JP2007535939A - Erg遺伝子を単独でまたは前立腺癌中で過剰発現もしくは過少発現される他の遺伝子と組み合わせて用いる、前立腺癌を診断または治療する方法 - Google Patents

Erg遺伝子を単独でまたは前立腺癌中で過剰発現もしくは過少発現される他の遺伝子と組み合わせて用いる、前立腺癌を診断または治療する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、癌遺伝子または癌抑制遺伝子、および前立腺癌に関与している他の遺伝子、その発現産物、ならびにその誘導体および類似体に関する。治療組成物、ならびに前立腺および他の関連する癌を含めた癌を検出および治療する方法を提供する。また、少なくとも1つの前立腺癌細胞特異的遺伝子、例えば、ERG遺伝子もしくはLTF遺伝子を単独で、またはAMACR遺伝子およびDD3遺伝子のうちの少なくとも1つと組み合わせたものについて、その発現レベルを測定することにより、前立腺癌の診断および/または予後診断を行う方法も提供する。

Description

政府の権利
本明細書中に記載した発明は、その特許権使用料の支払いなしに政府での目的のために製造、認可、および使用し得る。
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が信頼されて参考として組み込まれている、2004年5月7日出願の米国仮出願第60/568,822号および2004年10月27日出願の第60/622,021号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、癌遺伝子、癌抑制遺伝子、および前立腺癌に関与している他の遺伝子、その発現産物、ならびにその誘導体および類似体に関する。本発明はさらに、治療組成物ならびに前立腺および他の関連する癌を含めた癌を検出、診断、および治療する方法に関する。
発明の背景
前立腺癌(CaP)は米国人男性において最も一般的な悪性疾患であり、癌死亡率の2番目に多い原因である(Landis他(1999)、Cancer J.Clin.、49:8-31;Jemal他(2004)、Cancer J Clin、54:8-29)。この疾患の発生および進行における分子的決定要因の理解は乏しい。近年では、CaPの分子遺伝学が集中的に調査されている。しかし、現在までに、ほとんどのCaPに共通する癌遺伝子、癌抑制遺伝子、または他の遺伝的変化は見つかっていない。p53、PTENおよびp27などの腫瘍抑制因子、またはBCL2、HER2およびC-MYCなどの癌遺伝子の変化は、原発性CaPのわずかな部分集合とのみ関連しており、より高頻度な関連は進行したCaPで観察される。
血清前立腺特異抗原(PSA)、腫瘍ステージ、およびグリーソンスコアを含めた現在の臨床パラメータは、診断時において危険因子として日常的に用いられているが、その適用は強侵襲性CaPを発生するリスクがより高い患者の同定に限られている。限局されたCaPに対して前立腺全摘除で治療した患者の約30〜40%が器官に限定されない顕微鏡的疾患を有することが判明しており、これらの患者のうちかなりの部分が再発する。(Singh他、Cancer Cell(2000)1:203-209;Henshell他、Can.Res.(2003)63:4196-4203)。したがって、CaPの発症および進行を定義する新規バイオマーカーまたは遺伝子発現パターンの発見は、強侵襲性CaPを発生するリスクがより高い患者の予測に重要である。
CaP特異的遺伝子変化は、過去5年間のいくつかの調査の集中的な研究対象となっている(Srikatan他、前立腺癌、診断および外科治療(Prostate Cancer,Diagnosis and Surgical Treatment)(2002)Springer-Verlag、25-40;Karan他、Int.J.Can.(2003)103:285-293;Augustus他、早期癌の分子病理学(Molecular Pathology of Early Cancer)(1999)IOS press:321-340;Moul他、Clin Prostate Cancer(2002)1:42-50;Lalani他、Cancer and Mets Rev(1997)16:29-66;Issacs他、Epidemiol Rev(2001)23:36-41;Ozen他、Anticancer Res(2000)20:1905-1912;Morton他、J Natl Med Assoc(1998)90:S728-731)。生物学および翻訳のどちらの研究領域にもおける有望な手がかりが、最近のゲノミクスおよびプロテオミクス技術ならびに従来の手法により現れ始めている。しかし、CaPが本質的に不均一性であることがCaPの分子的特徴づけを妨げている。
前立腺腫瘍を含めたヒト癌の分子変化を研究することにおける課題の1つは、腫瘍形成プロセスにおける標的器官の上皮および非上皮構成要素における遺伝子変化の相対的寄与を定義することである。技術の進化にもかかわらず、ヒトCaP特異的上皮細胞および間質細胞に関連する遺伝子発現の変化は依然としてよく理解されていない。
特定の前立腺癌に関連する分子変化の同定における最近の進歩にもかかわらず、前立腺組織の不均一性により、前立腺癌のすべて、または少なくともその大多数に共通する遺伝子標的の同定が妨げられている。また、前立腺癌の複雑さおよび不均一性により、診断時に臨床的に強侵襲性の癌と強侵襲性でない癌との識別を可能にする標的の同定も妨げられている。したがって、最適な診断および予後診断の重要な手がかりを提供することができる病理学的に定義された細胞集団に特異的な分子変化を同定し、腫瘍の分子的プロフィールに適合させた個別の治療の確立を支援する必要性が依然として存在する。
本明細書中の参考文献の引用は、これらの参考文献が本発明の従来技術であると解釈されるべきでない。
発明の要旨
本発明の目的の1つは、癌、特に前立腺癌を検出するための方法およびキットを提供することである。これらの方法およびキットを用いて、癌マーカーとして役割を果たす核酸またはタンパク質を(定性的もしくは定量的に)検出することができる。例えば、前立腺癌細胞特異的遺伝子ERGの発現は、被験体由来の生体試料で検出された場合には、単独で、または他の前立腺癌細胞特異的遺伝子の発現を含む他の癌マーカーと組み合わせて、被験体において前立腺癌が存在することまたは被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことを示すために用いることができる。したがって、ERGの発現を、単独で、または表1〜6に同定した任意の遺伝子の発現と組み合わせて検出することを利用して、癌、特に前立腺癌の診断または予後診断をすることができる。
本発明の一態様によれば、生体試料中のERG、AMACR、およびLTFなどの1つまたは複数の前立腺癌細胞特異的遺伝子、またはDD3遺伝子の発現の検出方法は、
(a)生体試料を少なくとも第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーと、ハイブリダイズ条件下で混合するステップであって、第1のオリゴヌクレオチドプライマーはERG(配列番号1)、AMACR(配列番号3)、および/もしくはLTF(配列番号5)などの前立腺癌細胞特異的遺伝子、ならびに/またはDD3(配列番号4)に由来する標的配列中の第1の配列とハイブリダイズする配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドプライマーは標的配列に相補的な核酸鎖中の第2の配列とハイブリダイズする配列を含み、第1の配列は第2の配列と重なり合わない、前記ステップと、
(b)生体試料中に標的配列が存在する場合に、複数の増幅産物を産生するために少なくとも1つのポリメラーゼ活性を加えるステップと、
(c)標的配列の少なくとも1つの増幅産物とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを加えるステップと、
(d)オリゴヌクレオチドプローブと少なくとも1つの増幅産物とのハイブリダイゼーションからシグナルが生じるかどうかを検出するステップであって、該シグナルの検出は生体試料中における前立腺癌細胞特異的遺伝子の発現を示す、前記ステップと、
を含む。
この方法は、好ましくは、以下の遺伝子の組合せ、すなわち、1)ERGおよびAMACR、2)ERGおよびDD3、ならびに3)ERG、AMACRおよびDD3、の発現を検出することを含む。別の実施形態では、この方法は、LTFと、ERG、AMACRおよびDD3のうち1つまたは複数とを検出することを含む。これらの遺伝子の発現は、生体試料中のERG、AMACRまたはLTFポリペプチドを測定することによっても検出することができる。
生体試料は、好ましくは前立腺組織、血液、または尿試料である。オリゴヌクレオチドプローブと少なくとも1つの増幅産物とのハイブリダイゼーションから生じるシグナルの検出を用いて、癌、特に前立腺癌の診断または予後診断を行うことができる。
オリゴヌクレオチドプローブは、場合により、固体担体に固定してもよい。生体試料中のERGの発現を検出する場合は、オリゴヌクレオチドプローブ、第1のオリゴヌクレオチドプライマー、および第2のオリゴヌクレオチドプライマーのそれぞれは、定義した条件下(好ましくは、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)で配列番号1とハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。したがって、オリゴヌクレオチドプローブ、第1のオリゴヌクレオチドプライマー、および第2のオリゴヌクレオチドプライマーは、例えば、配列番号1自体、またはその断片もしくはその相補配列を含むことができる。好ましくは、オリゴヌクレオチドプローブ、第1のオリゴヌクレオチドプライマー、または第2のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1の少なくとも約15個、少なくとも約20個、もしくは少なくとも約50個の連続したヌクレオチドを有する配列番号1の断片、またはその相補配列である。ERGの発現を検出する場合は、標的配列は好ましくは配列番号1の断片である。プローブ、プライマー、および標的配列を、同様にDD3(配列番号4)などの他の目的遺伝子、ならびに例えばAMACR(配列番号3)およびLTF(配列番号5)を含めた他の前立腺癌細胞特異的遺伝子から誘導することができる。
本発明の別の態様では、前立腺癌を診断または予後診断する方法は、
生体試料中の過剰発現されたERGおよび/もしくはAMACRなどの前立腺癌細胞特異的遺伝子、ならびに/またはDD3遺伝子の発現レベル(例えばmRNAまたはポリペプチド)を測定すること、および
ERG、AMACR、および/またはDD3遺伝子の発現レベルを、被験体における前立腺癌の存在または前立腺癌を発生する素因がより強いことと相関付けること、
を含む。
本発明の関連する態様では、前立腺癌を診断または予後診断する方法は、
生体試料中のLTFなどの過少発現された前立腺癌細胞特異的遺伝子の発現レベル(例えばmRNAまたはポリペプチド)を測定すること、および
LTF遺伝子の発現レベルを、被験体における前立腺癌の存在または前立腺癌を発生する素因がより強いことと相関付けること、
を含む。
当業者は、所望の遺伝子の発現レベルまたはパターンを、前立腺癌の存在または前立腺癌を発生する素因がより強いことと相関付ける方法を理解しているであろう。例えば、発現レベルは、対照試料または他の標準値もしくは数値範囲に比較した発現レベルの上昇あるいは低下が、前立腺癌の存在または前立腺癌を発生する素因がより強いことを示すように、定量することができる。
本発明の方法における発現レベルの上昇または低下は、同一被験体由来の良性前立腺上皮細胞などの正常な対応する組織中の前立腺癌細胞特異的遺伝子またはポリペプチドの発現レベルと比較して測定し得る。あるいは、遺伝子またはポリペプチドの発現レベルは、その被験体由来の他の非癌性試料または癌に罹患していない別の被験体から得た試料中の遺伝子もしくはポリペプチドの発現と比較して測定し得る。また、遺伝子の発現は、他の癌特異的マーカーの発現と比較することによっても正規化し得る。例えば、前立腺癌では、PSAなどの前立腺細胞特異的マーカーを、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRなどの他の遺伝子の発現レベルを比較ならびに/または正規化するための対照として用いることができる。例として、前立腺癌を診断または予後診断する方法は、ERG、DD3および/またはAMACR遺伝子の発現レベルを測定し、前立腺癌の診断または予後診断を行うことを含み、ここで対照試料と比較してERG、DD3、および/またはAMACR遺伝子の発現レベルの少なくとも2倍の上昇は、前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことを示す。逆に、例として、前立腺癌を診断または予後診断するこのような方法では、対照試料と比較してLTF遺伝子の発現の少なくとも2倍の低減は、前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことを示す。
前立腺癌細胞特異的遺伝子の発現レベル(例えばmRNAまたはポリペプチドの発現)は、本明細書中に記載の方法にしたがって、または、以下に限定されないが、免疫組織化学、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティング、ELISAを含めた任意の他の既知の検出方法、ならびに以下に限定されないが、PCR、転写媒介増幅(transcription-mediated amplification)(TMA)、核酸配列に基づいた増幅(nucleic acid sequence-based amplification)(NASBA)、自律配列複製(self-sustained sequence replication)(3SR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、およびループ媒介等温増幅(LAMP)を含めた核酸増幅法を用いて検出することができる。
本発明のさらに別の目的は、生体試料中の遺伝子発現パターンを決定する方法であって、パターンを、腫瘍細胞、特に前立腺腫瘍細胞の存在または不在と相関付けることができる方法を提供することである。例えば、AMACRおよび/またはLTFを含めた他の前立腺癌細胞特異的遺伝子(表1〜6に特定した)と組み合わせてERGを検出して、生体試料から発現プロフィールを得る。これらの前立腺癌細胞特異的遺伝子の発現プロフィールは、癌、特に前立腺癌の検出に有用である。また、DD3と組み合わせて、AMACRおよび/またはLTFなどの他の前立腺癌細胞特異的遺伝子を用いてまたは用いずに、ERGを検出して、生体試料から発現プロフィールを得ることもできる。これらの発現プロフィールも癌、特に前立腺癌の検出に有用である。生体試料中のERG、AMACR、および/またはDD3のレベルの上昇は、前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことを示す。生体試料中のLTFレベルの低下は、前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことを示す。
本発明のさらに別の目的は、生体試料中の遺伝子発現パターンを決定する方法であって、そのパターンを用いて癌、特に前立腺癌の病理ステージを示すかまたは予測することができる方法を提供することである。例えば、遺伝子発現パターンを用いて、中リスクの前立腺癌もしくは高リスクの前立腺癌を示すかまたは予測するか、あるいは前立腺癌が進行しているもしくは回復している、または寛解中であるかを予測することができる。また、遺伝子発現パターンを前立腺全摘除後の疾患のない生存の予後的指標として用いることもできる。特定の実施形態では、遺伝子発現パターンは、単独で、またはAMACRおよびLTFを含めた他の前立腺癌細胞特異的遺伝子(表1〜6に特定した)、もしくはDD3と組み合わせて、ERG遺伝子の発現レベルから導き出す。
癌、特に前立腺癌を検出するためのキットも提供する。これらのキットは、前立腺癌細胞特異的遺伝子とハイブリダイズする、本明細書中に記載のものなどの核酸プローブを含む。一実施形態では、核酸プローブは、定義されたハイブリダイゼーション条件下(好ましくは、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)で配列番号1(ERG)またはその相補体とハイブリダイズし、配列番号1自体、あるいは配列番号1の少なくとも約15個、少なくとも約20個、もしくは少なくとも約50個の連続したヌクレオチドを有する配列番号1の断片、またはその相補配列を含む。特定の実施形態では、前記プローブはERG1およびERG2アイソフォームと選択的にハイブリダイズするが、ERGアイソフォーム3〜9とはハイブリダイズしない。別の実施形態では、プローブはERG1アイソフォームと選択的にハイブリダイズするが、ERGアイソフォーム2〜9とはハイブリダイズしない。核酸プローブは、場合により、固体担体に固定してもよい。
また、キットは、DD3(配列番号4)、または例えばAMACR(配列番号3)もしくはLTF(配列番号5)を含めた表1〜6に特定した遺伝子とハイブリダイズ(好ましくは高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)する、少なくとも1つの追加の核酸プローブも含み得る。一実施形態では、キットは、高ストリンジェンシー条件下で配列番号1(ERG)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第1のオリゴヌクロエチドプローブ、および高ストリンジェンシー条件下で配列番号3(AMACR)もしくはその相補配列、または配列番号4(DD3)もしくはその相補配列、または表1〜6に特定した遺伝子とハイブリダイズすることができる少なくとも1つの別のオリゴヌクレオチドプローブを含む。関連する実施形態では、ERGおよびAMACRプローブを有するキットは、配列番号4(DD3)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第3のオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む。本明細書中に記載のキットは、任意選択で、高ストリンジェンシー条件下で配列番号5(LTF)またはその相補配列とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。
キットは、第1のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第2のオリゴヌクレオチドプライマーをさらに含んでもよく、第1のオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号1中の第1の配列とハイブリダイズする配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号1に相補的な核酸鎖中の第2の配列とハイブリダイズする配列を含み、第1の配列は第2の配列と重なり合わない。第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1中の目的の標的配列を増幅することができる。同様に、キットは、DD3(配列番号4)または例えばAMACR(配列番号3)もしくはLTF(配列番号5)を含めた前立腺癌細胞特異的遺伝子から誘導される第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーをさらに含むことができる。
本発明の別の目的は、癌、特に前立腺癌を治療するための治療方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、前立腺癌細胞中の、ERGなどのCaP細胞特異的遺伝子の発現をモジュレートする化合物を同定するためのスクリーニング方法を提供することである。
本発明は部分的には、CaPの進行のリスクが高いことと相関する遺伝子発現シグネチャの同定に基づいている。特異的遺伝子の過剰発現または過少発現は腫瘍の進行に予測的である。本発明は、単独で、あるいはDD3、またはAMACRもしくはLTFなどの他のCaP細胞特異的遺伝子と組み合わせて用いて癌、特に前立腺腫瘍の診断的標的および予後診断的標的として機能する、ERG遺伝子、および特異的遺伝子の類似体などの遺伝子を提供する。本発明は、癌、特に前立腺腫瘍の治療標的として単独でまたは組み合わせて用いることができる、ERG遺伝子、および特異的遺伝子の類似体などの遺伝子をさらに提供する。
本発明は、任意選択で検出可能に標識した抗CaP細胞特異的遺伝子抗体、例えば抗ERG遺伝子抗体から構成される診断キットをさらに開示する。また、定義した条件下(好ましくは高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)でERG核酸とハイブリダイズすることができる核酸プライマー配列および/または核酸プローブを含むキットも提供する。また、キットは、抗DD3遺伝子抗体、または抗AMACRもしくは抗LTF遺伝子抗体などの第2の抗CaP細胞特異的遺伝子抗体、あるいは、定義した条件下でDD3遺伝子またはAMACRもしくはLTF遺伝子などの別のCaP細胞特異的遺伝子とハイブリダイズすることができる第2の核酸プライマー配列のセットおよび/または核酸プローブも含み得る。
ERGなどの開示したCaP細胞特異的遺伝子は、単独で、または癌、特に前立腺癌、および他の関連する疾患のバイオマーカーと組み合わせて、治療的介入の標的としてまたは遺伝子治療剤として、用いることができる。
本発明は、特異的遺伝子の発現をモジュレートする化合物を投与することによる、過剰増殖(例えば癌、良性腫瘍)の疾患の治療を提供する。
癌細胞、特に前立腺癌細胞を、ERG遺伝子発現シグネチャを含めた特異的遺伝子発現シグネチャについて、単独で、あるいはDD3遺伝子発現シグネチャまたはAMACRもしくはLTFなどの他のCaP細胞特異的遺伝子発現シグネチャと組み合わせてスクリーニングする方法を提供する。
本発明のさらなる目的は以下の説明中に部分的に記載し、また部分的には説明から理解されるか、または本発明の実施によって知られ得るであろう。
前述の全体的な説明および以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲の発明を限定するものではないことを理解されたい。
定義
用語「CaP細胞特異的遺伝子」、すなわち「前立腺癌細胞特異的遺伝子」とは、表1〜6に特定した遺伝子を指す。この定義には、その発現が前立腺癌細胞中でアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされる、CaP細胞特異的遺伝子の類似体、例えば相同分子種およびホモログ、ならびにCaP細胞特異的遺伝子の機能的に等価な断片またはその類似体がさらに包含される。
用語「CaP細胞特異的遺伝子発現シグネチャ」とは、実施例1に記載のAffymetrix GeneChipアッセイ、実施例2に記載のQRT-PCRアッセイ、または当分野で知られている任意の他の定量的発現アッセイによって測定される、産物の発現のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションのパターンを指す。
用語「ERG」とは、本明細書中に記載のERG遺伝子またはERGのcDNAもしくはmRNAを指し、ERG1およびERG2などのERGアイソフォームが含まれる。ERG1遺伝子のcDNA配列は、登録番号M21535の下でGenBankに公開されている。ERG2遺伝子のcDNA配列は、登録番号M17254の下でGenBankに公開されている。
用語「AMACR」とは、本明細書中に記載のAMACR遺伝子またはAMACRのcDNAもしくはmRNAを指し、AMACRアイソフォームが含まれる。AMACR遺伝子のcDNA配列は、登録番号NM 014324の下でGenBankに公開されている。
用語「DD3」とは、本明細書中に記載のDD3遺伝子またはDD3のcDNAもしくはmRNAを指し、DD3アイソフォームが含まれる。DD3遺伝子のcDNA配列は、登録番号AF103907の下でGenBankに公開されており、WO98/45,420号(1998)にも開示されている。DD3は、前立腺癌抗原3(PCA3)遺伝子のエクソン4の断片を説明するために最初に用いられたが、本明細書中で使用するこの用語は、そのように限定されない。DD3は、DD3遺伝子またはcDNAもしくはmRNA全体を指すことを意図し、これは当分野では一般的にPCA3とも呼ばれる。
用語「LTF」とは、本明細書中に記載のLTF遺伝子またはLTFのcDNAもしくはmRNAを指し、LTFアイソフォームが含まれる。LTF遺伝子のcDNA配列は、登録番号NM 002343の下でGenBankに公開されている。
用語「ポリペプチド」は、用語「ペプチド」および「タンパク質」と互換的に用いられ、長さまたは翻訳後修飾(例えばグリコシル化もしくはリン酸化)、あるいは起源(例えば生物種)にかかわらず、任意のアミノ酸鎖を指す。
語句「実質的に同一の」、または「実質的に記載したとおり」とは、関連する配列が所定の配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97、98、または99%同一であることを意味する。例として、このような配列は、対立遺伝子変異体、様々な種から導いた配列、または末端切断、欠失、アミノ酸置換もしくは付加によって所定の配列から導いたものであり得る。ポリペプチドでは、比較配列の長さは一般に少なくとも20個、30個、50個、100個またはそれ以上のアミノ酸となる。核酸では、比較配列の長さは一般に少なくとも50個、100個、150個、300個、またはそれ以上のヌクレオチドとなる。2つの配列間の%同一性は、例えばAltschul他(1990)J.Mol.Biol.、215:403-410に記載のBasic Local Alignment Tool(BLAST)、Needleman他(1970)J.Mol.Biol.、48:444-453のアルゴリズム、またはMeyers他(1988)Comput.Appl.Biosci.、4:11-17のアルゴリズムなどの標準のアラインメントアルゴリズムによって決定する。
用語「特異的相互作用」、「特異的結合」などとは、2つの分子が生理条件下で比較的安定している複合体を形成することを意味する。この用語は、例えば、抗原結合ドメインがいくつかの抗原によって保有されている特定のエピトープに特異的である場合にも適用され、この場合、抗原結合ドメインを保有する特異的結合メンバーはエピトープを保有する様々な抗原と結合することができる。特異的結合は、高い親和性および低から中等度の容量によって特徴づけられている。非特異的結合は通常、低い親和性および中等度から高い容量を有する。典型的には、親和定数Kaが106M-1よりも高い場合、より好ましくは107M-1よりも高い場合、最も好ましくは 108M-1である場合に結合は特異的とみなされる。必要な場合は、結合条件を変えることによって、特異的結合に実質的に影響を与えずに非特異的結合を減らすことができる。そのような条件は当分野で知られており、日常的な技術を用いる当業者は適切な条件を選択することができる。条件は、通常、抗体の濃度、溶液のイオン強度、温度、結合にかかる時間、非関連分子(例えば血清アルブミン、乳カゼイン)の濃度などに関して定義される。用語「検出可能に標識した」とは、分子、例えばオリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマー、遺伝子もしくはその断片、またはcDNA分子の存在をマーキングし同定するための任意の手段を指す。分子の標識方法は当分野で周知であり、それだけには限定されないが、放射標識(例えば32P、35S、または125Iなどのアイソトープを用いる)および非放射標識(例えば蛍光標識および化学発光標識)が含まれる。
用語「モジュレート化合物」は、用語「治療剤」と互換的に用いられ、本明細書中で用いる場合は、転写、翻訳、もしくは翻訳後レベルのいずれかでCaP細胞特異的遺伝子発現を「モジュレートする」か、またはCaP細胞特異的ポリペプチドの生物活性をモジュレートする能力を有する任意の化合物を意味する。用語「モジュレートする」およびその同族語は、化合物の、特定の反応もしくは活性のアゴニストまたはアンタゴニストのどちらかとして作用する能力を指す。したがって、用語「モジュレートする」には、用語「活性化する」および「阻害する」が包含される。用語「活性化する」とは、例えば、モジュレート化合物が存在する場合のCaP細胞特異的遺伝子の発現またはCaP細胞特異的ポリペプチドの活性が、同化合物が存在しない場合の該遺伝子またはポリペプチドの活性と比較して増加することを指す。発現レベルまたは活性の増加は、好ましくは少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上である。同様に、用語「阻害する」とは、モジュレート化合物が存在する場合のCaP細胞特異的遺伝子の発現またはCaP細胞特異的ポリペプチドの活性が、同化合物が存在しない場合の該遺伝子またはポリペプチドの活性に比べて低下することを指す。発現レベルまたは活性の低下は、好ましくは少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上である。CaP細胞特異的遺伝子の発現レベルまたはCaP細胞特異的ポリペプチドの活性は、本明細書中に記載のように、または当分野で一般に知られている技術によって測定することができる。
用語「治療」とは、本明細書中で用語「治療方法」と互換的に用いられ、治療的処置および予防的(prophylactic/preventative)方法をどちらも指す。治療を必要としている者には、既に特定の医学的疾患に罹患している個体、および最終的に該疾患に罹患し得る個体が含まれ得る。
用語「単離した」とは、その天然の環境から実質的に分離された分子を指す。任意の操作、例えば過剰発現、部分精製などによって天然に存在するレベルを超えて増加した任意量のその分子が、この定義に包含される。部分精製した組成物に関してだけは、この用語は、少なくとも50〜70%、70〜90%、90〜95%(w/w)、またはそれ以上純粋である単離した化合物を指す。
用語「有効な用量」、または「有効量」とは、患者の症状の寛解または所望の生物学的結果、例えば細胞増殖の阻害をもたらす化合物の量を指す。有効量は、続くセクションに記載のように決定することができる。
用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、および「DNA」とは、本明細書中で互換的に用いられ、デオキシリボ核酸(DNA)を指し、必要に応じてリボ核酸(RNA)を指す。また、この用語にはヌクレオチド類似体、および一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドが含まれることも理解されるべきである。ポリヌクレオチドの例には、それだけには限定されないが、プラスミドDNAまたはその断片、ウイルスDNAまたはRNA、アンチセンスRNAなどが含まれる。用語「プラスミドDNA」とは、環状の二本鎖DNAを指す。
本明細書中で使用する用語「定義した条件下でのハイブリダイゼーション」、または「定義した条件下でハイブリダイズする」とは、その下では有意に同一であるまたは互いに相同性であるヌクレオチド配列が互いに結合して保持される、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記載することを意図する。この条件は、長さが少なくとも約6個、より好ましくは少なくとも約20個、50個、100個、150個、300個、またはそれ以上のヌクレオチドであり、同一性が少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85〜90%である配列が、互いに結合して保持されるような条件である。同一性%は、Altschul他(1997)Nucleic Acids Res.、25:3389-3402に記載のように決定することができる。
適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubel他(2004)、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sonsに例示したような最小限の実験を用いて、当業者が選択することができる。さらに、ストリンジェントな条件がSambrook他(2001)分子クローニング:実験室の手引き(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。低ストリンジェンシーの定義された条件の非限定的な例は以下のとおりである。DNAを含むフィルターは、6時間40℃で、35%のホルムアミド、5×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%のPVP、0.1%のフィコール、1%のBSA、および500μg/mlの変性サケ精子DNAを含む溶液中で前処理を行う。ハイブリダイゼーションは、以下の改変を含む同一溶液中で実施する:0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.2%のBSA、100μg/mlのサケ精子DNA、10%(重量/体積)の硫酸デキストラン、および5〜20×106cpmの32P標識プローブを用いる。ハイブリダイゼーション混合物中でフィルターのインキュベーションを18〜20時間、40℃で行い、その後、1.5時間55℃で、2×SSC、25mMのトリス-HCl(pH7.4)、5mMのEDTA、および0.1%のSDSを含む溶液中で洗浄する。洗浄溶液を新しい溶液と取り替え、さらに1.5時間60℃でインキュベーションを行う。フィルターをぬぐって乾燥させ、オートラジオグラフィーに露光する。当分野で周知の低ストリンジェンシーの他の条件を用い得る(例えば、異生物種間ハイブリダイゼーションで用いられるように)。
定義された高ストリンジェンシー条件の非限定的な例は以下のとおりである。DNAを含むフィルターのプレハイブリダイゼーションを、8時間〜終夜65℃で、6×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.02%のBSA、および500μg/mlの変性サケ精子DNAからなる緩衝液中で実施する。フィルターを、48時間65℃で、100μg/mlの変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpmの32P標識プローブを含むプレハイブリダイゼーション混合物中でハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄を、37℃で1時間、2×SSC、0.01%のPVP、0.01%のフィコール、および0.01%のBSAを含む溶液中で行う。これに次いで、0.1×SSC中、50℃で45分間の洗浄を行う。当分野で周知の他の高ストリンジェンシー条件を用い得る。オリゴヌクレオチドは、高ストリンジェンシー条件下で標的配列と特異的にハイブリダイズする。
用語「固体担体」とは、アッセイ方法の溶媒および温度条件下において本質的に不溶性である物質を意味し、これはオリゴヌクレオチドまたは核酸を結合するために利用可能な遊離化学基を含む。好ましくは、固体担体は、直接または間接的に標的核酸と結合するように設計されたオリゴヌクレオチドに共有結合されている。標的核酸がmRNAである場合は、固体担体に付着したオリゴヌクレオチドは好ましくはポリT配列である。好ましい固体担体は、1ミクロンもしくは1ミクロン未満の大きさのビーズまたは球などの粒子である。例えば、シリカ、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、金属、ポリスチレン、ラテックス、ニトロセルロース、ポリプロピレン、ナイロンまたはその組合せなどの、様々な固体担体物質が企図される。より好ましくは、固体担体は、磁鉄鉱の核を有する固体担体など、磁場によってある位置に誘引される能力を有する。特に好ましい担体は単分散の磁性球である(すなわち均一の大きさで+-約5%である)。
用語「検出する」または「検出」とは、例えば標識プローブを核酸の一部分とハイブリダイズさせることなど、核酸の存在を判定するための様々な方法のうち任意のものを意味する。標識プローブとは、別の配列と特異的に結合し、例えば蛍光部分、化学発光部分(適切な条件下で化学発光により検出することができるアクリジニウムエステル(AE)部分など(米国特許第5,283,174号に記載))、放射性同位体、ビオチン、アビジン、酵素、酵素基質、または他の反応基であり得る検出可能な基を含む、オリゴヌクレオチドである。他の周知の検出技術には、例えば、アンプリコンのゲル濾過、ゲル電気泳動および可視化、ならびに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が含まれる。本明細書全体にわたって使用する用語「検出する」または「検出」には、定性的または定量的な検出が含まれる。
用語「プライマー」または「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、標的核酸の領域またはその相補体と結合し、標的核酸の核酸増幅を促進する能力を有するオリゴヌクレオチドを意味する。一般に、プライマーは、核酸ポリメラーゼによって伸長することができる遊離3'末端を有する。また、プライマーには、一般に、相補的塩基相互作用により、標的核酸の少なくとも1つの鎖と直接的に、または標的配列に相補的な鎖とハイブリダイズすることができる塩基配列も含まれる。プライマーは、標的特異的配列、および場合により、標的配列に非相補的な他の配列を含み得る。これらの非相補配列は、プロモーター配列または制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み得る。
CaP細胞特異的遺伝子発現シグネチャの同定
本発明は、一貫したCaP上皮細胞特異的遺伝子発現シグネチャの同定および検証に部分的に基づいている。これらの遺伝子発現シグネチャは、強侵襲性および強侵襲性でない癌発生の経過の区別をつける前立腺上皮細胞中の遺伝子ならびに経路を同定することによって、進行した疾患を発生するリスクのあるCaPに罹患している患者を定める。2つの患者群を選択した。それらは、例えばPSAの再発、グリーソンスコア8〜9、T3cステージ、精嚢の侵襲、低分化腫瘍を示す、高リスク(HR)群と、例えばPSAの再発なし、グリーソンスコア6〜7、T2a〜T3bステージ、精嚢の侵襲なし、高または中分化腫瘍を示す、中リスク(MR)群である。2つの患者群を既知の危険因子、すなわち年齢、人種、およびCaPの家族歴に対応させた。2つの患者群の腫瘍および正常な前立腺からのLCM由来上皮細胞を、以下の実施例1に記載のようにGeneChip解析によって比較した。結果は、以下の実施例2に記載のように定量的逆転写酵素PCR(QRT-PCR)を用いて検証した。強侵襲性または強侵襲性でないCaPと最も高い関連性を有すると同定かつ検証された遺伝子群を用いて、CaPの進行の可能性のある経過を信頼性をもって判定することができる。
驚くべきことに、本研究においてCaP細胞中で同定された最も一貫して過剰発現される遺伝子の1つは、ETS転写因子ファミリーのメンバーであるERG(ETS関連遺伝子)癌遺伝子であった。(Oikawa他、Gene(2003)303:11-34;Sharrocks,AD、Nat Rev Mol Cell Biol(2001)2(11):827-37;Hart他、Oncogene(1995)10(7):1423-30;Rao他、Science(1987)237(4815):635-639)。ERGの2つのアイソフォーム、すなわちERG1およびERG2が最も高い頻度で過剰発現される。ERG1のコード配列(開始コドンおよびストップコドンに下線を引いた)は、以下のように登録番号M21535の下でGenBankから公的に入手できる:
Figure 2007535939
配列番号1のヌクレオチド195〜1286は配列番号1のコード配列を表す。
ERG2のコード配列は、以下のように登録番号M17254の下でGenBankから公的に入手できる(開始コドンおよびストップコドンに下線を引いた):
Figure 2007535939
配列番号2のヌクレオチド257〜1645は配列番号2のコード配列を表す。
20人のCaP患者の顕微解剖した腫瘍および良性の前立腺上皮細胞におけるQRT-PCR(TaqMan)による検証から、患者の95%(20人中19人)でERGアイソフォームERG1および/またはERG2の一貫した腫瘍に関連した過剰発現が確認された(図1A)。品質試験ならびに比較として、最近同定されたCaP組織マーカーであるAMACRの発現(Rubin他、JAMA(2002)287:1662-1670;Luo他、Cancer Res(2002)62:2220-2226)、およびCaP中で発現が低下していることが知られている遺伝子であるGSTP1の発現(Nelson他、Ann N Y Acad Sci(2001)952:135-144)も決定した(図1Bおよび1C)。ERGと同様に、患者の95%のCaP細胞でAMACRについて頑強な過剰発現が観察され、一方で、各CaP患者の腫瘍細胞中でGSTP1の発現は有意に低下しており、腫瘍および良性のLCM検体の品質の高さならびにQRT-PCRの信頼性が確認された。
最近では、ERG遺伝子を含む染色体領域(21q22.2〜q22.3)の詳細なマッピング、および9個の代替転写物(またはアイソフォーム)を有する完全なエクソン-イントロン構造が記載されている。(Owczarek他、Gene(2004)324:65-77)。本発明者らによるCaP中の一貫したERG過剰発現の最初の発見で用いたAffymetrix GeneChip上のプローブ、および検証実験用に設計したTaqManプローブは、ERG1および2のアイソフォームにのみ特異的な領域を認識する。
ERGおよびETSは、どちらも細胞分裂活性および形質転換活性を有する前癌遺伝子である。(Sharrocks,AD、Nat Rev Mol Cell Biol(2001)2(11):827-37;Seth他、Proc Natl Acad Sci USA(1989)86:7833-7837)。ERGの調節解除または染色体再編成は、ユーイング肉腫、骨髄性白血病および子宮頸癌に関連している。(DeAlva他、Int J Surg Pathol(2001)9:7-17;Simpson他、Oncogene(1997)14:2149-2157;Shimizu他、Proc Natl Acad Sci USA(1993)90:10280-284;Papas他、Am J Med Genet Suppl.(1990)7:251-261)。ETS2はCaPに関連づけられているが、これはCaP検体のわずかな割合でのみ過剰発現される。(Liu他、Prostate(1997)30:145-53;Semenchenko他、Oncogene(1998)17:2883-88)。DNAコピー数の増幅を伴わないERGの過剰発現が、急性骨髄性白血病で最近報告されている。(Balduc他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2004)101:3915-20)。Gavrilov他、Eur J Cancer(2001)37:1033-40は、非常に限られた数の高悪性度前立腺癌試料中でETSファミリーのいくつかのタンパク質を含めた様々な転写因子の発現を調べている。ETSファミリータンパク質に対する抗体であるElf-1およびFli-1は、ほとんどの高悪性度前立腺癌試料で強い染色を引き起こした。対照的に、ERGタンパク質は、試験したほとんどの試料の非癌性の内皮細胞(間質中の微小血管)で検出されたが、高悪性度前立腺癌では少数でのみ検出された。ETSファミリーのタンパク質はヒト組織中で様々な発現パターンを有する。(Oikawa他、Gene(2003)303:11-34)。ERGは、内皮組織、造血細胞、腎臓、および泌尿生殖器管中で発現される。ERGタンパク質は、ホモ二量体、およびETS転写因子ファミリーのいくつかの他のメンバーとヘテロ二量体を形成する、核転写因子である。(Carrere他、Oncogene(1998)16(25):3261-68)。ERGとエストロゲン受容体(ER-α)との間に観察された陰性クロストークは、両方の転写因子が発現される泌尿生殖器組織中で関連している可能性がある。(Vlaeminck-Guillem他、Oncogene(2003)22(50):8072-84)。本発明は、解析したCaP検体の大多数でERGが過剰発現されているという驚くべき発見に部分的に基づいており、これは、この癌遺伝子が、恐らくは前立腺上皮中の腫瘍化を促進する標的遺伝子の転写をモジュレートすることによって前立腺腫瘍化において役割を果たすことを示している。
本発明はさらに、前立腺癌上皮中のAMACR遺伝子の過剰発現に部分的に基づいている。AMACRのcDNA配列は、登録番号NM 014324およびAF047020の下でGenBankから公的に入手できる。登録番号NM 014324に対応する配列(開始コドンおよびストップコドンに下線を引く)は以下のとおりである:
Figure 2007535939
配列番号3のヌクレオチド83〜1231はAMACRのコード配列を表す。
本発明はさらに、前立腺癌上皮中のDD3遺伝子の過剰発現に部分的に基づいている。DD3遺伝子のcDNA配列は、登録番号AF103907の下でGenBankから公的に入手できる。登録番号AF103907に対応する配列は以下のとおりである:
Figure 2007535939
DD3遺伝子は非コード核酸を表すと考えられる。したがって、開始コドンおよびストップコドンを示していない。
本発明はさらに、前立腺癌上皮中のLTF遺伝子の過少発現に部分的に基づいている。ラクトトランスフェリン(LTF)遺伝子のcDNA配列は、登録番号NM 002343の下でGenBankから公的に入手できる。登録番号NM 002343に対応する配列(開始コドンおよびストップコドンに下線を引く)は以下のとおりである:
Figure 2007535939
配列番号5のヌクレオチド39〜2171はLTFのコード配列を表す。
LTFは非ヘム鉄結合糖タンパク質であり、転移遺伝子ファミリーのメンバーである。Bowman他、Adv.Genet.25:1-38(1988);Park他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82:3149-53(1985)。ヒト前立腺中のLTFの濃度はホルモン依存性であり、その発現はエストロゲンによって制御されている。van Sande他、Urol.Res.、9(5):241-44(1981);Teng他、Biochem.CellBiol.、80:7-16(2002);Teng他、Mol.Human Reproduction.、8、(1):58-67(2002)。また、LTFは特定の癌に関連づけられている。例えば、ウシLTFは、ラットにおいて結腸癌、食道癌、肺癌、および膀胱癌を阻害する。Tsuda他、Biochem.Cell Biol.、80:131-136(2002);Tsuda他、Biofactors.、12(1-4):83-8(2000);Tsuda他、Biofactors.、12(1-4):83-8(2000);Tsuda他、Mutat Res.、462(2-3):227-33(2000)。20年以上前に発表された研究、van Sande他、Urol.Res.9:241-244(1981)では、ヒト良性前立腺肥大症試料中のラクトフェリンタンパク質レベルを検査している。彼らはまた、3つの癌腫試料中で低レベルのラクトフェリンタンパク質を検出している。しかし、多数の患者試料からの前立腺癌上皮細胞中で一貫したかつ有意なLTFのmRNAの過少発現を報告するのは、本発明者らが初めてである。このような統計的に有意な試料数においてLTFのmRNAの過少発現が観察されたことは、LTFの過少発現が前立腺癌の有用な診断的マーカーであることを示している。
一実験では、Affymetrix GeneChipを用いてスクリーニングを行った場合、CaP腫瘍細胞は、対応する良性細胞と比較してアップレギュレーションされたAMACRの発現を示した。研究したこの患者コホートでは(n=73)、AMACRは患者の89.04%(73人中65人)で対応する良性前立腺上皮と比較して腫瘍中でアップレギュレーションされており、一方でERGは78.08%(73人中57人)でアップレギュレーションされていた。これら2つのマーカーを組み合わせた場合、研究した患者コホートにおいて100%のCaP検出率(少なくとも1つのマーカーがアップレギュレーションされたという基準の下)が観察された(73人中73人)。これらのデータは、ERGおよびAMACRの組合せのスクリーニングにより、CaPを検出するための高度に正確な手段が提供されることを示している。
別の実験では、患者の96.4%が、55人のCaP患者からのレーザー顕微解剖した対応する腫瘍および良性の前立腺上皮細胞中で、ERGまたはAMACR遺伝子のどちらかのアップレギュレーションを示した(図5)。同様に、患者の96.4%が、ERGまたはDD3遺伝子のどちらかのアップレギュレーションを示した(図5)。ERG、AMACR、およびDD3遺伝子の発現データを組み合わせた場合、CaP患者の98.2%が腫瘍細胞中の3つの遺伝子の少なくとも1つのアップレギュレーションを示した(図5)。したがって、ERG、AMACR、およびDD3のスクリーニングの組合せによっても、CaPを検出するための高度に正確な手段が提供される。
さらに別の実験では、20人のCaP患者の顕微解剖した腫瘍および良性の前立腺上皮細胞中におけるQRT-PCR(TaqMan)による検証から、患者の100%(20人中20人)においてLTFの一貫した腫瘍に関連した過少発現が確認された(図1D)。103人のCaP患者の顕微解剖した腫瘍および良性の前立腺上皮細胞におけるQRT-PCRによるさらなる検証研究は最初の結果と一致しており、患者の76%(103人中78人)で腫瘍に関連した過少発現が示された。
診断的使用
一実施形態では、本発明は、CaP細胞特異的遺伝子発現シグネチャについて生体試料のスクリーニングを行うことを含む、CaPの診断方法を含む。具体的には、本発明は、表1〜6に記載のCaP細胞特異的遺伝子の少なくとも1つ、特にERG遺伝子、AMACR遺伝子、LTF遺伝子またはERG遺伝子およびAMACR遺伝子の組合せについてスクリーニングを行うことを含む。また、本発明は、ERGおよびDD3遺伝子、またはERG、DD3、およびAMACR遺伝子の組合せの発現について生体試料のスクリーニングを行うことを含む、CaPの診断方法を含む。
さらなる実施形態では、本発明は、例えば、免疫組織化学、ELISA、in situ RNAハイブリダイゼーション、ならびにPCR(QRT-PCRを含む)、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列に基づいた増幅(NASBA)、自律配列複製(3SR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、およびループ媒介等温増幅(LAMP)を含めた公知のまたはのちに開発される任意のオリゴヌクレイチド増幅法を含めた、当分野で知られている方法を用いて、CaP細胞特異的遺伝子発現シグネチャについて生体試料のスクリーニングを行うことを含む、CaPの診断方法を含む。例えば、Mullis、米国特許第4,683,202号;Erlich他、米国特許第6,197,563号;Walker他、Nucleic Acids Res.、20:1691-1696(1992);Fahy他、PCR方法および応用(PCR Methods and Applications)、1:25-33(1991);Kacian他、米国特許第5,399,491号;Kacian他、米国特許第5,480,784号;Davey他、米国特許第5,554,517号;Birkenmeyer他、米国特許第5,427,930号;Marshall他、米国特許第5,686,272号;Walker、米国特許第5,712,124号;Notomi他、European 特許出願 No.1 020 534 A1;Dattagupta他、米国特許第6,214,587号;およびHELEN H.LEE他、核酸増幅技術:疾患診断への応用(NUCLEIC ACID AMPLIFICATION TECHNOLOGIES:APPLICATION TO DISEASE DIAGNOSIS)(1997)参照。前述の増幅の参考文献のそれぞれを本明細書中に参考として組み込む。具体的には、本発明は、免疫組織化学アッセイで用いるための、ERG、AMACR、LTF、およびDD3を含めたCaP細胞特異的遺伝子に対する抗体を産生することを含む。他の知られている診断的アッセイを用いて遺伝子発現を検出し得る。
具体的な実施形態では、本発明は、例えば免疫組織化学、ELISA、in situハイブリダイゼーション、PCR(QRT-PCRを含む)、転写媒介性増幅(TMA)、核酸配列に基づいた増幅(NASBA)、自律配列複製(3SR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、およびループ媒介等温増幅(LAMP)を含めた当分野で知られている方法を用いて、ERGおよびAMACR遺伝子、ERGおよびDD3遺伝子、またはERG、AMACR、およびDD3遺伝子、またはLTF遺伝子の発現について生体試料のスクリーニングを行うことを含む、CaPの診断方法を含む。
ERG、LTF、もしくはAMACRポリペプチド、それらの断片または他の誘導体、あるいはそれらの類似体を免疫原として用い、そのような免疫原と特異的に結合する抗体を産生することができる。このような抗体には、それだけには限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖およびFab断片が含まれる。具体的な実施形態では、ヒトERG、LTFまたはAMACRタンパク質に対する抗体を産生する。その後、抗体を標準の診断的アッセイで用いて、所望の遺伝子によって産生されたタンパク質を検出することができる。
当分野で知られている様々な手順を用いて、ERG、LTF、もしくはAMACRタンパク質または誘導体もしくは類似体に対するポリクローナル抗体を産生し得る。特定の実施形態では、ERG、LTF、またはAMACRタンパク質のエピトープに対するウサギポリクローナル抗体を得ることができる。抗体を産生するため、天然ERG、LTF、もしくはAMACRタンパク質、またはその合成体、もしくは誘導体(例えば断片)を注射することによって、それだけには限定されないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含めた様々な宿主動物の免疫化を行うことができる。宿主の種に応じた、免疫学的応答を増大させるための様々なアジュバント、例えば、それだけには限定されないが、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット-ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウムパルバム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントなどを、用い得る。
ERG、LTF、もしくはAMACRタンパク質配列またはその類似体に向けられたモノクローナル抗体の調製には、連続継代細胞系の培養によって抗体分子の産生をもたらす任意の技術を用い得る。例えば、Kohler他(1975)Nature、256:495-497が最初に開発したハイブリドーマ技術、ならびにトリオーマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor他(1983)Immunology Today、4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Cole他(1985)モノクローナル抗体および癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R.Liss,Inc.、ページ77-96)である。本発明によれば、ヒト抗体を用いてもよく、ヒトハイブリドーマを用いることによって(Cote他(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、80:2026-2030)、またはヒトB細胞をEBVウイルスで、in vitroで形質転換させることによって(Cole他(1985)モノクローナル抗体および癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R.Liss、ページ77-96)それを得ることができる。本発明によれば、ERG、LTF、またはAMACR特異的マウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングすることによる、キメラ抗体を産生するために開発された技術(Morrison他(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、81:6851-6855;Neuberger他(1984)Nature、312:604-608;Takeda他(1985)Nature、314:452-454)を用いることができる。そのような抗体は本発明の範囲内にある。
一本鎖抗体を産生するための記載された技術(米国特許第4,946,778号)を用いて、ERG、LTF、またはAMACR特異的一本鎖抗体を産生することができる。本発明のさらなる実施形態では、ERG、LTFもしくはAMACRタンパク質、誘導体、または類似体に対して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ容易な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリを構築するための記載された技術を利用する(Huse他(1989)Science、246:1275-1281)。
分子のイディオタイプを含む抗体断片は、知られている技術を用いて産生することができる。例えば、そのような断片には、それだけには限定されないが、抗体分子のペプシン消化によって産生することができるF(ab')2断片;F(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって産生することができるFab'断片、抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することによって産生することができるFab断片、ならびに一本鎖Fv(scFv)断片を含めたFv断片が含まれる。
抗体の産生において、所望の抗体のスクリーニングは、当分野で知られている技術、例えば、ELISAによって実行することができる。例えば、ERG、LTF、またはAMACRタンパク質の特定のドメインを認識する抗体を選択するためには、そのようなドメインを含むERG、LTF、またはAMACR断片と結合する産物について作製されたハイブリドーマのアッセイを行えばよい。
本発明の第2の態様は、診断方法におけるこれらの方法から得られる発現プロフィールの使用を提供し、限定されないが、例えば任意の治療に対する治療応答を特徴づけること、発現プロフィールを臨床病理的特徴と相関付けること、不活性前立腺癌をより強侵襲性の表現型のものから識別すること(例えば中リスク対高リスク)、予後診断の実施に役立てるために前立腺全摘除によって治療した患者の腫瘍検体を解析すること、改良された前立腺癌検出のための血液検査として用いるポリヌクレオチドアレイを開発するための候補遺伝子のスクリーニングを行うこと、ならびに進行前立腺癌を治療する薬物のスクリーニングを行うための、治療応答におけるバイオマーカーとして役立つさらなる遺伝子を同定することが挙げられる。
当業者には容易に理解されるように、本明細書中に記載のERG、LTF、DD3、および/またはAMACRの核酸配列は、容易に担体上で直接合成することができ、または、例えばそのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,744,305号、第5,837,832号、および第5,861,242号に記載のように、予め合成したポリヌクレオチドプローブを担体に固定し得る。
このようなアレイを用いて、そのそれぞれが本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,744,305号、第5,837,832号、および第5,861,242号に記載のように、標的細胞または試料中に含まれる特異的核酸配列を検出し得る。より詳細には、本発明では、これらのアレイは、生体試料中の遺伝子の発現プロフィールを評価することなどによる、前立腺癌の診断または予後診断方法に用い得る。好ましい実施形態では、発現プロフィールを解析するためのコンピュータモデルを開発し得る。さらに、そのようなポリヌクレオチドアレイは、進行した前立腺癌を治療するための薬物のスクリーニングを行う方法において有用である。これらのスクリーニング方法では、薬物がどのようにERG、LTF、AMACR、および/またはDD3遺伝子の発現に影響を与えるかを解析するために、ポリヌクレオチドアレイを用いる。
治療的使用
本発明は、治療化合物(本明細書中で「治療剤」と呼ぶ)を投与することによる、様々な疾患および障害の治療または予防を提供する。「治療剤」には、それだけには限定されないが、ERGまたはLTFタンパク質ならびにその類似体および誘導体(断片を含む)(例えば本明細書中に上述のもの);ERGもしくはLTFタンパク質、類似体、または誘導体をコードしている核酸;ERGまたはLTFのアンチセンス核酸、ERGまたはLTFのドミナントネガティブ突然変異体、ERGまたはLTFに対するsiRNA、ERGまたはLTFの抗体およびERGまたはLTFのアゴニストおよびアンタゴニストが含まれる。小分子を含めたERGまたはLTFのアゴニストおよびアンタゴニストは、本出願中に開示した方法、または任意の標準のスクリーニングアッセイを用いて同定することができ、特に前立腺癌細胞においてERGもしくはLTFの発現または機能をモジュレートする薬剤を同定する。例えば、ERGもしくはLTFの発現または機能は、例えば、患者から例えば組織試料(例えば生検組織から)、血液試料、または尿試料などの生体試料を得て、mRNAもしくはタンパク質のレベル、発現されたERGもしくはLTFのmRNAまたはタンパク質の構造および/あるいは活性についてin vitroでアッセイを行うことによって、容易に検出することができる。当分野で標準の多くの方法を用いることができ、それだけには限定されないが、キナーゼアッセイ、ERGもしくはLTFタンパク質を検出および/または可視化するための免疫アッセイ(例えば、ウェスタンブロット、免疫沈降、次いでSDS-PAGE、免疫細胞化学など)、ならびに/あるいはERGもしくはLTFのmRNAを検出および/または可視化することによるERGもしくはLTFの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、in situハイブリダイゼーション、PCR(RT-PCRを含む)、TMA、NASAB、3SR、LCR、SDA、LAMPなど)が含まれる。
過剰増殖性障害
細胞の過剰増殖に関与する障害は、ERGの機能もしくは発現を拮抗する(低減させるまたは阻害する)、またはLTFの機能もしくは発現を増強する治療剤を投与することによって治療あるいは予防する。特定の実施形態では、ERGの機能は、ERGのアンチセンス核酸を用いることによって阻害される。本発明は、本明細書中に記載のERGヌクレオチドのうち任意のものに対するアンチセンス中の少なくとも10個、15個、100個、200個、500個、1000個、1500個、2000個、または2500個の連続したヌクレオチドの核酸の、治療的または予防的使用を提供する。特定の実施形態では、ERGのアンチセンス核酸は、ERGのヌクレオチド配列に対してアンチセンス方向で少なくとも10個、15個、100個、200個、500個、1000個、1500個、2000個、または2500個の連続したヌクレオチドを含む。本明細書中で使用するERG「アンチセンス」核酸とは、ある程度の配列相補性により定義した条件下でERG核酸の一部分とハイブリダイズすることができる核酸をいう。アンチセンス核酸は、ERG核酸のコード領域および/または非コード領域に相補的であり得る。そのようなアンチセンス核酸は、ERGの機能を阻害する治療剤として有用性があり、本明細書中に記載のような障害の治療または予防に用いることができる。
本発明のアンチセンス核酸は、二本鎖もしくは一本鎖のオリゴヌクレオチド、RNAもしくはDNAまたはその修飾体もしくは誘導体であることができ、これを直接細胞に投与するか、または外来性の導入したコード配列の転写によって細胞内で産生させることができる。
本発明のドミナントネガティブ突然変異体は、ERGのDNA結合ドメインなどのERGの非機能的ドメインをコードしている核酸を含む発現プラスミドによって産生することができる。これらの発現プラスミドを標的細胞または組織中に導入することができ、細胞の過剰増殖に影響を与える野生型ERG転写因子に対するドミナントネガティブ型として作用することによって、腫瘍増殖の阻害およびアポトーシスを誘発することができる(Oikawa,Cancer Sci(2004),95:626-33)。
ERG遺伝子に対するsiRNAを用いて、RNA干渉を行うことができる。siRNAとは、標的遺伝子の領域に相補的なヌクレオチド配列を含む、約18〜25個のヌクレオチドの短い二本鎖RNA分子である。siRNAは、例えば発現プラスミドを用いることによって標的細胞または組織内に導入することができ、そこでERG遺伝子の翻訳に干渉する。RNA干渉技術は、例えば、そのそれぞれが参考として組み込まれている米国公開特許出願第20040192626号、第20040181821号、および第20030148519号に記載の知られている方法を用いて実施することができる。
障害を治療するための、本発明のこの実施形態によって有用な治療剤は、細胞の生存または分化の促進に関する生物活性を試験することによって、選択し得る。例えば、前立腺癌の治療を含めた癌の治療に関する具体的な実施形態では、治療剤は腫瘍細胞の増殖を低減させる。このような効果は、実施例に記載のように、または当分野で標準的な任意の他の方法を用いて測定することができる。
具体的な実施形態では、悪性疾患もしくは増殖不全の変化(化生および異形成など)、または過剰増殖性障害を、前立腺において治療または予防する。
また、ERG活性に拮抗する本発明の治療剤は、前悪性状態を治療するため、および新生物性またはそれだけには限定されないが前立腺癌などの本明細書中に記載の障害を含めた悪性状態への進行を予防するために投与することもできる。
遺伝子治療
具体的な実施形態では、ERGまたはLTFの機能を促進するために、遺伝子治療によってERGもしくはLTFタンパク質またはその機能的な誘導体をコードしている配列を含む核酸を投与する。あるいは、ERGの発現または機能を拮抗阻害するためにアンチセンスERG配列を含む核酸を投与する。遺伝子治療とは、核酸を被験体に投与することによって行う治療を言う。
当分野で利用可能な遺伝子治療方法のうち任意の方法を、本発明に従って使用することができる。具体的なプロトコルは、Morgan(2001)遺伝子治療プロトコル(Gene Therapy Protocols)、第2版、Human Pressを参照されたい。遺伝子治療方法の一般的な総説には、Goldspiel他(1993)Clinical Pharmacy、12:488-505;Wu他(1991)Biotherapy、3:87-95;Tolstoshev(1993)Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、32:573-596;Mulligan(1993)Science、260:926-932;およびMorgan他(1993)Ann.Rev.Biochem.、62:191-217;May(1993)TIBTECH、11(5):155-215)を参照されたい。使用することができる組換えDNA技術の当分野で一般的に知られている方法は、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(2004)、Ausubel他編、John Wiley & Sons、NY;ならびにKriegler(1990)遺伝子導入および発現、実験室の手引き(Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual)、Stockton Press、NYに記載されている。
一実施形態では、治療剤は、ベクターの一部であるERGもしくはLTF核酸またはアンチセンスERG核酸を含む。具体的には、このような核酸は、ERGもしくはLTFのコード領域またはアンチセンス分子に機能しうるように連結したプロモーターなどの調節配列を有し、前記プロモーターは誘導性または構成的であり、かつ任意には組織特異的である。別の特定の実施形態では、ERGまたはLTFのコード配列および任意の他の所望の配列がゲノム中の所望の部位での相同組換えを促進する領域に隣接している核酸分子を用い、これによりERGまたはLTFの核酸の染色体内発現がもたらされる(Koller他(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、86:8932-8935;Zijlstra他(1989)Nature、342:435-438)。
具体的な実施形態では、遺伝子治療を目的として導入する核酸は、核酸の発現が適切な転写誘発因子によって制御可能となるように、所望の核酸に機能しうるように連結した誘導性プロモーターを含む。
患者内への核酸の送達は、直接的であるか(この場合、患者を核酸もしくは核酸保持ベクターに直接曝す)、または間接的であり得る(この場合、in vitro細胞を核酸でまず形質転換し、その後、患者内に移植する)。これら2つの手法は、それぞれin vivoまたはex vivo遺伝子治療として知られている。
具体的な実施形態では、核酸をin vivoで直接投与し、ここで核酸が発現されてコードされている産物が産生される。これは、当分野で知られている数々の方法のうちの任意のものによって、例えば、適切な核酸発現ベクターの一部として構築して細胞内に入るようにそれを投与することによって実行することができ、これは、例えば、不完全もしくは弱毒化したレトロウイルスまたは他のウイルスベクターを用いた感染によって(本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第4,980,286号参照)、あるいは裸DNAを直接注入することによって、あるいは微粒子銃(例えば遺伝子銃;Biolistic、DuPont)を使用することによって、あるいは脂質もしくは細胞表面受容体またはトランスフェクション剤で被覆することによって、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセル中にカプセル封入、あるいは核に入ることが知られているペプチドと結合させて投与することによって、受容体媒介エンドサイトーシスの対象となるリガンドと連結させて投与することによって(例えばWu他(1987)J.Biol.Chem.、262:4429-4432参照)、行う。別の実施形態では、エンドソームを破壊して核酸がリソソーム分解を回避することを可能にするようにリガンドが融合ウイルスペプチドを含む、核酸-リガンド複合体を形成してもよい。さらに別の実施形態では、特異的受容体を標的とすることによって、細胞特異的な取込みおよび発現のために核酸をin vivoで標的とすることができる(例えば。PCT国際公開公報WO92/06,180号;WO92/22,635号;WO92/20,316号;WO93/14,188号;WO93/20,221号参照)。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同組換えにより、発現のために宿主細胞のDNA内に組み込ませることができる(Koller他(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、86:8932-8935;Zijlstra他(1989)Nature、342:435-438)。
具体的な実施形態では、ERGまたはLTF核酸を含むウイルスベクターを用いる。例えば、レトロウイルスベクターを用いることができる(Miller他(1993)Meth.Enzymol.、217:581-599参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージングおよび宿主細胞DNA内への組込みに不要なレトロウイルス配列が欠失しているように改変されている。遺伝子治療で用いるERGまたはLTF核酸をベクター内にクローニングするが、これにより遺伝子を患者内へ送達することが容易になる。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細はBoesen他(1994)Biotherapy、6:291-302中に見つけることができ、これは、幹細胞を化学療法に対してより耐性を持たせるためにMDRL遺伝子を造血幹細胞に送達するための、レトロウイルスベクターの使用を記載している。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を例示している他の参考文献は、Clowes他(1994)J.Clin.Invest.、93:644-651;Kiem他(1994)Blood、83:1467-1473;Salmons他(1993)Hum.Gene Ther.、4:129-141;and Grossman他(1993)Curr.Opin.Gen.Devel.、3:110-114である。
アデノウイルスは、遺伝子治療に用いることができる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、遺伝子を気道上皮に送達するために特に魅力的なベヒクルである。アデノウイルスは気道上皮に自然に感染し、ここで緩慢な疾患を引き起こす。アデノウイルス系の送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染できるという利点を有する。Kozarsky他(1993、Curr.Opin.Gen.Devel.、3:499-503)は、アデノウイルス系の遺伝子治療の総説を示している。Bout他(1994、Hum.Gene Ther.、5:3-10)は、遺伝子をアカゲザルの気道上皮に移すためのアデノウイルスベクターの使用を実証している。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の事例は、Rosenfeld他(1991)Science、252:431-434;Rosenfeld他(1992)Cell、68:143-155;およびMastrangeli他(1993)J.Clin.Invest.、91:225-234に見つけることができる。
アデノ随伴ウイルス(AAV)も遺伝子治療における使用が提案されている(Walsh他(1993)Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、204:289-300)。
遺伝子治療の別の手法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法によって組織培養している細胞に遺伝子を導入することを含む。通常、その導入方法には、選択マーカーを細胞に導入することが含まれる。その後、細胞を選択条件下に置き、導入遺伝子を取り込んでそれを発現している細胞を単離する。その後、それらの細胞を患者に送達する。
この実施形態では、核酸を細胞内に導入し、生じた組換え細胞をin vivo投与する。このような導入は、それだけには限定されないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、ウイルスまたは核酸配列を含むバクテリオファージベクターを用いた感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子導入、マイクロセル媒介遺伝子導入、スフェロプラスト融合などを含めた、当分野で知られている任意の方法によって実施することができる。外来遺伝子を細胞内に導入するための数々の技術が当分野で知られており(例えば、Loeffler他(1993)Meth.Enzymol.、217:599-618;Cohen他(1993)Meth.Enzymol.、217:618-644;Cline(1985)Pharmac.Ther.、29:69-92参照)、レシピエント細胞の必要な発生的および生理的機能が破壊されない限りは、本発明に従って用い得る。この技術は、核酸が細胞によって発現可能であり、好ましくは遺伝性でありその細胞子孫によって発現可能であるように、細胞への安定した核酸導入を提供するはずである。
当分野で知られている様々な方法によって、生じた組換え細胞を患者に送達することができる。好ましい一実施形態では、上皮細胞を例えば皮下注射する。別の実施形態では、患者への皮膚移植として組換え皮膚細胞を使用し得る。組換え血液細胞(例えば造血幹細胞または前駆細胞)を静脈内投与し得る。使用を想定した細胞の量は、所望の効果、患者の状態などに依存し、当業者によって決定することができる。
遺伝子治療を目的として核酸を導入することができる細胞には、任意の所望の利用可能な細胞種が包含され、それだけには限定されないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球;様々な幹細胞または前駆細胞、具体的には、例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓から得た、造血幹細胞または前駆細胞などが含まれる。特定の実施形態では、遺伝子治療に用いる細胞は患者の自己細胞である。
一実施形態では、ERGもしくはLTF核酸またはアンチセンス分子を、細胞またはその子孫によって発現可能であるように細胞内に導入し、その後、治療効果のために組換え細胞をin vivoで投与する。具体的な実施形態では、幹細胞または前駆細胞を用いる。単離してin vitroで維持することができる任意の幹細胞および/または前駆細胞は、潜在的に本発明のこの実施形態に従って使用することができる。そのような幹細胞には、それだけには限定されないが、造血幹細胞(HSC)、皮膚および内臓の裏打ちなど上皮組織の幹細胞、胚性心筋細胞、肝臓幹細胞(PCT国際公開公報WO94/08,598号)、および神経幹細胞(Stemple他(1992)Cell、71:973-985)が含まれる。
上皮幹細胞(ESC)またはケラチノサイトは、皮膚および内臓の裏打ちなどの組織から、周知の手順によって得ることができる(Rheinwald(1980)Meth.Cell Bio.、21A:229)。皮膚などの層状上皮組織では、基底層に最も近い層である胚芽層内の幹細胞の有糸分裂によって再生が引き起こされる。内臓の裏打ち内の幹細胞は、この組織の迅速な再生速度をもたらす。患者もしくはドナーの皮膚もしくは内臓の裏打ちから得たESCまたはケラチノサイトを組織培養で増殖することができる(Rheinwald(1980)Meth.Cell Bio.、21A:229;Pittelkow他(1986)Mayo Clinic.Proc.、61:771)。ESCがドナーによって提供された場合は、宿主対移植片反応(例えば、中等度の免疫抑制を促進するための、照射、薬物または抗体の投与)を抑制する方法も用いることができる。
造血幹細胞(HSC)に関して、HSCのin vitroでの単離、増殖、および維持をもたらす任意の技術を、本発明のこの実施形態で用いることができる。これを実行し得る技術には、(a)将来の宿主もしくはドナーから単離した骨髄細胞由来のHSC培養物の単離および確立、または(b)同種もしくは異種であり得る、既に確立されている長期HSC培養物の使用が含まれる。非自己HSCは将来の宿主/患者の移植免疫反応を抑制する方法と併せて用い得る。特定の実施形態では、ヒト骨髄細胞は、後腸骨稜から針吸引によって得ることができる(例えばKodo他(1984)J.Clin.Invest.、73:1377-1384参照)。一実施形態では、HSCを高度に濃縮するか、実質的に純粋な形態にすることができる。この濃縮は、長期培養の前、その間、またはその後に実行することができ、当分野で知られている任意の技術によって実施することができる。例えば改変デキスター細胞培養技術(Dexter他(1977)J.Cell Physiol.、91:335)またはWitlock-Witte培養技術(Witlock他(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、79:3608-3612)を用いることによって、骨髄細胞の長期培養を確立して維持することができる。
医薬組成物および投与
本発明はさらに、本発明のERGまたはLTF核酸(センスもしくはアンチセンス)あるいはERGまたはLTFポリペプチドを含めたERGまたはLTF治療剤を有効量で、下に記述するように製薬上許容される担体中に含む、医薬組成物を提供する。
有効量の本発明のポリペプチドを、生理的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤などの他の成分と組み合わせて含む組成物を、本明細書中で提供する。ポリペプチドは、製薬上有用な組成物を調製するために用いる周知の方法に従って製剤化することができる。これを、単独の活性物質として、もしくは所定の適応症に適した他の知られている活性物質と共に、製薬上許容される希釈剤(例えば、生理食塩水、トリス-HCl、酢酸、およびリン酸緩衝液溶液)、保存料(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、乳化剤、可溶化剤、アジュバントならびに/または担体と共に合わせて混合物とする。医薬組成物の適切な配合には、レミントンの製薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第16版、Mack Publishing Company、Easton,PA、1980に記載のものが含まれる。
さらに、このような組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合体形成させるか、またはポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストランなどの高分子化合物内に取り込ませるか、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層もしくは多重層の小胞、赤血球ゴーストまたはスフェロブラスト内に取り込ませることができる。このような組成物は物理的状態、溶解度、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を与え、したがって意図する用途に応じて選択される。
本発明の組成物は、例えば局所、非経口、または吸入によってなど、任意の適切な方法によって投与することができる。用語「非経口」には、注射、例えば皮下、静脈内、または筋肉内経路による注射が含まれ、また、例えば疾患または傷害の部位における局所投与も含まれる。植込錠からの持続放出も企図される。当業者は、治療する障害の性質、患者の体重、年齢、および一般条件、ならびに投与経路などの要素に応じて適切な用量が変化することを理解されよう。予備用量は動物試験に従って決定することができ、ヒトに投与するための用量のスケーリングは、当分野で許容される習慣に従って行う。
例えば遺伝子治療で用いるための、本発明の核酸を生理的に許容される製剤として含む組成物も企図される。一実施形態では、コードされたタンパク質の発現を促進するために、本明細書中の他のセクションに記載のように、核酸を、適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、細胞内となるようにそれを投与することによって、in vivo投与することができる。
様々な送達系が当分野で知られており、本発明の治療剤を投与するために用いることができる。例には、それだけには限定されないが、リポソームへのカプセル封入、微粒子、マイクロカプセル、治療剤を発現する能力を有する組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えばWu他(1987)J.Biol.Chem.、262:4429-4432参照)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての治療核酸の構築などが含まれる。導入方法には、それだけには限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が含まれる。任意の好都合な経路によって、例えば、インフュージョンまたはボーラス注射によって、上皮または粘膜皮膚裏打ち(例えば口腔粘膜、直腸および腸管粘膜など)を通した吸収によって、化合物を投与してもよく、他の生物活性のある薬剤と共に投与してもよい。投与は全身または局所であってよい。さらに、脳室内およびくも膜下腔内注射を含めた任意の適切な経路によって本発明の医薬組成物を中枢神経系に導入することが望ましい可能性がある。脳室内注射は、例えばOmmayaリザーバなどのリザーバと接続した脳室内カテーテルによって容易にし得る。また、例えば吸入器もしくは噴霧器を使用することおよびエアロゾル化剤と共に配合することによって、肺投与を用いることもできる。
具体的な実施形態では、本発明の医薬組成物を、治療を必要としている領域に局所投与することが望ましい可能性がある。これは、例えば、手術中の局所動注、局所的塗布、例えば手術に創傷被覆材を用いて、注射によって、カテーテルによって、坐薬、植込錠によって実行し得、前記植込錠は、シアラスティック膜などの膜もしくは繊維を含めた多孔性、非多孔性、またはゼラチン性の物質である。一実施形態では、投与は、悪性腫瘍または新生物組織もしくは前新生物組織の部位(または以前の部位)での直接注射によるものであることができる。
別の実施形態では、小胞、具体的にはリポソーム中で治療剤を送達することができる(Langer(1990)Science、249:1527-1533;Treat他(1989)感染症および癌の治療におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)、Lopez-Berestein他編、Liss,New York、ページ353-365;Lopez-Berestein、同書、ページ317-327参照。さらに別の実施形態では、徐放システムで治療剤を送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用し得る(Langer、上記;Sefton(1987)CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.、14:201;Buchwald他(1980)Surgery、88:507;Saudek他(1989)New Engl.J.Med.、321:574参照)。別の実施形態では、高分子物質を用いることができる(徐放性の医薬用途(Medical Applications of Controlled Drug Release)、Langer他編、CRC Pres.、Boca Raton,FL、1974;制御した薬物バイオアベイラビリティー、薬物製品設計および性能(Controlled Drug Bioavailability,Drug Prduct Design and Performance)、Smolen他編、Wiley,New York,1984;Ranger他(1983)J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.、23:61参照;Levy他(1985)Science、228:190;During他(1989)Ann.Neurol.、25:351;Howard他(1989)J.Neurosurg.、71:105も参照。さらに別の実施形態では、治療標的、すなわち脳に近接して徐放システムを配置することができ、これにより全身用量の一部分だけが必要となり(例えばGoodson(1984)徐放性の医薬用途(Medical Applications of Controlled Release)、上記、第2巻、ページ115-138参照)。他の徐放システムは、Langer(1990、Science、249:1527-1533)による総説中に記載されている。
診断およびスクリーニング
ERG、LTF、および/またはAMACRタンパク質、類似体、誘導体、およびその断片、ならびにそれに対する抗体;ERG、LTF、DD3、および/またはAMACR核酸(ならびにその相補配列および相同配列)ならびに抗ERG、抗DD3、抗LTFおよび/または抗AMACR抗体を含めたそれに対する抗体が、診断において使用される。このような分子は、免疫アッセイなどのアッセイで用いて、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの発現に影響を与える様々な条件、疾患、ならびに障害を検出、予後診断、診断、あるいはモニタリングするか、その治療、詳細には癌、より詳細には前立腺癌をモニタリングすることができる。具体的には、このような免疫アッセイは、特異的結合が起こることができる条件下で、個体に由来する試料を抗ERG、抗LTF、抗DD3、および/または抗AMACR抗体(タンパク質産物もしくは核酸のどちらかに対する)と接触させるステップと、抗体によるすべての特異的結合の量を検出または測定するステップとを含む方法によって実施する。一実施形態では、組織切片中の抗体のこのような結合を用いて、異常なERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの局在化または異常な(例えば高い、低いもしくは存在しない)レベルのERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRを検出することができる。具体的な実施形態では、ERG、LTF、DD3、および/またはAMACRに対する抗体を用いて、生体試料(例えば、組織、血液、もしくは尿試料)をERG、LTF、DD3、および/またはAMACRの存在についてアッセイを行うことができ、異常なレベルのERG、LTF、DD3、および/またはAMACRは、例えば前立腺癌を含めた癌などの疾患状態の指標である。
組織、細胞、血液、リンパ液、精液、および尿を含めた、目的のオリゴヌクレオチドまたはポリペプチドを検出することが望まれる任意の生体試料を用いることができる。生体試料は、好ましくは前立腺組織、血液、または尿に由来する。組織試料は患者から得た細胞を含む。細胞は、例えば、前立腺組織生検もしくは組織学的切片によって、または骨髄生検によって採取した前立腺組織試料中に認められうる。血液試料には、全血、血漿、血清、または、例えば、血液試料から単離した前立腺細胞などの循環細胞、または単離した細胞から得た核酸もしくはタンパク質を含めた、任意のその誘導体が含まれ得る。血液は、特に前立腺細胞が癌性であり、より詳細には前立腺癌が転移しており血液中に脱粒している場合に、前立腺細胞を含み得る。同様に、尿試料は、全尿、または、例えば、尿から得た前立腺細胞などの細胞を含めた任意のその誘導体であり得る。
使用することができる免疫アッセイには、それだけには限定されないが、数例を挙げると、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA、免疫沈降アッセイ、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光免疫アッセイ、タンパク質A免疫アッセイなどの技術を用いた競合的および非競合的アッセイ系が含まれる。
ERG、LTF、DD3、および/またはAMACR遺伝子ならびに相補配列を含めた関連する核酸配列および部分配列も、ハイブリダイゼーションアッセイに用いることができる。ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACR核酸配列、または少なくとも約8個、15個、20個、50個、100個、250個、もしくは500個のヌクレオチドを含むその部分配列を、ハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。ハイブリダイゼーションアッセイを用いて、上述のように、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの発現および/または活性の異常な変化に関連する条件、障害、あるいは病状を検出、予後診断、診断、あるいはモニタリングすることができる。具体的には、このようなハイブリダイゼーションアッセイは、定義した条件下(好ましくは、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)でERG、LTF、DD3、および/またはAMACR核酸とハイブリダイズすることができる核酸を含む試料を、核酸プローブと接触させるステップと、生じたハイブリダイゼーションの程度を検出する(すなわち定性的もしくは定量的に測定する)ステップとを含む方法によって実施する。本明細書中に記載のように、PCR/RT-PCR、TMA、NASBA、3SR、LCR、SDA、およびLAMPを含めた任意の核酸増幅法を用いて、ERG、LTF、DD3および/もしくはAMACR遺伝子の存在ならびに/またはそのmRNAの発現のレベルを検出すればよい。
一部の用途では、検出の前にまずハイブリダイズしていないプローブの除去を必要とせずに試験試料中のプローブ:標的の二重鎖の検出を容易にするために、少なくともある程度の自己相補性を示すプローブが望ましい。分子トーチプローブは、Becker他、米国特許第6,361,945号によって開示されている自己相補的プローブの一種である。Becker他に開示された分子トーチプローブは、「標的結合ドメイン」および「標的閉じドメイン」と呼ばれる明確な自己相補性領域を有しており、これは、結合領域によって結合されており、事前に決定されたハイブリダイゼーションアッセイ条件下で互いにハイブリダイズする。変性条件に曝した場合、分子トーチプローブの相補的領域(完全にまたは部分的に相補的であり得る)は融解し、事前に決定したハイブリダイゼーションアッセイ条件を復活させた際に標的結合ドメインが標的配列とのハイブリダイゼーションに利用可能となる。また、鎖置換条件に曝した場合、標的配列の一部分が標的結合ドメインと結合し、標的閉じドメインを標的結合ドメインから追放する。分子トーチプローブは、標的結合ドメインが、標的閉じドメインよりも標的配列とのハイブリダイゼーションを好むように設計されている。分子トーチプローブの標的結合ドメインおよび標的閉じドメインは、分子トーチプローブが標的核酸とハイブリダイズした場合と比較して分子トーチプローブが自己ハイブリダイズした場合は異なるシグナルが生じるように位置した相互作用する標識(例えば発光/消光)であり、これにより、実行可能な標識またはそれに関連する標識を有するハイブリダイズしていないプローブの存在下で、試験試料中のプローブ:標的の二重鎖の検出が可能となる。
自己相補性を有する検出プローブの別の例は、Tyagi他、米国特許第5,925,517号によって開示された分子ビーコンプローブである。分子ビーコンプローブには、標的相補配列を有する核酸分子、標的核酸配列が存在しない場合にプローブを閉じたコンホメーションに維持する親和性のペア(または核酸アーム)、およびプローブが閉じたコンホメーションにある場合に相互作用する標識のペアが含まれる。標的核酸と標的相補配列とのハイブリダイゼーションにより親和性ペアのメンバーは分離され、これによりプローブは開いたコンホメーションへとシフトする。開いたコンホメーションへのシフトは、例えばDABCYLおよびEDANSなどのフルオロフォアおよび消光剤であり得る標識のペアの相互作用の低減により検出可能である。
例として、ERG、LTF、AMACR、またはDD3ハイブリダイゼーションプローブは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、もしくは配列番号5の少なくとも約8個、15個、20個、50個、100個、250個、500個、750個、1000個、1250個、もしくは1500個の連続したヌクレオチドの連続したストレッチを有する核酸、またはその相補配列を含むことができる。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号5のこのような連続的な断片は、少なくとも1つの突然変異も含んでいてもよいが、ただし、突然変異配列は、低または高ストリンジェンシー条件下(好ましくは、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)で配列番号1、配列番号2、配列番号 3、配列番号4、または配列番号5とハイブリダイズする能力を保持している。
具体的な実施形態では、ERG、LTF、および/もしくはAMACRのタンパク質、ERG、DD3、および/もしくはAMACRのRNA、またはERG、DD3、および/もしくはAMACRの機能活性のレベルを検出することによって、あるいは、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの発現または活性の増加または低下を引き起こすERG、DD3、LTFおよび/もしくはAMACRのRNA、DNA、またはタンパク質の突然変異(例えば、ERG、LFT、DD3、もしくはAMACRの核酸中の転移、ERG、LFT、DD3、もしくはAMACRの遺伝子またはタンパク質中の切断、野生型ERG、LTF、DD3、もしくはAMACRと比較したヌクレオチドまたはアミノ酸配列の変化)を検出することによって、例えば前立腺癌を含めた癌などの細胞の過剰増殖に関与する疾患および障害を診断するか、疑われるその存在についてスクリーニングを行うか、そのような障害を発生する素因を予測することができる。例として、ERG、LTF、および/またはAMACRのタンパク質のレベルは、免疫アッセイによって検出することができ、ERG、LTF、DD3、および/またはAMACRのmRNAのレベルは、ハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンブロット、ドットブロット、またはPCR/RT-PCR、TMA、NASBA、3SR、LCR、SDA、およびLAMPを含めた任意の核酸増幅法)によって検出することができ、ERG、LTF、DD3、および/またはAMACRの核酸中の転位および点突然変異は、サザンブロッティング、RFLP解析、PCR/RT-PCR、TMA、NASBA、3SR、LCR、SDA、LAMP、患者などから得たERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRのゲノムDNAまたはcDNAの配列決定を含めた任意の核酸増幅法によって検出することができる。
一実施形態では、被験体試料中のERG、DD3、LTFおよび/もしくはAMACRのmRNAまたはタンパク質のレベルを検出あるいは測定し、対照試料中の対応する遺伝子のmRNAもしくはタンパク質の発現レベルまたは標準の数値もしくは範囲と比較する。例えば、対応した正常組織試料と比較したERG、DD3、および/もしくはAMACRの発現レベルの上昇またはLTFのレベルの低下は、被験体が例えば前立腺癌を含めた悪性疾患もしくは過剰増殖性障害に罹患しているか、またはそれを発生する素因を有することを示す。他の適切な対照には、被験体由来の他の非癌性試料、癌に罹患していない別の被験体から得た試料、または他の癌特異的マーカーが含まれる。例えば、前立腺癌では、PSAなどの前立腺細胞特異的マーカーを、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRなどの他の遺伝子の発現レベルを比較ならびに/または正規化するための対照として用いることができる。一実施形態では、前立腺癌などの癌の診断方法は、被験体から生体試料(例えば、組織試料(例えば生検組織から)、血液試料、または尿試料)を得るステップと、試料中のERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの遺伝子の発現レベルおよび/またはERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの活性を決定するステップと、前記被験体において癌の診断または予後診断を行うステップとを含む。さらなる実施形態では、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの遺伝子の発現レベルおよび/または ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRの活性は、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティング、ELISA、PCR/RT-PCR、TMA、NASBA、3SR、LCR、SDA、およびLAMPを含めた任意の核酸増幅法、または本明細書中に記載されているか、もしくは当分野で知られている他の技術によって測定する。本発明を限定せずに、対照試料と比較して少なくとも2倍の発現の増加または低下は、前立腺癌が存在することまたは前立腺癌を発生する素因がより強いことを示す。
本発明の別の態様は、ERG遺伝子の発現プロフィールを、単独で、あるいはAMACRおよび/もしくはDD3遺伝子ならびにおよび/またはLTF遺伝子と組み合わせて評価し、これらのプロフィールを疾患の臨床的徴候と相関付けることによって、「ホルモン療法」に対する応答をモニタリングする手段を提供する。
診断に使用するキットも提供する。キットは、抗ERG遺伝子抗体もしくはERGタンパク質に対する抗体および/または抗AMACR遺伝子抗体もしくはAMACRタンパク質に対する抗体および/または抗DD3遺伝子抗体および/または抗LTF遺伝子抗体もしくはLTFタンパク質に対する抗体を含み、これらは任意に検出可能に標識することができる。また、定義した条件下(好ましくは、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)でERG、LTF、DD3、および/またはAMACR核酸とハイブリダイズすることができる核酸プローブを含むキットも提供する。具体的な実施形態では、キットは、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACR遺伝子またはその断片の任意の核酸増幅法(例えば、PCR/RT-PCR、TMA、NASBA、3SR、LCR、SDA、LAMPを含む)によって増幅を誘発する能力を有する、少なくとも1対のプライマー(例えば、それぞれが少なくとも約6個、17個、30個、または60個のヌクレオチドのサイズ範囲内にある)を含む。キットは、事前に決定した量の精製したERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACRタンパク質、または、例えば標準もしくは対照として用いるための核酸を含むことができる。また、キットは、本明細書中に記載されているか、または当分野で知られている成分を含めた、核酸プローブを検出するための1つもしくは複数の成分を含んでいることもできる。
一実施形態では、キットは、定義した条件下(かつ好ましくは高ストリンジェンシー条件下、例えば、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄)で表1〜6に特定した遺伝子から選択された少なくとも1つの遺伝子またはDD3遺伝子とハイブリダイズし、かつ単独で、もしくは他の核酸と組み合わせて担体に固定されている核酸を含む。例えば、ERGおよび/もしくはLTF核酸を、他の核酸とともにまたはそれを含まずに担体に固定することができる。具体的な実施形態では、担体は、少なくともERG核酸およびAMACR核酸または少なくともERG核酸およびDD3核酸を含む。別の実施形態では、担体は、少なくともERG核酸、AMACR核酸、およびDD3核酸を含む。この担体は、前立腺癌などの癌を検出するためのキットの一部として用いることができる。これらのキットは、ERG、LTF、DD3、および/もしくはAMACR遺伝子またはその断片の任意の核酸増幅法(例えば、PCR/RT-PCR、TMA、NASBA、3SR、LCR、SDA、LAMPを含む)によって増幅を誘発する能力を有する、少なくとも1対のプライマー(例えば、それぞれが少なくとも約6個、17個、30個、または60個のヌクレオチドのサイズ範囲内にある)をさらに含んでもよい。
Affymetrix GeneChipを用いたCaP細胞特異的遺伝子発現シグネチャのスクリーニング
患者の選択
検体は、ウォルターリード陸軍医療センター(Walter Reed Army Medical Center(WRAMC))で前立腺全摘除(RP)による治療を行った患者から、IRBが承認したプロトコルの下で入手した。300人を超える患者から、RP後に疾患増悪が中リスク(MR)または高リスク(HR)のいずれかである前立腺腫瘍を有していた2つの群を選択した。HR群は、PSAの再発、グリーソンスコア8〜9、T3cステージ、精嚢の侵襲、および低分化腫瘍細胞を示し、MR群はPSAの再発なし、グリーソンスコア6〜7、T2a〜T3bステージ、精嚢の侵襲なし、および高分化〜中分化腫瘍細胞を示した。LCM適合性の検体は、CaPの家族歴を有さない、年齢および人種が一致するHRまたはMR患者から選択した。
組織試料およびレーザー捕捉顕微解剖
前立腺全摘除検体のOCT包埋かつヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した凍結前立腺切片から、正常細胞および癌細胞のレーザー捕捉顕微解剖(LCM)を行った(試料1個あたり2000回のレーザーショット)。レーザー捕捉顕微解剖(LCM)は、顕微鏡下で、低エネルギー赤外線レーザーの集束パルスを用いて目的細胞を透明フィルムに選択的に付着させることによって、形態学的に定義された均一な細胞集団を複合組織から単離することを容易にする。Emmert-Buck他、Science(1996);274(5289):921-922;Schutz他、Nat Biotechnol(1998)16(8):737-742。
RNAの抽出およびT7系直鎖状RNA増幅
MicroRNAキット(Stratagene、カリフォルニア州La Jolla)を用いて全RNAをLCM試料から単離し、RiboGreen色素(Molecular Probes、オレゴン州Eugene)およびVersaFluor蛍光計(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を用いて定量し、NKX3.1およびGPADHプライマーを用いたRT-PCRによって品質を試験した。RiboAmp RNA増幅キット(Arcturus、カリフォルニア州Mountain View)を用いて直鎖状RNAの増幅を行った。正確には、各患者からの正常組織および腫瘍組織のLCM由来上皮細胞からの2ngの全RNAを第1ラウンドの増幅に用いた。cDNA合成および精製後の第2ラウンドの増幅では、in vitro転写の際にその試料をビオチン標識し、これをGeneChip解析に用いた。
Gene Chip解析
直鎖状に増幅したaRNAを高密度オリゴヌクレオチドヒトゲノムアレイ(HG U133Aアレイ)(Affymetrix、米国カリフォルニア州Santa Clara)とハイブリダイズさせた。このアレイは22,283組のプローブセットを含み、そのうち約18,000組が十分に注釈付けされた遺伝子を示し、残りが様々な発現配列タグ(EST)および仮想遺伝子を表す。MEGAスクリプトT7 in vitro転写キット(Ambion、米国テキサス州Austin)、cDNAならびにビオチン標識したUTPおよびビオチン標識したCTP(ENZO、米国ニューヨーク州Farmingdale)(34)を用いたin vitro転写によって、aRNAを用いてビオチン化を実施した。QIAGEN RNeasyスピンカラム(QIAGEN、カリフォルニア州Valencia)を用いて、製造者のプロトコルに従って、ビオチン標識したcRNAを精製した。40mM トリス-酢酸(pH8.1)、100mM 酢酸カリウム、および30mM 酢酸マグネシウムを含む40μlの反応混合物中でビオチン標識したcRNAの断片化を行い、94℃で35分間インキュベーションを行い、その後、氷上に置いた。
GeneChipのハイブリダイゼーション、染色およびスキャンニング
ビオチン標識および断片化したaRNAをHG U133Aアレイとハイブリダイズさせた。手短に述べると、1M NaCl、10mM トリス(pH7.6)、0.005% Triton X-100、50pM 対照オリゴB2(5' bioGTCAAGATGCTACCGTTCAG 3')(配列番号6)(Affymetrix)からなる220μlのハイブリダイゼーション溶液;Bio B(150pM)、Bio C(500pM)、Bio D(2.5nM)およびCre X(10nM)(American Type Tissue Collection、バージニア州ManassasおよびLofstrand Labs、メリーランド州Gaithersburg)の対照cRNAカクテル、0.1mg/mlのニシン精子DNAおよび0.05μg/μlの断片化し標識した試料cRNAを、95℃まで35分間加熱し、40℃まで冷却し、遠心分離によって清澄化した。ハイブリダイゼーションは42℃で、回転架台式ハイブリダイゼーションオーブン(Model 320、Affymetrix)内、60rpmで16時間行った。ハイブリダイゼーションののち、GeneChipアレイを、25℃で、6×SSPE-T緩衝液(1M NaCl、0.006M EDTA、および0.06M Na3PO4、0.005% Triton X-100、pH7.6)で、自動液体工学ステーションのプロトコルを用いて、10回洗浄した。GeneChipアレイは、0.5×SSPE-T、0.005% Triton X-100中、60rpm、回転架台式オーブン内で、50℃で20分間、インキュベーションを行った。GeneChipアレイを、6×SSPE-T緩衝液および1.0mg/mlのアセチル化ウシ血清アルブミン(Sigma)中の最終濃度10μg/mlのストレプトアビジンフィコエリスリン(Molecular Probes,Inc.、オレゴン州Eugene)染色溶液を用いて、室温、60rpmで15分間、染色した。GeneChipアレイを、室温で、6×SSPE-T緩衝液を用いて2回洗浄し、その後、GeneChip3.1ソフトウェア(Affymetrix)によって制御されるHP GeneArrayスキャナー(Hewlett-Packard、カリフォルニア州Santa Clara)を用いてスキャンした。
教師あり多次元スケーリング(MDS)によるGeneChipの結果の解析
画像解析およびデータ収集
Affymetrix GeneChipマイクロアレイ解析ソフトウェア、バージョン3.1、およびAffymetrix Micro DBおよびデータマイニングツール バージョン2.0(Affymetrix)、マイクロソフトエクセル2000(Microsoft、ワシントン州Seattle)、ならびにStatisticaバージョン4.1(Stat Soft,Inc.、オクラホマ州Tulsa)を用いた。そのAffymetrixシステムでは、平均蛍光差は、それぞれの完全にマッチするプローブ細胞とその対照のミスマッチプローブ細胞との間の差の平均であり、それは転写物の発現レベルに直接関連している。比較ファイルは、ベースラインと実験試料との間の各転写物の存在量の相対変化(変化倍率)を示す。さらなる詳細かつ高度なバイオインフォマティクス解析のために、本発明者らはNHGRIのマイクロアレイデータ解析ソフトウェアおよびGeneSpringソフトウェア(Silicon Genetics、カリフォルニア州)を用いた。
データ解析
クラスタリング解析には、米国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute(NHGRI))のマイクロアレイデータ解析ソフトウェアを用い、これにより、その遺伝子発現の統計的挙動に基づいて高リスク群および中リスク群の試料をよく分離された均一な群へと分配した。群をそれぞれクラスタリングするという目的を達成するため、試料間の全てのペアワイズ類似性を評価し、その後、平均連鎖アルゴリズムによってグループ化した。典型的にはピアソン相関係数またはユークリッド距離を用いて、類似性を定量化した。同じ距離マトリクスを用いて教師なし階層的クラスタリングおよび/または非階層的クラスタリングも行った。
すべての前立腺検体の完全なペアワイズ比較からのユークリッド距離測定値のマトリクスを用いて、MATLABパッケージにおけるMDSの実施を用いて多次元スケーリング(MDS)手法を行って、遺伝子の発現プロフィールの全体的な類似性および相違性を決定した。高リスク群を中リスク群から分離する上で統計的に有意な遺伝子の部分集合を作成するために、加重遺伝子解析を行った。
手短に述べると、2つの異なる群、例えば、25および25の所定の試料数を有する、高リスク腫瘍の上皮および中リスク腫瘍の上皮について、各遺伝子に対する識別加重は、次式によって決定する:w=dB/(k1dw1+k2dw2+α)[式中、dBは、2つの群間のユークリッド距離(中心間またはクラスター間のユークリッド距離)であり、dw1は、高リスク群のすべての上皮試料間の平均ユークリッド距離であり、dw2は、中リスク群のすべての上皮試料間の平均ユークリッド距離であり、k1=25/(25+25)であり、k2=25/(25+25)であり、αは分母がゼロにならないことを保証するための小さな定数である]。遺伝子は、そのw値に応じて順序づけした。高いw値を有する遺伝子は、群間の分離がより大きく、郡内の圧密性がより高密度であった。言い換えれば、より高いw値を有する遺伝子の部分集合が、高リスク群を中リスク群から区別するのに最も高い識別能を示し、逆もまた同様である。識別加重の統計的有意性を試験するために、試料ラベルの順序をランダムに変え、各遺伝子についてw値を再度計算した。最も有意性の高い発現差異を有する遺伝子をp値によって選択した。階層的クラスタリングアルゴリズムを用いて、教師ありMDS解析から得た予測モデルを検証した。
この解析から、腫瘍組織中の発現シグネチャがそれに対応した良性組織中のその発現シグネチャとは異なる特異的遺伝子を同定した。0.05を超えないp値を有する遺伝子を選択し、表1〜6に示すようにp値で順位づけした。
In Silico検証:
本発明者らは、本発明者らによるいくつかの独立したデータセットの解析から得た遺伝子の識別可能性について試験を行った。AffymetrixオリゴヌクレオチドGeneChip Hum95Av2データをWelsh他(2001)、Singh他から得た。本発明者らの識別リストの遺伝子に対応するこれらのデータベース由来の遺伝子を選択し、その腫瘍特異的な発現強度および/または腫瘍 対 正常比を、データ解析セクションで上述したMDS解析に用いた。独立したデータセットについてその遺伝子の識別能を示すMDSプロットが得られた。
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腫瘍および良性の前立腺上皮間の分類:
距離に基づいた多次元スケーリング(MDS)を用いたクラス予測解析を用いて、前立腺全摘除を受けた18人の患者における腫瘍および良性の上皮細胞間の発現差異を決定した。最小限の発現レベルを満たすすべての遺伝子を解析に含めた。本発明者らは、18人の患者すべての間での腫瘍および良性組織の特異的遺伝子発現プロフィールの区別を決定するための距離に基づいたMDSによるクラス予測解析に、18個の腫瘍および18個の正常試料すべての正規化した強度を用いた。すべての実験の完全なペアワイズ比較からのピアソン相関係数のマトリクスを用いて、本発明者らは、図2Aに二次元MDSプロットとして示される、腫瘍および良性組織間の遺伝子発現パターンにおける有意な全体的差異を観察した。各腫瘍および良性試料の位置は、MDSプロット中に二次元のユークリッド空間で示し、試料間の距離はそれぞれの個々の群内の試料間の相関(クラスター内距離)を反映しており、また、2つの群間の明確な分離(中心間距離)を反映している(図2A)。4566個の遺伝子の腫瘍および良性の強度の10,000回の並べ替えによって得た上位200個の遺伝子から、MDSプロットを得た。遺伝子発現の腫瘍特異的変化を定めるこれら200個の遺伝子のうち、53個の遺伝子が腫瘍試料中で発現がより高く、残り147個の遺伝子は良性試料中で発現がより高かった。18人の患者すべてからの腫瘍および良性試料を明確に識別する遺伝子の一部リストを表1に示す。本発明者らは、200個の識別遺伝子を用いた階層的クラスタリング解析も行った。階層的クラスタリングアルゴリズムは階層的樹形図をもたらし、これにより、16個の腫瘍試料および17個の良性試料の2つの主要な明確なクラスターが同定された(図2B)。
腫瘍対良性の遺伝子発現強度の比を用いた、CaPのHR群およびMR群への分類
本発明者らは、18人の患者を2つの患者群に区別することができるかどうかを判定するために、HR群(9人の患者)およびMR群(9人の患者)からの腫瘍対良性の遺伝子発現強度の比(T/B比)(図3A)を、距離に基づいたMDS法を用いるクラス予測解析に用いた。本研究で用いた18個の腫瘍の病理的特徴および臨床的特徴は、HR群およびMR群で明らかに識別可能であった。HR群とMR群とで、発現パターンに有意な全体的差異が観察された。試料間の距離は、それぞれの個々の選択群内の相関の程度(クラスター内距離)、および2つの選択群間の明確な分離(中心間距離)をどちらも反映する(図3A)。T/B比に基づいた4868個の遺伝子の10,000回の並べ替えによって上位200個の遺伝子から得たMDSプロットを、図3Aに示す。MDS解析の上位200個の遺伝子のうち、135個がHR群で過剰発現されており、65個の遺伝子がMR群で過剰発現されていた。HR群とMR群とを識別するT/B比に基づくMDS解析によって同定された最良のp値を有する上位50個の遺伝子を、図3Bに記載する。HR群とMR群との間の識別の解釈に用いた手法は経験的なものであった。変化の分散が腫瘍試料すべてにわたる個々の遺伝子の「加重リスト」(図3B)は、CaPの病理的特徴および臨床的特徴と相関があるクラスを予測するための所与のクラスターの境界を定める。また、MDS解析の結果を検証し、また、別の解析手法を用いてこれら200個の遺伝子がクラス/群(HRおよびまたはMR)を予測する能力を試験するために、階層的クラスタリングも行った。その結果得られたT/B比の階層的樹形図は、HR群の9個の試料は非常にはっきりした密なクラスターを形成し、MR群の9個の試料も同様であったことを実証している(図3B)。
腫瘍細胞中の遺伝子発現の強度に基づいた、CaPのHR群およびMR群への分類
MDS解析を用いて、18人の患者のHR群とMR群とへの区別を決定した。HR群とMR群の間の腫瘍特異的発現における全体的な差異を二次元のMDSプロットとして示す(図3C)。18人の患者の腫瘍試料からの4115個の遺伝子の遺伝子発現強度の10,000回の並べ替えから得たMDSプロットにより、選択された上位200個の遺伝子に基づいてそれらをHR群とMR群とに区別した(図3C)。この200個の遺伝子のうち、94個がHR群で発現がより高く、残り106個の遺伝子はMR群で発現がより高かった。本発明者らは、教師ありMDS解析から得た200個の識別遺伝子を用いて階層的クラスタリング解析を行った。その結果得られた、18個の腫瘍試料の階層的樹形図は、HR群の9個の腫瘍試料およびMR群の9個の腫瘍試料が2つの密なクラスターに分離されたことを実証している。(図3D)。HR群とMR群とを識別するための「遺伝子クラスター」解釈を得るために本発明者らが図3の全体的な遺伝子発現の線形相関に基づいて使用した手法は、経験的なものであった。HR群とMR群とを識別する遺伝子を表7に示す。
Figure 2007535939
良性前立腺上皮における遺伝子発現強度に基づいた、CaPの高リスク群および中リスク群への分類
本発明者らは、HR群の9個の良性試料およびMR群の9個の良性試料の正規化した強度に対し、腫瘍 対 腫瘍試料の遺伝子発現強度と同様のMDSおよびクラスター解析をクラス予測のために用いた。驚くべきことに、良性試料のMDSプロットで、HR群とMR群との間の明確な分離が示された(図3E)。HR群とMR群とで発現パターンに有意な全体的差異が観察された。MDSプロットは、良性 対 良性強度からの3358個の遺伝子の10,000回の並べ替えによって上位200個の遺伝子から得た(図3E)。この200個の遺伝子のうち、61個がHR群の良性試料中で過剰発現されており、残り139個の遺伝子がMR群中で過剰発現されていた。発現変化の分散が正常試料のすべてにわたる個々の遺伝子の「加重リスト」は、所定のクラスターが分類を予測する能力を示す。階層的クラスタリングアルゴリズムにより、HR群の9個の良性試料の類似の主要なクラスターおよびMR群の9個の良性試料のクラスターが同定された。
本発明者らは、腫瘍および良性強度の遺伝子発現比率、腫瘍試料および正常試料の遺伝子発現強度を利用して、変化の分散が腫瘍および良性試料すべてにわたる個々の遺伝子の「加重リスト」を得るような、距離に基づいた教師あり多次元スケーリング方法による加重遺伝子解析を用い(図3A、3C、および3Eに示す)、CaPの病理的特徴および臨床的特徴と相関するクラスを予測した。
独立したIn Silico交差検証
2つの独立したデータセットを用いて、予測された分類子のIn Silico解析を実施した。グリーソンスコアがこれらのデータに利用可能な唯一の基準であったので、HR群およびMR群はグリーソンスコアに基づいて選択した。すべてのMDS解析から少なくとも200個の遺伝子を抽出した(詳細な説明の方法を参照)。この200個の分類遺伝子からなる部分集合は、Welsh他2001およびSing他2002のデータ中に見つかった。上述の正確に類似したMDS解析(10,000回の並べ替え試験による測定でp<0.001)を、WelshおよびSinghのデータのこれら200個の遺伝子の発現強度を用いて行った。Welshデータ(図4A)およびSinghデータ(図4B)からの200個の遺伝子からなる部分集合からのわずか50個の遺伝子の腫瘍 対 良性比を用いたMDS解析により、HR群からの試料とMR群からの試料とが明確に分離された。したがって、この観察により、この小さな遺伝子セットの示差的発現プロフィールを用いて、その臨床病理的特徴に基づいて未知の前立腺癌試料が何であるかまたはそのクラスもしくは群を予測することができることが明らかとなった。この解析結果は、この少数の遺伝子の発現プロフィールが独立したデータセットにわたって保存されていることを示している。
リアルタイムPCRによるGeneChipの結果の検証
前立腺癌との生物学的関連が示されたGeneChip解析によって同定された遺伝子の発現変化をさらに検証するために、AMACRおよびGSTP1を用いたリアルタイムPCR解析用のプライマーならびにプローブを得た。CaPにおいてAMACRは増加しておりGSTP1は低下していることが数グループの研究者によって既に報告されていることから、これらの遺伝子が検証目的に選択された。それぞれの試料が、20個の試料のうち18個でGSTP1遺伝子の独特のパターンのダウンレギュレーションおよびAMACRのアップレギュレーションを示した(図1)。他の2つの試料は有意な変化を示した(1.5倍未満の変化倍率)。
Omnisensecript RTキット(Qiagene、カリフォルニア州Valencia)を用いて、製造者プロトコルに従って、対にした腫瘍および正常検体由来の全RNA試料 1ngを逆転写した。
TaqMan Master Mix試薬およびABI prism 7700配列検出システム(PE Applied Biosystems、カリフォルニア州Foster)を用いて、定量的遺伝子発現の解析を行った。試験した遺伝子に対するプライマーおよびプローブのすべてのセットは、PE Applied Biosystemsから得たアッセイ・オンデマンド(Assays-on-Demand)遺伝子発現産物であった。同一バッチのcDNAの内在性コントロールとしてハウスキーピング遺伝子であるGPADHの発現も同時に解析し、各試料の標的遺伝子の発現をGPADHに対して正規化した。PCRを実行する毎に、1×TaqMan Master Mix、1×標的遺伝子プライマー/プローブおよび1×GPADHプライマー/プローブを用いてマスターミックスを氷上で調製した。2μlずつの希釈した各cDNA試料を28μlのPCRマスターミックスに加えた。熱サイクリング条件は、95℃で10分間の最初の変性ステップならびに95℃で15秒間および60℃で1分間を50サイクルを含んでいた。逆転写をしないRNA試料を陰性対照として各アッセイに含めた。すべてのアッセイは2重にで行った。結果は、2重の試料の平均CT(閾値サイクル)としてプロットした。相対遺伝子発現レベルを腫瘍 対 マッチした正常細胞の「変化倍率」として表し、これは、変化倍率=2(ΔCT正常-ΔCT腫瘍)として計算した(式中、ΔCTは、GPADHに対して正規化した標的遺伝子のCT値を意味する)。
ERG1およびERG2アイソフォームの識別
上述の実験で用いたAffymetrix GeneChipプローブセット(213541_s_at)およびTaqManプローブは、ERG1およびERG2アイソフォームの両方に特異的な領域を認識する(図6)が、アイソフォーム3〜9は排除する。他のプライマーおよびプローブを用いることもできるが、例として、ERG1およびERG2をどちらも認識するが、他のERGアイソフォームは認識しないTaqManプライマーおよびプローブは以下のとおりであった:
順方向プライマー:5'-AGAGAAACATTCAGGACCTCATCATTATG-3'(配列番号7)
逆方向プライマー:5'-GCAGCCAAGAAGGCCATCT-3'(配列番号8)
プローブ:5'-TTGTTCTCCACAGGGT-3'(配列番号9)
このプローブは、5'末端に付着させたレポーター色素である6-FAM、および3'末端に付着させたTAMRAを有する。3'-TAMRAはPCRの際に伸長を効率的に阻止する。
これら2つのERGアイソフォーム間をさらに識別するために、ERG1およびERG2アイソフォームの発現を、PC3細胞および正常な前立腺組織(20人の男性由来のプールした前立腺RNA、Clontech)、ならびに5人のCaP患者からの顕微解剖した腫瘍および正常な前立腺上皮細胞中で試験した(データ示さず)。前立腺細胞およびPC3細胞中ではERG1のみが発現された。ERG2の発現は検出できなかった。ERG1アイソフォームのみを特異的に認識するTaqMan QRT-PCRプローブおよびプライマーを設計した(図6)。他のプライマーおよびプローブを用いることもできるが、例として、ERG1アイソフォームのみを認識する以下のようなTaqManプライマーおよびプローブを設計した:
順方向プライマー:5'-CAGGTCCTTCTTGCCTCCC-3'(配列番号10)
逆方向プライマー:5'-TATGGAGGCTCCAATTGAAACC-3'(配列番号11)
プローブ:5'-TGTCTTTTATTTCTAGCCCCTTTTGGAACAGGA -3'(配列番号12)。
このプローブは、5'末端に付着させたレポーター色素である6-FAM、および3'末端に付着させたTAMRAを有する。3'-TAMRAはPCRの際に伸長を効率的に阻止する。
114人のCaP患者の顕微解剖した対応する腫瘍および良性の前立腺上皮細胞からの228のRNA検体中でERG1の発現を測定した。全体として、解析した114人のCaP患者の62.4%がその腫瘍細胞中にERG1アイソフォームの有意な過剰発現を示し(すなわち腫瘍 対 良性細胞において2倍を超えるERG1発現)、一方で、CaP患者の16.6%は検出可能なERG1発現を示さず、15.0%がERG1の過少発現を示し(腫瘍 対 良性細胞においてERG1発現に0.5倍未満の差異)、6.0%は有意な差異がなかった(腫瘍 対 良性細胞の間でERG1発現に0.5〜2倍の差異)。
さらなる研究では、ERGの発現を82人のCaP患者で解析した。上述のTaqManプライマーおよびプローブを用いて、患者の63.4%および72.0%で、それぞれERG1(アイソフォーム1のみ)およびERG(アイソフォーム1および2)の、腫瘍に関連する過剰発現が観察された。したがって、ERG1アイソフォーム特異的発現は、実際にはCaPにおける全体的なERG発現の過小評価を反映している可能性がある。
ERG1の発現と様々な臨床病理的特徴との相関
腫瘍 対 良性のERG1発現比率データは正常な分布を有していなかったので、表8に示すように、ウィルコクソン順位和検定を用いて様々な臨床病理的特徴とのその関係を解析した。
Figure 2007535939
表8に示すように、検出可能なERG1発現を示す95人のCaP患者をウィルコクソン順位和検定によって解析した。Nは示した臨床因子カテゴリーに含まれるCaP患者数を表す。有意なp値(<0.05)を太字で示した。
また、本発明者らは、アフリカ系アメリカ人民族よりも高レベルなERG1過剰発現と白人の有意な相関を見いだした(p=0.0086)(表8)。PSAの再発との相関をさらに調査するために、3つの患者群、すなわち、1) 2倍未満の腫瘍 対 良性のERG1発現比率を有するCaP患者;2) 2〜100倍の腫瘍 対 良性のERG1発現比率を有するCaP患者;および3) 100倍を超える腫瘍 対 良性のERG1発現比率を有するCaP患者、に基づいて、カプラン-マイヤー生存解析を行った(図7)。結果は、その前立腺腫瘍組織におけるERG1過剰発現がより高い患者は、PSAの再発なしに有意により長く生存したことを示している(log順位検定、P=0.0006)(図7)。2倍未満のERG1発現比率(n=24)を有する患者ではPSAの再発なしに36ヶ月生存したのは54.4%であり、一方で、100倍を超えるERG1発現比率(n=47)を有する患者では87.7%であった。ERG1の腫瘍/良性細胞発現比率、人種、診断的PSA、グリーソン和、病理学上のTステージ、マージン状態、および精嚢の侵襲状態を用いた、PSAの再発がない期間についての一変量COX比例ハザード比率回帰分析から、本発明者らは、これらの変数のうちの5つ(ERG1の腫瘍/良性細胞発現比率、グリーソン和、病理学上のTステージ、マージン状態、精嚢の侵襲)が有意なp値を示すことを見出した(表9)。
Figure 2007535939
表9では、一変量COX比例ハザード比率解析における、ERG1変化倍率(腫瘍 対 良性)および6つの臨床パラメータカテゴリーについて95%の信頼区間を有する粗ハザード比率が示されている。有意なp値を太字で示す。一変量解析からの有意な変数の多変量COX比例ハザード比率回帰分析は、ERG1の過剰発現(100倍を超える 対 2倍未満:p=0.0239、RR=0.274、全体的なp値0.0369)、およびグリーソン和(グリーソン8〜10 対 グリーソン2〜6:p=0.0478、RR=4.078、全体的なp値0.0148)は、前立腺全摘除後のPSAの再発の独立した予測因子であることを示している(表10)。これらの結果は、前立腺全摘除検体におけるERG1発現比率(腫瘍 対 良性)の状況が患者の予後診断のための予測値となることを実証している。
Figure 2007535939
前立腺腫瘍組織中のERG1の発現は、より長い間PSAの再発がなく生存すること(p=0.0042)、高分化および中分化の等級(p=0.0020)、より低い病理学上のTステージ(p=0.0136)、ならびに陰性の手術マージン状態(p=0.0209)と非常に有意な関連が示されたが、これにより、腫瘍細胞中のERG1の過剰発現は、侵襲性のより強いCaPよりも侵襲性のより弱いCaPで一般に高いことが示唆される(表8)。
GeneChip解析によって同定し、リアルタイムQRT-PCRアッセイによって確認した腫瘍細胞中のERG1の過剰発現を、in situハイブリダイゼーションによってさらに検証した。in situハイブリダイゼーションおよび定量的画像解析のために、リアルタイムQRT-PCRデータに基づいて、その腫瘍細胞において高いERG1過剰発現を示した6人の患者(および対照としてERG1の過剰発現がない1人の患者)を、盲験様式で選択した。予想どおり、それぞれの場合でin situ発現データから、腫瘍上皮細胞中でERG1の過剰発現が確認された(図8)。
ERG抗体の産生および特徴づけ
テトラサイクリン調節型哺乳動物発現ベクター内へのERG1のクローニング:
ERG1のcDNAを、テトラサイクリン調節型哺乳動物発現ベクター(pTet-off、EC1214A)内にサブクローニングした。作製された構築体には、pTet-off-ERG1(センス)、pTet-off-ERG1(アンチセンス)、pTet-off-FlagERG1(センス)およびpTet-off-FlagERG1(アンチセンス)が含まれる。リボプローブベクターpGEM中へのERG1構築体は最初にサウスカロライナ医科大学(Medical University of South Carolina)のDr.Dennis K.Watsonから得た。構築体はジデオキシシークエンシングおよびアガロースゲル解析によって確認した。
ポリクローナルERG抗体の産生:
ERGに対する抗体は、完全長ERG1コード配列から導いたペプチド抗原を用いて作製した。抗原のエピトープは、ERG1/2/3を特異的に認識し、ETSファミリーの他のメンバーを認識しないように、注意深く選択した(図9)。所望の領域に最も高い親水性(-1.26および-0.55)ならびに抗原性を有する以下のペプチドを用いて抗体を作製した:
ペプチドM -50mer:
CKALQNSPRLMHARNTDLPYEPPRRSAWTGHGHPTPQSKAAQPSPSTVPK-[NH2](配列番号13)
ペプチドC -49mer:
CDFHGIAQALQPHPPESSLYKYPSDLPYMGSYHAHPQKMNFVAPHPPAL(配列番号14)
結合のために各ペプチドにシステインを付加した。ペプチドMは内部ペプチドであるので、C末端残基でアミド化されている。
Bio-Synthesis Inc.と連携してペプチドエピトープの合成およびウサギの免疫化を実施した。2つのエピトープのそれぞれについて2羽のウサギの免疫化を行った。免疫化後に得られた出血を採取し、試験した。次いで、それぞれのエピトープに由来するウサギの1羽からの出血について、SulfoLinkキット(Pierce)を用いてアフィニティー精製を行い、免疫ブロット解析によって確認した。
免疫ブロット解析によるポリクローナルERG抗体の特徴づけ:
アフィニティー精製した抗体の特徴づけを行うために、本発明者らは、リポフェクタミン試薬(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)を用いて、製造者の使用説明書に従って、HEK-293(ヒト胎児腎臓細胞系、ATCC、バージニア州Manassas)にERG1構築体pTet-off-ERG1(センス)およびpTet-off-FlagERG1(センス)を一過的にトランスフェクションした。プラスミドでトランスフェクションしなかったHEK-293は、トランスフェクション対照として役割を果たした。トランスフェクションの48時間後に細胞を収集し、免疫ブロット解析用に処理した。トランスフェクション後のERG1の発現を、上述のユニークなM-およびC-ERGエピトープに対して産生されたアフィニティー精製したポリクローナル抗血清を用いた免疫ブロッティングによって、測定した。内在性のERG1発現は、トランスフェクションしていないHEK-293細胞では検出されなかった。しかし、ERG抗体により、様々なERG1構築体でトランスフェクションしたHEK-293細胞ではERG1の発現が検出された。テトラサイクリン(2μg/ml)により、どちらのテトラサイクリン調節型構築体でも、すなわちpTet-off-ERG1(センス)およびpTet-off-FlagERG1(センス)の両方で、ERG1の発現が消滅した。M2-Flag抗体はFlagをタグづけしたERG1タンパク質のみを特異的に認識した。
前立腺腫瘍中でのERG、AMACR、およびDD3遺伝子の複合発現
CaP細胞中でのERGの過剰発現の頻度が驚くほど高いことから、やはりCaP細胞中で過剰発現される別の2つの遺伝子、すなわちAMACRおよびDD3とERGの発現について比較するに至った。本発明者らは、55人のCaP患者からの、レーザー顕微解剖した対応する腫瘍および良性の前立腺上皮細胞において、AMACRおよびDD3、ならびにERG遺伝子の遺伝子発現の定量的特徴を評価した。
他のプライマーおよびプローブを用いることもできるが、例として、DD3遺伝子を認識する以下のTaqManプライマーおよびプローブを設計した:
順方向プライマー:5'-CACATTTCCAGCCCCTTTAAATA-3'(配列番号15)
逆方向プライマー:5'-GGGCGAGGCTCATCGAT-3'(配列番号16)
プローブ:5'-GGAAGCACAGAGATCCCTGGGAGAAATG-3'(配列番号17)。
このプローブは、5'末端に付着させたレポーター色素である6-FAM、および3'末端に付着させたTAMRAを有する。3'-TAMRAはPCRの際に伸長を効率的に阻止する。
AMACR TaqManプライマーおよびプローブはApplied Biosystemsから購入した。
AMACRおよびDD3は、CaP患者のそれぞれ78.2%および87.3%の腫瘍細胞でアップレギュレーションを示した(図5)。腫瘍細胞中のERGの過剰発現が、CaP患者の同一群の78.2%で検出された(図5)。比較発現解析により、AMACRおよびERGの発現データを組み合わせた場合に、CaP患者の96.4%が腫瘍細胞中でその2つの遺伝子のどちらかのアップレギュレーションを示したことが明らかとなった(図5)。同様に、ERGおよびDD3の発現データの組合せにより、その遺伝子片方の癌検出能は96.4%に改善された(図5)。その3つの遺伝子すべての発現データを合わせた場合は、CaP患者の98.2%が、腫瘍細胞中で3つの遺伝子のうちの少なくとも1つのアップレギュレーションを示した(図5)。したがって、ERG遺伝子の発現のスクリーニングを、単独で、またはAMACRおよびDD3などのCaP中で過剰発現される他の遺伝子と組み合わせて行うことにより、CaPの新しい、強力な診断的および予後診断的手段が提供される。
悪性前立腺上皮中のLTFの過少発現
CaP細胞中で最も一貫して過少発現された遺伝子の1つがLTFであった(表1)。LCM由来の腫瘍および良性の前立腺上皮細胞におけるQRT-PCR(TaqMan)による検証から、試験したCaP細胞の100%で、一貫した、腫瘍関連LTF過少発現が確認された(図1D)。品質管理として、最近同定されたCaP組織マーカーであるAMACRの発現、およびCaP中で一般に発現が低減しているかまたは発現が認められない遺伝子であるGSTP1の発現(Nelson他、Ann.N.Y.Acad.Sci.、952:135-44(2001))も測定した(それぞれ図1Bおよび1C)。LTFに類似した頑強な過少発現がGSTP1で観察され、一方でAMACRの発現の増加が、試験した腫瘍細胞の95%で認められ、これにより、腫瘍および良性のLCM検体の高品質ならびにQRT-PCRの信頼性が確認された。さらなる研究では、LTFの発現を、103人のCaP患者の顕微解剖した腫瘍および良性の前立腺上皮細胞において、QRT-PCRによって解析した。結果は最初の結果と一致しており、患者の76%(103人中78人)で腫瘍に関連した過少発現が示された。
抗LTFヤギポリクローナル抗体(カリフォルニア州Santa Cruz、sc-14434)を用いて、タンパク質溶解物のウェスタンブロット解析および免疫組織化学技術を使用して、LTFの過少発現もタンパク質レベルで検証した。免疫細胞化学的な解析によって、30人のCaP患者からの組織試料でヘマトトキシリン-エオシン(H&E)およびLTF染色を行った。30症例中30症例で(100%)、腫瘍細胞に隣接する良性上皮細胞がLTFに対して陽性度が高く、一方で、平均して前立腺腫瘍細胞の10%未満がLTF陽性の細胞質染色を示した。
本明細書は、本明細書中に参考として組み込まれている、本明細書中に引用した参考文献の教示を鑑みて最もよく理解されるであろう。本明細書中の実施形態は、本発明の実施形態の例示を提供し、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。当業者は、多くの他の実施形態が本発明によって包含されることを容易に理解されるであろう。
QRT-PCR(TaqMan)で解析した、対応する腫瘍および良性の前立腺上皮細胞中のERG(A)、AMACR(B)、GSTP1(C)、およびLTF(D)の相対発現レベル。X軸:解析したCaP患者(1〜20);Y軸:腫瘍 対 良性のレーザー捕捉顕微解剖(LCM)試料ペア間の発現比率。 QRT-PCR(TaqMan)で解析した、対応する腫瘍および良性の前立腺上皮細胞中のERG(A)、AMACR(B)、GSTP1(C)、およびLTF(D)の相対発現レベル。X軸:解析したCaP患者(1〜20);Y軸:腫瘍 対 良性のレーザー捕捉顕微解剖(LCM)試料ペア間の発現比率。 癌性組織と良性組織とを識別する距離に基づいたMDSおよび加重解析による、遺伝子の同定。(A)18個の腫瘍試料および18個の良性試料の識別を明らかにする二次元MDSプロットである。 癌性組織と良性組織とを識別する距離に基づいたMDSおよび加重解析による、遺伝子の同定。(B)右のクラスター中に18個の腫瘍試料、左のクラスター中に18個の良性試料という、2つの主要なクラスターが示された階層的クラスタリングの樹形図である。 高リスクCaPと中リスクCaPとを識別することができる遺伝子を同定するための、腫瘍 対 良性の比率(または変化倍率)のデータを用いた、距離に基づいたMDSおよび加重遺伝子解析。(A)クラスター体積を最小限にし、中心間クラスター間距離を最大限にするその効果に応じて遺伝子を順位づける、18個の試料(高リスク群からの9個の試料および中リスク群からの9個の試料)の教師ありMDS解析である。 高リスクCaPと中リスクCaPとを識別することができる遺伝子を同定するための、腫瘍 対 良性の比率(または変化倍率)のデータを用いた、距離に基づいたMDSおよび加重遺伝子解析。(B)MDS解析によって得た上位200個の最初の55個の遺伝子の階層的クラスタリング。遺伝子および試料は、クラスターおよびツリー表示による順番に並べた。各試料中の各遺伝子の発現は、腫瘍 対 良性の比率または変化倍率(T/N)によって得る。クラスターの上部にある樹形図は2つの主要なクラスター、すなわち右のクラスター中にMR群の9個の試料、左のクラスター中にHR群の9個の試料を示す。 高リスクCaPと中リスクCaPとを識別することができる遺伝子を同定するための、腫瘍 対 良性の比率(または変化倍率)のデータを用いた、距離に基づいたMDSおよび加重遺伝子解析。(B)MDS解析によって得た上位200個の最初の55個の遺伝子の階層的クラスタリング。遺伝子および試料は、クラスターおよびツリー表示による順番に並べた。各試料中の各遺伝子の発現は、腫瘍 対 良性の比率または変化倍率(T/N)によって得る。クラスターの上部にある樹形図は2つの主要なクラスター、すなわち右のクラスター中にMR群の9個の試料、左のクラスター中にHR群の9個の試料を示す。 高リスクCaPと中リスクCaPとを識別することができる遺伝子を同定するための、腫瘍 対 良性の比率(または変化倍率)のデータを用いた、距離に基づいたMDSおよび加重遺伝子解析。(C)HR群とMR群とを識別する遺伝子の順位の効果に基づいた、高リスク群(9個の腫瘍上皮)と中リスク群(9個の腫瘍上皮)との区別を示す、18個のCaP腫瘍上皮の二次元MDSプロットである。 高リスクCaPと中リスクCaPとを識別することができる遺伝子を同定するための、腫瘍 対 良性の比率(または変化倍率)のデータを用いた、距離に基づいたMDSおよび加重遺伝子解析。(D)左のクラスター中にMR群の9個の試料および右のクラスター中にHR群の8+1個の試料という、2つの主要なクラスターを有する階層的クラスタリングの樹形図である。 高リスクCaPと中リスクCaPとを識別することができる遺伝子を同定するための、腫瘍 対 良性の比率(または変化倍率)のデータを用いた、距離に基づいたMDSおよび加重遺伝子解析。(E)高リスク群(9個の良性上皮)と中リスク群(9個の良性上皮)の試料との識別を示す18個のCaP良性上皮の二次元MDSプロットである。 in Silico検証:2つの独立したデータセット(Welsh他2001、Singh他2002)についての本発明者らによる教師ありMDS解析から得た遺伝子の識別可能性。Welsh他のデータを用いた、高リスク群の7個の腫瘍上皮と中リスク群の7個の腫瘍上皮との間の識別(A)、およびSingh他のデータを用いた、高リスク群の4個の腫瘍上皮と中リスク群の5個の腫瘍上皮との間の識別(B)を示す、二次元MDSプロット。 in Silico検証:2つの独立したデータセット(Welsh他2001、Singh他2002)についての本発明者らによる教師ありMDS解析から得た遺伝子の識別可能性。Welsh他のデータを用いた、高リスク群の7個の腫瘍上皮と中リスク群の7個の腫瘍上皮との間の識別(A)、およびSingh他のデータを用いた、高リスク群の4個の腫瘍上皮と中リスク群の5個の腫瘍上皮との間の識別(B)を示す、二次元MDSプロット。 55人のCaP患者の腫瘍および良性の前立腺上皮細胞中におけるERG、AMACRおよびDD3の遺伝子発現複合解析。グラフは、5つの遺伝子発現カテゴリー、すなわち、1)「アップ」:良性と比較して腫瘍中で2倍を超える過剰発現、2)「ダウン」:良性と比較して腫瘍中で0.5倍未満の過少発現、3)「同等」:有意な差異なし(0.5〜2倍)、4)「発現なし」:検出可能な遺伝子発現なし、および5)「その他」:示した遺伝子について、患者は、発現カテゴリー2、3および4により総合的に定められる(すなわちカテゴリー1以外である)、に従って、腫瘍 対 良性の遺伝子発現比率による患者分布を示す。(A)ERG発現。(B)AMACR発現。(C)DD3発現。(D)ERGまたはAMACR発現。(E)ERGまたはDD3発現。(F)ERG、AMACR、またはDD3発現。 ERG1およびERG2アイソフォームならびにプローブおよびプライマーの位置の地図。番号づけしたボックスはエクソンを表し、エクソン16の後の濃いボックスは3'非コードエクソン領域である。翻訳開始コドンおよびストップコドンはそれぞれアスタリスクおよびシャープで示した。Affymetrixプローブセット(213541_s_at)、TaqManプローブ、従来のRT-PCRプライマー、およびin situハイブリダイゼーションプローブの位置を示す。 ERG1の発現と、PSAの再発がない生存との相関。リアルタイムQRT-PCR(TaqMan)によって、検出可能なレベルのERG1 mRNAを有する95人のCaP患者について前立腺摘除後にPSAの再発がない生存との相関に関するカプラン-マイヤー解析を行った。カプラン-マイヤー生存曲線は、以下のERG1発現カテゴリー、すなわち、前立腺腫瘍細胞中でのERG1の1)100倍を超える過剰発現、2)2〜100倍の過剰発現、および3)2倍未満の過剰発現または過少発現、によって階層化した。p値は0.0006であった。 7人のCaP患者のin situハイブリダイゼーション画像を、冷却デジタルカメラ(Leica Microsystems、ドイツHeidelburg)によって、顕微鏡に連結したOpen-Lab画像解析ソフトウェア(Improvisation、マサチューセッツ州Lexington)によって解析した。腫瘍(濃いカラム)および良性(薄いカラム)の上皮の密度(OD)値をY軸に示し、患者1〜7をX軸に示す。QRT-PCR(TaqMan)によって腫瘍と良性の細胞の間で有意なERG1発現差異がない患者第7番を、対照として加えた。統計的解析はSPSSソフトウェアパッケージを用いて行った。 ERG1をモジュール構造として示した。その2つの保存領域、すなわちSAM-PNTドメイン(タンパク質/RNA相互作用ドメイン)およびETSドメイン(DNAと相互作用)に影をつけた。

Claims (33)

  1. 被験体における前立腺癌の診断または予後診断を行う方法であって、
    (a)被験体由来の生体試料中のERG1遺伝子(配列番号1)の発現レベルを測定すること、および
    (b)ERG1遺伝子の発現レベルを、被験体における前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことと相関付けること、
    を含む方法。
  2. サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、および核酸増幅法から選択される1つまたは複数の方法によって前記発現レベルを測定する、請求項1に記載の方法。
  3. AMACR遺伝子(配列番号3)もしくはDD3遺伝子(配列番号4)、またはAMACR遺伝子およびDD3遺伝子の両方の、発現レベルを測定すること、ならびにERG1遺伝子とAMACR遺伝子、ERG1遺伝子とDD3遺伝子、またはERG1遺伝子とAMACR遺伝子とDD3遺伝子のその発現レベルを、被験体における前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことと相関付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 高ストリンジェンシー条件下で配列番号1とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプローブを用いてERG1遺伝子の発現レベルを検出する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 核酸増幅法および高ストリンジェンシー条件下で配列番号1とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプローブを用いてERG1遺伝子の発現レベルを検出する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記オリゴヌクレオチドプローブが、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄を含む高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができる、請求項5に記載の方法。
  7. 生体試料が組織試料、血液試料、または尿試料から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 生体試料が前立腺組織試料である、請求項7に記載の方法。
  9. 生体試料が尿試料である、請求項7に記載の方法。
  10. 生体試料中のERG1遺伝子の発現レベルを対照試料中のERG1遺伝子の発現レベルと比較し、ここで対照試料中のERG1遺伝子の発現と比較した場合の生体試料中での少なくとも2倍のERG1遺伝子発現の増加は、被験体における前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことを示す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 対照試料が前記被験体由来の非癌性生体試料である、請求項10に記載の方法。
  12. 高ストリンジェンシー条件下で配列番号1(ERG1)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第1のオリゴヌクレオチドプローブ、および高ストリンジェンシー条件下で配列番号3(AMACR)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む、前立腺癌を検出するためのキット。
  13. 高ストリンジェンシー条件下で配列番号1(ERG1)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第1のオリゴヌクレオチドプローブ、および高ストリンジェンシー条件下で配列番号4(DD3)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む、前立腺癌を検出するためのキット。
  14. 高ストリンジェンシー条件下で配列番号4(DD3)またはその相補配列とハイブリダイズすることができる第3のオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む、請求項12に記載のキット。
  15. 前記第1、第2、および第3のオリゴヌクレオチドプローブが担体に固定されている、請求項12〜14のいずれか一項に記載のキット。
  16. 担体が、高ストリンジェンシー条件下で表1〜6において同定した遺伝子とハイブリダイズすることができる少なくとも1つの第3のオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む、請求項12または13に記載のキット。
  17. 前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが配列番号1の少なくとも約20個の連続したヌクレオチド、またはその相補配列を含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載のキット。
  18. 第1のオリゴヌクレオチドプライマーおよび第2のオリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む請求項17に記載のキットであって、前記第1のオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号1中の第1の配列とハイブリダイズする配列を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号1に相補的な核酸鎖中の第2の配列とハイブリダイズする配列を含み、前記第1の配列は前記第2の配列と重なり合わず、前記第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーは配列番号1中の標的配列を増幅することができる、前記キット。
  19. 高ストリンジェンシー条件が、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄を含む、請求項18に記載のキット。
  20. ERG1遺伝子の発現レベルを用いて前立腺癌の病理ステージを示すかまたは予測する、請求項1に記載の方法。
  21. ERG1遺伝子の発現レベルと、AMACR遺伝子もしくはDD3遺伝子、またはAMACRおよびDD3遺伝子の両方の、発現レベルとを用いて、前立腺癌の病理ステージを示すかまたは予測する、請求項3に記載の方法。
  22. 生体試料中のERG遺伝子の発現の検出方法であって、
    (a)前記生体試料を少なくとも第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーと、ハイブリダイズ条件下で混合するステップであって、前記第1のオリゴヌクレオチドプライマーは標的配列中の第1の配列とハイブリダイズする配列を含み、前記第2のオリゴヌクレオチドプライマーは前記標的配列に相補的な核酸鎖中の第2の配列とハイブリダイズする配列を含み、前記第1の配列は前記第2の配列と重なり合わず、前記標的配列は配列番号1の断片を含む、前記ステップと、
    (b)前記生体試料中に前記標的配列が存在する場合には、複数の増幅産物を産生するために少なくとも1つのポリメラーゼ活性を加えるステップと、
    (c)前記標的配列の少なくとも1つの増幅産物とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを加えるステップと、
    (d)前記オリゴヌクレオチドプローブと前記少なくとも1つの増幅産物とのハイブリダイゼーションからシグナルが生じるかどうかを検出するステップと、
    を含む方法。
  23. AMACR、DD3、およびLTFから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. AMACRの発現を検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  25. DD3の発現を検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  26. LTFの発現を検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  27. AMACRおよびDD3の発現を検出することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  28. 生体試料が前立腺組織試料、血液試料、または尿試料である、請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記オリゴヌクレオチドプローブが高ストリンジェンシー条件下で配列番号1またはその相補配列とハイブリダイズすることができる、請求項28に記載の方法。
  30. 前記オリゴヌクレオチドプローブが、6×SSC中65℃で48時間のハイブリダイゼーション、次いで0.1×SSX中50℃で45分間の洗浄を含む高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1とハイブリダイズすることができる、請求項29に記載の方法。
  31. 前記オリゴヌクレオチドプローブ、第1のオリゴヌクレオチドプライマー、または第2のオリゴヌクレオチドプライマーが、配列番号1の少なくとも15個の連続したヌクレオチドを有する配列番号1の断片またはその相補配列を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前立腺癌を診断または予後診断する方法であって、
    (a)被験体由来の生体試料中のLTF遺伝子(配列番号5)の発現レベルを測定すること、および
    (b)LTF遺伝子の発現レベルを、被験体における前立腺癌の存在または被験体が前立腺癌を発生する素因がより強いことと相関付けること、
    を含む方法。
  33. 免疫組織化学、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティング、ELISA、および核酸増幅法から選択される1つまたは複数の方法によって前記発現レベルを測定する、請求項32に記載の方法。
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