JP2007335768A - 高電子移動度トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】高電子移動度トランジスタにおいて、ドレイン‐ソース間抵抗を小さくし、電力の損失を抑える。
【解決手段】トランジスタ21は、GaN層2と、その上に形成されたAlGaN層3と、ソース電極5、ドレイン電極6、ゲート電極7とを備えている。AlGaN層3は、アンドープのu−AlGaN層3aと、ソース電極5及びドレイン電極6に接触する部位にu−AlGaN層3aの厚みより薄くなるように形成され、キャリアを高濃度に含む高濃度AlGaN層23bを有している。高濃度AlGaN層23bはキャリアの濃度が高く厚みが薄いので、ドレイン電極6からソース電極5までの電流経路のうち、高濃度AlGaN層23bの厚み方向の抵抗と、高濃度AlGaN層23bとGaN層2に発生する2次元電子ガス8との間の抵抗と、高濃度AlGaN層23bと各電極5,6とのコンタクト抵抗が小さく、ドレイン‐ソース間抵抗が小さくなる。
【選択図】図2
【解決手段】トランジスタ21は、GaN層2と、その上に形成されたAlGaN層3と、ソース電極5、ドレイン電極6、ゲート電極7とを備えている。AlGaN層3は、アンドープのu−AlGaN層3aと、ソース電極5及びドレイン電極6に接触する部位にu−AlGaN層3aの厚みより薄くなるように形成され、キャリアを高濃度に含む高濃度AlGaN層23bを有している。高濃度AlGaN層23bはキャリアの濃度が高く厚みが薄いので、ドレイン電極6からソース電極5までの電流経路のうち、高濃度AlGaN層23bの厚み方向の抵抗と、高濃度AlGaN層23bとGaN層2に発生する2次元電子ガス8との間の抵抗と、高濃度AlGaN層23bと各電極5,6とのコンタクト抵抗が小さく、ドレイン‐ソース間抵抗が小さくなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、高耐圧、かつ低オン抵抗を実現する窒化ガリウム(GaN)及び窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)系の高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT)に関するものである。
マイクロ波機器等に用いられる超高周波デバイスには、従来よりGaAs(ガリウム砒素)等の半導体材料が用いられている。このGaAsは、Si(シリコン)よりも電子移動度が高く、抵抗が低いものである。GaAsを用いた超高周波デバイスとしては、電子走行層であるGaAs層の上に電子供給層であるアルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)層を積み重ね、高い周波帯で動作可能に構成された高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT)が知られている。しかしながら、GaAsは、比較的、そのバンドキャップ(室温で1.42eV)が狭く、降伏電圧が低い材料であり、上述のようなGaAs系半導体材料を用いた高電子移動度トランジスタにおいては、高電力を出力することが困難である。そのため、近年では、GaAs系半導体材料に比べてバンドギャップが広く(GaNのバンドギャップは室温で3.36eV)、降伏電圧が高く、飽和電子ドリフト速度が速い、窒化ガリウム(GaN)及び窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等のGaN系半導体材料等を用いた高耐圧な高電子移動度トランジスタの開発が行われている。
図6(a)、(b)は、GaN系半導体材料を用いた従来の高電子移動度トランジスタの一例を示す。図6(a)に示すように、この高電子移動度トランジスタ(以下、トランジスタと称する)81は、基板800上に、電子走行層であるアンドープのGaN層82と、GaN層82の上に配置された電子供給層であるアンドープのu−AlGaN層83とを積み重ねて構成されている。u−AlGaN層83の上部には、ソース電極85及びドレイン電極86と、ソース電極85とドレイン電極86の間に配置されたゲート電極87とがそれぞれ設けられている。このトランジスタ81のうち、GaN層82とu−AlGaN層83とが接触する界面付近には、いわゆる2次元電子ガス88(2 Dimensional Electron Gas: 2DEG)が発生している。すなわちトランジスタ81は、電子が2次元電子ガス88とAlGaN層83を通って移動することにより、図6(b)に矢印Iで示すように、ドレイン電極86からソース電極85に電流が流れるように構成されている。
ここで、ドレイン電極86からソース電極85までの電流の経路において、図6(b)に示すように、2次元電子ガス88が発生した部位の抵抗をR2DEGとし、u−AlGaN層83とソース電極85及びドレイン電極86との各コンタクト抵抗をRc0とし、u−AlGaN層83の厚み方向の抵抗をRi0とし、u−AlGaN層83と2次元電子ガス88と間の抵抗をRb0とすると、ドレイン電極86とソース電極85との間のドレイン‐ソース間抵抗Rds0は、次式のように示すことができる。
Rds0=R2DEG+2×(Rc0+Ri0+Rb0)
ところで、このような従来のトランジスタ81は、GaN層82とu−AlGaN層83を用いることにより高耐圧であるという特性を有するが、GaN層82とu−AlGaN層83とは共にアンドープのものであるので、上述の電流の経路のうち、u−AlGaN層83の部分の抵抗と、u−AlGaN層83と2次元電子ガス88と間の抵抗とが大きく、
Ri0,Rc0>>Rb1,R2DEG
となってしまう。すなわち、従来のトランジスタ81では、2次元電子ガス88が生じた部位の抵抗R2DEGが小さいというメリットを十分に生かすことができず、ドレイン‐ソース間抵抗Rdsが大きくなってしまう。このように、ドレイン電極86とソース電極85との間の通電時のオン抵抗が大きいため、トランジスタ81での電力の損失が大きくなってしまうという問題がある。
Ri0,Rc0>>Rb1,R2DEG
となってしまう。すなわち、従来のトランジスタ81では、2次元電子ガス88が生じた部位の抵抗R2DEGが小さいというメリットを十分に生かすことができず、ドレイン‐ソース間抵抗Rdsが大きくなってしまう。このように、ドレイン電極86とソース電極85との間の通電時のオン抵抗が大きいため、トランジスタ81での電力の損失が大きくなってしまうという問題がある。
なお、特許文献1には、各電極及びGaN層にそれぞれ接するようにn型半導体のコンタクト領域を設けた高電子移動度トランジスタが記載されている。このトランジスタにおいては、コンタクト領域のキャリア濃度は高濃度で、2次元電子ガスを走行する電子がコンタクト領域に移動しやすいように構成されており、抵抗の大きな中間層が電流経路に介在しないようにして、ドレイン‐ソース間抵抗を低減させている。しかしながら、電力の損失をできるだけ低減させるために、この特許文献1に記載されているような構造の高電子移動度トランジスタよりも、オン抵抗をさらに低減させることが望まれている。
特開2005−217361号公報
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ドレイン‐ソース間抵抗が小さく電力の損失を抑えることが可能な高電子移動度トランジスタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、GaN(窒化ガリウム)層と、このGaN層の上部に設けられ、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極がそれぞれ接続されているAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)層とを有し、前記GaN層と前記AlGaN層の界面近傍に発生する2次元電子ガス(2 Dimensional Electron Gas : 2DEG)を、前記ソース電極とドレイン電極との間を流れる電流の経路とする高電子移動度トランジスタにおいて、前記AlGaN層のうち、前記ソース電極及びドレイン電極とそれぞれ接触する部位に、前記GaN層に接するように、キャリアの濃度がそのAlGaN層のうち他の部位よりも高い高濃度AlGaN層が形成されているものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記高濃度AlGaN層は、その厚みが、前記AlGaN層のうち前記高濃度AlGaN層ではない部位の厚みより薄く形成されているものである。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記GaN層のうち、前記高濃度AlGaN層に接触する部位に、キャリアの濃度がそのGaN層のうち他の部位よりも高い高濃度GaN層が形成されているものである。
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記GaN層のうち、前記高濃度AlGaN層に接触する部位に、キャリアの濃度がそのGaN層のうち他の部位よりも高い高濃度GaN層が形成されているものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記ドレイン電極及び前記ソース電極は、前記AlGaN層と前記GaN層との境界近傍部位にも接触するように形成されているものである。
請求項1の発明によれば、ソース電極及びドレイン電極とそれぞれ接触する部位に、GaN層に接するように、電流が流れるときの抵抗が小さい高濃度AlGaN層が形成されているので、ドレイン‐ソース間の電流経路のうち、各電極とAlGaN層とのコンタクト抵抗、AlGaN層部分の厚み方向の抵抗、及びAlGaN層と2次元電子ガスとの間の抵抗がより小さくなる。従って、ドレイン‐ソース間抵抗が小さくなり、電力の損失を低減させることができる。
請求項2の発明によれば、ソース電極及びドレイン電極とそれぞれ接触する部位に、GaN層に接するように、電流が流れるときの抵抗が小さい高濃度AlGaN層が形成されており、かつ、その高濃度AlGaN層が、AlGaN層のうち高濃度AlGaN層ではない部位の厚みより薄く形成され、ソース電極とドレイン電極との間の電流経路のうち高濃度AlGaN層部分の経路が短くなる。従って、ドレイン‐ソース間の電流経路のうちAlGaN層部分の抵抗がより小さくなり、ドレイン‐ソース間抵抗が小さくなり、電力の損失を低減させることができる。
請求項3の発明によれば、ソース電極及びドレイン電極とそれぞれ接触する部位に、GaN層に接するように、電流が流れるときの抵抗が小さい高濃度AlGaN層が形成されており、かつ、GaN層のうち、その高濃度AlGaN層に接触する部位には、キャリアの濃度が高く電流が流れるときの抵抗が小さい高濃度GaN層が形成されている。従って、ドレイン‐ソース間の電流経路のうち、AlGaN層部分の抵抗の大きさが小さくなると共に、AlGaN層と2次元電子ガスとの間を電流が流れるときの抵抗も小さくなるので、ドレイン‐ソース間抵抗がより小さくなり、電力の損失を低減させることができる。
請求項4の発明によれば、高濃度AlGaN層の厚みが薄く、かつ、GaN層のうち高濃度AlGaN層に接触する部位に高濃度GaN層が形成されている。従って、上述と同様に、ドレイン‐ソース間の電流経路のうち、AlGaN層部分と、AlGaN層と2次元電子ガスとの間の部分の抵抗の大きさがより小さくなるので、ドレイン‐ソース間抵抗がより小さくなり、電力の損失を低減させることができる。
請求項5の発明によれば、ドレイン電極及びソース電極が、ALGaN層とGaN層との境界近傍部位にも接触するように形成されているので、ドレイン‐ソース間に電流が流れるとき、各電極からALGaN層とGaN層との境界近傍にも直接その電流が流れる。従って、ドレイン‐ソース間抵抗がより小さくなり、電力の損失を低減させることができる。
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a)、(b)は、本実施形態に係る高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT、以下、トランジスタと称する)1を示す。図1(a)に示すように、このトランジスタ1は、例えばサファイヤ等の半絶縁性の基板100上に、非導電性を有するアンドープのGaN層2と、そのGaN層2の上に配置され、GaN層2よりも広いバンドギャップを有するAlGaN層3を備えている。AlGaN層3の上部には、ソース電極5及びドレイン電極6が互いに離れて配置されており、このソース電極85とドレイン電極86との間に、ゲート電極87が配置されている。
このトランジスタ1において、AlGaN層3とGaN層2はヘテロ接合(異種物質接合)しており、GaN層2とAlGaN層3との界面近傍には、自発分極と界面応力に起因するピエゾ分極により、移動度の高い電子が高濃度に誘起されたいわゆる2次元電子ガス8(2 Dimensional Electron Gas: 2DEG)が発生している。図1(b)に矢印Iで示すように、電子がAlGaN層3から2次元電子ガス8を経由して再びAlGaN層3に移動することにより、ドレイン電極6からソース電極85に電流が流れるように構成されている。このトランジスタ1は、2次元電子ガス8を経由して電流が流れることから、ドレイン電極6とソース電極5との間のドレイン‐ソース間抵抗が小さいという特徴を有しており、また、降伏電圧が高いGaN系の材料を用いることにより、高電力を出力可能であるという特徴を有している。
本実施形態において、図1(a)に示すように、AlGaN層3のうち、ゲート電極7と接触する部位は、ほとんどキャリアを含まないアンドープのu−AlGaN層3aである。そして、AlGaN層3のうち、ソース電極5及びドレイン電極6と接触する部位には、例えばシリコン等をドープしてN型のキャリアを高濃度に含む高濃度AlGaN層3bが形成されている。この高濃度AlGaN層3bは、GaN層2と接触するように形成されており、この高濃度AlGaN層3bを介して、ソース電極5とGaN層2、ドレイン電極6とGaN層2とが上下方向に繋がるように構成されている。なお、このAlGaN層3は、例えば、公知の方法を用いて次のようにして形成される。すなわち、先ず、GaN層2の上部にu−AlGaN層3aを形成した後、ソース電極5及びドレイン電極6が設けられる部位の下方にあたるu−AlGaN層3aがエッチングにより除去される。そして、u−AlGaN層3aが除去された部位に、高濃度AlGaN層3bが形成されることにより、上述のように、u−AlGaN層3aと高濃度AlGaN層3bとで構成されるAlGaN層3が形成される。
ところで、このトランジスタ1のドレイン電極6からソース電極5に流れる電流の経路におけるドレイン‐ソース間抵抗Rds1は、図1(b)に示すように、2次元電子ガス8を経由する部分の抵抗をR2DEGとし、高濃度AlGaN層3bとソース電極5及びドレイン電極6とのコンタクト抵抗をRc1とし、高濃度AlGaN層3bの厚み方向の抵抗をRi1とし、高濃度AlGaN層3bと2次元電子ガス8との間の抵抗をRb1とすると、次式のように示すことができる。
Rds1=R2DEG+2×(Rc1+Ri1+Rb1)
ここで、本実施形態において、ドレイン‐ソース間を流れる電流は、アンドープのu−AlGaN層3aと比較してキャリアの濃度が高い高濃度AlGaN層3bを経由するので、高濃度AlGaN層3bとソース電極5及びドレイン電極6との各コンタクト抵抗の大きさ、高濃度AlGaN層3bの厚み方向の抵抗の大きさ、及び高濃度AlGaN層3bと2次元電子ガス8と間の抵抗の大きさが、上述の従来のトランジスタ81における各当該部位の抵抗の大きさと比較して小さくなる。従って、このトランジスタ1においては、ドレイン‐ソース間抵抗Rds1が従来のドレイン‐ソース間抵抗Rds0よりも小さくなり、電力の損失を低減させることができる。
次に、図2(a)、(b)を参照しつつ、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態について、既述の実施形態と同様の構成部材のものには同一の符号を付し、既述の実施形態と相違する部分についてのみ説明する。図2(a)、(b)は、第2の実施形態に係るトランジスタ21を示す。第2の実施形態においては、このトランジスタ21が、上述のトランジスタ1の高濃度AlGaN層3bよりも厚みが薄い高濃度AlGaN層23bを有している点が、上述の第1の実施形態と相違する。
図2(a)に示すように、トランジスタ21の高濃度AlGaN層23bは、AlGaN層3のうち、ソース電極5及びドレイン電極6とGaN層2とを接続するような位置に配置されている。そして、高濃度AlGaN層23bの厚みは、AlGaN層3のうち高濃度AlGaN層23bではない部位である、アンドープのu−AlGaN層3aの厚みよりも薄く形成されている。すなわち、このトランジスタ21では、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流経路のうち、高濃度AlGaN層23b部分の経路の長さが、上述の第1の実施形態と比較して短くなっている。このトランジスタ21のドレイン電極6からソース電極5に流れる電流の経路におけるドレイン‐ソース間抵抗Rds2は、図2(b)に示すように、高濃度AlGaN層23bの厚み方向の抵抗をRi2とすると、上述と同様に、次式のように示すことができる。
Rds2=R2DEG+2×(Rc1+Ri2+Rb1)
ここで、この高濃度AlGaN層23bは、第1の実施形態の高濃度AlGaN層3bの厚みよりも薄く、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流経路のうち高濃度AlGaN層23b部分の経路の長さが短いので、高濃度AlGaN層23bの厚み方向の抵抗Ri2は、トランジスタ1の高濃度AlGaN層3bの厚み方向の抵抗Ri1よりも小さい。従って、このトランジスタ21では、ドレイン電極6とソース電極5との間を流れる電流の経路のAlGaN層3がキャリアの濃度が高い部位であることから、従来のトランジスタよりも電力の損失が少なくなり、そのうえ、高濃度AlGaN層23bの厚みが薄く、ドレイン‐ソース間抵抗Rds2がトランジスタ1のドレイン‐ソース間抵抗Rds1よりも小さくなるので、さらに電力の損失が低減する。
次に、図3(a)、(b)を参照しつつ、本発明の第3の実施形態について説明する。図3(a)、(b)は、第3の実施形態に係るトランジスタ31を示す。第3の実施形態においては、トランジスタ31のGaN層2の一部に、キャリアがその他の部位と比較して高濃度である高濃度GaN層32aが形成されている点が、上述の第1の実施形態と相違する。
図3(a)に示すように、高濃度GaN層32aは、GaN層2のうち、高濃度AlGaN層3bに接触する部位に形成されている。この高濃度GaN層32aは、例えば、基板100上に形成されたアンドープのGaN層2に、イオン注入等により、シリコン等のキャリアをドープすることにより形成された、N型の半導体である。従って、このトランジスタ31のドレイン電極6からソース電極5に流れる電流の経路におけるドレイン‐ソース間抵抗Rds3は、図3(b)に示すように、高濃度AlGaN層3bと、この高濃度GaN層32aの部位の2次元電子ガス8との間の抵抗をRb2とすると、上述と同様に、次式のように示すことができる。
Rds3=R2DEG+2×(Rc1+Ri1+Rb2)
ここで、この高濃度GaN層32aは、GaN層2のうち高濃度GaN層32aではない部位よりもキャリアの濃度が高いので、電流が流れるときの抵抗が小さい。すなわち、このトランジスタ31においては、高濃度AlGaN層3bと2次元電子ガス8との間の抵抗Rb2が、上述のトランジスタ1の高濃度AlGaN層3bと2次元電子ガス8との間の抵抗Rb1よりも小さくなる。従って、このトランジスタ31では、高濃度AlGaN層3bが設けられることにより従来のトランジスタよりも電力の損失が少なくなるうえに、ドレイン‐ソース間抵抗Rds3が、トランジスタ1のドレイン‐ソース間抵抗Rds1よりも小さくなることから、さらに電力の損失が低減する。
次に、図4(a)、(b)を参照しつつ、本発明の第4の実施形態について説明する。図4(a)、(b)は、第4の実施形態に係るトランジスタ41を示す。図4(a)に示すように、このトランジスタ41は、上述のトランジスタ31と同様に、GaN層2に高濃度GaN層32aが設けられており、さらに、AlGaN層3には、上述のトランジスタ21と同様に、厚みがu−AlGaN層3aよりも薄い高濃度AlGaN層23bが設けられているものである。すなわち、このトランジスタ41のドレイン電極6からソース電極5に流れる電流の経路におけるドレイン‐ソース間抵抗Rds4は、図4(b)に示すように、次式のように示すことができる。
Rds4=R2DEG+2×(Rc1+Ri2+Rb2)
ここで、このトランジスタ41の高濃度AlGaN層3bと2次元電子ガス8との間の抵抗Rb2は、上述のトランジスタ1の高濃度AlGaN層3bと2次元電子ガス8との間の抵抗Rb1よりも小さく、また、高濃度AlGaN層23bの厚み方向の抵抗Ri2は、トランジスタ1の高濃度AlGaN層3bの厚み方向の抵抗Ri1よりも小さい。すなわち、このトランジスタ41では、ドレイン‐ソース間抵抗Rds4が、上述のトランジスタ21のドレイン‐ソース間抵抗Rds2や、トランジスタ31のドレイン‐ソース間抵抗Rds3と比較して小さくなることから、さらに電力の損失が低減する。
次に、図5(a)、(b)を参照しつつ、本発明の第5の実施形態について説明する。図5(a)、(b)は、第5の実施形態に係るトランジスタ51を示す。図5(a)に示すように、このトランジスタ51は、上述のトランジスタ41と同様に、GaN層2に高濃度GaN層32aが設けられ、かつ、AlGaN層3に、厚みがu−AlGaN層3aよりも薄く、第2の実施形態の高濃度AlGaN層23bと略同じ厚みの高濃度AlGaN層53bが設けられているものであるが、上述とは異なり、高濃度AlGaN層53bの側部の一部が例えばエッチング等により除去されており、高濃度GaN層32aの上面の一部が、AlGaN層3により覆われていない。そして、このトランジスタ51において、ドレイン電極56及びソース電極55は、図に示すように、AlGaN層3の上方で高濃度AlGaN層53bに接触するように、かつ、高濃度AlGaN層53bと高濃度GaN層32aとの境界近傍部位にも接触するように形成されている。
このトランジスタ51において、ドレイン電極56からソース電極55に電流が流れる際には、電流は、ソース電極55から、AlGaN層3、2次元電子ガス8、及びAlGaN層3を経由してドレイン電極56に到達する経路の他に、AlGaN層3を経由せず、ソース電極55から直接に、高濃度GaN層32a、2次元電子ガス8を経由してドレイン電極56に到達する経路を流れる。すなわち、このトランジスタ51において、図5(b)に示すように、ドレイン電極56及びソース電極55と高濃度GaN層32aとのコンタクト抵抗をRmとすると、各電極55,56から2次元電子ガス8までの電流経路中の抵抗は、高濃度AlGaN層53bと各電極55,56とのコンタクト抵抗Rc1、高濃度AlGaN層53bの厚み方向の抵抗Ri2、及び高濃度AlGaN層53bと2次元電子ガス8との間の抵抗Rb2の合成抵抗を、コンタクト抵抗Rmと並列にしたものになる。従って、このトランジスタ51のドレイン‐ソース間抵抗Rds5は、次式のように示すことができる。
Rds5=R2DEG+2×
[(Rc1+Ri2+Rb2)×Rm/{(Rc1+Ri2+Rb2)+Rm}]
[(Rc1+Ri2+Rb2)×Rm/{(Rc1+Ri2+Rb2)+Rm}]
ここで、[(Rc1+Ri2+Rb2)×Rm/{(Rc1+Ri2+Rb2)+Rm}]は、Rc1+Ri2+Rb2よりも小さい。従って、トランジスタ51では、ドレイン‐ソース間抵抗Rds5が、上述のトランジスタ41のドレイン‐ソース間抵抗Rds4よりも小さくなり、さらに電力の損失が低減する。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、高濃度AlGaN層3b,23b,53bや、高濃度GaN層32aは、シリコンではなく、例えばTeや硫黄等をドープすることにより形成されたものでもよい。また、基板100には、半絶縁性基板材料として、サファイヤではなく、例えばシリコンカーバイド等を用いてもよい。
1 高電子移動度トランジスタ
2 GaN層
3 AlGaN層
3b,23b,53b 高濃度AlGaN層
5,55 ソース電極
6,56 ドレイン電極
7 ゲート電極
8 2次元電子ガス
32a 高濃度GaN層
I 電流
2 GaN層
3 AlGaN層
3b,23b,53b 高濃度AlGaN層
5,55 ソース電極
6,56 ドレイン電極
7 ゲート電極
8 2次元電子ガス
32a 高濃度GaN層
I 電流
Claims (5)
- GaN(窒化ガリウム)層と、
このGaN層の上部に設けられ、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極がそれぞれ接続されているAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)層とを有し、
前記GaN層と前記AlGaN層の界面近傍に発生する2次元電子ガス(2 Dimensional Electron Gas : 2DEG)を、前記ソース電極とドレイン電極との間を流れる電流の経路とする高電子移動度トランジスタにおいて、
前記AlGaN層のうち、前記ソース電極及びドレイン電極とそれぞれ接触する部位に、前記GaN層に接するように、キャリアの濃度がそのAlGaN層のうち他の部位よりも高い高濃度AlGaN層が形成されていることを特徴とする高電子移動度トランジスタ。 - 前記高濃度AlGaN層は、その厚みが、前記AlGaN層のうち前記高濃度AlGaN層ではない部位の厚みより薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高電子移動度トランジスタ。
- 前記GaN層のうち、前記高濃度AlGaN層に接触する部位に、キャリアの濃度がそのGaN層のうち他の部位よりも高い高濃度GaN層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高電子移動度トランジスタ。
- 前記GaN層のうち、前記高濃度AlGaN層に接触する部位に、キャリアの濃度がそのGaN層のうち他の部位よりも高い高濃度GaN層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の高電子移動度トランジスタ。
- 前記ドレイン電極及び前記ソース電極は、前記AlGaN層と前記GaN層との境界近傍部位にも接触するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の高電子移動度トランジスタ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010192771A (ja) * | 2009-02-19 | 2010-09-02 | Fujitsu Ltd | 化合物半導体装置及びその製造方法 |
US8674409B2 (en) | 2008-12-26 | 2014-03-18 | Renesas Electronics Corporation | Heterojunction field effect transistor, method for producing heterojunction field effect transistor, and electronic device |
JP2015198196A (ja) * | 2014-04-02 | 2015-11-09 | ローム株式会社 | 半導体装置および半導体装置の製造方法 |
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2006
- 2006-06-19 JP JP2006168267A patent/JP2007335768A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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