JP2008532550A - 純度が改良された代用皮膚 - Google Patents

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Abstract

本発明は、代用皮膚生成物中に組み入れるための、フィーダー層を用いたインビトロ培養ケラチノサイトおよび幹細胞に関する。特に、本発明は、NIKS細胞を用いて培養代用皮膚を開発するための組成物および方法に関する。

Description

発明の分野
本発明はインビトロ培養代用皮膚に関する。特に、本発明は、培養代用皮膚を開発するための組成物および方法に関する。なお本出願は、その全体が参照により組み入れられる、2005年3月17日に出願した米国仮特許出願第60/662,831号の利益を主張する。
背景
皮膚は人体の最大器官である。皮膚は上皮層および真皮層からなる。上皮は外層であり、より厚い真皮上に位置して真皮から栄養分を受け取っている。これら2層の厚さは、およそ1〜2 mm(0.04〜0.08インチ)である。上皮は、頑丈な保護被膜をもたらす死細胞の外層、および数層の、ケラチノサイトと称される迅速に分裂する細胞からなる。真皮は血管、神経、汗腺、毛包、および脂腺を含む。真皮は主に結合組織からなり、これは主としてタンパク質コラーゲンであり、皮膚に柔軟性を付与しかつ構造支持をもたらしている。コラーゲンを生成する線維芽細胞は、真皮における主要な細胞種である。
皮膚は、体液喪失から身体を保護し、温度調節を助け、また身体に侵入してくる病原細菌またはウイルスを防ぐのに役立つ。熱傷または難治性創傷により広範囲に損傷を受けた皮膚は、患者の健康および福祉を損ない得る。米国では、毎年50,000人を超える人が熱傷治療のために入院し、5,500人の人が死亡している。静脈性潰瘍の150万人および糖尿病性潰瘍の800,000人を含め、およそ400万人の人が難治性創傷に罹患しており、結果として米国では毎年55,000件の切断が行われている。
激しく損傷した皮膚の治療は、真皮が自己修復できないために複雑である。損傷した皮膚を治療する1つの手順は皮膚移植である。最も一般的には、皮膚移植は、皮膚悪性腫瘍を外科切除した後の皮膚の再構成において用いられる。しかしながら皮膚移植片はまた、慢性難治性皮膚潰瘍を覆うため、全層熱傷で失われた組織の代わりとするため、または脱毛症の領域に毛髪を回復させるためにも用いられる。
利用可能な損傷していない皮膚が十分にあり、かつ患者が必要な追加手術を受けるのに十分に健康である場合、移植用の皮膚は患者の身体の別の領域から得ることができ、これは自家移植片と称される。または、皮膚自家移植片は、培養過程によりその人自身のケラチノサイトを用いて作製することができる。培養ケラチノサイトの使用には、最初の小さな皮膚生検試料、ケラチノサイトを培養で増殖させるための約3週間が必要であり、ひとたび外科的に適用された培養上皮層を安定化するために、付加的な生成物の使用を必要とする場合もある。このような生成物は別の人(屍体由来のドナー皮膚が凍結、保存され、使用できるようなっている)または動物(通常はブタ)から得ることができ、それぞれ同種移植片または異種移植片と称される。自家移植片材料が利用できない場合に、同種移植片および異種移植片を直接適用することも可能であるが、これらの生成物は一時的な被覆となるにすぎない。これらは7〜10日以内に患者の免疫系によって拒絶され、自家移植片と置換されねばならない。
激しく損傷した皮膚を培養自家移植片で治療することには欠点がある。天然の皮膚と比較して培養皮膚は、真皮層をもたないために非常に脆弱であり、2、3層の分化不十分な細胞しか存在しないために感染の影響をより受けやすい。培養皮膚自家移植片の使用は高価であり、長期にわたる培養時間を必要とする。加えて、ケラチノサイトのインビトロ増殖を支持するために使用した残存フィーダー層細胞(例えば、マウス由来フィーダー層)が、増殖細胞、細胞株、または細胞由来生成物中で不純物を構成する可能性がある。結果として、培養ケラチノサイトおよびケラチノサイトに基づく生成物中の残存フィーダー層細胞、特に増殖フィーダー層細胞を検出して純度を確実にするための改良された方法および組成物の強い必要性が存在する。
発明の概要
本発明はインビトロ培養代用皮膚に関する。特に、本発明は、培養代用皮膚を開発するための組成物および方法に関する。
したがって本発明は、以下の段階を含む、フィーダー層から回収された細胞を提供する方法を提供する:a) 細胞生成物、フィーダー層細胞、および細胞複製を防ぐ薬剤を提供する段階;b) 細胞複製を防ぐ薬剤でフィーダー層細胞を処理する段階;c) フィーダー層細胞を複製に関して分析する段階;d) 生成物細胞をフィーダー層細胞上で培養する段階;e) 生成物細胞とフィーダー層細胞を分離する段階;F) 生成物細胞をフィーダー層細胞DNAの存在に関して分析する段階。本発明は、任意の特定の種類の生成物細胞の使用に限定されない。実際に、種々の生成物細胞の使用が意図される。いくつかの態様において、生成物細胞は重層化して扁平上皮となり得る。いくつかの態様において、生成物細胞は、初代ケラチノサイトおよび/または不死化ケラチノサイトからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、ケラチノサイトはNIKS細胞である。本発明は、任意の特定のフィーダー層の使用に限定されない。実際に、種々のフィーダー層との使用が意図される。いくつかの態様において、フィーダー層は、ケラチノサイト細胞増殖に必要な増殖因子および細胞外基質分子を提供する。いくつかの態様において、フィーダー層はマウス線維芽細胞である。いくつかの好ましい態様において、マウス線維芽細胞は3T3細胞である。本発明は、細胞複製を防ぐ任意の特定の薬剤の使用に限定されない。実際に、種々のそのような薬剤の使用が意図される。いくつかの好ましい態様において、薬剤はマイトマイシン-Cである。いくつかの好ましい態様において、生成物細胞とフィーダー層細胞を分離する段階は、EDTAにより達成される。いくつかの態様において、フィーダー層細胞を複製に関して分析する段階は、増殖アッセイ法により達成される。いくつかの好ましい態様において、フィーダー層細胞は複製マウス細胞を実質的に含まない。他の好ましい態様において、細胞複製を示すフィーダー層細胞は廃棄する。さらなる他の好ましい態様において、生成物細胞をフィーダー層細胞DNAの存在に関して分析する段階は、マウスDNA PCRアッセイ法により達成される。いくつかの態様において、1.0×104を超えるフィーダー層細胞DNA等価物を含むフィーダー層から回収された生成物細胞は廃棄する。他の態様において、フィーダー層から回収された生成物細胞は、全細胞集団中に約0.015%未満のフィーダー細胞DNA等価物を含む。いくつかの態様において、生成物細胞は幹細胞である。いくつかの態様において、生成物細胞は、哺乳類細胞からなる群より選択される。さらなる態様において、細胞複製を示すフィーダー層細胞は廃棄する。いくつかの態様において、本方法は、皮膚等価物中に生成物細胞を組み入れる段階をさらに含む。いくつかの好ましい態様において、皮膚等価物は残存フィーダー層細胞を実質的に含まない。
いくつかの態様において、本方法は、生成物中に生成物細胞を組み入れる段階をさらに含む。いくつかの好ましい態様において、生成物は残存フィーダー層細胞を実質的に含まない。いくつかの態様において、本発明は、上記の方法に従って生成された細胞を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、フィーダー層とのインビトロ培養に由来する重層ケラチノサイト細胞を含む皮膚等価組成物であって、皮膚等価物が残存フィーダー層細胞を実質的に含まない皮膚等価組成物を提供する。本発明は、ケラチノサイトの任意の特定の供給源に限定されない。実際に、ケラチノサイトの種々の供給源の使用が意図される。いくつかの好ましい態様において、ケラチノサイト細胞はNIKS細胞である。本発明は、任意の特定のフィーダー層の使用に限定されない。実際に、種々のフィーダー層との使用が意図される。いくつかの態様において、フィーダー層は、ケラチノサイト細胞増殖に必要な増殖因子および細胞外基質分子を提供する。いくつかの態様において、フィーダー層はマウス線維芽細胞である。いくつかの好ましい態様において、マウス線維芽細胞は3T3細胞である。本発明は、細胞複製を防ぐ任意の特定の薬剤の使用に限定されない。実際に、種々のそのような薬剤の使用が意図される。いくつかの好ましい態様において、薬剤はマイトマイシン-Cである。いくつかの態様において、皮膚等価物はEDTAを用いてフィーダー層から分離する。さらなる態様において、フィーダー層は複製フィーダー細胞を実質的に含まない。いくつかの好ましい態様において、皮膚等価物は、全細胞集団中に0.015%未満のフィーダー細胞DNA等価物を含む。
定義
本明細書で用いる「皮膚等価物」および「代用皮膚」という用語は、いわゆる器官型培養において重層化して扁平上皮となったケラチノサイトのインビトロ由来培養物を指して互換的に用いられる。
本明細書で用いる「生成物細胞」、「細胞生成物」、または「細胞由来生成物」という用語は、フィーダー層上でインビトロ増殖し得る細胞または細胞株、およびフィーダー層上でインビトロ増殖し得る細胞から作製された生成物を指す。例としては、これらに限定されないが、ケラチノサイト、幹細胞、および合成細胞が挙げられる。
本明細書で用いる「フィーダー層」という用語は、細胞または細胞株のインビトロ増殖を支持するために用いられる複製不活化細胞由来基質を指す。フィーダー層の例には、これらに限定されないが、3T3フィーダー層、マウスフィーダー層、合成フィーダー層、および合成基質が含まれる。
本明細書で用いる「フィーダー層細胞」という用語は、細胞または細胞株のインビトロ増殖を支持するフィーダー層を生成するために用いられる細胞を指す。フィーダー層細胞の例には、これらに限定されないが、3T3線維芽細胞、マウス線維芽細胞、および合成線維芽細胞が含まれる。
本明細書で用いる「培地」または「増殖培地」という用語は、細胞または細胞株のインビトロ増殖を支持するために用いられる液体培地を指す。増殖培地の例には、これらに限定されないが、DME培地、補充培地、および合成増殖培地が含まれる。
本明細書で用いる「真皮等価物」という用語は、コラーゲンおよび線維芽細胞を含むインビトロ由来培養物を指すために用いられる。「真皮等価物」は、器官型培養においてケラチノサイトの分化のための基質となり得ることが意図される。
本明細書で用いる「幹細胞」という用語は、2通り以上の発生運命をたどる能力のある細胞を指す。
本明細書で用いる「増殖因子」という用語は、増殖、分化、またはその他の細胞応答をもたらす細胞内シグナル伝達経路を誘発する、細胞表面に結合する細胞外分子を指す。増殖因子の例には、これらに限定されないが、成長因子I、栄養因子、Ca2+、インスリン、ホルモン、合成分子、薬学的薬剤、およびLDLが含まれる。
本明細書で用いる「気相界面」という用語は、培養皿における空気と液体培地との間の界面を指す。
本明細書で用いる「側壁に実質的に付着している」という用語は、真皮等価物に関して用いる場合、真皮等価物が収縮しているか、または実質的に垂直な壁から離れようとしているのとは対照的に、真皮等価物が実質的に垂直な壁に対して物理的に付着していることを指す。
本明細書で用いる「器官型」培養という用語は、培養細胞を用いて組織または器官をインビトロで再構築する三次元組織培養を指す。
本明細書で用いる「NIKS細胞」という用語は、細胞株ATCC CRL-12191として寄託された細胞の特徴を有する細胞を指す。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチドまたは前駆体(例えば、GKLF)の産生に必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNA)配列を指す。ポリペプチドは全長コード配列によってコードされてもよく、または全長もしくは断片の所望の活性もしくは機能特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達など)が保持される限り、コード配列の任意の部分によってコードされてもよい。この用語には、遺伝子が全長mRNAの長さに対応するように、5'および3'末端においてそれぞれ約1 kbの距離にわたってコード領域に隣接して位置する配列を含めた、構造遺伝子のコード領域もまた含まれる。コード領域の5'側に位置し、かつmRNAに存在する配列を、5'非翻訳配列と称する。コード領域の3'側または下流に位置し、かつmRNAに存在する配列を、3'非翻訳配列と称する。「遺伝子」という用語は、遺伝子のcDNA型およびゲノム型の両方を包含する。遺伝子のゲノム型またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と呼ばれる非コード配列によって分断されるコード領域を含む。イントロンは、核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子の区域である;イントロンは、エンハンサーなどの調節エレメントを含む可能性がある。イントロンは、核転写生成物または一次転写生成物から除去または「スプライシング」される;したがって、イントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写生成物中には存在しない。mRNAは翻訳時に、新生ポリペプチドにおけるアミノ酸の配列または順序を特定する働きをする。
本明細書で用いる「をコードする核酸分子」、「をコードするDNA分子」、および「をコードするDNA」という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序により、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序が決まる。このようにして、DNA配列はアミノ酸配列をコードする。
本明細書で用いる「組換えDNA分子」という用語は、分子生物学的技法によって連結されたDNAの断片からなるDNA分子を指す。
「単離された」という用語は、「単離されたオリゴヌクレオチド」または「単離されたポリヌクレオチド」というように核酸に関して用いる場合、その天然供給源において通常付随している少なくとも1つの混在性の核酸から同定および単離された核酸配列を指す。単離された核酸は、天然に認められるものとは異なる形態または状況で存在する。これに対して、単離されていない核酸とは、天然に存在する状態で認められるDNAおよびRNAなどの核酸である。例えば、所与のDNA配列(例えば、遺伝子)は、宿主細胞の染色体上に近傍の遺伝子に近接して認められる;RNA配列、例えば特定のタンパク質をコードする特定のmRNAなどは、多数のタンパク質をコードする他の多くのmRNAとの混合物として細胞内に認められる。単離された核酸、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖形態で存在してよい。単離された核酸、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドをタンパク質を発現させるために利用する場合、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは少なくともセンス鎖またはコード鎖を含むことになるが(すなわち、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは一本鎖であってよい)、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含んでもよい(すなわち、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは二本鎖であってよい)。
本明細書で用いる「部分」という用語は、(「所与のヌクレオチド配列の部分」というように)ヌクレオチド配列に関連する場合、その配列の断片を指す。断片の大きさは、4ヌクレオチド〜全ヌクレオチド配列マイナス1ヌクレオチド(10ヌクレオチド、20、30、40、50、100、200ヌクレオチドなど)の範囲であってよい。
本明細書で用いる「コード領域」という用語は、構造遺伝子に関して用いる場合、mRNA分子の翻訳の結果として新生ポリペプチド中に認められるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を指す。真核生物では、コード領域の5'側には開始メチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」が結合しており、3'側には停止コドンを特定する3つのトリプレット(すなわち、TAA、TAG、TGA)の1つが結合している。
本明細書で用いる「ベクター」という用語は、DNA断片を一方の細胞から別の細胞に移行させる核酸分子に関して用いられる。「媒体」という用語が「ベクター」と互換的に用いられる場合もある。
本明細書で用いる「発現ベクター」という用語は、所望のコード配列、および機能的に連結されたコード配列の特定の宿主生物における発現に必要な適切な核酸配列を含む組換えDNA分子を指す。原核生物における発現に必要な核酸配列には通常、プロモーター、オペレーター(任意)、およびリボソーム結合部位が、多くの場合は他の配列と共に含まれる。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終結およびポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。
本明細書で用いる「宿主細胞」という用語は、インビトロにあるかまたはインビボにあるかを問わず、任意の真核細胞または原核細胞(例えば、大腸菌(E. coli)などの細菌細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、植物細胞、魚類細胞、および昆虫細胞)を指す。例えば、宿主細胞はトランスジェニック動物内にあってよい。
「過剰発現」および「過剰発現する」という用語ならびに文法的等価物は、対照または非トランスジェニック動物の所与の組織中で典型的に観察される発現レベルの約3倍高い発現レベルを示すmRNAのレベルに関して用いられる。mRNAのレベルは、ノーザンブロット解析を含むがこれに限定されない、当業者に公知の多くの技法のいずれかを用いて測定される。解析する各組織から添加するRNA量の差を調節するために、適切な対照をノーザンブロットに含める(例えば、全組織中に本質的に同量存在する豊富なRNA転写生成物である28S rRNAの、各試料中に存在する量を、ノーザンブロットで観察するmRNA特異的シグナルを規準化または標準化する手段として用いることができる)。正確にスプライシングされた導入遺伝子RNAの大きさに対応するバンド中に存在するmRNAの量を定量化する;導入遺伝子プローブとハイブリダイズする他の微量なRNA種は、導入遺伝子mRNAの発現の定量化には考慮しない。
本明細書で用いる「トランスフェクション」という用語は、外来DNAの真核細胞内への導入を指す。トランスフェクションは、リン酸カルシウム-DNA共沈法、DEAE-デキストランを介したトランスフェクション法、ポリブレンを介したトランスフェクション法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポソーム融合法、リポフェクション法、プロトプラスト融合法、レトロウイルス感染法、および遺伝子銃法を含む、当業者に公知の様々な手段によって達成することができる。
「安定なトランスフェクション」または「安定にトランスフェクションされた」という用語は、トランスフェクションされた細胞のゲノム中への外来DNAの導入および組み込みを指す。「安定なトランスフェクタント」という用語は、外来DNAがゲノムDNA中に安定して組み込まれた細胞を指す。
「一過性トランスフェクション」または「一過性にトランスフェクションされた」という用語は、トランスフェクションされた細胞のゲノム中に外来DNAが組み込まれない、外来DNAの細胞への導入を指す。外来DNAは、トランスフェクションされた細胞の核内に数日間存続する。この間、外来DNAは、染色体内の内因性遺伝子の発現を支配する調節制御を受ける。「一過性トランスフェクタント」という用語は、外来DNAを取り込んだものの、このDNAが組み込まれていない細胞を指す。
「リン酸カルシウム共沈法」という用語は、核酸を細胞内に導入するための1つの技法を指す。細胞による核酸の取り込みは、核酸がリン酸カルシウム-核酸共沈殿として存在する場合に増強される。Grahamおよびvan der Ebの最初の技法(Graham and van der Eb, Virol., 52:456 [1973])が、いくつかのグループにより、条件が特定の細胞種に対して最適化されるように改変されている。これらの多くの改変は当技術分野において公知である。
「試験化合物」という用語は、疾患、疾病、病気、もしくは身体機能の障害を治療もしくは予防するため、または試料の生理的もしくは細胞状態を別の方法で変化させるために用いられ得る任意の化学物質、医用薬剤、薬物などを指す。試験化合物には、公知の治療化合物および潜在的治療化合物の両方が含まれる。本発明のスクリーニング法を用いてスクリーニングすることにより、試験化合物が治療的であると判定することができる。「公知の治療化合物」とは、そのような治療または予防に有効であることが示されている(例えば、動物試験またはヒトに対する過去の投与経験による)治療化合物を指す。
本明細書で用いる「試料」という用語は、その最も広い意味で用いられる。ヒト染色体またはヒト染色体に付随する配列を含む可能性のある試料には、細胞、細胞から単離された染色体(例えば、分裂中期の染色体の展開物)、ゲノムDNA(溶液中の、またはサザンブロット解析用などの固体支持体に結合した)、RNA(溶液中の、またはノーザンブロット解析用などの固体支持体に結合した)、cDNA(溶液中の、または固体支持体に結合した)などが含まれ得る。タンパク質を含む可能性のある試料には、細胞、組織の一部、1つまたは複数のタンパク質を含む抽出物などが含まれ得る。
本明細書で用いる「応答」という用語は、アッセイ法に関して用いる場合、検出可能なシグナルの生成(例えば、レポータータンパク質の蓄積、イオン濃度の上昇、検出可能な化学生成物の蓄積)を指す。
本明細書で用いる「レポーター遺伝子」という用語は、アッセイが可能なタンパク質をコードする遺伝子を指す。レポーター遺伝子の例には、これらに限定されないが、ルシフェラーゼ(例えば、deWet et al., Mol. Cell. Biol. 7:725 [1987]、ならびに米国特許第6,074,859号;第5,976,796号;第5,674,713号;および第5,618,682号を参照されたい;これらはすべて参照により本明細書に組み入れられる)、緑色蛍光タンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号U43284;多くのGFP変種がCLONTECH Laboratories、カリフォルニア州、パロアルトから市販されている)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼが含まれる。
詳細な説明
本発明はインビトロ培養代用皮膚に関する。特に、本発明は、培養代用皮膚を開発するための組成物および方法に関する。
ヒトの皮膚は、細胞外タンパク質基質中に埋め込まれた線維芽細胞を含む真皮層、および分化して最も外側の不透過性皮膚層を形成するケラチノサイトから主になる上皮層から構成される。ヒト皮膚の主な機能は、蒸発による体液の過度の喪失を防ぐため、ならびに化学物質および微生物などの環境障害から身体を防御するための物理的障壁となることである。このバリアー機能は皮膚の角質層に限局している。皮膚のバリアー機能の障害は有害な影響を及ぼし、有毒物質の侵入、感染、または深刻な水分喪失を招く。
皮膚および口腔上皮などの重層扁平上皮は、主としてケラチノサイトからなる多層再生組織である。分化したケラチノサイトは表面から連続して失われ、基底のケラチノサイトの増殖によって置き換えられる。基底細胞がその分化プログラムを開始して完了する速度は厳密に制御されているようであるが、制御の分子的調節はほとんど明確にされていない(Fuchs, J. Cell Sci. Suppl., 17: 197-208 (1993))。インビボでは、最終分化過程の最終段階は、フィラグリンを介したケラチン中間径フィラメント束の形成、および被膜顆粒から細胞間隙への脂質の放出を含む多くの変化によって特徴づけられる(Schurer et al., Dermatologica, 183: 77-94 (1991))。カルシウム依存性トランスグルタミナーゼの作用により共有結合で架橋されたいくつかのタンパク質からなる別の最終分化構造である角化膜も、分化過程のケラチノサイトにおいて形成される(Aeschlimann et al., Thrombosis & Haemostasis, 71(4): 402-15 (1994);Reichert et al., The cornified envelope: a key structure of terminally differentiating keratinocytes, Molecular Biology of the Skin, M. Darmon, Editor. 1993, Academic Press, Inc.: San Diego. 107-150 (1993))。表皮では、ケラチノサイトが細胞内の細胞小器官を失い、組織の上層で脱核して、高張力を有した「死殻(dead shell)」を形成する。ケラチノサイトの脱核および最終分化を支配する分子機構は十分に理解されていない。複数の研究(Sachsenmeier et al., J. Biol. Chem., 271: 5-8 (1996);Hines et al., Promega Notes, 59: p. 30-36 (1996);Hines et al., J. Biol. Chem., 271(11): 6245-6251 (1996);Polakowska et al., Developmental Dynamics, 199(3): 176-88 (1994);Haake et al., J. Invest. Derm. Symp. Proc., 3: 28-35 (1998))により、ケラチノサイトにおける最終分化がアポトーシス細胞死の特殊な形態である可能性が示唆されている。
本発明は、代用皮膚、ならびに代用皮膚を作製するための組成物および方法を提供する。加えて本発明は、複製可能なマウスDNAおよびマウス細胞が残存していない代用皮膚を作製する方法を提供する。便宜上、本発明の説明を以下の項目に分けて示す:A) 代用皮膚を作製するためのケラチノサイトおよび他の細胞の供給源;B) 代用皮膚を作製するための培養条件;およびC) 代用皮膚の用途、ならびにD) フィーダー層細胞を実質的に含まないその他の細胞生成物を生成する方法の使用。
A. 代用皮膚を作製するためのケラチノサイトおよび他の細胞の供給源
本発明の方法を用いて代用皮膚を作製できることが意図される。一般に、本発明においては、重層化して扁平上皮となり得る細胞または細胞株の任意の供給源が有用である。したがって本発明は、扁平上皮に分化し得る細胞のいずれか特定の供給源の使用に限定されない。実際に本発明は、初代ケラチノサイトおよび不死化ケラチノサイトを含む、扁平上皮に分化し得る様々な細胞株および供給源の使用を意図する。細胞の供給源には、ヒトおよび屍体ドナーから生検採取されたケラチノサイトおよび真皮線維芽細胞(Auger et al., In Vitro Cell. Dev. Biol. - Animal 36:96-103;米国特許第5,968,546号および第5,693,332号、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)、新生児包皮(Asbill et al., Pharm. Research 17(9): 1092-97 (2000);Meana et al., Burns 24:621-30 (1998);米国特許第4,485,096号;第6,039,760号;および第5,536,656号、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)、ならびにNM1細胞(Baden, In Vitro Cell. Dev. Biol. 23(3):205-213 (1987))、HaCaT細胞(Boucamp et al., J. cell. Boil. 106:761-771 (1988));およびNIKS細胞(細胞株BC-1-Ep/SL;参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,989,837号;ATCC CRL-12191)などの不死化ケラチノサイト細胞株が含まれる。これらの細胞株はそれぞれ、皮膚等価物を生成する目的で、以下に説明するように培養することができる。
特に好ましい態様においては、NIKS細胞を使用する。新規ヒトケラチノサイト細胞株(二倍体に近い不死化ケラチノサイトまたはNIKS)の発見により、新たなインビトロ試験法のためにヒトケラチノサイトを遺伝子改変する機会が生まれる。NIKS細胞に特有の利点は、遺伝的に均一で病原体を含まないヒトケラチノサイトの一貫した供給源である点である。この理由から、NIKS細胞は、ヒト皮膚により類似した特性を備えた皮膚等価物培養物を得るために、遺伝子工学およびゲノム遺伝子発現のアプローチを適用するのに有用である。このような系により、化合物および製剤の試験のために動物を用いることに代わる重要な代替法が提供されることになる。NIKSケラチノサイト細胞株は、ウィスコンシン大学で同定されて特徴が明らかにされたもので、非腫瘍形成性であり、安定した核型を示し、単層培養および器官型培養のいずれにおいても正常な分化を示す。NIKS細胞は、培養下で完全に重層化した皮膚等価物を形成する。これらの培養物は、これまでに検討したすべての基準において、初代ヒトケラチノサイトから形成された器官型培養物と識別不能である。しかし、初代細胞とは異なり、不死化NIKS細胞は単層培養下で無限に増殖を続けると考えられる。これにより、細胞を遺伝子操作して、新たな有用な特性を備えた細胞の新たなクローンを単離する機会が得られる(Allen-Hoffmann et al., J. Invest. Dermatol., 114(3):444-455 (2000))。
NIKS細胞は、外見上正常な男児から単離されたヒト新生児包皮ケラチノサイトのBC-1-Ep株から生じたものである。初期の継代において、BC-1-Ep細胞は、培養正常ヒトケラチノサイトにとって非定型的である形態的および増殖的な特徴を全く示さなかった。培養BC-1-Ep細胞は重層化を示した上に、プログラム細胞死の特徴も示した。複製寿命を決定するため、BC-1-Ep細胞を標準的なケラチノサイト増殖培地中で3×105個細胞/100 mmディッシュの密度で老化するまで連続して培養し、週に1度の間隔で継代した(約1:25の分割)。継代15代目までに、集団内のほとんどのケラチノサイトは、大きく平らな細胞を示す発育不全コロニーが数多く存在することから判断して老化したと考えられた。しかし継代16代目では、細胞サイズの小さいケラチノサイトが明らかに認められた。継代17代目までには、培養物中には小型のケラチノサイトしか存在しなくなり、大型の老化ケラチノサイトは認められなくなった。この危機的と思われる時期を生き延びた、結果として生じた小型ケラチノサイトの集団は、形態的に均一な外観を示し、細胞間接着および明らかな鱗片生成を含む典型的なケラチノサイトの特徴を呈するケラチノサイトのコロニーを生じた。老化時期を生き延びたケラチノサイトを、3×105細胞/100 mmディッシュの密度で連続して培養した。典型的には、培養物は7日以内に約8×106個細胞の細胞密度に達した。この安定した細胞増殖速度は少なくとも59継代にわたって維持され、このことから細胞が不死性を獲得したことが示された。最初の老化性集団から出現したケラチノサイトは当初、BC-1-Ep/自然発生株と命名されたが、現在ではNIKSと呼ばれている。NIKS細胞株は、PCRまたはサザン解析を用いて、HIV-1、HIV-2、EBV、CMV、HTLV-1、HTLV-2、HBV、HCV、B-19パルボウイルス、HPV-16、およびHPV-31のプロウイルスDNA配列の存在に関してスクリーニングが行われている。これらのウイルスはいずれも検出されなかった。
継代3代目の親BC-1-Ep細胞ならびに継代31代目および54代目のNIKS細胞に対して、染色体解析を行った。親BC-1-Ep細胞は、XYを含め、46本の正常な染色体対すべてを有していた。継代31代目では、すべてのNIKS細胞が47本の染色体を有し、第8染色体の長腕の同腕染色体を余分に有していた。他に大きな染色体異常およびマーカー染色体は検出されなかった。継代54代目では、すべての細胞が第8染色体の同腕染色体を含んでいた。
NIKS細胞株およびBC-1-EpケラチノサイトのDNAフィンガープリントは、解析した12の遺伝子座すべてで同一であり、このことからNIKS細胞が親BC-1-Ep集団から派生したことが示された。NIKS細胞株が親BC-1-EpのDNAフィンガープリントを偶然に有している確率は、4×10-16である。ヒトケラチノサイトの3つの異なる供給源、ED-1-Ep、SCC4、およびSCC13yのDNAフィンガープリントは、BC-1-Epのパターンとは異なっていた。このデータはまた、他のヒトから単離されたケラチノサイト、ED-1-Ep、SCC4、およびSCC13yが、BC-1-Ep細胞とも相互にも関連性のないことを示している。NIKSのDNAフィンガープリントのデータは、NIKS細胞株を同定する明確な手法を提供するものである。
p53機能の喪失は、培養細胞における増殖能の亢進および不死化頻度の増加と関連している。NIKS細胞におけるp53の配列は、公表されているp53配列(GenBankアクセッション番号:M14695)と同一である。ヒトでは、p53は、コドン72のアミノ酸によって識別される2種類の主要な多型として存在する。NIKS細胞におけるp53の両対立遺伝子は野生型であり、コドン72においてアルギニンをコードする配列CGCを有する。p53のもう一方の一般的な形態は、この位置にプロリンを有する。NIKS細胞におけるp53の全配列は、BC-1-Ep前駆細胞と同一である。NIKS細胞では、Rbも野生型であることが判明している。
足場非依存的な増殖は、インビボでの腫瘍形成能と大いに関連がある。このため、寒天またはメチルセルロース含有培地中でのNIKS細胞の足場非依存的な増殖特性を調べた。寒天またはメチルセルロース含有培地中に4週間おいた後も、NIKS細胞は単一細胞のままであった。NIKS細胞の緩徐増殖性変種を検出するため、このアッセイ法を合計8週間にわたって継続したが、全く観察されなかった。
親BC-1-Epケラチノサイトおよび不死化NIKSケラチノサイト細胞株の腫瘍形成能を判定するため、胸腺欠損ヌードマウスの側腹部に細胞を注射した。ヒト扁平上皮癌細胞株SCC4を、これらの動物における腫瘍形成の陽性対照として用いた。試料の注射は、SCC4細胞を動物の片側の側腹部に注射し、親BC-1-EpケラチノサイトまたはNIKS細胞を反対側の側腹部に注射するように計画した。この注射戦略により腫瘍形成に関する動物間の個体差がなくなり、マウスが腫瘍形成細胞の活発な増殖を支持することが確認された。親BC-1-Epケラチノサイト(継代6代目)およびNIKSケラチノサイト(継代35代目)はいずれも、胸腺欠損ヌードマウスにおいて腫瘍を形成しなかった。
NIKS細胞を表面培養および器官型培養における分化能力に関して解析した。表面培養下の細胞に関しては、扁平上皮分化のマーカーである角化膜の形成をモニターした。培養ヒトケラチノサイトでは、角化膜の構築早期にインボルクリン、シスタチン-α、および他のタンパク質から構成される未熟構造の形成が起こり、これが成熟角化膜の内側3分の1を占める。接着性BC-1 Ep細胞またはNIKS細胞株に由来するケラチノサイトのうち角化膜を生成するのは2%未満である。この知見は、活発に増殖しているサブコンフルエントなケラチノサイトのうち、角化膜を生成するのは5%未満であることを示した以前の研究と一致する。NIKS細胞株が分化誘導を受けた場合に角化膜を生成し得るかどうかを判定するため、細胞を表面培養物から採取し、メチルセルロースによって半固体にした培地中で24時間浮遊培養した。ケラチノサイトの細胞間接着および細胞-基層接着の喪失により、ケラチンの差次的発現および角化膜の形成を含む、最終分化の多くの局面をインビトロで誘発することができる。NIKSケラチノサイトは、親ケラチノサイトと同程度、通常はより多くの角化膜を生成した。これらの知見から、NIKSケラチノサイトがこの細胞種に特異的な分化構造の形成を開始する能力を失っていないことが実証される。
NIKSケラチノサイトが扁平上皮分化を起こし得ることを確認するため、細胞を器官型培養で培養した。プラスチック基層上で増殖させて培地中に浸漬したケラチノサイト培養物は、複製するが限定的な分化を示す。具体的には、ヒトケラチノサイトはコンフルエントになり、3層またはそれ以上の層からなるケラチノサイトのシートを生成する限定的な重層化を起こす。光学顕微鏡および電子顕微鏡観察によると、組織培養下で形成される多層シートと完全なヒト皮膚の構造には大きな差がある。これに対して、器官型培養技法により、インビボ様の条件下でケラチノサイトの増殖および分化を行うことが可能になる。具体的には、細胞を、線維性コラーゲン基底内に埋め込まれた真皮線維芽細胞からなる生理的基層に付着させる。器官型培養物は気相培地界面に保つ。このような方法で、上方のシート内の細胞は空気に曝露され、増殖性基底細胞はコラーゲンゲルを通して拡散によって供給される栄養分の勾配に接した状態に保たれる。これらの条件下において、正しい組織構造が形成される。正常に分化している表皮のいくつかの特徴が明らかに認められる。親細胞およびNIKS細胞株のいずれにおいても、表皮と真皮等価物との接合部に単層の立方基底細胞が存在する。形態が円形で核細胞質比が高いことは、ケラチノサイト集団が活発に分裂していることを表す。正常ヒト表皮では、基底細胞が分裂するたびに娘細胞が生じ、娘細胞は上方の分化中の組織層に移動する。娘細胞は大きさを増し、平板化して扁平状になる。最終的にこれらの細胞は脱核し、角化した角質構造を形成する。この正常な分化過程は、親細胞およびNIKS細胞のいずれの上層にも認められる。平板化した扁平上皮細胞の出現がケラチノサイトの上層に認められ、このことから器官型培養物で重層化が起こったことが実証される。器官型培養物の最上部では、脱核した鱗片が培養物の表面から剥落する。今日まで、器官型培養で培養した親ケラチノサイトとNIKSケラチノサイト細胞株との間に、光学顕微鏡レベルでの分化における組織学的相違は認められていない。
親(継代5代目)およびNIKS(継代38代目)器官型培養物のより詳細な特徴を観察するため、ならびに組織学的観察所見を確認するため、電子顕微鏡を用いて試料を解析した。親細胞および不死化ヒトケラチノサイト細胞株NIKSを15日間の器官型培養後に回収し、重層化の程度を示すために基底層に対して垂直に切片を作製した。親細胞およびNIKS細胞株はいずれも器官型培養下で広範な重層化を生じ、正常ヒト表皮に特有の構造を形成する。親細胞およびNIKS細胞株の器官型培養物には、大量のデスモソームが形成される。親細胞および細胞株の基底ケラチノサイト層における基底膜および付随するヘミデスモソームの形成も認められた。ヘミデスモソームはケラチノサイトの基底膜への付着性を高める特殊な構造であり、組織の完全性および強度の維持に役立つ。これらの構造の存在は、親細胞またはNIKS細胞が多孔性支持体に直接付着した領域で特に明白であった。これらの知見は、線維芽細胞を含む多孔性支持体上で培養したヒト包皮ケラチノサイトを用いて以前に得られた超微細構造の知見と一致する。光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルでの解析により、器官型培養におけるNIKS細胞株が重層化し、分化して、正常ヒト表皮に認められるデスモソーム、基底膜、およびヘミデスモソームなどの構造を形成することが実証される。
B. フィーダー層細胞を実質的に含まない皮膚等価物を作製するための培養条件
本発明は、残存フィーダー層細胞を実質的に含まない皮膚等価物を提供する。「実質的に含まない」とは、皮膚等価物が、生成物細胞/フィーダー層細胞基礎において0.001%未満のフィーダー層細胞を含むことを意味する。より好ましくは、皮膚等価物は、生成物細胞/フィーダー層細胞基礎において0.0001%未満のフィーダー層細胞を含む。フィーダー層細胞は、ケラチノサイトおよび幹細胞を含む種々の細胞または細胞株のインビトロ増殖を支持するために用いられる。特に低密度またはクローン密度でいくらかの細胞を培養するためには、培地を馴化するために、培養条件が面倒でない細胞の層を使用することが必要である。多くの場合、フィーダー層の細胞は、増殖できないようにするため照射するかまたは別の方法で処理する。場合によっては、フィーダー層は増殖因子またはサイトカインを産生し得る。フィーダー層は、マウス線維芽細胞に由来する場合が多い。マウスフィーダー層に伴う主要な欠点は、増殖細胞または細胞株中の、残存マウスDNAおよび/またはマウス細胞の複製に関連した不純物である。結果として、そのようなマウスフィーダー層不純物を防ぐことを目的とした方法の必要性が大きい。
本発明は、マウスフィーダー層不純物を回避することを目的とした方法を提供する。特に本発明は、増殖フィーダー層細胞を含まない、マウスフィーダー層上で増殖させた代用皮膚を作製する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明はマウスフィーダー層を使用する。さらなる態様において、本発明はマウス3T3フィーダー層を使用する。さらなる態様において、本発明は3T3フィーダー層を使用する。
増殖を阻害するためにマイトマイシン-Cで処理したマウス3T3線維芽細胞は、インビトロでのヒトケラチノサイトの培養におけるフィーダー層として用いられている(Watt, F. (1998), Cell Biology: A Laboratory Handbook. Vol. 1, 2nd Ed. Academic Press)。加えて、有糸分裂不活化3T3細胞からなるフィーダー層は、上皮細胞の増殖を増強する増殖因子および細胞外基質分子を分泌する。本発明のいくつかの態様においては、細胞複製を防ぐためにフィーダー層を処理する。本発明は、細胞複製を防ぐための任意の特定の種類の薬剤に限定されない。好ましい態様において、本発明ではマイトマイシン-Cを使用する。
特定の態様では、本発明の生成は多段階の培養過程を含むことが意図される。しかしながら、本発明は任意の特定の多段階培養過程に限定されない。好ましい態様において、多段階培養過程は、開始段階、拡大段階、および重層化段階を伴う。いくつかの態様において、これらの段階は一般に液内培養期と称される。
開始段階では、NIKS細胞を複製不活化マウス3T3線維芽細胞上にプレーティングする。いくつかの態様において、NIKS細胞およびマウス3T3線維芽細胞は、開始段階の培養に先立ち凍結保存しておく。いくつかの態様では、1×106〜15×106個の複製不活化3T3細胞を使用する。他の態様では、5×106〜10×106個の複製不活化3T3細胞を使用する。最終的に好ましい態様では、7×106〜8×106個の複製不活化3T3細胞(275 cm2プレート上で約27,300個細胞/cm2)を使用する。いくつかの好ましい態様において、細胞は培地50 ml中で継代し、その後マイトマイシン-C含有培地120 mlで4時間処理する。
いくつかの態様において、開始段階のNIKS細胞増殖を可能にする期間は1週間を上回る。好ましい態様において、NIKS細胞増殖を可能にする期間は1週間またはそれ未満である。加えて、開始段階のフィーダー層上でのNIKS細胞増殖後に、フィーダー層を除去する。いくつかの態様において、フィーダー層は、開始段階のNIKS細胞増殖の単層が生じないうちに除去する。好ましい態様では、フィーダー層は、開始段階のNIKS細胞増殖の単層が生じた後に除去する。
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)処理は、ケラチノサイト共培養物からフィーダー層を選択的に除去するが、それによってNIKS細胞の所与の単層培養期の終了時に、不要なマイトマイシン-C処理複製不活化3T3細胞が除去される。本発明は、特定の開始段階フィーダー層除去剤に限定されない。好ましい態様では、EDTAを開始段階フィーダー層除去剤として使用する。
拡大段階では、開始段階で増殖させたNIKS細胞を複製不活化マウス3T3線維芽細胞上にプレーティングする。好ましい態様において、使用するNIKS細胞は開始段階で作製されたものである。いくつかの拡大段階態様では、15×106〜40×106個の複製不活化3T3細胞を使用する。他の態様では、20×106〜25×106個の複製不活化3T3細胞を使用する。最終的に好ましい態様では、24×106〜26×106個の複製不活化3T3細胞(1125 cm2プレート上で約22,700個細胞/cm2)を使用する。
いくつかの態様において、NIKS細胞増殖を可能にする期間は1週間を上回る。好ましい態様において、NIKS細胞増殖を可能にする時間は1週間またはそれ未満である。加えて、フィーダー層上でのNIKS細胞増殖後にフィーダー層を除去する。いくつかの態様において、フィーダー層は、拡大段階のNIKS細胞増殖の単層が生じないうちに除去する。好ましい態様では、フィーダー層は、拡大段階のNIKS細胞増殖の単層が生じた後に除去する。本発明は、特定の拡大段階フィーダー層除去剤に限定されない。好ましい態様では、EDTAを拡大段階フィーダー層除去剤として使用する。
重層化段階では、NIKS細胞を真皮等価物上にプレーティングする。好ましい態様において、NIKS細胞は拡大段階で作製されたものである。本発明は特定の種類の真皮等価物に限定されない。好ましい態様において、真皮等価物は対象組織(例えば、ウマ、ヒト、ネコ、イヌなど)である。他の態様において、真皮等価物は合成組織であってよい。加えていくつかの態様において、重層化段階増殖を可能にする期間は2週間未満である。好ましい態様において、重層化段階NIKS細胞増殖を可能にする期間は少なくとも2週間である。
本発明では、少数のマイトマイシン-C処理複製不活化3T3細胞が、EDTA処理後に残存する可能性があると考える。したがって、いくつかの態様においては、NIKS細胞を分析して、NIKS細胞増殖物中に存在するマウスDNAの量を決定する。許容されるマウスDNA量を超えた量を有するNIKS細胞調製物は、重層化にも、および重層化がすでに起こった場合にはさらなる処理にも使用しない。マウスDNAアッセイ法は、開始段階、拡大段階、および/または重層化段階の終了時に行い得る。好ましい態様では、マウスDNAアッセイ法は開始、拡大、および重層化段階の終了時に(すなわち、浸漬段階の終了時に)行う。いくつかの態様において、完成NIKS細胞生成物中に存在する許容されるマウスDNA量は、5×104マウス細胞DNA等価物/NIKS細胞用量未満である。マウス細胞DNA等価物とは、一倍体染色体セット当たりのマウス細胞特異的DNAの量である。NIKS細胞用量とは、完成NIKS細胞生成物の44.2 cm2試料である。好ましい態様において、完成NIKS細胞生成物中に存在する許容されるマウスDNA量は、1.45×104マウス細胞DNA等価物/NIKS細胞用量未満である。加えて、マウス細胞は全細胞集団の0.015%以下を構成し得る。表1は、許容される3T3細胞限界の種々の計算を要約したものである。
(表1)許容される3T3細胞限界の計算
値は、ロット引き渡し試験法「マウスDNAに関するStrataGraft(商標)の評価」限界、加えて検出されたマウスDNAの歴史的レベルおよび一細胞DNA等価物以下の理論的検出の計算を表す。
Figure 2008532550
複製可能なフィーダー層細胞を検出するために、本発明では別のスクリーニング法を用いることもできる。実際に、本発明の1つの目的は、最終バッチ中の許容可能な各3T3細胞が複製不活化されており、増殖できないことを保証することにある。3T3線維芽細胞の複製能力がマイトマイシン-C処理によって完全に排除さていることを保証するために、マイトマイシン-C処理3T3細胞の各バッチを増殖アッセイ法により評価することができる。試験法では、マイトマイシン-C処理3T3細胞を3T3増殖の任意の証拠に関して試験する。好ましい態様において、本発明の生成における使用に適していると見なされるマイトマイシン-C処理3T3細胞に必要な基準は、3T3増殖ゼロである。いくつかの態様においては、増殖検出法を用いて任意のフィーダー層をスクリーニングする。他の態様では、増殖検出法を用いて3T3フィーダー層をスクリーニングしてから、開始段階および/または拡大段階に使用する。好ましい態様では、増殖検出方法を用いて3T3フィーダー層をスクリーニングしてから、開始段階および拡大段階の両方に使用する。
増殖アッセイ法およびマウスDNAアッセイ試験法は、生成過程の様々な時点で組み込まれ、相互に補足し合う。これら2つの方法を併用することで、最終代用皮膚生成物中に複製能力のある3T3細胞が存在する可能性が評価されて、効率的に排除される。マウスDNAアッセイ法は、最終代用皮膚組織中に許容される、細胞DNA等価物として表わされる3T3 DNAの全量を限定し、増殖アッセイ法は、存在する無傷の3T3細胞が複製およびその後の増殖が全くできないことを保証する。細胞培養および培養細胞生成物の生成過程におけるフィーダー層の使用に関連した不純物は、当技術分野における主要な問題である。マウスDNAアッセイ法および増殖アッセイ法でスクリーニングしたフィーダー層上で増殖させた、ケラチノサイトまたは幹細胞などの生成物細胞は、残存フィーダー層細胞および結果として生じる任意の不純物を実質的に含まない。好ましい態様では、マウスDNAアッセイ法および増殖アッセイ法を本発明の生成において使用する。
C. 代用皮膚の用途
本発明の代用皮膚が様々な用途を有することが意図される。これらの用途には、これらに限定されないが、化合物(例えば、刺激物)をスクリーニングするための使用、腫瘍および病原体(例えば、ヒトパピローマウイルス)を培養するための基質、ならびに創傷閉鎖および熱傷治療のための使用が含まれる。これらの用途について以下にさらに詳述する。
1. 化合物をスクリーニングするための使用
本発明の皮膚等価物は、様々なインビトロ試験に用いることができる。特に、皮膚等価物は以下の評価に用いられる:スキンケア製品、薬物代謝、試験化合物に対する細胞応答、創傷治癒、光毒性、皮膚刺激性、皮膚炎症、皮膚腐食性、および細胞障害。皮膚等価物は、6ウェル、24ウェル、および96ウェルプレートを含むがこれらに限定されない様々な試験用形式で提供される。さらに、皮膚等価物を標準的な切離法によって分割した後に検査することもできる。本発明の皮膚等価物は、分化した角質層を有する上皮層および真皮線維芽細胞を含む真皮層の両方を有する。上記の通り、特に好ましい態様において、上皮層は不死化NIKS細胞に由来する。NIKS細胞を含む他の好ましい細胞株は、i) 不死化していること;ii) 非腫瘍形成性であること;iii) 分化を誘導すると角化膜を形成すること;iv) 器官型培養下で正常な扁平上皮分化を起こすこと;およびv) 細胞種特異的な増殖基準を液内培養下で維持することを特徴とし、この際、前記の細胞種特異的な増殖基準には、1) 標準的なケラチノサイト増殖培地中でマイトマイシン-C処理した3T3フィーダー細胞の存在下で培養した際に、正常ヒトケラチノサイトの形態的特徴を示すこと;2) 連続培養のために上皮増殖因子に依存すること;および3) トランスフォーミング増殖因子β1による増殖阻害が含まれる。
本発明は、様々なスクリーニングアッセイ法を包含する。いくつかの態様において、スクリーニング法は、本発明の皮膚等価物および少なくとも1つの試験化合物または製品(例えば、保湿剤、化粧品、染料、または香水などのスキンケア製品;製品はクリーム、ローション、液体、およびスプレーを含むがこれらに限定されない任意の形態であってよい)を提供する段階、製品または試験化合物を皮膚等価物に適用する段階、および皮膚等価物に対する製品または試験化合物の影響を分析する段階を含む。皮膚等価物に対する製品または試験化合物の影響を判定するには、多種多様なアッセイ法が用いられる。これらのアッセイ法には、これらに限定されないが、MTT細胞毒性アッセイ法(Gay, The Living Skin Equivalent as an In Vitro Model for Ranking the Toxic Potential of Dermal Irritants, Toxic. In Vitro (1992))、ならびに炎症モジュレーター(例えば、プロスタグランジンE2、プロスタサイクリン、およびインターロイキン-1α)および化学誘引物質の放出を分析するためのELISA法が含まれる。アッセイ法はさらに、化合物または製品の毒性、効力、または有効性を対象としてもよい。さらに、増殖、バリアー機能、または組織強度に対する化合物または製品の影響を試験することもできる。
特に、本発明は、コンビナトリアルライブラリー(例えば、104個を超える化合物を含むライブラリー)から化合物をハイスループットスクリーニングするための皮膚等価物の使用を意図する。いくつかの態様では、細胞表面受容体の活性化後のシグナル伝達をモニターする二次メッセンジャーアッセイ法に細胞を用いる。他の態様では、細胞応答を転写/翻訳レベルでモニターするレポーター遺伝子アッセイ法に細胞を用いることができる。さらなる態様では、細胞を細胞増殖アッセイ法において使用し、外部刺激に対する細胞の全体的な増殖/非増殖応答をモニターすることもできる。
二次メッセンジャーアッセイ法では、皮膚等価物を1つまたは複数の化合物(例えば、コンビナトリアルライブラリー由来)で処理し、二次メッセンジャー応答の有無について分析する。いくつかの好ましい態様では、皮膚等価物を作製するために用いる細胞(例えば、NIKS細胞)に、組換え細胞表面受容体、イオンチャネル、電位依存性チャネル、またはシグナル伝達カスケードに関与する関心対象のいくつかの他のタンパク質をコードする発現ベクターをトランスフェクションする。コンビナトリアルライブラリー中の少なくともいくつかの化合物が、ベクターによってコードされる1つまたは複数のタンパク質のアゴニスト、アンタゴニスト、活性化物質、または阻害物質として作用し得ることが意図される。コンビナトリアルライブラリー中の少なくともいくつかの化合物が、シグナル伝達経路においてベクターによってコードされるタンパク質の上流または下流で働くタンパク質のアゴニスト、アンタゴニスト、活性化物質、または阻害物質として作用し得ることも意図される。
いくつかの態様において、二次メッセンジャーアッセイ法では、膜受容体およびイオンチャネル(例えば、リガンド依存性イオンチャネル)の刺激に起因する細胞内変化(例えば、Ca2+濃度、膜電位、pH、IP3、cAMP、アラキドン酸放出)に応答するレポーター分子からの蛍光シグナルを測定する(Denyer et al., Drug Discov. Today 3:323-32 (1998); Gonzales et al., Drug Discov. Today 4:431-39 (1999))。レポーター分子の例には、これらに限定されないが、蛍光共鳴エネルギー移動系(例えば、Cuo-脂質およびオキソノール、EDAN/DABCYL)、カルシウム感受性指標(例えば、Fluo-3、FURA 2、INDO 1、およびFLUO3/AM、BAPTA AM)、塩素感受性指標(例えば、SPQ、SPA)、カリウム感受性指標(例えば、PBFI)、ナトリウム感受性指標(例えば、SBFI)、およびpH感受性指標(例えば、BCECF)が含まれる。
一般に、皮膚等価物を含む細胞に指標を添加してから、化合物に曝露する。化合物による処理に対する宿主細胞の応答は、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、フローサイトメトリー、微量流体装置、FLIPRシステム(Schroeder and Neagle., J. Biomol. Screening 1:75-80 (1996))、およびプレート読み取りシステムを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の方法によって検出することができる。いくつかの好ましい態様では、活性が未知の化合物によって生じた応答(例えば、蛍光強度の増加)を公知のアゴニストによって生じた応答と比較し、公知アゴニストの最大反応の割合として表す。公知アゴニストによって生じる最大反応を100%応答と定義する。同様に、公知のアンタゴニストまたは試験アンタゴニストを含む試料にアゴニストを添加した後に記録される最大応答は、検出可能な程度に100%応答よりも低い。
本発明の皮膚等価物は、レポーター遺伝子アッセイ法においても有用である。レポーター遺伝子アッセイ法は、レポーター遺伝子のコード配列に結合させた標的遺伝子(すなわち、疾患標的または炎症反応の生物学的発現および機能を調節する遺伝子)の転写調節エレメントを含む核酸をコードするベクターをトランスフェクションした宿主細胞の使用を含む。このため、標的遺伝子の活性化によりレポーター遺伝子生成物の活性化が起こる。これは、炎症反応などの応答の指標となる。そのためいくつかの態様では、レポーター遺伝子構築物は、レポーター遺伝子に機能的に連結させた、皮膚の炎症もしくは刺激によって誘導される遺伝子、または炎症もしくは刺激に応答して産生される化合物(例えば、プロスタグランジンまたはプロスタサイクリン)の合成に関与するタンパク質の5'調節領域(例えば、プロモーター/エンハンサー)を含む。本発明に用いられるレポーター遺伝子の例には、これらに限定されないが、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、ホタルおよび細菌のルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ラクタマーゼ、ならびに緑色蛍光タンパク質が含まれる。これらのタンパク質の産生は、緑色、赤色、黄色、または青色蛍光タンパク質を例外として、特異的基質(例えば、X-galおよびルシフェリン)の化学発光、比色、または生物発光生成物を用いて検出される。活性が公知の化合物と未知の化合物との比較は、上記の通りに行うことができる。
他の好ましい態様において、皮膚等価物は、皮膚を介した薬物導入の効率または皮膚を標的とする薬物の影響をスクリーニングするために用いられる。これらの態様では、皮膚等価物を薬物送達システムまたは薬物によって処理し、皮膚等価物への薬物の浸透、透過、または残留を分析する。薬物の浸透を分析する方法は、Asbill et al., Pharm Res. 17(9): 1092-97 (2000)に提示されている。いくつかの態様においては、皮膚等価物を改変フランツ拡散セルの最上部に装着する。皮膚等価物を1時間水和した後、プロピレングリコールで1時間前処理する。次に、モデル薬物のプロピレングリコール中の飽和懸濁液を皮膚等価物に添加する。次いで、皮膚等価物を所定の間隔で試料採取する。続いて、皮膚等価物をHPLCにより解析して、試料中の薬物濃度を測定する。ACDプログラム(Advanced Chemistry Inc., カナダ、オンタリオ州)を用いて、薬物の対数P値を決定することができる。これらの方法を適合化して、経皮パッチまたは他の送達様式を介した薬物の送達を試験することも可能である。
さらなる好ましい態様では、まだ分化を起こしていない播種された真皮等価物は、播種されたケラチノサイトの分化を阻害する、促進する、またはその他の方法で影響を及ぼす化合物のアッセイ法に用いられる。
2. 腫瘍および病原体を培養するための基質
本発明の皮膚等価物が、皮膚に自然に生じる腫瘍の培養および試験ならびに皮膚を冒す病原体の培養および試験にも有用であることが意図される。したがって、いくつかの態様においては、本発明の皮膚等価物に悪性細胞を播種することが意図される。非限定的な例として、皮膚等価物に、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,989,837号に記載されている悪性SCC13y細胞を播種して、ヒト扁平上皮癌のモデルを得ることができる。次に、これらの播種された皮膚等価物を用いて、化合物または他の処理戦略(例えば、放射線療法またはトモセラピー)を、自然環境にある腫瘍に対する有効性についてスクリーニングすることができる。したがって、本発明のいくつかの態様は、悪性細胞または腫瘍を含む皮膚等価物および少なくとも1つの試験化合物を提供する段階、皮膚等価物を化合物で処理する段階、ならびに悪性細胞または腫瘍に対する処理の効果を分析する段階を含む方法を提供する。本発明の他の態様においては、悪性細胞または腫瘍を含む皮膚等価物および少なくとも1つの試験療法(例えば、放射線療法または光線療法)を提供する段階、皮膚等価物を療法で処理する段階、ならびに悪性細胞または腫瘍に対する療法の効果を分析する段階を含む方法を提供する。
他の態様においては、皮膚等価物を、皮膚病原体を培養および試験するために用いる。非限定的な例として、皮膚等価物にHPV18などのヒトパピローマウイルス(HPV)を感染させる。HPVに感染した皮膚等価物を調製する方法は、米国特許第5,994,115号に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。したがって、本発明のいくつかの態様は、関心対照の病原体に感染した皮膚等価物および少なくとも1つの試験化合物または試験治療を提供する段階、ならびに試験化合物または試験治療で皮膚等価物を処理する段階を含む方法を提供する。いくつかの好ましい態様において、本方法は、病原体に対する試験化合物または試験治療の効果を分析する段階をさらに含む。そのようなアッセイ法は、処理後の皮膚等価物中の病原体の有無または量を分析することにより行うことができる。例えば、ELISAを行って病原体を検出または定量化することができる。いくつかの特に好ましい態様において、病原体はHPV等のウイルス病原体である。
3. 創傷閉鎖および熱傷治療
本発明の皮膚等価物は、創傷閉鎖および熱傷治療の用途に用いられる。熱傷治療および創傷閉鎖への自家移植片および同種移植片の使用は、Myers et al., A. J. Surg. 170(1):75-83 (1995)、ならびに米国特許第5,693,332号;第5,658,331号;および第6,039,760号に記載されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様においては、皮膚等価物をDERMAGRAFTなどの代用真皮と共に用いることができる。他の態様においては、ケラチノサイトの標準的な供給源(例えば、NIKS細胞)および移植片を受け取る患者由来のケラチノサイトの両方を用いて、皮膚等価物を生成する。そのため、皮膚等価物は2つの異なる供給源に由来するケラチノサイトを含む。さらなる態様において、皮膚等価物はヒト組織分離株に由来するケラチノサイトを含む。したがって、本発明は、本発明による皮膚等価物および創傷に罹患した患者を提供する段階、ならびに創傷が閉鎖される条件下で患者を皮膚等価物によって治療する段階を含む、熱傷によって生じた創傷を含む創傷閉鎖の方法を提供する。
4. 遺伝子治療
さらなる態様においては、皮膚等価物を操作して対象に治療薬を提供する。本発明は、任意の特定の治療薬の送達に限定されない。実際に、酵素、ペプチド、ペプチドホルモン、他のタンパク質、リボソームRNA、リボザイム、およびアンチセンスRNAを含むがこれらに限定されない種々の治療薬を対象に送達し得ることが意図される。これらの治療薬は、遺伝的欠陥を修正する目的を含むがこれらに限定されない種々の目的で送達することができる。いくつかの特に好ましい態様においては、移植片が野生型組織として役立つような遺伝性先天性代謝異常(例えば、アミノ酸代謝異常症)の患者を解毒する目的で、治療薬を送達する。治療薬の送達によって欠陥が修正されることが意図される。いくつかの態様においては、皮膚等価物の形成に用いるケラチノサイトに、治療薬(例えば、インスリン、凝固第IX因子、エリスロポエチンなど)をコードするDNA構築物をトランスフェクションし、皮膚等価物を対象に移植する。次いで、治療薬が移植片から患者の血流または他の組織に送達される。好ましい態様においては、治療薬をコードする核酸を適切なプロモーターと機能的に連結させる。本発明は任意の特定のプロモーターの使用に限定されない。実際に、誘導性、構成的、組織特異的、およびケラチノサイト特異的プロモーターを含むがこれらに限定されない種々のプロモーターの使用が意図される。いくつかの態様においては、治療薬をコードする核酸をケラチノサイトに直接導入する(すなわち、リン酸カルシウム共沈法またはリポソームトランスフェクション法による)。他の好ましい態様においては、治療薬をコードする核酸をベクターとして提供し、このベクターを当技術分野で公知の方法によりケラチノサイトに導入する。いくつかの態様において、ベクターはプラスミドなどのエピソームベクターである。他の態様では、ベクターはケラチノサイトのゲノム中に組み込まれる。組込みベクターの例には、これらに限定されないが、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびトランスポゾンベクターが含まれる。
D. フィーダー層細胞を実質的に含まないその他の生成物を生成する方法の使用
本発明は、残存フィーダー層細胞を実質的に含まない種々の細胞、細胞株、または細胞由来生成物の生成を意図する。好ましい態様において、マウスDNAアッセイ法および増殖アッセイ法でスクリーニングした3T3フィーダー層上で増殖させた細胞または細胞株は、フィーダー層細胞を実質的に含まない培養細胞または細胞株となる。本発明のいくつかの好ましい態様では、フィーダー層を実質的に含まない幹細胞を回収する。本発明は特定の幹細胞に限定されない。任意の生物に由来する特定の幹細胞を使用することができる。いくつかの好ましい態様において、幹細胞種は成人幹細胞(例えば、体性幹細胞)であってよい。他の好ましい態様において、幹細胞種は胚性幹細胞(例えば、全能性幹細胞)であってよい。
いくつかの態様においては、米国特許第5,843,780号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている幹細胞単離の方法を使用する。そのような態様において、胚性幹細胞を単離するための培地は「ES培地」である。ES培地は、80%ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;ピルビン酸不含、高グルコース処方、Gibco ERL)、および20%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone)、0.1 mM β-メルカプトエタノール(Sigma)、1%非必須アミノ酸保存液(Gibco BRL)からなる。好ましくは、この試験のためだけに開発された細胞株である低継代マウスES細胞株(ESjt3)のクローンプレーティング効率を試験することにより、ウシ胎仔血清バッチを比較する。FBSバッチは、胚細胞の増殖を支持する能力がバッチごとに大幅に異なることが認められているため、比較する必要があるが、胚細胞の支持に関するFBSバッチの能力を分析する任意の他の方法も別法として役立つと考えられる。
霊長類ES細胞は、ES細胞培地の存在下においてマウス胚線維芽細胞のコンフルエントな層上で単離する。胚線維芽細胞は好ましくは、非近交系CF1マウス(SASCO)の12日齢胎仔から得るが、その他の株を代替として使用してもよい。培養皿は好ましくは、0.1%ゼラチン(タイプI;Sigma)で処理する。
アカゲザル胚に関しては、正常な卵巣周期を示す成体雌アカゲザル(4歳超)を、月経出血の徴候に関して毎日観察する(周期の1日目=月経の開始日)。月経周期の8日目から始まる卵胞期の期間、血液試料を毎日採取し、黄体形成ホルモンの血清濃度を放射性免疫測定法により測定する。この雌を、月経周期の9日目より黄体形成ホルモンが急激に増加してから48時間後まで、生殖能力が証明されている雄アカゲザルとつがいにする;排卵は、黄体形成ホルモンが急激に増加した翌日と見なす。排卵の6日後に、非外科的子宮洗浄により拡大胚盤胞を回収する。この手順により通常、平均0.4〜0.6個生存胚/アカゲザル/月という回収率が得られる、Seshagiri et al. Am J Primatol 29: 81-91, 1993。
マーモセット胚に関しては、規則的な卵巣周期を示す成体雌マーモセット(2歳超)を、生殖能力のある雄1匹および子孫最大5匹と共に家族集団で飼育する。中期から後期黄体期中に、プロスタグランジンPGF2α類似体クロプロステノール(Estrumate、Mobay Corp、カンザス州、ショーニー) 0.75 gを筋肉内注射して、卵巣周期を制御する。0日目(クロプロステノール注射の直前)、ならびに3日、7日、9日、11日、および13日目に血液試料を採取する。血漿プロゲステロン濃度をELISAにより測定する。排卵日は、10 ng/mlまたはそれ以上の血漿プロゲステロン濃度が測定された前日と見なす。排卵の8日後に、非外科的子宮洗浄により拡大胚盤胞を回収する、Thomson et al. 「Non-surgical uterine stage preimplantation embryo collection from the common marmoset」 J Med Primatol, 23: 333-336 (1994)。この手順により、1.0個生存胚/マーモセット/月という平均産生率が得られる。
プロナーゼ(Sigma)に短時間曝露することにより、胚盤胞から透明帯を除去する。免疫手術のため、胚盤胞を、DMEM中の1:50希釈のウサギ抗マーモセット脾臓細胞抗血清(マーモセット胚盤胞の場合)または1:50希釈のウサギ抗アカゲザル(アカゲザル胚盤胞の場合)に30分間曝露し、次いでDMEMで5分間3回洗浄した後、1:5希釈のモルモット補体(Gibco)に3分間曝露する。
DMEMでさらに2回洗浄した後、穏やかにピペッティングして無傷の内部細胞塊(ICM)から溶解した栄養外胚葉細胞を除去し、ICMをマウス不活化(3000ラドガンマ線照射)胚線維芽細胞上にプレーティングする。
7〜21日後、実体顕微鏡下で直接観察しながらマイクロピペットを用いてICM由来塊を内胚葉生成物から除去し、1%ニワトリ血清を添加した0.05%トリプシン-EDTA(Gibco)に3〜5分間曝露し、火炎研磨マイクロピペットを通して穏やかにピペッティングすることにより穏やかに解離する。
解離した細胞を、新鮮なES培地中の胚性フィーダー層上に再度プレーティングし、コロニー形成について観察する。ES様形態を示すコロニーを個々に選択し、上記の通りに再度分割する。ES様形態は、高い核細胞質比および顕著な核小体を有する小型のコロニーと定義される。得られたES細胞は次いで、短時間トリプシン処理するか、またはダルベッコリン酸緩衝食塩水(カルシウムおよびマグネシウム不含、ならびに2 mM EDTA含有)に曝露することにより、培養物が高密度になるため1〜2週間ごとに日常的に分割する。初期継代の細胞はまた、液体窒素中で凍結および保存しておく。
標準的なGバンド技法により(例えば、日常的な核型分析サービスを提供している、ウィスコンシン大学州立衛生研究所の細胞遺伝学研究所(the Cytogenetics Laboratory of the University of Wisconsin State Hygiene Laboratory)による)細胞株を核型分析し、霊長類種の公表されている核型と比較する。
その他の霊長類種からのES細胞株の単離は、胚盤胞になるまでの発達速度が種間で2、3日異なり得ること、および培養ICMの発達速度が種間で異なり得ること以外は、同様の手順に従う。例えば、排卵の6日後、アカゲザル胚は拡大胚盤胞期にあるが、マーモセット胚は排卵の7〜8日後までこの段階に到達しない。アカゲザルES細胞株は、免疫手術の7〜16日後に初めてICM由来細胞を分割することにより得られたが、マーモセットES細胞は、免疫細胞の7〜10日後に最初の分割をして導出された。その他の霊長類もまた発達速度が異なるため、胚回収のタイミングおよび最初のICM分割のタイミングは霊長類種間で異なるが、同様の技法および培養条件によりES細胞を単離することができる。
米国における倫理規定では、子宮から体内受精着床前胚を回収することは認められていないため、着床前胚に由来するヒトES細胞は体外受精(IVF)胚から導出されることになる。未使用(予備)のヒトIVF生成胚における実験は、胚が14日齢未満である場合に、シンガポールおよび英国などの多くの国で許可されている。高品質の胚のみがES単離に適している。一細胞ヒト胚を拡大胚盤胞にまで培養するための現段階で明確にされている培養条件は、準最適ではあるが実際的である;Bongso et al., Hum Reprod 4: 706-713, 1989。ヒト胚とヒト卵管細胞との共培養により、質の高い胚盤胞が生成される。細胞の共培養下または改良既知組成培地中で培養したIVF由来拡大ヒト胚盤胞より、非ヒト霊長類に関して上記したのと同様の手順を用いてヒトES細胞を単離することができる。
他の好ましい態様において、本発明は、以下を含む、フィーダー層細胞を実質的に含まない種々のその他の細胞または細胞株の生成を意図する:湿性重層化障壁上皮(wet stratified barrier epithelia)(例えば、表面上皮細胞、尿管上皮の細胞);外分泌に特化した上皮細胞(例えば、唾液腺細胞、乳腺細胞、アポクリン汗腺細胞、胃内壁の粘膜細胞);ホルモン分泌に特化した細胞(例えば、脳下垂体の分泌細胞、腸および気道の分泌細胞、甲状腺の分泌細胞、副腎の分泌細胞、生殖腺の分泌細胞);腸、外分泌腺、および尿生殖路の上皮吸収細胞(例えば、腸の刷子縁細胞、外分泌腺の線条導管細胞、精巣輸出管の非繊毛細胞);代謝および貯蔵に特化した細胞(例えば、肝細胞、脂肪細胞);肺、腸、外分泌腺、および尿生殖路を裏打ちする、主としてバリアー機能に役立つ上皮細胞(例えば、1型肺細胞、膵管細胞、腎糸球体の壁細胞);閉鎖した内部体腔を裏打ちする上皮細胞(例えば、血管およびリンパ管の血管内皮細胞、滑膜細胞、耳の内リンパ腔を裏打ちする細胞、角膜「内皮」細胞);推進機能を有する繊毛細胞(例えば、気道細胞、卵管細胞、脳腔の上衣細胞内膜);細胞外基質の分泌に特化した細胞(例えば、エナメル芽細胞、線維芽細胞、毛細血管の周辺細胞、軟骨細胞、骨芽細胞);収縮細胞(例えば、骨格筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、筋上皮細胞);血液および免疫系の細胞(例えば、赤血球、マクロファージ、好中球、Tリンパ球、Bリンパ球);感覚変換器(例えば、光受容体、コルチ器官の内有毛細胞、II型味蕾細胞);自律神経ニューロン(例えば、コリン作動性細胞、アドレナリン作動性細胞、ペプチド作動性細胞);感覚器および末梢ニューロンの支持細胞(例えば、内柱細胞、ヘンゼン細胞、シュワン細胞、腸内グリア細胞);中枢神経系のニューロンおよびグリア細胞(例えば、一般的な神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイト);水晶体細胞(例えば、前水晶体上皮細胞、水晶体線維細胞);色素細胞(例えば、メラニン細胞、網膜色素上皮細胞、);生殖細胞(例えば、卵原細胞、卵母細胞、精母細胞、精原細胞);ナース細胞(例えば、卵胞細胞、セルトリ細胞、胸腺上皮細胞)。
実験
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を示しさらに説明するために提供するものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
以下の実験の開示においては、以下の略語を使用する:eq(等価物);M(モル濃度);μM(μモル濃度);N(規定濃度);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);lまたはL(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);C(摂氏温度);U(単位);mU(ミリ単位);min.(分);sec.(秒);%(パーセント);Kb(キロベース);bp(塩基対);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);BSA(ウシ血清アルブミン)。
実施例1
マウスプライマーST051およびST052を用いたマウス特異的DNAの検出
本実施例では、マウスプライマーST051およびST052を用いたマウス特異的DNAの検出について記載する。PCR鋳型として使用するため、マウス細胞(3T3)および正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)からゲノムDNAを単離した。マウスゲノムDNAに特異的な285塩基対(bp)生成物が増幅されるように、PCRプライマーST051
Figure 2008532550
およびST052
Figure 2008532550
を設計した(MacGregor, H.C. and Varley, J.M. (1988). 「Working with Animal Chromosomes」2nd ed., Wiley, New York)。
PCR反応物は、マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(123 ng/反応)またはヒト細胞(NHDF)ゲノムDNA(100 ng/反応)を含んだ。95℃で4分間変性させた後、試料を以下の35サイクルに供した:94℃での1分間の変性、50℃での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で7分間伸長を行った後、4℃で保持した。
マウス(3T3)ゲノムDNAをマウス特異的DNAプライマーST051およびST052を用いて試験した場合に、285 bp生成物が良好に増幅された。一方、ヒト細胞(NHDF)ゲノムDNA試料では、マウス特異的DNAプライマーを用いて分析した場合にPCR生成物は検出されなかった。
実施例2
対照PCRプライマーST047およびST035を用いたヒト特異的DNAの検出
本実施例では、ヒトゲノムDNAから500 bpの特異的生成物を増幅するための第2のプライマーセット(ST047
Figure 2008532550
およびST035
Figure 2008532550
)の使用について記載する。本実施例では、マウスおよび対照PCRプライマーセットについての最適なプライマー-温度アニーリング条件の系統的評価および同定についても記載する。
PCR反応物は、ヒトゲノムDNA(Promega、ウィスコンシン州、マディソン)(0.5μg/反応)、マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(250 pg/反応)、またはヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応)+マウス細胞(3T3)ゲノムDNA添加(250 pg/反応)のいずれかを含んだ。95℃で5分間変性させた後、試料を以下の30サイクルに供した:94℃での1分間の変性、50℃〜70℃の範囲での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で7分間伸長を行った後、4℃で保持した。
プライマーST047およびST035は、鋳型ゲノムDNAの完全性をPCR増幅されるその能力に関して確証するために用いられる対照PCRプライマーセットとして役立つ。これらの対照プライマーにより、試験したゲノムDNAの種々の種それぞれに対応する異なった大きさのPCR生成物が生成される。予測されるPCRプライマー対照生成物の大きさは以下の通りである:400 bp(マウス)、500 bpおよび300 bp(ヒト)。
プライマーST047およびST035により、ヒトゲノムDNA鋳型から予測される500 bpおよび300 bpのPCR生成物が特異的に増幅された。PCRプライマーST051およびST052により、マウスゲノムDNA鋳型から285 bp PCR生成物が特異的に増幅された。バンド強度は、ヒトゲノムDNAを添加(0.5μg)してもしなくても比較的一定に保たれた。マウス特異的PCRプライマーセットおよびヒトPCRプライマーセットそれぞれについて、最適なアニーリング温度が57.3℃および68.6℃であると同定された。
実施例3
皮膚培養生検試料を用いたPCR
本実施例では、STRATAGRAFT(Stratatech Corp.、ウィスコンシン州、マディソン)生検試料からのゲノムDNAの単離、ならびにそれに続く実施例1および2に記載したPCRアッセイ法におけるそのゲノムDNA鋳型供給源としての評価について記載する。同様のSTRATAGRAFTよりプールした(MacGreagor, H.C. (1988), Working with Animal Chromosomes, 2nd Ed., Wiley, New York)生検パンチから全ゲノムDNAを単離し、対照プライマーST047およびST035を用いるPCR増幅の鋳型として使用した。
PCR反応用のゲノムDNA鋳型は以下のうちの1つであった:マウス細胞(3T3)ゲノムDNA;ヒト細胞(NIKS)ゲノムDNA;ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応);ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応)+マウス細胞(3T3)ゲノムDNA添加(範囲10〜250 pg/反応);STRATAGRAFTゲノムDNA(0.5μg/反応)。
95℃で5分間変性させた後、試料を以下の30サイクルに供した:94℃での1分間の変性、57.3℃での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で7分間伸長を行った後、4℃で保持した。
STRATAGRAFT生検試料から単離したゲノムDNAの量および完全性は、PCRアッセイ法で解析するのに十分であることが判明した。対照プライマーは、STRATAGRAFT生検ゲノムDNAからヒトゲノム配列を増幅する能力を示した。これらの結果から、ゲノムDNA試料の増幅を確証するための信頼性のある内部PCR対照としての、これらの対照プライマーの使用が確認された。
実施例4
マウス特異的DNA検出限界の評価
本実施例では、全ヒトゲノムDNA 0.5μgを含むPCR反応物における、このアッセイ法のマウス特異的DNA検出限界の評価について記載する。
PCR反応用のゲノムDNA鋳型は以下のうちの1つであった:ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応);マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(123 ng/反応);ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応)+マウス細胞(3T3)ゲノムDNA添加(範囲25〜500 pg/反応)。マウス特異的PCRプライマーST051およびST052を使用した。
95℃で4分間変性させた後、試料を以下の30サイクルに供した:94℃での1分間の変性、55℃での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で10分間伸長を行った後、4℃で保持した。
結果から、マウスDNA検出限界が、全ヒトゲノムDNA 0.5μgを含むPCR反応物のマウスゲノムDNA 250 pgであることが示された。特定のPCRアッセイ条件(例えば、サイクル数)を改良することにより、明確化されるマウスDNA検出限界が改善される可能性がある。
実施例5
アッセイ法のばらつきおよび再現性
本実施例では、以下の事項におけるアッセイ法のばらつきおよび再現性の検討について記載する:
1) 同じSTRATAGRAFT試料による複数の生検DNA調製物。
2) 同じ作製バッチによる複数のSTRATAGRAFT試料。
3) 異なる作製操作者による同じSTRATAGRAFTバッチからの複数の試料。
PCR反応用のゲノムDNA鋳型は以下のうちの1つであった:STRATAGRAFTゲノムDNA(0.5μg/反応);ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応);ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応)+マウス細胞(3T3)ゲノムDNA添加(100または250 pg/反応)。マウス特異的PCRプライマーST051およびST052を使用し、加えて、平行した反応において対照プライマーST047およびST035も使用した。
94℃で5分間変性させた後、試料を以下の30サイクルに供した:94℃での1分間の変性、61℃での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で7分間伸長を行った後、4℃で保持した。
複数のSTRATAGRAFT DNA単離物、STRATAGRAFT調製物、またはSTRATAGRAFT作製操作者の結果として、PCR生成物の量にごくわずかなばらつきが検出された。観察されたPCR生成物のばらつきは有意なものではなく、半定量的PCRアッセイ法の通常の結果であると考えられる。
実施例6
マウス細胞の力価測定
本実施例では、既知数のマウス3T3細胞を所定数のNHDF細胞に添加することによる、マウスDNA等価物を用いて以前に計算された検出限界の確証について記載する。一定数のNHDF細胞に、マウス細胞をその割合を減少させつつ添加していった。これらの細胞集団からゲノムDNAを単離し、次いでPCR解析に供した。混合細胞集団によるPCR生成物の強度を、既知量のマウスゲノムDNAとヒトゲノムDNAを混合して得られた強度と比較した。
マウス細胞特異的DNAの半定量的概算は、マウスDNA 3.5×10-12 g/一倍体染色体セットに基づく(MacGregor and Varley, 1988)。したがって、マウスゲノムDNA 250 pgは35.7マウス細胞DNA等価物と等しい。ヒトゲノムDNA鋳型試料 0.5μgはヒト細胞90,000個に相当する。
PCR反応用のゲノムDNA鋳型は以下のうちの1つであった:混合細胞(NHDF/3T3)集団ゲノムDNA(0.5μg/反応);ヒト細胞(NHDF)ゲノムDNA(0.5μg/反応);マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(0.5μg/反応);ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応);ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応)+マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(3.1〜250 pg/反応)。マウス特異的PCRプライマーST051およびST052を使用し、加えて、平行した反応において対照プライマーST047およびST035も使用した。
95℃で5分間変性させた後、試料を以下の30サイクルに供した:94℃での1分間の変性、61℃での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で7分間伸長を行った後、4℃で保持した。
混合細胞集団から単離したDNAを用いて得られたPCR生成物の強度は、表2および3に示すように、マウスDNA等価物を添加した試料から得られた強度に匹敵した。
これらの結果から、PCRアッセイ法により、ヒト細胞約90,000個のバックグラウンド中の4個未満のマウス細胞を検出できることが実証された。したがって、このアッセイ法により、ヒト細胞の存在下で低レベルの残存マウス細胞が検出される。
(表2)マウス細胞の添加による検出結果
Figure 2008532550
(表3)単離マウスDNAの添加による検出結果
Figure 2008532550
実施例7
マウス特異的プライマーの交差反応性
本実施例では、非マウス試料において非マウスDNAがマウス特異的プライマーにより検出されなかったことを実証する。
PCR反応用のゲノムDNA鋳型は以下のうちの1つであった:ヒトゲノムDNA(Promega)(0.5μg/反応);ヒトゲノムDNA(Clontech)(0.5μg/反応);ラットゲノムDNA(Clontech)(0.5μg/反応);ラットゲノムDNA(Stratatech)(0.5μg/反応);マウスゲノムDNA(Clontech)(0.5μg/反応);マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(0.5μg/反応);マウス細胞(3T3)ゲノムDNA(250 pg/反応);マウスゲノムDNA(Clontech)(250 pg/反応);STRATAGRAFT AゲノムDNA(0.5μg/反応);STRATAGRAFT BゲノムDNA(0.5μg/反応);陰性対照(DNAなし)。
95℃で5分間変性させた後、試料を以下の30サイクルに供した:94℃での1分間の変性、61℃での1分間のアニーリング、72℃での2分間の伸長。最後に72℃で7分間伸長を行った後、4℃で保持した。
マウス特異的プライマーST051およびST052では、ラットおよびヒトゲノムDNA配列の交差反応性および非特異的増幅がないことが示された。したがって、これらのプライマーはマウスゲノムDNA配列に特異的である。
実施例8
増殖3T3細胞を検出するための最適数のマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞/cm2の決定
本実施例では、最適数のマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞/cm2を決定するために用いた実験について記載する。STRATAGRAFTの作製過程では、NIKS開始時に約7.5×106個のマイトマイシン-C処理複製不活化3T3細胞を使用し、NIKS拡大時に約25×106個のマイトマイシン-C処理複製不活化3T3細胞を使用する。マイトマイシン-C処理複製不活化3T3フィーダー層は、BR14のように22,700個細胞/cm2〜BR13のように27,300個細胞/cm2の細胞密度でプレーティングする。増殖3T3細胞を検出するための最適数のマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞/cm2を決定するため、3,130個細胞/cm2、7,810個細胞/cm2、15,630個細胞/cm2、および31,250個細胞/cm2という4つの異なる細胞密度に関して、96ウェルプレートを用いて検討した。これらの密度は、1,000個、2500個、5000個、および10,000個のマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞/ウェル(0.32 cm2/ウェル)に相当する。
どの細胞密度が、複製可能な3T3マウス線維芽細胞の増幅およびその後の検出を最も良好に支持するかを判定するため、図1に示した特定の組み合わせで、未処理の増殖3T3細胞(マイトマイシン-Cで一度も処理していない細胞)をマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞と混合した。全体で153.6 cm2となる5枚の96ウェルプレートを試験する細胞密度ごとに使用したが、これらの96ウェルプレートはそれぞれ、各ウェルが単一の複製可能な3T3マウス線維芽細胞を含む確率が約1/4となる程度に希釈された未処理増殖3T3細胞を25個含んだ。
複製能力のある3T3線維芽細胞の適切な希釈およびマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞の非存在下における3T3増殖のレベルに関する対照も、本アッセイ法に含めた。25個の未処理増殖3T3細胞のみを含む5枚の96ウェルプレートをこの目的に使用した。増殖3T3細胞は、対照プレートの各ウェルが単一の複製可能な3T3マウス線維芽細胞を含む確率が約1/4となる程度に希釈した。
Swissマウス線維芽細胞3T3株のチオグアニン耐性変種である、複製能力のある増殖3T3M1細胞の培養物は、以前に記載された通りに(Allen Hoffman, B.L. and Rheinwald, J.G. (1994) 81 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 7802-7806)、10%ウシ胎仔血清を添加したダルベッコ変法イーグル培地から構成される培地中で維持した。凍結保存されたマイトマイシン-C処理3T3細胞は、Stratatech手順BR10に従って調製した。すべての実験において、インキュベーション期間中は毎週、消耗した培地を除去し、ウェル当たり200μlの新鮮な培地と交換した。インキュベーションの第1週後に、均一な細胞分布を確認するための顕微鏡観察を行った。培養過程を通して、細菌汚染の徴候に関する厳密な検査も同様に行った。96ウェルプレート型式(0.32 cm/ウェル)では細胞増殖の表面積が限られているため、顕微鏡観察時の方向性がわかりやすく、かつ増殖性3T3の移動が制限された。
インキュベーションの3週間後、試料を10%ホルマリン中で30分間固定し、0.2%メチレンブルー溶液で一晩染色した。メチレンブルーにより、複製能力のある3T3細胞および複製不能な3T3細胞中の好塩基性細胞化合物、主として核酸が染色される(Scragg, M.A. and Ferreira, L.R. (1991) 198:1 Anal. Biochem. 80-85)。染色したプレートを水で十分に洗浄して、過剰なメチレンブルーを除去し、風乾させた。
各メチレンブルー染色ウェルを、3T3増殖の徴候に関して視覚的におよび顕微鏡的に検査した。染色により細胞の迅速な同定が可能になり、細胞形態の顕微鏡検査が容易になる。活発に増殖する3T3細胞の細胞形態は、マイトマイシン-C処理複製不活化3T3細胞の形態とはかなり異なるため、これら2状態間の明白な識別は容易である。増殖3T3細胞はコロニー会合しており、外観は小型で紡錘状である。一方、マイトマイシン-C処理複製不活化3T3細胞の外観は大型で平らである。顕微鏡による同定および形態的外観による分類に基づき、各ウェルを3T3増殖に関して陽性または陰性として個々に記録した。
4つの異なるマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞密度(1000、2500、5000、および10,000個細胞/ウェル)のバックグラウンド中の3T3増殖検出を、マイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞0個/ウェル(0.32 cm2/ウェル)の対照バックグランド中の3T3増殖検出と比較するアッセイ法を反復して2回行った。設計通り、5枚の96ウェルプレートを試験する細胞密度ごとに使用し、これらの96ウェルプレートはそれぞれ、各ウェルが単一の複製可能な3T3マウス線維芽細胞を含む確率が約1/4となる程度に希釈された未処理増殖3T3細胞を25個含んだ。
この実験手順によって均一な細胞分布が得られたことを確証するため、まず最初に、検出された増殖3T3細胞の数をプレート当たりの基準で解析した。96ウェルプレート当たりの陽性ウェルの平均数を、それぞれ試験したマイトマイシン-C処理3T3細胞/ウェルのバックグラウンドレベルに関して決定した(表4)。プレート当たりの陽性ウェルの平均数は細胞密度により異なったが、試験した各プレートセットの標準偏差値は著しく一貫していた。この一貫性から、この手順によって、細胞密度変数に影響されない、複製能力のある増殖性3T3線維芽細胞の比較的均一な分布が得られることが示された。
(表4)試験した各条件に関する3T3増殖陽性ウェルの平均数/96ウェルプレート
Figure 2008532550
表4のデータを解析して、各マイトマイシン-C処理3T3細胞密度条件でプレーティングした増殖性3T3細胞のコロニー形成効率(CFE)を比較した(表5)。試験した各バックグラウンドレベルにおけるコロニー形成効率の比較を図2に示す。2,500個および5,000個のマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞/ウェル(7,810個および15,630個細胞/cm2)の細胞密度が、試験した3つの他の細胞密度と同様に良好におよびそれらよりも良好に、複製可能な3T3マウス線維芽細胞の増殖およびその後の検出を支持すると考えられる。
(表5)試験した各条件に関するコロニー形成効率値の比較
3T3増殖陽性ウェルの数と、試験した各条件に対して添加した増殖性3T3細胞の理論数との比較。
Figure 2008532550
複製能力のある3T3線維芽細胞のコロニー形成効率は、最初にプレーティングしたマイトマイシン-C処理3T3細胞の細胞密度の影響を受けた。マイトマイシン-C処理3T3細胞の非存在下においてプレーティングした複製能力のある3T3細胞では、コロニー形成効率50%が得られた。3,130個のマイトマイシン-C処理3T3細胞/cm2の存在下でプレーティングした複製能力のある3T3細胞では、コロニー形成効率が1.5倍に増強された。7,810個および15,630個のマイトマイシン-C処理3T3細胞/cm2の場合には、コロニー形成効率が1.7倍に増強された。31,250個のマイトマイシン-C処理3T3細胞/cm2の存在下でプレーティングした3T3細胞では、コロニー形成効率が1.4倍に増強された。
これらの結果を前提とすると、増殖3T3細胞を検出するためのマイトマイシン-C処理3T3細胞/cm2の最適プレーティング密度は、7,810個〜15,630個/cm2であると考えられる。この知見およびSTRATAGRAFT生成のためのNIKC細胞の単層培養で使用するおよその細胞密度の優先度に基づいて、増殖3T3細胞を検出するために使用すべきマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞の細胞密度は1.56×104個細胞/cm2であると決定した。
実施例9
3T3増殖検出感度の決定
本実施例では、3T3線維芽細胞の増殖検出感度がいかにして決定されるかについて記載する。増殖3T3検出の感度を決定するため、以前に確立された最適細胞密度を用いて、図3に記載する通りにさらなる実験を行った。この評価では、指定数の公知の複製可能な増殖3T3線維芽細胞(マイトマイシン-Cで一度も処理していない)を、凍結保存マイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞のいくつかの調製物に由来する指定数のマイトマイシン-C処理3T3細胞/cm2に対して播種した。本実験には、マイトマイシン-C処理3T3細胞の非存在下における複製可能な3T3増殖のレベルを決定するための対照培養物も含めた。不完全な複製不活化に起因して起こり得る3T3増殖のバックグラウンドレベルを規制するため、マイトマイシン-C処理3T3細胞のみの培養物もプレーティングした。本試験では、凍結保存マイトマイシン-C処理3T3細胞の3つの別個のバッチを使用した。
本実験では、5000個の複製不活化3T3マウス線維芽細胞を5枚の96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングし、これらの96ウェルプレートはそれぞれ未処理増殖3T3細胞を25個含んだ。増殖3T3細胞は、各ウェルが単一の複製可能な3T3マウス線維芽細胞を含む確率が約1/4となる程度に希釈した。培養物は、複製可能な3T3細胞が増殖できるように3週間維持した。
マイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞の非存在下における3T3増殖のレベルを規制するための培養物も、本アッセイ法に含めた。未処理増殖3T3細胞25個を含む96ウェルプレートをこの目的に使用した。増殖3T3細胞は、対照プレートの各ウェルが単一の複製可能な3T3マウス線維芽細胞を含む確率が約1/4となる程度に希釈した。
5000個のマイトマイシン-C処理3T3マウス線維芽細胞を96ウェルプレートの各ウェルにプレーティングし、仮に存在する場合に複製可能な3T3細胞が増殖できるように3週間培養した。3T3増殖の徴候から、所与のバッチの細胞集団における不完全な有糸分裂不活化が示唆される。
3T3線維芽細胞は、以前の実験に記載した通りに維持した。3T3増殖の検査も同様に、以前に記載した通りに行った。
3T3増殖検出の感度を決定するため、5,000個のマイトマイシン-C処理3T3細胞/ウェルのバックグラウンド中にプレーティングした複製可能な3T3細胞を含む試料を、3T3増殖の徴候について調べた。対照培養物の両セットも同様に、3T3増殖について調べた。表6は、各実験および対照プレートに関して3T3増殖が陽性であると判明したウェルの数を示す。
(表6)実験プレート当たり検出された陽性ウェル数
3T3増殖に関して陽性と判明したウェルを、調べた各プレートについて記録する。星印は、実験開始時にプレーティングしなかった培養物を示す。
Figure 2008532550
バックグラウンド3T3増殖を規制する培養物中で陽性と判明したウェルの数を、実験プレートで判明した全陽性ウェル数から差し引いた(表7)。これらの調製値に基づいて、最適マイトマイシン-C処理3T3細胞密度でプレーティングした増殖性3T3細胞の結果として得られたコロニー形成効率値を計算した(表8)。
(表7)実験プレート当たりの陽性ウェルの調整数
3T3増殖に関して陽性であるウェル数(バックグラウンド3T3増殖レベルに関して調整)を、調べた各プレートについて記録する。
Figure 2008532550
(表8)試験した核バッチに関するコロニー形成効率値の比較
3T3増殖陽性ウェルの数(バックグラウンド3T3増殖レベルに関して調整)と、試験した各バッチに対して添加した増殖性3T3細胞の理論数との比較。
Figure 2008532550
本試験において、1.56×104個のマイトマイシン-C処理3T3細胞/cm2の存在下でプレーティングした複製可能な3T3細胞のコロニー形成効率は、86%±13%であると決定された。マイトマイシン-C処理3T3細胞の非存在下でプレーティングした複製可能な3T3細胞では、45%±9%というコロニー形成効率が算出された。1.56×104個のマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞/cm2という細胞密度における複製可能な3T3細胞の検出をマイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞の非存在下で増殖した複製可能な3T3細胞の検出と比較した場合の、この約2倍のコロニー形成効率の増強は、以前の知見と一致する(表5を参照されたい)。
これらの数は、試験した3つのバッチのうち2つで検出された非常に低レベルのバックグラウンド3T3増殖を考慮に入れている。3T3増殖から、影響を受けたバッチでは完全に複製が不活化されていなかったことが示唆される。これらの結果はまた、これらのアッセイ法について確立されたパラメータを用いることで、非常に低レベルの3T3増殖(例えば、試験した2.4×106個細胞のうちの1個の複製可能な細胞)が検出可能であることを強化するものである。
この実験セットに関して3T3増殖検出の感度を算出するには、最適細胞密度におけるコロニー形成効率および試験した全細胞数という2つの値を使用した。得られるコロニー形成効率値を検討したところ、86%±13%であることが判明した。したがって、単一の複製可能な3T3細胞が、この特定の細胞環境において検出可能な増殖3T3コロニーを確立する確率は73%〜99%である。2.4×106個のマイトマイシン-C処理細胞の試験では、控えめに増殖細胞当たり73%の検出確率であるとして、1.75×106個細胞中に1個の3T3増殖検出という感度が得られる。
実施例10
試験法のパラメータの確立:凍結保存マイトマイシン-C処理3T3バッチにおける増殖検出
本実施例では、凍結保存マイトマイシン-C処理3T3バッチにおける増殖検出周囲のパラメータを確立するために用いた実験について記載する。作製における使用に関してマイトマイシン-C処理3T3細胞のバッチを認可するには、完全な有糸分裂不活化が確証されねばならない。「3T3増殖非検出」(同意された試験の検出限界内)という基準が、この試験法の唯一許容される基準である。検出を確実にするには、さらなる時間を充てて、元の培養維持時間を3週間から全部で5週間にまで延長する。
試験法の陽性対照は、マイトマイシン-C処理細胞の適切なバックグラウンド中に複製可能な3T3細胞を取り込む必要がある。陽性対照はまた、プレーティング後3〜5週間の間に適切なレベルの3T3増殖検出を可能にせねばならない。したがって、指定数の増殖性3T3線維芽細胞/培養物の陽性対照を本試験法において用いることになる。
ロット引き渡しのための最終試験法において試験するのに必要な凍結保存マイトマイシン-C処理3T3線維芽細胞の数は、選択した型式および3T3増殖検出の感度に基づく。試験法に1.56×104個細胞/cm2でプレーティングした225 cm2組織培養フラスコを用いると、試験するフラスコ当たりの全細胞数は3.5×106個となる。
単一の複製可能な3T3細胞がこの特定の細胞環境において検出可能な増殖性3T3コロニーを確立する確率は73%〜99%であることが確証された。したがって、7×106個のマイトマイシン-C処理細胞の試験では、増殖細胞当たり少なくとも73%の検出確率であるとして、5.1×106個細胞中に1個の3T3増殖検出という感度が得られる。
用量中に潜在的に許容可能な細胞DNA等価物数は、1.45×104細胞DNA等価物以下である。したがって、総数5.1×106個の細胞は、用量中に潜在的に許容可能な細胞DNA等価物数を約350倍上回る。加えて、7×106個の細胞の試験により、1.7×106個細胞中に複製可能な細胞が存在しないという95%の信頼区間が提供され、この細胞数もSTRATAGRAFT用量当たりに許容可能な3T3細胞DNA等価物数を117倍超上回る。
上記明細書において言及した出版物および特許はすべて、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および精神を逸脱することなく、本発明で記載した方法および系に様々な修正および変更が行われ得ることは当業者に明白であると考えられる。本発明を特定の好ましい態様に関して説明したが、請求する本発明はそのような特定の態様に過度に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際に、本発明を実施するための上記形態の様々な修正は、分子生物学、生化学、または関連分野の技術者には自明であり、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
細胞密度試験のための細胞の調製、希釈、およびプレーティング計画を示す。段階1および2は細胞の希釈を含み、段階3〜7は細胞の組み合わせおよびプレーティングを含む。段階1では、複製能力のある増殖3T3線維芽細胞を回収し、計数し、細胞密度が250個細胞/mlとなるように3T3培地50 ml中に希釈した[A]。段階2では、凍結保存マイトマイシン-C処理3T3細胞を融解し、計数し、細胞密度が5,000個細胞/ml[B]、12,500個細胞/ml[C]、25,000個細胞/ml[D]、および、50,000個細胞/ml[E]となるように3T3培地中に希釈した。段階3において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlを3T3培地110 mlに添加した。複製能力のある3T3細胞懸濁液200μlを各ウェルに移し、結果として複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[F]。段階4において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlをマイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[B] 110 mlに添加した。混合細胞懸濁液200μlを各ウェルに移し、結果としてマイトマイシン-C処理3T3細胞1,000個/ウェルおよび複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[G]。段階5において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlをマイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[C] 110 mlに添加した。混合細胞懸濁液200μlを各ウェルに移し、結果としてマイトマイシン-C処理3T3細胞2,500個/ウェルおよび複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[H]。段階6において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlをマイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[D] 110 mlに添加した。混合細胞懸濁液200μlを各ウェルに移し、結果としてマイトマイシン-C処理3T3細胞5,000個/ウェルおよび複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[I]。段階7において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlをマイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[E] 110 mlに添加した。混合細胞懸濁液200μlを各ウェルに移し、結果としてマイトマイシン-C処理3T3細胞10,000個/ウェルおよび複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[J]。 増殖3T3線維芽細胞を検出するための最適細胞密度を決定するために試験した条件の比較を示す。 3T3増殖検出の感度を決定するための細胞の調製、希釈、およびプレーティング計画を示す。段階1および2は細胞の希釈を含み、段階3〜5は細胞の組み合わせを含み、段階6〜8は細胞のプレーティングを含む。段階1では、複製能力のある増殖3T3線維芽細胞を回収し、計数し、細胞密度が250個細胞/mlとなるように3T3培地50 ml中に希釈した[A]。段階2では、凍結保存マイトマイシン-C処理3T3細胞を融解し、計数し、細胞密度が25,000個細胞/mlとなるように3T3培地50 ml中に希釈した[B]。段階3において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlを3T3培地110 mlに添加した。段階4において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[A] 573μlをマイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[B] 110 mlに添加した。段階5では、マイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[B] 110 mlを実験試料用に準備した。段階6において、複製能力のある3T3細胞懸濁液[C] 200μlを各ウェルに移し、結果として複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[F]。段階7において、複製能力のある3T3線維芽細胞を添加したマイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[D] 200μlを各ウェルに移し、結果としてマイトマイシン-C処理3T3細胞5,000個/ウェルおよび複製能力のある3T3細胞25個/プレートが得られた[G]。段階8において、マイトマイシン-C処理3T3細胞懸濁液[E] 200μlを各ウェルに移し、結果としてマイトマイシン-C処理3T3細胞5,000個/ウェルが得られた[H]。

Claims (32)

  1. 以下の段階を含む、フィーダー層から回収された細胞を提供する方法:
    a) 生成物細胞、フィーダー層細胞、および細胞複製を防ぐ薬剤を提供する段階;
    b) 細胞複製を防ぐ該薬剤で該フィーダー層細胞を処理する段階;
    c) 該フィーダー層細胞を複製に関して分析する段階;
    d) 該生成物細胞を該フィーダー層細胞上で培養する段階;
    e) 該生成物細胞と該フィーダー層細胞を分離する段階;
    f) 該生成物細胞をフィーダー層細胞DNAの存在に関して分析する段階。
  2. 生成物細胞が重層化して扁平上皮となり得る、請求項1記載の方法。
  3. 生成物細胞が、初代ケラチノサイトおよび/または不死化ケラチノサイトからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  4. ケラチノサイトがNIKS細胞である、請求項3記載の方法。
  5. フィーダー層が増殖因子および細胞外基質分子を提供する、請求項1記載の方法。
  6. フィーダー層がマウス線維芽細胞である、請求項1記載の方法。
  7. マウス線維芽細胞が3T3細胞である、請求項6記載の方法。
  8. 薬剤がマイトマイシン-Cである、請求項1記載の方法。
  9. 生成物細胞とフィーダー層細胞を分離する段階がEDTAにより達成される、請求項1記載の方法。
  10. フィーダー層細胞を複製に関して分析する段階が増殖アッセイ法により達成される、請求項1記載の方法。
  11. フィーダー層細胞が複製マウス細胞を実質的に含まない、請求項10記載の方法。
  12. 細胞複製を示すフィーダー層細胞が廃棄される、請求項1記載の方法。
  13. 生成物細胞をフィーダー層細胞DNAの存在に関して分析する段階がマウスDNA PCRアッセイ法により達成される、請求項1記載の方法。
  14. 約1.0×104を超えるフィーダー層細胞DNA等価物を含むフィーダー層から回収された生成物細胞が廃棄される、請求項1記載の方法。
  15. フィーダー層から回収された生成物細胞が全細胞中に約0.015%未満のフィーダー細胞DNA等価物を含む、請求項1記載の方法。
  16. 生成物細胞が幹細胞である、請求項1記載の方法。
  17. 生成物細胞が哺乳類細胞からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  18. 細胞複製を示すフィーダー層細胞が廃棄される、請求項1記載の方法。
  19. 生成物中に生成物細胞を組み入れる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  20. 生成物が残存フィーダー層細胞を実質的に含まない、請求項19記載の方法。
  21. 請求項20記載の方法により生成された生成物細胞。
  22. 請求項1記載の方法により生成された生成物。
  23. 皮膚等価物中に生成物細胞を組み入れる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  24. 皮膚等価物が残存フィーダー層細胞を実質的に含まない、請求項23記載の方法。
  25. フィーダー層とのインインビトロ培養に由来する重層ケラチノサイト細胞を含む皮膚等価組成物であって、皮膚等価物が残存フィーダー層細胞を実質的に含まない、皮膚等価組成物。
  26. ケラチノサイト細胞がNIKS細胞である、請求項25記載の皮膚等価組成物。
  27. フィーダー層がマウス線維芽細胞である、請求項25記載の皮膚等価組成物。
  28. マウス線維芽細胞が3T3細胞である、請求項27記載の皮膚等価組成物。
  29. フィーダー層がマイトマイシン-Cで処理される、請求項25記載の皮膚等価組成物。
  30. 皮膚等価物がEDTAによってフィーダー層から分離される、請求項25記載の皮膚等価組成物。
  31. フィーダー層が複製フィーダー細胞を実質的に含まない、請求項25記載の皮膚等価組成物。
  32. 皮膚等価物が全細胞集団中に0.015%未満のフィーダー細胞DNA等価物を含む、請求項25記載の皮膚等価組成物。
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