JP2007327700A - 加熱調理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、この種の加熱調理装置においては、水蒸気の温度や被加熱物の表面温度によって、被加熱物への水蒸気の凝縮量は大きく異なるため、例えば冷凍された被加熱物など低温の場合は、100℃の水蒸気によって、非常に短時間で10%以上加水される。よって、種々の被加熱物に対して、最適な加水量で加熱調理することは困難で、決して仕上がりに満足がいくものではなかった。
【解決手段】制御手段50により、被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波により加熱する加熱調理装置で、被加熱物の種類や状態に応じて水蒸気加熱とマイクロ波加熱を、最適な割合で組み合わせて加熱調理し、高速かつ高効率な加熱調理装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は様々な加熱物を、良好な状態を維持しつつ、すみやかに加熱調理する加熱調理装置に関するものである。
従来、この種の加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室内に高周波を出力する高周波発生手段を備えており、加熱室内の被加熱物に対して、短時間で効率のよい加熱ができるため、食材等の加熱調理機器である電子レンジとして急速に普及した。また、オーブンレンジなどにおいては、よりおいしい調理を実現するために、水蒸気を加熱室内に充満し、加熱による被加熱物の乾燥を防止したり、被加熱物に水分が供給されることでマイクロ波加熱の効率を向上したり、水蒸気の潜熱により加熱室内の温度を均一にしたり、調理時間を短縮するなどの開発が行われており、これらは一般的に、蒸気発生機能付き高周波加熱装置と呼ばれている。
特許文献1における高周波加熱装置は、調理に必要な水蒸気を蒸発装置で素早く蒸発させ調理ロスタイムを少なくして、さまざまな調理に対し適度の湿度で電波調理を行う事が出来る、きめ細かい湿度調節が可能な高周波加熱装置を提供する事を第1の目的としている。
図8は従来例の高周波加熱装置を示したものである。図8に示すように、被加熱物を加熱する加熱室71と、前記加熱室へ電波を照射するように結合された高周波発生手段72と、前記加熱室内に水蒸気を供給する水を蒸発させる加熱手段73を備えた蒸発装置74と、前記蒸発装置に水を供給する給水部75と、前記給水部の水量を調節する水量調節手段76と、前記給水部への水を蓄える貯水器77と、前記加熱室内の湿度を測定する測定手段78と、制御部(図示せず)とを備え、前記制御部は測定手段78からの測定値に対応して給水部75の水量を制御することにより前記蒸発装置74の蒸発量を制御し、前記加熱室71内の湿度を調節する構成としている。また、制御部は加熱室71内の湿度を飽和蒸気前後に制御する構成とし、制御部は調理開始後、加熱室の湿度が一定の値以上になってから、電波の照射を開始する構成としている。
特開平8−178298号公報
しかしながら、上記装置では加熱室内の湿度をきめ細かく加湿制御することにより、最適な被加熱物の湿潤加熱を行うことは非常に難しく、水蒸気の温度や被加熱物の表面温度によって、被加熱物への水蒸気の凝縮量は大きく異なるため、例えば冷凍された被加熱物など温度が低温の場合は、100℃の水蒸気によって、非常に短時間で10%以上加水される。被加熱物が高温の場合と比較して、10倍以上の加水速度となることもある。
よって、種々の被加熱物に対して、最適な加水量とすることは困難であり、決して仕上がりに満足がいくものではなかった。
前記従来の課題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、水蒸気加熱とマイクロ波加熱との併用にあって、水蒸気やマイクロ波の制御をより効果的に行うことにより、被加熱物を良好に加熱調理する装置を提供することにある。
また、冷凍された被加熱物や種々の被加熱物の、それぞれの調理特性に応じた最適な水
蒸気加熱とマイクロ波加熱とを制御することによって、理想の加熱調理を実現しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明の加熱調理装置は、被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御して加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波、あるいは水蒸気とマイクロ波のどちらか一方により加熱する加熱調理装置としたものである。
上記発明のように、被加熱物の種類や状態に応じて水蒸気加熱とマイクロ波加熱とを、最適な組み合わせにおいて併用することにより、水蒸気とマイクロ波を被加熱物に対して最も加熱効率のよいところで使用するため、短時間加熱とエネルギー効率に優れ、被加熱物の水分の蒸発を防止しながら加熱することで、加熱による食品の乾燥を防ぎ、最も理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を実現できる。
本発明の加熱調理装置は、短時間加熱とエネルギー効率に優れ、被加熱物の水分の蒸発を防止しながら加熱することで、加熱による食品の乾燥を防ぎ、最も理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を実現できる。
第1の発明は、被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御して加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波、あるいは水蒸気とマイクロ波のどちらか一方により加熱する加熱調理装置としたものである。
これにより、被加熱物の温度が略プラス温度になるまでの間は、水蒸気だけにより被加熱物を十分に加水させ、その後は被加熱物の種類に応じて、水蒸気により湿潤しながらマイクロ波で一気に内部まで加熱する方法や、あるいは水蒸気だけで湿潤しながら加熱する方法、マイクロ波だけで加熱する方法を用いることにより、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、被加熱物の水分の蒸発を防止しながら加熱することで、加熱による食品の乾燥を防ぎ、被加熱物の種類に応じて、仕上がり状態の良い加熱調理を実現できるものである。
第2の発明は、被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御し加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波により加熱し、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇した時点から、低出力の水蒸気と高出力のマイクロ波により加熱する加熱調理装置とすることにより、短時間かつ仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
すなわち、被加熱物の温度が略プラス温度になるまでの間は、水蒸気により被加熱物を
十分に加水させ、その後被加熱物への加水量が極端に低下するまでの間、つまり被加熱物の温度が加熱室内の壁面の温度と同等まで上昇する間、水蒸気とマイクロ波により加水と温度むらのない加熱を行い、最後に、水蒸気により湿潤しながらマイクロ波で一気に内部まで加熱することにより、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、被加熱物の水分の蒸発を防止しながら加熱することで、加熱による食品の乾燥を防ぎ、短時間で仕上がり状態の良い加熱調理を実現できる。
第3の発明は、被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御し加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じ、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇する間、水蒸気だけで加熱し、その後、高出力のマイクロ波により加熱する加熱調理装置とすることにより、被加熱物は十分に加水され、理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
すなわち、被加熱物への加水量が極端に低下するまでの間、つまり被加熱物の温度が加熱室内の壁面の温度と同程度まで上昇する間は、水蒸気により被加熱物を十分に加水させ、被加熱物の水分分布がほぼ均一となった時点で、マイクロ波により温度むらのない均一加熱を行うことで、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、被加熱物を十分に加水した上でむらがなく加熱できるため、理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれか1つの発明において、制御手段は被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じた時点と、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇した時点において、マイクロ波により、前記加熱室内の壁面に生じた結露水を所定の時間加熱するようにした加熱調理装置により、結露水が加熱室内の底面に大量に溜まり、扉の隙間から装置外の床面などに滴下することを防ぐことができ、使用者に手間のかかる作業を強いることの無い、加熱調理を行うことができる。
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明において制御手段は、加熱時間経過とともに蒸気発生手段の出力を低減し、マイクロ波出力を上昇するように加熱制御した加熱調理装置とすることで、被加熱物の温度が低い間は、水蒸気により被加熱物を十分に加水し、吸水量が飽和するに従ってマイクロ波加熱により被加熱物全体を均一加熱するため、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、被加熱物の水分の蒸発を防止しながら加熱することで、加熱による食品の乾燥を防ぎ、被加熱物の種類に応じて、理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を実現できるものである。
第6の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明において、被加熱物を載置すると共に加熱室の底面より所定間隔を空けた上方に、脱着自在に配設することで前記加熱室内の空間を分割する載置皿と、蒸気発手段で発生させた水蒸気を前記載置皿より上方の加熱室空間内に供給する蒸気移送手段とを設け、被加熱物を加熱する加熱調理装置により、加熱室内の空間を載置皿の設置によって載置皿上方の空間とそれ以外の空間とに分割し、載置皿より上方の加熱室空間に水蒸気を供給することで、加熱調理に用いる加熱室内の空間を狭め、ヒータの出力をアップするといった加熱能力を高めることなく、加熱による加熱室内の温度上昇速度を高めることができる。
第7の発明は、特に第6の発明の載置皿を、マイクロ波を透過するセラミック材又は耐熱樹脂材から構成することで、水蒸気による加熱室内の温度上昇速度を高めることができるとともに、マイクロ波を用いて加熱調理できるため、マイクロ波により温度むらのない均一加熱を行うことで、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、
被加熱物を十分に加水した上でむらがなく加熱されるため、素早く理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
第8の発明は、特に第6の発明の載置皿を、マイクロ波を反射する金属から構成することで、水蒸気による加熱室内の温度上昇速度を高めることができるとともに、マイクロ波を用いて加熱室内の結露水を加熱蒸発させる場合に、被加熱物にマイクロ波が及んで仕上がりに悪影響を及ぼすことなく、理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
第9の発明は、特に第7の発明または第8の発明の載置皿に、マイクロ波を吸収して発熱する部材を設けたことにより、被加熱物を加熱する前にあらかじめ載置皿を加熱する予熱工程を設け、加熱室内の雰囲気温度を上昇させた上で被加熱物を水蒸気により加熱することで、加熱室壁面に水蒸気が凝縮し難くなり、被加熱物の加熱効率を向上させることができ、また被加熱物を下側から熱伝導により加熱することで焦げ目をつけることができ、被加熱物の種類に応じて理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
第10の発明は、特に第6の発明における加熱室内の予熱手段として、前記加熱室の上方に上部加熱ヒータを設けたことにより、被加熱物を加熱する前にあらかじめ載置皿を加熱する予熱工程を設け、加熱室内の雰囲気温度を上昇させた上で被加熱物を水蒸気により加熱することで、加熱室壁面に水蒸気が凝縮し難くなり、被加熱物の加熱効率を上昇させることができ、また被加熱物を上下から加熱することで焦げ目をつけることができ、被加熱物の種類に応じて理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
第11の発明は、特に第6の発明において、被加熱物の種類に応じて、前記載置皿により前記加熱室内の空間を3分割することで、被加熱物の種類によって、蒸気密度の高い方が好ましい場合とそうでない場合に応じて最適な湿潤加熱が可能となり、被加熱物の種類に応じて理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
第12の発明は、特に第6の発明の蒸気移送手段が、発生した水蒸気を前記加熱室内から加熱室外に導出して、再度加熱室内に導入する蒸気移送路を有することで、蒸気移送路へのスケールや被加熱物から生じた飛沫などの汚れの付着がなくなり、清潔な水蒸気調理加熱が維持できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、本実施の形態の説明において、同一構成で同一作用効果を奏するところには同一符号を付して重複した説明を行わないものとする。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の断面図で、図2は高周波加熱装置の要部の拡大断面図である。
図1に示すように、加熱室1は金属材料で形成された各壁面によって電波的に閉じられ、被加熱物を収納する加熱室である略四角形状の被加熱物収納空間2を形成している。被加熱物収納空間2の底面は、被加熱物を載置する非導電性の材料からなる載置板3を配している。載置板3の下方にあって、加熱室1を形成する底壁面4の略中央部にマイクロ波を放射する放射アンテナ5を配している。この放射アンテナ5は、マイクロ波を伝送する導波管6の終端側に配置させ、導波管6の他端側にはマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段であるマグネトロン7を設けている。
また、加熱室1の左側奥底には蒸気発生手段8を配設している。この蒸気発生手段8は、図2に示すように水溜凹部9、水溜凹部9を下方から加熱する水加熱手段10および水溜凹部9の温度を検知する水溜凹部温度検知手段11を備えている。また、貯水タンク12、貯水タンク12の水を送水管13および給水口14を介して水溜凹部9に給水するポンプ15を備える。
また、加熱室1の左側面の上下には複数の蒸気通流開孔部20、21を配置させている。複数の蒸気通流開孔部20、21は、加熱室1の外側で蒸気移送手段である連結手段22を介して連結させている。複数の蒸気通流開孔部20、21のうち少なくとも一つの開孔部である蒸気通流開孔部20は、蒸気発生手段8で発生した水蒸気を取り込む取り込み口であり、一方の蒸気通流開孔部21は、連結手段22を介して通流してきた水蒸気を加熱室1内に吹出す吹出口である。
また、蒸気発生手段8で発生した水蒸気を蒸気通流開孔部20に通流させるために、蒸気通流手段23を配設している。この蒸気通流手段23は、図2に示すように蒸気蓋24とその周縁に設けた弾性材料からなるパッキン25とで構成される。蒸気通流手段23は、その内部に蒸気発生手段8と蒸気通流開孔部20とを連結する空間26を有した形状とし、加熱室1内の所定位置に着脱自在に実装して水蒸気が漏洩しないようにしている。
また、加熱室1に対して着脱自在な載置皿30は、マイクロ波を反射する金属で構成され、被加熱物収納空間2に収納することで加熱室1内を2分割して載置皿30の上方に小加熱空間31を形成する。この載置皿30は、マイクロ波を透過する材質にて構成している。また、小加熱空間31に水蒸気を吹出すように蒸気通流開孔部21を配置させている。また、加熱室1の外上壁面には加熱室1の予熱手段としての平面形の上部加熱のヒータ32を備える。
なお、加熱室1の両側壁面には載置皿30を支持する支持部33と34とを二段に渡って配し、小加熱空間31として、加熱室1を1/2と1/3の容積に調節できる、都合3分割にできるようにもしている。
なお、放射アンテナ5は、モータ40によって回転駆動される。また、被加熱物収納空間2内の温度を検出する温度検知手段41と、被加熱物の表面から発する赤外線量を、透過孔42を介して検知して表面温度を判定する赤外線検知手段43とを備える。なお、加熱制御を効果的に行うための加熱情報センシング関連の検出手段は温度検知手段41や赤外線検知手段43のほかに、加熱室1内の湿度を検出する手段などを付帯させることができる。
また、制御手段50は、主にマイクロコンピュータおよびその周辺回路で構成され、操作部(図示していない)からの操作入力信号や上記した各検知手段からの信号に基づき、装置全体の運転と停止の制御を行うことはもちろん、マイクロ波発生手段であるマグネトロン7、蒸気発生手段8の加熱手段である水加熱手段10などの動作を制御し、被加熱物に応じて最適の水蒸気とマイクロ波とを加熱室1に供給しながら加熱調理をする制御フローを実行するプログラムを基本的に内臓している。
そして、制御手段50は、加熱条件、制御条件などは、記憶手段(制御手段と一体)に一時的あるいは恒久的に記憶しており、特に被加熱物がマイナス温度(0℃を含む)の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度(0℃を超える)に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波により加熱し、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇した時点から、低出力の水蒸気と高出力のマイクロ波により加熱する制御フロー(以下に詳細な制御フローを説明する)を実行する
プログラムが内蔵されている。
また、制御手段50は、被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じた時点と、被加熱物の温度が加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇した時点において、マイクロ波により、加熱室1内の壁面に生じた結露水を所定の時間、加熱制御する制御フローを実行するプログラムを内臓している。また、制御手段50は、加熱時間経過とともに蒸気発生手段8の出力を低減し、マイクロ波出力を上昇するように加熱制御する制御フローを実行するプログラムを内臓している。
操作部には表示部、自動加熱操作キー、手動加熱設定キー、加熱開始キーなどが配設される。
以上のように構成された、本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の加熱調理装置の加熱調理方法を説明する。
ユーザーが、加熱を行う被加熱物と、そのメニューに合った加熱条件を、操作部からの操作により制御手段50に命令されると、被加熱物収納空間2の載置板3または、小加熱空間31の載置皿30上に載置された被加熱物の加熱が開始される。制御手段50はマイクロ波発生手段であるマグネトロン7、水加熱手段10の動作を加熱条件に従って制御を開始する。
冷凍された被加熱物を解凍加熱する場合、制御手段50は、まず水加熱手段10に通電すると同時に赤外線検知手段43の検知信号を取り込み、赤外線検知手段43の検知信号により、周囲の温度と異なる温度領域に被加熱物があると検知する。さらに、水溜凹部温度検知手段11からの信号に応じて蒸気発生手段8の水が100℃になるまで水加熱手段10に通電し続ける。
蒸気発生手段8で発生した水蒸気は、空間26内に充満し、次第に蒸気圧が上昇してくると、蒸気通流開孔部20から連結手段22を通じて、蒸気通流開孔部21から小加熱空間31に吹出される。吹出した水蒸気は、被加熱物に優先的に当たるように、蒸気通流開孔部21の形状や角度などが最適設計されている。蒸気発生手段8は発生蒸気量を水加熱手段10の動作あるいはポンプ15の動作による給水量によって可変することができる。
そして、制御手段50は、赤外線検知手段43の検知信号に基づいて、被加熱物の存在領域での温度分布を時々刻々判別し、被加熱物の温度が略プラス温度に転じる0℃を超えると被加熱物の種類に応じてマグネトロン7を動作させ、同時に水加熱手段10の入力電力を低下させ、両方で加熱する。または、引き続き水加熱手段10の入力電力を低下させずに通電し続けても良い。
そして、制御手段50による上記のマイクロ波と水蒸気の両方による加熱は、温度検知手段41、赤外線検知手段43による信号を取り込んで被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、被加熱物の温度が加熱室1の壁面の温度と同程度まで上昇する間は、低出力の水蒸気と高出力のマイクロ波により加熱する。
最後に、赤外線検知手段43の検知信号に基づいて、被加熱物の温度が予め決めた既定値になると、マグネトロン7および水加熱手段10への入力を停止し、調理完了の報知をユーザーに対し行う。
仮に水溜凹部9内の水が全て蒸発すると、水溜凹部9の温度が所定温度を超え、水溜凹部温度検知手段11は、水溜凹部9の温度が所定温度を超えたことを検知し、水加熱手段
10への通電を停止する。
図3は上記加熱調理方法において、被加熱物に冷凍肉まんを用いて加熱調理した際の、各構成要素の動作状態を示したシーケンス図で、図4はこの時の冷凍肉まんの重量変化特性を示したグラフで、図5は、冷凍肉まんの表面温度を示したグラフである。
図3は上記した加熱調理をする本実施の形態における加熱調理装置の加熱時間に対するスチームとマイクロ波の動作関係(ON−OFF)で示しており、全加熱工程10分において、調理開始後9分間はスチームのみで加熱し、その後水加熱手段10への入力を低下させ、スチームとマイクロ波で1分間加熱する。
図4および図5に示すように、最初の1分間で肉まんは4%の重量増加を示し、この時の肉まんの表面温度は15℃であった。本加熱工程の中で、肉まんがマイナス温度から室温(約20℃)の温度範囲における重量増加量が最も多く、このことは図6に示す肉まんの中心温度と重量変化特性の関係と相関がある。
このように、水蒸気で冷凍状態の被加熱物をより効率的に湿潤させるためには、被加熱物と水蒸気の温度差が大きいほど被加熱物の加水量を大きくすることができる。よって、被加熱物がマイナス温度の時には水蒸気のみで加熱した方が、加水速度および加水量を増大させることができ、湿潤効果は大きい。そして、被加熱物の温度が加熱室内の壁面の温度と同等まで上昇すると、被加熱物への加水量は極端に低下し、やがて加水量はゼロとなる。
以上の解凍加熱調理方法によると、被加熱物がマイナス温度の時には水蒸気による被加熱物表面での凝縮熱による加熱の方が、マイクロ波による加熱に比べて被加熱物への絶対加熱量は多い。これは、被加熱物がマイナス温度の時には、マイクロ波は被加熱物内部まで浸透し難いためであり、従来はマイクロ波出力を低下させて徐々に解凍する手法を用いざるを得なかった。よって、加熱初期から最大出力で加熱することが可能な水蒸気を用いる方が、被加熱物の加熱効率は良いと言える。
そこで本実施の形態では、被加熱物の温度が略プラス温度になるまでの間は、水蒸気により被加熱物を十分に湿潤させ、その後、被加熱物の温度が略プラス温度に転じると水蒸気により、さらに湿潤するか、または水蒸気で湿潤しながらマイクロ波で一気に内部まで加熱するので、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、被加熱物の水分の蒸発を防止しながら加熱することで、加熱による食品の乾燥を防ぎ、最も理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を実現できる。
また、マイクロ波加熱の特性として、被加熱物が冷凍状態などの温度が低い場合や被加熱物の水分分布が均一でない場合などにおいては、マイクロ波が一部に集中するため加熱むらが生じやすいという課題を有している。
然るに本実施の形態では、被加熱物が小加熱空間31の壁面の温度と同程度まで上昇する間、水蒸気だけで加熱し、その後、水蒸気により湿潤しながら高出力のマイクロ波により加熱する加熱調理方法とすることにより、被加熱物への加水量が極端に低下するまでの間、すなわち被加熱物の温度が加熱室内の壁面の温度と同等まで上昇する間は、水蒸気により被加熱物を十分に加水させ、被加熱物の水分分布がほぼ均一となった時点で、マイクロ波により温度むらのない均一加熱を行うことで、マイクロ波による被加熱物の乾燥を最低限に抑えることができ、被加熱物を十分に加水した上でむらがなく加熱されるため、理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
また水蒸気による加熱時間が多くなるとともに、被加熱物収納空間2または、小加熱空間31の空気は飽和状態となり、一部の水蒸気が加熱室壁面に結露してくる。
然るに本実施の形態では、被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じた時点と、被加熱物の温度が加熱室1の壁面の温度と同程度まで上昇した時点の、加熱室壁面の結露量が多くなるタイミングで、マイクロ波により加熱室1内の壁面に生じた結露水を所定の時間加熱するので、結露水が加熱室1内の底面に大量に溜まり、扉の隙間から装置外の床面などに滴下することを防ぐことができ、使用者に手間のかかる作業を強いることの無い、加熱調理を行うことができる。
また、本実施の形態では、載置皿30は、マイクロ波を反射する金属で構成しているので、水蒸気による加熱室1内の温度上昇速度を高めることができるとともに、マイクロ波を用いて加熱室1内の結露水を加熱蒸発させる場合に、被加熱物にマイクロ波が及んで仕上がりに悪影響を及ぼすことなく、理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
なお、水蒸気を被加熱物収納空間2または、小加熱空間31に吹出す前に、加熱室1の予熱として上部加熱のヒータ32に一定時間通電しておけば、加熱室1天面への水蒸気の結露を抑制/防止することができる。
また、本実施の形態における制御手段50は、被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波により加熱するようにしたが、水蒸気とマイクロ波のどちらか一方のみで加熱するようにしても、本実施の形態と同等の作用効果を期待できるものである。
さらに、本実施の形態における制御手段50は、被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇する間は水蒸気とマイクロ波の両方により加熱したが、被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じ、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇する間、水蒸気だけで加熱し、その後、高出力のマイクロ波により加熱するようにしても、本実施の形態と同等の作用効果を期待できるものである。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における高周波加熱装置の断面図を示したものである。本実施の形態で、実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態における高周波加熱装置は、載置皿60の構成が実施の形態1と相違するものである。図に示すように、載置皿60は、被加熱物収納空間2に収納することで載置皿60の上方に小加熱空間31を形成する。載置皿60は、表面をフッ素樹脂コーティングしたセラミックスまたは耐熱樹脂材からなり、底面にはマイクロ波を吸収し発熱する発熱体61を成形した構成とし、発熱体61により、載置皿60に乗せた被加熱物を加熱調理することができる。発熱体61は、炭化珪素、酸化チタン、黒鉛、活性炭などを基材とした多孔質の焼結体で構成している。発熱特性としては、例えばマイクロ波電力500Wを2分間照射することで、約250℃以上の温度に到達するものである。
以上のように構成された本発明の実施の形態2における高周波加熱装置の加熱調理動作を説明する。
冷凍された被加熱物を解凍加熱する場合、制御手段50は、まずマグネトロン7と水加熱手段10およびヒータ32に通電すると同時に赤外線検知手段42の検知信号を取り込み、赤外線検知手段42の検知信号により、周囲の温度と異なる温度領域に被加熱物があると検知する。さらに、水溜凹部温度検知手段11からの信号に応じて蒸気発生手段8の水が100℃になるまで水加熱手段10に通電し続ける。そして、通電したマグネトロン7よりのマイクロ波は、構造的に明白であるように被加熱物を加熱するものではなく、載置皿60の外底面の発熱体61に照射され、発熱体61が加熱され載置皿60の温度は上昇し、ヒータ32により小加熱空間31の壁面の温度が上昇する。やがて、蒸気発生手段8で発生した水蒸気は、空間26内に充満し、次第に蒸気圧が上昇してくると、蒸気通流開孔部20から連結手段22を通じて、蒸気通流開孔部21から小加熱空間31に吹出される。吹出した水蒸気は、温度が高い小加熱空間31の壁面には凝縮せず、被加熱物に優先的に凝縮される。
仮に水溜凹部9内の水が全て蒸発すると、水溜凹部9の温度が所定温度を超え、水溜凹部温度検知手段11は、水溜凹部9の温度が所定温度を超えたことを検知し、水加熱手段10への通電を停止する。
以上の構成とすることで、被加熱物を水蒸気で加熱する前に予め載置皿60および小加熱空間31の壁面を加熱する予熱工程を設け、加熱室内の雰囲気温度を上昇させた上で被加熱物を水蒸気により加熱することで、加熱室壁面に水蒸気が結露し難くなり、被加熱物の加熱効率を上昇させることができ、また被加熱物を下側から熱伝導により加熱することで焦げ目をつけることができ、被加熱物の種類に応じて理想的な仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
また、マイクロ波を用いて加熱室内の結露水を加熱蒸発させるため、本来マイクロ波で加熱したくない被加熱物を調理する場合においては、マイクロ波が被加熱物に及んで加熱集中などにより食味に悪影響を及ぼすことなく、仕上がり状態の良い加熱調理を行うことができる。
以上のように、本発明における加熱調理装置は、被加熱物の種類や状態に応じて水蒸気加熱とマイクロ波加熱を、最適な割合で組み合わせて加熱調理するため、高速かつ高効率な加熱が可能となり、スチームを付加する電子レンジ、オーブンレンジ、オーブンあるいはグリラーなどと複合させた調理装置として有用である。
本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の断面図 本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の要部の拡大断面図 本発明の実施の形態1における高周波加熱装置のスチームとマイクロ波の動作を示したシーケンス図 本発明の実施の形態1における高周波加熱装置において水蒸気で加熱調理した際の、冷凍肉まんの重量変化を示したグラフ 本発明の実施の形態1における高周波加熱装置において水蒸気で加熱調理した際の、冷凍肉まんの表面温度を示したグラフ 本発明の実施の形態1における高周波加熱装置において水蒸気で加熱調理した際の、肉まんの中心温度と重量変化の関係を示したグラフ 本発明の実施の形態2における高周波加熱装置の断面図 従来の高周波加熱装置の断面図
符号の説明
1 加熱室
7 マグネトロン(マイクロ波発生手段)
8 蒸気発生手段
12 貯水タンク
22 連結手段(蒸気移送手段または蒸気移送路)
23 蒸気通流手段
30、60 載置皿
31 小加熱空間
32 ヒータ(予熱手段)
50 制御手段
61 発熱体(部材)

Claims (12)

  1. 被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御し加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波、あるいは水蒸気とマイクロ波のどちらか一方により加熱する加熱調理装置。
  2. 被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御し加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度の間は、水蒸気だけで加熱し、被加熱物の解凍が進み冷凍状態が溶けて被加熱物が略プラス温度に転じた時点から、水蒸気とマイクロ波により加熱し、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇した時点から、低出力の水蒸気と高出力のマイクロ波により加熱する加熱調理装置。
  3. 被加熱物を収納し加熱する加熱室と、前記加熱室に供給する水蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記加熱室内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生手段と、被加熱物に応じて前記蒸気発生手段および前記マイクロ波発生手段を制御し加熱調理する制御手段を備え、前記制御手段は被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じ、被加熱物の温度が前記加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇する間、水蒸気だけで加熱し、その後、高出力のマイクロ波により加熱する加熱調理装置。
  4. 制御手段は、被加熱物がマイナス温度からプラス温度に転じた時点と、被加熱物の温度が加熱室の壁面の温度と同程度まで上昇した時点において、マイクロ波により、前記加熱室内の壁面に生じた結露水を所定の時間、加熱制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理装置。
  5. 制御手段は、加熱時間経過とともに蒸気発生手段の出力を低減し、マイクロ波出力を上昇するように加熱制御した、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理装置。
  6. 被加熱物を載置すると共に加熱室の底面より所定間隔を空けた上方に、脱着自在に配設することで前記加熱室内の空間を分割する載置皿と、蒸気発手段で発生させた水蒸気を前記載置皿より上方の加熱室空間内に供給する蒸気移送手段とを設け、被加熱物を加熱する請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理装置。
  7. 載置皿は、マイクロ波を透過するセラミック材又は耐熱樹脂材からなる請求項6に記載の加熱調理装置。
  8. 載置皿は、マイクロ波を反射する金属からなる請求項6に記載の加熱調理装置。
  9. 載置皿は、マイクロ波を吸収して発熱する部材を設けてなる請求項7または8に記載の加熱調理装置。
  10. 加熱室内の予熱手段として、加熱室の上方に上部加熱ヒータを設けてなる請求項6に記載の加熱調理装置。
  11. 被加熱物の種類に応じて、載置皿により加熱室内の空間を3分割するように構成した請求項6に記載の加熱調理装置。
  12. 蒸気移送手段は、発生した水蒸気を加熱室内から加熱室外に導出して、再度加熱室内に導入する蒸気移送路を有する請求項6に記載の加熱調理装置。
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