JP5088853B2 - フレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りの予測方法、およびフレキシブル回路基板用補強板 - Google Patents

フレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りの予測方法、およびフレキシブル回路基板用補強板 Download PDF

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Description

本発明は、液晶ポリマー樹脂からなるフレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りを予測する方法、およびフレキシブル回路基板用補強板に関するものである。
近年、フレキシブル伝送路や、集積回路実装用のテープインターポーザー(TABテープなど)を含むフレキシブル回路基板の需要が増している。このフレキシブル回路基板では、コネクタ部への挿入や部品の搭載などのため部分的に補強されることがある。
斯かる補強のために用いられる補強板としては、ポリイミドフィルムの他、熱硬化性樹脂を含浸したガラスクロスやアラミド不織布、或いはポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)やポリエーテルイミド(以下、「PEI」という)等の熱可塑性樹脂フィルムが一般に使われている。
この補強板により補強された部分の回路上では、はんだにより部品が搭載される場合がある。この際、最近では環境に与える影響を考慮して鉛フリーのはんだ(スズや銀、銅など)も用いられており、これらはんだを用いる場合には、はんだリフロー時の温度を高くせざるを得ない。よって、PETやPEIなど耐熱性に劣る熱可塑性樹脂からなる補強板では対応できなくなってきている。
一方、ポリイミドフィルムは耐熱性に優れるため、フレキシブル回路基板用補強板として好適である。その上、機械的強度が高く反りが少ない上に、打抜加工性や厚み精度も良好である。しかし、補強板用途では比較的厚いフィルムが必要とされるが、厚いポリイミドフィルムは製造が難しく高価である。また、吸水性が高いために、はんだリフロー時に含有水分を原因とする膨れ(ポップコーン現象)を起こし易いという欠点もある。
また、熱硬化樹脂を含浸したガラスクロスやアラミド不織布も、耐熱性や機械的強度には優れる。しかし、補強板をフレキシブル回路基板に貼り合わせた上で打抜加工する際に、ガラスクロスやアラミド不織布の粉或いは硬化した熱硬化樹脂の粉が落ち、製品品質を低下させるという問題がある。
上述した様に、最近のフレキシブル回路基板用補強板には耐熱性が要求されるため、PETやPEIなどの熱可塑性樹脂フィルムは使用できない。しかし、熱可塑性樹脂フィルムの耐熱性を向上させることによって、補強板として用いる技術が開発されている。
例えば特許文献1には、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂とPEI等の熱可塑性樹脂、および板状フィラーの混合物を含む樹脂組成物が開示されており、当該組成物はフレキシブル回路基板の補強板に適するとされている。また、当該組成物よりなるフィルムまたはシートの線膨張係数(以下、「CTE」という)を45ppm/℃以下にすることによって、特にはんだリフロー後における反りの発生を低減できるとされている。
また、耐熱性を確保する目的で、ガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂層とポリイミド樹脂層等を積層した補強板(特許文献2)や、ガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂層とフェノール樹脂層とを積層した補強板(特許文献3)もある。
一方、フレキシブル回路基板の加工や製造時における補強に用いられるものではあるが、その後に剥離されるフィルムに関する技術もある。例えば特許文献4には、ポリエステルとポリイミドを含有し、CTEと熱収縮率が規定されたフィルムが開示されている。また、特許文献5には、熱可塑性樹脂からなる二軸配向フィルムであって、同じくCTEと熱収縮率が規定されたものが記載されている。
さらに特許文献6には、液晶ポリマーと熱可塑性樹脂を含む組成物であって、溶融プレス後急冷した際に各樹脂相が連続相を有することを特徴とするものが開示されている。
特開2004−182832号公報(特許請求の範囲、段落[0040]) 特開2003−340996号公報(特許請求の範囲) 特開2003−211613号公報(特許請求の範囲) 特開2003−101166号公報(特許請求の範囲、段落[0004]) 特開2005−139214号公報(特許請求の範囲、段落[0013]) 特開2005−213363号公報(特許請求の範囲、段落[0102])
上述した様に、フレキシブル回路基板用の補強板であって、熱可塑性樹脂を材料として含み、その耐熱性が改善されたものはあった。しかし、特許文献1に記載の補強板では、特に、240〜280℃といった高温のはんだリフロー時における耐熱性が十分でない上に、基板の打ち抜き加工時にフィラーが脱落するという問題がある。また、特許文献2の補強板でも、ポリイミド樹脂を含むことから吸湿し、はんだリフロー時に膨れが生じ得る。特許文献3の補強板は、耐熱性を向上させるために熱硬化性のフェノール樹脂層を有するが、この熱硬化性樹脂が打ち抜き加工時における粉落ちの原因となる。
また、特許文献4と5のフィルムは、フレキシブル回路基板製造時の160℃程度の加熱プレス処理後における剥離性の悪化や熱変形を抑制することを目的としている。よって、170℃から50℃まで降温した場合等におけるCTE等しか検討されていないため、高温のはんだリフロー工程に適するものではない。実際、これらフィルムの主要な樹脂成分であるPET等のポリエステルは、耐熱性に劣るため240〜280℃という高温下では変形し、回路精度を維持できないおそれがある。特許文献6の樹脂組成物でも、液晶ポリマーを構成成分とするものの、耐熱性に劣るPET等の熱可塑性樹脂を30%以上含むため、やはり高温のはんだリフロー工程には耐えられないものであると考えられる。なお、特許文献6の発明では320℃で溶融プレスした後に急冷したときのミクロ構造を規定しているが、特許文献4,5と同じく高温域でのCTEは全く考慮されていない。
そこで本発明が解決すべき課題は、フレキシブル回路基板を補強するための補強板であって、高温でのはんだリフロー工程を経ても膨れや回路基板の反りが低減されている上に、基板の打ち抜き加工時における粉落ちも抑制されているものを提供することにある。また、本発明は、液晶ポリマー樹脂フィルムからなるフレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りを予測する方法を提供することも目的とする。
本発明者は、先ず、耐熱性に優れる上に粉落ちの問題が生じない熱可塑性樹脂として液晶ポリマー樹脂を用いることにした。ところが、従来の液晶ポリマー樹脂フィルムには、通常の加熱下で比較的大きな平面方向の線膨張係数を有するのに対して、鉛フリーのはんだリフローで必要な240〜280℃という高温下では逆に線膨張係数が小さくなるという特異な性質があることが分かった。その結果、液晶ポリマー樹脂からなるフィルムを補強板として用いると、高温のリフロー工程によりフレキシブル回路基板に反りが生じてしまう。そこで本発明者らは、従来考慮されてこなかった高温下から室温までの線膨張係数と熱収縮率から、高温リフロー工程による反りを予測できること、また、線膨張係数と熱収縮率とを調節することによりかかる反りを解決できることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る液晶ポリマー樹脂フィルムからなるフレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りを予測する方法は、
フレキシブル回路基板用補強板の250℃における熱収縮率[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値[ppm/℃]を測定し;
上記熱収縮率:(A)と線膨張係数の平均値:(B)を下記式(i)または(ii)に代入し;
|(A)×13.0−(B)×0.59+10.0| ・・・(i)
|(A)×30.6+(B)×0.86−15.4| ・・・(ii)
高温リフロー加熱中におけるフレキシブル回路基板用補強板の反り(%)を式(i)の値から、また、高温リフロー加熱してから室温まで冷却した後におけるフレキシブル回路基板用補強板の反り(%)を式(ii)の値から予測することを特徴とする。
また、本発明のフレキシブル回路基板用補強板は、
液晶ポリマー樹脂フィルムからなり、
250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]が、下記式(iii)と(iv)を満たし、且つ熱収縮率(A)が0%以上であることを特徴とする。
|(A)×13.0−(B)×0.59+10.0|≦6 ・・・(iii)
|(A)×30.6+(B)×0.86−15.4|≦6 ・・・(iv)
本発明のフレキシブル回路基板用補強板としては、さらに、上記熱収縮率(A)と線膨張係数の平均値(B)が、下記式(v)と(vi)を満たすものが好適である。
|(A)×13.0−(B)×0.59+10.0|≦3 ・・・(v)
|(A)×30.6+(B)×0.86−15.4|≦3 ・・・(vi)
式(v)と(vi)の左辺の値、即ち式(i)と(ii)の値は、高温のリフロー加熱中と加熱後の反り予測値を示し、上記式(v)と(vi)を満たせば高温リフロー工程による反り量が3%以下に抑制されることになるので、当該液晶ポリマー樹脂フィルムはフレキシブル回路基板用補強板としてより一層優れるものである。
上記フレキシブル回路基板用補強板としては、TD方向における上記線膨張係数の平均値に対する、MD方向における上記線膨張係数の平均値の比(MD/TD)が0.67〜1.5の範囲内にあるものが好適である。異方性が小さい液晶ポリマー樹脂フィルムを用いることによって、反りの発生をより一層抑制できる。
上記液晶ポリマー樹脂としては、融点が280℃以上であるものが好適である。高温のはんだリフロー時に流動する樹脂は、補強板に使用できないからである。
上記補強板としては、生産性等の面から単層の液晶ポリマー樹脂フィルムからなるものが好適である。但し、複数枚を積層して補強板としてもよい。厚手の補強板を得ることができるからである。
また、上記補強板として、片面に接着剤層を有するものや、少なくとも片面に化学的または物理的表面改質処理を施されたものの利便性が高い。それぞれ、そのまま回路基板に接着できたり、回路基板との密着性を高められるといった利点がある。
本発明方法によれば、高温のリフロー加熱によるフレキシブル回路基板用補強板の反りを予測することができる。従って、例えば本発明方法によりサンプルの反りを予測し、その予測値が大きい場合には製造条件を変更することによって、高温のリフロー工程による反りの小さい液晶ポリマー樹脂フィルムを効率的に製造することも可能になる。
また、本発明のフレキシブル回路基板用補強板は、吸湿性の低い液晶ポリマー樹脂からなるので含有水分が少なく、はんだリフロー時における膨れが抑制されている。また、耐熱性にも優れる。そして何よりも、高温のはんだリフロー時やはんだリフロー工程後においても反りが生じ難いことから、反りを原因とする部品の脱落や接合部不良も起こり難く、高品質な製品を歩留よく製造できる。従って、本発明は、近年需要が増しているフレキシブル回路基板に関する技術として、産業上極めて有用である。
本発明では、液晶ポリマー樹脂フィルムを対象とする。液晶ポリマー樹脂は、優れた耐熱性と強度特性を有する。また、熱可塑性樹脂であることから打抜加工時における粉落ちの問題もないので、フレキシブル回路基板用補強板の材料として適するものである。
液晶ポリマー樹脂には、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマー樹脂と、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマー樹脂がある。本発明ではサーモトロピック液晶ポリマーが好適であり、より具体的には、サーモトロピック液晶ポリエステルやサーモトロピック液晶ポリエステルアミドが好ましい。
サーモトロピック液晶ポリエステル(以下、単に「液晶ポリエステル」という)とは、例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールや芳香族ヒドロキシカルボン酸などのモノマーを主体として合成される芳香族ポリエステルであって、溶融時に液晶性を示すものである。その代表的なものとしては、パラヒドロキシ安息香酸(PHB)と、テレフタル酸と、4,4’−ビフェノールから合成されるI型[下式(1)]、PHBと2,6−ヒドロキシナフトエ酸から合成されるII型[下式(2)]、PHBと、テレフタル酸と、エチレングリコールから合成されるIII型[下式(3)]が挙げられる。
本発明に係る液晶ポリマー樹脂としては、液晶性(特にサーモトロピック液晶性)を示すものであれば、例えば、上記(1)〜(3)式に示すユニットを主体(例えば、液晶ポリマーの全構成ユニット中、50モル%以上)とし、他のユニットも有する共重合タイプのポリマーであってもよい。他のユニットとしては、例えば、エーテル結合を有するユニット、イミド結合を有するユニット、アミド結合を有するユニットなどが挙げられる。
液晶ポリエステルアミドとしては、他のユニットとしてアミド結合を有する上記液晶ポリエステルが該当し、例えば、下式(4)の構造を有するものが挙げられる。例えば、式(4)中、sのユニット、tのユニットおよびuのユニットのモル比が、70/15/15のものが知られている。
本発明の液晶ポリマー樹脂フィルムの厚さは、50μm以上とすることが好ましい。厚さが50μm以上であれば、フレキシブル回路基板用補強板として十分な強度を有する。より好ましくは125μm以上とする。一方、フィルム厚さの上限は特にないが、コストの面から800μm以下程度が好適であり、500μm以下がより好ましい。
用いる液晶ポリマー樹脂の融点は、280℃以上が好適である。鉛フリーのはんだを用いる場合にははんだリフロー工程の温度は240〜280℃程度とするが、融点が280℃未満であると、当該工程で樹脂が流動してしまうおそれがある。なお、液晶ポリマー樹脂の融点は、JIS K 7121の融解温度の求め方に基づいて示差走査型熱量計(DSC)により測定する。
液晶ポリマー樹脂フィルムとしては、黒色や褐色などに着色しているものが好ましい場合がある。例えば、光の乱反射を抑制したい場合等である。着色方法は特に制限されないが、例えばカーボンや金属酸化物粉等を打ち抜き加工時における粉落ちが問題とならない程度に配合する方法がある。
本発明における「高温リフロー工程」の「高温」は、鉛フリーはんだを用いた場合のリフロー工程に必要な温度をいう。具体的には240℃以上をいい、さらに240〜280℃程度をいうものとする。
本発明方法では、液晶ポリマーフィルムからなるフレキシブル回路基板用補強板の熱収縮率と線膨張係数を測定し、これらを式(i)または(ii)へ代入することによって、高温リフロー加熱中におけるフレキシブル回路基板用補強板の反り(%)、または高温リフロー加熱してから室温まで冷却した後における反り(%)を予測する。
本発明における高温リフロー加熱中における「反り」は、例えば、100mm×20mmのサンプルを250℃のホットプレート上で2分間加熱し、100mmに対するサンプル高さの変化の割合、即ち高さの変化(mm)/100mm×100(%)で表すことができる。また、高温リフロー加熱後の「反り」は、例えば、上記加熱から室温まで冷却した後における同様の高さの変化の割合で表すことができる。
本発明における「250℃における熱収縮率」とは、250℃の加熱前後における樹脂の収縮または膨張の割合をいう。具体的には、フィルムを120×120mmの正方形に切り出し、当該フィルム上、MD方向に平行な2辺とTD方向に平行な2辺からなる100mm角の正方形を作成し、向かい合う2辺上に1点ずつ100mm間隔の標点をレーザーマーカーで作成する。次いで、フィルムを250℃で30分間加熱した直後の距離(Xmm)を三次元測定器で測定し、式:[100−X/100]×100(%)から求める。本発明では、MD、TD各方向につき2組以上の標点で測定を行い、それぞれの平均値を求める。さらに、得られたMD、TD各方向の熱収縮率平均値の平均値を求め、これを用いるものとする。
「線膨張係数(CTE)」とは、通常、温度1℃の上昇に伴う物体の伸びと元の長さとの比をいう。よって、温度t1℃における長さをX1、温度t2℃における長さをX2とした場合における温度t1℃から温度t2℃までのCTEは、式:(X2−X1/t2−t1)/X1で計算することができる。本発明では、250℃から室温までの平面方向におけるCTEを、例えば0.33℃ごとなど所定の温度ごとに測定し、各測定値の平均で規定することにした。
本発明では、250℃から室温までの平面方向におけるCTEの平均値を求める。ここでの「平面方向」はフィルム平面に平行であればよいが、好適にはMD方向および/またはTD方向でCTEを測定するものとする。
「CTEの平均値」は、例えば以下の通り測定するものとする。先ず、試験対象であるフィルムを、試験片幅:4mm、チャック間距離:15mm、荷重:5gでTMA(熱機械分析装置)等の測定装置に固定する。そして室温から250℃まで昇温速度:5℃/分で昇温した後、そのまま1分間保持し、次いで降温速度:5℃/分で冷却する際において、250℃から室温までの0.33℃ごとに長さの変化量を測定してCTEを算出する。本発明では、得られた各CTEの平均値を用いる。
液晶ポリマー樹脂フィルムの場合には、MD方向とTD方向のCTEが異なる場合がある。この場合には、各方向のCTE値の平均値を用いるものとする。
本発明において、250℃における熱収縮率と250℃から室温までのCTEの平均値を基準とするのは、従来、補強板材料のCTEは50〜100℃など比較的低い温度範囲で測定されていたのに対し、本発明では240〜280℃という高温下でのはんだリフロー工程を考慮したものである。また、ここでの「室温」は温度制御を伴わない「常温」をいい、より具体的には「25℃」をいうものとする。
本発明方法では、上記熱収縮率(A)[%]とCTEの平均値(B)[ppm/℃]を下記式(i)または(ii)に代入することによって、高温リフロー加熱中における液晶ポリマー樹脂フィルムの反り(%)を式(i)の値から、また、高温リフロー加熱してから室温まで冷却した後における液晶ポリマー樹脂フィルムの反り(%)を式(ii)の値から予測する。
|(A)×13.0−(B)×0.59+10.0| ・・・(i)
|(A)×30.6+(B)×0.86−15.4| ・・・(ii)
上記式は、様々な液晶ポリマー樹脂の種類;温度、延伸倍率、延伸速度といった延伸条件;アニーリングなどの熱処理条件を違えて製造したフィルムについて熱収縮率とCTEおよび反り量を測定したところ、リフロー加熱中およびリフロー加熱後の反り量は熱収縮率とCTEに依存するという、本発明者らによる新規な知見の基に定められたものである。詳細には、様々なCTEと熱収縮率を有する液晶ポリマー樹脂フィルムについて、250℃という高温のリフロー加熱中、および高温加熱から冷却した後の反り量を測定した。次に、分析ソフト(SAS Institute Japan株式会社製、JMP6.0)を用いて、250℃から室温までの線膨張係数の平均値、250℃における熱収縮率を因子とし、反りの測定値を応答とした多変量解析を行った。その結果、高温のリフロー加熱中の反り量および冷却後の反り量について、250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]の2つの因子を用いて、以下に示す予測式を立てることができた。
リフロー加熱中の反り量(%) = (A)×13.0−(B)×0.59+10.0
リフロー加熱後の反り量(%) = (A)×30.6+(B)×0.86−15.4
従って、液晶ポリマーフィルムについて、上記の通り熱収縮率とCTEの平均値を測定し、測定値を上記式(i)または(ii)に代入することによって、それぞれ鉛フリーはんだに必要な高温でのリフロー工程中とその後に発生する反り量を予測することができる。また、その予想値が大きく、フレキシブル回路基板用補強板等として用いるのが難しい場合には、製造条件を調節した上で再び熱収縮率とCTEを測定し、改めて予測値を求めればよい。サンプルフィルムでかかる作業を繰り返せば、理想的な製造条件を容易に導き出すことができ、フレキシブル回路基板用補強板として優れた特性を有する液晶ポリマーフィルムの効率的な製造が可能になる。
本発明のフレキシブル回路基板用補強板は、
液晶ポリマー樹脂フィルムからなり、
250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]が、下記式(iii)と(iv)を満たし、且つ熱収縮率(A)が0%以上であることを特徴とする。
|(A)×13.0−(B)×0.59+10.0|≦6 ・・・(iii)
|(A)×30.6+(B)×0.86−15.4|≦6 ・・・(iv)
式(iii)と(iv)の左辺の値、即ち式(i)と(ii)の値は、高温のリフロー加熱中と加熱後の反り予測値を示し、上記式(iii)と(iv)を満たせばリフロー工程による反りがほぼ6%以下に抑制されることになる。従って、本発明の液晶ポリマー樹脂フィルムはフレキシブル回路基板用補強板として優れている。また、反りの予測値が3%以下であるものは、フレキシブル回路基板用補強板としてより一層優れるものである。
また、本発明のフレキシブル回路基板用補強板としては、その熱収縮率が0%以上であるものが好ましい。熱収縮率の値が0%より小さいフィルムは、製膜が困難である上に、FPCと貼り合わる工程での反りが発生するために好ましくない。
MD方向とTD方向とでCTEの平均値に差がある場合には、TD方向における上記線膨張係数の平均値に対する、MD方向における上記線膨張係数の平均値の比(MD/TD)が0.67〜1.5の範囲内にあることが好ましい。また、このCTEの平均値の比は、フィルムをスライスしたものにおいても同範囲内にあることが好ましい。MD方向とTD方向とでCTEの平均値に差がある場合であっても、当該範囲内であれば反りが発生しても十分に許容範囲となる。
本発明のフレキシブル回路基板用補強板には、片面に接着剤層を設けてもよい。そのままフレキシブル回路基板に接着できるなど、便利だからである。ここで使用できる接着剤としては、熱硬化型接着剤であるパイララックスLF(デュポン社製)、ニカフレックスSAF、SAFW(ニッカン社製)等、粘着剤であるハイボン(日立化成ポリマー社製)等を挙げることができる。
また、本発明の補強板の少なくとも片面へ表面改質処理を施してもよい。フレキシブル回路基板との密着性を高められるからである。具体的な処理方法は特に制限されないが、例えばアルカリ、酸、有機溶剤による化学的処理や、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理などの物理的処理を挙げることができる。
本発明のフレキシブル回路基板用補強板の製造方法は特に制限されない。同一の製造方法によっても、用いる液晶ポリマー樹脂の種類やフィルム厚さ等によりCTEや熱収縮率は変わり得、その結果、高温リフロー工程による反り量も変化し得る。しかし、下記方法によれば、高温リフロー工程による反り量の少ないフレキシブル回路基板用補強板を、より確実に製造することができる。
本発明に係る液晶ポリマー樹脂からなるフレキシブル回路基板用補強板の製造方法は、
液晶ポリマー樹脂をTダイから溶融押出しして液晶ポリマー樹脂シートを得る工程;
得られた液晶ポリマー樹脂シートをTD方向へ延伸する工程;および
得られた延伸フィルムをアニーリングする工程;を含み、
最終的に得られるフレキシブル回路基板用補強板の250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]が、下記式(iii)と(iv)を満たし且つ熱収縮率(A)が0%以上となる様に、溶融押出工程における液晶ポリマー樹脂シートのシート厚に対するTダイのリップクリアランスの比、延伸工程におけるTD方向への延伸倍率、アニーリング工程におけるアニール温度のうち少なくとも1つを調節することを特徴とする。
|(A)×13.0−(B)×0.59+10.0|≦6 ・・・(iii)
|(A)×30.6+(B)×0.86−15.4|≦6 ・・・(iv)
より具体的には、フレキシブル回路基板用補強板に用いる液晶ポリマーフィルムのサンプルを予備的に製造し、250℃における熱収縮率(A)と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)を測定し、式(i)と(ii)に代入する。各値の何れか一方が6を超える場合、即ち式(iii)と(iv)を満たさない場合には、細かい製造条件を変更し、上述したCTEの平均値と熱収縮率が本発明の規定範囲内になるよう製造条件を決定する。以下に、本発明の製造方法をより詳しく説明する。
なお、本発明においては、「シート」と「フィルム」における厚さの明確な違いは特に規定しないが、液晶ポリマー樹脂を溶融押出しして平面状に成形したものを「シート」といい、さらに当該シートを延伸したものを「フィルム」というものとする。
先ず、上述した液晶ポリマー樹脂をTダイにより溶融フィルム押出しする。この際、シリカ、アルミナ、マイカ等のフィラーを、液晶ポリマー樹脂に対して5〜15質量%程度添加してもよい。また、PEI等の熱可塑性樹脂を耐熱性が損なわれない範囲内で添加しポリマーアロイとしてもよい。Tダイのリップクリアランスは0.1〜4mm程度にし、得られる一軸配向シートの厚さは0.1〜4mm程度にすることが好ましい。
得られた一軸配向シートは、延伸することにより厚さを50〜800μmにする。この際、一軸配向シートはMD方向に配向しているため、TD方向へのみ延伸することが好ましい。延伸の際の温度は、用いる液晶ポリマー樹脂の液晶転移温度以上とし、延伸倍率は2〜5倍、延伸速度は10〜40%/秒とするのが好ましい。また、延伸の際に多孔質フッ素樹脂フィルム等の多孔質フィルムを片面または両面にラミネートしてもよい。フィルム厚さをより均一にできるからである。
続いて、得られた延伸フィルムは、アニール工程に付す。延伸成形で残留した歪を除去する等のためである。具体的には、150〜350℃で0.5〜10分間程度加熱することが好ましい。
得られた液晶ポリマー樹脂フィルムについて、250℃における熱収縮率[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値[ppm/℃]を測定し、測定値を本発明の式(i)と(ii)に代入した結果、得られた値が6を超える場合には、製造条件を調節することにより、当該予測値を小さくする。具体的には、押出成形工程において、ドラフト比(シート厚さに対するリップクリアランスの大きさ)が大きいほどフィルムのCTEは小さくなる。また、アニール温度が高くなるほど熱収縮率は小さくなる。さらに、TD方向への延伸倍率を制御してMD方向とTD方向の異方性を調節することにより、フィルム全体のCTEや熱収縮率を調節できる。よって、例えばこれらドラフト比、アニール温度、延伸倍率のうち少なくとも1つを変更してCTEおよび/または熱収縮率を調節することによって、式(iii)と(iv)を満たす様に制御できる。
得られた補強板は、フレキシブル回路基板に接着剤層を介して或いは直接熱圧着することにより回路基板を補強することができる。本発明のフレキシブル回路基板用補強板を有するフレキシブル回路基板は、通常のフレキシブル回路基板では強度が足りない部分が補強板により補強されており、極めて実用性に優れるものである。より具体的には、本発明に係るフレキシブル回路基板は、挿入型コネクタ部や表面実装型コネクタ部、また、半導体パッケージ基板のチップ部品搭載部分などが、上記補強板により補強されている。その結果、はんだリフロー時における外部端子部の平行度が増し、半導体パッケージ基板の実装歩留が向上することが期待できる。
さらに、本発明の補強板は、キャビティ構造の半導体実装部品や半導体実装基板に適用することも考えられる。半導体実装部品としては、LSI、LCD、CMOSやCCD等のイメージセンサーICがある。その効果としては、キャビティ部分に半導体素子を実装する際の歩留が向上することが期待できる。また、フレキシブル回路基板を含め、多層回路基板の内部に本発明の補強板を入れて用いることができる。この場合は、多層回路基板全体の剛性(曲げ強度)の向上と、部品内蔵する場合のスペーサー的役割を果たすことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
(1) 液晶ポリマー樹脂フィルムの製造
液晶ポリマー樹脂(住友化学社製、スミカスーパーE6000、融点:350℃)90重量部とシリカ(電気化学工業製、FS−15)10重量部との混合物を、Tダイ(Tダイ幅:300mm、Tダイリップクリアランス:1.8mm)を用いて、押出温度:360℃で且つ押出量:50kg/Hで溶融押出することによって、厚さ440μmの液晶ポリマー樹脂シートを得た。当該一軸配向シートの両面に多孔質フッ素樹脂フィルム(空孔率:70%、引張り破断伸び:130%)を300℃でラミネートして、積層体とした。この積層体をTD方向に延伸(温度:350℃、延伸倍率:2.5、延伸速度:20%/秒)し、さらにアニール処理(250℃、5分間)することによって、厚さ175μmの等配向フィルムを製造した。
また、上記製造条件のうち、液晶ポリマー樹脂の種類、フィラーの有無、押出条件、延伸条件、アニール条件のうち何れか1条件以上を違えて、合計64種類の液晶ポリマー樹脂フィルムを製造した。
(2) 線膨張係数(CTE)の測定
上記液晶ポリマー樹脂フィルムにつき、下記方法により線膨張係数を測定した。先ず、試験対象であるフィルムを、試験片幅:4mm、チャック間距離:15mm、荷重:5gで熱機械分析装置(TAインスツルメント社製、TMA249)に固定した。そして室温から250℃まで昇温速度:5℃/分で昇温した後、そのまま1分間保持し、次いで降温速度:5℃/分で冷却する際において、250℃から室温まで各温度における長さの変化量から線膨張係数を得た。250℃から室温までの0.33℃ごとに長さの変化量を測定してCTEを算出し、得られたCTE測定値の平均値を得た。当該測定をMD方向とTD方向で行い、さらにこれらの平均値を算出した。
(3) 熱収縮率の測定
上記液晶ポリマー樹脂フィルムにつき、下記方法により熱収縮率を測定した。各フィルムを120mm角に切り出し、当該フィルム上、MD方向に平行な2辺とTD方向に平行な2辺からなる100mm角の正方形を作成し、向かい合う2辺上に1点ずつ100mm間隔の標点をレーザーマーカーで作成した。次いで、フィルムを250℃で30分間加熱した直後の距離(Xmm)を三次元測定器で測定し、式:[100−X/100]×100(%)から求めた。さらに、得られたMD方向とTD方向の熱収縮率値の平均値を求めた。各フィルムの線膨張係数と熱収縮率の分布を、図1に示す。
(4) 高温による反り量の測定
上記液晶ポリマー樹脂フィルムにつき、下記方法により高温のリフロー加熱時における反りを測定した。上記液晶ポリマー樹脂フィルムを、ポリイミドからなるフレキシブル回路基板(新日鐵化学社製、エスパネックスS、全面を銅箔エッチングしたもの)へ接着剤シート(デュポン社製、パイララックスLF)を介して積層し、190℃、3MPaで60分間真空プレスした。これを100mm×20mmに裁断し、測定試料とした。得られた測定試料を250℃のホットプレート上で2分間加熱し、リフロー加熱時における反りを測定した。また、ホットプレート上から取り出したサンプルを室温まで冷却し、リフロー加熱後の反りを測定した。反り量は%(測定mm/100mm)を単位とした。
(5) 本発明式
分析ソフト(SAS Institute Japan株式会社製、JMP6.0)を用いて、上記測定で得られた250℃から室温までの線膨張係数の平均値、250℃における熱収縮率を因子とし、250℃のリフロー加熱による反りの測定値を応答とした多変量解析を行った。解析の手法は次の通りである。まず分散分析によって、因子の主効果および交互作用効果のうちどれが有意か、つまり因子の効果があるかないかを調べ、次にそれらの効果がどれほど効いているのかを回帰分析によって近似式を求めた。通常、近似式のあてはめといえば最小二乗法による直線のあてはめ(y=ax+b)が知られているが、分析ソフトを使うと因子が複数あるような複雑なモデル(=多変量モデル)の近似式も求めることができる。分析ソフトによって上述の分散分析と回帰分析とを行い、得られた多変量モデルによる加熱中および加熱後反り量の予測値と実測値との関係を図2および図3に示す。図2は加熱中の反り量を、図3は加熱後の反り量を示し、それぞれのグラフの下に記載される数値は、多変量解析の結果得られた予測式のパラメータを示す。具体的には、図2に記載される「切片」「熱膨張係数」「熱収縮率」の数値は、本発明の式(i)、(iii)および(v)の切片等を示し、図3に記載される数値は、本発明の式(ii)、(iv)および(vi)の切片等を示す。即ち、高温のはんだリフロー加熱中の反り量および冷却後の反り量について、250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]の2つの因子を用いて、以下に示す予測式を立てることができた。
リフロー加熱中の反り量 = (A)×13.0−(B)×0.59+10.0
リフロー加熱後の反り量 = (A)×30.6+(B)×0.86−15.4
実施例2
次に、実施例1で導き出した式につき、別途、液晶ポリマー樹脂フィルムを作製し、その妥当性を検証した。
(1) 液晶ポリマー樹脂フィルムの製造
表1に示す通り、液晶ポリマー樹脂、フィラーの有無、押出条件、延伸条件、アニール条件のうち少なくとも1つを変更した以外は実施例1に示す製造条件と同様にして、表1に示す厚さの液晶ポリマー樹脂フィルムを作製した。なお、実施例1で作製したフィルムを製造例No.1とし、別途作製したフィルムを製造例No.2〜23とする。
なお、表1中の「ドラフト比」は、シート厚さに対するTダイリップクリアランスの比(Tダイリップクリアランス/シート厚さ)である。
(2) 熱収縮率、CTEの測定、おより反り量の測定
上記表1の製造例No.2〜23の液晶ポリマー樹脂フィルムについて、実施例1と同様の方法により、250℃から室温までの線膨張係数の平均値(ppm/℃)、250℃における熱収縮率(%)、および250℃のリフロー加熱による反り(%)を測定した。結果を表2に示す。なお、反り量は%(測定mm/100mm)を単位とし、下記の基準に従って判定した。
◎:反り量が3%以下
○:反り量が3%より大きく6%以下
×:反り量が6%より大きい
(3) リフロー試験
製造例No.1〜23の液晶ポリマー樹脂フィルムについて、以下の通りリフロー試験を行った。即ち、高温を要する鉛フリーのはんだを想定して、反り量の測定で作製した積層板を、製造例No.1〜10と15〜22のフィルムを用いた場合は280℃で、製造例No.11〜14と15〜23の場合は240℃で2分間加熱し、加熱時における表面性状の有無を目視で観察した。その後、室温まで冷却し、液晶ポリマーフィルムの表面を目視で観察して膨れなどの有無を確認し、耐熱性を評価した。結果を表2に示す。表2の通り、製造例1〜23の何れの液晶ポリマーフィルムのリフロー試験結果も良好であった。
(4) 結果の考察
製造例1の液晶ポリマーフィルムの各温度における線膨張係数(CTE)を図4に示すと、線膨張係数の最高値が24ppm/℃程度、最低値が7ppm/℃程度と、温度に対する線膨張係数の変化が小さいことが分かる。その一方で、製造例No.15の液晶ポリマーフィルムの各温度におけるMD方向のCTEを図5に示すと、当該フィルムの線膨張係数の最高値は14ppm/℃程度であるのに対し最低値は−18ppm/℃程度と両者の差は大きい上に、200℃以上の高温域ではかえって収縮していることが分かる。
上記の通り、同じ液晶ポリマー樹脂を用いた同じ厚さのフィルムであっても、押出条件などの製造条件が異なれば線膨張係数などが異なり、ひいては高温リフロー工程による反り量も異なると考えられる。
また、表2の結果の通り、各液晶ポリマー樹脂フィルムにおいて、実施例1で得た2つの式の絶対値と、反り量の実測値は、ほぼ同等であるといえる。従って、本発明の式によって、高温リフロー工程による液晶ポリマー樹脂フィルムの反り量を予測できることが実証された。
さらに、熱収縮率が0%以上で、且つ式(i)または式(ii)の値が6%以下および3%以下の範囲を図6に示す。図6の通り、高温リフロー工程による反りが大きいと予測される場合、熱収縮率と線膨張係数の平均値の何れか一方を調節することによって、反りは低減でき得る。かかる熱収縮率と線膨張係数の平均値の調節は、押出条件、延伸条件、アニール条件のうち少なくとも一つを調整することにより、反りを低減することができると考えられる。
例えば、延伸倍率を2.5倍で且つアニール条件を250℃で5分間に固定してドラフト比1.6から8.6まで変更した場合(製造例No.1、3、4、17、22を参照)、図7に示す通り、ドラフト比(シート厚さに対するリップクリアランスの大きさ)が大きいほどCTEは小さくなる。また、ドラフト比を7.0で且つ延伸倍率を2.5倍に固定してアニール温度を常温、150℃、250℃に変更した場合(製造例No.6、7、20)、図8に示す通り、アニール温度が高くなるほど熱収縮率は小さくなる。さらに、TD方向への延伸倍率を制御してMD方向とTD方向の異方性を調節することによりフィルム全体のCTEや熱収縮率を調節することも当然に可能である。従って、押出条件、延伸条件、アニール条件のうち少なくとも一つを調整することによって、図6に示す範囲内にCTEや熱収縮率を制御し得、高温リフロー工程による反りを低減できると考えられる。例えば、製造例No.22のフィルムでは式(i)と(ii)の値が共に大きく、高温リフロー工程による反りも大きいが、ドラフト比を8.6から4.1に低減することにより式(i)と(ii)の値を小さくでき、結果として反りを低減できる(表2の製造例No.1を参照)。
本発明に係る式を導き出すために作製した64の液晶ポリマー樹脂フィルムの、250℃から室温までの熱収縮率の平均値(%)と線膨張係数(ppm/℃)の分布を示す図である。 250℃から室温までの線膨張係数の平均値と、250℃から室温までの熱収縮率の平均値を因子とし、250℃のリフロー加熱による反りの測定値を応答とした多変量解析の結果、得られた多変量モデルによるリフロー加熱中の反り量の予測値と実測値との関係を示す図である。 250℃から室温までの線膨張係数の平均値と、250℃から室温までの熱収縮率の平均値を因子とし、250℃のリフロー加熱による反りの測定値を応答とした多変量解析の結果、得られた多変量モデルによるリフロー加熱後の反り量の予測値と実測値との関係を示す図である。 本発明に係るフィルム(補強板)の各温度における線膨張係数(CTE)を示す図である。当該図の通り、本発明の補強板は、温度に対する線膨張係数の変化が小さいことが分かる。 従来フィルムの各温度における線膨張係数(CTE)を示す図である。当該図の通り、従来フィルムは温度に対する線膨張係数の変化が大きく、且つ200℃以上の高温域では収縮することが分かる。 250℃から室温までの線膨張係数の平均と熱収縮率、および熱処理中と熱処理後における反りとの関係を示す図である。図中、グレー部分は熱収縮率が0%未満である範囲を示し、縦線部分は高温リフロー中およびリフロー後の反りが6%以下である範囲を示し、黒の塗りつぶし部分は同反りが3%以下である範囲を示す。 液晶ポリマー樹脂フィルムにおける線膨張係数の平均とドラフト比(押出成形工程におけるフィルム厚に対するリップクリアランスの比)との関係を示す図である。ドラフト比が大きくなるほど、線膨張係数は小さくなることが分かる。 液晶ポリマー樹脂フィルムにおけるアニール温度と熱収縮率との関係を示す図である。アニール温度が高くなるほど、熱収縮率は小さくなることが分かる。

Claims (10)

  1. フィラーを有していてもよい液晶ポリマー樹脂フィルムからなるフレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りを予測する方法であって、
    フレキシブル回路基板用補強板の250℃における熱収縮率[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値[ppm/℃]を測定し;
    上記熱収縮率:(A)と線膨張係数の平均値:(B)を下記式(i)に代入し;
    |(A)×13.0−(B)×0.59+10.0| ・・・(i)
    高温リフロー加熱中におけるフレキシブル回路基板用補強板の反り(%)を式(i)の値から予測することを特徴とする方法。
  2. フィラーを有していてもよい液晶ポリマー樹脂フィルムからなるフレキシブル回路基板用補強板の高温リフロー工程による反りを予測する方法であって、
    フレキシブル回路基板用補強板の250℃における熱収縮率[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値[ppm/℃]を測定し;
    上記熱収縮率:(A)と線膨張係数の平均値:(B)を下記式(ii)に代入し;
    |(A)×30.6+(B)×0.86−15.4| ・・・(ii)
    高温リフロー加熱してから室温まで冷却した後におけるフレキシブル回路基板用補強板の反り(%)を式(ii)の値から予測することを特徴とする方法。
  3. フレキシブル回路基板を補強するための補強板であって、
    フィラーを有していてもよい液晶ポリマー樹脂フィルムからなり、
    250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]が、下記式(iii)と(iv)を満たし、且つ熱収縮率(A)が0%以上であることを特徴とするフレキシブル回路基板用補強板。
    |(A)×13.0−(B)×0.59+10.0|≦6 ・・・(iii)
    |(A)×30.6+(B)×0.86−15.4|≦6 ・・・(iv)
  4. 250℃における熱収縮率(A)[%]と、250℃から室温までの平面方向における線膨張係数の平均値(B)[ppm/℃]が、下記式(v)と(vi)を満たす請求項3に記載のフレキシブル回路基板用補強板。
    |(A)×13.0−(B)×0.59+10.0|≦3 ・・・(v)
    |(A)×30.6+(B)×0.86−15.4|≦3 ・・・(vi)
  5. TD方向における上記線膨張係数の平均値に対する、MD方向における上記線膨張係数の平均値の比が0.67〜1.5の範囲内にある請求項3または4に記載のフレキシブル回路基板用補強板。
  6. 液晶ポリマー樹脂の融点が280℃以上である請求項3〜5の何れかに記載のフレキシブル回路基板用補強板。
  7. フィラーを有していてもよい単層の液晶ポリマー樹脂フィルムからなる請求項3〜6の何れかに記載のフレキシブル回路基板用補強板。
  8. フィラーを有していてもよい液晶ポリマー樹脂フィルムを複数枚積層したものである請求項3〜6の何れかに記載のフレキシブル回路基板用補強板。
  9. 片面に接着剤層を有する請求項3〜8の何れかに記載のフレキシブル回路基板用補強板。
  10. 少なくとも片面に表面改質処理を施されたものである請求項3〜9の何れかに記載のフレキシブル回路基板用補強板。
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