JP3824941B2 - 電気泳動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分子生物学、生化学、医学、薬学等の分野では、電気泳動装置を用いた各種遺伝子解析等が広く行われている。
【0003】
例えば、IGCR法(In Gel Competitive Reassociation法)は、ガン遺伝子等の探索に極めて有効であり、現在、大きな注目を集めている。この方法は、ゲノムサブトラクション法の一種であり、ゲル(泳動媒体)中で、ゲノムサブトラクションを行うことを大きな特徴とする。
【0004】
このIGCR法は、例えば数kb以上の塩基の欠失等、比較的大きな遺伝子の変異を特定するのに有利である。このため、この方法は、正常細胞の遺伝子とガン細胞の遺伝子との間で、大きな相違を発見する場合等に、極めて有用である。実際に、IGCR法は、胃ガン関連の遺伝子の発見で、実績を挙げている。
このIGCR法の概略を、ガン遺伝子を探索する場合を例に説明すると、下記のようになる。
【0005】
1)まず、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAと(例えば制限酵素処理されたもの)を用意する。
2)次に、正常細胞由来のDNAをビオチン化する。
【0006】
3)次に、ガン細胞由来のDNAに対して正常細胞由来のDNAがはるかに高い濃度となるように(例えば1:50程度)、ガン細胞由来のDNAと正常細胞由来のDNAとを混合する。
4)次に、この混合物に対して、ゲル電気泳動を行う。
【0007】
5)電気泳動後、ゲルを取り出し、このゲルをアルカリ性の溶液(変性液)に浸漬させた後、ゲルを中性の溶液(会合液)に浸漬させることにより、ゲル中でDNAを変性させた後、再会合させる。
IGCR法の大きな特徴は、工程3)〜5)にある。かかる工程を経ることにより、ガン細胞にのみ特異的に存在する遺伝子を検出、分離することが、可能となる。この原理を、以下、模式的に説明する。
【0008】
例えば、正常細胞は、遺伝子Aと遺伝子Bとを有しているとする。また、ガン細胞は、遺伝子Aと、変異した遺伝子B’とを有しているとする。この遺伝子B’は、遺伝子Bよりも鎖長が短くなっているとする。なお、ガン細胞の遺伝子Aと正常細胞の遺伝子Aとは、同じ(identical)とする。また、遺伝子Aは、遺伝子Bよりも長いものとする。
【0009】
この場合、前記工程4)において電気泳動を行うと、ゲル中で、バンドは、例えば、遺伝子A、遺伝子Bおよび遺伝子B’に分かれることとなる。
【0010】
このとき、遺伝子Aのバンドは、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとを含んでいることとなる。したがって、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとの比は、50:1である。
また、遺伝子Bのバンドは、正常細胞由来のDNAのみを含んでいることとなる。すなわち、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとの比は、100:0である。
これに対し、遺伝子B’のバンドは、ガン細胞由来のDNAのみを含んでいることとなる。すなわち、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとの比は、0:100である。
【0011】
ここで、前記工程5)のDNAの変性、再会合を行うと、遺伝子Aのバンドでは、下記のA1〜A4の4種類の遺伝子が、2500:50:50:1の割合で生成される。
A1:正常細胞由来のDNAのみで構成された遺伝子、
A2:正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとで構成された遺伝子(タイプ1)、
A3:正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとで構成された遺伝子(タイプ2)、
A4:ガン細胞由来のDNAのみで構成された遺伝子。
したがって、遺伝子Aのバンドでは、ガン細胞由来のDNAのみで構成された遺伝子(遺伝子A4)は、極めて少量となる。
【0012】
一方、遺伝子Bのバンドでは、相変わらず、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとの比は、100:0のままである。
同様に、遺伝子B’のバンドでは、正常細胞由来のDNAとガン細胞由来のDNAとの比は、0:100のままである。
【0013】
次いで、ゲルを切り出し、ゲル中からDNAを抽出(回収)し、かかるDNAをアビジンと接触させると、アビジンはビオチンと結合する性質を有しているため、正常細胞由来のDNAを含む遺伝子は、アビジンに吸着される。
これに対し、ガン細胞由来のDNAのみで構成された遺伝子は、アビジンに吸着されない。
【0014】
したがって、遺伝子Bは、前述したように正常細胞由来のDNAのみで構成されているので、アビジンに吸着されることとなる。
これに対し、遺伝子B’は、ガン細胞由来のDNAのみで構成されているので、アビジンに吸着されず、取り出されることとなる。
【0015】
遺伝子Aでは、遺伝子A1、A2およびA3がアビジンに吸着され、遺伝子A4は、アビジンに吸着されない。ところで、前述したように、遺伝子Aでは、A1:A2:A3:A4の割合が、2500:50:50:1となっている。換言すれば、遺伝子A4の存在量は、ごく微量なものとなっている。
【0016】
したがって、アビジンに吸着されず取り出された遺伝子に、例えば、アダプターDNAを結合し、このアダプターDNAと相補的な塩基配列を有するプライマーを用いてPCR法を行い、遺伝子を増幅すると、遺伝子B’だけが、好適に検出されることとなる。
【0017】
このように、IGCR法は、優れた遺伝子探索法である。しかしながら、IGCR法では、人手による工程数が多く、しかも時間のかかる工程が多いため、所要時間が長く(例えば1週間程度)、作業に手間と時間とを要するという欠点がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、例えばIGCR法における作業の手間と時間とを軽減することができる電気泳動装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(19)の本発明により達成される。
【0020】
(1) バッファー液をそれぞれ貯留する第1のバッファー槽と第2のバッファー槽とを有する装置本体と、
一端が前記第1のバッファー槽に貯留されたバッファー液に接触し、他端が前記第2のバッファー槽に貯留されたバッファー液に接触するよう配置され、核酸を含む検体を電気泳動させる泳動媒体と、
前記泳動媒体へ通電し、かつ、その極性を反転することができる通電手段と、
前記泳動媒体の温度を調整する温度調整手段と、
前記泳動媒体から離脱した前記核酸を吸着可能な核酸吸着剤とを備え、
前記第1のバッファー槽は、前記バッファー液を貯留する貯留空間を、第1の空間と、前記泳動媒体の一端が位置する第2の空間とに画成する隔壁を有し、
前記核酸吸着剤は、前記隔壁に設置されていることを特徴とする電気泳動装置。
【0021】
(2) 前記核酸吸着剤は、前記泳動媒体と前記通電手段が備える電極との間に設けられている上記(1)に記載の電気泳動装置。
【0024】
(3) 前記第1の空間に、前記通電手段が備える電極が設置されている上記(1)または(2)に記載の電気泳動装置。
【0025】
(4) 前記隔壁には、前記第2の空間に連通し、前記核酸吸着剤を設置する凹部と、該凹部と前記第1の空間とを連通する連通孔とが形成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0026】
(5) 前記連通孔は、前記第2の空間側より前記第1の空間側が高くなるよう傾斜して形成されている上記(4)に記載の電気泳動装置。
【0027】
(6) 前記連通孔の前記第1のバッファー槽の底部とのなす角度は、45〜80°である上記(5)に記載の電気泳動装置。
【0028】
(7) 前記核酸吸着剤は、顆粒状をなしている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0029】
(8) 前記顆粒状の核酸吸着剤の平均粒径は、20〜200μmである上記(7)に記載の電気泳動装置。
【0030】
(9) 前記核酸吸着剤は、イオン交換樹脂を含む材料で構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0031】
(10) 前記通電手段は、前記温度調整手段により前記泳動媒体の温度を調節する前後において、その極性を反転させるよう構成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0032】
(11) 前記温度調整手段は、前記泳動媒体の周囲に設けられ、前記泳動媒体に対して熱伝達を行う伝熱部を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0033】
(12) 前記泳動媒体の長手方向の全長をLとしたとき、前記伝熱部は、前記泳動媒体を、その長手方向の中央から両端に向って、それぞれ、0.45Lの範囲を覆うよう構成されている上記(11)に記載の電気泳動装置。
【0034】
(13) 前記温度調整手段は、少なくとも前記泳動媒体を加熱する加熱手段を有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0035】
(14) 前記温度調整手段は、前記泳動媒体を加熱する加熱手段と、前記泳動媒体を冷却する冷却手段とを有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0036】
(15) 前記通電手段により前記泳動媒体へ通電を行い、前記検体を前記泳動媒体中で電気泳動させることにより、前記核酸を前記泳動媒体中で分離させ、
次いで、前記加熱手段により前記泳動媒体を加熱した後、前記泳動媒体を冷却することにより、分離後の核酸を前記泳動媒体中で変性させた後、再会合させ、
その後、前記通電手段により極性を反転させて前記泳動媒体へ通電を行い、再会合後の核酸を前記泳動媒体中で前記電気泳動の方向と逆方向に電気泳動させ、前記泳動媒体から離脱した前記再会合後の核酸を、前記核酸吸着剤に吸着させて回収するよう構成されている上記(13)または(14)に記載の電気泳動装置。
【0037】
(16) 前記通電手段により前記泳動媒体へ通電を行い、前記検体を前記泳動媒体中で電気泳動させることにより、前記核酸を前記泳動媒体中で分離させ、
次いで、前記加熱手段により前記泳動媒体を加熱した後、前記冷却手段により前記泳動媒体を強制的に冷却することにより、分離後の核酸を前記泳動媒体中で変性させた後、再会合させ、
その後、前記通電手段により極性を反転させて前記泳動媒体へ通電を行い、再会合後の核酸を前記泳動媒体中で前記電気泳動の方向と逆方向に電気泳動させ、
前記泳動媒体から離脱した前記再会合後の核酸を、前記核酸吸着剤に吸着させて回収するよう構成されている上記(14)に記載の電気泳動装置。
【0038】
(17) 前記泳動媒体は、複数併設されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0039】
(18) 前記泳動媒体は、複数併設され、前記第1のバッファー槽は、各前記泳動媒体に対応して複数設けられている上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0040】
(19) 前記泳動媒体は、中空部材に収納されている上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の電気泳動装置。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気泳動装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の電気泳動装置の実施形態を示す模式図であり、図2は、図1に示す電気泳動装置が備える電気泳動部付近の構成を示す部分縦断面図であり、図3は、図1に示す電気泳動装置が備える上部バッファー槽の構成を示す斜視図であり、図4は、図1に示す電気泳動装置が備える温度調整手段の構成を示す側面図であり、図5は、図1に示す電気泳動装置の動作手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図2および図3中、上側を「上端」、下側を「下端」と言う。
【0043】
図1に示す電気泳動装置1は、電気泳動部2と、通電手段3と、温度調整手段4と、制御手段5とを備えている。
【0044】
以下、電気泳動装置1を、各構成要素ごとに説明する。
図1および図2に示すように、電気泳動部2は、主に、複数(本実施形態では、3つ)の上部バッファー槽(第1のバッファー槽)21と、下部バッファー槽(第2のバッファー槽)22と、これらを支持する基台23とを有する装置本体200と、ゲル(泳動媒体)100を収納した複数(本実施形態では、3つ)の管体(管状の中空部材)20とを有している。
【0045】
各上部バッファー槽21は、それぞれ、泳動媒体100(管体20)に対応して設けられ、上端(上部)に開口を有する箱状の部材で構成されている。これらの上部バッファー槽21の内部(貯留空間)には、それぞれ、例えば、トリスバッファー、トリス・ホウ酸バッファーのようなバッファー液(緩衝液)が貯留されている。
【0046】
バッファー液の液量は、例えば、各上部バッファー槽21に、それぞれ管体20を装着(設置)した状態で、各管体20の上端が液面から突出しない程度とされる。
【0047】
本実施形態では、各上部バッファー槽21の構成は同一であるので、以下では、1つを代表して説明する。
【0048】
上部バッファー槽21は、その長手方向のほぼ中央部に形成され、バッファー液を貯留する貯留空間を、第1の空間210aと第2の空間210bとに画成する隔壁210を有している。
【0049】
第1の空間210aには、後述する通電手段3が備える電極32aがバッファー液に浸る(接触する)ようにして設置され、一方、第2の空間210bには、泳動媒体100(管体20)の上端(一端)が位置している。
【0050】
第1の空間210a側の上部バッファー槽21の底部(底面)211には、装着孔212が厚さ方向(図2および図3中、上下方向)に貫通して形成されている。装着孔212には、管体20を保持する保持部材213が液密に固着(装着)されている。
【0051】
保持部材213は、ほぼ筒状の部材で構成され、下端側には、装着孔212に嵌合可能な装着部213aが形成されている。この装着部213aが装着孔212内に挿入、嵌合することにより、保持部材213は、上部バッファー槽21の底部211に液密に固定(固着)されている。
【0052】
この保持部材213は、特に限定されないが、例えば、各種ゴム材料、各種熱可塑性エラストマー等の弾性材料で構成されている。
【0053】
また、保持部材213の内腔部には、後述する管体20の上端側が挿入(挿通)されている。
【0054】
隔壁210は、第2の空間210b側の厚さが小さくなっており、この部分には、上側(上方)に開放する開口を有する凹部214が形成されている。すなわち、凹部214は、第2の空間210bと連通している。この凹部214内には、ゲル100から離脱したDNA(核酸)を吸着可能な核酸吸着剤(DNA吸着剤)Rが収納(設置)されている。すなわち、本実施形態では、核酸吸着剤Rは、ゲル100と電極32aとの間に設けられている。
【0055】
この核酸吸着剤Rの構成材料としては、例えば、イオン交換樹脂、各種ガラス、アルミナ、リン酸カルシウムのようなセラミックス材料、アモルファスシリカ、アルキルシリカのようなシリカ化合物、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンのような樹脂材料等が挙げられる。これらの中でも、核酸吸着剤Rは、イオン交換樹脂を含む材料で構成されているのが好ましく、イオン交換樹脂を主材料として構成されているものがより好ましい。このような核酸吸着剤Rは、DNAの吸着能が高く、また、かかる核酸吸着剤Rからは、吸着したDNAを容易に回収することができる。
【0056】
また、イオン交換樹脂としては、例えば、アガロース、セルロース、ニトロセルロース等に対して、各種荷電を有する基(例えば、スルフォン基、カルボキシル基、トリメチルアンモニオメチル基等)を導入したものが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなイオン交換樹脂を用いて核酸吸着剤Rを構成することにより、核酸吸着剤RのDNAの吸着能を、特に優れたものとすることができるとともに、DNAの回収効率を向上させることができる。
【0057】
また、核酸吸着剤Rの形状としては、特に限定されないが、例えば、顆粒状、メッシュ状、スポンジ状等が挙げられ、これらの中でも、特に、顆粒状が好ましい。核酸吸着剤Rを顆粒状とすることにより、DNAの吸着に有効な表面積を増大させることができ、DNAの吸着効率を上昇させることができる。
【0058】
この場合、顆粒状の核酸吸着剤Rの平均粒径は、20〜2000μm程度とするのが好ましく、35〜1000μm程度とするのがより好ましく、50〜150μm程度とするのがさらに好ましい。平均粒径を前記範囲とすることにより、DNAの吸着効率をより向上させることができる。
また、隔壁210には、凹部214と第1の空間210aとを連通する連通孔215が形成されている。
【0059】
この連通孔215は、第2の空間210b側より第1の空間210a側が高くなるよう傾斜して形成されている。これにより、顆粒状の核酸吸着剤Rを使用する場合、凹部214内に収納された核酸吸着剤Rが第1の空間210a側に流出するのを好適に防止することができる。
【0060】
この場合、連通孔215と上部バッファー槽21の底部211とのなす角度(図3中θ)は、特に限定されないが、45〜80°程度とするのが好ましく、60〜80°程度とするのがより好ましい。これにより、前記効果がより向上する。
【0061】
また、連通孔215の内径は、特に限定されないが、例えば、1〜5mm程度とされる。
【0062】
このような上部バッファー槽21は、複数(3つ)が一体化され、その両側部(図2中、紙面奥側および紙面手前側)には、対向配置された脚部216、216が、図示しない接続部を介して基台23に連結(設置)されている。これにより、各上部バッファー槽21は、基台23に固定されている。
【0063】
基台23は、各上部バッファー槽21、下部バッファー槽22および後述する伝熱ブロック42を支持するためのものであり、平板状の部材で構成されている。
この基台23の上端(上面)には、下部バッファー槽22が設置されている。
【0064】
下部バッファー槽22は、箱状の部材で構成されている。この下部バッファー槽22の内部には、バッファー液(緩衝液)が貯留されており、後述する通電手段3が有する電極32bがバッファー液に浸る(接触する)ようにして設置されている。
【0065】
このバッファー液は、前記の上部バッファー槽21の内部に収納されるバッファー液で挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0066】
下部バッファー槽22の上端縁部付近(図2中、右上側)には、上方に向って突出する導入口221が一体的に形成されており、この導入口221を介して、下部バッファー槽22内にバッファー液を導入(収納)することができる。
【0067】
また、下部バッファー槽22の上端(上面)には、複数の挿通孔222が厚さ方向(図2中、上下方向)に貫通して形成されている。各挿通孔222には、それぞれ、管体20の下端側が挿入(挿通)されている。
【0068】
なお、この状態で、下部バッファー槽22内には、管体20の下端が浸る程度の液量のバッファー液が貯留されている。
【0069】
この下部バッファー槽22、前記の各上部バッファー槽21および前記の基台23の構成材料としては、特に限定されないが、それぞれ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂材料を用いることができる。
【0070】
なお、下部バッファー槽22および各上部バッファー槽21は、内部の視認性を確保するために、それぞれ、実質的に透明であるのが好ましい。
【0071】
各上部バッファー槽21と下部バッファー槽22との間には、複数(本実施形態では、3本)の管体(管状の中空部材)20が、それぞれ、保持部材213を介して上部バッファー槽21に固定、支持(設置)され、その一端が上部バッファー槽21内に貯留されたバッファー液に接触し、その他端が下部バッファー槽22内に貯留されたバッファー液に接触している。
【0072】
この管体20の構成材料としては、特に限定されないが、熱伝達に優れているという点、および、十分な強度が得られるという点において、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン等の各種樹脂材料、各種ガラス材料等が好ましく用いられる。
【0073】
管体20の寸法としては、特に限定されないが、例えば、内径が3〜8mm程度、外径が5〜10mm程度とされる。
【0074】
各管体20の内部には、ゲル(泳動媒体)100が充填(収納)され、それぞれ、所定距離(例えば、10〜40mm程度)離間して併設されている。換言すれば、複数のゲル100が所定距離離間して併設されている。このように複数のゲル100を併設することにより、電気泳動装置1は、一度に処理できる検体の量を増大させることができる。
【0075】
また、各管体20の上端部内側には、それぞれ、ゲル100が充填されていない部分が設けられており、該部分には、検体が充填(アプライ)される。
【0076】
ゲル100は、例えば、アクリルアミド、アガロース等で構成され、DNA(核酸)を含む検体を電気泳動させ、これにより、DNAを鎖長の差(分子量の差)により分離させる。
【0077】
このゲル100は、管体20に収納されることにより、ほぼ円柱状(棒状)をなしている。
【0078】
ゲル100の長手方向の全長(図2中、長さL)は、特に限定されないが、通常、10〜1000mm程度であるのが好ましく、50〜200mm程度であるのがより好ましく、100〜150mm程度であるのがさらに好ましい。ゲル100の長手方向の全長をこのような範囲内とすることにより、DNAを好適に分離させることができる。
このようなゲル100は、通電手段3により通電される。
【0079】
この通電手段3は、ゲル100へ通電し、かつ、その極性を反転することができるものであり、図1に示すように、泳動用電源部31と、各上部バッファー槽21に対応して設けられた複数の電極(個別電極)32aと、これらに対向する電極(共通電極)32bとを備えている。これらの泳動用電源部31と、各電極32aおよび電極32bとは、それぞれ、導線により、接続されている。
【0080】
各電極32aおよび電極32bは、それぞれ、例えば、金属(アルミニウム等)などの導電性材料で構成されている。また、前述したように、各電極32aは、それぞれ上部バッファー槽21(第1の空間210a)内に、電極32bは、下部バッファー槽22内に設置されている。
また、ゲル100は、温度調整手段4により温度が調整される。
【0081】
温度調整手段4は、図4に示すように、ゲル100を加熱する加熱手段43と、ゲル100を冷却する冷却手段44と、加熱手段43および冷却手段44とゲル100との間で熱伝達を行う伝熱ブロック(伝熱部)42と、ゲル100の温度を検知する温度感知手段45とを有している。
【0082】
なお、後述する加熱手段43が有するドライバー432と、冷却手段44が有するドライバー444と、温度感知手段45が有するA/Dコンバーター452とで、温度調整手段4の温度コントローラー41が構成されている。
【0083】
この温度調整手段4は、加熱手段43によりゲル100を加熱した後、冷却手段44によりゲル100を強制的に冷却することにより、ゲル100中でDNAを変性させた後、再会合させる。
【0084】
加熱手段43は、発熱し、ゲル100を加熱する面ヒーター431と、コンピューター51からの信号に基づき、面ヒーター431を駆動、制御するドライバー432とを有している。
【0085】
冷却手段44は、ゲル100等からの熱を放熱して、ゲル100を冷却する冷却器441と、冷却器441を駆動するドライバー444とを有している。
【0086】
冷却器441は、ゲル100等からの熱を放熱するヒートシンク442と、ヒートシンク442での放熱を促進するファン443とを有している。
【0087】
ヒートシンク442は、例えば、金属(アルミニウム等)などの熱伝導性の物質で構成されている。このヒートシンク442は、例えば薄板が多数立設されたような構成の放熱部446を有している。この放熱部446では、表面積、すなわちヒートシンク442と空気との接触面積が増大しており、熱が効率よく、大気に放出されるようになっている。
【0088】
このような放熱を、ファン443は、促進することができる。ファン443は、風を発生させる羽根448と、羽根448を回転させるモーター447とを有している。ファン443が駆動する場合には、ヒートシンク442に埋設されたモーター447が回転し、この駆動力が羽根448に伝達される。その結果、羽根448が回転し、風が生じる。そして、この風により、放熱部446での放熱が、促進される。
【0089】
ヒートシンク442の放熱部446と反対側の面には、前述した面ヒーター431が、ヒートシンク442に密着するように設けられている。さらには、温度調整手段4では、この面ヒーター431に密着するように、伝熱ブロック42が設けられている。
【0090】
伝熱ブロック42は、面ヒーター431で発生した熱を、ゲル100に伝達し、また、ゲル100の熱をヒートシンク442に伝達することができる。この伝熱ブロック42は、例えば、金属(アルミニウム等)などの熱伝導性の物質で構成されている。
【0091】
このような伝熱ブロック42を介して、温度感知手段45は、ゲル100の温度を検知することができる。温度感知手段45は、ゲル100の温度を検知する温度センサー451と、温度センサーからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーター452とを有している。この温度感知手段45では、温度センサー451は、伝熱ブロック42に埋設されるように、設置されている。このため、温度センサー451は、伝熱ブロック42の温度を直接検知することができる。これにより、伝熱ブロック42の温度はゲル100の温度とほぼ対応しているので、温度センサー451は、ゲル100の温度を検知することができる。
【0092】
また、伝熱ブロック42の面ヒーター431と反対側の部分には、その長手方向(図2中、上下方向)に貫通して、複数(本実施形態では、3つ)の挿通孔421が形成されている。各挿通孔421は、それぞれ、その内径が管体20の外径とほぼ等しく設定され、その内部には、管体20が挿通されている。すなわち、伝熱ブロック42は、各ゲル100の全周(周囲)を囲むように設けられている。
【0093】
これにより、ゲル100を周方向に均等(均一)に加熱および冷却することができるので、分離されたDNA間での変性および再会合を均一に行うことができる。
【0094】
また、伝熱ブロック42は、ゲル100中で分離されたDNA(バンド)が存在する範囲にほぼ対応して、ゲル100の長手方向の範囲を覆うように構成されているのが好ましい。
【0095】
すなわち、伝熱ブロック42は、その長手方向の長さは、特に限定されないが、例えば、ゲル100の長手方向の全長をLとしたとき、ゲル100を、その長手方向の中央から両端(上端および下端)に向って、0.45L程度の範囲(図2中、長さMの範囲)を覆うように構成されているのが好ましく、0.4L程度の範囲を覆うように構成されているのがより好ましい。
【0096】
これにより、ゲル100を長手方向に均等(均一)に加熱および冷却を行うことができるので、分離されたDNA(バンド)間で、均等(均一)に変性および再会合させることができる。
【0097】
また、本実施形態では、伝熱ブロック42を、ゲル100の全周を囲むように設け、かつ、ゲル100中で分離されたDNAが存在する範囲にほぼ対応して、ゲル100の長手方向の範囲を覆うように構成したことにより、これらの相乗効果により、分離されたDNA(バンド)間で、均等(均一)、迅速かつ確実に変性および再会合させることができる。
【0098】
以上のように、本実施形態では、温度調整手段4は、加熱手段43と冷却手段44とを有しているが、本発明では、冷却手段44は、省略されていてもよい。この場合、温度調整手段4は、加熱手段43によりゲル100を加熱した後、加熱手段43によるゲル100の加熱を停止して、ゲル100を放冷(自然冷却)することにより、ゲル100中で、DNAを変性させた後、再会合させることができる。
【0099】
なお、本実施形態のように、冷却手段44によりゲル100を強制的に冷却する場合には、ゲル100を放冷(自然冷却)する場合に比べて、変性後のDNAをより迅速かつ効率よく(精度よく)再会合させることができるという利点がある。
【0100】
以上述べた通電手段3および温度調整手段4は、それぞれ、コンピューター51で構成された制御手段5により、制御される。コンピューター51には、通電手段3の泳動用電源部31と、温度調整手段4の温度コントローラー41(ドライバー432、ドライバー444、A/Dコンバーター452)とが、それぞれ、信号線を介して接続されている。
【0101】
コンピューター51は、泳動用電源部31を制御して、各電極32aと電極32bとの間に電圧を印加することにより、ゲル100に通電し、また、泳動用電源部31を制御して、各電極32aと電極32bとの極性を反転することができる。
【0102】
一方、コンピューター51は、ドライバー432およびドライバー444を介して、面ヒーター431およびファン443を制御することができる。また、コンピューター51は、A/Dコンバーター452を介して、温度センサー451から、ゲル100の温度情報を、取得することができる。
【0103】
以下、図5を参照しつつ、電気泳動装置1の使用方法(作用)について、IGCR法を実施する場合を一例に説明する。
【0104】
[1] まず、IGCR法を行う作業者(電気泳動装置1の使用者)は、ゲル100が充填(収納)された管体20を、図2に示すように、各上部バッファー槽21と下部バッファー槽22との間に設置して、図示しない電源スイッチをオンする。これにより、電気泳動装置1を使用可能な状態(作動状態)として、電気泳動装置1の準備を完了する。
【0105】
また、作業者は、DNA(核酸)を含むサンプル(検体)を用意する。このサンプルは、検査対象となる細胞由来のDNAと正常細胞由来のDNA(例えば制限酵素処理されたもの)とを、例えば1:50程度の比で含んでいる。このときのDNAの濃度は、電気泳動を行うサンプル量によっても若干異なるが、0.1〜100μM程度とするのが好ましい。
なお、正常細胞由来のDNAには、ビオチン化が施されている。
【0106】
[2] 次に、作業者は、コンピューター51を操作して、後述する各工程[4]〜[9]における諸条件(各種設定条件)を入力する。
【0107】
[3] 次に、作業者は、前記工程[1]で用意したサンプルを各管体20の上端部内側(ゲル100の上面)に充填(アプライ)する。
【0108】
[4] 次に、作業者が開始ボタン(図示せず)を押圧操作すると、コンピューター51は、通電手段3の泳動用電源部31を駆動する(図5のステップS101)。
【0109】
泳動用電源部31は、コンピューター51からの信号に基づいて、各電極32aが陰極(負極)、電極32bが陽極(正極)となるように、各電極32aと電極32bとの間に所定電圧(定電圧)を印加して、ゲル100へ通電する。
【0110】
この所定電圧は、ゲルの組成等により適宜設定され、特に限定されないが、25〜100V程度とするのが好ましい。
【0111】
これにより、サンプルをゲル100中で下方(下端)に向かって電気泳動(移動)させ、DNAをそれらの鎖長の差(分子量の差)により、ゲル100中で分離させる。このとき、これらの分離されたDNA(DNA断片)は、それぞれ、ゲル100中でバンド(泳動バンド)を形成する。
【0112】
なお、泳動用電源部31は、各電極32aと電極32bとの間を定電圧に維持(保持)するのに代わり、ゲル100に所定電流(定電流)を流すように制御(設定)されていてもよい。
【0113】
この場合、この所定電流は、特に限定されないが、1〜10mA程度とするのが好ましい。
【0114】
[5] 次に、所定時間が経過すると、コンピューター51は、通電手段3の泳動用電源部31の駆動を停止する(図5のステップS102)。
【0115】
泳動用電源部31は、各電極32aと電極32bとの間への電圧の印加を停止して、ゲル100への通電を停止する。これにより、DNAのゲル100中での電気泳動を停止させる。
【0116】
なお、この所定時間は、ゲルの組成等により適宜設定され、特に限定されないが、0.5〜2時間程度とするのが好ましい。
【0117】
[6] 次に、コンピューター51は、温度調整手段4の温度コントローラー41を駆動する(図5のステップS103)。
【0118】
まず、ドライバー432は、コンピューター51からの信号に基づいて、面ヒーター431を駆動し、発熱させる。面ヒーター431で発生した熱は、伝熱ブロック42および管体20を介して、ゲル100に伝達され、ゲル100を加熱する。
【0119】
これにより、ゲル100中で分離後のDNAを変性させ、一本鎖のDNAを生成させる。
【0120】
その後、ゲル100の温度が所定温度(設定温度)に近づいたら、ドライバー432は、コンピューター51からの信号に基づいて、面ヒーター431の出力を弱める。
【0121】
さらに、ゲル100の温度が所定温度に到達したら、ドライバー432は、コンピューター51からの信号に基づいて、面ヒーター431の駆動を停止する。
【0122】
なお、この所定温度(最高温度)は、特に限定されないが、60〜90℃程度とするのが好ましい。また、ゲル100の温度を、前記の温度範囲に保持する時間は、特に限定されないが、30秒〜30分程度とするのが好ましい。これにより、分離後のDNAを効率よく(精度よく)変性させることができる。
【0123】
次いで、ドライバー444は、コンピューター51からの信号に基づいて、ファン443を駆動し、ヒートシンク442による放熱を促進させる。ゲル100の熱は、管体20および面ヒーター431を介して、ヒートシンク442に伝達される。
【0124】
そして、この熱は、放熱部446から、発散される。このとき、ファン443が回転していると、羽根448から放熱部446に風が送られてくる。この風により、放熱部446では、放熱が促進され、ゲル100からヒートシンク442への熱移動も促進される。
【0125】
これにより、ゲル100の温度を徐々に低下させ、このゲル100の温度低下に伴って、変性後のDNA(一本鎖のDNA)を再会合(ハイブリダイズ)させる。
【0126】
その後、ゲル100の温度が所定温度に近づいたら、ドライバー444は、コンピューター51からの信号に基づいて、ファン443の駆動を停止する。
【0127】
[7] 次に、コンピューター51は、ゲル100の温度が所定温度に達したら、温度調整手段4の温度コントローラー41の駆動を停止する(図5のステップS104)。
【0128】
なお、所定温度(最低温度)は、特に限定されないが、40℃以下とするのが好ましく、10〜40℃程度とするのがより好ましい。これにより、変性後のDNAを効率よく(精度よく)再会合させることができる。
【0129】
[8] 次に、コンピューター51は、通電手段3の泳動用電源部31を駆動する(図5のステップS105)。
【0130】
泳動用電源部31は、コンピューター51からの信号に基づいて、電極32bが陰極(負極)、各電極32aが陽極(正極)となるように(極性を反転させて)、各電極32aと電極32bとの間に所定電圧(定電圧)を印加して、ゲル100へ通電する。
【0131】
すなわち、泳動用電源部31は、前記工程[4]における電気泳動の方向と逆方向に、ゲル100へ通電する。
【0132】
この所定電圧は、特に限定されないが、25〜100V程度とするのが好ましい。
【0133】
これにより、再会合後のDNAを、ゲル100中で上方(上端)に向かって電気泳動させ、それぞれ、各ゲル100中から各上部バッファー槽21のバッファー液中に放出させる。
【0134】
各電極32aと電極32bとの間への電圧の印加を継続すると、各ゲル100から離脱した再会合後のDNAは、それぞれ、各上部バッファー槽21内のバッファー液中を、各電極32aに向かって移動する(引き寄せられる)。すなわち、再会合後のDNAは、第2の空間210bから、凹部214および連通孔215を介して、第1の空間210aへ移動しようとする。
【0135】
このとき、凹部214内には、核酸吸着剤Rが収納(設置)されているので、再会合後のDNAは、凹部214を通過する際に、核酸吸着剤Rに順次吸着される。
【0136】
このように、核酸吸着剤Rを、ゲル100と電極32aとの間で、かつ、ゲル100から離脱した再会合後のDNAが電極32aに移動する移動路(凹部214および連通孔215)の途中に設けることにより、より確実に再会合後のDNAを核酸吸着剤Rに吸着させることができる。
【0137】
なお、泳動用電源部31は、各電極32aと電極32bとの間を定電圧に維持(保持)するのに代わり、ゲル100に所定電流(定電流)を流すように制御(設定)されていてもよい。
【0138】
この場合、この所定電流は、特に限定されないが、1〜10mA程度とするのが好ましい。
【0139】
[9] 次に、所定時間が経過すると、コンピューター51は、通電手段3の泳動用電源部31の駆動を停止する(図5のステップS106)。
【0140】
泳動用電源部31は、各電極32aと電極32bとの間への電圧の印加を停止して、ゲル100への通電を停止する。
【0141】
なお、この所定時間は、ゲルの組成等により適宜設定され、特に限定されないが、0.5〜2時間程度とするのが好ましい。
【0142】
[10] 次に、作業者は、各上部バッファー槽21の核酸吸着剤Rを、それぞれ、別に用意した容器(図示せず)に回収して、再会合後のDNAを抽出する操作を行う。
【0143】
これは、核酸吸着剤Rと、高い塩濃度(例えば、0.01〜10mol/L程度)のバッファー液とを接触させることにより行うことができる。これにより、再会合後のDNAは、核酸吸着剤Rから遊離(離脱)して、バッファー液中に移行する。
【0144】
なお、このバッファー液としては、前述したようなバッファー液と同様の組成のものを用いることができる。
【0145】
このように、核酸吸着剤Rを用いて、再会合後のDNAの回収を行うことにより、この回収操作をより迅速に行うことができ、IGCR法における作業の時間の短縮に有利である。また、ゲル100から離脱した再会合後のDNAを、無駄なく回収することもできる。
【0146】
さらに、作業者は、再会合後のDNAを含むバッファー液をアビジンと接触させ、アビジンに吸着されず取り出された再会合後のDNAをPCR法に供する。
【0147】
ここで、まとめると、本実施形態では、通電手段3によりゲル100へ通電を行い、サンプルをゲル100中で電気泳動させることにより、DNAをゲル100中で分離させ、次いで、加熱手段43によりゲル100を加熱した後、冷却手段44によりゲル100を強制的に冷却することにより、分離後のDNAをゲル100中で変性させた後、再会合させ、その後、通電手段3により極性を反転させてゲル100へ通電を行い、再会合後のDNAをゲル100中で前記電気泳動の方向と逆方向に電気泳動させ、ゲル100から離脱した再会合後のDNAを核酸吸着剤Rに吸着させて回収するよう構成(制御)されている。
【0148】
すなわち、本実施形態では、通電手段3が温度調整手段4によりゲル100の温度を調節する前後において、その極性を反転させるように構成(制御)されている。
【0149】
このように、再会合後のDNAを電気泳動により強制的にゲル100中から放出させるように構成することにより、別途、ゲル100から再会合後のDNAを抽出する操作を省略することができ、再会合後のDNAをより迅速かつ確実にゲル100中から回収することができる。
【0150】
また、再会合後のDNAを電気泳動させる方向は、DNAを分離させる際の電気泳動の方向と同一方向としてもよいが、再会合後のDNAを電気泳動させる方向を、DNAを分離させる際の電気泳動の方向と逆方向とすることにより、泳動速度の遅い(移動度の小さい)DNAのゲル100中での泳動距離を短くすることができるので、再会合後のDNAをさらに迅速にゲル100中から放出させることができる。
【0151】
また、本実施形態では、再会合後のDNAを電気泳動させる方向を、DNAを分離させる際の電気泳動の方向と逆方向とすることにより、ゲル100へのサンプルのアプライと、ゲル100中からの再会合後のDNAの放出(回収)とを同じ側(すなわち、上部バッファー槽21のバッファー液中)とし、かつ、上部バッファー槽21をゲル100に対応するように独立して複数設けたので、複数の異なる種類の(異なる被験者からの)サンプルを同時に処理することができるという利点がある。
【0152】
なお、同一の種類の(同一の被験者からの)サンプルを処理する場合には、上部バッファー槽21は、1つの共通のものであってもよい。この場合、多量のサンプルを処理することができるという利点がある。
【0153】
また、同一の種類のサンプルを処理する場合、再会合後のDNAを電気泳動させる方向を、DNAを分離させる際の電気泳動の方向と同一方向として、再会合後のDNAをゲル100中から下部バッファー槽22のバッファー液中に放出させるようにしてもよい。この場合、核酸吸着剤Rは、下部バッファー槽22内において、各ゲル(泳動媒体)100と電極32bとの間に位置するように設置すすればよい。
【0154】
このような電気泳動装置1は、コンピューター51(制御手段5)の制御により、ゲル100中でのDNAの分離、ゲル100中での分離後のDNAの変性および再会合、および、再会合後のDNAのゲル100中からの回収を行うことができるため、IGCR法における作業の手間と時間とを軽減することができ、IGCR法の実施の自動化に貢献する。
【0155】
また、このような電気泳動装置1は、ゲル100中でDNAを分離させる工程(前記工程[4]および[5])、ゲル100中で分離後のDNAを変性および再会合させる工程(前記工程[6]および[7])、および、再会合後のDNAをゲル100中から回収する工程(前記工程[8]および[9])における諸条件(各種設定条件)が、コンピューター51(制御手段5)により好適に制御されているので、前記の各工程における時間短縮および精度の向上を図ることができる。
【0156】
以上、本発明の電気泳動装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものに置換することができる。
【0157】
泳動媒体は、例えば、親水性ポリマー、バッファー液(緩衝液)を含浸させた吸水性材料等で構成することもできる。
【0158】
また、泳動媒体は、図示の構成では、3つ設置されていたが、これに限定されず、泳動媒体の設置数としては、例えば、1つ、2つ、または4つ以上であってもよい。
【0159】
また、泳動媒体の全体形状としては、円柱状(棒状)のものに限定されず、例えば、平板状のもの等であってもよい。
【0160】
また、温度調整手段が有する冷却手段には、例えば、ペルチェ素子等を用いてもよい。
【0161】
なお、以上述べた説明では、DNAを核酸の代表として説明したが、本発明では、例えば、RNA、合成オリゴヌクレオチド等、DNA以外の核酸を用いることもできる。
【0162】
また、本発明の電気泳動装置は、IGCR法を実施する場合のみでなく、各種遺伝子解析等を実施する場合に使用することができることは、言うまでもない。
【0163】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の電気泳動装置によれば、例えばIGCR法における作業の手間と時間とを軽減することができ、特に、その実施の自動化に貢献する。
【0164】
また、温度調整手段により泳動媒体の温度を調整する前後において、通電手段がその極性を反転させるよう構成することにより、核酸の回収に要する時間を短縮することができる。
【0165】
また、泳動媒体を複数設置した場合には、一度に処理することができる検体の数や量を増大させることができる。
【0166】
このようなことから、本発明の電気泳動装置を用いることにより、例えばガン遺伝子等の探索を、より迅速かつ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動装置の実施形態を示す模式図である。
【図2】図1に示す電気泳動装置が備える電気泳動部付近の構成を示す部分縦断面図である。
【図3】図1に示す電気泳動装置が備える上部バッファー槽の構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示す電気泳動装置が備える温度調整手段の構成を示す側面図である。
【図5】図1に示す電気泳動装置の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 電気泳動装置
2 電気泳動部
200 装置本体
20 管体
21 上部バッファー槽
210 隔壁
210a 第1の空間
210b 第2の空間
211 底部
212 装着孔
213 保持部材
213a 装着部
214 凹部
215 連通孔
216 脚部
22 下部バッファー槽
221 導入口
222 挿通孔
23 基台
3 通電手段
31 泳動用電源部
32a、32b 電極
4 温度調整手段
41 温度コントローラー
42 伝熱ブロック
421 挿通孔
43 加熱手段
431 面ヒーター
432 ドライバー
44 冷却手段
441 冷却器
442 ヒートシンク
443 ファン
444 ドライバー
446 放熱部
447 モーター
448 羽根
45 温度感知手段
451 温度センサー
452 A/Dコンバーター
5 制御手段
51 コンピューター
100 ゲル
S101〜S106 ステップ

Claims (19)

  1. バッファー液をそれぞれ貯留する第1のバッファー槽と第2のバッファー槽とを有する装置本体と、
    一端が前記第1のバッファー槽に貯留されたバッファー液に接触し、他端が前記第2のバッファー槽に貯留されたバッファー液に接触するよう配置され、核酸を含む検体を電気泳動させる泳動媒体と、
    前記泳動媒体へ通電し、かつ、その極性を反転することができる通電手段と、
    前記泳動媒体の温度を調整する温度調整手段と、
    前記泳動媒体から離脱した前記核酸を吸着可能な核酸吸着剤とを備え、
    前記第1のバッファー槽は、前記バッファー液を貯留する貯留空間を、第1の空間と、前記泳動媒体の一端が位置する第2の空間とに画成する隔壁を有し、
    前記核酸吸着剤は、前記隔壁に設置されていることを特徴とする電気泳動装置。
  2. 前記核酸吸着剤は、前記泳動媒体と前記通電手段が備える電極との間に設けられている請求項1に記載の電気泳動装置。
  3. 前記第1の空間に、前記通電手段が備える電極が設置されている請求項1または2に記載の電気泳動装置。
  4. 前記隔壁には、前記第2の空間に連通し、前記核酸吸着剤を設置する凹部と、該凹部と前記第1の空間とを連通する連通孔とが形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動装置。
  5. 前記連通孔は、前記第2の空間側より前記第1の空間側が高くなるよう傾斜して形成されている請求項4に記載の電気泳動装置。
  6. 前記連通孔の前記第1のバッファー槽の底部とのなす角度は、45〜80°である請求項5に記載の電気泳動装置。
  7. 前記核酸吸着剤は、顆粒状をなしている請求項1ないし6のいずれかに記載の電気泳動装置。
  8. 前記顆粒状の核酸吸着剤の平均粒径は、20〜200μmである請求項7に記載の電気泳動装置。
  9. 前記核酸吸着剤は、イオン交換樹脂を含む材料で構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の電気泳動装置。
  10. 前記通電手段は、前記温度調整手段により前記泳動媒体の温度を調節する前後において、その極性を反転させるよう構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の電気泳動装置。
  11. 前記温度調整手段は、前記泳動媒体の周囲に設けられ、前記泳動媒体に対して熱伝達を行う伝熱部を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の電気泳動装置。
  12. 前記泳動媒体の長手方向の全長をLとしたとき、前記伝熱部は、前記泳動媒体を、その長手方向の中央から両端に向って、それぞれ、0.45Lの範囲を覆うよう構成されている請求項11に記載の電気泳動装置。
  13. 前記温度調整手段は、少なくとも前記泳動媒体を加熱する加熱手段を有する請求項1ないし12のいずれかに記載の電気泳動装置。
  14. 前記温度調整手段は、前記泳動媒体を加熱する加熱手段と、前記泳動媒体を冷却する冷却手段とを有する請求項1ないし13のいずれかに記載の電気泳動装置。
  15. 前記通電手段により前記泳動媒体へ通電を行い、前記検体を前記泳動媒体中で電気泳動させることにより、前記核酸を前記泳動媒体中で分離させ、
    次いで、前記加熱手段により前記泳動媒体を加熱した後、前記泳動媒体を冷却することにより、分離後の核酸を前記泳動媒体中で変性させた後、再会合させ、
    その後、前記通電手段により極性を反転させて前記泳動媒体へ通電を行い、再会合後の核酸を前記泳動媒体中で前記電気泳動の方向と逆方向に電気泳動させ、前記泳動媒体から離脱した前記再会合後の核酸を、前記核酸吸着剤に吸着させて回収するよう構成されている請求項13または14に記載の電気泳動装置。
  16. 前記通電手段により前記泳動媒体へ通電を行い、前記検体を前記泳動媒体中で電気泳動させることにより、前記核酸を前記泳動媒体中で分離させ、
    次いで、前記加熱手段により前記泳動媒体を加熱した後、前記冷却手段により前記泳動媒体を強制的に冷却することにより、分離後の核酸を前記泳動媒体中で変性させた後、再会合させ、
    その後、前記通電手段により極性を反転させて前記泳動媒体へ通電を行い、再会合後の核酸を前記泳動媒体中で前記電気泳動の方向と逆方向に電気泳動させ、
    前記泳動媒体から離脱した前記再会合後の核酸を、前記核酸吸着剤に吸着させて回収するよう構成されている請求項14に記載の電気泳動装置。
  17. 前記泳動媒体は、複数併設されている請求項1ないし16のいずれかに記載の電気泳動装置。
  18. 前記泳動媒体は、複数併設され、前記第1のバッファー槽は、各前記泳動媒体に対応して複数設けられている請求項1ないし17のいずれかに記載の電気泳動装置。
  19. 前記泳動媒体は、中空部材に収納されている請求項1ないし18のいずれかに記載の電気泳動装置。
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