JP2007314113A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】空気入りタイヤの操縦安定性能や乗り心地性能を維持し、かつ重量を増加させることなく、肩落ち摩耗等を抑制して耐摩耗性を向上させる。
【解決手段】溝幅が最も広い広幅主溝11を、タイヤ赤道面CLよりも車両装着内側に所定距離を隔てて配置し、かつショルダ部の主溝10、14の溝幅を細くして、車両装着外側の各ブロック24A、25Aを車両装着内側のブロック20Aよりも大きくして車両装着外側の剛性を高くする。また、広幅主溝11を挟んで配置された各陸部21、22を、接地面内でタイヤ周方向に連続するように形成するとともに、タイヤ赤道面CL側の陸部22をタイヤ赤道面CL上に配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝を有する空気入りタイヤに関し、特に、タイヤ赤道面に対して非対称のトレッドパターンを形成して耐摩耗性を向上させた空気入りタイヤに関する。
例えば乗用車用タイヤ等の空気入りタイヤは、一般に、トレッド部に、タイヤと路面との間の摩擦係数を高めて有効な駆動・制動性能や操縦安定性能を確保したり、或いは排水性を高めてウエット性能を向上させる等のため、タイヤ周方向に延びる主溝等の各種の溝やサイプ等からなるトレッドパターンが形成されている。このトレッドパターンとしては、従来、タイヤ赤道面に対して左右対称に形成する他に、車両装着時に装着内側(以下、車両装着内側という)になる部分と装着外側(以下、車両装着外側という)になる部分とでは異なる性能が要求されることに着目し、タイヤ赤道面に対して非対称に形成して各種性能の向上を図ったパターンが知られている(特許文献1参照)。
図4は、この従来の非対称パターンを有する空気入りタイヤのトレッドパターンを展開して示す平面図である。
なお、この空気入りタイヤ80は、車両に対して、トレッド部81の一方の接地端STA側(図の左側)が車両装着外側となり、他方の接地端側STB側(図の右側)が車両装着内側となるように装着される。
空気入りタイヤ80は、図示のように、トレッド部81に、タイヤ周方向に延びる複数本(図では3本)の主溝82と、主溝82により区画された複数の陸部90〜92とを有し、最も溝幅の広い広幅主溝82Aをタイヤ赤道面CLよりも車両装着外側に配置する等して、トレッドパターンをタイヤ赤道面CLに対して非対称に形成している。また、このタイヤ80は、広幅主溝82Aを挟んだ両側の各陸部91、92に、広幅主溝82Aに沿ったタイヤ周方向に延びる細溝83を設け、各陸部91、92の広幅主溝82Aを挟んだ縁部95をタイヤ周方向に連続して延びるリブ状の陸部に形成している。加えて、略タイヤ幅方向に傾斜して延びる複数本の横溝(ラグ溝)84を形成して、各陸部90〜92をタイヤ周方向に区画し、陸部90〜92内に複数のブロックを形成するとともに、各ブロック及び広幅主溝82Aを挟んだタイヤ赤道面CL側の縁部95内のそれぞれに、複数本のサイプ85を形成している。
ここで、空気入りタイヤの車両装着外側部分は、車両旋回時に接地圧が増加する部分であり、高い接地性が要求されることが知られているが、このタイヤ80では、最も広幅な広幅主溝82Aをタイヤ赤道面CLよりも車両装着外側に配置し、車両装着外側のトレッド半部分における排水効果を向上させている。これにより、このタイヤ80は、湿潤路面での旋回時におけるタイヤの接地性やハイドロプレーニング性能を高くし、タイヤのウエット性能等を向上させている。
しかしながら、この従来の空気入りタイヤ80では、タイヤ赤道面CL付近のセンタ部に、タイヤ周方向に配列した複数のブロック92Aからなるセンタ陸部92を配置しているため、センタ部付近の剛性が低くなるという問題がある。このセンタ部は、タイヤ転動時に接地圧が高くなる部分であり、従って、このタイヤ80では、接地時のセンタ部の変形が大きくなり、タイヤ転動時の安定性が低下する等して操縦安定性能が低下する恐れがある。
また、この従来のタイヤ80では、広幅主溝82Aを車両装着外側に設けたことで、車両装着外側(接地端STA側)のショルダ部に位置する外側陸部91(ブロック91A)が小さくなり、そのブロック剛性も低くなるため、外側陸部91に肩落ち摩耗等の偏摩耗が生じる恐れもある。即ち、空気入りタイヤでは、車両旋回時の遠心力により車両装着外側のショルダ部に大きな荷重が集中する等して、車両装着外側のショルダ部だけが局部的に大きく、かつ早期に摩耗して肩落ち摩耗が発生することがある。従って、ショルダ部のブロック剛性が低いこの従来の空気入りタイヤ80では、外側陸部91の車両旋回時の変形も大きくなる等、車両装着外側のショルダ部に肩落ち摩耗が発生し易く、耐摩耗性が低下する恐れがある。
特に、サイズがより小さい軽乗用車のタイヤでは、タイヤのサイズに比例してショルダ部のブロックも小さくなり、そのブロック剛性も低くなる。その為、軽乗用車用のタイヤでは、一般乗用車用タイヤに比べてショルダ部の肩落ち摩耗がより生じ易くなる、という問題がある。
この肩落ち摩耗等を抑制して空気入りタイヤの耐摩耗性を向上させる方法として、タイヤのトレッド幅を広くするとともに、ショルダ部のブロックを大きくする等して、ショルダ部のブロック剛性を高くしたり、或いは、ブロックの摩耗容量を増加させる方法が考えられる。しかしながら、この場合には、耐摩耗性が向上する反面、タイヤの他の性能等に影響が生じる恐れがあり、例えば、トレッド幅やブロックの増加によりタイヤの重量が増加することがある。また、単純にブロック剛性を高くした場合には、ブロックが変形し難くなってタイヤの緩衝機能が低下する等し、乗り心地性能が低下する恐れもある。
特開2005−170147号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、空気入りタイヤの操縦安定性能や乗り心地性能を維持し、かつ重量を増加させることなく、肩落ち摩耗等を抑制して耐摩耗性を向上させることである。
請求項1の発明は、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝と、該主溝により区画された複数の陸部とを有し、車両装着時に車両に対する装着方向が指定される空気入りタイヤであって、溝中心が車両装着時にタイヤ赤道面よりも装着内側となる位置に配置され、溝幅が他の主溝よりも広い広幅主溝と、該広幅主溝を挟んだ両側に配置され、接地面内でタイヤ周方向に連続する連続陸部と、車両装着時の装着外側及び内側のそれぞれの接地端側に配置され、ラグ溝及び/又はサイプで区画されたブロックからなる外側陸部及び内側陸部と、を有するとともに、前記外側陸部のブロックの表面積が前記内側陸部のブロックの表面積よりも大きい、タイヤ赤道面に対して非対称のトレッドパターンを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、前記広幅主溝の溝幅が、前記他の主溝の溝幅の2〜10倍であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された空気入りタイヤにおいて、前記外側陸部のブロックが、該ブロック内にサイプを有さないブロックであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、前記広幅主溝を挟んだタイヤ赤道面側の連続陸部が、タイヤ赤道面上に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、空気入りタイヤの操縦安定性能や乗り心地性能を維持し、かつ重量を増加させることなく、肩落ち摩耗等を抑制して耐摩耗性を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを展開して示す平面図である。
この空気入りタイヤ1は、上記した従来の空気入りタイヤ80と同様に、タイヤ赤道面CLに対して非対称のトレッドパターンを備えた車両装着時に車両に対する装着方向が指定されるタイヤであり、図示のように、トレッド部2に、タイヤ周方向に延びる複数本(ここでは5本)の主溝10〜14と、主溝10〜14により区画された複数の陸部20〜25とを有する。なお、図では、トレッド部2の一方の接地端STA側(図の右側)が車両装着外側であり、他方の接地端STB側(図の左側)が車両装着内側である。
主溝10〜14は、タイヤ赤道面CLを挟んだセンタ部付近に配置された広幅主溝11、中央主溝12、中間主溝13と、それらよりもタイヤ幅方向外側のショルダ部側にそれぞれ配置された内側ショルダ主溝10及び外側ショルダ主溝14からなる。広幅主溝11は、溝中心が車両装着時にタイヤ赤道面CLよりも装着内側となる位置に、タイヤ赤道面CLから所定の距離(図のH)を隔てて配置され、溝幅(図のW)が他の主溝10、12〜14よりも広幅に形成されている。中央主溝12と中間主溝13は、タイヤ赤道面CLを挟んで広幅主溝11の反対側(車両装着外側)に順に配置されている。内側ショルダ主溝10は、車両装着内側の接地端STBと広幅主溝11との間に、接地端STBから所定の距離を隔てて配置され、外側ショルダ主溝14は、車両装着外側の接地端STAと中間主溝13との間に、接地端STAから所定の距離を隔てて配置されている。
ここで、各主溝10〜14の溝幅は、溝中心と直交する方向(ここではタイヤ幅方向)の幅であり、また、溝中心とタイヤ赤道面CL等の距離は、それらの間のタイヤ幅方向の距離である。本実施形態では、中央主溝12と内側及び外側ショルダ主溝10、14は、溝幅が最も狭く、かつ略同程度の幅に形成され、中間主溝13は、それらと広幅主溝11の略中間程度の溝幅に形成されている。また、広幅主溝11の溝幅Wは、他の主溝10、12〜14の溝幅の2〜10倍に形成されている。
この空気入りタイヤ1のトレッド部2には、以上の主溝10〜14により区画されて、周方向に延びる6つの陸部20〜25、即ち、車両装着内側の接地端STBから外側の接地端STAに向かって順に、内側ショルダ陸部20、内側連続陸部21、赤道面側連続陸部22、赤道面側中間陸部23、外側中間陸部24、外側ショルダ陸部25が形成されている。
内側連続陸部21と赤道面側連続陸部22は、広幅主溝11の車両装着内側及びタイヤ赤道面CL側のそれぞれに、広幅主溝11を挟んで配置され、かつ赤道面側連続陸部22は、タイヤ赤道面CL上に位置するように配置されている。これら各連続陸部21、22は、タイヤ幅方向の幅が略同一に形成されており、接地端STA、STB側の他の陸部20、24、25よりも狭幅に、中央主溝12を挟んで隣接する赤道面側中間陸部23とは略同程度の幅に形成されている。
また、内側連続陸部21には、略タイヤ幅方向に傾斜して延び、陸部21を横断する複数本のサイプ30が、タイヤ周方向に所定の間隔で形成され、赤道面側連続陸部22には、略タイヤ幅方向に延び、両端が隣接する主溝11、12に貫通せずに陸部22内に留まる複数本のクローズドサイプ31が、タイヤ周方向に所定の間隔で形成されている。これら各サイプ30、31は、接地面内で閉じるサイプ、即ち、タイヤ転動により路面に接地したときに、接地面内の陸部21、22が接地圧により変形すると、その変形に応じて閉じて塞がるサイプであり、これにより接地面内のサイプ30で分断された陸部21のブロック同士、又は陸部22内のサイプ31の両溝壁が繋がって接地面内の陸部21、22がタイヤ周方向に連続した陸部となり、それらの接地時の剛性を高くすることができる。
なお、各連続陸部21、22は、サイプ等を形成せずにタイヤ周方向に連続して延びるリブ状の陸部に形成してもよく、従って、本発明において「接地面内でタイヤ周方向に連続する」とは、タイヤ周方向に連続して延びる場合に加えて、上記した接地面内で閉じるサイプで分断され、接地時に接地面内で連続するような場合も含む。
内側ショルダ陸部20は、接地端STBと内側ショルダ主溝10との間の車両装着内側ショルダ部に配置され、略タイヤ幅方向に傾斜して延びる複数本のラグ溝32及びラグ溝32のタイヤ幅方向内側端に続くサイプ33により分断されている。即ち、内側ショルダ陸部20は、これら複数本のラグ溝32及びサイプ33で区画されたタイヤ周方向に配列する複数のブロック20Aからなり、各ブロック20A内のタイヤ周方向の略中間位置には、ブロック20Aを横断するサイプ34が、ラグ溝32及びサイプ33と同様に、略タイヤ幅方向に傾斜して形成されている。
一方、タイヤ赤道面CLよりも車両装着外側の接地端STA側には、接地端STAと外側ショルダ主溝14との間の外側ショルダ陸部25、そのタイヤ幅方向内側の外側中間陸部24、タイヤ赤道面CL側の赤道面側中間陸部23の、3つの陸部23〜25が配置されている。これら各陸部23〜25は、外側中間陸部24内で屈曲し、かつ略タイヤ幅方向に傾斜して延びる複数本のラグ溝(横溝)35によりタイヤ周方向に分断されており、各陸部23〜25も、内側ショルダ陸部20と同様に、ラグ溝35で区画されたタイヤ周方向に配列する複数のブロック23A〜25Aからなる。
ここで、本実施形態のタイヤ1では、車両装着内側のラグ溝32及びサイプ33と、車両装着外側のラグ溝35を、タイヤ周方向に略同一の所定間隔で配置しているため、各ブロック20A、23A〜25Aの配列ピッチも略同一になっている。また、外側ショルダ陸部25と外側中間陸部24のタイヤ幅方向の幅を略同一に、赤道面側中間陸部23をその略半分程度の幅に形成し、他端側の内側ショルダ陸部20の幅を、外側ショルダ陸部25よりも僅かに狭く形成している。
従って、このタイヤ1では、車両装着外側の接地端STA側に配置された外側陸部(外側ショルダ陸部25、外側中間陸部24、赤道面側中間陸部23)のブロック23A〜25Aの表面積が、車両装着内側の接地端STB側に配置された内側陸部(内側ショルダ陸部20)のブロック20Aの表面積よりも大きくなっている。また、ブロック20Aにサイプ34を形成した内側ショルダ陸部20に対し、車両装着外側の各陸部23〜25には、各ブロック23A〜25A内にサイプを形成せずに、各ブロック23A〜25A(特に、より接地端STAに近いブロック24A、25A)の変形に対する剛性を大きくしている。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2に、以上説明した非対称のトレッドパターンを有し、これにより耐摩耗性を向上させることができる。即ち、このタイヤ1では、ショルダ部に配置した各ショルダ主溝10、14の溝幅を細くしたため、偏摩耗が生じ易いショルダ部(各接地端STB、STA側)の各ショルダ陸部20、25のブロック20A、25Aを大きくでき、その高剛性化を図ることができる。また、各主溝10、14を細くする替わりに、センタ側に配置された主溝(広幅主溝11)の溝幅を広くしたため、タイヤ1の排水性等を確保することができる。同時に、この最も広幅な広幅主溝11の溝中心を、タイヤ赤道面CLよりも車両装着内側となる位置に配置したため、車両装着外側(接地端STA側)に配置された外側陸部(外側ショルダ陸部25、外側中間陸部24、赤道面側中間陸部23)のブロック25A、24A、23Aの表面積を、車両装着内側(接地端STB側)に配置された内側陸部(内側ショルダ陸部20)のブロック20Aの表面積よりも大きくすることができる。
その結果、このタイヤ1では、特に肩落ち摩耗が生じ易い車両装着外側のブロック剛性を高くすることができ、その車両旋回時の荷重の集中による変形を小さくする等して、肩落ち摩耗の発生を抑制することができる。加えて、このタイヤ1では、車両装着内側のブロック20Aのブロック剛性が低くなり、路面からの振動等をブロック20Aで吸収できるため、車両装着内側の緩衝機能を高めることができ、タイヤ1全体としての乗り心地性能の悪化を抑制することができる。
なお、本実施形態では、内側ショルダ陸部20のブロック20A内にサイプ34を形成したため、そのブロック剛性をより低下させることができ、車両装着内側部分の緩衝機能を効果的に向上させることができる。一方、車両装着外側の各ブロック25A、24A、23A内にサイプを形成した場合には、ブロック剛性が低下して肩落ち摩耗が生じ易くなる恐れがあるため、それらは、ブロック内にサイプを有さないブロックにするのがより好ましい。
また、広幅主溝11の溝幅が、他の主溝10、12、13、14の溝幅の2倍よりも小さい場合には、排水性の確保等の観点から、各ショルダ主溝10、14の溝幅を十分に細くできず、上記したショルダ部のブロックを大きくすることによる高剛性化が不十分となり、肩落ち摩耗等が生じ易くなる恐れがある。逆に、10倍よりも大きい場合には、トレッド部2の路面との接地面積が減少して操縦安定性能等が低下する恐れがあり、また、他の主溝が細くなりすぎて排水性に支障が生じる恐れもある。従って、広幅主溝11の溝幅は、他の主溝10、12、13、14の溝幅の2〜10倍に形成するのがより好ましい。
以上に加えて、このタイヤ1では、広幅主溝11を挟んだ両側に、上記した接地面内でタイヤ周方向に連続する各連続陸部21、22を配置したため、センタ部付近の接地時の剛性を高くすることができる。その結果、タイヤ転動時にセンタ部付近の接地圧が高くなっても、その付近の過剰な変形を抑制できる等、操縦安定性能が低下するのを防止することもできる。
ここで、広幅主溝11のタイヤ赤道面CL側は、車両装着内側に比べて接地圧がより高くなるため、操縦安定性能の観点からは、タイヤ赤道面CL側に位置する赤道面側連続陸部22の剛性をより高くするのが好ましい。従って、赤道面側連続陸部22は、サイプ等を有さない周方向に連続するリブ状陸部にするか、又は、サイプを形成する場合にも、本実施形態のように、より剛性が高い上記したクローズドサイプ31を形成するのが好ましい。また、赤道面側連続陸部22をタイヤ赤道面CL上に配置した場合には、上記した操縦安定性能に対する有利な作用を効果的に発揮させることができるため、より好ましい。
以上説明したように、本実施形態の空気入りタイヤ1によれば、操縦安定性能や乗り心地性能を維持しつつ、肩落ち摩耗の発生等を抑制して耐摩耗性を向上させることができる。また、特にサイズが小さく肩落ち摩耗が生じ易い軽乗車用タイヤ等であっても、同様のトレッドパターンを形成することで、トレッド幅やブロック等を増加させずに肩落ち摩耗の発生を抑制することができる。従って、空気入りタイヤ1の重量を増加させることなく、耐摩耗性の向上を図ることができる。
(タイヤ試験)
本発明の効果を確認するため、以上説明した非対称のトレッドパターンを形成した実施例のタイヤ(以下、実施品という)と、複数の主溝の溝幅を変化等させた比較例のタイヤ(以下、比較品という)と、主溝の溝幅を変化させない従来例のタイヤ(以下、従来品という)を作製し、以下の各条件で耐摩耗性、操縦安定性能、及び乗り心地性能を試験した。これらタイヤは全て、JATMA YEAR BOOK(2006、日本自動車タイヤ協会規格)で定めるタイヤサイズ155/65R13の乗用車用ラジアルプライタイヤである。
まず、各タイヤに形成したトレッドパターンについて説明する。
実施品のトレッド部2には、上記した非対称パターン(図1参照)を形成したが、その広幅主溝11の溝幅Wは15.7mmに形成し、その溝中心とタイヤ赤道面CLとの距離(図のH)が15mmとなるように、タイヤ赤道面CLよりも車両装着内側に配置した。これに対し、比較品と従来品の各トレッド部2には、タイヤ赤道面CL上の点に対して点対称となるトレッドパターンを形成した。
図2は、比較品のトレッド部に形成したトレッドパターンを展開して示す平面図である。
比較品には、図示のように、トレッド部2に、タイヤ周方向に延びる5本の主溝40を設け、これらにより区画して6列の陸部41を形成した。主溝40は、タイヤ赤道面CL上に、最も溝幅の広い広幅主溝40Aを、各接地端ST側の両ショルダ部に、溝幅の狭いショルダ主溝40Cを、各主溝40A、C間のタイヤ赤道面CLよりの各位置に、溝幅が中間程度の中間主溝40Bを、それぞれタイヤ赤道面CLに対して対称となるように形成した。また、各主溝40は、接地端ST側のショルダ陸部41Cと、そのタイヤ赤道面CL側に隣接する中間陸部41Bのタイヤ幅方向の幅が、略同程度の幅になり、かつ広幅主溝40Aを挟んだセンタ主溝41Aよりも広幅になるように配置した。従って、比較品では、実施品と異なり、両接地端ST側の陸部41B、Cが、ともに大きくなっている。
また、比較品では、中間陸部41Bで屈曲し、かつ略タイヤ幅方向に傾斜して延びる複数本のラグ溝(横溝)42を形成して各陸部41を周方向に分断し、全ての陸部41を複数のブロック43から形成した。このラグ溝42は、上記した実施品の車両装着外側のラグ溝35と、略同一間隔でタイヤ周方向に配列し、その屈曲形状等も略同一に形成した。なお、比較品の広幅主溝40Aは、溝幅が実施品の広幅主溝11と同じ15.7mmになるように形成し、溝中心を赤道面CLに略一致させて配置した。
図3は、従来品のトレッド部に形成したトレッドパターンを展開して示す平面図である。
従来品には、図示のように、トレッド部2に、タイヤ周方向に延びる3本の主溝50を、タイヤ赤道面CL上、及びタイヤ赤道面CLと各接地端STとの略中間位置のそれぞれに設け、これらにより区画して4列の陸部51、52を形成した。従って、従来品では、各陸部51、52のタイヤ幅方向の幅は、同程度になっている。
また、従来品では、接地端ST側のショルダ陸部52を、複数本の略タイヤ幅方向に延びるラグ溝60と、それに続くサイプ61によりタイヤ周方向に分断するとともに、各ブロック52A内に、略タイヤ幅方向に延びる横溝62と、略タイヤ周方向に屈曲して延びるサイプ63を形成した。更に、タイヤ赤道面CLを挟んだ両中央陸部51を、略タイヤ幅方向に屈曲して延びる横溝64等によりタイヤ周方向に分断するとともに、各ブロック51A内にタイヤ周方向に延びるサイプ65を形成した。なお、従来品の3本の主溝50は、全て7.4mmに形成した。
これら各タイヤの耐摩耗性は、各タイヤを試験車両(軽乗用車)に装着してテストコースを同一距離走行させ、車両装着外側ショルダ部の肩落ち摩耗の程度を比較して評価した。また、操縦安定性能と乗り心地性能は、各タイヤを試験車両(軽乗用車)に装着してテストコースを走行し、従来品を基準として、それと対比して実施品及び比較品の性能を相対的に評価する官能評価で比較した。
表1に、各タイヤの試験結果と重量を示す。
表中の耐摩耗性は、従来品の肩落ち摩耗の程度を100とした指数で表し、この値が大きいほどレベルが良好である。また、操縦安定性能と乗り心地性能は、基準となる従来品に対し、±0は同等レベル、±0.25は良し悪しが分かるレベル、±0.5は明らかに差が認められるレベルをそれぞれ表し、プラス(+)が良好となった場合を、マイナス(−)が悪化した場合を示す。なお、操縦安定性能と乗り心地性能は、−0.25が改良ニーズがあるレベルであり、−0.5が改良が要求されるレベルである。
Figure 2007314113
表1に示すように、耐摩耗性指数は、従来品の100に対し、比較品では171と高くなり、実施品では182と更に高くなっていた。これより、従来品に比べて、比較品及び実施品ともに耐摩耗性が高くなるが、実施品ではより向上したことが分かる。
操縦安定性能は、従来品の基準(まずまずのレベル)に対し、比較品では+0.25であり、剛性感及び切れが向上していた。しかしながら、比較品の乗り心地性能は、従来品の基準(ソフト感ありマイルド)に対して、−0.25であり、当たりがやや硬くショックが強くなっていた。これより、比較品では、操縦安定性能は高くなるが、乗り心地性能が改良ニーズがあるレベルに低下したことが分かる。
一方、実施品の操縦安定性能と乗り心地性能は、ともに±0であり、従来品の基準とほぼ同等のレベルであった。これより、従来品に対し、実施品の操縦安定性能と乗り心地性能は、同等レベルを維持していることが分かる。なお、実施品、比較品、従来品の重量は、全て4.8kgであり、実施品では重量も増加していなかった。
以上の結果から、本発明により、空気入りタイヤの操縦安定性能や乗り心地性能を維持し、かつ重量を増加させることなく、肩落ち摩耗の発生等を抑制して耐摩耗性を向上できることが証明された。
本実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを展開して示す平面図である。 比較品のトレッド部に形成したトレッドパターンを展開して示す平面図である。 従来品のトレッド部に形成したトレッドパターンを展開して示す平面図である。 従来の非対称パターンを有する空気入りタイヤのトレッドパターンを展開して示す平面図である。
符号の説明
1・・・空気入りタイヤ、2・・・トレッド部、10・・・内側ショルダ主溝、11・・・広幅主溝、12・・・中央主溝、13・・・中間主溝、14・・・外側ショルダ主溝、20・・・内側ショルダ陸部、20A・・・ブロック、21・・・内側連続陸部、22・・・赤道面側連続陸部、23・・・赤道面側中間陸部、23A・・・ブロック、24・・・外側中間陸部、24A・・・ブロック、25・・・外側ショルダ陸部、25A・・・ブロック、30・・・サイプ、31・・・クローズドサイプ、32・・・ラグ溝、33・・・サイプ、34・・・サイプ、35・・・ラグ溝、CL・・・タイヤ赤道面、STA・・・接地端(車両装着外側)、STB・・・接地端(車両装着内側)。

Claims (4)

  1. トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝と、該主溝により区画された複数の陸部とを有し、車両装着時に車両に対する装着方向が指定される空気入りタイヤであって、
    溝中心が車両装着時にタイヤ赤道面よりも装着内側となる位置に配置され、溝幅が他の主溝よりも広い広幅主溝と、
    該広幅主溝を挟んだ両側に配置され、接地面内でタイヤ周方向に連続する連続陸部と、
    車両装着時の装着外側及び内側のそれぞれの接地端側に配置され、ラグ溝及び/又はサイプで区画されたブロックからなる外側陸部及び内側陸部と、を有するとともに、
    前記外側陸部のブロックの表面積が前記内側陸部のブロックの表面積よりも大きい、タイヤ赤道面に対して非対称のトレッドパターンを備えたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 請求項1に記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記広幅主溝の溝幅が、前記他の主溝の溝幅の2〜10倍であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 請求項1又は2に記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記外側陸部のブロックが、該ブロック内にサイプを有さないブロックであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載された空気入りタイヤにおいて、
    前記広幅主溝を挟んだタイヤ赤道面側の連続陸部が、タイヤ赤道面上に配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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