によって発色させた色でなされた測定は、直前に記載した標準中の、UTIに結合したモノクローナル抗体の量を示して、その含量を、ウエスタンブロット法およびSELDIを用いた分子量によって決定した。値を、ポリクローナル抗体の値を用いて正規化し、下表に、ポリクローナル抗体の結果に対する百分率として提示した。
Figure 2007536206
モノクローナル抗体421−5G8は、UTIのロット第124−111号に強く、第20−120号に同様な程度で、しかしロット第80−117号には弱くのみ結合した。これは、双方のロットでは2〜12kDaの材料(ウリスタチン1または2)に結合するが、17kDaの材料(ウリスタチン)のみを含有するにすぎないロット第80−117号では結合しないことと一致すると思われる。したがって、この抗体は、ビクニンおよびウリスタチンよりウリスタチン1または2に特異的であると思われる。機序に制約されたくはないが、このモノクローナル抗体による結合は、硫酸化されたコンドロイチン鎖からは生じないと考えられるが、それはこれらの部分が、抗体に対して高い抗原親和性を保有することが公知だからである。この結合は、阻害性アミノ酸配列に対して直接的であると考えられる。
モノクローナル抗体420−5D11は、UTIのロット第20−120号に強く、ロット第124−111号には非常に弱く結合し、ロット第80−117号には結合しなかった。これは、ロット第20−120号のみがこの材料を大量に含有するにすぎないために、ロット第20−120号で80kDaの材料(THP)に結合することと一致する。この抗体が、ウリスタチンまたはビクニンにも特異的であるならば、約65%のウリスタチンを含有するロット第124−111号に強く応答することが予測されるはずである。機序に制約されたくはないが、このモノクローナル抗体による結合は、THPとビクニンまたはウリスタチンとの共通アミノ酸領域からは生じないと考えられる。配列の合致照合は、ウリスタチン1および2のドメインにおける、これが可能であるのに充分な相同性を示した。
モノクローナル抗体421−3G5は、すべてのUTIのロットに強く、また非特異的ポリクローナル抗体にも同様に結合したが、P−α−IおよびI−α−Iに対しては反応性を欠くことが注目すべき例外であった。したがって、421−3G5は、総UTIの尺度になると思われる。
臨床試料によるモノクローナル抗体の試験
尿サンプルを、細菌感染を有する患者、およびそのような感染症がない対照患者から得た。感染症なしの患者は、「群1」の患者である。研究に含ませるのに、本発明者らは、陰性の尿および血液培養(105個の生物/ml)、ならびに正常血の白血球数(CBC)のみを必要とした。患者の第二の群(「群2」)は、上部呼吸路または尿路のいずれかに感染症を有するものを含み、陽性の完全な血球数(CBC)に全体として基づいて結論した。すべての患者および対照から、清浄捕捉中間尿の採集を得た。試料は、試験するまで4℃で貯蔵したが;24時間以内に試験されない場合、試験するまで、貯蔵は−70℃にて貯蔵された。すべての被験者について、常に、尿沈渣の評価、グラム染色、および尿の微生物学的培養を収集当日に実施した。本発明者らは、群2から、EDTA抗凝固化血を採集し、CBC、高感度CRP(Dade Behring、C反応性タンパク質についての免疫アッセイ)試験、および血液培養を実施し、これらのすべての試験を、血液採集の当日に実施した。
尿サンプルは、実施例2と同じポリクローナル抗体を用いたELISAアッセイによっても検定した。抗体を、高結合性微量滴定プレート(PN3690、Corning Life Sciences, Acton, MA)のポリスチレン膜に固定し、次いで、ウエルを、Super Block(Pierce Chem. Co., Rockford, IL)で被覆して、以後の添加物がプレートに直接付着しないことを確保し、次いで、各患者からの尿サンプルに接触させて、サンプル中のUTIに抗体を結合した。UTI−抗体複合体を、アルカリホスファターゼに結合した第二抗体(ヤギ抗ウサギ抗体)と反応させ、次いで、未結合抗体をTBS/2%トゥイーン20(ELISA洗浄緩衝液、Upstate Cell Signaling Solutions, Lake Placid, NY)で洗い落とし、固定化された抗体を、ジエタノールアミン緩衝液(Pierce Chem Co.)を加えると405nmでの吸光(黄色)を形成する、PNPP(p−ニトロフェニルホスフェート、二ナトリウム塩)の加水分解によって、プレート上でアルカリホスファターゼを決定することによって検定した。吸光は、分光光学用微量滴定プレート読取り装置(SpectroMax, Molecular Devices Corporations, Sunnyvale, CA)によって測定した。
三つの対照尿サンプルは、51.4μg/ml、27.9μg/mlおよび24.8μg/mlのUTIタンパク質(ビクニン、ウリスタチンおよびAMBK)を含有するが、細菌感染症を有する患者からの二つのサンプルは、148μg/mlおよび49.5μg/mlを含有することが見出された。この結果は、ポリクローナル抗体が、P−α−I、I−α−IおよびTHPなるタンパク質と、望みの測定されたタンパク質であるビクニン、ウリスタチンおよびAMBKとの間の交差反応性によって予測されたとおり、健康な対照から、感染症を有する患者を貧弱にしか分離しないという、以前のウエスタンブロット試験の所見を確認するものである。
患者の尿および血漿中のUTIの測定は、直接法、およびモノクローナル抗体、たとえば表2に示したものを用いる間接的な減算法によって、個別にすることができる。直接法の例として、尿または血液試料のいずれかの中のウリスタチン1もしくは2は、存在するもう一つのUTI、THPおよびプロインヒビター上のクローン421−5G8によって直接測定することができる。更なる直接法更なる例では、尿または血液試料のいずれかの中のべてのUTI(IUTI)は、クローン421−3G5によって直接測定することができるが、プロインヒビターではできない。間接法の一例は、UTIの合計測定からの、特定の結果の一つまたはそれ以上の減算であると思われる。たとえば、患者1の尿中のビクニンを測定するには、ウリスタチン1または2を、クローン421−5G8で直接測定し、総IUTI421−3G5から減算して、ビクニンおよびAMBKの量に到達することであると思われる。加えて、THPに対するいかなる交差反応性も、クローン420−5D11によって直接測定することができ、THPに対して交差反応性を有するUTI抗体、たとえばポリクローナル抗体から減算して、UTIの量に到達することができよう。合計測定は、上に論じたようなポリクローナル抗体、モノクローナル抗体クローン421−3G5または酵素阻害法によって実施することができよう。ポリクローナル抗体の場合、この合計は、プロインヒビターの量によって左右され、そのため、モノクローナル抗体クローン421−3G5または酵素阻害法は、好ましい、またはプロインヒビターの結果による減算による補正を用いることができよう。
実施例3では、三種類のモノクローナル抗体を、精製UTIの三ロットに対するそれらの応答について試験した。本例は、追加の16種類のモノクローナル抗体と併用した同じモノクローナル抗体を報告する。結果を図1および2に、一連の棒グラフで示す。
精製UTIの同じ三ロットを用いた。UTIのロット第20−120号は、10%の2〜12kDaタンパク質(ウリスタチン1および2)、15%の17kDaタンパク質(ウリスタチン)、45%の35kDaタンパク質(ビクニン)、および30%の60〜80kDaタンパク質(AMBKまたはTHP)を含有した。UTIのロット第124−111号は、物質の約80%を17.4kDa帯域(ウリスタチン)として有したが、ある量(10%)のウリスタチン1および2(5.9kDa)、ならびに10%のビクニン(30.9kDa)も含有したが、AMBKは存在することが認められなかった。UTIのロット第80−117号は、実質的に17kDaのウリスタチンという物質、および2%未満のその他の分子量範囲のみを含有するにすぎなかった。
実質的に17kDaの物質のみを含有するにすぎないロットは、概して、低および高分子量の種を含有するようなロットより弱く結合することを認めることができる。しかし、追加的なモノクローナル抗体は、3ロットのすべてに、ポリクローナル抗体の対照(たとえば421−1D11、521−5B9および421−2D5)のそれと同様にして結合することが見出され、421−3G5に類似すると予測されると思われた。いくつかの抗体、たとえば421−1C10、421−1C12、421−2A11および421−2G4は、421−5G8と同様の三ロットに結合することが見出された、注目すべき例外は、やはり、モノクローナル抗体420−5D11で確認されたが、これは、ロット第124−111号および80−117号にではなく、ロット第20−120号に対する親和性を示した。モノクローナル抗体420−5D11は、より低分子量のウリスタチン(17kDa)およびビクニン(35kDa)には強く結合せずに、より高分子量の物質(60〜80kDaのTHPおよびAMBKは、この範囲内にある)を優先した。420−5D11は、420と名付けられた融合からの唯一のモノクローナル抗体であった(その他は、融合421から誘導された)。その独特の挙動は、モノクローナル抗体の更なる試験を示唆して、実施例6にそれを報告する。
融合420からの9種類のモノクローナル抗体を、420−5D11に追加して試験した。5ロットのUTIを用いた。ロット第20−120号、第124−111号および第80−117号を再び含ませ、ロット第93−90号(第124−111号に類似)および第157−90号(第20−120号に類似)を追加した。図3に示した結果は、モノクローナル抗体420−5D11が、420−1B7、420−1G4および420−4E11に類似していて、主として、有意量のより高分子量の物質、すなわち、ロット第20−120号および第157−90号に見出された60〜80kDaを含有するロットに結合したことを示す。その他のモノクローナル抗体は、UTIの結合を実質的に全く示さなかった。これらの実験に用いた対照は、融合421からのモノクローナル抗体(421―5B9)であって、これらのモノクローナル抗体に類似する結合プロフィール像を有するが、プロインヒビター結合性はなく、すなわち421−5B9のモノクローナル抗体は、UTIのロットのそれぞれに強く結合することが見出された。
以前のELISA試験に用いた、精製された総UTIの二つのサンプル、および患者からの二つのサンプルを、三種類の代表的なモノクローナル抗体、および一つのポリクローナル抗体と反応させ、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)の技術(Ciphergen, Fermont, CaliforniaからのPBSIISELDI質量分析計)を用いて分析して、抗体に結合するタンパク質を決定した。結合は、標準的なインキュベーションの手順(高結合性PS20チップ、および低結合性RS100チップ)を用いて、二種類の表面で測定した。シグナル対ノイズ(S/N)は、有意性の尺度として、抗体に結合した各質量について決定した。
質量分析法によって分析したのは、抗体と反応させた、患者4および患者5からの二つの尿サンプルであった。両患者とも、炎症に冒されていて、白血球数(完全血球数による)、C−反応性タンパク質(高感度免疫アッセイによる)ESR(赤血球沈降速度)、検尿(10パネルのMULTISTIX PROなる浸漬片による)および総尿中トリプシンインヒビター(インヒビターアッセイによる)の上昇を伴った。ともに微生物学的培養によれば、患者5は、血液細菌感染(毒素血症)について陽性であり、患者4は、尿細菌感染(尿路感染)について陽性であった。
追った手順は、下記のように概説される:
1.50mMNaHCO33μl(pH8.0)を、タンパク質チップ上の各スポットに加え、プレートで被覆して、サンプルウエルを形成した。
2.1mg/mlの抗体1μlを、各スポットに加え、保湿チャンバー内で振盪しつつ、室温で2時間インキュベートした。
3.各スポットから溶液を除去し、スポットを洗浄用緩衝液、すなわちリン酸緩衝生理食塩水(PBS+0.5%トリトン界面活性剤)5μlで2回洗浄した。
4.非結合部位を、5μlもしくは2mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン)、または1Mのエタノールアミンでブロックした。
5.室温でインキュベートした後、BSAまたはエタノールアミンを廃棄した。
6.スポットを、洗浄用緩衝液(PBS+0.5%トリトン)5μlで2回洗浄した。
7.PBS5μlを、各スポットに加え、チップを、バイオプロセッサーに入れた。各ウエルに、更に10μlのPBSを加えた。
8.試験しようとするサンプル(または対照としてのPBS)10μlを、各ウエルに加え、次いで、ウエルを密封し、4℃で終夜振盪した。
9.ウエルを、洗浄用緩衝液およびPBSで2回洗浄し、次いで、室温で2分間振盪した。
10.ウエルを、シナピン酸で飽和させた脱イオン水300μlで2回すすいだ。
11.抗体およびサンプルを含有するチップを、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)によって分析した。
4種類の抗体に関するSELDIの結果を、表3および4に報告する。結果は、患者のUTIおよび精製サンプルに接触後の抗体に結合したタンパク質の質量である。この方法の高い感度は、ELISA法によって検出されるよりはるかに多くの形態に結合した抗体を示す。形態が豊富であることは、UTIの機能分類群に関する分子量範囲の原因となる、断片化、伸張および集合から予測された。この方法は、結合した形態を正確に特定し、標準組成によるいかなる解釈にも依拠しない。そのため、たとえ結合したタンパク質が、小さな百分率の組成であるとしても、抗体との結合が存在するならば検出されることになる。抗体結合エピトープは、典型的には、小さく、抗体が、ペプチドまたは糖タンパク質配列に、タンパク質配列の三次構造に有利になるように結合したときに2〜5kDa前後である。したがって、共通配列は、すべての変異型で反復されると予測され、すべての結合事象を検出することができるSELDIの能力は、非常に多くの変異型を示すことを可能にする。すべてのサンプルからの結果を併せ、ウリスタチン1または2、ウリスタチン、ビクニン、AMBK、THPおよびプロインヒビターの範囲に属する、観察された分子量に従って、タンパク質の機能群によって組織化した。結合事象のシグナル対ノイズ比によって決定された限りにおいて、高い親和性、頻度または重要性を有する結合事象を、太字で示した。主要な結合事象は、太字および下線で示した。弱い結合事象は、タンパク質における変異型を記録するために、標準文字で示した。これらは、適正にフォーマット化した場合、免疫アッセイに強く影響しないような種類の非常に弱い交差反応性を表す。
Figure 2007536206
Figure 2007536206
質量差は、最も近い0.1kDaに丸めた。その他のピークに比して最高のシグナル対ノイズ比(S/N)を有するピークを報告する。低いS/Nの観察は、表から排除した。この表は、可能な形態のほとんどを表すが、すべてではない。スペクトルは、SELDI分析のためのブロック処理に用いたアルブミンのために、66.9〜66.6および33.3、ならびに133.0〜133.9にもピークを示した。トリエタノールアミンを用いてチップをブロックしたときは、これらのピークは観察されなかった。
結果は、三種類のモノクローナル抗体が、UTIの異なるパターンを検出し、これらのパターンは、ある範囲の変異型を包含することを立証した。モノクローナル抗体は、UTIに特異的であるのに対し、ポリクローナル抗体は、両UTIおよびプロインヒビターを検出した。本発明者らは、SDSのゲル中に表されたパターンに、クローンが検出するすべての尿中トリプシンインヒビターの断片を認めることができなかった。ゲル法は、抗体が結合できるUTIのすべてを報告するのに充分に敏感ではない。実際に結合した更に多くの断片を、SELDIデータに示す。結合したすべての断片は、様々な患者を試験するにつれて更なる変異型が形成されると思われたため、列挙しなかった。与えられたUTIとの結合の程度または強さを、その他のUTIと対比して推定した。最小の断片による最強の結合は、各抗体によって結合されたエピトープの最良の表示である。ウリスタチン1または2の機能群内の低分子量の配列は、強い結合を有する最小の線形配列である。
精製標準および患者を用いた表3および4では、Mab421−3G5に関する一次結合は、ウリスタチン1または2、ウリスタチン、ビクニンおよびAMBKに対して強く、THPに対してははるかに弱くて、有意なプロインヒビター結合は皆無であった。Mab421−5G8に関する一次結合は、ウリスタチン1または2とともにあり、ウリスタチンに対しては弱く、THPもしくはビクニンまたはプロインヒビターに対してははるかに弱かった。Mab420−5D11に関する一次結合は、THP、ウリスタチンおよびウリスタチン1または2に対して強く、ビクニンまたはAMBKに対しては弱かった。ポリクローナル結合は、プロインヒビターをはじめとするすべての形態とともにあった。これらの結果は、SDSゲルに基づいて予測されたとおりであった。しかし、SELDIの結果は、三種類の抗体が、すべて、標準中のウリスタチン1または2に3.9で非常に強く、かつ2.8および3.5で高い親和性を有して結合することも示した。SELDIの結果は、特異性を妨げるには充分強くないが、測定可能ではある、いくつかの低親和性の結合事象も示している。
個々の患者サンプルを用いた表4の結果は、Mab421−3G5、Mab421−5G8、Mab420−5D11、および標準によって示されたポリクローナルに関して、同じ一次結合パターン示している。やはり、これらの結果は、SDSゲルに基づいて予測されたとおりであった。しかし、SELDIの結果は、三種類の抗体が、すべて、ウリスタチン1または2、ウリスタチン、ビクニンおよびAMBKのいくつかの新たな形態に、それぞれについて予測された範囲内で強く結合することも示した。特に、2.8、5.4、7.2、11.8、21.1および67.0kDaとの一次結合が、患者サンプルで観察されたが、精製された標準では観察されなかった。これは、以前に述べた理由から病理学的状態で予測された変動を立証した。精製標準におけるこれらのピークの欠如は、多くの患者のプール、および標本の15、30および60kDaという目的分子量までの精製の結果である。SELDIは、ポリクローナルおよびMab420−5D11の場合のTHPとの少なくとも多少の交差反応性も示した。
4種類のタンパク質、すなわちヒト血清アルブミン(HSA)、タム−ホースフォールタンパク質(THP)、α1ミクロブロブリン(α−1M)およびα1アンチキモトリプシン(α−1ACT)を、ウリスタチンのサンドイッチELISA試験で交差反応性について試験した。これらのタンパク質は、尿中での濃度が高いこと、またはこれらの抗体を尿サンプルとともに用いたウエスタンブロット分析もしくはSELDIによる作業の際に、あり得る交差反応物質として示唆されたことのいずれかの理由で選んだ。交差反応性の研究は、相対的な結合を比較するのを許す、競合的構成で実施した。たとえば、ウリスタチンとの抗体の結合は、THPとのそれより有意に強く、ウリスタチンに関するアッセイは、THPに干渉されなかった。競合的サンドイッチELISA試験で交差反応性を有することが見出された唯一のタンパク質および抗体は、Mab420−5D11およびポリクローナル抗体とのTHPであった。(表5を参照されたい)。
Figure 2007536206
本発明の広義の目的は、医学的な患者の尿を、その阻害性尿中トリプシンインヒビター(UTI)との関連によって疾患の存在を特定するために、好都合に試験する方法を提供することである。尿中のUTIの存在が疾患の指標となることは、以前から注目されている。これまでは、特定のUTIを一定の疾患と関連付けることは、UTIが、一般に、個別にではなく集合体として測定されることから、可能ではなかった。本発明者らは、既知の腎臓病患者の尿から単離されたUTIのサンプルを用いて、モノクローナル抗体を開発し、該モノクローナル抗体を、UTIの非インヒビター前駆体の様々な断片と関連付けた。実施例が示しているとおり、該モノクローナル抗体は、UTIのサンプルに対して様々な応答を有して、それらは、一定のUTIに対する優先性を特定するのを可能にすることが見出された。質量分析による追加的な調査は、UTIのサンプルの組成、およびそれらに対するモノクローナル抗体の応答に関して、入手可能な情報を拡大した。一つの重要な知見は、約2.8、3.5、3.9および5.4kDaの、より低分子量のUTI断片が、サンプル中に観察された総UTI中の重要な構成要素であるという発見であった。この結果は、最高濃度を有するタンパク質のみを可視化するにすぎないために、SDS−PAGE試験では認められず、結果的に、モノクローナル抗体によるELISA試験の結果は、完全に説明することができなかった。定型的な臨床作業に質量分析を用いることは、実用的でなく、本発明者らは、質量分析から得られた情報を、より容易に臨床的設定で用い得る、ELISA試験の結果の説明に適用した。
尿サンプルを試験するための提唱される手順は、下記のように概説され得る:
1.一種類またはそれ以上のUTIの既知の源に対してモノクローナル抗体を用意する。
2.このモノクローナル抗体を、UTIの既知の源に対して試験し、既知分子量を有するUTIに対して優先性を有することが判明したものを選別する。
3.選ばれたモノクローナル抗体を、未知量のUTIを含有する尿のサンプルに加え、どのUTIが存在するか、およびそれらの相対量を決定する。
4.段階3で決定されたUTIを、UTIの測定された分布に関連する疾患と相関させる。
SDS−PAGE法によって特定し、ELISA試験と相関させたUTIは、約66kDa(AMBK)、30kDa(ビクニンまたはHI−30)、17kDa(ウリスタチン)、5kDa(ウリスタチン1)、8kDa(ウリスタチン2)の代表的な分子量、および断片化、変動および集合のためにこれらの平均の前後で画定される範囲を有する、I−α−IおよびP−α−Iなる非インヒビターの断片を包含する。特に、約2〜5kDaの分子量を有する、より小さい断片が存在することも見出された。これらは、ウリスタチン1および2の断片として指定された。ここで、質量分析からは、約2.8、3.5、3.8および5.0kDaでの断片がサンプル中に存在し、抗体によって結合されると思われたが、SDS−PAGEの結果によって明確に示されることはなかった。
モノクローナル抗体は、特定のUTIの既知の分布を有するサンプルに対するその応答で類別されると思われた。すなわち、いくらかは、有意量の2〜12kDa断片(ウリスタチン1または2)を含有するUTIサンプルに結合すると思われたが、その他は、62、30および17kDaのAMBK、ビクニン、またはウリスタチン断片の大きい断片を含有するUTIサンプルに結合すると思われた。更にその他は、ビクニン、ウリスタチン断片およびTHP共通配列に結合した。三種類のモノクローナル抗体を、その群に特徴的であるとして選び、これらの抗体を、ATCCなる寄託先に寄託した。類似の特性を有するその他のモノクローナル抗体を特定し、その挙動を、これ以上の情報を求めて実施例に報告した。
一定のUTIに対して優先性を有する抗体を特定することの利点は、言うまでもなく、それが、UTI断片の特定の分布を有する一定の疾患、または他の医学的問題を識別できる可能性を開くことである。一定の抗体は、一定のUTI断片との結合にか、または断片の一定の組合せに特異的であり得る。そうして、これらのモノクローナル抗体をELISAまたはその他のそのような試験に用いることによって、UTIのいずれが存在するか、およびそれらの相対的な比率を特定することが可能になるであろう。
実施例5の結果を示す棒グラフである。 実施例5の結果を示す第二の棒グラフである。 実施例6の結果を示す棒グラフである。
そのようなモノクローナル抗体は、精製されたUTIを免疫原としてマウスに導入することによって生成し得る。ただ一種の抗体のみを産生する単一のハイブリドーマクローンは、精製されたウリスタチンを用いて、KohlerおよびMilsteinの手順を実施することによって創出されている。モノクローナル抗体の特徴的な性質は、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)手法、ELISAおよびその他の免疫アッセイ法を用いて研究されている。
もう一つの態様では、本発明は、問題の尿中トリプシンインヒビターの形態、すなわち疾患を有する者を特徴付けるそれを検出かつ測定するために、新規なモノクローナル抗体を用いる方法を包含する。モノクローナル抗体は、阻害性UTI、たとえばビクニンおよびウリスタチン、または前駆体であるAMBKに特異的な場合に、直接測定することができる。モノクローナル抗体が二種類以上のウリスタチンに結合できるときは、二種類以上の抗体を用いることによって、問題の特定のUTIの含量は、差によって決定し得る。先に参照した三種類のモノクローナル抗体は、ウリスタチンならびにウリスタチン1および2に優先的に結合することが見出されている。Mab420−5D11は、タム−ホースフォールタンパク質(THP)にも強く結合し、ビクニンおよびAMBKには、より小さな強さで結合した。Mab421−3G5はまた、ビクニンおよびAMBKに、強く結合した。MAb421−5G8はまた、ビクニンに、より小さな強さで結合した。
モノクローナル抗体の調製
SciPac Ltd., Sittingbourne, Kent(英国)によって腎臓患者から得られた、製品コードP250−1なる精製UTI100μg/マウスで、BALB/c系マウスを感作して、応答を生じさせた。SDS−PAGEによって決定された限りでの免疫原の組成は、約85%超の17kDaの物質(ウリスタチン)、加えて10%超のウリスタチン1または2、および5%未満のビクニン(30.9kDa)であり、検出可能なAMBK、I−α−IまたはP−α−Iはなかった。1ヶ月後、各マウスから眼出血を採取し、ELISAによって免疫原に対して滴定して、免疫応答を査定した。最高の応答を示すマウスを、100μg/マウスの注入によって免疫原で追加刺激した。4日後、マウスを殺処分し、その脾臓を、KohlerおよびMilstein[Nature 256:495 (1975)]の方法による融合に用いた。脾臓細胞を、脾臓細胞対骨髄腫細胞の5:1の比率を有するPEG(ポリエチレングリコール)溶液を用いて、SP2−0Ag14なる骨髄腫細胞と融合させ、50%PEG/HATの成長培地を用いて、96ウェルプレートに播種した。37℃で7〜10日のインキュベートの後、融合培養体を、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選別法を用い、3〜4日ごとに栄養補給することによって追跡し、次いで、HAT成長培地で継代培養した。
2〜3週間後、ハイブリドーマコロニーの成長を有するウエルを、ELISAによって試験して、どの成長が、マウスへの接種に使用した精製ウリスタチンペプチドに対する抗体免疫応答を生起したかを決定した。96ウェルプレートの培養体を、1μg/ml被覆プレートにてウリスタチンペプチドで試験した。プレートを2〜8℃で終夜被覆した後、すべてのプレートを、洗浄かつ遮断した。次いで、細胞培養上清を、室温で1時間、1ウエルあたり100μg塗布した。プレートを洗浄した後、ヤギ抗マウスIgGセイヨウワサビペルオキシダーゼを、1:2000の希釈にて1時間、1ウエルあたり100μlで塗布した。再びプレートを洗浄し、次いで、OPD(o−フェニレンジアミンジヒドロクロリド)なる基質を与え、Spectra Maxなるプレートリーダー上で、490nmについて読み取った。
モノクローナル抗体421−5G8は、UTIのロット第124−111号に強く、第20−120号に同様な程度で、しかしロット第80−117号には弱くのみ結合した。これは、双方のロットでは2〜12kDaの材料(ウリスタチン1または2)に結合するが、17kDaの材料(ウリスタチン)のみを含有するにすぎないロット第80−117号では結合しないことと一致すると思われる。したがって、この抗体は、ビクニンおよびウリスタチンよりウリスタチン1または2に特異的であると思われる。機序に制約されたくはないが、このモノクローナル抗体による結合は、硫酸化されたコンドロイチン鎖からは生じないと考えられ、それはこれらの部分が、抗体に対して高い抗原親和性を保有することが公知であるとしても、である。この結合は、阻害性アミノ酸配列に対して直接的であると考えられる。
モノクローナル抗体420−5D11は、UTIのロット第20−120号に強く、ロット第124−111号には非常に弱く結合し、ロット第80−117号には結合しなかった。これは、ロット第20−120号のみがこの材料を大量に含有するにすぎないために、ロット第20−120号で80kDaの材料(THP)に結合することと一致する。この抗体が、ウリスタチンまたはビクニンにも特異的であるならば、約65%のウリスタチンを含有するロット第124−111号に強く応答することが予測されるはずである。機序に制約されたくはないが、このモノクローナル抗体による結合は、THPとビクニンまたはウリスタチンとの共通アミノ酸領域からは生じないと考えられる。配列の合致照合は、ウリスタチン1および2のドメインとTHPとにおいて、これが可能であるのに充分な相同性を示した。
モノクローナル抗体420−5D11は、UTIのロット第20−120号に強く、ロット第124−111号には非常に弱く結合し、ロット第80−117号には結合しなかった。これは、ロット第20−120号のみがこの材料を大量に含有するにすぎないために、ロット第20−120号で80kDaの材料(THP)に結合することと一致する。この抗体が、ウリスタチンまたはビクニンにも特異的であるならば、約65%のウリスタチンを含有するロット第124−111号に強く応答することが予測されるはずである。機序に制約されたくはないが、このモノクローナル抗体による結合は、THPとビクニンまたはウリスタチンとの共通アミノ酸領域からは生じないと考えられる。配列の合致照合は、ウリスタチン1および2のドメインとTHPとにおいて、これが可能であるのに充分な相同性を示していない。

Claims (43)

  1. 疾患を有するヒトの体液中の尿中トリプシンインヒビターを検出するためのモノクローナル抗体であって、AMBK、ビクニン、ウリスタチン、ウリスタチン1、ウリスタチン2、ならびにそれらの断片および集合体からなる、尿中トリプシンインヒビター(UTI)の群の少なくとも一員に優先的に結合する、抗体結合部位を含むモノクローナル抗体。
  2. 該UTIがウリスタチンならびにウリスタチン1および2である、請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. ハイブリドーマATCC421−5G8.1A8.5C1が分泌する、請求項1記載のモノクローナル抗体
  4. 該UTIがウリスタチンならびにウリスタチン1および2であり、該モノクローナル抗体が更にタム−ホースフォールタンパク質(THF)に結合する、請求項1記載のモノクローナル抗体。
  5. ハイブリドーマATCC420−5D11.5G8.1E4が分泌する、請求項4記載のモノクローナル抗体。
  6. UTIであるAMBK、ビクニン、ウリスタチンならびにウリスタチン1および2に、そしてTHPにも優先的に結合する、請求項1記載のモノクローナル抗体。
  7. ハイブリドーマATCC421−3G5.4C5.3B6が分泌する、請求項6記載のモノクローナル抗体。
  8. 該体液が尿である、UTIを検出するための請求項1記載のモノクローナル抗体。
  9. 該体液が血液である、UTIを検出するための請求項1記載のモノクローナル抗体。
  10. 尿中トリプシンインヒビター(UTI)について体液を検定する方法であって、体液のサンプルを、疾患を有するヒトの体液を特徴付ける尿中トリプシンインヒビター(UTI)に結合可能な少なくとも一種類のモノクローナル抗体に接触させ、そして結合したUTIを特定する工程を含む方法。
  11. 疾患を有するヒトの尿を特徴付ける尿中トリプシンインヒビターが、AMBK、ビクニン、ウリスタチン、ウリスタチン1、ウリスタチン2、ならびにそれらの断片および集合体からなる群の一員である、請求項10記載の方法。
  12. 該モノクローナル抗体が、UTIであるウリスタチン、ウリスタチン1および2に、そしてタム−ホースフォールタンパク質(THP)にも優先的に結合する、請求項11記載の方法。
  13. 該モノクローナル抗体が、UTIであるウリスタチンならびにウリスタチン1および2に優先的に結合する、請求項12記載の方法。
  14. 該モノクローナル抗体が、UTIであるAMBK、ビクニン、ウリスタチン、ウリスタチン1および2に、そしてTHPにも結合する、請求項11記載の方法。
  15. 該モノクローナル抗体がハイブリドーマATCC420−5D11.5G8.1E4によって分泌される、請求項12記載の方法。
  16. 該モノクローナル抗体がハイブリドーマATCC421−5G8.1A8.5C1によって分泌される、請求項13記載の方法。
  17. 該モノクローナル抗体がハイブリドーマATCC421−3G5.4C5.3B6によって分泌される、請求項14記載の方法。
  18. 該UTIを免疫アッセイで特定する、請求項10記載の方法。
  19. 該免疫アッセイが、本明細書で定義されるMR、LAI、IC、RIA、ELISA、EIA、FIA、LIA、CLA、OAおよび希土類金属標識アッセイからなる群より選ばれる、請求項18記載の方法。
  20. 該体液が尿である、請求項10記載の方法。
  21. 該体液が血液である、請求項10記載の方法。
  22. UTIをモノクローナル抗体によって直接測定する、請求項10記載の方法。
  23. すべてのUTIを、第一モノクローナル抗体によって測定し、第二抗体によって測定された特定のUTIを、第一抗体によって測定されたUTIから差し引いて、第一抗体によって見出されたが、第二抗体によっては見出されない、UTIを測定する、請求項10記載の方法。
  24. 該モノクローナル抗体がウリスタチン1および/またはウリスタチン2を測定する、請求項22記載の方法。
  25. 該抗体がすべてのUTIを測定するが、プロインヒビターを測定しない、請求項22記載の方法。
  26. 該第一抗体がウリスタチン1および/またはウリスタチン2を測定し、該第二抗体がすべてのUTIを測定し、ビクニンおよびAMBKを差によって測定する、請求項23記載の方法。
  27. 該第一抗体がすべてのUTIおよびTHPを測定し、第二抗体がTHPを測定し、UTIを差によって測定する、請求項23記載の方法。
  28. 尿中トリプシンインヒビター(UTI)について体液を検定する方法であって、
    (a)尿中トリプシンインヒビターを含有すると思われる体液サンプルを、基質に加える工程;
    (b)該(a)のサンプルに、疾患を有するヒトの体液を特徴付ける尿中トリプシンインヒビターに結合できるモノクローナル抗体を加える工程;
    (c)組み合わされた(b)のモノクローナル抗体、および(a)の尿サンプルに、該モノクローナル抗体に結合できる、酵素に結合したリガンドを加える工程;
    (d)組み合わされた(b)のモノクローナル抗体、(a)の体液サンプルおよび(c)のリガンドから、該モノクローナル抗体に結合していない該リガンドの部分を洗浄する工程;
    (e)該モノクローナル抗体および該リガンドに結合に結合した該尿中トリプシンインヒビターの量を、該酵素との反応によってシグナルを発生できるリポーター分子を加え、発生したシグナルを該尿中トリプシンインヒビターの量と相関させることによって決定する工程;
    を含む方法。
  29. 疾患を有するヒトの体液を特徴付ける該尿中トリプシンインヒビターが、AMBK、ビクニン、ウリスタチン、ウリスタチン1、ウリスタチン2、ならびにそれらの断片および集合体からなる群の少なくとも一員を含む、請求項28記載の方法。
  30. 該モノクローナル抗体が、UTIであるウリスタチン、ウリスタチン1および2に、そしてタム−ホースフォールタンパク質(THP)にも優先的に結合する、請求項29記載の方法。
  31. 該モノクローナル抗体がウリスタチン、ならびにウリスタチン1および2に優先的に結合する、請求項29記載の方法。
  32. 該モノクローナル抗体が、UTIであるAMBK、ビクニン、ウリスタチンならびにウリスタチン1および2に、そしてTHPにも優先的に結合する、請求項29記載の方法。
  33. 該モノクローナル抗体がハイブリドーマATCC420−5D11.5G8.1E4によって分泌される、請求項30記載の方法。
  34. 該モノクローナル抗体がハイブリドーマATCC420−5G8.1A8.5C1によって分泌される、請求項31記載の方法。
  35. 該モノクローナル抗体がハイブリドーマATCC421−3G5.4C5.3B6によって分泌される、請求項32記載の方法。
  36. 該体液が尿である、請求項28記載の方法。
  37. 該体液が血液である、請求項28記載の方法。
  38. UTIをモノクローナル抗体によって直接測定する、請求項28記載の方法。
  39. すべてのUTIを、第一モノクローナル抗体によって測定し、第二抗体によって測定された特定のUTIを、第一抗体によって測定されたUTIから差し引いて、第一抗体によって見出されたが、第二抗体によっては見出されない、UTIを測定する、請求項28記載の方法。
  40. 該抗体がウリスタチン1および/またはウリスタチン2を測定する、請求項38記載の方法。
  41. 該抗体がすべてのUTIを測定するが、プロインヒビターを測定しない、請求項38記載の方法。
  42. 該第一抗体がウリスタチン1および/またはウリスタチン2を測定し、該第二抗体がすべてのUTIを測定し、ビクニンおよびAMBKを差によって測定する、請求項39記載の方法。
  43. 該第一抗体がすべてのUTIおよびTHPを測定し、第二抗体がTHPを測定し、UTIを差によって測定する、請求項39記載の方法。
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