JP2007515445A - イオン性液体の存在での不均一触媒上のニトリル水素化 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1種の不均一触媒上で有機化合物に含まれるニトリル官能基を水素化する方法が記載され、水素化をイオン性液体の存在で実施する。

Description

本発明は少なくとも1つの不均一触媒上で有機化合物中に存在するニトリル官能基を水素化する方法に関する。
ニトリル、ジニトリルまたはトリニトリルは化学工業、製薬工業、および農業化学工業で広く使用される出発物質である。ニトリルまたはジニトリルの水素化はアミン、アミノニトリルまたはジアミンの取得を可能にし、これらの物質は基本的化学物質またはポリマー添加物として、界面活性剤として、キレート化剤として、または一般に化学合成に中間生成物として使用される。
ニトリル官能基の水素化に均一法および不均一法を使用できる。不均一法が工業的に有利であり、それは不均一触媒の使用およびこれらの触媒の回収が一般に均一触媒の場合よりかなり簡単であり、安価であるためである。
ニトリルまたはジニトリルの不均一水素化は例えば1種以上の金属、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、白金、レニウム、ルテニウム、および鉄からなる触媒を使用して実施する。ニトリルまたはジニトリルを水素化するこれらの触媒は一般に不十分な運転寿命を有する。更にニトリルから第一級、第二級または第三級アミンへの水素化の選択率が不十分であり、例えば第一級アミンの製造が期待される場合に、好ましくない、より高度に置換されたアミンがしばしば形成される。ジニトリルの水素化においても、しばしば中間生成物、アミノニトリルをジニトリルの高い変換率で、同時に高い選択率で得ることができない。
過剰のアンモニアの存在で高圧および高温で水素化を行うことによりニトリルの水素化で高い運転寿命および改良された選択率を達成できる。更に反応物質(例えばニトリルまたはアミン)または一般的な溶剤(例えば有機溶剤または水)のいずれかからなる溶剤がしばしば使用される。
前記欠点を避けるためにニトリルを水素化する公知方法にアンモニアまたは一般的な溶剤を使用する場合に、反応中の高圧だけでなく、アンモニアまたは一般的な溶剤を再循環する複雑な処理が一般に必要である。
ニトリルを水素化する方法における選択率を改良する他の可能な方法は添加剤の使用である。使用される添加剤はアルカリ金属水酸化物または水を有するかまたは有しないその類似物および、例えば対イオンとして水酸化物、アジ化物、フッ化物、チオシアニド、またはシアネートを有するテトラアルキルアンモニウム塩またはテトラアルキルホスホニウム塩である。ニトリルの不均一水素化の優勢な反応条件下で固形物としてまたは溶液の形で得られる塩は一般に公知方法で循環せず、その代わりに環境的に許容される方法で処理しなければならず、従って方法がより高価になる。
米国特許第3919271号はアンモニウムまたはホスホニウムスタネートまたはゲルマネート中の金属ハロゲン化物の分散液の存在でのニトリルの水素化を記載する。触媒量でのみ使用される分散液は回収されない。しかし100℃より高い融点を有するこれらの塩の使用は使用できる温度を制限し、水素化される混合物の極性の調節を制限する。更にスタネートおよびゲルマネートは毒性および廃物物の処理に関係する問題のために工業的規模で好ましくない。
酸の添加によりニトリル水素化の選択率の増加を達成できる。これは触媒の活性中心の可能な有利な変動のほかに、アンモニウム塩により形成されるアミンの除去を可能にする。しかしアルカリによりアミンを遊離しなければならない塩が形成され、この方法が固形物の処理が必要であることによりより高価になることが問題である。
従って本発明の課題は前記の欠点を大部分回避する、少なくとも1つの不均一触媒上でニトリル官能基を水素化する方法を提供することである。この方法において、公知方法と同じかまたは改良された選択率および運転寿命を達成するために、アンモニアとニトリルの低いモル比が有利に必要である。前記方法は特に有利にアンモニアの使用を完全に省くことができる。本発明のもう1つの課題は、満足な選択率および運転寿命に必要な全圧力が公知方法に比べて有利に減少している、少なくとも1つの不均一触媒上でニトリル官能基を水素化する方法を提供することである。前記課題はきわめて少ない廃棄物の発生および種々の生成物または再循環材料の簡単な、従って経済的な処理により達成すべきである。
前記課題の解決は、少なくとも1つの不均一触媒上で有機化合物に存在するニトリル官能基を水素化する方法から出発する。本発明の方法において、イオン性液体の存在で水素化を実施する。
イオン性液体は溶剤として作用することができる。
例えばイオン性液体を、本発明の方法に、単独溶剤として、すなわち出発物質および生成物に関して大過剰で使用することができる。
しかしイオン性液体を他の一般的な溶剤と組み合わせて使用することもできる。この場合にイオン性液体と溶剤の任意の比を使用できる。しかしそれぞれ全反応混合物に関して1〜99体積%、特に1〜50体積%、殊に1〜25体積%の一般的な溶剤中のイオン性液体の比が特に有利である。
一般的な溶剤はイオン性液体と同じ極性、類似の極性または相補的極性を有することができる。更に一般的な溶剤はイオン性液体と混合可能または混合不可能であってもよく、イオン性液体と安定なまたは不安定なエマルジョンを形成できる。
一般的な溶剤として、出発物質、すなわち水素化されるニトリルおよび/または生成物、すなわち製造されるアミンまたはアミノニトリルを、付加的な一般的溶剤と一緒にまたは付加的な一般的溶剤なしに使用することができる。
適当な一般的溶剤はメタノール、エタノール、高級アルコール、ポリオール、ピリジン、キノリン、ジクロロメタン、クロロホルム、アルキルニトリル、例えばアセトニトリル、ペンテンニトリル異性体、アジポニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水、アセトン、高級ケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、エステル、例えば酢酸エチル、酸、例えば酢酸、プロピオン酸、またはアジピン酸、アミンまたはジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、アミノカプロニトリル、トリアルキルアミン、および短鎖エステル、例えばジエチルエーテルからなる群から選択される極性溶剤である。適当な非極性溶剤は有利に炭化水素、芳香族化合物、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、およびオリゴマーまたはポリマーエーテルからなる群から選択される。
イオン性液体を、ニトリルを水素化する本発明の方法に添加剤として使用することも考えられる。イオン性液体の含量はそれぞれ全反応混合物に関して有利に0.0001〜10体積%、特に有利に0.001〜5体積%である。
本発明の方法において、イオン性液体が水素化中に液体の状態で存在することが有利である。これは費用のかかる複雑な固形物処理を省く。
水素化されるニトリルまたはジニトリルとイオン性液体の比、従って反応混合物の正確な組成はニトリルまたは形成されるアミンおよび選択される反応条件に依存する。この比は有利にきわめて高い収率およびきわめて高い選択率が達成されるように調節する。これを達成するために、導入される水素の量はニトリルの少なくとも一部を水素化するために十分に存在しなければならない。正確な圧力および温度条件は使用される反応物質および選択される反応条件に関係して調節する。
イオン性液体
イオン性液体はWasserscheid and Keim Angewandte Chemie2000、112、3926−3945の定義により、かなり低い温度で溶融し、非分子、イオン特性を有する塩である。イオン性液体はかなり低い温度においても液体であり、溶融した場合にかなり低い粘度を有する。イオン性液体は多数の有機、無機およびポリマー物質に対するきわめて良好な溶剤能力を有する。更にイオン性液体は一般に難燃性であり、測定できる蒸気圧を有しない。
イオン性液体は正イオンおよび負イオンから形成されるが、全体的に電気的に中性である。正イオンおよび負イオンは主に一価であるが、多価アニオンおよび/またはカチオン、例えばイオン1個当たり1〜5個、有利に1〜4個、特に1〜3個、殊に1または2個の電荷を有するものも可能である。電荷は種々の局在化されたまたは脱局在化された領域に、分子内部に、すなわちベタインのように存在することができるかまたは分離アニオンおよびカチオンに存在することができる。少なくとも1つのカチオンおよび少なくとも1つのアニオンから形成されるイオン性液体が有利である。
本発明は特定のイオン性液体に限定されない。種々のイオン性液体の混合物、例えば特に混合物の成分を濃縮するための一般的な固体、気体または液体の共留剤、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、エタンジオール、ベンゼン、シクロヘキサン、水等とイオン性液体の混合物を含むすべての適当なイオン性液体を使用できる。
有利に200℃未満、特に100℃未満、殊に76℃未満のきわめて低い融点を有するイオン性液体が有利である。
イオン性液体は有利に1000g/モル以下、特に500g/モル以下の分子量を有する。
有利なカチオンはアンモニウムイオンまたはホスホニウムイオンまたは少なくとも1種の燐原子または窒素原子および場合により酸素原子または硫黄原子を有する少なくとも1つの5員または6員の複素環を有するカチオンである。1個、2個または3個の窒素原子および1個の硫黄原子または1個の酸素原子を有する少なくとも1つの5員または6員の複素環を有するカチオンが有利である。1個または2個の窒素原子を有する少なくとも1つの5員または6員の複素環を有するカチオンがきわめて有利である。
更に一般式(Ia)〜(Iw)の化合物
Figure 2007515445
Figure 2007515445
Figure 2007515445
およびこれらの構造が存在するオリゴマーまたはポリマーから選択されるカチオンが有利であり、上記式中、
基R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ互いに独立に水素または場合により官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されたC〜C18−アルキル、場合により1個以上の隣接しない酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されたC〜C18−アルキル、C〜C12−アリール、C〜C12−シクロアルキルまたは5員または6員の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環を表すか、または2つの基が一緒に不飽和、飽和または芳香族の環であり、場合により1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断された環を形成し、その際基はそれぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されていてもよく、
はC〜C18−アルキロイル(アルキルカルボニル)、C〜C18−アルキルオキシカルボニル、C〜C12−シクロアルキルカルボニルまたはC〜C12−アリーロイル(アリールカルボニル)であってもよく、前記基はそれぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環により置換されていてもよく、C〜C18はアルキルに関する。
これらの定義において、
置換されていないかまたは置換基として官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環を有することができるC〜C18−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2.4.4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α、α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ(メトキシカルボニル)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、または60−エトキシヘキシルであり、および
1個以上の隣接しない酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により中断されていてもよいC〜C18−アルキルは、例えば5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
2つの基が環を形成する場合は、これらの基は一緒に1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C〜C−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、または2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを形成することができる。
イオン性液体中の酸素原子および/または硫黄原子および/またはイミノ基の数は制限されない。一般に基1個当たり5個以下、有利に4個以下、特に3個以下である。
更に少なくとも1個の炭素原子、有利に少なくとも2個の炭素原子が2つのヘテロ原子の間に位置する。
置換されたおよび置換されていないイミノ基は例えばイミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノ、またはt−ブチルイミノであってもよい。
更に官能基はカルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ(C〜C−アルキル)アミノ、C〜C−アルキルオキシカルボニル、シアノまたはC〜C−アルキルオキシであり、
置換されていないかまたは置換基として官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環を有するC〜C12−アリールは、例えばフェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジエトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−または4−ニトロフェニル、2,4−または2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、またはエトキシエチルフェニルであり、
置換されていないかまたは置換基として官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環を有するC〜C12−シクロアルキルは、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、または飽和または不飽和双環系、例えばノルボルニルまたはノルボルネンイルであり、
5員または6員の酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環は、例えばフリル、チエニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチエニル、イソプロピルチエニル、またはt−ブチルチエニルであり、
〜C−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、またはt−ブチルである。
〜C18−アルキロイル(アルキルカルボニル)は例えばアセチル、プロピオニル、n−ブチロイル、s−ブチロイル、t−ブチロイル、2−エチルヘキシルカルボニル、デカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、またはトリフルオロアセチルであってもよい。
〜C18−アルキルオキシカルボニルは例えばメチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、s−ブチルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、またはベンジルオキシカルボニルであってもよい。
〜C12−シクロアルキルカルボニルは例えばシクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、またはシクロドデシルカルボニルであってもよい。
〜C12−アリーロイル(アリールカルボニル)は例えばベンゾイル、トルイル、キシロイル、α−ナフトイル、β−ナフトイル、クロロベンゾイル、ジクロロベンゾイル、トリクロロベンゾイル、またはトリメチルベンゾイルであってもよい。
、R、R、R、RおよびRは有利に互いに独立にそれぞれ水素、メチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2(n−ブトキシカルボニル)エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノまたは塩素である。
は有利にメチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、アセチル、プロピオニル、t−ブチリル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはn−ブトキシカルボニルである。
特に有利なピリジニウムイオン(Ia)は、基R〜Rの1つがメチル、エチルまたは塩素であり、Rがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるか、またはRがジメチルアミノであり、Rがアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるか、またはRがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるか、またはRがカルボキシまたはカルボキサミドであり、Rがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるか、またはRとRまたはRとRが一緒に1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、Rがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるイオンである。
特に有利なピリダジニウムイオン(Ib)は、基R〜Rの1つがメチルまたはエチルであり、Rがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるか、またはRがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるイオンである。
特に有利なピリミジニウムイオン(Ic)は、基R〜Rがそれぞれ水素またはメチルであり、Rがアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、Rが水素、メチル、またはエチルであるか、またはRおよびRがそれぞれメチルであり、Rが水素であり、Rが水素、メチル、またはエチルであり、Rがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであるイオンである。
特に有利なピラジニウムイオン(Id)は、R〜Rがすべてメチルであり、Rがアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであるか、またはRがアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、他のすべての基が水素であるイオンである。
特に有利なイミダゾリウムイオン(Ie)は、互いに独立に、Rがメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、2−ヒドロキシエチル、および2−シアノエチルからなる群から選択され、Rがアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、R〜Rがそれぞれ互いに独立に水素、メチルまたはエチルであるイオンである。
特に有利な1H−ピラゾリウムイオン(1f)は、互いに独立にRが水素、メチル、およびエチルから選択され、R、RおよびRが水素およびメチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択されるイオンである。
特に有利な3H−ピラゾリウムイオン(1g)は、互いに独立にRが水素、メチルおよびエチルから選択され、R、RおよびRが水素およびメチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択されるイオンである。
特に有利な4H−ピラゾリウムイオン(Ih)は、互いに独立にR〜Rが水素およびメチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択されるイオンである。
特に有利な1H−ピラゾリニウムイオン(Ii)は互いに独立にR〜Rが水素およびメチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択されるイオンである。
特に有利な2H−ピラゾリニウムイオン(Ij)は互いに独立にRが水素、メチル、エチルおよびフェニルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R〜Rが水素およびメチルから選択されるイオンである。
特に有利な3H−ピラゾリニウムイオン(Ik)は互いに独立にRおよびRが水素、メチル、エチルおよびフェニルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R〜Rが水素およびメチルから選択されるイオンである。
特に有利なイミダゾリニウムイオン(Il)は互いに独立にRおよびRが水素、メチル、エチル、n−ブチルおよびフェニルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、RおよびRが水素、メチル、およびエチルから選択され、RおよびRは水素およびメチルから選択されるイオンである。
特に有利なイミダゾリニウムイオン(Im)は互いに独立にRおよびRが水素、メチルおよびエチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R〜Rが水素およびメチルから選択されるイオンである。
特に有利なイミダゾリニウムイオン(In)は互いに独立にR、RおよびRが水素、メチルおよびエチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R〜Rが水素およびメチルから選択されるイオンである。
特に有利なチアゾリウムイオン(Io)またはオキサゾリウムイオン(Ip)は互いに独立にRが水素、メチル、エチルおよびフェニルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、RおよびRが水素およびメチルから選択されるイオンである。
得に有利な1,2,4−トリアゾリウムイオン(Iq)および(Ir)は互いに独立にRおよびRが水素、メチル、エチルおよびフェニルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、Rが水素、メチルおよびエチルから選択されるものである。
特に有利な1,2,3−トリアゾリウムイオン(Is)および(It)は互いに独立にRが水素、メチルおよびエチルから選択され、Rがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、RおよびRが水素およびメチルから選択されるかまたはRおよびRが一緒に1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを形成し、ほかのすべてが水素であるものである。
特に有利なピロリジニウムイオン(Iu)は互いに独立にRおよびRがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R、R、RおよびRがそれぞれ水素であるイオンである。
特に有利なアンモニウムイオン(Iv)は互いに独立にRがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R、RおよびRがメチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、ベンジルおよびフェニルから選択されるイオンである。
特に有利なホスホニウムイオン(Iw)は互いに独立にRがアセチル、メチル、エチルおよびn−ブチルから選択され、R、RおよびRがフェニル、フェノキシ、エトキシおよびn−ブトキシから選択されるイオンである。
前記イオンの中でアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、ピリジニウムイオンおよびイミダゾリウムイオンが有利である。
きわめて有利なカチオンは1,2−ジメチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1−メチル−2−エチル−6−メチルピリジニウム、N−メチルピリジニウム、1−ブチル−2−メチルピリジニウム、1−ブチル−2−エチルピリジニウム、1−ブチル−2−エチル−6−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1.3.4−トリメチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3−メチル−2−エチルイミダゾリウム、3−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−1−エチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムおよび3−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムである。
1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムおよび1−n−ブチル−3−エチルイミダゾリウムが特に有利である。
ジアザビシクノネンまたはジアザビシクロウンデセンから誘導されるカチオンおよびその混合物または誘導体も可能である。
アニオンとして原則的にすべてのアニオンが考えられる。
有利なアニオンは、ハロゲン化物、F、Cl、Br、I、酢酸塩CHCOO、トリフルオロ酢酸塩CFCOO、トリフレートCFSO 、硫酸塩SO 2−、硫酸水素塩HSO 、メチル硫酸塩CHOSO 、エチル硫酸塩COSO 、亜硫酸塩SO 2−、亜硫酸水素塩HSO 、塩化アルミニウムAlCl 、AlCl 、AlCl10 、アルミニウム四臭化物AlBr 、亜硝酸塩NO 、硝酸塩NO 、塩化銅CuCl 、リン酸塩、リン酸塩PO 3−、リン酸水素塩HPO 2−、リン酸二水素塩HPO 、炭酸塩CO 2−、炭酸水素塩HCO 、スルホン酸塩−SO 、トシレートp−CHSO 、およびビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(CFSOである。
不均一触媒
本発明の方法に使用される不均一触媒は担体材料を含有することができまたは全活性触媒として使用することができる。更に不均一触媒は粉末の形で(懸濁法)または成形体(固定床)で存在することができる。典型的な成形体は、0.5〜5mmの特徴的直径を有する球、押出品、中空押出品、星形押出品、ペレット、粉砕材料等および他のモノリスおよび類似の構造充填物である(例えばUllmanns Encyclopedia、第6版、2000、Electronic Release、Fixed Bed Reactors、2部、Catalyst Forms for Fixed Bed Reactors)。
本発明は特定の不均一触媒に限定されない。すべての適当な不均一触媒を使用できる。適当な触媒は例えばニッケル、コバルト、銅、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、および白金からなる群から選択される金属からなる。前記金属触媒は場合により骨格触媒の形で存在できる。不均一触媒はドープされているかまたはドープされていない。適当なドーパント金属はIUPAC命名法(Handbook of Chemistry and Physics、80th edition、1999−2000)による元素周期表の3族〜12族の元素から選択できる。
更に不均一触媒として前記金属の組み合わせを使用することができる。
本発明の方法に担持された不均一触媒を使用する場合は、本発明は特定の担体材料に限定されない。例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、木炭、黒鉛、SiO、Al、ZrO、ZnO、TiO、MgO、ゼオライト、ハイドロタルサイト、または種々の可能な変態での当業者に知られた他の担体材料を使用することができる。担体材料は付加的に例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩または他に亜リン酸塩、ハロゲン化物および/または硫酸塩がドープされていてもよい。一般にこれらのドーピングにより酸/塩基特性を変性し、ドーピングが触媒特性に有利な作用を発揮する。前記水素化活性金属は適当な方法により、例えば含浸、イオン交換、共沈、例えば担体と一緒の沈殿、予め形成された担体への沈殿、化学蒸着(CVD)により担体に被覆できる。
本発明の方法に担持された不均一触媒を使用する場合に、触媒活性成分は全触媒に対して、有利に0.1〜60質量%、特に1〜50質量%、殊に2〜50質量%の量で存在する、
不均一触媒を、例えば固定床法のために、成形体の形で製造する場合は、任意の形を有することができる。典型的な成形体は0.5〜5mmの特徴的直径を有する球、押出品、中空押出品、星形押出品、ペレット、粉砕材料等および他のモノリスおよび類似の構造充填物である(Ullmanns Encyclopedia、第6版、2000、Electronic Release、Fixed Bed Reactors、2部、Catalyst Forms for Fixed Bed Reactors参照)。懸濁法では粉末の形で触媒を使用する。これらの粉末の典型的な粒度は1〜100μmであるが、例えば触媒担体としてカーボンブラックを使用する場合は、1μmより著しく小さい粒子も使用できる。懸濁法では濾過を不連続的に、例えば深層濾過により行うことができる。連続法では十字流濾過が可能である。
ニトリルまたはジニトリルの水素化が起こる限りで、一般に触媒とニトリルまたはジニトリルの所望のモル比を使用できる。触媒とニトリルまたはジニトリルの質量比は有利に0.0001:1〜1:1、特に0.001:1〜0.25:1である。
本発明のニトリルを水素化する方法において不均一触媒をイオン性液体と組み合わせて使用する。不均一触媒の極性およびイオン性液体の極性を互いに適合することが有利である。イオン性液体の極性の定義に関して、P.Wasserscheid、T.Welton(editors)、Ionic Liquids in Synthesis、WileyVCH、Weinheim、2003、94頁以降を参照できる。
従って極性表面を有する不均一触媒の場合は非極性イオン性液体が有利であり、非極性表面を有する不均一触媒の場合は極性イオン性液体が有利である。出発物質または生成物が異なる相に残るように、有利にイオン性液体および触媒を選択する。イオン性液体が触媒の不可逆的占有を阻止することが有利である。
従って本発明の第1の態様では、極性表面を有する不均一触媒および極性イオン性液体を使用する。この態様では触媒は実質的にイオン性液体により湿らせていない。
本発明の方法の第2の態様では、不均一触媒の表面は極性であり、比較的非極性イオン性液体により湿らせていない。
適当なイオン性液体と適当な不均一触媒の前記の選択の結果として、本発明の方法は、例えば沈殿成分の1つ、例えば水素化アミンにより高い選択率を示し、水素化アミンは水素化の反応条件から他の相(例えばエマルジョン中のきわめて小さい液滴を含む)に除去する。従って沈殿成分の物理的分離により選択率が高まる。
本発明の方法の第3の態様では触媒の表面が極性であり、極性イオン性液体により湿らせていることができ、非極性出発物質または生成物が第2相を形成し、活性触媒から分離することができ、副生成物の形成が減少する、
本発明の方法の第4の態様では非極性表面を有する不均一触媒および比較的非極性イオン性液体を使用できる。この場合に極性出発物質または生成物は第2相を形成することができ、活性触媒から分離できる。
本発明の方法の第5の態様において、可逆的に配位結合するイオン性液体により二次成分による触媒表面の不可逆的占有を阻止することができる。
本発明の方法の第6の態様において、それ自体弱くのみ配位結合するイオン性液体が極性、イオン環境を形成することができ、二次成分による触媒表面の被覆が阻止される(すすぎ効果)。
理想的な場合は、イオン性液体は、例えば触媒表面に、アミン最終生成物より強力に配位結合し、アミン最終生成物を排除し、その結果二次反応が避けられる。しかしイオン性液体の配位結合は出発物質の配位結合と同様であるかまたは弱く、出発物質とイオン性液体の交換が可能であり、出発物質が触媒表面で反応できる。
イオン性液体が配位効果を発揮する場合は、触媒表面がイオン性液体の分子に十分に接近可能であることが有利であるが、必ずしも必要でない。
水素化
本発明の方法を実施するために、溶剤またはイオン性液体が沈殿する際の種々の成分の極性および溶解度、粘度、密度およびガス流動性、または種々の段階の沈殿ガスの拡散速度を考慮することが有利である。
本発明の方法の水素化は再循環してまたは再循環せずに(1回の通過)行うことができる。更に水素化は連続的にまたは不連続的に行うことができる。完全に反応させるかまたは早く終了することにより部分的に反応させることができる。逆混合が可能であるが、この方法では必ずしも必要でない。本発明の方法は当業者に知られた適当な装置中で行うことができる。適当な装置の例は管形反応器、バブルカラム、オートクレーブ、圧力攪拌容器、またはカスケード反応器である。水素化は1つの装置でまたは連続した複数の装置で、例えば流れを下ってまたは流れを遡って行うことができる。
本発明の方法を実施する圧力は有利に1〜300バール、特に1〜200バール、殊に1〜150バールである。水素化は有利に少なくとも20℃、特に少なくとも50℃の温度で行う。水素化を250℃以下、特に200℃以下、殊に150℃以下の温度で実施する。
本発明の方法は、特に有利な構成において、少なくとも2個のニトリル官能基を有する有機化合物中のニトリル官能基の水素化に適している。これに関してジニトリルからのアミノニトリルの製造が特に記載すべきである。この例はアジポニトリルのアミノカプロニトリルへの水素化であり、その際ヘキサメチレンジアミンが少ない程度でのみ形成され、反応物質および反応条件の選択によりジアミンの割合を調節できる。
他の特に有利な構成において、本発明の方法は標準的な反応条件下で、例えば水素化生成物の存在で分解する不安定な有機化合物中のニトリル官能基の水素化に同様に適している。1つの例はイミノジアセトニトリルのジエチレントリアミンへの水素化であり、その際ジエチレントリアミンを高い選択率で製造できる。
本発明の方法をアンモニアの存在で、例えばニトリルに対するアンモニアのモル比10〜1、特に2〜1で実施することができる。しかし本発明の特に有利な構成において水素化をアンモニアの不在で行う。
流体中の水素含量または水素の後拡散がニトリル官能基の水素化に十分な限りで水素化に任意の水素含有流体を使用できる。水素化の反応時間は水素化される支持体、使用される触媒および水素化条件に依存する。
反応時間は例えば数分から数時間であってよい。水素化に使用されるガスは有利に1〜100体積%、特に50〜100体積%、特に90〜100体積%の水素を含有し、特に有利な構成において純粋な水素を使用する。
ニトリル官能基を水素化するために十分な水素が存在する限り、場合により流体中の水素とニトリルまたはジニトリルのモル比は重要でない。一般に水素を過剰で使用する。
本発明の方法からの反応生成物混合物、すなわち触媒(懸濁法の場合に)、イオン性液体および出発物質および生成物の後処理はそれぞれ個々の成分に関して別々にまたは方法の要求に応じて一緒に、例えば出発物質、所望の生成物および不純物または副生成物の特に有利な、簡単な蒸留により行うことができる。後処理を実施する他の可能な方法はイオン性液体から反応混合物を分離するための反応中の沈殿物の抽出である。濾過もイオン性液体および反応混合物から触媒を分離するために可能である。出発物質および/または生成物はイオン性液体および/または触媒から簡単な相分離により分離できる。イオン性液体のほかに一般的な溶剤を使用する場合はイオン性液体から溶剤を例えば蒸留により分離できる。イオン性液体と一般的な溶剤が互いに混合しない場合は一般的な溶剤からのイオン性液体の簡単な相分離も可能である。
懸濁法の場合は触媒およびイオン性液体を別々にまたは一緒に再循環することができる。固定床法ではイオン性液体を工程に再循環できる。
イオン性液体を有利に循環する。イオン性液体に蓄積する好ましくない物質を除去するために、イオン性液体の一部を系から、有利にパージ流として排出し、新鮮なイオン性液体と交換できる。パージ流の量は有利に0〜15質量%、特に10質量%未満、特に5質量%未満である。
工程からの排出の代わりのイオン性液体の後処理の他の変法は、例えば
混合しない溶剤、例えば水、有機溶剤および酸を使用する(イオン性液体が水溶性であるか水不溶性であるかによる)液−液抽出、
再結晶、
膜浸透または濾過および
不活性ガス、例えば窒素によるストリッピング、
イオン性液体の解離反応、成分の蒸留または抽出およびイオン性液体の再形成である。
理想的な場合はイオン性液体の後処理は必要でなく、それは反応成分または反応条件が互いに適合して、後処理を必要にする反応成分または副生成物の蓄積が生じないからである。
本発明の方法において有機化合物に存在するニトリル官能基を水素化する。有機化合物は有利に1,2または3個のニトリル官能基を有する。
以下の構造単位:
Figure 2007515445
(式中、Xはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびC〜C−アリールからなる群から選択される直鎖、分枝または環状基であり、YおよびZはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシアルキルおよびアミノアルキルからなる群から選択される)を有する有機化合物を水素化することが特に有利である。
本発明の方法において、ジメチルアミノプロピオニトリル、アミノアセトニトリル、ホルムアルデヒドシアノヒドリン、3−(2−エチルヘキソイル)プロピオニトリル、3−ジメチルアミノプロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルおよび脂肪酸ニトリルからなる群から選択される化合物を水素化することが特に有利である。アジポニトリル、イミノジアセトニトリル、イソホロンニトリルイミン、スベロンニトリル、ニトリロアセトニトリルおよびイソフタロニトリルが特に有利である。
従って本発明の方法により得られるアミンは以下の構造式を有する。
Figure 2007515445
本発明の方法により製造される化合物は公知である。アミノカプロニトリル、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、アミノアセトニトリル、トリスアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロパンアミン、メトキシプロピルアミン、3−(2−エトキシヘキソイル)プロピルアミン、イソホロンジアミン、8−アミノオクタニトリル、ジアミノオクタンおよび脂肪酸アミンが特に記載すべきである。
本発明の方法に出発物質として使用されるニトリルの製造は当業者に知られた任意の方法により実施できる。例はコルベ(Kolbe)ニトリル合成、シュトレッカー(Strecker)合成、水を除去する物質との酸アミドの加熱、不飽和ニトリルへの付加および水を除去した無水酢酸とのアルドキシムの加熱である。
本発明は更に少なくとも1個の不均一触媒上の有機化合物に存在するニトリル官能基の水素化への前記イオン性液体の使用に関する。
ニトリル官能基を含有する有機化合物、イオン性液体および不均一触媒に関して前記のことが言及される。
更に本発明の方法はなお議論していない利点を有する。
本発明の方法は例えば酸性イオン性液体との酸−塩基反応により生成物を分離する機会を提供する。この場合に所望の生成物を酸−塩基平衡の移動による蒸留およびイオン性液体生成物の付加化合物の分解により分離する。これは塩形成および溶剤からの分離による高価な複雑な固形物の処理を省く。
前記方法は、記載されるように、選択率の増加およびジニトリルの場合のモノ水素化および二水素化の生成物比に影響する。更に所望の生成物の収率が改良され、触媒の寿命が増加する。イオン性液体は使用されるカチオンおよびアニオンの変動により広い範囲の極性、溶解度、湿潤特性、融点、物理的および化学的特性に関する要求に適合できる。
選択率の増加のほかに、本発明の更に重要な利点はアンモニアまたは他の添加剤を添加しなくてもかなり低い圧力および低い温度で進行することである。
従って、公知方法に使用されるアンモニアを再循環するための圧力をかけた装置および圧縮器でできるような、例えば添加剤の燃焼による複雑な高価な廃棄物処理を省くことができる。使用されるイオン性液体はアンモニアを含む、他の場合に使用される多くの添加剤と異なり低い蒸気圧により簡単に、経済的に再循環できる。
本発明の方法を以下の実施例により説明する。
実施例
例1:
オートクレーブ中でアジポニトリル、トルエン、エチルイミダゾリウムクロリド(質量比=1:1:1)およびRu/炭素からなる触媒(4.1質量%)を混合し、100℃および100バールの圧力でアンモニアを添加せずに反応させる。12時間後、冷却により反応を中断し、相を分離し、相境界に最初に蓄積される触媒を濾別し、2つの相を分析する。
変換率:60%
選択率:アミノカプロニトリルに関して66%、ヘキサメチレンジアミンに関して7%、アミノカプロニトリルとヘキサメチレンジアミンの比:5:1。
例2
オートクレーブ中でアジポニトリル、トルエン、メチルイミダゾリウム硫酸水素塩(質量比=1:1:1)およびRu/炭素からなる触媒(3質量%)を混合し、100℃および100バールの圧力でアンモニアを添加せずに反応させる。18時間後、冷却により反応を中断し、相を分離し、触媒を濾別し、2つの相を分析する。
変換率:68%
選択率:アミノカプロニトリルに関して53%、アミノカプロニトリルとヘキサメチレンジアミンの比:8:1。
例3
オートクレーブ中でジメチルアミノプロピオニトリル、トルエン、エチルイミダゾリウムクロリドを1:1:1の比で、およびコバルト触媒(4.1質量%)を混合し、100℃および100バールの水素圧力でアンモニアを添加せずに反応させる。12時間後、冷却により反応を中断し、相を分離し、触媒を濾別し、2つの相を分析する。
変換率:100%
選択率:ジメチルアミノプロピルアミンに関して90%。
比較例C1:
オートクレーブ中でアジポニトリル、トルエン(質量比=1:1)およびRu/炭素からなる触媒(5.6質量%)を混合し、100℃および100バールでアンモニアを添加せずに反応させる。12時間後、冷却により反応を中断し、反応混合物を分析する。
変換率:100%
選択率:ヘキサメチレンジアミンに関して40%、アミノカプロニトリルおよびアジポジニトリルは検出されない。
比較例C2:
オートクレーブ中でアジポニトリル、トルエン(質量比=1:1)およびRu/炭素からなる触媒(5.6質量%)を混合し、100℃および100バールでアンモニアを添加せずに反応させる。6時間後、試料を取り、反応混合物を分析する。
変換率:69%
選択率:アミノカプロニトリルに関して37%、アミノカプロニトリルとヘキサメチレンジアミンの比:3.2:1。

Claims (10)

  1. 少なくとも1種の不均一触媒上で有機化合物に含まれるニトリル官能基を水素化する方法において、イオン性液体の存在で水素化を実施することを特徴とする少なくとも1種の不均一触媒上で有機化合物に含まれるニトリル官能基を水素化する方法。
  2. 極性表面を有する不均一触媒の場合には非極性イオン性液体を使用し、非極性表面を有する不均一触媒の場合には極性イオン性液体を使用しおよび/または出発物質または生成物が異なる相に維持されおよび/またはイオン性液体が触媒の不可逆的占有を阻止するようにイオン性液体および触媒を選択する請求項1記載の方法。
  3. イオン性液体が200℃未満の融点を揺する請求項1または2記載の方法。
  4. アンモニアの不在で実施する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. イオン性液体がアンモニウムイオンおよび/またはホスホニウムイオンおよび/または少なくとも1種の燐原子または窒素原子および場合により硫黄原子および/または酸素原子を含有する少なくとも1種の5員または6員の複素環を含有する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 懸濁法の場合には触媒および/またはイオン性液体を別々にまたは一緒に工程に返送するかまたは固定床法の場合にはイオン性液体を工程に返送する請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. ニッケル、コバルト、銅、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウムおよび/または白金をベースとする不均一触媒を、場合により骨格触媒として使用する請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 水素化を20〜250℃の温度および/または1〜300バールの圧力で実施する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 水素化されるニトリルが少なくとも1種の以下の構造単位:
    Figure 2007515445
    (構造単位中のXはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシカルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキルおよびC〜C−アリールからなる群から選択される直鎖、分枝または環状基である)を有する請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 少なくとも1種の不均一触媒上での有機化合物に含まれるニトリル官能基の水素化へのイオン性液体の使用。
JP2006546025A 2003-12-22 2004-12-20 イオン性液体の存在での不均一触媒上のニトリル水素化 Withdrawn JP2007515445A (ja)

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