JP2007318672A - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低明度部を再現する特色インクに対して適切な補色のインクを用いることにより、低明度部における高彩度な色再現を実現する。
【解決手段】デバイス2次色G−Kを、特色Gインクとこれを調色する基本色Yインクの混色からなる純色成分のインクで再現する。また、補色成分インクとして、特色RインクとKインクを用いる。これにより、再現ラインは、デバイス2次色G点からデバイスK点までほぼ直線状となって、G−Kラインの色の暗部の再現において、十分な彩度を得ることができる。
【選択図】図28
【解決手段】デバイス2次色G−Kを、特色Gインクとこれを調色する基本色Yインクの混色からなる純色成分のインクで再現する。また、補色成分インクとして、特色RインクとKインクを用いる。これにより、再現ラインは、デバイス2次色G点からデバイスK点までほぼ直線状となって、G−Kラインの色の暗部の再現において、十分な彩度を得ることができる。
【選択図】図28
Description
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、詳しくは、記録装置の色再現範囲における低明度部で特色記録剤を用いる色分解に関するものである。
画像情報(文字、記号等を含む)を記録媒体に形成する画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリとして、また、コンピュータ、ワードプロセッサなどで処理された情報の出力機器として知られている。このような画像形成装置では、紙やプラスチック薄板(OHP用紙)のような記録媒体に対して、記録機構を用いて画像情報に基づいた記録を行う。これらの記録方式の代表的な例としては、インクジェット方式、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式、レーザービームなどを利用した電子写真方式などがある。
このうち、インクジェット方式は、記録ヘッドからインクを液滴の形態で吐出し、これを記録媒体に着弾させてドットを形成し画像を形成する方式である。この方式を利用したインクジェットプリンタは、コンピュータ等の情報処理機器の出力装置として近年広く用いられている。
インクジェットプリンタでは、記録剤としてのインクに含有される色材として染料や顔料を用いる。この色材によるインク色として、減法混色の三原色となるシアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の基本色が用いられる。また、ブラック(K)を加えた4色を用いるシステムも一般的である。ブラックをさらに用いることによって記録媒体へのインク付与量低減や濃度向上を実現することができる。さらに、写真調の高画質出力用のシステムでは、シアンやマゼンタについて色材濃度の低い淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)を準基本色インクとして上記4色のインクに加えて使用することもある。これにより、記録画像のハイライト部の粒状感を低減できるなどの画質向上を実現できる。また、グレー(Gry)、淡グレー(淡Gry)のインクを同様に準基本色インクとしてさらに用いるプリンタシステムも知られている。
ところで、近年、カラープリンタの普及により、さらなる高画質への要求が高まっている。しかし、上記の基本色や準基本色のインクは再現できる色に限りがあり、比較的鮮やかな色の再現は難しい。そこで、レッド(R)、オレンジ(O)、グリーン(G)、ブルー(B)およびバイオレット(V)などの特色を上記基本色および準基本色に加えて用い、基本色および準基本色だけでは再現不可能な高彩度の色再現を実現している。
特許文献1には、基本色インクを用いて求めた色分解に対して、基本色インクのうちの2つと、この2つの基本色インクの混色によって得られる特色インクを交換することで、特色インクを使用する系の色分解方法が記載されている。すなわち、この特許文献1では、図1に示すようにMとYの間の色相について、基本色M、Yのインクの他に、特色Oインクを用い、色再現域の拡大を図る色分解が開示されている。
さらに、最近では、特色を用いるカラープリンタの中でも、写真家や写真のハイアマチュアを指向した写真画質の高いプリンタも広く用いられるようになってきている。このような高写真画質のプリンタでは、従来のカラープリンタでは注目されなかったような色領域についても緻密な色再現が要求される。その一例として、プリンタの色再現域暗部(低明度部)の微妙な階調表現がある。そしてこの暗部の微妙な階調表現を実現するために、プリンタの色再現域暗部における彩度が重要となってくる。
図2は、プリンタの色再現域をC*L*平面上に示す図である。例えば、プリンタ色再現域暗部の彩度が低い場合の色再現域は、その外郭が色再現ラインa1、b1〜b3で示され、一方、暗部の彩度が高い場合の色再現域は、色再現ラインb4、b5で示される。
図3および図4は、このような色再現域暗部の彩度の違いが画質に及ぼす影響を示す図であり、緑の蔦(ツタ:ivy)の写真画像を示している。図3および図4は、同じ写真画像の画像データを、それぞれ図2の再現ラインb1で示される暗部の彩度が低い色再現域を用いて記録した場合と、図2の色再現ラインb4で示される暗部の彩度が高いプリンタ色再現域を用いて記録した場合に対応している。記録されたそれぞれの画像は、明度が同等で彩度が異なるカラー画像であるが、本明細書では、白黒2値画像として説明するため、図3および図4は、彩度C*のみを取り出す処理をして白黒2値画像としたものとして表されている。
上述のとおり、図3は暗部の彩度が低い色再現域による緑の蔦の画像を示しており、図4は暗部の彩度が高い色再現域を用いた場合の緑の蔦の画像を示しているが、これらの図で、黒く示される部分は低彩度、白く示される部分は高彩度な領域となっている。ここで、図3の暗部の彩度が低い色再現域による画像(着目点P1)と、図4の暗部の彩度が高い色再現域による画像(着目点P2)とを比較すると、次のようである。図3の着目点P1では、蔦の葉の陰の部分が黒くつぶれ、細部を確認できなくなっているのに対し、図4の着目点P2では、蔦の葉の陰の部分についても白く高彩度に表現され、細部を確認することができる。ここでは、緑の蔦の画像を例として説明しているが、針葉樹の葉のような画像であれば、暗部の彩度如何によって確認できる葉の数が変わってくる。また、緑色に限らず、異なる色相の、例えば、動物や人の毛髪の画像についても同様のことが言える。
以上のように、プリンタ色域の暗部についても、より高彩度な色再現を行うことによって、より緻密な色再現(階調表現)が可能となる。
暗部の色再現にも留意した従来技術として、基本色色分解に関する特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2には、CMYKの4色プリンタにおいて、暗部におけるプリンタの色再現域の色域拡大を目的として、墨量を、打ち込み量(カバレッジ)制限内で最大色域が得られるように設定する技術が開示されている。
また、特色を用いる系において、上記のような暗部の色再現にも留意した従来技術として、特許文献3〜5に記載されたものが知られている。特許文献3〜5には、図5に示すような、高明度かつ高彩度を実現する特色(G)インクを使用する系が開示されている。すなわち、2次色を再現する場合に、特色インクによって再現域拡大が効果的に行われる高明度領域には特色インクを積極的に使用する。そして、低明度部(暗部)では、その特色インクを用いるよりも基本色インクの混色による方が色再現域を拡大できることがあることから、特色インクの使用を少なくし基本色の混色によって彩度を補うことが開示されている。図6はこの色分解の一例を示す図である。同図に示すように、このような特許文献3などに開示される色分解によれば、明るい領域について図5の特色(G)インクを用い、暗い領域について主にCインクとYインクを用いて色再現を行う。
さらに、特許文献6、7には、高明度かつ高彩度を実現する特色インクを使用する系において、特色の色相の反対の色相の低明度部に、その特色を基本色の補色成分として用いることにより、暗部の色再現域の拡大を図る色分解が記載されている。図7は、この色分解の一例を示す図である。同図に示すように、特色Redの色相の反対の色相となる1次色Cyan−blacKを、基本色Cインクの補色成分として特色Rインクを用いて色再現している。また、これらの特許文献は、図7に示すように、2次色Red−blacKを、特色Rインクとともに基本色Cインクと準基本色Kインクを補色成分として用いて再現することも記載されている。
以上説明した従来の色分解は、しかしながら、低明度部の彩度をより高いものとする点で十分でない場合がある。
特許文献1は、プリンタの色再現域における暗部の再現域拡大を実現する色分解についてなんら開示していない。また、特許文献2は、暗部の再現域拡大に留意した色分解が開示されているものの、特色を用いずに基本色だけを用いるものである。このため、暗部における十分な彩度の向上は期待できない。また、特許文献3〜5は、基本的に暗部において特色インクを少なくする色分解に係るものである。このため、同様に暗部における十分な彩度の向上は期待できない。
一方、特許文献6、7には、上述のとおり、2次色Red−blacKの暗部を、その2次色と同じ色相の特色Rインクと基本色M、Yインクを用いるとともに、K、Cインクを補色として用いて再現することが記載されている。この色分解によれば、暗部(低明度部)の色再現域の拡大を図ることができる。
しかしながら、この色分解は、補色成分として基本色と準基本色を用いていることから、反射スペクトルの観点でこれら補色が特色に対する理想的な補色となっていない場合がある。その結果、明度を十分に下げつつ彩度を低下を招かないという色再現を実現することができず、暗部における高彩度を実現できないことがある。
本発明は、上述した観点からなされたものであり、その目的とするところは、低明度部を再現する特色記録剤に対して適切な補色の記録剤を用いることにより、低明度部における高彩度な色再現を実現できる画像処理装置および画像処理方法を提供することにある。
そのために本発明では、色再現に用いる記録剤として、3原色に対応した基本色記録剤とは異なる色相を示す特色記録剤の量を定める色分解処理を実行する画像処理装置であって、第1の特色記録剤(図28、32:Gインク、図33:Rインク)を用いて再現する色(図28、32:Green−blacK、図33:Magenta−blacKの色)であって、当該色において最大彩度を与える色の明度より低明度側の色を、前記第1の特色記録剤とともに第2の特色記録剤(図28、32:Rインク、図33:Gインク)を用いて再現するように、当該第1および第2の特色記録剤それぞれの量を定める色分解手段を具えたことを特徴とする。
また、色再現に用いる記録剤として、3原色に対応した基本色記録剤とは異なる色相を示す特色記録剤の量を定める色分解処理を実行するための画像処理方法であって、第1の特色記録剤(図28、32:Gインク、図33:Rインク)を用いて再現する色(図28、32:Green−blacK、図33:Magenta−blacKの色)であって、当該色において最大彩度を与える色の明度より低明度側の色を、前記第1の特色記録剤とともに第2の特色記録剤(図28、32:Rインク、図33:Gインク)を用いて再現するように、当該第1および第2の特色記録剤それぞれの量を定める色分解工程を有したことを特徴とする。
また、本発明は、3原色に対応した基本色記録剤と、前記基本色記録剤とは異なる色相を示す特色記録剤を用いて記録を実行可能な記録装置であって、第1の特色記録剤の最大彩度を示す色から黒に至る色再現ラインを再現する場合に、第1の特色記録剤の他に第2の特色記録剤を用いることを特徴とする。
以上の構成によれば、第1の特色記録剤を用いて再現する色の低明度の色を、第2の特色記録剤を補色として用いるので、明度を効果的に低下させるとともに、彩度の低下を抑制することができる。これにより、特色記録剤で再現する色再現域の暗部においても高彩度の色再現が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
用語の定義
最初に、本明細書で用いる用語について以下のように定義する。
最初に、本明細書で用いる用語について以下のように定義する。
(1次色、2次色)
ディスプレイやプリンタなどのデバイスが扱う色信号の3原色にあたるものをデバイス1次色、このデバイス1次色のうち任意の2色を混色したものをデバイス2次色という。これは、以下で説明するように狭義の1、2次色である。
ディスプレイやプリンタなどのデバイスが扱う色信号の3原色にあたるものをデバイス1次色、このデバイス1次色のうち任意の2色を混色したものをデバイス2次色という。これは、以下で説明するように狭義の1、2次色である。
加法混色によって発色するディスプレイでは色R、G、Bがデバイス1次色であり、色C(=G+B)、M(=R+B)、Y(=R+G)がデバイス2次色である。図17にて後述する画像処理構成における色補正処理部101で入力色信号(R、G、B)によって特定される色のうち、R、G、Bはデバイス1次色であり、C、M、Yはデバイス2次色である。
また、減法混色によって発色するプリンタでは、色C、M、Yが1次色、色R(=M+Y)、G(=C+Y)、B(=C+M)が2次色である。図17にて同様に後述する色変換処理部102で入力色信号(R、G、B)によって特定される色のうち、色C、M、Yはデバイス1次色であり、色R、G、Bはデバイス2次色である。
一方、広義には、デバイスが持つ原色、すなわち、デバイスが単色記録によって再現できる色を1次色、これらの原色のうち任意の2色の混色を2次色という。
本明細書では、以上の狭義と広義の1次色、2次色の混同を避けるべく、狭義の1、2次色をそれぞれデバイス1、2次色、広義の1、2次色を単に1、2次色という。
さらに、プリンタのインクの出力データを生成する色分解処理を記載する本明細書では、色分解テーブルにおいて、図18のW−C−K、W−M−K、W−Y−Kライン上の点(格子点を含む)を定める色信号で特定される色をデバイス1次色ということができる。同様に、図18のW−R−K、W−G−K、W−B−Kライン上の点(格子点を含む)の色信号で特定される色をデバイス2次色とする。
(基本色インク(記録剤)と準基本色インク(記録剤))
本明細書では、減法混色の3原色であるCMYの3色のインクを基本色インク、これと同系色であるか、または無彩色であるLC、LM、Gry、LGry、Kのインクを準基本色インクと呼ぶ。
本明細書では、減法混色の3原色であるCMYの3色のインクを基本色インク、これと同系色であるか、または無彩色であるLC、LM、Gry、LGry、Kのインクを準基本色インクと呼ぶ。
(人間の視覚特性に即した色空間)
本明細書では、色再現域の比較や色相の特定に際して、人間の視覚特性に即した色空間としてCIE−L*a*b*空間を用いているが、これに限られるものではない。例えば、XYZ、CIE−L*a*b*、L*u*v*、マンセル表色系、Yxy、L*C*h*などの任意の色空間を用いることができる。本明細書に記載のCIE−L*a*b*色空間によって規定されている部分は、もちろんCIE−L*a*b*色空間以外の上述した色空間を用いて規定することもできる。
本明細書では、色再現域の比較や色相の特定に際して、人間の視覚特性に即した色空間としてCIE−L*a*b*空間を用いているが、これに限られるものではない。例えば、XYZ、CIE−L*a*b*、L*u*v*、マンセル表色系、Yxy、L*C*h*などの任意の色空間を用いることができる。本明細書に記載のCIE−L*a*b*色空間によって規定されている部分は、もちろんCIE−L*a*b*色空間以外の上述した色空間を用いて規定することもできる。
(淡インク)
インクジェットプリンタにおいて、紙面上のドット充填率の低いハイライト部でのドットの粒状感を低減するため、通常用いられるレギュラーインク(濃インク)と略同系色で色材濃度の低いインクが用いられる。シアン(C)に対する淡シアン(LC)、マゼンタ(M)に対する淡マゼンタ(LM)が一般的であるが、グレー(Gry)に対する淡グレー(LGry)なども用いられることがある。濃インクと淡インクそれぞれのインク組成は、色材濃度が異なるだけの場合もあるし、色材自体が異なるものを用いる場合がある。従って、濃、淡インクは略同系色だが、若干色が異なることもある。淡インク以外の呼称として、フォトインク、ライトインクなどがある。
インクジェットプリンタにおいて、紙面上のドット充填率の低いハイライト部でのドットの粒状感を低減するため、通常用いられるレギュラーインク(濃インク)と略同系色で色材濃度の低いインクが用いられる。シアン(C)に対する淡シアン(LC)、マゼンタ(M)に対する淡マゼンタ(LM)が一般的であるが、グレー(Gry)に対する淡グレー(LGry)なども用いられることがある。濃インクと淡インクそれぞれのインク組成は、色材濃度が異なるだけの場合もあるし、色材自体が異なるものを用いる場合がある。従って、濃、淡インクは略同系色だが、若干色が異なることもある。淡インク以外の呼称として、フォトインク、ライトインクなどがある。
(特色)
本明細書において「特色」とは、広義には、基本色記録剤であるイエロー、マゼンタ、シアンの色相とは異なる色のことを指す。また、狭義には、CIE−L*a*b*色空間において、マゼンタ、イエロー、シアンの基本色記録剤のうちの任意の2つの記録剤の組み合わせにより記録媒体上に表現される色再現領域よりも高い彩度を表現でき、かつ上記任意の2つの記録剤の組み合わせにより表現される色再現領域内の色相角を示す色のことを指す。
本明細書において「特色」とは、広義には、基本色記録剤であるイエロー、マゼンタ、シアンの色相とは異なる色のことを指す。また、狭義には、CIE−L*a*b*色空間において、マゼンタ、イエロー、シアンの基本色記録剤のうちの任意の2つの記録剤の組み合わせにより記録媒体上に表現される色再現領域よりも高い彩度を表現でき、かつ上記任意の2つの記録剤の組み合わせにより表現される色再現領域内の色相角を示す色のことを指す。
本発明を適用する上で、上述した狭義の意味の「特色」の記録剤を用いることが好ましいが、広義の意味の「特色」の記録剤を使用することもできる。また、本明細書では、特色インクとして、Y−C間の色相の特色Gインク、C−M間の色相の特色Bインクおよび特色Vインク、M−Y間の色相の特色Rインクおよび特色Oインクを例として用いる。
(打ち込み量)
本明細書において、「打ち込み量」とは、単色のインクによって単位面積あたりに付与されるインク付与量のことを指す。総打ち込み量とは、色分解テーブルに応じて使用されるインク種すべてでの打ち込み量の総量のことを指す。なお、(インク)デューティー、(インク)付与量、(インク)塗布量なども同義に用いられる。
本明細書において、「打ち込み量」とは、単色のインクによって単位面積あたりに付与されるインク付与量のことを指す。総打ち込み量とは、色分解テーブルに応じて使用されるインク種すべてでの打ち込み量の総量のことを指す。なお、(インク)デューティー、(インク)付与量、(インク)塗布量なども同義に用いられる。
記録媒体が受容可能なインク打ち込み総量には上限があり、単位面積、単位時間あたりに付与されるインク量や、インク物性、記録媒体物性に応じて、異なる値となる。この上限は、一般に、記録解像度が高ければ高いほど、高速記録によって単位時間あたりのインク付与量が多ければ多いほど、インク物性として浸透度が低ければ低いほど、記録媒体特性としてインク受容層が薄ければ薄いほど、少なくなる傾向にある。
(混色と混合)
本明細書において、「混色」とは、面積変調方式によって、複数色のインクが紙面に記録される状態を指す。例えば染料系インクを用いて先に記録したインクが十分に乾燥する前に記録されるような場合には、この「混色」という表現が適当である。これに対し、顔料系のように先に記録したインクの上に次のインクが記録されると後に記録されたインクが先に記録されたインクを覆ってしまうような場合には、「積層」という表現が適当であるが、本明細書では、記載する内容に応じて選択的に用いる。
本明細書において、「混色」とは、面積変調方式によって、複数色のインクが紙面に記録される状態を指す。例えば染料系インクを用いて先に記録したインクが十分に乾燥する前に記録されるような場合には、この「混色」という表現が適当である。これに対し、顔料系のように先に記録したインクの上に次のインクが記録されると後に記録されたインクが先に記録されたインクを覆ってしまうような場合には、「積層」という表現が適当であるが、本明細書では、記載する内容に応じて選択的に用いる。
また、本明細書において「混合」インクとは、複数種のインクがインク液滴の状態で混合されたものを指す。これは上記の染料系インクにおける「混色」と類似の意味となるが、本明細書では、対象とする色剤を染料に限定しないので、意識的に両者を区別して用いる。
(色の名称)
本明細書では、色の名称として以下を使用し、それぞれ記載する内容に応じて選択的に用いる。
本明細書では、色の名称として以下を使用し、それぞれ記載する内容に応じて選択的に用いる。
White、W、ホワイトは、白のことを示す。Black、Bk,K、ブラックは、黒のことを示す。Cyan、Cは、シアンのことを示す。Magenta、Mは、マゼンタのことを示す。Yellow、Y、イエローは、黄のことを示す。Red,R,レッドは、赤のことを示す。Green,G,グリーンは、緑のことを示す。Blue,B,ブルーは、青のことを示す。Orange、O,オレンジは、橙のことを示す。Violet、V,バイオレットは、紫のことを示す。LightCyan、LC、PC,ライトシアン、フォトシアンは、淡シアンのことを示す。LightMagenta、LM、PM,ライトマゼンタ、フォトマゼンタは、淡マゼンタのことを示す。Gray,Gry,グレイは、灰のことを示す。LightGray,LightGry、LGry、ライトグレイ、フォトグレイは、淡灰のことを示す。
(純色と補色)
本明細書では、特定の色に対して、混色させたときに彩度および明度のうち少なくともいずれかを下げる効果のある色を補色といい、彩度などが下げられる方の上記特定の色を純色という。例えば、特色Rに対する基本色Cのように、単独で補色となるようなインクが存在する場合もあるが、基本色Cに対する基本色Mと基本色Yの両方のように、補色が複数色の混色となることがある。本明細書では、このように複数色の混色が本来の意味での補色となる場合、これら複数色のそれぞれの色についても、補色と呼ぶものとする。
本明細書では、特定の色に対して、混色させたときに彩度および明度のうち少なくともいずれかを下げる効果のある色を補色といい、彩度などが下げられる方の上記特定の色を純色という。例えば、特色Rに対する基本色Cのように、単独で補色となるようなインクが存在する場合もあるが、基本色Cに対する基本色Mと基本色Yの両方のように、補色が複数色の混色となることがある。本明細書では、このように複数色の混色が本来の意味での補色となる場合、これら複数色のそれぞれの色についても、補色と呼ぶものとする。
例えば、次のようなものが、それぞれ純色と補色、または、補色と純色の関係にある。基本色Cに対する特色Rまたは特色O、基本色Mと基本色Y。基本色Mに対する特色G,基本色Cと基本色Y。基本色Yに対する特色Bまたは特色V,基本色Cと基本色Mなどである。
色彩工学に関する事項
次に、本明細書の説明で用いる色彩工学に関するいくつかの事項について簡単に説明する。
次に、本明細書の説明で用いる色彩工学に関するいくつかの事項について簡単に説明する。
(反射原稿の発色とその知覚メカニズム)
図8は、反射原稿における色の知覚メカニズムを説明する模式図である。図8に示す領域A、B、Cは、それぞれ、光の照射、原稿による吸光と一部の帯域の反射、人間の視覚による認識に対応している。以下ではグリーンの測定用パッチが記録された反射原稿を白色光下で観察した場合について、発色とその知覚のメカニズムを説明する。
図8は、反射原稿における色の知覚メカニズムを説明する模式図である。図8に示す領域A、B、Cは、それぞれ、光の照射、原稿による吸光と一部の帯域の反射、人間の視覚による認識に対応している。以下ではグリーンの測定用パッチが記録された反射原稿を白色光下で観察した場合について、発色とその知覚のメカニズムを説明する。
白色光源501からは、長波長の可視光(赤色の光)502、中波長の可視光(緑色の光)503、短波長の可視光(青色の光)504が混在して放射されている。
白色光源501からの光は、反射原稿506の着目するパッチ505に入射し、その一部である長波長の光502と短波長の光504が吸収される。一方で、吸収されなかった中波長の光503が、原稿から反射し、反射光507として人間の目508に届く。
白色光は、グラフ509およびその詳細な図9に示すように、視覚に感ずる380[nm]から730[nm]の波長帯域全域について放射されるものである。一方、パッチ部の反射特性はグラフ510およびその詳細な図10に示すように短波長と長波長をカットし、かつ中波長域を通過させるバンドパスフィルタとなっている。従って、白色光505は、バンドパスフィルタの特性510によって、短波長904と長波長902をカットされ、中波長域(グリーン色の領域)907のみが残り、人間の目508に届く。
人間の目508に入射した光は、グラフ511およびその詳細な図11に示す3種の異なる応答特性を持つ等色関数に従って知覚される。中波長域の光507は、500[nm]付近にピークをもつことから、z等色関数には、ほとんどかからないが、y等色関数、x等色関数の順に強く知覚される。
これらの光の照射と反射および光の認識の過程は、波長λについての積分を用いて、以下の式−数1、数2、数3で表される。
概略、X値は主にレッド領域、Y値はグリーン領域、Z値はブルー領域の光に対して応答するものであり、特にY値は、明るさも示している。
さらに、色空間におけるユークリッド距離が色の違い(色差)と一致する均等色空間となるように変形した座標値(L*、a*、b*)は、以下の、式−数4を使用して、式−数5、数6、数7で表される。
(スペクトルと色再現)
図12、図13および図14は、波長ごとに、xyz等色関数と、反射原稿からの反射光(白色光源下の場合、原稿の分光反射率と同様の傾向を示す)を比較して示す図である。図の横軸に対して、下側が三刺激値、上側が反射光の放射エネルギー(∝分光反射率)となっている。なお、反射光がない状態が黒で、図中に示した「紙白」が白である。
図12、図13および図14は、波長ごとに、xyz等色関数と、反射原稿からの反射光(白色光源下の場合、原稿の分光反射率と同様の傾向を示す)を比較して示す図である。図の横軸に対して、下側が三刺激値、上側が反射光の放射エネルギー(∝分光反射率)となっている。なお、反射光がない状態が黒で、図中に示した「紙白」が白である。
(スペクトルと明度)
明るさ(明度)は、Y値であらわされる。式−数2で示すY値を大きく(明るく)するには、y等色関数の応答が活発な帯域で、より大きな振幅の光を当てればよい。従って、図12において、波長帯域が同じ場合、振幅が小さい反射光901は暗く、振幅が大きい光902は明るい。なお、明度は、L*a*b*表色系において、L*で表される。
明るさ(明度)は、Y値であらわされる。式−数2で示すY値を大きく(明るく)するには、y等色関数の応答が活発な帯域で、より大きな振幅の光を当てればよい。従って、図12において、波長帯域が同じ場合、振幅が小さい反射光901は暗く、振幅が大きい光902は明るい。なお、明度は、L*a*b*表色系において、L*で表される。
(スペクトルと色相)
色合いを示す色相は、反射光の放射(波長)帯域による。図13において、振幅、波長帯域幅が同じ場合、短波長域にある反射光1001は青く、波長が長くなるにしたがって、緑、黄へとシフトし、より長波長域にある反射光1002は赤い。なお、色相は、L*a*b*表色系では、以下の式−数9の色相角θであらわされる。
色合いを示す色相は、反射光の放射(波長)帯域による。図13において、振幅、波長帯域幅が同じ場合、短波長域にある反射光1001は青く、波長が長くなるにしたがって、緑、黄へとシフトし、より長波長域にある反射光1002は赤い。なお、色相は、L*a*b*表色系では、以下の式−数9の色相角θであらわされる。
(スペクトルと彩度)
鮮やかさを示す彩度は、反射光の帯域幅の狭さと振幅の高さによる。図14において、同じ振幅の場合、帯域の広い反射光1101は、より多くの色相の光の重ね合わせとなっていることから彩度が低く、帯域の狭い反射光1102は彩度が高い。また、同じ帯域幅の場合、振幅の小さい反射光1102よりも、振幅の大きい反射光1103の方が彩度が高い。なお、彩度は、L*a*b*表色系では、以下の式−数8の彩度C*であらわされる。
鮮やかさを示す彩度は、反射光の帯域幅の狭さと振幅の高さによる。図14において、同じ振幅の場合、帯域の広い反射光1101は、より多くの色相の光の重ね合わせとなっていることから彩度が低く、帯域の狭い反射光1102は彩度が高い。また、同じ帯域幅の場合、振幅の小さい反射光1102よりも、振幅の大きい反射光1103の方が彩度が高い。なお、彩度は、L*a*b*表色系では、以下の式−数8の彩度C*であらわされる。
(インクの混色とスペクトル)
インクジェットプリンタなどの面積変調型の記録方式では、紙面をミクロに見ると、紙白がそのまま露出している部分、第1のインクによって覆われている部分、第2のインクによって覆われている部分、第1のインクと第2のインクが紙面上で混ざったり(混色)重なったり(積層)している部分、それぞれと同じインクが重なっている部分などが混在し、紙面に対して層状にはなっていない。また、染料のような色材分子が小さく浸透度の高いインクの場合は、紙面深さ方向にもインクは広がりを持ち、かつ紙面深くに浸透したインクも色再現に影響を及ぼす。これに対し、顔料のような色材分子が大きく、浸透度の低いインク滴は比較的紙面上にとどまり、また、表面の色剤が比較的優勢になりがちである。さらに、紙面のインク滴がオプティカルドットゲインを生じさせることからもわかるように、記録されたインクドットの上に照射された光以外に、インクドットのない領域に照射された光も紙面上を伝ってインクに吸光されることがある。このため、紙面上のインクドットの色再現とメカニズムを精確に捉えることは容易ではない。
インクジェットプリンタなどの面積変調型の記録方式では、紙面をミクロに見ると、紙白がそのまま露出している部分、第1のインクによって覆われている部分、第2のインクによって覆われている部分、第1のインクと第2のインクが紙面上で混ざったり(混色)重なったり(積層)している部分、それぞれと同じインクが重なっている部分などが混在し、紙面に対して層状にはなっていない。また、染料のような色材分子が小さく浸透度の高いインクの場合は、紙面深さ方向にもインクは広がりを持ち、かつ紙面深くに浸透したインクも色再現に影響を及ぼす。これに対し、顔料のような色材分子が大きく、浸透度の低いインク滴は比較的紙面上にとどまり、また、表面の色剤が比較的優勢になりがちである。さらに、紙面のインク滴がオプティカルドットゲインを生じさせることからもわかるように、記録されたインクドットの上に照射された光以外に、インクドットのない領域に照射された光も紙面上を伝ってインクに吸光されることがある。このため、紙面上のインクドットの色再現とメカニズムを精確に捉えることは容易ではない。
しかし、インクの混色とスペクトルの関係を概略で捉えるには、第1層のインクによってフィルタリング(吸光)された後で、第2層のインクによってフィルタリングされると考えることができる。なお、ここで厳密には、第1層で吸光された光は、第2層の特性に関わらず紙面から反射されることはないはずであるから、紙面上の記録状態が層状となっている場合には、層の順番が重要である。
以下、本発明の一実施形態に係る色分解処理について詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は発明を説明するための一例にすぎず、本発明の範囲を制限するものではないことはもちろんである。
<第1の実施形態>
図15は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタとホストコンピュータを有して構成される記録システムの概略構成を示す図である。図15において、インクジェットプリンタ13には、複数(7色)のヘッドカートリッジ(記録部)1A、1B、1C、1D、1E、1F,1Gが、キャリッジ2に着脱可能に搭載されている。なお、複数の記録部1A〜1Gの全体または任意の一つを指す場合、単に記録部(記録ヘッドまたはヘッドカートリッジ)1で示すことにする。
図15は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタとホストコンピュータを有して構成される記録システムの概略構成を示す図である。図15において、インクジェットプリンタ13には、複数(7色)のヘッドカートリッジ(記録部)1A、1B、1C、1D、1E、1F,1Gが、キャリッジ2に着脱可能に搭載されている。なお、複数の記録部1A〜1Gの全体または任意の一つを指す場合、単に記録部(記録ヘッドまたはヘッドカートリッジ)1で示すことにする。
各ヘッドカートリッジ1は、それぞれ、上部にインクタンク部を、下部に記録ヘッド部(インク吐出部)を有しており、記録ヘッドとインクタンクを一体化した構造を有している。なお、記録ヘッドとインクタンクが相互に着脱できる構成であってもよいことはもちろんである。それぞれの記録部1はキャリッジ2に位置決めして交換可能なように搭載されており、各記録部1のそれぞれには、記録ヘッド部を駆動するための信号などを受けるためのコネクター(不図示)が設けられている。一方、キャリッジ2には、上記コネクターを介して各記録部1に駆動信号等を伝達するためのコネクターホルダー(電気接続部)が設けられている。そして、キャリジ2上の各記録部1と装置本体側の制御回路とは、信号パルス電流や温調用電流を流すためのフレキシブルケーブルで接続される。
各ヘッドカートリッジ1A〜1Gはそれぞれのインクタンク部に、1AはKのインク、1B、1C、1DはそれぞれC、M、Yのインク、1E、1F、1Gにはそれぞれ、R、G、Bのインクが収納されている。また、各記録ヘッド部それぞれの記録媒体8と対向する面(図示の例では、不図示の下向きの面)に、インクを吐出するための吐出口が所定の配列を成して形成され、それぞれ収納されたインクを吐出することができる。
キャリッジ2は、主走査方向に延在させて装置本体に設置されたガイドシャフト3に沿って往復移動が可能なように案内支持されている。そして、キャリッジ2は、主走査モータ4によって、モータプーリ5、従動プーリ6およびタイミングベルト7を介して駆動され、その位置、速度が制御されて移動する。用紙やプラスチックシート等の記録媒体8は、2組の搬送ローラ対9、10および11、12の間で挟持され、これらの搬送ローラの回転により記録ヘッド1の吐出口面と対向する位置(記録部)を通って搬送(紙送り)される。なお、記録媒体8は、記録部において平坦な記録面を形成するように、その裏面をプラテン(不図示)により支持されている。この場合、キャリッジ2に搭載された各ヘッドカートリッジ1は、それらの吐出口面がキャリッジ2から下方へ突出して上記2組の搬送ローラ対の間で記録媒体8と平行になるように保持されている。
これらが一体となって構成されたインクジェットプリンタ13は、ホストコンピュータ14にケーブル15を介して接続され、ホストコンピュータ14内にインストールされたプリンタドライバによって制御される。
図16は、図15に示した記録システムの主にホストコンピュータの構成を示すブロック図である。ホストコンピュータ14は、CPU202、RAMやROMなどのメモリ203、ハードディスクなどの外部記憶装置204を備える。さらに、キーボードやマウスなどの入力デバイスが接続される入カ部205やプリンタなどの周辺機器が接続可能なインターフェイス206を備える。これらの各部はシステムバスを介して相互に接続されている。CPU202は、メモリ203に格納されたプログラムを実行することにより、図17にて後述する画像処理を実行する。このプログラムは外部記憶204などに記憶されており、必要に応じて外部装置204からメモリ203に供給される。
ホストコンピュータ14は、インターフェイス206を介してプリンタ13に接続され、画像処理を施した画像データをプリンタ13に送り、記録動作を行わせる。
図17は、ホストコンピュータ14において実行される画像処理の主要な機能を示すブロック図であり、入力されるR、G、B各色8ビット(256階調)の画像データをC、M、Y、K、R、G、B各色1ビットの記録データとして出力する処理を示している。なお、この処理は、ホストコンピュータ14上で動作するプリンタドライバとして実現される。
入力データであるR、G、B各色8ビットの画像データは、色補正処理部101で、プリンタ13が再現できる色域色であるR、G、B各色8ビットの画像データに補正される。この処理は3次元ルックアップテーブル(LUT)を用い、補間演算を併用して行われる。具体的には、例えばsRGBモニタによる色再現など所望の色再現を得るために、ガマットマッピング技術を用いて、プリンタ13の色再現域を、L*a*b*などの均等色空間上で、適切な色目標に結びつけるカラーマッチングを行う。このガマットマッピング技術は、公知のものを用いることができる。なお、色補正処理は、必ずしもテーブルを用いて行う必要はなく、適切な線形、非線形な色補正関数によって色補正処理を行ってもよい。
次に、色変換処理部102では、図28などにて後述される色分解処理が行われ、RGB画像データが、C、M、Y、K、R、G、B各色8ビットの画像データに変換される。この処理も3次元LUTに補間演算を併用して行う。この処理によって、色信号RGBで表される画像をプリンタを用いて再現する際のインクの色信号C、M、Y、K、R、G、Bの組合せが定まる。
色変換処理によって得られたC、M、Y、K、R、G、B各色8ビットの画像データは、出力ガンマ補正部103で、1次元LUTを用いて出力ガンマ補正が施される。出力ガンマ補正は、多くの場合、線形にならない単位面積当りの記録ドット数と出力特性(反射濃度等)との関係を補正して、入力されるC、M、Y、K、R、G、B各色8ビットの画像データと、形成される画像の出力特性との線形関係を保証するものである。
さらに、C、M、Y、K、R、G、B各色8ビットの画像データは、量子化処理部104で、プリンタ13の記録機構に応じて量子化される。例えば、プリンタ13が2値プリンタであれば、C、M、Y、K、R、G、B各色1ビットのデータに量子化(2値化)される。この量子化方法は、公知の誤差拡散法やディザ法を用いることができる。なお、この量子化処理では、例えば4値などの2値より大きな量子化を行い、プリンタにおいて、その4値のデータに基づいてドットパターン展開を行うことにより、最終的に記録ヘッドを駆動するための2値データを得るような形態であってもよい。
色分解方法
色変換処理部102(図17)で用いられる3次元LUT形態の色分解テーブルの作成は、次のように行われる。最初に、図18に示す立方体においてLUTの格子点を規定する。本実施形態では、LUTの格子点は、入力するRGB各8ビットデータのうち、例えば上位4ビットによって規定される。この場合、RGB信号に応じて、図18に示す立方体で24×24×24個の格子点が規定される。また、入力するRGB各8ビットデータのうち下位4ビットのデータは、補間演算における重み付け(内分比)データとして用いられる。ここで、図18における格子点Whiteは、色信号の組(R、G、B)が(255、255、255)で特定される点(格子点)である。同様に、Cyanは(0、255、255)、Mgentaは(255、0、255)、Yellowは(255、255、0)でそれぞれ特定される点である。さらに、Redは(255、0、0)、Greenは(0、255、0)、Blueは(0、0、255)でそれぞれ特定される点である。また、blacKは(0、0、0)で特定される点である。
色変換処理部102(図17)で用いられる3次元LUT形態の色分解テーブルの作成は、次のように行われる。最初に、図18に示す立方体においてLUTの格子点を規定する。本実施形態では、LUTの格子点は、入力するRGB各8ビットデータのうち、例えば上位4ビットによって規定される。この場合、RGB信号に応じて、図18に示す立方体で24×24×24個の格子点が規定される。また、入力するRGB各8ビットデータのうち下位4ビットのデータは、補間演算における重み付け(内分比)データとして用いられる。ここで、図18における格子点Whiteは、色信号の組(R、G、B)が(255、255、255)で特定される点(格子点)である。同様に、Cyanは(0、255、255)、Mgentaは(255、0、255)、Yellowは(255、255、0)でそれぞれ特定される点である。さらに、Redは(255、0、0)、Greenは(0、255、0)、Blueは(0、0、255)でそれぞれ特定される点である。また、blacKは(0、0、0)で特定される点である。
次に、このような格子点が規定された図18の立方体において、本実施形態の色分解方法によってインク量(Y、M、C、K、R、G、B各8ビットの値)を定める格子点を選択する。詳細には、図18における、W−C(B、M,R,Y,G)なるライン、C(B、M、R、Y、G)−Kなるライン、C−B、C−G、B−M、M−R、R−Y、Y−Gの各ラインおよびW−Kラインそれぞれにおける格子点について、色分解処理を行い、インク量を決定する。この決定された格子点データとしての各色インク量の組合せはそれぞれの格子点に対応付けてテーブルデータとして格納される。
さらに、上記のように定めた各ラインの格子点データに基づき、立方体において上記のライン以外の格子点のインク量を補間によって求める。この方法としては、例えば、特許文献8に開示されているような補間技術を用いることができる。これら求めたライン以外の格子点データも、同様に格子点に対応させて格納される。
本発明の実施形態は、図18に示すG−Kライン42上の色として規定されるようなデバイス2次色の低明度部の色分解において、特色記録剤を補色として用いるものである。以下、この色分解を、補色として基本色や準基本色の記録剤を用いる場合と比較しつつ説明する。
なお、ここで、上記G−Kライン42上の2次色を再現する特色Gインクとして、明度および彩度の高いものを用いている。以下の比較例および実施形態に係る色分解は、上記G−Kラインの色分解を、特色Gインクと、基本色C、Yインクを共通に用いる。そして、これらに加えて、それぞれの例ごとに補色成分として用いる記録剤を異ならせた色分解について説明する。
比較例1:特色なし色分解A1
図19は、特色を使用しないC、M、Y、K、LC、LMの6色インクシステムにおける、図18のG−Kラインの色分解を示す図である。
図19は、特色を使用しないC、M、Y、K、LC、LMの6色インクシステムにおける、図18のG−Kラインの色分解を示す図である。
図19において、横軸の左端がデバイス2次色G((R,G,B)=(0,255,0))であり、横軸の右端が、デバイスK((R,G,B)=(0,0,0))であり、縦軸は各色インク量を示している。
この例では、G−Kラインのデバイス2次色は、基本的に、基本色Cインクと基本色Yインクの混色からなる純色成分で構成される。この純色成分はデバイスKにいたる直前までほぼ一定を保ち、デバイスK直前で減少し、デバイスKで0となる。
このG−Kラインの補色成分は、LM、M、Kが用いられている。デバイス2次色Gから、粒状度を保ちつつ明度と彩度を同時に下げるためにLMを使用し、Mを加えてもドットが目立たなくなるところでMに切り替わる。続いてMを増加させることで明度と彩度を同時に下げ、さらにKを加えてもドットが目立たなくなることころでKが入り始める。以降、KはデバイスKまで単調増加する。
この色分解A1による色再現は、図2、図20および図21において再現ラインa1のようになる。これらの図からわかるように、特色なしの色分解A1では、G−Kラインの色相はほぼ所望の色相となるものの、全体的に彩度が低く、特に、暗部に関してはこの傾向が顕著になる(図2)。
比較例2:補色成分がKのみで純色成分を比較例3および4とそろえた(G−Kラインの色相調整をしない)色分解A2
図22は、特色Gインクを含むC、Y、K、Gの4色のインクを用いた、上記G−Kラインの色分解として、補色成分にKのみを用いる場合について示す図である。なお、ここでは、比較のために純色成分を固定し、G−Kラインの色相調整は行わず、単に補色成分だけを変更した色分解を示している。
図22は、特色Gインクを含むC、Y、K、Gの4色のインクを用いた、上記G−Kラインの色分解として、補色成分にKのみを用いる場合について示す図である。なお、ここでは、比較のために純色成分を固定し、G−Kラインの色相調整は行わず、単に補色成分だけを変更した色分解を示している。
図22に示すように、デバイス2次色Gは、特色Gインクとこれを調色する基本色Yインクの混色からなる純色成分で構成される。そして、暗部に近づくにつれて特色Gインクを減らし、基本色Cインクおよび基本色Yインクを一旦増加させた後、デバイスK直前で彩度と明度を下げるために減らすようにしている。なお、ここで、基本色Yインクは基本色Cインクよりも早くインク量を減少させているが、これは、暗部の色相を調整した結果このようになっている。
この例では、補色成分としてKインクを使用しているが、Kインクは、デバイス2次色G点より少し暗くなったところから入り始め、デバイスK点まで単調増加する。なお、ここでKインクの入りだし部がデバイス2次色G点ではなく、少し暗くなったところからとなっているのは、明るく彩度の高い特色Gインクを減らして、基本色Cインクと基本色Yインクの混色におきかえるだけで明度、彩度ともに低下するからである。
この色分解A2による色再現は、図21のa*b*平面における再現ラインa2のようになる。図からわかるように、色分解A2では、G−Kラインの色相は、所望の色相から比較的大きくずれてしまう。
比較例3:補色成分がGryとKで、純色成分を比較例2および4とそろえた色分解A3
図23は、特色Gインクを含むC、Y、K、G、Gryの5色インクを用いた、上記G−Kラインの色分解として、補色成分にGryとKを使用する場合を示す図である。本例でも、比較のために純色成分を固定し、G−Kラインの色相調整は行わず、単に補色成分だけを変更している。
図23は、特色Gインクを含むC、Y、K、G、Gryの5色インクを用いた、上記G−Kラインの色分解として、補色成分にGryとKを使用する場合を示す図である。本例でも、比較のために純色成分を固定し、G−Kラインの色相調整は行わず、単に補色成分だけを変更している。
純色成分のインク使用量については、上記比較例2に係る図22の場合と同様である。
図23に示す例では、補色成分としてGryインクとKインクを用いている。上述の特色Gと基本色C,Yとの交換によって、デバイス2次色G点から暫くは、明度と彩度が低下する。その後、補色成分が加わる。粒状度を保ちつつ明度と彩度を同時に下げるためにGryインクを使用し、Kインクを加えてもドットが目立たなくなるところでKインクを用い始める。以降、KインクはデバイスKまで単調増加する。
この色分解A3による色再現は、図21等の再現ラインa3のようになる。図からわかるように、色分解A3では、G−Kラインの色相は、所望の色相から比較的大きくずれてしまう。
比較例4:補色成分がMとKで、純色成分を比較例2および3とそろえた色分解A4
図24は、特色Gインクを含むC、M、Y、K、Gの5色インクを用いた、図18のG−Kラインの色分解を、補色成分にMインクとKインクを用いる場合について示す図である。ここでは、上記と同様、比較のために純色成分を固定し、G−Kラインの色相調整は行わず、単に補色成分だけを変更している。
図24は、特色Gインクを含むC、M、Y、K、Gの5色インクを用いた、図18のG−Kラインの色分解を、補色成分にMインクとKインクを用いる場合について示す図である。ここでは、上記と同様、比較のために純色成分を固定し、G−Kラインの色相調整は行わず、単に補色成分だけを変更している。
純色成分のインク使用量については、比較例2に係る図22の場合と同様である。
図24に示すように、補色成分としてMインクとKインクを用いるが、デバイス2次色G点から暫くして、補色成分のMインクが加わる。このように粒状度を保ちつつ明度と彩度を同時に下げるためにMインクを使用し、さらに、Kインクを加えてもドットが目立たなくなるところでKインクを用い始める。以降、KインクはデバイスKまで単調増加する。
この色分解A4による色再現は、図21などにおける再現ラインa4のようになる。これから分るように、色分解A4では、G−Kラインの色相は、所望の色相から比較的大きくずれてしまう。
以上の比較例2〜4では、比較のために純色成分のインク量を固定とし、補色成分のインク量のみを入れ替えている。しかし、本発明の実施形態のように厳密に彩度を比較する必要がある場合には、上述のように色相がずれた状態での比較は、実際上意味をなさない。すなわち、彩度C*は、上記の式:数8のように、(a*、b*)=(0,0)点からの単なるユークリッド距離として求められる。この点から、比較対象の色相がずれていても比較することは可能であるが、図21の再現ラインa4のように、比較的大きく色相がずれている色分解テーブルを色調整することなく実施することは考えられないからである。
そこで、以下では、純色成分のインク量について、最小限の色調整を行い、図20に示す再現ラインb1などのように、G−Kラインが所望の色相となるようにした比較例を説明する。
比較例5:補色成分がKインクのみで、G−Kラインの色相を比較例6および7とそろえた(純色成分インク量が異なる)色分解B1
図25は、特色Gインクを含むC、Y、K、Gの4色のインクを用いた、図18のG−Kラインの色分解を示す図である。この色分解は、補色成分にKインクのみを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線で再現されるように純色成分のインクについて調整した例を示している。
図25は、特色Gインクを含むC、Y、K、Gの4色のインクを用いた、図18のG−Kラインの色分解を示す図である。この色分解は、補色成分にKインクのみを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線で再現されるように純色成分のインクについて調整した例を示している。
図25に示すように、図22の色分解と同様に特色Gインクを減らして、基本色Cおよび基本色Yを減らす構成をとっているが、調色のために暗部のYインクが多くなっている。
補色成分としては、図22の色分解と同様、Kインクを用い、このKインクが、デバイス2次色G点より少し暗くなったところから入り始め、デバイスK点まで単調増加する。
この色分解B1による色再現は、図2のC*L*平面において再現ラインb1のようになる。図からわかるように、色分解B1では、G−Kラインの暗部の色再現が上に凸となっており、彩度が不足している。
比較例6:補色成分がGryとKで、G−Kラインの色相を比較例5および7とそろえた色分解B2
図26は、特色Gインクを含むC、Y、K、G、Gryの5色のインクを用いた、上記G−Kラインの色分解を示す図である。この色分解は、補色成分にGryインクとKインクを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように純色成分のインクについて調整した例を示している。
図26は、特色Gインクを含むC、Y、K、G、Gryの5色のインクを用いた、上記G−Kラインの色分解を示す図である。この色分解は、補色成分にGryインクとKインクを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように純色成分のインクについて調整した例を示している。
図26に示すように、図22の色分解と同様に特色Gインクを減らすとともに、基本色Cインクおよび基本色Yインクを減らす構成をとっているが、上記調色のために暗部のYインクが多くなっている。
補色成分は、図23の色分解と同様、GrayインクとKインクを用いるが、デバイス2次色G点から暫くして、補色成分のGrayインクが加わる。このように粒状度を保ちつつ明度と彩度を同時に下げるためにGrayインクを用い、Kインクを加えてもドットが目立たなくなるところでKインクを使い始める。以降、KインクはデバイスKの点まで単調増加する。
この色分解B2による色再現は、図2に示す再現ラインb2のようになる。図からわかるように、色分解B2では、G−Kラインの暗部の色再現が上に凸となっており、彩度が不足している。
比較例7:補色成分がMとKで、G−Kラインの色相を比較例5および6とそろえた色分解B3
図27は、特色Gインクを含むC、M、Y、K、Gの5色のインクを用いた、上記G−Kラインの色分解を示す図である。この色分解は、補色成分にMインクとKインクを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように純色成分のインクについて調整した例を示している。
図27は、特色Gインクを含むC、M、Y、K、Gの5色のインクを用いた、上記G−Kラインの色分解を示す図である。この色分解は、補色成分にMインクとKインクを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように純色成分のインクについて調整した例を示している。
図27に示すように、図22の色分解と同様に特色Gインクを減らすとともに、基本色Cインクおよび基本色Yインクを減らす構成をとっているが、調色のために暗部にYインクが比較的大量に使用されている。
補色成分のインクは、図24と同様、MインクとKインクを使用するが、デバイス2次色G点から暫くして、補色成分のMインクが加わる。このように粒状度を保ちつつ明度と彩度を同時に下げるためにMインクを使用し、Kインクを加えてもドットが目立たなくなるところでKインクを使い始める。以降、KインクはデバイスK点まで単調増加する。
この色分解B3による色再現は、図2に示す再現ラインb3のようになる。図から分るように、色分解B3では、G−Kラインの暗部の色再現が上に凸となっており、彩度が不足している。
以上のように、補色成分として基本色や準基本色を用いる比較例の場合は、プリンタの色再現域の暗部で十分に高い彩度を実現することができない。
これに対し、本発明の実施形態では、デバイス2次色Gの補色として、特色Rインクを用いることにより、プリンタの色再現域における暗部の高い彩度を実現する。
実施形態:補色成分がRとKで、G−Kラインの色相を比較例5,6および7とそろえた色分解B4
図28は、特色Gインクを含むC、Y、K、R、Gの5色のインクを用いた、図18のG−Kラインの本発明の一実施形態に係る色分解を示す図である。この色分解は、補色成分のインクとしてRインクとKインクを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように純色成分のインクについて調整したものである。
図28は、特色Gインクを含むC、Y、K、R、Gの5色のインクを用いた、図18のG−Kラインの本発明の一実施形態に係る色分解を示す図である。この色分解は、補色成分のインクとしてRインクとKインクを用い、さらにG−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように純色成分のインクについて調整したものである。
同図に示すように、デバイス2次色G−Kは、特色Gインクとこれを調色する基本色Yインクの混色からなる純色成分のインクで再現される。暗部に近づくにつれて特色Gインクを減らす。これとともに、基本色Cインクおよび基本色Yインクを一旦増加させた後、デバイスK点の直前で減らす。これにより、彩度と明度を下げることができる。ここでは、基本色Yインクは基本色Cインクよりも早くインク量を減少させているが、これは、暗部の色相を調整したためである。なお、本明細書において、「暗部」とは、上記Green−blacKなどある色の変化において、最大彩度を与える色の明度よりも低明度側の色の領域をいう。また、この低明度側では、相対的により低明度の色の領域を暗部という。
本実施形態では、補色成分のインクとして、特色RインクとKインクを用いる。このように特色Rインクを補色成分として用いることにより、図27の色分解(比較例7)ように補色成分にMとKを使用する場合と比べて、純色成分のYインクによる色調整が不要となる。また、このように補色Mインクと色相調整のための純色Yインクの代わりを特色Rの一色だけとすることができ、これにより、インク打ち込み総量を減らすことができる。
デバイス2次色G点から暫くは、彩度の高い特色Gインクを減らし、その分を基本色Cインクと基本色Yインクの混色に置き換えることにより、明度と彩度を共に低下させる。
そして、デバイス2次色G点から暫くして、補色成分の特色Rインクが加わる。このように粒状度を保ちつつ明度と彩度を同時に下げるためにRインクを用い、Kインクを加えてもドットが目立たなくなるところでKインクを使い始める。以降、KインクはデバイスKまで単調増加する。
この一実施形態に係る色分解B4による色再現は、図2および図20における再現ラインb4のようになる。図20から分るように、再現ラインb4は所望の色相にある。また、図2から分るように、この色分解B4による再現ラインb4は、デバイス2次色G点からデバイスK点までほぼ直線状であり、G−Kライン暗部の再現において、十分な彩度を得ることができる。
本実施形態の発色メカニズム
最初に、上記実施形態のインクとして用いる顔料インクとその特性について説明する。
最初に、上記実施形態のインクとして用いる顔料インクとその特性について説明する。
(顔料インクの発色特性)
染料インクは、色材の粒径が小さく、かつ、溶媒中で溶解状態となっており、紙の繊維内部に浸透しやすい性質がある。これに対し、顔料インクは、色材の粒径が大きく、かつ、溶媒中で単に分散状態になっているにすぎず、また、紙の繊維内部に浸透しにくく、凝集しやすい性質がある。
染料インクは、色材の粒径が小さく、かつ、溶媒中で溶解状態となっており、紙の繊維内部に浸透しやすい性質がある。これに対し、顔料インクは、色材の粒径が大きく、かつ、溶媒中で単に分散状態になっているにすぎず、また、紙の繊維内部に浸透しにくく、凝集しやすい性質がある。
発色においては、染料は色素が分子状態もしくはクラスター状態で発色するので、発色色素数が多くなり、高濃度の発色が可能になる。ところが、顔料は、粒子であるので発色色素数が少なくなり、発色濃度が低くなる。また、染料では、入射光が記録媒体内部に形成される各色インク層で反射されることによって、混色したインク全てが発色に貢献する。これに対し、顔料では付着した最上部のインク層で入射光がほとんど反射されてしまうため、混色した場合に彩度が低下しやすい傾向がある。
すなわち、染料系では混色すれば混色しただけ吸光領域が増えて行く。これに対し、顔料系では、第1のインクの吸光帯域で、第2のインクが大きな反射率をもつ場合、第2のインクの効果によって本来吸光されるはずの光が反射されてしまい、混色によるスペクトルがブロードになりやすい傾向がある。
つまり、顔料の発色特性には、染料と比べると、単色での彩度が低い、混色によって彩度が低下しやすい、さらに混色による色調整効果が低いという特徴がある。
なお、上記の理由によって、顔料のその他の性質として、染料と比べて、耐候性(耐オゾン、耐NOx、耐紫外線)や耐水性に優れる一方で、長期保存安定性,吐出安定性に劣るという性質がある。
(顔料インクの組成)
そして、このような発色特性を示す顔料インク組成の一例として以下のようなものがある。
そして、このような発色特性を示す顔料インク組成の一例として以下のようなものがある。
(水性媒体)
本発明にかかる水性インクは、水及び、水溶性有機溶剤との混合溶媒を含むが、水溶性有機溶剤としては、下記に列挙したようなものの中から選択することができる。水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。又、水としては、脱イオン水を使用することが望ましい。
本発明にかかる水性インクは、水及び、水溶性有機溶剤との混合溶媒を含むが、水溶性有機溶剤としては、下記に列挙したようなものの中から選択することができる。水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。又、水としては、脱イオン水を使用することが望ましい。
本発明にかかる水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全質量に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲とすることが好適である。又、インクに含有される水の量は、インク全質量に対して、好ましくは50〜95質量%の範囲とすることが好ましい。
(色材)
次に、本発明にかかる色材について説明する。本発明にかかる水性インクを構成する色材としては、水性インクとして用いることのできる色材であれば、特に限定されるものではない。具体的には、アニオン性基を有する水溶性染料や、分散剤を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合している改質された顔料(樹脂結合型自己分散顔料)、水不溶性色材自体の分散性を高めて分散剤等を用いることなく分散可能とした、マイクロカプセル型顔料等の顔料を用いることが出来る。色材のインク全量に対する割合としては、0.1〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。以下、本発明に用いることのできるこれらの染料及び顔料について説明する。
次に、本発明にかかる色材について説明する。本発明にかかる水性インクを構成する色材としては、水性インクとして用いることのできる色材であれば、特に限定されるものではない。具体的には、アニオン性基を有する水溶性染料や、分散剤を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合している改質された顔料(樹脂結合型自己分散顔料)、水不溶性色材自体の分散性を高めて分散剤等を用いることなく分散可能とした、マイクロカプセル型顔料等の顔料を用いることが出来る。色材のインク全量に対する割合としては、0.1〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。以下、本発明に用いることのできるこれらの染料及び顔料について説明する。
(顔料)
本発明にかかる水性インクにおいて使用することのできる顔料は特に限定されず、下記に挙げるようなものをいずれも使用することができる。
本発明にかかる水性インクにおいて使用することのできる顔料は特に限定されず、下記に挙げるようなものをいずれも使用することができる。
黒色インクに使用される顔料としては、カーボンブラックが好適である。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックをいずれも使用することができる。具体的には、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上、コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、モナク2000、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上、キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等の市販品を使用することができる。又、本発明のために別途新たに調製されたカーボンブラックを使用することもできる。しかし、本発明は、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックをいずれも使用することができる。又、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
有機顔料としては、具体的には、例えば、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。勿論、これらに限定されず、その他の有機顔料であってもよい。
又、本発明で使用することのできる有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
又、顔料をインク中に分散させるための分散剤としては、水溶性樹脂であればどのようなものでも使用することができるが、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更には、3,000〜15,000の範囲のものが好ましい。このような分散剤として、具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。或いは、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。尚、これらの顔料分散剤として用いられる水溶性樹脂は、インク全質量に対して0.1〜5質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
(その他の成分)
本発明にかかる水性インクは、保湿性維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分をインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の、保湿性固形分のインク中の含有量は、一般には、インクに対して0.1〜20.0質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%の範囲である。
本発明にかかる水性インクは、保湿性維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分をインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の、保湿性固形分のインク中の含有量は、一般には、インクに対して0.1〜20.0質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%の範囲である。
また、本発明のインクジェット記録装置用インクは、上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤等の、種々の添加剤を含有させてよい。
(顔料インクそれぞれの発色)
図29は、上記の顔料インク各色の発色特性のスペクトルに示す図である。基本色、準基本色および特色それぞれのインクは次のようなスペクトル特性を有している。
図29は、上記の顔料インク各色の発色特性のスペクトルに示す図である。基本色、準基本色および特色それぞれのインクは次のようなスペクトル特性を有している。
基本色Cインクは、短、中波長域を反射し、長波長域を吸光する。
基本色Mインクは、短、長波長域を反射し、中波長域を吸光する。610[nm]付近よりも長波長域で反射率が高く、380〜460[nm]付近で若干の反射率があり、その他の領域では、反射率がほとんど0となっている。
基本色Yインクは、中、長波長域を反射し、短波長域を吸光する。
準基本色LCインクは、基本色Cインクと同様だが、全域で反射率が高く、明るい。
準基本色LMインクは、基本色Mインクと同様だが、全域で反射率が高く、明るい。
特色Rインクは、長波長域を反射し、短、中波長域を吸光する。600[nm]付近よりも長波長域で反射率が高く、その他の領域では、反射率がほとんど0となっている。
特色Gインクは、中波長域を反射し、短、長波長域を吸光する。520[nm]付近を頂点として、400〜600[nm]付近で山上のスペクトル形状となっており、その他の波長域では反射率がほとんど0となっている。
準基本色Kインクは、全波長域を吸光する。
準基本色Gryインクは、基本色Kインクほどではないが、全波長域を吸光する。
以上から、特色Gインクと特色Mインクを混色した場合には、380〜460[nm]付近の波長域で若干の反射が生じ、ブルー寄りで明るく彩度が低くなりがちである。これに対し、特色Gと特色Rを混色した場合には、この帯域に反射を生じることがなく、グリーンの色相を保ちつつ、暗く高彩度な色再現となることが分る。
図30は、図28に示す色分解B4における、純色成分のCインク、Yインク、Gインクの混色記録によるスペクトル、特色Gインクによるスペクトル、および補色成分Rインクのスペクトルをそれぞれ示す図である。また、同図は、図27に示す色分解B3の補色成分Mインクのスペクトルも示している。
純色成分C、Y、G各インクの混色記録によるスペクトルと、補色成分Mインクのスペクトルについて比較する。図30に示しように、混色グリーンの帯域は520[nm]付近であるのに対し、補色成分Mの吸光帯域は560[nm]となっており、さらに480[nm]付近ではMの反射率が比較的大きくなっている。従って、純色成分C、Y、Gのインクに補色成分のMインクを加えても、この副反射成分のために明度が下がらず、また、スペクトルもブロードになり、暗部において高い彩度が得られないことが推測される。
これに対し、純色成分C、Y、Gの混色記録によるスペクトルと、特色Rインクのスペクトルを比較すると、次のようになる。図30に示すように、混色グリーンの帯域は520[nm]付近であるのに対し、特色Rの吸光帯域がほぼ一致し、スペクトル的に上記混色の理想的な補色となっていることが分かる。さらに、Mの副反射が生じていた480[nm]付近では、特色Rは比較的小さな反射率を保っており、副反射も少ないことが分かる。従って、純色成分C、Y、Gの各インクに補色成分として特色Rインクを用いると、十分に明度を下げるとともに、副反射による彩度の低下を招くことがなく、暗部において高い彩度が得られることが推測される。
図31は、上述した色分解A1、B1〜B4をそれぞれによる暗部の再現ラインをスペクトルとして示す図である。この図から分るように、G−Kラインの補色成分として特色Rインクを用いる場合(再現ラインb4、b5)は、補色成分として基本色や準基本色を使用する場合(再現ラインb1,b2,b3)よりも暗部において、スペクトルがより急峻なピークを持っている。このことから、補色成分として特色Rインクを用いる場合は、より高い彩度の色再現を実現できることが分かる。
<変形例1>
上記実施形態の第1の変形例は、補色成分がRとGryとKで、上記G−Kラインの色相をそろえた色分解B5の例である。
上記実施形態の第1の変形例は、補色成分がRとGryとKで、上記G−Kラインの色相をそろえた色分解B5の例である。
図32は、特色Gインクを含むC、Y、K、R、G、Gryの6色のインクを用いた、図18のG−Kラインの本発明の変形例に係る色分解として、補色成分にGry、RおよびKのインクを用いた例を示す図である。この色分解は、さらに、G−Kラインがa*b*平面上でほぼ直線となるように調整した例を示している。
図32に示す色分解B5は、図28に示す実施形態の色分解と基本的には同様だが、デバイス2次色G付近からGryインクを使い、特色Rインクを加えたときに粒状感が目立たなくところから、特色Rインクが補色成分として加わっている。
このような色分解を、Gryインクの粒状感が、Rインクの粒状感よりも低い場合に適用することにより、デバイス2次色G付近の粒状感を改善することができる。
この色分解B5による色再現は、図2および図20における再現ラインb5のようになる。図20から分るように、この色再現B5による再現ラインb5は所望の色相にある。また、図2から分るように、色再現B5による再現ラインb5は、デバイス2次色G点からデバイスK点までほぼ直線となっており、G−Kライン暗部の色再現が十分に高い彩度を得ることができる。
<変形例2>
図33は、上記実施形態の第2の変形例に係る色分解を示す図である。この色分解は、特色Rインクを含むM、Y、K、R、Gの5色のインクを用いたものであり、図18のR−Kラインの色再現に補色成分としてGインクとKインクを用いるものである。
図33は、上記実施形態の第2の変形例に係る色分解を示す図である。この色分解は、特色Rインクを含むM、Y、K、R、Gの5色のインクを用いたものであり、図18のR−Kラインの色再現に補色成分としてGインクとKインクを用いるものである。
本変形例の色分解は、色相は異なるが、純色成分をなす特色Rインクと補色成分をなす特色Gインクを用いており、図28に示す色分解と基本的な構成は同様である。
このように本発明の色分解方法は、G−Kラインに限らずその他の色相にも容易に拡張し、適用できる。
純色と、補色のそれぞれに用いる特色インクの組み合わせとしては、以上で述べたG−R(O),R(O)−Gの他、G−B(V),B(V)−G,R(O)−B(V)、B(V)−R(O)などが考えられる。以上の組み合わせの中から、純色成分と、補色候補となる特色を混色し、所望の色相に近く、かつ、補色としての効果の高い組み合わせを適宜選択すればよい。
<他の実施形態>
以上の実施形態およびその変形例では、図18のG−Kラインの色分解の基礎として、特色インクを減じつつ基本色Cインクおよび基本色Yインクを増加させる方法を用い、これに加えて補色成分として他の特色インクを用いる色分解について説明した。しかし、本発明の適用はこのような携帯に限られるものではない。例えば、純色成分の構成が、デバイス2次色G−Kを、特色Gインク単色で再現する形態に対して、同様に特色を効果的に用いることできる。また、特色Gインクとその調色成分としての基本色Yインクで再現する形態、さらに特色Gインクとその調色成分としての基本色Cで再現する形態に対して、同様に特色を効果的に用いることもできる。
以上の実施形態およびその変形例では、図18のG−Kラインの色分解の基礎として、特色インクを減じつつ基本色Cインクおよび基本色Yインクを増加させる方法を用い、これに加えて補色成分として他の特色インクを用いる色分解について説明した。しかし、本発明の適用はこのような携帯に限られるものではない。例えば、純色成分の構成が、デバイス2次色G−Kを、特色Gインク単色で再現する形態に対して、同様に特色を効果的に用いることできる。また、特色Gインクとその調色成分としての基本色Yインクで再現する形態、さらに特色Gインクとその調色成分としての基本色Cで再現する形態に対して、同様に特色を効果的に用いることもできる。
また、上記の例では、デバイスK点に準基本色Kが単体で使用される場合について説明したが、デバイスK点が、準基本色Kだけでなく、その他の色との混色からなっていても良い。あるいは、準基本色Kを全く使用しなくても良い。また、このような場合にデバイスK点に特色Rが使用されているものも本発明の範疇に含まれる。
さらに、最近のインクジェットプリンタでは、染料系においても耐候性が求められる。このため、オゾン、NOxなどのガスや、紫外線などの光に被曝し、表面の染料分子が破壊された場合であっても、内部の分子が生き延びるような耐候性の高い染料として、凝集しやすい染料がある。このような凝集しやすい染料では、これまでの説明で例示した顔料と類似の物性および発色特性を示すことから、顔料と同様、本発明の色分解を効果的に用いることができる。
また、上述した実施形態および変形例では、色分解処理をホストコンピュータにおいて実行するものとしたが、これに限られないことはもちろんである。例えば、プリンタや記録機能の他複数の機能を有した複合機などの記録装置において色分解処理を実行してもよい。
また、上述した実施形態および変形例では、色分解処理をテーブルを用いて実行するものとしたが、これに限られない。例えば、テーブルによる変換関係を演算によって実現してもよい。
<さらに他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態の機能を実現する、図17に示した画像処理の手順を実現するプログラムコード、またはそれを記憶した記憶媒体によっても実現することができる。また、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
本発明は、上述した実施形態の機能を実現する、図17に示した画像処理の手順を実現するプログラムコード、またはそれを記憶した記憶媒体によっても実現することができる。また、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSが実際の処理の一部または全部を行うものであってもよい。
更に、プログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、CPUなどが実際の処理の一部または全部を行うものであってもよい。
13 カラープリンタ
14 ホストコンピュータ
101 色補正処理部
102 色変換(色分解)処理部
103 出力ガンマ補正部
104 量子化処理部
202 CPU
203 メモリ(RAM/ROM等)
204 外部記憶(HDD等)
205 入力デバイスが接続される入力部
206 プリンタなどの周辺機器が接続可能なインターフェイス
14 ホストコンピュータ
101 色補正処理部
102 色変換(色分解)処理部
103 出力ガンマ補正部
104 量子化処理部
202 CPU
203 メモリ(RAM/ROM等)
204 外部記憶(HDD等)
205 入力デバイスが接続される入力部
206 プリンタなどの周辺機器が接続可能なインターフェイス
Claims (8)
- 色再現に用いる記録剤として、3原色に対応した基本色記録剤とは異なる色相を示す特色記録剤の量を定める色分解処理を実行する画像処理装置であって、
第1の特色記録剤を用いて再現する色であって、当該色において最大彩度を与える色の明度より低明度側の色を、前記第1の特色記録剤とともに第2の特色記録剤を用いて再現するように、当該第1および第2の特色記録剤それぞれの量を定める色分解手段
を具えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記色分解手段はテーブルを用いて前記色分解処理を行い、前記テーブルは、前記低明度側の色を特定する色信号によって規定される格子点に、前記低明度側の色を再現する前記第1および第2の特色記録剤の量を格子点データとして格納することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記低明度側の色は、前記色信号によって特定される複数の色を連ねて形成されるラインの一部の色であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記色分解手段は、前記低明度側の色を、前記第1の特色記録剤に色相において隣に位置する基本色記録剤をさらに用いて再現するように、当該基本色記録剤の量を定めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
- 分光反射スペクトルにおいて、前記第1の特色記録剤と前記基本色記録剤の混色の反射率の最大値近傍で、前記第2の特色記録剤は反射率が前記混色の反射率より低いことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
- 色再現に用いる記録剤として、3原色に対応した基本色記録剤とは異なる色相を示す特色記録剤の量を定める色分解処理を実行するための画像処理方法であって、
第1の特色記録剤を用いて再現する色であって、当該色において最大彩度を与える色の明度より低明度側の色を、前記第1の特色記録剤とともに第2の特色記録剤を用いて再現するように、当該第1および第2の特色記録剤それぞれの量を定める色分解工程
を有したことを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータに、色再現に用いる記録剤の量を定める色分解処理を実行する画像処理装置として機能させるプログラムであって、前記機能は、
第1の特色記録剤を用いて再現する色であって、当該色において最大彩度を与える色の明度より低明度側の色を、前記第1の特色記録剤とともに第2の特色記録剤を用いて再現するように、当該第1および第2の特色記録剤それぞれの量を定める色分解手段
を有したことを特徴とするプログラム。 - 3原色に対応した基本色記録剤と、前記基本色記録剤とは異なる色相を示す特色記録剤を用いて記録を実行可能な記録装置であって、
第1の特色記録剤の最大彩度を示す色から黒に至る色再現ラインを再現する場合に、第1の特色記録剤の他に第2の特色記録剤を用いることを特徴とする記録装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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