JP2007512925A - 振動吸収層を有する滑走用板 - Google Patents

Abstract

【課題】滑走板に改善された振動抑制手段を提供する。
【解決手段】芯部材１３０と、下部構造層１３２と、上部構造層１３４と、下部構造層の下に取り付けられた基体１３４と、金属のエッジ部１３６とからなるスノーボードなどの滑走板である。振動吸収板１２０は上部構造層の外表面に取り付けられ、保護層１４０は振動吸収板と上部構造層の上に設けられる。振動吸収板は、スノーボードのビンディング取り付け領域１１０に取り付けられ、スノーボードに不可欠で取り外し不可能な部分である。上部構造層は、振動吸収板を収容可能な大きさと形状を有する凹部を備え、それによりスノーボードの上表面には突き出した部分が現れない。スノーボードは、振動吸収板上でビンディング基板をスノーボードに対し選択的に配置し、設置できるように、ネジ挿入部材１５２の列を有している。
【選択図】 図１

Description

この発明は、スポーツ用滑走板の構造、特にスノーボードの設計に関するものである。

スキーやスノーボードといったウインタースポーツは、世界中で大変な人気を博している。必要な器具の設計や構造の改良が続けられ、これらのスポーツの気軽さや楽しさは更に増してきている。例えば、ウインタースポーツで用いられる、ブーツやビンディングの発明は、特筆すべき進歩や安全性の向上、可能性（将来性）、使用者への快適さが得られた。

スノーボードやスキーの滑走板自体ももちろん改良されてきており、材料や製造方法、解析モデルの進歩によって、改良が進んでいる。例えば、最近のスキーやスノーボードは通常、木又は発泡樹脂、あるいは、木及び発砲樹脂により形成される芯材を有している。芯材は一層もしくは多層の荷重支持構造によって挟まれたり、包まれたりする。この構造層は、一般的に複合材料、例えばガラス、カーボン、ポリアラミド繊維強化樹脂で形成されている。また、一般的に保護層は構造層の上部表面に設けられ、滑走基体は構造層のすぐ下に貼り付けられている。保護層は、スノーボードに美的表現を与えるための装飾的な機能としての側面も有する。一つもしくは複数のエッジ部分は通常鉄やチタンといった金属で形成され、ボードの底部周辺に沿って設けられており、通常、滑走基体と同一面の底面を有している。

ビンディング装置は、滑走板の上に設けられ、例えば滑走板に一体的に形成されている、ネジ穴にボルトで固定される。ビンディングにはいくつかの種類があり、滑走スタイルに応じたビンディングが用いられる。例えばストラップ型ビンディングは、調節可能であったり、安全性があったり、装着感が快適であったりすることにより、スノーボードにおいて最も一般的に用いられる。しかし、ストラップ型ビンディングはブーツの着脱が難しいという面がある。また、ステップイン型ビンディングはブーツの着脱が容易で、人気が出つつある。その他のビンディングとしては、例えばフロー・イン型ビンディングやプレート型ビンディング、ベースレス型ビンディングなどがあり、アルペンレーサーやハーフパイプ、パークライド、フリースタイル等といった特殊な競技の滑走者に適している。一般的に、ビンディングは、使用者がスタンスの幅や角度、中心を調節可能にするために、様々な位置に装着が可能である。一般的に使用者は滑走スタイルの変化や雪のコンディション、もしくは技術の向上といったことに合わせて、ビンディングの位置を変えることを望むことがある。

スノーボードやスキーの滑走によって、滑走板やビンディングを介して滑走者のブーツや足に伝わる大きな振動が発生する。この振動は使用者の快適性やスポーツの楽しさを妨げる恐れがある。使用者に伝わる振動を低減するために、弾性を有する振動吸収板が、独立して、スノーボード上のビンディングとスノーボードの間に設けられている。しかし、分離した振動吸収板を用いた場合には、いくつかの欠点を有する。例えば振動吸収板は少なくとも部分的に露出しているため、弾性板を劣化させ、振動吸収板の定期的な交換が必要になる。また、使用者が異なる位置へのビンディングの調節を行いたいときに、振動吸収板の移動も必要になることによって、作業が複雑化する。その結果、適当でない位置へ振動吸収板を配置することにもなる。これは、使用者が斜面にいる間にビンディングの位置を調節したい場合に、特に不便である。ある状況での他の欠点として、振動吸収板がビンディングを滑走板の表面から持ち上げてしまい、使用者の装着感覚や操作性に悪影響を与えてしまうことがある。

このように、依然としてスノーボードやスキー等に用いる振動抑制手段の改善の必要性が残っている。

滑走板は、構造体によって実質的に収容される芯部材と、芯部材の上面を実質的に覆う上部構造層と、芯部材の下面を実質的に覆う下部構造層とを有する。上部構造層は、滑走板上でのビンディング取り付け位置を選択できるビンディング取り付け領域と、ビンディングを支持しない周辺領域とを形成する外表面を有している。振動吸収板は、ビンディング取り付け領域において、上部構造層の外面に取り付けられている。保護層は、振動吸収板が滑走板に固定されるように、振動吸収板を含む上部構造層の外面を覆う。基体とエッジ部は、滑走板の底面を形成する。

本発明の実施例において、振動吸収板は、スノーボードのビンディング取り付け領域上にのみ配置することができる。

本発明の実施例において、上部構造層は、滑走板の上面が横方向で実質的に平坦となるように振動吸収板を収容可能な大きさ及び形状の凹部を有する。

本発明の実施例において、振動吸収板は、前方部と、これと分離した後方部を有している。

本発明はキャップ構造によって作られた滑走板や、層構造によって作られたスノーボードに適用される。

添付した図も含めて以下の詳細な説明を参照することにより、発明がより理解され、本発明について前述した点と優位な点はただちに理解されるだろう。

図に関して、同じ数字は全ての図において、同じ部位を指すこととする。

図１は、本発明に基づいてつくられた、スノーボード１００の平面図で、図２は同じく側面図である。図にはスノーボードを示しているが、本発明はスキーなどの他の滑走板にも適用できる。スノーボード１００は、先端部１０２と、後尾部１０４と、中間の胴体部１０６とを有している。胴体部１０６は、前方と後方に分離した２つのビンディング取り付け部分１１０を、通常、胴体部１０６をはさんでその両端に有し、このビンディング取り付け部分１１０は、使用者のブーツ（使用者）を、スノーボード１００に取り付けるためのビンディング（不図示）を設置するためのものである。各ビンディング取り付け部分１１０は、スノーボード１００に設けられ、内部に設けられた金属挿入部材（図１には不図示）に通じる穴部１１２を多数有している。規格に合ったビンディングをスノーボード１００上の異なる位置に簡単に取り付けることができるように、穴部１１２は工業標準の配置に合わせることが好ましい。

図３は、後尾部１０４において線３−３におけるスノーボード１００の断面図である。図３に示すように、スノーボード１００は通常、キャップ構造で構成されており、例えば木又は発泡樹脂からなる軽量な芯材１３０を有している。下部構造層１３２は接着又は他の方法で芯材１３０の下部に設けられ、上部構造層１３４は芯材１３０の上部に取り付けられており、これによって比較的強固なはり構造を形成している。下部構造層１３２と上部構造層１３４は、一般的にグラスファイバーや樹脂といった、この技術分野で広く用いられている複合材料を用いて形成することができる。エッジ部分１３６は、下部構造層１３２の周囲に設けられ、スノーボード１００の外側の端全体を覆うように延びている。エッジ部分１３６は、鉄やチタンで形成されるのが望ましいが、他の頑丈な材料を用いてもよい。滑走パネルまたは基体１３８は、下部構造層１３２の下部に接着され、エッジ部分１３６の内側に配置されている。基体として適した材料は、この技術分野でよく知られている。例えばP-Tex（登録商標）として知られる超高分子量ポリエチレンなどの低摩擦材がある。上部シート又は保護層１４０は、上部構造層１３４の上部に接着される。この保護層１４０は、例えばポリウレタンなどの透明または半透明の熱可塑性材が好ましく、スノーボード１００の表面を実質的に覆っていて、その表面は装飾的なパターンやデザイン又は図柄（不図示）が印刷される。

図４には（図１中の）ビンディング取り付け部分１１０の後方を通る線４−４に沿ったスノーボード１００の断面図を示している。図４に示すように、振動吸収板１２０はスノーボード１００の内部に、保護層１４０と上部構造層１３４に挟まれて組み込まれている。図１において、先端部１０２と、後尾部１０４と、場合によっては胴体部１０６の中央部とはビンディング取り付け部分１１０の周囲に位置し、本実施形態では、これらの周辺領域は振動吸収板を設けないものとする。振動吸収板１２０は、柔軟な弾性材料で形成するのが好ましい。

図４に示すように、ビンディングのディスクまたは基板１５０は、例えば、基板１５０の穴部１５３を通ることにより、スノーボード１００に設けられ、内側にネジが形成された金属挿入部材１５２と係合する平ネジ１５４といった、装着用金属部品を用いることにより、スノーボード１００に選択的に装着される。通常、ネジ挿入部材１５２は芯材１３０と上部構造層１３４を介して延びている。ネジ挿入部材１５２は、一般的には（例えば図１の穴部１１２に示されるように）標準規格の間隔を有して配列され、通常、基板１５０には、使用者を適切な位置に配置したり、ビンディングを互いに異なる所望の場所に正しく配置したりできるような穴部１５３が設けられている。使用者のスノーボードスタイルや、雪の状態、使用者の状態や気分に応じて、その時々に所望の構成を変化させることができる。

一体的な振動吸収板１２０を備えていない従来のスノーボードにおいて、ビンディング板１５０は堅い上部構造層１３４に接着された保護層１４０に直接取り付けられる。その結果、曲がりにくく堅い層にビンディングが接触することで、スノーボードの振動がビンディングに伝わり、乗り心地が悪くなってしまう。図４に示した実施例では、振動吸収板１２０は上部構造層１３４と保護層１４０に挟まれることによって、スノーボードからの振動はビンディングに到達するより前に抑制される。

振動吸収板１２０は、スノーボード１００に一体的に組み込まれ、保護層１４０によって完全に覆われる。そのため、振動吸収板１２０は湿気やその他の外的要因から守られ、直接ビンディング自体に接触することはない。振動吸収板１２０は保護されているので、設計者が適切な材料を選択する幅を、保護されていない外側の弾性板に適した物を選ぶ場合に比べて、広げることができる。

図１と図４からわかるように、振動吸収板１２０によって、スノーボード１００の上表面は盛り上がる。これは、スノーボード１００に対する操作者の理想的なコントロールに影響を与えるとともに、美的観点からも好ましくない。図５はスノーボード２００における第１の他の実施例における、ビンディング取り付け部分の断面図である。わかりやすくするために、図５に示す断面にはネジ挿入部材穴１５２は通っておらず、ビンディングの基板１５０も示していない。スノーボード２００は、上述したスノーボード１００と同様であり、芯材２３０と、下部構造層１３２と、上部構造層２３４と、エッジ部分１３６と、基体１３８と、上部構造層２３４及び保護層２４０の間に配置された振動吸収板２２０とを有する。そのため、本実施形態の共通する部分は説明を省略する。スノーボード２００において、上部構造層２３４は、この上表面を規定する入り組んだ又は窪んだ部分２３５を有し、この凹部分２３５は、スノーボード２００の上面がビンディング取り付け部分１１０（図１）にあるような盛り上がりをもたないように、振動吸収板２２０を収容可能な大きさと形を有している。スノーボード２００の上面は横方向にほぼ平坦で、損傷の原因になりやすい出っ張りがないため、振動吸収板２２０を内部に配置することによって、運搬中や梱包中における振動吸収板２２０への損傷を軽減することができる。

図４、図５は、キャップ構造のスノーボード１００、２００を示しているが、本発明は、サンドイッチ構造のような、他の板構造を用いて実施してもよい。図６はスノーボード３００のビンディング取り付け部における断面図であり、このスノーボード３００はサンドイッチ構造を採用して形成されている。詳しくは、スノーボード３００は、芯材３３０と、下部構造層１３２と、上部構造層３３４と、エッジ部分１３６と、基体１３８と、上部構造層３３４と保護層３４０の間に挟まれて配置されている振動吸収板２２０とを有している。そして、説明の簡素化及び明確化のため、図６に示す実施形態のうち第１の実施例と共通する部分についての説明は、省略する。サンドイッチ構造を有するスノーボード３００の場合、少なくともスノーボード３００の胴体部において、上部構造層３３４は下部構造層１３２と直接接していない。側壁部材３２８は、少なくともスノーボード３００の周囲に沿って、上部構造層３３４と下部構造層１３２の外周端の間に設けられている。もちろん、側壁部材３２８は先端部１０２と後尾部１０４（図１参照）の周囲に伸びていなくてもよく、両構造層３３４、１３２の前方部と後方部が先端で当接するように、側壁部材３２８の端部をテーパ状にしてもよい。

ここで示した、好ましい実施形態では、上部構造層３３４は振動吸収板２２０を収容可能な大きさの凹部３３５を有する。ビンディング取り付け部分１１０のみに設けられた振動吸収板２２０は、スノーボード３００の内部にはめ込まれ又は組み込まれており、保護層３４０がほぼ平滑になることから、先に述べたような利点を得ることができる。

より好ましい発明の実施の形態について説明したが、この発明の精神及び範囲から外れない限りにおいて、様々な変更が可能である。

本発明に従って製造されたスノーボードの平面図である。 図1に示すスノーボードの側面図である。 図1中の線３−３におけるスノーボードの断面図である。 図１中の線４−４におけるスノーボードの断面図である。 図１に示すスノーボードに類似した他の実施例であるスノーボードの断面図であって、振動吸収板を収めるのに合った凹部を有する、上部構造層が設けられている。 図５に示した実施例に類似したスノーボードの他の実施例の断面図であり、サンドイッチ構造製法によって作製されている。

Claims (18)

1. 上面と下面を有する芯部材と、
   前記芯部材の上面を実質的に覆い、ビンディング取り付け領域と周辺領域とを有する外表面を含む上部構造層と、
   前記芯部材の下面を実質的に覆う下部構造層と、
   前記上部構造層の外表面におけるビンディング取り付け領域に取り付けられる振動吸収板と、
   前記上部構造層の外表面と、前記振動吸収板を覆う保護層と、
   前記下部構造層に取り付けられる基体とを有することを特徴とする滑走板。
2. 前記振動吸収板は、前記上部構造層の外表面のビンディング取り付け領域上にのみ設けられていることを特徴とする、請求項１に記載の滑走板。
3. 前記上部構造層は少なくとも１つの凹部を有し、
   前記振動吸収板は、前記上部構造層の少なくとも１箇所の凹部内に設けられていることを特徴とする請求項１に記載の滑走板。
4. 前記振動吸収板は、第１および第２の部分を有し、前記第１および第２の部分が隣接していないことを特徴とする請求項３に記載の滑走板。
5. 前記上部構造層は、キャップ形状を有するとともに、該上部構造層が該滑走板の側壁を構成するように、前記芯部材を収容する大きさを有することを特徴とする、請求項３に記載の滑走板。
6. 前記上部構造層と前記下部構造層の間において、該滑走板の周囲に沿って設けられた一対の側壁部材を有することを特徴とする請求項３に記載の滑走板。
7. 前記芯部材は、木及び発泡樹脂から選択される材料によって形成されていることを特徴とする請求項３に記載の滑走板。
8. 前記上部構造層と前記下部構造層が強化複合材料によって形成されていることを特徴とする請求項７に記載の滑走板。
9. 前方及び後方のビンディング取り付け領域と周囲の領域とを含む上部構造層と、下部構造層とを備えた構造体によって収容される芯部材と、
   前記上部構造層の前方のビンディング取り付け領域を覆う第１の振動吸収板と、前記上部構造層の後方のビンディング取り付け領域を覆う第２の振動吸収板と、
   前記芯部材と前記上部構造層を介して設けられる複数のネジ挿入部材と、
   該滑走板に前記第１及び第２の振動吸収板が固定されるように、前記上部構造層を実質的に覆うとともに、前記第１及び第２の振動吸収板を覆う保護層と、
   前記構造体に取り付けられ、該滑走板の底面を形成する基体とエッジ部材とを有することを特徴とする滑走板。
10. 前記第１及び第２の振動吸収板は、前記上部構造層における前方及び後方のビンディング取り付け領域上にのみ設けられていることを特徴とする、請求項９に記載の滑走板。
11. 前記上部構造層における前方及び後方のビンディング取り付け領域は、前記第１及び第２の振動吸収板が前記上部構造層の内部に配置されるように配置されていることを特徴とする、請求項９に記載の滑走板。
12. 前記上部構造層はキャップ形状を有するとともに、該上部構造層が前記構造体の側面を構成するように前記芯部材を収容する大きさを有することを特徴とする請求項１１に記載の滑走板。
13. 前記構造体は、前記上部構造層と前記下部構造層の間に位置する一対の周囲側壁部材を有することを特徴とする、請求項１１に記載の滑走板。
14. 前記芯部材は木及び発砲樹脂から選択される材料で形成されていることを特徴とする請求項９に記載の滑走板。
15. 前記上部構造層及び前記下部構造層が強化複合材料によって形成されていることを特徴とする請求項１４に記載の滑走板。
16. 上面と下面を有する芯部材を形成する工程と、
    前記芯部材に上部構造層を取り付け、前記芯部材の上面を実質的に覆う工程と、
    前記芯部材に下部構造層を取り付け、前記芯部材の下面を実質的に覆う工程と、
    前記下部構造層に基体とエッジ部を取り付け、該滑走板の底面を形成する工程と、
    前記上部構造層のビンディング取り付け領域において、柔軟性を有する振動吸収板を前記上部構造層に取り付ける工程と、
    前記上部構造層及び前記振動吸収板を実質的に覆う上部構造層に保護層を取り付け
    る工程とを有することを特徴とする滑走板の製造方法。
17. 前記上部構造層は、前記振動吸収板を収容するための凹部を有することを特徴とする請求項１６に記載の滑走板の製造方法。
18. 前記上部構造層は、該上部構造層が前記滑走板の側壁を構成するようなキャップ形状を有することを特徴とする請求項１７に記載の滑走板の製造方法。

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