JP2007527717A - ウイルス性疾患に耐性がある接木植物及びその生成法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎及び敏感な接ぎ穂を含む接木植物に関するものであり、疾患に対する耐性は、接木植物全体がウイルス性疾患に耐性があるように、トランスジェニックウイルス耐性根茎から接ぎ穂に与えられる。本発明はさらに、接木型ウイルス耐性植物の生成法、及びそれによって生成される植物に関する。

Description

本発明は、トランスジェニックウイルス耐性根茎から接ぎ穂に疾患に対する耐性が与えられる、トランスジェニックウイルス耐性根茎及び接木接ぎ穂を含むウイルス性疾患に耐性がある植物、及びその生成法に関する。
植物病原性ウイルスは、世界中で農業における新鮮品の生産において相当な損失を引き起こす。広い領域での1種の栽培を含めた現代の農業習慣、及び温室領域の増大をもたらす一年を通じた新鮮品に関する需要は、ウイルス伝播の問題を悪化させ、その結果生じる損害を増大させる。
ウイルス感染に耐性がある植物を生成するための伝統的な植物の品種改良プログラムは、過去において首尾良く使用されてきている。しかしながら、このような品種改良プログラムは、常に入手可能であるわけではない天然源の耐性に依存する。例えば、ズッキーニ黄化モザイクウイルス(ZYMV)は、世界中で毎年ウリ科において重度の損害を引き起こす。このウイルスは葉のアブラムシによって植物から植物に移り、殺虫剤はウイルスの伝播を防ぐ際に不充分であることが分かっている。さらに、限られた耐性源が同定されている。
Powell−Abelら(Powell−Abelら、1986.「サイエンス(Science)」232:738〜743)は、タバコモザイクウイルス(TMV)のコートタンパク質(CP)遺伝子を用いて形質転換しそれを発現させた植物は、TMVに対して耐性があることを示した最初の人物であった。その時以来、アルファルファモザイクウイルス、タバコラットルウイルス、ジャガイモウイルスX、キュウリモザイクウイルス(CMV)、ポチウイルスを含めた15の分類群中の少なくとも25のウイルス、及びにジャガイモウイルスXとジャガイモウイルスYコートタンパク質の両方を用いて形質転換した植物に関して、ウイルスのコートタンパク質仲介の耐性が示されてきている。
一般に、CP仲介の耐性は広範囲のウイルス系統に対して有効であるが、RNA仲介の耐性、即ちタンパク質に翻訳されないウイルスRNA断片の発現がウイルス耐性を与えることより、通常は有効性が低い。例えば米国特許第6,649,813号は、ウイルスゲノムのレプリカーゼ部分の読み過ごし部分から採取したコード配列を含むトランスジェニック植物がウイルスによる後の疾患に耐性がある、1つの植物世代から他の植物世代に伝わる可能性があるウイルス誘導型耐性を開示している。タバコモザイクウイルス(TMV)由来の54kDaのコード配列の使用が、具体的に記載されている。レプリカーゼ仲介の耐性は高い配列相同性を共有する系統に限られ、攻撃ウイルスの力価によって影響されず、トランス遺伝子の発現レベルとは関係がない。
転写後型遺伝子発現抑制(PTGS)は、細胞mRNAとウイルスmRNAの両方を標的化することができる配列特異的な防御機構であり、遺伝子発現を不活性化させるために広く使用されているツールである。PTGSは植物中で生じることが知られているが、一方で非常に関連がある現象であるRNA干渉(RNAi)は、広範囲の他の生物中で生じることが知られている(Baulcombe、D.2000.「サイエンス(Science)」、290:1108〜1109)。RNA干渉は、例えばカンセンチュウ目、アカパンカビ、キイロショウジョウバエ中、及び哺乳動物中で生じることが示されてきている。さらに、トランス遺伝子及びウイルスは植物中での遺伝子発現抑制を誘導することが示されてきており、PTGSはウイルス蓄積に対する自然な防御機構であると現在は考えられている(Hamilton A.及びBaulcombe、D.1999.「サイエンス(Science)」、286:950〜952;Matzkeら、2001.Curr.Opin.Genet.Dev.11:221〜227)。
ウイルス誘導型遺伝子発現抑制(VIGS)は、幾つかの植物RNAウイルスに関して充分実証されている。このプロセスは、二本鎖RNA(dsRNA)分子によって開始される。dsRNA分子はおそらくウイルスRNAの複製中間体によって、或いは異常なトランス遺伝子コードRNAによって作製され、これらはRNA依存性RNAポリメラーゼ活性によってdsRNAになる。dsRNAは幾つかのリボヌクレアーゼIIIファミリーによって低分子干渉RNA(siRNA)に切断され、それらは一般に21〜26ヌクレオチドの大きさの範囲である。同系mRNAを破壊する多成分ヌクレアーゼ複合体RISC(RNA誘導型遺伝子発現抑制複合体)を形成することによって、siRNAはRNA分解を次いで促進すると考えられている。siRNAの発見以来、この機構に基づく方法は、遺伝子機能を解明し望ましくない遺伝子発現を防ぐための研究ツールとして使用されて、特定の標的遺伝子が発現抑制されてきている。
WO99/61631は、遺伝子のセンス及びアンチセンスRNA断片を使用する、植物中の標的遺伝子の発現を改変するための方法を開示している。センス及びアンチセンスRNA断片は、二本鎖RNA分子を対状に形成することができ、それによって遺伝子の発現を改変する。
WO99/53050は、センス及びアンチセンスヌクレオチド配列を有する領域間で塩基対を形成することによって二本鎖RNA領域を形成することができる、標的核酸を対象とするセンス及びアンチセンスRNA分子をコードするキメラ遺伝子を導入することによって、或いはRNA分子自体を導入することによって、真核生物細胞中、特に植物細胞中の当該の核酸の表現型発現を低下させるための方法及び手段を開示している。
WO00/68374は、遺伝子のセンス及びアンチセンスRNA断片を使用する、細胞中のウイルス遺伝子の発現を改変するための方法に関する。センス及びアンチセンスRNA断片は、二本鎖RNA分子を対状に形成することができ、それによって遺伝子の発現を改変する。本発明はさらに、好ましいことにウイルスに対する耐性又は抵抗力がある、本発明の方法を使用して得られる細胞、植物又は動物に関する。
WO2004/009779は、RNA前駆体を発現させるための前駆体RNA構築体を含む組成物を開示している。前駆体RNA構築体は、ミクロRNAを有する前駆体RNAの発現を誘導する植物細胞中で発現されるプロモーターを含む。ミクロRNAは標的遺伝子又はヌクレオチド配列の一部分と相補的或いは部分的に相補的であり、標的配列又は遺伝子の発現を調節するために働く。このようにして、RNA前駆体構築体を設計して、当該の任意のヌクレオチド配列、内生植物遺伝子或いは代替的にトランス遺伝子の発現を調節することができる。
接木は、根茎の望ましい属性と接ぎ穂の望ましい属性を組み合わせるための、農業者及び庭師によって使用される古典的技法である。過去において接木は、多年生、特に草本植物及び樹木に主に使用された。今日この技法は一年生植物にも使用されており、根茎及び接ぎ穂を含む接木植物苗木の割合は絶えず増大している。Smirnovら(Smirnovら、1997.「植物生理学(Plant Physiol.)」114:1113〜1121)は接木技法を使用して、野生型タバコ植物とヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ植物を接木した。Smirnovらは、接木植物のトランスジェニック根茎中での抗ウイルスタンパク質の発現は、野生型接ぎ穂におけるウイルス感染に対する耐性を誘導することを実証した。しかしながら耐性は、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質の酵素活性に依存した。
これまで、病原体感染に耐性がある植物を生成するための試みは、耐性関連形質を植物ゲノムに取り込ませるための形質転換法を使用することに主に集中していた。しかしながら、トランスジェニック植物から得られる農産物は多くの国々で望まれていない。或いは、接木技法が使用された。特定の疾患に耐性がある根茎の使用が示されてきているが、接木接ぎ穂は病原体の伝播に敏感であった。
したがって、認められている必要性が存在し、病原体、特にウイルスに耐性があり、農産物が遺伝的に改変されていない植物部分によって生成される、植物を有することが非常に有利であると思われる。
本発明は、植物全体がウイルス性疾患に耐性がある、トランスジェニックウイルス耐性根茎及び敏感な接ぎ穂を含む接木植物を提供する。本発明の植物は、多年生又は一年生であってよい。本発明はさらに、接木型耐性植物を生成するための組成物及び方法を提供する。ウイルス耐性の性質は、個々の植物を生成するために使用する組成物の具体的な特徴に依存する。幾つかの態様によれば本発明は、土壌伝染性ウイルスから保護された接木植物を提供する。他の態様によれば、本発明の植物はウイルスによって引き起こされる葉感染に対して耐性がある。
本発明の植物は、さまざまな型の接木によって生成することができる;接ぎ穂が所望の農産物を生成するとき、接木法が典型的には使用される。有利なことに、本発明の植物によって生成される農産物は遺伝的に改変されていない、何故なら根茎が植物の唯一のトランスジェニック部分だからである。
如何なる特定の理論又は機構に縛られることも望まずに、ウイルス性疾患に対する本発明の植物の耐性は、接木型の敏感な接ぎ穂に耐性を与えるトランスジェニック根茎に与えられた、RNA仲介のウイルス耐性に原因がある可能性がある。
したがって、一態様によれば本発明は、抗ウイルスタンパク質の発現による以外のウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎、及びウイルス性疾患に対して感受性がある接ぎ穂を含む植物であって、接木植物が前記ウイルス性疾患に耐性がある植物を提供する。
さまざまな実施形態によれば本発明は、ウイルスタンパク質又はその一部分及びsiRNAをコードする配列から選択される核酸配列転写産物を発現するトランスジェニック根茎によって、接木接ぎ穂に与えられるウイルス耐性を提供する。したがって、幾つかの実施形態によれば、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎は、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。他の実施形態によれば、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎は、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を含む。
本明細書で使用する用語「セグメント」は、ウイルスゲノムのコード領域、非コード領域、その一部分及びその組合せからなる群から選択される核酸配列を指す。
一実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列は、タンパク質又はその一部分をコードしている。他の実施形態によれば、核酸配列はコートタンパク質、複製タンパク質、運動性タンパク質又はその一部分からなる群から選択されるタンパク質をコードしている。一実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、ウイルスゲノムのレプリカーゼ部分のセグメントである核酸配列を含む。
別の実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、キュウリ果斑モザイクウイルス(CFMMV)の複製タンパク質の断片である推定54kDaのタンパク質をコードする核酸配列を含む。現在好ましい一実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、配列番号1に記載の配列を有する核酸配列を含む。
さらに別の実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体は、
(a)以下のものに動作可能に連結した少なくとも1つの植物の発現可能なプロモーター、
(b)少なくとも1つの二本鎖RNAを形成するRNA配列をコードする核酸配列であって、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの標的セグメントのセンスヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列、及び前記ウイルスゲノムの前記標的セグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第2ヌクレオチド配列を含む核酸配列、及び場合によっては、
(c)転写終了シグナルを含む。
好ましい一実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体は、
(a)以下のものに動作可能に連結した少なくとも1つの植物の発現可能なプロモーター、
(b)ステム−ループの形の少なくとも1つの二本鎖RNAを形成するRNA配列をコードする核酸配列であって、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの標的セグメントのセンスヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列;前記ウイルスゲノムの前記標的セグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第2ヌクレオチド配列を含む核酸配列;及びスペーサー配列;及び場合によっては、
(c)転写終了シグナルを含む。
構築体が植物細胞内でsiRNAの生成を誘導するように設計されており、siRNAがウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的化するという条件で、本発明の実施はいずれか特定のDNA構築体に限られないことは理解されよう。幾つかの実施形態によれば、構築体は少なくとも1つの二本鎖RNA分子を形成するRNA配列をコードする核酸配列を含み、その二本鎖RNA分子はウイルス標的配列の切断を仲介する。さまざまな方法でDNA構築体を設計して、二本鎖RNAを形成することができる。さらに、本発明はsiRNAを生成する構築体を用いて実施するが、植物細胞内でsiRNAを生成するための当分野で知られている任意の方法も、本発明の範囲内に含まれることは理解されるはずである。
植物細胞内のウイルスゲノムのセグメントを切断するための手段としてのsiRNAの使用は、以前に開示されている。染色体遺伝子(内生又は異種遺伝子のいずれか)が根茎中で発現抑制されるとき、その発現抑制は発現抑制された根茎から対応する染色体遺伝子を発現する標的接ぎ穂に伝わることも示されてきている。しかしながら、本発明は驚くことに、病原性ウイルスのゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的化するsiRNAを生成する構築体を用いた根茎の形質転換は、他の場合はウイルスによる感染を受けやすい接木接ぎ穂に耐性を与えることを開示する。
幾つかの実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列は、同一プロモーターに動作可能に連結している。他の実施形態では、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列のそれぞれが別々のプロモーターに動作可能に連結しており、その別々のプロモーターは同じであるか異なっていてよい。
一実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントのセンスヌクレオチド配列の配列と少なくとも95%の同一性、好ましくは100%の同一性である、少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの配列を含む。他の実施形態によれば、第2ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも95%の同一性、好ましくは100%の同一性である、少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの配列を含む。
使用することができる第1ヌクレオチド配列及び第2ヌクレオチド配列の長さに対する上限は存在せず、したがって本発明の構築体は、約20ヌクレオチド〜完全長の標的RNAの長さを含めた、さまざま長さのヌクレオチド配列を含むことができる。本発明の第1ヌクレオチド及び第2ヌクレオチドの長さは、約1,000ヌクレオチド長であることが好ましい。別の実施形態によれば、第1ヌクレオチド及び第2ヌクレオチドの長さは、約22ヌクレオチド長である。
好ましい一実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列は、配列番号2に記載のヌクレオチド配列又はその断片と90%の同一性、好ましくは95%、より好ましくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。他の現在好ましい実施形態によれば、第2ヌクレオチド配列は、配列番号2に記載のヌクレオチド配列の相補配列又はその断片と90%の同一性、好ましくは95%、より好ましくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
一実施形態によれば、阻害RNA分子の構造体は第1及び第2ヌクレオチド配列、スペーサー配列をさらに含み、したがって二本鎖RNAはステム−ループRNA(ヘアピンRNA、hpRNA)の形である。好ましい実施形態では、スペーサー配列の長さは、第1及び第2ヌクレオチドの長さの1/5〜1/10である。
幾つかの実施形態によればスペーサー配列は、siRNA生成を増大させるための遺伝子のイントロンに由来するヌクレオチド配列を含む。一実施形態によればスペーサー配列は、配列番号3に記載の配列を有するヒマカタラーゼ遺伝子由来のイントロンを含む、ヌクレオチド配列を含む。
場合によっては、siRNAをコードする構築体は転写終了シグナルを含む。一実施形態によれば、転写終了シグナルはNOSターミネーターである。
特定の実施形態によれば、接木接ぎ穂に耐性を与える核酸配列は、植物細胞内での核酸配列の発現に関する制御要素をさらに含む。発現制御配列は、プロモーター、エンハンサー、転写因子、スプライシングシグナル、及び終了配列からなる群から選択される。一実施形態によれば、プロモーターは構成性プロモーターである。現在好ましい一実施形態によれば、構成性プロモーターはイチゴベインバンディングウイルスのプロモーターである。別の実施形態によれば、プロモーターは組織特異的プロモーターである。
他の実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を用いて形質転換したトランスジェニック根茎は、土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある。一実施形態によれば、このようなトランスジェニック根茎を含む接木植物は、線虫伝播性ウイルス、真菌伝播性ウイルス、根の損傷によって伝播するウイルス及び未知のベクターによって伝播するウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスから保護される。
一実施形態によれば、線虫伝播性ウイルスは、ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルスから選択されるが、これらだけには限られない。
別の実施形態によれば、真菌伝播性ウイルスは、キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルスからなる群から選択されるが、これらだけには限られない。
さらなる実施形態によれば、根の損傷によって伝播するウイルスはトバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルスからなる群から選択されるが、これらだけには限られない。
さらに別の実施形態によれば、未知の経路によって伝播するウイルスは、オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択されるが、これらだけには限られない。
一実施形態によれば接木植物は、トバモウイルス属の土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患から保護されている。他の実施形態によれば接木植物は、トバモウイルス属のCFMMVによって引き起こされる疾患から保護されている。さらに別の実施形態によれば、接木植物はウリ科から選択される。
接木技術を使用して、敏感な植物に土壌伝染性ウイルス病原体に対する耐性を与えることができることを、本発明は初めて示す。土壌伝染性ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む耐性のある根茎と、敏感な接ぎ穂を接木することによって、接ぎ穂は土壌伝染性の病原体に対して保護されやすい逆の状態になる。
さらなる実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を含むトランスジェニックウイルス耐性根茎及び接ぎ穂を含む接木植物は、任意の種の植物を含む。さらに、ある植物を生成させて任意の選択植物ウイルスに対する耐性を示すことができ、複数の植物ウイルスに対する耐性を得ることもできる。幾つかの実施形態によれば植物は、本明細書で前に記載した群から選択される土壌伝染性ウイルスに耐性がある。他の実施形態によれば植物は、植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスに耐性がある。一実施形態によれば、植物の気生部分に影響を与えるウイルスは、カリモウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、レオウイルス科、タルチチウイルス科、ブロモウイルス科、コモウイルス科、ポチウイルス科、トンブスウイルス科、セクイウイルス科、クロストロウイルス科及びルテオウイルス科からなる群から選択されるウイルス科である。他の実施形態によればウイルスは、トバモウイルス、トブラウイルス、ポテックスウイルス、カルラウイルス、アレクシウイルス、カピロウイルス、フォベアウイルス、トリコウイルス、ブドウウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルス、ベニーウイルス、ホルデイウイルス、ソベモウイルス、マラフィウイルス、チモウイルス、イダエオウイルス、オウルミウイルス、及びウンブラウイルスからなる群から選択される。
特定の実施形態によれば、siRNAを作製するために設計したDNA構築体を含む根茎を含む接木植物は、ポチウイルス科由来の植物ウイルスに耐性がある。以下の記載中には、トランスジェニックタバコ属ベンサミアナ系の根茎及びさらにタバコ属ベンサミアナ系の接ぎ穂にウイルスに対する耐性を与える、コートタンパク質遺伝子及び3’非コード領域を含めたズッキーニ黄化モザイクウイルス(ZYMV)のゲノムの3’端を標的とするsiRNAの使用を、本発明の広範囲の技術の具体例として記載する。
本発明の根茎に形質転換した核酸配列は、トランスジェニック植物のみが発芽し成長することができるように、選択可能なマーカーをさらに含むことが好ましい。追加的又は代替的に、レポーター遺伝子を構築体中に取り込ませて、そのレポーター遺伝子を発現するトランスジェニック植物の選択を可能にすることができる。一実施形態によれば、選択可能なマーカーは、植物中で抗生物質耐性を誘導する遺伝子である。
公の場でトランスジェニック植物の増殖に関して設けられている近年の規制は、抗生物質耐性を誘導する遺伝子を含むトランスジェニック植物の使用を除外している。したがって、トランスジェニック植物の選択は、本発明に従いウイルス耐性を与えるように設計した第1構築体と、レポーター遺伝子を含む第2構築体の同時形質転換によって行うことができる。ウイルス耐性を与える構築体の首尾良い形質転換は、レポーター遺伝子を発現し従って首尾良い形質転換を示す植物においてのみ、当業者に知られている方法によって、例えばPCRによって次いで確認する。
当分野で知られているように本発明の核酸配列は、植物を形質転換するために使用する植物形質転換ベクターに取り込ませることができる。
さらなる態様によれば本発明は、ウイルスによる感染に耐性がある植物を生成するための方法であって、(a)抗ウイルスタンパク質の発現による以外のウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎を提供するステップ、(b)前記ウイルスによる感染の影響を受けやすい接ぎ穂を提供するステップ、及び(c)接ぎ穂を根茎に接木させて前記ウイルス感染に耐性がある接木植物を得るステップを含む方法を提供する。
一実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を用いて根茎を形質転換して、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎を生成する。他の実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を用いて根茎を形質転換して、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎を生成する。本発明の好ましい実施形態によれば、影響を与えるウイルスゲノムのセグメントは植物中での感染及び/又は複製のためにウイルスに必要不可欠であり、したがってその切断はウイルス感染及び/又は複製を妨げ、それによって耐性植物を与える。
耐性のある根茎を生成するためのポリヌクレオチド又はDNA構築体を用いた植物の形質転換は、当業者に知られているように、さまざまな手段によって行うことができる。一般的な方法は、アグロバクテリア菌仲介形質転換、マイクロプロジェクタイル法、花粉仲介移動、リポソーム仲介形質転換、直接的な遺伝子移動(例えば、マイクロインジェクションによる)及び胚形成カルスのエレクトロポレーションだけには限られないが、これらによって例示される。一実施形態によれば、アグロバクテリア菌仲介形質転換を使用して耐性植物を生成する。
本発明の核酸配列を含むトランスジェニック植物は、当業者に知られている分子遺伝学の標準的方法を使用して選択することができる。一実施形態によれば、抗生物質に対するそれらの耐性に従いトランスジェニック植物を選択する。幾つかの実施形態によれば、選択可能なマーカーとして働く抗生物質は、パラモマイシン及びカナマイシンからなるアミノグリコシド群の1つである。
別の実施形態によれば、ウイルス感染に対するそれらの耐性に従いトランスジェニック植物を選択する。一実施形態によれば、線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスだけには限られないが、これらを含めた土壌伝染性ウイルスに対するそれらの耐性に従いトランスジェニック植物を選択する。
別の実施形態によれば、ウイルス科:カリモウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、レオウイルス科、タルチチウイルス科、ブロモウイルス科、コモウイルス科、ポチウイルス科、トンブスウイルス科、セクイウイルス科、クロストロウイルス科及びルテオウイルス科;トバモウイルス、トブラウイルス、ポテックスウイルス、カルラウイルス、アレクシウイルス、カピロウイルス、フォベアウイルス、トリコウイルス、ブドウウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルス、ベニーウイルス、ホルデイウイルス、ソベモウイルス、マラフィウイルス、チモウイルス、イダエオウイルス、オウルミウイルス、ウンブラウイルスからなる群から選択される、植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスに対する、それらの耐性に従いトランスジェニック植物を選択する。
別の態様によれば本発明は、本発明の方法によって生成する接木植物に関する。トランスジェニックウイルス耐性根茎に接木させた他の場合ウイルス感染の影響を受けやすい接ぎ穂を含む植物は、ウイルス感染に耐性がある。接木植物は、その根茎が耐性がある同じウイルス種に耐性があると思われる。根茎はそのゲノムに安定的に組み込まれた本発明の核酸配列を含み、DNA構築体の性質は根茎が耐性があるウイルス種を決定する。
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、以下の図面、記載及び特許請求の範囲中でさらに詳細に説明する。
発明の詳細な説明
本発明は、根茎及び接ぎ穂を含む、ウイルス性疾患に耐性がある接木植物に関する。抗ウイルスタンパク質の発現による以外の植物ウイルスに対する耐性を与えるDNA構築体を用いて形質転換した植物は、根茎の供給源として働き、ウイルス性疾患に対して感受性がある植物は、接ぎ穂の供給源として働く。接ぎ穂を根茎に接木することによって、その植物全体がウイルス感染から保護される。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は本出願中の、以下の詳細な記載中で述べるか或いは図面中に示す、要素の構成及び配置の詳述に限られないことは理解されよう。本発明は他の実施形態が可能であり、或いはさまざまな方法で実施又は実行することができる。さらに、本明細書で使用する語法又は用語は記載の目的であり、制限的なものとしてみなすべきではないことは理解されよう。
定義
用語「植物」は、その最も広い意味で本明細書において使用する。植物は任意の種類の樹木、草本、多年生又は一年生植物を含むが、これらだけには限られない。植物はさらに、植物の分化の任意の段階に存在する構造体に大部分は分化した複数の植物細胞を指す。このような構造体には根、茎、苗条、葉、花、花弁、果実などがあるが、これらだけには限られない。
本明細書において使用する用語「接木植物」は、当分野で知られている任意の方法によって根茎に接ぎ穂を接木した、根茎及び接ぎ穂を含む植物を指す。
本明細書において使用する用語「根茎」は、植物の根の部分を含む接木用の茎を指す。用語「接ぎ穂」は、通常気生部分のみ或いは主にそれを接木に与える接木における根茎との一体化用に設計又は調製した、植物の分離済みの生きた部分を指す。
本明細書において使用する用語「ウイルス」は、植物ウイルス、即ち植物細胞に感染し植物細胞中で増殖することができるウイルスを指す。典型的には、ウイルスは病原性であり、したがって実質的なウイルス感染は農作物の収率低下を引き起こす。
本明細書において使用する用語「土壌伝染性」ウイルスは、線虫、真菌を含めた土壌中のベクター、又は未知の土壌中のベクターによって伝播するウイルス、及び植物残骸中に留まり根の損傷によって土壌中を伝播するウイルスを指す。
用語「耐性植物」及び「ウイルス性疾患に耐性がある植物」は、非耐性(感受性)植物と比較して、ウイルスに対して高い抵抗力を有する植物を指す。この高い抵抗力は、問題のウイルスを植物に意図的に感染させることによって調べる。それぞれのウイルスに特異的な症状規模に従い、感受性植物と比較して低い症状強度を示す植物を、ウイルスに耐性がある植物として定義する。植物は感染に抵抗することができるか(したがって耐性は免疫と呼ぶ)、或いはそれらが回復する感染の予備段階を経ることができる(したがって耐性は回復と呼ぶ)。耐性は、子孫の個体群に遺伝し得る安定した特徴である可能性がある。或いは耐性は、接木植物が根茎及び接ぎ穂を含む場合のみ存在する。後者の状況では、ウイルス性疾患に耐性がある植物は、ウイルス性疾患から保護された植物とも呼ぶ。
用語「遺伝子」は、RNA又はポリペプチドの生成に必要なコード配列を含む、核酸(例えばDNA又はRNA)配列を指す。ポリペプチドは完全長コード配列によって、或いは任意のその一部分によってコードされ得る。用語「その一部分」は、遺伝子に関して使用するとき、その遺伝子の断片を指す。断片は、数個のヌクレオチド〜遺伝子配列全体マイナス1ヌクレオチドの大きさの範囲であってよい。したがって、「遺伝子の少なくとも一部分を含む核酸配列」は、遺伝子又は遺伝子全体の断片を含むことができる。
用語「遺伝子」は構造遺伝子のコード領域をさらに含み、いずれかの端で約1kbの距離の5’及び3’端上のコード領域の隣に位置する配列を、遺伝子が完全長mRNAの長さ部分に対応するように含む。コード領域の5’に位置しmRNA上に存在する配列は、5’非翻訳配列と呼ぶ。コード領域の3’又は下流に位置しmRNA上に存在する配列は、3’非翻訳配列と呼ぶ。本明細書において使用する用語「イントロン」は、遺伝子のコード領域に割り込んでいる非コード配列を指す。「イントロン」は核又は一次転写産物から除去又は「スプライシング切断」され、したがってメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中には存在しない。
本明細書において使用する用語「核酸」は、直線状又は分岐状の、一本鎖又は二本鎖であるRNA又はDNA、或いはそれらのハイブリッドを指す。この用語はRNA/DNAハイブリッドも含む。
本明細書において使用する用語「プロモーター要素」、「プロモーター」、又は「プロモーター配列」は、5’端に位置する(即ち、DNAポリマーのタンパク質コード領域に先行する)DNA配列を指す。本来知られている大部分のプロモーターの位置は、転写される領域に先行する。プロモーターはスイッチとして機能し、遺伝子の発現を活性化させる。遺伝子が活性化される場合、それは転写される、或いは転写と関係があると言える。転写は、遺伝子からのmRNAの合成を含む。したがって、プロモーターは転写制御要素として働き、遺伝子のmRNAへの転写を開始するための部位をさらに与える。
用語「異種遺伝子」又は「キメラ遺伝子」は、その本来の環境中に存在しない因子をコードする遺伝子を指す(即ち、人間の手によって改変されている)。例えば異種遺伝子は、他種に導入された一種由来の遺伝子を含む。異種遺伝子は、(例えば、突然変異させる、多数のコピーを加える、非原型プロモーター又はエンハンサー配列と連結させてあるなどの)幾つかの方法で改変されている生物に固有の遺伝子も含む。異種遺伝子は、cDNA形の植物の遺伝子を含む植物の遺伝子配列を含むことができ;cDNA配列はセンス方向に発現させて(mRNAを生成することができ)、或いはアンチセンス方向に発現させて(mRNA転写産物と相補的なアンチセンスRNA転写産物を生成することができる)。異種遺伝子によってコードされるタンパク質の遺伝子、又は染色体の植物遺伝子配列と自然に結合することが分かっておらず、或いは本来見られない染色体の部分(例えば、遺伝子が通常発現されない遺伝子座で発現される遺伝子)と結合する、プロモーターなどの制御要素を含むヌクレオチド配列と典型的には接合する点で、異種植物遺伝子は内生植物遺伝子と区別される。特定の植物種に内生の植物遺伝子(内生植物遺伝子)は、その植物種において本来見られる遺伝子、又は従来の品種改良法によってその植物種に導入することができる遺伝子である。
用語「トランスジェニック」は、植物又は果実又は種子(即ち「トランスジェニック植物」又は「トランスジェニック果実」又は「トランスジェニック種子」)に関して使用するとき、1つ又は複数のその細胞中に少なくとも1つの異種遺伝子を含む植物又は果実又は種子を指す。用語「トランスジェニック植物素材」は、少なくとも1つのその細胞中に少なくとも1つの異種遺伝子を含む植物、植物構造体、植物組織、植物種子又は植物細胞を広く指す。
用語「形質転換体」又は「形質転換細胞」は、継代数と無関係にその細胞に由来する一次形質転換細胞及び培養物を含む。故意又は偶然の突然変異のために、全ての子孫はDNA含有物が全く同一である可能性はない。最初に形質転換した細胞に関して調べたのと同じ機能を有する突然変異した子孫は、形質転換体の定義中に含まれる。
本発明は、ウイルス感染に耐性があり根茎が植物の唯一の遺伝的に改変された部分である、トランスジェニック植物を生成するために接木の技法を使用する系を開示する。したがって本発明の植物は、形質転換法を使用してウイルス感染に対する耐性を与えることができ、一方で本発明の植物によって生成される農産物は遺伝的に改変されていない点で、これまで知られている耐性植物より有利である。
接ぎ穂を根茎に接木することは、樹木植物の増殖において長年使用されている一般的な園芸習慣である。一度接木すると、水及び栄養が根茎から接ぎ穂に運ばれて、接ぎ穂の成長を助長する。今日現在、接木は生成する接木植物の園芸特徴を改善するために、さまざまな植物種に関して広く使用されている。農作物の収穫において使用される根茎及び接ぎ穂を含む接木した実生苗木の割合は、現在の農業習慣では絶えず増大している。例えば、ギリシャ、イタリア及びスペインで栽培されている約60%のキュウリ及びスイカの実生苗木は、接木した実生苗木である。接木した実生苗木に関する栽培の需要を満たすために、高スループットの接木のためのさまざまな方法が開発されている。使用される全ての方法において、接ぎ穂と根茎の相補端を1つにして接木体を形成する。植物の正常な治癒プロセスの一部として接木体においてカルス組織が生成し、接ぎ穂と根茎の間の水及び栄養の導管として働く。
一態様によれば本発明は、抗ウイルスタンパク質の発現による以外のウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎、及びウイルス性疾患に対して感受性がある接ぎ穂を含む植物であって、接木植物が前記ウイルス性疾患に耐性がある植物を提供する。
さまざまな方法を使用して、根茎として働くことができるウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック植物を生成することができる。本発明は特に、標的ウイルスゲノムのセグメントと相同の転写産物を発現するトランスジェニック根茎に関する。
特定の機構に縛られることを望まずに、耐性はRNA発現抑制と関係している可能性がある。真菌中では抑えられる植物における転写後型遺伝子発現抑制(PTGS)と呼ばれるRNA発現抑制、及び動物におけるRNA干渉は、特定の遺伝子転写レベルが関連RNAの存在下で低下する現象を指す。発現抑制される遺伝子は生物に内生又は外来性であってよく、染色体中に組み込まれて存在するか、或いはゲノム中に組み込まれていないトランスフェクションベクター又はウイルスなどの一時的な形で存在してよい。遺伝子の発現は完全に、或いは部分的に阻害される。PTGSが標的RNAの機能を完全に、或いは部分的に阻害すると考えることもできる。
幾つかの実施形態によれば、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎は、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。
ウイルスのゲノムの一部分を構成的に発現させるトランス遺伝子を導入することによって、ウイルスによる感染に対する植物の耐性をもたらすことが示されてきている(Maratheら、2000.Plant Mol.Biol.43:295〜306)。ここで本発明は、敏感な接ぎ穂を前に記載したように形質転換したトランスジェニック根茎に接木することは、根茎から接ぎ穂へのウイルス耐性の付与をもたらすことを示す。特に本発明は、このような接木植物は土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患から保護されることを示す。
非制限的な例として本発明は、トランスジェニック耐性キュウリ根茎への接木による、土壌伝染性のキュウリ果斑モザイクトバモウイルス(CFMMV)に対する影響を受けやすいキュウリの栽培品種の保護を開示する。
CFMMVは、イスラエルで温室栽培キュウリ(Cucumis sativus L.)から単離された、新たに報告されたウリ科植物に感染するトバモウイルスである(Antignusら、2001.「植物病理学(Phytopathology)」、91:565〜571)。キュウリ変種は、2つの亜群に属する4つの異なるトバモウイルスの影響を受けやすい。CFMMVはキュウリ緑斑モザイクウイルス(KGMMV)及びズッキーニ緑斑モザイクウイルス(ZGMMV)と生物学的且つ配列に関して非常に関連性があるが、弱い血清学的親和性及びキュウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV−W)と低いコートタンパク質(CP)相同性を示す。
CFMMVのRNAゲノムは、3つのサブゲノムRNAを有し4つのオープンリーディングフレームをコードする、6,562ヌクレオチド(Genebank受託番号AF321057、配列番号4)からなる(図1)。CFMMVの5’隣接領域は、複製に必要不可欠な2つの同時開始タンパク質:132kDa及び189kDaのタンパク質をコードする。189kDaのタンパク質は、132kDaのタンパク質の3’端、位置3629での漏出性UAG終了コドンの読み過ごしによって作製される(Antignusら、2001、上記)。タバコモザイクウイルス(TMV)では、I1−RNAと呼ばれるサブゲノムRNAは短いレプリカーゼ遺伝子(132kDa)の端から始まり、レプリカーゼフレームの読み過ごし部分をコードし、トバモウイルスによって感染される植物では未だ同定されていない推定54kDaのタンパク質を生成する(Zaitlin、M.1999.Phil Trans R Soc Lond B 354:587〜591)。
商業用の温室条件下では、CFMMVの症状は、比較的進んだ成長段階で果実及び先端葉において最初に認められる。葉の症状には重度の斑紋症状、静脈縞模様及び黄斑形成がある。幾つかの場合、完全に分化した植物が、植物の衰弱をもたらす重度の萎縮症状を示す。温室内での急速なウイルスの伝播は、相当数の経済的な作物の損失をもたらす可能性がある。植物器官と接種源の機械的接触によって、ウイルスは容易に伝播する。植物残骸又は感染した温室の土壌中に、ウイルスが長期間存在し続ける可能性がある。キュウリにおける有効で自然な耐性供給源の欠如は、伝統的な品種改良プログラムによる商業品種への耐性のある遺伝子の移入を妨げる。
したがって一実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、キュウリ果斑モザイクウイルス(CFMMV)の複製タンパク質の断片である推定54kDaのタンパク質をコードする核酸配列を含む。1つの現在好ましい実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、配列番号1に記載の配列を有する核酸配列を含む。
本明細書で以下に例示するように、CFMMVの推定無構造54kDa遺伝子を用いて形質転換した単為結実キュウリは、CFMMV感染に対する高レベルの耐性(免疫)を示し、生物学的又は分子学的方法によって、接種植物においてウイルスの形跡を検出することはできなかった。
耐性応答と関係があった幾つかのパラメータを調べた。反復実験において、トランスジェニック系における54kDaの遺伝子転写産物の蓄積レベルは、強力な構成性プロモーターによって誘導されたにもかかわらず一貫して低かった(図6)。特定の機構に縛られることは望まずに、植物ウイルスに対する発現抑制仲介の耐性に関して以前に報告されたように、耐性はトランス遺伝子転写産物の特異的分解と関連している可能性がある。
興味深いことに、トランスジェニック植物にCFMMV又はZYMVを接種することは、54kDaのコード配列のRNA発現レベルに影響を与えなかった(図6)。対照的に、発現抑制が耐性機構において示された幾つかの試験では、トランスジェニック耐性植物に相同的なウイルスを接種することは、ウイルスRNAのレベルを低下させた(Savenkov、E.I.及びValkonen、J.P.2002.J Gen Virol 83:2325〜2335)。発現抑制を抑制する遺伝子を有することが知られているウイルスによる事前感染が、攻撃的CFMMV感染に対するトランスジェニック植物の耐性を妨げることはなかった。この観察結果は、それぞれジャガイモYウイルスによる事前感染に圧倒された、ジャガイモAウイルス又はプラムポックスウイルスに対するトランスジェニックタバコ属ベンサミアナ系の発現抑制仲介の耐性に関する報告と異なる。
本発明は、トランスジェニック耐性根茎に接木することによる、CFMMVの土壌中接種に対して敏感なキュウリの保護を示す。したがって本発明は、ウイルスゲノムのセグメントと相同性がある転写産物を発現するトランスジェニック根茎に接木することによって、敏感な接ぎ穂を土壌伝染性ウイルスに対して保護することができることを初めて実証する。本明細書で開示するトランスジェニック根茎仲介の保護には相当数の農業用途があり、非遺伝的改変型(非GMO)産物を生成して増殖させ、土壌中の病原体に対して適切に保護することができる。
さらなる実施形態によれば、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎は、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を含む。
転写後型遺伝子発現抑制の現象は、2つの型のトランス遺伝子の遺伝子座によって誘導される可能性がある。最初の型は、本明細書で前に記載した充分に転写される1つのトランス遺伝子に対応する。PTGSを効率良く誘導する第2の型のトランス遺伝子の遺伝子座は、逆方向反復配列(IR)として編成された2つのトランス遺伝子コピーを有し、読み過ごし転写によってdsRNAを生成するものである。二本鎖RNA(dsRNA)は、植物を含めた幾つかの生物において特定の遺伝子発現を抑制する際に非常に有効である。ウイルス誘導型遺伝子発現抑制(VIGS)は、例えば幾つかの植物RNAウイルスに関して実証されてきている(Vance及びVaucheret、2001.「サイエンス(Science)」、292:2277〜2280)。このプロセスは、二本鎖RNA(dsRNA)分子によって開始される。dsRNA分子はおそらくウイルスRNAの複製中間体によって、或いは異常なトランス遺伝子コードRNAによって作製され、これらはRNA依存性RNAポリメラーゼ活性によってdsRNAになる(Dalmayら、2000.「セル(Cell)」、101:543〜553;Waterhouseら、2001.「ネイチャー(Nature)」、411:834〜842)。このようなdsRNA分子は植物細胞中に取り込まれており、ウイルスの遺伝子発現を抑制又は阻害する際に有用であることが示されてきている(例えば、米国出願No.20020169298を参照のこと)。
植物細胞中では、dsRNAはリボヌクレアーゼIIIファミリーのメンバーによって低分子干渉RNA(siRNA)に切断され、それらは一般に21〜26ヌクレオチドの大きさの範囲である。したがってsiRNAは、同系mRNAを破壊する多成分ヌクレアーゼ複合体RISC(RNA誘導型抑制複合体)を形成することによって、RNA分解を促進すると考えられている(Elbashirら、2001.EMBO J 20:6877〜6888;Zamoreら、2000.Cell 101:25〜33)。近年、21〜26ヌクレオチドの大きさの範囲であるこのようなsiRNA、RNAi経路の中間体は、動物及び哺乳動物系において遺伝子発現を抑制する際に同様に有効であることが示されてきている。したがってsiRNAの使用は、遺伝子発現を下方制御するための強力なツールとなっている。
転写後型遺伝子発現抑制は、ウイルス伝播を連想させる非常に特徴的な形式で、個々の植物中において全体に広がる。このことは、発現抑制が開始されシグナルが配列特異的な形式で発現抑制を開始させることができる植物の遠方部分に次いで伝わる組織中で生成される、全体的な発現抑制シグナルの仮説につながる。発現抑制の配列特異性は、シグナルは核酸であるが、シグナルのアイデンティティーは依然知られていないことを示唆する(Kalantidis、K.2004.PIoS Biology 2:1059〜1061)。発現抑制は主として炭素供給源から炭素吸収源の方向、即ち、光合成の糖生成物を輸出する葉などの組織からこれらの生成物を輸入する根などの組織に広がり、それが植物全体中で確立するまでに、数週間までかかる可能性がある。接木植物における発現抑制シグナルの存在は示されてきており、この場合発現抑制は発現抑制された根茎から標的接ぎ穂に伝わった。しかしながら、このようなシグナル伝達は、接ぎ穂による対応するトランス遺伝子の発現に依存した。さらに、内生遺伝子又は接ぎ穂に安定的に組み込まれた外来性遺伝子であれ、染色体の対応する遺伝子の過剰発現は、シグナル伝達によって仲介されるRNA分解を誘導するための、根茎から接ぎ穂への必要不可欠な前提条件であることが実証された。
本発明は、ウイルスゲノム配列を発現抑制することを標的化するdsRNAを発現するトランスジェニック根茎は、接木時に敏感な接ぎ穂にウイルス耐性を与えることを実証する。接ぎ穂に与えられるウイルス耐性は、根茎から接ぎ穂に伝わるシグナルは、ウイルスゲノム配列を切断する際に有効であることを示す。したがって本発明は、根茎から接ぎ穂に伝わるシグナルは、配列特異的な形式で植物ゲノムによって発現されない核酸配列の機能的発現に干渉することを初めて示す。この発見は、伝わるシグナルがRNAであることを示唆する。Smirnovら(上記)は、トランスジェニック植物中でのヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質(PAP)の発現は、接木植物中でのウイルス耐性を誘導することを示した。この著者達は、接ぎ穂によって得られる耐性は、サリチル酸の蓄積及び病原関連タンパク質の合成に依存しないことをさらに実証している。しかしながら、これらの結果は本発明によって記載する現象とは実質的に異なる、何故ならPAPの酵素活性は、接ぎ穂をウイルス感染に耐性がある状態にするシグナルを生成するために必要とされるからである。さらにPAP活性は、本発明の接木植物に与えられる配列特異的な耐性とは対照的に、非特異的なウイルス耐性を与える。
一実施形態によれば本発明は、トランスジェニック耐性タバコ根茎に接木することによる、ズッキーニ黄化モザイクウイルス(ZYMV)に対する敏感なタバコの接ぎ穂(タバコ属ベンサミアナ系)の保護を開示し、この耐性根茎は、コートタンパク質をコードする遺伝子及びウイルスゲノムの3’非翻訳領域を含む、ZYMVゲノムのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を含む。この実施形態は、本明細書で前に記載した本発明の広範囲を示す非制限的な例として働く。
本発明の組成物及び方法を使用して、ウイルス感染を受けやすい任意の植物に耐性を与えることができる。非制限的な例には、ウリ科の植物、ダイズ、コムギ、オートムギ、モロコシ、コットン、トマト、ジャガイモ、タバコ、コショウ、コメ、コーン、オオムギ、アブラナ属、及びシロイヌナズナがある。一実施形態によれば、接木したウイルス耐性植物はウリ科の植物である。好ましい一実施形態によれば、トランスジェニックウイルス耐性植物はスイカ、メロン、パンプキン、カボチャ、ズッキーニ及びキュウリからなる群から選択される。ウイルス特異性は、植物に形質転換される核酸配列の型及び設計によって決定されると思われる。核酸配列は1つ又は複数のウイルスゲノムの対応するセグメントの発現抑制を標的化する転写産物をコードすることができ、さらに2個以上の核酸配列を植物に形質転換することができる。
特定の実施形態によれば本発明は、土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある、土壌伝染性ウイルスのゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含むトランスジェニック根茎、及び疾患に対して感受性がある接ぎ穂を含む植物を提供し、この接木植物は前記土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる前記疾患から保護される。
一実施形態によれば植物は、線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスだけには限られないが、これらを含めた土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある。
一実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、キュウリ果斑モザイクウイルス(CFMMV)の複製タンパク質の断片である推定54kDaのタンパク質をコードする核酸配列を含む。現在好ましい一実施形態によれば、トランスジェニック根茎は、配列番号1に記載の配列を有する核酸配列を含む。
さらなる実施形態によれば本発明は、ウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を含むトランスジェニック根茎、及び前記ウイルスによって引き起こされる疾患に対して感受性がある接ぎ穂を含む植物を提供し、この接木植物は前記ウイルスによって引き起こされる前記感染に耐性がある。
ウイルスゲノムの標的セグメントに応じて植物を設計して、任意のウイルスに対して耐性があるようにすることができる。幾つかの実施形態によれば、植物は土壌伝染性ウイルス、及び本明細書で前に記載した植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスに耐性がある。
一実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体は、
(a)以下のものに動作可能に連結した少なくとも1つの植物の発現可能なプロモーター、
(b)少なくとも1つの二本鎖RNAを形成するRNA配列をコードする核酸配列であって、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの標的セグメントのセンスヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列、及び前記ウイルスゲノムの前記標的セグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第2ヌクレオチド配列を含む核酸配列、及び場合によっては、
(c)転写終了シグナルを含む。
幾つかの実施形態によれば、本発明のDNA構築体はステム−ループRNAを発現し、第1(センス)及び第2(アンチセンス)ヌクレオチド配列、第1及び第2ヌクレオチド配列をコードするDNA領域間に位置するスペーサーポリヌクレオチド配列をさらに含むように設計する。スペーサーポリヌクレオチド配列の長さは、ステム−ループRNAの特異的構造に従い変わる可能性がある。典型的には、スペーサーの長さと第1及び第2ヌクレオチド配列の長さの比は、1:5〜1:10の範囲内である。
好ましい一実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体は、
(a)以下のものに動作可能に連結した少なくとも1つの植物の発現可能なプロモーター、
(b)ステム−ループの形の少なくとも1つの二本鎖RNAを形成するRNA配列をコードする核酸配列であって、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの標的セグメントのセンスヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列;前記ウイルスゲノムの前記標的セグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第2ヌクレオチド配列を含む核酸配列;及びスペーサー配列;及び場合によっては、
(c)転写終了シグナルを含む。
一実施形態によればスペーサー配列は、siRNA生成を増大させることが当分野で知られている、遺伝子のイントロンに由来するヌクレオチド配列を含む。一実施形態によればスペーサー配列は、配列番号3に記載の配列を有するヒマカタラーゼ遺伝子由来のイントロンを含む、ヌクレオチド配列を含む。
本明細書において使用する用語「DNA構築体」及び「核酸配列」は、宿主細胞又は生物中で発現される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド分子を指す。典型的にはこのような発現は、構成性、誘導性又は組織特異的プロモーター、及び増大要素を含めた幾つかのシス作用性制御要素の制御下にある。当分野では一般的であるが、このようなポリヌクレオチド配列は、制御要素と「動作可能に連結している」と言える。真核生物細胞中に運ばれる核酸配列は、その核酸配列を含む真核生物細胞の選択を可能にする、真核生物又は細菌由来の選択可能なマーカーも典型的には含む。これらは、当分野でよく知られている抗生物質耐性を与えるさまざまな遺伝子、及びさまざまなレポーター遺伝子だけには限らないが、それらを含み得る。場合によっては核酸配列は、クローニング部位、1つ又は複数の原核生物の複製起点、1つ又は複数の翻訳開始部位、1つ又は複数のポリアデニル化シグナルなどをさらに含む。
本明細書において使用する用語「核酸配列の発現」、又は「ポリヌクレオチドの発現」は、適切な制御領域、特にプロモーター領域と動作可能に連結したDNA領域が、生物学的に活性がある、即ち他の核酸と相互作用することができるか、或いはポリペプチド又はタンパク質に翻訳することができるRNAに転写されるプロセスを指す。本発明の教示に従い、ウイルス遺伝子又はその一部分の発現抑制を得るために、タンパク質の翻訳は必ずしも必要とされないことは理解されるはずである。
用語「遺伝子の発現」は、遺伝子の「転写」によって(即ち、RNAポリメラーゼの酵素作用によって)遺伝子中にコードされている遺伝情報をRNA(例えばmRNA、rRNA、tRNA、又はsnRNA)に、及びmRNAの「翻訳」によってタンパク質に変換するプロセスを指す。遺伝子の発現は、プロセス中の多くの段階で制御することができる。「上方制御」又は「活性化」は遺伝子の発現産物(即ち、RNA又はタンパク質)の生成を増大させる制御を指し、一方「下方制御」又は「抑制」は生成を低下させる制御を指す。上方制御又は下方制御と関係がある分子(例えば転写因子)は、それぞれ「活性化因子」及び「抑制因子」と呼ばれることが多い。
ウイルスゲノムのセグメントである本発明のヌクレオチド配列は、完全長遺伝子、又はその一部分、非コード領域又はその一部分又はこれらの組合せであってよい。本明細書において使用する用語「相同性」は、核酸配列に関して使用するとき、少なくとも2つのヌクレオチド配列間の類似性又は同一性の程度を指す。部分的な相同性又は完全な相同性(即ち同一性)が存在する可能性がある。「配列同一性」は、比較する長さ全体に関する割合として表される、2つ以上のヌクレオチド配列間の関連性の指標を指す。同一性の計算は、同一でありそのそれぞれの配列中で同一の相対的位置に存在する、ヌクレオチド残基を考慮する。ギャップ、即ち、残基が1つの配列中には存在するが他の配列中には存在しないアラインメント中の位置は、非同一残基に関する位置としてみなされる。例えばGapped BLAST系検索(Altschulら、1997.「核酸の研究(Nucleic Acids Res.)」25:3389〜3402)及び「BESTFIT」を使用して、相同性が決定される。
本明細書において使用する「ヌクレオチド配列の相補配列」は、そのヌクレオチド配列と二本鎖DNA分子を形成することができると思われ、シャルガフの法則(AT;GC)に従いヌクレオチドをそれらの相補的ヌクレオチドと置換すること、及び5’〜3’方向、即ちヌクレオチド配列の反対方向に読み取ることによって、そのヌクレオチド配列から誘導することができるヌクレオチド配列である。
本明細書において使用するRNA分子のヌクレオチド配列は、配列表のDNAヌクレオチド配列を参照することによって同定することができる。しかしながら当業者は、文脈に応じてRNA又はDNAを意味するかどうかを理解していると思われる。さらに、RNA分子中でT塩基がウラシル(U)に置換されていること以外、ヌクレオチド配列は同一である。
ウイルスゲノムのセグメントと相同的な核酸配列の全体長が長くなるほど、ウイルスゲノムのセグメントの配列との配列同一性に関する要件は厳しくなくなることは理解されよう。核酸配列全体は、対応するウイルスゲノムのセグメントと少なくとも約90%の配列同一性、及び約95%又は100%のさらに高い配列同一性を有することができる。
ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を根茎が含む、ある実施形態によれば、DNA構築体の第2(アンチセンス)ヌクレオチド配列の長さは、第1(センス)ヌクレオチド配列の長さによって主に決定され、後者の配列の長さに対応し得る。しかしながら、約10%長さが異なるアンチセンス配列を使用することができる。同様に、アンチセンス領域のヌクレオチド配列はセンス領域のヌクレオチド配列によって主に決定され、センス領域の相補配列と約90%の配列同一性、及び約95%又は100%のさらに高い配列同一性を有することができる。
siRNAを作製するために設計したDNA構築体の第1及び第2ヌクレオチド配列は、それらの配列が少なくとも20個の隣接ヌクレオチドを含むという条件で、任意の長さであってよい。したがって、第1及び第2ヌクレオチドは、標的配列の一部分又は標的配列の完全長を含むことができる。幾つかの実施形態によれば、ヌクレオチド配列の長さは20ヌクレオチド〜1,200ヌクレオチドである。
一実施形態によれば、本発明のDNA構築体によって作製したsiRNAは、ウイルスコートタンパク質のコード領域を含めた、ZYMVゲノムのセグメントを発現抑制することを標的化する。
好ましい一実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列は配列番号2に記載のヌクレオチド配列又はその断片と90%の同一性、好ましくは95%、より好ましくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
別の好ましい実施形態によれば、第2ヌクレオチド配列は配列番号2に記載のヌクレオチド配列の相補配列又はその断片と90%の同一性、好ましくは95%、より好ましくは100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列は、同一プロモーターに動作可能に連結している。少なくとも一部分が相補的である転写される鎖は、dsRNAを形成することができる。他の実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列は、2本の別々の鎖として転写される。dsRNAがこのように生成されるとき、転写されるDNA配列は、1つは第1ヌクレオチド配列の転写を制御し、もう1つは第2の相補ヌクレオチド配列を制御する、2つのプロモーターの側面に位置している。この2つのプロモーターは同じであるか異なっていてよい。一実施形態によれば、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列は、同一プロモーターに動作可能に連結している。
植物の発現可能なプロモーターは当分野で知られている。適切なプロモーターの選択は、本発明のDNA構築体を使用することを目的とする植物種、有用性、及び必要とされる作用形態によって決定されると思われる。本発明の教示に従う好ましいプロモーターは、一般的又は組織特異的な構成性プロモーターである。用語「構成性」は、プロモーターに関して言及するとき、そのプロモーターは、刺激(例えば熱ショック、化学物質、光など)の不在下において動作可能に連結した核酸配列の転写を誘導することができることを意味する。典型的には構成性プロモーターは、実質的に任意の細胞及び任意の組織におけるトランス遺伝子の発現を誘導することができる。植物中での構成性遺伝子の発現のために使用されることが多いプロモーターには、CaMV35Sプロモーター、強化型CaMV35Sプロモーター、ゴマノハグサモザイクウイルス(FMV)プロモーター、マンノピン合成酵素(mas)プロモーター、ノパリン合成酵素(nos)プロモーター、及びオクトピン合成酵素(ocs)プロモーターがある。本発明の本発明者及び同僚によって単離した、イチゴベインバンディングウイルス(SVBV)から単離した構成性プロモーター(Wangら、2000.「ウイルス遺伝子(Virus Genes)」20:11〜17)を、使用することが好ましい。
特定の遺伝子を抑制するための転写後遺伝子制御の可能性のある使用は、細胞内で活性siRNAを得るための、さまざまな新しい方法の開発につながっている。例えば米国出願No.20040262249は、標的遺伝子、特に植物細胞内のウイルス遺伝子を発現抑制するためのsiRNAの直接的な導入を開示している。本発明の教示は、植物細胞内にsiRNAを作製するため、或いは植物細胞にsiRNAを直接導入するための、当分野で知られている任意の方法によって実施することができる。
本明細書で前に記載した核酸配列、特に(i)配列番号1及び配列番号2から選択されるヌクレオチド配列を有する核酸、又は(ii)配列番号1及び配列番号2から選択されるヌクレオチド配列の相補配列、及びこれらの断片とクロスハイブリダイズするヌクレオチド分子も、本発明の範囲内にある。
首尾良いハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件に大きく依存する。本明細書において使用する用語「緊縮条件」又は「緊縮性」は、核酸、塩、及び温度によって定義されるハイブリダイゼーションに関する条件を指す。これらの条件は当分野でよく知られており、これらを変えて同一又は関連ポリヌクレオチド配列を同定又は検出することができる。低又は高緊縮性を含む多くの均等条件は、配列の長さ及び性質(DNA、RNA、塩基組成)、標的の性質(DNA、RNA、塩基組成)、環境(溶液中に存在するか、或いは固体支持体上に固定されている)、塩及び他の成分(例えばホルムアミド、硫酸デキストラン及び/又はポリエチレングリコール)の濃度、及び反応の温度(約5℃〜約25℃の範囲内、プローブの融解温度未満)などの要因に依存する。1つ又は複数の要因を変えて、低又は高緊縮性の条件を作成することができる。ハイブリダイゼーション及び洗浄条件はよく知られており、Sambrookら、「分子クローニング:研究室用マニュアル(Molecular cloning:A laboratory manual)」、第2版、Cold Spring Harbor、ニューヨーク.1989、特に第11章中に例示されている。一実施形態によれば、クロスハイブリダイゼーションは、65℃において1.0〜2.0×SSCの適度な緊縮性の下で行う。
植物細胞へのヌクレオチド配列の形質転換用に設計した構築体は、本発明の構築体を含む植物細胞の選択を可能にする選択可能なマーカーも典型的には含む。用語「選択可能なマーカー」は、その中で選択可能なマーカーが発現する細胞に抗生物質又は薬剤に対する耐性を与えるか、或いは検出することができる特徴(例えば発光性又は蛍光性)の発現を与える、活性を有する酵素をコードする遺伝子を指す。
典型的には、抗生物質耐性を与え、当分野でよく知られている遺伝子を選択可能なマーカーとして使用する。しかしながら、開放耕地での抗生物質耐性を与える遺伝子を含む遺伝的に改変された植物、特に農作物の栽培は、最終産物が外来性遺伝物質を含まないときでさえ、相当数の西洋諸国において許されていない。したがって、幾つかの実施形態によれば、同時形質転換法を使用して、本発明のDNA構築体を用いて形質転換した植物を選択する。
一実施形態によれば同時形質転換は、本発明のウイルス遺伝子の発現抑制をもたらすDNA構築体、及び少なくとも1つの選択可能なマーカーを含むDNA構築体を用いて行う。同時形質転換の方法は当分野で知られており、高い割合の形質転換細胞が両方のDNA構築体を有するという発見に一部分は基づく。選択可能なマーカーを発現する植物は、例えばPCR反応によって、ウイルス遺伝子の発現抑制をもたらすDNA構築体の存在に関して調べる。選択した植物は成熟状態に栽培し、自家受粉させる。生成した子孫では、2つのDNA構築体は独立に分離し、所望のDNA構築体のみを含む植物を選択することができる。
場合によっては、ウイルス遺伝子の切断をもたらす核酸配列は転写終了シグナルを含む。本発明の構築体中に使用することができるさまざまなターミネーターは、当業者にはよく知られている。ターミネーターはプロモーター配列と同じ遺伝子由来、或いは異なる遺伝子由来であってよい。一実施形態によれば、転写終了シグナルはNOSターミネーターである。
さらなる態様によれば本発明は、ウイルスによる感染に耐性がある接木植物を生成するための方法であって、(a)抗ウイルスタンパク質の発現による以外のウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎を提供するステップ、(b)前記ウイルスによる感染の影響を受けやすい接ぎ穂を提供するステップ、及び(c)接ぎ穂を根茎に接木させて前記ウイルス感染に耐性がある接木植物を得るステップを含む方法を提供する。
接木は、2つの独立した植物の部分を1つの植物に組み合わせることを含む。芽条と根部の接木、添え継ぎの接木、先端と裂け目の接木、側面接木、鞍状部接木及び芽の接木だけには限られないが、これらを含めたさまざまな方法で、このような組合せを実施することができる(さらなる詳細に関しては、Garner R.J、「接木師の入門書(The Grafter’s Handbook)」、第5版、(1993年3月)Cassell Academic;ISBN:0304342742を参照のこと)。
一実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を用いて根茎を形質転換して、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎を生成する。
さらなる実施形態によれば、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を用いて根茎を形質転換して、ウイルス感染に耐性があるトランスジェニック根茎を生成する。
本発明の好ましい実施形態によれば、影響を与えるウイルスゲノムのセグメントは植物中での感染及び/又は複製のためにウイルスに必要不可欠であり、したがってその切断はウイルス感染及び/又は複製を妨げ、それによって耐性植物を与える。
根茎をウイルス感染に対して耐性がある状態にするために、本発明の核酸配列を用いて根茎を形質転換するための方法は当分野で知られている。本明細書において使用する用語「形質転換」又は「形質転換する」は、それによってDNA構築体などの外来性DNAがレシピエント細胞に入り、形質転換、遺伝的に改変された又はトランスジェニック細胞に変えるプロセスを記載する。形質転換は安定したものである可能性があり、核酸配列を植物のゲノムに組込み、このようにして安定した遺伝的特徴を表し、或いは一時的に、形質転換されているがゲノムに組込まれていない核酸配列を細胞によって発現させ、このようにして一時的な特徴を表す。好ましい実施形態によれば、本発明の核酸配列は植物細胞に安定的に形質転換する。
単子葉植物と双子葉植物の両方に外来性遺伝子を導入する、さまざまな方法が存在する(Potrykus、I.1991.Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol42、205〜225;Shimamoto、Kら、1989.「ネイチャー(Nature)」(1989)338、274〜276)。
植物のゲノムDNA中に外来性DNAを安定的に組み込む主要な方法には、2つの主な手法がある:
アグロバクテリア菌仲介遺伝子移入:アグロバクテリア菌仲介系は、植物のゲノムDNA中に組み込む明確なDNAセグメントを含むプラスミドベクターの使用を含む。植物組織の接種法は、植物種及びアグロバクテリア菌送達系に応じて変わる。広く使用されている手法は、植物全体の分化を開始させるのに良い供給源となる任意の組織外植変を用いて行うことができる、リーフ−ディスク手順である(Horsch、R.Bら、1988.「植物の分子生物学マニュアル(Plant Molecular Biology Manual)」A5、1〜9、Kluwer Academic Publishers、Dordrecht)。補足的手法は、真空浸潤と組み合わせたアグロバクテリア菌送達系を使用する。アグロバクテリア菌送達系は、トランスジェニック双子葉植物を作製する際に特に有用である。
直接的なDNAの取り込み。植物細胞に直接DNAを移入するさまざまな方法が存在する。エレクトロポレーションでは、プロトプラストを強い電場に一時的に曝し、小さな穴を開けてDNAの進入を可能にする。マイクロインジェクションでは、マイクロピペットを使用して細胞に直接DNAを機械的に注入する。マイクロ粒子衝突法では、硫酸マグネシウム結晶又はタングステン粒子などのマイクロプロジェクタイルにDNAを吸着させ、マイクロプロジェクタイルは細胞又は植物組織中に物理的に進む。
安定した形質転換の後、植物の繁殖が次いで起こる。植物の繁殖の最も一般的な方法は、種子によるものである。しかしながら、種子繁殖による再生の欠点は、異型接合性による作物の均一性の欠如である、何故なら、メンデルの法則により支配される遺伝的変化に従い植物によって種子が生成されるからである。言い換えれば、それぞれの種子は遺伝的に異なり、それぞれの種子はその独自の特異的な特徴で成長すると思われる。したがって、再生植物が同一の特徴を有し親のトランスジェニック植物の特徴を有するように、再生が影響を受けることが好ましい。形質転換植物を再生する好ましい方法は微細繁殖によるものであり、これは形質転換植物の迅速な一貫した再生をもたらす。
微細繁殖は、選択した親植物又は栽培品種から切除した1つの組織サンプルから、第2世代の植物を増殖させる方法である。この方法は、好ましい組織を有し融合タンパク質を発現する植物の大量再生産を可能にする。新たに生成する植物は元の植物と遺伝的に同一であり、元の植物の全ての特徴を有する。微細繁殖は元のトランスジェニック又は形質転換植物の特徴を保ちながら、短時間での高品質の植物体の大量生産を可能にし、選択した栽培品種の迅速な繁殖をもたらす。植物をクローニングするこの方法の利点には、植物繁殖のスピード、並びに生成する植物の質及び均一性がある。
微細繁殖は、段階間の培養培地又は生長条件の改変を必要とする、多段階の手順である。微細繁殖法は4つの基本段階:段階1、初期組織培養;段階2、組織培養繁殖;段階3、分化及び植物体形成;及び段階4、温室培養及び無感覚化を含む。段階1中は、組織培養が確立され汚染物質を含まないことを保証する。段階2中は、充分な数の組織サンプルが生じて生成目的を満たすまで、初期組織培養物を増殖させる。段階3中は、新たに生長した組織サンプルを分類し個々の苗木に生長させる。段階4中は、形質転換させた苗木を無感覚状態にするために温室に移し、そこで自然環境において苗木が生長し続けることができるように、光に対する植物の耐性を徐々に増大させる。
当業者は、本発明中に記載する核酸配列のさまざまな要素と形質転換ベクターは動作可能に連結して、前記核酸又は核酸断片の発現をもたらすことを理解していると思われる。本発明の構築体の要素とベクターを動作可能に連結させるための技法は、当業者によく知られている。このような技法には、例えば1つ又は複数の制限酵素部位を含む、合成リンカーなどのリンカーの使用がある。
本明細書で以下に例示するように、本発明のトランスジェニック根茎は、外来性RNA分子、特に標的ウイルスのゲノムの少なくとも1つのセグメントと相同性があるRNA配列を発現する。例えばトランスジェニック植物の葉のRNAを単離すること、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において特異的プライマーを使用することによりウイルスRNAの存在を試験することによって、当業者に知られている方法によって発現を調べることができる。
本発明はさらに、根茎として働かせるための、本発明の核酸配列を用いて形質転換した植物の細胞又はその他の部分に関する。さらに、トランスジェニック植物によって生成する種子も本発明によって含まれ、この種子は植物に形質転換される核酸配列をさらに含む。
トランスジェニック耐性植物は、従来の品種改良計画によって大規模な根茎の生成用に繁殖させることができる。さらに品種改良を使用して、同じ又は関連植物種の他の変種、或いはハイブリッド植物にDNA構築体を導入することができる。トランスジェニック植物から得られる種子は、安定したゲノム挿入体として核酸配列を含み、したがって、本明細書に記載するトランスジェニック植物のトランスジェニック子孫、トランスジェニック植物の種子から生長させたトランスジェニック子孫も本発明によって含まれる。任意の前に記載したトランスジェニック植物が、本発明の教示に従い接ぎ穂が接木されている根茎として働くことができる。
トランスジェニック耐性根茎を与えるための、本発明の核酸配列を用いて形質転換した植物の選択は、当業者に知られている分子遺伝学の標準的な方法を使用することによって行う。一実施形態によれば核酸配列は、抗生物質に対する耐性を与える産物をコードする核酸配列をさらに含み、したがってトランスジェニック植物は、抗生物質に対するそれらの耐性に従い選択する。幾つかの実施形態によれば、選択可能なマーカーとして働く抗生物質は、パラモマイシン及びカナマイシンからなるアミノグリコシド群の1つである。他の実施形態によれば核酸配列は、検出可能な産物をコードするレポーター遺伝子をさらに含み、したがって、その産物が検出されるトランスジェニック植物を選択する。幾つかの実施形態によれば、レポーター遺伝子はGUS、GFPなどからなる群から選択される。
別の実施形態によれば、耐性のある根茎を与えるために形質転換する植物は、ウイルス感染に対するそれらの耐性に従い選択する。植物を攻撃するために選択するウイルスは、その植物に形質転換された核酸配列をそのゲノム中に含む。一実施形態によれば、線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスだけには限られないが、これらを含めた土壌伝染性ウイルスに対するそれらの耐性に従い、トランスジェニック植物を選択する。
他の実施形態によれば、ウイルス科:カリモウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、レオウイルス科、タルチチウイルス科、ブロモウイルス科、コモウイルス科、ポチウイルス科、トンブスウイルス科、セクイウイルス科、クロストロウイルス科及びルテオウイルス科;トバモウイルス、トブラウイルス、ポテックスウイルス、カルラウイルス、アレクシウイルス、カピロウイルス、フォベアウイルス、トリコウイルス、ブドウウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルス、ベニーウイルス、ホルデイウイルス、ソベモウイルス、マラフィウイルス、チモウイルス、イダエオウイルス、オウルミウイルス、ウンブラウイルスからなる群から選択されるウイルスだけには限られないが、これらを含めた植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスに対する、それらの耐性に従いトランスジェニック植物を選択する。
他の態様によれば本発明は、本発明の方法によって生成するウイルス耐性接木植物に関する。トランスジェニック耐性根茎に接木させた他の場合ウイルス性疾患の影響を受けやすい接ぎ穂を含む植物は、ウイルス性疾患に耐性がある。その根茎は、そのゲノム中に安定的に組み込まれた本発明の核酸配列を含む。本明細書で前に記載した核酸配列、又は充分転写された1つのトランス遺伝子、又はsiRNAを生成するトランス遺伝子の性質が、接木植物に与えられる耐性の特徴を決定する。幾つかの実施形態によれば根茎は、土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患からの保護を与える。他の実施形態によれば根茎は、植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスによって引き起こされる疾患に対する耐性を与える。
本明細書の以下の非制限的実施例は、本発明の根茎及び接ぎ穂を含む耐性植物を以下に記載する。実施例中では他に述べない限り、全ての組換えDNA及びRNA技法、並びに園芸法は、当業者に知られているのと同様に標準プロトコルに従い行う。
実験手順
バイナリーベクターpCAMSV54−kDaの構築
位置3629のAUGの上流に他の22個のヌクレオチドを有する推定54kDaのコード配列(図1A)を、Antignusら、上記によって作製した完全長クローンを使用して、pCambia2301バイナリーベクター(受託番号AF234316;Hajdukiewiczら、1994.Plant Mol Biol 25:989〜994)にクローニングした。この54kDaのコード配列は、その5’端においてZYMVの非コード領域(NCR)と、及びその3’端(T)においてNOSポリ−Aターミネーターと融合させた(図1B)。クローン遺伝子及びNPTIIマーカー遺伝子を、それぞれ切断型イチゴベインバンディングカリモウイルス(SVBV)プロモーター(したがってSVと表す)及び完全長SVBVプロモーターの下流にクローニングした(Wangら、2000.「ウイルス遺伝子(Virus Genes)」20:11〜17(図1B)。このDNA構築体を、T−DNAの左(LB)と右(RB)境界の間にクローニングした(図1B)。ZYMVの5’NCRと結合したSVプロモーターは、SVセンスプライマー(配列番号5:5’CGCTAGCTATCACTGAAAAGACAGC3’)及びNcoI部位(下線部)を有するZYMV NCRアンチセンスプライマー(配列番号6:

)を用いて、鋳型ΔSVBVpr−ZYMV−FLCクローン(Wangら、上記)からPCR増幅した。PCR断片(470bp)は、pGEM−Tベクター(Promega、Madison、WI、USA)にクローニングし、さらにpΔSVBVpr−NCRzyと表した。
54kDaのコード配列は、以下のプライマー:

(下線を引いたNcoI部位を有する54kDaのセンスプライマー、配列番号7)、

(下線を引いたBstEII部位を有する54kDaのアンチセンスプライマー、配列番号8)を用いて、クローンpUC3’−3.3kbからPCRによって増幅させた。推定54kDaのPCR断片(1461bp)はNcoI/BstEIIによって事前に消化し、NcoI/BstEIIによって消化したpΔSVBV−NCRzyにクローニングした。得られたクローンpΔSVBV−NCR54−kDaはEcoRI/BstEIIによって二重消化し、生成した挿入体はバイナリーベクターpCAMBIA2301にクローニングし、これをクローニング前にEcoRI/BstEIIによって二重消化した。pCAM35S−SV54−kDa由来の35Sプロモーター(NPTII遺伝子の上流に位置する)は、以下のように完全SVBVプロモーターで置換し:以前にpGEM−TにクローニングしSVBVprと呼ぶ(Wantら、上記)SVBVプロモーターは、EcoRI/BglII部位の二重消化によって切除し、ここでpCAMSV54−kDaと表すバイナリーベクター中の同じ部位にクローニングした。この最終構築体(図1B)はアグロバクテリア菌tumefaciensEHA105菌株中に導入し、これを使用して所望の植物を形質転換した。
siRNA、pCddCP−ZYを作製するためのDNA構築体の構築
ウイルスコートタンパク質及び3’非コード領域(NCR)をコードする完全遺伝子を含むZYMVゲノムの3’端(配列番号2、受託番号M35095)を、BamHI及びKpnI部位を有するプライマー(センスプライマー、5’ATGGATCCCTGCAGTCAGGCACTCAGCCAACTGTGGC3’、配列番号10)、及びNarI及びPstI部位を有するアンチセンスプライマー(5’ATGGCGCCGGTACCAGGCTTGCAAACGGAGTC3’、配列番号11)を用いてPCR増幅させた。このセグメントはZYMVイスラエル単離体から単離し、受託番号NC_0033224を有するZYMVゲノムの位置8538〜9588の核酸配列(配列番号9)と相同性がある。
事前にカタラーゼイントロンを、KS Bluescriptのポリリンカーにクローニングした。クローニングしたカタラーゼイントロンは、5’端にBamHI及びPstI部位、並びに3’端にNarI及びKpnIを含んでいた。ZYMVゲノムの3’端のPCR産物(1050bp)はKpnI及びNarIで最初に切断し、生成した産物はKSプラスミド中のカタラーゼイントロンの下流(3’端)にクローニングした。その後、PCR産物はBamHI及びPstIで切断し、産物はKSプラスミド中のカタラーゼイントロンの5’端にクローニングした。これによって、カタラーゼイントロンと隔てられた、KS中のZYMVゲノムの3’端の逆方向反復配列が生じた。新しいクローンはpKSddCP−ZYと表した。pCambiaバイナリーベクター2301由来の35SCaMVプロモーターは、SVBVプロモーターで置換した。前に記載した構築体、pKSddCP−ZYはBamHI及びKpnI近辺で切断し、SVBVプロモーターの下流、及びNOSターミネーターの上流の適切な部位BamHI及びKpnIにクローニングした。新しいクローンはpCddCP−ZYと表した(図2)。
アグロバクテリア菌仲介形質転換
アグロバクテリア菌の培養物を、適切な選択抗生物質及び100μMのアセトシリンゴンを含むLB培地において28℃で一晩増殖させ、次いで抗生物質を含まない培地中で同じ条件下において4時間継代培養した。0.5ODの最終濃度で3%のスクロースを含む液体MS培地(Murashige、T.及びSkoog、F.1962.Physiology Plantarum 15:473〜497)中に、細菌を沈殿及び再懸濁させた。形質転換法は、依然に記載されたもの(Tabeiら、1998.「植物細胞の報告書(Plant cell report)」17:159−164)と同様であり、幾つかの変更を行った。
キュウリの形質転換
改良種「Ilan」(Zeraim Gedera Co.、イスラエル)の内果皮除去したキュウリの種子を、70%エタノール中で1分間、次いで2%次亜塩素酸中で20分間のインキュベーションによって表面滅菌した。充分に洗浄した後、暗所中25℃で3%スクロース及び0.8%のOxoid寒天を含むMS培地において1〜2日間、種子をインキュベートした。種子胚を切り裂き、個々の子葉は、200μMのアセトシリンゴンを補った再生培地(MS培地、3%のスクロース、2mg/lのベンジルアミノプリン(BAP)、1mg/lのアブシジン酸(ABA)、0.8%のOxoid寒天)で、暗所中25℃において1〜2日間インキュベートした。子葉はアグロバクテリア菌の懸濁液に5分間浸し、濾紙上で乾燥させ、暗所中で2日間同時培養するために同じプレートに戻した。次いで外植片を選択培地(500mg/lのセファトキシム及び100mg/lのカナマイシンを補った再生培地)に移し、2週間に1回継代培養しながら16/8時間の光周期体制でインキュベートした。再生した若枝は切除し、生長培地(MS、3%のスクロース、1mg/lのジベレリン酸、0.1mg/lのBAP、0.1mg/lのABA、0.8%のOxoid寒天、500mg/lのセファトキシム及び100mg/lのカナマイシン)に移した。若枝の発根は、MS、3%のスクロース、0.5mg/lのインドール酪酸、0.8%のOxoid寒天、500mg/lのセファトキシム及び100mg/lのカナマイシン中で誘導した。発根した外植片は、さらなる増殖のために温室に移す前に、無感覚状態にするためにジフィー7ピートペレットに移植した。
タバコの形質転換
無菌植物由来の葉の外植片を、200μMのアセトシリンゴンを補った再生培地(MS培地、3%のスクロース、1mg/lのベンジルアミノプリン(BAP)、0.1mg/lのナフタレン酢酸(NAA)、0.8%のOxoid寒天)で、暗所中25℃において1〜2日間インキュベートした。外植片はアグロバクテリア菌の懸濁液に5分間浸し、濾紙上で乾燥させ、暗所中で2日間同時培養するために同じプレートに戻した。次いで外植片を選択培地(500mg/lのセファトキシム及び250mg/lのカナマイシンを補った再生培地)に移し、2週間に1回継代培養しながら16/8時間の光周期体制でインキュベートした。再生した若枝は切除し、発根用培地(MS、3%のスクロース、0.8%のOxoid寒天、500mg/lのセファトキシム及び250mg/lのカナマイシン)に移した。発根した外植片は、さらなる増殖のために温室に移す前に、無感覚状態にするためにジフィー7ピートペレットに移植した。
実生苗木における分離アッセイ
個々の形質転換植物からの子孫を、以下のようにDNA構築体の分離に関してスクリーニングした:R種子は表面滅菌し、100mg/lのカナマイシンの存在下で前に記載したのと同様に発芽させた。トランスジェニック種子(NPTII遺伝子を有する)は正常な根の分化を示し、一方で非トランスジェニック子孫の植物は、それらの萎縮した無枝の根によって容易に検出した。カナマイシン耐性/感受性の比を記録し、トランスジェニック実生苗木は他の実験において使用した。
耐性応答の評価
カナマイシン耐性のR実生苗木を、温室条件下においてウイルス耐性に関してスクリーニングした。
CFMMVに対する耐性
カナマイシン耐性のキュウリ植物に、50mMのリン酸バッファー(pH7.4)中に1mg/mlの精製CFMMV、又は50mMのリン酸バッファー(pH8.0)中に400μg/mlのウイルスRNAを機械的に接種した。大部分のトランスジェニック子孫に関して、10を超える実生苗木を接種によって最初にスクリーニングした。接種した実生苗木は、温室条件下に数週間保った。接種に対する応答性は症状を肉眼で調べることによって決定し、CFMMVの存在に関しては、1:1,000の希釈で調製した特異的な抗血清を用いるDAS−ELISAによって決定した(Antignusら、上記)。他の耐性分析は、接種後3週間でのタバコ属ベンサミアナ系及びシロバナヨウシュチョウセンアサガオへの機械的な戻し接種によって行った。
ZYMVに対する耐性
カナマイシン耐性のGUS発現タバコ植物に、ZYMVの全身伝播を得るためのヘルパーとして働いた、キュウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)として仮に同定したトバモウイルスとZYMVを同時感染させた、タバコ植物由来の1:5の比で希釈した樹液を機械的に接種した。大部分のトランスジェニック子孫に関して、10を超える実生苗木を接種によって最初にスクリーニングした。接種した実生苗木は、温室条件下に数週間保った。接種に対する応答性は、1:2,000の希釈で調製した特異的なZYMV−CP抗血清を用いるELISAによって決定した。
子葉段階のキュウリの実生苗木を接木用に使用した。子葉節下の茎を対角切断し、これもまた1つの子葉を保持するような方法で子葉節において対角切断した、トランスジェニック又は非形質転換根茎の実生苗木の上部に取り付けた後に、非形質転換接ぎ穂を接木する代表的な接木法を使用した(したがって接木した実生苗木は3個の子葉を含んでいた)。3週齢のタバコの実生苗木に、根茎に対角切断部を作製し同様に対角切断した接ぎ穂を取り付けることによって上部に接木した。接ぎ穂/根茎接合部は、小さなプラスチッククリップを用いて定位置に固定した。第1週中、接木植物は高い湿度中に保った。
植物の接種
キュウリの実生苗木は、CFMMV KGMMV、ZGMMV CGMMV及びキュウリ葉脈黄化ウイルス(CVYV)の培養を維持するための供給源植物として使用した。カボチャ植物は、ZYMV及びCMV−Fnyの接種源として使用した。蒸留水中で供給源植物の若葉をすり潰すことによって、接種物を調製した。
カーボランダム(商標)を散布した後、子葉(発生後3日)に機械的に接種した。ポリスチレントレイからウイルス感染させたパーライト培地を含むプラスチックポット(10cm径)に試験する植物を移植することによって、根の接種を行った。1:100の比で0.01Mのリン酸バッファーpH7中にウイルス感染させたキュウリの葉をすり潰すことによって、粗製接種原を調製した。四葉の段階でウイルス感染させた植物の茎において対角切断することによって、接木接種を行った。接種する植物の先端部分は除去し、その茎の下側部分は、感染根茎の対角切断部に挿入する前にくさび形に刈り込んだ。接ぎ穂と根茎の接触地点はパラフィルム片と結合させて、充分な融合をもたらした。第1週中、接木植物はプラスチックバッグ中に保ち高い湿度を保った。
ビリオンは記載されたのと同様に(Chapman S.N.1998.「植物ウイルス学プロトコル(Plant Virology Protocols)」G.D.Foster and S.C.Taylor、Eds.Humana Press、New Jersey:123〜129中)、感染植物から部分的に精製した。部分的に精製したビリオンは、2×SDS−PAGEローディングバッファーと1:1で混合し、5分間沸騰させた(Sambrookら、1989.「分子クローニング−研究室用マニュアル(Molecular cloning−A LABORATORY MANUAL)」、第2版)。沸騰させた物質(10μl)は、12.5%のポリアクリルアミドゲル上においてSDS−PAGEによって分画した。
RNAの抽出及び分析、ノーザンブロッティング及びRT−PCR
ウイルスRNAの転写を、発芽後3週間の実生苗木から抽出した全RNAのノーザンブロッティング及びRT−PCR分析によって測定した。若葉組織(300mg)を液体窒素中に微粉状体にすり潰し、製造者の教示書に従いTRI−REAGENTキット(Molecular Research Center、Inc.、Cincinnati、OH、USA)を用いてRNAを抽出した。RNA濃度はGeneQuaut(Pharmacia Biotech)によって測定し、異なる供給源由来の匹敵する量のRNAをゲル上に載せた。約30μgのそれぞれのサンプルを、ホルムアルデヒドを含む変性1.5%アガロースゲルに施した。ゲル中で分離したRNAは次いでHybond−NX膜(Amersham、NJ、USA)にブロッティングし、80WのUVランプ(Vilber Lourmat BLX−254、フランス)に2分間曝すことによって固定した。Rapid−hybバッファー(Amersham Pharmacia)を用いたプレハイブリダイゼーションを2時間行った。CFMMVの54kDa遺伝子(ヌクレオチド3824〜4693)の32P標識cDNAプローブ、及びランダムにプライマー処理した32P標識DNAプローブ(ランダムプライマーDNA標識混合キット;Biological Industries、Beit HaEmek、イスラエル)とのハイブリダイゼーションによって、形質転換植物においてCFMMVのRNAを検出した。接種植物中のCFMMVのRNAを検出するためのRT−PCRは、54kDa遺伝子の特異的プライマー(センス:5’GCTACGGAGCGTCCGCGG3’、配列番号12、及びアンチセンス:5’CGCGGTCGACTGTATGTCAT3’、配列番号13)を用いて、Araziら(2001.J Biotechnol 87:67〜82)に従い2〜5μgの合計RNAを用いる1−チューブ1−ステップ法で行った。RT−PCRサイクルは以下の通りであった:46℃で30分間;94℃で2分間、次に94℃、58℃及び72℃、それぞれ30秒間で35サイクル、並びに72℃において5分間の最後の1サイクル。さまざまなトバモウイルスの感染性アッセイ(図3)のためのRT−PCRは、以下のウイルスのCPゲノムの特異的プライマーを用いて2ステップで行った:
CGMMV(5’TCTGACCAGACTACCGAAAA3’、配列番号14、及び5’ATGGCTTACAATCCGATCAC3’、配列番号15);
KGMMV(5’GAGAGGATCCATGTTTCTAAGTCAGGTCCT3’、配列番号16、及び5’GAGAGAATTCTCACTTTGAGGAAGTAGCGCT3’、配列番号17);
ZGMMV(5’TCTATCGCTTAACGCAGC3’、配列番号18、及び5’ATGTCTTACTCTACTTCTGG3’、配列番号19);並びに
CFMMV(5’CAAGACGAGGTAGACGAAC3’、配列番号20、及び5’ATGCCTTACTCTACCAGCG3’、配列番号21)。RT−PCRは、i−サイクラー(Bio−Rad)においてRT−PCR AmpTaqキット(Perkin Elmer)によって行い、サイクリングステップは、37℃で1時間、及び1分間94℃の30サイクル、53℃(KGMMV)、52℃(ZGMMV、CGMMV)又は44℃(CFMMV)のアニーリング温度で40秒、1分間72℃、及び最後に72℃において10分間であった。
DNA抽出及びPCR分析
全ゲノムDNAを、CTAB法(Chen、D.H.及びRonald、P.C.1999.Plant Mol Biol Reporter 17:53〜57)によって(発芽後3週間で)若葉から抽出した。DNA溶液(1μl)を、CFMMVの54kDa遺伝子の配列(受託番号AF321057、配列番号4)に従うプライマーを含む25μlのPCR反応混合物に希釈した。2組のプライマー:位置3824及び4693に設定した第1プライマー(配列番号12及び配列番号13;図4)、及び位置3785及び4479に設定した第2プライマー(5’GAAAAAGGAGTTTTTGATCCCGCT3’、配列番号22、及び5’ACTGATATGCGTCTTCTTATGCCC3’、配列番号23;図3)を、54kDaの遺伝子を検出するために使用した。PCR条件は:94℃で2分間の1サイクル、並びに94、58及び72℃、それぞれ30秒、及び最後に72℃において5分間で35サイクルであった。
(実施例1)
耐性のあるキュウリ系の同定及び特徴付け
pCAMSVの54kDa構築体を用いたアグロバクテリア菌仲介形質転換の後に、個々のR形質転換体を成熟状態まで増殖させ、自家受粉させてR種子を得た。植物ゲノム内のCFMMVの54kDa遺伝子の存在は、表1中に示す全てのカナマイシン耐性R系に関するPCR分析によって確認した。耐性スクリーニングの後、14のR系のうち8系が完全な耐性応答を示した(表1)。残りの系の幾つかは完全に感受性があり;他の系は部分的に耐性があるとして特徴付けた。接種した子葉中のCFMMVのRNAの蓄積を評価するための試みは一切行わなかった。しかしながら、ELISA及び戻し接種アッセイによって大部分の系において示されたように、8個の耐性レプリカーゼ系の上葉においてウイルスの蓄積は検出されなかった。同様に、高温(30〜35℃)で植物を栽培すると、耐性応答は変わらなかった。
(実施例2)
同型I44系における耐性の特徴付け
さらに広範囲の試験を行って、1個のNPTII挿入による推定予想した分離を示す系R44の耐性を特徴付けた(表1)。遺伝的一貫性のために、系R44の10個の異なるR植物由来の種子を、本明細書で前に記載したのと同様にカナマイシンの存在下で発芽させ、トランスジェニック遺伝子座に関して分離しないR同型系(したがって系I44と表す)を同定し、さらなる試験用に使用した。I44植物は、本来の栽培品種(「Ilan」)と区別がつかない正常な表現型及び正常な果実の分化を示した。
親系(「Ilan」)はCFMMV接種の影響を非常に受けやすく(表2)、接種後14日で強烈な斑紋症状、その後は葉の変形、植物の萎縮、及び黄斑を有する異常な果実状態を発症した(図5)。対照的にI44植物は、植物抽出物(表2、図5)及び精製RNA(データ示さず)の機械的接種に対して完全に耐性があった。温室中のCFMMVの土壌仲介接種は、ウイルス伝染の開始の誘導要因である(Antignus、未発表)。したがって、CFMMV接種原を故意に感染させた土壌中に植えたI44実生苗木の応答性を調べた。さらに、系I44を最も攻撃的な接種法、即ち感染させた感受性のある根茎(改良種「Ilan」)の上部への接木によってさらに攻撃した。使用した接種法とは無関係に、I44植物は無症状の状態であり、ELISAによって、或いは感受性のある宿主(タバコ属ベンサミアナ系及びキュウリ)への戻し接種によって、ウイルス蓄積を検出することはできなかった(表2)。
(実施例3)
I44耐性系の分子の特徴付け
系I44のゲノム中のウイルス核酸配列の存在は、PCR(図4C)及びサザンブロッティング(データ示さず)によって確認した。54kDaのコード配列の転写は、接種又は非接種I44植物においてRT−PCRによって検出した(図4A)。反対に、I44植物由来の全RNA調製物に関するPCR反応は陰性であり(図4C)、図4A中に示す増幅RT−PCRバンドは、RNA調製物中の汚染したDNA残留物によるものではなかったことが示された。RT−PCRアッセイを行って、CFMMVを接種した系I44における症状の欠如が、ウイルス蓄積の欠如によるものであったかどうかを評価した。「Ilan」接種植物における陽性CPバンドの存在とは対照的に、I44系においてCFMMVコートタンパク質(CP)用の特異的プライマーを用いて、増幅バンドは観察されなかった(図4B)。これらの結果によって、I44植物においてウイルス蓄積の形跡を検出することができない観察結果がさらに確かになる。
(実施例4)
他のトバモウイルスに対する耐性に関するスクリーニング
レプリカーゼ仲介の耐性が高い配列特異性を示すことは、以前から示されてきている。したがって、さまざまなウリ科感染トバモウイルスの感染に対するI44系の応答性を調べた。系I44及び非形質転換「Ilan」栽培品種には、3つの他のトバモウイルス:KGMMV、ZGMMV及びCGMMVを接種した。非形質転換改良種「Ilan」は、接種後日数(dpi)8日からKGMMV及びZGMMVに関して症状を示し、CFMMV及びCGMMVに関しては2日遅れて症状を示した(表3)。症状出現の有意な遅れを系I44において観察した:症状は14dpiではCGMMV及びZGMMVに関してのみ、20dpiではKGMMVに関して眼に見える状態であった。さらに、非形質転換植物によって示された重度の症状と対照的に、全実験中(30dpi)CGMMVを感染させたI44植物において症状の顕著な低下を観察した(表3)。トバモウイルス感染に対する系I44の応答性は、精製ビリオンを検出するためのSDS−PAGEによって、及びウイルスRNA用のRT−PCRによって確認した(図3)。ZGMMV、CGMMV及びKGMMVビリオンの蓄積は、I44と対照「Ilan」植物の両方においてはっきりと検出した;しかしながらCFMMVビリオンは、これらの後者の植物においてのみ検出した(図3A)。さらに、I44植物、及び非形質転換対照植物において、RT−PCRによりCGMMV、KGMMV及びZGMMVのウイルスRNAを検出した一方で、CFMMVのRNAは対照「Ilan」植物においてのみ発見した(図3B)。
(実施例5)
ウイルス接種した植物における形質転換された核酸配列の転写
系I44によって示されたCFMMV感染に対する特異性及び顕著な耐性は、RNAの発現抑制とおそらく関係がある、RNA仲介の耐性機構の優勢を示す可能性がある。この仮説を試験するために、CFMMV接種の前後に系I44及び「Ilan」植物から全RNAを抽出した。等量の全RNAを有するサンプルを、標識54kDaプローブを用いるノーザンブロットハイブリダイゼーションによって分析した。このプローブは、CFMMVゲノムRNA(上側バンド)、54kDaを有する推定サブゲノムRNAI1、及び54kDaのトランス遺伝子転写産物とハイブリダイズした。予想通り、I44植物における転写産物は、感染状態の対照植物において検出したI1サブゲノムRNAより短かった(図6)。54kDaの転写産物は系I44植物においてのみ観察し、転写産物蓄積のレベルは、CFMMV又はZYMVをI44植物に事前接種することによって実質的に影響を受けなかった(図6)。発現抑制仲介のウイルス耐性は、ウイルスで植物を攻撃する前にポチウイルスを接種することによって(Savenkov、E.I.及びValkonen、J.P.2002.J Gen Virol83:2325〜2335)、或いは温度条件を変えることによって(Szittyaら、2003.EMBO J22:633〜640)、抑制され得ることが示されてきている。以下のポチウイルス:ZYMV、ズッキーニ小斑モザイクウイルス(ZFMV)及びキュウリ葉脈黄化ウイルス(CVYV、サツマイモウイルス属;ポチウイルス科)、又はキュウリモザイクウイルス(CMV)の1つを事前に接種した後に、CFMMVに対する耐性に関して系I44の植物を評価した(表4)。ELISA及びシロバナヨウシュチョウセンアサガオへの戻し接種によって確認したように、I44植物は個々のポチウイルス又はCMVの典型的な症状を示したが、一連の感染においてCFMMVに対しては依然として耐性があった。さらに、CFMMV感染に対する系I44の耐性が、異なる温度(20、28又は35℃)において栽培チャンバー中で接種植物を栽培することによって影響を受けることはなかった。
(実施例6)
I44根茎による感受性のある接ぎ穂の保護
トバモウイルス粒子は土壌中で長期間生存し、感染した土壌中の根を介したCFMMV感染は一般的な現象である。系I44はCFMMVの土壌接種に対して耐性を示したので(表2)、非形質転換接ぎ穂用の防御根茎として働くためのこの系の適性を試験した。
対照Ilan植物は系I44又はIlan根茎と接木し、CFMMVに感染した土壌に植えた。非形質転換Ilan根茎と接木した大部分の植物(12/16)がCFMMVの明らかな症状を示し、ELISAによって陽性反応を示した。しかしながら、眼に見える症状、ELISA試験及びタバコ属ベンサミアナ系への戻し接種により評価して、I44と接木した接ぎ穂はいずれも(0/16)、実験期間中(5週間)感染状態にならなかった。平行した実験では、I44根茎と接木した「Ilan」接ぎ穂は、CFMMVの直接的な機械的接種に対して感受性があった。
(実施例7)
耐性のあるタバコ属ベンサミアナ系根茎による感受性のある接ぎ穂の保護
本明細書で前に記載したのと同様に、pCddCP−ZY構築体を有するアグロバクテリア菌tumefaciensを用いてタバコ属ベンサミアナ系の葉盤を形質転換した。再生培地での選択の後、個々の推定形質転換体をGUS発現によって同定した。確認した形質転換体は自家受粉させて、R世代が生じた。個々の形質転換植物からの子孫を、以下のようにDNA構築体の分離に関してスクリーニングした:R種子は表面滅菌し、250mg/lのカナマイシンの存在下で発芽させた。トランスジェニック種子(NPTII遺伝子を有する)は正常な根の分化を示し、一方で非トランスジェニック子孫の植物は、それらの萎縮した無枝の根によって容易に検出した。カナマイシン耐性/感受性の比を記録し、トランスジェニック実生苗木は接種の実験において使用した。
カナマイシン耐性のGUS発現タバコR1実生苗木に、ZYMVの全身伝播を得るためのヘルパーとして働いた、キュウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)として仮に同定したトバモウイルスとZYMVを同時感染させた、タバコ植物由来の1:5の比で希釈した樹液を機械的に接種した。大部分のトランスジェニック子孫に関して、10を超える実生苗木を接種によって最初にスクリーニングした。接種した実生苗木は、温室条件下に数週間保った。接種に対する応答性は、1:2,000の希釈で調製した特異的なZYMV−コートタンパク質抗血清を用いるELISAによって決定した。
選択したトランスジェニック系は、その後の接木実験において根茎として使用した。3週齢のタバコの実生苗木に、根茎に対角切断部を作製し同様に対角切断した接ぎ穂を取り付けることによって上部に接木した。接ぎ穂/根茎接合部は、小さなプラスチッククリップを用いて定位置に固定した。第1週中、接木植物は高い湿度中に保った。接ぎ穂の機械的接種は、本明細書で前に記載したのと同様に、ZYMVとトバモウイルスを同時感染させたタバコ植物由来の1:5の比で希釈した樹液を用いて接木後3〜4週間行った。接種した接木植物は、温室条件下に数週間保った。接種に対する応答性は、1:2,000の希釈で調製した特異的なZYMV−CP抗血清を用いるELISAによって決定した。幾つかの実験では、接種した接ぎ穂中のZYMVの存在は感受性のあるカボチャ植物への戻し接種によって決定した。結果は以下の表5中に要約する。
非接木型タバコ対照、又は非トランスジェニック根茎と接木した接ぎ穂は、それぞれ89%及び70%の高い感染率を示した。トランスジェニック系と接木した接ぎ穂の応答性は2群に分けることができる:根茎系Z89、Z99又はZ102と接木した接ぎ穂はZYMVの全身感染に対して完全に保護され;根茎系Z97、Z100又はZ101などと接木した接ぎ穂は病状を示した。幾つかの保護された根茎において、接種した接ぎ穂中のZYMVの不在をカボチャ植物への戻し接種によって確認した。
具体的な実施形態の前述の記載は、一般的な知識を適用することによって、他者は不要な実験無しで一般概念から逸脱せずに、このような具体的な実施形態をさまざまな用途のために容易に変更及び/又は適合させることができるほど、本発明の一般的性質を充分明らかにすると思われ、したがって、このような適合及び変更は開示した実施形態の均等物の意味及び範囲内に含まれるはずであり、そうであることを目的とする。本明細書で使用する語法又は用語は、制限の目的ではなく記載の目的であることは理解されよう。さまざまな開示した化学的構造化及び機能を行うための手段、物質、及びステップは、本発明から逸脱せずにさまざまな他の形をとることができる。
CFMMVゲノム編成及び54kDaのDNA構築体の概略図である。A.CFMMVゲノムの編成の図である。ヌクレオチド番号は、推定遺伝子の位置を指す。推定54kDaをコードする3つのサブゲノムRNA(RNA−I1)、運動性タンパク質(MP)及びコートタンパク質(CP)遺伝子を示す。B.左(LB)と右(RB)T−DNA境界の間の、植物の形質転換において使用する構築体の組成の図である。CFMMVの54kDa遺伝子は、切断型SVBV(SV)プロモーターとNOSポリ−Aターミネーター(T)の間のZYMVの5’非コード領域(NCR)と融合させた。選択NPTII遺伝子は、完全長SVBVプロモーターの制御下において挿入した。 左(LB)と右(RB)T−DNA境界の間にsiRNA、pCddCP−ZYを作製するためのDNA構築体の概略図である。ZYMV遺伝子コートタンパク質(CP)及びウイルスの3’非コード領域(NCR)を含むポリヌクレオチドの逆方向反復配列は、イントロンのそれぞれの側から、SVBV(SV)プロモーターとNOSポリ−Aターミネーター(Ter)の間で融合させた。選択NPTII及びGUS遺伝子は、35Sプロモーターの制御下においてそれぞれ挿入した。 ビリオン蓄積(a)及びRT−PCR(b)によって評価した、異なるウリ科作物感染トバモウイルス;CFMMV(CF)、CGMMV(CG)、KGMMV(KG)及びZGMMV(ZG)による感染に対する、I44耐性植物及び対照植物の応答性を示す図である。 CFMMVによる感染を示すRT−PCR産物を示す図である。非接種(H)又はCFMMVの接種後3週間(inocul.)の、系I44及び非形質転換「Ilan」植物由来の全RNAが、RT−PCR(a)及び(b)の鋳型として、並びに陰性対照分析としてのPCR(c)の鋳型として働いた。(a)54kDa遺伝子のプライマー。(b)CP遺伝子のプライマー。MW:100bpステップラダーの分子量。 CFMMV接種に対するキュウリ植物の応答性を示す図である。A及びC:トランスジェニック系I44。B及びD:非形質転換「Ilan」栽培品種。葉及び果実は、接種後3週間及び7週間で病状をそれぞれ示した。 形質転換したI44植物における54kDaの転写産物の存在を示す図である。非接種或いは18dpiでCFMMV(CF)又はZYMV(ZY)を接種した、形質転換した(I44)及び非形質転換植物(「Ilan」)の第2及び第3の真葉から、全RNAを抽出した。変性アガロースゲル電気泳動及びノーザンブロットハイブリダイゼーションによって、RNAを分析した。レーン毎に載せたRNAの量は、3μg(CFMMVを感染させた非形質転換「Ilan」植物由来)、又は30μg(全ての他のレーン)であった。54kDaのコード配列と相補的な32P標識RNAプローブを、トランス遺伝子及びウイルスRNAを検出するために使用した。CFMMVのRNA及びサブゲノムRNA−I1の電気泳動の位置を図の隣に示す。トランス遺伝子の転写産物を示す(54kDaの転写産物)。レーンIlan+CF(CFMMVを感染させた非形質転換植物)は4時間露光させ、一方他のレーンは3日間露光させた。下図:膜に移す前にゲルの臭化エチジウム染色によって測定した、18SRNAのレベル。

Claims (67)

  1. 抗ウイルスタンパク質の発現による以外のウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎、及びウイルス性疾患に対して感受性がある接ぎ穂を含む植物であって、接木植物が前記ウイルス性疾患に耐性がある植物。
  2. ウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎が、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項1に記載の植物。
  3. ウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎が、ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を含む、請求項2に記載の植物。
  4. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが、ウイルスタンパク質又はその一部分をコードする、請求項2に記載の植物。
  5. ウイルスタンパク質がウイルスコートタンパク質、ウイルス複製タンパク質、ウイルス運動性タンパク質又はその一部分からなる群から選択される、請求項4に記載の植物。
  6. ウイルスタンパク質がウイルス複製タンパク質又はその一部分である、請求項5に記載の植物。
  7. トランスジェニック根茎が、土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある、請求項6に記載の植物。
  8. 線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患から保護されている、請求項7に記載の植物。
  9. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが、キュウリ果斑モザイクウイルス(CFMMV)の複製タンパク質の断片である推定54kDaのタンパク質をコードする、請求項4に記載の植物。
  10. 推定54kDaのタンパク質をコードするウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが配列番号1に記載の配列を有する、請求項9に記載の植物。
  11. トバモウイルス属の土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患から保護されている、請求項10に記載の植物。
  12. CFMMVによって引き起こされる疾患から保護されている、請求項11に記載の植物。
  13. ウリ科である、請求項12に記載の植物。
  14. キュウリ属植物である、請求項13に記載の植物。
  15. DNA構築体が少なくとも1つの二本鎖RNA分子を形成するRNA配列をコードする核酸配列を含み、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントの切断を仲介する、請求項3に記載の植物。
  16. DNA構築体が、
    a.以下のものに動作可能に連結した少なくとも1つの植物の発現可能なプロモーター、
    b.少なくとも1つの二本鎖RNAを形成するRNA配列をコードする核酸配列であって、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの標的セグメントのセンスヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列、及び前記ウイルスゲノムの前記標的セグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第2ヌクレオチド配列を含む核酸配列、及び場合によっては、
    c.転写終了シグナル
    を含む、請求項15に記載の植物。
  17. 第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列がスペーサー配列によって隔てられている、請求項16に記載の植物。
  18. スペーサー配列がイントロンの配列を含む、請求項17に記載の植物。
  19. スペーサー配列が、配列番号3に記載の配列を有するヒマカタラーゼ遺伝子のイントロンを含む、請求項18に記載の植物。
  20. DNA構築体が、同一プロモーターと動作可能に連結した第1及び第2ヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の植物。
  21. 土壌伝染性ウイルス及び植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスからなる群から選択されるウイルスに耐性がある、請求項20に記載の植物。
  22. 土壌伝染性ウイルスが線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される、請求項21に記載の植物。
  23. 植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスがカリモウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、レオウイルス科、タルチチウイルス科、ブロモウイルス科、コモウイルス科、ポチウイルス科、トンブスウイルス科、セクイウイルス科、クロストロウイルス科及びルテオウイルス科;トバモウイルス、トブラウイルス、ポテックスウイルス、カルラウイルス、アレクシウイルス、カピロウイルス、フォベアウイルス、トリコウイルス、ブドウウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルス、ベニーウイルス、ホルデイウイルス、ソベモウイルス、マラフィウイルス、チモウイルス、イダエオウイルス、オウルミウイルス、ウンブラウイルスからなる群から選択される科である、請求項21に記載の植物。
  24. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが、ズッキーニ黄化モザイクウイルス(ZYMV)のゲノムの3’端を含む、請求項15に記載の植物。
  25. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが配列番号2に記載の核酸配列を含む、請求項24に記載の植物。
  26. 第1ヌクレオチド配列が、配列番号2に記載のヌクレオチド配列及びその断片と少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項16に記載の植物。
  27. 第2ヌクレオチド配列が、配列番号2に記載のヌクレオチド配列の相補配列及びその断片と少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項26に記載の植物。
  28. ポチウイルス科由来のウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある、請求項27に記載の植物。
  29. ZYMVに耐性がある、請求項28に記載の植物。
  30. 核酸配列がプロモーター、エンハンサー、転写因子、スプライシングシグナル及び終了配列からなる群から選択される少なくとも1つの発現制御配列をさらに含む、請求項2に記載の植物。
  31. プロモーターが構成性プロモーターである、請求項30に記載の植物。
  32. 核酸配列が選択可能なマーカーをさらに含む、請求項3に記載の植物。
  33. 選択可能なマーカーが抗生物質耐性を与える産物をコードするポリヌクレオチド配列、及び検出可能な産物をコードするレポーター遺伝子から選択される、請求項32に記載の植物。
  34. 転写終了シグナルがNOSターミネーターである、請求項30に記載の植物。
  35. ウイルス性疾患に耐性がある植物を生成するための方法であって、
    a.抗ウイルスタンパク質の発現による以外のウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎を提供すること、
    b.前記ウイルス性疾患に対して感受性がある接ぎ穂を提供すること、及び
    c.接ぎ穂を根茎に接木させて前記ウイルス性疾患に耐性がある接木植物を得ること
    を含む方法。
  36. 根茎をウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を用いて形質転換して、ウイルス性疾患に耐性があるトランスジェニック根茎を生成する、請求項35に記載の方法。
  37. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントを標的とするsiRNAを作製するために設計したDNA構築体を用いて根茎を形質転換する、請求項36に記載の方法。
  38. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが、ウイルスタンパク質又はその一部分をコードする、請求項36に記載の方法。
  39. ウイルスタンパク質がウイルスコートタンパク質、ウイルス複製タンパク質、ウイルス運動性タンパク質又はその一部分からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
  40. ウイルスタンパク質がウイルス複製タンパク質又はその一部分である、請求項39に記載の方法。
  41. トランスジェニック根茎が、土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある、請求項40に記載の方法。
  42. 線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患から植物を保護する、請求項41に記載の方法。
  43. トランスジェニック根茎が、キュウリ果斑モザイクウイルス(CFMMV)の複製タンパク質の断片である推定54kDaのタンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項38に記載の方法。
  44. トランスジェニック根茎が、配列番号1に記載の配列を有する推定54kDaのタンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項43に記載の方法。
  45. トバモウイルス属の土壌伝染性ウイルスによって引き起こされる疾患から植物を保護する、請求項44に記載の方法。
  46. CFMMVによって引き起こされる疾患から植物を保護する、請求項45に記載の方法。
  47. 植物がウリ科である、請求項46に記載の方法。
  48. 植物がキュウリ属植物である、請求項47に記載の方法。
  49. DNA構築体が少なくとも1つの二本鎖RNA分子を形成するRNA配列をコードする核酸配列を含み、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントの切断を仲介する、請求項37に記載の方法。
  50. DNA構築体が、
    a.以下のものに動作可能に連結した少なくとも1つの植物の発現可能なプロモーター、
    b.少なくとも1つの二本鎖RNAを形成するRNA配列をコードする核酸配列であって、二本鎖RNA分子がウイルスゲノムの標的セグメントのセンスヌクレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列、及び前記ウイルスゲノムの前記標的セグメントのセンスヌクレオチド配列の相補配列と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも20個の隣接ヌクレオチドの第2ヌクレオチド配列を含む核酸配列、及び場合によっては、
    c.転写終了シグナル
    を含む、請求項49に記載の方法。
  51. 第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列がスペーサー配列によって隔てられている、請求項50に記載の方法。
  52. スペーサー配列がイントロンの配列を含む、請求項51に記載の方法。
  53. スペーサー配列が配列番号3に記載の配列を有するヒマカタラーゼ遺伝子のイントロンを含む、請求項52に記載の方法。
  54. DNA構築体が同一プロモーターと動作可能に連結した第1及び第2ヌクレオチド配列を含む、請求項53に記載の方法。
  55. 植物が土壌伝染性ウイルス及び植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスからなる群から選択されるウイルスに対して耐性がある、請求項54に記載の方法。
  56. 土壌伝染性ウイルスが線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
  57. 植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスがカリモウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、レオウイルス科、タルチチウイルス科、ブロモウイルス科、コモウイルス科、ポチウイルス科、トンブスウイルス科、セクイウイルス科、クロストロウイルス科及びルテオウイルス科;トバモウイルス、トブラウイルス、ポテックスウイルス、カルラウイルス、アレクシウイルス、カピロウイルス、フォベアウイルス、トリコウイルス、ブドウウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルス、ベニーウイルス、ホルデイウイルス、ソベモウイルス、マラフィウイルス、チモウイルス、イダエオウイルス、オウルミウイルス、ウンブラウイルスからなる群から選択される科である、請求項55に記載の方法。
  58. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが、ズッキーニ黄化モザイクウイルス(ZYMV)のゲノムの3’端を含む、請求項49に記載の方法。
  59. ウイルスゲノムの少なくとも1つのセグメントが配列番号2に記載の核酸配列を含む、請求項49に記載の方法。
  60. 第1ヌクレオチド配列が、配列番号2に記載のヌクレオチド配列及びその断片と少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項50に記載の方法。
  61. 第2ヌクレオチド配列が、配列番号2に記載のヌクレオチド配列の相補配列及びその断片と少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項50に記載の方法。
  62. 植物がポチウイルス科由来のウイルスによって引き起こされる疾患に耐性がある、請求項61に記載の方法。
  63. 植物がZYMVに耐性がある、請求項62に記載の方法。
  64. 請求項35から63までのいずれか一項に記載の方法によって生成される接木植物。
  65. 土壌伝染性ウイルス及び植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスからなる群から選択されるウイルスに耐性がある、請求項64に記載の植物。
  66. 線虫伝播性ウイルス:ネポウイルス:アラビノモザイクウイルス、ブドウファンリーフウイルス、トマト黒色輪点ウイルス、イチゴ舌輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、及びタバコ輪点ウイルス;トブラウイルス:Pea early browningウイルス、タバコラットルウイルス及びコショウ輪点ウイルス;真菌伝播性ウイルス:キュウリ緑斑ウイルス、キュウリ黄化えそ病ウイルス、メロンえそ斑点ウイルス、アカクローバえそモザイク病ウイルス、カボチャえそウイルス、タバコ黄斑えそ病サテライトウイルス、レタスビッグベインウイルス、ペッパーイエローベインウイルス、ビートえそ性葉脈黄化ウイルス、ビート土壌伝染性ウイルス、オートムギ縞萎縮病ウイルス、ナンキンマメ斑紋ウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、イネ縞葉枯病壊死ウイルス、土壌伝染性コムギ縞萎縮病ウイルス、オオムギマイルドモザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、オートムギモザイクウイルス、イネ壊死モザイクウイルス、コムギ条斑病モザイクウイルス及びコムギ黄萎モザイクウイルス;根の損傷によって伝播するウイルス:トバモウイルス属:タバコモザイクウイルス、トマトモザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクトバモウイルス、キュウリ果斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、オンドグロッサムリングスポットウイルス、パプリカ弱斑ウイルス、コショウ弱斑ウイルス、オオバコモザイクウイルス及びタバコ弱緑斑モザイクウイルス;及び未知の経路によって伝播するウイルス:オランダガラシ黄斑ウイルス、ソラマメネクロティックウイルトウイルス、ピーチロゼットモザイクウイルス及びサトウキビ退録条斑病ウイルスからなる群から選択される土壌伝染性ウイルスに耐性がある、請求項65に記載の植物。
  67. カリモウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、レオウイルス科、タルチチウイルス科、ブロモウイルス科、コモウイルス科、ポチウイルス科、トンブスウイルス科、セクイウイルス科、クロストロウイルス科及びルテオウイルス科;トバモウイルス、トブラウイルス、ポテックスウイルス、カルラウイルス、アレクシウイルス、カピロウイルス、フォベアウイルス、トリコウイルス、ブドウウイルス、フロウイルス、ペクルウイルス、ポモウイルス、ベニーウイルス、ホルデイウイルス、ソベモウイルス、マラフィウイルス、チモウイルス、イダエオウイルス、オウルミウイルス、ウンブラウイルスからなる群から選択される科の、植物の気生部分に影響を与えるベクターによって伝播するウイルスに耐性がある、請求項65に記載の植物。
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