JP2007526823A5 - - Google Patents

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JP2007526823A5
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Description

粒子を運動および濃縮させるためのスコダ泳動ならびに方法および装置 関連出願との相互参照
この出願は、参考のためここに組み込まれる2004年2月2日付で出願されたUS出願No.60/540,352、および参考のためここに組み込まれる2004年12月10日付で出願されたUS60/634,604の出願日の利益を主張している。
本発明は、粒子を運動および濃縮させるための方法および装置に関する。本発明は、例えば広範囲のタイプの粒子を運動および/または濃縮させる上で、用途を有する。本発明の態様により運動および/または濃縮させる粒子の一部例として、分子、例えば核酸、タンパク質、他の生体高分子、無機または無機イオン、および適切な磁性粒子を含めた分子サイズおよびそれ以上の他の粒子、および他の粒子がある。
背景
病原体およびある病気は、環境サンプル、体液、水または他の汚染溶液で病原体または病気に関連したDNAを検出することにより、環境または患者で特定されうる。DNAは犯行現場および関連証拠からも抽出されうる。DNAが特定される前に、DNAを濃縮させておくことが通常必要である。DNAは濾過により濃縮される。しかしながら、濾過技術は非効率的である。DNA、ウイルスなどを捕捉しうるほど目の細かいフィルターは、他のデブリで容易に詰まってしまう。汚染溶液からDNAおよび類似物質を濃縮および/または比較的純粋なDNAを抽出しうる技術について、一般的な必要性がある。
面倒なおよび/または費用のかかる精製方法が、生化学アッセイ用に核酸を含有したサンプルを調製する上でよく用いられている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNAおよびRNAのような核酸の濃度を増すために用いられる。しかしながら、特に大容量サンプルの場合、PCRは望ましくないほど高価になることがある。
電気泳動は、媒体に電場を掛けることにより、ゲルまたは液体溶液のような媒体中で荷電粒子の運動を方向づけている。電流が媒体中へ流れるように、媒体と接触して置かれた電極に電位を掛けることで、電場が発生される。媒体中における粒子の運動は、電場の大きさおよび方向、粒子の電気泳動移動度および媒体の粘度のような機械的性質により影響される。電気泳動により、媒体中に分配された粒子が媒体中で運ばれる。電気泳動は核酸(例えばDNAまたはRNA)をゲル基質で運ぶために常用されている。異なる種は異なる電気泳動移動度を有しているため、電気泳動は互いに異なる種を分離させるために用いられる。従来の電気泳動技術は、荷電粒子の線状分離に適用が主として限定されている。
従来の電気泳動技術を用いると、媒体中の粒子が電極の方へ運ばれるように、直流(DC)電場または交互パルスフィールド電気泳動(PFGE)場が典型的には媒体に掛けられる。
電気泳動は、DNAまたは他の微視的な荷電粒子のフラグメントを運ぶために用いられる。様々な電気泳動法がSlater,G.W.et al.,Electrophoresis,2000,21,3873-3887で記載されている。電気泳動粒子輸送は、典型的には、適切な電気泳動ゲルの両側で電極間に直流(DC)電場を掛けることにより、一次元で行われる。電場はゲル中の荷電粒子を電極の一方へ動かせる。電気泳動は互いに異なるタイプの粒子を分離する上で典型的に用いられる。
電気泳動は、特定の箇所で粒子を濃縮させるためにも用いうる。一部の用途において粒子を濃縮させる上で電気泳動の使用成功を妨げうる問題は、粒子が濃縮される箇所に電極が存在しなければならないことである。電極と粒子との電気化学的相互作用は、ある種の粒子を分解してしまうことがある。例えば、粒子がDNAを含んでなる場合、DNAは電極で電気化学的相互作用により損なわれることがある。
従来の直流電気泳動に際して存在する電場は、電流を供給または減衰させる電極以外はどこでも無発散性である。電気泳動は、典型的には、粒子が電極方向へ動かされる場合に適用される。
非対称交流(AC)波形は、粒子速さと適用電場との関係の非直線性のせいで、電気泳動粒子の真ドリフトを引き起こすことがある。この効果は、Chacron,M.J.,et al.,Phys.Rev.E.,1997,56,3446-3450;Frumin,L.L.,et al.,Phys.Chem.Commun.2000,11;Frumin,L.L.,et al.,Phys.Rev.E.,2001,64,021902で記載されているように、粒子を一次元で動かせるために用いうる。
Pohl,H.A.,Dielectrophoresis:The Behavior of Neutral Matter in Nonuniform Electric Fields Cambridge University Press,Cambridge,UK,1978;Asbury,C.L.,et al.,Electrophoresis,2002,23,2658-2666;Asbury,C.L.,et al.,Biophys.J.1998,74,1024-1030は、誘電泳動が二次元以上でDNAを濃縮させるために適用しうることを開示している。しかしながら、誘電泳動の実用に際しては望ましくないほど高い電場勾配を要する。
粒子が電気泳動で運ばれた媒体の部分を切り取ることにより、電気泳動で他の粒子から分離された粒子を単離しうる。様々な精製技術を用いることで、粒子が媒体から分離される。
DNA分離に関する方法を記載した参考文献として:Slater et al.,The theory of DNA separation by capillary electrophoresis,Current Opinion in biotechnology,2003,14:58-64;2000年11月14日付で発行されたSlaterらのUS6,146,511;Frunin et al.,Nonlinear focusing of DNA macromolecules,Phys.Rev.E.64:021902;Griess et al.,Cyclic capillary electrophoresis,Electrophoresis,2002,23,2610-2617,Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.Weinheim(2002)がある。粒子を分離するため場の使用について記載した参考文献として:1999年8月17日付で発行されたBaderらのUS5,938,904;2001年2月27日付で発行されたBaderらのUS6,193,866;Tessier et al.,Strategies for the separation of polyelectrolytes based on non-linear dynamics and entropic rachets in a simple microfluidic device,Appl.Phys.A.75,285-291(2002);Chacron et al.,Particle trapping and self-focusing in temporally asymmetric ratchets with strong field gradients,Phys.Rev.B.56:3,3446-3550(Sept.1997);Dean et al.,Fluctuation driven ratchets:molecular motors,Phys.Rev.Lett.72:11,1766-1769(14 March,1994);Bier et al.,Biasing Brownian motion in different directions in a 3-state fluctuating po
tential and an application for the separation of small particles,Phys.Rev.Lett.76:22,4277-4280(27 May,1996);Magnasco,forced thermal ratchets,Phys.Rev.Lett.71:10,1477-1481(6 Sept.1993)がある。
従来法より良く、特定の用途で従来法の制約を回避した、粒子を運動および/または濃縮させるための方法について必要性が残されている。ゲルのような媒体からDNAのような物質を抽出するために有効な方法についても必要性が残されている。
発明の要旨
本発明の一面は、媒体中で粒子の運動を引き起こすための方法を提供する。該方法は、粒子を濃縮するおよび/または互いに異なるタイプの粒子を分離するために用いられる。
このような方法では時変駆動場を粒子へ掛ける。駆動場は、交互に方向転換する時変駆動力を粒子へ加える。該方法は移動度変動場も粒子に掛ける。移動度変動場は:駆動場とタイプが異なるか若しくは駆動場と配向していない、または駆動場とタイプが異なり且つ駆動場と配向していない
駆動場および移動度変動場は期間中同時に掛けられ、移動度変動場は、期間中駆動場と非ゼロ相関を有するように、媒体中粒子の移動度を期間中時間依存性にする。これらの方法はSCODA法と称される。
本発明の他の面は、媒体から荷電粒子を抽出するための方法および装置を提供する。これらの方法はSCODAにより濃縮された粒子を媒体から抽出するために適用され、SCODAにより濃縮されなかった粒子を媒体から抽出するためにも適用される。抽出リザーバー中の緩衝液が、緩衝液‐ゲル界面で抽出される粒子を含有した媒体と隣接して置かれる。電極が緩衝液‐ゲル界面の各側に用意される。パルス電圧電位を電極に掛けることにより(時間平均電場はゼロである)、粒子が集合および濃縮される抽出リザーバーへゲル中の粒子を向かわせる上でゼロ積分フィールド電気泳動(ZIFE)が緩衝液‐ゲル界面に適用される。
本発明の一面による方法は、抽出される荷電粒子を含有したゲル溶液のそばに緩衝液抽出リザーバーを置き;粒子を抽出リザーバーへ向かわせるためにZIFEを緩衝液‐ゲル界面に適用し;抽出リザーバーに粒子を集合および濃縮させることからなる。次いで、ピペットまたは他の器具が抽出リザーバーから粒子を吸引するために用いられる。
本発明の一部態様において、装置は抽出される荷電粒子を含有したゲルを入れておくゲルボートを含んでなる。少量の緩衝液を含有したキャピラリーがゲル溶液中へ挿入される。緩衝液中で集合した粒子を吸引するために、ピペットまたは他の器具がキャピラリーに用意される。電場を発生させるために、電極が緩衝液‐ゲル界面の各側に用意される。
本発明の別な面および本発明の具体的態様の特徴が以下で記載されている。
説明
以下の説明全体を通して、具体的な詳細が本発明の更に深い理解を得るために記載されている。しかしながら、本発明はこれらの詳細なしで実施してもよい。他の場合には、本発明の不必要な不明瞭化を避けるために、周知の要素は詳細に示されまたは記載されていない。したがって、明細書および図面は、限定というより、むしろ説明の意味とみなされるべきである。
スコダ泳動(scodaphoresis)(ここでは新頭字語SCODAと称されている)は、媒体中で粒子を運動および/または濃縮させるための方法を表わしている。SCODAは抗力変化の同期係数に関する頭字語である。“泳動”は、輸送または運搬を意味する連結形である。スコダ泳動では、運動および/または濃縮させる粒子を2つの時変場または刺激へ曝す。場の第一のものは、媒体中で粒子の動きを駆動させる力f(t)となる。粒子と第一場との相互作用により生じる粒子運動の方向は同調して変わる。第一場は、第一場の整数回のサイクルで平均値がゼロとなる駆動力を供する。
場の第二のものは、関数g(t)に従い媒体中で粒子の移動度を変える。第一および第二場は、f(t)およびg(t)が対象の期間にわたり非ゼロ相関を有するようなものである。このような非ゼロ相関へは様々な手法で到達しうる。一部の態様において、f(t)およびg(t)は同周波数で各々時間変動し、f(t)およびg(t)はf(t)およびg(t)間で実質的に一定の位相関係にあるように同期化される。他の態様では、f(t)はg(t)より2倍の周波数を有する。
粒子への場の適用は粒子の真ドリフトを引き起こす。この真ドリフトは、異なるタイプの粒子を分離させるか、選択されたエリアで粒子を濃縮させるか、または双方のために利用しうる。下記のように、第一および第二場は同タイプ(同種SCODA)でもまたは異なるタイプ(異種SCODA)でもよい。
SCODAの実証として、以下のケースを考えてみる:
Figure 2007526823
上記においてμは媒体中における粒子の非摂動移動度であり、μはg(t)への移動度の感受性である。g(t)の不在下で、粒子の速度は単にμf(t)で与えられることがわかる。f(t)が式(1)で与えられる場合、f(t)のサイクルで粒子の真転位はない。しかしながら、g(t)が上記で与えられる場合、1サイクルでは、以下の粒子により運ばれる距離dを求めるために速度が積分される。:
Figure 2007526823
こうして、2つの場の同時適用が粒子に正味の運動を付与する。この例で、正味の運動はμに依存していない。
“粒子”は、スコダ泳動で動けるあらゆる微視的または巨視的物体を意味するために、ここでは用いられている。
f(t)およびg(t)の相関は、下記のような適切な相関関数に従いコンピューター計算される:
Figure 2007526823
上記においてCは相関であり、Tは対象の期間であり、λは定時シフトである。Cはλのある値のとき非ゼロ値を有しなければならない。
理想的にf(t)およびg(t)はSCODAの効率的操作に大きな相関を有しているが、一部のSCODA運動は選択関数f(t)およびg(t)とλの選択値がCの小さな値をもたらす場合でも生じうる。SCODA運動をうける粒子の速度はf(t)およびg(t)双方の関数でなければならない。更に、粒子の速度は、f(t)およびg(t)を一緒に適用した結果として、f(t)およびg(t)の独立した適用から得られる速度の合計と同一であってはならない。即ち:
Figure 2007526823
スコダ泳動にとり便利ではあるが、必要でない一組の条件は:
Figure 2007526823
上記において、粒子が駆動場f(t)のみと相互作用するとき、ν(f(t),0)は時間の関数として粒子の速度である;粒子が移動度変動場g(t)のみと相互作用するとき、ν(0,g(t))は時間の関数として粒子の速度である;および
Figure 2007526823
この場合に、独立して作用する2つの場は、粒子のいかなる正味の運動も生じない。しかしながら、第一および第二場の組合せ効果によると粒子を真速度で動かせる。
SCODAを最適化するためには、f(t)またはg(t)による粒子の一次速度がゼロであり(そのため粒子が真ドリフトを有さず)、f(t)およびg(t)の組合せが粒子に作用して最大速度をもたらすように、関数f(t)およびg(t)を選択しうる。下記積分を最大化するようにf(t)およびg(t)と位相シフトλを選択しうる:
Figure 2007526823
本プロセスはこの場合に、時間0から時間Tまで、または可能であればtが各期間で0からTまで及ぶ多数の期間で実行される。
f(t)およびg(t)が正弦関数、同一関数でまたは周期関数でさえ表わされることは必要でない。本発明の一部態様において、f(t)およびg(t)は異なる関数である。本発明の一部態様において、f(t)およびg(t)は周期的でない。図1A〜1Hは、本発明の具体的態様で用いられる関数f(t)およびg(t)の一部例を示している。
図1Aは、f(t)およびg(t)が双方ともサイン関数で、f(t)およびg(t)が同位相にあるケースを示している。図1Bは、f(t)およびg(t)が双方ともサイン関数で、f(t)およびg(t)が異位相にあるケースを示している。下記のように、粒子が動かされる方向は、f(t)およびg(t)の相対位相を変えることで逆転される。
図1Cは、g(t)がアンバランスであるケースを示している。図1Cにおいて、f(t)およびg(t)は双方とも三角関数である。図1Cにおいて、g(t)はf(t)の場合の半分の周波数を有している。図1Dにおいて、f(t)は四角波形を有し、一方g(t)は正弦波形を有している。図1Eにおいて、f(t)およびg(t)は双方とも実質的に四角波形を有している。図1Fにおいて、f(t)およびg(t)は双方とも変動周波数を有している。図1Gにおいて、f(t)は本質的にランダムなノイズであり、f(t)が閾値7を超えるときにg(t)は(任意の単位で)1の値を有し、それ以外では0の値を有している。図1Hにおいて、g(t)は一連の短期インパルスの形を有している。
他の例として、2nπ/ω<t<(2n+1)π/ωのときf(t)=sin(ωt),g(t)=1
上記においてnはいずれかの整数または整数の組(例えば、n∈{1,2,3,…}またはn∈{2,4,6,…}またはn∈{1,4,7,…})である。整数nは規則的に間隔をあける必要はない。例えば、本発明の方法は、整数nの組が非周期的連続からなるケースで機能するようにできる。それ以外の周期的波形f(t)またはg(t)は、例えば、波形の谷(またはピーク)をランダムに省くことにより非周期的にできる。
図1Iは、f(t)がg(t)の場合の2倍の周波数を有するケースを示している。図1Iの波形は、例えば粒子の移動度が|g(t)|に応じて変わる、SCODA運動を生じうる。|g(t)|がf(t)の負行ピークよりf(t)の正行ピークの場合に大きな値を有することがわかる。
図1A〜1Iのほとんどで示された波形が対称的である(即ち、それらは空間方向で反転されても同様の全体形状を有する)が、これは強制的ではない。f(t)は一般的に非対称である。
駆動場
f(t)は媒体中で粒子の動きを駆動しているため、それは駆動関数としてここでは称されている。本発明の異なる態様において、f(t)は異なるタイプの場により作られる。例えば、f(t)は下記のいずれかにより作られる:
時変電場;
時変磁場;
・媒体中の時変流;
・媒体中ある種の時変密度勾配;
時変重力または加速場(例えば、粒子を含有した媒体を加速させて、重力または加速場の方向に対して媒体の向きを周期的に変えることにより得られる);
・またはその他
一部の態様において、f(t)は交互に方向転換する力を粒子に加え、ここで力の大きさは各方向で同一である。他の態様において、f(t)は、粒子に加わる力の大きさが他よりも一方向で大きくなるように、交互に方向転換する成分と交互に方向転換しないバイアス成分とを組み合わせている。バイアス成分はDC成分と称され、一方交互変換成分はAC成分と称される。
駆動場は対象の粒子と相互作用するように選択される。例えば:
・粒子が荷電粒子(例えばイオン)である場合は、電場が駆動場に用いられる。電気的に中性の粒子は、電気的中性粒子に荷電粒子を結合させることにより、電場に応答性とさせられる。一部の場合、中性分子のような電気的中性粒子は、荷電分子のような荷電粒子に担持させられる。例えば、荷電ミセルと相互作用する中性タンパク質は、駆動場とミセルとの相互作用を介して電気駆動場により駆動される。
・粒子が媒体の場合と異なる誘電率を有している場合、時変勾配を有する電場が誘電泳動により媒体で粒子の動きを駆動しうる。
・粒子が磁性物質を含有している場合(例えば、対象の粒子が磁力より影響されるタイプの小さなビーズ、例えば強磁性ビーズと結合させうる場合)、磁場が駆動場に用いられる。
・粒子が媒体の場合と異なる磁化率を有している場合、媒体に対する粒子の動きを磁気泳動により駆動させるために磁場の勾配が用いられる。
・粒子が媒体の場合と異なる密度を有している場合、粒子に及ぼす重力または他の加速作用が媒体に対する粒子の動きを駆動させる。媒体を音響場に曝すことにより、AC加速が一部の態様で行われる。
駆動場は直接的に力を粒子に加えても、または間接的に粒子の運動を引き起こしてもよい。後者の例として、駆動場は生きた粒子(例えば移動性細菌)をそれら自身のある環境への好みに応じて動かせる。例えば、ある生物は光、化学勾配または磁場に向かって遊泳する(これらの現象は各々化学走性、光走性および走磁性として知られている)。
移動度変動場
粒子の移動度は様々なメカニズムに応じて変わる。例えば:
・媒体の温度を変える;
・駆動場と同調して変わる強度および/または偏光および/または波長を有した光または他の放射線に粒子を曝す;
・粒子が通過する媒体の部分へ電場を掛ける;
・粒子が通過する媒体へ磁場を掛ける(磁場は、例えば、粒子に伴う磁気双極子の向きを変え、それにより粒子の抗力の係数に影響を与えるか、または適切な磁気レオロジー流体を含んでなる媒体の粘度を変える);
・粒子が通過する媒体の部分へ音響シグナルを加える;
・媒体で種の濃度に周期的変化を引き起こす;
・電気浸透効果を利用する;
・媒体で周期的化学変化を引き起こす;
・粒子を媒体中の他の粒子または媒体の成分と周期的に結合および解離させる;
・媒体によりうける静水圧を変える;
・媒体中の粒子によりうける有効抗力に変化をもたらすように媒体の物理的寸法を変える;
・磁場を媒体に掛ける。
電気泳動駆動場のような駆動場に応じて粒子の移動度を変える効果も用いうる。
本発明の一部態様において、粒子の移動度は粒子の速度と駆動場の強度との関係で非直線性を利用することにより変えられる。一部の態様では、第一駆動場の方向と垂直に作用する成分を有するが、第一駆動場の場合より半分の周波数である第二駆動場を掛ける。単独で適用すると、このような第二駆動場は主駆動場の方向と垂直方向で単に前後に粒子を振動させる。しかしながら、主駆動場と一緒に適用されると、このような第二駆動場は主駆動場の他方向よりも主駆動場の一方向で媒体に対して高い平均速さを粒子に付与しうる。これは粒子移動度と粒子速さとの非直線関係のおかげで粒子の真ドリフトをもたらす。
一部の態様において、主駆動場は正弦、三角または四角波形のような対称波形を有している。
粒子が存在する媒体の温度は駆動場と同調して変えられる。温度変化は、粒子の形態、媒体の粘度、粒子と媒体との相互作用の強度、これらのある組合せなどのうち、1以上に変化をもたらす。その結果は、粒子の移動度が温度の変化により変わることである。媒体中各領域の温度は、以下を含めたいずれか適切な手法で制御しうる:
・媒体の当該部分に放射線を向けて、媒体の該部分を加熱する;
・媒体の当該部分と熱接触しているヒーターまたはクーラーを作動させる;
・吸熱または発熱化学反応を媒体の当該部分で(または媒体の当該部分と熱接触している箇所で)生じさせる;および
・その他
本発明の一部態様において、媒体は、放射線を吸収して、吸収された放射線エネルギーを熱として放出する物質を含んでなる。一部の態様において、動かされる粒子付近における媒体の局所加熱は、粒子自体により吸収され熱として放出される波長を有した電磁放射線で粒子を照射することにより行われる。このような態様では、加熱が粒子に局所的であるように、媒体の諸成分により有意に吸収または熱変換されない放射線の波長を選択することが有利である。
温度で変わる移動度を有した粒子の一部例は:温度を周期的に変えることで周期的に様々に変性されまたは折り畳まれるタンパク質;および周期的に変性されるDNAである。
粒子が動き回る媒体のエリアを放射線に曝すと、粒子の形態、媒体の粘度、粒子と媒体との相互作用の強度、これらのある組合せなどのうち1以上を変える。その結果は、粒子の移動度が適用放射線の強度および/または偏光および/または波長の変化により変わることである。適用光により変化しうる移動度を有した粒子の一部例は、適用光により形態の可逆的変化をうけることがある、アゾベンゼンまたはスピロピラン類のような分子である。媒体中で粒子の移動度を変える光の使用の別な例は、ポリマーを含有した媒体中でポリマーの部分的架橋を行わせるための光の適用である。
媒体へ適用される電場の強度は駆動場と同調して変えてよい。一部の媒体では、あるタイプの粒子の移動度が適用電場で変わる。一部の媒体で、粒子速度は適用電場と非直線的に変わる。
媒体中粒子の移動度は、媒体へ適用される音響場の強度で変わることもある。一部の場合において、溶液または他の媒体中の音響定常波は、媒体中の粒子によりうける媒体の局所的性質(例えば、抵抗率)に一時的な差異を生じさせ、こうして駆動場(例えば、駆動電場)で局所的不均等性をもたらす。
粒子の移動度が種の濃度を変えることで制御される場合、様々な濃度を有する種は、例えば、粒子と結合する種、またはある他の種または表面もしくは他の隣接構造への粒子の結合に影響を与える種である。種は媒体の粘度に直接影響を与えてもよい。
粒子移動度を制御するための電気浸透効果の使用の例として、粒子が運動している媒体が1種以上のポリマーを含有した溶液であるケースを考えてみる。このような溶液で、適用電場はバルク流体流を引き起こせる。このような流動は、可能であれば電気浸透流の始めに非直線性を利用して、摂動刺激を圧力または流動誘導駆動力に、または摂動として電気駆動力に加えるように制御される。
粒子移動度を制御するために利用される化学変化は、例えば、以下のうち1以上で変化を誘導する:
・粒子の形態
・ある他の粒子の形態
・媒体中で互いのまたは他の種もしくは構造への粒子の結合;
・媒体中の種の互いの結合;媒体の粘度;または
・その他
化学変化は、例えば、架橋を光学的に誘導するか、あるいはフェロセンのような光活性分子の酸化または還元を光学的に誘導することにより、光学的に誘導される。化学変化は、化学種を媒体中へ導入することにより誘導してもよい。化学変化として:媒体のpHを変える変化;媒体中で1種以上の化学種の濃度を変える変化;またはその他のうち1以上もある。
粒子移動度は、様々なメカニズムに応じた適用磁場により影響される。例えば:
・媒体は小さな磁気ビーズを含有してもよい。ビーズはポリマーマトリックス中のポリマーと結合させてもよい。磁場を掛けることにより、ビーズは粒子路から引き離され、こうして粒子によりうける媒体の有効粘度を減らせる。
・媒体は、適用磁場で変わる粘度を有した磁気レオロジー流体でもよい。
磁場は、媒体粘度を二次元パターンで変えるために用いてもよい。磁場は、媒体の粘度が位置で変わるように同調して変わり、周期的駆動力に同期的摂動をもたらすように同調して変わる。他の例として、粒子自体が磁性である場合、粒子の輸送および濃縮は磁場により影響される。粒子は電気泳動で駆動される。抗力誘導表面の方へ粒子を駆動させるか、またはこのような表面からそれらを放出するように、磁場は周期的にスイッチオンされる。磁場は粒子を凝集させるために用いてもよい。
粒子
本発明の方法は、分子、イオンおよびそれより大きな微粒子を含めた、事実上あらゆる種の粒子に適用される。本発明の方法の使用により運動、濃縮および/または抽出させる粒子の一部非制限例は以下である:
・タンパク質、RNA、DNAおよび適切な脂質のような電気的に荷電したまたは中性の生体高分子;長鎖ポリマー;ポリペプチド;
・ミセルまたは他の超分子アセンブリーのような分子の凝集体;
・磁気ビーズまたは荷電ビーズが付着しうる粒子;
・生きた微生物;および
・その他
いかなる特定タイプの粒子でも、適切な駆動場、媒体および移動度変動場を特定しうるよう試みることができる。多くの生体高分子は荷電しているため、このような粒子を運動および/または濃縮させる上で本発明を適用するときには、駆動場として時変電場を用いることが多くの場合に適切である。更に、磁気ビーズを特定の生体物質と結合させるためにうまく開発された技術がある。磁気ビーズと結合させうる物質を運動および/または濃縮させることが望まれる場合、磁場は駆動場として用いてもよい。
媒体
媒体は、粒子が動ける媒体であって、しかも粒子の移動度が適切な移動度変動場を掛けることで変えられる媒体でもあるように選択される。媒体として、例えば以下がある:
・アガロースゲルまたは性能最適化ポリマー(POP)ゲル(Perkin Elmer Corporationから入手可能)のようなゲル;
・水性またはその他の溶液;
・ポリマーのからみ合い液体溶液;
・粘稠または濃密溶液;
・運動が向けられている分子(または他の粒子)と特異的に結合するようなポリマーの溶液;
・アクリルアミド、直線状ポリアクリルアミド;
・対象の粒子が微小加工構造との頻繁な衝突または相互作用によりからみ合わされまたは遅延されうるような間隔をあけた、ポストの並びなどのような微小加工構造;
・エントロピー捕捉により分子と相互作用するような構造(例えば、Craighead et al.,Science,12 May 2000,Vol.288);
・PluronicTMF127(BASFから入手可能)のような高粘度流体;
・水;または
・その他
媒体は、粒子が動く上で適した特徴を有するように選択される。粒子がDNAの粒子である場合、適切なポリマーゲルは本発明者らにより現在好まれている媒体である。本発明の一部具体的態様において、粒子はDNAを含んでなり、媒体はアガロースゲルまたは適切な水溶液を含んでなる。一部の態様で、水溶液はアガロースゲルのようなゲルと混合された細菌増殖培地である。
2Dスコダ泳動
一部の態様において、粒子は二次元(2D)表面上で運動するように強いられる。一部の態様で、2D表面は平面である。2D表面は必ずしも平面でなくてよい。一部の態様で、2D表面は比較的薄い層の媒体、例えばゲルからなる。一部の態様で、媒体は自立している。媒体は基板に支持されてもよい。基板はガラスまたは適切なプラスチックのシート、例えばマイラーからなる。一部の態様で、媒体の2D層は基板2枚の表面間にはさまれている。媒体が露出面を有している場合、該表面は空気または他の気体雰囲気中で存在しても、あるいは適切な緩衝液、油などのような液体に浸されてもよい。一部の現在好ましい態様において、媒体は2層の厚いゲル間にはさまれたゲルの層からなる。例示態様において、粒子は2層の3%w/vアガロースゲル間にはさまれた1%w/vアガロースゲルの層中で運動する。
本発明の一部態様において、粒子が動き回る2D表面は、粒子の移動度を低下(または増加)させる非均一粘度または非均一濃度の種を有する媒体内の層で用意してもよい。粘度または濃度勾配は、媒体内の比較的薄い層中または媒体の表面上に粒子を残留させる。
3Dスコダ泳動
SCODAは三次元で粒子を濃縮するために用いてもよい。これは様々な手法で実施しうる。一部の態様で、2D SCODAは平面で行われる。2D SCODAは、例えば下記の電気泳動SCODA法を用いて行われる。平面の上下に置かれたZ電極は、平面外から再び平面中へ運動し始めるよう粒子を駆動させやすい電場を掛ける。
3D SCODAも電極6個を配置することで行え、各電極がゲルのような媒体の本体の表面上に置かれる。このような立方体のX、YおよびZ軸を定めると、2D SCODAがXY面の4電極で、次いでYZ面の4電極で、次いでXZ面の4電極で行われ、次いでXY面その他で繰り返される。これは、三次元で放射状であるが、同電極電圧で2D SCODA力の約1/3の強さである真SCODA力により、真3D集束効果を生じる。
制御システム
いかなる適切な制御メカニズムも、SCODAで粒子を動かせられるよう、協調的に駆動場および移動度変動場を掛けるために用いられる。本発明の一部の態様では、粒子に及ぼす効果が相関するように、駆動場および移動度変動場の時間変動が共通源から直接誘導されている。本発明の他の態様では、駆動および移動度変動場がハードワイヤコントローラー、プログラム可能コントローラー、適切な界面エレクトロニクスを備えた汎用コンピューターなどのようなコントローラーの制御下で発生される。設計科学機器の当業者に知られているものを含めて、いかなる適切な制御メカニズムも適用しうる。
下記例は本発明の様々な具体的態様について示している。本発明のこれら態様は個々に発明性があるとみなされている。これらの例の一部は実施された実験を要約しており、その他は予言例である。
例1‐SCODAによる粒子の電気泳動濃縮
Figure 2007526823
により与えられる電場で電気泳動移動度μを有する荷電粒子を考えてみる。定義によると、粒子は下記式により与えられる速度で運動する:
Figure 2007526823
式(9)から、νはゼロの時間平均を有している。μが時間の関数として変わり、μのフーリエ変換がcos(ωt)に比例する成分を有しているならば、ν(t)の時間平均はゼロでなくてもよい。簡単な例として、次のケースを考えてみる:
μ(t)=μ+μcos(ωt) (10)
この場合に、ν(t)の時間平均は以下である:
Figure 2007526823
これは、適用電場の時間平均がたとえゼロであっても、非ゼロ電気泳動ドリフトがありうる、という基本原理を証明している。
今度は、粒子の移動度が電場強度の関数であるケースを考えてみる。事実上いかなる非直線性も用いうるが、粒子の速度が駆動電場の方向と平行であり、粒子の速さが下記式で与えられるケースを考えてみる:
ν=kE (12)
上記においてkは定数であり、Eは電場の大きさである。この場合に、粒子の速さは電場の大きさの2乗に比例する。粒子の有効移動度(即ち、ドリフト速度の小さな変化dνと電場の小さな変化dEとの関係)は適用電場の大きさで変わる。
デカルト座標では:
Figure 2007526823
上記において粒子速さが式(12)のように電場で変わる場合、式(13)は下記式に換算される:
Figure 2007526823
この解釈を助けるために、E=0でE=Eのケースを考えてみる。この場合に、式(14)および(15)は次のようになる:
dν=2kEdEおよびdν=kEdE (16)
式(16)から、電場の摂動の粒子速度に及ぼす影響が周囲場のものと比例する大きさを有していることがわかる。電場と同方向を有する摂動は、電場と垂直な摂動より2倍大きな粒子速度に及ぼす影響力を有している。
これは、粒子を濃縮させる適用電場を掛けるために利用しうる。適用電場が一定マグニチュードEを有し、xおよびy方向における電場の成分が下記式で与えられるような角周波数ωの方向で電場が回転している平面を考えてみる:
=Ecos(ωt)およびE=Esin(ωt) (17)
式(17)から式(14)および(15)へ値を代入すると、定数項、角周波数ωを有するサインおよびコサイン項と角周波数2ωを有するサインおよびコサイン項との合計である、という結果を得る。2ωの角周波数を有するコサイン項のみが真粒子ドリフトに寄与するように、参照の枠が選択される。これらの項のみを求めると、次を得る:
Figure 2007526823
周波数2ωで変わる四極場の形を有した摂動電場が式(17)で定められる基本電場へ加えられると、粒子の真ドリフトが求められる。下記式で与えられる摂動電場の場合:
dE=−dExcos(2ωt)およびdE=−dEycos(2ωt) (19)
それは次のように示される:
Figure 2007526823
式(20)は、すべての位置rにおける荷電粒子で、移動度の場依存性を表わす係数k、回転場の強度Eおよび摂動四極場の強度dEと比例する速さで原点の方へ時間平均ドリフトがあることを示している。
上記の計算は、摂動四極場が回転場と比べて小さな大きさを有しているケースに関する。これは必ずしも一般的ではない。図2は、回転電場および四極電場の大きさが類似しているケースで、粒子路の数値シミュレーションの結果を示している。運動は図2の上右手側で始まり、200秒間かけて底部左側へ進む。適用電場は下記表1で記載されている通りである。渦巻き路の各ループは、各々1秒間適用された12電圧パターンのサイクルに相当する。均一場振幅は原点(電極パターンの中心)で3845V/mである。同箇所で、電場の四極成分の大きさは、原点から1mmの箇所で4.2×10V/mまたは約4200V/mである。
多くの状況下において、電極のない領域で粒子を濃縮させることが有利である。電極での電気化学プロセスはDNAおよび他の感受性物質に損傷を与えることがある。粒子集束効果を発揮する電場は、上記のように、粒子が濃縮されるようになる箇所で電極の必要性なしに掛けられる。
ドリフトで拡散のアインシュタイン‐スモルコフスキー式から、粒子が濃縮されうるスポットのサイズを求められる。濃縮スポットの半径に関する特徴的長さスケールRは下記式で与えられる:
Figure 2007526823
上記においてDは粒子の拡散係数であり、μはkEE/4で与えられる。
図3は、本発明を実施するために用いられる、簡単な配置を有した装置10を示している。アガロースゲルのようなゲルである媒体の層11が、4つの対称的に配置された電極12A、12B、12Cおよび12D(包括して電極12)間に置かれている。メッシュ電極の形で電極12を用意することが望ましいとわかった。電源14は個別に制御可能な電位V1、V2、V3およびV4を各々電極12A〜12Dへかけている。重要なのは電極12A〜12Dの相対電位であるため、電極12A〜12Dのうちいずれか1つが0ボルトのような好都合な固定電圧に保たれ、その一方で他の電極に掛けられる電圧が所望であれば変えられる。
温度変化または電源特性の変化による小さな揺らぎに対して電気刺激を安定化させるために、電極に掛けられる電位を制御することが通常望まれる。適用された実際の電位を定めるコントローラーへフィードバックを掛けるために、別な電位反応電極が置かれてもよい。図3Aは、メッシュ電極12A、12B、12Cおよび12Dと別な電位反応電極13A、13B、13Cおよび13D(包括して電極13)とを含んでなる装置の概略図である。大きな緩衝液リザーバー15は、長期ランにわたり蒸発に対して緩衝液の十分な供給を維持する。絶縁バリヤ16は隣接リザーバー15を電気的に隔離している。電極13は緩衝液リザーバー15中に置かれて、緩衝液中の電位をモニターする。電極13からのフィードバックは、メッシュ電極/緩衝液界面で電圧降下の変動を補うために、適切に設計されたコントローラー14でメッシュ電極12の電圧を自動的に調整させる。
適用電圧の大きさは、装置および分離される粒子のサイズと合うように選択される。アガロースゲルでDNA分離の場合、約50V/cmの電気駆動場が満足な性能を呈するとわかった。供給される電流は媒体の導電率および寸法に依存する。
電位の適用は、媒体11中の荷電粒子を中央箇所18の方へ動かせる。図3は濃縮領域18の方へ動く粒子のグループ17Aおよび17Bを示している。上記のように、適用電場が変わる正確な波形は本発明の操作上重要でない。本発明のプロトタイプ態様において、式(16)および(18)の電位偏差は、電極12A〜12Dへ適用される一連の個別電圧のパターンにより概算される。プロトタイプにおいて、各サイクルは、次のパターンへ動く前に各々1秒間適用される、12パターンから構成されていた。表Iは各パターンで適用される電圧を示している。
Figure 2007526823
図3Bで略記された本発明のプロトタイプ態様において、媒体11は、0.1X Tris‐酢酸‐EDTA緩衝液中アクリルベース上で3.8cm四方を形成する0.25%アガロースゲル(Gibstown NJ,USAのEMD Chemicals製のAgarose 2125 OmniPur)8〜11mlから作られたゲルスラブの形をしていた。4電極をゲルに浸した。各電極はゲルボートの底から約2.5mm上にゲルボートの片側1/3で伸びていた。500μg/ml λファージDNA(48,502bp、Beverly MA,USAのNew England Biolabs製のパートNo.N3011L)8μLを0.1X TAE12μLと混合することにより、DNAを調製した。ゲルが固化した後、DNAの5μLスポットをゲル上にピペットで直接取った。TAEの薄層をゲル上に載せた。表Iの電圧パターンを電極に掛けた。DNAスポットはすべてゲルの中央エリアに運ばれることがわかった。
図4は、プロトタイプ態様で用いられたλ DNAに関する、適用電場の関数として測定DNA速度のプロット例である。図4Aは、DNAが集中した原点からの半径方向距離の関数として、DNAの時間平均ドリフト速度(15分間の平均)を示したプロットである。図4Aは、X軸の位置で始まる粒子の軌道の数値評価である曲線21A、および原点から位置X=Y=1.5cmで始まる粒子の軌道の数値評価である曲線21Bを含んでいる。
図4Bは、数値および分析予想と比較して、時間の関数として原点からの測定DNAスポット距離を示したプロットである。スポット位置は、所定の時間間隔でみられる全スポットについて測定されている。原点から遠くで始まるスポットが原点に近いスポットの開始位置に到達する時間により、原点の近くで始まるスポットの開始時間が置き換えられるように、原点から異なる半径方向距離で始まるスポットのスポット軌道が同調してシフトされている。
図4Bで示された方式では、計算および観察されたスポット軌道間に良い一致があった。
プロトタイプで用いられたDNAの場合、Dは実験によると2×10−12/sであると測定された。μは約1×10−3l/sの値を有すると測定された。これらの値を用いると、限界スポットサイズが100μm程度であると計算された。150〜250μm程度のスポット半径が実験では得られた。
他の実験では、1%アガロースゲル(0.01X TAE)中400ng/ml λ DNAの均質溶液をスコダ泳動に付した。1%アガロースゲル3mlを500ng/μL 48,502bp λ DNA1.5μLおよび1.5μg臭化エチジウム(500ng/ml最終濃度)と混合することにより、ゲルを調製した。ゲルを約65℃に冷却させ、次いでゲルボート中に注いだ。図3Bで示されているように、ゲルを十字形に配置した。直径0.03mmの白金電極19を装置のオープン電極領域20に置いた。電極領域からゲルを取り除き、そこを0.01X TAE緩衝液で満たした。
対向電極間の距離は約2.4cmであった。約90分間後、λ DNAは半最大で約300μmの全幅を有するスポットとしてゲルボート中心の領域21で濃縮されたことがわかった。該スポットにおけるλ DNAの濃度は、ゲルボートにおけるλ DNAの初期濃度と比較して、約3000〜4000倍に高められた。電極から離れたエリア21でDNAを濃縮させる能力は様々な分野で有利となる。
長さLの辺を有する正方形ゲルスラブを用いて得られる濃縮ファクターFは、おおよそで次のように計算される:
Figure 2007526823
したがって、他のファクターが等しければ、ゲルスラブの寸法を増すと、濃縮ファクターを高められる。例えば、計算によると、35cm×35cm四方ゲルスラブが10程度の濃縮ファクターを生じることを示している。最良濃度を得るためには、粒子を濃縮させるためにSCODAが用いられている2D表面から外への粒子の拡散を抑えるステップをとることが望ましい。
二次元の電気泳動SCODAは、上記のように、2つの対向対で配置された4電極を用いると、都合よく行える。互いに同一線上にない3以上の電極の別な配置も用いうる。例えば、SCODAは三角のかどに配置された3電極を用いて行える。SCODAは媒体の領域の周囲に配置された5以上の電極を用いて行ってもよい。
電流を媒体に通すと媒体の加熱につながり、ほとんどの実用的媒体はある程度導電性であるため、実施に際しては、加熱を最少に抑えて、必要であれば加熱の影響を改善しうるSCODA装置を設計することが望ましい。例えば、SCODAは次のうち1以上を含めた手法で行える:
・媒体と物理的接触しているクーラーの使用で媒体を冷却し、媒体の周りを循環している緩衝液を冷却し、冷気を媒体に吹付けるかまたは媒体を蒸発で冷却する;
・媒体を非常に薄くすることで、媒体に流れる電流を減らし、媒体からの熱の放散を改善する;
・ヒートシンクとして働く熱伝導性基板に媒体を載せる;
・化学処理により、または導電性の増加を引き起こす不必要種を媒体から離すことにより、媒体の導電性を減らす;
・緩衝液のリザーバーを用意し、緩衝液が蒸発したら媒体周辺の緩衝液を補充する(例えば図3A参照);
・媒体の温度をモニターする温度センサーを1以上用意し、電極に流れる電流を制御することで許容範囲内に留まるよう媒体の温度を制御する;および
・電場以外の駆動場を用いる。
例2‐3D SCODA
図3Cは図3の場合と類似した装置を示しているが、追加Z電極22Aおよび22Bの設置により改造されている。Z電極22Aおよび22BはDC電圧で各々維持されている。負荷電粒子の場合、Z電極22Aおよび22Bは2D SCODA電極12A、12B、12Cおよび12Dより電位がマイナスに保たれている。Z電極の設置は媒体11のZ軸で集束力およびXY面で脱集束力を与える。脱集束力はSCODAにより打ち消される。
例3‐3D SCODA
図3Dは、XY、XZおよびYZ面の電極を用いて交互にSCODAを行うことにより、媒体11の立方形ブロック中で粒子の3D濃縮を行う、本発明の態様による装置24を示している。例えば、電極25A、25B、25Cおよび25DがXY面の濃縮に用いられる。電極25A、25E、25Cおよび電極25Eと反対にある媒体11の側の他の電極(図3Dではみえない)が、YZ面の濃縮に用いられる。電極25B、25E、25Dおよび電極25Eと反対側の電極がXZ面の濃縮に用いられる。
例4‐SCODAによるサイズ選択
所望であれば、SCODAプロセスはDNAおよび類似粒子をサイズで選択するために行える。これは、拡散係数D(Dは媒体の選択により制御しうる)および駆動場の周波数を適切に調整することにより行える。高い駆動場周波数を用いると、大きな粒子をSCODAで濃縮させにくくする。例えば、ある実験で、12秒の期間を有する駆動場を掛けると、1kBラダーから長いλ DNAおよび短いDNAフラグメントを双方とも濃縮させることがわかった。駆動場の期間を約10msに短縮すると、長いλ DNAフラグメントではなく、短いDNAフラグメントのみの濃縮を行うことがわかった。本発明者らはいかなる特定の操作理論にも拘束されたくないが、このサイズ選択は、10ms期間が長いλ DNAフラグメントの場合で緩和時間より短く、短いDNAフラグメントの場合で緩和時間より長いためであろう。
同様の実験で、SCODAは短いDNAフラグメント(数百bpより小さい)を濃縮しないことがわかった。小さなサイズの選択除外は、小さなフラグメントが拡散係数Dについて高い値を有しているせいであろう。
SCODAはニックまたはそれ以外で分解されたプラスミドから超らせんプラスミドを分離させるための方法を提供する、と考えられる。
例5‐DNAの精製
SCODAは適切な媒体および/または駆動および移動度変動場の組合せを選択することで異なる種の粒子について選択的にさせられるため、SCODAはDNAのような物質を精製するために用いうる。SCODAは、スポットでまたはラインに沿いDNA(または場合により特定サイズ範囲を有するDNA)を濃縮させて、他の物質が該スポットでまたはラインで濃縮されないように適用しうる。
例えば、初期実験では、λ DNAをλ DNAおよび牛血清アルブミン(BSA)の混合物から濃縮させた。BSA対λ DNAの濃縮比10:1であった。上記のようにλ DNAをスポットの中に濃縮させた。BSAは該スポットの中で濃縮されなかった。
本発明の一部実験では、粒子が分離される物質の混合物へ変性剤、プロテアーゼ、ヌクレアーゼインヒビターおよび/またはRNAアーゼを加える。このような剤は次のうち1以上を促進するために加えられる:
・濃縮させることが望まれるDNAのフラグメントまたは他の分子への望ましくない分子の結合を減少させる;
・そのように望まれるならば、存在するRNAの量を減少させる;
・DNAへの損傷を防ぐ;および/または
・SCODAにより濃縮されない成分へ望ましくない分子を分解させる。
一部の場合には、媒体を高導電性にさせる塩のような物質を含む混合物から対象の粒子を分離するためにSCODAを用いることが望まれる。例えば、0.4M以内の程度で塩分を有する培地で細菌細胞培養物がよく培養される。大腸菌培養物のような細胞培養物から直接DNAを分離するために電気泳動SCODAを用いることが望まれる場合には、高導電性が培地に高い電流を生じさせる。これは次いで培地の加熱につながる。この問題は上記の加熱制御技術のうち1つまたは一部の組合せにより取り扱われる。
例6‐選択媒体によるSCODA
媒体中における粒子の移動度は、DNAが結合相互作用により相互作用する媒体を用意することにより、特定DNA配列の粒子中における存在に依存性とさせてもよい。例えば、濃縮させることが望まれる粒子でDNAに相補的なDNAオリゴヌクレオチドをゲルに含有させてもよい。相補的DNAオリゴヌクレオチドをゲルと共有結合させてもよい。
粒子が相補的DNAオリゴヌクレオチドと結合するために必要な特徴的時間がtonで、粒子がDNAオリゴヌクレオチドから解離するために必要な特徴的時間がtoffであるならば、媒体中における粒子の平均ドリフト速度は下記式で与えられる:
Figure 2007526823
上記においてμ(E)はレプテーション効果による場依存性粒子移動度である。典型的には、toffはアレニウス関係により定められ、一方tonは拡散効果により定められる。ヌクレオチド1000以上の長さを有する粒子を選択することにより、toffについて1秒以下の妥当値が電場の実際値(例えば、100〜200V/cm範囲の電場)のときに得られる。
図5は、共有結合オリゴヌクレオチドを含む篩分けマトリックスで、3分子に関する電場強度の関数として概算粒子速度を示している。一番目の分子は共有結合オリゴヌクレオチドと完全マッチであり、二番目の分子は共有結合オリゴヌクレオチドと単一ヌクレオチドミスマッチであり、三番目の分子は共有結合オリゴヌクレオチドと非相補的である。DC速度は実線で示されている。SCODA移動度μは点線で示されている。
他の粒子より有意に大きな共有結合オリゴヌクレオチドと結合するDNAを有する粒子についてSCODA移動度を示す電場に関する値があることがわかる。ライン7で示された電場のとき、共有結合オリゴヌクレオチドと完全に相補的な粒子に関するSCODA移動度は、非相補的および単一ヌクレオチドミスマッチ分子の場合より25倍大きい。
例7‐電気駆動場および熱移動度変動場
電解質中電送溶質イオンの抗力係数を熱で変えることにより、SCODAの実証を行った。AC電位を電解質溶液に掛けて、溶液の温度を同期的に上昇および降下させているときに、イオンの真輸送が予想される。AC電位の振動周波数が熱振動の周波数と異なれば、イオン電流の検出成分は、SCODAによる交互(AC)輸送を示す、2周波数の差に存在するはずである。
図6は電気‐熱スコダ泳動を調べるために用いられる装置30を示している。装置30はイオン溶液33を入れたチャンバー32を含んでなる。電極34Aおよび34Bが溶液33に浸されている。シグナル発生器35は電極34Aおよび34B間に第一周波数の電気シグナルを流す。ヒーター36は溶液33と熱接触している。溶液33の温度が第一周波数と異なる第二周波数で変えられるように、電源38でヒーター36が駆動される。ロックイン増幅器のような検出器40が電極39Aおよび39Bに接続されている。検出器40は第一および第二周波数の差に等しい周波数のシグナルを検出する。
実験プロトタイプ装置では、2.0M NaCl溶液300μLを入れるチャンバーを作るために、顕微鏡スライド、カバースリップおよびエポキシを用いた。2本の金ワイヤ電極がNaCl溶液に浸されるように1cm離して、それらを顕微鏡スライドに接着した。電極のうち一方はアースし、他方は1kΩ抵抗器を介してAC増幅器へ接続した。溶液の加熱を行うために、ニッケル‐クロム合金ワイヤ(NIC60-015-125-25,Omega,Stamford,CT)を顕微鏡カバースリップの片側に接着した。
操作に際して、10Hzの50%負荷サイクル、矩形波の形で、1.32Aの電流をヒーターに流した。ヒーターのオフサイクル中に顕微鏡スライドを冷却するため、小さなファンランニングを連続的に用いた。12Hz、3.0VRMS正弦波を抵抗器と電極に掛けた。これら2つのシグナルを混合し、(2Hzの)出力差周波数をロックイン増幅器(SR830DSP,Stanford Research Systems,Sunnyvale,CA)の参照入力中へ供給した。SCODAによる周期的電流を測定するために、1kΩ抵抗器にかかる電圧をロックイン増幅器で測定し、2Hz成分を分析用に選別した。2Hzで振動するイオン電流を検出した。
電極間の顕微鏡スライドに接着された熱電対(0.005‐36,Omega)により、サンプル溶液の駆動温度振動を直接測定した。ロックイン増幅器を用いて熱電対出力の2Hz成分も分析した。
電解質抵抗Rの温度依存性変化が1kΩ電流モニタリング抵抗器および溶液のDC抵抗(RDC)の双方と比較して小さい、と我々は仮定している。電極にかかる電圧は次の通りである:
Figure 2007526823
塩溶液の抵抗はR=RDC+Rcos(ωt+φ)であり、ここで誘導熱振動の周波数はω=2π/Tで、T=1/10sである。溶液に流れる総電流は次の通りである:
Figure 2007526823
が小さいと仮定すると、式(24)は振幅が以下で与えられる差周波数(ω−ω)で正弦項による表式を表わす:
Figure 2007526823
2Hzで4μAの大きさを有する電流を観察した。
例8‐電気駆動場および光学移動度変動場
一部の場合には、粒子を放射線に曝すことで動くことが望まれる粒子の移動度を変えられる。このような場合に、粒子の平均移動度が駆動場の2方向で異なるように、駆動場と同調して放射線の適用を制御することにより、スコダ泳動を実施しうる。例えば、以下を行える:・駆動場が粒子を一方向に押しやるときには放射線を適用し、駆動場が反対方向に粒子を押しやるときには放射線を適用しない;
・駆動場が粒子を一方向に押しやるときにはある波長または偏光の放射線を適用し、駆動場が反対方向に粒子を押しやるときには異なる波長または偏光の放射線を適用する;
・駆動場が粒子を一方向に押しやるときにはある強度の放射線を適用し、駆動場が反対方向に粒子を押しやるときには低強度の放射線を適用する;
・駆動場と非ゼロ相関を有する時変強度g(t)をもつ放射線を適用する;
・その他
一部の場合には、粒子自体の移動度を変えるために放射線を用いることは実際的でないかまたは望まれないが、放射線を適用することで制御されうる移動度を有した他の分子を粒子に結合させることは実際的である。他の分子は、例えば、放射線を適用することで変えられる形態を有しても、または放射線を適用することで制御しうるように媒体と結合させてもよい。
一部の態様では、スコダ泳動に付される粒子にアゾベンゼンが付けられる。アゾベンゼンはUV光(300〜400nm)への暴露でトランスからシス形へ異性化しうる。400nmより大きな波長を有する光へ曝されたとき、アゾベンゼンはそのトランス形に戻る。一部の態様では、スピロピラン類が粒子へ付けられる。UV光への‘閉’形のスピロピラン類の暴露は異性化を誘導して、‘開’着色メロシアニン種を生じる。スピロピラン類は可視放射線への暴露で‘閉’形に戻る。これら2形間の遷移は分子の極性の変化を伴う。
粒子の移動度を変えるために放射線が用いられる場合、粒子の濃縮を達成するために異なる放射線場が異なるエリアに適用されてもよい。例えば、図7で示された装置41を考えてみる。装置41では、媒体11が2つの電極42Aおよび42B間に置かれている。AC電源43は電極42Aおよび42B間にAC電気シグナル44(図7A)を流す。
投光器46Aおよび46Bは媒体11の部分45Aおよび45Bを各々照射する。シグナル44が第一方向に電場を形成するときのみ、コントロール47は投光器46Aにエリア45Aを照射させる。シグナル44が第一方向と反対の第二方向に電場を形成するときのみ、コントロール47は投光器46Bにエリア45Bを照射させる。その結果として、媒体11中の粒子がエリア45Aおよび45Bの境界部で両側からライン49に集中してくる。
多くの代替構造が、駆動場と同調してエリア45Aおよび45Bを照射するために用いられる。例えば:
・エリア45Aおよび45Bを交互に照射するために、適切な光学システムにより単一ランプから光が当てられる;
・制御可能な光伝導または反射を有する機械的または電気機械的フィルター、シャッター、マスクまたは他の器具の適切な配置により、1以上のランプからの光がエリア45Aおよび45Bで交互に遮断される;および
・その他
Y方向の集束は、媒体11に対して90度で光パターンおよび電場を回転させることにより行える。
電気/光学SCODAは、スポットの並びでまたはいくつかのラインに沿い粒子を集合させるために用いられる。これはパターン光場を媒体11のエリアへ掛けることにより行える。これは、例えばスポットまたはラインに沿い濃縮されたDNAのサンプルを用意するために用いられる。様々な生物学的用途でDNAのスポットまたはラインの並びを必要とする。
図8A〜8Dは、16スポットの並びに粒子を濃縮させるために用いうる、4つのマスク50A〜50Dで可能な配置を示している。マスク50Aおよび50Bは互いに相補的である。マスク50Cおよび50Dも互いに相補的である。マスク50Aが適用されると、駆動場は粒子を方向51Aに動かせる。駆動場が粒子を方向51Bに動かせるときには、マスク50Bが適用される。マスク50Aおよび50Bが上記のように適用されて、駆動場が方向51Aおよび51B間で交互変換されると、粒子は4本のライン52A、52B、52Cおよび52Dに沿い濃縮されることがわかる。同様に、方向51Cの駆動場でマスク50Cおよび方向51Dの駆動場でマスク50Dを交互に適用することにより、粒子は4本のライン53A、53B、53Cおよび53Dに沿い濃縮される。
最終的に、何回かのサイクル後、図8Eで示されているように、粒子はライン52A〜52Dおよびライン53A〜53Dの交点に存在するスポット54で濃縮される。粒子は、例えば、付着アゾベンゼン基を有する所望のDNAまたは他の分子である。マスク50A〜50Dが(それらの対応駆動場と一緒に)適用される順序は変えられる。簡単な態様では、最初にマスク50Aおよび50Bを用いてX方向の濃縮が行われ、次いでマスク50Cおよび50Dを用いてY方向の濃縮が行われる。
例9‐局所的粘度変化による光学移動度変動
SCODAにより濃縮される粒子が、温度で変わる粘度を有する媒体中に入れられる。
粒子の移動度は媒体の粘度に依存する。粒子は吸収バンドを有している。吸収バンドに波長を有する放射エネルギーを吸収すると、粒子は放射されたエネルギーを熱として放出する。
いずれか適切なタイプの交互駆動場が粒子に掛けられる。吸収バンドの波長および強度g(t)を有する放射線で粒子が照射される。駆動場により粒子へ加えられる力f(t)とg(t)が非ゼロ相関を有するように、g(t)が選択される。g(t)が大きな値を有する場合、各粒子が熱エネルギーを放出する割合は、g(t)が小さな値を有する場合より大きい。吸収放射線に応答して粒子により放出された熱エネルギーは周囲媒体を加熱して、その粘度、ひいては粒子移動度を局所的に変える。
例10‐駆動場としての流体流
SCODA駆動場は、粒子が存在する媒体に交互に方向転換する速度をもたせることで形成される。例えば、媒体はパイプ内で前後に流されるパイプまたはキャピラリー管内の流体である。粒子の移動度は、粒子を外部適用場と相互作用させるか、または粒子が存在するパイプの壁とそれらを相互作用させることにより変えられる。
例えば、サイズがパイプ直径に匹敵する分子(例えば、ミクロンサイズキャピラリー中の大きなDNA)が懸濁された、パイプ内における液体の前後流を考えてみる。今度は、流れが一方向であるとき、分子がキャピラリー壁とより頻繁に相互作用して、遅れるように、(例えば、シリコーン物質の壁のような柔軟壁を有するキャピラリーを用意して、キャピラリーを外圧に付すことにより)キャピラリー直径を変えてみる。
例11‐移動度を変える周期的希釈/濃縮の使用
特に粒子が表面でまたはその近くで動き回る場合に、粒子の移動度を変えるために周期的希釈/濃縮が用いられる。粒子が動き回る媒体の濃度または粘度が、粒度の動きを駆動する電場または他の場と相関させるために、経時的に調節される。
図9は、粒子が流体層62に沿い移動する装置60を示している。粒子は電極64Aおよび64B間に掛けられた交互電場により駆動される。スプレー器66は、電場が第一方向であるときに溶媒を適用することで、流体層62を希釈する。流体層62から溶媒を蒸発させ、こうして電場が第二方向であるときに流体層62の濃度を増加させるために、真空バルブ68が開かれる。バルブ68およびスプレー器66は、適切な制御システム(示さず)により操作される。
例12‐病原体検出
環境サンプリングでは、ある病原体が比較的大きな容量(例えば1Lまたは10L)の流体(または流体に溶解される固体物質)内に存在しているかどうかを調べることが時々必要である。このような容量は、ほとんどの場合で、PCRが費用効果的に行われるには多すぎる。フィルターもDNAを濃縮するために用いてよいが、このようなフィルターは詰まりやすい。SCODAは、存在するならば、サンプル中でこのような病原体を濃縮するために用いられる。サンプルは最初に粗く精製され、次いでサンプル中の対象粒子がスコダ泳動により濃縮されうる媒体中へ導入される。例えば、サンプルを緩衝液およびゲル物質と混合して大容量ゲルを形成させることにより、粒子がゲル中へ導入される。病原体の溶解を助けて、それらのDNAを溶液中へ放出させるために、緩衝液は界面活性剤または他の剤を含有してもよい。
次いで、中心箇所で全部またはほとんどのDNAを容量的に濃縮するために、2Dまたは3D SCODAが行われる。中心箇所のDNAは標準手段で取り扱えるゲルの容量中に含有されている。次いで、濃縮されたDNAは特定の病原体を検出するためにPCR増幅される。DNAは場合により、PCR増幅を行う前に、例えば、市販キット(例えばQiagenTM)を用いるか、または下記のI‐ZIFE抽出法を用いて、ゲルから抽出される。代わりに、濃縮DNAを含有したゲル片をPCRに付してもよい。PCR反応に際して溶融しやすいゲルであっても、一部の用途ではPCR増幅に大きな悪影響を与えない。
例13‐粒子移動度の磁気制御
図10Aはポリマーマトリックスを含んでなる媒体60を示している。媒体は磁気ビーズ64へ結合されたポリマー62を含有している。磁気ビーズは現在入手しうるタイプのものであり、DNA抽出に用いられる。適切な磁石66により形成される磁場は、図10Bで示されているように、磁気ビーズ64および結合ポリマー62を媒体の片側へ押しやるために適用される。結果として、媒体の領域68が低粘稠性になる。領域68の媒体が磁場オンの場合より粘稠である図10Aで示された状態を回復するために、磁場を切ることにより、磁気粒子が放出される。
媒体の粘度が媒体中で時間および位置双方の関数となるように、磁場は二次元でパターン化されて、経時的に変えられる。
図10Cおよび10Dで示された代替態様では、輸送される粒子自体が磁性である。駆動場は、例えば電場である。抗力誘導表面67の方へ粒子を駆動させるように、磁場が周期的に入れられる。表面67から粒子を放出させるには、磁場が切られる。
他の態様では、本来的に適用磁場で変わる粘度を媒体が有するように、媒体は磁気レオロジー流体を含んでなる。
例14‐駆動場としての加速度
密度勾配下の重力誘導流が駆動場として用いられる。例えば、重いまたは軽い粒子が懸濁された溶液のような媒体で満たされた管を考えてみる。粒子が管の一端の方へ移動しやすいように、管が遠心機の中に置かれる。管の向きは周期的に逆転される。粒子が管に沿い一方向で正味の運動をさせられるように、適切な移動度変動場が向きの逆転と同調してかけられる。
例15‐脱塩用のSCODA
塩水溶液で満たされた絶縁キャピラリーを考えてみる。流体がキャピラリーに流されると、放物線状速度特性がキャピラリーで作られる。流体はキャピラリー壁近くよりもキャピラリーの中央で速く流れる。電場がキャピラリーに掛けられると、適用電場を消去するために必要とされるように、イオンはキャピラリー壁のデバイ長さ(電荷スクリーニング長さ)内で優先的に集まる。これはキャピラリー中でイオンの放射状分布を変え、ひいてはイオンの平均速度を変える。流体流が周期的に逆転され、電場が一方向の流れのみに掛けられると、キャピラリーに沿う蓄積イオン密度勾配から拡散によりSCODA誘導ドリフトが打ち消されるまで、キャピラリーに沿い一方向でイオンの真輸送がある。
イオン輸送の方向と反対方向に微弱なDCバイアスをAC流体流に加えることにより、キャピラリーから出てくる流体は減少したイオン分を有する。
SCODA方法および装置で可能な一部のバリエーション
駆動場および移動度変動場が互いに同期化されていない先の例6で記載されているように、結果として、駆動および移動度変動場の相対位相が変わるため、2箇所間で前後に粒子の流れがある。制御可能な周波数で2箇所間で前後に粒子を運動させるこの能力は、様々な場面で有用となる。
前開示から当業者に明らかなように、多くの変更および修正が本発明の実施に際してその精神または範囲から逸脱することなく可能である。例えば:
・駆動および移動度変動場のうち一方を発生させることは不必要である。ある他の目的のために既に存在する場またはノイズすらも含む適切な存在場が、f(t)またはg(t)のうち一方に用いられる。この存在場は検出でき、真ドリフトを生じる駆動場と同調して粒子の移動度が変わるように、検出された場と同調して第二の場が適用されてもよい。
・一定電圧で物理的に回転する電極も、2D SCODAに用いられる回転場をシミュレートするために用いられる。
・小さなDCバイアスも、集束スポットの位置をシフトさせるために用いうる。
・本発明の一部態様では、粒子がSCODAにより濃縮されると予想される箇所で、媒体中にウェルを用意する。ウェルは適切な緩衝液で満たされる。SCODA誘導濃度勾配の結果として、粒子はウェル中に拡散しうる。粒子はピペットまたは他の移送器具でウェルから抽出される。
粒子抽出法および装置
粒子を運動および/または濃縮させるための様々な方法が上記されている。多くの場合に、粒子が濃縮された後で、それらが濃縮された媒体から粒子を取り出すことが望まれる。例えば、DNAがゲル中で濃縮される場合、後の処理のためにゲルからDNAを抽出することが多くの場合に望まれる。
以下の記載では、媒体から粒子を抽出するために用いられる方法および装置を説明している。これらの方法および装置は“界面ゼロ積分フィールド電気泳動”(“IZIFE”)方法および装置と称される。IZIFEは、SCODA法により位置へ動かされたおよび/または濃縮された粒子を抽出するために用いられる。媒体から粒子を抽出するに際しても、IZIFEはより一般的な用途を有している。
IZIFEは、異なる媒体(例えば、ゲル媒体および緩衝液媒体)中における粒子の移動性の差異を利用している。一部の荷電粒子(例えばDNAの分子)は、適用電場の大きさに依存する、ゲル溶液(例えばアガロースゲル)中の電気泳動移動度を示す。このような粒子は、非対称的に時間で変わる電場を掛けることにより、このような媒体中で一方向にドリフトさせられる。しかしながら、それらの粒子が緩衝液または自由溶液中に存在する場合、それらは一定の電気泳動移動度を有するか、または少なくとも電場強度にかなり低い依存性を有する。したがって、適用される場で変わらない移動度を粒子が有する媒体中へそれらが運ばれると、それらはドリフトを止める。
荷電粒子を含有したゲルへのZIFE(ゼロ積分フィールド電気泳動)の適用は、大きな移動度を生じる方向へ粒子をドリフトさせる。緩衝液または自由溶液を含有した領域へ粒子が入ると、それらはドリフトを止める。ゼロ時間平均電場の継続適用は、緩衝液中で粒子に真ドリフトを引き起こさない。したがって、粒子は緩衝液およびゲル間の界面近くの緩衝液中で濃縮されるようになりやすい。
ここで詳述された抽出法によれば、粒子を媒体から抽出させられる。本発明は、例えば電気泳動媒体からDNA、RNAおよびポリペプチドのような荷電バイオポリマーを抽出するために適用される。本発明の一部態様では、電気泳動ゲルのような媒体から隣接流体中へ粒子を動かせるためにZIFEを用いる。ZIFEは、適用電場の極性が周期的に逆転して時間平均電場がゼロである、交流(AC)電気泳動の形である。電場の強度は他よりも一極性で大きい。
図11はZIFEで用いられる例示電場パルスのグラフ図である。図11で示されているように、該パルスは、時間tで正、即ち“前”方向へかけられる電場E、次いで時間tで負、即ち“逆”方向へかけられる電場Eを含んでなる。E=−E/rε(rεは場比率である)およびt=tεであれば、時間平均電場はゼロである。時間平均電場が図1で陰影部によりグラフ表示されている。“正”陰影部(Eに相当する)は“負”陰影部(Eに相当する)を消去する。全般的に、ゼロ真電場がある。時間平均電場が正確にゼロであれば、ZIFEプロセスに偏りはない。時間平均電場がゼロからはずれると、ZIFEプロセスには偏りがある。
振幅の局所電場Eで運動して電気泳動移動度μを有する粒子の速度νは以下で与えられる:
ν=μE (27)
直線系の場合、μは一定である。一定の電気泳動移動度を有する粒子は、ZIFEが媒体に適用された場合に、媒体中で真移動を行わない(即ち、それらの真速度はゼロである)。対照的に、非直線系では、粒子は電場振幅に依存性の電気泳動移動度を有する。このような非直線系では、大きな移動度を生じる方向に粒子の真移動がある。このような非直線系において、粒子速度は以下で与えられる:
ν=μ(E)E (28)
媒体中の荷電粒子が下記式の場依存性電気泳動移動度を有すると仮定してみる:
μ(E)=μ+kE (29)
これら粒子の移動度は電場Eの振幅に応じて増加することがわかる。一定電場Eの影響下で粒子により移動される距離dはd=νtで与えられる。図11で示された形の電場パルスが適用されると、粒子はtで移動する距離よりも大きな距離をtで移動する(パルスは大きな場振幅を有する)。これは、粒子により移動される距離に式(27)および(29)を当てはめることで示せる。したがって、“前”方向、即ち振幅の局所電場Eが適用された方向で粒子の真ドリフトがある。
この真ドリフト挙動はアガロースゲル中のDNA分子により証明された。このようなゲル中で、DNA分子は式(28)により与えられた形の電気泳動移動度を有する。移動度の場依存性はDNA分子とゲルとの相互作用から生じている。したがって、DNAからなる粒子を望ましい方向に向かわせるために、ZIFEがアガロースゲル中のDNAに適用される。
対照的に、緩衝液または自由溶液中DNA分子へのZIFEの適用はDNAの真移動を生じない。これは、緩衝液中DNA分子の移動度が場依存性ではないからである。2種媒体(例えば、緩衝液およびゲル)中におけるDNAの移動性の差異は、粒子が蓄積しうる他の媒体中へある媒体内から粒子を動かせるために利用しうる。これは、2種媒体間の界面にZIFE場を適用することで行える。
例えば、DNA分子および緩衝液が存在しているゲル間の界面にZIFE場を適用することを考えてみる。ゲル中DNAの分子へZIFEを適用すると、ゲル中でゲル‐緩衝液界面の方へ分子を移動させることになる。それらの分子が緩衝液へ入ると、分子は移動を止める。ZIFE場は、緩衝液からゲルの方へ分子を動かせやすい方向に、小さなバイアスを有してもよい。このバイアスは、分子が緩衝液へ入った後で、界面からかなり遠くに分子を拡散させないような傾向をもつ。バイアスは、ZIFE場を形成するために用いられた電極と分子を遭遇させないようにする。ゲル中の粒子が界面の方へ動き続けられる(即ち、ZIFE速度がバイアスに基づく真ドリフトで打ち負かされない)ほど、バイアスは小さい。
本発明の一態様による装置が図12Aおよび12Bで示されている。図12Aは抽出前におけるゲル中DNAの分子を示し、図12Bはゲルから抽出後に緩衝液中で濃縮されたDNAの分子を示している。抽出装置200は、アガロースゲルのようなゲル122を含有したゲルボート120(角箱として成形されている)を含んでなる。ゲル122はゲルボート120の実質的容積を満たしている。好ましくは、ゲル122はリザーバー124中の緩衝液により電極130Bの各々から離されている。緩衝液が電極130B間で短回路を形成しないように、リザーバー124は互いに離されている。
図12Aで示されているように、抽出前に、DNAの分子128Aはゲル122中のカラムで濃縮される。分子128Aは、自然な状態で置かれているとき、典型的にはこのような形では濃縮されない。濃縮される前に、分子128Aは典型的にはゲル122全体に分布されている。前記のように、SCODAの使用により図12Aで示されているようなカラム中へ分子128Aが濃縮される。代わりに、分子128Aは他の方法で濃縮してもよい。例えば、抽出される分子は従来のDC電気泳動またはPFGEにより分離されたDNAのバンドの分子である。
ゲル122の領域における分子128Aの濃縮は、抽出前に要求されない。しかしながら、分子のより効率的な抽出を促すためには濃縮が好ましい。
抽出される分子128Aを包囲するように、少量の緩衝液を含有したキャピラリー125がゲル122中に挿入される。キャピラリー125は、挿入の位置を慎重に制御できて、ゲルの最少乱れでキャピラリーを挿入するロボット器具により挿入される。ロボット器具は、媒体中の所望の位置にキャピラリー125を置いて、キャピラリーを媒体中で縦方向に伸ばす多軸ポジショナー、例えばX‐Yポジショナーを含んでなる。キャピラリー125がゲル122中に挿入された後で、キャピラリー125の上部分は緩衝液を含有するが、キャピラリー125の底部分はゲル122を含有する。キャピラリー125中の緩衝液はゲル122の近くで抽出リザーバー126を形成する。抽出リザーバー126は緩衝液‐ゲル境界121でゲル122と出会う。キャピラリー125中における緩衝液およびゲルの配置は緩衝液‐ゲル界面131を形成する。分子128Aが抽出リザーバー126中へ移動した後で、それらを吸引するためにピペット129がキャピラリー125上に用意される。
電気泳動に要求される電場を形成するために、電極130Aがピペット129の先端近くに置かれる。抽出分子が電極130Aと出会わずに、ZIFE場が適用されている界面から十分離して、電極130Aが好ましくは置かれる。複数の電極130Bが緩衝液リザーバー124に置かれる。電極は例えば白金製である。図12Aおよび12Bで示されたものより多くの電極が用意されてもよい。
ピペットがキャピラリー125へ挿入されたときに、電極130Aおよび130B間で導電性をもたらすように、ピペット129の先端が少量の緩衝液で満たされる。一態様では、電極130Bが固定共通電位に揃えられ(例えば、電極130Bがアースされ)、電極130Aが異なる電位に設定される。電極130Aの電位を変えることにより、様々な電場が緩衝液‐ゲル界面131に適用される。
界面‐ZIFEを行うために、ゼロ時間平均パルス電場が緩衝液‐ゲル界面131に掛けられる。パルス電場は、例えば図1で示された形のものである。分子128Aを望ましい方向(即ち、抽出リザーバー126の方)へ移動させるために、振幅Eを有する電場が抽出リザーバー126の方向へかけられ、振幅Eを有する電場が反対方向へかけられる。抽出される粒子がEの影響下にあるよりもEの影響下で大きな移動度を有するように、EおよびEが選択される。典型的分子および媒体の場合E>E。粒子がEの影響下で界面131の方へ駆動されるように、極性が選択される。
緩衝液‐ゲル界面131への界面‐ZIFEの適用は、ゲル122中の分子128Aを抽出リザーバー126の方へドリフトさせる。ある時間後、分子128Aの一部は緩衝液‐ゲル界面121を通って、抽出リザーバー126内の緩衝液中へ入る。これらの分子が抽出リザーバー126に達すると、界面‐ZIFEは分子に真ドリフト効果を有さず、そのため分子はドリフトを止める。最終的には、すべて(ほとんど)の分子128Aが緩衝液‐ゲル界面121を通って、抽出リザーバー126中へ移動する。分子128Aは界面近くの緩衝液中で濃縮されるようになる。
図12Bは、ゲル122から抽出リザーバー126中へ移動した分子128B(図2aで分子128Aに相当する)を示している。このように、界面‐ZIFEが抽出リザーバー126で分子128Bを集合および濃縮させるために用いうる。次いで、ピペット129または他の器具が抽出リザーバー126から分子128Bを吸引し、こうして抽出プロセスを終了する。
図13は、液体ゲルと混合されたDNAがキャピラリー管内で固化された、抽出実験におけるガラスキャピラリーを示している。緩衝液をキャピラリーの上部へ加えた。DNAを抽出するために上記の技術を用いた。緩衝液‐ゲル界面へ適用された界面‐ZIFEの効果を示すために、キャピラリーの像を様々な時間(0分、60分、120分)で捉えた。緩衝液はTAE(Tris‐酢酸‐EDTA)緩衝液であり、ゲルはDNAを含有したアガロースゲルである。この実験を行うために、λ DNA5μLおよびEtBr2.5μgと混合された液体1%アガロースゲル100μLを2.5mm内径ガラスキャピラリーの下部へピペットで入れ、固化させた。キャピラリーの上部を0.1X TAE緩衝液約50μLで満たし、第一白金電極を緩衝液中へ挿入した。次いで第二白金電極を入れた0.1X TAE緩衝液の浅いリザーバーにキャピラリーの底部を浸した。
界面‐ZIFEはこれらの条件で行った:周期的に、電圧V=200Vを時間t=8sで第一電極へかけ、次いで電圧V=−100Vを時間t=16sで第二電極へかけた。電場を2時間かけた。電極は5cm離した。実験の過程で、キャピラリーの上半分は緩衝液で満たされたままであり、DNAは比較的少量(約20μL)で残存していた。
キャピラリーの像で示されるように、ゲルからDNAの漸進移動と、ゲル上で少量の緩衝液中におけるDNAの濃縮がある。
抽出リザーバー126が十分小さければ、抽出リザーバー126のある領域で濃縮された分子128Bは、長距離に及ぶゆっくりした拡散のみでそれらの濃縮領域から離れていく。分子128Bをそれらの濃縮領域に維持するため、分子128Bおよび抽出緩衝液126の対流混合は最少に抑えるべきである。対流混合を最少に抑えるため、キャピラリー125は好ましくは小さな直径を有しているべきである。更に、抽出緩衝液126およびゲル122は好ましくは同温度に保たれる。
一態様において、ピペット129は内臓電極130A装備の機械式ピペッターである。
機械式ピペッターは使い捨てピペットチップ中へ緩衝液を吸引し、次いでキャピラリー125内のゲルを覆って電極130Aおよび130B間で導電性があるように緩衝液を部分的に入れる。コンピューターモニタリングは、抽出に際して電極130Aおよび130B間の電流をモニターし、電極間で開回路を形成しうるバブルまたは蒸発のような問題を検出するために用いられる。抽出が完了した後、ピペットチップの残留緩衝液は処分され、ピペットチップは粒子の別なサンプルを抽出するためにキャピラリー25へ戻される。濃縮粒子と周囲緩衝液との混合が最少となるように、機械式ピペッティングは不必要なピペットチップ運動を減らせる。これは抽出容量を最少に抑え、ひいては抽出される粒子の最終濃度を増す。
他の態様において、緩衝液で満たされたキャピラリーをゲル中へ挿入する代わりに、ゲルはキャビティ付きキャストでもよい。キャビティは緩衝液で満たされ、電極を有するピペットが緩衝液中に挿入される。キャビティは、抽出のために粒子を集める上で、キャピラリーと同様に機能する。SCODAにより媒体およびキャビティ間で濃度勾配を形成することにより、周囲媒体からこのようなキャビティに分子を入れられる。
ゲルからDNA混合物の界面‐ZIFE抽出は、サイズに応じてDNAフラグメントを選択的に抽出するために適用される。電場パルスのサイクル時間tおよびtが十分短いように選択されると、DNA分子の緩和または再配向時間は重要になり、分子の移動速度に長さ依存性を導入する。図14は、フラグメント長さとサイクル時間tおよびtの関数として、実験に際するDNAフラグメント速度を表わしたグラフである。その実験では、1%アガロースゲル(0.1X TAE)中で標準DC電気泳動を用いて、異なる長さのDNAフラグメントを直線的に分離させた。次いで、フラグメントの非直線速度を観察するためにZIFEを(DC電気泳動が行われたものと垂直な方向に)適用した。
図15は、界面‐ZIFE抽出後における、DNAフラグメントミックスと同ミックスのフラグメント分布との比較を示している。該ミックスはλ DNA(48kb、500ng/μL)2μLおよび1kb DNAラダー(0.5〜10kb、500ng/μL)4μLを含有しており、上記の界面‐ZIFE抽出法を適用して1%アガロースゲル100μL中でランさせた。t=25msの時間でピペット中の電極にかかる電圧V=200Vと交互してt=50msの時間でゲル中の電極にかかる電圧V=−100Vにより発生する、パルス電場をかけた。パルス電場は3時間かけた。このプロセスでは、標準DC電気泳動で、ローディング色素と混合されて、原ミックスからのコントロールと一緒に、1%アガロースゲルのウェル中へ入れられた、0.1X TAE緩衝液中へDNAを抽出した。λ DNAバンドおよび短い(1kb未満)フラグメントはゲルから抽出されなかった。界面‐ZIFEのサイズ選択は、長いフラグメント(100〜200kb)へも同様に適用される。
抽出速度、抽出効率およびDNAフラグメント長さ選択性を最適にするために変えうるパラメーターとして、パルス電場の大きさ;パルス電場の周波数(サイクル時間);抽出リザーバー126中緩衝液の組成;ゲル122の組成;操作温度;および分子128Aの濃縮度がある。
ここで開示された方法および装置は、粒子が媒体の特定領域で濃縮された(例えば、DNA分子がゲルのカラムまたはピラーで濃縮された)媒体から荷電粒子を抽出するために適用される。しかしながら、該方法および装置はこのような用途に限定されない。それらは、媒体中で均一に分散された、特定領域またはバンドで位置または濃縮された、あるいは媒体中にそれ以外で分布した荷電粒子を抽出するために用いてもよい。ここで開示された方法および装置を用いると、荷電粒子、特にバイオポリマー(例えば、DNA、RNAおよびポリペプチド)が、アクリルアミド、直線状ポリアクリルアミド、POP(Perkin Elmer)、アガロースゲル、ポリマーのからみ合い液体溶液、粘稠または濃密溶液、動きが向けられている分子と特異的に結合するようなポリマーの溶液、単純な水溶液などから抽出される。(ある領域でDNAを濃縮するために)SCODAベース電気泳動と併用された界面‐ZIFEは、細菌性人工染色体、プラスミドおよび高分子量またはゲノムDNAを抽出するためにも用いうる。
IZIFEは媒体から選択粒子のみを抽出するために用いうる。適用駆動場の大きさと直線的のみで依存する速度を有した粒子は、IZIFE駆動場へ曝されたときに、単に前後に振動する。したがって、このような粒子は媒体中に留まるが、適用場と非直線的依存性を有する速度を有した他の粒子は媒体から抽出される。一部の場合には、異なる粒子種が異なる速度で第二媒体の方へドリフトするように、IZIFE駆動場が形成される。したがって、異なる種の濃度が媒体間の界面で経時的に変わっていく。IZIFE下で高い真ドリフト速度を有した種が、低い真ドリフト速度を有した種の前に第一媒体から抽出される。
遅い種が第一媒体から抽出される前にIZIFEを終えることにより、速い真ドリフト速度を有した種の相対濃度が増加させられる。遅いドリフト種が界面に到達する前に界面に蓄積した速い種を除去することにより、IZIFE下で遅い真ドリフト速度を有した種の界面で相対濃度を増加させられる。
一部の可能な異なる粒子抽出方法および装置
前開示から当業者に明らかなように、多くの変更および修正が本発明の実施に際してその精神または範囲から逸脱することなく可能であり、以下に限定されない:
・非荷電または電気的中性分子の抽出も、それらの分子が荷電分子により運ばれるならば、ここで開示された方法および装置を用いて行える。例えば、荷電ミセルと相互作用する中性タンパク質が、ミセルとの相互作用により電気泳動で抽出される。
・ZIFEの実施に用いられる波形は一方向またはその他に偏ってもよい。偏向ZIFEはサイズに応じて粒子の選択的分離を促せる。
第一媒体から第二媒体中へ粒子を抽出するためにIZIFEを用いる代わりに、第一媒体から第二媒体中へ粒子を抽出するためにSCODAを用いうる。一部のこのような態様では、交互に方向転換するSCODA駆動場が第一および第二媒体間の界面に向けられる。SCODA駆動場は、例えば界面と実質上垂直に向けられる。移動度変動場が第一媒体中の粒子の移動度に影響を与えて、第一媒体中の粒子を第二媒体の方向へ移動させるように、SCODA移動度変動場が選択される。第一媒体中の粒子の移動度に影響を与えるよりも実質的に低い程度で第二媒体中の粒子の移動度に影響を与えるように、移動度変動場が選択される。最良の場合には、移動度変動場は第二媒体中の粒子の移動度に影響を与えない。この例において、SCODA効果は第一媒体から第二媒体中へ粒子を輸送させ、そこで粒子が第一および第二媒体間の界面で濃縮されるようになる。代わりの態様では、粒子がSCODAにより第二媒体中へドリフトして、第二媒体中で濃縮されるように、第一媒体内に存在する粒子のみに移動度変動場が適用される。
部品(例えば、電源、電極、アセンブリー、器具、回路など)が上記で言及されている場合、それ以外で示されていない限り、その部品への言及(“手段”への言及を含める)は、本発明の例示態様で機能を発揮する開示構造と構造的に同等でない部品を含めて、記載された部品の機能を発揮する(即ち、機能的に同等である)部品をその部品の同等物として含める、と解釈されるべきである。
したがって、本発明の範囲は下記請求項により規定される内容に従い解釈されるべきである。
本発明の非制限態様を説明している図面において、
図1A〜1Iは、駆動および移動度変動場について可能な波形の例である。 粒子路の数値シミュレーションを示したプロットである。 図3、3A、3B、3Cおよび3Dは、本発明の態様を実施するために用いられる装置の概略図である。 適用電場の関数として測定DNA速度のプロット例である。 原点からの半径方向距離の関数として、図3の場合と似た装置で時間平均粒子速度を示したプロットである。 時間の関数として原点からの測定DNAスポット距離を示したプロットである。 共有結合オリゴヌクレオチドを含んでなる篩分けマトリックスで、3分子に関する電場強度の関数として概算粒子速度を示している。 電気駆動場および熱移動度変動場を用いてスコダ泳動(scodaphoresis)を調べるために用いられる装置の概略図である。 電気駆動場および光学移動度変動場を用いてスコダ泳動を調べるために用いられる装置の概略図である。 図7の装置からの波形を示している。 図8A、8B、8Cおよび8Dは、スポットの並びで粒子の濃縮を引き起こすために用いられる、光学マスクパターンを示している。 図8A〜8Dのマスクを用いて粒子が濃縮される、スポットの並びを示している。 媒体の粘度に周期的変動を生じさせる装置の概略図である。 図10A、10B、10Cおよび10Dは、粒子の移動度を変えるために磁場を用いる装置を概略で示している。 ZIFEで用いられる例示電場パルスのグラフ図である。 本発明の具体的態様による抽出装置の断面立面図であって、抽出前における溶液中DNAの分子を示している。 図12Aの装置の断面立面図であって、溶液から抽出されて少量の緩衝液中で濃縮されているDNAの分子を示している。 図12Aで示されたものと類似した抽出装置の平面図である。 本発明の具体的態様による装置および方法を用いた抽出実験におけるガラスキャピラリーを示している。 フラグメント長さおよびサイクル時間の関数として、実験に際するDNAフラグメント速度を示した図である。 抽出後における、DNAフラグメントミックスと同ミックスのフラグメント分布との比較を示している。

Claims (156)

  1. 媒体中で粒子の運動を引き起こす方法であって、
    時変駆動場を粒子に掛けて、交互に方向転換する時変駆動力を粒子に加えること、および
    駆動場とタイプが異なるか若しくは駆動場と配向していない、または駆動場とタイプが異なり且つ駆動場と配向していない、移動度変動場を粒子に掛けること
    を含んでなり、
    駆動場および移動度変動場が、ある期間中同時に適用され、移動度変動場が、該期間中駆動場と非ゼロ相関を有するように、媒体中粒子の移動度を該期間中、時間依存性にさせる方法。
  2. 駆動場が周期的変動駆動力を粒子に加える、請求項1に記載の方法。
  3. 駆動力が、駆動場の整数回のサイクルで平均してゼロに等しい、請求項2に記載の方法。
  4. 移動度変動場が粒子の移動度を周期的に変動させる、請求項2または3に記載の方法。
  5. 粒子の駆動力および変動移動度が実質的に一定の位相関係を有している、請求項4に記載の方法。
  6. 移動度変動場の不在下で駆動場を粒子に掛けると、粒子の正味の運動を引き起こさない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 駆動場の不在下で移動度変動場を粒子に掛けると、粒子の正味の運動を引き起こさない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 粒子が駆動場および移動度変動場の一緒の適用から生じる速度νを有し、νが駆動場および移動度変動場の独立した適用から生じる粒子速度の合計とは異なる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 相関が、下記に従いコンピューター計算されたときに、非ゼロである:
    Figure 2007526823
    (上記においてf(t)は時間による駆動力の変動であり、g(t)は時間による粒子の移動度の変動であり、λのある値の場合、λは定時シフトであり、Tは期間である)、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 駆動力が同調して正弦曲線的に変わる、請求項2または3に記載の方法。
  11. 駆動場および移動度変動場が、双方とも同タイプのものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 駆動場および移動度変動場が、異なるタイプのものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 駆動場が時変電場を含んでなる、請求項11または12に記載の方法。
  14. 粒子が荷電分子を含んでなる、請求項13に記載の方法。
  15. 粒子の各々が、荷電粒子に結合された電気的中性粒子を含んでなる、請求項13に記載の方法。
  16. 粒子が媒体のものとは異なる誘電率を有し、電場が時変勾配を有する、請求項13に記載の方法。
  17. 駆動場が時変磁場を含んでなる、請求項11または12に記載の方法。
  18. 粒子が強磁性物質を含んでなる、請求項17に記載の方法。
  19. 粒子が、分子に結合された強磁性ビーズを含んでなる、請求項18に記載の方法。
  20. 粒子が媒体のものとは異なる磁気感受性を有し、磁場が時変勾配を有している、請求項18に記載の方法。
  21. 駆動場が媒体中で時変流を含んでなる、請求項11に記載の方法。
  22. 駆動場が、媒体中においてある種の時変密度勾配を含んでなる、請求項11に記載の方法。
  23. 駆動場が時変重力または加速場を含んでなる、請求項11または12に記載の方法。
  24. 媒体を加速し、加速の方向に対して媒体の向きを周期的に変える、請求項23に記載の方法。
  25. 駆動場が音響場を含んでなる、請求項11または12に記載の方法。
  26. 粒子が生きた生物を含んでなる、請求項12に記載の方法。
  27. 駆動場が、第一方向に並べられた交互電場を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  28. 粒子の速度が適用電場の非直線関数であり、移動度変動場が第一方向と交わる交互成分を有した電場を含んでなる、請求項27に記載の方法。
  29. 駆動場により加えられる力が第一周波数で変わり、移動度変動場が第二周波数と同調して変わり、および第一周波数が第二周波数の2倍である、請求項27または28に記載の方法。
  30. 移動度変動場の適用が、粒子の形態に変化をもたらす、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 移動度変動場の適用が、媒体の速度に変化をもたらす、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  32. 移動度変動場の適用が、媒体の温度を変化させることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  33. 移動度変動場の適用が、粒子を電磁線へ曝して、該線の強度、偏光または波長のうち1以上が駆動場と同調して変わることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  34. 移動度変動場の適用が、粒子が通る媒体の少なくとも一部に電場を掛けることを含んでなる、請求項11〜26のいずれか一項に記載の方法。
  35. 移動度変動場の適用が、粒子が通る媒体に磁場を掛けることを含んでなる、請求項11〜26のいずれか一項に記載の方法。
  36. 粒子が磁気双極子を含んでなり、磁場の適用が駆動力の方向に対し同調して磁気双極子の向きを変えさせる、請求項35に記載の方法。
  37. 媒体が磁気レオロジー流体を含んでなり、磁場の適用が磁気レオロジー流体の粘度に変化をもたらす、請求項35に記載の方法。
  38. 媒体中で表面に沿い粒子を移動させ、移動度変動場の適用が粒子と表面との相互作用を変えることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  39. 移動度変動場の適用が、媒体に音響シグナルを加えることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  40. 移動度変動場の適用が、媒体中における種の濃度に周期的変化をもたらすことを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  41. 移動度変動場の適用が、電気浸透効果をもたらすことを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  42. 移動度変動場の適用が、媒体中で周期的化学変化を引き起こすことを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  43. 移動度変動場の適用が、媒体中における他の粒子と周期的に粒子を結合および解離させることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  44. 移動度変動場の適用が、粒子を媒体の成分と周期的に結合および解離させることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  45. 移動度変動場の適用が、媒体によりうける静水圧を変えることを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  46. 粒子の寸法程度の物理的寸法を有する媒体のエリア粒子をして通過せしめ、移動度変動場の適用が媒体のエリアの物理的寸法を変えて、媒体のエリアで粒子うける有効抗力に変化をもたらすことを含んでなる、請求項12〜26のいずれか一項に記載の方法。
  47. 移動度変動場の適用が、媒体の少なくとも一部に放射線を向けて、放射線を媒体中で吸収させることを含んでなる、請求項32に記載の方法。
  48. 移動度変動場の適用が、媒体と熱接触している1以上のヒーターまたはクーラーを作動させることを含んでなる、請求項32に記載の方法。
  49. 移動度変動場の適用が、媒体でまたは媒体と熱接触している箇所で、吸熱または発熱化学反応を生じさせることを含んでなる、請求項32に記載の方法。
  50. 粒子が電磁吸収バンドを有し、移動度変動場の適用が、電磁吸収バンドに波長を有する放射線を粒子に向けることを含んでなる、請求項32に記載の方法。
  51. 粒子が、放射線に応答して形態に可逆的変化をうける成分を含んでなる、請求項33に記載の方法。
  52. 粒子が、放射線に応答して形態に可逆的変化をうける分子に結合されたDNAを含んでなる、請求項33に記載の方法。
  53. 粒子がアゾベンゼン分子を含んでなる、請求項33に記載の方法。
  54. 粒子がスピロピラン類分子を含んでなる、請求項33に記載の方法。
  55. 電磁放射線の適用が、媒体中でポリマーの部分的架橋を引き起こす、請求項33に記載の方法。
  56. 放射線が、媒体中における粒子の移動度に直接影響を与える、請求項33に記載の方法。
  57. 放射線の少なくとも一部が粒子により吸収され、粒子のすぐ近くで媒体に熱として放出され、それにより粒子のすぐ近くにおける媒体の一部分のみの粘度が粒子からの熱の放出により変えられる、請求項33に記載の方法。
  58. 媒体中で定常音響波を発生する、請求項39に記載の方法。
  59. 化学変化が粒子の形態を変える、請求項42に記載の方法。
  60. 化学変化が、媒体中における粒子以外の種の形態を変える、請求項42に記載の方法。
  61. 化学変化が、粒子の互いの結合性を変える、請求項42に記載の方法。
  62. 化学変化が、媒体中における他の種または構造への粒子の結合性を変える、請求項42に記載の方法。
  63. 化学変化が、媒体中における種の互いの結合性を変える、請求項42に記載の方法。
  64. 化学変化が媒体の粘度を変える、請求項42に記載の方法。
  65. 媒体へ光線を当てることにより化学変化を引き起こすことを含んでなる、請求項42に記載の方法。
  66. 媒体中で光活性分子の酸化または還元を光学的に誘導する、請求項63に記載の方法。
  67. 光活性分子がフェロセンを含んでなる、請求項65に記載の方法。
  68. 媒体中へ化学種を導入することにより化学変化を誘導する、請求項42に記載の方法。
  69. 化学変化が媒体のpHを変える、請求項42に記載の方法。
  70. 媒体が強磁性粒子を含んでなり、磁場の適用が強磁性粒子を粒子路から引き離すまたはそこへ引き寄せる、請求項35に記載の方法。
  71. 磁場の適用が、媒体の粘度を二次元パターンで変えさせることを含んでなる、請求項35に記載の方法。
  72. 媒体が磁気粒子を含んでなり、磁場の適用が媒体の磁気粒子を互いに凝集させる、請求項71に記載の方法。
  73. 磁場の適用が、粒子を抗力誘導表面の方へ引き寄せるか、またはそこから移動させる、請求項35に記載の方法。
  74. 移動度変動場が、第一方向と交わる交互成分を有した電場を含んでなる、請求項27に記載の方法。
  75. 電気移動度変動場が、粒子を抗力誘導表面の方へ引き寄せるか、またはそこから移動させる、請求項74に記載の方法。
  76. 磁場の適用が粒子を凝集させる、請求項35に記載の方法。
  77. 粒子が生体高分子を含んでなる、請求項1〜76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 生体高分子が荷電している、請求項77に記載の方法。
  79. 生体高分子が電気的に中性である、請求項77に記載の方法。
  80. 生体高分子がタンパク質を含んでなる、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 生体高分子がRNAを含んでなる、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  82. 生体高分子がDNAを含んでなる、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  83. 生体高分子が脂質を含んでなる、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  84. 生体高分子がポリマーを含んでなる、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  85. 生体高分子がポリペプチドを含んでなる、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  86. 粒子が分子の凝集物を含んでなる、請求項1〜76のいずれか一項に記載の方法。
  87. 凝集物がミセルを含んでなる、請求項86に記載の方法。
  88. 媒体がゲルを含んでなる、請求項1〜87のいずれか一項に記載の方法。
  89. ゲルがアガロースゲルを含んでなる、請求項88に記載の方法。
  90. 媒体がポリマーの液体溶液を含んでなる、請求項1〜87のいずれか一項に記載の方法。
  91. 媒体が、粒子と結合するようにされた結合部位を含んでなる、請求項1〜87のいずれか一項に記載の方法。
  92. 媒体がアクリルアミドまたはポリアクリルアミドを含んでなる、請求項1〜87のいずれか一項に記載の方法。
  93. 媒体がポストの微小加工並びを含んでなる、請求項1〜87のいずれか一項に記載の方法。
  94. エントロピー捕捉により粒子を媒体と相互作用させることを含んでなる、請求項1〜87のいずれか一項に記載の方法。
  95. 粒子が、2D表面上で運動するように実質上拘束されている、請求項1〜94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 2D表面が媒体の薄層を含んでなる、請求項95に記載の方法。
  97. 媒体が三次元量を有し、該方法が駆動力の面を周期的に変えることにより媒体中の箇所で粒子を濃縮させることを含んでなる、請求項1〜95のいずれか一項に記載の方法。
  98. 媒体が第一部および第二部を含んでなり、該方法が、第一部で第一移動度変動場および第二部で第二移動度変動場を適用し、駆動場および第一移動度変動場が第一部の粒子を第二部の方へ動かせ、駆動場および第二移動度変動場が第二部の粒子を第一部の方へ動かせることを含んでなる、請求項1〜97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 駆動場の適用および移動度変動場の適用が、粒子を含有した媒体へ2つの独立した時変電場を掛ける、請求項1に記載の方法。
  100. 2つの独立した電場が、期間の少なくとも一部で互いに配向していない、請求項99に記載の方法。
  101. 第一電場が、媒体のエリア内で双極場に近い、請求項99または100に記載の方法。
  102. 第二電場が、媒体のエリア内で四極場に近い、請求項99〜101のいずれか一項に記載の方法。
  103. 第一電場の時間変動が、媒体のエリアにある箇所の周りで、第一電場の回転を構成している、請求項99〜102のいずれか一項に記載の方法。
  104. 第二電場の時間変動が、媒体のエリアにある箇所の周りで、第二電場の回転を構成している、請求項99〜103のいずれか一項に記載の方法。
  105. 第一電場の時間変動が第一角周波数で媒体のエリアにある箇所の周りで第一電場の回転を構成し、第二電場の時間変動が第二角周波数で媒体のエリアにある箇所の周りで第二電場の回転を構成し、第二角周波数が第一角周波数の2倍である、請求項99〜102のいずれか一項に記載の方法。
  106. 媒体が第一媒体を構成し、該方法が、次いで、
    界面で第一媒体に隣接する第二媒体を用意し、該第二媒体において、粒子が抽出駆動場の強度で実質上直線的に変わる速度を有しており、
    複数の抽出期間の場合、交互に、
    抽出期間の第一部では、第一抽出駆動場を界面に掛け、第一抽出駆動場が、抽出期間の第一部で、第一距離だけ第一媒体中の粒子を界面の方へ動かせ、
    抽出期間の第二部では、第二抽出駆動場を界面に掛け、第二抽出駆動場が、第一抽出駆動場とは異なる強度を有し、抽出期間の第二部で第一距離より少ない第二距離だけ第一媒体中の粒子を界面から移動させ、
    粒子を界面から第二媒体中へ通させる
    ことを含んでなる抽出方法で第一媒体から粒子を抽出することを含んでなる、請求項1〜105のいずれか一項に記載の方法。
  107. 粒子を第二媒体中で濃縮されるようにすることを含んでなる、請求項106に記載の方法。
  108. 第二媒体が緩衝液を含んでなる、請求項106または107に記載の方法。
  109. 粒子を含有した第二媒体を移送器具中に吸引する、請求項106〜108のいずれか一項に記載の方法。
  110. 媒体が第一媒体を構成し、該方法が、次いで、
    抽出期間中に、時変抽出駆動場および時変抽出移動度変動場を粒子に掛け、抽出駆動場が時変抽出駆動力を粒子に加え、抽出駆動力が交互に方向転換して、界面に向けられ、
    粒子が第二媒体へ入るまで第一媒体中の粒子が第一真速度で界面の方へドリフトするよう期間中駆動場と非ゼロ相関を有するように、抽出移動度変動場が第一媒体中の粒子の移動度を期間中に変えさせる
    ことを含んでなる抽出方法で第一媒体から第二媒体中へ粒子を抽出することを含んでなる、請求項1〜105のいずれか一項に記載の方法。
  111. 第一ドリフト速度より有意に小さなまたはゼロの真ドリフト速度を第二媒体中で粒子が有するように、抽出移動度変動場のみを粒子に掛けることを含んでなる、請求項110に記載の方法。
  112. 抽出移動度変動場が、第二媒体中の粒子の移動度に有意な影響を与えない、請求項110に記載の方法。
  113. 粒子を濃縮する装置であって、
    粒子が移動性である媒体の本体と、
    時変駆動場を媒体へ伝えるために接続された第一場源であって、該駆動場が、交互に方向転換する時変駆動力を媒体中の粒子へ印加可能な第一場源と、
    時変移動度変動場を媒体へ伝えるために接続された第二場源であって、移動度変動場が、駆動場とタイプが異なるか若しくは駆動場と配向していない、または駆動場とタイプが異なり且つ駆動場と配向していない第二場源と、
    期間中に媒体の少なくとも一部へ駆動場および移動度変動場を同時に掛けるように設計された制御システムと
    を備えた装置。
  114. 媒体の本体が薄層を含んでなる、請求項113に記載の装置。
  115. 薄層の両側で実質的に一定の電位で維持された伸長電極を含んでなる、請求項113に記載の装置。
  116. 媒体がゲルを含んでなる、請求項113115のいずれか一項に記載の装置。
  117. ゲルがアガロースゲルを含んでなる、請求項116に記載の装置。
  118. 媒体が、粒子と選択的に結合する結合部位を含んでなる、請求項113117のいずれか一項に記載の装置。
  119. 選択的結合部位が、粒子中に存在する核酸配列と相補的な核酸の配列を含んでなる、請求項118に記載の装置。
  120. 第一場源が、3以上の非同一線上電極と、一連の電圧パターンを電極へ掛けるように制御システムにより制御される電源を含んでなる、請求項113119のいずれか一項に記載の装置。
  121. 第二場源が、駆動力の時間変動と同調して媒体の温度を変えるように接続されたヒーターを含んでなる、請求項113120のいずれか一項に記載の装置。
  122. 第二場源が磁場源を含んでなる、請求項113120のいずれか一項に記載の装置。
  123. 第二場源が電磁放射線源を含んでなる、請求項113120のいずれか一項に記載の装置。
  124. 電磁放射線源が光源を含んでなる、請求項123に記載の装置。
  125. 光源が、交互明および暗エリアのパターンで媒体を照射するように設計されている、請求項124に記載の装置。
  126. 光源が、交互明および暗エリアを定めるマスクを含んでなる、請求項125に記載の装置。
  127. パターンが第一パターンを構成し、第一パターンによる媒体の照射と第一パターンの負である第二パターンによる媒体の照射との間で切り換えられるように光源が設計されている、請求項124に記載の装置。
  128. 第一および第二マスクを含んでなり、第一マスクを介して媒体を照射することで第一パターンを作るように光源が設計され、第二マスクを介して媒体を照射することで第二パターンを作るように光源が設計されている、請求項127に記載の装置。
  129. 第一および第二パターンに加えて第三および第四パターン間で媒体の照射間に切り換えられるように光源が設計されており、第三パターンが第一マスクの明および暗エリア間の境界と交わる境界を有した交互明および暗エリアを含んでなり、第四パターンが第三パターンの負である、請求項127に記載の装置。
  130. 第一、第二、第三および第四パターンが各々、複数の平行に並ぶ交互暗および明ストリップを含んでなる、請求項129に記載の装置。
  131. 第三および第四パターンのストリップが、第一および第二パターンのストリップへ実質的上右角度で向けられている、請求項130に記載の装置。
  132. 第三および第四マスクを含んでなり、第三マスクを介して媒体を照射することで第三パターンを作るように光源が設計され、第四マスクを介して媒体を照射することで第四パターンを作るように光源が設計されている、請求項129131のいずれか一項に記載の装置。
  133. 光源が複数の光源を含んでなり、該装置が、光の選択されたパターンを媒体で生じさせるように光源を働かせるために接続された回路を含んでなる、請求項124に記載の装置。
  134. 第二場源が音響場源を含んでなる、請求項113120のいずれか一項に記載の装置。
  135. 第二場源が、溶媒のリザーバーと、時変的に溶媒を媒体へ掛けるための手段を含んでなる、請求項113120のいずれか一項に記載の装置。
  136. 媒体がチャンバーに入れられ、装置がチャンバー内の圧力を下げるための手段を含んでなる、請求項135に記載の装置。
  137. 媒体と熱接触しているクーラーを含んでなる、請求項113136のいずれか一項に記載の装置。
  138. 媒体が、大分子と結合した磁気ビーズを含んでなる、請求項122に記載の装置。
  139. 媒体が、ポリマーの分子と結合した磁気ビーズを含んでなる、請求項122に記載の装置。
  140. 粒子を濃縮する装置であって、
    電場強度の関数である移動度で粒子が移動性である媒体の本体と、
    媒体と電気的接触している3以上の非同一線上電極と、
    第一方向へ向けられた交互成分を有する第一電場および第一方向と交わる交互成分を有する第二電場を媒体へ掛けるように経時的に電極へ適用される電圧を変えるために接続された制御システムと
    を備えた装置。
  141. 第一電場が第一周波数で交互に方向転換し、第二電場が第二周波数で交互に方向転換し、第一周波数が第二周波数の2倍である、請求項140に記載の装置。
  142. 第一電場が第一周波数で交互に方向転換し、第二電場が第二周波数で交互に方向転換し、第二周波数が第一周波数の2倍である、請求項140に記載の装置。
  143. 第一および第二電場の合計が媒体のエリア内で双極場に近い第一成分および媒体のエリア内で四極場に近い第二成分を有するように、制御システムが電圧を電極へ掛けるように設計されている、請求項140142のいずれか一項に記載の装置。
  144. 媒体のエリアにある位置の周りで第一および第二成分の回転を構成するように、コントローラーが同調して第一成分を変えさせるように設計されている、請求項142に記載の装置。
  145. 第一成分の時間変動が第一角周波数で特徴づけられ、第二成分の時間変動が第一角周波数の2倍である第二角周波数で特徴づけられる、請求項144に記載の装置。
  146. 媒体が薄層で置かれている、請求項140145のいずれか一項に記載の装置。
  147. 薄層の両側で実質的に一定の電位で維持された伸長電極を含んでなる、請求項146に記載の装置。
  148. 媒体の本体が平坦薄層を含んでなり、電極が薄層の平面で実質的に置かれている、請求項140147のいずれか一項に記載の装置。
  149. 媒体がゲルを含んでなり、電極がゲルと接触している導電性緩衝液中に置かれている、請求項140148のいずれか一項に記載の装置。
  150. 媒体がゲルを含んでなる、請求項140148のいずれか一項に記載の装置。
  151. ゲルがアガロースゲルを含んでなる、請求項150に記載の装置。
  152. 媒体が、粒子と選択的に結合する結合部位を含んでなる、請求項140151のいずれか一項に記載の装置。
  153. 選択的結合部位が、粒子中に存在する核酸配列と相補的な核酸の配列を含んでなる、請求項152に記載の装置。
  154. 媒体中で粒子の運動を引き起こす装置であって、
    時変駆動場を粒子に掛けるための第一手段であって、該駆動場が交互に方向転換する時変駆動力を粒子に加える第一手段と、
    移動度変動場を粒子に掛けるための第二手段であって、該移動度変動場が、駆動場とタイプが異なるか若しくは駆動場と配向していない、または駆動場とタイプが異なり且つ駆動場と配向していない第二手段と、
    駆動場および移動度変動場がある期間中同時に適用され、移動度変動場が、該期間中駆動場と非ゼロ相関を有する手法で、媒体中粒子の移動度を該期間中、時間依存性とさせるように、協調的に第一および第二手段を操作するための手段と
    を備えた装置。
  155. ここで記載された新規の有用な発明的特徴、特徴および/または手段の組合せ、特徴および/または手段の準組合せを含んでなる装置。
  156. ここで記載された新規の有用な発明的ステップ、ステップおよび/または作業の組合せ、ステップおよび/または作業の準組合せを含んでなる方法。
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