JP5424404B2 - 表面状態計測装置及び該装置を用いた表面状態計測方法 - Google Patents

表面状態計測装置及び該装置を用いた表面状態計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、探針を試料に近接させて走査することにより、試料の微視的な表面情報を得る表面状態計測装置及び該装置を用いた表面状態計測方法に係り、特に試料表面の形状と同時に、磁性体試料あるいは誘電体試料の交流磁場あるいは交流電場に関する応答性の空間分布に関する画像情報を得ることのできる表面状態計測装置及び該装置を用いた表面状態計測方法に関するものである。
探針を試料に近接させることにより、試料の微視的な表面情報を得られるものとして、走査型プローブ顕微鏡がある。一般に、走査型プローブ顕微鏡としては、試料と探針との相互作用力を、カンチレバーを用いて検出する原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:以下、AFMと称する)や原子間力顕微鏡の探針に磁性体を用いた磁気力顕微鏡(Magnetic Force Microscope:以下、MFMと称する)などが知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
このような走査型プローブ顕微鏡において、カンチレバー励振用の圧電素子などを交流で励振したときにその自由端近傍に備えられた探針が試料に近接したことにより働く、電場、磁場、ファンデルワールス引力等の力の勾配を測定するのがACモードと呼ばれる方式である。ACモードではカンチレバーを所定の振動周波数で励振したときに、あたかもカンチレバーのバネ定数が試料からの力勾配により変化したようになることを利用し、カンチレバーの共振特性の変動を検出して試料表面の形状や電場、磁場などを測定する。すなわち、カンチレバーの実効的なバネ定数が変化すると、カンチレバーの共振周波数が変化し、カンチレバーを一定の振動周波数で励振した場合には、カンチレバー(探針)の振動振幅と位相が変化する。
ACモードのAFMにおいて、探針は、バネ定数が0.01から数10N/mで、共振周波数が数kHz〜数百kHzのカンチレバーの先端に形成される。このカンチレバーは、圧電素子などから構成される励振用アクチュエータに固定され、微動素子上に支持された試料面すなわちxy平面に正対するように配置される。探針と試料が相対的に移動することによって、探針が試料表面を走査する。
この走査の間、励振用アクチュエータには、カンチレバーの共振周波数近傍の周波数で、探針が試料表面に垂直な方向の所定の振幅の振動をするような駆動電圧が印加される。さらに試料を支持している圧電素子等で構成された微動素子は、探針の振動振幅を一定に保つように、0.1nm以下の精度で制御され、試料表面に垂直な方向、すなわちz方向に試料が相対移動される。この結果、探針の先端は試料の表面形状を反映した曲面上をトレ−スする。
従って、探針の先端のxy面上の位置と同時に、z方向の位置を微動素子に印加した電圧から求め記録することにより、試料表面の微細な凹凸を示すAFM像が得られる。
このとき探針に磁性体(例えば、CoCrやFePt、パーマロイ等)を用いて、試料として強磁性を示すもの(例えば、磁気テープやハードディスクメディア、磁気ヘッド、光磁気ディスクメディア等)を用いると、AFM像に影響を与える力の勾配は、近距離力である試料表面近傍で働くファンデルワールス引力等の他に、遠距離力である磁気力も加わる。
従って、探針−試料間距離が短い場合には表面の凹凸が、探針−試料間距離が長い場合には磁気力が主に画像化される。ここで走査中の探針−試料間距離の調整は、カンチレバーの振動振幅の減衰率を一定に保つことにより行うことができる。たとえば、カンチレバーをその共振周波数よりわずかに高い周波数で励振した場合、探針を試料に近づけると、カンチレバーの共振周波数が探針−試料間の引力により減少することで、一定の加振周波数で励振しているカンチレバーの振動振幅は減少し、その減衰率が増加するほど、探針は試料に近づくことになる。ここで得られる像は力勾配一定像となる。すなわち、探針−試料間距離が短い条件でカンチレバーの振動振幅の減衰率が一定となるように測定した力勾配一定像は表面凹凸像となる。
一方、探針−試料間距離が長い条件でカンチレバーの振動振幅の減衰率が一定となるように測定した力勾配一定像は磁気力勾配一定像となるが、この像は探針−試料間距離が一定の条件を満たさないので、像には磁気情報の他に表面凹凸情報が含まれることになり、磁気記録媒体等の評価に際しては、表面凹凸と磁気情報を分離することができなかった。
このため探針走査において、最初に表面凹凸をカンチレバーの振動振幅の減衰率が大きな条件で探針を間欠接触させて1ライン測定した後に、次に同じ試料位置でさらに一定の高さだけ探針を試料から離し磁気力が主となる探針−試料間距離にして、カンチレバーを振動させその振動振幅あるいは位相を記録し、磁気力勾配を探針−試料間距離が一定のもとで測定する方式が提案されている。この方式を用いると、表面凹凸像と同一の場所で磁気力像を得ることができる。このため、磁気記録媒体等においては、表面凹凸に起因する薄膜組織が磁区構造に及ぼす効果を知ることもできる。
近年、磁気記録の高密度化に伴い、記録媒体の微細磁区構造を評価するために、磁気力顕微鏡の空間分解能を向上させることが求められている。さらに、磁気記録デバイスの高速化に伴い、磁気デバイスから発生する高周波磁場の周波数特性や、磁気デバイスに用いられるソフト磁性材料の高周波磁場応答性の評価が重要となってきている。磁気力顕微鏡の空間分解能の向上には、力勾配の検出感度の向上が必要となり、カンチレバーの機械的な共振特性を向上させることが有効である。カンチレバーの共振特性は測定雰囲気に依存し、空気粘性が小さくなる真空雰囲気では、大気雰囲気と比較して、共振特性が大幅に向上する。
共振特性は共振の性能因子Qの値で評価することができる。共振により検出感度はQ倍程度に増加する。Q値は大気雰囲気では数百であるが、真空雰囲気では数千から数万に増加する。したがって、カンチレバーの励振をQ値の大きな共振周波数近傍で、圧電素子からなる励振用アクチュエータなどで行うことで空間分解能の向上を計ることができる。一方、磁気力顕微鏡を用いた高周波磁場の計測に関しては、高周波磁場の周波数成分にカンチレバーの共振周波数(f)近傍あるいは共振周波数の高次成分(n×f;nは正の整数)を含む必要があり、これまで計測された例として、カンチレバーの共振周波数近傍の単一周波数の交流磁場および探針の共振周波数成分を有する振幅変調された交流磁場がある。従来は、これら特定された周波数の交流磁場以外の計測は困難であった(例えば、非特許文献1及び2参照)。
特開平8−122341号公報 特開2003−65935号公報 Wei.J.−D,他3名、「Observation on stray fields from hard−disk writer poles up 2 GHz」、IEEE Transactions on Magnetics、2007年6月、第43巻、第6号、p2205−2207 Masayuki Abe、Yoichiro Tanaka、「A Study of High‐Frequency Characteristics of Write Heads With the AC‐Phase High‐Frequency Magnetic Force Microscope」、IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS、2002年1月、第38巻、p45−49
感度を向上させるためにQ値を増加させると、カンチレバーの振動は共振周波数近傍でのみ起こるようになる。このため、カンチレバーを一定の振動周波数で励振しているACモードでは、共振周波数近傍で、探針が受けるわずかな力勾配の変化により、探針の振動振幅と位相が大きく変化する。ここで振幅を検出する方法は振幅検出法、位相を検出する方法は位相検出法と呼ばれる。このようにQ値を増加させると、高い感度で力勾配を測定することが可能となる。
しかしながら、Q値の増加により、探針が観測点での力勾配で決定される定常振動に落ち着くまでに時間を要するようになる過渡現象が顕著となり、時間応答性が劣化する。このため、ACモードにおいては、Q値が1万以上になると、高感度と時間応答性は両立しなくなる。すなわち、カンチレバーの振動振幅を一定に保つように制御して測定する表面凹凸像の取得が、わずかな探針試料間距離の変化で振動振幅が大きく変化するもののその時間応答性が劣化することにより困難になる。
この問題を解決するために、カンチレバーの共振周波数を検出して、設定した共振周波数にカンチレバーの励振周波数を追従させて探針−試料間距離を制御する周波数検出法が考案された。この方式では一定の共振周波数のもとで探針を走査することにより、力勾配一定像が得られる。
これにより、Q値が1万以上の場合においても、像の取得が可能となった。この方式を磁気力測定に適用した場合、磁気力勾配一定像は高い感度で測定することが可能となったものの、カンチレバーの共振周波数の設定値を磁場が検出可能な探針−試料間距離に合わせた場合、磁気像に表面凹凸像が混入した像しか得られず、探針−試料間距離一定のもとでの磁気像と表面凹凸像を同一の試料位置で取得することが困難であった。この理由は、この方式では探針が試料表面に間欠接触する良好な表面凹凸像が取得できる探針−試料間距離では、探針−試料間距離の制御および周波数検出が困難であることによる。
以上のように、磁気力顕微鏡の空間分解能を向上させるため、カンチレバーの機械的共振現象を用いて、力勾配の検出感度の増加が計られてきたが、その大幅な増加はもはや困難になってきている。
一方、磁気力顕微鏡を用いた高周波磁場の計測に関しては、高周波磁場の周波数成分にカンチレバーの共振周波数(f)近傍あるいは共振周波数の高次成分(n×f;nは正の整数)を含む必要があり、これまで計測された例として、カンチレバーの共振周波数近傍の単一周波数の交流磁場およびカンチレバーの共振周波数成分を有する振幅変調された交流磁場がある。これまで、これら特定された交流磁場以外の計測は困難であった。さらに、これらの交流磁場はカンチレバーを共振周波数あるいは共振周波数の高次の周波数で振動させるが、カンチレバーが振動した結果だけでは、その発生源である交流磁場を特定することはできない。
そこで本発明では、任意の周波数で変化する力を計測でき、かつ空間分解能に優れる表面状態計測装置及び該装置を用いた表面状態計測方法を提供することを目的とする。ここで任意の周波数で変化する交番力には、交流磁場による磁気力や交流電場による電気力の他、探針および試料の磁気スピン間の交換力が交流磁場により変化する場合や、探針および試料の原子間の化学結合力が交流電場により変化する場合などが考えられる。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために図1の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。図1は本発明の表面状態計測装置の構成の一例を概略的に示す図である。
第1の本発明は、試料(2)上に配置した探針(1)の振動の変調を検出して該試料の表面状態を計測する表面状態計測装置(10)であって、自由端近傍に探針を備えたカンチレバー(11)と、カンチレバーを励振させる励振機構(6)と、探針及び試料を相対的に移動させて探針に試料上を走査させる走査機構と、計測空間に任意の周波数の交番力を発生させる交番力発生機構(3)と、該交番力により発生する、探針の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する変調計測機構(4)と、を備える表面状態計測装置を提供することにより、上記目的を達成する。
ここに、カンチレバーの「自由端」とは、カンチレバーの固定されていない側の端を意味する。また、本発明において、「走査機構」とは、探針または試料の移動を制御できる機構であれば良く、従来の走査型プローブ顕微鏡などに用いられている公知の機構を用いることができる。また、「交番力」とは、一定の周期で大きさ向きが変化し、探針に作用する力を意味する。任意の周波数で変化する交番力とは、例えば、上記したように、交流磁場による磁気力や交流電場による電気力の他、探針および試料の磁気スピン間の交換力が交流磁場により変化する場合や、探針および試料の原子間の化学結合力が交流電場により変化する場合などが考えられる。
計測空間に交番力を発生させることにより、励振されたカンチレバーの振動に周波数変調を生じ、その周波数変調の程度(変調指数等)を計測することにより、計測空間で生じる交番力に対する応答性を高い空間分解能で計測することができる。なお、本発明において、試料とは、交番力発生機構とは別体の試料をいうが、交番力発生機構に含まれる交番力を発生させる部分(以下、「交番力発生部分」ということがある。)を測定する際には、該交番力発生部分を試料とみなすことができる。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、交番力を交流磁場または交流電場により発生する力とすることができる。かかる形態とすることによって、計測空間で生じる交流磁場応答または交流電場応答を高い分解能で計測することができる。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、励振機構(6)をカンチレバー(11)の機械的共振周波数近傍の周波数でカンチレバーを励振させる機構とし、変調計測機構(4)を探針(1)の振動の周波数変調の程度を計測する機構とすることができる。かかる形態とすることによって、直流から数kHz程度までの周波数の磁場または電場に対しては、高い計測感度で測定が可能であり、特に直流近傍の低い周波数の磁場または電場の計測に優位性がある。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、励振機構(6)を交番力によって発生する探針(1)の振動の周波数変調により発生する周波数スペクトルのうちの1つの周波数スペクトルの周波数でカンチレバー(11)を励振させる機構とし、変調計測機構(4)を探針振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する機構とすることができる。かかる形態とすることによって、高い周波数の磁場または電場のイメージングを行うことができる。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、探針(1)を、ハード磁気特性を示す磁性探針とするとともに試料(2)を、ソフト磁気特性を示す試料とし、交番力を交流磁場により発生する力とすることができる。かかる形態とすることによって、任意の周波数での試料のソフト磁気特性の交流磁場応答性の周波数依存性の評価ができる。
ここで、本発明においてソフト磁気特性を示す材料とはソフト磁性材料又は軟磁性材料のことでトランスや磁気記録ヘッドなど交流の電磁気素子として用いられ、その代表例は軟鉄で、その他にもケイ素鋼板、鉄とニッケルの合金であるパーマロイ、鉄とニッケルとモリブデンの合金であるスーパーマロイ、鉄の酸化物であるフェライトそして鉄とシリコンとアルミニウムの合金であるセンダストなどがある。
磁気記録媒体などでは、磁化反転のし難さを示す量を保磁力(Hc、単位Oe:エルステッド)というが、保磁力がかなり小さく、ものを引き付ける力を持たないものがソフト磁性材料といい保磁力は0.002から0.5Oeであり、変圧器の鉄心、モーターや発電機の鉄心の他、パーソナルコンピューターのハードディスクメディアのヘッドにパーマロイが、またカセットテープデッキの磁気ヘッドにパーマロイやセンダストが用いられ、ディスクやテープなどの磁気記録媒体に情報を書き込んだり、読み出したりする役割を果たしている。なお保磁力は、振動試料型磁力計(略称:VSM)を用いて測定した磁気ヒステリシス曲線から求めることができる。
また、本発明において、ハード磁気特性を示す材料とはハード磁性材料又は硬磁性材料のことでいわゆる永久磁石である。ハード磁気特性を示す材料には鉄やクロムの酸化物、バリウムやストロンチウムを含んだ鉄酸化物であるフェライト、アルミニウムとコバルトとニッケルなどの合金であるアルニコ、サマリウムとコバルトの合金である希土類コバルト系、ネオジウム−鉄系、白金−鉄系、白金−コバルト系などがある。ハード磁気特性を示す材料は、メーターやスピーカーの他、ハードディスクメディアやカセット・VTRテープの磁気記録媒体に利用されている。
ハード磁気特性を示す材料は、保磁力が非常に大きく、ものを引き付ける力が強い材料ということができ、書き込まれたデータが簡単に書き変えられないことが必要である。すなわち、ソフト磁性材料からなる磁気ヘッドでは書き込みを速く正確に行うために磁場を素早く変化させることが必要であるのとは逆の特性が必要とされる。ハード磁気特性を示す材料の保磁力は、数kOeから数10kOeとソフト磁性を示す観察材料と比較して非常に大きい。
探針(1)を、ハード磁気特性を示す磁性探針とするとともに試料(2)を、ソフト磁気特性を示す試料とし、交番力を交流磁場により発生する力とする上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、さらに、ソフト磁気特性を示す試料の交流磁場応答の程度を画像化する画像化機構を備えることが好ましい。かかる形態とすることによって、任意の周波数でのソフト磁気特性の交流磁場応答性の空間分布の評価が容易にできる。また、画像化機構は、交流磁場応答の程度として、応答振幅と位相遅れとを画像化する機構であることが好ましい。かかる形態とすることによって、ソフト磁気特性を示す試料の高周波磁場印加時の複素磁化率の分布も画像化することができる。
なお、複素磁化率の実数成分は試料に印加される高周波磁場と同期して変化する磁化成分を磁場の大きさで割ったものであり、虚数成分は高周波磁場に4分の1周期(90°)遅れて変化する磁化成分を磁場の大きさで割ったものであり磁性体試料の損失に対応している。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、探針(1)を、ソフト磁気特性を示す磁性探針とするとともに試料(2)を、ハード磁気特性を示す試料とし、交番力を交流磁場により発生する力とすることもできる。かかる形態とすることによって、これまで強い表面力のために検出できなかった試料近傍でのシャープな磁場勾配が検出でき、空間分解能を向上させることができる。
探針(1)をソフト磁気特性を示す磁性探針とするとともに試料(2)をハード磁気特性を示す試料とし、交番力を交流磁場により発生する力とする上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、さらに、ハード磁気特性を示す試料の近傍の磁場勾配を画像化する画像化機構を備えることが好ましい。かかる形態とすることによって、記録ビットが一方向に記録された磁気記録用ハードディスクメディア等の記録磁化状態を調べるのに好適に適用できる。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、探針(1)を帯電した探針又は強誘電性を示す探針とするとともに試料(2)を強誘電性を示す試料とし、交番力を交流電場により発生する力とすることもできる。かかる形態とすることによって、上記した磁場の勾配と同様に、強誘電性を示す試料、たとえばFeRAMなど圧電体を使った記憶素子の交流電場応答の程度を計測することができる。
探針(1)を帯電した探針又は強誘電性を示す探針とするとともに試料(2)を強誘電性を示す試料とし、交番力を交流電場により発生する力とする上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、さらに、強誘電性を示す試料の交流電場応答の程度を画像化する画像化機構を備えることが好ましい。かかる形態とすることによって、任意の周波数での強誘電性を示す試料の交流電場応答性の空間分布の評価が容易にできる。また、画像化機能は、交流場応答の程度として、応答振幅と位相遅れとを画像化する機能であることが好ましい。かかる形態とすることによって、強誘電性を示す試料の高周波電場印加時の複素誘電率の空間分布の評価ができる。なお、複素誘電率の実数成分は試料に印加される高周波電場と同期して変化する電束密度成分を電場の大きさで割ったものであり、虚数成分は高周波電場に4分の1周期(90°)遅れて変化する電束密度成分を電場の大きさで割ったものであり誘電体試料の損失に対応している。
上記第1の本発明の表面状態計測装置(10)において、励振機構(6)にカンチレバー(11)の励振周波数を掃引できる機能を備えさせることができる。かかる形態とすることによって、複数の周波数成分を有する交番力であっても、カンチレバーの励振周波数を掃引して、カンチレバーの共振周波数で信号を検出することにより、交番力の各々の周波数成分を独立に検出することができる。
第2の本発明は、試料(2)上に配置した探針(1)の振動の変調を検出して該試料の表面状態を計測する表面状態計測方法であって、自由端近傍に該探針を備えたカンチレバー(11)を励振させながら探針で試料の表面を走査すると同時に、計測空間に任意の周波数の交番力を発生させ、該交番力によって発生する探針の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する、変調計測工程を備える、表面状態計測方法を提供することにより、上記目的を達成する。
上記第2の本発明の表面状態計測方法において、変調計測工程を、自由端近傍に探針を備えたカンチレバーを励振させながら探針で試料の表面を走査すると同時に、計測空間に任意の周波数の交番力を発生させ、前記交番力によって発生する探針の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する工程とすることができる。
上記第2の本発明の表面状態計測方法において、探針に試料上を走査させて試料の表面の形状を計測する表面形状計測工程の後、上記変調計測工程を行うことが好ましい。かかる形態とすることによって、試料表面の凹凸を考慮して試料表面の状態を評価することができる。
上記第2の本発明の表面状態計測方法において、探針に試料上を走査させて試料の表面の形状を計測する表面形状計測工程と同時に、変調計測工程を行うことがより好ましい。かかる形態とすることによって、表面形状と交流磁場との相関を高精度で解析できる他、計測時間の短縮を図ることができる。
上記第2の本発明の表面状態計測方法において、交番力を、交流磁場または交流電場により発生する力とすることができる。かかる形態とすることによって、計測空間で生じる交流磁場応答または交流電場応答を高い分解能で計測することができる。
上記第2の本発明の表面状態計測方法において、変調計測工程でカンチレバー(11)の励振周波数を掃引することができる。かかる形態とすることによって、複数の周波数成分を有する交番力であっても、カンチレバーの励振周波数を掃引して、カンチレバーの共振周波数で信号を検出することにより、交番力の各々の周波数成分を独立に検出することができる。
本発明は以上のように、計測空間に任意の周波数の交番力を発生させることにより発生する探針振動の周波数変調または振幅変調を利用することにより、従来では不可能であった以下のことを可能とする。
従来の装置では探針の共振周波数に依存した限られた交流磁場または交流電場しか計測できなかったのに対して、第1の本発明の表面状態計測装置によれば、任意の周波数の交番力を計測することができる。
すなわち、第1の本発明によれば、交流磁場印加により発生する探針振動の周波数変調を、ハード磁性を示す磁性探針でソフト磁性を示す試料を観察する場合に応用すると、ソフト磁性を示す試料の高周波磁場応答の程度である応答振幅と位相遅れを画像化することができる表面状態計測装置を提供できる。
また、第1の本発明によれば、交流磁場印加により発生する探針振動の周波数変調を、ソフト磁性を示す磁性探針でハード磁性を示す試料を観察する場合に応用すると、ハード磁性を示す試料の試料近傍でのシャープな磁場勾配を画像化することができるので、高い空間分解能を実現できる表面状態計測装置を提供することができる。
また、第2の本発明によれば、第1の本発明の表面状態計測装置を用いた表面状態計測方法を提供することができる。
本発明の表面状態計測装置の構成の一例を概略的に示す図である。 実施例における探針の振動スペクトルを示すグラフである。 実施例における探針の振動信号を周波数復調した結果を示すグラフである。 交流磁場により変調した探針振動を示すグラフである。 図4の信号を振幅の絶対値がある値以上を一定になるようにしたものである。 磁気記録用リングヘッドの励磁電流が0mAおよび30mAのときの探針振動スペクトルを示すグラフである。 励磁電流が10mAの場合の側波スペクトル強度を基準としたときの低周波側と高周波側の側波スペクトルの相対強度の励磁電流依存性を示す図である。 交流磁場を計測する際の本発明の表面状態計測装置の模式図である。 垂直磁気記録用単磁極ヘッドの励磁電流の周波数が500Hzの場合の表面凹凸像(a)、交流磁場の振幅像(b)および位相像(c)を示す図である。 交流磁場を計測する際の本発明の表面状態計測装置の模式図である。 垂直磁気記録用単磁極ヘッドの励磁電流の周波数が100kHzの場合の表面凹凸像(a)、交流磁場の振幅像(b)および位相像(c)を示す図である。
符号の説明
1・・・探針
2・・・試料
3・・・交番力発生機構
4・・・変調計測機構
5・・・画像化機構
6・・・励振機構
10・・・表面状態計測装置
11・・・カンチレバー
411・・・FM復調器(復調装置)
412・・・ロックインアンプ(強度計測装置)
<表面状態計測装置>
以下、図面を参照しつつ、本発明の表面状態計測装置について説明する。図1に示すように、本発明の表面状態計測装置10は、試料2上に配置した探針1を自由端近傍に備えたカンチレバー11と、カンチレバーを11励振させる励振機構6と、探針1及び試料2を相対的に移動させて探針1に試料2上を走査させる走査機構(不図示)と、計測空間に任意の周波数の交流磁場を印加する交番力発生機構3と、該交流磁場により発生する、探針1の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する変調計測機構4とを備えている。
交番力発生機構3は、カットコア31(トロイダルコアの断面をカットしてギャップ32を設けたもの)と、カットコア31に電力を供給する交流電圧電源33とを有している。カットコア31の磁場発生部分であるギャップ32の上に試料2が設置される。
励振機構6は、カンチレバー11の基部に取り付けられている励振用アクチュエータ13と励振用アクチュエータ13に接続されている交流電圧電源12とを有しており、カンチレバー11を任意の周波数で励振することができる。励振機構6がカンチレバー11を励振することによって、カンチレバー11に備えられた探針1が一定周波数で励振される。カンチレバー11の自由端側の先端に光源14からレーザー照射して、その反射光を光学変位センサー15で検知することにより、探針1の変位を出力として取り出すことができる。
変調計測機構4は、復調装置としてアナログ回路で構成したFM復調器411と、強度計測装置としてロックインアンプ412とを有している。また、従来の磁気力顕微鏡の機能である位相検出回路42と振幅検出回路43も備えている。さらにロックインアンプ412の出力は、例えば、走査型顕微鏡などのような外部入力信号を測定位置情報により画像化する装置5に接続されている。探針1によって試料2の表面を相対的に走査しながら検知した光学変位センサー15からの出力を、FM復調器411に接続し、さらにFM復調器411からの出力を、ロックインアンプ412の入力信号端子に接続している。またロックインアンプ412の参照信号端子には交番力発生機構3の交流電圧電源33の電圧信号を接続している。
(第1実施形態)
以下に、本発明の表面状態計測装置10の第1実施形態として、カンチレバーの励振周波数を、カンチレバーの機械的共振周波数近傍となるように調整する形態について説明する。
まず、カンチレバー11に探針1として磁性探針が備えられた場合について、高周波の交流磁場印加により探針1の振動数に周波数変調を生じ、その周波数変調の程度(変調指数)を探針1を走査して画像化することにより、計測空間で生じる高周波磁場応答を高い空間分解能で計測できることの作用及びその理由について説明する。
最初に、探針1としてハード磁気特性を示す磁性探針を用い、ソフト磁気特性を示す試料2を観察する場合について説明する。カンチレバー11の共振周波数と異なる振動数ωの交流磁場Hcos(ωt)を印加した際の探針1の振動を考えると、交流磁場はカンチレバー11の励振力にはならないが、カンチレバーを他の方法で強制振動させた場合に、交流磁場の向きが探針1に対して引力の場合は、カンチレバーの実効的なバネ定数は減少し、交流磁場の向きが探針1に対して斥力の場合にはカンチレバー11の実効的なバネ定数が増加することになる。したがって交流磁場によりカンチレバーのバネ定数kは実効的に、
Figure 0005424404
に変化すると見なすことができる。
ここで磁性探針1が単磁極型である場合には、磁気力が
Figure 0005424404
(qtip:探針上の磁極、H:探針に加わる探針変位方向の磁場)
となる。ここでz方向は試料面に垂直方向であり、探針1の変位方向としている。磁性探針1が単磁極型で扱える場合は、磁性探針1の磁気モーメントの長さが磁性探針1と測定試料2との距離より大きな場合である。したがって、磁気力の勾配に対応するカンチレバーのバネ定数の実効的変化Δkは、
Figure 0005424404
となる。
一方、磁性探針1が双磁極型である場合には、磁気力が
Figure 0005424404
(mtip:探針1の磁気モーメント)
となる。したがって、磁気力の勾配に対応するカンチレバーのバネ定数の実効的変化Δkは、
Figure 0005424404
(mtip:探針の磁気モーメント)
となる。
カンチレバー11を強制振動させたときに実効的バネ定数が周期的に変化する場合、カンチレバー11の運動方程式は以下で表すことができる。
Figure 0005424404
(m:探針質量、γ:減衰係数、ω:加振角周波数、F:加振力の振幅、z:探針振幅)
γは運動の摩擦係数であり、探針1の機械的共振の性能指数Qとは、Q=ω/γの関係にある。γは測定雰囲気から空気を排除して真空にすることで減らすことができる。ここで、
Figure 0005424404
は交流磁場印加前のカンチレバー11の共振周波数である。
z(t)を求めるために、周期的振動解
Figure 0005424404
を仮定し、励振力をF=Fexp(iωt)とおき、上記式(6)に代入すると、
Figure 0005424404
となる。上記式(9)はΔk<<kと見なせる場合には、上記式(6)の解となる。この仮定は、探針1に磁場を印加する本発明の場合に成り立っている。ここで、式(7)で示すようにバネ定数の平方根に比例している探針の共振周波数が数100kHzの場合、周波数変調による周波数の変化幅は数10Hz程度である。
実際の振動解は上記式(9)の実数部分Re[z(t)]を求めることにより求めることができる。
カンチレバー11を交流磁場印加前のカンチレバー11の共振周波数ωで励振させた場合を考えると、
Figure 0005424404
となる。ここで、
Figure 0005424404
が成り立つので、
Figure 0005424404
となる。探針1に磁場を印加する本発明の場合に、Δkの大きさはmγωの大きさと比較して、大きくないので、
Figure 0005424404
となり、探針1−試料2間の磁気力が周期的に時間変化することで、探針1の振動数が時間変化する周波数変調(FM)が発生していることがわかる。
Δkの大きさがmγωの大きさと比較して十分に小さい場合には、狭帯域のFMとなり、
Figure 0005424404
で表される。
式(11)を振動周波数ごとに整理すると、
Figure 0005424404
となり、周波数変調(FM)により、
ω=ω±nω´(nは整数)・・・(16)
の側帯波が発生することがわかる。
Δkの大きさがmγωの大きさと比較して十分に小さい場合には、狭帯域のFMとなり、
Figure 0005424404
で表される。この現象は電気的共振回路において、共振周波数付近で回路素子定数を周期的に変化させた場合に発生する周波数変調現象に類似している。以上の式において、周波数変調の変調指数kは、磁性探針1が上述の単磁極型である場合には、
Figure 0005424404
となる。
また、周波数変調の変調指数kは、磁性探針1が上述の双磁極型である場合には、
Figure 0005424404
となる。
すなわち、探針振動において、交流磁場を変調源とする周波数変調が発生し、その周波数成分として、駆動周波数のω成分の他に、強度の等しい(ω+ω)および(ω−ω)成分、強度の等しい(ω+2ω)および(ω−2ω)成分等が生じることがわかる。この現象は電気的共振回路において、共振周波数付近で回路素子定数を周期的に変化させた場合に発生する周波数変調現象に類似している。上記の場合は、カンチレバー11を交流磁場印加前のカンチレバー11の共振周波数ωで機械的に励振させた場合である。この方法では、周波数復調を行うことにより、直流磁場に近い極めて低い交流磁場から数kHzまでの範囲の交流磁場を高感度で計測できる。しかしながら、周波数変調により発生する周波数成分が、交流磁場の周波数を増加させると共振周波数から離れるのでその強度が減少する。したがってこの手法では、高い周波数の磁場を計測するのは困難である。
次に、探針1としてソフト磁気特性を示す磁性探針を用い、ハード磁気特性を示す試料2を観察する場合について説明する。カンチレバー11の共振周波数と異なる振動数ωの交流磁場Hcos(ωt)を印加した際の探針振動を考えると、探針1の磁気モーメントが交流磁場の印加により変化することで探針1と試料2間の磁気力が変化する。交流磁場はカンチレバーの励振力にはならないが、カンチレバーを他の方法で強制振動させた場合に、交流磁場の印加により、探針1と試料2間の磁気力が引力の場合は、カンチレバー11の実効的なバネ定数は減少し、探針1と試料2間の磁気力が斥力の場合にはカンチレバー11の実効的なバネ定数が増加することになる。したがって交流磁場によりカンチレバー11のバネ定数kは実効的に、
Figure 0005424404
に変化すると見なすことができる。
ここで磁性探針1が単磁極型である場合には、探針1と試料2間の磁気力が
Figure 0005424404
(qtipcos(ωt):探針1上の磁極、H:試料2から探針1に加わる探針変位方向の磁場)
となる。ここでz方向は試料面に垂直方向であり、探針1の変位方向としている。磁性探針1が単磁極型で扱える場合は、磁性探針1の磁気モーメントの長さが磁性探針1と測定試料2との距離より大きな場合である。したがって、磁気力の勾配に対応するカンチレバー11のバネ定数の実効的変化Δkは、
Figure 0005424404
となる。
一方、磁性探針1が双磁極型である場合には、磁気力が
Figure 0005424404
(mtipcos(ωt):探針1の磁気モーメント)
となる。したがって、磁気力の勾配に対応するカンチレバーのバネ定数の実効的変化Δkは、
Figure 0005424404
(mtip:探針1の磁気モーメント)
となる。
カンチレバー11を強制振動させたときに実効的バネ定数が周期的に変化する場合、カンチレバー11の運動方程式は、探針1としてハード磁気特性を示す磁性探針を用い、ソフト磁気特性を示す試料2を観察する場合と同様に以下で表すことができる。
Figure 0005424404
(m:探針質量、γ:減衰係数、ω:加振角周波数、F:加振力の振幅、z:探針振幅)
γは運動の摩擦係数であり、探針1の機械的共振の性能指数Qとは、Q=ω/γの関係にある。
このとき数式(25)の解として以下が得られる。
Figure 0005424404
Δkの大きさがmγωの大きさと比較して十分に小さい場合には、狭帯域のFMとなり、
Figure 0005424404
となる。以上の式において、周波数変調の変調指数kは、磁性探針1が上述の単磁極型である場合には、
Figure 0005424404
となる。
また、周波数変調の変調指数kは、磁性探針1が上述の双磁極型である場合には、
Figure 0005424404
となる。
すなわち、探針1としてソフト磁気特性を示す磁性探針を用い、ハード磁気特性を示す試料2を観察する場合についても、探針振動において、交流磁場を変調源とする周波数変調が発生することがわかる。周波数変調は探針−試料間距離が短い場合にも発生するので、従来は不可能であった試料近傍での磁気力測定を可能にする。すなわち、これまで強い表面力のために検出できなかった試料近傍でのシャープな磁場勾配が検出でき、空間分解能を向上させることができる。
(第2実施形態)
以下に、本発明の表面状態計測装置10の第2実施形態として、探針振動の周波数変調により発生する任意の(ω±nω)(nは整数)成分をカンチレバー11の共振周波数に一致させるように、カンチレバー11の励振周波数を選択した形態について説明する。図4は交流磁場により変調した探針振動を示すグラフである。この形態では、高い周波数の交流磁場により発生する探針振動の周波数変調をより高感度に計測することが可能になる。この場合には、(ω+nω)成分と(ω−nω)成分の強度が異なることになる。ここで(ω−ω)成分がカンチレバー11の共振周波数ωに等しくなる場合を考える。この場合、(ω+ω)成分は(ω−ω)成分と比較して大きく減衰するので、式(17)および式(27)より探針の変位は、
Figure 0005424404
となる。式(30)はさらに以下の形に展開される。
Figure 0005424404
式(31)の第1項は、振幅が時間変化せず周波数が時間変化する項であり、探針振動の周波数変調を表している。式(31)の第2項は、逆に周波数が時間変化せず振幅が時間変化する振幅変調を表している。第1項の周波数変調では、その角周波数が印加する交流磁場の角周波数ω´で変化し、周波数変調の変調指数kは、Δk/(2mγω)で与えられる。一方、第2項の振幅変調では、振幅が印加する交流磁場の角周波数ω´で変化し、振幅変調度の変調指数kがΔk/(2mγω)で与えられる。図4は式(31)で表される探針振動を模式的にしめす。
この場合には、周波数復調あるいは振幅復調を行うことにより、印加する交流磁場の計測を行うことができる。
周波数復調を用いる場合には、同時に起こる振幅変調による誤差をなくするために、リミッタ回路等により増幅して振幅を一定とした後に、周波数復調を行う。
図5は図4の信号を振幅の絶対値がある値以上を一定になるようにしたものである。この信号に対して周波数復調を行う。
振幅復調を用いる場合には、式(31)の第2項のみが振幅変調に寄与しており、その振幅変調率Δk/(2mγω)は、式(30)の(ω−ω)成分の強度変化と等しいことがわかる。したがって、(ω−ω)成分の強度変化を測定することで交流磁場の計測が可能となる。
上記の第2実施形態においては、複数の周波数成分を有する交流磁場であっても、カンチレバー11の励振周波数を掃引して、カンチレバー11の共振周波数で信号を検出することにより、交流磁場の各々の周波数成分を独立に検出することができる。したがって、従来の方法が交流磁場を特定することができないのに対して、本発明ではカンチレバー11の励振周波数を掃引することにより交流磁場を特定することが可能である。
<表面状態計測方法>
次に、本発明の表面状態計測方法について説明する。本発明の表面状態計測方法は、上記した本発明の表面状態計測装置を用いた計測方法である。より具体的には、自由端近傍に探針1を備えたカンチレバー11を励振させると同時に、交番力発生機構3によって計測空間に任意の周波数の交番力を発生させ、該交番力により発生する探針1の振動の周波数変調または振幅変調の程度を変調計測機構4によって計測する工程(変調計測工程)を備える、表面状態計測方法である。変調計測工程は、カンチレバー11を励振させながら探針1で試料2の表面を走査すると同時に、交番力発生機構3によって計測空間に任意の周波数の交番力を発生させ、該交番力により発生する探針1の振動の周波数変調または振幅変調の程度を変調計測機構4によって計測する工程とすることもできる。
このようにして試料2の表面状態を計測するに際して、探針1に試料2上を走査させて試料2の表面の形状を計測する工程(表面形状計測工程)の後、上記変調計測工程を行うことが好ましい。表面形状計測工程とは、試料2の表面の形状を計測する工程であって、従来の公知の方法を用いることができる。かかる形態とすることによって、試料2の表面の凹凸を考慮して試料2の表面の状態を評価することができる。
また、上記表面形状計測工程と上記変調計測工程とは同時に行われることがより好ましい。かかる形態とすることによって、表面形状と交流磁場との相関を高精度で解析できる他、計測時間の短縮も図ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明の表面状態計測装置について説明する。
図1は実施例にかかる本発明の表面状態計測装置10を概略的に示す図である。図1に示すように、先端に探針1が設けられたカンチレバー11の基部は加振用の交流電圧電源12と励振用アクチュエータ13を有する励振機構6を有し、探針1を一定周波数で励振できるようにしてある。カンチレバー11の先端に光源14からレーザー照射し、その反射光を光学変位センサー15で検知することにより探針1の変位を出力として取り出す。
この図1に示した表面状態計測装置は、交番力発生機構3としてカットコア31(トロイダルコアの断面をカットしてギャップ32を設けたもの)を利用した例であり、試料2はカットコア31の磁場発生部分であるギャップ32の上に設置する。なお、磁性体を用いる交番力発生機構3はその周波数が数MHz以上になると、磁性体の交流損失により磁場強度が低下するので、それ以上の周波数領域では磁性体を用いない空心コイルを替わりに用いる。また、図1で、変調計測機構4を構成する復調装置としてアナログ回路で構成したFM復調器411を用い、強度計測装置としてロックインアンプ412を用いている。また、従来の磁気力顕微鏡の機能である位相検出回路42と振幅検出回路43も備えている。さらにロックインアンプ412の出力はたとえば走査型顕微鏡などのような外部入力信号を測定位置情報により画像化する装置5に接続されている。
探針1によって試料2の表面を相対的に走査しながら検知した光学変位センサー15からの出力を、FM復調器411に接続し、さらにFM復調器411からの出力を、ロックインアンプ412の入力信号端子に接続する。またロックインアンプ412の参照信号端子には交番力発生機構3の交流電圧電源33の電圧信号を接続する。
図2に、カットコア31の磁場発生用の巻数50の電流巻線に1kHz、2Aの電流を流して、周波数1kHzの交流磁場を発生させた場合の光学変位センサー15からの探針1の変位出力のスペクトルを示す。ここで計測した交流磁場は磁場発生用のカットコア31から発生した磁場であり、カットコア31の上には試料2は設置されていない。試料2を設置した場合には、磁場の強度が測定位置に依存して変化する試料2からの交流磁場を計測することになる。
カットコア31に用いた磁心材料はファインメットと呼ばれるFeSiNbBCu系微結晶ソフト材料であり、コアの形状は内径12mm、外形20mm、高さ5mm、ギャップ幅1mmである。また、測定雰囲気は大気中であり、カンチレバー11のQ値は約650である。交流磁場の検出には探針1としてFePt系磁気力顕微鏡探針(日東光器製)を用いて行った。探針1は試料2面に垂直方向に着磁した垂直磁化探針である。
図2でスペクトル強度が最大の信号は、カンチレバー11の共振周波数付近で交流電圧電源12と圧電素子13とからなる励振機構6によりカンチレバー11を励振したことによる信号であり、実験に用いたFePt系磁気力顕微鏡のカンチレバー11ではその共振周波数近傍の359kHzで励振した。この励振周波数を中心として、交流磁場の印加により低周波数側と高周波数側には印加した交流磁場の周波数の整数倍である±1kHzの間隔で、側帯波が発生している。このスペクトルは中心周波数359kHzの振動がカンチレバー11の励振周波数の1kHzで周波数変調された場合の典型的なスペクトルに対応している。ここで測定に用いたスペクトラムアナライザはテクトロニクス社製のリアルタイム・スペクトラム・アナライザRSA3308Aである。
図3に、先述のリアルタイム・スペクトラム・アナライザRSA3308Aの周波数復調機能を用いて、光学変位センサー15からの探針変位出力を直接に周波数復調して得た信号を示す。この信号は、周波数変調の中心周波数であるカンチレバー11の加振周波数359kHzを基準(0Hz)として、そこからの周波数変位を時間に対して示したものである。図3に見るように、探針1の振動周波数は、カンチレバー11の加振周波数を中心としてそこから±60Hz程度の幅で周期的に変化している。
この周波数変位幅Δfは、ΔωmagとΔf=Δωmag/(2π)の関係があり、測定位置でのカットコアのギャップ部分に生じる垂直磁場勾配の大きさ
Figure 0005424404
に依存している。一方、加振周波数からの周波数変位は周期0.5ms(周波数2kHz)で変化しており、図2のスペクトル強度が中心周波数から2番目の側帯波の強度が1番目の側帯波の強度と比較して強いことに対応している。この場合は、周波数変調の変調指数kが比較的大きな場合に対応していると考えられる。
図1で、アナログ回路で構成したFM復調器411の出力をロックインアンプ412の信号入力に、カットコア31の磁場発生用の交流電圧電源33の電圧信号をロックインアンプ412の参照信号入力に接続して、同期検波により周波数変位幅に対応する信号を計測したところ、リアルタイム・スペクトラム・アナライザの周波数復調波の振幅および交流磁場発生用の交流電圧電源33との間の位相差に対応する信号を得ることができることを確かめた。
以上の実験結果より、交流磁場による探針1−試料2間の磁気力の変化が、探針振動の周波数変調を引き起こすことが実験的に確かめられた。この現象を利用することにより、任意の周波数の交流磁場の検出ならびに試料近傍での磁気力の検出が可能となる。なお、交流場として交流電場を印加するためには図示しないが交番力発生機構として並行電極に高周波交流電圧を印加する装置を用いることができる。
次に、市販のMFM装置(JEOL・JSPM−5400)に磁気記録用リングヘッドを導入し、MFM探針を圧電素子により機械的に励振した状態でリングヘッドのギャップ端に凹凸像が観察できる程度まで近接させた後、リングヘッドによりMFM探針に交流磁場を印加して探針の振動状態を、スペクトラムアナライザを用いて調べた。使用したMFM探針はFePt高保磁力探針(日東光器製、保磁力8kOe)であり、測定前に探針の磁化方向がヘッド面に対し垂直になるように着磁した。探針の共振周波数は250kHz程度である。
図6に一例として、磁気ヘッドの励磁電流が0mAおよび30mAのときの探針振動スペクトルを示す。実験では探針をその共振周波数近傍(ω)で励振した。印加した交流磁場の周波数(ω)は1kHzである。図6に見るように、交流磁場印加により探針の励振スペクトルと1kHz離れた位置(ω=ω±ω)に鋭い側波スペクトルが発生することがわかる。高次の側波スペクトル(ω=ω±nω)は観測されなかった。この場合は、周波数変調の変調指数kが小さな場合に対応していると考えられる。これらスペクトルのベースラインの周波数依存性は、探針の機械的共振性能因子Qの周波数依存性と同様であり、熱エネルギーにより発生する探針の熱振動ノイズであると考えられる。30mAの側波スペクトルの強度はノイズレベルより20dB(×10)程度大きい。図7に励磁電流が10mAの場合の側波スペクトル強度を基準としたときの低周波側(ω=ω−ω)と高周波側(ω=ω+ω)の側波スペクトルの相対強度の励磁電流依存性を示す。側波スペクトル強度は励磁電流にほぼ比例して増加しており、高電流側で若干の低下が見られる。磁気ヘッドから発生する磁場強度は励磁電流にほぼ比例していると予想されるので、側波スペクトル強度が磁場強度と比例関係にあるものと考えられる。先の理論からも1次の側波スペクトルの強度は磁場強度と比例関係を示すことが予測される。さらに、スペクトラムアナライザの周波数復調機能を用いて振動波形を解析したところ、探針振動数の周波数変調が起こっていることがわかった。得られた振動波形をアナログ復調器で周波数復調した際にも周波数変調を確認することができた。
次に、市販のMFM装置(JEOL・JSPM−5400)の試料台に垂直磁気記録用単磁極ヘッドを導入して、磁気ヘッドから発生する交流磁場のイメージングを行った。
図8に測定系の模式図を示す。図8において、図1に示したものと同様の構成のものには同符号を付し、適宜説明を省略する。図8に示すように、探針1の励振はMFM装置内の電源12を用いて圧電素子13に交流電圧を印加して行い、磁気ヘッド31には外部電源33を用いて交流電流(ヘッド電流)を流し、交流磁場を発生させた。磁気ヘッド33からの交流磁場により、探針1の振動に周波数変調が発生する。探針1の振動をMFM装置内のフォトディテクタ15で検出し、その信号を、アンプ16を介して周波数復調器411としてのPLL回路(位相同期ループ回路)を用いて復調した。周波数復調信号の振幅および位相を、ロックインアンプ412を用いて測定し、その画像化をMFM装置の外部信号入力機能を用いて行った。ここで、ロックインアンプ412の参照信号として磁気ヘッド31の交流磁場発生に用いた外部電源33の電圧を用いた。使用したMFM探針1はFePt高保磁力探針(日東光器製、保磁力8kOe)であり、測定前に探針1の磁化方向がヘッド面に対し垂直になるように着磁した。探針1の共振周波数は298kHz程度である。ここで測定に用いたPLL回路はナノサーフ社製のeasyPLLであり、ロックインアンプはシグナルリカバリー社製の広帯域デジタルロックインアンプ7280である。なお、アンプはMFM装置のものである。
図9に一例として、垂直磁気記録用単磁極ヘッド33の励磁電流の周波数が600Hz、印加電圧の振幅が10mVの場合の表面凹凸像(a)、交流磁場の振幅像(b)および位相像(c)を示す。(a)の表面凹凸像の中央に見える台形の部分が、主磁極であり、その左側がトレーリングシールドであり、主磁極とトレーリングシールドの間がヘッドギャップである。磁気記録媒体はヘッド面上に設置され、この場合、相対的に左右方向に移動する。磁場は励磁電流により主磁極から発生し、磁気記録媒体を通ってトレーリングシールドに戻るが、その過程で記録に重要となる大きな磁場勾配がヘッドギャップ部分で得られる。観察は磁気記録媒体がない状態で行ったものであるが、交流磁場の振幅像(b)に見るように、最も大きな磁場強度が主磁極部分で得られており、ヘッドギャップを挟んで、トレーリングシールド部分でも大きな磁場強度が得られている。また、交流磁場の位相像(c)に見るように、主磁極側とトレーリングシールド側で像のコントラストが大きく異なっていることがわかる。コントラストの差は180°の位相差に対応しており、磁場の極性が反転していることがわかる。つまり主磁極側の磁場が上向きのときは、トレーリングシールド側では磁場の方向が下向きになっている。これらの結果は単磁極ヘッドの動作に一致しており、高い空間分解能で交流磁場のイメージングを行うことができた。
上記の方法は、直流磁場から数kHz程度までの周波数の磁場に対しては、高い計測感度で測定が可能であり、特に直流磁場近傍の低い周波数の磁場の計測に優位性がある。しかしながら、磁場の周波数がさらに増加すると、周波数変調の程度が小さくなるので計測が困難になる。このため、図10に示す測定方法を考案した。図10において、図1及び図8に示したものと同様の構成ものには同符号を付し、適宜説明を省略する。図10に示す形態と図8に示した形態の差異は、交流磁場計測時のカンチレバー11の励振に外部電源を用いる点である。この場合、カンチレバー11を、使用するカンチレバー11の共振周波数と測定したい交流磁場の周波数の和の周波数で励振することにより、カンチレバー11の共振周波数において強い変調信号を得ている。この変調信号を利用して高感度で交流磁場を計測するため、ロックインアンプ412を用いる。ロックインアンプ412の参照信号は、カンチレバー11の励振に使用する電源12と磁場を発生させる電源36の出力をかけ算器34に入力した後にローパスフィルター35を通すことにより得ている。なお、表面凹凸像の観察時にはカンチレバー11の励振周波数をその共振周波数近傍にしており、探針1−試料2間距離を一定に保つことにより得られる表面凹凸像取得時のフィードバック制御の制御性がよいので鮮明な表面凹凸像を得ている。この方法で計測できる周波数の下限はローパスフィルターの周波数のカットオフ性能に依存するので、低い周波数の交流磁場の計測には先の図8で示した方法が優位となる。
図11に一例として、垂直磁気記録用単磁極ヘッドの励磁電流の周波数が100kHz印加電圧の振幅が20mVの場合の表面凹凸像(a)、交流磁場の振幅像(b)および位相像(c)を示す。この場合、図10で説明した探針1の励振周波数の切り替えは、像の1ラインごとに行っており、最初に表面凹凸情報を得たのち、探針−試料間距離をさらに50nm増加させて同じ場所を走査して交流磁場の振幅情報および位相情報を得ている。図11に見るように、交流磁場の振幅および位相に対して、図9と同様の見え方をしており、高い周波数においても交流磁場のイメージングを行うことができた。
本発明の計測方法は、時間分解能ならびに空間分解能が優れることから、ハード磁気特性を示すハードディスクメディア等ばかりでなくソフト磁気特性を示す高周波薄膜トランスや磁気記録再生ヘッド等の磁場応答性の評価に適用できる。また、半導体デバイスの配線から漏れる高周波磁場の高分解能検出も可能であるので、半導体デバイスの評価に適用できる。

Claims (23)

  1. 試料上に配置した探針の振動の変調を検出して該試料の表面状態を計測する表面状態計測装置であって、
    自由端近傍に前記探針を備えたカンチレバーと、
    前記カンチレバーを励振させる励振機構と、
    前記探針及び前記試料を相対的に移動させて前記探針に前記試料上を走査させる走査機構と、
    計測空間に任意の周波数の交番力を発生させる交番力発生機構と、
    前記交番力によって前記探針に周期的な力が加わり、該周期的な力によって前記カンチレバーの見かけ上のバネ定数が周期的に変化し、該バネ定数の周期的変化に起因する前記探針の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測することができる、変調計測機構と、
    を備える表面状態計測装置。
  2. 前記変調計測機構が、前記交番力により発生する、前記探針の振動の周波数変調または振幅変調を復調して計測する、請求項1に記載の表面状態計測装置。
  3. 前記交番力発生機構が、単一周波数の力によって前記交番力を発生させる、請求項1または2に記載の表面状態計測装置。
  4. 前記交番力が、交流磁場または交流電場により発生する力である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  5. 前記励振機構が、前記カンチレバーの機械的共振周波数近傍の周波数で前記カンチレバーを励振させる機構であり、
    前記変調計測機構が、前記探針の振動の前記周波数変調の程度を計測する機構である、請求項1〜のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  6. 前記励振機構が、前記カンチレバーの機械的共振周波数に、前記交番力を発生させている周波数を加えた又は引いた周波数で前記カンチレバーを励振させる機構であり、
    前記変調計測機構が、前記探針振動の前記周波数変調または前記振幅変調の程度を計測する機構である、請求項1〜のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  7. 前記探針がハード磁気特性を示す磁性探針であるとともに前記試料がソフト磁気特性を示す試料であり、前記交番力が交流磁場により発生する力である、請求項1〜のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  8. さらに、ソフト磁気特性を示す前記試料の交流磁場応答の程度を画像化する画像化機構を備えた、請求項に記載の表面状態計測装置。
  9. 前記画像化機構が、前記交流磁場応答の程度として、応答振幅と位相遅れとを画像化する機構である、請求項に記載の表面状態計測装置。
  10. 前記探針がソフト磁気特性を示す磁性探針であるとともに前記試料がハード磁気特性を示す試料であり、前記交番力が交流磁場により発生する力である、請求項1〜6のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  11. さらに、ハード磁気特性を示す前記試料の近傍の磁場勾配を画像化する画像化機構を備えた、請求項10に記載の表面状態計測装置。
  12. 前記探針が帯電した探針又は強誘電性を示す探針であるとともに前記試料が強誘電性を示す試料であり、前記交番力が交流電場により発生する力である、請求項1〜のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  13. さらに、強誘電性を示す前記試料の交流電場応答の程度を画像化する画像化機構を備えた、請求項1に記載の表面状態計測装置。
  14. 前記画像化機構が、前記交流電場応答の程度として、応答振幅と位相遅れとを画像化する機構である、請求項1に記載の表面状態計測装置。
  15. 前記励振機構が、前記カンチレバーの励振周波数を掃引できる機能を有する、請求項1〜1のいずれかに記載の表面状態計測装置。
  16. 試料上に配置した探針の振動の変調を検出して該試料の表面状態を計測する表面状態計測方法であって、
    自由端近傍に前記探針を備えたカンチレバーを励振させると同時に、計測空間に任意の周波数の交番力を発生させ、前記交番力によって前記探針に周期的な力を加え、該周期的な力によって前記カンチレバーの見かけ上のバネ定数を周期的に変化させ、該バネ定数の周期的変化に起因する前記探針の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する、変調計測工程を備える、表面状態計測方法。
  17. 試料上に配置した探針の振動の変調を検出して該試料の表面状態を計測する表面状態計測方法であって、
    自由端近傍に前記探針を備えたカンチレバーを励振させながら前記探針で前記試料の表面を走査すると同時に、計測空間に任意の周波数の交番力を発生させ、前記交番力によって前記探針に周期的な力を加え、該周期的な力によって前記カンチレバーの見かけ上のバネ定数を周期的に変化させ、該バネ定数の周期的変化に起因する前記探針の振動の周波数変調または振幅変調の程度を計測する、変調計測工程を備える、表面状態計測方法。
  18. 前記探針に前記試料上を走査させて前記試料の表面の形状を計測する表面形状計測工程の後、前記変調計測工程を行う、請求項16または17に記載の表面状態計測方法。
  19. 前記探針に前記試料上を走査させて前記試料の表面の形状を計測する表面形状計測工程と同時に前記変調計測工程を行う、請求項16または17に記載の表面状態計測方法。
  20. 前記変調計測工程において、前記交番力により発生する前記探針の振動の周波数変調または振幅変調を復調して計測する、請求項16〜19のいずれかに記載の表面状態計測方法。
  21. 前記変調計測工程において、単一周波数の力によって前記交番力を発生させる、請求項16〜20のいずれかに記載の表面状態計測方法。
  22. 前記交番力が、交流磁場または交流電場により発生する力である、請求項16〜21のいずれかに記載の表面状態計測方法。
  23. 前記変調計測工程において、前記カンチレバーの励振周波数を掃引する、請求項16〜22のいずれかに記載の表面状態計測方法。
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