JP2007315918A - 探針位置制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱ドリフト等の影響を排除し、走査型プローブ顕微鏡(SPM)や原子マニピュレータ(操作)装置において、その観察又は操作の間に試料とプローブの相対位置が熱により変化するのを補正して、より正確な観察又は操作を可能にする位置制御方法及び装置を提供すること。
【解決手段】試料表面の原子レベルの像を得るため、又は、試料表面の原子に対して所定の操作を行うため、試料表面の原子と探針の先端の間の相互作用を測定しつつ探針と試料の相対位置を制御する探針位置制御方法において、探針と試料を相対的に、試料表面面内の2方向にそれぞれ周波数f1、f2で振動させつつ探針と試料を相対的に移動させ(S1a)、試料表面に垂直な方向の相互作用測定値に該周波数成分f1、f2が現れない点(特徴点)を検出する(S1b)。その後、その状態が維持されるように探針と試料を相対的に移動させる(特徴点を追跡する、S1c)ことにより該相対移動の速度を検出し(S1d)、検出された速度を用いて前記相対位置の制御を補正する(S2)。
【選択図】図1

Description

本発明は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)や原子マニピュレータ(操作)装置における位置制御方法及びその装置に関し、特に、その観察又は操作の間に試料とプローブの相対位置が熱や温度等により変化するのを補正して、より正確な観察又は操作を可能にする位置制御方法及び装置に関する。
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、試料の表面に原子レベルの距離まで近づけた探針を保持するカンチレバーを機械的共振周波数で振動させ、探針と試料表面の間に働く相互作用を検出する。試料と探針の相対位置を変化させる間にこの相互作用を検出することにより、試料表面の原子レベルの像を観察することができる。原子マニピュレータ(操作)装置も同様にして探針を試料の表面に近づけ、所定の距離に達した時点で試料表面の原子に対して所定の操作を行う。
SPM等で用いられる試料と探針の間の相互作用としては、トンネル電流、原子間力(化学的結合力、ファン・デル・ワールス力、共有結合力、イオン結合力、金属結合力、静電気力、磁気力、交換力等)、キャパシタ、近接場光等、種々のものが提案されているが、これらの相互作用を用いて1枚の画像を測定するのに必要な時間は、一般的には数分から十数分程度である。
しかし、試料の像を測定するこの時間の間に測定装置への熱の出入りがあると、試料が膨張又は収縮を行う(熱ドリフト)。常温環境の場合、たとえ温度管理されている場所でも完全に測定装置全体の温度を一定にすることはできず、完全に熱ドリフトをなくすことはできない。また、試料及び探針の位置を相対的に変化させるときに用いる圧電体のクリープによって両者の相対位置が変化する場合がある。測定のスケールが原子レベルのオーダーであるため、これら熱ドリフトやクリープによる測定位置の変化は無視できぬものとなり、本来、図12(d)のような画像が得られるべきところが、図12(c)に示すように、得られる像に歪が発生する。なお、このような熱ドリフト等の影響は、試料表面に平行な方向(XY方向)ばかりでなく、それに垂直な方向(Z方向)にも及ぶ。
このため、構造が予め分かっている対称性の高い固体表面の像を測定する場合には、歪の影響が一見して明らかであるため大きな問題とはならないが、バイオ試料のような対称性の低い試料の表面を測定する場合には、得られた像に熱ドリフトやマイグレーション等の影響が現れていたとしても、それを認識又は分離することができず、真の表面形状の測定が実際上不可能であった。また、原子マニピュレータ装置では、操作対象である原子の位置が移動してしまって、正しい操作が行えないこととなる。
熱ドリフト等の影響を補償し、探針と試料の位置決めを精密に行う技術として、アトムトラッキング技術がある(非特許文献1)。これは、試料の表面に平行な方向の熱ドリフトをフィードバックで補正するものである。この技術を利用して探針の周波数変化を捉えながら3次元の超精密位置決めを行い、探針と試料表面原子の相互作用やポテンシャルの測定を行えることが最近実証された(非特許文献2、非特許文献3)。
特願2005-112342号 D.W. Pohl and R. Moeller, "Tracking tunneling microscopy", Review of Scientific Instruments, vol. 59(1988), p. 840 M. Abe et al., "Room-temperature reproducible spatial force spectroscopy using atom-tracking technique", Applied Physics Letters, vol. 87(2005), p. 173503 M. Abe, Y. Sugimoto, O. Custance and S. Morita, "Atom tracking for reproducible force spectroscopy at room temperature with non-contact atomic force microscopy", Nanotechnology, vol. 16(2005), p. 3029
本発明が解決しようとする課題は、このような熱ドリフト等の影響を排除し、走査型プローブ顕微鏡(SPM)や原子マニピュレータ(操作)装置において、その観察又は操作の間に試料とプローブの相対位置が熱により変化するのを補正して、より正確な観察又は操作を可能にする位置制御方法及び装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、試料表面の原子レベルの像を得るため、又は、試料表面の原子に対して所定の操作を行うため、試料表面の原子と探針の先端の間の相互作用を測定しつつ探針と試料の相対位置を制御する探針位置制御装置において、
a) 試料表面に垂直な方向の前記相互作用を測定する測定手段と、
b) 探針と試料を相対的に、試料表面面内の2方向にそれぞれ周波数f1、f2で振動させる加振手段と、
c) 探針と試料を相対的に移動させつつ前記相互作用を測定し、相互作用測定値に前記周波数成分f1、f2が現れない点を検出するとともに、その状態が維持されるように探針と試料を相対的に移動させる追跡手段と、
d) 追跡手段による前記相対移動量に基き、前記相対移動の速度を検出する速度検出手段と、
e) 検出された速度を用いて、前記相対位置の制御を補正する補正手段と
を備えることを特徴とするものである。
前記2方向の周波数f1、f2は、別異としてもよいし、同一としてもよい。両方向を直交させ、周波数f1、f2を同一とし、それらの位相を90°異なるようにすることにより、探針は試料に対して円運動をするようになる。
速度検出手段は、試料表面に平行な方向のみの速度を検出してもよいし、それに加えて試料表面に垂直な方向の速度も検出するようにしてもよい。なお、試料表面に垂直な方向の速度は、通常のZ方向のフィードバックにより求めることができる。
本発明に係る探針位置制御装置では、加振手段が探針と試料を相対的に、試料表面面内の2方向にそれぞれ周波数f1、f2で振動させつつ、追跡手段が探針と試料を試料表面面内で相対的に移動させる。その間、測定手段が両者間の相互作用を測定し、追跡手段はその測定値に前記周波数成分f1、f2が現れない点(これは、例えば試料表面の原子の頂点や原子配列の底点、鞍点等に該当する。以下、これを試料の特徴点と呼ぶ。)を検出する。特徴点が検出された後は、追跡手段は、その特徴点を追跡するように、探針と試料を移動させる。速度検出手段は、その追跡手段の追跡移動より、探針と試料の相対移動の速度を検出する。この相対移動は、例えば前記の試料の熱ドリフトやクリープ等により生ずるため、検出された速度は、これらの速度を表すものとなる。補正手段は、この検出された速度を用いて、探針と試料の相対位置の制御を補正する。これにより、例えば試料の原子像を検出している間に熱ドリフト等により試料の測定対象箇所が移動したとしても、探針位置制御装置はそれを正しく補正して追跡することができるため、正しい原子像が得られる。試料の目的原子に対して何らかの操作を行う場合も同様である。
本発明の一実施形態である走査型プローブ顕微鏡を図1〜図3により説明する。図1は本実施形態の走査型プローブ顕微鏡の概略構成図であり、図2は正しい原子像を得るための概略の手順を示したフローチャートである。本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は図1に示すように、試料Sを載置する試料台STに、試料SをX,Y,Z方向に移動させる試料移動機構が設けられている。試料表面には探針Pが配置され、探針Pの先端と試料表面の間の距離が原子間力が及ぶ程度の距離となるように保持される。探針Pの先端で生じた相互作用は相互作用検出部Iによって測定される。
なお、図1では試料移動機構は試料Sに取り付けてあるが、試料と探針の相対位置を変化させることができればこれはどのような形態であってもよく、X,Y,Zのいずれかが、又は全てが探針P側に取り付けられていてもよい。以下の記述では「試料Sが」や「探針Pが」「振動する」「移動する」等の表現を用いるが、これらは全て探針と試料の相対的位置が変化することを意味する。
試料をX,Y方向に移動させると、試料表面の凹凸により探針Pと試料S表面の間の距離が変化する。これにより両者間の相互作用が変化する。相互作用検出部Iはそれを検出し、探針Pの相互作用が一定となるように、試料台STをZ方向に移動させる。こうして探針Pが試料表面をなぞることにより、試料表面の2次元的な原子像が得られる。
以上は通常の走査型プローブ顕微鏡の動作を説明したものであるが、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では、原子像を観察する際に、図2(a)に示すように、まず、現在の環境条件の下で、試料Sの観察対象箇所がどのような速度で移動するかを測定する(ステップS1)。その詳しい手順については後述する。これにより試料Sの観察対象箇所の移動速度vが求まると、その速度vを用いて試料Sの移動を制御しつつ、上記のように試料表面の原子像を観察する(ステップS2)。これにより、熱ドリフト等による歪のない、正しい原子像が得られる。
ステップS1における速度検出の基本原理を図2(b)及び図3(a)により説明する。探針Pを試料表面の面内(上記X,Y方向)で周波数f1で振動させる(図2(b)のステップS1a、図3(a)のOsc0)と、探針Pが試料Sの図3(a)の左斜面にあるときには、上記のように試料Sの表面をなぞる探針Pは加振周波数と同じ周波数f1、同じ位相でZ方向に振動する(Osc1)。しかし、探針Pが試料Sのピーク近くにあるときには、Z方向の振動の振幅は殆どゼロとなる(Osc2)。そして、探針Pが試料Sの図3(a)の右斜面にあるときには、探針Pは加振とは逆位相でZ方向に振動する(Osc3)。
図3(a)は試料表面に平行な1方向についてのみ示したが、図3(b)に示すように、試料表面に平行な、異なる2方向で同様のことを行うことにより、試料表面のピーク点を検出することができる(図2(b)のステップS1b)。Z方向の振動の振幅がゼロとなるのは、このようなピーク点の他、底点、鞍点である。これらの点(特徴点)を検出した後、その点を所定時間追跡する(ステップS1c)ことにより、その点の移動速度を求めることができる。これがその箇所における試料の移動速度となる(ステップS1d)。
なお、ここで探針Pに与える振動の周波数は、相互作用検出部Iを構成する電子回路の帯域よりも小さいものとし、それらと干渉しないようにしておくことが望ましい。
探針Pの試料表面に平行な、異なる2方向の振動の周波数は、図3(b)に示すように互いに異なる(f1、f2)ものであってもよいし、同一(f1=f2)としてもよい。両者を同一(f0)とし、その位相を90°異なるものとすることにより、図3(c)に示すように、探針Pは円運動(又は楕円運動)を行うようになる。こうすることにより、加振機構及びZ方向振動の検波機構が簡単となる。
このような速度検出において、図1(a)の機構の各部は次のように動作する。走査プローブ顕微鏡(SPM)コントローラが試料SのXYZ方向の移動を制御する間、加振部OSCが上記X,Yの2方向の周波数信号(f1,f2)を加算器ADDに入力し、試料Sが振動する。この状態で、フィードバック制御部FBにより探針P−試料表面の距離がフィードバック制御され、ロックインアンプLKにより上記のように特徴点が検出される。その後は、その特徴点を追跡する制御に切り替わる。この追跡により、上記の通り、試料の移動速度vが検出される。
試料Sの移動速度vが検出された後は、図1(b)に示すように、試料Sの表面を観察する際に試料台の移動制御を行うSPMコントローラに、その移動速度vと時間tを補正項として加える。これにより、熱ドリフト等による探針と試料の相対位置の変化が補償され、正しい表面像の観察が可能となる。
なお、前記の通り、試料の観察は通常数分程度で完了するため、その前に検出した移動速度vの値を用いることで十分な補正を行うことができるが、観察時間が長い場合や周辺温度の変化が激しい場合は、図1(a)の波線で示すように、観察の途中で(観察を停止して)適宜移動速度vの検出を行い、移動速度vの更新を行ってもよい。このとき、図1(b)の位置を補正している状態で、図1(a)の方法で移動速度の変化量Δvを測定し、v→v+Δvとすることが可能となる。
以上、一般のSPM装置の場合について本発明の構成及び作用を説明したが、その応用例として、周波数検出方式を用いた非接触原子間力顕微鏡(NonContact Atomic Force Microscopy, NC-AFM)に本発明を適用した例を説明する。NC-AFMに本発明を適用することにより、より精度の良い測定を行うことができる。
図4は、NC-AFMの共振周波数と振動振幅との関係を説明するための説明図である。NC-AFMは、その長さが例えば100〜200μmの微小な板バネのようなカンチレバー11の先端に探針10が配置されており、カンチレバー11の固有の振動数(共振周波数)frにて振動する。共振周波数frは、概略、カンチレバー11のバネ定数k、探針10の質量mを用いると、fr=1/2π×√(k/m)である。周波数変調方式では、共振周波数fr及び所定の振幅Rで探針10を振動させ、試料表面(原子50)に近づける(図4(a))。探針10が原子50の表面に近づいたとき、探針10と原子50の間に力学的相互作用が作用する。このとき、カンチレバー11の共振周波数frが変化する(周波数シフトΔf)。周波数シフトΔfは、探針10と原子50の間に引力が作用したときには負の値(一点鎖線)となり、斥力が作用したときには正の値(二点鎖線)となる(図4(b))。通常のNC-AFMでは、引力領域、つまり探針10が原子50に接触していない状態で各種の測定を行う。
NC-AFMを用いて試料表面の状態を検出して試料表面の状態を画像化(可視化)する場合、探針10(又は試料)を、試料表面の法線と直交する2方向に、例えばテレビジョンの走査線のように走査させ、各点における周波数シフトΔfに基づく変化量をマッピングする。なお、探針10と試料との相対位置が変化するように走査すればよく、探針10又は試料のいずれを走査するかについては、用いる装置構成によって異なることは言うまでもない。
ところで、画像化の方法には、探針10を走査することによって変化する周波数シフトΔfの変化に基づいて画像化する方法(周波数変化像)と、走査中に周波数シフトΔfが一定になるように探針10の距離を制御しながら、その距離変化に基づいて画像化する方法(周波数一定像)とがある。後者の方法では、試料表面の凹凸に対応した画像が得られると考えられており、走査速度に対応するために探針と試料の間の距離をフィードバック制御する必要がある。一方、前者の方法では、原理的には、距離のフィードバック制御をする必要はないが、熱ドリフトや装置のクリープ現象の影響によって、探針と試料との距離が徐々に変化してしまうことから、極めて応答の遅い積分フィードバックをかけながら、熱ドリフトやクリープ現象による遅い距離変化だけに追従させる必要がある。
図5は本発明の一実施形態である原子位置固定装置の構成例を示すブロック図である。この原子位置固定装置3は、カンチレバー11、カンチレバー11の一端に取り付けられた探針10、及びカンチレバー11の他端に取り付けられた圧電素子のような加振部12から構成される走査ユニットと、対象である試料Sを載置するための試料支持部21、試料支持部21を3次元方向に操作するための垂直位置走査部19、及び水平位置操作部20から構成される位置走査ユニットと、変位検出部13、加振制御部14、周波数検出部15、垂直位置制御部16、及び水平位置制御部17から構成される制御ユニットとを備えている。なお、制御ユニットの各部は、図示しないPCのようなコンピュータに制御されるようになっている。
探針10には、長さが10μm、先端が数nmφの弧状のシリコンを用いることができる。このような微細な探針10は半導体の微細加工技術によって得ることができる。探針10の材料については限定されるものではないが、例えば、表面観察用のシリコン製探針を用いる場合、探針の表面に被覆されている酸化物及びゴミなどを除去することにより、より原子間力の感度を高めて分解能を向上させることが好ましい。
加振部12は、カンチレバー11に振動を与えて探針10を振動させるためのもので、例えば、電圧を印加することで変位が生じる圧電体によって構成される。なお、カンチレバーの探針取り付け部には探針支持部が配されており、消耗品である探針10を容易に取り付ける(取り替える)ことができるようになっている。
変位検出部13は、探針10の変位を信号として検出するものであり、例えば、光源と分割された光検出器から構成され、市販のAFMに利用されている光テコ方式(森田清三編著、「走査型プローブ顕微鏡;基礎と未来予測」丸善)、光ファイバーの干渉を利用する光干渉方式(D. Ruger et al., Applied Physics Letters, Vol. 55(1989), p. 2588)、探針に水晶が配され水晶の微小な電流変化を電圧に変換するチューニング方式(P. Guthner et al., Applied Physics Letters, Vol. 73)、探針の変位が抵抗変化としてとらえられるピエゾ抵抗方式(F. J. Giessibl, Science, Vol. 267(1995), p. 68)、探針の変位が電圧変化として検出できるピエゾ圧電方式(J. Rychen et al., Review of Scientific Instruments, Vol. 70(1999), p. 2765)などが挙げられる。
周波数検出部15は、探針10に作用した力学的相互作用によって生じる共振周波数の変化(周波数シフトΔf)を検出する。周波数検出部15は、例えば位相同期ループ(PLL)、インダクタとキャパシタとを用いた共振回路、各種フィルタなどを用いて構成する。
探針10を試料Sに接近させた場合、探針10と試料Sとに作用する力学的な相互作用によって、カンチレバー11の実効的なばね定数が変化して共振周波数が変化する。そこで、変位検出部13にて、探針10(カンチレバー11の一端側)の変位量を検出し、検出された変位量に基づいて、探針10と試料Sと相互作用によるカンチレバー11の共振周波数の変化量(周波数シフトΔf)を周波数検出部15にて検出する。FM復調部25は、検出した機械的共振周波数の変化量に係る信号を制御部10へ出力する。
加振制御部14は、探針10の振動を制御するものであり、探針10の振動振幅を一定にするモード(振動振幅一定モード)と、加振部12に与える信号の振幅を一定にするモード(加振一定モード)とがある。効率良く探針10を加振するために移相器を用いるようにしてもよい。振動振幅の信号に利得(ゲイン)をかけ、加振部12に信号を与える方法、周波数検出部15と併用してPLLの発信器の信号を利用する方式などがあげられる。
垂直位置走査部19は、探針10と試料Sとの垂直方向の位置、つまり試料表面に対して垂直方向の探針10−試料S間の相対位置を変化させるためのものであり、例えば、電圧を印加することで変位が生じる圧電体からなる。
水平位置走査部20は、探針10と試料Sの水平方向の位置、つまり試料表面に対して水平方向の探針10−試料S間の相対位置を変化させるためのものであり、垂直位置走査部19と同様に圧電体からなる。圧電体の形態は、例えば、円筒形状のチューブスキャナ型、圧電体を一層又は複数層を重ね合わせたものである。
本例では、試料支持部21に垂直位置走査部19と水平位置走査部20とが配置されているが、それぞれの方向で探針10と試料Sとの相対位置を変化させることができるならば、いずれか一方又は両方を探針10側に配置していてもかまわない。また、垂直位置走査部19と水平位置走査部20とが一体になっているが別体であってもよい。さらに、チューブスキャナ型では、水平走査信号に垂直走査信号を加算して水平位置走査部20に与えることで、水平位置走査部20を垂直位置走査部19として利用してもよい。さらにまた、加振部12を垂直位置走査部19として利用してもよい。
垂直位置制御部16は、設定した周波数シフトΔfが一定になるように探針10−試料S間の距離ΔZを制御し、上述した周波数変化像及び周波数一定像の両方の測定に対応している。基本的には、フィードバック回路から構成され、比例制御、積分制御及び微分制御のうちの少なくとも1つ以上の組み合わせをアナログ回路又はデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)のようなデジタル演算で行う場合もある。また、垂直位置制御部16は、熱ドリフト等による距離変化を測定することによりZ方向の熱ドリフト速度を算出し、その速度の値に時間を乗じた補正値を出力に加える機能を有する。この機能により、熱ドリフト等による探針と試料のZ方向の相対位置変化を補償することが可能となる。
特に、DSPを使用する場合は、上述した制御以外のデジタル制御独自のフィルタを用いることができる。距離制御はその制御を行うこと(RUN)、一時的に制御を停止すること(HOLD)、制御信号をゼロにすること(RESET)が可能であり、手動又はコンピュータのソフトウェアからそれらを行うことが可能である。
水平位置制御部17は、熱ドリフトやクリープ現象による探針10と試料Sとの相対位置変化のうち、試料Sと平行方向の動きX、ΔX及びY、ΔYを補正し、端子10の先端を所定(目標)の原子位置に長時間固定するために用いられる。実際に探針10の先端を所定の原子位置に長時間固定するためには、水平位置制御部17から所定の信号を出力し、図3で示したような探針10(又は試料)の加振を行い、その信号に対応した周波数検出部15の出力信号を水平位置制御部17に与えてフィードバック制御を行う。具体的には、周波数検出部15にて検出した周波数f1、f2(又はf0)成分がゼロになるように水平位置のフィードバック制御を行うことで、所定の原子位置(例えば原子の頂上)に探針10を長時間固定することができる。また、水平位置制御部17は、熱ドリフト等による距離変化を測定することによりX方向及びY方向の熱ドリフト速度を算出し、これらの速度の値に時間を乗じた補正値を出力に加える機能を有する。この機能により、熱ドリフト等による探針と試料のX方向及びY方向の相対位置変化を補償することが可能となる。
次に、本発明に特徴的な水平位置制御部17の熱ドリフト速度を算出する箇所について説明する。図6は水平位置制御部の熱ドリフト速度を算出する箇所の構成例を示すブロック図である。水平位置制御部17は、第1方向であるX方向と第2方向であるY方向とを独立して制御できるように、X方向の制御用に、第1発振回路31a、第1同期検波部32a、第1水平位置調整部33a及び第1加算部34aを、Y方向の制御用に、第2発振回路31b、第2同期検波部32b、第2水平位置調整部33b及び第2加算部34bを、それぞれ備えている。
第1発振回路31a(第2発振回路31b)は、探針10と試料(原子50)のX方向(Y方向)の相対位置を周期的(f1(f2))に変化させるものであり、出力信号を第1同期検波部32a(第2同期検波部32b)及び第1加算部34a(第2加算部34b)へ出力する。
この第1発振回路31a(第2発振回路31b)が生成する振動は、表面観察のためにカンチレバーに付与される共振振動(Z方向)とは別のものであり、その振動周波数は、それよりも遙かに小さくする必要がある。
第1同期検波部32a(第2同期検波部32b)は、周波数検出部15から出力された周波数シフトΔfを第1発振回路31a(第2発振回路31b)から出力される信号(つまり、発振回路が出力する信号の周波数)又はその高調波信号(つまり、発振回路が出力する信号の整数倍の周波数)で同期検波して、第1水平位置調整部33a(第2水平位置調整部33b)へ出力する。
第一水平位置調整部33a(第2水平位置調整部33b)は、詳細は後述する第1固定位置決定部(第2固定位置決定部)及び第1位置微調整部(第2位置微調整部)を備え、探針10又は試料(原子50)のX方向(Y方向)の位置を調整する信号に変換して、第1加算部34a(第2加算部34b)へ出力する。
第1加算部34a(第2加算部34b)は、第1発振回路31a及び第1水平位置調整部33aから出力された信号、さらに第1走査信号(第2走査信号)を加算して水平位置走査部20へ出力する。なお、発振回路から各同期検波部へ出力される信号は、同期検波を行うための参照信号であるが、必要に応じて利得(ゲイン)を適宜かけるようにしてもよい。
図7は水平位置制御部の熱ドリフト速度を算出する箇所の別の構成例を示すブロック図であり、直交する2方向に同じ周波数で位相が90°ずれている信号を利用する場合(図3(b)参照)に好適な構成である。水平位置制御部17は、発振回路31、同期検波部32、第1水平位置調整部33a及び第1加算部34a、並びに、第2水平位置調整部33b及び第2加算部34bを備えている。
発振回路31は、探針10と試料(原子50)の相対位置を周期的(f0)に変化させるものであり、互いに同期している位相が異なる2つの信号を発振する。ここでは、位相が90°異なる信号(0°、90°の信号) を出力し、位相が0°の信号を第1加算部34aへ、位相が90°の信号を第2加算部34bへ出力する。また、同期検波部32へも出力することで、同期検波部32でX方向及びY方向の成分を分離して抽出できる。
同期検波部32は、周波数検出部15から出力された周波数シフトΔfを発振回路31から出力される信号又はその高調波信号に同期して、位相が異なる2つの信号(ここでは、位相0°、90°の2つとする)を検波して、第1水平位置調整部33a及び第2水平位置調整部33bへ出力する。その他の構成は図6と同様である。
このようにすれば、同期検波部を2つ使用する必要がなくなり構成を簡略化することができる。また、図6の構成では、周波数f1、f2を同期検波部の性能に合わせて、周波数差|f1−f2|をある程度大きくする必要があるが、本例ではその必要はない。ただし、同期検波部32は、2位相の検波が可能であって、発振回路31の2つの出力の位相が固定されている必要があり、実際の測定においては、信号は様々な回路を通るため、X方向又はY方向のいずれか一方に信号を与えて位相合わせを行う必要がある。
図8は固定位置決定部の機能を説明するための説明図である。
固定位置決定部は、探針10を固定する原子位置を決めるものであって、水平位置調整部33a、33b、33(制御部として機能)をHOLDモードにして、水平位置調整部33a、33b、33の出力信号に所定の電圧を加算することで探針と原子の相対位置を変える。走査信号に固定位置決定部と同等の信号を含ませるようにしてもよい。位置の決定はソフトウェアから行うことも可能である。固定したい位置近傍に探針10を配置すれば、制御部(水平位置調整部33a、33b、33)をRUNモードにすることで目標位置に探針10が固定される。ここで、RUNモードでは、前記水平位置のフィードバック制御と熱ドリフト速度を用いた補正値を加える場合の2つの場合があるが、両方もしくはどちらか片方を動作させる(つまりRUN にする)ことが可能であり、ユーザーが自由に設定できる。以下の実施例では、特にどちらをRUN/HOLD させるかは記述しないこととする。Z方向にも同様の機能を働かせる場合もあるが、これに関しても特に記述しないこととする。なお、補正値を加えた状態でも、測定によっては熱ドリフト速度が変化する場合がある。このとき、補正値を加えた状態で位置のずれを水平(もしくは垂直)フィードバックでさらに補正する場合もある。このときはフィードバックの応答をさらに遅くできる、つまり帯域を小さくすることができるので、ノイズの低減が期待できる。
図9は位置微調整部の機能を説明するための説明図である。
位置微調整部は、フィードバック制御における所謂セットポイントを調整する箇所であり、水平制御の位置を適宜微調整するものである。位置微調整部がない場合、凸部分の頂点、凹部分の最下点、サドルポイントで位置の固定が可能である。一方、位置微調整部を導入した場合、制御部の入力信号にオフセットをかける、つまりセットポイントに対応する信号を加算又は減算することで、原子50の頂上からΔx隔離した位置で探針を固定することが可能となる。具体的には、原子50の頂点(図9(a))や空欠陥の底点(図9(b))では、位置微調整部が加算する電圧をゼロとする。そうすることで制御部は入力信号、つまり同期検波部の出力がゼロになるように、探針10と試料(原子50)との相対位置を微調整する。位置微調整部が加算する電圧がゼロでない場合、同期検波器の出力値がその値を反映した値を出力して、水平位置が変化する。
図10は固定位置の例を説明するための説明図である。
探針10の位置を固定するには、試料表面に対して直交する2軸(X軸およびY軸)を決定し、それぞれの方向において独立に水平位置の制御を行う。例えば、原子50の頂点で探針10の位置を固定する場合(図10(a))、空欠陥や表面再構成によってできたホールで探針10の位置を固定する場合(図10(b))、原子50、50間の谷で探針10の位置を固定する場合(図10(c))、一方向には頂上であるが、直交する方向には谷になっている部分に探針10の位置を固定する場合(図10(d))などがあげられる。なお、図10においては、白丸が原子50を示しているが、必ずしも原子50の位置が高く画像化させるとは限らない。探針10の先端と試料表面の原子50とを取り巻く電子の相互作用によって、実際の凹凸と見かけ上異なる画像が得られることがあるが、その場合は高い位置に原子50があると見なしてよい。
図11はラインプロファイルの例を説明するための説明図である。
直交する2軸で独立にフィードバックを行えばよいので、考えられるラインプロファイルは、ラインプロファイルの頂点の部分(図11(a))、ラインプロファイルの底の部分(図11(b))、ラインプロファイルの谷の部分(図11(c))、ラインプロファイルの底だが下地又は2層目の原子が少し見られる部分(図11(d))などがある。図11(a)では、発振回路から出力される信号の振幅Rは原子間距離dの1/2よりも小さく(R<d/2)、発振回路からの周波数f0(f1、f2)で同期検波部において同期検波する。図11(b)、(c)では、水平位置制御部の出力を反転することで、底の位置での探針を固定することができる。図11(d)では、下地又は2層目の原子がトラッキング可能なくらい信号を検出できるならば、上述と同様に行えばよいが、そうでない場合は、振幅Rが原子間距離dよりも大きい(R>d)信号を用い、周波数2f0(2f1、2f1)で同期検波して、その値が最大になるように制御部にてフィードバック制御を行うようにする。このように、発振回路が出力する信号の周波数のみならず、その高調波信号(つまり発振回路が出力する信号の整数倍の周波数)で同期検波してもよい。
次に本発明の一実施形態である原子位置固定装置を用いて原子位置制御補正について評価した。図12(a)、(b)は位置制御補正の前後におけるSi(111)7×7表面の画像であり、図13はSi(111)7×7表面での位置制御補正の例を説明するための説明図である。
図12(a)の画像を取得した後、すばやく探針を矢印の位置に移動させ、原子位置の水平及び垂直フィードバックによる固定(RUN)を実施した。61分後、HOLDにして画像を取得した(図12(b))。61分経過した後であっても、同じ画像を取得することができていることを、両図の上方に見られる付着物PTにより確認した。つまり、熱ドリフトが生じた場合であっても、探針を常に所定の原子の位置に移動させる、すなわち追跡する、ことができることを確認した。図13(a)に示すように、61分の間に約135ÅのXY方向の移動があった。つまり、本実施形態の原子位置固定装置を用いなかった場合、探針10の位置が約135Åずれることになるが、本実施形態の原子位置固定装置を用いることによって、探針10と原子50との相対位置を維持することができ、探針10の原子50に対する相対位置を長時間かつ安定に固定することができる。また、図13(b)に示すように、ノイズレベルは0.2Åであり、原子間力(ここでは7.5Å)に比べて無視できる程度であることがわかる。水平及び垂直フィードバックによる位置の固定では、同一視野の観察が可能になるが、実際に画像を測定しているときにはフィードバックをHOLDする必要がある。従って、得られた画像が図12(c)のように歪んでしまう。そこで、水平及び垂直フィードバックをRUNにして原子位置を固定し、そこから熱ドリフトを算出し、その後、水平および垂直フィードバックをHOLDして補正値に相当する電圧を加え(つまり、補正値RUNにして)、画像を測定する。その結果、図12(d)のような歪みのない画像が測定可能となる。この方法では、必ず熱ドリフトが存在する常温環境でも、極低温のような熱ドリフトフリーの環境を実現することが可能となる。従って、液中での対称性の低い生体試料を高分解能に測定することが可能となる。
次に本発明の応用例について説明する。図14は力学的分光測定(距離依存性測定)の概念図である。
探針10を試料に近づけた場合、周波数シフトΔfが負の方向に大きくなることから、例えば、探針10を狙った原子50の位置で探針10を近づけると、その原子と探針との周波数シフトΔf−距離Z曲線を測定することができ、周波数シフトΔfを力に変換するアルゴリズムを用いれば、原子の結合力を測定することが可能となる。従来、室温環境下では、熱ドリフトやクリープ現象の影響のため、探針10と試料との位置が時間とともに変化するために、所定の原子位置で分光測定をすることが困難であったが、本発明の探針位置制御方法を用いることによって、探針10を所望の原子50の位置に固定することができるので、たとえ室温環境下であっても、原子50の結合力を測定することが可能となる。
図15は力学的分光測定(距離依存測定)の一例を説明するための説明図である。
まず、試料表面の原子50、50、…のうちから距離依存性測定を行う原子50aを選択する(図15(a))。次に、選択した原子50aの位置に探針10を移動させる(図15(b))。このとき、探針10は原子50aの真上になく、また熱ドリフトによって常に相対位置が変化している。次に本発明の探針位置制御方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図15(c))。そして、探針10の原子50aに対する垂直位置を変化させて距離依存性測定を行う(図15(d))。もちろん、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を移動して距離依存性測定を行うことが可能である(図15(d'))。
図16は力学的分光測定(距離依存性測定)の一例を示すフローチャートである。
まず、走査型プローブ顕微鏡を用い、試料表面を走査して試料表面の原子50、50、…を画像化する(ステップS3)。次に、画像化された試料表面の原子50、50、…のうちから距離依存性測定を行う原子50aを選択する(ステップS4)。そして、探針10を固定位置に移動させ(ステップS5)、水平位置の制御を行う(ステップS6)。そして、周波数シフトΔfを測定しながら、探針10−試料(原子50a)間距離を変更することによって、距離依存性測定を行う(ステップS7)。そして、距離依存性測定が終了したか否かを判断し(ステップS8)、距離依存性測定が終了したと判断した場合(S8:YES)、処理を終了する。一方、距離依存性測定が終了していないと判断した場合(S8:NO)、処理をS6に戻して水平位置の制御を行って、距離依存性測定を継続する。
水平位置制御はサブルーチンとして組み込まれている。図17は水平位置制御の一例を示すフローチャートである。発振回路(第1発振回路31a、第2発振回路31b(発振回路31))から信号が出力されており(ステップS11)、制御部としての水平位置制御部17をRUNモードに設定する(ステップS12)。そして、位置の微調整が必要であるか否かを判断し(ステップS13)、位置の微調整が必要であると判断した場合(S13:YES)、位置の微調整を行って(ステップS14)、水平位置制御部17をHOLDモードに設定し(ステップS15)、サブルーチン処理を終了する。一方、位置の微調整が必要ないと判断した場合(S13:NO)、位置の微調整を行うことなく、S15に移行して水平位置制御部17をHOLDモードに設定してサブルーチン処理を終了する。
なお、サブルーチンとしての水平位置制御は上述したフローに限定されるものではなく、水平位置制御部17をHOLDモードにした後に、位置の微調整を行ってもよい。図18は水平位置制御の他の一例を示すフローチャートである。発振回路(第1発振回路31a、第2発振回路31b(発振回路31))から信号が出力されており(ステップS21)、水平位置制御部17をRUNモードに設定する(ステップS22)。そして、水平位置制御部17をHOLDモードに設定する(ステップS23)。そして、位置の微調整が必要であるか否かを判断し(ステップS24)、位置の微調整が必要であると判断した場合(S24:YES)、位置の微調整を行って(ステップS25)、サブルーチン処理を終了する。一方、位置の微調整が必要ないと判断した場合(S24:NO)、位置の微調整を行うことなく、サブルーチン処理を終了する。
図16では距離依存性測定毎に探針10の水平位置の制御を行うようにしたが、熱ドリフトが非常に小さい場合など、用途によっては水平位置の制御が不要となる場合があるので、図19に示すように、距離依存性測定が終了していないと判断した場合(S8:NO)、水平位置制御が必要であるか否かを判断し(ステップS9)、水平位置制御が必要であると判断したとき(S9:YES)、処理をS6に戻して水平位置の制御を行って距離依存性測定を継続し、水平位置制御が必要ないと判断したとき(S9:NO)、処理をS7に戻して水平位置の制御を行うことなく距離依存性測定を継続するようにしてもよい。その他の処理手順は、図16と同様であるので、対応する部分には同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
上述したように、力学的分光測定では、複数のデータを連続で測定した場合、従来の方法では、それぞれの形が異なっていたが、本発明を適用することで、測定したすべてのデータが測定誤差範囲内で良く重なり、得られたデータを平均化することで、低ノイズな測定データを得ることができ、その結果、個々の原子間での微妙な結合力の違いを明らかにすることが可能である。
図20は力学的分光測定(電圧依存性測定)の一例を説明するための説明図である。
まず、試料表面の原子50、50、…のうちから電圧依存性測定を行う原子50aを選択する(図20(a))。次に、選択した原子50aの位置に探針10を移動させる(図20(b))。次に本発明の探針位置制御方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図20(c))。そして、探針10と原子50aの間に電圧を印加して電圧依存性測定を行う(図20(d))。もちろん、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を移動して電圧依存性測定を行うことが可能である(図20(d'))。
図21は力学的分光測定(電圧依存性測定)の一例を示すフローチャートである。
まず、走査型プローブ顕微鏡を用い、試料表面を走査して試料表面の原子50、50、…を画像化する(ステップS31)。次に、画像化された試料表面の原子50、50、…のうちから電圧依存性測定を行う原子50aを選択する(ステップS32)。そして、探針10を固定位置に移動させ(ステップS33)、水平位置の制御を行う(ステップS34)。そして、周波数シフトΔfを測定しながら、探針10−試料(原子50a)間電圧を変更することによって、電圧依存性測定を行う(ステップS35)。そして、電圧依存性測定が終了したか否かを判断し(ステップS36)、電圧依存性測定が終了したと判断した場合(S36:YES)、処理を終了する。一方、電圧依存性測定が終了していないと判断した場合(S36:NO)、処理をS34に戻して水平位置の制御を行って、電圧依存性測定を継続する。なお、水平位置制御(S34)は、上述した図17又は図18と同様である。
図21では電圧依存性測定毎に探針10の水平位置の制御を行うようにしたが、用途によっては水平位置の制御が不要となる場合があるので、図22に示すように、電圧依存性測定が終了していないと判断した場合(S36:NO)、水平位置制御が必要であるか否かを判断し(ステップS37)、水平位置制御が必要であると判断したとき(S37:YES)、処理をS34に戻して水平位置の制御を行って電圧依存性測定を継続し、水平位置制御が必要ないと判断したとき(S37:NO)、処理をS35に戻して水平位置の制御を行うことなく電圧依存性測定を継続するようにしてもよい。その他の処理手順は、図21と同様であるので、対応する部分には同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
次に本発明の他の応用例である原子の位置を操作する原子操作方法について説明する。図23は原子操作方法の概念図である。
探針10を試料に近づけた場合、探針10に作用する引力によって、周波数シフトΔfが負の方向にしだいに大きくなるが、周波数シフトΔfが不連続的に変化する場合がある。例えば、探針10と試料表面の原子50の間に作用する原子間力が急激に大きくなる場合などである。この場合には、周波数シフトΔfを監視しておき、周波数シフトΔfにとびが発生した場合は、探針10に所定の原子間力が作用した状態であると判断して、探針10を試料表面と水平方向又は垂直方向に走査させて、試料表面の原子を操作することができる。従来、室温環境下では、熱ドリフトやクリープ現象の影響のため、探針10と試料との位置が時間とともに変化するために、所定の原子位置に高精度に探針10を配置することが困難であったが、本発明の探針位置制御方法を用いることによって、探針10を所望の原子50の位置に固定することができるので、たとえ室温環境下であっても原子50を操作することが容易となる。
図24は本発明の応用例である原子操作方法(垂直操作)の一例を示す説明図である。
まず、試料表面の原子50、50、…のうちから原子操作を行う原子50aを選択する(図24(a))。次に、選択した原子50aの位置に探針10を移動させる(図24(b))。次に本発明の探針位置制御方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図24(c))。そして、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50aに近づける(図24(d))。周波数シフトΔfにとびが発生した場合は、探針10に所定の原子間力が作用した状態であると判断して、探針10を試料表面から遠ざける。このとき、探針10と原子50aには所定の原子間力が作用しているので、原子50aを試料表面から抜き出すことができる(図24(e))。なお、図24(e)では、探針10の先端に原子50aがついているが、探針10から離れてしまう場合もある。
図25は本発明の応用例である原子操作方法(垂直操作)の他の一例を示す説明図である。
図25(a)〜図25(c)は上述の図24(a)〜図24(c)と同様であり、本例では、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を移動した後に、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50aに近づける(図25(d))。そして、周波数シフトΔfにとびが発生した場合は、探針10に所定の原子間力が作用した状態であると判断して、探針10を試料表面から遠ざける。このとき、探針10と原子50aには所定の原子間力が作用しているので、原子50aを試料表面から抜き出すことができる(図25(e))。このように、探針10と原子50aの相対位置を微調整しながら原子を操作することが可能である。なお、図25(e)では、原子50aが探針10から離れてしまっているが、探針10の先端についている状態も考えられる。
図26は本発明の応用例である原子操作方法のフローチャートである。
まず、走査型プローブ顕微鏡を用い、試料表面を走査して試料表面の原子50、50、…を画像化する(ステップS41)。次に、画像化された試料表面の原子50、50、…のうちから操作を行う原子50aを選択する(ステップS42)。そして、探針10を固定位置に移動させ(ステップS43)、水平位置の制御を行う(ステップS44)。そして、周波数シフトΔfを測定しながら、探針10を試料(原子50a)に近づける(ステップS45)。そして、周波数シフトΔfにとびが発生したか否かを判断し(ステップS46)、周波数シフトΔfにとびが発生したと判断した場合(S46:YES)、探針10に指定の原子間力が作用していると判断して、探針10を試料表面から遠ざける(ステップS47)。一方、周波数シフトΔfにとびが発生していないと判断した場合(S46:NO)、処理をS44に戻して水平位置の制御を行って、さらに探針10を試料(原子50a)に近づける。なお、水平位置制御(S44)は、上述した図17又は図18と同様である。
上述した原子操作方法では探針10を試料表面と垂直方向に走査させて原子50aを操作するような場合について説明したが、探針10を試料表面と水平方向に走査させて原子50aを操作することもできる。図27は本発明の応用例である原子操作方法(水平操作)の一例を示す説明図である。試料表面の原子50、50、…の上に原子50aが配置されている場合(図27(a))、まず、原子50aの位置に探針10を移動させる(図27(b))。次に本発明の探針位置制御方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図27(c))。そして、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50aに近づける(図27(d))。探針10に所定の原子間力が作用した状態のとき、探針10を水平方向に移動させる。このとき、探針10と原子50aには所定の原子間力が作用しているので、原子50aが探針10の移動に追従して、試料表面の隣り合う原子の上に移動することができる(図27(e))。また、図28に示すように、垂直操作と同様に、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を水平移動させる。探針10と原子50aには所定の原子間力が作用しているので、原子50aが探針10の移動に追従して、試料表面の隣り合う原子の上に移動することができる(図28(e))。このように、探針10と原子50aの相対位置を微調整しながら原子を操作することが可能である。なお、図28(a)〜図28(c)は図27(a)〜図27(c)と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
図29は本発明の応用例である原子操作方法(水平操作)の他の一例を示す説明図である。試料表面の原子(例えばGe原子)50、50、…の上に原子(例えばSn原子)50aが配置されている場合(図29(a))、まず、原子50aの位置に探針10を移動させる(図29(b))。次に本発明の探針位置制御方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図29(c))。そして、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50aに近づける(図29(d))。探針10に所定の原子間力が作用した状態のとき、探針10のZ方向の位置を固定し、探針10を原子50aの隣の原子50(50bとする)の位置に水平方向に移動させる(図29(e))。このとき、探針10の先端と原子50a及び50bの間に作用した原子間力によって、原子50aと原子50bとの位置が交換される。
また、探針10を原子50aから原子50bに走査させるのではなく、探針10を原子50bから原子50aに走査させることによって2つの原子の位置の交換が生じやすい場合があり、その場合には、図30に示すように、試料表面の原子50、50、…の上に原子50aが配置されている場合(図30(a))、まず、目的の原子50aの隣の原子50bの位置に探針10を移動させ(図30(b))、本発明の探針位置制御方法によって探針10の原子50bに対する水平位置を固定する(図30(c))。そして、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50bに近づける(図30(d))。探針10に所定の原子間力が作用した状態のとき、探針10のZ方向の位置を固定し、探針10を目的の原子50aの位置に水平方向に移動させる(図30(e))。このとき、探針10の先端と原子50a及び50bの間に作用した原子間力によって、原子50aと原子50bとの位置が交換される。
なお、本実施の形態では、周波数検出部15によって検出された共振周波数の変化(周波数シフトΔf)を水平方向調整部17に出力し、周波数シフトΔfの信号に含まれる周波数f1、f2(又はf0)成分がゼロになるように水平位置のフィードバック制御を行う(図5参照)ようにしたが、図31に示すように、垂直位置制御部16の出力信号ΔZに基づいて、水平位置制御部17'が水平方向の位置制御を行うことも可能である。水平位置制御部17と水平位置制御部17'との相違は、垂直位置制御部16の帯域とf1及びf2との関係が異なる点にある。具体的には、垂直位置制御部16のフィードバック制御はいくつかのフィルタを組み合わせた者であり、厳密に帯域を決めることはできないが、垂直位置制御部の帯域をfFBとすると、f1、f2>fFBの場合には図5の構成、f1、f2<fFBの場合には図31の構成を用いることが好ましい。
また、実際の測定では試料が傾いている場合があり、X方向、Y方向又は両方向の走査において垂直距離が変化する場合があることから、そこで、図5の構成の場合には、傾き補正部18を設け、水平位置制御部17の出力(X、ΔX、Y、ΔY)に基づいて、垂直方向の変位補正量ΔZ'を生成し、垂直位置制御部16の出力信号ΔZに加えることで、垂直方向の変位ΔZを調整して試料の傾きを補正するようにしてもよい(図32(a))。同様に、図31の構成の場合には、傾き補正部18を設け、水平位置制御部17'の出力(X、ΔX、Y、ΔY)に基づいて、垂直方向の変位補正量ΔZ'を生成し、垂直位置制御部16にフィードバックして、垂直方向の変位ΔZを調整して試料の傾きを補正するようにしてもよい(図32(b))。この場合、垂直位置制御部16は、自身の出力信号ΔZと傾き補正部18から入力した信号ΔZ'を加算した信号を垂直位置走査部19に与えるようにすればよい。
さらに、本実施の形態では、探針10と試料(原子50)の3次元の相対位置の変化に関して、「探針10を動かす」場合について説明したが、試料(原子50)を動かす場合、探針10及び試料(原子50)を動かす場合があげられ、その場合についても本発明を適用できることはいうまでもない。
本発明の一実施形態である走査型プローブ顕微鏡の概略構成図。 実施形態の走査型プローブ顕微鏡において正しい原子像を得るための概略の手順を示したフローチャート。 試料の特徴点検出のための探針のX,Y方向加振と、それに対応するZ方向振動の関係を示す説明図。 周波数検出方式を用いた非接触原子間力顕微鏡の共振周波数と振動振幅との関係を説明するための説明図。 本発明の一実施形態である原子位置固定装置の構成例を示すブロック図。 水平位置制御部の熱ドリフト速度を算出する箇所の構成例を示すブロック図。 水平位置制御部の熱ドリフト速度を算出する箇所の別の構成例を示すブロック図。 固定位置決定部の機能を説明するための説明図。 位置微調整部の機能を説明するための説明図。 固定位置の例を説明するための説明図。 ラインプロファイルの例を説明するための説明図。 位置固定の前後におけるSi(111)7×7表面の画像(a)、(b)、及び、速度制御補正を行わない場合と行った場合の撮影画像(c)、(d)。 Si(111)7×7表面での位置固定の例を説明するための説明図。 力学的分光測定(距離依存性測定)の概念図。 力学的分光測定(距離依存性測定)の一例を説明するための説明図。 力学的分光測定(距離依存性測定)の一例を示すフローチャート。 水平位置制御の一例を示すフローチャート。 水平位置制御の他の一例を示すフローチャート。 力学的分光測定(距離依存性測定)の他の一例を示すフローチャート。 力学的分光測定(電圧依存性測定)の一例を説明するための説明図。 力学的分光測定(電圧依存性測定)の一例を示すフローチャート。 力学的分光測定(電圧依存性測定)の他の一例を示すフローチャート。 原子操作方法の概念図。 本発明の応用例である原子操作方法(垂直操作)の一例を示す説明図。 本発明の応用例である原子操作方法(垂直操作)の他の一例を示す説明図。 本発明の応用例である原子操作方法のフローチャート。 本発明の応用例である原子操作方法(水平操作)の一例を示す説明図。 本発明の応用例である原子操作方法(水平操作)の他の一例を示す説明図。 本発明の応用例である原子操作方法(水平操作)の他の一例を示す説明図。 本発明の応用例である原子操作方法(水平操作)の他の一例を示す説明図。 本発明の応用例である原子位置固定装置の他の構成例を示すブロック図。 本発明の応用例である原子位置固定装置の他の構成例を示すブロック図。
符号の説明
1 …原子固定装置
10 …探針
11 …カンチレバー
12 …加振部
13 …変位検出部
14 …加振制御部
15 …周波数検出部
16 …垂直位置制御部
17、17’…水平位置制御部
18 …傾き補正部
19 …垂直位置走査部
20 …水平位置走査部
21 …試料支持部
31 …発振回路
31a…第1発振回路
31a…第2発振回路
32 …同期検波部
32a…第1同期検波部
32b…第1同期検波部
33a…第1水平位置調整部
33b…第1水平位置調整部
34a…第1加算部
34b…第2加算部
50、50a 、50b 原子

Claims (10)

  1. 試料表面の原子レベルの像を得るため、又は、試料表面の原子に対して所定の操作を行うため、試料表面の原子と探針の先端の間の相互作用を測定しつつ探針と試料の相対位置を制御する探針位置制御装置において、
    a) 試料表面に垂直な方向の前記相互作用を測定する測定手段と、
    b) 探針と試料を相対的に、試料表面面内の2方向にそれぞれ周波数f1、f2で振動させる加振手段と、
    c) 探針と試料を相対的に移動させつつ前記相互作用を測定し、相互作用測定値に前記周波数成分f1、f2が現れない点を検出するとともに、その状態が維持されるように探針と試料を相対的に移動させる追跡手段と、
    d) 追跡手段による前記相対移動量に基き、前記相対移動の速度を検出する速度検出手段と、
    e) 検出された速度を用いて、前記相対位置の制御を補正する補正手段と
    を備えることを特徴とする探針位置制御装置。
  2. 前記周波数f1、f2が互いに等しい、請求項1に記載の探針位置制御装置。
  3. 周波数f1、f2で振動させる方向が互いに直交しており、両方向の加振の位相が90°異なる請求項1又は2に記載の探針位置制御装置。
  4. 前記速度検出手段が、試料表面に平行な方向のみの速度を検出する、請求項1〜3のいずれかに記載の探針位置制御装置。
  5. 前記速度検出手段が、試料表面に垂直な方向の速度も検出する、請求項4に記載の探針位置制御装置。
  6. 試料表面の原子レベルの像を得るため、又は、試料表面の原子に対して所定の操作を行うため、試料表面の原子と探針の先端の間の相互作用を測定しつつ探針と試料の相対位置を制御する探針位置制御方法において、
    a) 探針と試料を相対的に、試料表面面内の2方向にそれぞれ周波数f1、f2で振動させつつ探針と試料を相対的に移動させ、試料表面に垂直な方向の相互作用測定値に該周波数成分f1、f2が現れない点を検出し、
    b) その後、その状態が維持されるように探針と試料を相対的に移動させることにより該相対移動の速度を検出し、
    c) 検出された速度を用いて、前記相対位置の制御を補正する
    ことを特徴とする探針位置制御方法。
  7. 前記周波数f1、f2が互いに等しい、請求項6に記載の探針位置制御方法。
  8. 周波数f1、f2で振動させる方向が互いに直交しており、両方向の加振の位相が90°異なる請求項6又は7に記載の探針位置制御方法。
  9. 前記速度検出工程において、試料表面に平行な方向のみの速度を検出する、請求項6〜8のいずれかに記載の探針位置制御方法。
  10. 前記速度検出工程において、試料表面に垂直な方向の速度も検出する、請求項9に記載の探針位置制御方法。

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