JP2007335641A - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】電解エッチング処理において、ピットの起点が多く且つ分散性が良好で、拡面率が高く優れた静電容量を得ることを可能とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供する。
【構成】圧延垂直方向に測定した中心線平均粗さ(Ra)がRa<0.5μm、蛍光X線発光分光分析にて測定した材料表面のリン検出強度と酸素検出強度の比(P/O)が1.5≦P/O≦3.0、ハンターホール法で測定したバリアー性皮膜の破壊電位が1.0〜3.0V、且つ結晶性酸化物の分布数が1.0×10〜5.0×10個/cmであり、1μmの領域内に存在する結晶性酸化物数をxとしたとき、下式で表される結晶性酸化物の分散性係数(σ)がσ<1.8であることを特徴とする。
Figure 2007335641

【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法に関する。
電子部品の小型化に伴い、電子部品に組み込まれる電解コンデンサの電極用アルミニウム箔についても静電容量の向上が要望され、そのために電解コンデンサ電極用アルミニウム箔をエッチング処理した後の表面積を拡大させるための多くの試みがなされている。
エッチング処理後の表面積を拡大させるためには、ピット分散性の向上(合体して無効溶解となるピットの減少)、表面溶解の抑制、ピット長さの均一化などが有効であり、これまでに、合金成分の最適化、結晶性酸化物の分散性向上、スパッタリングや印刷によるピット起点の付与など、数多くの試みが為されているが、技術面あるいはコスト面の問題のため、量産材への適用が進んでいないのが現状である。
ピット分散性を向上させるためには、材料表面の不均一な酸化皮膜を溶解除去すればよく、酸、アルカリによる処理が試みられているが、強アルカリなど表面溶解減量が多い薬剤を使用した場合、薬剤処理により、付加圧延で導入された(100)方位の優先成長を促す表面歪が除去されてしまい、最終焼鈍後に粗大な異方位結晶粒が生成するという問題がある。
この問題を解決するため、発明者らは先に、強アルカリ中にアルミニウムより貴な金属イオンを含有させ、金属イオンを優先的に材料表面に析出させることにより溶解形態を全面溶解から局所溶解に変化させる手法(特許文献1)を提案したが、この手法においては、材料表面に析出した金属イオンを除去するための中和処理が必要であり、コスト面で不利となるという難点がある。
電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造において、冷間圧延を施したアルミニウム材の汚染層、不均一な酸化物を含む表面層をリン酸溶液により除去した後、最終焼鈍することにより、均質な酸化膜を形成してエッチング特性に優れたアルミニウム材を得る手法も提案されており(特許文献2)、リン酸処理により溶解初期でアルミニウムが溶解し、同時にリン酸はアルミニウムと化合して皮膜を生成するため表面溶解減量が抑制され、エッチングピットの分散性を向上させることができる。
一方、アルミニウム材の表面に存在する結晶性酸化物は、直流エッチング時のピットの起点として作用することが知られており、40〜90℃の温水に30〜90s浸漬したのち非酸化性雰囲気で最終焼鈍を行うことを特徴とし、結晶性酸化物の粒子径、粒子密度、面積比率を規定した電解コンデンサ用アルミニウム箔(特許文献3)、還元性ガス雰囲気中で最終焼鈍鈍することを特徴とし、酸化膜中の結晶質皮膜の占有割合を抑えて均一なピット形成を図ろうとする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(特許文献4)が提案されているが、冷間圧延後、最終焼鈍前の処理によっては、結晶性酸化物が熱間圧延〜付加圧延までの前工程で生成した不均一な酸化皮膜上に生成して、その分散性が不均一となり、静電容量の向上に必ずしも寄与しない場合があるという問題が見出された。
特願2003―124800号 特開2005−15916号公報 特開平8−222487号公報 特開平8−222488号公報
本発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造における上記従来の提案技術を基礎として、製造工程を再検討し、最終焼鈍後さらに酸化処理することが有効であることを見出し、最終焼鈍前の薬剤処理条件、最終焼鈍処理条件、最終焼鈍後の酸化処理条件とエッチングピットの分散性などとの関係について試験、検討を加えた結果としてなされたものであり、その目的は、電解エッチング処理において、ピットの起点が多く且つ分散性が良好で、拡面率が高く優れた静電容量を得ることを可能とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、圧延垂直方向に測定した中心線平均粗さ(Ra)がRa<0.5μm、蛍光X線発光分光分析にて測定した材料表面のリン検出強度と酸素検出強度の比(P/O)が1.5≦P/O≦3.0、ハンターホール法で測定したバリアー性皮膜の破壊電位が1.0〜3.0V、且つ結晶性酸化物の分布数が1.0×10〜5.0×10個/cmであり、1μmの領域内に存在する結晶性酸化物数をxとしたとき、下式で表される結晶性酸化物の分散性係数(σ)がσ<1.8であることを特徴とする。
Figure 2007335641
請求項2による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、請求項1において、Si:5〜60ppm、Fe:5〜60ppm、Cu:30〜80ppm、Pb:0.1〜2.0ppmを含有し、残部Alおよび不可避不純物からなることを特徴とする。
請求項3による電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法は、請求項2記載の組成を有するアルミニウムを造塊し、得られた鋳塊を熱間圧延、冷間圧延した後、アルカリ脱脂し、続いて濃度1.0〜10.0%のリン酸溶液を用いて、20〜80℃の温度、1〜30sの時間リン含有皮膜生成処理を行い、その後、480〜570℃の温度、1〜60hの時間、真空中あるいは不活性ガス中で最終焼鈍を施し、さらに温度をT、時間をtとしたとき、縦軸をT、横軸をtとするグラフにおいて、下記(1)〜(4)式で示す4本の直線で囲まれた領域内の条件で、大気雰囲気中で後酸化処理を行うことを特徴とする。
T=480 …(1)
T=250 …(2)
T=−10t+490 …(3)
T=−460t+710 …(4)
請求項4による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、請求項3において、前記最終焼鈍前に行うリン含有皮膜生成処理における材料の溶解減量(ΔW)が0.03〜0.30g/m(投影面積)であることを特徴とする。
請求項5による電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法は、請求項3または4において、前記アルカリ脱脂およびリン含有皮膜生成処理工程がスプレー処理を適用し、且つ、アルカリ脱脂、水洗、リン含有皮膜生成処理、水洗および乾燥からなる連続処理であることを特徴とする。
本発明によれば、冷間圧延後の硬質アルミニウム箔の表面を、最終焼鈍前にリン酸溶液と接触させることにより、前工程で生成した不均一な酸化皮膜を含む材料の表層部が溶解除去されて均一なリン含有皮膜が生成し、その後、真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で最終焼鈍することにより、(100)面が高密度に集積されるとともに、材料中に添加された鉛が表面濃縮して、酸化皮膜中に欠陥が均一に導入され、さらに、大気雰囲気中で後酸化処理することによって、エッチングピットの起点となる結晶性酸化物の均一分散が得られる。
本特許に従って製造された電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、リン酸処理による材料表面の不均一な酸化皮膜の溶解除去と、後酸化処理による結晶性酸化物の形成により、ピット起点となる結晶性酸化物および酸化皮膜中の欠陥の分布が均一で、ピットの発生数が多く且つ分散性が良好となる。
本発明による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(合金箔を含む、以下同じ)においては、圧延垂直方向に測定した中心線平均粗さ(Ra)がRa<0.5μm、蛍光X線発光分光分析にて測定した材料表面のリン検出強度と酸素検出強度の比(P/O)が1.5≦P/O≦3.0、ハンターホール法で測定したバリアー性皮膜の破壊電位が1.0〜3.0V、且つ結晶性酸化物の分布数が1.0×10〜5.0×10個/cmであり、1μmの領域内に存在する結晶性酸化物数をxとしたとき、下式で表される結晶性酸化物の分散性係数(σ)がσ<1.8であることを特徴とする。
Figure 2007335641
圧延垂直方向に測定した中心線平均粗さRaが0.5μm以上では、結晶性酸化物が冷間圧延で生じた粗大な圧延条痕上に並んで生成し、ピット分散性が不均一となるため、容量向上効果が得難い。
リン検出強度と酸素検出強度の比P/Oは、リン含有皮膜の生成度合いを示す指標として設定される。比P/Oの好ましい範囲は1.5〜3.0であり、P/Oが1.5未満ではリン含有皮膜の生成量が少ないため直流エッチング初期の表面溶解を抑制する効果が不十分となり、P/Oが3.0を超えると生成したリン含有皮膜が不均一となり、皮膜中の粗大欠陥が多くなるため、容量向上効果が得難くなる。
本発明によれば、酸化皮膜厚さについて、最終焼鈍後に後酸化処理を行うため、ハンターホール法で測定したバリアー性皮膜の破壊電位が1.0V以上となる。バリアー性皮膜の破壊電位が3.0Vを超えると、直流エッチングの前処理でバリアー性皮膜を除去しきれず、ピット分散性が不均一となり、容量向上効果が得難くなる。
また、本発明に従えば、結晶性酸化物の分布数について、最終焼鈍後に後酸化処理を行うため、分布数は1.0×10個/cm以上となる。分布数が5.0×10個/cmを超えると、発生したピット同士が合体し、無効溶解となるため、容量向上効果が得難くなる。1μmの領域内に存在する結晶性酸化物数をxとしたとき、前記の式で表される結晶性酸化物の分散性係数(σ)が1.8以上となると、結晶性酸化物間の距離が近いために、発生したピット同士が合体して無効溶解となり、静電容量向上効果が得難くなる。
本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、好ましくは、Si:5〜60ppm、Fe:5〜60ppm、Cu:30〜80ppm、Pb:0.1〜2.0ppmを含有し、残部Alおよび不可避不純物からなる組成を有する。
Si、Feがそれぞれ5ppm未満では粗大粒が発生するおそれがあり、60ppmを超えると異方位結晶粒が成長し、(100)面占有率が低下し易くなる。Cuはピット長さを増加させるよう機能するが、30ppm未満ではその効果が不十分であり、80ppmを超えると(100)面の集積が阻害される。Cuのより好ましい含有範囲は40〜60ppmである。
Pbは、前記のように、最終焼鈍時に表面濃縮して、酸化皮膜中に欠陥を均一に導入し、大気雰囲気中で後酸化処理することによって、エッチングピットの起点となる結晶性酸化物を均一に分散させるよう機能する。Pbの好ましい含有量は0.1〜2.0ppmの範囲であり、0.1ppm未満では最終焼鈍による鉛の表面濃縮が不均一となり、直流エッチング後に未エッチ部が生じ易くなり静電容量が低下する。Pbが2.0ppmを超えると最終焼鈍による鉛の表面濃縮が多いため、直流エッチング初期に表面溶解が生じ、箔厚垂直方向に伸展するトンネルピットが減少するため、静電容量が低下する。Pbさらに好ましい含有範囲は0.3〜0.8ppmである。
本発明による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、前記のように、上記の組成を有するアルミニウムを造塊し、得られた鋳塊を熱間圧延、冷間圧延した後、アルカリ脱脂し、続いて濃度1.0〜10.0%のリン酸溶液を用いて、20〜80℃の温度、1〜30sの時間リン含有皮膜生成処理を行い、その後、480〜570℃の温度、1〜60hの時間、真空中あるいは不活性ガス中で最終焼鈍を施し、さらに温度をT、時間をtとしたとき、縦軸をT、横軸をtとするグラフにおいて、下記(1)〜(4)式で示す4本の直線で囲まれた領域内の条件で、大気雰囲気中で後酸化処理を行うことを特徴とする。
T=480 …(1)
T=250 …(2)
T=−10t+490 …(3)
T=−460t+710 …(4)
圧延工程は、常法に従い、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、付加冷間圧延の工程で行われ、その後、アルカリ脱脂、リン酸含有皮膜生成処理が行われる。リン酸含有皮膜生成処理は、濃度1.0〜10.0%のリン酸溶液を用いて、20〜80℃の温度、1〜30sの時間行われる。リン酸濃度が1.0%未満ではリン含有皮膜の生成量が少ないため効果が不十分であり、リン酸濃度が10.0%を超えると、生成したリン含有皮膜が不均一となり、皮膜中の粗大欠陥が多くなるため、容量向上効果が得難くなる。前記のP/Oで規定された範囲において、生成したリン含有皮膜が緻密となり、ピット分散性の向上、表面溶解の抑制の効果を同時に得ることができる。
最終焼鈍条件は、480〜570℃の温度、1〜60hの時間、真空中あるいは不活性ガス中で行うのが望ましく、温度が480℃未満、あるいは時間が1h未満では鉛の表面濃縮が少ないためにピット発生数が減少し易く、静電容量が低下する。温度が570℃を超え、あるいは60hを超えると、コイル状として焼鈍する際に箔面のハリツキが強くなり、剥離する際に酸化皮膜が破壊してしまうために静電容量が低下する。
最終焼鈍後の後酸化処理は、ピットの起点となる結晶性酸化物を発生させ、これを均一に分散させるために行われる。温度をT、時間をtとしたとき、縦軸をT、横軸をtとするグラフにおいて、前記の(1)〜(4)式で示す4本の直線で囲まれた領域内の条件で、大気雰囲気中で後酸化処理を行うことが望ましい。
(1)式の480℃より高い温度域では窒化物が生成して直流エッチングを阻害する。(3)式より長い時間ではバリアー性皮膜厚さが過剰となって直流エッチングの前処理で除去し難くなり、ピット分散性が不均一となる。(2)式の250℃より低い温度域、(4)式より短い時間ではピットの起点となる結晶性酸化物の生成量が不十分となり、静電容量の向上効果が得難い。
本発明においては、最終焼鈍前に行うリン含有皮膜生成処理による溶解減量(ΔW)を0.03〜0.30g/m(投影面積)とすることが望ましい。溶解減量が0.30g/m未満では、前工程で生成した不均一な酸化皮膜の除去が不十分となり、均一なピット分散性が得難いため、静電容量向上効果が小さくなる。溶解減量が0.30g/mを超えると、付加圧延で導入された (100)方位の優先成長を促す表面歪が除去されてしまい、最終焼鈍後に粗大な異方位結晶粒が生じるため、電解コンデンサ電極用として不適当となる。
また、前記アルカリ脱脂およびリン含有皮膜生成処理工程がスプレー処理を適用し、且つ、アルカリ脱脂、水洗、リン含有皮膜生成処理、水洗および乾燥からなる連続処理とするのが好ましく、アルカリ脱脂とリン系皮膜生成処理をスプレー処理とし、且つ連続処理とすることにより、大幅なコストアップをすることがなく、本発明材を量産化することが可能となる。
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明し、その効果を実証する。これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例、比較例
Pb含有量を表1に示す量に調整し、他の成分を前記の範囲としたアルミニウム鋳塊を造塊し、この鋳塊を常法に従って熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、付加圧延して、厚さ110μmの硬質箔とした後、連続式スプレー洗浄機(ノズル流量:10L/分)を用いて、アルカリ脱脂(65℃−5秒)→水洗(常温で5秒)→リン含有皮膜生成処理(条件は表1参照)→水洗(常温で5秒)した。乾燥後、アルゴンガス雰囲気中で温度560℃、時間6hの最終焼鈍を施し、さらに、大気雰囲気中で後酸化処理(条件は表1参照)を実施して試験材とし、直流エッチング試験に供した。
得られた試験材について、以下の方法により、材料表面のリン検出強度と酸素検出強度の比(P/O)を測定し、結晶性酸化物の分布数、分布性を評価した。また、ハンターホール法でバリアー性皮膜の破壊電位を測定した。
(P/O)の測定:蛍光X線発光分光分析により行った。蛍光X線発光分光分析は、RIGAKU製RIX−3100により、真空雰囲気中、Rh管球を用いて30kV−130mAの条件で測定した。
結晶性酸化物の分布数と分散性の評価:試験材の表面にカーボンを蒸着した後、ヨウ素−メタノール法によりアルミニウム基材を溶解し、残った酸化皮膜をJEOL製JEM2010を用いてTEM観察することにより行った。また、結晶性酸化物の同定は、電子線回折法およびTEM−EDXにて行った。
さらに、試験材について、塩酸1mol/Lと硫酸3mol/Lの混酸溶液を用い,液温85℃、電流密度25A/cmの条件で480秒間直流エッチング処理した後、ホウ酸溶液中で200Vに化成し、静電容量を測定した。これらの測定、評価結果を表1〜3に示す。なお、表1〜2において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 2007335641
Figure 2007335641
Figure 2007335641
表3にみられるように、本発明に従う試験材1〜3は108〜110%の優れた静電容量値を示した。
これに対して、表3に示すように、試験材4はリン含有皮膜生成処理における溶解減量が少ないため、不均一な酸化皮膜の除去が十分に行われず、σの値が大きく結晶性酸化物間の距離が近くなってエッチング時に無効溶解が生じ、またP/Oの値が小さくリン含有皮膜の生成量が少なくなってエッチング時に初期の表面溶解を抑制する作用が不十分となり、静電容量が劣っている。
試験材5はリン含有皮膜生成処理における溶解減量が多いため、最終焼鈍後に粗大な異方位結晶が生じるとともに、またP/Oの値が大きく生成したリン含有皮膜が不均一となって皮膜中の粗大欠陥が多くなり、静電容量が劣っている。
試験材6は後酸化処理を行わなかったため、結晶性酸化物の生成量が少なく、静電容量が劣っている。試験材7は後酸化処理の時間が長いため、バリアー性皮膜厚さが過剰となってバリアー性皮膜の除去が不十分となり、エッチング時のピット分散性が不均一となるため静電容量が劣ったものとなった。
試験材8は中心線平均粗さが大きいためピット分散性が劣り、静電容量がやや低い値となっている。試験材9はPb含有量が少なく、最終焼鈍におけるPbの表面濃縮が不均一となって直流エッチングで未エッチング部が生じるため、また、試験材10はPb含有量が多く、最終焼鈍におけるPbの表面濃縮が多くなって直流エッチング初期に表面溶解が生じるため、いずれも静電容量が劣っている。

Claims (5)

  1. 圧延垂直方向に測定した中心線平均粗さ(Ra)がRa<0.5μm、蛍光X線発光分光分析にて測定した材料表面のリン検出強度と酸素検出強度の比(P/O)が1.5≦P/O≦3.0、ハンターホール法で測定したバリアー性皮膜の破壊電位が1.0〜3.0V、且つ結晶性酸化物の分布数が1.0×10〜5.0×10個/cmであり、1μmの領域内に存在する結晶性酸化物数をxとしたとき、下式で表される結晶性酸化物の分散性係数(σ)がσ<1.8であることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
    Figure 2007335641
  2. Si:5〜60ppm、Fe:5〜60ppm、Cu:30〜80ppm、Pb:0.1〜2.0ppmを含有し、残部Alおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  3. 請求項2記載の組成を有するアルミニウムを造塊し、得られた鋳塊を熱間圧延、冷間圧延した後、アルカリ脱脂し、続いて濃度1.0〜10.0%のリン酸溶液を用いて、20〜80℃の温度、1〜30sの時間リン含有皮膜生成処理を行い、その後、480〜570℃の温度、1〜60hの時間、真空中あるいは不活性ガス中で最終焼鈍を施し、さらに温度をT、時間をtとしたとき、縦軸をT、横軸をtとするグラフにおいて、下記(1)〜(4)式で示す4本の直線で囲まれた領域内の条件で、大気雰囲気中で後酸化処理を行うことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
    T=480 …(1)
    T=250 …(2)
    T=−10t+490 …(3)
    T=−460t+710 …(4)
  4. 前記最終焼鈍前に行うリン含有皮膜生成処理における材料の溶解減量(ΔW)が0.03〜0.30g/m(投影面積)であることを特徴とする請求項3記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
  5. 前記アルカリ脱脂およびリン含有皮膜生成処理工程がスプレー処理を適用し、且つ、アルカリ脱脂、水洗、リン含有皮膜生成処理、水洗および乾燥からなる連続処理であることを特徴とする請求項3または4記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
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