JP2006137021A - 転写体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 モールドのパターンを連続して精密に転写でき、かつ光学的特性に優れる転写体を得ることができる転写体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と硬化性基とを有する化合物(A)を含有する硬化性材料を、最小寸法が50μm以下の凹凸パターン13が表面に形成されたモールド14と接触した状態で硬化させ、モールド14の凹凸パターン13が転写された転写体を得る製造方法により解決される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、モールドの微細パターンが転写された転写体の製造方法に関する。
50μm以下の微細なパターンの形成能と生産性とを両立させる技術として、光硬化性組成物からなる転写層を微細パターンを有するモールドに接触させた状態で硬化させて、つぎに転写層からモールドを分離させることにより、モールドの微細パターンが転写された硬化物からなる転写層を得る技術、いわゆるナノインプリント技術が提案されている(特許文献1、2および非特許文献1参照)。
しかし、硬化させた転写層とモールドを効率的に分離させるために、モールドの表面に離型剤を塗布する必要があった。そのため、離型剤自体の膜厚、離型剤の塗布ムラ等のため、転写層に転写される微細パターンの転写精度が不充分であった。また、離型剤のモールドからの剥離等のため、連続生産性が不充分であった。さらに、転写層に形成される硬化物の物性(光学特性、硬度等。)が不充分であった。
特許文献3には、少なくとも1つのフッ素化アルキレンまたはフッ素化アルキレンエーテル部分、および少なくとも2つの末端アクリレート部分を含み、各末端アクリレート部分がエステル結合によって、フッ素化アルキレンまたはフッ素化アルキレンエーテル部分の1つに結合されているフッ素化重合性化合物を用いたフォトリソグラフィー法による、平面導波路デバイスの製造方法が記載されている。しかし、フォトリソグラフィー法は、成膜、エッチング、後処理等の多くの工程が必要であり、生産性に劣っていた。
特表2004−504718号公報 特表2002−539604号公報 特表2004−523610号公報 J.Am.Chem.Soc.,2004,126,2322〜2323
本発明の目的は、モールドのパターンを連続して精密に転写でき、かつ光学的特性に優れる転写体を得ることができる転写体の製造方法を提供することにある。
本発明の転写体の製造方法は、モールドのパターンが転写された転写体の製造方法であって、ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と硬化性基とを有する化合物(A)を含む硬化性材料を、最小寸法が50μm以下のパターンが表面に形成されたモールドと接触した状態で硬化させ、つぎに硬化後の硬化性材料をモールドから分離することを特徴とする。
前記化合物(A)は、(CF2CF2O)単位からなるペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖を有することが好ましい。
前記化合物(A)は、2〜4個の硬化性基を有することが好ましい。
前記硬化性材料は、光硬化開始剤を含むことが好ましい。
本発明の転写体の製造方法によれば、モールドのパターンを転写体に連続して精密に転写できる。また、本発明の転写体の製造方法によれば、光学的特性に優れる転写体を製造できる。
本発明の転写体の製造方法は、ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と硬化性基とを有する化合物(A)(以下、単に化合物(A)とも記す。)を含有する硬化性材料を、最小寸法が50μm以下のパターンが表面に形成されたモールドと接触した状態で硬化させる方法であり、たとえば、図1に示すように、硬化性材料11を基板12上に塗布する工程(以下、塗布工程と記す。)と、図2に示すように、表面に凹凸パターン13が形成されたモールド14を、凹凸パターン13が硬化性材料11に接触するように、基板12上の硬化性材料11に押しつける工程(以下、型押し工程と記す。)と、モールド14を硬化性材料11に押しつけた状態で硬化性材料11を硬化させる工程(以下、硬化工程と記す。)と、図3に示すように、モールド14の凹凸パターン13に対応した凹凸パターン15が転写された硬化後の硬化性材料16からモールド14を分離する工程(以下、離型工程と記す。)とを有する方法である。
<塗布工程>
硬化性材料11を基板12上に塗布する方法としては、ポッティング法、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法、ダイコート法、ラングミュアープロジェット法、真空蒸着法等が挙げられる。
基板12がモールド14よりも大きい場合、硬化性材料11を基板12全面に塗布してもよいし、モールド14を型押しする範囲のみに硬化性材料11が存在するように、硬化性材料11を基板12の一部に塗布してもよい。
(基板)
基板12としては、シリコンウェハ、ガラス、石英ガラス、金属等の無機材料からなる基板;フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機材料からなる基板等が挙げられる。硬化性材料11との密着性を向上させるために、基板12に、粗面処理、シランカップリング処理、シラザン処理等の表面処理を施してもよい。
(硬化性材料)
硬化性材料11は、硬化開始剤(B)、硬化剤(C)、化合物(A)以外の硬化性化合物(D)(以下、他の硬化性化合物(D)とも記す。)、光増感剤(E)、溶剤(F)をさらに含有していてもよい。
(化合物(A))
化合物(A)は、分子中にペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と硬化性基とを有する化合物である。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖としては、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、(CF2CF2CF2O)単位および(CF2O)単位からなる群から選ばれる1種以上の単位を含むペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖が好ましい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖としては、硬化後の硬化性材料が耐熱性および耐酸性に優れることから、(CF2O)単位を含まないペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖がより好ましく、(CF2CF2O)単位からなるペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖が特に好ましい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖の長さ(繰り返し単位の数)は、2〜200単位が好ましく、3〜30単位が特に好ましい。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖の長さを2単位以上とすることで、化合物(A)のフッ素含有量が高くなり、硬化後の硬化性材料をモールドから分離しやすくなる。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖の長さを200単位以下とすることで、硬化後の硬化性材料の硬度が高くなる。
硬化性基とは、化合物(A)を含む硬化性材料を硬化させるための硬化反応を起こす基である。硬化性基は、式(W1)で表される基、式(W2)で表される基、式(W3)で表される基、式(W4)で表される基、式(W5)で表される基および式(W6)で表される基からなる群から選ばれる基が好ましい。
Figure 2006137021
基(W1)において、R11は、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、または炭素数1〜4のアルキル基である。R11がアルキル基である例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。R11は、反応性が良好である点から、水素原子またはメチル基が好ましい。また、化合物(A)または硬化後の化合物(A)が、近紫外領域または真空紫外領域光に曝露される環境下で使用される場合には、耐光性が向上することから、R11は、フッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましい。
基(W2)において、iは、0以上の整数であり、0または1が好ましく、耐光性が向上するため0が特に好ましい。
基(W3)において、jは、0以上の整数であり、0または1が好ましく、耐光性の点から0が特に好ましい。
基(W4)において、R41は、水酸基または加水分解反応により水酸基に変換される基である。水酸基に変換される基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。R41としては、水酸基またはアルコキシ基が好ましく、水酸基またはメトキシ基が特に好ましい。R42は、1価の炭化水素基である。R42としては、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。R42がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。R42がアルケニル基である場合、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル基が特に好ましい。mは、1〜3の整数であり、mが3であること、すなわち、R42が存在しないことが好ましい。mを3とすることにより、化合物(A)の反応性が良好となり、かつ反応速度を均一にできる。kは、2以上の整数であり、2〜4の整数が好ましく、2または3が特に好ましい。
基(W1)の具体例としては、CH2=CHC(O)−、CH2=C(CH3)C(O)−、CH2=CFC(O)−、CH2=C(CF3)C(O)−が挙げられる。
基(W2)の具体例としては、OCN−が挙げられる。
基(W3)の具体例としては、NC−が挙げられる。
基(W4)の具体例としては、(CH3O)3SiCH2−、(CH3CH2O)3SiCH2−、(CH3O)3SiCH2CH2CH2−、(CH3CH2O)3SiCH2CH2CH2−が挙げられる。
化合物(A)中の基(W1)〜基(W6)の数は、硬化後の硬化性材料の物性(硬度等)の観点から、合計で2〜4が好ましく、合計で3または4が特に好ましい。
化合物(A)のフッ素含有量は、40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%が特に好ましい。化合物(A)のフッ素含有量を40質量%以上とすることで、硬化後の硬化性材料がモールドに密着することなく、剥離性がさらによくなる。化合物(A)のフッ素含有量を70質量%以下とすることで、化合物(A)と硬化開始剤(B)との相溶性がよくなり、硬化が均一に進行する。本発明におけるフッ素含有量とは、化合物(A)を構成するすべての原子に占めるフッ素原子の質量割合である。
本発明の製造方法において、化合物(A)は、1種からなってもよく、2種以上からなってもよい。2種以上の化合物(A)からなる場合、硬化性基の数が異なる化合物(A)を組み合わせて用いてもよい。
(硬化開始剤(B))
化合物(A)が基(W1)を有する場合、硬化開始剤(B)を併用することが好ましい。
硬化開始剤(B)としては、光硬化開始剤、熱硬化開始剤等が挙げられる。本発明においては、得られるパターンの寸法精度がよいことから、光硬化方式による硬化が好適である。よって、硬化開始剤(B)としては、光硬化開始剤が好ましい。
光硬化開始剤は、光によりラジカル反応またはイオン反応を引き起こすものであり、ラジカル反応を引き起こす光硬化開始剤が好ましい。光硬化開始剤としては、下記の光硬化開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系の光硬化開始剤:アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系の光硬化開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系の光硬化開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ペルフルオロベンゾフェノン等。
チオキサントン系の光硬化開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
その他の光硬化開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。
フッ素原子を有する光硬化開始剤:ペルフルオロtert−ブチルペルオキシド、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等。
熱硬化開始剤としては、10時間半減温度が30〜130℃である含フッ素有機過酸化物が好ましい。10時間半減温度とは、熱硬化開始剤が熱分解し10時間で熱硬化開始剤の質量が半分となるのに必要な温度である。好ましい10時間半減温度は40〜100℃である。
含フッ素有機過酸化物としては、含フッ素ジアシルペルオキシド、含フッ素ペルオキシジカーボネート、含フッ素ペルオキシエステル、含フッ素ジアルキルペルオキシド、または含フッ素ジアリールペルオキシドが好ましい。より好ましい含フッ素有機過酸化物は、含フッ素ジアルキルペルオキシドである。含フッ素有機過酸化物の骨格構造における、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、またアラルキル基、すなわちアリール基で置換されたアルキル基でもよい。また、含フッ素有機過酸化物は、ペルフルオロ化合物であることが相溶性、熱安定性の点からより好ましく、分子中のフッ素原子の一部が水素原子、塩素原子または臭素原子に置換されていてもよい。
含フッ素ジアシルペルオキシドとしては、[C65C(O)O]2、[C65C(CH32C(O)O]2、[CF3OCF2CF2C(O)O]2、[CF3CH2C(O)O]2、[(CF32CHC(O)O]2、[(CF33CC(O)O]2等が挙げられる。ただし、C65はペルフルオロフェニル基を示す。以下も同様である。
含フッ素ペルオキシジカーボネートとしては、[(CF32CHOC(O)O]2、[CF3(CF2wCH2OC(O)O]2(w=1〜3)、[C65OC(O)O]2、[C65CH2OC(O)O]2等が挙げられる。
含フッ素ペルオキシエステルとしては、CF3CF2CH2OOC(O)C(CF33、(CF32CHOOC(O)C(CF33、(CF32CHOOC(O)CH2CF2CF3、CF3CF2CHOOC(O)CH2CF2CF3、CF3CF2CHOOC(O)C65、(CF32CHOOC(O)C65等が挙げられる。
含フッ素ジアルキルペルオキシドとしては、[CF364C(CF32O]2、[(CF33CO]2、C65C(CF32OOC(CF33等が挙げられる。ただし、C64は1,4−ペルフルオロフェニレン基を示す。
含フッ素ジアリールペルオキシドとしては、[C65O]2等が挙げられる。
硬化開始剤(B)は、化合物(A)および他の硬化性化合物(D)の合計100質量部に対して、0.05質量部以上を用いることが好ましく、0.1〜10質量部を用いることが特に好ましい。0.05質量部以上とすることにより、硬化が充分に進行し、硬化後の硬化性材料に化合物(A)が残存することがなく、10質量部以下とすることにより、硬化後の硬化性材料の分子量が充分に高くなり、得られる精密パターンの機械特性が損なわれることがない。
(他の硬化性化合物(D))
化合物(A)が基(W1)を有する場合、他の硬化性化合物(D)を併用してもよい。
他の硬化性化合物(D)は、前記化合物(A)と反応可能であるフッ素原子を含まない硬化性化合物、または前記化合物(A)以外の含フッ素硬化性化合物である。
本発明における硬化性化合物とは、重合性の不飽和基、エポキシ基等の硬化性の基を有する化合物である。硬化性化合物としては、重合性の不飽和基を有する化合物が好ましい。重合性の不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、またはメタクリロイル基が好ましい。重合性の観点から、アクリロイル基またはメタクリロイル基が特に好ましい。また、重合性の不飽和基は、フッ素原子を有していてもよい。
前者の硬化性化合物としては、下記の化合物等が挙げられる。
炭化水素系オレフィン:ノルボルネン等。
炭化水素系ジエン:ノルボルナジエン等。
炭化水素系アルケニルエーテル:シクロヘキシルメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル等。
炭化水素系ビニルエステル:酢酸ビニル、ビニルピバレート等。
(メタ)アクリル酸誘導体:(メタ)アクリル酸、芳香族系の(メタ)アクリレート[フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等。]、炭化水素系の(メタ)アクリレート[ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等。]、エーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等。]、官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等。]、シリコーン系のアクリレート等。
その他の化合物:無水マレイン酸、ビニレンカーボネート等。
ただし、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
後者の含フッ素単量体としては、下記の化合物が挙げられる。
ポリフルオロオレフィン:CH2=CX1F1(RF1は炭素数1〜8のポリフルオロアルキル基を表し、X1 は水素原子またはフッ素原子を表す。)(CH2=CFCF2CF3、CH2=CF(CF24H、CH2=CHCF2CF3、CH2=CH(CF24F等。)等。
クロロフルオロオレフィン:CF2=CFCl等。
ポリフルオロ(アルケニルエーテル):CF2=CFORF2(RF2は炭素数1〜8のエーテル性酸素原子を含有してもよいポリフルオロアルキル基を表す。)(CF2=CFO(CF23F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF23F、CF2=CFOCH2CF3等。)、CF2=CFCF2ORF3(RF3は炭素数1〜8のエーテル性酸素原子を含有してもよいポリフルオロアルキル基を表す。)(CF2=CFCF2O(CF23F等。)等。
ポリフルオロビニルエステル:CH2=CHOC(O)CF3等。
含フッ素(メタ)アクリル酸誘導体:CH2=CHCOO(CH22(CF210F、CH2=CHCOO(CH22(CF28F、CH2=CHCOO(CH22(CF26F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF210F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF28F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF26F、CH2=CHCOOCH2(CF26F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF26F、CH2=CHCOOCH2(CF27F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF27F、CH2=CHCOOCH2CF2CF2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF22H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF24H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF22H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF24H、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF26CF(CF32、CH2=CFCOOCH2CH(CH2OH)CH2(CF26CF(CF32、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF210F、CH2=CFCOOCH2CH(CH2OH)CH2(CF210F等。
下式に挙げられる含フッ素ジアクリレート。(式中、k1およびk2は、それぞれ独立に、3〜10の整数を表す。)
Figure 2006137021
下式に挙げられる含フッ素ビニル化合物。
Figure 2006137021
下式に挙げられる含フッ素環構造を有する化合物。
Figure 2006137021
他の硬化性化合物(D)と、化合物(A)との割合(質量比)は、0:100から99.5:0.5が好ましく、0:100から50:50がより好ましい。また、他の硬化性化合物(D)と、化合物(A)との割合は、硬化性材料のフッ素含有量が40〜70質量%となり、かつ、化合物(A)と他の硬化性化合物(D)とが硬化してなる硬化物の水に対する接触角が75度以上となるような割合であることが好ましい。
(光増感剤(E))
硬化開始剤(B)として光硬化開始剤を用いる場合、光増感剤(E)を併用してもよい。
光増感剤(E)としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物が挙げられる。
光増感剤(E)は、硬化開始剤(B)に対して4倍モル以下が好ましく、2倍モル以下がより好ましい。光増感剤(E)を硬化開始剤(B)に対して4倍モル以下とすることで、硬化後の硬化性材料の分子量が充分に高くなり、得られる精密パターンの機械的特性が損なわれることがない。
(溶剤(F))
硬化性材料には、必要に応じて溶剤(F)を加えてもよい。溶剤(F)を加える場合には、次の型押し工程の前に、硬化性材料を基板に塗布した後に加熱して、溶剤(F)を蒸発させる必要がある。溶剤(F)としては、硬化性材料を均一に溶解する、沸点が100℃から200℃の溶剤が好ましい。また、溶剤(F)を蒸発させるときの加熱温度は、使用する溶剤に応じて、50℃から200℃が好ましい。
溶剤(F)としては、たとえば、キシレン、酢酸ブチル等のフッ素原子を含まない有機溶剤;ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メチルペルフルオロイソプロピルエーテル、メチル(ペルフルオロヘキシルメチル)エーテル、メチルペルフルオロオクチルエーテル等の含フッ素有機溶剤が挙げられる。
また、硬化後の硬化性材料の体積収縮を抑制する、硬化後の硬化性材料のフレキシビリティーを保持する観点から、硬化性材料は化合物(A)と相溶性のある化合物をさらに含むことが好ましい。該化合物としては、分子量が1000〜100000の含フッ素オリゴマーまたはペルフルオロポリエーテルが好ましい。
含フッ素オリゴマーとしては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、およびクロロトリフルオロエチレンから選ばれる1種以上のモノマーの重合により形成される含フッ素オリゴマーが好ましい。
ペルフルオロポリエーテルとしては、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、(CF2O)単位、(CF2CF2CF2O)単位、および(CF2CF2CF2CF2O)単位から選ばれる1種以上の単位を含むペルフルオロポリエーテルが好ましい。
<型押し工程>
型押し工程においては、表面に凹凸パターン13が形成されたモールド14を、基板12上の硬化性材料11に押しつける。
モールド14を基板12上の硬化性材料11に押しつけるときのプレス圧力(ゲージ圧)は、硬化性材料11の粘度の観点から、10MPa以下でよい。
(モールド)
モールド14の材質としては、光を透過する材質、すなわち、石英ガラス、紫外線透過ガラス、サファイヤ、ダイアモンド、ポリジメチルシロキサン等のシリコン材料、フッ素樹脂、その他光を透過する樹脂材料等が挙げられる。また、基板12が光を透過する材質であれば、モールド14は光を透過しなくてもよい。光を透過しないモールド14の材質としては、シリコンウェハ、SiC基板、マイカ基板等が挙げられる。また、加熱によって硬化性材料11を硬化させる場合には、基板12およびモールド14は光を透過しなくてもよい。
モールド14表面に形成される凹凸パターン13の形状は、得ようとする転写体に応じて適宜決定される。
本発明においては、凹凸パターン13の最小寸法が、50μm以下、より小さくは500nm以下、さらに小さくは50nm以下であっても、該微細パターンを精密に硬化性材料11に転写できる。本発明における凹凸パターンの最小寸法とは、凸部の高さの最小値、凹部の深さの最小値、凸部または凹部の幅の最小値、および凸部または凹部の長さの最小値のうち、最も小さい寸法を意味する。なお、最小値の下限は特に限定されず、1nm以上が好ましい。
<硬化工程>
硬化の方法は、硬化性材料11を硬化させる方法であれば特に限定されない。硬化性材料11の硬化開始剤(B)または硬化剤(C)の種類にしたがって、熱および/または光照射により硬化性材料11を硬化させる方法が好ましい。硬化が低温(0〜60℃)で進行し反応収率が高い観点から、硬化開始剤(B)として前記光硬化開始剤を用い、光照射により硬化性材料11を硬化させる方法が特に好ましい。硬化を低温で行う場合、温度による硬化後の硬化性材料16の体積変化と硬化に伴う着色とが抑制される効果がある。
光照射の方法としては、図4に示すように、モールド14が光を透過する材質の場合、モールド14側から光を照射する方法、基板12が光を透過する材質の場合、基板12側から光を照射する方法が挙げられる。
光照射に用いる光としては、光硬化開始剤が反応する光であればよい。光硬化開始剤が容易に反応し、硬化性材料11をより低温で硬化させることができる観点から、400nm以下の波長の光(紫外線、X線、γ線等の活性エネルギー線)が好ましい。操作性の観点から、200〜400nmの波長の光が特に好ましい。
また、光照射時に、全体を加熱することにより、硬化性材料11の硬化を加速させてもよい。加熱する場合の温度範囲は、300℃以下が好ましく、0〜60℃がより好ましく、25〜50℃が特に好ましい。該温度範囲において、硬化後の硬化性材料16に形成されるパターン形状の精度が高く保持される。また、光照射を行わずに、加熱のみで硬化性材料11を硬化させてもよい。
<離型工程>
硬化工程後、25℃付近で、または硬化工程で加熱した場合は25℃付近まで冷却して、モールド14を硬化後の硬化性材料16から分離することにより、モールド14の凹凸パターン13に対応した、硬化後の硬化性材料16からなる精密な凹凸パターン15が基板12表面に形成された転写体が得られる。
<他の形成方法>
本発明の転写体の製造方法は、硬化性材料がモールドのパターン面と基板との間に挟持される方法であれば特に限定されず、モールド14と硬化性材料11とを接触させ、モールド14の凹凸パターン13を硬化性材料11に転写できる方法であればよい。
他の製造方法としては、たとえば、基板12と、表面に凹凸パターン13が形成されたモールド14とを、凹凸パターン13が基板12側になるように接近または接触させる工程と、硬化性材料11を、基板12とモールド14との間に、毛細管現象、吸引等により充填する工程と、基板12とモールド14とが接近または接触した状態で硬化性材料11に光を照射して硬化性材料11を硬化させる工程と、硬化後の硬化性材料16からモールド14を分離する工程とを有する方法が挙げられる。
また、他の製造方法としては、硬化性材料11を、表面に凹凸パターン13が形成されたモールド14の凹凸パターン13上に流し込み等により塗布する工程と、基板12をモールド14上の硬化性材料11に押しつける工程と、基板12を硬化性材料11に押しつけた状態で硬化性材料11に光を照射して硬化性材料11を硬化させる工程と、硬化後の硬化性材料16からモールド14を分離する工程とを有する方法が挙げられる。
本発明の転写体の製造方法によれば、硬化性材料11が、化合物(A)を含有しているため、硬化後の硬化性材料11自体の剥離性がよく、モールド14に離型剤を塗布する必要がない。そのため、モールド14の凹凸パターン13を硬化性材料11に精密に転写できる。また、モールド14に離型剤を塗布する必要がないため、連続して凹凸パターン13を転写でき、転写体を生産性よく製造できる。さらに、モールド14に離型剤を塗布する手間が省けるため、転写体の生産性がさらによくなる。さらに、離型剤によるパターンの汚染がない。
また、硬化性材料11が、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体を形成しうる化合物を含有する場合、硬化後の硬化性材料16に、透明性等に優れる、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体が含まれる。そのため、光学的特性に優れる転写体を得ることができる。また、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体は、弾性率、降伏伸度、弾性伸度が大きいため、耐衝撃性に優れる転写体を得ることができる。
<転写体>
本発明における転写体は、本発明の転写体の製造方法によって、凹凸パターン15が形成された硬化後の硬化性材料16が転写された物品である。硬化後の硬化性材料16は、耐熱性、耐薬品性、剥離性、光学特性(透明性や低屈折率性)等の物性に優れうる。
本発明における転写体は、マイクロレンズアレイ、光導波路、光スイッチング、フレネルゾーンプレート、バイナリー光学素子、ブレーズ光学素子、フォトニクス結晶等の光学素子;AR(Anti Reflection)コート部材、バイオチップ、μ−TAS(Micro−Total Analysis Systems)用のチップ、マイクロリアクターチップ、記録メディア、ディスプレイ材料、触媒の担持体、フィルター、センサー部材等として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例にのみに限定されない。
実施例において、下式(1)で表される化合物を化合物(1)と、下式(2)で表される化合物を化合物(2)と、下式(m1)で表される化合物を化合物(m1)と、下式(m2)で表される化合物を化合物(m2)と、記す。ただし、aの平均値は4.1であり、bの平均値は7.0である。
Figure 2006137021
[例1]転写体の製造例(その1)
紫外光をカットしたクリーンルーム内にて、化合物(1)の0.03g、化合物(m1)の0.03g、および化合物(m2)の0.42gをバイヤル容器(内容積6mL)内で混合し、さらに開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:イルガキュア 651)の0.02gを加えて混合してなる硬化性材料(1)を、キャスト法を用いてシリコンウェハ上に製膜(膜厚200μm)する。
つぎに幅400nm、深さ100nm、長さ5mmの溝が刻まれた図5に示す石英モールドをシリコンウェハ上の硬化性材料(1)側から押し付ける。石英モールドとシリコンウェハを25℃にて、2MPaの圧力にてプレスしてから石英モールド越しに紫外線を30秒間、照射する。
つづいて石英モールドをシリコンウェハからゆっくりと分離させると、石英モールドのパターンが転写される、硬化後の硬化性材料(1)を具備するシリコンウェハを得る。分離における剥離性(ただし剥離性は、密着して剥離しない場合を×と、超音波などの操作で剥離可能な場合を△と、剥離できる場合を○と、表記する。以下同じ。)、紫外線の照射量、および硬化後の硬化性材料(1)に形成されるパターン形状を表1に示す。
[例2]転写体の製造例(その2)
化合物(1)の0.11g、化合物(3)の0.05g、化合物(m1)の0.05gをバイヤル容器(内容積6mL)内で混合し、さらに開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:イルガキュア 651)の0.04gを加えて混合してなる硬化性材料(2)を硬化性材料(1)の代わりに用いる以外は、例1と同様の方法を行って、石英モールドのパターンが転写される、硬化後の硬化性材料(2)を具備するシリコンウェハを得る。分離における剥離性、紫外線の照射量、および硬化後の硬化性材料(2)に形成されるパターン形状を表1に示す。
[例3]転写体の製造例(その3)
化合物(1)の0.09g、化合物(3)の0.04g、化合物(m2)の0.33gをバイヤル容器(内容積6mL)内で混合し、さらに開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:イルガキュア 651)の0.04gを加えて混合してなる硬化性材料(3)を硬化性材料(1)の代わりに用いる以外は、例1と同様の方法を行って、石英モールドのパターンが転写される、硬化後の硬化性材料(3)を具備するシリコンウェハを得る。分離における剥離性、紫外線の照射量、および硬化後の硬化性材料(3)に形成されるパターン形状を表1に示す。
[例4(比較例)]転写体の製造例(その4)
ヘキサンジオールジアクリレートの0.07gおよびペンタエリスリトールトリアクリレートの0.03gをバイヤル容器内で混合し、さらに開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:イルガキュア 651)の0.005gを加えて混合してなる硬化性材料を硬化性材料(1)の代わりに用いる以外は、例1と同様の方法を用いて操作を行うが硬化後の硬化性材料を石英モールドから剥離できない。
Figure 2006137021
本発明の転写体の製造方法は、光学素子(マイクロレンズアレイ、光導波路、光スイッチング、フレネルゾーンプレート、バイナリー光学素子、ブレーズ光学素子、フォトニクス結晶等)、ARコート部材、バイオチップ、μ−TAS用チップ、マイクロリアクターチップ、記録メディア、ディスプレイ材料、触媒の担持体、フィルター、センサー部材等の製造方法;半導体装置の製造プロセスにおける微細加工方法に利用できる。
硬化性材料を基板上に塗布した様子を示す概略断面図である。 モールドを基板上の硬化性材料に押しつけた様子を示す概略断面図である。 硬化後の硬化性材料からモールドを分離した様子を示す概略断面図である。 モールドを硬化性材料に押しつけた状態で硬化性材料に光を照射する様子を示す概略断面図である。 実施例にて使用された石英モールドを示す斜視図である。
符号の説明
11 硬化性材料
12 基板
13 凹凸パターン
14 モールド
16 硬化後の硬化性材料

Claims (4)

  1. モールドのパターンが転写された転写体の製造方法であって、
    ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と硬化性基とを有する化合物(A)を含む硬化性材料を、最小寸法が50μm以下のパターンが表面に形成されたモールドと接触した状態で硬化させ、つぎに硬化後の硬化性材料をモールドから分離することを特徴とする転写体の製造方法。
  2. 前記化合物(A)が、(CF2CF2O)単位からなるペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖を有する請求項1に記載の転写体の製造方法。
  3. 前記化合物(A)が、2〜4個の硬化性基を有する請求項1または2に記載の転写体の製造方法。
  4. 前記硬化性材料が、光硬化開始剤を含む請求項1ないし3のいずれか一項に記載の転写体の製造方法。
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