JP3970050B2 - フリーフロー電気泳動法により可逆的複合体を構成する構成成分間の相互作用を決定する方法および装置 - Google Patents

フリーフロー電気泳動法により可逆的複合体を構成する構成成分間の相互作用を決定する方法および装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリーフロー電気泳動法により可逆的複合体を構成する構成成分の相互作用を決定する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロマシン技術は着目されつつあり、電気泳動を利用した試料の前処理システムにもその応用が試みられるようになってきている。例えば、Anal.Chem.Vol.66,2858-2865(1994)及び米国特許No.5,180,480には、フリーフロー電気泳動を応用した試料の前処理システムが記載されている。このフリーフロー電気泳動装置は、導入口と排出口とを備えた密封流床と、流床中の流れ方向と平行でかつ流床の両側に配置された一対の電極とからなる。本装置では、流床中に電気泳動を行なうための緩衝液を流すとともに、試料を上流位置で滴下し、電極間に電圧を印加し流れと直角方向に電場を印加することによって、該試料を緩衝液によって下流に運ぶとともに、電気泳動を行ない、試料の構成成分を分離する。
【0003】
このような装置においては、電気泳動の終了する時点の流床をさらに細分化することによって、分離した成分のうち目的の成分を取り出し連続的に試料の前処理を行なうことが可能となる。上記のように連続的前処理を行なうことが可能なため、マイクロマシン技術を用いた微小なシステムでも、mlのレベルの試料であれば1つのモジュールでシステムのサイズを変えることなく必要な試料量に応じて処理を行なうことが可能となる。
【0004】
また、特開2001−91497号の「フリーフロー電気泳動装置」においては安定化した流れを確保するために試料排出口の流床の圧力損失を均一にする構造、及び両側の電極で発生する気泡が分離部へ流れ込まないように電極部と分離部にバリヤーを形成する構造が提案されている。
【0005】
一方、バイオ分子間の相互作用を測定するシステムとして表面プラズモンを利用したシステムが商品化されている。このシステムは、基板表面に対象となる分子を固定し、その分子と他の分子間の結合を光学的な変化として捉えるものである。例えば、基板表面に固定した分子が他の分子と結合すると表面の屈折率、膜厚等が変化し、表面プラズモン共鳴が変化する。その現象を利用して蛋白の抗原抗体反応やDNA等のハイブリダイゼイション反応を測定できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、フリーフロー電気泳動装置は複数の構成成分からなる試料を分離するために用いていたが、該装置を可逆的な相互作用で結合した複数の構成成分からなる試料可逆的複合体について、該複数成分間の相互作用を調べるために使用することについては何ら研究されてもいなかったし、そのような課題は存在していなかった。
【0007】
また、上記の表面プラズモンを利用した分子間相互作用を測定するシステムは優れた方法であるが、片方の分子が基板に固定されているため、反応部位が限られている等の、反応に制約があるため反応速度が遅く、また相互作用の強さを測定するためには解離液を流して測定をする必要がある等の問題がある。この場合、解離液によって物質を変性させる可能性があり、また測定に時間がかかるという問題もある。そこで、変性されること無くより自然な状態でかつ短い時間で物質相互間の相互作用を測定できる方法が望まれる。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑み、フリーフロー電気泳動装置を、可逆的複合体を構成する複数構成成分間の相互作用を調べるために使用することを試み、解離液等不要な物質を使用することがなく、かつ物質の変性を伴わず短い時間で構成成分間の相互作用を調べることを可能とする技術を提供することを目的とするものである。「可逆的複合体」については、後述する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行なうフリーフロー電気泳動法により試料を分離するに当たり、試料として可逆的複合体を流し、電場によって可逆的複合体をその構成成分に分離し、該構成成分の相互作用の強さを決定する、可逆的複合体の構成成分の相互作用の決定方法に関する。
【0011】
さらに、本願の第2の発明は、試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行なうフリーフロー電気泳動法により試料を分離するに当たり、試料としての可逆的複合体を構成する少なくとも2種類の構成成分を別々に供給し、電場により電気泳動させることにより該少なくとも2種類の構成成分を合流させて可逆的複合体を形成させ、試料として形成された可逆的複合体をさらに流し、電場によって可逆的複合体をその構成成分に分離し、該構成成分の相互作用を決定する、可逆的複合体の構成成分の相互作用の決定方法に関する。
【0012】
さらに、本願の第3の発明は、試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行ない試料を分離するためのフリーフロー電気泳動装置において、試料としての可逆的複合体を流すための流床と、流床中の流れ方向と直角方向に電場をかけるための流床の両側に配置された一対の電極と、該構成成分の相互作用を決定する相互作用決定手段とからなる、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定するためのフリーフロー電気泳動装置に関する
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
(1)電気泳動装置
まず、図1(a)と図1(b)とに本発明で用いるフリーフロー電気泳動装置を示す。
フリーフロー電気泳動装置は、緩衝液を一定の方向に流すための扁平な空隙を流床とする電気泳動用流床1と、この流床の上流に設けた緩衝液導入口2と、流床に試料を注入するための試料導入口3と、流床の流床方向下流に設けた試料の分離成分を取り出すための分離成分分取口4,5,6と、流床の両側に流れと平行に設け緩衝液の流れに電界を印加するための第1、第2の電極7,8とからなり、流床は一対の互いに隔てたガラス板9,10により形成されている。電気泳動装置はそれ自体は既知であるので、詳細な説明は省く。
【0014】
(2)可逆的複合体
本発明の対象とする可逆的複合体とは、複数の構成成分で構成され、相互に静電的結合、分子間引力等によって結合され、電場を印加の下、電気泳動により可逆的に解離する複数の構成成分で構成される可逆的結合・解離可能な複合体を意味し、該複数の構成成分は電気泳動による移動度(例えば、等電点の相違による)が異なるため、電場印加下で電気泳動させることによって解離・分離可能となっている。可逆的複合体には、陰イオン−陽イオンの組合わせ、抗原−抗体等の蛋白−蛋白の組合わせ、蛋白−DNAの組合わせ、蛋白−RNAの組合わせ、ドナー−レセプターなどの様々な組合わせが挙げられる。例えば、陰イオン−陽イオンとの例としては、キシレンシアノ−ル(アニオン性色素)とサフラニンT(カチオン性色素)の組合わせ、オレンジG(アニオン性色素)とサフラニンTとの組み合わせ等がある。可逆的複合体を形成すると両者が混合した色を呈し、長時間経過すると沈殿を生じる。また、ターゲットとなる抗原に対して、種々の抗体を混合して可逆的複合体を形成して試料として用いると、抗原とそれらの各種の抗体との間の相対的結合強さを比較することが可能となる。
【0015】
試料としての可逆的複合体には、▲1▼可逆的複合体として既に存在しているものを使用する場合、▲2▼予め、可逆的複合体を形成して被分離試料として用いる場合、また▲3▼可逆的複合体の複数の構成成分を別々に流床中に供給し、流床中で電場を印加し電気泳動させることにより相互結合させ可逆的複合体を形成する場合等のいずれの可逆的複合体が含まれる。
【0016】
(3)緩衝液、緩衝液の流速、電場の強さ等の電気泳動分離条件
緩衝液、緩衝液の流速、電場の強さ等の電気泳動分離条件は、当業者であれば、対象とする可逆的複合体の種類、用いるフリーフロー電気泳動装置等を考慮して適宜決めることができる。
例えば、緩衝液としては、トリス・グリシン緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝液が利用でき、それらの緩衝液のイオン強度、pH等は種々調整できる。また、緩衝液のpHを変えることにより構成成分の電荷を変え、分離をより良好に行なうこともできる。電場の強さは、例えば、構成成分の分離能をあげるため、分離初期の電場を強くする等の調整を行なうこともできる。
【0017】
(4)可逆的複合体が電気泳動時点から分離開始をするまでの時間、距離の測定可逆的複合体は、電場の中に置かれてフリーフロー電気泳動にかけられた場合、すぐにその構成成分への分離は始まらず、少し電場の中を流れてから分離が始まる。微視的には分離しても、目視現象あるいは測定可能な現象として現れるまでは一定の時間が必要であるからである。この分離が始まるまでの時間、距離は可逆的複合体の強さを反映すると考えることができ、このような分離現象を利用することによって、単なる結合現象のみでなく、結合の相対的強さを測定することが可能である。従って、当該時間及び/または距離を測定することによって、可逆的複合体を構成する構成成分間の相互作用の強さを評価、測定することができる。
【0018】
可逆的複合体が電気泳動時点から分離開始をするまでの時間、距離は、例えば色の変化を分光器でモニターしたり、あるいは吸光度の変化をモニターしたり、・・・することによって測定することができる。当該時間および距離を予め決定しておいた換算方法によって、可逆的複合体を構成する構成成分間の相互作用の強さに容易に換算・決定できる。
または、可逆的複合体形成前の単一成分をそれぞれ単独で試料として泳動分離後の試料回収位置と複合体形成による相互作用により変化した試料回収位置を比較することによって換算・決定できる。
【0019】
(5)電気泳動パターン
▲1▼ 図2は、可逆的複合体を注入し、電気泳動開始時点から分離開始をするまでの時間及び/または距離を測定するモニター装置を備えたフリーフロー電気泳動装置の模式的説明図である。
【0020】
図中、21は、緩衝液を一定の方向に流すための扁平な空隙を流床とする電気泳動用流床であり、この流床の上流にはそれぞれ緩衝液導入口2と流床に試料を注入するための試料導入口3とが設けられ、試料の分離成分を取り出すための分離成分分取口5,6とが設けられている(緩衝液排出口4、分離成分分取口5,6の配列は図1参照)。図示しないが、流床の両側に流れと平行に設け緩衝液の流れに電界を印加するための第1、第2の電極が設けられ、また流床は一対の互いに隔てたガラス板により形成されている。緩衝液導入口2と試料導入口3とには、それぞれペリスタポンプ22,23を備えた緩衝液導入チューブ24と試料導入チューブ25とが接続されている。
【0021】
流床の上下にはそれぞれ照明30とミラー31とが設けられ、ミラーの反射面にフィルター32を介してTVカメラ33が対向している。TVカメラにはディスプレイ34と記録再生装置35とが接続されている。図中、40は制御部であり、図示しない切り換え弁の動作、ペリスタポンプ22,23の動作を制御し、電気泳動用流床に対して緩衝液と試料の供給、流床表面処理液、バッファー液、アルカリ性液、酸性洗浄液等の供給を所定のタイミングで切り換え制御することができるようにするとともに、照明30、TVカメラ、ディスプレイ装置34、記録再生装置35を制御し電気泳動の適切なモニターを可能とする。(なお、制御部は図2のように四角で囲うのではなく、制御すべきパーツと線でつなぎました)。
【0022】
図3に、電気泳動用流床に対する送液、試料分離・分取、洗浄を行なうに用いられる電気泳動装置の一実施態様を示し、図4に電気泳動用流床に対する送液、試料分離・分取、洗浄の制御例を示す。上記ディスプレイ装置に、上記照明、TVカメラ系の制御内容も含めて、図4の内容あるいはそれに対応する「試料送液」、「試料分離・分取」、「洗浄」のそれぞれの段階についての処理内容等が表示される。
【0023】
図をみると、同図に示されるごとくに、
第1のぺリスタポンプ(1)211および第2のぺリスタポンプ(2)212に関しては、それぞれ、「試料送液」、「試料分離・分取」、「洗浄」の各段階において、バッファー、バッファー、アルカリ、酸、バッファーのため、
第3のぺリスタポンプ(3)213に関しては、「試料送液」の段階の後半部、「試料分離・分取」、「洗浄」の各段階において、表面処理液、サンプル、アルカリ、酸、バッファーのため、そして、
第4のぺリスタポンプ(4)214については、「試料送液」、「試料分離・分取」の各段階において、バッファーおよび分離サンプルのため、
それぞれ、そのポンプ作動のための動作タイミングが図示のように設定されるものであることがわかる。
【0024】
また、同図に示されるごとくに、電源201については、「試料分離・分取」の段階において、電極105,105への電圧印加のため、その動作タイミングが図示のように設定されるものであることがわかり、さらに、照明、TVカメラ系からなるモータ装置(30、31、32,33,34,35)は、「試料送液」、「試料分離・分取」、「洗浄」の各段階において、「試料送液」ではサンプル導入前の気泡の有無の監視のため、「試料分離・分取」では分離状況の監視のためにモニタリングするため、「洗浄」では洗浄状況の監視のためのモニタリングのため、それぞれ用いられることがわかる。
【0025】
とくに、TVカメラ33によりビデオ撮像されたビデオ画像は、記録・再生装置35に記録され、リアルタイムでもしくは適宜の時機にディスプレイ装置34上に表示することができる。従って、流床上を流れる試料及び緩衝液の流動状態を時間経過とともにそれぞれ画像化し、記録して、画像解析に必要な1以上の画像をディスプレイ装置34によって表示したり、制御部40の演算回路によって解析することができる。
【0026】
ここに、サンプラー221は、サンプルストック用容器222に収容されている次のサンプルをサンプルカップ224(供給用サンプルカップ)に分注し、分注後、洗浄槽223にてノズル内外壁を洗浄されるものとすることができる。
また、表面処理液は、サンプルカップからチャンバーまでの、サンプルと接触する領域を表面に膜を張ることで、コンタミネーションを防止するためのものである。
【0027】
▲2▼ また、図5(a)は、試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行なうフリーフロー電気泳動法により試料を分離するに当たり、試料として可逆的複合体を流し、電場によって可逆的複合体をその構成成分11,12に分離する方法を模式的に示し、図5(b)は可逆的複合体を注入した個所から可逆的複合体の構成成分が分離し始める位置までの距離13を測定することにより、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さを決定する方法を模式的に示す。図5aのパターンとなるか、あるいは図5bのパターンとなるかは、電場の強さ、緩衝液、試料の流速等により決まる。
本測定では、可視化するために色素分子を用い、またはそのままでは観察が不可能なタンパク質などの分子は色素をラベルする必要があるが、それが不可能な場合には各々の分取口から試料を回収の後、その成分を測定することにより、分布により相互作用の程度を見積もることができる。
【0028】
(6) 可逆的複合体の少なくとも2種類の構成成分を別々に供給し、合流させて可逆的複合体を形成させ、再分離し、該構成成分の相互作用を決定する場合についてさらに説明する。
以下に、陰イオンと陽イオンとの場合について説明するが、複数の構成成分が電気泳動により同方向に移動する場合であっても、移動度(例えば、等電点の相違による)が異なれば、交差可能に構成成分の供給位置を調整すれば別々に供給した構成成分は同様に可逆的複合体を形成し、再分離、構成成分の相互作用の決定を行なえる。また、以下の場合、可逆的複合体として2種類の構成成分からなる場合について言及しているが、2種類以上であっても以下の方法が適用となることは容易に理解されよう。
【0029】
本実施の形態では、フリーフロー電気泳動装置の流床内で構成成分を反応させ可逆的複合体を形成し、形成された可逆的複合体を構成する構成成分を再度分離するという工程を1回の操作で行なうことができ、また反応前の試料を用いることが出来るので、複数の他の分子との相互作用を比較するのに便利である。例えば、試料導入口から注入する分子に対する相互作用を調べるためには、試料導入口から注入する分子を固定し、別の試料導入口から注入する試料を順次変えればよい。また、電極に対して同方向に電気泳動する分子を用いる場合でも、その電気泳動による移動度の違いを利用して合流させることは可能である。その場合、さらに多くの試料導入口を形成することは容易であるので、泳動距離を稼ぐように泳動方法の電極の反対側の電極に近い位置から試料を導入することも可能である。
【0030】
この方法では可逆的複合体が経時的に変性したり、あるいは不純物で汚染される可能性があり、予め存在する可逆的複合体あるいは予め用意した可逆的複合体を使用したのでは、構成成分間の相互作用を評価、測定するのに何らかの悪影響が考えられる場合に好適である。即ち、本方法では、電気泳動中に、純粋な構成成分から可逆的複合体が形成されるからである。
【0031】
図6は、上記方法を説明する模式図であり、フリーフロー電気泳動の試料
注入口を上流の2箇所3−1、3−2に設け、陽極に近い方の注入口3−1から陽イオン15を含む試料を流床中に導入し、陰極に近い方の注入口3−2から陰イオン16を含む試料を導入すると、陽イオンは陰極に向かって流れ、一方陰イオンは陽極に向かって流れ、流床の中央部で合流し、陽イオンと陰イオンとの間で可逆的複合体(イオンコンプレックス)が形成される。該可逆的複合体はしばらくそのままの状態で距離13だけ下流に流れる。そして、解離に必要な電場を印加されることによって可逆的複合体は再び解離する。即ち、フリーフロー電気泳動において、当該2つの試料導入口から相互作用を生じる試料を導入し、試料が交差し可逆的複合体を形成し、さらに解離反応と分離とを一度に行なわせることができる。
【0032】
(7)本発明の応用面
本発明は、可逆的複合体の相互作用を調べることが可能となると共に、結合の相対的強さを測定することができ、また可逆的複合体の前処理(粗分離)を行なうために用いることができる。また、対象物質と複数種類の構成成分との間の複数の可逆的複合体の混合物について、対象物質と該複数の構成成分の相互作用の強さを同時に比較し決定することが可能となる。例えば、当該対象物質に対して、IgE,IgG等モノクロナール抗体との相互作用を調べることが可能となる。従って、本発明は複数の測定項目(多項目測定)にも応用することすることが可能となる。可逆的複合体の相互作用およびその強さを調べることによって、創薬や、薬効等の研究に対して応用することができる。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
実施例1は、フリーフロー電気泳動装置において、イオンコンプレックス試料を導入した場合のイオンコンプレックスの分離を調べるものである。本実施例では、緩衝液としてトリス・酢酸緩衝液を用い、イオンコンプレックスとしてキシレンシアノ−ル、サフランTを用い、電圧3kVを印加した。始め、イオンコンプレックスは、流下するに従って解離し、成分と成分とに分離する。この場合、キシレンシアノ−ルは陽極側に、サフラニンTは陰極側に偏泳動する。結果を図7に示す。
【0034】
試験条件
試料:キシレンシアノール FF(アニオン染料)とサフランT(カチオン染料)の混合物(上記化合物の構造は既知でしょうから、構造式は不要ですね)
緩衝液: 20mMトリス−9mMホウ酸溶液/10%エタノールpH8.6
試料流速:30μl/min.x 7流出口
印加電圧:3kV(=I.2mA)
図8において、両分離流が陰極側に流れる現象について、打ち合わせの際お聞きし説明を受けたのですが、おぼろげです。すいませんが、ここで、アニオン染料であるキシレンシアノールの分離流が陽極側ではなく、陰極側に多少偏泳動しているのは電気的浸透流が作用している為の現象に基づく。
【0035】
この分離過程において、印加電圧、緩衝液のイオン濃度、pH等の条件を固定すると、イオンコンプレックスの結合強さに依存して、結合状態維持長さが変化する。本実施例から分かるように、本方法においては、対象となる分子を例えばバイオチップ等の基板に固定する必要も無く、また構成成分が結合している可逆的複合体を解離するのに解離液を別個用いる必要が無いので、各構成成分は変性を受けることが無く、そのものが本来有する性質を保ったままで評価することが可能となる。
【0036】
(実施例2)
実施例2は、図2に示すフローフロー電気泳動装置を用いて、可逆的複合体の少なくとも2種類の構成成分を別々に供給し、合流させて可逆的複合体を形成させ、再分離し、該構成成分の相互作用を決定する場合についての実施例である。本実施例では、試料としてキシレンシアノール、およびサフラニンTを用い、緩衝液として20mMトリス−9mMホウ酸バッファを用いた。バッファ流速210μl/min、2つの試料流速をそれぞれ10μl/minとし、3kVの電圧印加条件で行った。キシレンシアノール試料は電気泳動により陽極に向かって泳動し、サフラニンTは陰極に向かって泳動した。この2つの流れが合流し、イオンコンプレックスを形成したが、強電場により再び解離して単独成分となって分取口に向かって流れた。
【0037】
実施例1ではコンプレックス形成試料を用いたのに対し、本実施例2ではコンプレックスの形成反応もフリーフロー電気泳動装置内で行った。従って、一方の試料を固定し、他方の試料を変えることにより、結合の程度を種々の試料に対して連続的に測定できるというメリットもある。
【0038】
【発明の効果】
以上、上記の説明から分かるように、電気泳動の際に移動度の異なる構成成分であれば、それらの構成成分間の結合の強さの程度をフリーな溶液状態で、かつ解離液等を必要とせずに比較的簡単に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)と(b)は、本発明で用いるフリーフロー電気泳動装置を示す。
【図2】 可逆的複合体を注入し、電気泳動開始時点から分離開始をするまでの時間及び/または距離を測定するモニターを備えたフリーフロー電気泳動装置の模式的説明図である。
【図3】 電気泳動用流床に対する送液、試料分離・分取、洗浄を行なうに用いられる電気泳動装置の一実施態様を示す。
【図4】 電気泳動用流床に対する送液、試料分離・分取、洗浄の制御例を示す。
【図5】 (a)は、試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行なうフリーフロー電気泳動法により試料を分離する方法において、試料として可逆的複合体を流し、電場によって可逆的複合体をその構成成分に分離する方法を模式的に示し、(b)は可逆的複合体を注入した個所から可逆的複合体の構成成分が分離し始める位置までの距離を測定することにより、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さを決定する方法を模式的に示す。
【図6】 可逆的複合体の少なくとも2種類の構成成分を別々に供給し、合流させて可逆的複合体を形成させ、再分離し、該構成成分の相互作用を決定する方法を説明する模式図である。
【図7】 実施例1の結果を示す。

Claims (10)

  1. 試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行なうフリーフロー電気泳動法により試料を分離するに当たり、試料として可逆的複合体を流し、電場によって可逆的複合体をその構成成分に分離し、該構成成分の相互作用の強さを決定する、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定方法。
  2. 前記試料が、陽イオンと陰イオンで構成される可逆的複合体、抗原と抗体で構成される可逆的複合体、蛋白とDNA構成される可逆的複合体およびドナー分子とレセプター分子によって構成される可逆的複合体からなる群から選ばれた可逆的複合体である、請求項1に記載の可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定方法。
  3. 可逆的複合体を注入した個所から可逆的複合体の構成成分が分離し始める位置までの距離及び/または時間を測定することにより、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さを決定する、請求項1または2の可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定方法。
  4. 試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行なうフリーフロー電気泳動法により試料を分離するに当たり、試料としての可逆的複合体を構成する少なくとも2種類の構成成分を別々に供給し、電場により電気泳動させることにより該少なくとも2種類の構成成分を合流させて可逆的複合体を形成させ、試料として形成された可逆的複合体をさらに流し、電場によって可逆的複合体をその構成成分に分離し、該構成成分の相互作用の強さを決定する、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定方法。
  5. 前記試料の可逆的複合体の構成成分が、陽イオンと陰イオンの組合わせ、抗原と抗体との組合わせ、蛋白とDNAとの組合わせおよびドナー分子とレセプター分子との組合わせからなる群から選ばれた組合わせからなる、請求項4に記載の可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定方法。
  6. 可逆的複合体が形成された個所から可逆的複合体の構成成分が分離し始める位置までの距離及び/または時間を測定することにより、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さを決定する、請求項4または5の可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定方法。
  7. 試料及び緩衝液を上流から下流へ流しながら、流れと垂直に電圧を印加し電気泳動を行ない試料を分離するためのフリーフロー電気泳動装置において、試料としての可逆的複合体を流すための流床と、流床中の流れ方向と直角方向に電場をかけるための流床の両側に配置された一対の電極と、該構成成分の相互作用を決定する相互作用決定手段とからなる、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定するためのフリーフロー電気泳動装置。
  8. 前記試料が、陽イオンと陰イオンで構成される可逆的複合体、抗原と抗体で構成される可逆的複合体、蛋白とDNA構成される可逆的複合体およびドナー分子とレセプター分子によって構成される可逆的複合体からなる群から選ばれた可逆的複合体である、請求項7に記載の構成成分の相互作用の強さの決定するためのフリーフロー電気泳動装置。
  9. 前記相互作用決定手段が、可逆的複合体を注入した個所から可逆的複合体の構成成分が分離し始める位置までの距離及び/または時間を測定することにより、可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さを決定する、請求項7または8の可逆的複合体の構成成分の相互作用の強さの決定するためのフリーフロー電気泳動装置。
  10. 前記相互作用決定手段が、ビデオカメラを備え、流床上を流れる試料及び緩衝液の流動を画像化する、請求項7乃至9のいずれかに記載の可逆的複合体の構成成分の可逆的複合体の相互作用の強さの決定するためのフリーフロー電気泳動装置。
JP2002049702A 2002-02-26 2002-02-26 フリーフロー電気泳動法により可逆的複合体を構成する構成成分間の相互作用を決定する方法および装置 Expired - Fee Related JP3970050B2 (ja)

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