JP2007502837A - 小型エピトープ抗体を使用するサンプルの複雑さを低減するための方法 - Google Patents

小型エピトープ抗体を使用するサンプルの複雑さを低減するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は一般に、サンプルの複雑さを低減するための方法に関する。さらに詳細には、本発明はプロテオミクス、生体サンプル中のタンパク質レベルの測定、および小型エピトープを認識する抗体を使用するサンプル中のタンパク質の解析に関する。1つの態様において、本発明は、サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質が単離、分離、濃縮および/または精製される工程を包含する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願番号第60/496,154号(2003年8月18日出願)および同第60/511,720号(2003年10月15日出願)(その全体が本明細書中に参照として援用される)の利益を主張する。
(技術分野)
本発明は一般に、サンプルの複雑さを低減するための方法に関する。さらに詳細には、本発明はプロテオミクス、生体サンプル中のタンパク質レベルの測定、および小型エピトープを認識する抗体を使用するサンプル中のタンパク質の解析に関する。
(背景技術)
プロテオミクスは、遺伝子活性の評価に関する従来の中心であるゲノミクスよりも、細胞または生物の生体機能のさらに直接的な概観を与える。プロテオミクスは、メッセンジャーRNAレベルではなく、タンパク質レベルでの発現を検出および定量する遺伝子活性の定性的および定量的測定も包含する。プロテオミクスは、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質分解およびタンパク質副生成物、タンパク質間の相互作用、ならびに細胞内のタンパク質の位置を含む非ゲノムコード化事象の研究も包含する。細胞によって発現された構造、機能、または活性レベルも対象とする。
タンパク質レベルでの遺伝子発現の研究は、最も重要な細胞プロセスの多くが遺伝子発現のステータスによってではなく、細胞のタンパク質ステータスによって調節されるために重要である。また細胞のタンパク質含有量は、大半の薬物がタンパク質標的に対して活性であるように設計されているため、薬物発見の試みに大いに関係がある。
タンパク質混合物、たとえば細胞または細胞の個体群の細胞内タンパク質ならびに細胞または細胞の個体群によって分泌されたタンパク質または生体液の解析のための現在の技術は、各種のタンパク質分離技法と、それに続く分離タンパク質の同定および/または解析に基づいている。最も一般的な方法は、2Dゲル電気泳動と、それに続く「ゲル内」タンパク分解および質量分析に基づいている。あるいはEdmanおよび関連する方法は、配列決定に使用される。この2Dゲル技法は、大きいサンプルサイズを必要として、時間がかかり、現在、ヒト細胞によって発現されるタンパク質の重要な部分を再現可能な方法で解明するその能力が限定されている。ある大型フォーマットの2Dゲルを包含する技法は、従来の2Dゲル技法よりも多数のタンパク質を分離するゲルを生成できるが、再現性はなお乏しく、スポットの95%超は、利用可能な配列決定技法の感度に関する制限により配列決定できない。電気泳動技法も、非常に豊富なタンパク質への偏りによって困難をきわめている。
それゆえ、生物内で、または1個または複数の細胞によって発現された、あるいはタンパク質を含む体液中で見出された全セットのタンパク質までを含む、タンパク質(たとえば血清、血漿、リンパ液、および他の生体液)を含む体液中で、細胞または細胞の個体群によって発現されたタンパク質をさらに完全にアッセイする能力に対する要求がある。
(発明の開示)
1つの態様において、本発明は、サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質が単離、分離、濃縮および/または精製される工程と;を含む。
別の態様において、本発明は、(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質が単離、分離、濃縮および/または精製される工程と;(c)タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程と;を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質を濃縮する工程であって;複合体がサンプルに小型エピトープ抗体を接触させることによって産生される工程を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質を濃縮する工程であって;複合体がサンプルに小型エピトープ抗体を接触させることによって産生される工程と;(b)タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程と;を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法であって、上記方法はタンパク質を小型エピトープ抗体−タンパク質複合体から分離して、それにより小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質を濃縮する工程を含み;小型エピトープ抗体−タンパク質複合体は(a)結合を可能にする条件下でサンプルに小型エピトープ抗体を接触させて、それにより小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が産生されることによって;(b)抗体−タンパク質複合体を分離することによって;産生される。
明らかであるように、1つ以上の工程は組合せられ、および/または(必要な製品が形成される限り、しばしば任意の順序で)連続して実施され、明らかであるように、本発明は本明細書で述べる工程の各種の組合せを含む。本発明が、初期の、または第1の工程が本明細書で述べた工程のいずれかである方法を含むことも明らかであり、本明細書に述べられている。本発明の方法は、後の「下流」工程が初期工程である実施形態を含む。
ある実施形態において、方法は、サンプルをタンパク質切断剤によって処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程をさらに含む。タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程を包含する実施形態において、サンプルは、サンプルに少なくとも1つの小型エピトープ抗体を接触させる工程の前に、および/またはタンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程の後に、タンパク質切断剤によって処理できる。タンパク質切断剤により処理の方法は、当技術分野で周知であり、本明細書で述べられている。1つ以上のタンパク質切断剤が使用される。タンパク質切断剤は、酵素(たとえばキモトリプシンまたはトリプシン)または化学薬品(たとえばシアノゲンブロミド)である。
それゆえ別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質を濃縮する工程と;(c)タンパク質をタンパク質−抗体複合体から分離する工程と;(d)タンパク質をタンパク質切断剤で処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程と;を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は(a)抗体−タンパク質複合体を形成するために、結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)ポリペプチド断片を生成するために抗体−タンパク質複合体をタンパク質切断剤で処理する工程と;を含む。
別の態様において、本発明はタンパク質サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)サンプルをタンパク質切断剤で処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程と;(b)結合を可能にする条件下でポリペプチド断片に1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させて、それにより抗体−ポリペプチド複合体が生成される工程と;(c)抗体−ポリペプチド複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むポリペプチドが濃縮される工程と;を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)(i)小型エピトープ抗体;および(ii)サンプルを含む反応混合物をインキュベートする工程であって、インキュベートが結合を可能にする条件下である、工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それによりタンパク質を濃縮する工程と;を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:抗体−タンパク質複合体を分離して、タンパク質を濃縮する工程を含み;抗体−タンパク質複合体は(i)小型エピトープ抗体;および(ii)サンプルを含む反応混合物を、結合を可能にする条件下でインキュベートすることによって生成される。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(i)小型エピトープ抗体;および(ii)サンプルを含む反応混合物を、結合を可能にする条件下でインキュベートする工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離する工程と;(c)タンパク質をタンパク質−抗体複合体から分離して、タンパク質を濃縮する工程と;を含む。
別の態様において、本発明はタンパク質を分離されたタンパク質−抗体複合体から分離する工程を提供し、タンパク質−抗体複合体は、(a)小型エピトープ抗体と、(b)サンプルとを含む反応混合物を、結合を可能にする条件下でインキュベートすることと;タンパク質−抗体複合体の分離;によって生成される。
別の態様において、本発明はタンパク質の混合物を含むサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、方法は、小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質が濃縮される、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を分離する工程を含む。ある実施形態において、方法は、タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに含む。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は約3〜約5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する。ある実施形態において、サンプルに複数の小型エピトープ抗体を接触させて、複数の小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を形成する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は検出可能に標識される。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は固体マトリクスに固定化される。ある実施形態において、サンプルに複数の小型エピトープ抗体を並行して接触させる。ある実施形態において、サンプルに複数の小型エピトープ抗体を連続して接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも100個の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、方法は、ポリペプチド断片を形成するために、抗体−タンパク質複合体から分離したタンパク質にタンパク質切断剤を接触させる工程をさらに含む。ある実施形態において、方法は、ポリペプチド断片を形成するために、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体にタンパク質切断剤を接触させる工程をさらに含む。ある実施形態において、方法は、ポリペプチド断片を形成するために、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体の形成前にサンプルにタンパク質切断剤を接触させる工程をさらに含み、場合によりポリペプチド断片を小型エピトープ抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに含む。1つの実施形態において、タンパク質切断剤はプロテアーゼを含む。別の実施形態において、タンパク質切断剤は化学薬品を含む。
別の態様において、本発明はタンパク質の混合物を含むサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、方法は(a)抗体−タンパク質複合体を形成するためにサンプルに少なくとも1個の小型エピトープ抗体を接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体をサンプル中の未結合タンパク質から分離する工程と;を含む。ある実施形態において、工程(a)および(b)は連続して実施される。ある実施形態において、工程(a)および(b)は同時に実施される。ある実施形態において、方法はさらに、タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程を含む。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は約3〜約5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する。ある実施形態において、少なくとも1個の小型エピトープ抗体は少なくとも約100個の小型エピトープ抗体を含む。
他の態様において、本発明は、本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法を使用して調製した、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体、タンパク質、および/またはポリペプチド断片を提供する。
当業者に明らかであるように、得られた混合物を組合せおよびインキュベートすることに言及する態様も、(各種の組合せおよび/または組合せの構成要素における)各種の混合物をインキュベートすることを含む方法の実施形態を含むため、所望の生成物が形成される。
1個の、または1個を超える(たとえば約2個、約3個、約4個、約5個、約10個、約20個またはそれ以上)小型エピトープ抗体が本発明の方法で使用される。ある実施形態において、サンプルに約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約15個、約10個未満またはそれ以下の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個または500個のいずれかの小型エピトープ抗体を、上限が20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、または1000個のいずれかの小型エピトープ抗体を接触させる。
本発明は、本明細書で述べた方法のいずれかを使用して調製したタンパク質を使用する方法、たとえばタンパク質をキャラクタリゼーションする方法、発現プロファイリングの方法、タンパク質を同定する方法;タンパク質分解生成物を同定する方法;翻訳後修飾の変化を同定する方法、およびサンプル中のタンパク質の質量、量および/または同一性を決定する方法をも提供する。遺伝子型解析(タンパク質突然変異検出)の方法、スプライスバリアントの同定の方法、対象とするタンパク質の存在または非存在を判定する方法、発現プロファイリングの方法;タンパク質分解生成物を同定する方法;翻訳後修飾の変化を同定する方法、およびタンパク質発見の方法も本発明の方法に含まれる。
それゆえ1つの態様において、本発明はタンパク質をキャラクタリゼーションする方法であって:(a)本明細書で述べた方法のいずれかを使用してサンプルの複雑さを低減して、それによりタンパク質を濃縮および/または精製する工程と;(b)タンパク質(同義的に「生成物」と呼ばれる)を解析する工程と;を含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、タンパク質を解析する工程を含むタンパク質をキャラクタリゼーションする方法を提供し;タンパク質は、本明細書で述べる方法のいずれかを使用して調製される。
ある実施形態において、解析の工程は、上記タンパク質の量を決定して、それにより調製、濃縮および/または分離されたタンパク質の量を定量することを含む。ある実施形態において、解析の工程は、上記タンパク質の1つ以上を同定することを含む。ある実施形態において、小型エピトープ抗体が結合するエピトープの同一性を使用して、濃縮タンパク質の同定を補助する。ある実施形態において、タンパク質は、以下の特徴:配列;質量;m/z比(質量分析解析を包含する実施形態において)、および/またはアミノ酸組成のいずれかの1つ以上を使用して同定される。他の実施形態において、解析の工程は、1つ以上のタンパク質の質量を決定することを含む。ある実施形態において、解析の工程は、配列変化以外はタンパク質配列に(少なくとも一部は)同一である基準タンパク質と比較した、タンパク質の変化の検出に関する解析を含む。配列変化は、突然変異(たとえば1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入および/または塩基転換)、スプライスバリアント、分解生成物、およびグリコシル化の変化を含む。
別の態様において、本発明は、質量分析を使用してタンパク質をキャラクタリゼーションする方法であって:(a)本明細書で述べた方法のいずれかを使用してサンプルの複雑さを低減して、それによりタンパク質を濃縮および/または精製する工程と;(b)本明細書の方法のいずれかを使用して単離、精製、調製および/または分離されるタンパク質(同義的に「生成物」と呼ばれる)を、質量分析によって解析する工程と;を含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、質量分析を使用してタンパク質を解析する工程を含む、タンパク質をキャラクタリゼーションする方法を提供し;タンパク質は本明細書で述べた方法のいずれかを使用して調製され;解析は質量分析による。ある実施形態において、量、質量、および/またはタンパク質の同一性が決定される。ある実施形態において、方法はエピトープ同一性情報の使用をさらに含む。
ある実施形態において、質量分光学はマトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)質量分析;表面増強レーザ脱離イオン化(「SELDI」);および/またはタンデム質量分析(たとえばMS/MS、MS/MS/MS、ESI−MS/MS)である。
別の態様において、本発明は、質量分析を使用してサンプル中のタンパク質の同一性を決定する方法であって:(a)本明細書で述べた方法のいずれかを使用してサンプルの複雑さを低減して、それによりタンパク質を濃縮および/または精製する工程と;(b)タンパク質(同義的に「生成物」と呼ばれる)を、質量分析によって解析する工程と;(c)濃縮タンパク質の同一性を決定する工程と;を含む方法をさらに提供する。ある実施形態において、方法はエピトープ同一性情報の使用をさらに含む。
別の態様において、本発明は、質量分析を使用してサンプル中のタンパク質の同一性を決定する方法であって、質量分析を使用してタンパク質の同一性を決定する工程を含み;タンパク質は、本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用して調製される、方法を提供する。ある実施形態において、方法はエピトープ同一性情報の使用をさらに含む。
別の態様において、本発明は、1つ以上のタンパク質の発現レベルが決定され、タンパク質が本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用して調製される、タンパク質発現プロファイリングの方法を提供する。ある実施形態において、発現のレベルは質量分析を使用して決定される。ある実施形態において、本発明は2つ以上のサンプル中の、タンパク質の量を比較する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、1つ以上のタンパク質の同一性が決定され、タンパク質が本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用して調製される、タンパク質発現プロファイリングの方法を提供する。ある実施形態において、タンパク質同一性は質量分析を使用して決定される。ある実施形態において、方法はエピトープ同一性情報の使用をさらに含む。ある実施形態において、本発明は2つ以上のサンプル中の、タンパク質の量を比較する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、濃縮タンパク質画分中のいずれかの目的のタンパク質を検出する工程を含み、濃縮タンパク質画分は本明細書で述べるサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用して調製され、目的のタンパク質の検出がサンプル中でのタンパク質の存在を示す、サンプル中の目的のタンパク質の存在または非存在を判定する方法を提供する。1つの実施形態において、検出は質量分析を含む。
別の態様において、本発明は、濃縮タンパク質画分中の目的のタンパク質の量を定量する工程を含み、濃縮タンパク質画分が本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用して調製される、サンプル中の目的のタンパク質の量を決定する方法を提供する。1つの実施形態において、目的のタンパク質の定量は質量分析を含む。
別の態様において、本発明は、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用して調製される、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体中のタンパク質を同定する方法を提供する。1つの実施形態において、同定は質量分析を含む。
別の態様において、本発明は、2つ以上の濃縮タンパク質画分中のタンパク質を比較する工程を含み、2つ以上の濃縮タンパク質画分がそれぞれ、本明細書で述べられているサンプルの複雑さを低減する方法のいずれかを使用してサンプルから調製される、バイオマーカーの同定の方法を提供する。ある実施形態において、2つ以上のサンプルは疾患症状を有する少なくとも1つの個体および疾患症状を有さない少なくとも1つの個体からのサンプルを含み、バイオマーカーの存在または非存在は疾患症状を示す。1つの実施形態において、本発明は、個体からのサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定する工程を含み、バイオマーカーが本明細書で述べるように同定され、バイオマーカーのレベルが疾患症状の存在または非存在を示す、個体における疾患症状の存在または非存在を判定する方法を提供する。ある実施形態において、2つ以上のサンプルは、疾患症状に対する処置を受けた少なくとも1つの個体および疾患症状に対する処置を受けていない少なくとも1つの個体からのサンプルを含み、バイオマーカーの存在または非存在は処置の有効性を示す。1つの実施形態において、本発明は、個体からのサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定する工程を含み、バイオマーカーが本明細書で述べるように同定され、バイオマーカーのレベルが処置の有効性を示す、個体における疾患症状に対する処置の有効性を判定する方法を提供する。ある実施形態において、2つ以上のサンプルは、毒素または病原体に曝露された少なくとも1つの個体および毒素または病原体に曝露されていない少なくとも1つの個体からのサンプルを含み、バイオマーカーの存在または非存在は、毒素または病原体への個体の曝露を示す。1つの実施形態において、本発明は、個体からのサンプル中でのバイオマーカーのレベルを決定する工程を含み、バイオマーカーが本明細書で述べるように同定され、バイオマーカーのレベルが毒素または病原体への曝露を示す、毒素または病原体への個体の曝露を判定する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、本発明の方法のいずれかで使用するための、1つ以上の小型エピトープ抗体を含む組成物およびキットを提供する。
ある実施形態において、本発明は、複数の小型エピトープ抗体を含む組成物を提供する。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は約3〜5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は検出可能に標識される。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は少なくとも約100個の小型エピトープ抗体を含む。
ある実施形態において、本発明は、複数の小型エピトープ抗体を含むキット提供する。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は約3〜5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は検出可能に標識される。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は少なくとも約100個の小型エピトープ抗体を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明は、「小型エピトープ抗体」と呼ばれる、小型エピトープを結合する(一般に特異的に結合する)1つ以上の抗体を使用して、タンパク質混合物中のタンパク質内での小型エピトープの存在および/または量に基づいてタンパク質混合物を分画し、それにより小型エピトープを含むタンパク質を単離、分離、調製、精製および/または濃縮する方法を提供する。本発明の方法の使用はそれにより、タンパク質混合物の複雑さを低減する手段を提供して、それに続くサンプルの濃縮タンパク質成分の使用および/またはキャラクタリゼーションを促進する。抗体によって結合された小型エピトープが既知である限り、小型エピトープ抗体による結合は、小型エピトープ抗体によって結合されたタンパク質のアミノ酸含有量に関する情報を提供する。小型エピトープ抗体は本明細書でさらに述べられている。
概要として、方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに少なくとも1個の小型エピトープ抗体を接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を小型エピトープ抗体によって結合されていないタンパク質から分離する工程と;を含む。一般に、少なくとも1個の小型エピトープ抗体によって結合された1個以上のエピトープを含むタンパク質が単離、分離、濃縮および/または精製される。ある実施形態において、方法は(c)タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに含む。ある実施形態において、方法は、サンプルに少なくとも1つの小型エピトープ抗体を接触させる工程(a)の前に、またはタンパク質を抗体−タンパク質複合体からの分離を包含する実施形態では、タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程(c)の後に、サンプルをタンパク質切断剤によって処理する工程をさらに含む。
本発明の方法は、タンパク質を含むサンプルを分画するのに有用であり、これは多数のタンパク質中に存在するエピトープ(たとえば3個の直鎖アミノ酸、4個の直鎖アミノ酸、または5個の直鎖アミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープ)を認識する抗体(「小型エピトープ抗体」と呼ばれる)の使用により実現される。本発明の方法での使用に適した小型エピトープ抗体は本明細書で広範に述べ、実施例で例示する。小型エピトープ抗体の特異性のために、タンパク質(たとえばポリペプチド)は、本発明の方法で使用される小型エピトープ抗体によって認識される、タンパク質内の小型エピトープの存在および/または量に応じて、分離、濃縮および/または精製される。本発明の方法を使用して調製されるタンパク質は本明細書でさらに述べる。明らかであるように、「サンプルの複雑さを低減すること」は本明細書では、サンプルからタンパク質(たとえばポリペプチド)を単離、分離、濃縮および/または精製することを含む。したがって本発明は、タンパク質を精製および/または濃縮する方法、タンパク質を単離する方法、タンパク質を分離する方法、キャラクタリゼーションのためにタンパク質を調製する方法、質量分析解析のためにタンパク質を調製する方法、タンパク質(たとえばタンパク質の1個または群)を同定する方法、新しいタンパク質を発見する方法、およびサンプル中のタンパク質を定量する方法を提供する。
1つの態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質を単離、分離、濃縮および/または精製する工程と;を含む。
別の態様において、本発明は、タンパク質を精製および/または濃縮する方法;タンパク質を単離する方法;タンパク質を分離する方法、キャラクタリゼーションのためにタンパク質を調製する方法;質量分析解析のためにタンパク質を調製する方法;タンパク質(たとえばタンパク質の1個または群)を同定する方法;新しいタンパク質を発見する方法;および/またはサンプル中のタンパク質を定量する方法をさらに提供し、上記方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離する工程とを含む。
別の態様において、本発明は、たとえばタンパク質をキャラクタリゼーションするために本発明の方法のいずれかを使用して調製したタンパク質を使用する方法、発現プロファイリングの方法、タンパク質を同定する方法;タンパク質分解生成物を同定する方法;翻訳後修飾の変化を同定する方法、ならびにサンプル中のタンパク質の質量、量および/または同一性を決定する方法も含む。たとえばこれらの方法は、タンパク質発見、発現プロファイリング、薬物発見および診断などの分野に利用できる。
別の実施形態において、質量分析は、本発明の方法のいずれかを使用して調製したタンパク質をキャラクタリゼーションするために使用される。小型エピトープ抗体を使用して生成されたタンパク質画分は、タンパク質(タンパク質バリアントを含む)の数が本明細書で述べられている小型エピトープ抗体の使用により(開始サンプルと比較して)減少するため、質量分析を使用する解析に特に適している。タンパク質内に存在するエピトープが同定される限り、アミノ酸配列またはエピトープの含有量(「エピトープ配列」または「エピトープアミノ酸含有量」と呼ばれる)は、タンパク質をキャラクタリゼーションおよび同定するのに有用な情報をさらに提供する。質量分析方法は、タンパク質を定量および/または同定するために使用されている。ある実施形態において、質量分析解析は、ポリペプチド質量マップを生成する。これらの結果を使用して、ポリペプチド質量マッピングは、該当するタンパク質の同定を可能にする。他の実施形態において、質量分析解析は、タンデム質量分析計であり、特異性配列情報を生成する。この情報の使用は、配列レベルでの該当するタンパク質の同定をもたらす。ある実施形態において、タンパク質は、本発明の方法のいずれかを使用して調製したタンパク質の質量分析解析を含む方法を、エピトープ配列またはアミノ酸含有量情報と組合せて使用して同定される。
1つ以上(たとえば約2個、約5個、約7個、約10個、約20個、約30個、約50個、約100個またはそれ以上)の小型エピトープ抗体が本発明の方法で使用される。ある実施形態において、サンプルに約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約15個、約10個未満またはそれ以下の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個または500個のいずれかの小型エピトープ抗体を、上限が20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、または1000個のいずれかの小型エピトープ抗体を接触させる。
別の態様において、本発明は、本発明の方法のいずれかで使用するための1つ以上の小型エピトープ抗体を含む組成物およびキットを提供する。ある実施形態において、キットは本明細書で述べる方法のいずれかについての説明書をさらに含む。
(一般技法)
本発明の実施は、別途指示しない限り、当業技術の範囲内である分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技法を利用する。そのような技法は、たとえばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988−1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D. Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);およびThe Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)に十分に述べられている。
(定義)
「抗体」は、免疫グロブリン分子であって、その可変領域に位置する少なくとも1個の抗原認識部位を介して、標的、たとえば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどへの特異性結合が可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用するように、該用語は、無傷のポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のいずれかの修飾配置も含む。抗体はいずれのクラスの抗体、たとえばIgG、IgA、またはIgM(またはそのサブクラス)も含み、該抗体は特定のクラスのいずれでなくてもよい。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列によって、免疫グロブリンは各種のクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、それらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに細分される。免疫グロブリンの各種のクラスに該当する重鎖定常ドメインはそれぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの各種のクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知である。
「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含有する抗体断片である。二本鎖Fv種では、この領域は固い非共有結合の1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインのダイマーからなる。単鎖Fv種では、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖および重鎖が二本鎖Fv種と類似したダイマー構造で結合できるように、柔軟性ポリペプチドリンカーによって共有できる。本配置において、それは各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VLダイマーの表面上に抗原結合特異性を規定することである。しかしながら一般に結合部位全体よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異性のCDRを3つのみ含むFvの半分)でさえ抗原を認識および結合する能力を有する。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端への2、3の残基の付加により、Fab断片とは異なる。
「モノクローナル抗体」は、抗原の選択結合に関与するアミノ酸(自然発生および非自然発生)からなる、同種抗体群を指す。モノクローナル抗体の群は、(ポリクローナル抗体とは対照的に)単一の抗原部位に対して向けられているという意味で、高度に特異性である。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷のモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体だけでなく、その断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに必要な特異性の抗原認識部位および抗原に結合する能力を含む免疫グロブリン分子の他のいずれかの修飾配置も含む(抗体の定義を参照)。それは抗体源または抗体が作成される方法(たとえばハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによって)に関して限定されるものではない。
「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では同義的に使用されて、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは直鎖または分岐であり、それは修飾アミノ酸を含み、非アミノ酸によって割り込まれる。該用語は、自然にまたは介入;たとえばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ホスホリル化、または他のいずれかの操作または修飾、たとえば標識成分との結合により修飾されたアミノ酸ポリマーも含む。定義にはたとえば、アミノ酸(たとえば非天然型アミノ酸などを含む)の1つ以上の類似物質を含有するポリペプチドはもちろんのこと、当技術分野で既知の他の修飾も含まれる。
抗体に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」(本明細書で同義的に使用される)エピトープは、当技術分野でよく理解されている用語であり、そのような特異的または優先的結合を判定する方法も当技術分野で周知である。分子は、特定の細胞または物質と、代わりの細胞または物質よりも頻繁に、より迅速に長い期間に渡って、および/またはより大きな親和性で反応または結合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、他の物質よりも大きな親和性、結合力で、よりただちに、および/またはより長い期間に渡って標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。たとえばエピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のエピトープに結合するよりも大きな親和性、結合力で、よりただちに、および/またはより長い期間に渡ってこのエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことによって、たとえば第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(あるいは部分またはエピトープ)は、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合してもしなくてもよいということも理解される。そのようなものとして、「特異的結合」または「優先的結合」は排他的結合を(含むことができるが)必ずしも必要としない。一般に、しかし必ずではないが、結合への言及は優先的結合を意味する。
「サンプル」は、個体から採取したサンプルを含めて、各種のサンプルタイプを含む。定義は、血液または生物起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、たとえば生検試料あるいはそれに由来する組織培養物または細胞、およびその子孫を含む。サンプルは、微生物(たとえば細菌、酵母、ウィルス、ウィロイド、カビ、真菌)、植物、またはヒト、げっ歯類(マウスおよびラットなど)およびサル(および他の霊長類)などの哺乳類を含む動物に由来しうる。サンプルは1個の細胞または1個を超える細胞を含む。定義は、その獲得後に何らかの方法、たとえば試薬による処理、可溶化、またはタンパク質またはポリヌクレオチドなどのある成分の濃縮によって、操作されたサンプルも含む。「サンプル」という用語は臨床サンプルを含み、培養中の細胞、細胞上澄み、細胞溶解液、血清、血漿、生体液、動物内で増殖させたヒト組織および組織サンプルも含む。サンプルの例は血液、血漿、血清、尿、糞便、脳脊髄液、滑液、羊水、唾液、肺洗浄液、精液、乳汁、乳頭吸引液、前立腺液、粘液、および涙を含む。
サンプルの「複雑さ」は、各種のタンパク質の数はもちろんのこと、各種のタンパク質の数バリアント(スプライスバリアント、多形、およびタンパク質分解生成物を含む)も含む、各種のタンパク質種の数を意味する。
「検出する」は、検出される物体または物質の存在、非存在および/または量を同定(決定)することを指し、本明細書で述べるように、検出は定性的および/または定量的である。
本明細書で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は、別途指示しない限り複数の言及を含む。たとえば「an」antibody(抗体)は、1つ以上の抗体を含み、「a protein(タンパク質)」は1つ以上のタンパク質を意味する。
(発明の方法)
本明細書で述べるすべての方法に関して、小型エピトープ抗体への言及は、これらの抗体の1つ以上を含む組成物も含む。これらの組成物は、当技術分野で周知である、適切な賦形剤、たとえば製薬的に許容される賦形剤はもちろんのこと緩衝剤および/または安定性を向上させる成分をさらに含む。
(サンプルの複雑さを低減する方法)
本発明は、「小型エピトープ抗体」と呼ばれる、小型エピトープに結合する(一般に特異的に結合する)1つ以上の抗体を使用して、タンパク質混合物内のタンパク質中の小型エピトープの存在または非存在あるいは量に基づいてタンパク質混合物を分画する方法を提供し、それにより小型エピトープを含み、小型エピトープについて濃縮されたタンパク質を含む画分が生成される。本明細書で使用するように、「濃縮された」は、それが由来したサンプル中のタンパク質またはペプチドの濃度および/または純度と比較した、タンパク質またはペプチドの濃度および/または純度の上昇を指す。本発明の方法の使用はそれにより、タンパク質混合物の複雑さを低減させる方法を提供し、サンプルの濃縮タンパク質成分の次の使用および/またはキャラクタリゼーションを促進する。抗体によって結合された小型エピトープのアミノ酸配列または組成が既知である限り、小型エピトープ抗体による結合は、小型エピトープ抗体によって結合されたタンパク質のアミノ酸配列および/または含有量に関する情報を提供する。本明細書で述べるように、エピトープ同一性情報(すなわち小型エピトープ抗体によって認識されたアミノ酸含有量および/または配列)を本発明の他の方法と組合せて使用して、たとえばタンパク質を同定できる。小型エピトープ抗体は本明細書でさらに述べられている。
本発明は、タンパク質を精製および/または濃縮する;タンパク質を単離するための;タンパク質を分離するための、キャラクタリゼーション(たとえば次の解析)のためにタンパク質を調製する;質量分析解析のためにタンパク質を調製する;タンパク質を同定する;新しいタンパク質を発見する;および/またはサンプル中のタンパク質を定量する方法をさらに提供する。
一般的な概要として、方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに少なくとも1個の小型エピトープ抗体を接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離する工程と;を含む。1つの実施形態において、工程(a)および(b)は連続して行う。別の実施形態において、工程(a)および(b)は同時に行う。一般に1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質が単離、分離、濃縮および/または精製される(すなわち元のサンプルの環境から除去される)。ある実施形態において、方法は:(c)タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに含む。ある実施形態において、方法はサンプルをタンパク質切断剤で処理する工程をさらに含む。1つの実施形態において、タンパク質切断剤は、サンプルに少なくとも1つの小型エピトープ抗体を接触させる工程(a)の前に添加される。別の実施形態において、タンパク質切断剤は、タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程(c)の後に添加する。
本発明の方法は、タンパク質(たとえばポリペプチド)を含むサンプルを分画するのに有用であり、これは多数のタンパク質中に存在するエピトープ(たとえば3個の直鎖アミノ酸、4個の直鎖アミノ酸、または5個の直鎖アミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープ)を認識する抗体(「小型エピトープ抗体」と呼ばれる)の使用により実現される。本発明の方法での使用に適した小型エピトープ抗体は本明細書で広範に述べ、実施例で例示する。小型エピトープ抗体の特異性のために、タンパク質またはペプチド(たとえばポリペプチド)は、本発明の方法で使用される小型エピトープ抗体によって認識される、タンパク質内の小型エピトープの存在および/または量に応じて、分離、濃縮および/または精製される。明らかであるように、「サンプルの複雑さを低減すること」は本明細書で使用するように、サンプルからタンパク質またはペプチド(たとえばポリペプチド)を単離、分離、濃縮および/または精製することを含む(タンパク質またはペプチドをサンプルの環境から除去することを含む)。
したがって1つの態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質を単離、分離、濃縮および/または精製する工程と;を含む。ある実施形態において、該方法は、タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程(c)をさらに含む。
1つの実施形態において、本発明はタンパク質サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質が濃縮される工程であって;複合体がサンプルに小型エピトープ抗体を接触させることによって生成される工程を含む。別の実施形態において、本発明はタンパク質サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は複数の小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより複数の小型エピトープ抗体に結合されたエピトープを含むタンパク質が濃縮される工程であって、複合体がサンプルに複数の小型エピトープ抗体を接触させることによって生成される工程を含む。
別の態様において、本発明はタンパク質サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法はタンパク質を小型エピトープ抗体−タンパク質複合体から分離して、それにより小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質が濃縮される工程であって;小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が結合を可能にする条件下でサンプルに小型エピトープ抗体を接触させることによって生成され、それにより小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が生成される工程と;抗体−タンパク質複合体を、存在する場合にサンプル中の未結合タンパク質から分離する工程とを含む。1つの実施形態において、本発明はタンパク質サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は複数のタンパク質を小型エピトープ抗体−タンパク質複合体から分離して、それにより複数の小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質を濃縮する工程であって、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が、サンプル中のタンパク質への結合を可能にする条件下でサンプルに複数の小型エピトープ抗体を接触させることによって生成され、それにより小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が生成される工程と、抗体−タンパク質複合体を、存在する場合にサンプル中の未結合タンパク質から分離する工程とを含む。
明らかであるように、1つ以上の工程は組合せられ、および/または(必要な製品が形成される限り、しばしば任意の順序で)連続して実施され、明らかであるように、本発明は本明細書で述べる工程の各種の組合せを含む。本発明が、初期の、または第1の工程が本明細書で述べた工程のいずれかである方法を含むことも明らかであり、本明細書に述べられている。本発明の方法は、後の「下流」工程が初期工程である実施形態を含む。
ある実施形態において、方法は、サンプルをタンパク質切断剤によって処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程をさらに含む。タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程(c)を包含する実施形態において、サンプルは、サンプルに少なくとも1つの小型エピトープ抗体を接触させる工程(a)の前および/またはタンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程(c)の後にタンパク質切断剤によって処理できる。タンパク質切断剤は、酵素(たとえばキモトリプシンまたはトリプシン)または化学薬品(たとえばシアノゲンブロミド)である。タンパク質切断剤およびタンパク質切断剤によって処理する方法は、当技術分野で周知であり、本明細書でさらに述べられている。
別の態様において、本発明は、サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は(a)結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させる工程と;(b)抗体−タンパク質複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むタンパク質を濃縮する工程と;(c)タンパク質をタンパク質−抗体複合体から分離する工程と;(d)タンパク質をタンパク質切断剤で処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程と;を含む。
別の態様において、本発明はサンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は(a)抗体−タンパク質複合体を形成するために、結合を可能にする条件下でサンプルに1つ以上の小型エピトープを接触させる工程と;(b)ポリペプチド断片を生成するために抗体−タンパク質複合体をタンパク質切断剤で処理する工程と;を含む。
別の態様において、本発明はタンパク質サンプルの複雑さを低減する方法を提供し、上記方法は:(a)サンプルをタンパク質切断剤で処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程と;(b)結合を可能にする条件下でポリペプチド断片に1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させて、それにより抗体−ポリペプチド複合体が生成される工程と;(c)抗体−ポリペプチド複合体を分離して、それにより1つ以上の小型エピトープ抗体によって結合された1つ以上のエピトープを含むポリペプチドが濃縮される工程と;を含む。
1個の、または1個を超える(たとえば約2個、約3個、約4個、約5個、約10個、約20個、約100個、またはそれ以上)小型エピトープ抗体が本発明の方法で使用される。ある実施形態において、サンプルに約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約15個、約10個未満またはそれ以下の小型エピトープ抗体を接触させる。ある実施形態において、サンプルに少なくとも約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個または500個のいずれかの小型エピトープ抗体を、上限が20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、または1000個のいずれかの小型エピトープ抗体を接触させる。
サンプルが小型エピトープ抗体でない抗体を含む他のタンパク質結合因子、および他のタンパク質結合因子とも接触されることが理解される。そのような因子は、小型エピトープ抗体による処理の前または後に、同時に、連続して使用できる。
ある実施形態において、サンプルは、サンプルに1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させる工程の前に、またはそれと同時に、1つ以上のタンパク質、好ましくはサンプル中に豊富なことが既知であるタンパク質に結合する1つ以上の抗体によって処理される。たとえば血清サンプルにおいて、前処理はアルブミン、免疫グロブリン、および/または他の豊富なタンパク質に結合する抗体を含む。1つの実施形態において、サンプル中のタンパク質は、1つ以上の既知の豊富なタンパク質に結合する1つ以上の抗体との接触の前に、タンパク質切断剤によって切断される。別の実施形態において、サンプル中のタンパク質は、1つ以上の既知のタンパク質、たとえば豊富なタンパク質に結合する1つ以上の抗体との接触の後に、タンパク質切断剤によって切断される。1つの実施形態において、結合したタンパク質(たとえば豊富なタンパク質)は、1つ以上の小型エピトープ抗体との接触の前にサンプルから除去される。1つの実施形態において、方法は、サンプル中の1つ以上の既知のタンパク質、たとえば豊富なタンパク質に結合する1つ以上の抗体による処理(場合により結合したタンパク質の除去が続く)、サンプル中のタンパク質のタンパク質切断剤による切断、および切断したタンパク質と1つ以上の小型エピトープ抗体との接触による、サンプルの「脱バルク化」を含む。別の実施形態において、方法は、サンプルのタンパク質切断剤による処理、サンプル中の1つ以上の既知のタンパク質、たとえば豊富なタンパク質および/または切断したポリペプチド断片に結合する1つ以上の抗体を用いた処理によるサンプルの脱バルク化(場合により結合したタンパク質および/またはポリペプチド断片の除去が続く)、および残りのタンパク質および/または切断したポリペプチド断片と1つ以上の小型エピトープ抗体との接触を含む。別の実施形態において、方法は、1つ以上の既知のタンパク質、たとえば豊富なタンパク質に結合する1つ以上の抗体を用いた処理(場合により結合したタンパク質の除去が続く)によるサンプルの脱バルク化、抗体−タンパク質複合体を形成するための、サンプルと少なくとも1個の小型エピトープ抗体との接触、および抗体−タンパク質複合体のタンパク質切断剤による処理を含む。
小型抗体による処理後に残存するサンプルのタンパク質成分(すなわち未結合成分)も、本発明の方法を使用して生成されたタンパク質を使用する本発明の方法での使用に適切であることがさらに理解される。それゆえある実施形態において、本発明の方法を使用して生成されたタンパク質を使用する方法は、この未結合タンパク質画分の使用を含む。
抗体結合および抗体−タンパク質複合体の分離のための方法および条件は、当技術分野で周知であり、本明細書でさらに述べられている。一般にサンプルは、小型エピトープ抗体と接触させるときに部分的または全体的に変性されるが、各実施形態では変性は必要ない。ある実施形態において、サンプルに2つ以上の抗体を接触させる工程(a)は連続的である(1つの抗体にサンプルを接触させ、次に除去して、別の抗体にサンプルを接触させ、除去するなどの場合のように)。他の実施形態において、2つ以上の抗体を接触させる工程(a)は、たとえば抗体の群にサンプルを同時に接触させる場合などのように並列である。ある実施形態では、2つ以上の抗体の複数の群にサンプルを連続的に接触させ、たとえば群1を接触させて除去し、群2を接触させて除去するなどである。
定義で示したように、そして本明細書で使用するように、「サンプル」は、固体から取得したサンプルを含めて、各種のサンプルの種類を含む。ある実施形態において、サンプルは、血液、血漿、血清、尿、糞便、脳脊髄液、滑液、羊水、唾液、肺洗浄液、精液、乳汁、乳頭吸引液、前立腺液、粘液、および涙を含む。本発明の方法で使用する適切なサンプルは、本明細書でさらに述べる。
(本発明の方法を使用して単離(濃縮)されたタンパク質を使用する方法)
本発明の方法を使用して単離または濃縮されたタンパク質は、各種の目的に使用できる。例示のために、本発明の方法によって濃縮および/または精製されたタンパク質を使用する、タンパク質をキャラクタリゼーションする方法について述べる。ある実施形態において、タンパク質は質量分析を使用してキャラクタリゼーションされ、それによりタンパク質は定量および/または同定される。遺伝子型解析(タンパク質突然変異検出)の方法、スプライスバリアントを同定する方法、目的のタンパク質の存在または非存在を決定する方法、発現プロファイリングの方法;タンパク質分解生成物を同定する方法;翻訳後修飾での変化を同定する方法、およびタンパク質発見の方法も述べられている。
簡略化と利便性のために、言及は一般に「タンパク質」に対して行う。タンパク質への言及は「ポリペプチド」(同義的に「ポリペプチド断片」と呼ばれる)を含む。本明細書の考察より明らかであるように、ある実施形態において、タンパク質切断剤はポリペプチド断片を生成するために使用される。
(タンパク質をキャラクタリゼーションする方法)
本発明は、目的のタンパク質(一般にポリペプチド断片)をキャラクタリゼーション(たとえば検出(存在または非存在)および/または定量)する方法を提供する。ある実施形態において、本発明の方法の使用は、それぞれ開始サンプルより少ないタンパク質を含む、サンプルの1つ以上の画分を生成して、画分に含まれるタンパク質の次のキャラクタリゼーションを容易にする。本明細書でさらに述べるように、特に質量分析を使用するキャラクタリゼーションの向上が期待されている。
それゆえ本発明は、タンパク質をキャラクタリゼーションする方法であって:(a)本明細書で述べる方法のいずれかを使用してサンプルの複雑さを低減させ、それによりタンパク質が濃縮および/または精製される工程と;(b)本明細書で述べる方法のいずれか1つによって単離されたタンパク質(同義的に「生成物」と呼ばれる)を解析する工程と;を含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、タンパク質をキャラクタリゼーションする方法であって:タンパク質(同義的に「生成物」と呼ばれる)であって、本明細書で述べるサンプルの複雑さを低減させる方法(タンパク質を精製および/または濃縮する方法、タンパク質を単離する方法、タンパク質を分離する方法、キャラクタリゼーションのためのタンパク質画分を調製する方法、質量分析解析のためのタンパク質画分を調製する方法、タンパク質(たとえば1つ以上のタンパク質、またはタンパク質の群)を同定する方法、新しいタンパク質を発見する方法、およびサンプル中のタンパク質を定量する方法を含む)のいずれかを使用して調製されたタンパク質を解析する工程を含む。
解析の工程は、当技術分野で既知であるか、本明細書で述べるいずれかの方法によって実施できる。タンパク質を解析する方法は当技術分野で周知であり:高圧液体クロマトグラフィー、FPLC、薄層クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および他の標準生化学分析などの技法によって分離されたドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(「SDS−PAGE」)、等電点電気泳動、免疫検出、タンパク質配列決定、タンパク質アレイを用いた解析、質量分析などを含む。それゆえ本発明は、本明細書の方法の生成物のいずれにも利用されるように、これらの解析および/または定量方法を含む。
ある実施形態において、解析の工程は上記タンパク質の量を決定して、それにより調製、濃縮および/または分離されたタンパク質の量を定量する。濃縮したタンパク質の量は、定量的および/または定性的方法を使用して決定されることが理解される。タンパク質生成物の量を決定することは、生成物が存在または非存在であるかを決定することを含む。
ある実施形態において、解析の工程は、上記タンパク質の1つ以上を同定することを含む。タンパク質を同定する方法は当技術分野で周知であり:免疫検出、タンパク質配列決定などを含む。ある実施形態において、濃縮されたタンパク質(サンプルから精製または濃縮された)の本質的にすべてが同定される。ある実施形態において、小型エピトープ抗体が結合するエピトープの同一性は、濃縮されたタンパク質の同定を補助するために使用される。ある実施形態において、タンパク質は以下の特徴のいずれか1つ以上:配列;質量;m/z比(質量分析解析を包含する実施形態において)、アミノ酸組成、およびタンパク質を同定するために十分な情報を提供する他のいずれかの方法を使用して同定される。本明細書で使用するように、「同定する」は、既知の(以前にキャラクタリゼーションされたタンパク質)を同定することはもちろんのこと、以前に未知であるか、またはキャラクタリゼーションされていないタンパク質(タンパク質バリアント、たとえばミュータントタンパク質、異なって修飾されたタンパク質(たとえば各種の炭水化物含有量)およびスプライスバリアントを含む)の発見も含む。ある実施形態において、多数の、より多数の、または非常に多数のタンパク質が同定される。他の実施形態において、少なくとも約2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、500個、または1000個以上のタンパク質が同定される。
他の実施形態において、解析の工程は、1つ以上のタンパク質の質量を決定することを含む。
ある実施形態において、解析の工程は、配列変化以外がタンパク質配列と(少なくとも一部が)同一である基準タンパク質と比較した、タンパク質中のいずれかの変化の検出に関する解析を含む。配列変化は、ゲノム配列に存在する配列変化であるか、あるいはゲノムDNA配列に反映されていない配列変化、たとえば翻訳後変化、および/またはスプライスバリアントを含むmRNA処理、および/または翻訳後修飾、たとえばグリコシル化の量の変化、およびタンパク質の分解または副生成物による変化である。配列変化は、突然変異(たとえば1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入および/または塩基転換)を含む。
小型エピトープ抗体に対するエピトープの同一性(配列)は、たとえばタンパク質を同定するために、本明細書で述べる方法のいずれかと組合せて利用されることが理解される。
(質量分析を使用するタンパク質をキャラクタリゼーションする方法)
ある実施形態において、質量分析(MS)は、本発明の方法を使用して単離されたタンパク質をキャラクタリゼーションするのに使用される。一般に、質量分析解析を包含する実施形態において、サンプルはタンパク質切断剤(それによりポリペプチド断片が生成される)によって処理されるが、切断剤の処理は各実施形態で必須ではない。ある実施形態において、サンプルは、サンプルと小型エピトープ抗体との接触前にタンパク質切断剤によって処理される。他の実施形態において、サンプルは、小型エピトープ抗体との接触、抗体−タンパク質複合体の分離、およびタンパク質のタンパク質−抗体複合体からの分離による、タンパク質画分の濃縮後にタンパク質切断剤によって処理される。本明細書に示すように、本発明の方法を使用して生成されたタンパク質(たとえばポリペプチド断片)は、本発明の方法の使用が開始サンプルよりも複雑でないタンパク質の画分を生成するため、質量分析を使用した解析に特に適している。タンパク質内に存在するエピトープ、たとえばタンパク質を含むタンパク質画分を精製および/または濃縮するために使用される小型エピトープ抗体によって認識された同種エピトープが既知である限り、アミノ酸配列またはエピトープの含有量(「エピトープ配列」または「エピトープ含有量」と呼ばれる)は、タンパク質をキャラクタリゼーションおよび同定するのに有用な情報をさらに提供する。
質量分析タンパク質解析の方法は当技術分野で周知であり、本明細書でさらに述べられている。質量分析方法は、タンパク質を定量および/または同定するのに使用されている(たとえばLi et al.(2000)Tibtech 18:151−160;Rowley et al.(2000)Methods 20:383−397;およびKuster and Mann(1998)Curr.Opin.Structural Biol.8:393−400を参照)。単離タンパク質の少なくとも部分的なデノボ配列決定を可能にする質量分析技法も開発されている。Chait et al.(1993)Science 262:89−92;Keough et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:7131−6;Bergman(2000)EXS 88:133−44で総説されている。
ポリペプチド質量マッピングは、そのアミノ酸組成に基づいて解析の下でタンパク質またはタンパク質画分のポリペプチドマスフィンガープリントを提供する。ポリペプチド質量マッピングはたとえば、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)を使用して目的のポリペプチドをイオン化し、同時にイオン化ポリペプチドの飛行時間分布がタンパク質配列データベースへの問合せに使用可能な、各ポリペプチドの質量対電荷比の明細を提供する、MALDI−TOFプラットフォームを使用して得られる。得られたポリペプチドマスフィンガープリントは、質量および電荷決定に基づいたアミノ酸組成を含む。これらの結果を使用して、小規模なポリペプチド質量一致のセットは、該当するタンパク質の同定のために十分な情報を提供する。
MSによるタンパク質同定の第2の方法において、混合物中の個々のポリペプチドは断片化されて、配列情報を生成する。ポリペプチドは液相からのエレクトロスプレー(ESI)によってイオン化され、次に混合物中のポリペプチドの分解と、目的のポリペプチドの単離と、主にポリペプチド結合を破壊することによって(衝突、誘発解離)、個々のポリペプチド種を構成要素のアミノおよびカルボキシ末端含有断片への解離とが可能であるタンデム質量分析計内にスプレーされる。得られた質量スペクトルは、親イオンはもちろんのこと、アミノおよびカルボキシ末端含有断片に由来するイオンの2つの重複する質量はしごからも成る。はしごの各要素は質量対電荷比(「m/z」と呼ばれる)がシリーズ内のその最も近い質量隣接から1アミノ酸だけ異なるため、部分一次配列が生成され、タンパク質および翻訳DNA配列データベースの両方への問合せに使用できる。この質量分析プラットフォームは、(SELDI−TOFを含む他のプラットフォームによって生成されたような)ポリペプチドのアミノ酸組成を反映するポリペプチド質量のリストよりも、タンパク質同定にしばしば有用である、複数のポリペプチドに由来する特異性配列情報を提供する。
質量分析方法はさらに、以下でさらに述べるように、解析されるタンパク質の定量を可能にする。
他の質量分析法が当技術分野で周知であり:マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(「MALDI」)質量分析;表面増強レーザ脱離イオン化(「SELDI」);および/またはタンデム質量分析(たとえばMS/MS、MS/MS/MS、ESI−MS/MS)を含む。ある実施形態において、タンデム質量分析は、四重極飛行時間質量分析計QqTOF MSにさらに連結されたレーザ脱離/イオン化質量分光分析計を使用して実施される(たとえばKrutchinsky et al.,WO99/38185を参照)。MALDI−QqTOF MS(Krutchinsky et al.,WO 99/38185;Shevchenko et al.(2000)AnaL Chem.72:2132−2141)、ESI−QqTOF MS(Figeys et al.(1998) Rapid Comm’ns.Mass Spec.12−1435−144)およびチップキャピラリー電気泳動(chip−CE)−QqTOF MS(Li et al.(2000) Anal.Chem.72:599−609)などの方法は、以前に述べた。質量分析計および本発明の方法でそれらを使用するための技法は、当業者に周知である。当業者は、質量分析計の構成要素のいずれか(たとえば脱離源、質量アナライザ、検出など)を、本明細書で述べる他の適切な構成要素、または当技術分野で既知のものと組合せられることを理解すべきである。質量分析計に関する追加の情報は、たとえばPrinciples of Instrumental Analysis,3rd ed.,Skoog,Saunders College Publishing,Philadelphia,1985;およびKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th ed. Vol.15(John Wiley & Sons,New York 1995),pp.1071−1094を参照。
(質量スペクトルのデータ解析)
質量分析解析を使用して取得した質量スペクトルデータを使用して、本発明の方法を用いて取得した濃縮タンパク質生成物の量および/または同一性に関する情報を取得できる。ポリペプチドの脱離および検出によって生成されたデータは、いずれかの適切な手段(たとえば視覚的に、コンピュータなどによって)を使用して解析できる。1つの実施形態において、データはプログラム可能なデジタルコンピュータを使用して解析する。コンピュータは、基質上の特定のアドレス指定可能な位置から受信した各種の分子量の信号の強度に関する情報を、入力として受信するコードを含有する。このデータは、場合により検出された各生成物についてのピーク値の信号強度および決定された分子量を含めて、検出された生成物の数を示すことができる。
データ解析は、(たとえば特定の質量対電荷値または値の範囲の)検出されたピーク値の信号強度(たとえばピークの高さ)を決定する工程と、「異常値」(規定の統計分布から逸脱しているデータ)を除去する工程を含むことができる。観察されたピークは正規化することが可能であり、ある基準に対する各ピークの高さが計算される工程である。たとえば基準は、目盛りでゼロに設定される、機器および化学薬品(たとえばエネルギー吸収分子)によって生成されたバックグラウンドノイズである。次に各ポリペプチドまたは他の物質について検出された信号強度を、所望の目盛り(たとえば100)に相対強度の形で表示できる。あるいはサンプルと共に標準が認められるため、標準からのピークを基準として使用して、検出された各アフィニティ標識について観察された信号の相対強度を計算できる。Biomarker Wizardプログラム(Ciphergen Biosystems,Inc.,Fremont,Calif.)などのソフトウェアプログラムを使用して、質量スペクトルの解析を補助できる。
ある実施形態において、サンプル中に存在する1つ以上のタンパク質の量は、一部は、プログラム可能なデジタルコンピュータによってアルゴリズムを実行することによって決定される。アルゴリズムは、第1サンプルの第1質量スペクトルにおいて、そして第2サンプルの第2質量スペクトルにおいて、少なくとも1個のピーク値を識別する。アルゴリズムは次に、第1質量スペクトルのピーク値の信号強度を、第2質量スペクトルのピーク値の信号強度と比較する。相対信号強度は、第1および第2サンプルに存在するタンパク質の量の表示である。タンパク質の既知量を含有する標準は、第1サンプル中に存在するタンパク質の量をより良好に定量するために、第2サンプルとして解析できる。ある実施形態において、第1および第2サンプル中のタンパク質の同一性も判定できる(以下を参照)。
本発明は、タンパク質の同一性を判定する方法も提供する。ある実施形態において、プログラム可能なデジタルコンピュータを使用して、1つ以上の質量スペクトルを含有するデータベースにアクセスする。次に、予測された各質量スペクトルについて少なくとも第1の尺度を決定するために、プログラム可能なデジタルコンピュータを用いてアルゴリズムを実行する。第1の尺度は、該タンパク質の質量スペクトルと複数の予測された各質量スペクトルとの間の適合近接性の表示である。
質量スペクトルのデータは、MSデータを比較してデータベースに記録するプログラム可能なデジタルコンピュータを用いてアルゴリズムを実行することによって、タンパク質を同定するために使用できる。各分子は、MS法によって解析したときに、特徴的な質量分析(MS)データ(質量スペクトル「署名」または「フィンガープリント」とも呼ばれる)を示す。このデータは、それを特に実際の、または理論上のMSデータまたはタンパク質配列情報を含有するデータベースと比較することによって解析できる。加えて、タンパク質はMS解析のために断片に切断される。断片のMS解析から取得された情報も、サンプル中のタンパク質(たとえばタンパク質)を同定するためにデータベースと比較される(たとえばYates(1998)J.Mass Spec.33:1−19;Yates et al.,U.S.Pat.No.5,538,897;Yates et al.,U.S.Pat.No.6,017,693;PCT Publication No.WO 00/11208およびGygi et al.(1999)Nat.Biotechnol.10:994−999を参照)。質量スペクトル、特にタンパク質質量スペクトルの解釈を容易にするソフトウェアリソース、およびパブリックドメイン配列データベースのマイニングは、タンパク質同定を容易にするためにインターネット上で現在、容易にアクセス可能である。それらの中でもProtein Prospector(http://prospector.ucsf/edu)、PROWL(http://prowl.rockefeller.edu)、およびMascot Search Engine(Matrix Science Ltd.,London,UK,www.matrixscience.com)である。
ある実施形態において、データから取得したMSデータおよび情報はタンパク質に関連するデータおよび情報からなるデータベースと比較される。たとえばデータベースは、ヌクレオチドまたはアミノ酸の配列からなる。データベースは、発現された配列タグ(EST)のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列からなる。あるいはデータベースは、ヌクレオチドまたはアミノ酸レベルにおける遺伝子の配列よりなる。データベースは制限なく、いずれかの種のゲノムに含まれるヌクレオチド配列、アミノ酸配列、またはヌクレオチド配列の翻訳のコレクションを含むことができる。
タンパク質、たとえばヌクレオチドまたはアミノ酸の配列に関連する情報のデータベースは通例、場合によりコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムまたは検索アルゴリズムによって解析される。配列データベースからの情報は、本発明の方法から取得されたデータおよび情報とのベストマッチに関して検索される(たとえばYates(1998)J.Mass Spec.33:1−19;Yates et al.,U.S.Pat.No.5,538,897;Yates et al.,U.S.Pat.No.6,017,693を参照)。データベースを検索するのに適切ないずれの有用なアルゴリズムまたはコンピュータも使用できる。検索アルゴリズムおよびデータベースは、常に更新され、そのような更新版は本発明に従って使用されるであろう。プログラムまたはデータベースの例は、ワールドワイドウェブ(WWW)のhttp://base−peak.wiley.com/、http://mac−mann6.embl− heidelberg.de/MassSpec/Software.html、http://www.mann.emblheidelberg.de/Services/PeptideSearch/PeptideSearchIn−tro.html、ftp://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/、およびhttp://donatello.ucsf.ed−uに見出せる。U.S.Pat.Nos.5,632,041;5,964,860;5,706,498;および5,701,256も配列比較方法のアルゴリズムについて述べている。データベースの他の例は、Genpeptデータベース、GenBankデータベース(Burks et al.(1990)Methods in Enzymology 183:3−22に述べられている、EMBLデータライブラリ(Kahn et al.(1990)Methods in Enzymology 183:23−31に述べられている、タンパク質配列データベース(Barker et al.(1990)Methods in Enzymology 183:31−49に述べられている、SWISS−PROT(Bairoch et al.(1993) Nucleic Acids Res.21:3093−3096に述べられている、そしてPIR−International((1993)Protein Seg. Data Anal.5:67−192に述べられている)を含む。
ある実施形態において、小型エピトープ抗体によって認識されたエピトープのアミノ酸配列(「エピトープ配列」と呼ばれる)は、データベース検索情報および検索アルゴリズムと併せて使用されて、タンパク質の同定を増強する。たとえばタンパク質に関連するデータおよび情報からなるデータベースとの比較によってそのデータから取得したMSデータおよび情報の解析の前または後に、エピトープのアミノ酸配列は、データ解析を正確にするために使用される。たとえばタンパク質同一性候補の予備リストは、エピトープ配列を含まないそのリストから構成要素を排除することによって正確にされる。別の例において、所与のエピトープ配列を含むすべてのタンパク質のデータベースが、作成または理論的に生成される。このデータベースは次に、当技術分野で既知のデータ解析方法を使用するさらなる解析を受ける。
タンパク質、たとえばヌクレオチドまたはアミノ酸の配列に関連する情報のデータベースは通例、場合によりコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムまたは検索アルゴリズムによって解析される。
さらなる実施形態において、新規のデータベースは、質量分析的に決定されたMSデータ、たとえば切断したタンパク質およびポリペプチド断片の質量または質量スペクトルとの比較のために生成される。たとえば小型エピトープ抗体によって認識されたエピトープを含むポリペプチド断片すべての理論データベースが生成される。このデータベースは、データ解析ツールおよび本明細書で述べる方法のいずれとも併せて使用される。
ある実施形態において、質量スペクトルから得たポリペプチドの質量を使用して、タンパク質または最近接適合を与える核酸配列からの予測タンパク質の質量に関するデータベースに問合せを行う。この方法では、アミノ酸配列を用いずに未知のタンパク質を迅速に同定できる。本発明の他の実施形態において、そのポリペプチド断片から供給された質量をタンパク質のデータベースの予測質量スペクトルまたは最近接適合を与える核酸配列からの予測タンパク質と比較できる。
親分子または断片分子のMSデータから生成された配列に対して同様の配列相同性の所望の範囲内に含まれる配列データベースからの配列またはシミュレートされた切断断片は、「マッチ」または「ヒット」と呼ばれる。この方法では、タンパク質またはその断片の同一性は、迅速に判定できる。調査者は、各特定の解析に従って許容される配列相同性比較値の範囲はカスタマイズまたは変更できる。
便宜上、タンパク質「同一性」への言及を行うことが理解される。本明細書で述べる方法は、変異(たとえばアミノ酸置換、塩基転換、挿入または欠失)、ならびに他のタンパク質バリアント、たとえばスプライスバリアント、分解生成物、および/または差次的翻訳後修飾(たとえばグリコシル化レベルの変動)の存在または非存在の判定に等しく利用されることが理解される。
ある実施形態において、変異の存在または非存在は、基準m/z比に対するm/z値の変化の検出によって判定される。
ある実施形態において、翻訳後修飾のレベル(またはレベルの変化)は、エンドグリコシラーゼ処理サンプルを基準サンプル(たとえばエンドグリコシラーゼによって処理されていないサンプル)と比較することによって決定され、それにより翻訳後修飾のレベルが決定される。
(発現プロファイリング)
本発明の方法は、サンプル中の1つ以上のタンパク質の発現のレベルを決定に使用するのに適している。上述のように、濃縮および/または精製されたタンパク質画分は、本明細書で述べる、および/または当技術分野で既知である各種の方法によって検出および/または定量できる。ある実施形態において、タンパク質画分は、質量分析を使用して解析される(定量および/または同定を含む)。タンパク質生成物の量が定量的および/または定性的方法を使用して決定されることが理解される。生成物の量の決定は、生成物が存在または非存在であるかを判定することを含む。それゆえ発現プロファイリングは、目的の1つ以上のタンパク質配列の存在または非存在に関する情報を含むことができる。「非存在」または生成物の「非存在」、および「生成物の検出の不足」は本明細書で使用するように、わずかな、すなわち些細なレベルを含む。
ある実施形態において、2つ以上のサンプル中のタンパク質の量が比較される。通例、サンプルは重複タンパク質プロフィールを有する。本発明の方法を使用すると、タンパク質の量を比較して、存在するタンパク質の性質および量でプロフィールがどのように異なるかを決定できる。これらの方法は、疾患症状(たとえば疾患バイオマーカー、PSA、BRCA1など)または処置有効性、あるいは作用因子の毒性効果、あるいは病原体の存在(たとえばHIV、細菌性病原体、ウィルス性病原体、プリオンなど)などを示すタンパク質の性質または量の変化を識別するのに有用である。これらの方法は、薬物発見目的で、疾患症状と関連するタンパク質を発見するのにも有用である。特に、異なる対象からであり、異なる条件または処置を受けているサンプルのタンパク質プロフィールを比較することが有用である。
たとえばある実施形態において、第1サンプルは未処置対照サンプルであり、第2サンプルは作用因子または条件を受けている。作用因子の例は、これに限定されるわけではないが:化学療法剤、紫外線、医療器具(たとえばステント除細動器)、外来性遺伝子、および成長因子を含む。当業者は、外来性遺伝子を細胞に導入するために多くの方法があることを認識している(たとえばAusubel et al.,eds.,(1994),同上を参照)。他の実施形態において、第1サンプルは罹患サンプルであり、第2サンプルは非罹患サンプルである。加えて作用因子は、候補薬の形を取ることができる。たとえば第1サンプル中のタンパク質を候補薬によって処置して、負または正の対照である第2サンプルと比較できる。第1および第2サンプル中に存在するタンパク質(たとえばタンパク質)の量に対する候補薬の影響は、候補薬の有効性または毒性の表示でありうる。当業者は、これらの方法が疾患症状に対する作用因子の効果またはサンプル中に存在する疾患マーカーの量を解析するために適合可能であることを認識するであろう。1つの実施形態において、該方法は、作用因子(たとえば候補薬)による処置に関連するタンパク質を同定するために使用される。そのようなタンパク質はたとえば作用因子の有効性に関連付けられ、それによって臨床エンドポイントの代用として作用する。
(バイオマーカー)
バイオマーカータンパク質(またはタンパク質)は、本明細書で述べる発現プロファイリングおよびキャラクタリゼーション方法を使用して同定できる。バイオマーカーはその検出、監視、定量および/またはキャラクタリゼーションを対象とする、目的のタンパク質である。ある実施形態において、バイオマーカーは、特定の条件または処置、たとえば疾患または症状、薬物による処置(薬物処置の有効性および/または毒性を含む)、医療器具による処置などに関連付けられる。他の実施形態において、バイオマーカーは、目的の組織または細胞(たとえば腫瘍、器官など)内で発現する。本明細書で使用するように、バイオマーカータンパク質は新たに同定されたタンパク質またはタンパク質バリアント(たとえば変異タンパク質、スプライスバリアント、変化した翻訳後修飾を有するタンパク質など)である。他の実施形態において、バイオマーカーは組織特異性マーカーである。
バイオマーカーは、診断(ある実施形態において、疾患のステージングを含む)、療法の予後、評価および/または選択、疾患進行の監視、処置の有効性の監視、および/または疾患の処置において代用マーカーとして使用できる。ある実施形態において、バイオマーカーは当技術分野で既知の方法によって、および/または本明細書で述べるいずれかの方法によって検出および/または定量され、それによりバイオマーカーの発現(バイオマーカーの存在または非存在、あるいはバイオマーカーの差次的発現)は、障害または症状の存在を示す。1つの実施形態において、バイオマーカーのレベルの上昇は、障害または症状の存在を示す。別の実施形態において、バイオマーカーのレベルの低下は、障害または症状の存在を示す。ある実施形態において、動物実験における、臨床試験における特定の治療処置計画の有効性を評価するために、または個々の対象の処置を監視するために、バイオマーカー発現を使用する。ある実施形態において、バイオマーカーは、所望の臨床エンドポイントの代用として作用する。他の実施形態において、バイオマーカーは、バイオマーカー発現が作用因子(たとえば薬物)による処置の有効性を予測する場合のように、作用因子の有効性と関連付けられる。1つの実施形態において、バイオマーカーのレベルの上昇は、処置の有効性または進行を示す。別の実施形態において、バイオマーカーのレベルの低下は、処置の有効性または進行を示す。
バイオマーカーは、作用因子、たとえば医薬品、新しい薬物候補、化粧品、または他の化学薬品の毒性を含む、毒性のマーカーとして使用できる。ある実施形態において、バイオマーカー発現の検出は、作用因子、たとえば毒素または病原体への環境的曝露を監視するためにも使用される。1つの実施形態において、バイオマーカーのレベルの上昇は、作用因子への曝露を示す。別の実施形態において、バイオマーカーのレベルの低下は、毒性または作用因子への曝露を示す。
バイオマーカーは、たとえばDNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、ポリペプチド、ミメティックス、小型分子などを含む、分子および化合物の多数またはライブラリを、特異性結合アフィニティに関してスクリーニングするために使用できる。1つの実施形態において、アッセイは、複数の分子および/または化合物を提供する工程と、特異性結合を可能にする条件下でバイオマーカーに複数の分子および/または化合物を化合させる工程と、バイオマーカーを特異的に結合する少なくとも1個の分子または化合物を同定するために特異性結合を検出する工程とを包含する。
同様に1つ以上のバイオマーカーまたはその部分は、リガンドを同定する各種のスクリーニングアッセイのいずれにおいても、分子および/または化合物の多数またはライブラリをスクリーニングするために使用できる。スクリーニング方法は当技術分野で周知である。アッセイは、バイオマーカーを特異的に結合する、たとえばアプタマー、DNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、ポリペプチド、ミメティックス、タンパク質、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫グロブリン、インヒビタ、小型分子、医薬品または薬物化合物などをスクリーニングするために使用できる。
別の実施形態において、バイオマーカーを特異的に結合する抗原結合部位を含む1つ以上の抗体を、バイオマーカーの検出(インビトロおよびインビボ検出を含む)に使用できる。別の例において、バイオマーカーを特異的に結合する抗体をインビボ造影試薬、たとえばH、111In、125Iに結合させて(Esteban et al.(1987)J.NucL.Med.28.861−870を参照)、インビボ撮像要素に使用できる。
(組成物およびキット)
本発明は、本明細書で述べる方法、たとえばサンプルの複雑さを低減する方法、タンパク質または複数のタンパク質を精製および/または濃縮する方法、タンパク質または複数のタンパク質を単離および/または分離する方法、および/またはキャラクタリゼーションのためにタンパク質、複数のタンパク質、またはタンパク質画分を調製する方法、質量分析解析のためにタンパク質、複数のタンパク質、またはタンパク質画分を調製する方法、タンパク質または複数のタンパク質を同定する方法、1つ以上の新しいタンパク質を発見する方法、サンプル中のタンパク質または複数のタンパク質の検出および/または定量の方法、1つ以上のタンパク質をキャラクタリゼーションする方法、発現プロファイリングのための方法、タンパク質分解生成物を同定する方法、翻訳後修飾における変化を同定する方法、および/またはサンプル中のタンパク質の質量、量および/または同一性を決定する方法のいずれかで使用するための組成物も提供する。本発明の方法で使用する組成物は、1つ以上(たとえば約2個、約3個、約4個、約5個、約7個、約10個、約15個またはそれ以上)の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、組成物は約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約15個、約10個、約5個未満またはそれ以下の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、組成物は、少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、組成物は約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、組成物は、少なくとも約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個または500個のいずれかの小型エピトープ抗体を、上限が約20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、または1000個のいずれかの小型エピトープ抗体と共に含む。
本発明は、瞬間的な方法で使用するためのキットも提供する。本発明のキットは、1つ以上の小型エピトープ抗体を含む1つ以上の容器を含む。ある実施形態において、キットは、約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約15個、約10個、約5個未満またはそれ以下の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、キットは、少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000またはそれ以上の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、キットは約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体を含む。ある実施形態において、キットは、少なくとも約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個または500個のいずれかの小型エピトープ抗体を、上限が約20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、または1000個のいずれかの小型エピトープ抗体と共に含む。ある実施形態において、キットは、本明細書で述べた本発明の方法、たとえばサンプルの複雑さを低減する方法、タンパク質または複数のタンパク質を精製および/または濃縮する方法、タンパク質または複数のタンパク質を単離および/または分離する方法、および/またはキャラクタリゼーションのためにタンパク質、複数のタンパク質、またはタンパク質画分を調製する方法、質量分析解析のためにタンパク質、複数のタンパク質、またはタンパク質画分を調製する方法、タンパク質または複数のタンパク質を同定する方法、1つ以上の新しいタンパク質を発見する方法、サンプル中のタンパク質または複数のタンパク質の検出および/または定量の方法、1つ以上のタンパク質をキャラクタリゼーションする方法、発現プロファイリングのための方法、タンパク質分解生成物を同定する方法、翻訳後修飾における変化を同定する方法、および/またはサンプル中のタンパク質の質量、量および/または同一性を決定する方法のいずれかに従って使用するための説明書をさらに含む。
本発明は、タンパク質「生成物」(たとえば本明細書で述べる本発明の方法のいずれかを使用して濃縮、精製、単離、調製、分離、および/または分画されたタンパク質のいずれかも含む。本発明は、本明細書で述べる本発明の方法のいずれかを使用してキャラクタリゼーション(たとえば検出、同定、定量など)されるタンパク質またはタンパク質断片およびそのような生成物を含む組成物も提供する。そのようなタンパク質は、(タンパク質が結合した)小型エピトープ抗体によって認識される同種の小型エピトープを含む。本発明は、本明細書で述べる方法によって調製または単離された、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体または小型エピトープ抗体−タンパク質断片複合体も提供する(小型エピトープ抗体との接触の前に、タンパク質にタンパク質切断剤を接触させる方法のために)。本発明は、本明細書で述べる方法のいずれかに従って小型エピトープ抗体−タンパク質複合体または小型エピトープ抗体−タンパク質断片複合体から分離されたタンパク質またはタンパク質断片、および/または小型エピトープ抗体からの分離後にタンパク質から調製されたタンパク質断片も提供する。
別の態様において、本発明は、本発明の方法のいずれかの態様によって生成された中間体(複合体、たとえば小型エピトープ抗体−タンパク質複合体など)を含む組成物/またはキットを含む。本発明は、本明細書で述べるようにタンパク質含有サンプルおよび小型エピトープ抗体および/または小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を含むインキュベーション混合物も提供する。
本発明のキットは、適切なパッケージ内にある。適切なパッケージはこれに限定されるわけではないが、バイアル、ボトル、広口瓶、柔軟性パッケージ(たとえば密封Mylarまたはプラスチック袋)などを含む。ある実施形態において、キットは、容器と、容器表面上の、または容器に添付されたラベルまたはパッケージ挿入物とを含む。ラベルまたはパッケージ挿入物は、小型エピトープ抗体が本明細書で述べる方法、たとえばサンプルの複雑さを低減させる方法、またはタンパク質を同定する方法、タンパク質をキャラクタリゼーションする方法、および/または発現プロファイリングの方法のいずれかに有用であることを示す。本明細書で述べる方法のいずれかを実施するための説明書が提供される。
(本発明の方法で有用な成分および反応混合物)
(小型エピトープ抗体)
本発明の方法は、小型エピトープ抗体を使用する。本明細書で使用するように、「小型エピトープ抗体」は小型ペプチドエピトープに結合する(一般に特異的に結合する)抗体である。エピトープ特異性のために、小型エピトープ抗体は一般に、抗体が結合する小型エピトープを含む多数のタンパク質を認識する。抗体によって結合された小型エピトープが既知である限り、小型エピトープ抗体による結合は、アミノ酸含有量および/または小型エピトープ抗体に結合されたタンパク質の配列に関連する情報を提供する。小型エピトープ抗体は、たとえば同時継続のU.S.Patent Application No.10/687,174に述べられている。小型エピトープ抗体および小型エピトープ抗体を作成する方法は本明細書でさらに述べられており、実施例に例示されている。
抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(たとえばFab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のいずれかの修飾配置も含むことができる。抗体はマウス、ラット、ヒト、または他のいずれかの起源(ヒト化抗体を含む)である。小型エピトープ抗体は、たとえばハイブリドーマによる産生、組換え産生、または化学合成を含む当技術分野で既知の多数の方法によって産生される。
一般に小型エピトープ抗体は、3、4、または5個の一連の(連続した)アミノ酸の短い直鎖ペプチドエピトープを結合する。代わりにある実施形態において、小型エピトープ抗体はポリペプチド内の不連続アミノ酸配列を結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は、約2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のいずれかのアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は、2〜10個、3〜8個の、または3〜5個のアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は、約10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、または3個未満のいずれかのアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体の群は、約3〜約5個のアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体の群は、2〜10個の、3〜8個の、または3〜5個のアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体の群は、約2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のいずれかのアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体の群は、約10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、または3個未満のいずれかのアミノ酸からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。小型エピトープ抗体の群は、複数の小型エピトープ抗体を含む。1つの実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は、同数のアミノ酸のエピトープを結合する。他の実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は、異なる数のアミノ酸の混合物のエピトープを結合する。本明細書で述べる実施形態のいずれかにおいて、エピトープは以下で述べるように、ポリペプチド内の連続または不連続の配列である。ある実施形態において、1つ以上の小型エピトープ抗体は、1つ以上の小型エピトープ抗体によって認識されるエピトープより大きいエピトープに結合する抗体を含む、抗体の混合物内に含まれる。
ある実施形態において、小型エピトープ抗体は、3個の連続したアミノ酸(3merと呼ばれる)、4個の連続したアミノ酸(4merと呼ばれる)、または5個の連続したアミノ酸(5merと呼ばれる)からなる、または本質的に成るエピトープを結合する。他の実施形態において、小型ペプチド抗体は、小型の「不連続」または「縮重」直鎖ペプチド配列、たとえば直鎖ペプチド配列YCxC(ここで、xは20個の天然アミノ酸(縮重直鎖配列)のいずれかを表す)を結合する。他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、ポリペプチド内のアミノ酸の高次構造的近接性に基づいて、ポリペプチド内の非連続(不連続)配列を結合して、エピトープ(たとえば、折り畳みポリペプチド内の二次構造によるアミノ残基の近接性によって形成された高次構造エピトープ)を形成する。なお他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、抗原性を予測するための本明細書で周知の方法を使用して、抗原性であることが予想されるアミノ酸配列からなるエピトープを結合する。小型直鎖ペプチドエピトープを結合する抗体は、以下の表2に示すように、以前に述べられている。ある実施形態において、同じ抗体は、1つ以上のタンパク質上の連続配列および1つ以上のタンパク質上の不連続配列を結合する。
小型エピトープ抗体は一般に、抗体が結合する小型エピトープを含む多数のタンパク質を認識する。ある実施形態において、小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約0.1%、0.5%、1、2%、3%、4%、5%、10%またはそれ以上のいずれかの1倍以上で存在するエピトープに結合する。なお他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約0.1%〜1%の1倍以上で存在するエピトープに結合する。なお他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約1〜5%の1倍以上で存在するエピトープに結合する。なお他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約0.1%〜1%の1倍以上で存在するエピトープに結合し、ここで小型抗体エピトープは、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸または5個のアミノ酸からなる、または本質的に成る直鎖ペプチドエピトープに結合する。なお他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約1〜5%の1倍以上で存在するエピトープに結合し、ここで小型抗体エピトープは、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸または5個のアミノ酸からなる、または本質的に成る直鎖ペプチドエピトープに結合する。なお他の実施形態において、小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約5〜7%または約5〜10%の1倍以上で存在するエピトープに結合し、ここで小型抗体エピトープは、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸または5個のアミノ酸からなる、または本質的に成る直鎖ペプチドエピトープに結合する。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の少なくとも約0.1%、0.5%、1、2%、3%、4%、5%、10%またはそれ以上のいずれかの1倍以上で存在するエピトープに集合的に結合する。ある実施形態において、複数の小型エピトープ抗体は、サンプル中のタンパク質の約0.1〜1%、1〜5%、5〜7%、または5〜10%のいずれかの1倍以上で存在するエピトープに結合する。サンプル中のエピトープの頻度を経験的に評価する方法は:生化学的手法を使用する評価、たとえば抗体の結合と、それに続く、たとえば2Dゲルまたは質量分析を使用する解析、およびたとえばGenBankおよびSwissProtなどのアミノ酸または核酸配列データベースを使用する配列ベース解析を含む。適切なデータベースは、本明細書でさらに述べる。
ある実施形態において、小型エピトープ抗体によって認識されたエピトープは、エンドペプチダーゼによって切断部位として認識されるC末端アミノ酸をさらに含む。たとえばエピトープは、トリプシンによってそれぞれ切断部位として認識されるC末端アルギニンおよび/またはリジンを含むことができる。タンパク質混合物のエンドペプチダーゼ消化の後、エンドペプチダーゼによって認識されたアミノ酸は一般に、標的ペプチドのC末端に見出せる;したがってそのようなアミノ酸を含むエピトープは、標的ポリペプチドのC末端にも見出され、免疫原性を上昇させ、抗体−標的ペプチド結合に関連する結合エネルギーを上昇させる。
ある実施形態において、小型エピトープ抗体はその同種エピトープを、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、または少なくとも約10−9Mまたはそれ以下の結合反応アフィニティで結合する。結合アフィニティは、たとえば表面プラスモン共鳴による方法(Malmborg and Borrebaeck(1995)J.Immunol.Methods 183(1):7−13;Lofas and Johnsson(1990)J.Chem.Soc.Chem.Commun.1526を含めて、当技術分野で周知の方法によって測定される。ある実施形態において、結合相互作用は、反応の付随的な結合相互作用よりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍〜少なくとも100倍またはそれ以上で識別する。
本発明の方法では、小型エピトープ抗体の1個または小型エピトープ抗体の1個を超える群(たとえば約2個、約3個、約4個、約5個、約10個、約20個、約100個またはそれ以上)を使用できる。それゆえある実施形態において、方法は少なくとも1個の小型エピトープ抗体の使用を含む。他の実施形態において、方法は少なくとも2個の小型エピトープ抗体の使用を含む。なお他の実施形態において、少なくとも約5個、約10個、約20個、約30個、約40個、約50個、約60個、約75個、約100個、約125個、約150個、約200個、約300個、約400個、約500個、約750個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体が本発明の方法によって使用される。ある実施形態において、サンプルは約100個、約95個、約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、約50個、約45個、約40個、約35個、約30個、約25個、約20個、約15個、約10個、約5個未満またはそれ以下の小型エピトープ抗体に接触される。ある実施形態において、サンプルは少なくとも約20個、約30個、約40個、約50個、約75個、約100個、約500個、約1000個またはそれ以上の小型エピトープ抗体に接触される。ある実施形態において、サンプルは、少なくとも約5個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、または750個のいずれかの小型エピトープ抗体と、上限が約10個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、200個、300個、400個、500個、750個、または1000個のいずれかの小型エピトープ抗体と接触される。小型エピトープ抗体と他のタンパク質結合因子(たとえば小型エピトープ抗体でない抗体)の混合物が使用されることが理解される。
小型エピトープ抗体へのエピトープの同一性は、たとえばタンパク質を同定するために本明細書で述べる方法のいずれかと組合せて使用されることが理解される。ある実施形態において、小型エピトープの同一性は既知である。他の実施形態において、エピトープの同一性は、当技術分野で既知の方法を使用して予測できる。
本明細書で述べるように、抗体は、1回に1個ずつ、または2個以上の抗体の群でサンプルに接触させる。ある実施形態において、接触は連続した(一連の、または反復的)であり、たとえば1個の抗体または抗体の群にサンプルを接触させて分離し、第2の抗体または抗体の群にサンプルを接触させて分離する。他の実施形態において、接触は並列であり、たとえば抗体の群にサンプルを接触させて、分離する。抗体の各種の群がサンプルに接触されるときなどのように、接触が並列または連続のどちらでもよいことが認識される。抗体の群は、組成が重複することがある(たとえば群1=抗体A、B、C、D;群2=抗体B、C、D、Eなど)。
サンプルの複雑さを低減する方法で有用である小型エピトープ抗体の数が、1つ以上の小型エピトープ抗体を使用して調製されたタンパク質に関して考慮された使用、用途および/または次の解析によって変わることが明らかである。小型抗体によって認識された同種エピトープを含むタンパク質の検出などのある用途において、1個の小型エピトープ抗体(またはある実施形態において、少数の小型エピトープ抗体)を使用して、次の検出(または他の解析)が望ましいタンパク質を含む、タンパク質の画分が調製、精製および/または濃縮される。次に分離されたタンパク質にさらなる解析を受けさせることができる。他の実施形態において、2個以上の小型エピトープ抗体のセットの使用が有用である。たとえばタンパク質の発見などの用途において、およびある実施形態、発現プロファイリングにおいて、多数のタンパク質(たとえば開始サンプルの本質的にすべてのタンパク質)が濃縮および/または精製されるように、多数の小型エピトープ抗体を使用することが望ましい。多数の小型エピトープ抗体の使用は、(たとえば標的タンパク質配列に関する情報が未知であるので)新しいタンパク質またはタンパク質形の精製および/または濃縮が望ましい用途においても有用である。示されたサンプル中の多数のタンパク質(たとえばサンプル中の本質的にすべてのタンパク質)の分画を包含する実施形態に関する例示的な例として、小型エピトープ抗体によって認識された同種アミノ酸エピトープの配列および/または長さの例は、タンパク質サンプル内の小型エピトープ抗体によって認識されたエピトープの予想頻度に関する概算を可能にする。表1に示すように、3mer、4merおよび5mer直鎖ペプチド配列それぞれについて、合計8,000(20)、160,000(20)および3,200,000(20)個のランダムな組合せがある。アミノ酸500個をタンパク質の平均長と見なすと、1個の抗3mer抗体によって検出される確率は0.0625であり、15個の抗3mer抗体を使用するときには確率は約1まで上昇し、100個の抗3mer抗体を使用するときには確率は約6.25まで上昇する。そのような計算は日常的である。小型エピトープ抗体は、縮重直鎖エピトープ、たとえば単鎖ペプチド、たとえばYCxC(式中、xは20個の標準アミノ酸の2個以上を表す)も認識する。
Figure 2007502837
それゆえ、本発明の方法で有用な小型エピトープ抗体の数が、たとえば小型エピトープ抗体によって結合されたタンパク質画分について考慮された使用、用途、および/または次の解析、サンプルの複雑さ(スプライスバリアントなどのタンパク質バリアントを含む、予測または推定または以前に決定されたタンパク質の数に関して)、サンプル中のタンパク質の平均サイズ、サンプル中に同種エピトープが存在する、または存在すると予測される頻度、小型エピトープ抗体の結合アフィニティおよび/または特異性;標的タンパク質の知識、および小型エピトープ抗体の安定性を含む各種の因子によって変わることが理解される。そのような因子は当技術分野で周知であり、本明細書でさらに議論される。
小型直鎖ペプチドエピトープを結合する抗体は、表2に示すように以前に述べられている。
Figure 2007502837
小型エピトープ抗体を作成する方法は当技術分野で既知である。別の態様において、そして実施例に例示されているように、小型エピトープ抗体(たとえばヒト、ヒト化、マウス、キメラ)は、1つ以上の小型ペプチドエピトープ、たとえば3個の、4個の、または5個のアミノ酸からなる、または本質的に成る小型直鎖ペプチドエピトープを発現する免疫源を使用することによって作成される。
免疫源は、たとえば化学合成によって産生される。ポリペプチドを合成する方法は当技術分野で周知である。ある実施形態において、ポリペプチド免疫源は、当技術分野で既知であるように、KLHまたはBSAのどちらかへのカップリングを促進するために、末端システインを用いて合成される。末端システインは、ポリペプチドのアミノ末端(免疫化およびスクリーニング中の立体効果を最小限にする)に、またはカルボキシ末端に包含することができる。他の実施形態において、ポリペプチド免疫源は多重抗原ポリペプチド、すなわちMAPとして合成される。
宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは一般に、さらに本明細書で述べられているように、抗体刺激および産生の確立された、そして従来の技法に従っている。ヒトおよびマウス抗体の産生の一般的な技法は、当技術分野で既知であり、本明細書で述べられている。通例、宿主動物は、本明細書で述べるように含む免疫源の量を腹腔内接種される。
ハイブリドーマは、Kohler, B.and Milstein,C.(1975)Nature 256:495−497の、またはBuck,D.W.et al.,(1982)In Vitro,18:377−381によって改良されたような一般的な体細胞ハイブリダイゼーション技法を使用して、リンパ球および不死化骨髄腫細胞から調製できる。これに限定されるわけではないがX63−Ag8.653およびSalk Institute,Cell Distribution Center,San Diego,Calif.,USAからの骨髄腫系を含む、利用可能な骨髄腫系は、ハイブリダイゼーションで使用される。一般に技法は、融合源、たとえばポリエチレングリコールを使用して、または当業者に周知の電気的手段によって、骨髄腫細胞およびリンパ細胞を融合することを含む。融合の後、細胞は融合培地から分離され、選択的成長培地、たとえばヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地中で培養されてハイブリダイズされていない親細胞が除去される。血清を添加された、または添加されていない、本明細書で述べる培地のいずれも、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの培養に使用できる。細胞融合技法の別の代案として、本発明の小型エピトープ抗体を産生するために、EBV不死化B細胞が使用される。ハイブリドーマは所望ならば増殖およびサブクローニングされ、上澄みは抗免疫源活性について、従来のイムノアッセイ手順(たとえばラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、または蛍光イムノアッセイ)によってアッセイされる。
小型エピトープ抗体(たとえばモノクローナル抗体)を産生する親ハイブリドーマのハイブリドーマまたは子孫細胞は、抗体源またはその誘導体、あるいはその一部として使用される。
そのような抗体を産生するハイブリドーマは、既知の手順を使用してインビトロまたはインビボで増殖される。モノクローナル抗体は所望ならば、培地または体液から従来の免疫グロブリン精製手順、たとえば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過によって単離される。望ましくない活性が存在する場合は、たとえば固相に結合した免疫源からなる吸着体の上に沈殿物を流して、所望の抗体を免疫源から溶出または解放させることによって除去できる。二官能性剤または誘導体化剤、たとえばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通じて結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通じて)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、RおよびR1は異なるアルキル基である)を使用する、ヒトまたは他の種の小型エピトープ受容体、あるいはヒトまたは他種の小型エピトープ受容体の断片、あるいは免疫化される種において免疫源性であるタンパク質に結合した標的アミノ酸配列を含有するヒトまたは他の種の小型エピトープ受容体または断片、たとえばキーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターによる宿主動物の免疫化は、抗体(たとえばモノクローナル抗体)の群を産生できる。
所望ならば、目的の小型エピトープ抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)は配列決定され、次にポリヌクレオチド配列は発現または増殖のためにベクター内にクローニングされる。目的の抗体をコード化する配列は宿主細胞内のベクターで維持され、次に宿主細胞を増殖させ、将来使用するために凍結することができる。代案において、ポリヌクレオチド配列は、抗体を「ヒト化する」あるいはアフィニティ、または抗体の他の特徴を改良する遺伝子操作に使用される。たとえば定常領域は、抗体が臨床試験またはヒトへの処置に使用される場合、免疫反応を回避するためにヒト定常領域にさらに似るように操作される。小型エピトープに対するより大きなアフィニティおよび/または小型エピトープに対するより大きくおよび/または変化した特異性を得るために、抗体配列を遺伝子操作することが望ましい。1つ以上のポリヌクレオチドの変化が小型エピトープ抗体に対して行われ、小型エピトープに対するその結合能力をなお維持することが、当業者には明らかとなるであろう。
ヒト定常ドメインに融合されたげっ歯類または修飾げっ歯類V領域およびその関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体を含めて、非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含む多数の「ヒト化」抗体分子が述べられている。たとえばWinter et al.Nature 349:293−299(1991),Lobuglio et al.(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−4224,Shaw et al.(1987)J Immunol.138:4534−4538、およびBrown et al.(1987)Cancer Res.47:3577−3583を参照。他の参考文献は、適切なヒト抗体定常領域との融合の前の、ヒト支持フレームワーク領域(FR)へグラフトされたげっ歯類CDRについて述べている。たとえばRiechmann et al.(1988)Nature 332:323−327,Verhoeyen et al.Science(1988)239:1534−1536,およびJones et al.Nature(1986)321:522−525を参照。別の参考文献は、組換え修飾されたげっ歯類フレームワーク領域によって裏付けられるげっ歯類CDRについて述べている。たとえばEuropean Patent Publication No.519,596を参照。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療用途の期間および有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子に対する望ましくない免疫反応を最小限に抑えるように設計されている。たとえば抗体定常領域は、免疫的に不活性であるように操作できる(たとえば補体溶解を引き起こさない)。たとえばPCT/GB99/01441;UK Patent Application No.9809951.8を参照。モノクローナル抗体をヒト化する4つの一般的な工程がある。これらは:(1)開始抗体軽および重可変ドメインのヌクレオチドおよび予測アミノ酸配列を決定する工程と、(2)ヒト化抗体を設計する、すなわちヒト化工程中に使用する抗体フレームワーク領域を決定する工程と、(3)実際のヒト化方法/技法と、(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。たとえばU.S.Patent Nos.4,816,567;5,807,715;5,866,692;6,331,415;5,530,101;5,693,761;5,693,762;5,585,089;および6,180,370を参照。また利用される抗体をヒト化する他の方法は、Daugherty et al.,Nucl.Acids Res.(1991)19:2471−2476によって、そしてU.S.Patent Nos.6,180,377;6,054,297;5,997,867;5,866,692;6,210,671;6,350,861;およびPCT Publication No.WO01/27160で開示されている。
なお別の代案において、十分にヒト化された抗体は、特異性ヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように操作された市販のマウスを使用して得られる。さらに所望の(たとえば完全ヒト抗体)またはさらに強い免疫反応を生じるように設計されたトランスジェニック動物も、ヒト化またはヒト抗体の産生に使用される。そのような技術の例は、Abgenix,Inc.(フレモント、カリフォルニア州)によるXenomouse(商標)ならびにMedarex,Inc.(プリンストン、ニュージャージー州)によるHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。
代案において、抗体は組換えによって作成され、当技術分野で既知のいずれかの方法を使用して発現される。別の代案において、抗体はファージ提示技術により組換えによって作成される。たとえばU.S.Patent Nos.5,565,332;5,580,717;5,733,743および6,265,150;ならびにWinter et al.(1994)Annu.Rev.Immunol.12:433−455を参照。
代わりに、ファージ提示技術(McCafferty et al.(1990) Nature 348:552−553)を使用して、未免疫ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体断片をインビトロで産生することができる。たとえば既存の抗体ファージ提示ライブラリは、合成ポリペプチドの大規模な集合に対して並列にパニングできる。この技法に従って、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、たとえばM13またはfdのメジャーまたはマイナーのコートタンパク質遺伝子中へフレーム内でクローニングされ、ファージ粒子の表面上で機能性抗体断片として提示される。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能特性に基づく選択は、それらの特性を示す抗体をコード化する遺伝子の選択ももたらす。それゆえファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージ提示は、各種の形式で実施できる;総説については、たとえばJohnson,Kevin S.and Chiswell,David J.,Current Opinion in Structural Biology(1993)3,564−571を参照。複数のV遺伝子セグメント源がファージ提示に使用できる。Clackson et al.,Nature(1991)352:624−628は、免疫化マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小規模ランダムコンビナトリアルライブラリから抗オキサゾロン抗体の別のアレイを単離した。未免疫ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを作成でき、抗原(自己抗原を含む)の別のアレイに対する抗体は、Mark et al.(1991)J Mol.Biol.222:581−597、またはGriffith et al.(1993)EMBO J.12:725−734によって述べられている技法に本質的に従って単離できる。天然の免疫反応では、抗体遺伝子は、突然変異を高い割合に累積する(体細胞超変異)。導入された変化の一部は、より高いアフィニティを付与し、高アフィニティ表面免疫グロブリンを提示するB細胞は、次の抗原投与中に優先的に複製および分化される。この天然の工程は、「チェーンシャッフリング」として既知の技法を利用することによって模倣できる。Marks,et al.(1992)Bio/Technol.10:779−783.この方法において、ファージ提示によって得られた「一次」ヒト抗体のアフィニティは、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を未免疫ドナーから得たVドメイン遺伝子の自然発生バリアントのレパートリー(レパートリー)で連続的に置換することによって改善できる。この技法は、pM−nM範囲のアフィニティの抗体および抗体断片の産生を可能にする。非常に大型のファージ抗体レパートリー(「マザー・オブ・オール」ライブラリとしても既知)を作成する方法は、Waterhouse et al.(1993)Nucl.Acids Res.21:2265−2266によって述べられている。遺伝子シャッフリングは、ヒト抗体が開始げっ歯類抗体に対して同様のアフィニティおよび特異性を有する場合に、ヒト抗体をげっ歯類抗体から誘導するのにも使用できる。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法に従って、ファージ提示技法によって得られたげっ歯類抗体の重鎖または軽鎖V領域の遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置換されて、げっ歯類−ヒトキメラを作成する。抗原の選択は、機能性抗原結合部位を復元できるヒト可変領域の単離を引き起こし、すなわちエピトープはパートナーの選択を支配(インプリント)する。残りのげっ歯類Vドメインを置換するために工程を反復すると、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公表されたPCT Publication No.WO 9306213を参照)。CDRグラフトによる従来のげっ歯類抗体のヒト化とは異なり、この技法は、げっ歯類起源のフレームワークまたはCDR残基を持たない、完全なヒト抗体を提供する。上記考察はヒト化抗体に関するが、この考察した一般的な原理はたとえばイヌ、ネコ、霊長類、ウマおよびウシで使用するためのカスタマイズ抗体に利用できることが明らかである。
抗体は、最初に、宿主動物から産生した抗体を単離して、遺伝子配列を得て、そして遺伝子配列を使用して抗体を宿主細胞(たとえばCHO細胞)中で組換えによって発現させることによって、組換えで産生できる。利用できる別の方法は、植物(たとえばタバコ)、トランスジェニック乳汁において、または他の生物において抗体配列を発現させる。植物または乳汁中で抗体を組換えで発現させる方法が開示されている。たとえばPeeters et al.(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.およびD.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol 13:65;およびPollock et al.(1999)J Immunol Methods 231:147を参照。抗体の誘導体、たとえばヒト化、単鎖などを産生する方法は当技術分野で既知である。
所望の小型エピトープに対して特異性である抗体を単離するために、イムノアッセイおよびフローサイトメトリーソーティング技法、たとえば蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)も利用できる。
抗体は多くの各種担体に結合できる。担体は活性および/または不活性でありうる。周知の担体の例は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然または改質セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよびマグネタイトを含む。本発明の目的では、担体の性質は溶解性であるか、あるいは不溶性でありうる。当業者は、抗体を結合するために適切な担体を理解し、または常法に従った実験を使用してそれを確認できるであろう。
小型エピトープ抗体をコード化するDNAは、当技術分野で既知であるように単離および配列決定される。一般にモノクローナル抗体は、従来の手順を使用して(たとえばモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコード化する遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなcDNAの好ましい源として作用する。DNAはいったん単離されると、発現ベクター内に配置されて、次にそうでなければ免疫グロブリンタンパク質を生成しない宿主細胞、たとえばE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞中にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を達成する。DNAは、たとえば相同性マウス配列の代わりにヒト軽鎖および重鎖定常ドメインのコード化配列で置換することによって、Morrison et al.(1984)Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851、または免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列のすべてまたは一部を共有結合することによっても修飾される。その方法では、本明細書の小型エピトープ抗体(たとえばモノクローナル抗体)の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が産生される。
小型エピトープ抗体は、当技術分野で周知の方法を使用してキャラクタリゼーションされ、方法の一部は実施例に述べられている。たとえば1つの方法は、それが結合するエピトープを同定する方法であり、たとえばHarlow and Lane,Using Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1999の第11章に述べられているように、抗体−抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、および合成ポリペプチドベースのアッセイを含む。追加の実施例では、小型エピトープ抗体が結合する配列を決定するために、エピトープマッピングを使用できる。エピトープマッピングは、各種の製造元、たとえばPepscan Systems(Edelhertweg 15,8219 PH Lelystad、オランダ)から市販されている。可変長(たとえば少なくとも4〜6アミノ酸長)のポリペプチドは、(たとえば組換えにより)単離および合成され、抗小型エピトープ抗体との結合アッセイに使用できる。別の実施例において、小型エピトープ抗体が結合するエピトープは、小型エピトープ細胞外配列に由来する重複ポリペプチドを使用して、小型エピトープ抗体による結合を判定することによる、系統的なスクリーニングにおいて決定される。あるエピトープは、当技術分野で周知であるように、ファージ粒子の表面上に提示されたランダムポリペプチド配列の大型ライブラリ(ファージライブラリ)を使用することによっても同定できる。
小型エピトープ抗体をキャラクタリゼーションするのに使用できるなお別の方法は、同じ抗原に結合することが既知である他の抗体との競合アッセイを使用すること、すなわち抗小型エピトープ抗体が他の抗体と同様に同じエピトープに結合するかどうかを判定することである。競合アッセイは、当業者に周知である。
本発明で有用な小型エピトープ抗体は、標識剤(代わりに「ラベル」と呼ばれる)、たとえば蛍光分子(ハプテンまたは蛍光ビーズなど)、結合パートナー、固体支持体、または当技術分野で既知である分離を促進させる薬剤に結合させてもよい。そのような薬剤は本明細書でさらに述べる。
ある実施形態において、以下の考慮事項の1つ以上が、サンプル中に存在するタンパク質の最適な被覆度を生じるのに十分な冗長性を持つエピトープ頻度を生じる、小型エピトープ抗体の設計(単一、または群のどちらかで使用されるように設計される)に使用される。1つの実施形態において、以下の考慮事項の1つ以上に従って設計された小型エピトープ抗体の群は、サンプル中のタンパク質の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%のいずれかの同種エピトープに結合することができる。
・エピトープサイズ:プロテオーム内で頻繁に発生するのに十分な小ささであるが、その同種エピトープによって認識されたときに十分な結合エネルギーを付与するのに十分な大きさである、小型エピトープ抗体。ある実施形態において、各抗体によって認識されたエピトープサイズは、3、4、または5アミノ酸である。
・エピトープ存在量:実施形態において、最適なエピトープ存在量は、各小型エピトープ抗体を約20〜約100アミノ酸長の血清由来ポリペプチド約100〜約150個に結合させる。この存在量レベルは、MS−MSおよび衝突誘起解離(CID)を必要とせずに、大半の質量分析計の分解能に一致する。適切な存在量のエピトープは、所望のMS分解能および感度の達成にとって好ましい。
・サンプリング冗長性:ある実施形態において、小型エピトープ抗体の十分に大型の集合を使用して、目的のプロテオーム当たりのタンパク質に付きエピトープ約3〜約5個への結合を可能にする。この設計機能は、各種のタンパク質の発現レベルと集合内の各抗体の結合効率との両方で期待される可変性に適応するためのサンプリング冗長性に備えている。
・アフィニティ:ある実施形態において、小型エピトープ抗体とそのエピトープとの間の結合の堅固さは、タンパク質プロファイリングの感度に影響を及ぼす。ある実施形態において、集合内の各抗体は、MS解析のために十分な分析物が取込まれるように十分に高い親和性で結合する。
・結合の頻度:ある実施形態において、小型エピトープ抗体の結合の頻度は十分に高いため、各結合ペプチド画分内に存在するペプチドは共通エピトープを含有する。これはサンプリング冗長性を提供し、ペプチド同一性の生物情報的な決定を促進する。
(サンプルと小型エピトープ抗体との接触およびタンパク質のタンパク質−抗体複合体からの分離)
抗体にサンプル中のタンパク質を接触させるための方法および条件は、当技術分野で周知である。抗体は、サンプルに1回に1個ずつ、または2個以上の抗体の群で接触させる)。ある実施形態において、接触は連続的(一連の、または反復的)であり、たとえば単一の抗体または抗体の群をサンプルと接触させ;分離して;そして第2の抗体または抗体の群をサンプルと接触させ、分離してなどである)。他の実施形態において、接触は並列であり、たとえば抗体の群をサンプルと接触させ、そして分離する。抗体の各種の群をサンプルと連続的に接触させるときのように、接触は並列と連続的の両方でよいことが認識される。抗体の群は組成が重複しているか(たとえば群1=抗体A、B、C、D;群2=抗体B、C、D、Eなど)、または組成が異なっている。抗体とタンパク質との接触は、液体培地中の抗体およびタンパク質の両方によって起こるか、または固体支持体に結合または関連付けされた一方の成分(抗体またはタンパク質)および液体培地中のもう一方の成分によって起こる。1つの実施形態において、サンプルを含有する液体(たとえば水性)タンパク質に固体支持体に結合または関連付けされた小型エピトープ抗体を接触させる。
並列接触を包含するある実施形態において、小型エピトープ抗体は、たとえば検出可能な別個のビーズへの抗体の結合、個々に分離できる結合パートナーの使用、たとえばマルチウェルプレートの異なるウェル内での抗体の固定化、抗体アレイの使用などによって、個別に分離できることが望ましい。抗体によって結合された小型エピトープが既知である限り、小型エピトープ抗体による結合は、小型エピトープ抗体によって結合されたタンパク質のアミノ酸含有量および/または配列に関連する情報を提供する。同種の小型エピトープの知識が望ましい実施形態において、(各小型エピトープ抗体によって結合されたタンパク質が分離されたままであるように)小型抗体を個別に分離することが好都合である。しかしながら、各実施形態において個々の分離または可分性は不要である。たとえば小型エピトープ抗体は、重複抗体組成、たとえば(1)抗体ABC;(2)抗体CDE;(3)抗体FGH、および(4)抗体HIJを所有する2個以上の抗体の小型プールに組合される。抗体−タンパク質複合体の分離、および抗体の抗体−タンパク質複合体からの分離の後、特定の小型エピトープの存在または非存在に関する情報は、特定の群の構成要素であることに基づいて推察される。
抗体−タンパク質複合体のサンプル中の未結合タンパク質からの分離を促進するために、抗体の分離を促進する作用因子、たとえば結合パートナー(たとえばビオチン、オリゴヌクレオチド、アプタマー)、固体支持体(たとえばビーズまたはマトリクス、マイクロアレイまたはマルチウェルプレートを含む);または当技術分野で既知の他のいずれかの因子に結合できる。結合は共有でも非共有でもよく、直接でも間接でもよい。抗体をそのような因子に結合する方法は、当技術分野で周知である。たとえばKennedy et al.(1976)Clin.Chim.Acta 70:1−31,およびSchurs et al.(1977)Clin.Chim.Acta 81:1−40(グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸塩法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル法を含む結合技法について述べている、方法はすべて参照により本明細書に組み入れられている)。
抗体−タンパク質複合体をサンプルから分離する方法は当技術分野で既知であり、結合パートナーを結合する捕獲因子の使用を含む(たとえばビオチン結合抗体を捕獲するためのアビジン;抗体に結合したオリゴヌクレオチドを捕獲するためのオリゴヌクレオチド;物理的分離、たとえば沈降、濾過、FACS(たとえばスペクトルシグネチャによって標識されるビーズを使用して)、および磁気分離(抗体が磁気特性を有するマトリクス、たとえば磁気ビーズに結合されているとき)も使用できる。
本発明で使用できる多くの結合パートナーが当技術分野で周知である(たとえばジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、フルオロフォア、Oregon Green染料、Alexa Fluor 488(分子プローブ)、フルオロセイン、ダンシル基、Marina Blue(分子プローブ)、テトラメチルローダミン、Texas Red(分子プローブ)、BODIPY(4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン;U.S.Pat.No.4,774,339)染料など)。結合因子に特異的に結合できる捕獲試薬として使用できる抗体は、オレゴン州、ユージーンのMolecular Probesなどのメーカーから市販されている。これらの抗体は、ジニトロフェニル基、ジゴキシゲニン、フルオロフォア、Oregon Green染料、Alexa Fluor 488(分子プローブ)、フルオロセイン、ダンシル基、Marina Blue(分子プローブ)、テトラメチルローダミン、Texas Red(分子プローブ)、BODIPY染料(分子プローブ)に特異的に結合できる抗体を含む。いずれの適切なリガンドおよび抗リガンドも使用できる。
オリゴヌクレオチドは、結合パートナーおよび捕獲試薬として使用できる。オリゴヌクレオチドは、核酸、たとえばDNA、RNA、および混合RNA/DNA分子を含む。アフィニティラベルとして使用されるオリゴヌクレオチドは、捕獲試薬に存在するオリゴヌクレオチドの配列にハイブリダイズできるはずである。当業者は、相互にハイブリダイズする多くの各種のオリゴヌクレオチド配列を設計できることを認識するであろう。そのようなオリゴヌクレオチド対を設計するための重要な考慮事項は、実際のヌクレオチド配列、オリゴヌクレオチドの長さ、ハイブリダイゼーション条件(たとえば温度、塩濃度、有機化学薬品の存在など)およびオリゴヌクレオチドの溶融温度を含む。
サンプルからの抗体またはタンパク質を固定化(結合)するのに適切な固体支持体(および固体支持体を抗体の固定化に適するようにする修飾)は当技術分野で周知である。固体支持体の例は:ビーズ(磁化ビーズを含む)、マイクロウェルプレート、およびタンパク質マイクロアレイ(たとえばZyomyx,Inc.が所有する技術。たとえばUS Patent No.6,365,418を参照)。それゆえたとえばシリカシェル内に包囲されたCdSe−CdSコア−シェルナノ結晶は、生体分子への結合のために容易に誘導体化できる。Bruchez et al.(1998)Science 281:2013−2016。同様に高蛍光量子ドット(硫化亜鉛キャップドセレン化カドミウム)は、超高感度生物検出で使用するために生体分子に共有結合されている。Warren and Nie(1998)Science 281:2016−2018.蛍光標識ビーズは、LuminexおよびQuantum Dotから市販されている。
結合タンパク質(またはある実施形態において、ポリペプチド断片)は、従来のイムノアフィニティ溶出条件、たとえば酸性pH、イオン強度、洗浄剤または上記の組合せを使用して、抗体−タンパク質複合体から解放される。一般にペプチドまたはタンパク質は次の分画、キャラクタリゼーション、または他の解析のために脱塩される。
(a.タンパク質切断剤)
ある実施形態において、本発明の方法は、サンプルをタンパク質切断剤で処理して、それによりポリペプチド断片が生成される工程をさらに含む。1つの実施形態において、サンプルに少なくとも1個の小型エピトープ抗体を接触させる前に、サンプルにタンパク質切断剤を接触させる。別の実施形態において、タンパク質の抗体−タンパク質複合体からの分離の後に、タンパク質にタンパク質切断剤を接触させる。
タンパク質切断剤処理は、タンパク質の量およびサンプル中のタンパク質の同一性の次の質量分析解析を促進することができる、タンパク質切断断片(たとえばポリペプチド)を生成する。特に、タンパク質切断剤処理による処理は、分子量が25kDaを超えるタンパク質の解析を促進できる。タンパク質切断試薬処理は、小型エピトープ抗体の同種エピトープへのアクセス性および/またはアクセスを促進する。タンパク質切断剤は当技術分野で周知であり、本明細書でさらに述べる。ある実施形態において、1つのタンパク質切断剤が使用される。他の実施形態において、1つを超えるタンパク質切断試薬が使用される。ある実施形態において、1種類を超えるタンパク質切断剤が単一のサンプルに関して使用される(たとえば2種類を超えるプロテアーゼ、2種類を超える化学切断剤、または1つ以上のプロテアーゼおよび1つ以上の化学切断剤の組合せ)。タンパク質切断剤による処理の条件は、当技術分野で周知である。
1つの実施形態において、タンパク質切断剤はプロテアーゼである タンパク質切断剤として使用できるプロテアーゼの例は、これに限定されるわけではないが:キモトリプシン、トリプシン(arg、lys切断配列)、サーモリシン(phe、leu、iso、val切断配列)、V8プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼGlu−C、エンドプロテイナーゼAsp−N、エンドプロテイナーゼLys−C、エンドプロテイナーゼArg−C、エンドプロテイナーゼArg−N、Xa因子プロテアーゼ、トロンビン、エンテロキナーゼ、V5プロテアーゼ、およびタバコエッチウィルスプロテアーゼを含む。本発明の方法で有用なプロテアーゼは、自己分解を防止するために遺伝子操作および/または化学修飾できる。酵素タンパク質切断剤(たとえばプロテアーゼ)を修飾して、ポリペプチド切断後にポリペプチ切断生成物からのプロテアーゼの除去を促進できることが認識される。そのような修飾は当技術分野で既知であり:(1)ビーズ結合(たとえばラテックス、シリカまたは磁気ビーズ)プロテアーゼ、(2)ハプテン化プロテアーゼ、(3)プロテアーゼのアフィニティ枯渇(たとえばビーズ結合抗プロテアーゼ、またはビーズ結合非切断性基質による)および/または(4)サイズ排除クロマトグラフィーを含む。プロテアーゼの活性は、たとえば熱、プロテアーゼインヒビター、金属キレート剤(たとえばEGTA、EDTA)などによる処理によって阻害できる。
別の実施形態において、タンパク質切断剤は、化学切断剤、たとえばポリペプチドおよびペプチド結合を切断させる化学物質および化合物である。化学切断剤の非制限的な例は、シアノゲンブロミド(メチオニン残基にて切断する)、ヒドロキシルアミン(AsnおよびGly残基間を切断する)、および酸性pH(Asp−Pro結合を切断できる)を含む(たとえばAusubel et al.,同上を参照)。
なおさらなる実施形態において、ホスファターゼ(たとえばアルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、タンパク質セリンホスファターゼ、タンパク質チロシンホスファターゼ、タンパク質トレオニンホスファターゼなど)、リパーゼ、および他の酵素をタンパク質切断剤として利用できる。
(サンプル)
定義に示したように、そして本明細書で使用するように、「サンプル」は、各種のサンプルの種類および/または起源、たとえば血液および生体起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、たとえば生検試料あるいはそれに由来する組織培養物または細胞、およびその子孫を含む。定義は、その獲得後に何らかの方法、たとえば試薬による処理、可溶化、またはタンパク質またはポリヌクレオチドなどのある成分の濃縮によって、操作されたサンプルも含む。「サンプル」という用語は臨床サンプルを含み、培養中の細胞、細胞上澄み、細胞溶解液、血清、血漿、生体液、および組織サンプルも含む。サンプルは、微生物、たとえば細菌、酵母、ウィルス、ウィロイド、カビ、真菌、植物、ヒトなどの哺乳類を含む動物からである。サンプルは、1個の細胞または1個を超える細胞を含む。サンプルの例は、血液、血漿、血清、尿、糞便、脳脊髄液、滑液、羊水、唾液、肺洗浄液、精液、乳汁、乳頭吸引液、前立腺液、粘液、頬スワブ、および/または涙を含む。
これらのサンプルは、当技術分野で既知の方法、たとえば溶解、分画、アフィニティ精製を含む精製、FACS、レーザ捕捉顕微解剖(LCM)または等密度遠心法によって調製できる。ある実施形態において、細胞成分分画法を使用して、濃縮された細胞または細胞成分画分、たとえば核、ミトコンドリア、重および軽膜ならびに細胞質を含む細胞内小器官を精製する。
サンプルに1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させる前に、タンパク質を変性および/または可溶化できる薬剤、たとえば洗浄剤(イオン性および非イオン性)、カオトロープおよび/または還元剤でサンプルを処理できる。そのような薬剤は当技術分野で既知である。
ある状況下で、サンプル中に存在する豊富なタンパク質をたとえば、標的免疫除去、または当技術分野で既知の他の方法によって除去または最小限にすることが望ましい。一般にそのような除去(または低減)は、サンプルに1つ以上の小型エピトープ抗体を接触させる前に行われる(しかしながらそのような低減または除去は、小型エピトープ抗体による処理の間、または後に行うことができる)。1つ以上の小型エピトープ抗体を含む、いずれの適切な試薬も使用される。1つの実施形態において、1つ以上のサンプル成分の除去および/または低減は、サンプルを1つ以上の小型エピトープ抗体で処理することによって実施される。
ある実施形態において、サンプルタンパク質のグリコシル化をたとえば低減、除去、または消滅させるために、サンプルを多糖類切断剤で処理することが望ましい。炭水化物部分の除去は、化学的にまたは酵素的に実施できる。多糖類切断剤の例は、グリコシダーゼ、エンドグリコシダーゼ、エキソグリコシラーゼ、およびトリフルオロメタンスルホン酸などの化学薬品を含む。エンドグリコシダーゼ、たとえばエンドグリコシダーゼH(New England Biolabs、ビバリー、マサチューセッツ州)、およびEndoH(New England Biolabs)は市販されている。これらのエンドグリコシダーゼは、高マンノースおよび一部のハイブリッドオリゴ糖類のキトビオースコアをN−結合糖タンパク質から切断させる。エキソグリコシダーゼもNew England Biolabsなどのメーカーから市販され、ベータ−N−アセチルヘキソサミニダーゼ、アルファ−1−2−フコシダーゼ、アルファ−1−3,4フコシダーゼアルファ−1−2,3マンノシダーゼ、アルファ−1−6マンノシダーゼ、ノイラミニダーゼ、アルファ−2−3ノイラミニダーゼ、ベータ1−3ガラクトシダーゼ、およびアルファ−N−アセチル−ガラクトサミニダーゼを含む。
以下の実施例は、本発明を限定するのではなく、本発明を例示するために与える。
(実施例1:小型エピトープ抗体の調製およびキャラクタリゼーション)
多重抗原ペプチド(MAP)の形式の5つの免疫化ポリペプチドを、表3に示すように名付けた。組合せたこれらの配列も、同じ配列の異なるMAPの異なる位置への包含に基づいて、誘発抗体の交差反応性を評価するのに使用した。各免疫化ポリペプチドは、標準方法を使用するBalb/Cマウス4匹の免疫化に使用した。
Figure 2007502837
表3の注記:
ポリペプチドMAP1:HSLFHPEDTGQV:PSAより、アミノ酸数79〜89。KKTTNV:Meningococcal Opaタンパク質より、公表された3mer抗体エピトープのKTTを含有する(Malorny,Morelli et al.1998)。
ポリペプチドMAP2:MAP1の交互配列。
ポリペプチドMAP3:LTPKK:PSA(Nagasaki,Watanabe et al.1999)のモチーフ1。
KKTTNVLTVPTNIPG:Meningococcal Opaタンパク質より、2つの公表された3mer抗体エピトープ:KTTおよびNIPならびに1つの4merエピトープ:TNIPを含有する(Morelli,et al.(1997)Mol Microbiol 25(6):1047−64。
ポリペプチドMAP4:LTPKK:PSAから、ペプチドMAP3においてと同様。
LTQENQNRGTH:DNAStarコンピュータプログラムによって選択されたアルファ−1−ACTの免疫原性配列。IYNQ:Meningococcal Opaタンパク質から、2merエピトープIYならびに5meエピトープ、TIYNQの、および7merエピトープTPTIYNQの4つのアミノ酸を含有する(Marelli,et al.同上)。
ポリペプチドMAP5 TIYNTNIPG:Meningococcal Opaタンパク質から(Marelli,et al,同上)。LTQENQNRGTH:ペプチドMAP4においてと同様。
2セットのスクリーニングポリペプチドを設計した:(1)免疫化ポリペプチドと同じ配列での、5個のC末端ビオチン化(表4に示す);および(2)5つすべての免疫化ポリペプチドをパニングする配列での、43個の10merビオチン化ポリペプチド(表5に示す)。
Figure 2007502837
Figure 2007502837
Figure 2007502837
免疫化の標準期間の後、標準方法を使用して各マウスから免疫血清を収集して、ELISAを使用して以下のように試験を行った:
ELISAプレート(Corning 3369または同等品)を100μl/ウェルまたは50μl/ウェルのストレプトアビジン(Sigma Catalog No. S4762または同等品、50mM炭酸塩緩衝液中で5μg/ml、pH9.6)でコーティングした。プレートを4℃にて一晩、または室温にて2時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBS+0.05% Tween−20(PBST緩衝液)で3回洗浄した。洗浄後、プレートPBST 250μl/ウェルで遮断して、室温にて1時間、または4℃にて一晩インキュベートした。PBSTを除去して、表4から選択した試験用ビオチン化ポリペプチド100μl/ウェルまたは50μl/ウェルを5μg/mlの濃度(PBSで希釈)で添加した。プレートを室温にて約30〜60分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをPBSTで3回洗浄した。次に試験血清(すなわち試験用出血からの)100μlまたは50μl/ウェルを添加し、プレートを室温にて1時間、または4℃にて一晩インキュベートした。免疫反応性を滴定するために、試験前に血清を一般に1:500、1:2000、1:8000、または1:32000まで希釈した。インキュベーション後、プレートをPBSTで3回洗浄した。抗体結合を検出するために、ヤギ抗マウスIgG(およびIgM)−HRP結合体(Jackson Immuno order No.115−036−071、または同等品)の1:10,000希釈物を各ウェルに添加した。プレートを室温にてさらに1時間インキュベートして、次にPBSTで5回洗浄した。HRP基質(Sigma Fast OPD)を添加して、暗所で室温にて30〜60分間インキュベートした。HRP反応が停止されない場合には、プレートをOD450にて96ウェル比色検出器によって読取った。代わりにHRP反応を1.25M硫酸で停止させて、プレートをOD492にて読取った。
1、2、および3群マウスからの12の試験用出血について試験を行った。1および3群のマウスからは免疫反応が観察されず、これのマウスはそれ以上試験を行わなかった。2群のマウス4匹はすべて、スクリーニングポリペプチドPep2−0に対して強い免疫反応を示した(>1:32,000)。加えて、2群のマウス4匹のうち2匹(マウス#2−1および#2−4)からの免疫血清は、MAP2とMAP1/MAP3との間の配列相同性により、1および3群について設計されたスクリーニングポリペプチドとの交差反応性を示した。これらの結果は、ELISA解析で使用した1個を超えるスクリーニング抗原内に存在する異なる簡潔なエピトープを認識する抗体を発現するマウス#2−1および#2−4と一致した。#2−1および#2−4血清の、1、2および3群に対する3つすべての免疫化ポリペプチドの配列に及ぶ23個の10merビオチン化ポリペプチドに対する試験も、広範な交互反応性を証明した。
4−5群からの試験用出血8個をELISAによって試験した。4群のマウスはその関連するスクリーニングポリペプチド、Pep4−0に対して中程度の反応を示したが、これに対して3群について設計されたスクリーニングポリペプチドは、Pep3−0との強力な交差反応性を示す。4群マウスは、Pep4−0とPep5−0との間に著しい配列同一性がある場合でさえ、Pep5−0に対して実質的な交差反応性を示さなかった。これに対して、5群のマウス4匹のうち3匹(マウス5−2、5−3、5−4)は、そのスクリーニングポリペプチド、Pep5−0および関連するスクリーニングポリペプチド、Pep4−0の両方に対する堅固な免疫反応性を示した。5群の反応性マウスからの血清は、5アミノ酸ブロックの配列同一性があっても、Pep3−0に対して実質的な交差反応性を示さなかった。#5−2および5−3血清の、4および5群マウスに対する3つすべての免疫化ポリペプチドの配列に及ぶ23個の10merビオチン化ポリペプチドに対する試験は、広範であるが特徴的な2つの反応パターンを示し、マッピングポリペプチドは、4および5群マウスの免疫化ポリペプチドの配列に及んでいた。
2群のマウス#1および4、5群のマウス#2および#3は、表6および図1にまとめたように、最良の免疫反応を示した。これらのマウスは、ハイブリドーマ融合物について選択された。
Figure 2007502837
動物を屠殺して、リンパ節および脾臓を回収して、次にP3マウス骨髄腫細胞系を融合パートナーとして使用したB細胞ハイブリドーマ融合物を、標準方法を使用して産生した。融合物を播種して、スクリーニング前に11〜14日間インキュベートした。
第1回のスクリーニングにおいて、2群および5群マウスからのハイブリドーマを、本質的に上で述べたのと同様に、対応するスクリーニングポリペプチド、2−0および5−0を使用して、96ウェルプレートにてELISAによって解析した。複数回のスクリーニングの後、48個の陽性ハイブリドーマ系を同定して、増殖およびエピトープマッピングを含むさらなるキャラクタリゼーションのために、24ウェルプレートに移した。48個の陽性系のうち、33個はMAP2免疫源を与えられた2群の動物に由来しているのに対して、残りの15個は5群の動物を起源とした。ハイブリドーマ系の大半(約94%)は、脾臓から回収したB細胞の融合生成物であった。48個のハイブリドーマ系のうち13個はIgGを発現し、25個はIgMを発現して、残りの10個のハイブリドーマ系はIgGおよびIgMの両方を発現するか、またはIgGまたはIgMのどちらも発現せず、したがってIgAまたはIgEのどちらかを発現した。
第2回のスクリーニングにおいて、増殖用に選択したハイブリドーマを関連するスクリーニングポリペプチド(ポリペプチド2−0またはポリペプチド5−0のどちらか)に対して再試験した。24ウェル増殖相後にキャラクタリゼーションされた48個のハイブリドーマのうち13個が、スクリーニングポリペプチド2−0に対して配列特異性結合を示した。非特異的に結合した(各種のオリゴペプチド配列を結合した)他のハイブリドーマは、結合できなかった(偽陽性またはクローン不安定性のどちらか、そして移動中の消失および続いての24ウェルプレートでの増殖を反映している)か、またはBSAを含有する対照ウェルに結合した。
スクリーニングポリペプチド2−0に特異的に結合した13個のハイブリドーマは、上述したようにELISAを使用して、10merC末端ビオチン化マッピングポリペプチドの異なる3セット:ポリペプチド1−1〜1−5;2−1〜2−9;および3−1〜3−9を使用して、エピトープマッピングした(表5を参照)。12個のハイブリドーマ系のうち10個が1個のマッピングポリペプチド2−1との最大反応性を示し、ハイブリドーマ2.03および2.11は、マッピングポリペプチドの異なる重複セット、ポリペプチド2−1〜2−3および2−7〜2−9への強力な結合を示した。これらのデータは大半のハイブリドーマ系のマッピングポリペプチド1個に対して強力な反応性を示したため、本発明者等は、マッピングポリペプチドの固定化(特にビオチン−アビジン固定化)に関連する立体障害が同種の一連の10mer内に存在するエピトープへの抗体結合を妨げ、それゆえELISAエピトープマップの結果を潜在的に偏らせる可能性を検討した。それゆえ本発明者等は、競合結合アッセイを使用してエピトープ特異性を評価した。
個々のマッピングポリペプチドを、ストレプトアビジンでコーティングした96ウェルプレートに固定された2−0スクリーニングポリペプチドへの抗体結合を阻害するその能力について評価した。この形式では、10merマッピングポリペプチドはストレプトアビジンの結合ポケット内に固定されず、結果として13個のハイブリドーマのセット内に存在する反応性抗体との相互作用から立体的に阻害されるはずがない。競合実験は、標準方法を使用して、ストレプトアビジンコーティングした96ウェルプレートに固定した2−0スクリーニングポリペプチドおよび各ウェルに添加した10merマッピングポリペプチドを使用して実施した。
競合結合アッセイを使用して、13個のハイブリドーマのうち10個によって認識されたエピトープを決定した。ハイブリドーマのうち8個はエピトープPEDTGに対して特異性であり、ハイブリドーマ2.03はエピトープDTGに対して特異性であり、ハイブリドーマ2.11はエピトープKKTTNを認識した。ハイブリドーマ2.31は、この系が2つ以上の特異性の混合物であることを示唆する複雑な阻害パターンを示し、個々の反応性を分離するためにサブクローニングするべきである。最後にハイブリドーマ1.02および2.12は、競合阻害アッセイにおいて、低い識別性を示した。この解析の結果を表7にまとめる。
Figure 2007502837
競合結合アッセイは2回反復して、予備実験で示唆されたように、ハイブリドーマ2.11がエピトープKTTNを認識して、エピトープKKTTNを認識しないことが確認された。エピトープ競合結合アッセイは、他のハイブリドーマに対する上述したエピトープキャラクタリゼーションを確認した。この更新された解析の結果を表8にまとめる。ハイブリドーマ2.03(DA001−2.03とも呼ばれる)、2.04(DA001−2.04)および2.11(DA001−2.11とも呼ばれる)は、ATCCでの寄託のために作成されている。
Figure 2007502837
(実施例2:小型エピトープ抗体の調製)
ファージ提示抗体スクリーニングに基づいて抗体を同定する手法を実施した。陽性抗体の選択に使用する5個のペプチド配列を表9に示す。これらの配列を組合せて、選択した抗体の交差反応性を評価するのに使用した。
Figure 2007502837
表9の注記:文字「X」は、システイン、メチオニン、およびトリプトファンを除く天然型L−アミノ酸の混合物を示す。
6回の濃縮後に陽性を選択した。5個のスクリーニングペプチドに対するファージELISAスクリーンの結果を表10に示す。合計96個のファージをP1についてスクリーニングした;48個をポリペプチドP6−P9についてスクリーニングした。すべての場合で、陽性ファージはバックグラウンドを超えて同定された。
Figure 2007502837
Figure 2007502837
一次スクリーニングで同定された陽性の二次スクリーニングにおいて、ファージELISAアッセイを5個すべてのポリペプチドに対して実施した。二次スクリーニングには、最大5個の陽性を選択した。図2はこのアッセイを使用した最も選択的なクローンの結果を示す。5個の陽性すべてがBSAを超えてポリペプチドに対して重要なシグナルを生じ、P1(L50P1_15)、P8(L50P8_5)およびP9(L50P9_5)から選択したファージは、この半定量的アッセイにおいて特異性を示すように思われる。
単鎖抗体の細菌発現のために、L50P1_15の反応性抗体をベクター内にサブクローニングした。タンパク質の複雑な会合の形成およびタンパク質の固定化ペプチドからの解離を監視するために、表面プラスモン共鳴(SPR)バイオセンサアッセイを使用して粗周辺質調製物を解析した(Malmborg et al,1995)。図3は、5個のポリペプチドおよびBSAに対する単鎖抗体のSPRプロフィールを示す。抗体はペプチド1に対して最高のアフィニティを有し、概算されたKが2x10−8である。
(実施例3:タンパク質プロファイリングおよびバイオマーカー開発)
タンパク質プロファイリングの1つの例示的な方法において、臨床上の対象となる特定の疾患について、健康な個体および罹患した個体に由来する血清に:(a)大半の豊富なタンパク質構成要素の脱バルク化;(b)残存するより少ない豊富なタンパク質の脱グリコシル化;(c)脱バルク化プロテオーム中に存在するシステイン残基の還元およびアルキル化;(d)完了するまでの脱バルク化プロテオームの消化;(e)小型エピトープ抗体を有する生じたペプチド断片の分画;(f)特定の疾患に関連する候補バイオマーカーを同定するために、健康な患者および罹患した患者に由来するエピトープ濃縮画分からのペプチド構成要素の組成および相対存在量の比較を受けさせる。
小型エピトープ抗体を用いた分画を、異なる特異性の小型エピトープ抗体約100個のセットと並列に実施する。各抗体は、エピトープサイズ、血清プロテオーム中のエピトープ存在量、特異性、アフィニティ、およびサンプリング冗長性を含む基準のセットに基づいて選択する。抗体によって認識されたエピトープは主に3merであるが、一部は存在量の基準を満足する4merまたは5merであり、各エピトープは血清プロテオームの構成要素の0.5〜3%で発生する。各抗体は、状況に依存しない方法において、高いアフィニティでその同種エピトープを認識する。分画に使用した小型エピトープ抗体の完全なセットは、異なるタンパク質の発現レベルとセット内の各抗体の捕獲効率との両方で期待される可変性に適応するために、3〜5倍のサンプリング冗長性を提供する。
質量分析法を使用して、各小型エピトープ抗体画分のペプチド組成およびペプチド構成要素の発現レベルを解析する。健康な個体と罹患した個体では異なって発現するバイオマーカーが同定される。血漿または血清中に存在する同定されたバイオマーカーの特定のレベルに基づいて、健康な個体と罹患した個体を識別できるELISAアッセイが開発される。
上述の発明は、理解を明確にするために例証および実施例としてやや詳細に説明されているが、当業者には、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、ある変更および改良を実施できることが明らかであろう。したがって説明は、添付請求項によって描写される本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。
本明細書で引用する刊行物、特許および特許出願は、あらゆる目的のために、そして個々の刊行物、特許または特許出願が明確におよび個別に参照によりそのように組み入れられているのと同様の程度まで、参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
図1は、2群および5群マウスそれぞれの免疫化ポリペプチドの配列に及ぶマッピングポリペプチドを使用する反応パターンを示す。 図2は、実施例2で述べたファージELISAでの陽性抗体の二次スクリーンの結果を示す。 図3は、実施例2で述べた、ペプチド1、6、7、8、および9に対するファージL50P1_15に由来する単鎖抗体のSPRトレースを示す。

Claims (48)

  1. タンパク質の混合物を含むサンプルの複雑さを低減する方法であって、小型エピトープ抗体−タンパク質複合体を分離する工程を包含し、ここで、該小型エピトープ抗体によって結合されたエピトープを含むタンパク質が濃縮される、方法。
  2. 前記タンパク質を抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  3. ポリペプチド断片を形成するために、前記抗体−タンパク質複合体から分離された該タンパク質にタンパク質切断剤を接触させる工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記タンパク質切断剤がプロテアーゼを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記タンパク質切断剤が化学薬品を含む、請求項3に記載の方法。
  6. ポリペプチド断片を形成するために、抗体−タンパク質複合体にタンパク質切断剤を接触させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記タンパク質切断剤がプロテアーゼを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記タンパク質切断剤が化学薬品を含む、請求項6に記載の方法。
  9. ポリペプチド断片を形成するために、前記小型エピトープ抗体−タンパク質複合体の形成の前に、前記サンプルにタンパク質切断剤を接触させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  10. ポリペプチド断片を前記抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記タンパク質切断剤がプロテアーゼを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記タンパク質切断剤化学薬品を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1に記載の方法に従って調製された、抗体−タンパク質複合体。
  14. 請求項2に記載の方法に従って調製された、タンパク質。
  15. 請求項3に記載の方法に従って調製された、ポリペプチド断片。
  16. 請求項6に記載の方法に従って調製された、ポリペプチド断片。
  17. 請求項10に記載の方法に従って調製された、ポリペプチド断片。
  18. 前記小型エピトープ抗体が、約3〜約5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記サンプルに複数の小型エピトープ抗体を接触させて、複数の抗体−タンパク質複合体を形成する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記小型エピトープ抗体が固体マトリクスに固定化される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記小型エピトープ抗体が検出可能に標識される、請求項19に記載の方法。
  22. 前記サンプルの小型エピトープ抗体との前記接触される工程が、並列して実施される、請求項19に記載の方法。
  23. 前記サンプルの小型エピトープ抗体との前記接触される工程が、連続して実施される、請求項19に記載の方法。
  24. 前記サンプルが、少なくとも約100個の小型エピトープ抗体を接触される、請求項1に記載の方法。
  25. タンパク質の混合物を含むサンプルの複雑さを低減する方法であって:
    (a)抗体−タンパク質複合体を形成するために、該サンプルに少なくとも1個の小型エピトープ抗体を接触させる工程;および
    (b)該抗体−タンパク質複合体を該サンプル中の未結合タンパク質から分離する工程、
    を包含する方法。
  26. 工程(a)および(b)が連続して実施される、請求項25に記載の方法。
  27. 工程(a)および(b)が同時に実施される、請求項25に記載の方法。
  28. 前記小型エピトープ抗体が、約3〜約5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する、請求項25に記載の方法。
  29. 前記少なくとも1個の小型エピトープ抗体が、少なくとも約100個の小型エピトープ抗体を含む、請求項25に記載の方法。
  30. タンパク質を前記抗体−タンパク質複合体から分離する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
  31. サンプル中の目的のタンパク質の存在または非存在を判定する方法であって、該方法は、濃縮タンパク質画分中において、該目的のタンパク質がもしあれば検出する工程を包含し、該濃縮されたタンパク質画分が請求項1に記載の方法によって調製され、そして、該目的のタンパク質の検出が該サンプル中の該タンパク質の存在を示す、方法。
  32. 前記検出が質量分析を含む、請求項31に記載の方法。
  33. サンプル中の目的のタンパク質の量を決定する方法であって、該方法は、濃縮タンパク質画分中における該目的のタンパク質の量を定量する工程を包含し、該濃縮されたタンパク質画分が請求項1に記載の方法によって調製される、方法。
  34. 前記定量が質量分析を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 小型エピトープ抗体−タンパク質複合体中のタンパク質を同定する方法であって、ここで、該小型エピトープ抗体−タンパク質複合体が、請求項1に記載の方法に従って調製される、方法。
  36. 前記同定が質量分析を含む、請求項35に記載の方法。
  37. バイオマーカーを同定する方法であって、該方法は、2つ以上の濃縮タンパク質画分中のタンパク質を比較する工程を包含し、ここで、該濃縮タンパク質画分は、請求項1に記載の方法に従ってサンプルから調製される、方法。
  38. 前記2つ以上のサンプルが疾患症状を有する少なくとも1つの個体からのサンプルおよび疾患症状を有さない少なくとも1つの個体からのサンプルを含み、ここで、前記バイオマーカーの存在または非存在が、該疾患症状を示す、請求項37に記載の方法。
  39. 個体における疾患症状の存在または非存在を判定する方法であって、該方法は、該個体からのサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定する工程を包含し、該バイオマーカーが請求項38に記載の方法に従って同定され、ここで、該バイオマーカーのレベルが疾患症状の存在または非存在を示す、方法。
  40. 前記2つ以上のサンプルが疾患症状に対する処置を受けた少なくとも1つの個体からのサンプルおよび疾患症状に対する処置を受けていない少なくとも1つの個体からのサンプルを含み、ここで、該バイオマーカーの存在または非存在が処置の有効性を示す、請求項37に記載の方法。
  41. 個体における疾患症状に対する処置の有効性を判定する方法であって、該方法は、該個体からのサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定する工程を包含し、ここで、該バイオマーカーが請求項40に記載の方法に従って同定され、そして該バイオマーカーのレベルが処置の有効性を示す、方法。
  42. 前記2つ以上のサンプルが、毒素または病原体に曝露された少なくとも1つの個体からのサンプルおよび毒素または病原体に曝露されていない少なくとも1つの個体からのサンプルを含み、ここで、該バイオマーカーの存在または非存在が該毒素または病原体への個体の曝露を示す、請求項37に記載の方法。
  43. 毒素または病原体への個体の曝露を判定する方法であって、該方法は、該個体からのサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定する工程を包含し、ここで、該バイオマーカーが請求項42に記載の方法に従って同定され、そして該バイオマーカーのレベルが毒素または病原体への曝露を示す、方法。
  44. 少なくとも1個の小型エピトープ抗体を含む、請求項1〜12および18〜43のいずれか1項に記載の方法で使用するためのキット。
  45. 前記少なくとも1個の小型エピトープ抗体が約3〜約5個のアミノ酸からなるエピトープを結合する、請求項44に記載のキット。
  46. 前記少なくとも1個の小型エピトープ抗体が検出可能に標識される、請求項44または45に記載のキット。
  47. 前記少なくとも1個の小型エピトープ抗体が複数の小型エピトープ抗体を含む、請求項44、45または46に記載のキット。
  48. 前記複数の小型エピトープ抗体が少なくとも約100個の小型エピトープ抗体を含む、請求項47に記載のキット。
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