JPH08281013A - 浮遊生物類の分離方法 - Google Patents

浮遊生物類の分離方法

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JPH08281013A
JPH08281013A JP9087495A JP9087495A JPH08281013A JP H08281013 A JPH08281013 A JP H08281013A JP 9087495 A JP9087495 A JP 9087495A JP 9087495 A JP9087495 A JP 9087495A JP H08281013 A JPH08281013 A JP H08281013A
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JP
Japan
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water
organisms
bloom
pressure
floating
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JP9087495A
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English (en)
Inventor
Yoshichika Takamura
義親 高村
Hiroshi Ebata
博 江端
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アオコなどの浮遊生物類を効率よく固液分離
することができる方法を提供する。 【構成】 中継槽12に貯留されたアオコを含む水を、
加圧装置13によって、短時間、加圧処理する。この加
圧処理によって、アオコはガス胞が破壊れて密度が大き
くなるので、沈降可能な状態になる。この加圧した水を
デカンター20へ送って沈降分離し、アオコの脱水物を
回収する。分離液は放流する。 【効果】 アオコの脱水物を回収する処理に、分離効率
がよく、かつ清澄な分離液が得られる遠心沈降分離機を
用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、富栄養化による水質の
悪化によって、湖沼に発生するアオコと呼ばれる藍藻類
などの植物プランクトン類(以下、浮遊生物類と言う)
を分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】湖沼においては、その水が富栄養化され
ると、浮遊生物類の一種であり、いわゆるアオコと呼ば
れる藻類が大量発生する。このアオコは水道水のかび
臭、魚類のへい死、悪臭の発散などの原因となるもので
あるので、その発生に対処し、種々の対策が検討されて
いる。そして、その一つとして、湖面に浮遊しているア
オコを直接採取して除去する作業が行われている。
【0003】アオコを除去し、これを回収する従来の技
術としては、例えば、次に示すものがある(資源環境対
策,Vol.28 No.15 p.39 〜45(1992) )。この技術にお
けるアオコの分離は、浮上処理してアオコを濃縮し、こ
の濃縮されたアオコ含有水を圧搾処理して脱水する方法
によって行われる。
【0004】図5はその方法の説明図で、本発明者がそ
の要部だけを抜き書きした図である。この技術において
は、湖面に浮かべた採取器を有する原水ポンプ60によ
り、アオコを湖水とともに吸引して汲み上げ、この汲み
上げた湖水に凝集剤61を添加して浮上槽62へ送る。
次に、空気を溶解させた加圧水63を浮上槽62内へ吹
き込んでアオコを浮上させ、アオコ分を濃縮させる。そ
して、この濃縮されたアオコを含む水をベルトプレス6
4へ送り、圧搾して固液分離し、脱水する。分離された
濾液は浮上槽62へ戻して再処理する。
【0005】ベルトプレス64で脱水されたアオコはス
クレーパによって掻き取られ、別途処理される。アオコ
を掻き取った後、濾過器65で濾過された水で濾布を洗
浄する。この濾布洗浄排水は、上記濾液と同様に、浮上
槽62へ戻して再処理する。なお、アオコを脱水する際
には、圧搾されるアオコが微細なものであるので、ベル
トプレス64に使用する濾布は極細繊維によって形成さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術によ
るアオコの分離法は、アオコを濃縮する浮上処理と、そ
の濃縮物を脱水する圧搾処理よりなり、一見、極めて簡
素化され、効率がよい方法のように思われるが、アオコ
を固液分離して脱水する圧搾処理には、次のような問題
がある。
【0007】アオコを含む水を圧搾によって固液分離す
ると、アオコが非常に微細なものであるため、アオコが
濾布を通過して濾液中に漏れる。このため、ベルトプレ
ス64から排出する濾液は清浄な状態では排出されず、
アオコの回収率が低下する。上記従来技術においては、
アオコが懸濁している濾液を処理するために、上記濾液
を浮上槽62へ戻し、湖水から汲み上げた水とともに再
処理している。これによって、浮上槽62における処理
液量が増加し、アオコを濃縮するための前処理である浮
上処理工程の効率が低下する。このように、アオコの回
収率を低下させないようにすると、浮上槽62を大型化
しなければならないと言う不利益がもたらされる。
【0008】また、アオコは非常に微細で、かつ粘稠性
を有するものであるので、アオコを含む水を濾布を用い
る方法によって固液分離する場合、他の物質を処理する
場合に比べて、濾布が目詰まりし易くなることは避けら
れないが、特に、圧搾による固液分離を行う場合には、
濾布の目詰まりが激しくなる。このため、従来技術にお
いては、ベルトプレス64の濾布の目詰まりを解消する
ために、常時、多量の水を供給し、強力な洗浄を行わな
ければならない。この際、濾布洗浄した排水中には濾布
に付着していたアオコが混入しており、この排水を放流
してしまうと、アオコの回収率が低下するので、この濾
布洗浄排水を浮上槽62へ戻して再処理することが望ま
しいが、その排水発生量が多量であるため、浮上槽62
における処理液量が増加する。これにより、アオコを濃
縮するための浮上処理工程の効率はさらに低下する。
【0009】なお、アオコの漏れを少なくしようとし
て、圧搾圧力を下げると、アオコの脱水率が低下して、
その取扱量が増加するとともに、これを別途処分する
際、あるいは肥料や飼料などの原料として利用する際に
種々の不利益が生ずると言う問題が派生する。
【0010】本発明は、上述の問題点を解決するために
なされたもので、アオコなどの浮遊生物類を効率よく固
液分離することができる方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明においては、浮遊生物類を含む水
を加圧処理し、この加圧処理した水を遠心沈降分離機へ
導入して固液分離し、浮遊生物類を分離する。
【0012】請求項2の発明においては、浮遊生物類を
含む水を加圧処理し、この加圧処理した水に凝集剤を添
加して浮遊生物類を凝集させ、この浮遊生物類の凝集物
を含む水を遠心沈降分離機へ導入して固液分離し、浮遊
生物類を分離する。
【0013】請求項3の発明においては、浮遊生物類を
含む水を加圧処理し、この加圧処理した水に凝集剤を加
えて浮遊生物類を凝集させ、この浮遊生物類の凝集物を
含む水を重力沈降させて濃縮し、この浮遊生物類を含む
スラリーを遠心沈降分離機へ導入して固液分離し、浮遊
生物類を分離する。
【0014】請求項4の発明においては、浮遊生物類を
含む水に凝集剤を加えて浮遊生物類を凝集させ、この浮
遊生物類の凝集物を含む水を重力濾過機で濾過して濃縮
し、この浮遊生物類を含むスラリーを加圧処理し、この
加圧処理したスラリーを遠心沈降分離機へ導入して固液
分離し、浮遊生物類を分離する。
【0015】上記請求項1〜4の発明においては、加圧
処理する際の圧力を0.2MPa〜1MPaにする。
【0016】
【作用】本発明においては、浮遊生物類を含む水を固液
分離して脱水する処理を遠心沈降法によって行う。遠心
沈降法による固液分離は、圧搾などの操作と異なり、濾
布などの材料を介して行われるものではないので、ベル
トプレスやフィルタープレスなどを使用した際に起こる
濾布に係わる問題、すなわち、濾布の目詰まりや清澄な
濾液が得られないと言う問題は発生しない。ただし、沈
降法によって固液分離を行おうとする場合、含有する固
形分が水よりも大きい密度を有するものでなければなら
ない。しかし、本来、アオコなどの浮遊生物類は、水中
に浮遊したり、水面付近に浮上するものであって、その
密度が水より小さいので、沈降法によって分離すること
ができないものである。
【0017】そこで、本発明者らは、浮遊生物類を沈降
するような性状にするための検討を行った結果、加圧処
理すればよいことを見出した。浮遊生物類の多くはガス
胞を有しており、このガス胞の存在によってその密度が
小さくなっている。このため、このガス胞を破壊し、内
部のガスを放出させてしまえば、浮遊生物類はその密度
が大きくなり、沈降可能な状態になる。
【0018】浮遊生物類のガス胞を破壊することができ
る加圧処理の圧力は約0.2MPa以上である。しか
し、あまり圧力を高くすると、耐圧力の大きい容器や高
圧用の圧力発生源を用いなくてはならないので、処理圧
力の上限は1MPa以下程度にするのが適当である。
【0019】上述のように、加圧処理をすることによっ
て、浮遊生物類は沈降可能な状態になるが、この状態の
浮遊生物類は沈降速度が小さいので、これを効率よく沈
降分離するためには、凝集剤を添加して浮遊生物類を凝
集させ、沈降速度を大きくすることが望ましい。
【0020】また、浮遊生物類を遠心沈降によって分離
する場合、その濃度ができるだけ高い方が遠心沈降分離
機を効率的に活用することができるので、浮遊生物類の
遠心沈降分離に際しては、事前に濃縮処理をしておくこ
とが望ましい。
【0021】浮遊生物類を含む水の加圧処理は濃縮した
後に行ってもよいし、濃縮前の原水の段階で行ってもよ
い。浮遊生物類を含む水の濃縮を加圧前に行う場合に
は、その濃縮方法は重力濾過によるのがよい。重力濾過
においては、濾布を用いるが、この場合の濾布の役割
は、単に、重力の作用によって落下する水を通過させる
だけであるので、圧搾による場合のように、濾布の織り
目の中に浮遊生物類が食い込むような濾布の目詰まりは
起こらない。このため、重力濾過においては、強力な濾
布洗浄を行う必要がない。
【0022】また、浮遊生物類を含む水の濃縮を加圧後
に行う場合には、浮遊生物類が沈降する状態になってい
るので、その濃縮方法は重力沈降によるのがよい。重力
沈降による処理は、その操作に人手を要することなく、
また、極めて安定した状態で継続することができる。
【0023】
【実施例】まず、本発明に係る基礎実験の結果について
説明する。
【0024】(実験A)アオコ含有水を加圧処理した場
合と、加圧処理しない場合について実験を行い、加圧処
理の効果を調べた。実施条件は表1の通りにした。そし
て、実験は次の順序で実施した。
【0025】まず、加圧処理をしたNo. 1 の場合には、 アオコを含有する原水に水道水を加えてアオコの濃度
を調整し、 このアオコ含有水を加圧器へ導入して加圧処理した。 この加圧処理した水を遠心沈降分離機へ導入し、アオ
コ分を分離した。
【0026】また、加圧処理をしなかったNo. 2 の場合
には、アオコ濃度を調整した水を、加圧処理しないで、
遠心沈降分離機へ導入し、アオコを分離する処理をし
た。
【0027】また、加圧処理をしたNo. 3 〜5 の場合に
は、 アオコを含有する原水に水を加えて3種類の濃度のア
オコ含有水に調整し、 このアオコ含有水のそれぞれに、アオコに対し20%
の凝集剤を添加し、アオコ分を凝集させた。 このアオコ分の凝集物を含む水を加圧器へ導入して加
圧処理した。 この加圧処理した水を遠心沈降分離機へ導入し、アオ
コ分を分離した。
【0028】そして、加圧処理をしなかったNo. 6 〜8
の場合には、上記の加圧処理をしたNo. 3 〜5 の実験を
行った際に一緒に濃度調整した3種類の濃度のアオコ含
有水に凝集剤を加えた後、加圧処理せずに、遠心沈降分
離機へ導入し、アオコ分を分離する処理をした。
【0029】この実験において、加圧器はガラス製の加
圧容器を窒素ガスで加圧する構造のものを用いた。ま
た、遠心沈降分離機は、遠心加速度が2000Gで、遠
心管の大きさが、直径38mm、深さ120mmであるもの
を用いた。凝集剤としては、硫酸バンドを主成分とする
無機系凝集剤を使用した。
【0030】なお、上記の実験に供したアオコ含有原水
はK湖から採取した。アオコの種類の同定は顕微鏡観察
によって行った。この顕微鏡観察の結果によれば、含ま
れていたアオコの種類は、単細胞性のミクロキスティス
および糸状性のアナベナが主体であった。
【0031】実験Aの結果は表1に示す。この表1およ
び後に説明する表2〜表3において、分離性の欄に○が
付されている場合には、遠心沈降後の処理物がアオコ分
の層と水の層とに明確に分離され、水の層がほぼ透明の
状態にっている場合を表している。また、△が付されて
いる場合には、アオコ分が遠心管の底部または上部に分
離されて存在しているものの、水の層は透明ではなく、
未だ、アオコ分が懸濁している状態を表している。ま
た、×が付されている場合には、多量のアオコ分が懸濁
しており、水の層の透明度が非常に悪い状態を表してい
る。そして、アオコ分の位置の欄に「底」と記されてい
る場合には、図7(a)に示すように、アオコ分の層7
1が遠心管70の底部(遠心加速度が最も大きい位置)
に形成されている状態を示しており、「上部」と記され
ている場合には、図7(b)に示すように、アオコ分の
層71が遠心管70の上部(遠心加速度が最も小さい位
置)に形成されている状態を示している。図中、72は
水の層を示す。
【0032】表1に記載のように、加圧処理をしたNo.
1 では、アオコ分が遠心管の底部に沈降した。これに対
し、加圧処理をしなかったNo. 2 では、アオコが沈降せ
ず、その層は遠心管の上部に形成された。従って、No.
2 の条件では、遠心沈降によるアオコの分離回収は不可
能であることが確認された。なお、No. 1 の場合、遠心
加速度を2000Gにして沈降処理した今回の実験条件
においては、分離性にやや難があり、遠心管上部の液が
透明ではなかったが、アオコ分の大部分は遠心管の底部
に沈降してしていた。従って、このNo. 1 の実験条件は
アオコの沈降分離が可能な処理条件の範囲であるものと
判定された。
【0033】また、凝集剤を添加した後に加圧処理をし
たNo. 3 〜5 では、何れの場合にも、遠心管上部の水が
透明であり、アオコ分の層と水の層が明確に分離されて
いた。しかし、凝集剤を添加しただけで、加圧処理をし
なかったNo. 6 〜8 においては、分離性がよく、アオコ
分の層が形成されたが、このアオコ分の層は遠心管の上
部に形成されており、アオコの分離を遠心沈降によって
行うことができないことを示している。
【0034】上記のように、加圧処理をした場合には、
アオコ分の層が遠心管の底部に形成され、アオコの密度
が水よりも大きくなっていることを示している。このア
オコの密度の変化は、遠心沈降させる前の加圧処理によ
って、アオコのガス胞が破壊されたために起こったもの
であることは明らかである。
【0035】
【表1】
【0036】(実験B)加圧力とアオコの沈降性との関
係を調べた。実験は次に記す順序で行った。
【0037】実験Aに供したものと同じ原水に水道水
を加えてアオコ濃度10000ppmに調整した後、アオ
コに対し50%の凝集剤を添加してアオコを凝集させ、 このアオコの凝集物を含む水を濾布で濾し分けて濃縮
した。濃縮後のアオコ濃度は50000ppm であった。 このアオコの凝集物を含むスラリーを加圧器へ導入し
て加圧処理し、 この加圧処理したスラリーを遠心沈降分離機へ導入
し、アオコ分を分離した。
【0038】この際の実施条件は表2に示すように、加
圧器の圧力を、No. 1 の実験では1MP、No. 2 の実験
では0.4MPにした。なお、アオコを濃縮した際に
は、ガーゼ3枚を重ね合わせたものを濾布として用い
た。
【0039】実験Bの結果は表2に示す。この2つの実
験の何れにおいても、実験AのNo.3 〜5 の結果と同様
に、分離性は良好で、かつアオコ分の層が遠心管の底部
に形成されており、加圧力による沈降性の差異は殆ど認
められなかった。
【0040】
【表2】
【0041】(実験C)アオコの種類と加圧処理後の沈
降性の関係を調べた。この実験に際しては、ミクロキス
ティスとオシラトリアを主体とするA湖の水を新たに入
手し、実験Aに供したミクロキスティスとアナベナを主
体とするK湖の水とともに用いた。A湖のアオコ含有水
のアオコ濃度は約2000ppmであった。
【0042】上記A湖の水とK湖の水に、水道水を加え
てアオコ濃度を2000ppmに調整した後、この濃度
調整した二種類の水を100mlずつそれぞれ2個の容
器に採取した。次いで、加圧器によって、容器に採取し
た水の一方を0.4MP、他方を0.2MPで各1分間
加圧処理した後、試験管に移し、1時間静置してアオコ
を沈降させた。そして、沈降物を顕微鏡観察し、沈降し
ているアオコの種類を判定した。表3に本実験の条件と
その結果を示す。
【0043】表3で明らかなように、加圧処理の圧力が
0.4MPの場合、何れの種類のアオコも沈降したが、
圧力が0.2MPの場合には、アナベナとオシラトリア
は沈降したが、ミクロキスティスの沈降は不充分であっ
た。このように、アオコを沈降させるための加圧処理条
件は、アオコの種類によって異なることが分かった。
【0044】
【表3】
【0045】(実験D)加圧時間と加圧後におけるアオ
コの沈降性の関係を調べた。この実験においては、加圧
時間を1秒、10秒、30秒、60秒に変え、加圧力を
0.4MPで一定にした。実験は次のように実施した。
【0046】アオコ濃度が1000ppm の原水に、アオ
コに対して50%の凝集剤(硫酸バンドを主成分とする
もの)を添加し、この水を所定時間の間加圧した後、1
00mlのメスシリンダーに入れて1時間静置した。次い
で、メスシリンダー中のアオコ分が沈降している部分を
採取し、そのアオコ分の濃度を測定した。
【0047】この結果は図6に示す。図6で明らかなよ
うに、加圧時間を1秒以上にすれば、メスシリンダー中
の沈降しているアオコ分の濃度はほぼ一定になり、アオ
コ分が沈降し得る状態になることを示している。そし
て、加圧時間が上記の範囲においては、加圧時間による
沈降性の差異はなかった。
【0048】上記の基礎実験に係る実験A、実験B、実
験C、および実験Dの結果をまとめると、次の如くであ
る。
【0049】加圧処理をすれば、アオコはその密度が
大きくなって沈降するようになる。圧力を1MPから
0.2MPの範囲で加圧処理を実施したところ、0.2
MPの加圧処理では、アオコのうち、アナベナとオシラ
トリアは沈降したが、ミクロキスティスは沈降しなかっ
た。
【0050】加圧時間は1秒〜5分にしたが、この加
圧時間の範囲においては、アオコの沈降性についての差
異は殆ど認められなかった。
【0051】加圧処理の圧力を0.2MP以上にすれ
ば、主要なアオコは遠心沈降による分離が可能になる
が、さらに、加圧処理の前または後に凝集剤を添加すれ
ば、アオコ分の分離をより完全にすることができき、分
離液中へのアオコ混入が少なくなる。
【0052】なお、上記基礎実験の説明においては、浮
遊生物類のうち、アオコの処理だけについて述べたが、
上記実験に至った経緯およびその実験結果からすれば、
アオコ以外の他の浮遊生物類についても、ガス胞を有す
るものであれば、加圧処理することによって、遠心沈降
分離が可能になることは容易に推測できる。
【0053】図1は請求項1の発明に係る一実施例の説
明図である。水面付近に浮遊させる採取器が連結された
原水ポンプ10によって、アオコなどの浮遊生物類を水
とともに吸引して汲み上げ、篩11を通して、ゴミのよ
うな比較的大きなで夾雑物を除去し、中継槽12へ貯留
する。次いで、中継槽12の水を加圧装置13によっ
て、短時間の加圧処理をした後、攪拌槽17へ送る。
【0054】そして、加圧処理した攪拌槽17の水を遠
心沈降分離機であるデカンター20へ送って固液分離
し、脱水物を回収する。図中、18は攪拌機を示す。
【0055】上述した浮遊生物類の分離方法は、アオコ
が吹き寄せられた場所から採取した水などのように、比
較的アオコ濃度が高い水を分離処理する場合や、処理水
量が比較的少ない場合などに採用するのに適している。
【0056】浮遊生物類を加圧処理する装置13として
は、加圧機14と圧力調整弁15および両者を接続する
圧力保持部16よりなるものを使用する。加圧機14は
約0.2MP以上の吐出圧が得られる流体輸送機器であ
ればよく、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプ、
モノポンプや、通常の遠心ポンプなどを用いることがで
きる。なお、遠心ポンプでは所望の吐出圧が得られない
場合には、複数基のポンプを直列に配置してもよい。圧
力保持部16は、加圧した浮遊生物類を含む水を、所定
圧力で所定時間の間滞留させるために設けるものであ
り、その直径は長さに応じて決める。圧力保持部16に
おける滞留時間は、通常、1〜60秒程度にすればよ
い。
【0057】図2は請求項2の発明に係る一実施例の説
明図である。図2において、図1と同じ処理操作を行う
部分については、同一の符号を付しその説明を省略す
る。本実施例においては、攪拌槽17に凝集剤19を添
加し、中継槽12から送られてきた水の中の浮遊生物類
を凝集させる。そして、凝集剤を添加して浮遊生物類を
凝集させた攪拌槽17の水をデカンター20へ送って固
液分離し、脱水物を回収する。
【0058】この発明によれば、凝集剤を添加して浮遊
生物類を凝集させるので、浮遊生物類の沈降速度が大き
くなり、デカンター20における浮遊生物類の沈降分離
が充分に行われる。
【0059】図3は請求項3の発明に係る一実施例の説
明図である。図3において、図1および図2と同じ処理
操作を行う部分については、同一の符号を付しその説明
を省略する。本実施例においては、凝集剤19を添加し
て浮遊生物類を凝集させた攪拌槽17の水をシックナー
30へ送って重力沈降させる。次いで、シックナー30
の底部に沈積した浮遊生物類を貯留槽31へ抜き出し、
凝集した浮遊生物類のスラリーを得る。
【0060】そして、上記スラリーをデカンター20へ
送って固液分離し、脱水物を回収する。
【0061】この発明においては、デカンター21へ供
給する被処理物が濃縮されているので、固液分離が効率
的に行われる。
【0062】図4は請求項4の発明に係る一実施例の説
明図である。水面付近に浮遊させる採取器が連結された
原水ポンプ10によって、アオコなどの浮遊生物類を水
とともに吸引して汲み上げ、篩11を通して、ゴミのよ
うな比較的大きなで夾雑物を除去し、中継槽12へ貯留
する。そして、中継槽12の水を攪拌槽41へ送り、凝
集剤19を添加して急速攪拌し、浮遊生物類を凝集させ
る。次いで、浮遊生物類の凝集物を含む水を分離槽43
へ送る。
【0063】分離槽43には、緩速攪拌部44と静置部
45が設けられており、また、上記静置部45には、重
力濾過器47が備えられている。重力濾過器47は、尾
部方向を下にして傾斜させ、その一部を水中に浸漬させ
たものであって、水中に浸漬されているエンドレスの濾
布を順次上方へ移動させ、濾布の上方に存在していた固
形分を濾し分けながらすくい上げる装置である。
【0064】分離槽43では、攪拌槽41から送られて
くる凝集物を含む水を緩速攪拌部44を経由させて静置
部45へ導入し、浮遊生物類を槽の上部に集める。そし
て、重力濾過器47によって、浮遊生物類をすくい上げ
ると共に濾別し、浮遊生物類のスラリーを得る。濾液は
濾液受槽48に受入れた後、放流する。濾布の洗浄は濾
液受槽48から汲み上げた水で行うが、その洗浄排水は
分離槽43へ戻す。
【0065】次いで、上記浮遊生物類のスラリーを加圧
装置13へ送って、短時間の加圧処理をした後、デカン
ター20へ送って固液分離し、浮遊生物類の脱水物を回
収する。
【0066】加圧装置13は、図1に示した請求項1の
発明の場合と同様に、被処理物を所定圧で所定時間保持
するために用いるものであって、加圧機14と圧力調整
弁15よりなる。この発明においても、加圧機14とし
ては、約0.2MP以上の吐出圧が得られる流体輸送機
器であればよいが、重力濾過器45による濃縮が充分に
行われ、被処理物の流動性が小さくなっている場合に
は、モノポンプなどを用いる。図中、40は浮遊生物類
を含む水の供給ポンプ、42は急速攪拌機、46は緩速
攪拌機、49は濾布洗浄ポンプを示す。
【0067】この発明においては、デカンター20へ供
給する被処理物が濃縮されているので、固液分離が効率
的に行われる。
【0068】(実施例)K湖の湖岸に装置を設置し、ア
オコを含む水からアオコを分離する連続実験を実施し
た。装置は図4のものと同じ構成によるものを使用し
た。この装置に組み込まれた加圧機はモノポンプであっ
た。
【0069】運転条件 原水供給量 ;6 m3/H 原水中のアオコ濃度 ;6000 ppm 凝集剤の添加量 ;アオコ分に対し50% 急速攪拌時間 ;0.7 分 加圧機の圧力 ;6 MP 遠心沈降分離機の遠心加速度;2000G 実験結果 0.36m3/Hの脱水物(アオコ分)が回収された。こ
の時の脱水物の含水率は85%であり、脱水率は良好で
あった。なお、運転中に、重力濾過器の濾布の目詰まり
は起こらなかった。
【0070】
【発明の効果】請求項1の発明においては、浮遊生物類
を含む水を加圧処理するので、浮遊生物類が沈降するよ
うになり、その脱水処理に際しては、清澄な分離液が得
られ、分離効率がよい遠心沈降分離機を用いることがで
きる。
【0071】また、請求項2の発明においては、浮遊生
物類を含む水を加圧処理すると共に、凝集剤を添加して
浮遊生物類を凝集させるので、浮遊生物類が沈降するよ
うになると共にその沈降速度が大きくなり、その遠心沈
降分離による脱水処理が充分に行われる。
【0072】また、請求項3および請求項4の発明にお
いては、浮遊生物類を含む水を加圧処理すると共に、凝
集剤を添加して浮遊生物類を凝集させるので、その脱水
処理に際しては、分離効率がよい遠心沈降分離機を用い
ることができる上に、それぞれ重力沈降処理、重力濾過
を行って浮遊生物類を濃縮させるので、遠心沈降分離機
による固液分離が一層効率的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に係る一実施例の説明図であ
る。
【図2】請求項2の発明に係る一実施例の説明図であ
る。
【図3】請求項3の発明に係る一実施例の説明図であ
る。
【図4】請求項4の発明に係る一実施例の説明図であ
る。
【図5】従来技術によるアオコの分離方法の説明図であ
る。
【図6】加圧処理時間とアオコの沈降性の関係を示す図
である。
【図7】遠心沈降処理後における遠心管内の状態を説明
するための図である。
【符号の説明】
10 原水ポンプ 13 加圧装置 14 加圧機 15 圧力調整弁 16 圧力保持部 17 攪拌槽 19 凝集剤 20 デカンター 30 シックナー 41 急速攪拌槽 43 浮上槽 47 重力濾過器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浮遊生物類を含む水を加圧処理し、この
    加圧処理した水を遠心沈降分離機へ導入して固液分離
    し、浮遊生物類を分離することを特徴とする浮遊生物類
    の分離方法。
  2. 【請求項2】 浮遊生物類を含む水を加圧処理し、この
    加圧処理した水に凝集剤を添加して浮遊生物類を凝集さ
    せ、この浮遊生物類の凝集物を含む水を遠心沈降分離機
    へ導入して固液分離し、浮遊生物類を分離することを特
    徴とする浮遊生物類の分離方法。
  3. 【請求項3】 浮遊生物類を含む水を加圧処理し、この
    加圧処理した水に凝集剤を加えて浮遊生物類を凝集さ
    せ、この浮遊生物類の凝集物を含む水を重力沈降させて
    濃縮し、この浮遊生物類を含むスラリーを遠心沈降分離
    機へ導入して固液分離し、浮遊生物類を分離することを
    特徴とする浮遊生物類の分離方法。
  4. 【請求項4】 浮遊生物類を含む水に凝集剤を加えて浮
    遊生物類を凝集させ、この浮遊生物類の凝集物を含む水
    を重力濾過機で濾過して濃縮し、この浮遊生物類を含む
    スラリーを加圧処理し、この加圧処理したスラリーを遠
    心沈降分離機へ導入して固液分離し、浮遊生物類を分離
    することを特徴とする浮遊生物類の分離方法。
  5. 【請求項5】 加圧処理する際の圧力が0.2MPa〜
    1MPaであることを特徴とする請求項1〜請求項4の
    いずれかに記載の浮遊生物類の分離方法。
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