JP2007533954A5 - - Google Patents

Description

本発明は、調速輪列及びこの調速輪列を駆動する動力源を含むタイプの腕時計ムーブメントに装着されるよう意図された、表示装置に関する。この装置は、
− 表示円盤、及び
− 補足機能に結合され、かつ円盤を支持する可動部を有する、表示器歯車装置を含む。

１つ以上の円盤を用いた情報の表示器は当業者に知られている。最も頻度の高い利用例の一つは、曜日及び日付の表示に関するもので、この表示は１日に１度ジャンプする２つの円盤を用いて提供される。このジャンプを実現するには、通常はムーブメントにばねが設けられ、該ばねは調速輪列により設定され、真夜中頃に解放されて、曜日及び日付の次の設定への変更を行う。また、最初は腕時計の歯車装置によって提供されるゆっくりとした動きで駆動され、その後ジャンパースプリングにより生成されるジャンプで駆動されることも可能である。

このように、例え非常に大きい直径の円盤であっても、調速輪列からは実際にエネルギーは抜き取られない。機械式腕時計では、これにより円盤駆動装置のバランスの振幅の減少を防止することが可能になる。クォーツ腕時計では、モータにより供給されるエネルギーは変動を受けず、従って動作に何ら影響を与えずに動力余量が増加可能である。

規則的な駆動を実現するために、本発明による装置は、
− 歯車装置の回転運動を安定化するよう設計された調節装置と、
− 少なくとも仲介された方法で、調速輪列によって作動され、表示器歯車装置を用いて、香箱により円盤が駆動されるようにする、起動機構と
を含む。

調節装置は好適には、慣性方式の調速機とカムとを含み、該カムは固定部材が設けられかつ慣性方式の調速機と同時に回転する。起動機構はレバーを含み、該レバーは、
− 固定部材と相互作用して調節装置を固定する第１位置、
− カムを解放して調節装置の回転を可能にする第２位置、及び
− 再び固定部材と相互作用するまでカムを支える第３位置、
を占められるように設計されている。

ムーブメントは、スイスのＥＴＡ ＳＡ社により「７７５０」の商品番号で市販されているようなクロノグラフ式キャリバーに基づいている。このムーブメントは、図２に示す、底板３３と、クロノグラフ歯車装置と、開始・停止機構とを含み、これらは同図面では部分的にのみ見ることができるが、当業者にはよく知られている。ムーブメントはさらに、香箱と、調速輪列と、脱進機と、バランスとを含む。香箱は従来の方法で調速輪列にエネルギーを供給し、該調速輪列はそれを脱進機へ供給し、該脱進機は歯車装置の回転運動を往復運動に変換してバランスを駆動する。

調節装置４０は、２つの可動部５０、５２と慣性方式の調速機５４とを有する速度増加歯車列を含む。可動部５０は、香箱４３と噛み合うピニオン５０ａと、可動部５２を図示されていないそのピニオンを用いて駆動する車５０ｂとを含む。この可動部はさらに車５２ｂとカム５２ｃとを含む。この車は、慣性方式の調速機５４に取り付けられた図示されていないピニオンと噛み合う。カム５２ｃは、切欠き５２ｄを設けたワッシャの形態をとる。切欠き５２ｄは、レバー４６の歯止め４６ａと相互作用し、該レバー４６は、可動部５２の位置に依って、ばね４８の作用によりカムの周辺部を支えるように保持されるか、あるいは切欠き５２ｄにおいて係合され保持される。

慣性方式の調速機５４には２本の腕５４ａが設けられ、その各々はブレード５４ｂを支持し、それと共に３本の留め指５４ｃが設けられ、これらは半径方向に配置され、歯止め４６ｂと相互作用するように設計されている。各々のブレード５４ｂは、慣性方式の調速機の回転軸と同軸の円弧の形状をした弾力性のある部分５４ｄを有し、腕５４ａのうちの１本にその一方の末端を固定され、約９０度の角度で伸びている。弾力性のある部分５４ｄの各々には、そのもう一方の末端に、慣性の制動重り５４ｅが設けられており、慣性方式の調速機５４を取り囲んで底板３３に固定されたドラム５６と、相互作用するよう意図されている。より正確には、慣性方式の調速機５４が回転すると、ブレード５４ｂの弾力性のある部分５４ｄは、それらの慣性重り５４ｅの作用により弾力的に変形され、該重りはドラム５６をこすり付ける。

車３４が指４４ｃを解放すると直ちに、レバー４６はばね３８の作用によって後退する。その後、歯止め４６ａはカム５２ｃ上にもたれかかるが、その運動を著しく妨げることはない。従ってカムは、歯止め４６ａが切欠き５２ｄ内へ後退するまで、回転を続ける。歯止め４６ｂは、その後指５４ｃの１つと相互作用して、慣性方式の調速機を固定する。

分単位用円盤２８が１回転を完了する時はいつでも、９から０へ移行し、それと共にカム６４を支えて、図２にのみ図示される指６４ｂは、レバー１４４の指１４４ｃを持ち上げる。レバー１４４はピン１４６ｃを持ち上げ、かつレバー１４６を旋回させて、ばね１４８を設定し、一方で歯止め１４６ａ、１４６ｂは調節装置１４０を解放する。その時、香箱１４３は最早制止されない。香箱１４３は慣性方式の調速機１５４を駆動し、該慣性方式の調速機１５４の重り１５４ｅはドラム１５６と接触するようになり、こうして香箱１４３と１０分単位用円盤の駆動歯車装置１４２の運動を調節し、該１０分単位用円盤の車１６２は１０分単位用円盤２６を支持する。

駆動手段３６、１３６、２３６によって、調速輪列の回転を実行する香箱の負荷を一切増加することなく、円盤２４、２６、２８が駆動される。このように、バランスの振幅は表示円盤のジャンプによる影響を受けない。

図５ａ及び図５ｂは、ムーブメントに組み込まれた香箱ばね用の巻き上げ機構６５の両面を示す。香箱４３、１４３、２４３の巻き取りに加えて、巻き上げ機構６５は、調速輪列を駆動するよう意図された前述の香箱６６も巻き上げる。これら香箱の各々は、文字ａで識別されるドラムと、軸ｂと、図示しないばねとを有し、該ばねは一方の末端が軸ｂに取り付けられ、もう一方の末端は滑りフランジを用いてドラムａの内壁と相互作用する。文字ｃで識別される角穴車は、軸ｂに取り付けられる。

上記の装置は、各円盤に割り当てられた香箱を用いて、クロノグラフ表示器の円盤の各々を駆動するのに使用可能である。このように、計測秒針及び分針を駆動し、装置を起動するのに必要なエネルギーだけが、調速輪列から取り出される。

本発明による表示装置はさらに、図６に部分的に示す、円盤２４、２６、２８用のゼロリセット機構も有する。ゼロリセット機構は、図１に示す、押しボタン３１、３２によって操作される。ゼロリセット機構は作動レバー７６と相互作用し、該作動レバー７６はクロノグラフ機構の一部を形成し、押しボタン３１によって起動されるとともに、クラッチを起動し、該クラッチは従来の方法で、図示しないクロノグラフ秒用車を用いて、調速輪列を車３４に連結する。

押しボタン３１が再び押下されると、クロノグラフ歯車装置がこれ以上調速輪列と係合しないように、クラッチを移動させる。こうして計測は中断され、計測時間の表示は固定される。従ってデータは読取可能となる。部材８４はジャンパースプリング９０により押し込まれた位置に保持されているので、この再度の押下は部材８４に対して作用しないことがわかるであろう。

計測を再度開始するには、押しボタン３１を押下することが単に必要なだけである。レバー７６は、最初にバランス８２を駆動し、該バランス８２はレバー８６を解放する。レバー４６、１４６、２４６は最早制止されず、それぞれのばね４８、１４８、２４８の作用によって揺動する。それらの歯止めの一部は、カム５２ｃ、１５２ｃ、２５２ｃの切欠き５２ｄ、１５２ｄ、２５２ｄに入り、一方でその他は、それらが相互作用する指５４ｃ、１５４ｃ、２５４ｃの反対側に配置される。クロノグラフ機構に組み込まれたクラッチはさらに、調速輪列を計測秒用車へ連結する。この秒用車は車３４を駆動し、該車３４は、上述のように、分単位用円盤２８の駆動手段３６を作動する。そして新しい計測が開始される。

香箱は単一の操作で巻き上げられる。さらに、ムーブメントに第２の巻き上げ竜頭を設けて、調速輪列を駆動する香箱と計測時間表示器を駆動する香箱とは独立して巻き取られることを考えることも可能で、例えば、１つは３時の方向に配置された竜頭を用いる一方で、他は９時の方向等に配置可能な竜頭を用いて巻き取られることも考えられる。さらに、クロノグラフ機構を設けたクォーツ腕時計、例えば、腕時計の動力源はバッテリでありながらも円盤は機械的動力源を用いて駆動されるもの、を考えることも可能である。

しかし、全ての場合において、表示装置に供給されるエネルギーは、調速輪列を駆動する香箱ばね又はモータから得るのではない。

このように、本発明によるムーブメントの特性により、大型の円盤により提供される表示器を備えた腕時計を構成することが可能であり、それによって調速輪列に負荷をかけることがなく、また従って動作の正確性に影響を及ぼすこともない。