JP2007331331A - 積層成形体の成形方法並びに成形金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層成形体の成形方法並びに成形金型であって、ソフト感を良好に維持するとともに、シャープな外観形状を確保できる。
【解決手段】樹脂芯材20の表面に表皮30をモールドプレス成形工法、射出成形工法により一体化する際、表皮30は、トップ層31の裏面にクッション層32を一体化したものを加熱軟化処理した後、成形上型50により真空成形する際、成形下型60上に支柱83,84,86を介して支持されるアシストモデル80と成形上型50との間でプレス圧をかけて、薄肉状に均一厚みを確保できるように成形を行ない、溶融樹脂Mの供給時、熱的ダメージが表皮30に及ぶことを回避するとともに、表皮30を真空・プレス成形することで製品表面の外観性能を高める。
【選択図】図3
【解決手段】樹脂芯材20の表面に表皮30をモールドプレス成形工法、射出成形工法により一体化する際、表皮30は、トップ層31の裏面にクッション層32を一体化したものを加熱軟化処理した後、成形上型50により真空成形する際、成形下型60上に支柱83,84,86を介して支持されるアシストモデル80と成形上型50との間でプレス圧をかけて、薄肉状に均一厚みを確保できるように成形を行ない、溶融樹脂Mの供給時、熱的ダメージが表皮30に及ぶことを回避するとともに、表皮30を真空・プレス成形することで製品表面の外観性能を高める。
【選択図】図3
Description
この発明は、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品に好適な積層成形体の成形方法並びに成形金型に係り、特に、クッション性能を良好に維持できるとともに、シャープな外観形状を忠実に現出できる積層成形体の成形方法並びに成形金型に関する。
従来から、ドアトリム、ラゲージサイドトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品としては、車体パネルへの取付剛性並びに形状保持性を備えた樹脂芯材の表面に表面風合い、並びにソフト感が良好な表皮を貼着して構成されることが多い。例えば、図14,図15を基にドアトリム1を例示して説明する。ドアトリム1は、樹脂芯材2の表面に表皮3を一体貼着して構成されている。この樹脂芯材2としては、コスト、成形性等を考慮して、ポリプロピレン樹脂にフィラーを適宜混入した複合ポリプロピレン系樹脂材料が使用されている。また、表皮3としては、製品表面側からクロス3a、ポリウレタンフォーム3bからなる二層の積層シート材料が使用されている。この表皮3については、クロス3aにより良好な表面風合いを確保し、ポリウレタンフォーム3bのクッション性により、ソフト感を良好に維持できる機能を備えている。尚、図中符号1aはアームレストを示す。
次に、ドアトリム1の成形方法に使用する従来の成形金型4について、図16を基に説明する。成形金型4は、可動側である成形上型5と、その下方に位置する固定側の成形下型6と、成形下型6に連設されている射出機7とから大略構成されている。成形上型5は、シリンダ5aにより所定ストローク上下動可能に構成され、成形上型5の上下動作により、成形上下型5,6は、型締め、型開きが行なわれる。また、成形下型6には、射出機7から供給される溶融樹脂Mの樹脂通路として、ホットランナ6a、ゲート6bが設けられている。
そして、成形金型4が型開き状態にある時、表皮3の周縁をクランプ枠8により保持した状態で成形金型4内に投入する。次いで、成形上型5を所定ストローク下降操作して、図17に示すように、成形上下型5,6の型クリアランスが所定値に到達した時、射出機7から溶融樹脂Mがホットランナ6a、ゲート6bを通じて成形下型6の型面所定位置に分配供給される。更に、成形上型5の下降動作が続行し、成形上下型5,6の型クリアランスが一定値になった時(成形上型5が下死点に到達した時)、溶融樹脂Mは、成形上下型5,6間のキャビティ形状に沿っていきわたり、所望厚みで所望形状の樹脂芯材2が成形されるとともに、この樹脂芯材2の表面に表皮3が一体貼着されて成形が完了する(図18参照)。従来の積層成形体及びその成形方法については、特許文献1に詳細に記載されている。
このように、従来の成形金型4による樹脂芯材2と表皮3との同時成形においては、図17に示す溶融樹脂Mの供給時、溶融樹脂Mの熱により、表皮3におけるポリウレタンフォーム3b等のクッション層がダメージを受け、成形後、クッション性能が低下し、ソフト感に劣るという欠点が指摘されている。例えば、製品表面のショアC硬度は62程度である。
更に、表皮3の形状保持は、樹脂芯材2に依存しているため、アームレスト1aのコーナー部等、シャープな形状出しができず、外観意匠性についても良好なものとはいえなかった。例えば、アームレスト1aのコーナー部の曲率はR5(R2.5が理想)である。加えて、表皮3の原反自体に絞模様が設けられている場合には、アームレスト1aのように、展開率の高い部位では絞模様が伸び、変形することから、外観意匠性を低下させる要因となっている。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、クッション層を裏打ちしたクッション性能に優れた表皮を樹脂芯材の成形時、一体化してなる積層成形体の成形方法並びに成形金型であって、良好なソフト感が得られ、かつシャープな外観形状の現出が可能となる積層成形体の成形方法並びに成形金型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、成形上下型内に表皮をセットし、成形上下型間で形成されるキャビティ内に溶融樹脂を供給することで樹脂芯材を所要形状に成形するとともに、樹脂芯材の表面に表皮を一体化してなる積層成形体の成形方法において、前記成形上型に真空吸引機構が付設されているとともに、支柱を介して成形下型上にアシストモデルが支持される成形金型を使用し、成形上下型の型開き状態時、加熱軟化処理した表皮を成形金型内に投入し、次いで、成形下型上に支柱を介してアシストモデルをセットした後、成形上型に付設されている真空吸引機構を稼動させ、成形上型の型面に沿って表皮を真空成形するとともに、成形上型を下降操作し、成形下型に支持されているアシストモデルと、成形上型との間で表皮をプレス加工し、表皮を均一厚みで薄肉状に成形する表皮の成形工程と、前記成形工程で成形された表皮を成形上型に保持した状態で成形上型を上昇操作した後、アシストモデルを成形下型から取り外し、その後、表皮を保持した状態で成形上型を所定ストローク下降操作し、成形上型が下死点に到達する直前、あるいは到達した後のいずれかのタイミングでキャビティ内に溶融樹脂を供給し、樹脂芯材を所望の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材の表面に表皮を一体化する樹脂芯材と表皮との一体化工程とからなることを特徴とする。
ここで、積層成形体は、樹脂芯材と表皮とから構成されており、樹脂芯材の素材として、熱可塑性樹脂が使用され、1種類の熱可塑性樹脂、あるいは2種類以上の熱可塑性樹脂からなっても良い。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用できる。また、熱可塑性樹脂中に充填剤を混入しても良く、充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子がある。更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、低収縮剤等の各種添加剤が配合されても良い。一方、表皮としては、成形金型から絞模様を転写するために、熱可塑性樹脂シートの単一シート材料か、あるいは熱可塑性樹脂シートをトップ層として、その裏面にポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の発泡樹脂成形体からなるクッション層を裏打ちした積層シート材料を使用することができる。尚、所望ならば、裏面にバッキングシートやメリヤス布等をラミネートしても良い。
更に、積層成形体の用途としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品に適用できる他に、鉄道車両等の内装パネルや、家屋の内装パネル等に適用することもできる。
次に、本発明方法を実施する上で使用する成形金型は、樹脂芯材の表面に表皮を一体化してなる積層成形体を所要形状に成形する成形金型であって、この成形金型は、所定ストローク上下動する可動側の成形上型と、成形上型の下方に位置する固定側の成形下型とを備え、成形上型には、表皮を真空成形するための真空吸引機構が配設されているとともに、成形下型上にアシストモデルが装備され、上記アシストモデルは、表皮の形状出しを行なうモデル型と、このモデル型を支持するテーブルと、成形下型とテーブルとの間に設けられ、上記テーブルを支持する支柱とから構成され、成形上型とアシストモデルのモデル型との間で表皮に所定のプレス圧を加えることを特徴とする。
この成形金型における成形上型は、プレス機に連結され、所定ストローク上下動可能であるとともに、表皮を真空成形、あるいは表皮を成形上型に保持した状態で動作が可能なように、真空吸引機構が配設されているとともに、表皮を保持する表皮セット枠を支持するクランパー並びにクランパーを進退動作させるシリンダが設けられている。一方、成形下型は、溶融樹脂を供給するために連設されている射出機から供給される溶融樹脂の樹脂通路としてのマニホールド、ゲートが設けられている。更に、表皮を精度良く成形するために、本発明方法で使用するアシストモデルは、樹脂芯材の形状に合致するモデル型がテーブル上に固定されており、このテーブルは、成形下型の上面に支柱を介して支持されている。具体的な構成としては、成形下型の4隅部に起倒可能に立設される支柱にモデル型を取り付けたテーブルを支持固定する構成でも良く、また、モデル型を取り付けたテーブルの下面に支柱を立設するか、あるいは起倒可能に支柱を設け、収納時には支柱を折り畳んでコンパクトに収容するとともに、取付時には支柱を起立させて成形下型の4隅部に設けた取付部に支柱の下端を取り付けるようにしても良い。
そして、本発明方法は、表皮の成形工程と、表皮と樹脂芯材との一体化工程に大別され、表皮の成形工程としては、その前工程として表皮の周縁を表皮セット枠で保持し、ヒーター装置で所定温度に加熱軟化処理した後、成形下型の周縁に設けられているクランパーに表皮セット枠を取り付けることで、表皮を成形金型内にセットする。
次いで、表皮の成形工程としては、成形上型に付設されている真空吸引機構を動作させて表皮を成形下型の型面に追従させるとともに、成形上型を下降操作し、成形下型に支柱を介して取り付けられているアシストモデルのモデル型に押し付け、成形上型とアシストモデルとの間で表皮にプレス圧をかける。従って、真空吸引力とプレス圧とで表皮を均一で、かつ薄肉状に精度良く成形することができる。
また、表皮と樹脂芯材の一体化工程は、表皮を成形した後、表皮は成形上型に真空吸引保持された状態で上昇操作され、アシストモデルが成形下型から外部にに取り外され、その後、表皮を保持した状態で成形上型が所定ストローク下降操作され、成形下型との間の型クリアランスが所定値に到達した時、射出機から溶融樹脂を射出し、マニホールド、ゲートを通じて成形下型の型面に供給される。そして、成形上型が下死点まで下降した際、溶融樹脂はプレス圧により隅々にまでいきわたり、樹脂芯材が所要形状に成形されるとともに、表皮が一体化される。尚、成形上型が下死点まで下降した後、溶融樹脂を射出充填するようにしても良い。
そして、本発明方法によれば、加熱軟化処理した表皮を型開き状態にある成形上下型内に投入した後、プレス上型の真空吸引機構を動作させることで、表皮を真空成形するとともに、成形上型を下降操作し、成形下型に支柱を介して支持されているアシストモデルと成形上型間で表皮をプレス加工することにより、表皮を均一で、かつ薄肉に忠実に成形することができる。次いで、表皮を真空吸引力により成形上型に保持した状態でキャビティ内に溶融樹脂が供給されるため、溶融樹脂からの熱的ダメージが表皮に及ぶことがなく、クッション層のクッション性能を良好に維持できる。また、表皮を製品形状に真空成形及びプレス成形した状態で成形上型に保持し、溶融樹脂の供給を行なうため、溶融樹脂の流動性を良好に維持できるとともに、製品のハイライト線等、シャープな外観形状を忠実に現出することができる。更に、成形上型の真空吸引機構と成形上型とアシストモデルとの間のプレス圧とにより表皮を良好に成形できるため、成形上型の型面から絞模様を良好に転写することができる。従って、従来の高価な絞付きシートを使用することなく、廉価な絞なしシートを使用しても精度の良い絞模様の転写ができる。
以上説明した通り、本発明に係る積層成形体の成形方法は、成形下型上に支柱を介してアシストモデルを投入支持し、加熱軟化処理した表皮を成形上型の型面に沿って真空成形するとともに、成形下型に支持されたアシストモデルに対して成形上型をプレス圧着することで、表皮を均一厚みで、かつ薄肉状に成形するというものであるから、型締め直前、あるいは型締め後に溶融樹脂を供給する際、表皮と下型との間に充分なクリアランスが確保されているため、表皮のクッション層に加わる熱的ダメージが少ない。更に、製品形状に賦形され、その形状を保持するため、積層成形体はソフト感に優れ、かつシャープなハイライト線等、外観形状をシャープに現出することができる。また、樹脂の流動性を向上させることにより、成形性を高めることができるという種々の効果を有する。
更に、本発明に係る積層成形体の成形方法は、表皮を加熱軟化処理した後、成形上型とアシストモデルとの間で表皮の成形を行なうため、廉価な絞なしシートを使用しても、真空成形時に成形上型から絞模様を精度良く転写することができる。従って、展開率の高い部位においても絞流れ等の外観不良が生じることがなく、外観見栄えの優れた積層成形体を廉価に提供できるという効果を有する。
以下、本発明に係る積層成形体の成形方法の実施例について、ドアトリムの成形方法及びそれに使用する成形金型を例示して詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
図1乃至図13は、本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明方法により成形したドアトリムを示す正面図、図2は同ドアトリムの構成を示す断面図、図3は本発明方法に使用する成形金型の全体構成を示す説明図、図4乃至図9は本発明に係るドアトリムの成形方法の各工程を示す説明図である。更に、図10,図11は本発明に係る成形金型におけるアシストモデルの変形例を示すもので図10(a),(b)はアシストモデルの構成を示す説明図、図11は成形下型に取り付ける態様を示す説明図、図12,図13は更にアシストモデルの変形例を示すもので、図12はアシストモデルの構成を示す説明図、図13は成形下型にアシストモデルを組み付ける態様を示す説明図である。
まず、図1,図2において、ドアトリム10は、所望の曲面形状に成形され、図示しないドアパネルへの取付剛性並びに形状保持性を有する樹脂芯材20の表面に表面外観並びに表面感触に優れた表皮30を積層一体化して構成されている。尚、ドアトリム10には、各種付属部品が装着されている。例えば、中接部には、インサイドハンドルエスカッション11が取り付けられており、中接部の下方に位置するアームレスト12は、室内側に膨出する形状に成形され、アームレスト12の上面にプルハンドルユニット13、パワーウインドウスイッチエスカッション14が取り付けられている。また、アームレスト12の下方には、備品を収容できるドアポケット15が配備され、そのフロント側には、ドアトリム10と一体、あるいは別体にスピーカグリル16が取り付けられている。
そして、上記ドアトリム10における樹脂芯材20としては、熱可塑性樹脂の材料を使用し、後述するモールドプレス成形工法の他に射出成形工法等の各種成形工法を採用することができる。使用する熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。
一方、表皮30としては、本実施例ではトップ層31、クッション層32の二層積層体からなるシート材料が使用されており、トップ層31としては、TPO(サーモプラスチックオレフィン)樹脂、PVC樹脂、PP樹脂等の熱可塑性樹脂シートが使用され、クッション層32としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の発泡樹脂シートが使用されている。
ところで、本発明方法により形成されたドアトリム10は、従来のモールドプレス成形工法、真空成形工法に比べ、製品のソフト感並びに製品の外観形状(シャープ形状)が改善されている。すなわち、ショアC硬度が56であり、優れたクッション性能を備えているとともに、曲率がR2.5のように、成形金型のRとほぼ等しいRを備えている。更に、ドアトリム10における表皮30の外観は、成形金型から絞模様が転写され、絞模様の現出が非常に良好であり、意匠性においても優れたものとなっている。
次いで、上記ドアトリム10を成形するための成形金型40の構成を図3を基に説明する。成形金型40は、樹脂芯材20と表皮30とを一体にモールドプレス成形することができる相互に型締め、型開き可能な成形上型50、成形下型60と、成形下型60に連設され、樹脂芯材20の素材である溶融樹脂を供給する射出機70と、表皮30を成形上型50と協働して成形できるように、成形上下型50,60内に投入され、成形下型60に支持されるアシストモデル80と、表皮30を成形上下型50,60内にセットする際に使用する表皮セット枠90とから大略構成されている。
更に詳しくは、成形上型50は、プレス機51と連結され、所定ストローク上下動可能であり、それぞれ型締め、型開き状態を維持することができ、この成形上型50の下面周縁に沿って表皮セット枠90を保持するクランパー52がシリンダ53により支持されている。また、成形上型50は、表皮30を成形するための真空吸引機構Vcが付設されている。すなわち、成形上型50の型面には、多数の真空吸引孔54が開設され、真空吸引孔54と連通する空気室55と、真空吸引ポンプ56との間に真空吸引管57が配管され、この真空吸引管57には開閉バルブ58が設けられており、開閉バルブ58を図示しない制御装置により開閉操作することで、成形上型50に真空吸引力を選択的に付与することができる。一方、成形上型50の下方に位置する成形下型60は、射出機70から供給される溶融樹脂Mの樹脂通路となるマニホールド61、ゲート62が設けられており、これらマニホールド61、ゲート62を通じて溶融樹脂Mは成形下型60の型面上に供給される。
次いで、成形上下型50,60内に投入されるアシストモデル80は、テーブル81上にモデル型82が上載せ設置されており、モデル型82は、樹脂芯材20の造形形状に合致している。尚、モデル型82としては、シリコーンゴムや強化プラスチック等が考えられる。そして、この実施例においては、成形下型60の4隅部の上面に支柱83が起倒可能に立設されており、起立状態の支柱83の上端83aにテーブル81の取付部を係止することで、アシストモデル80が成形下型60に支柱83を介して着脱自在に取り付けられる。このように、アシストモデル80の構成として、モデル型82を設けたテーブル81を支柱83を介して成形下型60上に取り付けるという構成を採用すれば、成形上型50とアシストモデル80との間で表皮30にプレス圧を加える際、成形上型50からのプレス圧に充分耐え得ることができるとともに、表皮30の成形に必要な成形上型50のプレスストロークも少なくて済む。更に、表皮30を保持する表皮セット枠90は、アルミ製のフレーム体91の上面に所定ピッチ間隔で表皮30を突き刺し保持する保持針92が設けられた構成でも良く、あるいはベースフレームに対してヒンジ部を介して回動可能に開閉フレームを取り付け、ベースフレームと開閉フレームとの間で表皮30を挟み込むように支持する挟み込みタイプの構成を採用することもできる。
次いで、図4乃至図8に基づいて、ドアトリム10の成形方法の各工程について順次説明する。まず、図示はしないが、表皮30を図示しないヒーター装置により所定温度に加熱軟化処理する。この時、表皮30は、その周縁が表皮セット枠90により保持された状態でヒーター装置に搬送される。その後、図4に示すように、成形金型40内に表皮30をセットするが、この時、成形上下型50,60は型開き状態にあり、成形上型50のクランパー52は、シリンダ53が収縮動作しているため、外側位置にきており、加熱軟化処理した表皮30を保持した表皮セット枠90を所定位置に位置決めした後、シリンダ53を伸長動作させてクランパー52を中央に向けて前進させれば、クランパー52により表皮セット枠90を保持することができる。
更に、図5に示すように、成形上下型50,60内にアシストモデル80を投入する。具体的には、成形下型60の上面4隅部に支柱83が立設されており、この支柱83の上端83aにモデル型82を上載せ設置したテーブル81の取付部を係止することで、アシストモデル80を支柱83を介して成形下型60に簡単に取り付けることができる。その後、図6に示すように、成形上型50に配設されている真空吸引機構Vcを駆動させ、表皮30を成形上型50の型面に沿って真空成形するとともに、成形上型50の型面に真空吸引力により表皮30を保持した状態で成形上型50を下降操作し、アシストモデル80におけるモデル型82と成形上型50の型面との間でプレス圧を加え、このプレス圧と真空吸引力により、表皮30を均一な厚みで、かつ薄肉状に成形する。この時、成形上型50の型面に刻設されている絞模様を転写することもできる。
そして、表皮30の成形が完了すれば、表皮30を真空吸引力により成形上型50の型面に保持した状態で成形上型50を上昇させてアシストモデル80を成形下型60から取り外す。その後、図8に示すように、成形された表皮30を真空吸引力により成形上型50に保持した状態でプレス機51を駆動させて、成形上型50を所定ストローク下降させ、成形上下型50,60の型クリアランスが所定値に到達した時、図示するように、射出機70からマニホールド61、ゲート62を通じて溶融樹脂Mを成形下型60の型面に供給する。この溶融樹脂Mの素材としては、上述した汎用の熱可塑性樹脂材料が使用できる。本実施例では、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=65g/10分)が使用されており、タルクが適宜割合で混入されていても良い。
そして、本発明方法においては、この溶融樹脂Mの供給工程において、成形上型50の型面に沿って薄肉に成形された表皮30が保持された状態で溶融樹脂Mが供給されるため、表皮30のクッション層32の裏面と成形下型60の型面とのクリアランスがほぼ一定に確保されており、溶融樹脂Mの流動性を良好に維持できるとともに、表皮30がテント張り状態にならないため、クッション層32に溶融樹脂Mからの熱的ダメージが及ぶことが少なく、クッション層32のクッション性能を良好に維持でき、製品のソフト感を強調できる。尚、成形下型60に起倒可能に立設されている支柱83は、成形上型50と干渉することがない位置に倒されている。そして、図9に示すように、プレス機51の駆動により、成形上型50を下死点まで下降操作すれば、溶融樹脂Mがキャビティの隅々にまでいきわたり、樹脂芯材20が所望の曲面形状に成形されるとともに、この樹脂芯材20の表面側に表皮30が一体化されてドアトリム10の成形が完了する。次いで、成形完了後は、プレス機51の駆動により成形上型50が上昇し、型開きが行なわれた後、所要形状に成形された積層成形体であるドアトリム10を取り出せば良い。
以上のように、本発明方法によれば、ドアトリム10における表皮30は、樹脂芯材20とプレス一体化する前に所要形状に成形されているため、表皮30の形状保持性が良好であり、アームレスト12等のコーナー部のハイライト線等、シャープな外観形状を精度良く現出することができ、外観性能に優れたドアトリム10を成形することができる。また、本発明方法においては、溶融樹脂Mの射出のタイミングとして、成形上型50が型締めされる前に行なったが、成形上下型50,60を型締めした後に射出充填する射出成形工法を採用することもできる。
次いで、図10乃至図13は、本発明方法に使用する成形金型40の変形例をそれぞれ示すもので、上述した実施例は、アシストモデル80を成形下型60に設けられた支柱83を介して取り付ける構成が採用されているが、図10,図11に示すように、アシストモデル80側に支柱84を設ける構成を採用することもできる。図10(a),(b)に示すように、モデル型82を備えたテーブル81の下面の4隅部に支柱84がリンク85を基に起倒可能に取り付けられており、アシストモデル80の収容時には、図10(a)に示すように、支柱84はリンク85を基にテーブル81の下面に収まるように折り畳まれ、ドアトリム10を成形する際は、図10(b)に示すように、アシストモデル80の支柱84を起立させて、成形下型60の4隅部の係止部に支柱84の下端84aを係止することで、アシストモデル80を成形下型60上に支持することができる(図11参照)。また、図12に示すように、モデル型82を備えたテーブル81の下面4隅部に固定式の支柱86を設ける構成を採用することができる。この場合についても、図13に示すように、ドアトリム10の成形時には、型開き状態にある成形下型60の上面4隅部に支柱86の下端86aを係着すれば、簡単にアシストモデル80を成形下型60上に支柱86を介して取り付けることができる。
以上説明した実施例では、樹脂芯材20の表面に表皮30を同時に成形してなるドアトリム10の成形方法に本発明方法を適用したが、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージサイドトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品全般の成形方法に適用できるとともに、鉄道車両等の内装パネルや家屋の内装パネルの成形方法において適用することもできる。また、成形上下型50,60の型締め直前に溶融樹脂Mを供給するというモールドプレス成形工法を用いたが、成形上下型50,60を型締めした後、溶融樹脂Mを射出充填する射出成形工法に準用することもできる。
10 ドアトリム
20 樹脂芯材
30 表皮
31 トップ層
32 クッション層
40 成形金型
50 成形上型
51 プレス機
52 クランパー
53 シリンダ
54 真空吸引孔
55 空気室
56 真空ポンプ
57 真空吸引管
58 開閉バルブ
60 成形下型
61 マニホールド
62 ゲート
70 射出機
80 アシストモデル
81 テーブル
82 モデル型
83,84,86 支柱
85 リンク
90 表皮セット枠
M 溶融樹脂
Vc 真空吸引機構
20 樹脂芯材
30 表皮
31 トップ層
32 クッション層
40 成形金型
50 成形上型
51 プレス機
52 クランパー
53 シリンダ
54 真空吸引孔
55 空気室
56 真空ポンプ
57 真空吸引管
58 開閉バルブ
60 成形下型
61 マニホールド
62 ゲート
70 射出機
80 アシストモデル
81 テーブル
82 モデル型
83,84,86 支柱
85 リンク
90 表皮セット枠
M 溶融樹脂
Vc 真空吸引機構
Claims (4)
- 成形上下型(50,60)内に表皮(30)をセットし、成形上下型(50,60)間で形成されるキャビティ内に溶融樹脂(M)を供給することで樹脂芯材(20)を所要形状に成形するとともに、樹脂芯材(20)の表面に表皮(30)を一体化してなる積層成形体(10)の成形方法において、
前記成形上型(50)に真空吸引機構(Vc)が付設されているとともに、支柱(83,84,86)を介して成形下型(60)上にアシストモデル(80)が支持される成形金型(40)を使用し、成形上下型(50,60)の型開き状態時、加熱軟化処理した表皮(30)を成形金型(40)内に投入し、次いで、成形下型(60)上に支柱(83,84,86)を介してアシストモデル(80)をセットした後、成形上型(50)に付設されている真空吸引機構(Vc)を稼動させ、成形上型(50)の型面に沿って表皮(30)を真空成形するとともに、成形上型(50)を下降操作し、成形下型(60)に支持されているアシストモデル(80)と成形上型(50)との間で表皮(30)をプレス加工し、表皮(30)を均一厚みで薄肉状に成形する表皮(30)の成形工程と、
前記成形工程で成形された表皮(30)を成形上型(50)に保持した状態で成形上型(50)を上昇操作した後、アシストモデル(80)を成形下型(60)から取り外し、その後、表皮(30)を保持した状態で成形上型(50)を所定ストローク下降操作し、成形上型(50)が下死点に到達する直前、あるいは到達した後のいずれかのタイミングでキャビティ内に溶融樹脂(M)を供給し、樹脂芯材(20)を所望の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材(20)の表面に表皮(30)を一体化する樹脂芯材(20)と表皮(30)との一体化工程と、
からなることを特徴とする積層成形体の成形方法。 - 樹脂芯材(20)の表面に表皮(30)を一体化してなる積層成形体(10)を所要形状に成形する成形金型(40)であって、この成形金型(40)は、所定ストローク上下動する可動側の成形上型(50)と、成形上型(50)の下方に位置する固定側の成形下型(60)とを備え、成形上型(50)には、表皮(30)を真空成形するための真空吸引機構(Vc)が配設されているとともに、成形下型(60)上にアシストモデル(80)が装備され、上記アシストモデル(80)は、表皮(30)の形状出しを行なうモデル型(82)と、このモデル型(82)を支持するテーブル(81)と、成形下型(60)とテーブル(81)との間に設けられ、上記テーブルを支持する支柱(83,84,86)とから構成され、成形上型(50)とアシストモデル(80)のモデル型(82)との間で表皮(30)に所定のプレス圧を加えることを特徴とする積層成形体の成形金型。
- 前記アシストモデル(80)は、成形下型(60)の隅部に起倒可能に立設される支柱(83)と、この支柱(83)の上端に支持されるテーブル(81)と、テーブル(81)上に固定されている樹脂芯材(20)形状に合致するモデル型(82)とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の積層成形体の成形金型。
- 前記アシストモデル(80)は、樹脂芯材(20)の形状に合致するモデル型(82)を支持するテーブル(81)と、このテーブル(81)の下面の隅部に起倒可能に取り付けられている折り畳み式の支柱(84)とから構成され、この支柱(84)を起立させて成形下型(60)上にこの支柱(84)を介してアシストモデル(80)を立設支持することを特徴とする請求項2に記載の積層成形体の成形金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006168637A JP2007331331A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 積層成形体の成形方法並びに成形金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006168637A JP2007331331A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 積層成形体の成形方法並びに成形金型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007331331A true JP2007331331A (ja) | 2007-12-27 |
Family
ID=38931258
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006168637A Withdrawn JP2007331331A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 積層成形体の成形方法並びに成形金型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007331331A (ja) |
-
2006
- 2006-06-19 JP JP2006168637A patent/JP2007331331A/ja not_active Withdrawn
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