半導体デバイスの製造業者がより小さなデバイスを生産し続けるにつれて、こうしたデバイスの製造に使用されるフォトマスクに対する必要条件が厳しくなり続ける。レチクルまたはマスクとしても知られるフォトマスクは一般に、基板上に形成された吸収層(たとえば、クロム、または酸窒化クロム(chromium oxynitride)を有する基板(たとえば、高純度の石英、またはガラス)からなる。吸収層は、リソグラフィ・システムの半導体ウェハ上に転写することができる回路写像を表すパターンを備える。半導体デバイスの特徴寸法(feature size)が縮小すると、フォトマスクにある対応する回路写像は同様に、より小さくより複雑になる。その結果、マスクの質は、堅実で信頼性のある半導体製造プロセスを確立することにおいて最も重要な要素の1つになった。
フォトマスクの質を維持するために、製造プロセス全体を通してフォトマスクを追跡することが重要である可能性がある。従来の追跡技術は、フォトマスク基板の表面上に配置された識別マークを使用する。これらのマークは、物理的な、またはレーザのスクライビング技術を使用することによって表面に配置できる。しかし、スクライビング・プロセスは、基板の表面を汚染し、基板に形成されたパターン層に、不具合により誘発されたパターン誤り(pattern errors)を起こす、望ましくない粒子を生じる可能性がある。不具合および粒子は、基板の質を低下させる可能性があり、それが半導体ウェハの表面上に投影された写像の質に悪影響を与える可能性もある。
別の従来の追跡技術では、フォトマスクに関連する情報を含むバーコードが、回路パターンを形成するのに使用されるリソグラフィ・プロセス中に吸収層に形成できる。バーコードは、フォトマスクについての情報を提供するが、バーコードは、吸収層に回路パターンを形成するために使用されるリソグラフィ・プロセス中のみフォトマスクに形成することができ、バーコード内の情報は製造プロセスの別のステップの間に更新することができない。さらに、吸収層は、基板が再利用されるときに除去される可能性があり、したがって、基板と関連するバーコードのいかなる情報も失われることになる。
本発明の教示によれば、識別情報をフォトマスク基板に配置することに関連する短所および問題が実質的に低減され、または解消されている。特定の実施形態では、フォトマスク基板は、フォトマスク基板に関連する識別情報を蓄積する(store)基板の内側に形成されたマークを含む。
本発明の1つの実施形態によれば、フォトマスク基板に関連する情報を伝達する方法が、レーザを使用してフォトマスク基板の上面と底面の間に配置されたフォトマスク基板の領域を加熱するステップを含む。基板の領域に加えられた熱は、フォトマスク基板を識別する情報を蓄積するマークを基板の内側に形成するのに使用される。
本発明の別の実施形態によれば、フォトマスクが、マスク・フィールド(mask field)を実質的に囲む境界領域を有する基板を備える。基板の上面と底面の間に配置されたマークは、レーザを使用して基板の領域を加熱することによって形成される。マークは、基板を識別する情報を蓄積するように働く。
本発明の別の実施形態では、フォトマスクが、マスク・フィールドを実質的に囲む境界領域を有する基板を含む。基板の上面と底面の間に配置されたマスクは、レーザを使用して基板の領域を加熱することによって形成される。マークは、第1の表面および第2の表面のうちの少なくとも1つが増加した平面度を有するように、基板内の応力を変えるように働く。
本発明のいくつかの実施形態の重要な技術上の利点は、フォトマスクの質を向上させる基板の内側に形成されたマークを含む。製造プロセス中に、基板に破砕が形成されるようにフォトマスク基板の内側の局部的な領域を加熱するために、1つまたは複数のレーザが使用できる。レーザをその他の局部的な領域に移動させることによって、マークは基板の表面の下に形成することができる。マークは基板の内側に配置されるので、表面は半導体ウェハの上に投影される写像の質に悪影響を与える可能性のある、望ましくない粒子および不具合がない状態を保つ。
本発明のいくつかの実施形態の別の重要な技術上の利点は、製造プロセスでフォトマスクを識別する情報を蓄積するマークを含む。フォトマスクの耐用期間中に、フォトマスクに関連するある種の情報(たとえば、処理情報(processing information)および/またはフォトマスクの特性)を追跡することが有益である可能性がある。フォトマスクの基板に形成されたマークは、フォトマスクおよび/または半導体の製造プロセス中の任意のステップでフォトマスクを識別できるように、情報を蓄積することが可能であってもよい。マークは基板の内側に配置されるので、マークは基板が再使用されても、基板に関連する情報を識別するのに使用することができる。
本発明のいくつかの実施形態の別の重要な技術上の利点は、フォトマスク基板の反りを低減するマークを含む。フォトマスク基板に本来ある、ならびに/あるいは、吸収層および/またはペリクル・アセンブリによって生成された応力は、基板に反りを生じる可能性があり、半導体ウェハの上に投影された写像にレジストレーション誤り(registration error)を起こすことになる。応力がより支配的なフォトマスク基板内に1つまたは複数のレジストレーションにマークを形成することにより、基板の応力を変えて、より平らな平面を形成することができる。
本発明の様々な実施形態には、こうした技術上の利点の全てまたはいくつかが存在することができ、あるいは全く存在しない。その他の技術上の利点は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲から当分野の技術者には直ちに明らかになる。
本実施形態およびその利点のより完全で十分な理解は、同様の参照番号が同様の特徴を示す添付図面と共に以下の説明を参照して得ることができる。
本発明の好ましい実施形態およびその利点は、同様の番号が同様の対応する部品を示すために使用される図1から5を参照することによって最もよく理解される。
図1は、識別情報を含むマークを備えるフォトマスク・アセンブリ10の断面図を示す。フォトマスク・アセンブリ10は、ペリクル・アセンブリ14に連結されたフォトマスク12を備える。基板16およびパターン層18は、それには限定されないが円形、長方形、または正方形を含む多様な寸法および形状を有することができる、別の様式では、マスクまたはレチクルとして知られているフォトマスク12を形成する。フォトマスク12は、それには限定されないが、ワンタイム・マスタ(one−time master)、5インチ・レチクル、6インチ・レチクル、9インチ・レチクル、または半導体ウェハ上に回路パターンの写像を投影するのに使用できる任意のその他の適切な寸法にされたレチクルを含む、任意の様々なフォトマスクのタイプであることも可能である。フォトマスク12はさらに、バイナリー・マスク、位相シフトマスク(PSM)、光学的近位補正(OPC)マスク、またはリソグラフィ・システムで使用するのに適した任意のその他のタイプのマスクであることができる。その他の実施形態では、フォトマスク12は、ペリクル・アセンブリ14を含まないステップ・アンド・フラッシュ・インプリント・リソグラフィ(step and flash imprint lithography)(SFIL)マスクであることができる。
フォトマスク12は、基板16に形成されたパターン層18を備え、それはリソグラフィ・システム内で電磁エネルギーに曝されると、半導体ウェハ(明示されない)の表面上にパターンを投影する。基板16は、石英、合成石英、溶融石英、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、または約10ナノメートル(nm)と約450nmの間の波長を有する入射光の少なくとも75パーセント(75%)を伝達する、任意のその他の好ましい材料などの透明な材料であることができる。別の実施形態では、基板16は、シリコン、または約10nmと450nmの間の波長を有する入射光の約50パーセント(50%)より多くを反射する、任意のその他の適切な材料などの反射材であることができる。
パターン層18は、クロム、窒化クロム、金属オキシ・カルボ・ニトライド(oxy−carbo−nitride)(たとえば、MOCNなど、ただしMは、クロム、コバルト、鉄、亜鉛、モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、タングステン、アルミニウム、マグネシウム、シリコンからなる群から選択される)、または紫外(UV)領域、遠紫外(DUV)領域、真空紫外(VUV)領域、および極紫外(EUV)領域の波長を有する電磁エネルギーを吸収する任意のその他の適切な材料などの金属材料であることができる。別の実施形態では、パターン層18は、UV、DUV、VUV、およびEUV領域で約1パーセント(1%)から約30パーセント(30%)の透過率を有する、ケイ化モリブデン(MoSi)などの部分的に透過性の物質であることができる。別の実施形態では、フォトマスク12は、基板16に形成される吸収層が全くないように、基板16にエッチングされるパターンを有するSFILマスクであることができる。
フレーム20およびペリクル・フィルム22は、ペリクル・アセンブリ14を形成することができる。フレーム20は一般に、陽極処理アルミニウムから形成されるが、あるいはステンレス鋼、プラスチック、またはリソグラフィ・システム内で電磁エネルギーに曝された場合に劣化またはガス放出しないその他の適切な物質から形成することができる。ペリクル・フィルム22は、硝酸セルロース、酢酸セルロース、E.I.du Pont de Nemours and Company製のTEFLON(登録商標)AF、または旭硝子社製のCYTOP(登録商標)などの非結晶フッ化ポリマー、またはUV、DUV、EUV、および/またはVUV領域の波長に対して透過性である別の適切なフィルムなどの材料から形成された薄膜のメンブレンであることができる。ペリクル・フィルム22は、遠心鋳造法などの従来の技術によって特徴することができる。
ペリクル・フィルム22は、汚染物質がフォトマスク12から規定の距離を保つようにすることによって塵粒などの汚染物質からフォトマスク12を保護する。これは、リソグラフィ・システムにおいて特に重要である可能性がある。リソグラフィ・プロセス中に、フォトマスク・アセンブリ10は、リソグラフィ・システム内の放射エネルギー源によって生成された電磁エネルギーに曝される。電磁エネルギーは、水銀灯のほぼI線とG線の間、またはDUV、VUV、もしくはEUV光の波長などの様々な波長の光を含むことができる。動作中には、ペリクル・フィルム22は多くの割合の電磁エネルギーがそれを通過できるように設計されている。ペリクル・フィルム22上に集められた汚染物質は、処理されているウェハの表面で焦点から外れると見込まれ、したがって、ウェハ上に露光される写像が鮮明になる。本発明の教示に従って形成されたペリクル・フィルム22は、全てのタイプの電磁エネルギーを使用して満足のいくように使用することができ、本出願において説明される光波に限定されない。
フォトマスク12は、標準のリソグラフィ・プロセスを使用して、フォトマスク・ブランクから形成することができる。リソグラフィ・プロセスでは、パターン層18用のデータを含むマスク・データ・ファイル(mask data file)が、マスク・レイアウト・ファイル(mask layout file)から生成される。マスク・レイアウト・ファイルは、集積回路用のトランジスタおよび電気接続を表現するポリゴン(polygon)を含むことができる。マスク・レイアウト・ファイル内のポリゴンはさらに、集積回路が半導体ウェハ上に作製される場合に集積回路の異なる層を表現することができる。たとえば、トランジスタは、拡散層と多結晶シリコン層を備えて半導体ウェハ上に形成することができる。したがって、マスク・レイアウト・ファイルは、拡散層に描かれた1つまたは複数のポリゴン、およびポリシリコン層に描かれた1つまたは複数のポリゴンを含むことができる。各層のためのポリゴンは、集積回路の1つの層を表すマスク・データ・ファイルに変換することができる。各マスク・データ・ファイルは、特定の層のためのフォトマスクを形成するために使用することができる。
フォトマスクまたは半導体製造プロセス中に、製造プロセス全体を通してフォトマスク12を追跡するためにフォトマスク12に識別情報を配置することが有益である可能性がある。フォトマスクに識別情報を配置する従来の技術は、フォトマスクに回路パターンを形成するのに使用されるリソグラフィ・プロセス中に、吸収層のフォトマスクに関連する情報を含むバーコードを形成するものである。バーコードは、フォトマスクについての情報を提供することができるが、情報は、製造プロセス中を通してフォトマスクが移動する際に更新不可能である。さらに、バーコードは、基板が再利用される場合に除去される。
対照的に、マーク24は基板16の上面17および底面19に粒子を発生させずに、したがって不具合を生じることなく基板16に形成することができるので、上面17と底面19の間の基板16の内側に形成されるマーク24は、フォトマスク12の質を向上させる。マーク24は、基板16の領域を加熱するのに適した波長を有する1つまたは複数のレーザを使用して形成することができる。熱が基板16に加えられる場合、基板16の上面17および底面19を損傷せずに破砕(たとえば割れ目またはバブル(bubble))が形成できる。バブルは、基板16の表面の下にマーク24を形成できる。基板16の内側にマーク24を形成することによって、従来のスクライビング技術によって表面に形成される不具合を無くすことができる。
マーク24は、その配置が基板16内の応力を変えて、基板16が反るのを防止するように基板16に配置することができる。たとえば、マーク24は、応力の効果がより支配的である可能性のある、基板16の1つまたは複数のより外側の縁部に配置することができる。その他の実施形態では、マーク24は、基板16の1つまたは複数の角に配置することができる。応力によって基板16に反りが生じる可能性のある領域で基板16の応力を変えることによって、基板16の少なくとも1つの上面17および底面19の平面度を増加させることができ、反りによって生じるレジストレーション誤りを低減し、または無くすことさえ可能である。
いくつかの実施形態では、マーク24は、2次元形状(たとえば、正方形、長方形、円、卵形、三角形、および線)、3次元形状(たとえば、球、立方体、円筒形、およびブロック)、または基板16内の応力を変えるように設計された任意のその他のパターンであることができる。その他の実施形態では、マーク24は、バーコード、データ行列などの2次元のデジタル・コード、3次元デジタル・コード、英数字、2次元形状(たとえば、正方形、長方形、円、卵形、三角形、および線)、3次元形状(たとえば、球、立方体、円筒形、およびブロック)、ならびに光源を使用して走査され、または人間の目によって人為的に(manually)読取られる場合、基板16および/またはフォトマスク12についての情報を伝達するためのデータを蓄積する、任意のその他の適切なパターンであることができる。
1つの実施形態では、マーク24は、フォトマスク12に行われる製造の手順についての情報を蓄積するために符号化されることが可能である。フォトマスクの製造の手順は、それには限定されないが、リソグラフィ・プロセス、現像プロセス、エッチング・プロセス、洗浄プロセス、検査プロセス、計測学(metrology)プロセス、ペリクル装着、およびフォトマスクの製造プロセス中にフォトマスク12に行われる可能性のある、任意のその他の手順を含むことができる。別の実施形態では、それには限定されないが、フォトマスク・タイプ(たとえば、バイナリ(binary)、OPC、PSM、など)、波長の適合性(たとえば、365nm、248nm、193nm、156nmなど)、基板のタイプ(たとえば、石英、MgF2、CaF2、など)、吸収層の材料(たとえば、クロム、MOCN、MoSiなど)、ペリクルのタイプ(たとえば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、非結晶フッ化ポリマーなど)、および/または半導体製造プロセスにおいてフォトマスク・アセンブリ10がどのように製造できるか、または使用できるか決定するのに使用できる、フォトマスク12に関連する任意のその他の特性を含む、フォトマスク12の特性についての様々な情報を含むために、マーク24は符号化することができる。その他の実施形態では、その他のフォトマスクを生成するために基板16が再利用された回数、フォトマスク12が洗浄された回数、ならびに/あるいはペリクル・アセンブリ14がフォトマスク12から除去され、および/またはその上に再取り付けされた回数を示す情報を蓄積するために、マーク24は符号化できる。別の実施形態では、マーク24は、フォトマスクの製造の手順と、フォトマスクの特性と、フォトマスクが洗浄され、再利用され、ならびに/あるいはペリクル・アセンブリが除去されおよび/または再取り付けされた回数との任意の組合せを含むことができる。
マーク24は、フォトマスクの製造プロセス中にフォトマスクの製造の手順の任意の1つがフォトマスク12に行われる前、その間、および/またはその後の基板16の任意の部分に形成することができる。たとえば、マーク24は、フォトマスク・ブランクを形成するために吸収層が基板16に堆積される前に形成することができる。別の実施形態では、マーク24は、フォトマスク・ブランクが形成された後で、ただしフォトマスク12を形成するために吸収層がパターン化される前に、形成することができる。別の実施形態では、マーク24はフォトマスク12上のパターン層18が形成された後に形成することができる。その他の実施形態では、マーク24は、フォトマスク12が半導体製造プロセスに使用された後に、基板16に形成することができる。
いくつかの実施形態では、マーク24は、フォトマスク・アセンブリ10を製造するために使用する必要のある特定の手順、および/またはフォトマスク・アセンブリ10に適合する特定の半導体製造プロセスを決定するために、フォトマスク・アセンブリ10を識別するために使用することができる。たとえば、マーク24は、パターン層18にパターンを形成するためのリソグラフィ・プロセス、フォトマスク12の表面からいかなる汚染物質をも除去するための洗浄プロセス、および/またはフォトマスク12が適合するペリクル・アセンブリ14と組合せ可能なようにするフォトマスク12の特性を示す、符号化された情報を含むことができる。マーク24は、レーザまたは拡散光源などの光線をマーク24の上で走査することによって読取ることができる。光線は、基板に破砕があることを示す、信号対雑音比においての変化を検出することができる。変化は、光の光線を基板16を貫通して光源の反対側の検出器に伝達することによって、または基板16の内側のマーク24から光の光線を反射させることによって検出することができる。1つの実施形態では、光源は、基板16の表面に垂直に配置することができる。別の実施形態では、光源は、マーク24が正確に読取られるように、表面に対してある角度で配置することができる。
図2は、フォトマスク基板にマークを形成するのに使用されるシステム30のブロック図を示す。図示された実施形態では、システム30は、レーザ32、33、集束レンズ(focusing lense)34および35、ならびに制御装置36を備える。レーザ32、および33は、基板16にマーク24を形成するのに適した波長を生成する任意のタイプのレーザであることができる。いくつかの実施形態では、レーザの波長は基板16を形成するのに使用される材料に依存する。制御装置36は、レーザ32および33に接続可能であり、レーザ32および33にそれぞれ、光線38および39を生成するように指示することができる。光線38および39はそれぞれ、収束・レンズ34および35に向かって投影することができ、そのレンズは光線38および39を基板16内の単一の焦点に集束させる。1つの実施形態では、制御装置36は、マーク24を形成するために、光線38および39の焦点を基板16内の異なるレジストレーションに配置できるように、レーザ32および33を移動できる。別の実施形態では、基板16は、移動可能なプラット・フォーム(明示されない)に配置することができ、制御装置36は、移動可能なプラット・フォームに連結することもできる。制御装置36は、光線38および39の焦点が基板16内の適切な点に配置されるように、移動可能なプラット・フォームが基板16を特定のレジストレーションに移動するよう指示することができる。
光線38および39は、焦点で基板16と相互作用することができる。焦点での放射強度は、焦点の付近で基板16を乱し、または局部的に破壊する。これは、たとえば、焦点で基板16を加熱、溶融、および/または膨張させて、ひび割れまたはバブリング(bubbling)を生じることによって遂行することができる。焦点を基板16の表面の下の十分離れたレジストレーションに置くことによって、基板16の表面および周囲の領域は悪影響を受けないようにすることができる。
局部的な破壊または破砕は、基板16内に欠陥を生じる可能性があり、それは周囲の領域よりも低い半透明性を有する。その結果、局部的な破壊の点は、基板16内に入ったバブルのような、異物として現れる。局部的な破砕の特性、たとえば点の寸法は、レーザ放射の強度または長さを調整することによって制御することができる。一連の局部的な破砕(たとえば、ひび割れまたはバブル)は、基板16内のマーク24などの2次元および3次元写像を形成するように調整することができる。
レーザ32および33は、YAGレーザ、ハード・ボディ・インパルス・レーザ(hard body impulse laser)、パルス固体レーザ(pulsed solid−state laser)、Qスポイルド・レーザ(Q−spoiled laser)、または基板16に局部的な破砕を形成可能である任意のその他の適切なレーザであることができる。1つの実施形態では、レーザ32および33は、約50メガ・ジュール(50MJ)のエネルギー出力、約1ヘルツ(1Hz)のパルス周波数、および約10ナノ秒(10ns)のパルス長を有することができる。別の実施形態では、レーザ32および33の特性は、レーザ放射が、焦点の周囲の領域に悪影響を与えずに、焦点で基板16を分裂し、溶解し、または微小破壊するように選択することができる。
示された実施形態は、2つのレーザを備えるが、フォトマスク基板の内側にマークを形成するためのシステムは、1つまたは2つ以上のレーザを備える形態にすることもできる。さらに、システム30は、構造(たとえば、スキャナまたはステッパに使用されるレンズ)の表面に損傷を与えずに変えることができるマークを任意の適切な構造の内側に形成するために使用することができる。
図3は、基板16の内側に形成されたマークを備えるフォトマスク12の斜視図を示す。フォトマスク12は、基板16およびマスク・フィールド40によって形成することができる。基板16は、上面17および底面19を備えることができる。マスク・フィールド40は、上面17に形成することができ、図1に示すようにパターン層18を備えることができる。マスク・フィールド40は一般に、ウェハ(明示されない)の表面上に写像される領域として定義することができる。境界領域46は、マスク・フィールド40を囲むことができ、基板16の上面17を露出させることができる。別の実施形態では、吸収材料の層は、境界領域46に形成することができる。
示された実施形態では、マーク48は、基板16の1つの角に形成され、マーク50は、基板16の別の角に形成される。別の実施形態では、マークは、基板16の1つの角にのみ形成することができる。別の実施形態では、マークは、基板16の縁および/または角を含む複数のレジストレーションに形成することができる。たとえば、マーク48および50は、反りを防止するために基板16内の応力を変える、基板16内の任意の場所に配置することができる。基板16内の応力を変えることによって、マーク48および50は、上面17および底面19の平面の特性を向上させることができる。
いくつかの実施形態では、マーク48および50は、基板16、パターン層18およびペリクル・アセンブリ14を含むフォトマスク・アセンブリについての情報を含むことができる。たとえば、マーク48および50は、フォトマスク・アセンブリ10を製造するのに使用されるプロセス、フォトマスク12およびペリクル・アセンブリ14の特性、フォトマスク・アセンブリに適合する製造プロセスに関連する情報、ならびにフォトマスク・アセンブリ10、および製造プロセスでのフォトマスク・アセンブリ10の使用に関連する任意のその他の適切な情報を含むことができる。
1つの実施形態では、マーク48は、3次元のうちの任意の1つで読取りできるブロック52およびスペース54を含む(たとえば、マークが基板16の上面17、側面56および58から走査されると、同じ情報を得ることができる)3次元のパターン(たとえば、3次元の線状のバーコード)であってもよい。各ブロック52は、同じまたは異なる寸法形状を有することができ、同じまたは固有の情報を提供することができる。たとえば、各ブロック52は、フォトマスク12の特徴、フォトマスク12を製造するのに使用されるプロセス、および特定の半導体製造プロセスでのフォトマスク12の使用に関する情報を含むことができ、またはこの情報は、個々のブロックに含まれることができる(たとえば、ブロック52aはフォトマスクの特性を含むことができ、ブロック52bはフォトマスク製造プロセスを含むことができ、ブロック52cは適合する半導体製造プロセスを含むことができる)。1つの実施形態では、ブロック52が同じ距離で離間され、スペース54は同じであることができる。別の実施形態では、ブロック52が異なる距離で離間され、スペース54は異なる寸法であることができる。
1つの実施形態では、マーク50は、2次元で読取ることができる長方形および正方形などの形状を含む2次元のパターンであることができる。たとえば、マーク50は、デジタル・コードを含み、小さなスペースに約3,000字(character)より多く蓄積できるデータ行列60、62および64から形成することができる。1つの実施形態では、識別情報を得るためにマーク50を1つまたは複数の次元で走査できるように、データ行列60、62および64が同じ情報を含むことができる。別の実施形態では、データ行列60、62、および64は、異なる情報を含むことができる。たとえば、データ行列60は基板材料についての情報を含むことができ、データ行列62は、フォトマスク12を形成するのに使用される製造プロセスまたはリソグラフィ・プロセスについての情報を含むことができる。
マーク48および50は、基板16の上面17および底面19の間に形成することができる。1つの実施形態では、マーク48および50は、マーク48および50が基板16内に完全に含まれるように、上面17のわずかに下から底面19のわずかに上に延びることができる。たとえば、マーク48は、基板16の対角線に沿って、軸外しで配置することができる。別の実施形態では、マーク50は、側面56および58の上面17の下に特定の距離で(たとえば、x、y、またはz軸に沿った向きにされて)軸上に配置することができる。たとえば、基板16は約1/4インチ(1/4in)の深さを有することができ、マーク50は、上面17の下に約1/8インチ(1/8in)に配置することができる。マーク48および50を実質的に基板16の内側に配置することにより、フォトマスクおよび/または半導体製造プロセスに干渉する不具合または汚染を上面17および底面19のどちらかまたは両方から無くすことが可能になる。
図4は、基板16の内側に形成された複数のパターンを含むフォトマスク12の上面図を示す。フォトマスク12は、マスク・フィールド40およびその上に形成された境界領域46を有する基板16を備える。基板16は、さらに、マーク70、72、74、および76を含む(総括してマーク70と呼ばれる)。マーク70は、英数字のデジタル表現を蓄積するのに使用することができる、バーコードなどの任意の1次元のパターンであることができる。マーク72は、英数字のデジタル表現を蓄積するのに使用することができる、データ行列などの任意の2次元のパターンであることができる。マーク70および72に蓄積された情報は、走査されたデジタル情報を解釈する能力を有するコンピュータ(明示されない)に接続された光源(明示されない)を使用して、走査マーク70および72によって取り出すことができる。
マーク74および76は、フォトマスク12についての情報を伝達する英数字の任意の組合せであることができる。図示されるように、マーク74は、リソグラフィ・プロセスの特定の露光波長を伴ってフォトマスク12を使用できるのを示すために使用することができる。別の実施形態では、マーク74は、リソグラフィ・プロセス中にフォトマスク12と共に使用する最小または最大の露光波長を示すことができる。マーク76は、フォトマスク・タイプについての情報を伝達するのに使用することができる。たとえば、文字「PSM」は、フォトマスクが位相シフトマスクであることを示すことができ、文字「OPC」は、フォトマスクがマスク・フィールドに光近接補正の特徴を備えることを示すことができる。マーク74および76のどちらも、フォトマスクおよび/または半導体製造施設のオペレータ、技能者、または技術者によって読取ることができる。
マーク70は、実質的に特定の深さで基板16の内側に配置することができる。1つの実施形態では、マーク70は、基板16の上面と底面(たとえば図3に示される上面17および底面19)の間の中間の深さで配置することができる。別の実施形態では、マーク70は、上面のわずかに下、または底面のわずかに上に配置することができる。マーク70はさらに、基板16の縁から特定の距離で配置することができる。1つの実施形態では、マーク70は、基板16の縁とマスク・フィールド40の縁の間に等距離で境界領域46に配置することができる。別の実施形態では、マーク70は、基板16またはマスク・フィールド40のどちらかの縁により近付けて配置することができる。マーク70のレジストレーションは、上面17および底面19のどちらかまたは両方の反りを防止するように、ならびに平面度を増加させるように基板16内の応力を変えることができる。
図5は、基板16内の応力を低減および/または変える基板16の内側に形成されたマークを備えるフォトマスク12の上面図を示す。図示された実施形態では、応力の効果は、応力曲線80、82、および84(総括して応力曲線80と呼ばれる)に沿って示されるように、基板16の外縁によってより支配的である可能性がある。マーク86は、内部応力により基板16が反るのを防止するために1つまたは複数の応力曲線80と整列しかつ平行になるような形状にすることができる。この応力は、マスク・フィールド40に形成された(図1に示されるような)パターン層18によって与えられた、および/またはペリクル・アセンブリ14によって与えられた応力である。マーク86は、1つまたは複数の角領域に配置することができる。図示されるように、マーク86は対角線の角領域に配置することができる。別の実施形態では、マーク86は2つの隣接する角領域に配置することができる。他の実施形態では、マーク86は、4つの全ての角領域に配置することができる。
基板16は、あるいは、またはさらに反りを防止するためにマーク88を備えることができる。1つの実施形態では、マーク88は、応力曲線80と整列し、かつ平行になるような形状にすることができる。別の実施形態では、マーク88は、基板16の縁と整列し、かつ平行に配置される長方形であることができる。マーク88は、基板16の1つまたは複数の縁に配置することができる。図示のように、マーク88は、対向する縁に配置することができる。別の実施形態では、マーク88は、2つの隣接する縁に配置することができる。他の実施形態では、マーク86は、4つの全ての縁に配置することができる。マーク86、および88を基板16の1つまたは複数の外縁の付近および/または1つまたは複数の角領域に配置することによって、上面17および底面19のどちらか1つまたは両方がより平らになることができ、それはフォトマスクの質を向上させるために望ましいものである。
いくつかの実施形態では、マーク86および88は、フォトマスク12内の応力を変えるのに加えて、フォトマスク・アセンブリ10に関連する情報を蓄積することができる。たとえば、マーク86および88は、フォトマスク・アセンブリ10の製造に使用される手順、フォトマスク・アセンブリ10の特性、フォトマスク12が洗浄されおよび/または再利用された回数、ペリクル・アセンブリ14が除去され、および/または再取り付けされた回数に関連する情報、ならびに/もしくはフォトマスク・アセンブリ10を識別するためにフォトマスクおよび/または半導体製造業者によって使用できる任意のその他の情報を含むことができる。
本発明をその特定の好ましい実施形態に関して説明してきたが、当分野の技術者には様々な変更および修正を示唆することができ、本発明は添付の特許請求の範囲内にあるそのような変更および修正を包含することを意図する。