JP2007323697A - Hddサスペンション用積層体及びその製造方法 - Google Patents
Hddサスペンション用積層体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007323697A JP2007323697A JP2006150044A JP2006150044A JP2007323697A JP 2007323697 A JP2007323697 A JP 2007323697A JP 2006150044 A JP2006150044 A JP 2006150044A JP 2006150044 A JP2006150044 A JP 2006150044A JP 2007323697 A JP2007323697 A JP 2007323697A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- liquid crystal
- crystal polymer
- layer
- laminate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)
- Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)
Abstract
【課題】HDDの更なる高容量化を達成するため、HDDサスペンションの構成部材であるステンレス製ロードビーム部材をより軽量化し、更に振動吸収性の向上を図る。
【解決手段】ステンレス層A、液晶ポリマー層B、ステンレス層Cが順次積層された積層体であって、液晶ポリマー層Bはステンレス層A及びステンレス層Cに直接接しており、ステンレス層A及びステンレス層Cの厚みがいずれも9〜100μmの範囲にあり、液晶ポリマー層Bの厚みが8〜200μmであって、更に液晶ポリマー層Bの損失正接が0.04以上であることを特徴とするHDDサスペンション用積層体。
【選択図】図1
【解決手段】ステンレス層A、液晶ポリマー層B、ステンレス層Cが順次積層された積層体であって、液晶ポリマー層Bはステンレス層A及びステンレス層Cに直接接しており、ステンレス層A及びステンレス層Cの厚みがいずれも9〜100μmの範囲にあり、液晶ポリマー層Bの厚みが8〜200μmであって、更に液晶ポリマー層Bの損失正接が0.04以上であることを特徴とするHDDサスペンション用積層体。
【選択図】図1
Description
本発明は、HDD(ハードディスクドライブ)サスペンション基板としての好適な積層体及びその利用に関するものである。詳しくはHDDサスペンションの構成部材の一つであるステンレス製のロードビーム部材の軽量化を可能とする積層体に関するものである。
HDDの高容量化に向けた技術進化は目覚しく、スライダの小型化によって面記録密度は向上し、既にインチ当りの平均記憶容量が約40GBits/in2まで達している(IDEMA JAPAN News No47.p8-10)。これら技術は、従来のワイヤ線を用いたワイヤタイプのサスペンションから配線が一体となったワイヤレスタイプのサスペンションへの置き替えが進み、この技術確立によって従来の問題であったワイヤ線の荷重の不均一化に基づくスライダの浮揚姿勢の不安定化が解消され、この浮揚姿勢が安定することによって更にスライダを小型化する技術が可能となり、このスライダの小型化によってトラック密度及び線記録(ビット)密度といった書き込み容量を向上させる技術が達成されてきたことによる(日経エレクトロニクス1998.4.6. p167-177)。
しかしながら、HDDの高容量化に対する技術ニーズが止まる様相はなく、更なる高容量化を目指した技術開発が進んでいる。具体的にはスライダを更に小型化することで記憶容量を向上させる方法(日経エレクトロニクス1998.4.6. p167-177)、あるいはアームの動きを多段階に分けることでスライダの微小な動きを可能にしたマイクロアクチュエーターの導入(IDEMA JAPAN News No45.p6-10)、更にはチップを直接サスペンション上に搭載したチップオンサスペンション(日経エレクトロニクス1998.4.6. p167-177)といった新技術の提案がなされている。これらの新規技術開発が進むことによって新たな技術ニーズとして、更にスライダの浮揚姿勢を低く安定化させる技術やディスクに対するスライダの位置精度を更に向上させる技術が要求されている。
WO98/08216号公報では、サスペンションのフレクシャーブランク部材等に使用されるステンレス箔/ポリイミド系樹脂/銅箔の三層からなる積層体を開示している。そして、この積層体における各基材の厚みを薄くすることによって剛性を低減しバネ性を抑えることが期待される。しかし、この方法ではスライダの浮上距離を低くすることは可能であるとしても、サスペンションがディスク上を移動し停止する際に生じる慣性力によって発生する振動ノイズ、及びディスクの回転によって気流が発生しスライダが浮上する際に生じる風乱に伴う振動ノイズなどのノイズの影響を受けるため、フレクシャーブランク材の薄肉化による面記憶密度の向上に限界があり、更なる高容量化を達成させるためにはこれら振動ノイズの対策が必要である。
HDDのサスペンション材は通常、ロードビーム材、フレクシャーブランク材、マウント材の3つの部材から構成され、ロードビーム材とマウント材は単純にステンレス材を加工したものからなっている。ロードビーム材はサスペンション材の中で支持体としての役割を担い、比較的厚く剛直なステンレス材が使用されている。このため、サスペンションがディスク上を移動と停止を繰り返しながら稼動する際にその慣性力によって振動が発生する。また、ディスクの回転に伴い生じる気流(風乱)によってスライダは浮上するが、この時乱流も同時に発生しその乱流によっても振動が発生する。これら振動ノイズが発生した場合、その振れによってスライダの位置精度が低下するため面記録密度は低下する。この振動ノイズを減衰させることが可能になれば、今以上の面記憶密度の向上を達成させることが可能となり、更には振動ノイズによる応答速度遅延や損失などの改善ができ、データ転送速度の向上も可能となる(IDEMA JAPAN News No.50.p13‐17)。
このような課題を解決するため、HDDサスペンションのステンレス製ロードビーム部材をハーフエッチング加工することによって機能上不必要な部分を削り軽量化を図ることでサスペンションがディスク上を移動と停止を繰り返す際に発生する慣性力を低減する方法、すなわち空気抵抗による粘性によって振動を熱エネルギーに変換させ振動を低減させる方法が考案されている。しかしながら、この方法では複雑な形状に加工することは困難であり、十分な軽量化を達成することができない。
特開2004−303358号公報では、HDDサスペンションの構成部材であるステンレス製ロードビーム部材において、ステンレスの一部をポリイミド系樹脂に変えることによって軽量化を図り、サスペンションがディスク上を移動と停止を繰り返しながら稼動する際に生じる慣性力によって発生する振動と回転するディスク上をスライダが浮遊する際に風乱によって発生する振動ノイズを低減する方法を開示している。しかし、この方法では軽量化は可能であるとしても、振動ノイズの低減は十分とはいえない。
また、特開2004−174901号公報では、ステンレス層―銅層―液晶ポリマー層−銅層の4層構造からなる積層体を開示している。しかし、この積層体は、HDDのディスクヘッド用途を意図したものであり、軽量化や振動ノイズの低減を目的としていないため、特定の層構成を必要とする。
本発明は、HDDの更なる高容量化を達成するため、HDDサスペンションの構成部材であるステンレス製ロードビーム部材をより軽量化し、更に振動吸収性の向上を図り、サスペンションがディスク上を移動と停止を繰り返しながら稼動する際に生じる慣性力によって発生する振動と回転するディスク上をスライダが浮遊する際に風乱によって発生する振動ノイズを低減することを目的する。
本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、HDDサスペンションの構成部材のステンレス層の存在割合を減少させ、更にステンレス層間に特定の樹脂層を介在させることでHDDサスペンションの軽量化及び振動吸収性の向上を図ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ステンレス層A、液晶ポリマー層B、ステンレス層Cが順次積層された積層体であって、液晶ポリマー層Bはステンレス層A及びステンレス層Cに直接接しており、ステンレス層A及びステンレス層Cの厚みがいずれも9〜100μmの範囲にあり、液晶ポリマー層Bの厚みが8〜200μmであって、更に液晶ポリマー層Bの損失正接が0.04以上であることを特徴とするHDDサスペンション用積層体である。
ここで、1)液晶ポリマー層Bが全芳香族ポリエステルであること、2)ステンレス層Aと樹脂層Bの接着力及びステンレス層Cと樹脂層Bの接着力がいずれも0.5kN/m以上であること、3)樹脂層Bの線膨張係数が1×10-5〜3×10-5/℃であること、4)樹脂層Bの厚みが積層体全体の厚みの5〜90%であること、又は、5)ステンレス層A及びCがSUS304であることは本発明の好ましい態様である。また、これらHDDサスペンション用積層体は、HDDサスペンションの構成部材であるロードビームに好適に使用される。
また、本発明は、液晶ポリマー層Bをステンレス層A及びステンレス層C間に介在させた状態で、接着剤を用いずに熱圧着で積層することを特徴とする上記HDDサスペンション用積層体の製造方法でもある。また、この際、液晶ポリマーとステンレスを、表面処理を行わずに熱圧着で積層することにより、より好ましいHDDサスペンション用積層体とすることができる。
以下、発明の実施の形態を説明する。
本発明のHDDサスペンション用積層体は、HDDサスペンションの構成部材の少なくとも一部に使用されるものであり、HDDサスペンション又はその構成部材に加工する前の積層体(基板)を含むことはもちろん、HDDサスペンション又はその構成部材に加工後の積層体を含む。図1に示したHDDサスペンション4は、ロードビーム1及びフレクシャーブランク2及び磁気ヘッド3から構成される(ロードビームとフレキシャーが一体化されたものもある)が、本発明の積層体は、ロードビーム用に好適である。
本発明のHDDサスペンション用積層体は、HDDサスペンションの構成部材の少なくとも一部に使用されるものであり、HDDサスペンション又はその構成部材に加工する前の積層体(基板)を含むことはもちろん、HDDサスペンション又はその構成部材に加工後の積層体を含む。図1に示したHDDサスペンション4は、ロードビーム1及びフレクシャーブランク2及び磁気ヘッド3から構成される(ロードビームとフレキシャーが一体化されたものもある)が、本発明の積層体は、ロードビーム用に好適である。
本発明のHDDサスペンション用積層体は、ステンレス層A、液晶ポリマー層B及びステンレス層Cからなるが、有利にはステンレス層はステンレス箔から、液晶ポリマー層Bは液晶ポリマーフィルムから構成される。
ステンレス層Aとステンレス層Cを構成するステンレスの種類には、特に制約はないが、ばね特性や寸法安定性の観点からSUS304が好ましく、特に300℃以上の温度でアニール処理されたSUS304が好ましい。2つのステンレス層の厚さはいずれも9〜100μmの範囲にあり、18〜40μmの範囲にあることがより好ましい。また、ステンレス層AとCの合計の厚みは、36〜80μmの範囲にあることが好ましい。
ステンレス層の厚みが9μmに満たないと、支持体としての必要な剛性が不足し、一方、100μmを超えると支持体の重量が重く慣性力によって振動の減衰効果は大きく低下する。ステンレス層Aとステンレス層Cを構成するステンレスの種類や厚みは、同一であっても、異なってもよいが、いずれも上記で好ましいとした種類又は範囲にあることがよい。
液晶ポリマー層Bは、光学的異方性の溶融相を形成する液晶ポリマーであり、サーモトロピック液晶高分子とも呼ばれている。光学的に異方性を形成する溶融相を形成する高分子は、当業者にはよく知られているように加熱装置を備えた偏光顕微鏡直行ニコル下で溶融状態の試料を観察したときに偏光を透過する高分子である。液晶ポリマー層Bの厚みは8〜200μmの範囲である。好ましくは、20〜100μmの範囲である。この厚みが8μmに満たない場合は樹脂層の形成が困難で、且つ軽量化及び振動吸収性に殆ど寄与しない。また、200μmを超える場合は、強度を保持するため厚くなりすぎることになる。
液晶ポリマーの原料は、特に限定されるものではないが、以下に例示する(1)〜(4)に分類される化合物及びその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステル及びポリエステルアミドを挙げることができる。但し、高分子液晶を形成するためには、各々の原料化合物の組合せに適宜な範囲がある。
(1)芳香族又は脂肪族ジヒドロキシ化合物
(2)芳香族又は脂肪族ジカルボン酸
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸
(1)芳香族又は脂肪族ジヒドロキシ化合物
(2)芳香族又は脂肪族ジカルボン酸
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸
これらの原料化合物から得られる液晶ポリマーの中でも、下記式に示す構造単位を有する全芳香族ポリエステルの共重合体が本発明の液晶ポリマー層Bを形成するのに好ましいものとして挙げることができる。
また、本発明で使用される液晶ポリマーとしては、耐熱性、加工性の点で、以下の測定法における融点が200〜400℃、特に250〜350℃の範囲を有するものが好ましい。ここで、上記の液晶ポリマーフィルムの融点とは、熱圧着に供するフィルムを10℃/分の昇温速度で加熱した時での示差走査熱量測定法(DSC)における融解ピーク温度をいう。更に、液晶ポリマー層Bは、フィルム状の液晶ポリマーフィルムから形成することが好ましい。なお、液晶ポリマー層Bには、その特性を損なわない範囲で、滑剤、酸化防止剤、充填剤などが配合されていても良い。
液晶ポリマーフィルムは、押出成型して得られる。任意の押出成型法が適用できるが、周知のTダイ法、ラミネート体延伸法、インフレーション法などが工業的に有利である。特にインフレーション法やラミネート体延伸法では、フィルムの機械軸方向(MD方向)だけでなく、これと直行する方向(TD方向)にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向における機械的性質のバランスのとれたフィルムが得られる。
本発明の積層体に使用される液晶ポリマー層Bは、損失正接が0.04以上であり、0.06〜0.2の範囲とすることが好ましい。液晶ポリマー層Bの損失正接を0.04以上とすることにより、サスペンションがディスク上を移動し停止する際に生じる慣性力によって発生する振動ノイズ、及びディスクの回転によって気流が発生しスライダが浮上する際に生じる風乱に伴う振動ノイズの対策が可能となる。かかる損失正接を示す液晶ポリマーは市販品から選沢することができる。
本発明の積層体は、ステンレス層A又はCと、液晶ポリマー層Bの接着面における接着力がいずれも0.5kN/m以上であることが好ましい。0.5kN/m以上とすることにより、積層体の加工中の剥離、加工後のサスペンションとした後の変形等を防止できる。例えば、ロードビーム材に加工する際、加工時の折り曲げや搬送中のロール間での圧縮、及びサスペンションがディスク上を移動する際に発生する繰り返しの慣性力に耐えることのできる接着強度が必要である。剥離強度としては、0.5kN/m以上、好ましくは0.6kN/m以上があれば、良好に使用できることが見出された。かかる接着力を有する積層体は、樹脂層の種類や、ステンレスの表面状態や、接着条件を選択することに達成可能である。ここで、接着力は実施例に示す剥離強度試験によって測定したものをいう。接着力は液晶ポリマーの種類や接着条件等によって変化するが、特別な接着剤の使用や表面処理をせずとも、上記接着力を示す液晶ポリマーを選沢することが望ましい。
本発明の積層体をサスペンションの支持台であるロードビーム等に使用した場合、反りが発生すると磁気信号を読み取る位置精度が悪くなり、単位面積当りの記憶密度が低下する。このため、反りは65mmディスクで3mm以下とすることが好ましいことが見出された。また、本発明の積層体は、反りの発生を防止するため、液晶ポリマー層Bの熱膨張係数は金属層と同等であることが好ましく、100℃から50℃における熱膨張係数が10〜30ppm/℃の範囲にあることがよく、16〜22ppm/℃の範囲にあることがより好ましい。
ステンレス層A及びステンレス層Cの合計厚みと、液晶ポリマー層Bの厚み比率は、1:0.05〜10倍の範囲であるが、好ましくは1:0.1〜4倍で、液晶ポリマー層Bの比率が高いほど軽量化及び振動吸収性に対して効果的である。
また、積層体の全体厚みは50〜500μm、好ましくは60〜200μmであり、それに占める液晶ポリマー層Bの厚み割合は5〜90%、好ましくは30〜70%である。
また、積層体の全体厚みは50〜500μm、好ましくは60〜200μmであり、それに占める液晶ポリマー層Bの厚み割合は5〜90%、好ましくは30〜70%である。
本発明のHDDサスペンション用積層体は、種々の公知の手法を適用して製造することができる。例えば、低コストでありながら生産速度を高めるために、積層体を連続的に製造する方法が提案されている(例えば、特開平5−42603号公報を参照)。本発明では液晶ポリマー層Bを構成する液晶ポリマーフィルムをステンレス層間に介在させた状態で、すなわち、ステンレス層A/液晶ポリマー層B/ステンレス層Cを順次重ね合わせて、加熱、加圧下で熱圧着することで積層体とすることができる。
熱圧着の具体的方法としては、上記順序で積層した任意の大きさの熱圧着前の積層物をバッチ式で熱圧着する方法や、ロール状の液晶ポリマーフィルムとロール状のステンレス箔をそれぞれ引き出し、上記順序に積層したものを加熱下で加圧ロールの間を通過させる方法が適用できる。熱圧着の際、液晶ポリマーフィルムとステンレス箔とを液晶ポリマーの融点より80℃低い温度から融点より5℃低い温度までの範囲内の温度で圧着することが好ましい。
また、本発明のHDDサスペンション用積層体の製造方法においては、熱圧着の際に、液晶ポリマー層とステンレス層とを接着剤を用いずに、また、それぞれの表面に特殊な表面処理を施すことなく熱圧着のみで積層することが有利である。
本発明においては、寸法安定性に優れた積層体を高い生産性で提供するために、上記の液晶ポリマー層とステンレス層の熱圧着後、更にその積層体を、液晶ポリマーフィルムの融点以上で加熱処理する第2工程を経由する製造方法が好ましい。この第2工程を設けることで、等方性及び寸法安定性の良好な金属張積層板とすることができる。
本発明によれば、HDDの高容量化に対応した技術として、HDDサスペンションの構成部材であるステンレス製ロードビーム材をステンレス層/液晶ポリマー層/ステンレス層の高機能性複合積層体にすることによって軽量化を図り、この技術によってディスク上で移動−停止を繰り返す際に生じる慣性力、及びサスペンションがディスク上を浮揚する際に生じる気流の微妙な乱れによって発生する振動ノイズを空気との摩擦によって低減することを可能にした。これによってディスクとスライダ間の距離を短縮して且つ安定的な浮揚姿勢を保つことが可能となり、これまで以上のトラック密度及び線記録密度を向上させることでHDDの高容量化を可能にする。
以下、実施例及び比較例などに基づき本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における基本特性の評価方法は以下の方法によるもので、ロードビーム用途で必要とされる基本性能は以下に併せて記載する。
(損失正接)
損失正接は、動的粘弾性測定装置RSA−II (Rheometrics社製)を用いて、幅5mm、
長さ33mmの樹脂(液晶ポリマー層)を、25℃、周波数1.0Hz、変位1.0%の条件で測定した。
損失正接は、動的粘弾性測定装置RSA−II (Rheometrics社製)を用いて、幅5mm、
長さ33mmの樹脂(液晶ポリマー層)を、25℃、周波数1.0Hz、変位1.0%の条件で測定した。
(剥離強度試験)
積層体を作成し、形状加工により1/8インチ配線幅の測定試験片を作成した。このサンプルを固定板に張付け、ステンレス層を引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ−M1)を用いて90°方向に引き剥がし強さを測定した。
積層体を作成し、形状加工により1/8インチ配線幅の測定試験片を作成した。このサンプルを固定板に張付け、ステンレス層を引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ−M1)を用いて90°方向に引き剥がし強さを測定した。
(反りの測定)
積層体の反りは、回路加工により直径65mmのディスクを作成し、ノギスを用いて机上に置いた際に最も反りが大きくなる部分を測定した。
積層体の反りは、回路加工により直径65mmのディスクを作成し、ノギスを用いて机上に置いた際に最も反りが大きくなる部分を測定した。
(線熱膨張係数の測定)
線熱膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(センコーインスツルメンツ社製)を用いて255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、更に5℃/分の一定速度で冷却した。冷却時の100℃から50℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を算出した。
線熱膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(センコーインスツルメンツ社製)を用いて255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、更に5℃/分の一定速度で冷却した。冷却時の100℃から50℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を算出した。
(試験片重量の測定)
重量測定は100×100mmの試験片を作成し、エー・アンド・デイ製電子天秤(EK-A)を用いて各基材の重量を測定した。
重量測定は100×100mmの試験片を作成し、エー・アンド・デイ製電子天秤(EK-A)を用いて各基材の重量を測定した。
厚さ40μmの液晶ポリマーフィルム((株)クラレ製、商品名ベクスター、融点280℃)の両面に30μmの厚みのステンレス箔(新日本製鐵株式会社製、SUS304、テンションアニール処理品)を重ね合わせ、重ね合わせると同時に一対の加圧ロール間に2m/分で連続的に供給し、続く第2工程で加熱炉を通過させることで280℃、1分熱処理してステンレス箔/液晶ポリマー/ステンレス箔の積層体を得た。この際、接着剤は用いず、また、液晶ポリマー、ステンレス箔いずれの表面処理も行なわなかった。ロール表面は、ロール内部の加熱機構により230℃に加熱した。この積層体の特性を評価した結果を表1に示す。
合成例1
9.0モルの4,4'−ジアミノ−2,2'−ジメチルビフェニル(DADMB)を、40Lのプラネタリーミキサーの中で25.5kgの溶媒N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させた。次いで、8.9モルの3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加え、室温にて3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体Aの溶液を得た。
9.0モルの4,4'−ジアミノ−2,2'−ジメチルビフェニル(DADMB)を、40Lのプラネタリーミキサーの中で25.5kgの溶媒N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させた。次いで、8.9モルの3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加え、室温にて3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体Aの溶液を得た。
合成例2
6.3モルの2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を、40Lのプラネタリーミキサーの中で25.5kgの溶媒DMACに溶解させた。次いで、6.4モルのBPDAを加え、室温にて3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体Bの溶液を得た。
6.3モルの2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を、40Lのプラネタリーミキサーの中で25.5kgの溶媒DMACに溶解させた。次いで、6.4モルのBPDAを加え、室温にて3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体Bの溶液を得た。
比較例1
合成例2で得られたポリイミド前駆体Bの溶液を実施例1で用いたと同様のステンレス箔上に、硬化後の厚みが1μmになるように塗布して110℃で3分間乾燥させた。その後、その上に合成例1で得られたポリイミド前駆体Aの溶液を硬化後の厚さが38μmとなるように塗布して110℃で10分間乾燥し、更にその上に合成例2で得られたポリイミド前駆体Bの溶液を硬化後の厚みが1μmとなるように塗布して110℃で3分間乾燥させた。その後、更に130〜360℃の範囲で段階的な熱処理によりイミド化を完結させ、ステンレス上にポリイミド樹脂層の厚み40μmの積層体を得た。なお、第1層目のポリイミド樹脂層と第3層目のポリイミド樹脂層は同じとした。次に、同じステンレス箔をこの積層体に重ね合わせ、真空プレス機を用いて、面厚15MPa、温度320℃、プレス加圧時間20分の条件で加熱圧着してステンレス層/ポリイミド樹脂層/ステンレス層=30/40/30の積層体を得た。
合成例2で得られたポリイミド前駆体Bの溶液を実施例1で用いたと同様のステンレス箔上に、硬化後の厚みが1μmになるように塗布して110℃で3分間乾燥させた。その後、その上に合成例1で得られたポリイミド前駆体Aの溶液を硬化後の厚さが38μmとなるように塗布して110℃で10分間乾燥し、更にその上に合成例2で得られたポリイミド前駆体Bの溶液を硬化後の厚みが1μmとなるように塗布して110℃で3分間乾燥させた。その後、更に130〜360℃の範囲で段階的な熱処理によりイミド化を完結させ、ステンレス上にポリイミド樹脂層の厚み40μmの積層体を得た。なお、第1層目のポリイミド樹脂層と第3層目のポリイミド樹脂層は同じとした。次に、同じステンレス箔をこの積層体に重ね合わせ、真空プレス機を用いて、面厚15MPa、温度320℃、プレス加圧時間20分の条件で加熱圧着してステンレス層/ポリイミド樹脂層/ステンレス層=30/40/30の積層体を得た。
比較例2
100μmのステンレス箔(新日本製鐵株式会社製、SUS304、テンションアニール処理品)を用意して、同様な比較評価を行なった。
100μmのステンレス箔(新日本製鐵株式会社製、SUS304、テンションアニール処理品)を用意して、同様な比較評価を行なった。
なお、実施例1及び比較例1で得た積層体及び比較例2のステンレス箔を用いてHDDのロードビームに加工したが、加工の際に剥離や変形等の問題はいずれもなく、また、得られたロードビームをサスペンションに組み込んだHDDについても、同様である。しかし、実施例1の積層体から形成したロードビームをサスペンションに組み込んだHDDは、軽量であり、比較例1の積層体から形成したものより振動吸収性が優れていた。
1 ロードビーム
2 フレクシャーブランク
3 磁気ヘッド
4 サスペンション
2 フレクシャーブランク
3 磁気ヘッド
4 サスペンション
Claims (10)
- ステンレス層A、液晶ポリマー層B、ステンレス層Cが順次積層された積層体であって、液晶ポリマー層Bはステンレス層A及びステンレス層Cに直接接しており、ステンレス層A及びステンレス層Cの厚みがいずれも9〜100μmの範囲にあり、液晶ポリマー層Bの厚みが8〜200μmであって、更に液晶ポリマー層Bの損失正接が0.04以上であることを特徴とするHDDサスペンション用積層体。
- 液晶ポリマー層Bが全芳香族ポリエステルからなる請求項1記載のHDDサスペンション用積層体。
- 液晶ポリマー層Bと、ステンレス層A又はステンレス層Cとの接着力がいずれも0.5kN/m以上である請求項1又は2記載のHDDサスペンション用積層体。
- 液晶ポリマー層Bの線膨張係数が、1×10-5〜3×10-5/℃である請求項1〜3いずれかに記載のHDDサスペンション用積層体。
- 液晶ポリマー層B厚みが積層体全体の厚みの5〜90%である請求項1〜4のいずれかに記載のHDDサスペンション用積層体。
- ステンレス層A及びステンレス層Cが、SUS304である請求項1〜5のいずれかに記載のHDDサスペンション用積層体。
- HDDサスペンション用積層体が、HDDサスペンションのロードビームに使用されるものである請求項1〜6のいずれかに記載のHDDサスペンション用積層体。
- 液晶ポリマー層Bをステンレス層A及びステンレス層C間に介在させた状態で、接着剤を用いずに熱圧着で積層することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のHDDサスペンション用積層体の製造方法。
- 液晶ポリマーとステンレスを、表面処理を行わずに熱圧着で積層することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のHDDサスペンション用積層体の製造方法。
- 請求項7に記載のHDDサスペンション用積層体を加工して得られたことを特徴とするHDDサスペンションのロードビーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006150044A JP2007323697A (ja) | 2006-05-30 | 2006-05-30 | Hddサスペンション用積層体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006150044A JP2007323697A (ja) | 2006-05-30 | 2006-05-30 | Hddサスペンション用積層体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007323697A true JP2007323697A (ja) | 2007-12-13 |
Family
ID=38856388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006150044A Withdrawn JP2007323697A (ja) | 2006-05-30 | 2006-05-30 | Hddサスペンション用積層体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007323697A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102216680A (zh) * | 2008-11-28 | 2011-10-12 | 夏普株式会社 | 照明装置、显示装置和电视接收装置 |
JP2019214138A (ja) * | 2018-06-11 | 2019-12-19 | 日鉄ステンレス株式会社 | 複層ステンレス鋼箔 |
-
2006
- 2006-05-30 JP JP2006150044A patent/JP2007323697A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102216680A (zh) * | 2008-11-28 | 2011-10-12 | 夏普株式会社 | 照明装置、显示装置和电视接收装置 |
JP2019214138A (ja) * | 2018-06-11 | 2019-12-19 | 日鉄ステンレス株式会社 | 複層ステンレス鋼箔 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6133782B2 (ja) | 熱可塑性液晶ポリマーフィルムならびにこれを用いた積層体および回路基板 | |
KR102507434B1 (ko) | 프린트 기판용 재료, 금속 적층판, 그들의 제조 방법 및 프린트 기판의 제조 방법 | |
WO2006051693A1 (ja) | 金属張積層体およびその製造方法 | |
TWI738777B (zh) | 覆金屬積層板之製造方法、電子電路基板之製造方法、剛體擺錘型黏彈性測定裝置 | |
WO2018186223A1 (ja) | 金属張積層板およびその製造方法 | |
JP2008068406A (ja) | フレキシブル金属積層体およびフレキシブルプリント基板 | |
JP3534405B1 (ja) | 耐熱性フレキシブル積層板の製造方法およびこれにより製造される耐熱性フレキシブル積層板 | |
JP2008087254A (ja) | フレキシブル銅張積層板及びキャリア付フレキシブル銅張積層板 | |
JP5088853B2 (ja) | フレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りの予測方法、およびフレキシブル回路基板用補強板 | |
JP2007323697A (ja) | Hddサスペンション用積層体及びその製造方法 | |
JP4434960B2 (ja) | ラミネート用ボンディングシートおよび片面金属張積層板 | |
JP2011153360A (ja) | 両面銅張積層板用圧延銅合金箔、及びそれを用いた両面銅張積層板の製造方法 | |
JP4904179B2 (ja) | 平面スピーカー基板用二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれからなる平面スピーカー用積層部材 | |
JP4692758B2 (ja) | フレキシブル積層板及びその製造方法 | |
JPH11302417A (ja) | ポリマーフィルムおよびその製造方法 | |
JP2006307288A (ja) | 銅張積層基板用低光沢圧延銅箔 | |
JP2004303358A (ja) | Hddサスペンション用積層体及びhddサスペンション | |
JPWO2004049336A1 (ja) | 薄肉銅箔を用いたhddサスペンション用積層体及びその製造方法 | |
JP2005285178A (ja) | Hddサスペンション用積層体及びその使用方法 | |
JP5313191B2 (ja) | 金属張積層板及びその製造方法 | |
JP2007091803A (ja) | ポリイミドフィルムおよび金属張積層板 | |
JP2008238517A (ja) | 多層積層体及びそれを用いた金属張積層体の製造方法 | |
JP2002331589A (ja) | 金属張積層板の製造方法 | |
JP4546044B2 (ja) | 反りの小さい樹脂金属積層板及びその製造方法 | |
JP2007320083A (ja) | 銅張積層板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090804 |