JP2007518397A - 植物生育用容器 - Google Patents

Abstract

一対の鉢により構成され、一方が他方内にはめ込まれて両者の間に密閉空間を形成するように配置されている植物生育用容器。これら両鉢間の同空間内に配置されたヒーターは同空間内に貯められている水を経由して内側の鉢およびその内部の土を加温し、同土内に埋め込まれている水生植物の根を加温状態に保つ。サーモスタットが同土の温度を予め決められた値に維持するために設置されている。

Description

本出願は、２００３年１１月１９日に出願した仮出願番号６０／５２３，４５３の特典を享受する。
本発明は植物生育用容器に関し、より詳しくは熱帯水生植物の生育用容器、さらに詳しくは越冬熱帯水生植物の生育用容器に関する。

周知のように、熱帯水生植物は耐寒性水生植物に比べてより温暖な根域を必要とする。もし植物の根域温度が７０°Ｆを越えている場合には、周辺の水温はそれほど重要なことではない。換言すれば、植物の根域温度は実際の水温あるいは気温よりも重要である。北方気候においては、水温は通常は６月の中〜下旬になるまで７０°Ｆに達しない。このことは、このような気候では熱帯水生植物の季節は非常に短いことを意味する。南方気候では同植物の季節は遥かに長いが、これらの多くは地球の赤道に沿った非常な熱帯地域に起源しているので越冬はそれでも難しい。フロリダのような地域でも、水温は冬季には短期間４５°Ｆを下回る。

典型的には、熱帯水生植物は温暖な生育季節中には池の中に鉢植えの状態で置かれている。通常、このような鉢植えの植物は生育期が終了する時点で越冬のために池からより温暖な場所に移される。

熱帯水生植物の越冬は非常に難しい処置を必要とし、これらの多くは一年生植物として取り扱われ、その季節が終わった時点で廃棄処分される。

従って、本発明の目的は熱帯水生植物の越冬を容易な方法で達成することである。
本発明の他の目的は北方気候下で通常の季節に比べて遥かに早期に熱帯水生植物の池の中への配置を可能にすることである。
本発明の更に他の目的は信頼性が高く安価な方法で熱帯水生植物の越冬に備えることである。
本発明の更に他の目的は季節にわたって熱帯水生植物を越冬させることである。

簡単に言うと、本発明は熱帯水生植物の越冬のための植物生育用容器を提供する。同植物生育用容器は一対の鉢を備え、該一対の鉢の一方が他方内にはめ込まれて両者の間に密閉空間を形成するように配置され、また内側鉢内部には土および植物根を収容するための空洞部が形成されている。更にこれら両鉢間の空間には加温手段が内側鉢を加温してその内部の土を加温するために配置されている。

本発明の一態様によれば、同加温手段は以下を備える：両鉢間の空間に配置される貯水部、および同空間内の水を加温するために同空間内に配置されるヒーター。同水の加温により、その熱は内側鉢内を移動して同鉢内の土およびその中の植物根を加温する。

同植物生育用容器は、同植物の根域を同植物の通常の習慣において通常の温度にまで暖める。従って、熱帯水生植物の越冬期間中、同植物根は温暖な環境下に維持され、従って同植物は健全な状態を維持する。越冬期間が終了すれば、同植物生育用容器および植物は元の池あるいは他の池に戻される。

同植物生育用容器内の土の温度は、サーモスタットを用いて一定の値に維持できる。すなわち、同サーモスタットは土の温度を検知して、その温度が予め決められた値よりも低下したならばヒーターを起動し、また予め決められた値を越えたならばヒーターを停止する。また、土を異なった温度にまで加温するために一対のサーモスタットを用いてよい。

同植物生育用容器は安価な材料で製作してよい。この場合、外側鉢は断熱性材料で、また内側鉢は伝熱性材料で製作する。

本発明の他の態様においては、同植物生育用容器の両鉢間の空間に、熱を均一に内側鉢に、従ってその内部の土に移動するために加温できるゲル物質を水の代わりに配置してよい。更に、内部鉢内の土に熱を移動させるために、例えば電気毛布のような方法で加温可能な電気素子を用いてもよい。

本発明の上記および他の目的ならびに効果は添付図面と共に以下に述べる詳細な説明により更に明らかとなろう。

添付図は本発明に従って製作された植物生育用容器の断面図を示している。

同図面において、植物生育用容器１０は一対の鉢１１、１２を含んでおり、該一対の鉢の一方が他方内にはめ込まれて両者の間に水を貯めるための空間１３を形成するように配置されている。

外側鉢１１は以下要素を備える：植物生育用容器を支持表面上に設置するための平らな底部１４、円錐形状を形成する直立壁１５、および壁１５の頂部に位置し軸方向外側に延びているリップ１６。外側鉢１１は断熱性材料で製作され、本発明の目的に好適なプラスチック製が好ましい。

内側鉢１２は以下要素を備える：外側鉢１１の底部１４から離れた位置にある底部１７、外側鉢１１の壁１５から離れた位置にある直立壁１８、および壁１５の頂部に位置する座つきリム１９。同座つきリム１９は外側鉢１１にしっかりとはめ込まれており、外側鉢１１のリップ１６の上側に延びている。

内部鉢１２の底部１７は図面では凹面を形成しているが、これ以外のいかなる好適な形状を形成してよい。更に、底部１７には複数のレグを有しており、その数は外側鉢底部１４に安定して置かれるように底部１７の下側形状に依存している。

内側鉢内部には土２１および熱帯水生植物根（図示されていない）を収容するための空洞部が形成されている。

ヒーター２２は、空洞１３内の水を加温する目的で外側鉢１１の底部１４と内側鉢１２の底部１７の間の空間１３に配置されている。図示されるように、ヒーター２２は電気式であり、電線２３によりトランス２４に電気的に連結されており、同トランスは電線２５により適切な電源にプラグで連結可能である。

トランス２４には通常は開の状態にあるスイッチ２６が装備されており、電線２３によりヒーター２２に電力を供給するためにトランス２４を選択的に起動する。

サーモスタット２７はヒーター２２に取り付けられており、これは内側鉢１２の底部の開口部を通って内側鉢１２により形成される空洞部内部に上方向に突き出して、空洞部内部の土の温度を検知する。同サーモスタット２７はトランス２４のスイッチ２６に動作可能なように連結されており、土の温度が予め決められた値（例えば７０°Ｆ）よりも低下したと検知されたならばそれに対応してスイッチ２６を選択的に動作させる。

更に、植物生育用容器１０にはカバー２９が装備されており、これは内側鉢１２の座つきリム１９の凹所内に取り付けられている。カバー２９には少なくとも１個の開口部３０が設けられており（例えばカバー中央部での開口部）、植物がそれを通過してその根が土２１に埋め込まれる。

カバー２９は断熱性材料で製作されており、これは植物生育用容器１０内の温度を保ち、その内部で植物が生育する容器１０の中心部に熱を集中的に移動させるためである。

ヒーター２２は動作する際には両方の鉢の間にある空洞部１３内の水を加温するために起動される。水はヒーター２２の周りで加温されたならば内側鉢１２の外側に沿って図示される矢印３１の方向に上昇することにより空洞部１３内での循環を開始して底部１７および直立壁１８を加温する。内側鉢１２は伝熱性材料で製作されているので熱は土２１内に向かって、従ってその中の植物根に向かって移動する。

水のより冷たい部分は外側鉢１１の内側に沿って図示される矢印３２の方向に下降する。外側鉢１２は断熱性材料で製作されているので発生した熱は植物生育用容器１０内に保たれることになろう。

サーモスタット２７は土の温度を調節する働きをする。その温度は使用されるサーモスタットによるが７０°Ｆ〜８５°Ｆである。従って、同温度が予め決められた値よりも低下したならばサーモスタットのスイッチ２６は閉の状態になりトランス２４はヒーター２２に電力を供給して空洞部１３内の水を加温し、土の温度を上昇させる。土の温度が予め決められた値に到達すれば、サーモスタット２７はスイッチ２６を開の状態にし、ヒーター２２を停止する。

外側鉢１１内での内側鉢１２は容易に交換可能であり、またそれは適切などのような伝熱性プラスチック材料で製作されてよい。

最初に、熱帯水生植物あるいはその他の適切などのような植物でも植物生育用容器１０内の土に鉢植えされ、次いでその鉢は通常の生育期間中には池内に配置され、越冬期間が始まるまで同植物は観賞に付される。

池の外部で植物を越冬させるために、植物生育用容器を池から保護された場所（例えば屋内）に移す。越冬期間中、トランス２４のプラグをコンセント（図示されていない）に挿入する。サーモスタット２７が植物生育用容器１０内の土２１の温度が予め決められた値（例えば７０°Ｆ）よりも低下したとの信号を伝送したならばヒーター２２は起動される。すると、空洞部１３内の水は加温され、内側鉢１２の壁１８に沿って対流を開始し、それにより土２１を望ましい温度まで均一な方法により加温する。このようにして、土２１は望ましい温度に維持され、植物根を暖かい状態に保つ。

越冬期間が終了すれば、同植物を外部温度に順化させるために植物生育用容器１０を適当な環境に移してよい。その後、植物生育用容器１０を元の池あるいは他の池に戻してよい。それ以外でも、植物生育用容器１０を池の中に直接的に置いてもよい。

同植物を池の中で越冬させるためには、トランス２４のプラグをコンセント（図示されていない）に挿入して上述した方法により土２１を加温する。

埋め込まれた熱帯水生植物根を二つの異なった温度域に加温するように植物生育用容器を製作してもよい。同植物を最初に北方気候に置く際には、温度を高温域に設定することにより季節の早期に必要とされる追加的な熱を与え、南方気候の温度まで加温する。休眠期間中には、同植物を適当な加温状態に維持して冬枯れを防止するために温度を低温域に設定してよい。

北方気候においては、同植物を冬季期間中に枯らさないように必要とされる熱を与えるために植物生育用容器を屋内に置いて、温度が低温域に設定されている水で満たす必要があろう。南方気候においては、温度を低温域に設定している植物生育用容器１０を全冬季期間にわたって池の中に置いたままにしてよい。真夏の期間中には、気温が低下するまで植物生育用容器１０のヒーターを切った状態にしてよい。

上述したように、本発明は熱帯水生植物（例えば熱帯スイレン）の生育期間を８週間以上延長できる加温可能な植物生育用容器を提供する。この点からすれば、同植物生育用容器は北方気候において適切な根域温度を維持することにより屋内で熱帯植物（特に熱帯スイレン）を越冬させることができよう。

同植物生育用容器は南方気候においては熱帯スイレンを、それを使用しなければ不可能な、屋外での越冬のために使用してよい。例えば、熱帯スイレンはエリア・ゾーン９ではうまく越冬できるが、エリア・ゾーン７〜８では冬枯れしてしまう。加温された植物生育用容器は植物の冬枯れを次の生育期間まで確実に防止するために根域温度を適切な値に維持しよう。

同植物生育用容器の使用により、新たに移植された熱帯スイレンの塊茎あるいは根付き植物を通常の生育用容器を使用した際に比べて遥かに素早く定着できる。

同植物生育用容器の使用により、その中に鉢植えされた植物を通常の生育用容器を使用した際に比べて大きく成長させ多くの花を咲かせることができる。

同植物生育用容器の使用により、内側鉢内の土を均一に加温し、従って土内での温点の発生を防止できる。

図１は本発明に従って製作された植物生育用容器の断面図を示している。

Claims (20)

1. 一対の鉢を含み、該一対の鉢の一方が他方内にはめ込まれて両者の間に空間を形成するように配置されている植物生育用容器であって、同一対の鉢のひとつである内側鉢の内部には土および植物根を収容するための空洞部が形成され、
   これら両鉢間の空間内には加温手段が同内側鉢を加温してその内部の土を加温するために配置されている、植物生育用容器。
2. 該加温手段が該一対の鉢の間の空間内に配置される貯水部および同空間内の水を加温するために同空間内に配置されるヒーターにより構成され、同水の加温によりその熱は該内側鉢内を移動して同鉢内の土およびその中の植物根を加温する、請求項１の植物生育用容器。
3. 一対の鉢を含み、該一対の鉢の一方が他方内にはめ込まれて両者の間に水を収容する空間を形成するように配置されている植物生育用容器であって、同一対の鉢のひとつである内側鉢の内部には土および植物根を収容するための空洞部が形成され、
   これら両鉢間の空間内に配置されている加温手段が同空間内の水を加温してその熱は同内側鉢内を移動して同鉢内の土およびその中の植物根を加温する、植物生育用容器。
4. 該一対の鉢の他のひとつである外側鉢は断熱性材料で、また該内側鉢は伝熱性材料で製作されている、請求項３の植物生育用容器。
5. 第一の底部と空洞部を形成する第一の直立壁を有する外側鉢；
   第二の底部と土および植物根を収容するための空洞部を形成する第二の直立壁を有する内側鉢であって、同第一および第二の直立壁ならびに同第一および第二の底部の間に水を収容する空間を形成するように同外側鉢内に配置されている内側鉢；および
   同内側鉢および外側鉢の間の空間内に配置されて同空間内の水を加温するヒーターであって、同空間内の水の加熱によりその熱は第二の直立壁を通過して同内側鉢内の土およびその中の植物根を加温するヒーター：
   を含む植物生育用容器。
6. 該外側鉢は断熱性材料で、また該内側鉢は伝熱性材料で製作されている、請求項５の植物生育用容器。
7. 該ヒーターに連結されてそれに対して電力を供給するためのトランス、
   該ヒーターに電力を供給するようにトランスを選択的に起動するためのスイッチ、および
   該内側鉢の空洞部内に配置され、そこでの土の温度を検知し、予め決められた土温度に対応してスイッチを選択的に動作させるために同スイッチに動作可能なように連結されているサーモスタット
   を更に含む、請求項５の植物生育用容器。
8. 該サーモスタットが該ヒーター上に設置され、該内側鉢の第二の底部を通過している、請求項５の植物生育用容器。
9. 更に、該内側鉢の上に設置され該空洞部を覆うカバーを有し、同カバーは植物がそれを通過する開口部を少なくとも一つ有している、請求項５の植物生育用容器。
10. 該内部鉢は該第二の底部の上側に複数のレグを有し、同レグにより該第一の底部から該第二の底部を離している、請求項５の植物生育用容器。
11. 該第二の底部が凹面を形成している、請求項８の植物生育用容器。
12. 第一の底部と空洞部を形成する断熱性の第一の直立壁を有する外側鉢；
    第二の底部と土および植物根を収容するための空洞部を形成する伝熱性の第二の直立壁を有する内側鉢であって、同第一および第二の直立壁ならびに同第一および第二の底部の間に水を収容する空間を形成するように同外側鉢内に配置されている内側鉢；および
    同内側鉢および外側鉢の間の空間内に配置されて同空間内の水を加温するヒーターであって、同空間内の水の加熱によりその熱は同内側鉢の伝熱性直立壁を通過して同鉢内の土およびその中の植物根を加温するヒーター：
    を含む、植物生育用容器。
13. 該ヒーターに連結されてそれに対して電力を供給するためのトランス、
    該ヒーターに電力を供給するようにトランスを選択的に起動するためのスイッチ、および
    該内側鉢の空洞部内に配置され、そこでの土の温度を検知し、予め決められた土温度に対応してスイッチを選択的に動作させるために同スイッチに動作可能なように連結されているサーモスタット
    を更に含む、請求項１２の植物生育用容器。
14. 該サーモスタットが該ヒーター上に設置され、該内側鉢の第二の底部を通過している、請求項１３の植物生育用容器。
15. 更に、該内側鉢の上に設置され該空洞部を覆うカバーを有し、同カバーは植物がそれを通過する開口部を少なくとも一つ有している、請求項１３の植物生育用容器。
16. 該内部鉢は該第二の底部の上側に複数のレグを有し、同レグにより該第一の底部から該第二の底部を離している、請求項１３の植物生育用容器。
17. 該第二の底部が凹面を形成している、請求項１６の植物生育用容器。
18. 更に、該内側鉢の上に設置され該空洞部を覆うカバーを有し、同カバーは植物がそれを通過する開口部を少なくとも一つ有している、請求項１２の植物生育用容器。
19. 該内部鉢は該第二の底部の上側に複数のレグを有し、同レグにより該第一の底部から該第二の底部を離している、請求項１２の植物生育用容器。
20. 該第二の底部が凹面を形成している、請求項１９の植物生育用容器。

Images