JP2007508646A - 追記型記録用ジュアルスタック光データ記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
波長λが約655nmの集束放射線ビーム(9)を用いて記録される、追記型記録用ジュアルスタック光データ記憶媒体(10)について示した。放射線ビームは、記録の際に、媒体(10)の入射面(8)から入射する。媒体は、当該媒体の一つの側に存在する少なくとも一つの基板(1、7)と、追記型のL0記録層を有し、L0と称される第1の記録スタック(6)であって、光反射値RL0および光透過値TL0を有する第1の記録スタックと、追記型のL1記録層を有し、L1と称される第2の記録スタック(3)であって、有効光反射値RL1effを有する第2の記録スタックと、を有する。第1の記録スタック(6)は、第2の記録スタック(3)よりも、入射面(8)に近い位置に存在する。記録スタック(3、6)の間には、透明スペーサ層(4)が設置される。反射値RL0およびRL1effは、0.12≦RL0≦0.18、および0.12≦RL1eff≦0.18の範囲にあり、これによりジュアルスタック媒体の感度が向上する。
Description
本発明は、記録の際に、媒体の入射面から入射する、波長λが約655nmの集束放射線ビームを用いて記録される、追記型記録用ジュアルスタック光データ記憶媒体であって、
当該ジュアルスタック光データ記憶媒体の一つの側に存在する、少なくとも一つの基板と、
追記型のL0記録層を有し、L0と称される第1の記録スタックであって、光反射値RL0および光透過値TL0を有する第1の記録スタックと、
追記型のL1記録層を有し、L1と称される第2の記録スタックであって、有効光反射値RL1effを有する第2の記録スタックと、
前記記録スタックの間に設置された透明スペーサ層と、
を有し、
前記第1の記録スタックは、前記第2の記録スタックよりも、前記入射面に近い位置に存在するジュアルスタック光データ記憶媒体に関する。
当該ジュアルスタック光データ記憶媒体の一つの側に存在する、少なくとも一つの基板と、
追記型のL0記録層を有し、L0と称される第1の記録スタックであって、光反射値RL0および光透過値TL0を有する第1の記録スタックと、
追記型のL1記録層を有し、L1と称される第2の記録スタックであって、有効光反射値RL1effを有する第2の記録スタックと、
前記記録スタックの間に設置された透明スペーサ層と、
を有し、
前記第1の記録スタックは、前記第2の記録スタックよりも、前記入射面に近い位置に存在するジュアルスタック光データ記憶媒体に関する。
前述のような光記録媒体の実施例は、特開平11−066622号公報に示されている。
近年、CDよりも高いデータ記憶容量媒体として、デジタル多用途ディスク(DVD)のの市場シェアが拡大している。このフォーマットとしては、再生専用(ROM)、追記型(R)および書換可能型(RW)がある。追記型および書換可能型DVDの場合、いくつかの競合フォーマットが存在する:追記型のDVD+R、DVD-R、書換可能型のDVD+RW、DVD-RW、DVD-RAMである。追記型および書換可能型DVDフォーマットの共通の問題は、最大容量が4.7GBの単一スタックしか存在しないため、容量さらには記録時間が制限されることである。8.5GBの容量を持ち、時折DVD-9とも呼ばれるジュアル層媒体ROMディスクであるDVD-Video型の場合は、既に相当の市場シェアを確保していることに留意する必要がある。従って、8.5GBの容量を有する追記型および書換可能型DVDに対しては、大きな要求がある。
DVD+RWおよびDVD+Rに関する最も重要な事項の一つは、現存のDVD-ROM/DVD-Videoプレーヤーとの下位互換性である。現在開発されているジュアル層DVD+Rでは、既存のジュアル層DVD-ROM媒体との間で高い互換性が得られることが予想される;実験では、両層からの有効反射は、18%を超え、DVD-ROM-DLに要求される60%の信号変調が得られることが確認されている。ここで、「ジュアル層」および「ジュアルスタック」という用語は、しばしば同義語として使用されることに留意する必要がある。ジュアル層と記載されている場合、これが実際にはジュアルスタックを意味する場合がある。同様のことが、「単一スタック」と「単一層」という表現の間でも成立する。
ジュアル層(=ジュアルスタック)DVD-ROM標準規格と互換性のあるジュアルスタック式追記型DVD媒体を得るためには、上部L0層と下部L1層の両有効反射率は、少なくとも18%である必要がある。すなわち要求仕様に合致させるには、最小有効光反射レベルは、Rmin=0.18となる。有効光反射とは、例えばL0およびL1の両スタックが存在する場合に、L0およびL1のそれぞれに集束した光が、有効な光の一部として媒体から戻ってくるような反射が測定されることを意味する。最小反射Rmin=0.18は、DVD-ROMジュアル層(DL)標準規格の要求仕様である。
単一スタック媒体と同様に、DL媒体においても記録速度が重要な事項となることが予想される。特に、容量が倍増すると、ディスクに完全に記録がされるまでの消費者の待機時間は2倍になる。従って、単一層(SL)媒体で現在生じている高速化競争以上に、DL媒体の高速化競争が重要になるものと思われる。高速化競争によって再燃する問題は、記録パワーに対する要求である。色素系の追記型ディスクの場合、記録速度と要求レーザーパワーの間には、ほぼ直線関係が成立する。従って、最大速度は、既存の(または将来の)レーザーダイオードの能力に制限される。最近開発されたばかりの2.4倍速の媒体において、既に高記録パワーが要求され、将来のDL高速化競争が始まることは、望ましくない。利用可能なパワーマージンの目安として、我々は、最大出力パワーが30mWの現在の4倍速ドライブ装置、および最大パワーが40mWを超えると予想される将来の8倍速ドライブ装置を考えることができる。例えばドライブ装置の加熱、媒体の変動、波長依存する感度変化等、があるマージンで許容される場合、4倍速および8倍速の単一層媒体の公称記録パワーは、著しく低下し、すなわち、2.4倍速では<15mWとなり、4倍速では<19mWとなり、8倍速では<30mWとなる。機械的な制限から、DVDの高速度競争は、16倍速記録に制限されることに留意する必要がある。この場合、記録パワーは50mWである。経験上、記録速度Xに対する単一層DVD+R記録パワーの依存性は、図2に示すように、PSL(X)=2.73×X+8.24(単位mW)で表される。現在のDVD+R-DL研究の状況に基づけば、2.4倍速の記録速度での記録パワーは、25mW乃至35mW(目標=30mW)の範囲となることが予想される。すなわち、2.4倍速ジュアル層DVD+Rの記録パワーは、単一層DVD+Rの2倍:PDL=2×PSLとなる。これは、図2に示すように、ジュアル層DVD+Rの高速化競争の開始点(出力の観点から)が、極めて好ましくないことを意味する。
DVD+R-DLの問題は、記憶容量がほぼ2倍になるものの、利用できる記録速度には限界があることである。例えば、現在のDVD+R単一層は、8倍速で記録できるが、DVD+R-DLでは、2.4倍速が限界である。DVD+R-DLがDVD+R単一層の高速度競争と足並みを揃えることができれば、DVD+R-DLの普及上、極めて好ましい。現在のDVD+R-DL媒体は、レーザーパワーの限界のため、この高速度競争に追随するにはあまりに感度が低い。
特開平11−066622号公報
本発明の課題は、最初の段落で示したような、記録感度が改善されたジュアルスタック光データ記憶媒体を提供することである。
この課題は、0.12≦RL0≦0.18、0.12≦RL1eff≦0.18であることを特徴とする、本発明による光データ記憶媒体によって達成される。出願人は、反射パラメータがこの範囲にあるときに、読み出される記録情報の信号強度と記録層感度との間に、良好な均衡が得られることを見出した。これらの有効反射範囲では、現存の多くのDVDプレーヤーとの間で再生互換が可能となる。そのような反射率範囲は、例えば相変化技術に基づく、現在の書換可能型(RW)ジュアルスタックDVDでは達成できないことに留意する必要がある。
前記高感度のため、レーザーパワーを高くしなくても、記録速度の向上が可能となる。0.15≦RL0≦0.18で、0.15≦RL1eff≦0.18である場合は、特に有意である。この範囲は、DVD-ROM DL標準規格の下限に極めて近いため、この条件を満たす媒体は、高い確率で旧式のDVD+R-DLプレーヤーで再生することができる。現存のジュアル層DVD-ROM媒体との完全互換性を保証するためには、最低18%の反射レベルが必要であることは明らかである。これに対してハードウェアからの観点では、DVD-ROMドライブ装置およびプレーヤーでは、実際には、より低い反射レベルが取り扱われる。「低」反射ジュアル層DVD媒体の初期再生試験では、選定された既存の市販のプレーヤーのうちの約75%において、13%の反射値を有するディスクを適正に再生することができることが示されている。前述のように、15乃至18%の反射範囲を考慮すると、この確率は十分に高いと言える。また、例えばDVDプレーヤーの光ピックアップユニット(OPU)の改良によって、近い将来には、より低い反射ディスクにおいても、より容易に再生することができるようになると予想される。
L0スタックの反射および透過は、主として、例えばAgまたはAg合金のような半透明ミラーの厚さdL0Mを変えることによって調節され、またある程度までは、色素の吸収率によって調節される。例えばAgの場合、Agの関心厚さ範囲にわたって、反射および透過は、Ag厚さに対してほぼ直線的に変化することが明らかとなっている。ここで、現在のスタック設計においては、以下の関係式が使用される:TL0(dL0Ag)=−3.7×dL0Ag+105(%単位)、およびRL0(dL0Ag)=2×dL0Ag−8.8(%単位)であり、dL0Agは、図4に示すように、nm単位である。L0スタックの全吸収に対する第1の記録層厚さ(色素)の寄与は、比較的小さい。従って、L0の反射および透過の大部分は、Ag合金の厚さの選択によって定まる。残念なことに、半透明ミラーにおいて直接消散する入射レーザーパワーの大部分は、色素層の記録に寄与しない。ミラーに生じた熱は、色素の熱伝導率が極めて低く、ミラーの熱伝導率が極めて大きいため、色素には到達しない。これは、図3に示すように、RL0(およびTL0)値の広い範囲にわたって、L0の記録に必要なパワーが一定に維持されることを意味する。
L1での高い反射値は、L0の高透過値と組み合わせたときにのみ得られる。有効L1反射は、TL0に対して二次関数的に変化し、RL1eff=RL1×TL0 2となるためである。RL0は、実質的にRL1effと等しいことが好ましい。この場合、光ドライブ装置の読み取り用放射線ビームによって、媒体の両スタックから均衡のとれた反射が生じる。L0およびL1の有効反射は、等しいこと、すなわちRL1eff=RL0であることが好ましく、L1の最大許容吸収値は、AL1max=1−RL0/TL0 2に制限される。実際には、L1の反射は、屈折の影響も受けるため、AL1maxよりも小さくなる。ジュアル層ディスクにおけるL1の記録パワーは、(AL1×TL0)-1に比例する。この点を考慮することにより、ジュアル層ディスクの有効反射レベルReffに及ぼすL1記録パワーの依存性を予測することができ、RL1efff=18%の場合、記録パワーPL1,eff=30mWとなる。
前述のTL0とRL0の実験関係式を用い、L0とL1の有効反射が等しいとし、さらにAL1=1−RL1と仮定した場合、有効反射は12%となり、L1の必要記録パワーは、半分となる。すなわち、単一層媒体と同じ値となる。L0の感度は、吸収値kの大きな色素を用いることによって改善され得ることに留意する必要がある。計算結果は、L0の感度を向上させることによって、実際に約60%の透過性を得ることができることを示している。
前記第1の記録スタックは、厚さがdL0Mで吸収係数がkL0Mの第1の反射層を有し、前記L0記録層は、吸収係数がkL0Rで厚さがdL0Rであり、(kL0R×dL0R+kL0M×dL0M)<0.08×λである場合に、60%以上のTL0が得られる。これは、図9から推定される。この図には、2種類の異なる色素1および2に対するTL0の計算結果が示されている。これらの2種類の色素の場合の、波長の関数としてのkの値が図7に示されている。
2層の有効反射値と感度の均衡をとるためには、前記第2の記録スタックは、第2の反射層を有し、前記L1記録層は、吸収係数kL1Rを有し、前記第2の記録スタックの固有反射RL1は、0.30乃至0.60の範囲にあり、0.075<kL1R<0.25であることが好ましい。またk値が0.05、0.15および0.25のそれぞれの場合の、反射値と色素厚さの関係は、図12に示されている。ここでは、2つの異なるレベリングパラーメータ(L=0.375、L=0.3)を仮定している。レベリングパラーメータLは、(ddyegroove−ddyeland)/dGとして定義され、この式中、ddyegrooveは、グルーブ(=dR)内の記録層(色素)厚さ、ddyelandは、ランドでの記録層(色素)の厚さ、dGは、プリグルーブの深さである。本発明によるジュアルスタック光データ記憶媒体のL1スタックの場合、第2の反射層は、追記型L1記録層の入射面から最も遠い側に存在する。ある実施例では、第2の反射層は、金属であり、厚さがdL1M≧25nmであり、色素層の厚さdL1Rは、0<dL1R≦3λ/4nL1Rであることが好ましい。後者の範囲は、従来の単一スタックの追記型媒体の範囲である。dL1Mが25nmよりも薄い場合、反射率は極めて小さくなる。追記型ジュアルスタックDVD媒体の下部L1スタックは、上部L0スタックを通って記録データを再生するため、放射線ビーム波長において大きな反射率を有する必要がある。
ある実施例では、第1の反射層は、厚さがdL0M≦16nmであり、dL0M≦12nmであることが好ましく、主として、Ag、AuまたはCuの中から選定されたいずれかを含む。このスタックの場合、比較的薄い第1の反射層は、色素とスペーサの間に設置される。第1の反射層は、半透明層として機能し、反射率を向上させる。最大厚さおよび好適材料は、第1の金属反射層の透過性を十分に高く維持する特徴を有する必要がある。例えば、Ag、Au、Cu、Alまたはこれらの合金または他の元素がドープされたこれらの金属が使用される。十分に透明なスタックを得るための、第1の反射層の好適厚さは、前述の通りである。
kL0R>0.025であることが好ましく、>0.050であることがより好ましい。L0記録層のkが大きくなると、感度が高くなる。L0スタックの全吸収に及ぼす第1の記録層厚さ(色素)の寄与は、小さい。このため、L0の反射および透過の大部分は、Ag(合金)厚さの選定によって定まる。従って、高吸収率の色素を使用することによって、L0記録スタックの感度が向上し、透過および反射に対する悪影響はほとんどない。
本発明は、全てのジュアル層DVD追記型(R)フォーマットに適用することができる。記録層の色素材料は、記録波長λにおいて固有の高い透過性を有する。シアニン型、アゾ型、スクエアリリウム型または所望の特性を有する他の有機色素材料等の、通常の色素が使用できる。
ジュアルスタック光データ記憶媒体において、放射線ビームを誘導するガイドグルーブは、L0およびL1スタックの両方に存在する。通常L0スタックのガイドグルーブは、基板の入射面から最近接の位置に提供される。
ある実施例では、L1のガイドグルーブ(G)は、透明スペーサ層である。この実施例をタイプ1と呼ぶ。
別の実施例では、L1のガイドグルーブ(G)は、基板に設けられる。この実施例をタイプ2と呼ぶ。
本発明を添付図面を参照して以下に詳しく説明する。
図1には、例えば波長655nmのレーザービーム等の集束放射線ビーム9を用いて記録される、記録用ジュアルスタックデータ記憶媒体10を示す。レーザービーム9は、記録の際に媒体10の入射面8から入射される。媒体10は、基板7を有し、基板7の片側には、L0と称する第1の記録スタック6があり、この記録スタックは、複素屈折率が
さらに詳しく説明すると:
タイプ1の媒体(図10参照)は、L0スタックとして、80nmのグルーブ内アゾ色素/12nmのAg合金、およびL1スタックとして、100nmのアゾ色素/120nmのAg合金を有する。透明スペーサ層4の厚さは、55μmである。L0の光反射値は15%で、L0の透過値TL0は61%で、L1の(L0を通る)有効反射値RL1effは、15%である。レーザー記録波長で比較的透明な色素を記録層として使用することにより、マルチスタック媒体にとって好適な高い透過性を有する記録スタックを製作することが可能となる。これは、通常、CD-RおよびDVD+R等の追記型光媒体において行われる。L0スタックは、深さが142nmで、幅が325nmのガイドグルーブ(FWHM)を有する。L1スタックは、深さが170nmで、幅が370nmのガイドグルーブG(FWHM)を有する。ガイドグルーブGは、透明スペーサ層4内に設けられる。
タイプ1の媒体(図10参照)は、L0スタックとして、80nmのグルーブ内アゾ色素/12nmのAg合金、およびL1スタックとして、100nmのアゾ色素/120nmのAg合金を有する。透明スペーサ層4の厚さは、55μmである。L0の光反射値は15%で、L0の透過値TL0は61%で、L1の(L0を通る)有効反射値RL1effは、15%である。レーザー記録波長で比較的透明な色素を記録層として使用することにより、マルチスタック媒体にとって好適な高い透過性を有する記録スタックを製作することが可能となる。これは、通常、CD-RおよびDVD+R等の追記型光媒体において行われる。L0スタックは、深さが142nmで、幅が325nmのガイドグルーブ(FWHM)を有する。L1スタックは、深さが170nmで、幅が370nmのガイドグルーブG(FWHM)を有する。ガイドグルーブGは、透明スペーサ層4内に設けられる。
L0記録層は、複素屈折率が
同様の反射値は、反射層材料として、Au、Cuまたはこれらの金属の合金を用いることによっても得ることができる。
図2には、単一層DVD+R(丸)の記録速度に対する最大記録パワーPwmaxの依存性、2.4倍速でのジュアル層DVD+R(四角)の記録速度に対する最大記録パワーPwmaxの依存性、および18%の反射値でのDVD+R(破線)の予測依存性を示す。高記録速度、すなわち4倍速(14m/s)またはそれ以上の速度では、そのようなジュアルスタック(18%反射)の追記型記録媒体に、比較的高い出力パワーPwが要求されることは明らかである。8倍速では、60mWが必要となり、これは、現段階の市販の記録器およびドライバ装置で利用することができるパワーを超えている。従って、ジュアル層DVD+R媒体では、より高い感度が必要であることは明らかである。
図3には、異なる反射性を有するL0スタックの記録パワーに対する平均ジッターを示す。平均ジッターは、記録マークの最適位置からのずれを示す指標となる。平均ジッターは、最適記録パワーにおいて最小となる。丸印は、7%の反射、四角印は、9%の反射、バツ印は、18%の反射値における結果を示している。RL0値の広い範囲にわたって、最適記録パワーが一定に維持されることに着目する必要がある。
図4には、特定のスタック構造、すなわちグルーブ深さ=140nm、グルーブ幅=300nm、グルーブ内色素厚さ=80nmで、1倍速アゾ色素における、Ag厚さに対するL0の透過値TL0(四角)とL0の反射値RL0(×印)の依存性を示す。L0スタックの反射および透過は、主として、例えばAgまたはAg合金からなる半透明ミラーの厚さdL0Mを変えることにより調節され、色素の吸収率kによる影響は少ない。例えばAgの場合、Ag合金の関心厚さ範囲にわたって、反射および透過は、Ag合金の厚さに対して、ほぼ直線的に変化することが明らかとなっている。現在のスタック構造では、以下の関係が成立する:TL0(dL0Ag)=−3.7×dL0Ag+105(%単位)、およびRL0(dL0Ag)=2×dL0Ag−8.8(%単位)。ここでdL0Agは、nm単位で測定されることに留意する必要がある。
図5には、L0およびL1の有効反射に対するL1の記録パワーPL1normの理論的な依存性が示されている。L1の反射値は、L0の高透過値との組み合わせによってのみ、高くすることができる。L1の有効反射RL1effは、TL0に対して二次関数的に変化するためである:RL1eff=RL1×TL0 2。L0とL1の反射が等しいこと、すなわちRL1eff=RL0であることが好ましいため、L1の許容最大吸収値は、AL1max=1−RL0/TL0 2に限定される。L1の反射は、屈折によっても影響を受けるため、実際には、AL1maxは、より小さくなる。ジュアル層ディスクのPL1normは、(AL1×TL0)-1に比例する。このことを考慮することにより、ジュアル層ディスクの有効反射レベルReffに対するL1の記録パワーの依存性を予測することができ、RL1eff=18%の場合、記録パワーはPL1eff=30mWとなる。
前述のTL0およびRL0の実験関係式:TL0(dL0Ag)=−3.7×dL0Ag+105(%単位)、およびRL0(dL0Ag)=2×dL0Ag−8.8(%単位)を使用すると、有効反射レベルReffが12%の場合、L1記録層に必要な最適記録パワーは、半分となり、単一層媒体と同じ大きさとなる。L0の感度は、吸収値kの大きな色素を用いることにより、L0の反射および透過にはあまり悪影響を及ぼさずに、改善され得ることに留意する必要がある。計算結果は、事実上約60%の透過値が得られることを示している。
図6には、反射レベルの低下したジュアル層DVD媒体の、既存のDVDプレーヤーでの再生率を示す。再生率は、関心媒体からデータを正確に読み取ることができる既存のDVDプレーヤーの百分率として定義される。
図7には、DVD+R(DL)に使用される2種類の色素における、λの関数としての吸収係数kを示す。色素2は、色素1よりも大きな吸収値を有する。
図8には、色素1および2に対して、Ag厚さの関数として、L0スタックにおいて計算された反射値、変調値、透過値、および変調値×反射値の積を示す。
図9には、(kL0R×dL0R+kL0M×dL0M)/λの関数としての透過値TL0を示す。(kL0R×dL0R+kL0M×dL0M)/λ<0.08のときに、60%を超えるTL0が得られる。
図10には、いわゆるタイプ1の媒体を示す。プリグルーブが形成された透明基板7には、レーザー波長において光学的に半透明である光記録スタック(L0)が設置される。L0スタックには、透明スペーサ層4が接着される。スペーサ層4は、L1のプリグルーブ(G)を有し、またはL1のプリグルーブ(G)は、L0の設置後に、スペーサ層4内にパターン化される。第2の記録スタックL1は、グルーブが設けられたスペーサ層4上に設置される。最後に、反対側の基板1が設置される。
図11には、いわゆるタイプ2の媒体が示されている。プリグルーブが設けられた透明基板7には、レーザー波長において光学的に半透明な光記録スタック(L0)が設置される。レーザー波長において反射性である第2の光記録スタックL1が、プリグルーブ(G)が設けられた第2の透明基板1に設置される。L1を有するこの基板1が、透明スペーサ層4によって、L0を有する基板7と接着される。両ディスクタイプにおいて、好適なスペーサ層厚さは、40μmから70μmである。
図12には、k値が0.05、0.15および0.25のそれぞれの場合における、2つの異なるレベリングパラメータ(L=0.375、L=0.3)を仮定した場合の、色素厚さdRの関数としてのL1の固有反射RL1を示す。
本願で提案されたスタックは、DVD+R-DLでの使用には限定されず、いかなる有機色素系の光記録媒体に適用しても良い。ただし、厚さと光学定数は、DVD+R-DL媒体のL0およびL1のスタックの要求仕様に合致するように特定する必要がある。実際のマークの記録は、必ずしもグルーブG内で生じる必要はなく、オンランドとも呼ばれるグルーブ間の領域で生じても良いことに留意する必要がある。この場合、ガイドグルーブGは、単に、オンランドに存在する実際の放射線ビームの記録スポットに対するサーボトラッキング手段として機能する。
前述の実施例は、本発明を限定するものではなく、当業者には、特許請求の範囲から逸脱しないで、多くの代替実施例が立案できることことに留意する必要がある。請求項において括弧で示されたいかなる参照符号も、請求項の記載を限定するものと解してはならない。「有する」という言葉は、請求項に記載された素子またはステップ以外の存在を排斥するものではない。素子の前の「一つの」という言葉は、そのような素子が複数あることを排斥するものではない。ある手段が異なる従属項に相互に記載されているという事実のみから、これらの手段の組み合わせが有利ではないと解することはできない。
Claims (11)
- 記録の際に、媒体の入射面から入射する、波長λが約655nmの集束放射線ビームを用いて記録される、追記型記録用ジュアルスタック光データ記憶媒体であって、
当該ジュアルスタック光データ記憶媒体の一つの側に存在する、少なくとも一つの基板と、
追記型のL0記録層を有し、L0と称される第1の記録スタックであって、光反射値RL0および光透過値TL0を有する第1の記録スタックと、
追記型のL1記録層を有し、L1と称される第2の記録スタックであって、有効光反射値RL1effを有する第2の記録スタックと、
前記記録スタックの間に設置された透明スペーサ層と、
を有し、
前記第1の記録スタックは、前記第2の記録スタックよりも、前記入射面に近い位置に存在し、
0.12≦RL0≦0.18で、0.12≦RL1eff≦0.18であることを特徴とするジュアルスタック光データ記憶媒体。 - 0.15≦RL0≦0.18で、0.15≦RL1eff≦0.18であることを特徴とする請求項1に記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- RL0は、実質的にRL1effに等しいことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- 前記第1の記録スタックは、厚さがdL0Mで吸収係数がkL0Mの第1の反射層を有し、前記L0記録層は、吸収係数がkL0Rで厚さがdL0Rであり、
(kL0R×dL0R+kL0M×dL0M)<0.08×λであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。 - 前記第2の記録スタックは、第2の反射層を有し、前記L1記録層は、吸収係数kL1Rを有し、前記第2の記録スタックの固有反射RL1は、0.30乃至0.60の範囲にあり、0.075<kL1R<0.25であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- 前記第1の反射層は、厚さdL0MがdL0M≦16nmであり、主としてAg、AuまたはCuから選択されたいずれかを含むことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- 前記第1の反射層は、厚さdL0MがdL0M≦12nmであることを特徴とする請求項6に記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- kL0R>0.025であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- kL0R>0.050であることを特徴とする請求項8に記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- 前記透明スペーサ層には、L1のガイドグルーブが設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
- 前記基板には、L1のガイドグルーブが設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のジュアルスタック光データ記憶媒体。
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