JP2007322567A - 光導波路の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形状の精度が高く、伝送特性が良好な光導波路を、煩雑な工程を含むことなく、低コストかつ短時間で形成することができ、また、作業環境も良好に保持することができる光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】光導波路の製造方法は、コア部形成用の凹部5を有する型4の、当該凹部5が形成された面上に、液状硬化性組成物6を塗布する工程(A)と、型4の面上の液状硬化性組成物6を、ゴム製のスキージ7で掻きとって除去する工程(B)と、下部クラッド層用ドライフィルム1の、未硬化層3の側を、型4の凹部5を有する面に加圧して密着させる工程(C)と、液状硬化性組成物6および未硬化層3を同時に硬化させ、構造体を形成させる工程(D)と、該構造体から型4を離脱させる工程(E)と、型4を離脱させた構造体の上に、上部クラッド層15を形成する工程(F)を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、光導波路の製造方法に関し、特に、形状の精度が高く、伝送特性が良好な光導波路を低コストで短時間に得ることのできる光導波路の製造方法に関する。
マルチメディア時代を迎え、光通信システムやコンピュータにおける情報処理の大容量化および高速化の要求から、光の伝送媒体として光導波路が注目されている。その製造方法として、特殊な設備を要する従来の石英系光導波路の製造方法に替えて、安価な高分子材料と成形型を用いる製造方法が種々提案されている。
例えば、型基板6上に、有機溶剤可溶性材料からなる付着部9(凸部)を形成することによりコア形成用の溝8を形成し、溝8への紫外線硬化型樹脂組成物10(コア材料)の充填、および、充填後の溝8形成面上へのアンダークラッド層2付き基板1の積層、さらには、紫外線照射によるコア材料の硬化を行なった後に、型基板6を剥離して、アンダークラッド層2付き基板1上に形成されたコア層3および付着部9を露呈させ、付着部9を有機溶剤を用いて溶解、除去することにより光導波路を製造する方法が提案されている(特許文献1;符号は特許文献1の図1〜図8参照)。
この方法は、従来の石英系光導波路の製造方法と比較して、短時間かつ低コストで光導波路を製造することができる点で有利である。しかし、この方法は、有機溶剤可溶性材料からなる付着部9を有機溶剤を用いて溶解、除去する必要があるため、継続的な有機溶剤の使用により作業環境が汚染されるという問題がある。
一方、クラッド基板2の表面にコア形成用の凹部(凹溝3)を設け、クラッド基板2の表面又はスタンパ9の型面に空間(窪み6)を設けておき、クラッド基板2の凹部(凹溝3)にコア材料を供給した後、スタンパ9の型面とクラッド基板2とを互いに押圧させて凹部(凹溝3)内にコア4を形成すると共に、凹部(凹溝3)と空間(窪み6)の中間でクラッド基板2とスタンパ9に挟まれたコア材料を空間(窪み6)へ逃がすようにすることを特徴とする光導波路の製造方法が、提案されている(特許文献2;符号は特許文献2の図4参照)。
また、コア形成用の凹部を備えた鋳型3を、クラッド基材5に密着させ、鋳型3に設けられた貫通口4(鋳型3のクラッド基材5と密着させる面の反対側の面から上記凹部に連通するように設けられたもの)からコア材料を供給し、毛細管現象により上記凹部にコア材料を充填することにより、コア部8を形成する光導波路の製造方法が提案されている(特許文献3;符号は特許文献3の図1参照)。
特許文献2および特許文献3に記載された技術によると、有機溶剤の継続的な使用を必要とせず、作業環境を良好に保つことができる。
しかし、特許文献2に記載の技術では、凹溝3と窪み6の間の領域からコア材料を完全に取り除くことは困難と考えられる。凹溝3と窪み6の間にコア材料が残存する場合、この残存するコア材料によって、コア4の伝送特性が低下するおそれがある。
特許文献3に記載の技術では、コア材料の充填が毛細管現象により行われるものであるため、コア材料の充填に長時間を要するという問題がある。また、コア形成用の凹部を備えた鋳型3は、シリコーンエラストマーから形成されるため、耐久性が悪いなどの問題がある。
さらに、次のような技術も提案されている。すなわち、進行方向が変化して異なる方向部分を含む光導波路のコアとなる溝が形成されたクラッド基板表面に、コア材料のモノマーを滴下し、前記クラッド基板表面の余分なコア材料のモノマーを、スキージ(例えば、スキージゴム)が前記溝の各異なる方向部分に対し一定の角度で、少なくとも1回掃き取り、前記コア材料のモノマーを紫外線照射で重合させることによりコア部を形成し、次いで、クラッド基板およびコア部の表面に、モノマー状態のクラッド材料を塗布した後、このクラッド材料に対して補強材(PMMA基板)を張り付け、クラッド材料を紫外線照射で重合させることによりクラッド層を形成させ、光導波路を得る方法が提案されている(特許文献4)。
この方法によると、導波路のコア部の光進行方向が変化しても、コアの断面の形状および大きさが均一な光導波路を製造することができる。
しかし、この方法は、クラッド基板、コア部、およびクラッド層の各々を、個別に形成させることが必要であり、光導波路を得るまでの工程の数が多いという問題がある。
特開2005−165133号公報 特開2004−264877号公報 特開2004−109926号公報 特開平10−221556号公報
そこで、本発明は、形状の精度が高く、伝送特性が良好な光導波路を、煩雑な工程を含むことなく、低コストかつ短時間で容易に形成することができ、また、作業環境も良好に保持することができる光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、コア部形成用の凹部を有する型の、当該凹部を形成した面上に、コア部形成用の液状硬化性組成物を塗布した後、上記凹部に収容されたもの以外の余分な液状硬化性組成物を、ゴム製のスキージで掻きとって除去し、次いで、変形可能な未硬化の硬化性組成物層を基材上に形成させてなる下部クラッド層用ドライフィルムの、未硬化の硬化性組成物層を、上記型のコア部形成用の液状硬化性組成物を収容した凹部を有する面に加圧して密着させることなどによって、本発明の上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] 下部クラッド層、コア部、および上部クラッド層を含む光導波路の製造方法であって、(A)コア部形成用の凹部を有する型の、当該凹部が形成された面上に、コア部形成用の液状硬化性組成物を塗布する工程と、(B)工程(A)で塗布したコア部形成用の液状硬化性組成物のうち、上記凹部に収容されたもの以外の上記型の面上の液状硬化性組成物を、ゴム製のスキージで掻きとって除去する工程と、(C)下部クラッド層形成用の未硬化の硬化性組成物層を基材上に形成させてなる下部クラッド層用ドライフィルムの、硬化性組成物層の側を、工程(B)を経た上記型の、上記コア部形成用の液状硬化性組成物を収容した凹部を有する面に加圧して密着させる工程と、(D)工程(C)の後、上記コア部形成用の液状硬化性組成物、および上記下部クラッド層用ドライフィルムの未硬化の硬化性組成物層を同時に硬化させ、上記型と、上記型内のコア部と、上記型およびコア部の上に形成された下部クラッド層と、該下部クラッド層の上に位置する基材とからなる構造体を形成させる工程と、(E)工程(D)で得られた構造体から、上記型を離脱させる工程と、(F)工程(E)で得られた構造体の上記コア部および下部クラッド層の面上に、上部クラッド層を形成する工程を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
[2] 上記ゴム製のスキージの硬度(JIS K 6253)が、45〜75である上記[1]に記載の光導波路の製造方法。
[3] 工程(F)における上部クラッド層の形成が、工程(E)で得られた構造体の上記コア部および下部クラッド層の上に、上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物を塗布した後、該液状硬化性組成物を硬化させることによって行なわれる上記[1]または[2]に記載の光導波路の製造方法。
[4] 工程(F)における上部クラッド層の形成は、上部クラッド層形成用の未硬化の硬化性組成物層を基材上に形成させてなる上部クラッド層用ドライフィルムを、該上部クラッド層用ドライフィルムの、未硬化の硬化性組成物層の側を、工程(E)で得られた構造体の上記コア部および下部クラッド層の上に加圧して密着させ、次いで、上記未硬化の硬化性組成物層を硬化させることによって行なわれる上記[1]または[2]に記載の光導波路の製造方法。
本発明の光導波路の製造方法によると、工程(B)において、ゴム製のスキージを用いているため、型の上面上の余分なコア部形成用の液状硬化性組成物を掻きとった後に、コア部形成用の凹部の上面(型の上面を延長した面)よりも若干下方の高さ地点に、当該凹部に収容されたコア部形成用の液状硬化性組成物の上面が位置するようになる。そして、工程(C)において、コア部形成用の液状硬化性組成物を収容した凹部を有する型に対して、未硬化層を有する下部クラッド層用ドライフィルムを加圧して密着させたときに、下部クラッド層用ドライフィルムの未硬化の硬化性組成物層が変形して、型の凹部内の液状硬化性組成物が収容されていない小さな空間に入り込み、型の凹部内のコア部形成用の液状硬化性組成物の上面と接触する。そのため、型の凹部同士の間の上面に、コア部形成用の液状硬化性組成物が残存している場合であっても、型の凹部内のコア部形成用の液状硬化性組成物同士の間に、コア部形成用の液状硬化性組成物が連続的に介在することはない。なぜなら、型の上面上に残存するコア部形成用の液状硬化性組成物は、型の凹部内のコア部形成用の液状硬化性組成物に対して、高さ方向の段差を有し、接触することができないからである。その結果、工程(D)で形成されるコア部同士の間に、コア部形成用の液状硬化性組成物の硬化物が連続的に形成されることがなく、光導波路の伝送特性の低下を確実に回避することができる。
また、本発明の光導波路の製造方法によると、工程(D)において、コア部形成用の液状硬化性組成物、および、下部クラッド層用ドライフィルムの未硬化層を同時に硬化させるので、コア部と下部クラッド層を同時に形成することができる。そのため、煩雑な工程を含むことなく、短時間で容易に光導波路を形成することができる。
また、本発明の光導波路の製造方法によれば、工程(D)において、コア部形成用の液状硬化性組成物および下部クラッド層用ドライフィルムの未硬化の硬化性組成物層が硬化するときに、これらの硬化物の収縮が生じるので、工程(E)において、コア部を含む構造体から型を離脱させる際に、コア部に欠損や変形が生じず、形状の精度の高い光導波路を得ることができる。
また、本発明の光導波路の製造方法は、高価な材料や特殊な設備を必要としないため、低コストである。
さらに、本発明の光導波路の製造方法によれば、有機溶剤を継続的に使用することがないため、作業環境を良好に維持することができる。
以下、図面を参照して本発明の光導波路の製造方法の実施形態の例を説明する。図1は、本発明の光導波路の製造方法の一例を示すフロー図、図2は、図1中の(G−1)、(G−2)に代えて採用しうる工程を示すフロー図である。
図1中、本発明の光導波路の製造方法は、未硬化の硬化性組成物層3を基材2上に形成させてなる下部クラッド層用ドライフィルム1を用意する準備工程(図1中の(A))と、凹部5を有する型4の上面に、コア部形成用の液状硬化性組成物6を塗布する工程(A)(図1中の(B))と、型4の上面上の液状硬化性組成物6を、ゴム製のスキージ7で掻きとって除去する工程(B)(図1中の(C−1)、(C−2))と、下部クラッド層用ドライフィルム1の、未硬化層3の側を、型4の上面に加圧して密着させる工程(C)(図1中の(D−1)、(D−2))と、コア部形成用の液状硬化性組成物6、および下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3を、紫外線10の照射によって同時に硬化させ、型4とコア部12と下部クラッド層11と基材2とからなる構造体を形成させる工程(D)(図1中の(E))と、得られた構造体から、型4を離脱させる工程(E)(図1中の(F))と、型4を離脱させた構造体のコア部12および下部クラッド層11の面上に、上部クラッド層15を形成させ、光導波路16を完成させる工程(F)(図1中の(G−1)、(G−2))を含むものである。
上部クラッド層15を形成させる方法としては、例えば、図1に示す第一の実施形態(図1中の(G−1)、(G−2))と、図2に示す第二の実施形態(図2中の(G−3)〜(G−5))のいずれを採用してもよい。ただし、図2に示す第二の実施形態においては、コア部の高さが小さいことが望ましい。図2中、コア部の高さは、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。
図1中、上部クラッド層15を形成させる方法は、コア部12および下部クラッド層11の面上に、上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物13を塗布した後(図1中の(G−1))、紫外線14の照射(または加熱)によって液状硬化性組成物13を硬化させて、上部クラッド層15を形成させる(図1中の(G−2))ものである。
図2中、上部クラッド層25を形成させる方法は、図1中の(F)と同様にして、基材20、下部クラッド層21およびコア部22からなる構造体(図2中の(F))を作製した後、図1中の下部クラッド層用ドライフィルム1と同様にして作製した上部クラッド層用ドライフィルム25(上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物の乾燥物である未硬化層23を、基材24上に形成させてなるもの)の、未硬化層23の側を、コア部22および下部クラッド層21の上に加圧して密着させ(図2中の(G−3)、(G−4))、次いで、上部クラッド層用ドライフィルム25の未硬化層23を、紫外線26の照射(または加熱)によって硬化させて、上部クラッド層27を形成させ、光導波路28を完成させる(図2中の(G−5))ものである。
以下、工程毎に詳しく説明する。
[下部クラッド用ドライフィルムの製造]
本発明の光導波路の製造方法においては、まず、図1中の(A)に示すように、液状硬化性組成物の乾燥物からなる未硬化層3を基材2上に形成させてなる下部クラッド層用ドライフィルム1を用意する。
基材2の材質としては、特に限定されないが、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド等の合成樹脂や、ガラス基板や、シリコン基板等が挙げられる。中でも、ポリエステル等の合成樹脂は、所望の形状を有する透明なフィルムを容易に作製することができる点で好ましく用いられる。
工程(D)で未硬化層3を硬化させる方法として、光照射を採用する場合、基材2の材質は、光を十分に透過させ得るように、透明なものである必要がある。
基材2は、通常、フィルムとして形成される。基材2の厚さは、特に限定されないが、例えば、12〜500μmである。
未硬化層3は、工程(D)において硬化させて下部クラッド層を形成するためのものである。
未硬化層3を形成するための硬化性組成物としては、光硬化性組成物と熱硬化性組成物のいずれも使用することができる。中でも、光硬化性組成物は、工程(C)における加圧密着時に適度な変形を生じ得る未硬化層3を、液状光硬化性組成物の乾燥によって容易に得ることができる点で好ましく用いられる。
未硬化層3を形成するための液状光硬化性組成物の例としては、エチレン性不飽和基等の重合性官能基を有する樹脂、重合性モノマー、光重合開始剤、有機溶媒等を含む組成物が挙げられる。
ここで、エチレン性不飽和基等の重合性官能基を有する樹脂は、例えば、カルボキシル基や水酸基を有する重合体に、グリシジル基とエチレン性不飽和基を含有する化合物、イソシアネート基とエチレン性不飽和基を含有する化合物、あるいはアクリル酸クロライドを付加反応させることにより得られる。
ここで、重合性モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、マクロモノマー、アクリロイルモルフィリン等が挙げられる。
光重合開始剤の例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル−1−ブタノン等が挙げられる。
有機溶剤の例としては、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。
また、上記光重合開始剤に替えて、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート等の熱分解性ラジカル発生剤を使用することにより、熱硬化性組成物とすることもできる。
未硬化層3を形成するための硬化性組成物の成分組成は、上部クラッド層を形成したときに、他の各部(下部クラッド層、コア部)に対して、光導波路に要求される屈折率の条件を満たすように定められる。
下部クラッド層用ドライフィルム1は、保存性および取り扱い性を向上させるために、未硬化層の上にカバーフィルムを備えていてもよい。このカバーフィルムは、使用時に未硬化層から剥離されるものであり、容易に剥離することができるように、未硬化層との接触面を表面処理しておくことが望ましい。カバーフィルムの例としては、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等の合成樹脂フィルムの表面に、シリコーン系離型剤を塗布してなるフィルム等が挙げられる。
下部クラッド層用ドライフィルム1は、例えば、基材2の上に液状光硬化性組成物を塗布した後、加熱して液状光硬化性組成物中の有機溶媒を除去し、液状光硬化性組成物の乾燥物からなる未硬化層3を基材2上に形成させることによって得ることができる。
この場合、液状光硬化性組成物の塗布方法としては、アプリケータを用いる方法(アプリケータコート法)、バーコート法、ロールコート法、カーテンフローコート法等が挙げられる。
基材2上の液状光硬化性組成物の厚さは、特に限定されないが、例えば、5〜200μmである。
基材2上の液状光硬化性組成物を乾燥させるための加熱温度は、製造効率や、基材2に対する悪影響の回避等の観点から、好ましくは50〜250℃、より好ましくは70〜180℃、特に好ましくは100〜150℃である。
また、加熱時間は、製造効率等の観点から、好ましくは1〜20分間である。
基材2上の液状光硬化性組成物は、加熱によって有機溶媒が蒸発して乾燥し、変形可能な未硬化層3になる。
なお、未硬化層3を形成するための硬化性組成物として、熱硬化性組成物を用いる場合、液状の熱硬化性組成物を調製して、基材2上に塗布した後、例えば硬化温度より低い温度で加熱して組成物中の溶剤を徐々に除去し、成膜が完了した時点で加熱を中止すればよい。
[工程(A)]
工程(A)は、図1中の(B)に示すように、コア部形成用の凹部5を上面に有する型4の、当該凹部5を形成している面上に、コア部形成用の液状硬化性組成物6を塗布する工程である。
型4としては、例えば、SUS板の上に、Ni(ニッケル)からなる凸部を形成させてなるもの等が挙げられる。
型4の作製方法は、例えば、次のとおりである。まず、SUS板の上に、所定のパターンでフォトレジスト層を形成させる。次いで、SUS板の上に、フォトレジスト層の全体を覆うように、電解メッキ、無電解メッキ、スパッタ等の方法で所定の厚さのNi層を形成させる。その後、フォトレジスト層の上面が露出するようになるまで、Ni層を研磨する。研磨後、アルカリ溶液等を用いてフォトレジスト層を除去すれば、所定のパターン(コア部の形成用の凹部)を有するように形成されたNi層をSUS板の上に設けてなる型4が得られる。
凹部5内の液状硬化性組成物6は、工程(B)においてゴム製のスキージ7を用いて型4の上面上の液状硬化性組成物6を除去する際に、型4の上面上の液状硬化性組成物6と共に部分的に除去される。つまり、工程(B)の後には、凹部5内の液状硬化性組成物6の上面は、型4の上面よりも若干、下方に位置することになる。そのため、鉛直方向の断面が正方形であるコア部を形成させるためには、凹部5は、鉛直方向の断面が、幅よりも高さの方が若干大きい長方形であるように、形成することが望ましい。例えば、凹部5の鉛直方向の断面の形状を、幅に対して高さが5〜15%大きくなるように定めれば、略正方形の断面を有するコア部を形成することができる。
凹部5の幅は、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜80μm、特に好ましくは40〜60μmである。凹部の高さは、好ましくは、凹部の幅に対して5〜15%大きい寸法である。凹部の幅および高さが、前記の好ましい数値範囲よりも小さい場合、図1中の(D−1)の空間9が小さくなるため、図1中の(F)のコア部12同士の間にコア部形成用の液状硬化性組成物6の硬化物からなる連続的な連絡路が形成され、光導波路の伝送特性が低下することがある。
コア部形成用の液状硬化性組成物6としては、上述の未硬化層3を形成するための液状硬化性組成物と同様に、光硬化性組成物と熱硬化性組成物のいずれも使用することができる。
コア部形成用の光硬化性組成物の例は、上述の未硬化層3を形成するための液状硬化性組成物の例と同様である。ただし、コア部形成用の光硬化性組成物の成分組成は、コア部を形成したときに、他の各部(上部クラッド層、下部クラッド層)に対して、光導波路に要求される屈折率の条件を満たすように定められる。
コア部形成用の液状硬化性組成物6の粘度(25℃)は、好ましくは10〜5,000mPa・s、より好ましくは50〜3,000mPa・s、特に好ましくは100〜1,000mPa・sである。該粘度が好ましい範囲外であると、液状硬化性組成物6の取り扱いが困難になったり、工程(B)におけるゴム製のスキージによる余分な液状硬化性組成物6の除去が困難になることがある。なお、粘度は、エチレン性不飽和基含有化合物等の配合量を変えることによって、適宜調整することができる。
液状硬化性組成物6は、少なくとも、コア部形成用の凹部5内の空間を満たすように塗布される。
[工程(B)]
工程(B)は、図1中の(C−1)および(C−2)に示すように、工程(A)で塗布したコア部形成用の液状硬化性組成物6のうち、凹部5に収容されたもの以外の型4の上面上の液状硬化性組成物6を、ゴム製のスキージ7で掻きとって除去する工程である。
ゴム製のスキージ7は、少なくとも、液状硬化性組成物6を掻きとる部分がゴムで形成されたものである。スキージ7は、凹部5の長手方向の長さよりも大きな寸法の幅を有する板状の先端部分(掻きとる部分)を有することが好ましい。
スキージ7のゴムの種類としては、例えば、エチレン・プロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性、耐薬品性等の観点から、エチレン・プロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムが好ましく用いられる。
スキージ7のゴムの硬度は、JIS K 6235で規定される硬度(試験種類:デュロメータ タイプA スプリング式)として、好ましくは45〜75、より好ましくは50〜70である。該硬度が45未満では、凹部5内の液状硬化性組成物6の掻きとられる量が多すぎたり、スキージ7を型4の上面8上で移動させることが困難なことがあり、該硬度が75を超えると、凹部5内の液状硬化性組成物6の掻きとられる量が不十分となったり、型4の面の凹凸に対するスキージ7の追随性が劣ることがある。
なお、本発明では、ゴム製のスキージ7を用いているため、型4を傷付けることもない。
ゴム製のスキージ7の先端部分(型4に接触する部分)の断面形状は、角状、円形状等である。
ゴム製のスキージ7は、凹部5の延びる方向に対して略垂直の方向(凹部5を跨ぐ方向)に、型4の上面8上を移動させて使用する。
ゴム製のスキージ7は、型4との接触部分がゴム製であり、適度な弾性を有するため、凹部5の内部の液状硬化性組成物6の一部を掻きとる。このため、スキージ7が通過した後の凹部5の内部の液状硬化性組成物6の上面は、型4の上面8よりも下方に位置することになる。
凹部5の内部の液状硬化性組成物6の掻きとられる量は、凹部5の高さ(100%)に対して、好ましくは5〜20%、より好ましくは7〜15%である。
これにより、工程(C)において型4の上面に下部クラッド層用ドライフィルム1を加圧して密着させたときに、下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3が、凹部5内の空間9(スキージ7によって掻きとられた液状硬化性組成物6が収容されていた部分)に入り込むことが可能になる。
[工程(C)]
工程(C)は、図1中の(D−1)、(D−2)に示すように、下部クラッド層用ドライフィルム1を、未硬化層3の側を下方に向けて、工程(B)を経た型4の上面に加圧して、空間9が無くなるように密着させる工程である。
工程(C)では、まず、下部クラッド層用ドライフィルム1を、未硬化層3の側を下方に向けて、工程(B)を経た型4の上面に当接させる(図1の(D−1))。
次いで、下部クラッド層用ドライフィルム1を上方から加圧するか、または、型4を下方から加圧することによって、下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3の一部が、凹部5内の空間(スキージ7によって掻きとられた液状硬化性組成物6が収容されていた部分)に入り込むようにする(図1の(D−2))。これにより、下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3と、コア部形成用の液状硬化性組成物6とが、型4の上面よりも若干、下方の位置に接触面を有するようになる。
加圧の手段としては、例えば、ゴムロール、ホットプレス等が挙げられる。
加圧時の圧力は、下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3と、コア部形成用の液状硬化性組成物6とが接触することのできる大きさであればよい。
[工程(D)]
工程(D)は、図1中の(E)に示すように、工程(C)の後、コア部形成用の液状硬化性組成物6、および下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3を、紫外線9の照射等によって同時に硬化させ、型4、下部クラッド層11、コア部12および基材2からなる構造体を形成させる工程である。
光照射により硬化させる場合、照射する光の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線等を用いることができるが、特に紫外線が好ましい。光の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等を用いることが好ましい。光の照射量は、特に限定されるものではないが、波長200〜450nm、照度1〜500mW/cm2の光を、照射量が10〜5,000mJ/cm2となるように照射して露光することが好ましい。
加熱により硬化させる場合、加熱温度は、好ましくは30〜400℃、より好ましくは50〜300℃、特に好ましくは100〜200℃である。加熱時間は、例えば、5分間〜72時間である。
工程(C)において、下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3と、コア部形成用の液状硬化性組成物6との接触面は、型4の上面よりも若干、下方の位置に形成されている。そのため、工程(D)において、下部クラッド層用ドライフィルム1の未硬化層3は、型4の凹部5の内部に若干入り込んだ状態で硬化して、下部クラッド層11になる。
本発明において、未硬化層3が、型4の凹部5の内部に若干入り込んだ状態で硬化することは、最終的に得られる光導波路の伝送性を良好なものとするために必須である。すなわち、未硬化層3と、型4の凹部5内の液状硬化性組成物6との接触面が、型4の上面8に対して同一面である場合、型4の凹部5同士の間の上面8に、液状硬化性組成物6が残存していることがあるため、液状硬化性組成物6の硬化後の隣り合うコア部12同士の間に、型4の上面8上の液状硬化性組成物6が硬化してなる連絡路が形成されることがある。この連絡路は、光導波路の光伝送特性の低下の原因となる。この点、本発明では、未硬化層3が、型4の凹部5の内部に若干入り込んだ状態で硬化するため、型4の凹部5同士の間の上面8に、液状硬化性組成物6が残存している場合であっても、隣り合うコア部12同士の間に、コア部12の材料と同じ材料からなる連絡路は、形成されない。
未硬化層3および液状硬化性組成物6が光硬化性のものである場合、硬化方法として、光の照射を採用すれば、未硬化層3および液状硬化性組成物6を同時に硬化させることができる。また、未硬化層3および液状硬化性組成物6が熱硬化性のものである場合、硬化方法として、加熱を採用すれば、未硬化層3および液状硬化性組成物6を同時に硬化させることができる。このように、本発明では、未硬化層3の硬化による下部クラッド層11の形成と、液状硬化性組成物6の硬化によるコア部12の形成を、同時に行なうことができるため、光導波路の製造の効率を格段に高めることができる。
[工程(E)]
工程(E)は、図1中の(F)に示すように、工程(D)で得られた構造体から、型4を離脱させる工程である。
前工程である工程(D)において、未硬化層3が硬化して下部クラッド層11が形成される際の収縮、および、液状硬化性組成物6が硬化してコア部12が形成される際の収縮によって、下部クラッド層11およびコア部12を含む構造体は、型4に対して離脱させ易くなっている。そのため、工程(E)において、工程(D)で得られた構造体からの型4の離脱は、容易に行なうことができる。この際、コア部に欠損や変形が生じることはない。
[工程(F)]
(1)第一の実施形態
工程(F)の第一の実施形態は、図1中の(G−1)および(G−2)に示すように、工程(E)で得られた構造体のコア部12および下部クラッド層11の面上に、上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物13を塗布した後、紫外線14の照射によって液状硬化性組成物13を硬化させて、上部クラッド層15を形成させ、光導波路16を完成させる工程である。
上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物13の成分組成および塗布方法は、上述の下部クラッド層形成用の液状硬化性組成物と同様である。また、上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物13として、熱硬化性組成物を用いうること、および、この場合の硬化方法として加熱が採用されることも、上述の下部クラッド層形成用の液状硬化性組成物と同様である。
(2)第二の実施形態
工程(F)の第二の実施形態は、図2に示すように、まず、図1中の(E)と同様にして、基材20、下部クラッド層21およびコア部22からなる構造体(図2中の(F))を作製した後、図1中の下部クラッド層用ドライフィルム1と同様にして作製した上部クラッド層用ドライフィルム25を、未硬化層23の側を下方に向けて、コア部22および下部クラッド層21の上面に加圧して密着させ(図2中の(G−3)、(G−4))、次いで、上部クラッド層用ドライフィルム25の未硬化層23を、紫外線26等の光照射または加熱によって硬化させることによって、上部クラッド層26を形成させる(図2中の(G−5))ものである。
光導波路16は、下部クラッド層11、コア部12および上部クラッド層15からなる(図1の(G−2)参照)。
下部クラッド層11、コア部12および上部クラッド層15の厚さは、特に限定されないが、例えば、下部クラッド層11の厚さが10〜200μm、コア部12の厚さが3〜200μm、上部クラッド層15の厚さ(上部クラッド層15の上面とコア部12の上面の間の距離)が1〜200μmとなるように定められる。コア部12の幅および高さは、特に限定されないが、例えば、5〜100μmである。
また、コア部12の屈折率は、下部クラッド層11と上部クラッド層15のいずれの屈折率よりも大きいことが必要である。例えば、波長400〜1,600nmの光に対して、コア部12の屈折率が1.420〜1.650、下部クラッド層11および上部クラッド層15の屈折率が1.400〜1.648であり、かつ、コア部12の屈折率が、2つのクラッド層11、15のいずれの屈折率よりも0.1%以上大きな値であることが好ましい。
コア部12、下部クラッド層11および上部クラッド層15の各部を構成する組成物の成分組成は、コア部12、下部クラッド層11、および上部クラッド層15の屈折率の関係が上記の条件を満たすように定められる。下部クラッド層を構成する組成物と上部クラッド層を構成する組成物は、同一の硬化性組成物であることが、経済上および製造管理上、好ましい。また、本発明において、製造効率の観点から、下部クラッド層、コア部および上部クラッド層のすべてを、光硬化性組成物で形成することが好ましい。
[調製例1(コア部形成用の液状硬化性組成物の調製)]
攪拌機付きのガラス製フラスコ中に、マクロモノマー(商品名:AA−6、東亞合成社製)20重量部、アクリロイルモルフィリン(商品名:ACMO、興人社製)10重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート(商品名:ライトアクリレート9EG−A、共栄社化学社製)12重量部、イソボルニルメタクリレート(商品名:IBXMA、大阪有機化学工業社製)20重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:M8100、東亞合成社製)10重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジアクリレート(商品名:A−TCD、新中村化学工業社製)20重量部、トリブロモフェノキシエチルアクリレート(商品名:BR−31、第一工業製薬社製)8重量部、光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3重量部を加え、40℃で3時間攪拌して、均一に混合された溶液を得た。次いで、この溶液を冷却し、さらに、室温において、孔径0.1μmのPTFE製フィルターを用いてこの溶液を濾過することにより、コア部形成用の液状硬化性組成物Aを得た。
液状硬化性組成物Aは、粘度が380mPa・s、高圧水銀灯で光量1J/cmで照射した硬化膜の波長824nmにおける屈折率がn=1.530、動的粘弾性法で測定したtanδのピークより求めたガラス転移温度が156℃、の物性を有していた。
[調製例2(下部クラッド層および上部クラッド層形成用の液状光硬化性組成物の調製)]
1.ポリマー溶液Bの調製
還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.5重量部、有機溶剤としてメチルイソブチルケトン115重量部を仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。次いで、ヒドロキシエチルメタクリレート20重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート25重量部、メチルメタクリレート40重量部、およびn−ブチルアクリレート15重量部を仕込んだ後、緩やかに攪拌を始めた。その後、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度で6時間重合を行った。その後、得られた溶液にジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.12重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.05重量部を仕込み、攪拌しながら2−メタクリロキシエチルイソシアネート23.7重量部を60℃以下の温度を保ちつつ滴下した。滴下終了後、60℃で5時間反応させ、側鎖にメタクリル基を有するポリマー溶液Bを得た。
2.クラッド層形成用硬化性組成物の調製
攪拌装置付きガラスフラスコに、前記「1.ポリマー溶液の調製」で調製したポリマー溶液Bを215重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、M8100)を30重量部、光重合開始剤として、「Irgacure369」(商品名)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を3重量部、を加え、60℃で3時間攪拌して、均一に混合された溶液を得た。次いで、この溶液を冷却し、さらに、室温において、孔径0.1μmのPTFE製フィルターを用いてこの溶液を濾過することにより、液状硬化性組成物Bを得た。
この液状硬化性組成物Bは、そのまま、あるいは後述の基材と組み合わせることによって、クラッド層(下部クラッド層、上部クラッド層)の形成材料として用いた。
液状硬化性組成物Bは、粘度が1,000mPa・s、高圧水銀灯で光量1J/cmで照射した硬化膜の波長824nmにおける屈折率が1.496、動的粘弾性法で測定したtanδのピークより求めたガラス転移温度が89℃、の物性を有していた。
[調製例3(クラッド層形成用ドライフィルムの作製)]
厚さ100μmの表面処理ポリエステルフィルム(東洋紡績#A4100;材質:ポリエチレンテレフタレート)からなる基材上に、前記「2.クラッド層形成用硬化性組成物の調製」で調製した液状硬化性組成物Bをアプリケータを用いて塗布した後、120℃で5分間、熱風乾燥機中で乾燥させて、前記基材上に厚さ70μmの未硬化層(クラッド層形成用組成物)を積層させてなるクラッド層形成用ドライフィルムを得た。
[光導波路の形成]
[実施例1]
(a)金型の凹部へのコア部形成用組成物の供給
SUS製の基板上に複数のNi製の成形体(凸部)を形成させることによって、コア部形成用の凹部(幅:50μm、深さ:55μm、長さ:30cm)を有する金型を作製した。
調製例1で得たコア部形成用の液状硬化性組成物Aを、アプリケータを用いて、上記の金型上に塗布した。次いで、エチレン・プロピレンゴム製(日本工業規格JIS K 6253の試験法によるデュロメータを用いた硬度:65)の板状のゴム製のスキージ(幅:30cm、厚さ:10mm、長さ:30cm)を用い、0.5kgfの荷重、および移動速度50cm/分の条件下で、金型の凹部から溢れている過剰の液状硬化性組成物Aを掻きとる操作を行った。操作後、金型を観察すると、金型の凹部以外の上面から、液状硬化性組成物Aが除去されているとともに、金型の凹部内に収容された液状硬化性組成物Aの液面が、金型の上面から平均で5μmほど下方に位置していた。
(b)コア部および下部クラッド層の形成
前記の調製例3で得たクラッド層形成用ドライフィルムを、前記(a)で作製した金型の上面に張り合わせた後、ゴムロールを用いて、クラッド層形成用ドライフィルムを金型の上面に押し付ける操作を行った。次に、波長365nm、照度10mW/cmの紫外線を基材であるポリエステルフィルムの側から100秒間照射して、クラッド層形成用ドライフィルムの未硬化層、および金型内のコア部形成用の光硬化性組成物を光硬化させ、硬化体のみからなる構造体を得た。その後、この構造体から金型を離脱させて、基材(ポリエステルフィルム)と、厚さ20μmの下部クラッド層と、幅50μm、厚さ50μmのコア部とが、この順で積層されてなる硬化フィルムを得た。
(c)上部クラッド層の形成
前記(b)で作製した硬化フィルム上に、アプリケータを用いて、前記の調製例2で得たクラッド層形成用の液状硬化性組成物Bを塗布した後、この液状硬化性組成物Bを、熱風乾燥機中で120℃、5分間、乾燥させた。次いで、波長365nm、照度10mW/cmの紫外線を100秒間照射することによって、上部クラッド層(厚さ:20μm)を有する光導波路を得た。
[実施例2]
上部クラッド層を形成させるために、前記の調製例3で得たクラッド層形成用ドライフィルムと同様のドライフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして光導波路を作製した。
上部クラッド層を形成させるためのクラッド層形成用ドライフィルムは、実施例1の前記(b)で得た硬化フィルムと同様の硬化フィルムに対し、該硬化フィルムのコア部と対向するようにして積層した。この積層は、温度80℃、圧力0.5MPaの条件下で、ロール(シリコンゴムで表面層を形成したもの)を、速度が0.5m/分、進行方向がコア部の延びる方向と同じになるようにして、クラッド層形成用ドライフィルム上にて走行させることにより行なった。その後、波長365nm、照度10mW/cmの紫外線を、硬化フィルムの基材(ポリエステルフィルム)の側から100秒間照射して、クラッド層形成用ドライフィルムの未硬化層を硬化させて、光導波路を得た。
[比較例1]
(a)クラッド層形成用ドライフィルムの作製
基材である厚さ100μmの表面処理ポリエステルフィルム(東洋紡績#A4100)上に、前記の調製例2で得たクラッド層形成用の液状硬化性組成物Bをアプリケータを用いて塗布し、乾燥させた後、この硬化性組成物Bに対して、波長365nm、照度10mW/cmの紫外線を照射することによって、基材上に厚さ20μmの下部クラッド層を形成させ、クラッド層形成用ドライフィルムを得た。
(b)コア部および下部クラッド層の形成
前記の調製例1で得たコア部形成用の液状硬化性組成物Aを凹部内に満たした金型(実施例1で作製したものと同様の金型)の上面に、前記の(a)で作製したクラッド層形成用ドライフィルムを張り合わせた後、基材(ポリエステルフィルム)の側から波長365nm、照度10mW/cmの紫外線を100秒間照射し、金型内のコア部形成用の液状硬化性組成物Aを硬化させ、構造体を作製した。次いで、この構造体から金型を離脱させて、基材、下部クラッド層、およびコア部からなる硬化フィルムを得た。
(c)上部クラッド層の形成
前記の(b)で得た硬化フィルム上に、アプリケータを用いて上記と同様のクラッド層形成用の液状硬化性組成物Bを塗布した。次いで、液状硬化性組成物Bを塗布した硬化フィルムを、熱風乾燥機中で120℃、5分間、乾燥させた後、波長365nm、照度10mW/cmの紫外線を100秒間照射して、上部クラッド層(厚さ:20μm)を有する光導波路を得た。
[評価]
実施例1、実施例2、および比較例1で作製した光導波路について、以下の項目を評価した。
(1)外観
倍率1,000倍の光学顕微鏡を用いて、コア部の形状の均一性を評価した。コア部の幅が一定であり、欠けや泡がないものを「○」とし、欠けおよび泡があるものを「×」とした。
(2)伝搬損失
光導波路の波長850nmにおける伝搬損失(dB/cm)を、850nmのLED光源とコア径50μmのGIファイバーを用いて、カットバック法で測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2007322567
表1に示すように、比較例1では、コア部の欠け、およびコア部中の気泡が観察され、均一な光導波路が得られず、伝搬損失も大きかった。実施例1、2では、コア部の欠けや、コア部中の気泡がなく、かつ、伝搬損失も0.1dB/cm以下と良好であった。
本発明の光導波路の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の光導波路の製造方法中の工程(G)の他の例を示すフロー図である。
符号の説明
1 下部クラッド層用ドライフィルム
2 基材
3 未硬化層
4 型
5 凹部
6 コア部形成用の液状硬化性組成物
7 ゴム製のスキージ
8 型の上面
9 空間(スキージで掻きとられた部分)
10 紫外線
11 下部クラッド層
12 コア部
13 上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物
14 紫外線
15 上部クラッド層
16 光導波路
20,24 基材
21 下部クラッド層
22 コア部
23 未硬化層
25 クラッド層形成用ドライフィルム
26 紫外線
27 上部クラッド層
28 光導波路

Claims (4)

  1. 下部クラッド層、コア部、および上部クラッド層を含む光導波路の製造方法であって、
    (A)コア部形成用の凹部を有する型の、当該凹部が形成された面上に、コア部形成用の液状硬化性組成物を塗布する工程と、
    (B)工程(A)で塗布したコア部形成用の液状硬化性組成物のうち、上記凹部に収容されたもの以外の上記型の面上の液状硬化性組成物を、ゴム製のスキージで掻きとって除去する工程と、
    (C)下部クラッド層形成用の未硬化の硬化性組成物層を基材上に形成させてなる下部クラッド層用ドライフィルムの、硬化性組成物層の側を、工程(B)を経た上記型の、上記コア部形成用の液状硬化性組成物を収容した凹部を有する面に加圧して密着させる工程と、
    (D)工程(C)の後、上記コア部形成用の液状硬化性組成物、および上記下部クラッド層用ドライフィルムの未硬化の硬化性組成物層を同時に硬化させ、上記型と、上記型内のコア部と、上記型およびコア部の上に形成された下部クラッド層と、該下部クラッド層の上に位置する基材とからなる構造体を形成させる工程と、
    (E)工程(D)で得られた構造体から、上記型を離脱させる工程と、
    (F)工程(E)で得られた構造体の上記コア部および下部クラッド層の面上に、上部クラッド層を形成する工程
    を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  2. 上記ゴム製のスキージの硬度(JIS K 6253)が、45〜75である請求項1に記載の光導波路の製造方法。
  3. 工程(F)における上部クラッド層の形成が、工程(E)で得られた構造体の上記コア部および下部クラッド層の上に、上部クラッド層形成用の液状硬化性組成物を塗布した後、該液状硬化性組成物を硬化させることによって行なわれる請求項1または2に記載の光導波路の製造方法。
  4. 工程(F)における上部クラッド層の形成は、上部クラッド層形成用の未硬化の硬化性組成物層を基材上に形成させてなる上部クラッド層用ドライフィルムを、該上部クラッド層用ドライフィルムの、未硬化の硬化性組成物層の側を、工程(E)で得られた構造体の上記コア部および下部クラッド層の上に加圧して密着させ、次いで、上記未硬化の硬化性組成物層を硬化させることによって行なわれる請求項1または2に記載の光導波路の製造方法。
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