JP2000167545A - 水域浄化装置およびその方法 - Google Patents

水域浄化装置およびその方法

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JP2000167545A
JP2000167545A JP10349051A JP34905198A JP2000167545A JP 2000167545 A JP2000167545 A JP 2000167545A JP 10349051 A JP10349051 A JP 10349051A JP 34905198 A JP34905198 A JP 34905198A JP 2000167545 A JP2000167545 A JP 2000167545A
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jet
underwater
water jet
nozzle
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JP10349051A
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Kazunori Sato
一教 佐藤
Tadaaki Mizoguchi
忠昭 溝口
Kazunori Fujita
一紀 藤田
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別の治具や設備を必要とせず、また動力・
エネルギーも多大につぎ込むことなく、広域の水浄化処
理に対応できる、具体的には水中にウォータージェット
を噴出させることができる水域浄化装置およびその方法
を提供する。 【解決手段】 高速水噴流を吹き出す噴出孔4の先端に
拡大空洞部10を有するノズル1の外周部と拡大空洞部
10の内壁とを貫通する開口部を設け、噴出孔4から吹
き出す水中水噴流5と拡大空洞部10の内壁の間に生じ
る循環渦23によって、水中に浮遊する有害物を周囲の
水とともに拡大空洞部10内に吸引し、水中水噴流5中
へ巻き込ませる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湾内海域、湖沼、
養魚場、貯水場あるいは発電所や工場の取水管等の水域
浄化に係り、特に、ウォータージェットとキャビテーシ
ョンを組み合わせる水域浄化装置およびその方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】人間の居住環境における水の浄化が課題
となっている。以下に主要な例を示す。 (1)湖沼のアオコやダムの貯水場に発生する藻類 特に夏期に異常繁殖するアオコは、水を濁らせて外観を
損なわせるばかりか、異臭を放ち、人々の憩いの場を奪
ってしまう。また適正な量なプランクトンであれば、フ
ナ等の水棲生物の糧となるが、大量に発生した場合には
日光や循環不足から病原虫が発生し、魚貝類の死滅につ
ながる虞がある。 (2)湾内養殖域の赤潮プランクトン シャットネラに代表される有害海水プランクトンであ
り、養殖魚類や貝類を大量に死滅させる。これらの死骸
が未分解のまま海底にヘドロ状になって堆積すると、特
に海水の循環・入れ替えの少ない閉鎖水域では、異臭な
どの問題を引き起こす。 (3)耐塩素性原虫 クリプトスポリジウムという名でも広く知られるように
なり、上水道水中に混入すると、地域住民に劇症下痢が
生じる。産廃場の廃水や養畜場から漏れ出す汚水に由来
するとの説もあるが、詳しいことは良く分かっていな
い。 (4)環境ホルモン(内分泌撹乱物質) ダイオキシン等や各種の界面活性剤が代表例である。焼
却場からリークする廃水に混じり、人間の生活域の中に
侵入する。 (5)エビ等の養殖場の病原虫 前記(2)とは異なるウィルス等であり、水の汚濁に起
因する。養殖場の水の浄化によれば、エビの病変が激減
し、エビの成長が格段に高まることからも、養殖用水の
浄化は重要である。いずれも、特定の企業・工場に起源
のあったかつての公害とはタイプが異なる環境問題であ
り、対策が急務となっている。これに対して、オゾン
(O3)や過酸化水素(H22)の注入や紫外線照射、
水域底部への空気吹き込み(バブリング)、ジェットポ
ンプを用いる水域の水の循環、あるいは超音波付与等の
技術が提案されている。しかしながら、コスト的な問題
があったり、副作用が強かったり、あるいは十分な効果
が上がらなかったりするなど、対策技術は確立されてお
らず、技術が広く普及するに到っていないのが実情であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】浄化処理対象の水域に
ウォータージェットを噴射する場合、水中ウォータージ
ェット中においてキャビテーションの活発な領域は小さ
く限定される。図11は、浄化対象水域6中にノズル1
01を沈めて、ノズル101に高圧水を供給し、浄化対
象水域6内にキャビテーションを伴う水中水噴流105
を作り出す従来技術である。なお、102は高圧水、1
03は高圧水供給流路、104は噴出孔である。ウォー
タージェットのごく近傍に浮遊する有害生体は、ジェッ
トに巻き込まれ(エントレイン)て即座に死滅するもの
の、ジェットからはるか離れた位置に浮遊する有害生体
まではキャビテーションの威力は及ばない。むしろ、ジ
ェットには巻き込まれること無くジェットの作り出す同
伴流に乗ってジェットの下流へ遠く追いやられ、結局キ
ャビテーションにさらされないで生き残る有害生体も少
なくないはずである。広域に対応できるようにノズルを
動かすためには特殊な装置が必要になる。多孔ノズルや
大流量ノズルを用いれば、キャビテーションの範囲は広
がるため広域の水浄化処理に対応できるものの、多大な
動力と設備が必要になり、コスト的に不利である。
【0004】本発明の課題は、前記した問題を踏えた上
で、特別の治具や設備を必要とせず、また動力・エネル
ギーも多大につぎ込むことなく、広域の水浄化処理に対
応できる、具体的には水中にウォータージェットを噴出
させることができる水域浄化装置およびその方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題は、浄化対象水
域において、水中に沈めたノズルから噴出する水中水噴
流に発生するキャビテーションの作用により、水域中の
有害物を分解処理する水域浄化方法において、高速水噴
流を吹き出す噴出孔の先端に拡大空洞部を有するノズル
の外周部と前記拡大空洞部内壁とを貫通する開口部を設
けて、前記噴出孔から吹き出す水中水噴流と前記拡大空
洞部内壁の間に生じる循環渦によって、水中に浮遊する
有害物を周囲の水とともに拡大空洞部内に吸引し、前記
水中水噴流中へ巻き込ませる第1の手段により解決され
る。前記課題は、第1の手段において、水中水噴流軸方
向の下流に設けた固体面であるターゲットプレートに、
水中水噴流を前記ターゲットプレートに衝突させるよう
にする第2の手段により解決される。前記課題は、第2
の手段において、水中水噴流の軸方向に対して、水中水
噴流から発生する衝撃圧の分布における第1ピークの位
置で、前記ターゲットプレートを水中に設けて水中水噴
流を衝突させるようにする第3の手段により解決され
る。前記課題は、第2の手段において、水中水噴流の軸
方向に対して水中水噴流から発生する衝撃圧の分布にお
ける第1ピークよりも下流の第2ピークの位置で、前記
ターゲットプレートを水中に設けて水中水噴流を前記タ
ーゲットプレートに衝突させるようにする第4の手段に
より解決される。
【0006】前記課題は、浄化対象水域において、水中
に沈めたノズルから噴出する水中水噴流に発生するキャ
ビテーションの作用により、水域中の有害物を分解処理
する水域浄化装置において、高速水噴流を吹き出す噴出
孔の先端に拡大空洞部を有するノズルの外周部と拡大空
洞部内壁とを貫通する開口部を設け、前記噴出孔から吹
き出す水中水噴流と前記拡大空洞部内壁の間に生じる循
環渦によって、水中に浮遊する有害物を周囲の水ととも
に前記拡大空洞部内に吸引し、前記水中水噴流中へ巻き
込ませるようにした第5の手段により解決される。前記
課題は、第5の手段において、水中水噴流軸方向の下流
に、固体面であるターゲットプレートを設け、水中水噴
流を前記ターゲットプレートに衝突させるようにした第
6の手段により解決される。前記課題は、第6の手段に
おいて、水中水噴流の軸方向に対して、水中水噴流から
発生する衝撃圧の分布における最初のピークである第1
ピークの位置で、前記ターゲットプレートを水中に設け
た第7の手段により解決される。前記課題は、第6の手
段において、水中水噴流の軸方向に対して水中水噴流か
ら発生する衝撃圧の分布における第1ピークよりも下流
の第2ピークの位置で、前記ターゲットプレートを水中
に設けた第8の手段により解決される。前記課題は、第
5の手段において、前記ノズルの周囲に遮蔽用の円板型
部材を設けた第9の手段により解決される。前記課題
は、第5〜9の手段における水域浄化装置を、動力発生
装置を備える移動体に搭載した第10の手段により解決
される。前記課題は、第10の手段において、前記移動
体は、前記動力発生装置を備える第2の移動体で懸引さ
れる移動体である第11の手段により解決される。
【0007】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
いて説明する。まず、本発明の水域浄化装置およびその
方法の第1の実施の形態について説明する。本発明は、
ノズルにおけるウォータージェットの噴出孔の先端に拡
大空洞部を設け、この拡大空洞部の内壁とノズルの外面
とを貫通するように複数の開口部を設け、ノズルまわり
の周囲水を、有害生物ごとノズルの拡大空洞部の中へ吸
引するようにする。ノズルの拡大空洞部の中には、水中
に吹き出すウォータージェットの流れに起因する渦流が
発生し、この渦流の作用によって、周囲水はノズルの拡
大空洞部の中へ自己吸引される。周囲水自己吸引口の開
口径は、ノズル外面の入口部ほど大きく、拡大空洞部内
面における出口部は小さくし、周囲水流を加速した状態
でウォータージェットに吸い込ませるようにする。
【0008】図1は第1の実施の形態のノズルの構造を
示す断面図である。ノズル1の上流側には、高圧水2を
供給する高圧水供給流路3が設けてあり、急峻なしぼり
部3aを経て、口径の小さな噴出孔4に接続している。
この噴出孔4において、高圧水2は急減圧・加速され、
浄化対象水域6の水中に噴射され、激しいキャビテーシ
ョンを伴う水中水噴流(図2等に示す符号5)となる。
噴出孔4の出口には、円錐形で末広がりの拡大空洞部1
0が設けてある。ノズル1の外周部1aには、ノズル1
の外面と拡大空洞部10を貫通する吸引孔12が複数個
開口している。この吸引孔12では、ノズル1の外周部
1aに開口する吸引入口13の口径は大きく、ノズル1
の拡大空洞部10の内壁面に開口する吸引孔出口14の
口径は小さく形成されている。つまり吸引孔12は入口
から出口までしぼるような形状としており、浄化対象水
域6の水と水中に浮遊する有害微生物等の有害生体(駆
除対象物)を吸い込む際に、加速できるようになってい
る。このような吸引の作用は、水中水噴流が拡大空洞部
10の中で噴出する際に、噴流の界面に生じる渦流によ
って作り出されるが、このメカニズムについては後述す
る。吸引孔軸15とノズル中心軸11は、拡大空洞部1
0の内部で交差するが、その合流角度θはおよそ60°
である。
【0009】次に、図1に示すノズル1から噴射したキ
ャビテーションを伴う水中水噴流5を、浄化対象水域6
中に固定したターゲットプレートに衝突させる状態につ
いて説明する。この実施の形態は、有害微生物は、自由
噴流としてのウォータージェットに発生するキャビテー
ションの作用によっても破砕(破細)するが、さらにジ
ェットをターゲットプレート(衝突板)に衝突させる。
これは、衝突がトリガとなって、水中の気泡核が励起さ
れ、キャビテーションが更に活発になる効果を狙ったも
のである。
【0010】図2は、ノズル1から噴射したキャビテー
ションを伴う水中水噴流5を、浄化対象水域6中に固定
したターゲットプレートに衝突させる説明図である。な
お、前記実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳
細な説明を省略する。このターゲットプレート16は、
プレートサポート17によって、ノズル1とターゲット
プレート16との距離すなわちスタンドオフ距離XS
一定になるように支持されている。水中水噴流5をター
ゲットプレート16に衝突させるのは、衝突による衝撃
と、衝突によって再生するキャビテーションの作用によ
って、水中水噴流5の中に流入した有害生体を破砕(破
細)するためである。このスタンドオフ距離XSは任意
に選定できるわけではなく、後述するような最適値が存
在する。
【0011】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。図3(a),(b)は本発明の第2の実施の形態を
示す説明図である。なお、前記実施の形態と同一部分に
は同一符号を付して詳細な説明を省略する。水中水噴流
5に発生するキャビテーションによる衝撃圧を、噴流の
軸方向に対して測定すると、図3(b)に示すような2
つのピークを有する特徴的な分布が得られる。ノズル1
に近い方の最初のピークを「第1ピーク」、一方、下流
に生じるピークをここでは「第2ピーク」と呼ぶことに
する。この第2の実施の形態では図3(a),(b)に
示すように、第1ピークに相当するスタンドオフ距離X
Sの位置に、ターゲットプレート16を設置し、水中水
噴流5を衝突させたものである。この第1ピークを利用
する場合、ターゲットプレート16は短時間で壊食する
ので、交換インターバルを短くする必要がある。なお、
このターゲットプレート16の材料はステンレス鋼であ
る。
【0012】図4(a),(b)は本発明の第3の実施
の形態を示す説明図である。第3の実施の形態では、図
4(a),(b)に示すように、第2ピークの位置にタ
ーゲットプレート16を配設してあるもので、第2ピー
クにおいてターゲットプレート16に水中水噴流5を衝
突させる場合は、図3の第1ピークで水中水噴流5を衝
突させる場合に比べて衝突の効果は大きくないものの、
大量の処理に適している。なお、前記第2の実施の形態
と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略す
る。
【0013】このようにターゲットプレートを設ける位
置は、「第1ピーク」あるいは「第2ピーク」の位置と
する。これらの両ピークの位置は、図3(b)及び図4
(b)に示すように、ジェットの軸方向(下流方向)に
対して、キャビテーションによる衝撃圧が際立って高く
なる。要するにキャビテーションが発達する領域(ピー
クごとにキャビテーションの形態が異なる)のことであ
る。
【0014】次に、本発明を、湖沼等の水域浄化処理に
適用した場合の全体的な系統を説明する。図5は、本発
明を、湖沼等の水域浄化処理に適用した場合の全体的な
系統を描いた説明図である。駆動動力船30により懸引
される移動体31の上には高圧ポンプ32が搭載されて
いて、浄化対象水域6の水を汲み上げ、加圧して、高圧
ホース33を通じて高圧水2をノズル1に供給する。ノ
ズル1は全体で5個が横並びに配設され、移動体31の
下部の水中に固定されている。このノズル1では、水中
の有害生体を吸引孔12から自己吸引して、キャビテー
ションを伴う水中水噴流5を吹き出し、ターゲットプレ
ート16に衝突させている。このターゲットプレート1
6も、ノズル1の列と同様に、プレートサポート17に
よって、移動体31の下部の水中に固定されている。こ
の実施の形態において、ノズル1〜ターゲットプレート
16間のスタンドオフ距離XSは第2ピーク相当のもの
である。なお、ノズル1の列及びターゲットプレート1
6は上下方向に高さが調整可能になっていて、水面に近
い領域や、底に近い領域まで、水中ウォータージェット
による浄化処理が可能である。34はノズル固定用治具
である。なお、水域浄化装置を、動力発生装置を備える
移動体に搭載(装備)しても、あるいは動力発生装置を
備える移動体で懸引される移動体に搭載してもよい。
【0015】次に、本発明に係る各実施の形態のノズル
における水中有害生体の殺滅挙動について説明する。図
7は、図1に示す第1の実施の形態のノズルにおける水
中有害生体の殺滅挙動を模式的に描いた説明図である。
高圧水2は、ノズル1の高圧水供給流路3を通じて導か
れ、噴出孔4において急減圧・急加速されて浄化対象水
域6の水中に高速で噴射され、キャビテーションを伴う
水中水噴流5となる。ノズル1において、噴出孔4の出
口先端には拡大空洞部10が付いていて、この拡大空洞
部10の内壁とキャビテーションを伴う水中水噴流5の
間には、強い循環渦23が生じる。この循環渦23の作
用によって、浄化対象水域6の水が、水中の有害生体を
含むプランクトン18とともに、吸引孔12を通じてキ
ャビテーションを伴う水中水噴流5の中へ吸引される
(符号19)。吸引孔12は、ノズル1の外側面に吸引
口入口13が開口し、拡大空洞部10の中ほどの位置に
吸引口出口14が開口している。この吸引孔12は、入
口の開口部が大きく、出口に向けて収縮するようになっ
ているため、プランクトン18を含む周囲の水は加速さ
れて、噴流中に流入するようになっている。キャビテー
ションを伴う水中水噴流5の中へ流入したプランクトン
18は、キャビテーションの作用すなわち気泡圧壊時の
衝撃的圧力によって破砕され(符号21)、細かな破片
22となる。このようにして、浄化対象水域6の中の有
害生体を死滅させることができる。
【0016】次に、キャビテーションを伴う水中水噴流
5全体の挙動について説明する。前記図7はノズル近傍
における作用を述べたものであるが、図8は、キャビテ
ーションを伴う水中水噴流5全体の挙動を模式的に描い
た説明図である。噴出孔4から吹き出した直後の水中水
噴流5には、液芯部26が残り、この液芯部26は断続
的に分裂する(符号26a)。この分裂26aの動きに
連動するように、キャビテーションが発生する。すなわ
ち、プランクトンが流入する噴流の初期域は、液芯部2
6の分裂26aの生じる領域であると同時にキャビテー
ション発生域27でもある。水中水噴流5においてその
下流域では、キャビテーションクラウド29が成長す
る。このキャビテーションクラウド29では、大小の無
数のキャビテーション気泡が塊状になって急膨張あるい
は収縮を行っており、この領域でもプランクトンは破砕
する。キャビテーションクラウド29は非定常性が強
く、激しく伸張・収縮を繰り返し、下流では分裂する
(符号29a)。一方、噴流の界面には、噴流界面の剪
断作用と、キャビテーションクラウド29の膨張・収縮
あるいは伸張・分裂作用に由来して、渦キャビテーショ
ン28が生成する。この渦キャビテーション28は、ボ
リュームとしてはキャビテーションクラウド29よりも
小さいがパワフルであり、噴流界面に浮遊するプランク
トンは渦キャビテーション28に衝突すると容易に破砕
する。
【0017】次に、噴流を固体面であるターゲットプレ
ート16へ衝突させる際に生じる現象を説明する。図9
は、噴流を固体面であるターゲットプレート16へ衝突
させる際に生じる現象を模式的に描いた説明図である。
水中水噴流5の中には、破砕されずに残ったプランクト
ン18aがあるが、ターゲットプレート16に衝突する
衝撃により再破砕する(符号21a)。一方、ターゲッ
トプレート16の表面では、衝突によって噴流が放射状
に拡がり、キャビテーションが再発生する衝突ジェット
25が生じる。衝突ジェット25中のキャビテーション
は、ターゲットプレート16への衝突による衝撃がトリ
ガとなって、水中の核が励起され生じたものである。こ
の衝突ジェット25におけるキャビテーションの作用に
よってもプランクトンは破砕される。
【0018】図10は、本発明を実施(図1,2,4及
び5記載の内容)することによって浄化処理量が増加し
た効果を示す結果の説明図である。図10にて、縦軸は
浄化処理水量で、浄化処理量Wを従来技術における浄化
処理量W*で割ることによって無次元化してある。この
結果から明らかなように、本実施の形態によれば、図1
1に示す従来技術に比べて浄化処理水量が2.6倍まで
増加していることが分かる。以上によって、本発明の各
実施の形態になる周囲水吸い込み式のノズルを用いるこ
とによる効果が実証された。
【0019】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。図6は本発明に係る水域浄化装置の他の実施の
形態を示す説明図である。
【0020】ノズルの近傍の水中に浮遊する有害生体で
あれば、容易に水中の高速ウォータージェットに巻き込
まれるが、ある程度離れた位置に浮遊する場合には、ジ
ェットの同伴水流によって、ジェットに近づくことなく
有害生体はジェットの下流へ追いやられてしまう。これ
を解決するため本発明では、図6に示す他の実施の形態
のように、ノズル1’のまわりに円板形の遮蔽円板(遮
蔽体)7を設けた。遮蔽円板7によるジェット流動の大
規模循環作用で、ジェットへ向かう周囲水の流れが、必
ずノズル1’の開口部へ向かうようにする。このように
すると、ノズル1’に対して上流側、すなわち図6にお
いて遮蔽円板7の左側にある水中の有害生体は、キャビ
テーションを伴う水中水噴流5の中へ吸引されることは
無いものの、キャビテーションを伴う水中水噴流5の同
伴流によって、下流へ追いやられることはない。一方、
このように遮蔽円板7を設けると、キャビテーションを
伴う水中水噴流5のまわりに大規模循環流8が生じる。
この大規模循環流8の作用によって、浄化対象水域6中
の有害生体は、キャビテーションを伴う水中水噴流5の
中へ巻き込まれる(符号9)。以上のようにして、浄化
対象水域6中の夥しい数の有害生体は、繰り返して、キ
ャビテーションを伴う水中水噴流5に吸い込まれて殺滅
される。有害生体が噴流中へ巻き込まれることは、確率
的な作用でもあるので、このような大規模循環流8を作
り出すことは大変に重要である。
【0021】このように本発明の前記各実施の形態にあ
っては、ノズルの噴出孔出口に開口する拡大空洞部内に
は、その空洞部内壁とジェットの間に循環渦流が生じ
る。この渦流は、拡大空洞部内壁に沿って噴出孔側へと
さか上り、ジェットの内壁へ吸い込まれるか、あるいは
ジェットの界面に沿わせるようにして、ジェットの下流
へと流下する流れを作り出す。拡大空洞部内壁の近傍に
あって噴出孔側へと塑上する流れを利用し、空洞部内壁
とノズルの外周をつなぐように開口する孔部を通じて、
有害生体を含む周囲水を連続的に吸い込ませ、これら有
害生体をジェット中に流入させようとするものである。
ジェットの勢いが強いために、前記した循環渦流も常時
安定に生じており、多量の周囲水を内壁上の開口部から
吸い込む。要するに、本発明における水域浄化装置およ
びその方法によると、有害生体を含む周囲水をノズルに
自己吸引するようになるわけである。そして、拡大空洞
部の中へ自己吸引された水は、ジェット中に多量のキャ
ビテーションの核を供給することになる。前記有害生体
も、キャビテーションの核になりうる。このようにし
て、キャビテーションも活性化する。一方、拡大空洞部
の中へ自己吸引される周囲水による水流は、噴出孔から
吹き出すジェットに激しい乱れを与える。この乱れの作
用によっても、キャビテーションは活発になる。
【0022】以上のように、本発明に用いるノズルは、
図11に示す従来技術と対比して、外部からのエネルギ
ーを一切加えることなくキャビテーションを促進し、広
域水中の有害生体の滅殺性能を高めることが可能であ
る。
【0023】また、前記各実施の形態にあっては、噴流
周囲にある駆除対象物を噴流に吸引しながら除去できる
ため、処理効率が高まる。前記の効果によって、噴流の
吐出圧力を下げることができて、また噴射水量やノズル
の本数を少なくすることが可能となって、設備コスト上
有利になる。また、処理効率が高まるという前記の効果
によって、噴流の影響を広い水域まで拡大して及ぼすこ
とと同じになるので、ノズルを移動させる範囲を少なく
して済ませることができるようになる。すなわち、ノズ
ルを移動させる装置を簡素化できる。また、キャビテー
ションからのノイズが周囲に伝わるので、このノイズを
嫌う微生物の場合(多くはこの高周波のノイズを嫌うと
いわれる)、生育が阻害される。また、ノズルに吸い込
んだ微生物等の有害物がキャビテーションの核になるた
め、キャビテーションが促進される。すなわち、処理効
率が高まることになる。
【0024】
【発明の効果】請求項1〜11に記載の発明によれば次
のような効果を生じる。 (1)噴流周囲にある駆除対象物を噴流に吸引しながら
除去できるため、処理効率が高まる。 (2)前記(1)の効果によって、噴流の吐出圧力を下
げることができて、また噴射水量やノズルの本数を少な
くすることが可能となって、設備コスト上有利になる。 (3)前記(1)の効果によって、噴流の影響を広い水
域まで拡大して及ぼすことと同じになるので、ノズルを
移動させる範囲を少なくして済ませることができるよう
になる。すなわち、ノズルを移動させる装置を簡素化で
きる。 (4)キャビテーションからのノイズが周囲に伝わるの
で、このノイズを嫌う微生物の場合(多くはこの高周波
のノイズを嫌うといわれる)、生育が阻害される。 (5)ノズルに吸い込んだ微生物等の有害物がキャビテ
ーションの核になるため、キャビテーションが促進され
る。すなわち、処理効率が高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水域浄化装置およびその方法の第
1の実施の形態のノズル構造を示す説明図である。
【図2】本発明に係る水域浄化装置およびその方法の第
1の実施の形態におけるターゲットプレートに衝突させ
る構成を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は本発明に係る水域浄化装置お
よびその方法の第1の実施の形態における第1ピークに
ターゲットプレートに位置させた使用状態を示す説明図
である。
【図4】(a),(b)は本発明に係る水域浄化装置お
よびその方法の第1の実施の形態における第2ピークに
ターゲットプレートを位置させた使用状態を示す説明図
である。
【図5】本発明に係る水域浄化装置およびその方法を湖
沼等の水域浄化処理に適用した場合の全体的な系統を描
いた説明図である。
【図6】本発明に係る水域浄化装置およびその方法の他
の実施の形態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る水域浄化装置およびその方法の第
1の実施の形態のノズルにおける水中有害生体の殺滅挙
動を模式的に描いた説明図である。
【図8】本発明に係る水域浄化装置およびその方法のキ
ャビテーションを伴う水中水噴流全体の挙動を模式的に
描いた説明図である。
【図9】本発明に係る水域浄化装置およびその方法の噴
流を固体面であるターゲットプレートへ衝突させる際に
生じる現象を模式的に描いた説明図である。
【図10】本発明を試験した試験結果を示す説明図であ
る。
【図11】従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1’ ノズル 2 高圧水 3 高圧水供給流路 4 噴出孔 5 水中水噴流 6 浄化対象水域 7 遮蔽円板 8 大規模循環流 10 拡大空洞部 11 ノズル中心軸 12 吸引孔 13 吸引入口 14 吸引孔出口 15 吸引孔軸 16 ターゲットプレート 17 プレートサポート 18,18a プランクトン 22 破片 23 循環渦 25 衝突ジェット 26 液芯部 26a 分裂 27 キャビテーション発生域 29 キャビテーションクラウド 30 駆動動力船 31 移動体 32 高圧ポンプ 33 高圧ホース θ 合流角度 XS スタンドオフ距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 一紀 広島県呉市宝町3番36号 バブコツク日立 株式会社呉研究所内 Fターム(参考) 4D037 AA05 AA08 AB01 AB02 AB03 BA26 BB03 BB04 4F033 AA04 BA04 CA01 DA01 EA06 LA06 NA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浄化対象水域において、水中に沈めたノ
    ズルから噴出する水中水噴流に発生するキャビテーショ
    ンの作用により、水域中の有害物を分解処理する水域浄
    化方法において、 高速水噴流を吹き出す噴出孔の先端に拡大空洞部を有す
    るノズルの外周部と前記拡大空洞部内壁とを貫通する開
    口部を設けて、前記噴出孔から吹き出す水中水噴流と前
    記拡大空洞部内壁の間に生じる循環渦によって、水中に
    浮遊する有害物を周囲の水とともに拡大空洞部内に吸引
    し、前記水中水噴流中へ巻き込ませることを特徴とする
    水域浄化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、水中水噴流軸方向の
    下流に設けた固体面であるターゲットプレートに、水中
    水噴流を前記ターゲットプレートに衝突させるようにす
    ることを特徴とする水域浄化方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、水中水噴流の軸方向
    に対して、水中水噴流から発生する衝撃圧の分布におけ
    る第1ピークの位置で、前記ターゲットプレートを水中
    に設けて水中水噴流を衝突させるようにすることを特徴
    とする水域浄化方法。
  4. 【請求項4】 請求項2において、水中水噴流の軸方向
    に対して水中水噴流から発生する衝撃圧の分布における
    第1ピークよりも下流の第2ピークの位置で、前記ター
    ゲットプレートを水中に設けて水中水噴流を前記ターゲ
    ットプレートに衝突させるようにすることを特徴とする
    水域浄化方法。
  5. 【請求項5】 浄化対象水域において、水中に沈めたノ
    ズルから噴出する水中水噴流に発生するキャビテーショ
    ンの作用により、水域中の有害物を分解処理する水域浄
    化装置において、 高速水噴流を吹き出す噴出孔の先端に拡大空洞部を有す
    るノズルの外周部と拡大空洞部内壁とを貫通する開口部
    を設け、 前記噴出孔から吹き出す水中水噴流と前記拡大空洞部内
    壁の間に生じる循環渦によって、水中に浮遊する有害物
    を周囲の水とともに前記拡大空洞部内に吸引し、前記水
    中水噴流中へ巻き込ませるようにしたことを特徴とする
    水域浄化装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、水中水噴流軸方向の
    下流に、固体面であるターゲットプレートを設け、水中
    水噴流を前記ターゲットプレートに衝突させるようにし
    たことを特徴とする水域浄化装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、水中水噴流の軸方向
    に対して、水中水噴流から発生する衝撃圧の分布におけ
    る最初のピークである第1ピークの位置で、前記ターゲ
    ットプレートを水中に設けたことを特徴とする水域浄化
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項6において、水中水噴流の軸方向
    に対して水中水噴流から発生する衝撃圧の分布における
    第1ピークよりも下流の第2ピークの位置で、前記ター
    ゲットプレートを水中に設けたことを特徴とする水域浄
    化装置。
  9. 【請求項9】 請求項5において、前記ノズルの周囲に
    遮蔽用の円板型部材を設けたことを特徴とする水域浄化
    装置。
  10. 【請求項10】 請求項5〜9における水域浄化装置
    を、動力発生装置を備える移動体に搭載したことを特徴
    とする水域浄化装置。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記移動体は、
    前記動力発生装置を備える第2の移動体で懸引される移
    動体であることを特徴とする水域浄化装置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020036884A (ko) * 2000-11-11 2002-05-17 김완모 캐비테이팅 워터젯을 이용한 오폐수 처리 시스템
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JP2009240918A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Mhi Marine Engineering Ltd 水質汚染生物処理装置
NL2005075A (nl) * 2009-07-13 2011-01-17 Arcadis Nederland B V Werkwijze voor het bestrijden van organismen, bijvoorbeeld blauwalg, in oppervlaktewater, bijvoorbeeld een als zwemwater te gebruiken waterplas.
JP2011050834A (ja) * 2009-09-01 2011-03-17 Rexxam Co Ltd バラスト水の処理装置
WO2012003815A3 (en) * 2010-07-07 2012-04-05 Vysoké učeni technické v Brně Cavitation device for killing microorganism in liquids

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