JP2007500001A - 皮膚再生システム - Google Patents

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Abstract

血清やフィーダー細胞などの外来成分の必要性を解消または少なくとも低減する、細胞培養培地および培養システムが提供される。該細胞培養培地は、IGFと、ビトロネクチンもしくはフィブロネクチンと、任意選択でIGFBPとを含むものであり、その後皮膚を成長および再生させる際に使用するケラチノサイトを増殖させるのに特に適している。本発明はまた、in situで皮膚を成長および再生させるための、培養ケラチノサイトのエアロゾル送達を利用する組成物および方法に関する。

Description

本発明は、細胞培養に関する。より詳細には、本発明は、ケラチノサイトを増殖させて皮膚を成長および再生させる際に使用することを目的とした、培地、システム、および方法に関する。本発明はまた、in situで皮膚を成長および再生させる際に使用する組成物に関する。
インスリン様成長因子(IGF)であるIGF−IおよびIGF−IIは、過形成、DNA合成、分化、細胞周期の進行、およびアポトーシスの抑制を含む、広い範囲の細胞プロセスに関与する分裂促進性ペプチド成長因子である(非特許文献1〜3)。これらの効果は、細胞表面のチロシンキナーゼ結合型受容体、すなわち1型IGF受容体(IGF−IR)への該因子の結合を介して発揮される。IGFはまたIGFBPと呼ばれる特異的に結合するタンパク質ファミリーにより厳格な調節を受けるが、IGFBPは、遊離IGFに結合することによって、IGFの半減期、特異性、および活性を適正にすることを主な役割としている(非特許文献4)。
最近になって、ビトロネクチン(VN)がIGF−IIに直接的に結合することが示されているが(非特許文献5)、IGF−Iは、ある種のIGFBPの存在下でVNに結合し得る(特許文献1;非特許文献6)。ECMを組織化する分子であり接着分子でもあるVNが、IGF−IIがその生物学的受容体に該当するIGF−IRに結合する親和性と同様の親和性でIGF−IIに結合するという発見(非特許文献5)は、IGFの作用とECM中のVNとの特異的な物理的関連を明らかにするものである。さらに、VNに結合したIGF−II、およびIGFBPを介してVNに結合したIGF−Iは、ヒト・ケラチノサイトを含む多様な細胞においてin vitroで相乗的な機能的応答を刺激し得る(特許文献1;ノーブルら(Noble et al.)、2003年、前掲;非特許文献6)。
創傷、火傷、および潰瘍は、衰弱をもたらし痛みを伴う皮膚状態であり、集中的で費用のかかる治療が必要となるが、部分的にしか成果の上がらないことが多い。例えば、現在520,000人を超えるオーストラリア人が糖尿病と診断され、そのうち5%超が足潰瘍になる。このような創傷は、患者の生活の質を著しく損ない、しばしば入院期間を延長し、ついには切断に至ることもある。実際、行われる下肢の切断の大半は、回復しない潰瘍のせいであるとされる。
創傷、火傷、および潰瘍の治癒へ向けたより一層好ましい手法は、死んだ皮膚または損傷を受けた皮膚を、in vitroで増殖させた自己または同種のケラチノサイトに替えることである。通常、ケラチノサイトは、血清やウシ下垂体抽出物などの外部から添加した外来因子の存在下にて所定の培地で、通常はケラチノサイトの増殖を最適にするフィーダー細胞(栄養支持細胞)と共に増殖させる。
国際公開公報第02/24219号パンフレット ケイスら(Keiss et al.)、1994年、Hormone Research 第41巻、p.66 ウーおよびイー(Wood&Yee)、2000年、J.Mammary Gland Biology and Neoplasia 第5巻、p.1 ジョーンズおよびクレモンズ(Jones&Clemmons)、1995年、Endocrine Rev.第16巻、p.3 クレモンズ(Clemmons)、1998年、Mol.Cell.Endocrinol. 第140巻、p.19 アプトンら(Upton et al.)、1999年、Endocrinology 第140巻、p.2928〜31 Krickerら、2003年、Endocrinol. 第144巻、p.2807〜15
典型的な従来技術のin vitro細胞培養システムは、前述の外来因子を含めなければならないので比較的費用がかかる。その上、血清やウシ下垂体抽出物などの動物由来の外来因子は、比較的不確定なものであり、CJD、HIVおよびその他の疾患を引き起こすものなど感染性の物質が含まれる可能性がある。
そのため、本発明者らは、IGF−IIとVN、またはIGF−IとIGFBPとVNからなるタンパク質複合体が、ex vivoの初代細胞培養物において血清の非存在下で顕著な増殖応答を刺激することを発見した。より詳細には、IGF−IIとVN、またはIGF−IとIGFBPとVNからなるタンパク質複合体は、皮膚の交換、火傷および創傷の治癒、ならびにex vivoでの皮膚増殖を必要とする他の治療処置を目的としたケラチノサイトの増殖を強化するために使用することができる。
したがって、第1の態様では、本発明は、
(i)IGF−IおよびIGF−IIから選択された少なくとも1種類のIGFを含むことと、
(ii)血清を含まないか、または前記少なくとも1種類のIGFの非存在下では細胞増殖を支持しないと思われる量の血清を含むことと
を特徴とする細胞培養培地を提供する。
1実施形態では、培養培地はIGF−IおよびIGFBPを含む。
第2の態様では、本発明は、培養容器と第1の態様の細胞培養培地とからなる細胞培養システムを提供する。
本発明の培養培地および培養システムのうち少なくともいずれかが、ビトロネクチン(VN)およびフィブロネクチン(FN)のうち少なくともいずれかまたはそれらの断片をさらに含んでもよいことは理解されよう。
第3の態様では、本発明は、第1の態様の細胞培養培地および第2の態様の細胞培養システムのうち少なくともいずれかにおいて1または複数種の細胞を培養する工程を含む細胞培養方法を提供する。
第4の態様では、本発明は、第3の態様の方法に従って培養された1または複数種の細胞を、薬剤として許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と共に含んでなる薬剤組成物を提供する。
好ましい実施形態では、薬剤組成物は、ケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞のエアロゾル送達に適している。
第5の実施形態では、本発明は、in situで皮膚を再生するためのケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞の送達方法であって、個体に前記第4の態様の薬剤組成物を送達して皮膚の再生を促進する工程を含む方法を提供する。
この態様の好ましい実施形態は、in situで皮膚を再生させる方法であって、
(i)個体の皮膚に1または複数種のケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞を噴霧する工程と、
(ii)前記ケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞を増殖させて、in situで再生皮膚を形成させる工程と
を含む方法を提供する。
本明細書中では、別段の指摘がない限り、「含む、含んでなる、からなる(comprise、comprises、comprising)」とは、記載されているものが、その他の記載されていない1または複数のものを含み得るように、排他的でなく包含的に使用される。
本発明は、IGF−IIとVN、またはIGF−IとIGFBPとVNとを含んでなる培地が、通常はケラチノサイトのex vivoでの増殖に必要な血清の非存在下、ex
vivoのケラチノサイト初代培養物において顕著な増殖応答を刺激するという発見から生まれた。
さらに、特に細胞培養物が最初に確立してしまった後の細胞培養の後期段階では、フィーダー細胞の絶対的な必要を少なくともある程度解消することができる。
したがって、本発明は、ex vivoで皮膚を再生させるための現行の最善の臨床業務を改善する技術を提供する。さらに、本発明は、組織生検からのケラチノサイトの誘導および樹立も提供する。好ましい形態では、本発明は、患者自身の血清から単離された自己ビトロネクチンまたは組換え生産された自己ビトロネクチンを利用し、それによって異種または同種異系の支援システムの使用がさらに最小限に抑えられるだけでなく、不確定な補充製品の使用が排除されるケラチノサイトの培養培地および培養システムを提供する。したがって、このことから、好適な治療用途に転換することのできる、自己細胞を主体とした組織工学システムが提供されることになろう。
本発明の目的では、「単離(された)、単離型(の)」とは、材料がその本来の状態から取り出されているか、または人の手による操作を受けていることを意味する。単離(型)材料は、その本来の状態では通常付随する成分を実質的または本質的に含んでいなくてもよいし、その本来の状態では通常付随する成分を伴ったまま人工の状態になるように操作されていてもよい。単離材料は、天然型、化学合成型、または組換え型のいずれでもよい。
本明細書では、「合成(の)」とは、天然に生じたものではなく、人による技術が介入してできているという意味である。合成タンパク質および合成核酸に関しては、この語句は、当業界でよく理解されているように、組換え技術、または化学合成およびコンビナトリアル技術によって生産された分子を含む。
「タンパク質」とは、アミノ酸重合体を意味する。アミノ酸は、当業界でよく理解されているように、天然型または非天然型のアミノ酸、すなわちD−アミノ酸またはL−アミノ酸のいずれでもよい。
「ペプチド」とは、アミノ酸が50個未満のタンパク質である。
「ポリペプチド」とは、アミノ酸が50個以上のタンパク質である。
特定の態様では、本発明は、血清などの外来の動物由来の因子を必要としないか、または細胞の増殖および生存能力のうち少なくともいずれかが維持されるのに必要な前記因子のレベルが実質的に低減された、IGF−IおよびIGF−IIのうち少なくともいずれ
かを含む細胞培地および細胞培養システムを提供する。
本発明は、IGF−IおよびIGF−IIのうち少なくともいずれかに応答するあらゆる種類の哺乳動物細胞に適用可能であることが理解されよう。
そのような細胞は、一般に、上皮細胞、筋芽細胞およびそれらの前駆細胞、骨髄細胞、樹状細胞などの中胚葉由来の細胞である。
好ましい実施形態では、本発明は、ケラチノサイト、ケラチノサイト前駆細胞などの皮膚上皮細胞、および角膜上皮細胞を含めた上皮細胞に適用可能である。実際には、皮膚上皮細胞および角膜上皮細胞はいずれも、ケラチンタンパク質を産生するので「ケラチノサイト」とみなしてよい。
ケラチノサイトおよび/またはその前駆細胞は、正常な皮膚、創傷や潰瘍から採取したものなどの皮膚生検材料由来のものでもよいし、または毛嚢の外毛根鞘(ORS)細胞から得たものでよく、またこれらに限られるものでもない。
したがって、例えば、口腔および呼吸器の粘膜(口、鼻、気管、および食道の内側の層)や尿生殖器組織(例えば、膣、膀胱)といった、上皮細胞が見られる場所であれば、本発明の培地、方法、およびシステムを使用して置換組織を構築できる可能性があることが理解されよう。これらの組織は、火傷および他の外傷などによる損傷を受けているものでもよく、それ自体、皮膚生検材料と同様の手段で増殖させた培養移植片を使用して治療することができる。
本発明は、同じく通常は培養中に血清を必要とするヒト胚幹(hES)細胞に適用することもできる。
したがって、「血清を含まないか、または前記少なくとも1種類のIGFの非存在下では細胞増殖を支持しないと思われる量の血清を含む」とは、血清が全く存在しないか、またはin vitroでの最適な細胞の増殖および/または発育に本来必要な血清の量または濃度よりも実質的に低減された量または濃度の血清が含まれることを意味する。
「血清」とは、広範囲の巨大分子、リポイド物質および微量元素の運搬タンパク質、細胞の接着因子および伸展因子、低分子量栄養素、ならびにホルモンおよび成長因子を含む、血液由来の画分を意味する。操作上は、血清は、赤血球、血小板、および血漿の凝固成分を除去した後に残る、血液のタンパク性無細胞画分であると定義することができる。細胞培養に最も広く用いられる動物血清は、ウシ胎児血清(FBS)であるが、成体のウシ血清、ウマ血清、およびそのタンパク質画分(例えば、血清アルブミンフラクションV)を用いてもよい。
通常、哺乳動物細胞は、細胞の種類、培養期間、フィーダー細胞および培養システムの他の細胞成分のうち少なくともいずれかの有無、ならびに当業者にとって明らかな他の要因に応じて、5〜10%の血清を必要とする。
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、5%未満の血清、より好ましくは2%未満の血清、より一層好ましくは1%未満の血清を企図するが、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、または0.2%以下(v/v)の血清が有利である。
特に有利な実施形態では、本発明は、血清が存在しないか、または0.1%もしくは0.05%以下(v/v)の血清を企図する。
IGF−Iが存在する実施形態では、IGF−Iはタンパク質複合体の一成分であり、該複合体がIGFBPおよびビトロネクチン(VN)をさらに含んでなることが好ましい
IGFBPは、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP4、IGFBP5、およびIGFBP6から選択される。
IGFBPは、IGFBP3またはIGFBP5であることが好ましい。
IGFBPは、IGFBP5であることがより好ましい。
IGF−IIが存在する実施形態では、IGF−IIは単離型タンパク質複合体の一成分であり、該複合体がビトロネクチン(VN)をさらに含んでなることが好ましい。
ビトロネクチン(VN)が単量体の形でも多量体の形でもよいことも理解されよう。
特定の1実施形態では、本発明は、精製された自己VNを含む。
ケラチノサイトは、当業界で通常使用されるような培養容器で培養することが好ましい。したがって、培養中に存在するIGF、VN、およびIGFBPの各量は、培養容器の大きさ、容器中に存在する液体培地の量、細胞密度、および当業界で知られている他の要因などの諸要因に応じて決まることが理解されよう。
指標として、1.9cmのウェルでは、好ましい量は次のとおりである。すなわち
VN:50〜5000ng、より好ましくは100〜500ng、または有利なものとして250〜350ng;
IGF:0.1〜1000ng、より好ましくは10〜200ng、または有利なものとして50〜150ng;
IGFBP:1〜1000ng、より好ましくは30〜700ng、または有利なものとして300〜500ng
である。
本発明の培養培地は、他の特定の成分を含むことが適切である。非限定的であり、任意選択される成分には、DMEMやHam’s培地などのよく知られている基本培地、ストレプトマイシンやペニシリンなどの抗生物質、ヒト血清アルブミン(HSA)、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン)、L−グルタミンなどのアミノ酸補給物、β−メルカプトエタノールなどの抗酸化剤、トランスフェンリン、炭酸緩衝剤などの緩衝剤、HEPES、および通常は細胞培養インキュベータによって提供される二酸化炭素供給源が挙げられる。
本発明は、細胞の増殖、分化、生存、および/または遊走を調節する追加の生物活性タンパク質、例えば、上皮成長因子(EGF;ヘルディンら(Heldin et al.)、1981年、Science 第4巻、p.1122〜1123)、線維芽細胞増殖因子(FGF;ヌルコンベら(Nurcombe et al.)、2000年、J.Biol.Chem.、第275巻、p.30009〜30018)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF;タラボレッティ(Taraboletti et al.)、1997年、Cell Growth.Differ.、第8巻、p.471〜479)、オステオポンチン(ナムら(Nam et al.)、2000年、Endocrinol.、第141巻、p.1100)、トロンボスポンジン−1(ナムら(Nam et al.)、2000年、前掲)、テナシン−C(アライら(Arai et al.)、1996年、J.Biol.Chem.、第271巻、p.6099)、PAI−1(ナムら(Nam et al.)、1997年、Endoerinol.、第138巻、p.2972)、プラスミノーゲン(キャンベルら(Campbell et al.)、1998年、Am.J.Physiol.、第275巻、E321)、フィブリノーゲン(キャンベルら(Campbell et al.)、1999年、J.Biol.Chem、第274巻、p.30215)、フィブリン(キャンベルら(Campbell et
al.)、1999年、前掲)、またはトランスフェリン(ウェインジマーら(Weinzimer et al.)、2001年、J.Clin.Endocrinol.Metab.、第86巻、p.1806)などの使用も企図する。
追加の好ましい生物活性タンパク質は、EGFおよびbFGFである。
EGFやbFGFなどの追加の生物活性タンパク質は、1.9cmの培養ウェルあたり0.1〜1000ng存在してよいが、有利には1〜100ng存在してよい。
特定の実施形態では、本発明は、ヘパリン結合ドメイン様のドメインを有する任意の成長因子の使用を企図する。
別の特定の実施形態では、本発明は、単離型タンパク質複合体に加え、細胞の分化を抑制するLIFおよび/または他の作用物質の使用を企図する。
さらに別の特定の実施形態では、本発明は、本発明の培養培地、培養システム、および方法のうち少なくともいずれかにおける、ポリL−リシン、ポリL−アルギニン、およびビトロネクチンと相互作用する細胞分泌物、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、グリコサミノグリカン/プロテオグリカン、ラミニン、シアロタンパク質、および/もしくはムチンの重合体のうちの1種または複数の使用を企図する。
本発明が、少なくとも細胞培養の最初の樹立段階の後、フィーダー細胞の非存在下での細胞培養を円滑にし得ることも提唱しておく。
ケラチノサイトおよび/またはケラチノサイト前駆細胞に関しては、血清非存在下での培養の最初の6〜7日間は(放射線照射した3t3フィーダー細胞などの)フィーダー細胞が存在していてもよく、その後、最高で2継代の間はフィーダー細胞がなくてもよい。
前述のことを踏まえつつ、いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、細胞の培養中に、IGF−IがIGFBPおよびVNとともに単離型タンパク質複合体を形成し、IGF−IIがVNとの複合体を形成して生物学的効果を発揮するということを提唱する。
用語「単離型タンパク質複合体」とは、本明細書では、国際公開公報第02/24219号パンフレットおよび国際出願番号第PCT/AU2004/000117号において使用されるものと一致する。
単離型タンパク質複合体は、予め形成してから本発明の培養培地に含めてもよいし、または培養容器中で形成してもよい。
通常、ビトロネクチンおよび/またはフィブロネクチンは、培養容器に結合、固定、もしくはコーティングされるか、または別の方法で培養容器に結び付けられる。IGF、および任意選択でIGFBPを加えると、培養容器に結合、固定、もしくはコーティングされるかまたは別の方法で培養容器に結び付けられたビトロネクチンおよび/またはフィブロネクチンとの複合体が形成される。
国際出願番号第PCT/AU2004/000117号に記載されているように、本発明の単離型タンパク質複合体は、成長因子(例えば、IGF−IおよびIGF−II)を含んでもよいし、または成長因子の少なくとも1ドメインであって、同族の成長因子受容体(例えば、IGF1型受容体)に結合することのできるドメインを含むものでもよい。
これに関して、「ドメイン」とは、成長因子の少なくとも一部分または領域であって、同族の成長因子受容体に結合することのできるものを意味する。通常、限定するものではないが、同族の成長因子受容体が細胞によって発現され、前記同族の成長因子受容体に前
記の成長因子の少なくとも1ドメインが結合または連結すると、細胞の増殖、分化、生存および/または遊走などの細胞応答が誘発される。
特にIGF−Iに関して、前記ドメインは、ロイシン残基ではないアミノ酸残基24を含むことが適切である。
通常、前記の残基はチロシンである。
特にIGF−IIに関して、前記ドメインは、ロイシン残基でないアミノ酸残基27を含むことが適切である。
通常、前記の残基はチロシンである。
特にIGF−Iに関して、1実施形態では、前記ドメインは、IGF−Iの残基1〜70を含んでなるか、または同残基1〜70から構成される。
別の実施形態では、前記ドメインは、IGF−Iの残基4〜70を含んでなるか、または同残基4〜70から構成される。
本発明の単離型タンパク質複合体の別の成分が、ビトロネクチンまたはフィブロネクチンの少なくともインテグリン結合ドメインであることも理解されよう。
この成分としては、αインテグリンに結合することのできる、VNもしくはFNの任意のドメインを挙げることができ、これらが包含される。
インテグリンは、αβインテグリンまたはαβインテグリンであることがより好ましい。
国際出願番号第PCT/AU2004/000117号に記載されているように、VN(および同様にFN)のヘパリン結合ドメイン(HBD)は、単離型タンパク質複合体の完全な生物活性にとって必要ではない。
VNに関しては、IGF−IIまたはIGF−I/GFBP複合体との相互作用に必要なのは、おそらくVN(および同様にFN)のポリアニオン領域である。
ポリアニオン領域は、成熟型VN配列のアミノ酸残基53〜64である。
前述のことを考慮すれば、本発明は、VNまたはFNのHBDおよびポリアニオン領域のうち少なくともいずれかを含まない合成キメラタンパク質の実施形態を企図するものである。
HBDおよびポリアニオン領域のうち少なくともいずれかを含まないVNタンパク質およびそのアミノ酸配列に関しては、(HBDを欠いている)54kDaのニワトリ卵黄VNなど、天然のタンパク質でもよいし、あるいはHBDおよびポリアニオン領域のうち少なくともいずれかが含まれないか、または少なくとも実質的に機能しないように、VNタンパク質もしくはアミノ酸配列を欠失、突然変異、または短縮させることによって作出したものでもよい。
前述の事項から、本発明の単離型タンパク質複合体が、非共有結合により会合しているオリゴ−タンパク質複合体の形態、(可逆的または不可逆的に)共有結合によって架橋されているオリゴ−タンパク質複合体の形態、または合成キメラタンパク質の形態のいずれでもよいことが容易に理解されるであろう。
したがって、特定の態様では、本発明は、合成キメラタンパク質の形態の単離型タンパク質複合体を提供する。
本明細書では、「キメラタンパク質」は、VNもしくはFNのインテグリン受容体結合
ドメイン由来の連続したアミノ酸配列と、成長因子または成長因子の少なくとも受容体結合ドメインとを含んでなる。
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、合成キメラタンパク質は、前記成長因子の同族の受容体とVNもしくはFNのインテグリン受容体とを同時に連結し、かつ同時に活性化することができ、それによって細胞の遊走を刺激、誘発、増強、または促進し得ることを提唱しておく。
本発明によるキメラタンパク質の利点は、化学合成または組換えの手段によって容易に製造され、かつ非共有結合型のオリゴ−タンパク質複合体において必要なタンパク質−タンパク質相互作用の維持に依存しないのでin vivoでより安定であると予想される点である。
これに関して、IGF−Iの受容体結合ドメインを含む単離型タンパク質複合体はIGFBPも含むはずであるが、前述の作用様式によれば、IGF−I/VN合成キメラにはIGFBPが存在しないことが好ましいと提唱しておく。
キメラタンパク質は、成長因子配列とVNもしくはFNのアミノ酸配列との間に、かつこれらの配列に隣接して位置する「リンカー配列」をさらに含むことが好ましい。
1実施形態では、前記のリンカー配列は、1または複数のグリシン残基と1または複数のセリン残基とからなる。
リンカー配列の特定の例は、GlySer;GlySer、および(GlySer)から選択可能であるが、この限りでない。
別の実施形態では、リンカー配列には、Leu Ile Lys Met Lys Proの配列など、プラスミン切断認識部位が含まれる。
さらに別の実施形態では、リンカー配列には、Gln Pro Gln Gly Leu Ala Lysの配列など、コラゲナーゼ3切断認識部位が含まれる。
上記は、成長因子、成長因子結合タンパク質、およびビトロネクチン/フィブロネクチンのうち少なくともいずれかの生物活性を有する断片の例である。
1実施形態では、前記の「生物活性を有する断片」は、「完全長」タンパク質の10%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは50%以上、より一層好ましくは75%、80%、85%、90%以上、または少なくとも95%の生物学的活性を有する。
同様に、本発明に従って使用することのできる、成長因子のバリアント、成長因子結合タンパク質、および/もしくはビトロネクチン/フィブロネクチン、および/またはこれらをコードする核酸も企図する。
1実施形態では、「バリアント」は、1または複数のアミノ酸が異なるアミノ酸と入れ替わっている。ある種のアミノ酸が、そのタンパク質の本来の活性を変化させることなく、概ね類似の性質を備えた他のアミノ酸に変更可能であること(保存的置換)は、当業界で十分に理解されている。
1実施形態では、バリアントは、本明細書に記載のアミノ酸配列との配列同一性が、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、有利には少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%である。
少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、より一層好ましくは少なくとも
90%を上回る配列同一性が測定されることが好ましく、配列同一性が実質的に本発明の合成タンパク質の全長にわたっていると有利である。
配列同一性(%)を決定するには、アルゴリズム(インテリジェネティックス社(Intelligenetics )のGeneworksプログラム;米国ウィスコンシン州マディソンのサイエンスドライブ575所在のジェネティクスコンピュータグループ(Genetics Computer Group )のウィスコンシンジェネティクスソフトウェアパッケージリリース7.0(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0 )の中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA;参照により本願明細書に援用する)のコンピュータ処理の実行、または検討により、アミノ酸および/または核酸の配列の最適なアラインメントを実施すればよく、最適な(すなわち、比較枠内全体で最高の相同性(%)をもたらす)アラインメントは、選択した種々の方法のいずれかによって得ることができる。参照により本願明細書に援用されるアルツシュルらの文献(Altschul et al.、1997年、Nucl.Acids Res.、第25巻、p.3389)に開示されているような、BLASTプログラムファミリーを参照してもよい。
別の例では、「配列同一性」は、DNASISコンピュータ・プログラム(Windows(登録商標)対応Version2.5;米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコ所在の日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社から入手可能)によって算出される「一致率(%)」を意味するものと理解してもよい。
配列解析の詳細な議論については、アウスベルら(Ausubel et al.)編「CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY」(ジョンウィリーアンドサンズ社(John Wiley&Sons Inc.)、米国ニューヨーク、1995〜1999年)の19.3項に見ることができる。
本発明は、成長因子、成長因子結合タンパク質、および/またはビトロネクチン/フィブロネクチンの誘導体も企図する。
本明細書では、「誘導体」とは、例えば、他の化学基の付加、結合、もしくは複合体化によって、または当業界で十分に理解されているような翻訳後修飾技術によって改変されているものである。
アミノ酸の「付加」には、他のペプチドまたはポリペプチドとの融合が挙げられる。他のペプチドまたはポリペプチドは、例えば、タンパク質の精製の助けとなり得る。例えば、これらのペプチドまたはポリペプチドには、ポリヒスチジンタグ、マルトース結合タンパク質、緑色蛍光タンパク質(GFP)、プロテインA、またはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)が挙げられる。
本発明が企図する他の誘導体には、側鎖の修飾、タンパク質合成の際の非天然アミノ酸および/もしくはその誘導体の組込み、ならびにタンパク質の高次構造を拘束する架橋剤の使用および他の方法が含まれるがこの限りでない。本発明が企図する側鎖の修飾の非限定的な例としては、無水酢酸を用いるアシル化による修飾などのアミノ基の修飾、無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸を用いるアミノ基のアシル化、アセトイミド酸メチルを用いるアミジン化、シアナートを用いるアミノ基のカルバモイル化、ピリドキサール−5−リン酸を用いるリシンのピリドキシル化とそれに続くNaBHによる還元、アルデヒドとの反応に続いてNaBHで還元することによる還元アルキル化、および2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いるアミノ基のトリニトロベンジル化が挙げられる。 スルフィドリル基は、システイン酸への過ギ酸酸化;4−クロロマーキュリフェニルスルホン酸、4−クロロマーキュリベンゾアート、2−クロロマーキュリ−4−ニトロフェノール、塩化フェニル水銀、および他の水銀化合物を使用する水銀
誘導体の生成;他のチオール化合物との混合型ジスルフィドの生成;マレイミド、マレイン酸無水物、または他の置換マレイミドとの反応;ヨード酢酸またはヨードアセトアミドとのカルボキシメチル化;シアナートを用いるアルカリ性pHでのカルバモイル化などの方法によって修飾することができる。
ヒスチジン残基のイミダゾール環は、ピロ炭酸ジエチルを用いるN−カルボエトキシル化、またはヨード酢酸誘導体を用いるアルキル化によって修飾することができる。
ペプチド合成の際に非天然アミノ酸および誘導体を組み込む例には、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸、t−ブチルグリシン、ノルロイシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、2−チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD−異性体の使用が含まれるがこの限りでない。
タンパク質の化学的誘導体化の別の例は、コリガンら(Coligan et al.)編「CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE」、米国ニューヨーク所在のジョンウィリーアンドサンズ社(John Wiley&Sons)、1995〜2001年の第15章に示されている。
本発明によれば、タンパク質は、当業者に知られている任意の適切な方法によって調製可能である。
1実施形態では、タンパク質は、実質的に純粋な天然型でよい。
特定の1例は、精製自己ビトロネクチンである。
別の実施形態では、タンパク質は化学合成によって生産することができる。化学合成技術は当業界でよく知られているが、当業者は、適切な方法の例について、コリガンら編「CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE」、米国ニューヨーク所在のジョンウィリーアンドサンズ社(1995〜2001年)の第18章を参照してもよい。
さらに別の実施形態では、タンパク質は、組換えタンパク質として調製されてもよい。
組換えタンパク質の製造は、当業界でよく知られており、当業者は、例えば、本願明細書に援用するサンブロックら(Sambrook et al.)の「MOLECULAR CLONING.A Laboratory Manual」(コールドスプリングハーバープレス社(Cold Spring Harbor Press)、1989年)、特に第16項および第17項;本願明細書に援用するアウスベルら編「CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY」(ジョンウィリーアンドサンズ社、1995〜1999年)、特に第10章および第16章;ならびに本願明細書に援用するコリガンら編「CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE」(ジョンウィリーアンドサンズ社、1995〜1999年)、特に第1、第5、および第6章に記載されているような標準のプロトコールを参照してもよい。
組換えタンパク質は、融合パートナーをさらに含んでもよい。
よく知られている融合パートナーの例としては、限定するものではないが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ヒトIgGのFc部分、マルトース結合タンパク質(MBP)、およびヘキサヒスチジン(HIS)を挙げることができ、これらはアフィニティクロマトグラフィによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティクロマトグラフィによって融合タンパク質を精製する目的については、関連するアフィニティクロマトグラフィ用マトリックスは、それぞれグルタチオン−、アミロース−、およびニッケルもしくはコバルトに結合した樹脂である。このような多くのマトリックスは
、HIS融合パートナーとともに使用可能なQIAexpress(商標)システム(キアゲン社(Qiagen))や、ファルマシア社(Pharmacia)のGST精製システムなど、「キット」の形態で入手可能である。
場合によっては、融合パートナーもX因子やトロンビンなどのプロテアーゼの切断部位を有していて、その結果関連プロテアーゼによる本発明の融合タンパク質の部分消化が可能となり、それによって組換えタンパク質が融合タンパク質から解放されるようになる。次いで、解放されたタンパク質を続いてクロマトグラフィにより分離して、融合パートナーから単離することができる。
本発明の融合パートナーの範囲内には、一般に短いペプチド配列であり、該配列に対する特異的抗体が入手可能な「エピトープタグ」も含まれる。特異的モノクローナル抗体が容易に入手可能なよく知られたエピトープタグの例には、c−myc、赤血球凝集素、およびFLAGタグが含まれる。
発現に適した宿主細胞は、原核細胞でも真核細胞でもよく、例えば大腸菌(例えばDHSα)、酵母細胞、バキュロウイルス発現系とともに利用されるSf9細胞、CHO細胞、COS、CV−1、NIH3T3、およびHEK293の各細胞であるが、これらに限定はされない。
本発明はさらに、
(i)組換えIGF、
(ii)組換えIGFBP、
(iii)組換えビトロネクチン、
(iv)前述のような組換えキメラタンパク質、および
(v)EGFやbFGFなど追加の生物活性タンパク質
からなる群から選択される少なくとも1種の組換えタンパク質を発現させることのできる、ケラチノサイトやケラチノサイト前駆細胞などの細胞の使用を企図する。
特定の実施形態によれば、IGF、VN、および/またはIGFBPの傍分泌発現/自己分泌発現によって、血清を含まない培地で、かつ成長因子、IGFBP、およびビトロネクチンのうちの1または複数を培養培地に加える必要なしにケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞を培養することができる。
組換えタンパク質の発現は、ケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞に発現構築物を導入することで実現できる。
通常、発現構築物は、発現の対象である(組換えタンパク質をコードしている)核酸を、プロモータに作動可能なように連結され、または作動可能なように接続された状態で含んでいる。
プロモータは、構成的プロモータでも誘導プロモータでもよい。
構成的プロモータまたは誘導プロモータとしては、例えば、テトラサイクリン抑制性、エクジソン誘導性、アルコール誘導性、およびメタロチオネイン誘導性のプロモータが挙げられる。プロモータは、天然のプロモータ(例えば、αクリスタリンプロモータ、ADHプロモータ、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、ヒト伸長因子αプロモータ、およびSV40、CMV、HTLV由来プロモータなどのウイルスプロモータ)でもよいし、または2種以上のプロモータの要素が組み合わされている合成ハイブリッドプロモータ(例えば、SRαプロモータ)でもよい。
好ましい実施形態では、発現ベクターは、選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカーは
、形質転換した細菌の選択を行う目的にも(bla、kanR、tetRなど)、形質転換した哺乳動物細胞の選択を行う目的にも(ハイグロマイシン、G418、ピューロマイシンなど)有用である。
発現構築物は、電気穿孔法、微粒子銃、ウイルスを利用する遺伝子導入、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE−デキストラン法、カチオンリポソーム、リポフェクション、リポフェクタミンなど(これらに限定はされない)のよく知られている手段によって、ケラチノサイトやケラチノサイト前駆細胞などの哺乳動物細胞に導入することができる。
ケラチノサイト中での組換え成長因子タンパク質の発現に適用できる可能性のある方法の非限定的な特定の例については、サップら(Supp et al.)、2000年、J.Invest.Dermatol.、第114巻、p.5、およびサップら(Supp et al.)、2000年、Wound Repair Regen.、第8巻、p.26〜35を参照することができる。
[薬剤組成物]
本発明は、本発明の培地および/または培養システムを使用して生産された、その限りではないがケラチノサイトなどの1または複数の細胞と、薬剤として許容可能な担体、希釈剤、もしくは賦形剤とを含んでなる薬剤組成物も提供する。
本発明の薬剤組成物を使用すると、細胞の遊走、組織の再生、および創傷の治癒を促進し、または容易にすることができる。
一般に、本発明の組成物は、必要に応じて治療処置または予防処置に使用することができる。例えば、薬剤組成物は、皮膚の修復、創傷の治癒、火傷の治癒、および他の皮膚科学的処置のための治療用もしくは美容用調製物の形態で適用することができる。
薬剤として許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤は、哺乳動物、好ましくはヒトへの投与に適することが好ましい。
特定の実施形態では、薬剤組成物は、本発明に従って培養した自己または同種異系のケラチノサイトを含む。
「薬剤として許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤」とは、全身投与に安全に使用することのできる固体もしくは液体の充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質を意味する。特定の投与経路に応じて、当業界でよく知られている種々の担体を使用することができる。これらの担体は、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、麦芽(malt)、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝剤、乳化剤、等張生理食塩水、および塩酸塩、臭化物、硫酸塩を含む鉱酸の塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩といった有機酸の塩などの塩、および発熱物質を含まない水を含む群から選択することができる。
薬剤として許容可能な担体、希釈剤、および賦形剤が記載されている有用な参考文献は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(米国ニュージャージー州所在のマックパブリッシング社(Mack Publishing
Co.)、1991年)であり、これを本願明細書に援用する。
患者に本発明の組成物を提供するには、任意の安全な投与経路を使用すればよい。例えば、経口、直腸、非経口、舌下、口内、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳室内、経皮などの投与を使用することができる。
剤形には、錠剤、分散剤、懸濁物、注射剤、溶液、シロップ、トローチ、カプセル、坐
剤、エアロゾル、経皮パッチなどが含まれる。これらの剤形には、本目的用に特別に設計された注射用もしくはインプラント用の徐放デバイス、または本目的用にも作用するように改変された他の形態のインプラントも挙げることができる。
徐放製剤は、例えば、アクリル樹脂、ろう、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸、およびポリグリコール酸などの疎水性ポリマー、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのある種のセルロース誘導体でコーティングすることにより実現できる。他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/またはミクロスフェアを使用して徐放を実現してもよい。徐放型の製剤および送達デバイスの非限定的な例には、例えば、浸透圧ポンプ、ポリラクチドコグリコリド(PLG)ポリマーを用いたミクロスフェア、ヒドロゲルポリマー、OctoDEX(商標)などの化学的に架橋されたデキストランゲル、およびd−乳酸−HEMAが含まれる。
上記組成物は、投与製剤に適した方法で、かつ薬学的に有効な量を投与すればよい。本発明では、患者に投与される用量は、適切な期間にわたり患者に有益な応答をもたらすのに十分であるべきである。投与すべき薬剤の量は、対象者の年齢、性別、体重、および全般的な健康状態を含めて治療を施す対象に応じて、医師の判断いかんで決まる諸要因に応じて様々でよい。
創傷治癒のための薬剤組成物に関しては、本願明細書に援用する米国特許第5936064号および国際公開公報第99/62536号パンフレットが特に参考文献として挙げられる。
特定の1実施形態では、本発明の組成物は、in situでの噴霧送達に適する。
用語「噴霧」は、「エアロゾル」もしくは「ミスト」、または一般に液滴の形の液体懸濁物であるとされる「濃縮物」などの用語を包含し、またこれらの用語を例として挙げられる。
本発明によれば、任意選択であるが、噴霧もしくはエアロゾル組成物は、in situで皮膚細胞の増殖および遊走を促進するために、IGF−IおよびIGF−IIから選択される少なくとも1種のIGFを含んでもよいし、または特定の実施形態では、IGF、VN、およびIGFBPを含む単離型タンパク質複合体を含んでもよい。EGFおよび/またはbFGFなどの追加の生物活性タンパク質が含まれてもよい。
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本発明では、噴霧組成物中に存在するIGF複合体中のVNの固有の「粘着性」が、IGF−I、IGF−II、およびEGFやbFGFなどの他の成長因子の送達を促進するであろうと予想される。 通常、本発明の噴霧組成物は、送達用流出口を備えた加圧缶などの装置によって送達される。
ブタモデルでの創傷治癒用など、エアロゾル化ケラチノサイト送達系の例が、ナヴァーロら(Navarro et al.)、2000年、J Burn Care Rehabil、第21巻、p.513によって示されている。ブタモデルにおける創傷治癒用にエアロゾル化ケラチノサイトをフィブリン糊と合わせて使用することについて記載している、グラントら(Grant et al.)、2002年、Br J Plast Surg、第55巻、p.219も参考文献として挙げられる。
本発明の噴霧組成物は、実質的に血清を含まないことが好ましい。
特定の1実施形態では、本発明の皮膚噴霧組成物は、調節器によって制御される医療用の圧縮空気流中へ送達することによって、フィブリン糊の噴霧式の適用を円滑にし、液体をエアロゾル化する、Tissomat(登録商標)(バクスターヘルスケア社(Bax
ter Healthcare))を構成する。69〜207kPa(10〜30psi)の圧力が適切であるが、圧力を増大させると生存率の低下が認められる。細胞は、0.5〜1.5×10/mlの濃度で噴霧するとよい。0.2ミリリットルの細胞懸濁液を138kPa(20psi)で適用すると、約25平方センチメートルの面積を覆うのに十分である(in vitroで7日間増殖させた後の、細胞で覆われた表面積の測定に基づく)。細胞は、無血清の増殖培地に含めて送達することが好ましいが、市販のTisseel/Tissucol(登録商標)(バクスターヘルスケア社(Baxter Healthcare))などのフィブリン糊に懸濁させてもよい。
本発明の組成物のシリンジ送達(例えば、スプレーキャップを装着したシリンジ)を使用しても、同様の有効性が得られることが予想される。
[治療への使用]
特定の態様では、本発明は、火傷、創傷、および潰瘍の治療方法、ならびに肌質または肌の外観を改善し、または向上させるための皮膚の美容処置に関する方法を提供する。
これらの方法は特に、哺乳動物、より詳細にはヒトの治療または処置を目的とする。しかし、本発明が、当業者には十分に理解されるように、飼養動物、家畜、および曲芸動物を治療するための獣医学的適用を有し得ることも承知されよう。
好ましい実施形態では、本発明は、本発明に従って個体に投与することのできる初代ケラチノサイトをex vivoで増殖させるための培地、培養システム、および方法を提供する。
特定の実施形態では、ケラチノサイトは、本発明に従って培養した自己または同種異系のケラチノサイトである。
その方法としては、上述のように規定した薬剤組成物の投与を挙げることができ、米国特許第6090790号に記載のものなど、特定の組織部位への微細針による注射;米国特許第6054122号に記載のものなど、創傷、火傷、もしくは潰瘍に適用する局所用のクリーム、ローション、またはシーラント包帯剤;または国際公開公報第99/47070号に記載のものなど、組成物を放出するインプラントを用いるものでよい。
遺伝子操作により所望の成長因子を発現させるなど、皮膚代替物を作製する目的のために皮膚細胞の遺伝子を改変できる方法も存在する(サップら(Supp et al.)、2000年、J.Invest.Dermatol.、第114巻、p.5)。この分野の総説の例は、ベヴァンら(Bevan)、Biotechnol.Gent.Eng.Rev.、第16巻、p.231である。
国際公開公報第99/11789号に記載のものなど、レシピエントに対する形質導入細胞または形質転換細胞の「接種」も企図される。
これらの方法を使用して細胞の遊走を刺激し、それによって、創傷および火傷の治癒、潰瘍などの皮膚病変の修復、自己の皮膚のin vitro培養などによる組織の置換および移植、腎臓や肺などの内部臓器の上皮再形成、ならびに損傷神経組織の修復を促進し、または進行させることができる。
皮膚置換治療は、当業界でよく知られつつあり、例えば、ケヘら(Kehe et al.)、1999年、Arch.Dermatol.Res.、第291巻、p.600に記載されているような、上皮/ケラチノサイト同時培養細胞株の使用、または(通常は自己の)初代上皮細胞、真皮細胞、および/もしくはケラチノサイト細胞のin vitro培養を採用することができる。これらの技術は、人工生体材料および合成ポリマーの「骨格」を利用するものでもよい。
一般にこの分野の総説の例は、Terskikh&Vasiliev、1999年、Int.Rev.Cytol.、第188巻、p.41、ならびにEaglestein&Falanga、1998年、Cutis、第62巻、p.1である。
より具体的には、頭蓋顔面外科で有用な置換用口腔粘膜の生産について、イズミら(Izumi et al.)、2000年、J.Dent.Res.、第79巻、p.798に記載されている。胎児のケラチノサイトおよび真皮線維芽細胞をin vitroで増殖させて、皮膚病変を治療するための移植用皮膚を生産することができ(例えばファウザら(Fauza et al.)、J.Pediatr.Surg.、第33巻、p.357に記載)、一方ヒアルロン酸由来の生体材料上でin vitroで培養した真皮および表皮の皮膚成分から得た皮膚代替物は、火傷の治療に潜在的に有用であることが示されている(ザッチら(Zacchi et al.)、1998年、J.Biomed.Mater.Res.、第40巻、p.187)。
例えば、シェリダンら(Sheridan et al.)、2000年、J.Control Release、第14巻、p.91ページ、およびファウザら(Fauza
et al.)、1998年(前掲)に記載されているように、代替皮膚の作出を円滑にする目的でポリマー骨格も企図されており、同様に創傷および火傷に皮膚細胞を送達するための作用物質としてミクロスフェアも企図されている(ラフランスおよびアームストロング(LaFrance&Armstrong)、1999年、Tissue Eng.、第5巻、p.153)。
通常は治療での使用向けに生産されるケラチノサイトシートは、熱傷創を最終的に閉じる役割を担う。このシート移植技術は、すべての部分層熱傷に適用可能であり、外部からの助けなしでは創傷部位およびドナー部位を早期に永久閉鎖することがほとんど不可能な広い面積の創傷の治療に最も有用である。このような創傷は、最近のバリ島の爆破で火傷を負った患者の死亡原因となった種類の傷害である。
現在、患者の50セント硬貨大の皮膚生検材料から成人全体を覆うのに十分なだけ皮膚を成長させることが可能である。この培養工程は17日間を要する。
しかし、患者の外傷、感染の危険、瘢痕化、および永久的な皮膚移植に先立って現在必要とされる高価な仮の皮膚置換の必要性を減らすために、より早期の皮膚置換が早急に求められている。また、培養皮膚のシートは、多くの皮膚細胞を含み、該皮膚細胞は成熟しているものもあれば、未成熟のものもある。培養ケラチノサイトを集密(コンフルエント)にするという(皮膚シートの生産に必要な)単純な行為が原因で、細胞は最初に有していた特性を早期に喪失してしまう、すなわち分化してしまう。培養皮膚シートが適用されるとき、未成熟の細胞のみが患者に接着し、定着することができる。狭い面積しか付着していないので、シートは、摩擦や患者の動きによって生じる損傷を非常に受けやすく、時には移植片全体を失うことになりかねない。その上、シート移植片では、シート中の皮膚細胞が成熟しているほど、移植片は定着しにくく、細胞自体も創傷床で増殖や遊走をしにくくなると思われる。したがって、未成熟な皮膚細胞をより早期に適用することが、より良好な移植片の定着をもたらし、瘢痕を減らすことは明らかである。
したがって、本発明は、ex vivoで培養した皮膚細胞を患者の火傷、潰瘍、または創傷のある皮膚に送達して、患者の身体のより広い表面域が、現存するシート移植技術よりもはるかに早期に未成熟の皮膚細胞によって覆われるようにするための噴霧もしくはエアロゾル送達法を提供する。この方法では、わずか7日という早さも可能になる。また、この方法は、瘢痕形成、ショック、および熱放散を大幅に低減すると考えられ、部分層熱傷だけでなく全層性熱傷においても皮膚機能のより迅速な回復を可能にすると考えられ
る。
本発明によれば、任意選択ではあるが、投与される噴霧剤またはエアロゾルは、皮膚細胞のin situでの増殖および遊走を促進するために、IGF、VN、およびIGFBPと共にEGFおよび/またはbFGFを含む単離型タンパク質複合体をさらに含んでもよい。
患者自身の皮膚細胞(自己皮膚)およびドナーの皮膚細胞(同種異系または異種の皮膚)を、増殖させ、早期に熱傷創を閉鎖すべく使用することができる。ドナー細胞は、移植抗原を発現しないので、患者の免疫応答を引き起こさない。しかし、ドナーの皮膚細胞は、最終的には患者自身の皮膚細胞に入れ替わる。
自己細胞が好ましいが、皮膚用噴霧剤に同種異系または異種の細胞を使用すれば、細胞を必要とする患者への即座の適用が可能になるはずである。あるいは、治療用噴霧剤に使用するのに十分な自己細胞が、約7日間で培養できるということもありうる。
皮膚の表面(上皮)および深部層(真皮)の両方を失っている傷への培養皮膚の生着が弱いことから、本発明が企図する別の治療は、全層性の傷を早期に閉鎖するための熱傷患者の治療である。本発明は、真皮代替物を皮膚用噴霧剤と共に使用して、このような最も恐ろしい損傷を早期に永久的に閉鎖することを企図する。生物由来および合成のいずれの真皮代替物も企図される。例えば、死体由来の、表皮を除いて細胞を除いた(de−cellularised)、本発明の単離型タンパク質複合体を含む真皮骨格に、合成表皮(包帯剤)を被せることができる。本発明者らは、およそ7日後には、この真皮が自己内皮細胞による盛んな浸潤を受けるという仮説を立てている。この時点で、合成皮膚を取り除き、ex−vivoで増殖させた患者自身の線維芽細胞およびケラチノサイトを同種異系の真皮(allo−dermis)に適用する。
真皮代替物は、栄養になり安定化させる骨格として働き、皮膚細胞および皮膚中に通常見られる他の重要な細胞の遊走および定着を促進するので、表皮シートよりもむしろ皮膚用噴霧剤の方が成功を収めると予想される。これによって、全層性皮膚損傷における培養皮膚細胞の生着の向上が実現されよう。
本発明をより容易に理解し、実際の効果につなげることができるよう、当業者は、以下の非限定的な実施例を参照されたい。
[血清非存在下における初代ヒト・ケラチノサイトの増殖]
材料および方法
増殖因子濃度/培養用プラスチックへの予備的吸着
全ての実験において、VN、IGFおよびIGFBPを添加する標準法を使用した。培養用プラスチックを、無血清培地中のビトロネクチン150ng/cmとともに37℃で2時間インキュベーションすることによって調製する。次に、VN溶液を取り除き、IGFBP(250ng/cm)、IGF−I(50ng/cm)、およびEGF(50ng/cm)を含む無血清培地に置き換える。これらの増殖因子を1晩4℃(冷蔵庫内)に放置してVN処理プラスチックに吸着させる。翌日、増殖因子溶液を取り除き、VN 50ng/mL、IGFBP 50ng/mL、IGF−I 15ng/cmおよびEGF 15ng/cmを含む増殖培地(以下に定める)に置き換える。細胞を、以下の密度で加える。一般に、培地は3日に1度交換する。各培養物を、約6日間増殖させてから継代前する。すなわち継代の間隔は約6日間である。
増殖培地
基本培地は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)にHam’s F12培地を3:1に混合したものであり、通常L−グルタミン(2mM)、コレラ毒素(0.1μg/mL)、アデニン(180μM)、ヒドロコルチゾン(0.4μg/mL)、および非必須アミノ酸混合物(1%v/v)を添加する。
陽性対照培地は、さらに10%ウシ胎児血清、インスリン(5μg/mL)および上皮増殖因子(EGF、10ng/mL)を含む。
播種密度
培養物を、増殖を停止させたマウス3t3細胞(密度2.5×10/cm)の存在下で増殖させた。3t3細胞は、使用直前のガンマ線照射によって「増殖を停止」させる。
ケラチノサイトを、継代数に応じて異なる2種類の密度で播種した。初代培養物(P0)を、3.8×10/cmで細胞を播種して確立した。その後の培養物(P1、P2等)は、回収した細胞を6.4×10/cmの密度で再播種することによって確立した。P0の培養物について高密度で播種したのは、培養時には採取したばかりの細胞の一部しか持続的に増殖しないものと思われるからである。こうして、細胞を培養することにより、増殖する母集団の拡大が可能となる。
結果
従来の血清含有増殖培地との培養物の比較
図1を参照すると、このグラフは、単離したばかりのケラチノサイトの、VitroGro(登録商標)を用いた平均的な増殖(+3t3細胞)を、ウシ胎児血清と3t3細胞とのいずれも存在する従来法と比較して示すものである。P0、P1、およびP2は、細胞を回収して再播種した回数に相当する(P0=皮膚試料から単離した直後の細胞による実施)。MTTによる染色を利用してデータを取得した。該データは、単離タンパク質複合体存在下の血清非存在下での培養が、10%血清含有下で達成される細胞増殖の少なくとも90%を常に達成したことを示している。
図2Aおよび2Bを参照すると、VitroGroと共に増殖させた皮膚細胞は、ウシ胎児血清存在下に増殖させた皮膚細胞(図2A)と同様の外観を示す。分子マーカーの存在に基づくさらに詳細な比較は、この結論を確定するために現在進行中である。使用する技術には、免疫細胞化学法、蛍光標示式細胞分取(FACS)分析、ウエスタン・ブロッティング、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の各方法が含まれることになろう。最新のプロテオミクス技術および遺伝子アレイ技術の使用も考慮中である。検討する主たるマーカーは、サイトケラチン類(CK1およびCK10、CK6、CK14、およびCK19)および想定されるケラチノサイト前駆細胞マーカー(例えばp63、α9−インテグリン、α6−インテグリンbri/CD71dim)を含むことになろう。想定される前駆細胞マーカーは、移植後の培養物において臨床上の有効性をもたらすと思われるため、該マーカーの発現の比較にことに注目が置かれることになろう。さらに、日常的なin
vitroの機能アッセイにおける細胞の反応(接着、遊走、増殖)も、実施可能である。
IGFBP3またはIGFBP5を含む単離タンパク質複合体の相対的活性
図3を参照すると、IGFBP5を含む単離タンパク質複合体が、ケラチノサイトの収量に関して、IGFBP3を含む複合体よりも効果的であることが明らかである。
[フィーダー細胞の存在下および非存在下における、血清非存在下での初代ヒト・ケラ
チノサイトの増殖]
材料および方法
初代ケラチノサイトの培養
ラインヴァルトおよびグリーン(Rheinwald&Green)、1977、Nature、265巻、p.421によって最初に報告された方法と基本的に同一である標準法を使用して、ヒト成人皮膚からケラチノサイトを単離した。簡潔に述べると、該方法はDispaseII(商品名)溶液中での37℃、1時間の皮膚試料の消化を伴うものであった。続いて、回収した上皮は、細胞を分離させるために0.25%トリプシン/0.02%EDTAと共に37℃でさらに10分間消化される。残存トリプシン活性を不活化し、次いで回収した細胞を洗浄し、致死線量を照射した3t3マウス線維芽細胞の存在下または非存在下、組織培養ディッシュに播種する。これらの標準条件を使用して培養した「対照」細胞を、10%ウシ胎児血清、0.1%ペニシリン・ストレプトマイシン溶液、0.4μg/mLヒドロコルチゾン、0.1μg/mLコレラ毒素、10ng/mLヒト組換え上皮増殖因子(EGF)、5μg/mLインスリン、5μg/mLトランスフェリン、および2nMトリヨードサイロニンを添加したDMEM/F12培地中で増殖させるが、一方、単離増殖因子複合体で処理する細胞には、インスリンを含まないということを除いて同じ培地を使用した。インスリンは、インスリンが1型IGF受容体へ競合的に結合するのを最小限にするために、単離タンパク質複合体処理と同時に使用される培地には含めなかった。また、単離増殖因子複合体でコーティングしたディッシュで培養した細胞は、放射線処理したマウス線維芽細胞を含まないプレートに細胞を播種するという点で、標準法にしたがって培養される細胞とは異なっていた。
タンパク質合成アッセイ
ケラチノサイトは、成人皮膚生検由来であり、Green培地、血清、およびフィーダー細胞を取り入れた標準法を使用して継代数2まで増殖させた。次にこれらの細胞を、タンパク質合成の促進に関して、IGF+VN複合体の存在下および不在下で評価した。ここでは、24ウェル・プレートを、ビトロネクチン300ngで2時間コーティングし、次に結合していないビトロネクチンを除去するために洗浄された。次に、調べようとする増殖因子と共にウェルをインキュベートした。使用した増殖因子は、上皮増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、インスリン様増殖因子I、およびインスリン様増殖因子IIであり、インスリン様増殖因子結合タンパク質5と組み合わせてウェルに加え、ビトロネクチンに1晩結合させた。翌日、結合していない増殖因子をすべて除去するためにウェルを2回洗浄し、プレートを風乾した。次に、ケラチノサイトを回収し、1ウェルあたり細胞1×10個の密度で、[H]ロイシン 1μCi/ウェルを加えたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に播種した。選択されたウェルにおいては、ケラチノサイトの無血清培養のための市販品である規定ケラチノサイト培地(Defined Keratinocyte Medium 、DKM)(インビトロジェン(Invirogen ))に細胞を播種した。次にプレートを48時間インキュベーションし、取り込まれなかった[H]ロイシンをすべて除去するために洗浄した。de novo合成されたタンパク質への[H]ロイシンの取り込みを、βシンチレーション計測用に可溶化タンパク質の沈渣を採取することによって評価した。
MTT‐Estaアッセイ
ヒト・ケラチノサイトを単離し、致死線量を照射したマウス3t3細胞のフィーダー層が共存する添加剤を全て含んだGreen培地での標準培養技術を使用して、培養細胞を確立した。細胞を継代数3まで増殖させ、Green培地を含む24ウェル・プレートに、ウシ胎児血清(FCS)および3t3細胞の存在下または非存在下で播種した。選択した処理については、ウェルを単離タンパク質複合体でコーティングした。ウェルをビトロネクチン300ngと共に2時間インキュベーションし、吸引除去してからIGF−IとIGFBP3またはIGFBP5、あるいはIGF−IIを加えた。プレートを1晩インキュベーションし、吸引除去してから細胞を播種した。培養物について、すでに報告され
ているMTT‐Estaアッセイ(Ealeyら、1988、J Mol Endocrinol、第1巻、R1〜R4)を使用して測定したように、代謝活性に関して評価した。
結果
樹立細胞株において単離増殖因子複合体によって得られた機能的反応の有意な促進(国際公開公報第02/24219号パンフレット;Nobleら、2003、前掲;Krickerら、2003、前掲)を考慮し、本発明者らは、最近になって本発明者らの研究を成人皮膚に由来するケラチノサイトの細胞培養へと広げた。特に、本発明者らは、自己の分層皮膚移植のためのex vivoにおけるケラチノサイトの増殖のために、現在最善の臨床業務において使用される血清およびフィーダー細胞を、単離増殖因子複合体に置き換える可能性について検討した。この方法は、熱傷の患者に利用可能な非常に進歩した治療法であるが、患者由来のケラチノサイトの培養は、病原体の供給源となる可能性があり、半確定状態の生体異物製品であるウシ胎児血清(FBS)の存在下で実施される。さらに、ケラチノサイトの分離および確立を行う初期の段階において、第2の生物種、すなわちマウス3t3細胞に由来するフィーダー細胞層が、細胞の接着と増殖とを助長するためのサイトカインおよびマトリクス成分の供給源として使用される。FBSもこれらの作用に寄与する。
(i)IGF類はフィーダー細胞によって分泌されるサイトカイン類の大部分を占めること、(ii)VNが、プラスチック器材に低密度で播種されたケラチノサイト初代培養細胞の接着を促進するためのあらゆる血清要求性を代替することが確認されたこと、ならびに(iii)単離増殖因子複合体と共に培養されたケラチノサイト細胞株で得られた作用が、10%FBSを含む培地で得られた作用と同等であることから、本発明者らは、単離増殖因子複合体を添加した培地が、自己ケラチノサイト工学への適用に対して優れた産物を提供する可能性を有すると仮説を立てた。この仮説は、IGF類がケラチノサイトの増殖を刺激する鍵となるマイトジェンであるがケラチノサイト自体はIGF−Iを分泌しないという事実によって支持される。KGM(商標)(クロネティクス(Clonetics ))およびEpiLife(商標)(シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich ))といった無血清培地が、ケラチノサイトの増殖のために商業的に開発されてきたが、これらの培地は、不確定で、生体異物の、病原体供給源となる可能性を有しているウシ下垂体抽出物の添加を必要とするか、または高価な添加物を加えることが必要である。さらに、最新の無血清ケラチノサイト培養の用途には、非常に高密度での播種が必要とされるため、ケラチノサイトを大量かつ迅速に培養するという目的が頓挫することとなり、かつ日常的な臨床適用にこれらの方法があまり採用されない原因ともなっている。
本発明者らは仮説を直接試験し、その結果は図4に示されている。この実験では、ケラチノサイトは成人皮膚由来であり、通例の方法にて7日間で確立した。次に、細胞をトリプシン処理によって継代し、低密度(ケラチノサイト8500個/cm)で、単離増殖因子複合体でコーティングした組織培養用プラスチック上に播種し、フィーダー細胞の非存在下、FBSもインスリンも含めずにさらに7日間増殖させた(図4)。これらの条件で増殖させた細胞が、最新かつ最善の臨床上の方法のみを使用して増殖させた細胞(すなわちFBSおよびマウス3T3フィーダー線維芽細胞と共に増殖させたもの、図4)よりも迅速に増殖することが判明した。単離タンパク質複合体の存在下で増殖させたコロニーの周辺部は、ケラチノサイトが外側に向かって移動し、正常で、増殖していることを示している。図4に示されている最も内側の細胞は、コンフルエンス間近のケラチノサイト培養物で観察される典型的な敷石状の形態を示しているが、この場合はちょうど7日でコンフルエンスに達した。これらのタンパク質複合体存在下でのケラチノサイトの増殖をMTTアッセイで定量化することによって、これらの知見(図4B)が確定する。
フィーダー細胞は最初の生検からの培養細胞の確立に重要と思われるため、その後のデータは、ケラチノサイトがフィーダー細胞非存在下(血清も含まない)で良好に増殖する能力が、細胞培養の比較的遅い段階に限られることを示唆する傾向にあった。
添加した増殖因子EGFおよびbFGFの作用について、図5に示す。本発明者らは、継代数3のヒト皮膚ケラチノサイト(成人皮膚生検由来)について調べ、添加したIGF+VN複合体によるタンパク質合成の促進を、48時間にわたって評価した。これらの処理については、ケラチノサイトの無血清培養のための市販品である、未知量のインスリン、EGFおよびbFGFを含んだ規定ケラチノサイト−SFM(DKM)(インビトロジェン)で増殖させた細胞と並行して調べた。DKMは、タンパク質合成の増大を促進して、上記対照ウェル(−VN)より148%上昇させることが明らかとなり、これはVN単独(+VN)やVNおよび増殖因子を含まない場合(−VN)での作用より有意に高かった(p<0.05)。IGF−II+VNの2量体およびIGF−II+VN+IGFBP−5の3量体の複合体も、タンパク質合成の大幅な増大を促進し、それぞれ134%および161%(p<0.05)上昇させた。実際、DKM、2量体複合体、および3量体複合体で観察されたタンパク質合成の促進に関して有意差はなく(p>0.05)、いずれの複合体も、ケラチノサイトのタンパク質合成の刺激において市販品であるDKMと同程度に有効であることを示している。
EGF、bFGFまたは両方の増殖因子を組み合わせて3量体複合体に加えた場合、216%、248%、および213%の上昇が観察された。これらの反応全てがDKMでの上昇より有意に高かった(p<0.05)。同様に、EGF、またはEGFとbFGFとの双方を2量体複合体に加えた場合、タンパク質合成においてそれぞれ192%および198%の顕著な上昇が得られ、この上昇はDKMでの上昇より有意に高かった(p<0.05)。これらの結果によって、EGFおよびbFGFを単離タンパク質複合体に取り入れることで、無血清かつフィーダーを使用しないケラチノサイト培養用の市販品を上回るタンパク質合成の増大が促進されるということが明らかとなる。
[皮膚への噴霧技術]
材料および方法
ここでは2つの問題を扱う。第1に、噴霧用細胞懸濁物が適用できるようになる十分な数の細胞が、1週間以内にVitroGro上で生産される。したがって、この技術は既に使用されている市販品(クリニカルセルカルチャーリミテッド(Clinical Cell Culture Ltd ))の技術と一致するが、無血清という利点がある。第2に、VitroGroで増殖した細胞は噴霧後も生存が維持される。本発明者らが使用してきた送達システムはTissomat(登録商標)(バクスターヘルスケア(Baxter Healthcare ))である。Tissomat送達システムは、フィブリン糊の噴霧施用のために設計されており、調整器で制御された医療用圧搾空気流の中に送達することで液体をエアロゾル化する。しかしながら、代替の噴霧法(噴霧器のキャップに取り付けたシリンジ)を使用しても同様の結果が達成可能であると本発明者らは期待している。圧力は69〜207kPa(10〜30psi)が適切であるが、圧力を上昇させると生存率の低下が観察される。細胞を1ミリリットルあたり0.5〜1.5×10個の濃度で噴霧するとよい。細胞懸濁液0.2ミリリットルを138kPa(20psi)で適用すると、約25cmの領域の被覆に十分である(in vitroで7日間増殖させた後に細胞で覆われる表面域の測定に基づく)。細胞を無血清増殖培地中で送達することも可能であるが、市販品のTisseel(登録商標)/Tissucol(登録商標)(バクスターヘルスケア)といったフィブリン糊に懸濁して使用してもよい。本発明者らの研究によると、フィブリン糊は、注射用無菌水で等張条件に希釈し、さらに最終フィブリン糊成分を無菌生理食塩水でフィブリノゲンについては1〜10mg/mL、トロンビンについては10〜100単位/mL
に調整することによって、使用前に調製するべきである。
結果
図6は、ケラチノサイトを、コラーゲンでコーティングされた直径150mmの培養ディッシュに噴霧送達した後の細胞の分布および増殖を示す。重要なことには、VitroGroで増殖した細胞は、噴霧後に良好な生存率を示す。噴霧領域の被覆に必要な細胞数を測定するために、細胞を2つの異なる濃度で噴霧した。噴霧に使用した培養物は、対照(血清含有)、またはIGFBP−3およびIGF−Iを伴うビトロネクチンのいずれかで元々培養したものとした。全ての培養物は、3t3細胞存在下で調製した。噴霧後、創傷部位における条件を模倣するために、細胞を血清存在下で増殖させた。該培養物を、細胞分布を示すためにクリスタル・バイオレットで染色した。
図7に示されるように、Tissomat送達システムによる培養ケラチノサイト噴霧の作用を見ることができる。これらの予備実験のためには、血清およびフィーダー細胞を加えた従来の培養培地を使用して培養細胞を確立した。図7Aでは、捕集用チューブ内に細胞を噴霧した後数分以内にトリパン・ブルー排除試験を実施したが、該試験は生存細胞には色素が透過しないという原理によるものである。図7Bに見られるように、MTT換算データは、細胞噴霧後24時間における代謝活性の指標を提供するので、より確かな生存率測定法である。
図7Aおよび7Bのいずれにおいても、送達圧力は207kPa(30psi)でも許容できる生存率であるが、至適送達圧力は69〜138kPa(10〜20psi)であることがわかる。
[皮膚用噴霧剤の臨床試験]
皮膚生検の採取
適切なドナー部位を選び、剃毛と殺菌剤による消毒とによって準備する。約10cmの分層皮膚移植片を、手術室で局所麻酔の下に採取する。この生検物を、抗生物質を含む無菌生理食塩水中に入れ、処理のために直ちに皮膚培養室に運ぶ。ドナー部位には、担当外科医の判断にしたがってOpsite(登録商標)または他の被覆材を貼付する。
ケラチノサイトの単離および培養
皮膚培養施設に到着後、各患者の生検物を無菌緩衝液で洗浄し、その後の培養における細菌汚染の可能性を低減させるために、抗生物質中において室温で1時間インキュベーションする。表皮層および真皮層を、トリプシン消化によって分離する。分離した組織の向かい合う面をこすり取って、取り出した細胞(主として基底ケラチノサイト)を洗浄し、大豆トリプシン阻害剤を含む無血清培地中に再懸濁する。この最終細胞懸濁液を、25cmの組織培養フラスコに播種するが、フラスコには、増殖を停止させたマウス3t3線維芽細胞(2.5×10個/cm)ならびにビトロネクチン(VN、50ng/cm)、インスリン様増殖因子I(IGF−I、15ng/cm)、インスリン様増殖因子結合タンパク質5(IGFBP5、50ng/cm)、上皮増殖因子(EGF、15ng/cm)、アデニン(180μM)、コレラ毒素(0.1μg/mL)、L−グルタミン(2mM)、ヒドロコルチゾン(0.4μg/mL)、および非必須アミノ酸類(1%v/v)を添加したDMEM/F12培地5mLが含まれる。培養フラスコを、タンパク質複合体が予め吸着しやすくするために、VN(300ng/cm)、IGF−I(100ng/cm)、IGFBP5(500ng/cm)、およびEGF(100ng/cm)で前処理する。新鮮培地を、3日後に加える。6日間の培養後に、3t3細胞をEDTA含有緩衝生理食塩水中でのインキュベーションによって取り除く。残るケラチノサイトを、トリプシン/EDTAでさらにインキュベーションすることによって採
取し、大豆トリプシン阻害剤を含む緩衝生理食塩水で洗浄する。回収した細胞の濃度を、0.2%ヒト血清アルブミンを含む緩衝生理食塩水で2×10個/mLに調製し、手術室に運ぶ。
ケラチノサイト懸濁液の調製および送達
TESSEEL Duo 500(登録商標)を、製造元の指示に従って37℃に静置して融解させる。融解したら、フィブリノゲンおよびトロンビンのシリンジをそれぞれのホルダから取り外し、無菌プラスチック・チューブに分注する。フィブリノゲン成分は、注射用無菌水で1:1に希釈してから患者細胞懸濁液ストック(第2段階で調製したように細胞2×10個/mL)でさらに1:4に希釈する。トロンビン成分は、注射用無菌水で1:0.25(すなわち4:1)に希釈する。希釈処理した各成分(フィブリノゲン+細胞およびトロンビン)の等容量を別個の1mLシリンジに装填し、Duploject(登録商標)噴霧ノズルを介してTISSOMATに装着する。適用時には、2本のシリンジが均等に圧縮され、さらに各成分が1:1の混合物となる。このように、噴霧産物中の最終濃度は、細胞が0.8×10個/mL、トロンビンが170IU/mL、フィブリノゲンが4.7mg/mLとなる。混合液約0.5mLを、10cmの高さから138kPa(20psi)で連続的に各20cmの分層創傷に送達する。従って、適用される細胞の平均播種密度は0.2×10個/cmである。各噴霧の高さおよび間隔は、手の幅(高さ)および3指を合わせた幅(間隔)を使用して概算される。処置される創傷は、日常的な自家分層皮膚移植(火傷の治療や痙縮解除処置)を実施する過程で生じるものである。各創傷のおよそ半分を、噴霧時に無菌マスクで覆って非処置対照とする。2つのドナー部位を使用するとよい。すなわち、1つは処置用、1つは非処置用である。細胞懸濁液を適用する前後に、各創傷を写真撮影する。処置した創傷をOpsite(登録商標)シリコン被覆材で覆う。
術後の臨床上の注意および評価は、従来のプロトコールに従って行われる。
[ORS由来細胞の増殖および遊走]
外毛根鞘(ORS)初代培養細胞は、同意を得た糖尿病患者の頭皮から採取された成長相の毛嚢に由来するものとし、リマトおよびフンツィカー(Limat&Hunziker)、2002、Cells Tissues Organs、第172巻、p.79〜85および国際公開第01/59442号パンフレットによって記載された方法を使用して培養する。細胞は、事前に形成した分裂終了ヒト皮膚線維芽細胞フィーダー層およびウシ胎児血清添加培地を使用して、皮膚由来のケラチノサイトについて前述したように、ex vivoで増殖させる。培養物を、最大継代数を3としてほぼコンフルエントな状態で維持し、単離タンパク質複合体存在下での細胞増殖の形態学的かつ機能的評価を、血清およびフィーダー細胞の非存在下で検討する。
皮膚由来ケラチノサイトの増殖のために至適であると評価された特定の複合体について試験する。
ex vivoで増殖させたORS由来ケラチノサイト前駆細胞が、単離タンパク質複合体存在下で増殖かつ遊走することが実証されたため、次に、成長相のORSからの最初の細胞採取と以後の初代培養とについても、血清およびフィーダー細胞を含まない条件で実施可能かどうかを評価する。よって、成長相の毛嚢のORSを細胞培養インサートの微小孔性膜上に移植し、該膜インサートの下側を分裂終了皮膚線維芽細胞のフィーダー層で被覆するかわりに単離タンパク質複合体で被覆する。細胞を、無血清培地のみ、または患者から採取した自家血清を添加した培地、または単離タンパク質複合体を含む培地で増殖させる。単離タンパク質複合体存在下で増殖させたORS由来細胞の増殖速度を、従来の方法を使用してインサート上で増殖させた細胞と比較する。
また、リマトおよびフンツィカー(Limat&Hunziker)、2002、前掲によって記載されているようにして細胞を空気に曝すことにより上皮相当物を調製し、組織学的、超微細構造学的(例えば底部の膜様構造、ケラトヒアリン顆粒、ケラチノゾーム)および免疫組織化学的(例えばケラチン、インテグリン、gp80、インボルクリン、フィラグリン)な基準を使用して特性を明らかにする。成功すれば、この増殖因子+VN技術によるORS由来前駆細胞の使用は、製造コストを顕著に低減させるだけでなく、安全性を促進し、したがって細胞を基盤とする治療法の認可に伴う規制上の問題が迅速に処理されることになろう。
[精製ビトロネクチンの調製]
患者血液から精製された自家ビトロネクチン(通常は血液中に0.4mg/mLで存在する)を、ex vivoにおける患者自身のケラチノサイトの増殖を支持するために使用する。本発明者らは、ビトロネクチンに対して作製されたモノクローナル抗体でありヒト血清からのビトロネクチンの精製における使用に成功している抗体(アンダーウッド(Underwood)ら、2001、J Immunol Method.、第247巻、p.217〜24)について検討する。検討用に選択したモノクローナル抗体を、血清からのVNの精製について記載された方法と同様の方法を使用して、精製用マトリクス支持体に連結させる。この段階で、本発明者らは、1mの患者の細胞を培養するためには0.25mgのVNが必要であると推測するが、この量は20mLの患者血液から容易に得られるはずである。アンダーウッド(Underwood)ら、2001、前掲による精製方法を、最小限の操作および簡便性に力点をおいて改変するが、理想的には2〜3回の洗浄ステップだけで済む使い捨てのアフィニティ精製マトリクスを開発することが目的である。VNは患者自身に由来するため、得られたVNが依然として効果的に細胞増殖を促進可能であるなら、純粋なVNである必要性は低減される。したがって、開発されたプロトコールを使用して精製されたVNを、ケラチノサイトの増殖を促進する有効性について評価するとともに、SDS−PAGE、N末端タンパク質配列決定、静電噴霧質量分析法、ならびにIGFおよびIGFBPの結合といった標準的生化学的分析を通して評価し、またプロメガ(株)(Promega Pty.Ltd.)から購入したVNと比較する。
明細書全体にわたって、本発明をいずれの1実施形態、特定の特徴の集合体にも限定することなく、本発明の好ましい実施形態を記載することを目的としてきた。したがって本明細書の開示を考慮して、本発明の範囲から逸脱することなく、例示された特定の実施形態を様々に改変および変更できることは当業者には理解されよう。
本明細書で参照した全てのコンピュータ・プログラム、アルゴリズム、特許文献、および学術文献は、参照により本願明細書に援用される。
血清の非存在下における、単離タンパク質複合体およびフィーダー細胞の存在下でのケラチノサイトの増殖を示す図。ウシ胎児血清および3t3細胞のいずれも存在する従来の方法と比較した、新鮮な単離ケラチノサイトのVitroGro(登録商標)(+3t3細胞)存在下での平均的な増殖を示している。P0、P1、およびP2は、細胞を回収して再び播種した回数に相当する(P0=皮膚試料から単離した直後の細胞の能力)。増殖中の細胞によって着色物質へと変換されるMTTを用いた染色によりデータを取得した。異なるドナー組織間の変動が大きいため、エラー・バーは示していない。 血清の非存在下において、単離タンパク質複合体およびフィーダー細胞の存在下で増殖させた後のケラチノサイトの形態を示す図。細胞は、ウシ胎児血清およびマウス3t3細胞の存在下で3週間(A)、またはVitroGro(B;ビトロネクチン、IGFBP5、およびIGF−I)およびマウス3t3細胞の存在下で血清の非存在下にて3週間、増殖させた。スケール・バーは約200マイクロメートル(μm)である。 IGFBP3またはIGFBP5を含む単離タンパク質複合体の相対的活性を示す図。対照=10%ウシ胎児血清を添加した標準的なケラチノサイト増殖培地。VitroGro3=ビトロネクチン、IGFBP3、およびIGF−I(無血清)。VitroGro5=ビトロネクチン、IGFBP5、およびIGF−I(無血清)。全ての培養物を、ガンマ線照射したマウス3t3細胞存在下で増殖させた。 IGFタンパク質複合体が、ex vivoでのケラチノサイトの増殖を支持することを示す図。IGFタンパク質複合体上に播種したヒト成人皮膚由来ケラチノサイトは生き残り、ウシ胎児血清の存在下で照射処理したマウス3t3細胞上に播種された細胞に匹敵する速度で増殖する。細胞増殖は、(a)培養物の形態/集密度(コンフルエンス)の視認検査、および(b)MTTアッセイによる定量化によって観察した。(a)左から右へ、フィーダー層+ウシ血清、対照、IGF−I+IGFBP5+VN(フィーダー層も血清も含まない)、(b)左から右へ、グリーン培地+フィーダー層+ウシ血清、グリーン培地+フィーダー層のみ、インスリンを含まないグリーン培地+IGF−I+IGFBP3+VN、インスリンを含まないグリーン培地+IGF−I+IGFBP5+VN。VNは、300ng/ウェルである。IGF−IやIGF−IIは100ng/ウェル、かつIGFBP類は300ng/ウェルである。 その他の増殖因子を加えたIGFタンパク質複合体が、ケラチノサイト培養物の増殖をさらに促進することを示す図。ヒト成人皮膚由来のケラチノサイトを、IGFタンパク質複合体+上皮増殖因子(EGF)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を用いて培養し、[H]ロイシンの取り込みによってタンパク質合成について検査した。IGF−I、IGFBP5およびVNの3量体複合体、またはIGF−IIおよびVNタンパク質の2量体複合体について播種した細胞は、規定ケラチノサイト培地(DKM、インビトロジェン)に匹敵する速度で増殖する。さらにEGF(100ng/ウェル)およびbFGF(100ng/ウェル)が加わったIGFタンパク質複合体は、DKMと比較して、タンパク質合成を有意に促進した(p<0.05)。IGF−IやIGF−IIは、100ng/ウェルであり、VNは300ng/ウェル、およびIGFBP類は300ng/ウェルである。 ケラチノサイト生存率に対するTISSOMAT(登録商標)の作用を示す図。ケラチノサイトをコラーゲンコーティングした直径150mmの培養ディッシュに噴霧播種した後の、細胞の分布および増殖を示す。噴霧領域の被覆に必要な細胞数を測定するために、細胞を2つの異なる濃度で噴霧した。噴霧に使用した培養物は、対照(血清含有)またはIGFBP3およびIGF−Iが共存するビトロネクチン(VitroGro)のいずれかで元々培養したものとした。全ての培養物を、3t3細胞存在下で調製した。次に、培養物を、コラーゲンコーティングプレート上で血清存在下にて7日間増殖(創傷部位に送達した後の条件を模倣して設定)させた後に、クリスタル・バイオレットで染色した。噴霧量は0.2mL、噴霧圧138kPa(20psi)、高さ=10cmとした。 ケラチノサイト生存率に対するTISSOMATの作用を示す図。培養物を、血清を添加した従来の培養培地を使用して確立した。(A)トリパン・ブルー排除試験を、捕集チューブ中に細胞を噴霧した後、数分以内に実施した。生細胞は該色素に対する透過性がない。(B)MTT変換データは、細胞噴霧後24時間の代謝活性を示す、生存率の指標である。

Claims (33)

  1. (i)IGF−IおよびIGF−IIから選択された少なくとも1種類のIGFを含むことと、
    (ii)血清を含まないか、または前記少なくとも1種類のIGFの非存在下では細胞増殖を支持しないと思われる量の血清を含むことと
    を特徴とする哺乳動物細胞培養培地。
  2. 血清を含まないか、または血清の濃度が1%(v/v)以下である、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  3. 血清の濃度が0.5%(v/v)以下である、請求項2に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  4. 血清の濃度が0.1%(v/v)以下である、請求項3に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  5. 血清を含まないことを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  6. 前記IGFがIGF−IIである、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  7. 前記IGFがIGF−Iである、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  8. IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP4、IGFBP5、およびIGFBP6からなる群から選択されたIGFBPをさらに含む、請求項7に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  9. 前記IGFBPが、IGFBP3およびIGFBP5からなる群から選択される、請求項8に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  10. 前記IGFBPがIGFBP5である、請求項9に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  11. ビトロネクチン(VN)またはその断片をさらに含む、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  12. 前記VN断片がヘパリン結合性ドメイン(HBD)を含まない、請求項11に記載の哺乳動物細胞培養システム。
  13. 前記VN断片がポリアニオン領域を含む、請求項12に記載の哺乳動物細胞培養システム。
  14. 前記VN断片が、αβインテグリンまたはαβインテグリンから選択されるインテグリン受容体に結合することができる、請求項13に記載の哺乳動物細胞培養システム。
  15. ビトロネクチン(VN)が精製された自己ビトロネクチン(VN)である、請求項11に記載の哺乳動物細胞培養システム。
  16. IGF−I、IGFBP、およびビトロネクチンを単離型タンパク質複合体の形で含む、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  17. IGF−IIおよびビトロネクチンを単離型タンパク質複合体の形で含む、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  18. 前記単離型タンパク質複合体が合成キメラタンパク質である、請求項6または請求項17に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  19. EGFおよびbFGFのうち少なくともいずれかをさらに含む、請求項1に記載の哺乳動物細胞培養培地。
  20. 培養容器と、請求項1〜19のいずれか1項に記載の哺乳動物細胞培養培地とからなる哺乳動物細胞システム。
  21. ビトロネクチンおよびフィブロネクチンのうち少なくともいずれか、またはこれらの断片が、固定、結合、またはその他の方法で前記培養容器に結び付いている、請求項20に記載の哺乳動物細胞培養システム。
  22. 請求項20または請求項21に記載の哺乳動物細胞培養システムで1または複数の細胞を培養する工程を含む細胞培養方法。
  23. 培養期間のうち少なくとも一部の期間はフィーダー細胞が存在しない、請求項22に記載の方法。
  24. 前記1または複数の細胞が上皮細胞である、請求項22に記載の方法。
  25. 前記1または複数の細胞がケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記1または複数の細胞が角膜細胞である、請求項24に記載の方法。
  27. 請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法に従って培養した1または複数のケラチノサイトと、薬剤として許容可能な担体、希釈剤、もしくは賦形剤とを含んでなる、ケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞をエアロゾル送達するための薬剤組成物。
  28. 噴射剤をさらに含んでなる、請求項27に記載の薬剤組成物。
  29. フィブリン糊をさらに含んでなる、請求項28に記載の薬剤組成物。
  30. IGF−IおよびIGF−IIから選択された少なくとも1種類のIGFをさらに含んでなる、請求項29に記載の薬剤組成物。
  31. IGF−IおよびIGF−IIのうち少なくともいずれかが単離型タンパク質複合体中に存在する、請求項29に記載の薬剤組成物。
  32. 個体の皮膚に請求項27〜31のいずれか1項に記載の薬剤組成物を噴霧して、皮膚の再生を促進する工程を含む、in situで皮膚を再生させるためのケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞の送達方法。
  33. 前記ケラチノサイトまたはケラチノサイト前駆細胞を増殖させて、in situで再生皮膚を形成させる工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
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