JP2007319772A - 藻類破砕装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】藻類を含む水を水撃ポンプ2に送り、その水撃ポンプ2によって上記藻類に0.4MPa以上の水撃圧を加える。
【選択図】 図1
Description
さらに、海水で藻類が異常増殖して海水が変色する赤潮などと呼ばれる現象も、上記アオコと同様な現象である。
(1)最も単純な方法として行われているのが、水と共に回収した藻類を水と分離した後に脱水して処分する脱水ケーキと呼ばれる処理方法である。この処理方法では、処理後の藻類が毒性を含む可能性もあることから産業廃棄物として扱われているので処分には何らかの処理が必要であるが、十分な処理法が確立していない。このため処分できず採取した貯水池内の土中にそのまま埋めているのが現状であって、合理的な方法とは言えないし処理用地も限られている。
ここで、湖などからアオコなどを構成する藻類を回収する方法としては、例えば、水面に桶を浮かべて自然流入した表面水をポンプで吸引するといった方法が有る。しかし、吸引に際して空気を吸い込みポンプが空転するなどの問題があり、積極的に藻類を回収する装置とはなっていない等の問題が残されている。なお、アオコは、水面から所定の深さの間に集中して存在するために、単にホースの端を池などに突っ込んで吸引すれば良いと言うものではない。
特許文献1に記載の方法は、加熱しかつせん断によって細胞壁を破砕しようとするものである。また、特許文献2に記載の方法は、剛性球体を収容した容器内で攪拌羽根によって攪拌することで細胞膜を破砕しようとするものである。
また、特許文献2の方法では、アオコを構成する藻類の破砕としては不十分である。「高圧作用状態から低圧作用状態への瞬時に移行させる」と記載されているが、この技術程度の圧力の移行では、遅すぎて藻類を十分に破砕出来ない。また、処理に155秒と時間が掛かる。また、引用例1と同様に、剛性球体と共に攪拌して破砕しようとしているため、破砕のためのランニングコストが掛かる。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、短時間でかつ確実にアオコなどの原因となっている藻類を破砕することが可能な藻類破砕装置を提供することを課題としている。
次に、請求項2に記載した発明は、藻類を含む水を水撃ポンプに送り、その水撃ポンプによって上記藻類に0.4MPa以上の水撃圧を加えることを特徴とする藻類破砕装置を提供するものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、藻類が発生している水域である藻類発生場所から水と一緒に浮遊している藻類を回収する回収装置と、その回収装置が回収した藻類を含む水を上記水撃ポンプに供給する導水路と、を有することを特徴とするものである。
上記導水路が上記貯水部に接続されることを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した構成に対し、上記藻類発生場所の水面に沿ってフロータを移動させる移動手段を備えることを特徴とするものである。
次に、請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した構成に対し、上記バイパス路は途中で更に複数の分岐支管に分かれ、その複数の分岐支管のうち少なくとも2本の分岐支管の他端開口部の向きを互いに離し且つ同一方向に配置したことを特徴とするものである。
図1は、本実施形態に係る藻類破砕装置の概要構成図である。
(構成)
本実施形態の藻類破砕装置は、図1に示すように、回収装置1と、破砕装置の本体である水撃ポンプ2とから構成される。
上記回収装置1は、貯水池等の藻類発生場所の水面に浮遊する回収装置本体1Aと、浮遊している藻類を水と共に吸い込み搬送する吸引管3と、吸引管3の他端部に接続されて藻類を含む水が供給される電動ポンプや油圧ポンプなどからなる回収用ポンプ4と、貯水部を構成する供給タンク21と、を備える。
上記スリット7の形成位置は、水面から20cmまでの水深の範囲にいずれかに位置するように設定されている。発明者らが確認したところ、異常繁殖したアオコはほぼ、水面〜水深15cmの間に層をなすように浮遊している。
ここで、上記フロータ5は、不図示の移動手段で浮遊位置を変更可能となっている。移動手段は、例えばスクリュー及びそのスクリューを回転させるモータなどから構成する。他の好適な移動手段については後述の第2実施形態で説明する。また、別途、ボートなどで回収装置本体1Aを引っ張ってアオコ発生部に配置しても良い。
上記回収用ポンプ4の吐出ポートは、吐出管20を介して供給タンク21に接続され、その供給タンク21に導水管8の一端部が接続され、その導水管8の他端部が水撃ポンプ2の吸引口に接続されている。図2に、水撃ポンプ2の模式図を示す。図2中、符号2aは弁室、符号2bは排水弁、符号2cは揚水弁、符号2dはタンクである。なお、符号2eは圧力計を符号2fは水位計をそれぞれ示しているが、これらは確認のために設けて有るだけで、無くても構わない。
ここで、本実施形態の水撃ポンプ2で水撃圧が0.4MPa以上に設計されている。
なお、水撃ポンプ2の弁室2aに対し3mの高さだけ高い位置に上記供給タンク21を設定すれば、その水のエネルギーだけで0.7MPa以上の水撃圧が発生したことを確認している。
次に、本実施形態の藻類破砕装置の作用効果について説明する。
まず、貯水池などにおける水面上で、アオコが異常繁殖している位置まで回収装置本体1Aを移動させる。場合によっては、その位置に一時的に係留させる。このとき、空洞体6内には、スリット7から水が入り込む。場合によっては、スリット7にシャッタを設けてアオコの発生している位置でのみ開けるようにしても良い。
次に、上記状態で回収用ポンプ4を駆動すると、アオコを含む水がスリット7から空洞体6内に入り込み、続いて、その空洞体6内のアオコを含む水が、吸引管3を介して回収用ポンプ4に吸引されて供給タンク21に貯水され、その供給タンク21から導水管8側に送られる。
そして、排水弁2bが閉じるときの水撃作用によって、弁室2a及びその弁室2aに連通する導水管8内に0.4MPa以上の瞬間的な水撃圧が負荷されて弁室2a内及び導水管8内の水に含まれる藻類の細胞が破裂する。なお、タンク2d内の圧力は、揚水管を閉じた状態では、水撃タポンプ2aの作動によって徐々に圧が上昇して行く。
このように、細胞破砕に、自然エネルギーのみで作動する水撃ポンプ2を使用することで、エネルギーコストが回収用ポンプ4の駆動のみとなり、また瞬間的に高圧となる水撃圧を所定サイクルで連続的に付与することで、確実に藻類の細胞を破砕して死滅させることが出来る。
また、藻類の回収については回収層の集水口を水面下に設けたことでポンプによって藻類の存在する水深部分の水を選択的にしかも積極的に回収することができることで藻類の回収能力を飛躍的に向上させることができること、また回収装置本体を自走式にしたことで水域を移動できることから藻類の存在水域への移動が容易で短時間に藻類の回収が可能となり作業の短縮化が図られ極めて経済的な装置といえる。
なお、上記水撃圧は、弁室2aだけでなく、それに連通する導水管8内の水に対しても作用するため、実質的には、同じ藻類に対して排水されるまでに複数回水撃圧が掛かることとなる。もっとも1回の水撃圧であっても0.4MPa以上の圧力とすることで確実に破裂させることが出来る。複数回作用することを鑑みると、後述する破砕限界の圧力である、0.3MPaを越える圧力かつ0.4MPa未満の圧力に設定しても良いが、確実に破砕するという観点では0.4MPa以上とすることが好ましい。
従って、例えば図3のように、回収装置1を使用することなく、対象とする貯水池から水を適宜導入できる貯水槽11を配置し、その貯水槽11よりも例えば3m下となるように水撃ポンプ2に配置して、藻類を含む水を水撃ポンプ2に送って藻類の細胞を連続的に破砕させるようにしても良い。この場合には、不図示の網などを使用して、適宜、水面に浮遊しているアオコを貯水槽11側に集めるようにすると良い。
(1)加圧実験
アオコを含む水をタンク2dに収容して、加圧時間を1secとして各種の圧力で加圧した後に24時間放置してアオコの破砕沈降の状況を実験してみた。アオコを構成する藻類のガス胞が破砕することで沈降すると考えられる。また、細胞破裂でない藻類は24時間の放置の間に再浮上するものと考えられる。
図4に、加える圧力と沈降率との関係をグラフ化したものを示す。
この図4から分かるように、0.3MPaを越える圧力になると沈降が発生し、0.4MPa以上ではほぼ100%以上破砕できることが分かる。すなわち、0.3〜0.4MPaが破砕限界の圧力である。
加圧する圧力を0.3MPaと0.4MPaの二種類として、それぞれ圧力載荷時間を5秒、10秒、15秒、60秒、及び600秒とし、24時間放置後の沈降状態を確認した。圧力が0.3PMaでは、載荷時間に関係無くどれも沈降をほとんど確認できなかったが、圧力が0.4MPaでは、載荷時間に関係なく、ほぼ100%の沈降を確認した。
なお、水撃作用では、短時間(0.1秒以下)かつ急激な高圧が作用して、より確実に破砕できていることを確認している。これは水撃ポンプ2から排出された水で破砕沈降の確認をしたものである。なお、水撃圧では急激に高圧を負荷するので、0.4MPaよりも小さな圧力でも確実に沈降させる可能性はある。
アオコの濃度が10%の場合と50%の場合について、上記(1)の加圧実験を行った。その結果は、圧力が0.4MPaで有れば、濃度に関係なくほぼ100%の破砕沈降率となっていた。すなわち、濃度が違っても沈降する圧力は変化しない。
以上の実験内容から、アオコの濃度に関係なく確実に水に含まれる藻類の細胞をほぼ100%の割合で破砕できることが分かる。
次に、上記回収装置本体1Aつまりフロータ5の移動装置の例を説明する。なお上記第1実施形態と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。
なお、本実施形態の藻類破砕装置の基本構成は、上記実施形態と同様である。
ただし、図5に示すように、上記回収用ポンプ4に接続する吐出管20から、送水管を構成するバイパス管10が分岐している。なお、吐出管20におけるバイパス管10の分岐位置より下流側に開閉弁13が介装されている。また、バイパス管10にも破砕処理時は閉じている開閉弁14が介装されている。
バイパス管10は、図6及び図7のように、上記吸引管3に沿って上記フロータ5の近くまで延び、さらにいったんフロータ5の上面(水面より上方)に来た後に再度水面下に延びている。そのバイパス管10の他端部の開口の軸は、水平方向の成分を持つように配置されている。本実施形態では、当該他端部の開口の軸ができるだけ水平方向となるように配置されている。
上記構成の移動手段は、現在のフロータ5の周りにアオコが少なくなったりいなくなったりしたら、上記弁13を閉じた状態で回収用ポンプ4を駆動する。すると、空洞体6及び吸引管3を介して吸引された水が上記バイパス管10に送られ、当該バイパス管10の他端部11aから噴き出される。この水の噴射によってフロータ5、つまり回収装置本体1Aは移動する。
ここで、上記バイパス管10に水を送る場合には、フロータ5の回りにはほとんどアオコが無い状態であるので、アオコによるつまりを心配する必要はない。
また、上記実施形態では、アオコを例として説明しているが、赤潮などの原因となる藻類を対象としても良い。
2 水撃ポンプ
3 吸引管
4 回収用ポンプ
5 フロータ
6 空洞体
7 スリット(集水口)
10 バイパス管
11 分岐支管
20 吐出管
21 供給タンク(貯水部)
Claims (7)
- 藻類を含む水に対して、0.4MPa以上の水撃圧を作用させることで上記藻類の破砕を行うことを特徴とする藻類破砕装置。
- 藻類を含む水を水撃ポンプに送り、その水撃ポンプによって上記藻類に0.4MPa以上の水撃圧を加えることを特徴とする藻類破砕装置。
- 藻類が発生している水域である藻類発生場所から水と一緒に浮遊している藻類を回収する回収装置と、その回収装置が回収した藻類を含む水を上記水撃ポンプに供給する導水路と、を有することを特徴とする請求項2に記載した藻類破砕装置。
- 上記回収装置は、上記藻類発生場所に浮遊するフロータと、集水口が、上記フロータに支持されると共に水面下に配置される吸引経路と、吸引口が上記吸引経路に接続される回収用ポンプと、回収用ポンプから吐出される水を受ける貯水部と、備え、
上記導水路が上記貯水部に接続されることを特徴とする請求項3に記載した藻類破砕装置。 - 上記藻類発生場所の水面に沿ってフロータを移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項4に記載した藻類破砕装置。
- 上記移動手段は、上記吸引経路から分岐、若しくは上記回収用ポンプの吐出側に接続する管路から分岐するバイパス管と、そのバイパス管の流路の開閉を行う弁とを備え、そのバイパス路の他端部側は、上記フロータに支持されると共に、その他端部開口部が水中に配置されることを特徴とする請求項5に記載した藻類破砕装置。
- 上記バイパス路は途中で更に複数の分岐支管に分かれ、その複数の分岐支管のうち少なくとも2本の分岐支管の他端開口部の向きを互いに離し且つ同一方向に配置したことを特徴とする請求項6に記載した藻類破砕装置。
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