JP2007318889A - ロータのリング磁石固定構造及び電動パワーステアリング用モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のリング磁石固定構造によれば、接着剤が固化する迄の間、芯出しスリーブ25によりロータシャフト21とリング磁石23とを芯出し状態に保持することができ、ロータシャフト21とリング磁石23とが芯出しされたロータ20を製造することができる。このロータ20を備えたモータ10では、ステータ11とのエアギャップ28を周方向で均一にすることができ、モータ10の磁気特性(コギングトルクやトルクリップル等)を向上させることができる。また、エアギャップ28を最小限に狭めてモータ10の小型化が可能になる。さらに、このモータ10を電動パワーステアリング装置用のモータとして用いることにより、車両の操舵フィーリングの向上を図ることができる。
【選択図】図3
Description
請求項1の発明によれば、芯出しスリーブによってロータシャフトとリング磁石の芯出しを行うことができる。そして、このロータを備えた回転機では、ステータとのエアギャップを周方向でほぼ均一にすることができ、磁気特性(コギングトルクやトルクリップル等)を向上させることができる。また、従来のようにステータとのエアギャップに余裕を持たせる必要も無くなるから、エアギャップを最小限に狭めて回転機の小型化が可能になる。
請求項2の構成によれば、芯出しスリーブにはロータシャフトの第1凸部とリング磁石の第2凸部とが周方向で交互に突き当てられる。そして芯出しスリーブは、ロータシャフトに対して、その軸心に向かう放射状内向きの弾発力を付与する一方、リング磁石に対して、その軸心を中心とした放射状外向きの弾発力を付与する。これら弾発力によりロータシャフトとリング磁石とが芯出し状態に位置決めされる。
請求項3の発明によれば、芯出しスリーブが第1凸部と第2凸部とに交互に押されて、筒状隙間の周方向で蛇行した形状に変形する。そして、接着剤又は熱可塑性樹脂が固化する迄の間、ロータシャフトとリング磁石の相対回転を防ぐことができる。また、接着剤又は熱可塑性樹脂が剥がれた場合にも、リング磁石の相対回転を防ぐことができる。
リング磁石のうち隣り合う第2凸部に挟まれて相対的に凹所となった部分は、比較的薄肉になるため、仮に、リング磁石に過剰な力がかかった場合には、この凹所が、その他の部分に比較して割れや亀裂が起こる可能性が高い。これに対し、請求項4の発明によれば、第2凸部の間の凹所は、相反する磁極の境界部になっているから、万が一、この凹所で亀裂や割れが起こっても、ロータの磁束密度分布に与える影響を抑えることができる。
請求項5の構成によれば、以下のようにしてロータシャフトとリング磁石の芯出しを行うことができる。即ち、芯出しスリーブを、元の形状である円筒形状から適宜変形させてロータシャフトとリング磁石との間に配置し、その後で所定温度まで加熱すると、芯出しスリーブが元の円筒形状に復元しようとする。このとき、芯出しスリーブにロータシャフトの各第1凸部とリング磁石の各第2凸部とが押し付けられて、ロータシャフトとリング磁石とが芯出しされる。
請求項6の構成によれば、以下のようにしてロータシャフトとリング磁石の芯出しを行うことができる。即ち、芯出しスリーブを、ロータシャフトとリング磁石との間の筒状隙間に挿入しておき、芯出しスリーブのうち帯形塑性変形部を挟んだ両側部分を、相反する方向にずらす。すると、帯形塑性変形部が塑性変形して芯出しスリーブの周長が短縮し、この塑性変形した芯出しスリーブの内周面にロータシャフトの各第1凸部が突き当てられると共に、芯出しスリーブの外周面にリング磁石に備えた各第2凸部が突き当てられる。これにより、芯出しスリーブが筒状隙間内で突っ張り状態になって、芯出しスリーブの弾発力によりロータシャフトとリング磁石とが芯出しされる。ここで、帯形塑性変形部は、芯出しスリーブの軸方向に複数のスリットを横並びに形成した構成でもよい(請求項7の発明)。
請求項8の構成によれば、以下のようにしてロータシャフトとリング磁石の芯出しを行うことができる。即ち、ロータシャフトの外側又はリング磁石の内側に芯出しスリーブを挿入しておき、ロータシャフトとリング磁石の間の筒状隙間に、芯出しスリーブが収容されるように、リング磁石の内側にロータシャフトを挿入する。すると、芯出しスリーブにロータシャフトの各第1凸部とリング磁石の各第2凸部とが押し付けられ、ゴムの弾発力によりロータシャフトとリング磁石とが芯出しされる。
請求項9の発明に係る電動パワーステアリング用モータは、請求項1乃至8の何れかに記載のロータのリング磁石固定構造を有するロータを備えているので、操舵フィーリングの向上を図ることが可能になる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1及び図2には、本発明に係る「回転機」としてのEPS(電動パワーステアリング装置)用のブラシレスモータ10(以下、「モータ10」という)の断面図が示されている。図2に示すように、このモータ10のステータ11に備えたステータコア12には、内側に向けて複数(例えば12)のティース13が備えられ、それら隣り合ったティース13,13同士の間がスロット14になっている。そして、各ティース13に巻回されたコイル15が、スロット14内に収まっている。
図5に示すように、本実施形態のロータ120のうち、ロータシャフト121は、外周面の周方向に例えば8つの角張った第1凸部22Aを均等配置した構造をなしている。各第1凸部22Aの頂点は直角に尖っており、周方向で隣り合った第1凸部22Aの間が第1凹部22Bになっている。
図6(A)に示すように、本実施形態の芯出しスリーブ225は円筒形状をなし、軸方向全体に延びた帯形塑性変形部225Bを180度間隔を開けた2箇所に備えて、それら両帯形塑性変形部225B,225Bを介して1対の半円筒体部225A,225Aが対向した構造になっている。また、各帯形塑性変形部225Bには、その長手方向に沿って複数のスリット230が貫通形成されている。そして、使用前の芯出しスリーブ225は、図6(A)に示すように、スリット230同士の間に残された複数の接続壁231が、芯出しスリーブ225の周方向に真っ直ぐ延びた状態(以下、大径状態)になっている。この大径状態の芯出しスリーブ225に対し、図6(B)の矢印のように、1対の半円筒体部225A,225Aを相反する軸方向に押圧すると、接続壁231群が芯出しスリーブ225の周方向に対して斜めに傾くように塑性変形して半円筒体部225A,225A同士が近づいた状態(小径状態)になる。詳細には、図7(A)には、大径状態の芯出しスリーブ225を軸方向から見た状態がローターシャフト121と合わせて示されている。この大径状態の芯出しスリーブ225の周長のうち各帯形塑性変形部225Bが占める長さをL1とすると、上記の如く、接続壁231群が斜めに傾くように塑性変形した小径状態では、芯出しスリーブ225の周長のうち各帯形塑性変形部225Bが占める長さがL2になって前記したL1より短くなる。これにより、芯出しスリーブ225は、大径状態から小径状態に縮径変形して周長が短くなる。その他の構成に関しては、第2実施形態と同様である。
芯出しスリーブ225を大径状態にしてローターシャフト121とリング磁石123との間の筒状隙間129に挿入する。このとき、芯出しスリーブ225の周長は比較的長くなっているので、図7(B)に示すように筒状隙間129の形状に合わせて容易に変形させることができる。次いで、筒状隙間129内の芯出しスリーブ225における1対の半円筒体部225A,225Aを相反する軸方向に押圧して、芯出しスリーブ225を小径状態にする。これにより、図7(C)に示すように芯出しスリーブ225が筒状隙間129内で突っ張り状態になって、第2実施形態と同様に、リング磁石123とローターシャフト121とが芯出し状態に保持される。本実施形態によっても第2実施形態と同等の効果を奏することができる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
20,120,220 ロータ
21,121 ロータシャフト
22A 第1凸部
23,123 リング磁石
24A 第2凸部
25,125,225,325 芯出しスリーブ
27 接着剤
29,129 筒状隙間
225B 帯形塑性変形部
230 スリット
Claims (9)
- 回転機に備えたロータシャフトの外周面とリング磁石の内周面との間の筒状隙間に接着剤又は熱可塑性樹脂を充填してそれら前記ロータシャフトと前記リング磁石とを固定したロータのリング磁石固定構造において、
前記ロータシャフトの外周面の周方向における複数位置から突出した複数の第1凸部と、
前記リング磁石の内周面の周方向における複数位置から突出し、隣り合った第1凸部同士の間に配置された複数の第2凸部と、
環状をなして前記筒状隙間に収容され、前記第1凸部及び前記第2凸部が押し付けられることで、その弾発力により前記筒状隙間に充填された前記接着剤又は前記熱可塑性樹脂が固化する迄の間に、前記ロータシャフトと前記リング磁石とを芯出しする芯出しスリーブとを備えたことを特徴とするロータのリング磁石固定構造。 - 前記第1凸部は、前記ロータシャフトの周方向に均等配置されると共に、前記第2凸部は、前記リング磁石の周方向に均等配置され、前記筒状隙間の周方向に沿って前記第1凸部と前記第2凸部とが交互に並べられたことを特徴とする請求項1に記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記隣り合った前記第1凸部の間に、前記各第2凸部が突入していることを特徴とする請求項2に記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記リング磁石は、周方向に沿って前記第2凸部毎に磁極が交互に反転するように着磁されたことを特徴とする請求項2又は3に記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記芯出しスリーブは、形状記憶合金又は形状記憶樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記芯出しスリーブは筒状をなすと共に、前記芯出しスリーブには、その軸方向に延び、かつ、前記芯出しスリーブの全体に比べて強度が低い帯形塑性変形部が周方向に複数形成され、前記芯出しスリーブのうち前記帯形塑性変形部を挟んだ両側部分が、相反する方向にずれて前記帯形塑性変形部を塑性変形させたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記帯形塑性変形部は、前記芯出しスリーブの軸方向に複数のスリットを横並びに形成してなることを特徴とする請求項6に記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記芯出しスリーブは、ゴム製であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のロータのリング磁石固定構造。
- 前記請求項1乃至8の何れかに記載のロータのリング磁石固定構造を有するロータを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング用モータ。
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