JP2007332688A - 杭頭構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐震性の向上を図る杭頭縁切り構造において、比較的簡易な杭頭構造により地震の大きさに応じて杭頭に作用するせん断力を制御することができる杭頭構造を提供する。
【解決手段】基礎スラブ2底面と基礎杭1上面との間に、両者の少なくとも一方に水平に取り付けられる鋼板等の滑り板3と、両者の間の摩擦力を調整可能な摩擦調整材4(滑り板表面に塗布されるコーティング材やスリップ剤等の処理材5、砂などの縁切り材6)を設け、前記摩擦力を摩擦係数0.2〜0.5の範囲に調整することにより、上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震時に剛接合として当該水平力を基礎杭1に伝達し、前記水平力が大きい大地震時に縁切りして基礎杭1に対して基礎スラブ2を水平移動させる。
【選択図】図1
【解決手段】基礎スラブ2底面と基礎杭1上面との間に、両者の少なくとも一方に水平に取り付けられる鋼板等の滑り板3と、両者の間の摩擦力を調整可能な摩擦調整材4(滑り板表面に塗布されるコーティング材やスリップ剤等の処理材5、砂などの縁切り材6)を設け、前記摩擦力を摩擦係数0.2〜0.5の範囲に調整することにより、上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震時に剛接合として当該水平力を基礎杭1に伝達し、前記水平力が大きい大地震時に縁切りして基礎杭1に対して基礎スラブ2を水平移動させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、建物や構造物の杭基礎において、杭基礎の耐震性を向上させるための杭頭構造に関するものである。
建物の基礎を杭基礎として設計する場合、杭頭部の構造としては、固定とする剛結合と、回転を可能とするピン結合とがある。剛結合の場合は杭頭部に生じる曲げモーメントが大きくなり、ピン結合の場合はその設計や施工が難しくなることが考えられる。そこで、杭基礎の耐震性を向上させるための杭頭接合の方法として、杭と基礎スラブとの間に適当な部材を介在させ、杭頭を基礎スラブにつながない方式が考えられる。
この種のいわゆる杭頭縁切り工法として、従来、例えば特許文献1〜4に記載されている発明が開示されている。特許文献1、2の発明は、杭基礎において、フーチング下面と複数本の杭頭部との間に鋼板等で挟んだ砂または砂利からなる緩衝層を介在させ、高圧力下での砂と鋼材の摩擦、水平力が作用したときの砂粒子の挙動等を利用し、上部構造物の鉛直荷重は杭に伝達し、水平力については摩擦力以外の力は伝わらない構造とし、砂等の粒子の破砕現象によりエネルギーを吸収するものである。
特許文献3の発明は、主として地震時曲げモーメントによる杭頭での破壊を防止可能な杭頭構造であり、杭の頭部に複数の円形弾性板を積層し、その上に上部構造物の基礎を載せ、ピン接合または実質的にピン接合と見なし得る状態とし、地震時や風による水平力が上部構造物から作用したとき、杭頭には全くまたは僅かな曲げモーメントしか働かず、曲げモーメントによる杭頭破壊を未然に防止するものである。
特許文献4の発明は、結合状況が地震の大きさによって変化する杭頭の結合構造であり、杭頭に水平に固定される板状の受台と、上部構造物の底面に固定される摺動板と、受台と摺動板との間で摺動範囲を一定に制限する係合部と、受台と摺動板とを初期位置で固定する一定以下の破壊強度とされたストッパピンから構成され、中小規模の地震に対しては基礎杭と上部構造物との間に剛結合的な強度が期待でき、一方、大規模の地震に対しては基礎杭と上部構造物の接触界面に滑りを生じさせ、基礎杭に大きな曲げモーメントが発生しないようにしたものである。
前述の特許文献1〜3の発明の場合、地震の大きさに応じて杭頭に作用するせん断力を制御することができず、合理的な杭を得ることができない。
前述の特許文献4の発明の場合、地震の大きさに応じて杭頭に作用するせん断力を制御することができるものの、治具が板状の受台、摺動板、ストッパピン等から構成され、受台や摺動板には加工が必要であり、比較的コストがかかる。
本発明は、耐震性の向上を図る杭頭縁切り構造において、比較的簡易な杭頭構造により地震の大きさに応じて杭頭に作用するせん断力を制御することができる杭頭構造を提供するものである。
本発明の請求項1に係る発明は、基礎スラブ底面と基礎杭上面の少なくとも一方に硬質の滑り板が取り付けられ、中小地震時に上部構造物に作用する水平力に対しては、当該水平力を基礎杭に伝達し、大地震時に上部構造物に作用する水平力に対しては、基礎杭に対して基礎スラブが水平移動し、基礎杭に作用する水平力が基礎杭の保有耐力以下となるように、前記滑り板の表面に摩擦調整材が塗布されていることを特徴とする杭頭構造である。
摩擦調整材は、後述するように、滑り板の表面に塗布される処理材、必要に応じて設けられる縁切り材などが用いられる。滑り板、処理材あるいは縁切り材を適宜選択して前記摩擦力を調整する。中小地震の場合、上部構造物から杭頭部に作用する水平力は、例えば最大で建物重量の0.2であり、大地震の場合、例えば最大で建物重量の0.25〜0.5であり、中小地震では剛接合または半剛接合、大地震時には縁切りとなるように摩擦力を設定する。
上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震の場合、摩擦力が働いているため剛接合または半剛接合と同等であり、当該水平力が全て基礎杭に伝達される。前記水平力が大きい大地震の場合、摩擦力が限界まで働き、水平力は摩擦力の限界以上は伝わらない。摩擦力の限界を超えた水平力は滑動力となり、杭頭部と基礎スラブの間に変位を生じる。上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震の場合、水平力が大きい大地震の場合のいずれの場合も、杭に伝わる力は杭の保有耐力以下となるので杭の破壊は起こらない。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の杭頭構造において、請求項1記載の杭頭構造において、前記摩擦調整材が樹脂系のコーティング材であることを特徴とする杭頭構造である。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1記載の杭頭構造において、前記摩擦調整材が超微粒子またはワックスを用いたスリップ剤であることを特徴とする杭頭構造である。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の杭頭構造において、前記摩擦調整材の表面に、縁切り材として、砂、砂利または捨てコンクリートの薄層を介在させてあることを特徴とする杭頭構造である。
摩擦調整材は、滑り板(鋼板、プラスチック板、繊維強化プラスチック板など)の表面に塗布される処理材(ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などのコーティング材、またはシリコンパウダー、ポリエチレンワックス、フッ素パウダー等のスリップ剤など)、必要に応じて設けられる縁切り材(砂、砂利、捨てコンクリート等)などが用いられる。これらの滑り板、処理材あるいは縁切り材を適宜選択して前記摩擦力を調整する。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の杭頭構造において、基礎スラブ底面と基礎杭上面との間の摩擦力の限界値が摩擦係数で0.2〜0.5の範囲に調整されていることを特徴とする杭頭構造である。
摩擦係数は、滑りやすいフッ素樹脂板で0.1程度であり、以下に示すとおり、0.2〜0.5の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.25〜0.5である。
本発明においては、縁切り治具としての滑り板と摩擦調整材からなる縁切り部材を、杭頭部と基礎スラブ底面の間に用いることで、定量的に縁切り効果を得ることができる。ここで示した「定量的な縁切り効果」が、本発明の技術的なポイントとなる。縁切りの効果が低すぎても、逆に縁切りの効果が高すぎても、本発明は成り立たない。
本発明では、中小地震が発生した時には、杭頭部と上部構造物の間で縁が切られず、大地震が発生した時に、杭頭部と上部構造物の間で縁切り効果が発揮されて意味を成す。理想とする縁切り効果を摩擦係数(縁切りの効果を表す指標、一般的に用いられている係数)を用いて、数値で表すと、0.25〜0.5程度である。摩擦係数0.25〜0.5であれば、上部構造から杭頭部に作用する水平力が25〜50%にまで低減されることとなる。当然のことながら、この数値の設定には根拠がある。設定の根拠は、建物の設計地震力(水平力)にある。設計地震力は、以下の2つの地震について計算させる。
(1)建物の耐用年限内に一度ないし数度経験する程度の頻度の高い中小地震
耐震設計の基本的な考え方として、中小地震に対しては建物の損傷を生じないように設計を行うものとしている(1次設計)。1次設計で用いる建物が受ける地震力(Qi)は、以下の(1)式で算定される。この式によると、中小地震が生じた場合、1階で働く水平力は、Q1=0.2×Wiとなる。つまり、杭に対して建物重量の20%が水平力として働くこととなる。
耐震設計の基本的な考え方として、中小地震に対しては建物の損傷を生じないように設計を行うものとしている(1次設計)。1次設計で用いる建物が受ける地震力(Qi)は、以下の(1)式で算定される。この式によると、中小地震が生じた場合、1階で働く水平力は、Q1=0.2×Wiとなる。つまり、杭に対して建物重量の20%が水平力として働くこととなる。
Qi=Ci・Wi ……(1)
Ci=Z・Rt・Ai・C0
Qi:層せん断力
Ci:層せん断力係数
Wi:上層階からi階までの建物重量
Z:地震活動係数(0.7〜1.0)
Rt:振動特性計数(0.2〜1.0)
Ai:せん断力分布係数
C0:標準せん断係数
Ci=Z・Rt・Ai・C0
Qi:層せん断力
Ci:層せん断力係数
Wi:上層階からi階までの建物重量
Z:地震活動係数(0.7〜1.0)
Rt:振動特性計数(0.2〜1.0)
Ai:せん断力分布係数
C0:標準せん断係数
(2) 極めてまれに遭遇するかもしれない大地震
大地震に対しては、建物の損傷が生じてもやむを得ないとするが、建物の崩壊、破損その他派生する災害により、人身に被害を与えないように設計を行うものとしている(2次設計)。2次設計で用いる建物が受ける地震力(Qun)は、以下の(2)式で算定される。大地震が生じた場合、1階で働く水平力は、Qun=(0.25〜0.5)×Wiとなる。つまり、杭に対して建物重量の25〜50%が水平力として働くこととなる。
大地震に対しては、建物の損傷が生じてもやむを得ないとするが、建物の崩壊、破損その他派生する災害により、人身に被害を与えないように設計を行うものとしている(2次設計)。2次設計で用いる建物が受ける地震力(Qun)は、以下の(2)式で算定される。大地震が生じた場合、1階で働く水平力は、Qun=(0.25〜0.5)×Wiとなる。つまり、杭に対して建物重量の25〜50%が水平力として働くこととなる。
Qun=Ds・Fes・Qud ……(2)
Qun:保有水平耐力
Ds:構造特性係数(0.25〜0.5)
Fes:形状特性係数(1.0〜3.0、1.0程度が一般的)
(=Fs(剛性率で決まる補正係数)・Fe(偏心率で決まる補正係数))
Qud:大地震時の層せん断力(C0=1.0で計算)
Qun:保有水平耐力
Ds:構造特性係数(0.25〜0.5)
Fes:形状特性係数(1.0〜3.0、1.0程度が一般的)
(=Fs(剛性率で決まる補正係数)・Fe(偏心率で決まる補正係数))
Qud:大地震時の層せん断力(C0=1.0で計算)
中小地震の場合、上部構造物から杭頭部に作用する水平力は、最大で建物重量の0.2である。建物の損傷を生じさせない(上部構造物と杭頭部の間の変形を弾性範囲内)で、中小地震によって生じる水平力を杭に全て負担させるためには、摩擦係数を0.2以上にする必要がある。また、大地震の場合、上部構造物から杭頭部に作用する水平力は、最大で建物重量の0.25〜0.5である。杭耐力が水平力の0.2程度まで期待できるので、それ以上の水平力を杭に作用させないためには、大きくても摩擦係数を0.5以下にする必要がある。
摩擦係数が0.25〜0.5が実現されない場合、本発明の効果は半減される。例えば、摩擦係数が小さすぎると、上部構造物から杭頭部へ水平力が作用しないことになるので、杭自体に水平力に対して耐力が期待できるにも関わらず、その耐力が殆ど使われず、非合理的な装置となる。反対に、摩擦係数が大きすぎると、上部構造物から杭頭部へ殆ど水平力が作用することになる。結果的に、杭頭を剛接合したものと変わらなくなる。
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果が得られる。
(1)基礎スラブ底面と基礎杭上面との間に滑り板と摩擦調整材とを設け、上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震の場合、当該水平力を基礎杭に伝達し、前記水平力が大きい大地震の場合、基礎杭に対して基礎スラブが水平移動するように前記摩擦力を調整するようにしているため、比較的簡易な杭頭構造により地震の大きさに応じて杭頭に作用するせん断力を制御することができ、耐震性の良好な杭頭構造が低コストで得られる。
(1)基礎スラブ底面と基礎杭上面との間に滑り板と摩擦調整材とを設け、上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震の場合、当該水平力を基礎杭に伝達し、前記水平力が大きい大地震の場合、基礎杭に対して基礎スラブが水平移動するように前記摩擦力を調整するようにしているため、比較的簡易な杭頭構造により地震の大きさに応じて杭頭に作用するせん断力を制御することができ、耐震性の良好な杭頭構造が低コストで得られる。
(2)中小地震から大地震まで杭が持つ耐力の範囲内で荷重を受け持たせることができ、合理的な杭が得られ、杭を必要最小限の性能を有するものとすることができ、コストの低減が可能となる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1〜図4は、本発明の杭頭構造の実施形態を示す鉛直断面図である。図5は、本発明の杭頭構造の中小地震時の挙動と大地震時の挙動を示す鉛直断面図である。
本発明の杭頭構造は、図1〜図4に示すように、基礎杭1と基礎スラブ2との間の杭頭縁切り構造であり、基礎杭1上面と基礎スラブ2底面との間に、基礎杭1上面と基礎スラブ2底面のいずれか一方に取り付けられる滑り板3と、基礎杭1上面と基礎スラブ2底面との間の摩擦力を調整可能な摩擦調整材4とが設けられている。摩擦調整材4は、滑り板3の表面に塗布される処理材5と、必要に応じて設けられる縁切り材6から構成される。
滑り板3には、鋼板、プラスチック板、繊維強化プラスチック板などが用いられ、例えば取付部材3aにより基礎杭1上面または基礎スラブ2底面に取り付けられる。処理材5には、滑り板3の表面にコーティングされるウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂など、あるいはシリコンパウダー、ポリエチレンワックス、フッ素パウダー等のスリップ剤などが用いられる。縁切り材6には、砂、砂利、捨てコンクリート等が用いられる。
図1の実施形態では、基礎杭1の杭頭部を完全に覆うように滑り板3が取り付けられ、滑り板3の上に敷砂6aが埋戻されている。図2の実施形態では、滑り板3の周囲に敷砂6aが埋め戻され、これらの上に捨てコンクリート6bが打設されている。図3の実施形態では、滑り板3の周囲に敷砂6aが埋め戻され、これらの上に基礎スラブ2が直接載置されている。図4の実施形態では、基礎杭1上面と基礎スラブ2底面の両方に滑り板3が取り付けられ、その間に敷砂6aが配置されている。
以上のような構成において、滑り板3の大きさ・形状・材質など、処理材5の材質など、縁切り材6の有無や材質などを適宜変更することにより、基礎杭1上面と基礎スラブ2底面との間の摩擦力を調整し、上部構造物に作用する水平力が小さい中小地震の場合、当該水平力を基礎杭1に伝達し、前記水平力が大きい大地震の場合、基礎杭1に対して基礎スラブ3が水平移動するように構成し、滑り板3に杭の破壊を防止するリミッターの機能を持たせる。
(1)杭頭部に杭の耐力以下の水平力が作用する場合(中小地震、図5(a)参照)
a)滑り板3の摩擦力が働く。
b)上部構造物からの水平力は、摩擦力が働いているため、全て基礎杭1に伝わる。
c)滑り板3の摩擦力は、基礎杭1の保有耐力以下となる。
d)基礎杭1に伝わる力は、基礎杭1の保有耐力以下なので基礎杭1の破壊は起こらない。
e)杭頭の条件は、剛接合または半剛接合したものと同等。従って、基礎杭1の頭部と基礎スラブ2の間に変位は生じない。この場合、滑り板3の摩擦力が限界まで働いていないために、基礎杭1の破壊を防止するリミッター機能は働いていないことになる。
a)滑り板3の摩擦力が働く。
b)上部構造物からの水平力は、摩擦力が働いているため、全て基礎杭1に伝わる。
c)滑り板3の摩擦力は、基礎杭1の保有耐力以下となる。
d)基礎杭1に伝わる力は、基礎杭1の保有耐力以下なので基礎杭1の破壊は起こらない。
e)杭頭の条件は、剛接合または半剛接合したものと同等。従って、基礎杭1の頭部と基礎スラブ2の間に変位は生じない。この場合、滑り板3の摩擦力が限界まで働いていないために、基礎杭1の破壊を防止するリミッター機能は働いていないことになる。
(2)杭頭部に杭の耐力以上の水平力が作用する場合(大地震、図5(b)参照)
a)滑り板3の摩擦力が限界まで働く。
b)上部構造物からの水平力は、滑り板3の摩擦力が限界以上は伝わらない。
c)滑り板3の摩擦力は、基礎杭1の保有耐力以下にする。
d)基礎杭1に伝わる力は、基礎杭1の保有耐力以下なので基礎杭1の破壊は起こらない。
e)滑り板3の摩擦力の限界を超えた水平力は、滑動力となり、基礎杭1の頭部と基礎スラブ2の間に変位が生じる。この場合、滑り板3の摩擦力が限界まで働いているために、基礎杭1の破壊を防止するリミッター機能は働いていることになる。
a)滑り板3の摩擦力が限界まで働く。
b)上部構造物からの水平力は、滑り板3の摩擦力が限界以上は伝わらない。
c)滑り板3の摩擦力は、基礎杭1の保有耐力以下にする。
d)基礎杭1に伝わる力は、基礎杭1の保有耐力以下なので基礎杭1の破壊は起こらない。
e)滑り板3の摩擦力の限界を超えた水平力は、滑動力となり、基礎杭1の頭部と基礎スラブ2の間に変位が生じる。この場合、滑り板3の摩擦力が限界まで働いているために、基礎杭1の破壊を防止するリミッター機能は働いていることになる。
(3)杭の破壊を防止するリミッター機能を効果的に働かすためには、
a)基礎杭1の保有耐力から、最適な滑り板3の摩擦力の限界値を設定する。
b)限界値(摩擦係数)の設定は、滑り板3の接地面積や形状の調整、摩擦調整材4の仕様などによって決める。
c)摩擦係数は、上載圧に依存する。建物床面積に対して、杭の上端面積は、建物底面積に比べて小さいので、滑り板3の接地面積や形状を調節することが必須である。
d)必ず摩擦力の限界値を杭の保有耐力よりも小さくなるように、限界値(摩擦係数)の設定を行う。
e)摩擦係数が0.2〜0.5の範囲となるように調整する。
a)基礎杭1の保有耐力から、最適な滑り板3の摩擦力の限界値を設定する。
b)限界値(摩擦係数)の設定は、滑り板3の接地面積や形状の調整、摩擦調整材4の仕様などによって決める。
c)摩擦係数は、上載圧に依存する。建物床面積に対して、杭の上端面積は、建物底面積に比べて小さいので、滑り板3の接地面積や形状を調節することが必須である。
d)必ず摩擦力の限界値を杭の保有耐力よりも小さくなるように、限界値(摩擦係数)の設定を行う。
e)摩擦係数が0.2〜0.5の範囲となるように調整する。
1…基礎杭
2…基礎スラブ
3…滑り板
4…摩擦調整材
5…処理材
6…縁切り材
6a…敷砂
6b…捨てコンクリート
2…基礎スラブ
3…滑り板
4…摩擦調整材
5…処理材
6…縁切り材
6a…敷砂
6b…捨てコンクリート
Claims (5)
- 基礎スラブ底面と基礎杭上面の少なくとも一方に硬質の滑り板が取り付けられ、中小地震時に上部構造物に作用する水平力に対しては、当該水平力を基礎杭に伝達し、大地震時に上部構造物に作用する水平力に対しては、基礎杭に対して基礎スラブが水平移動し、基礎杭に作用する水平力が基礎杭の保有耐力以下となるように、前記滑り板の表面に摩擦調整材が塗布されていることを特徴とする杭頭構造。
- 請求項1記載の杭頭構造において、前記摩擦調整材が樹脂系のコーティング材であることを特徴とする杭頭構造。
- 請求項1記載の杭頭構造において、前記摩擦調整材が超微粒子またはワックスを用いたスリップ剤であることを特徴とする杭頭構造。
- 請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の杭頭構造において、前記摩擦調整材の表面に、縁切り材として、砂、砂利または捨てコンクリートの薄層を介在させてあることを特徴とする杭頭構造。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の杭頭構造において、基礎スラブ底面と基礎杭上面との間の摩擦力の限界値が摩擦係数で0.2〜0.5の範囲に調整されていることを特徴とする杭頭構造。
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- 2006-06-16 JP JP2006166964A patent/JP2007332688A/ja active Pending
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