JP2007322920A - 電気化学表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解質の電解液として有機イオン性液体を用いた場合でも、電解析出に必要な金属イオンを十分に溶存させることができ、使用中でのガス発生や素子中での内圧上昇を抑え、長期にわたって安定な電気化学表示素子を提供することである。
【解決手段】少なくとも一対の電極と、該一対の電極間に配置された金属イオンを含む電解質と、該電解質中に存在し前記一対の電極のいずれかに還元析出させる金属イオンと、を有し、前記電解質が有機性イオン液体を含み、前記金属イオンが金属錯アニオンである電気化学表示素子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学表示素子に関し、特に電子ペーパー等への利用に適した電気化学表示素子に関するものである。
近年の情報化の進展に伴い、情報伝達媒体としての用紙の消費量は増大しつつある。その一方で、紙に替わるメディアとして、いわゆる電子ペーパーと呼ばれる画像の記録・消去が繰り返しできる画像表示媒体が注目されつつある。電子ペーパーを実用化するためには、用紙と同様に持ち運びに適し軽量で嵩張らない(薄い)ことや、書き換えに要するエネルギーが小さいこと、また、繰り返し書き換えを行った場合の劣化が少なく信頼性に優れていることなどが求められる。
さらに電子ペーパーには紙と同等の視認性が望まれるが、従来の技術では下記のような課題があり、その実現が困難であった。
(1)液晶方式:偏光板を利用するため光利用効率が低く、反射率が低下する。
(2)ツイストボール方式:白黒半球状態が完全ではなく、コントラスト、反射率が阻害される。
(3)電気泳動方式:異なる色の粒子の入れ替わりが不完全であることや粒子間からの光漏れ、電極構成のためにコントラスト、反射率ともに阻害される。
一方、上記表示技術の課題に対しては、銀塩溶液のような電解液を利用して、電界印加により銀などの金属を析出させて表示する方法(電解析出方式)(例えば、特許文献1〜4参照)や、フルキド類などの有機系のフォトクロミック材料を利用して表示する方法(例えば、特許文献5〜6参照)などが提案されている。
特に、上記電解析出方式を採用した電子ペーパーは、コントラストが高い、反射率が高い等の反射型表示素子としての好ましい特性を有する。
しかしながら、この方式では、電解質としての電解液に揮発性の溶剤を用いるため、素子破損時の電解液の漏洩や、製造時や使用時の加熱/高温環境下において内圧上昇や気散が起こり、欠陥が生じたりする等の問題があった。
特開2000−338528号公報 特開2005−92183号公報 特開2004−18549号公報 特開2004−198451号公報 特開2003−131339号公報 特開2003−170627号公報
ところで、不揮発性の電解液として有機イオン性液体が知られているが、一般的な電解析出で用いられる析出金属イオンの無機塩は、上記有機イオン性液体への溶解性が低く、電解質中の金属イオン源として前記無機塩を用いることができない。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。
すなわち、本発明は、電解質の電解液として有機イオン性液体を用いた場合でも、電解析出に必要な金属イオンを十分に溶存させることができ、使用中のガス発生や素子中での内圧上昇を抑え、長期にわたって安定な電気化学表示素子を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 少なくとも一対の電極と、該一対の電極間に配置された金属イオンを含む電解質と、該電解質中に存在し前記一対の電極のいずれかに還元析出させる金属イオンと、を有し、前記電解質が有機性イオン液体を含み、前記金属イオンが金属錯アニオンである電気化学表示素子である。
<2> 前記金属錯アニオンが、[AuX]または[AgX](Xはハロゲン化物イオンを表す)である<1>に記載の電気化学表示素子である。
<3> 前記電解質が、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及び有機4級アンモニウムカチオンから選択される1種以上をカチオン種とする有機イオン性液体、並びに、前記金属錯アニオンとピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及び有機4級アンモニウムカチオンから選択される1種以上との塩を含む<1>に記載の電気化学表示素子である。
<4> 前記電解質が、ゲル化剤により硬化されたゲル電解質である<1>に記載の電気化学表示素子である。
<5> 前記一対の電極の少なくとも一方の表面に、あらさ係数が10〜2000の範囲の多孔質層を設けた<1>に記載の電気化学表示素子である。
以上に説明したように、本発明によれば、電解液として有機イオン性液体を用いた場合でも、電解析出に必要な金属イオンを十分に溶存させることができ、使用中のガス発生や素子中での内圧上昇を抑え、長期にわたって安定な電気化学表示素子を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電気化学表示素子は、少なくとも一対の電極と、該一対の電極間に配置された金属イオンを含む電解質と、該電解質中に存在し前記一対の電極のいずれかに還元析出させる金属イオンと、を有し、前記電解質が有機性イオン液体を含み、前記金属イオンが金属錯アニオンであることを特徴とする。
本発明の電気化学表示素子は、電解液中から金属イオンを電極表面に電解析出させて表示を行う透過型または反射型の表示素子(エレクトロデポジション型表示素子、以下「EDD」という場合がある)であり、孤立したナノサイズの微粒子として電解析出させることにより、金属ナノ粒子のプラズモン発色を利用してカラー表示を行うこともできる。
このような表示素子では、一般に電解質として揮発性の溶剤を用いることから、前記のように高温使用時での素子の安定性等が問題となるが、本発明の電気化学表示素子は、このような問題に十分対処し得るものである。
すなわち本発明では、電解質に含まれる電解液として、不揮発性の有機イオン性液体を溶剤兼支持電解質として用い、かつ電解析出用の金属イオン源として、有機イオン性液体に易溶の金属錯体有機塩(金属錯アニオンと特定有機カチオンとからなる塩)を用いることによって、上記の問題を解消することができることを見出した。
前記のように、有機イオン性液体は不揮発性であり水を含まないため、表示素子の電解質として安定的に用い得るものであるが、一般的な電解析出で用いられる金属イオンを含む無機塩を十分に溶解させることができないことが難点であった。本発明者等は、上記問題に対し、前記金属イオン塩の構造を有機イオン性液体に溶けやすくするために最適化するという観点から検討を行った。その結果、溶解させる金属イオン塩のカチオンを有機イオン性液体のカチオンと同一あるいは類似の構造とし、かつ金属イオンを金属錯アニオンとすることにより、該金属イオン塩の有機イオン性液体への溶解性が高まることが見出された。
この場合の手法としては、電解析出される金属イオンそのもの自身はカチオンであるが、アニオン性配位子を有する錯体としてアニオン(金属錯アニオン)となるものがあることから、その金属錯アニオンと後述するような有機イオン性液体のカチオンとの塩であるイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、有機4級アンモニウム塩等とする。そして、これらの塩(金属錯体有機塩)は、カチオンが共通あるいは類似である有機系イオン性液体への溶解性が高いことがわかった。
したがって、上記塩を有機イオン性液体に溶解させた本発明における電解質では、有機イオン性液体を含むと共に、金属イオンが金属錯アニオンの状態で電解質中に存在することとなる。
ここで、本発明における金属錯アニオンとは、前記のようにアニオン性配位子を有する錯体イオンであり、アニオン性配位子の種類、配位数は特に制限されない。
以下、本発明の電気化学表示素子を構成に沿って説明する。
図1は本発明の電気化学表示素子の一例を示す模式断面図であり、図1中、1は表示素子、10は透明基板、11は透明電極、20は基板、21は電極、30は電解液、40はスペーサーを表す。
図1に示す表示素子(電気化学表示素子)1は、透明基板10と、これに一定の間隔を置いて対向配置された基板20と、透明基板(表示基板)10および基板(対向基板)20の間に充填された電解質30と、透明基板10の基板平面方向の両端に、1対の基板に所定の間隙を与えるスペーサー40と、透明基板10の電解質30が設けられた側の面に配置された透明電極11と、基板20の電解質30が設けられた側の面に配置された電極21とから構成される。なお、スペーサー40は例えば電解質30が液体の場合、漏れを防ぐためのシール材としての役割を兼ねる。また、基板20が金属である場合、電極21は、場合によっては、不要なこともある。すなわち、基板20が電極21の役割を担う場合である。なお、透明電極11および電極21は不図示の電源に接続されている。
また、画素(あるいは単位領域)毎に析出・溶解が制御できるように透明電極11は、分割された複数の電極からなるものであってもよい。さらに、透明電極11表面は後述するように多孔質構造を有していてもよい。加えて、透明電極11表面に存在する金属微粒子31が全て溶解した場合に白無地表示とするために、電極21表面の色は白色であってもよい。
なお、図1に示す表示素子1では、説明を容易とするために金属微粒子31は透明電極11表面の平面上に、ほぼ等しい粒径のものが複数位置するように大きく描かれているが、金属微粒子31の実際の析出形態は必ずしも図1に示される析出形態に限定されるものではない。
1対の基板10、20としては、少なくとも一方が透光性を有する基板を用いるのであれば、種々の材料を利用することができる。なお、透光性を有する基板としては公知の透明なプラスチック基板やガラス基板等が利用でき、可視光に対する透過性の高い基板であることが好ましい。
具体的には、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体等の高分子フイルムや板状基板;石英ガラス、白色ガラス等のガラス基板;金属;金属フイルム;セラミックス;等が使用可能である。特に、1対の基板10、20として屈曲性のあるフイルム基板を用いた場合はフレキシブル性(可とう性、屈曲性)を有する素子となる。この場合、本発明の表示素子を、電子ペーパーや携帯型電子機器等の可撓性が求められる用途に利用することがより容易となる。
(電解質)
本発明における電解質30は、有機イオン性液体を含み、さらに電解析出に用いられる金属イオンが金属錯アニオンとして電解質中に存在する。また、電解質30には必要に応じて種々の材料を用いることができる。
前記有機イオン性液体としては、その取り扱い環境下、例えば室温(25℃前後)において液状の有機塩であれば、如何なる構造のものでも構わず、用途によって選択される。室温有機イオン性液体の例としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩{大野,工業材料,Vol.48,No.4,p.37(2000);A.B.McEwen et al.,J.Electrochem.Soc.,Vol.146,No.5,p.1687(2000);P.Bonhoteet al.,Iong.Chem.,Vol.35,p.1168(1996)}や、有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
具体的には、例えば前記イミダゾリウム塩系の有機イオン性液体としては、下記一般式(I)に示すようなものが挙げられる。
Figure 2007322920
上記一般式(I)において、R1及びR2は各々炭素数1〜10のアルキル基(好ましくはメチル基またはエチル基)、または炭素数7〜20、好ましくは7〜13のアラルキル基(好ましくはベンジル基)を表し、互いに同一でも異なっても良い。また、Xは対アニオンを示し、具体的にはハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C25SO22-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -、(C25SO23-、F(HF)2.3 -などを表す。
また、前記ピリジニウム塩系の有機イオン性液体としては、下記一般式(II)に示すようなものが挙げられる。
Figure 2007322920
上記一般式(II)において、Rは炭素数2〜20、好ましくは2〜10のアルキル基を表す。Xはハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C25SO22-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -、および(C25SO23-から選ばれる対アニオンを表す。
さらに、前記有機4級アンモニウム塩系の有機イオン性液体としては、下記一般式(III)に示すようなものが挙げられる。
Figure 2007322920
上記一般式(III)において、R、R、R、Rは、各々炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基(フェニル基など)、またはメトキシメチル基などを表し、互いに同一でも異なってもよい。また、R〜Rの何れかが連結して環構造を形成していてもよい。また、Xは対アニオンを表し、具体的にはハロゲンイオン、SCN-、ClO4 -、BF4 -、(CF3SO22-、(C25SO22-、PF6 -、AsF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -、(C25SO23-、F(HF)2.3 -など表す。
本発明における電解質30には、上記有機イオン性液体を1種または2種以上を混合して用いることができる。
表示素子1においては、電解質中に電気化学的な還元・酸化とこれに伴う析出・溶解とによって発色する発色材料として金属イオンが含有されている。そして、該金属イオンの電気化学的な析出溶解反応により発色及び消色がなされ表示が行われる。
上記金属イオンとしては、電界の付与により少なくとも還元して金属微粒子31を析出させると共に、一旦金属に還元された後に逆電界の付与により酸化して電解質中に容易に溶解するものであれば公知のものが利用できるが、本発明においては、金(Au)イオン、銀(Ag)イオンや、銅(Cu)イオンを用いることが好ましく、金イオン、銀イオンを用いることがより好ましい。その他、パラジウム(Pd)イオン、白金(Pt)イオン、ロジウム(Rh)イオン、ルテニウム(Ru)イオン、ニッケル(Ni)イオン、鉄(Fe)イオン、コバルト(Co)イオン、亜鉛(Zn)イオン、鉛(Pb)イオン、クロム(Cr)イオン、スズ(Sn)イオンなども用いることができる。
本発明においては、前記金属イオンを電解質中で金属錯アニオンとして存在させる。その理由は、前記のように有機イオン性液体に所望の量の塩を溶解させるためには、塩のカチオン部分の構造を有機化合物の構造としてコントロールする必要があることから、金属イオン部分はアニオン性とせざるを得ないからである。
上記金属錯アニオンとしては、前記各金属イオンとハロゲン化物イオン、シアン化物イオン等の配位性アニオンとで構成されるが、本発明においては、前述のように電解質から析出させる金属イオンとして金、銀が好ましい点や安全性の点から、[AuX]または[AgX](Xはハロゲン化物イオンを表す)であることが好ましい。
金属錯アニオンは、例えば[AgX]の場合はハロゲン化銀を溶解させるために、このハロゲン化銀と同一または異種のハロゲンを供給可能な塩として、LiX、NaX及びKX(但し、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す)からなる群より選択された1種以上の塩を過剰に添加することにより、Li、Na、Kの錯塩(以下、「1次錯塩」という場合がある)として得ることができる。
本発明においては、前記有機イオン性液体に、例えば上記金属錯アニオンのLi塩、Na塩等の1次錯塩をそのまま溶解させてもよいが、塩の溶解性をさらに向上させるため、前述のように上記Li、Naなどのカチオンを、電解質に用いる有機イオン性液体のカチオン種に置換した塩を用いることが好ましい。
具体的には、前記好ましい有機イオン性液体として挙げたピリジニウム塩系、イミダゾリウム塩系及び有機4級アンモニウム塩系の各有機イオン性液体(各々ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及び有機4級アンモニウムカチオンをカチオン種とする有機イオン性液体)を用いる場合には、前記金属錯アニオンとピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及び有機4級アンモニウムカチオンから選択される1種以上との塩(以下、「2次錯塩」という場合がある)を用いることが好ましい。
特に上記2次錯塩としては、電解質中に含まれる有機イオン性液体のカチオン構造と同一の構造のカチオン構造を有する塩を用いることが、最も良好な溶解性を得ることができるため好ましい。
以下に、上記有機イオン性液体のカチオン構造を有する2次錯塩の合成法について簡単に説明する。
2次錯塩は、例えば電解質に用いる有機イオン性液体と、前記1次錯塩とを、水と極性溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめることにより得ることができる。
ここで用いられる極性溶媒は、イオン交換した2次錯塩を溶解することができるものであればよく、特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等が挙げられ、もとの有機イオン性液体のアニオンとLi等との塩と2次錯塩との分離を容易に行うためには極性溶媒としては揮発性の高いものが好ましい。また、水と極性溶媒との混合比率は特に制限されないが、水:極性溶媒の比率(体積比)が1:0.5〜1:2であることが好ましい。
また、前記有機イオン性液体と前記1次錯塩との混合比率は、前者:後者の比率(モル比)が1:0.9〜1:1.1であることが好ましく、1:1(等モル)程度であることが特に好ましい。更に、水と極性溶媒との混合溶媒中の上記両成分の濃度は特に制限されないが、一般的には各化合物の濃度が0.1〜2mol/リットル程度であることが好ましい。
前記有機イオン性液体と前記1次錯塩とを前記混合溶媒中に溶解せしめて混合すればイオン交換反応が進行し、混合溶媒(反応液)中に目的とする2次錯塩と有機イオン性液体のアニオンの金属塩とが生成する。その反応条件は特に制限されないが、一般的に反応温度は20〜50℃、反応時間は30分〜5日程度であることが好ましい。
次に、2次錯塩が生成した反応液から極性溶媒及び水を除去する。その際、2次錯塩は極性溶媒に優先的に溶解して水には溶解しないことから、極性溶媒が除去されるに従って、前記反応液はイオン性液体(油相)と水相とに分離する。また、有機イオン性液体のアニオンの金属塩及び未反応の原料化合物は水に優先的に溶解することから、前記反応液から水相を除去することによって、上記金属塩及び未反応の原料化合物も水と共に除去され、2次錯塩のみが得られることとなる。
以上のようにして得られる2次錯塩は、1種または2種以上を混合して用いることができる。2次錯塩の電解質中の濃度は、0.001〜2mol/lの範囲とすることが好ましく、0.05〜1mol/lの範囲とすることがより好ましい。
濃度が0.001mol/lに満たないと、析出に寄与する金属イオン量が不足し鮮明な表示を行うことができない場合がある。2mol/lを超えると、使用中に塩として析出しやすくなってしまう場合がある。
また、本発明における電解質30には、揮発性等で問題とならない限り、前記有機イオン性液体に加えて、溶媒やその他の添加剤を混合して用いてもよい。
溶媒としては、高沸点の非水溶媒(有機溶媒等)などを1種類または2種類以上を組み合わせて利用でき、その他の添加剤としては、樹脂、界面活性剤、(金属微粒子として析出する)金属イオン以外の電解物質、ポリマー微粒子、金属酸化物等の無機微粒子等が適宜利用できる。
前記非水溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸エチル、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピオニトリル、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、スルホラン等、シリコーンオイル等の非プロトン性非水溶媒を上げることができる。
前記樹脂としては、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリエチレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、等のポリマーを単独、あるいは、複数組み合わせて使用しても良い。溶媒中に溶解、もしくは、分散させることにより、金属イオン、電解質イオンの移動速度の制御、析出金属粒子の安定化に寄与する。添加量は、界面活性剤種、及び、その添加量との関係から調整する。
前記界面活性剤は、析出金属粒子の安定化、及び、析出粒子の径及び形状の制御に寄与する。添加量を多くすると、粒子径を小さく制御できる。
界面活性剤種としては、カチオン型界面活性剤(アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等)、ノニオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等)、アニオン型界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等)、両性界面活性剤、等から選択することができる。
有機微粒子としては、各種ポリマー微粒子を用いることができる。たとえば、ウレタン微粒子、ポリメタクリル酸エステル微粒子、シリコーンポリマー微粒子、フッ素ポリマー微粒子等を使用できる。これらの粒子は、架橋されているものが、好ましい。これら粒子径としては、0.001〜30μmの範囲、好ましくは、0.001〜10μmの範囲が好ましい。
前記無機微粒子としては、主成分として、酸化アルミニウム、二酸化珪素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸バリウムが含まれる微粒子、等を使用できる。これら粒子径としては、0.001〜30μmの範囲、好ましくは、0.001〜10μmの範囲が好ましい。これらの粒子表面は、溶媒への分散性、溶媒からの保護の目的で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤で、処理されることが、好ましい。これら微粒子体は、白色顔料として、使用される。すなわち、表示媒体の白を表す。
また、電解質30は還元剤を含むことが表示特性(金属微粒子析出性)を向上させる、さらには可逆性を向上させる上で好ましい。還元剤としては、アスコルビン酸化合物、トリアルキルアルコールアミンなどを用いることが好ましい。
表示素子1を反射型として用いる場合、対向基板に反射層を設けてもよいが、電解液中に反射材料を混入させてもよい。反射材料としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。これらの中でも、特に二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛は安価に入手できることから好ましい。同様に、これらの材料を用いて前記反射層を形成してもよい。
上記各成分を含む電解質30はゲル状(ゲル電解質)であってもよい。電解質としての電解液をゲル状とすることにより、表示媒体の一部が破損したような場合でも、電解液が表示素子外へ流失したり漏れたりすることを防ぐことが容易になる。
電解質30をゲル電解質とするためには、ゲル化剤を用いて電解質を硬化することが好ましい。
ゲル化剤としては、電解質に含まれるポリマー等の間の物理的な相互作用を用いて電解質をゲル化させる物理ゲル化剤 、架橋反応や重合反応を利用して電解質をゲル化させる化学ゲル化剤等を使用することができる。
前記物理ゲル化剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、アルキレンオキサイドユニットを含む共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライドユニットを含む共重合体、カルボニル基を含む共重合体等を挙げることができる。
一方、化学ゲル化剤 としては、例えば、アクリロイル基やエポキシ基に代表される重合もしくは架橋可能な官能基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等を使用することができる。使用するゲル化剤の種類は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
以下に、本発明に好ましく用いられる化学ゲル化剤である化学架橋剤について説明する。
上記化学架橋剤としては、以下に述べるような2つの分類で示されるものを用いることが好ましい。第1の分類としては、前記化学架橋剤が、末端に2以上の水酸基を有する化合物と2以上のイソシアネート基を有する化合物とからなるものである。この場合、電解質30は、末端に2以上の水酸基を有する化合物と2以上のイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られる架橋重合体を含むゲル状ないし固体状となる。
末端に2以上の水酸基を有する化合物および2以上のイソシアネート基を有する化合物といった架橋反応に与かる成分は、それぞれ、液状化合物であることが好ましい。ここで、「液状化合物」とは、室温(25℃前後)で液体である化合物をいう。
架橋構造を形成する化学反応としては、重縮合反応、重付加反応、ラジカル重合反応等があるが、酸化還元活性を有する物質を含む場合、これがラジカル種と反応してしまうことが多々あり、ラジカル重合反応系を採用することはできないことがある。また、重縮合反応では、縮合時に一般的に水、アルコール等の低分子量の副生物が生成し、副生物が存在したまま電解質として利用した場合、目的の電気化学反応に対して、弊害を及ぼすことがある。重縮合反応を加熱下で進行させると、低分子量副生物は留去され、上述の問題は解消され得るが、留去時に気泡が発生する、体積収縮が起こる、等の電気化学表示素子作製に関わる問題が発生する。これらに対し、重付加反応は、一般的に酸化還元活性種によって阻害を受けることがなく、かつ、副生物も伴わないという利点を有する。
重付加反応を行う反応性基の組み合わせとしては、水酸基とイソシアネート基;アミノ基とイソシアネート基;ビニル基とヒドロキシシリル基;等があるが、重付加反応の反応制御性、生成する結合の電気化学的な安定性等から、水酸基とイソシアネート基との組み合わせを用いることが好ましい。
末端に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、汎用のウレタン樹脂用に多くの化合物が開発されており、それらを用いることが可能である。例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等、並びにそれらの多量体、あるいはそれらと複数の水酸基を有する化合物との付加体、等が挙げられる。これらの中でも、安定性、一般に液状である等の点で、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌル3量体が特に好ましい。また、3次元架橋反応を行うには、イソシアネート基を3個以上有する化合物を用いるのが好ましい。
末端に2以上の水酸基を有する化合物としては、当該水酸基が化合物の末端に存在するものを使用する。化合物の末端に水酸基が存在することで、水素結合による分子内および分子間での会合の問題が最小限に抑えられ、それを含有する液体の粘度が低い、ポットライフが長い等の好ましい効果が得られる。
具体的には、アルキレングリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール等)およびそれらの多量体;多価アルコール類あるいは多価フェノール類にアルキレンオキサイドを付加させたもの(ビス(オリゴオキシエチル)化ビスフェノールA、(トリス(オリゴオキシプロピル)化グリセリン等);末端が水酸基であるオリゴエステル類、オリゴカーボネート類、オリゴウレタン類等が挙げられる。
これらの中でも、特に、下記一般式(1)で表される構造を含む化合物が、一般的に液体であり、電解質や溶剤との親和性が高い、得られる固体あるいはゲルの柔軟性が高い、等の点で、好ましい。
一般式(1): −(CR12−CR34−O)n
上記一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を表し、nは2〜10の整数を表す。
炭素数が1〜10の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基等が挙げられる。
末端に2以上の水酸基を有する化合物としては、水酸基を3〜6個有する化合物と、水酸基を2個有する化合物と、を併用することが好ましい。水酸基を7個以上有する化合物は、分子間での水素結合による架橋性が高く、一般に非常に高粘度の液体、または固体であり、取扱いが困難である。また、水酸基を有する化合物として、水酸基を3個以上有する化合物のみを用いた場合、架橋密度が高くなりすぎ、電解質および/または可塑溶剤等を取り込み難くなり、電解質塩の移動性が低下する、あるいは安定なゲル状態を形成できない、等の問題が生じる場合がある。この問題は、水酸基を2個のみ有する化合物を併用し、架橋密度を制御することによって改善することができる。
さらに、3次元架橋反応を行う際に、重付加反応可能な反応性基(例えば、水酸基等)を1個のみ有する化合物を併用するのが好ましい。これにより、固体ないしゲル状態のガラス転移温度を制御することが可能となって、後述する電解質塩を含有させた場合、その移動速度を高めることができる。また、前記化合物を適宜選択し、場合によっては組み合わせることで、イオン導電性を向上させたり;電解質塩や可塑溶剤等と架橋体との親和性を向上させたり;架橋体の柔軟性を向上させたり;難燃性を付与させたり;することができる。
重付加反応可能な反応性基を1個のみ有する化合物の好ましい例としては、オリゴアルキレングルコールモノアルキルエーテル、オリゴアルキレングルコールモノカルボン酸エステル、ヒドロキシプロピオニトリル、ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン、エチル(ヒドロキシエチル)カーボネート、ヒドロキシプロピレンカーボネート、N−(ヒドロキシプロピル)ピロリドン、トリブチル(ヒドロキシブチル)アンモニウム塩、N−(ヒドロキシエチル)ピリジニウム塩、1,2−ジメチル−3−(ヒドロキシプロピル)イミダゾリウム塩、ジブチル(ヒドロキシブチル)フォスフェート等が挙げられる。反応性基を1個のみ有する化合物の好ましい添加量は、架橋反応に与る全成分に対し、1〜30質量%であり、より好ましい添加量は、5〜20質量%である。
重付加反応は一般的には室温でも進行するが、反応速度を高めるために、加熱処理および/または触媒の添加を行うことが好ましい。加熱温度としては、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
重付加反応に使用する触媒としては、3級アミンおよび種々の金属化合物が知られているが、特に、スズ化合物が好ましく、その中でも、ジブチルスズジアセテート等のジアルキルスズ誘導体が好ましい。
末端に2以上の水酸基を有する化合物と2以上のイソシアネート基を有する化合物とのモル比は、全水酸基のモル数と全イソシアネート基のモル数の比(全水酸基のモル数:全イソシアネート基のモル数)として1:10〜10:1の範囲内が好ましく、より好ましくは1:2〜2:1の範囲である。
また、前記電解質中に含まれる塩と架橋重合体との存在比(塩:架橋重合体)は、100:1〜1:10の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50:1〜1:1の範囲内であり、さらに好ましくは20:1〜5:1の範囲内である。
次に、前記化学架橋剤の第2の分類について説明する。
第2の分類としては、前記化学架橋剤が、2以上の含窒素基を有する化合物と2以上の求電子性置換基を有する化合物とからなるものである。この場合電解質は、2以上の含窒素複素環基を有する化合物と2以上の求電子性置換基を有する化合物との反応生成物をマトリックスとしてゲル化あるいは固化したもの(ゲル電解質あるいは固体電解質)となる。
2以上の含窒素複素環基を有する化合物含窒素複素環基とは、求電子剤により4級窒素化されうる窒素原子を環中に含む複素環基を意味する。好ましい含窒素複素環基を含む化合物としては、下記一般式(2)が挙げられる。
Figure 2007322920
ただし、上記一般式(2)において、Zは含窒素複素環基を表し、Lは有機基を表し、p1は前記有機基Lに結合した前記含窒素複素環基の数を表し、2〜8の整数である。
Zにより表される含窒素複素環基中の含窒素複素環は、不飽和環でも飽和環でもよく、窒素原子以外の原子を有していてもよい。不飽和複素環としては、例えばピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。また飽和複素環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。好ましい含窒素複素環は不飽和複素環であり、さらに好ましくはピリジン環またはイミダゾール環である。これらは無置換である方が好ましいが、メチル基等のアルキル基等で置換されていてもよい。
有機基Lは2〜8個の含窒素複素環基Zが結合し得るサイトを有していれば特に限定されない。下記において、該サイトの数に応じて2〜8価と呼ぶことにする。有機基Lが2〜8価の各々の場合において、好ましい構造は以下の通りである。
Lが2価の有機基である場合、C、O、NおよびSからなる群から選ばれた少なくとも一種の原子を有する2価の有機基なら何でもよいが、アルキレン基、アリーレン基、−CR5=CR6−、−CR5=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−CO−、−O−、−S−、−NR7−、−(C≡C)1〜3−、またはこれらの有機基(単位)の組み合わせにより構成される有機基(例えば、−COO−、−COS−、-CONR7−、−COCH2−、−OCH2−、−OCH2CH2−、−O(CH23〜12−、−CH2NR7−、−CR5=CR6−CO−、−OCOO−等)、あるいはこれらの有機基単位を複数有するものが好ましい。これらのうちより好ましいのは、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、またはオキシアルキレン基(アルキレン基と−O−とにより構成される)を含む有機基であり、オキシアルキレン基を含む有機基が特に好ましく、−OCH2CH2−を含む有機基が最も好ましい。
なお、上記においてR5、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。
Lが3価の有機基である場合、下記の基本構造(ただしR10は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。)により表される3価の有機基、またはそれらのいずれかと上記2価の有機基との組み合わせにより構成される3価の有機基が好ましい。
Figure 2007322920
Lが5〜8価の有機基である場合、上記3価の有機基および/または4価の有機基を組み合わせた構成、あるいはこれに2価の有機基を加えた構成の有機基を用いることができる。
上記有機基Lに結合する含窒素複素環基Zの数p1は2以上の整数であれば何でもよいが、一般には2〜8が好ましく、2、3または4であるのがより好ましい。p1が2未満であると求電子性置換基を有する化合物との反応生成物がポリマーとならず、また8を超えると電解質塩の移動度が低下するので好ましくない場合がある。
上記有機基Lは置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては下記のものが挙げられる。
(a)置換または無置換のアルキル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよい):炭素数1〜24のものが好ましく、アルキル基に結合し得る置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、複素環基等が好ましい。このような置換または無置換のアルキル基の好ましい具体例としては、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、シアノメチル基、ベンジル基、3−(1−オクチルピリジニウム−4−イル)プロピル基、3−(1−ブチル−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピル基、2−メトキシエチル基、プロポキシエチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
(b)置換または無置換のアルケニル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよい):炭素数2〜24のものが好ましく、例えばビニル基、アリル基等が挙げられる。
(c)置換していても縮環していてもよいアリール基:炭素数6〜24のものが好ましく、アリール基に結合し得る置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基等が好ましい。このような置換または無置換のアリール基の好ましい具体例としては、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、3−シアノフェニル基、2−クロロフェニル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
(d)置換していても縮環していてもよい含窒素複素環基(複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい):好ましくは炭素数2〜24であり、複素環基に結合し得る置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基等が好ましい。このような置換または無置換の複素環基の好ましい具体例としては、例えば4−ピリジル基、2−ピリジル基、1−オクチルピリジニウム−4−イル基、2−ピリミジル基、2−イミダゾリル基、2−チアゾリル基等が挙げられる。
(e)置換または無置換のアルコキシ基:好ましくは炭素数1〜24であり、アルコキシ基に結合し得る置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基等が好ましい。このような置換または無置換のアルコキシ基の好ましい具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
(f)アシルオキシ基:好ましくは炭素数1〜24であり、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
(g)置換または無置換のアルコキシカルボニル基:好ましくは炭素数2〜24であり、アルコキシカルボニル基に結合し得る置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基等が好ましい。このような置換または無置換のアルコキシカルボニル基の好ましい具体例としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
(h)その他シアノ基、ハロゲン(例えば塩素、臭素)等が挙げられる。
また、2以上の含窒素複素環基を有する化合物としては、ポリビニルピリジンや、ビニルピリジンと他の任意のビニルモノマーとの共重合体等も使用可能である。
本発明における2以上の求電子性置換基を有する化合物とは、含窒素基を4級窒素化しうる2官能以上のアルキル化剤であり、求電子性置換基としてはアルキル化反応の際に脱離基となりうる置換基であれば特に限定はない。好ましい求電子性置換基を有する化合物としては、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007322920
ただし一般式(3)中、Yは求電子性置換基を表し、L'は有機基を表し、p2は前記有機基L'に結合した前記求電子性置換基の数を表し、2〜8の整数である。
Yの例としては、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、置換または無置換のアシルオキシ基(置換基としてはハロゲン原子、アルキル基等が好ましく、具体例としてはアセトキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、トリクロロアセチルオキシ基等が挙げられる。)、スルホニルオキシ基(メチルスルホニルオキシ基、トリルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等が挙げられる。)等が挙げられる。
一般式(3)中のL’およびp2は、それぞれ一般式(2)中のLおよびp1で記載したものと同様である。
一般式(2)により表される化合物と一般式(3)により表される化合物とを組み合わせる場合には、p1とp2との少なくともいずれかは3以上であることが好ましい。p1及びp2の両方とも3未満であるとゲル化あるいは固化しにくいので好ましくない。
ゲル化あるいは固化反応は、前述の2以上の含窒素複素環基を有する化合物および2以上の求電子性置換基を有する化合物の他に、電解質中に塩が共存する状態で行うことが好ましい。ゲル化あるいは固化後に塩を添加することもできるが、この場合ゲル中に電解質塩を均一に分散させるのが困難となるので好ましくない。
なお、以上のようにゲル電解質または固体電解質とする場合には、イオン伝導性を改善する等の目的で、可塑剤を用いてもよい。
好ましい可塑剤の具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、等の炭酸エステル類;プロピオニトリル、マロノニトリル、メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル、等のニトリル類; ブチロラクタム、エチレングリコールジアセテート、パーフルオロヘキシルアセテート、等のカルボン酸エステル類;N−メチルカプロラクタム、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、等のアミド類; エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、等の含イオン系化合物類;トリブチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリブトキシエチルフォスフェート、トリス(ブロモブチル)フォスフェート等の燐酸エステル類;等が挙げられ、これらは単独で用いても複数を混合して用いてもよい。これらの可塑化剤は一般に揮発性の液体であり、必要最小限に留めるべきである。液体の可塑化剤を用いる場合、その沸点が150℃以上、より好ましくは200℃以上のものを用いることによって、製造時および使用時の揮発の問題を実質上、問題のないレベルに抑えることができる。
(電極)
次に、電極について説明する。本発明における1対の電極は、図1に示すように電解質30を挟むように1対の基板各々の表面に設けられることが好ましい。
図1における透明電極11は、表示基板側に設けられる表示電極であるが、表面に析出した金属微粒子31を透明基板10側から視認できるように透明であることが必要である。透明電極11の材質としては、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、In、MgO、ZnOなどを用いることが好ましい。
本発明においては、透明電極11の表面に、あらさ係数が10〜2000の範囲の多孔質層を設け、その表面に金属微粒子31を析出させることが好ましい。これにより、実質上電極面積の拡大を図ることができ、金属析出における発色効率を向上させることができる。
なお本発明において、前記「あらさ係数」とは、実表面積と投影面積との比(実表面積/投影面積)として定義され、実表面積は多孔質構造の全表面積であり、投影面積は有効電極部の2次元的な面積であり、多孔質電極の指標として一般的に用いられる物性値である。
あらさ係数が10に満たないと、十分な電極面積の拡大効果が得られない場合があり、2000を超えると、多孔質層の空隙が小さくなり過ぎ金属微粒子の析出が阻害される 場合がある。また、あらさ係数は100〜1000の範囲であることがより好ましい。
そして、本発明においては、上記多孔質層を半導体材料にて形成し、その表面に前記金属微粒子31を孤立した状態で、しかも多孔質層表面部分の微細孔の隅々まで金属微粒子31を電解析出させることが、表示における色純度、鮮明性を高めると共に、応答速度及び繰り返し耐久性を向上させることができるため好ましい。
前記多孔質層は、例えば半導体微粒子を電極表面に層状に形成することによって得ることができる。
前記半導体微粒子の材質としては、金属酸化物が好適であり、具体的には、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸価ニオブ等が挙げられる。これらの中でも、電気化学的な安定性等の点で酸化チタンと酸化亜鉛とが好ましい。
微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、球形、チューブ状、棒状、ウィスカー状のいずれの形状であっても構わず、形状の異なる2種類以上の微粒子を混合することもできる。前記球形粒子の場合には、平均粒径が1〜1000nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。なお、粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合しても構わない。
多孔質層を形成する方法としては、特に制限はなく、微粒子の種類に応じて適宜選定することができ、例えば、金属陽極酸化法、電解析出法、泳動電着法、微粒子分散液からのスクリーン印刷法、ゾルゲル法、熱酸化法、真空蒸着法、dc及びrfスパッタ法、化学気相堆積法、分子線堆積法、レーザーアブレーション法などが挙げられ、また、上記方法を組み合わせて作製することもできる。
上記多孔質層における微細孔の平均径は1〜1000nmの範囲であることが好ましい。微細孔の孔径粒度分布は、公知の方法により求めることができるが、例えば、窒素、クリプトン等の吸着等温線より求めるガス吸着法や、X線小角散乱法により測定することが好適である。
また、多孔質層の厚さは1〜100μmの範囲とすることが好ましい。
一方、対向電極である電極21としては、金、白金、銀、アルミニウム、銅、クロム、コバルト、パラジウム等の金属や、ITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等の公知の導電性材料で構成することができる。
電極21に用いる金属は、電解液中に含まれる金属微粒子31に含まれる金属イオンと異なる金属であってもよいが、特に、電解質30と接触する電極21は、電解質30に含まれる金属イオンと同じ金属で構成することがよい。これにより、電極間に電圧を印加して、透明電極11へ金属イオンが析出する場合には電極21から金属イオンが溶出し、透明電極11表面における金属微粒子31が溶出する場合には電極21に当該金属イオンが析出する。したがって、繰り返し表示の書き換えを行う場合に、電解質30の金属イオン濃度が一定化され、安定した析出・溶出、即ち安定した調色が行われることとなる。
なお、前述のように金属イオンとしては金イオン、銀イオン、銅イオンが好ましいことから、この場合の電極21の材料としても各々金、銀、銅であることが好ましい。
スペーサー40としては、例えば、樹脂、金属酸化物、ガラスなどで構成することができる。
スペーサー40の形状は安定して間隙を維持できるものであれば特に限定されないが、例えば、球、立方体、柱状のものなどの独立した形状のものが好ましく用いられる。
また、スペーサー40により形成される間隙は、1〜200μm程度の範囲であることが好ましい。
本発明においては、必要により一対の電極間にセパレータを設けてもよい、セパレータは、通常電極21と透明電極11との間に設けられ、絶縁性で微細な貫通孔が多数形成された構成となっている。そして、該貫通孔には前記電解質が含浸透過可能となっている。
セパレータの貫通孔には電解質が充填される。したがって、素子の製造においては、表示電極の表面に、複数の微細孔を有する絶縁性のセパレータ層を形成し、その後、電解質液をセパレータ層上に塗布あるいは封入して前記微細孔に電解質を充填した後、必要により前記電解質の熱硬化を行う。
セパレータとしては、絶縁性の樹脂を用いることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどのシートを用いることができる。また、前述のように、本発明におけるセパレータは表示素子における背景白地として白色であることが好ましく、この場合には前記材料中に白色顔料等を分散させてもよい。
セパレータの厚さは1〜100μmの範囲であることが好ましい。
次に、本発明の電気化学表示素子における金属微粒子の析出及びそれによる表示等の具体的な工程について簡単に説明する。
本発明において金属微粒子の析出は、析出刺激としての電界を付与した際に、電解質中の金属イオンが還元され、この還元された金属イオンが1対の電極のいずれかの表面に金属微粒子として析出することにより起こり、金属微粒子の溶解は、溶解刺激としての逆極性とした電界を付与した際に金属微粒子中に含まれる金属が酸化され金属イオンとして電解質中に溶解することにより起こる現象である。ここで、析出・溶解は、付与する電界の強度、極性、周波数等を適宜選択することで制御することができる。
また、前記析出刺激は、電界以外に他の刺激を組み合わせて略同時に付与することもでき、これは溶解刺激の場合も同様である。このような2種類以上の刺激を組み合わせて略同時に付与する態様としては、金属微粒子の析出/溶解を大まかに制御する主刺激と、主刺激のみでは困難な微妙な制御を行うアシスト刺激とを併用する態様が好ましい。本発明では、主刺激として電界(電圧、電流)を用いるが、これと併用されるアシスト刺激としては、光(特にUV光)や、超音波、熱などが挙げられる。
以上の工程を、図1に示す電気化学表示素子においてプラズモン吸収により発色させた場合を例に挙げて説明する。
まず、前記説明した構成の表示素子1では、電界付与手段としての一対の透明電極11及び電極21に定電圧(例えば0.5〜5V、好ましくは1〜2V)を一定時間(例えば0.01〜10秒、好ましくは0.2〜1秒)で印加することで、電極間に所定の電界が付与される。この電界により、透明電極11における電解質30との界面に金属イオン(例えば、金イオン、銅イオン)が金属微粒子31として析出する。この粒子状に析出した析出物により、赤やオレンジ(金イオンの場合)、黄色(銀イオンの場合)などのプラズモン吸収による色の表示が行われる。
本発明では、電解質30に非水(非プロトン)系である有機イオン系液体を含むため、電位窓が広く高電圧印加が可能となるため、高速応答の表示素子を得ることができる。具体的には、従来の電解質に溶剤を用いた場合に比べ、約2〜5倍の電圧印加が可能となる。
なお、上記電圧とは逆の電圧を一対の透明電極11及び電極21に印加すると、上記電界とは逆の電界が電極間に付与され、この逆の電界により、透明電極11において電解質30との界面に析出した金属微粒子31が電解質30へ溶出する。
また、金属微粒子31をプラズモン発色させるためには、金属微粒子31の粒径は、構成する金属の種類にもよるものの1〜100nmの範囲内であることが好ましく、3〜70nmの範囲内であることがより好ましい。粒径がこの範囲外では金属微粒子31が析出してもプラズモン発色しなくなり、カラー表示ができなくなる場合がある。このように、本発明では、発色源となる金属微粒子31のサイズが数十nm前後であるため、析出させた画素のサイズを小さくすることでき、例えば、300〜600dpi前後の極めて高い解像度の画像表示も可能である。
なお、本発明において、特定の領域内の金属微粒子の粒度分布や、平均粒径、また、特定の領域(あるいは単位領域)内の固体表面の細孔径分布や、平均細孔径等の測定は次のように行うことができる。
金属微粒子の平均粒径や粒度分布は、金属微粒子が析出した電極(基板)表面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日立製、S−5500)や原子間力顕微鏡を用い、倍率を10万倍として撮像した画像を画像解析装置(ニレコ製、ルーゼックスAP)によって、画像解析することにより求めることができる。なお、画像解析に際してサンプリングした金属微粒子数は100個である。平均粒径は、面積から換算した円相当径を用いた。
金属微粒子の粒度分布および平均粒径を前記好ましい範囲に制御する方法としては、大別すると以下の3種類が挙げられ、2種類以上を組み合わせて制御してもよい。
まず、第1の制御方法としては、所定の平均細孔径および細孔径分布を有する細孔が設けられた多孔質電極表面を利用する方法が挙げられる。また、繊維や針状物質の集合体から構成されたような不定形及び/または連続的に繋がったような孔を有する固体表面を利用してもよい。なお、後者の場合には繊維や針状物質の太さ、密度、配向状態等を制御して個々の繊維や針状物質同士の間に形成される隙間の大きさや形状を調整すれば金属微粒子の粒度分布や平均粒径を制御できる。
第2の制御方法としては、析出刺激の付与条件を調整する方法が挙げられる。例えば、析出刺激の電界の強度を調整することによって、金属微粒子の粒径や粒度分布を制御できる。また、同時に光でアシストする場合は、照射する光の波長を調整することによって金属微粒子の粒径や粒度分布を制御できる。
第3の制御方法としては、電解質の組成を調整する方法が挙げられる。本発明に用いられる電解質には、必要に応じて界面活性剤等の他の成分が含まれていてもよい。それゆえ、電解質の組成としては、析出刺激である電界の付与条件等にも依存するが、電解質中の金属イオンが粒子状に析出しやすい系を選択した上で、所望の粒径および粒度分布が得られるように組成を最適化することで金属微粒子の粒径や粒度分布を制御できる。
以上説明したように、本発明の電気化学表示素子では、電解質中に非水(非プロトン)系で不揮発性の有機イオン性液体を含むため、水分解やプロトン還元によるガス発生が全くなく、長期にわたって安定な表示を行うことができる。また、同時に素子中の内圧が上がることもないため、表示素子を高温中で保管しても液漏れや破壊などの問題が発生することもない。
また、電解質をゲル化剤により硬化したゲル電解質とすれば、素子が破損した場合にも、電解質の漏洩といった問題を回避することができる。特に、ゲル化剤として前記の化学架橋剤を用いれば、熱硬化による強靭な化学架橋により、本発明の電気化学表示素子がフレキシブルな表示素子として使用される場合にも、押しや曲げに対しても強く、かつ破損時の電解質液の漏れ等の懸念が払拭されるだけでなく、加熱硬化時の架橋反応では、水等の電気化学的に悪影響を及ぼす脱離成分がないことから、製造時だけでなく長期使用時においても表示特性が変化することがない。
さらに、物理架橋タイプの電解質(常温ではゲル固体、高温下では液体)のような多孔質電極層への含浸時の加熱の必要性もなく、非常に製造性に優れるものである。
本発明の電気化学表示素子は、各種分野において好適に使用することができ、例えば、株価や時刻表の表示板等の商業用大型表示装置;防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子;電子ペーパー、電子アルバム、電子書籍、電子カルテ等のモバイル表示装置;パソコン、コピー機等用のモニター表示素子;などに好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
(電気化学表示素子の作製)
スパッタ法により表面にITO透明導電層(電極)を設けた20mm×30mmのポリエチレンナフタレートフィルムを基板として準備し、前記ITO透明導電層側の短辺両端(端から5mm幅の部分)にスペーサー用粘着テープを貼り付けた。次いで、ガラス棒を用いてITO透明導電層上に酸化チタンナノペースト(Solaronix社製、酸化チタン平均粒径:13nm)を塗布した。粘着テープを剥離し、室温で2時間風乾した後に、150℃のホットプレート上で10分間加熱処理を行い、電極上に厚さ5μmの多孔質層を形成した(あらさ係数:約1000)。
有機イオン性液体である1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンのBF 塩に、金属イオン源である1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンの[AuCl]塩を0.1mol/l、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンの塩化物塩を0.4mol/lとなるように各々溶解し、電解質Aを調製した。
次に、前記基板の多孔質層上に、白色のポリプロピレン製多孔質セパレータ(宇部興産社製、厚さ:100μm)を重ね、その表面に前記電解質Aを十分に垂らしセパレータの微細孔に電解質を充填させた。一方、前記と同一のITO透明導電層を設けたポリエチレンナフタレートフィルムのITO側に金薄膜をスパッタ法により設け、これの金側を前記電解質に重ね、両ポリエチレンナフタレートフィルムを加圧固定した状態にて周囲をエポキシ樹脂にて接着封止し、電気化学表示素子(EDD1)を得た。
(電気化学表示素子の評価)
得られた表示素子(EDD1)のITO電極間に、±1.5Vの矩形波電圧を印加(1sec周期)したところ、多孔質層を設けた側の電極が負になる時に赤黒色、正になる時に透明(セパレータの白色が目視される)になる金微粒子の電解析出/電解溶出に伴う光学変化挙動が確認され、本素子が有効に電気化学表示素子として機能し得ることが検証された。
また、EDD1を、100℃の環境下に24時間放置し、その後再度上記同様の試験を行ったところ、初期と同等の表示特性を示し、耐熱性に優れることが確認された。また、素子の破壊、液漏れも認められなかった。
<実施例2>
(電気化学表示素子の作製)
有機イオン性液体である1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンのBF 塩に、金属イオン源である1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンの[AgCl]塩を0.1mol/l、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンの塩化物塩を0.2mol/lとなるように各々溶解し、電解質Bを調製した。
実施例1の電気化学表示素子の作製において、電解質Aの代わりに電解質Bを用いた以外は、同様にして電気化学表示素子(EDD2)を作製した。
(電気化学表示素子の評価)
EDD2について、実施例1の電気化学表示素子の評価と同様にして評価を行った。
その結果、多孔質層を設けた側の電極が負になる時に黄黒色、正になる時に透明(セパレータの白色が目視される)になる銀微粒子の電解析出/電解溶出に伴う光学変化挙動が確認され、本素子が有効に電気化学表示素子として機能し得ることが検証された。
また、EDD2を、100℃の環境下に24時間放置し、その後再度上記同様の試験を行ったところ、初期と同等の表示特性を示し、耐熱性に優れることが確認された。また、素子の破壊、液漏れも認められなかった。
<実施例3>
(電気化学表示素子の作製)
有機イオン性液体である1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンのBF 塩に、金属イオン源である1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンの[AuCl]塩を0.1mol/l、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオンの塩化物塩を0.4mol/lとなるように各々溶解し、さらに架橋剤成分として、イソシアネート基を3個有する液状化合物であるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌル環3量体(武田薬品工業社製、D−170HN)、末端水酸基を3個有する液状化合物であるトリス(オリゴオキシプロピル)化グリセリン(三洋化成社製、サンニックスGP−1000)及び重付加反応触媒であるジブチル錫ジアセテートを、イソシアネート基と水酸基のモル比が1:1、全架橋剤成分と前記有機イオン性液体との質量比が1:4、重付加反応触媒が全架橋剤成分量の0.1質量%となるように調整して混合し、電解質Cを調製した。
実施例1の電気化学表示素子の作製において、電解質Aの代わりに電解質Cを用い、ポリエチレンナフタレートフィルムを加圧固定した後、150℃で30分間加熱処理を行った以外は、同様にして電気化学表示素子(EDD3)を作製した。
(電気化学表示素子の評価)
EDD3について、実施例1の電気化学表示素子の評価と同様にして評価を行った。
その結果、多孔質層を設けた側の電極が負になる時に赤黒色、正になる時に透明(セパレータの白色が目視される)になる金微粒子の電解析出/電解溶出に伴う光学変化挙動が確認され、本素子が有効に電気化学表示素子として機能し得ることが検証された。
また、EDD3を、100℃の環境下に24時間放置し、その後再度上記同様の試験を行ったところ、初期と同等の表示特性を示し、耐熱性に優れることが確認された。また、素子の破壊、液漏れも認められなかった。さらに、素子に釘を刺しても電解液が漏れることがなく、破損時の安全性にも優れるものであった。
<比較例1>
(電気化学表示素子の作製)
実施例1で調製した電解質Aに蒸留水を1質量%添加し、電解質Dを調製した。
実施例1の電気化学表示素子の作製において、電解質Aの代わりに電解質Dを用いた以外は、同様にして電気化学表示素子(EDD4)を作製した。
(電気化学表示素子の評価)
EDD4について、実施例1の電気化学表示素子の評価と同様にして評価を行った。
その結果、初期において多孔質層を設けた側の電極が負になる時に赤黒色、正になる時に透明(セパレータの白色が目視される)になる金微粒子の電解析出/電解溶出に伴う光学変化挙動が確認されたが、すぐに素子内部で気泡(水素と思われる)が発生したことにより、素子が破損し液漏れが発生したため、評価を中止した。
<比較例2>
(電気化学表示素子の作製)
DMSOに対して、臭化銀を0.1mol/l、臭化リチウムを0.2mol/lとなるように溶解し、電解質Eを調製した。
実施例1の電気化学表示素子の作製において、電解質Aの代わりに電解質Eを用いた以外は、同様にして電気化学表示素子(EDD5)を作製した。
(電気化学表示素子の評価)
EDD5について、実施例1の電気化学表示素子の評価と同様にして評価を行った。
その結果、多孔質層を設けた側の電極が負になる時に黄黒色、正になる時に透明(セパレータの白色が目視される)になる銀微粒子の電解析出/電解溶出に伴う光学変化挙動が確認された。
しかし、EDD5を100℃の環境下に24時間放置したところ、加熱により素子内圧が上昇し、前記エポキシ樹脂の封止部に液漏れが発生した。
<比較例3>
実施例1の電気化学表示素子の電解質の調製において、有機イオン性液体に金属イオン源として硝酸銀を溶解させようとしたが、液中に分散するのみでほとんど溶解せず、電解析出用の金属イオンを含む電解質を得ることができなかった。
以上の評価結果のように、電解質として有機イオン性液体を用いた場合でも、特定のカチオンとの金属錯体有機塩を用いることにより、高温放置でも液漏れ等が発生せず安定な電気化学表示素子が得られることがわかる。
本発明の表示素子の一例を示す模式断面図である。
符号の説明
1 表示素子
10 透明基板
11 透明電極
20 基板
21 電極
30 電解液
31 金属微粒子
40 スペーサー

Claims (5)

  1. 少なくとも一対の電極と、該一対の電極間に配置された金属イオンを含む電解質と、該電解質中に存在し前記一対の電極のいずれかに還元析出させる金属イオンと、を有し、前記電解質が有機性イオン液体を含み、前記金属イオンが金属錯アニオンであることを特徴とする電気化学表示素子。
  2. 前記金属錯アニオンが、[AuX]または[AgX](Xはハロゲン化物イオンを表す)であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子。
  3. 前記電解質が、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及び有機4級アンモニウムカチオンから選択される1種以上をカチオン種とする有機イオン性液体、並びに、前記金属錯アニオンとピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン及び有機4級アンモニウムカチオンから選択される1種以上との塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子。
  4. 前記電解質が、ゲル化剤により硬化されたゲル電解質であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子。
  5. 前記一対の電極の少なくとも一方の表面に、あらさ係数が10〜2000の範囲の多孔質層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学表示素子。
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