JP2007311503A - 静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置 - Google Patents

静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置 Download PDF

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学 永井
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Abstract

【課題】ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生をリアルタイムで精度良く検出し、また、従来のウェーハ割れ等の光学的検出方式に比べて安価とする。
【解決手段】発振器における発振周波数を特定するインダクタンスを持つ平面状インダクタ34を備えた静電結合分布インダクタンス型センサ32を研磨ヘッド3もしくはプラテン2のいずれかに組み込み、ウェーハWを平面状インダクタ34に静電結合させてウェーハWに割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生した場合にインダクタンスを変化させ、インダクタンスの変化に基づく発振器の発振周波数の変化からウェーハ異常発生を検出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置に関するものであり、特に、ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生をリアルタイムで精度良く検出することが可能な静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置に関するものである。
静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置に関連する従来技術として、例えば次のような化学機械研磨装置が知られている。この従来技術は、表面に研磨パッドを有し、回転するプラテンと、ウェーハを前記研磨パッドに押し付けるように保持しながら回転するウェーハ保持機構とを備え、ウェーハを研磨する化学機械研磨装置において、前記プラテンと研磨パッドとを透明とし、ビデオカメラ等の撮像装置を使用して研磨中のウェーハを撮影し、その画像出力を画像処理装置で処理してウェーハの外形を光学的に検出している。そして、ウェーハの外形検出結果から、その外形変化具合を算出し、算出したウェーハの外形変化具合が、通常状態と大きく異なる変化をしたときにウェーハ割れ等の研磨異常が発生したと判定している(例えば、特許文献1参照)。
また、静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置に関連する他の従来技術として、例えば次のような距離測定用ICが知られている。この従来技術は、パッケージに内蔵している発振器と、前記パッケージに配設されるとともに前記発振器に接続されて該発振器の発振周波数を特定する平面状インダクタとを備えている。ICのパッケージ表面に導電性物質が接近すると、前記平面状インダクタによって前記発振器の発振周波数が変化する。該発振周波数を検出して導電性物質の接近距離を検出することができる。測定時間を短くするため、高い周波数の電流を前記平面状インダクタに流し、その表面に発生する静電気的な誘導を有効に利用している。用途として、ロボット・アームの位置計測による該アームの制御や、位置検出器の内部に格納することによる圧力検出等がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−259979号公報(第4〜5頁、図2)。 特許第3352619号公報(第2〜4頁、図18)。
特許文献1に記載の従来技術においては、ウェーハの光学的な外形検出に、ビデオカメラ等の撮像装置及びその画像出力を処理するための画像処理装置を必要としている。このため、ウェーハの研磨異常発生を検出する装置が高価なものとなっている。
特許文献2に記載の従来技術においては、発振器と、該発振器に接続されて該発振器の発振周波数を特定する平面状インダクタとを備えて構成されているが、用途として、ロボット・アームの位置計測による該アームの制御や、位置検出器の内部に格納して圧力検出等に使用されている。
そこで、ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生をリアルタイムで精度良く検出し、また、従来のウェーハ割れ等の光学的検出方式に比べて安価とするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、回転するプラテンの表面に設けられた研磨パッドに、研磨ヘッドに保持されたウェーハを回転させながら押しつけて研磨する化学機械研磨における前記ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生を検出するウェーハ異常発生検出装置であって、発振器における発振周波数を特定するインダクタンスを持つ平面状インダクタを備えた静電結合分布インダクタンス型センサを前記研磨ヘッドもしくは前記プラテンのいずれかに組み込み、前記ウェーハと前記平面状インダクタとの間で静電結合を引きおこし、前記ウェーハに前記割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生した場合に前記インダクタンスを変化させ、該インダクタンスの変化に基づく前記発振器の発振周波数の変化から前記ウェーハ異常発生を検出するように構成してなる静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置を提供する。
この構成によれば、研磨ヘッドもしくは前記プラテンのいずれかに組み込まれた静電結合分布インダクタンス型センサにおける平面状インダクタに発振器で発振されたMHzオーダーの高周波数の電流を流すと、該平面状インダクタとウェーハ間の静電結合によりウェーハの表面部に、平面状インダクタ側と符号が異なる電荷が出現する。誘導された該電荷によってウェーハ側に流れる電流の方向と、平面状インダクタ側を流れる電流の方向とは逆向きである。
平面状インダクタを流れる電流は空間的に磁力線を発生し、発生した磁力線が該平面状インダクタ自身を流れる電流と電磁気的に結合することにより、自己インダクタンスを形成する。この自己インダクタンスが平面状インダクタのインダクタンスに相当する。
一方、ウェーハ側に流れる電流も空間的に磁力線を発生する。該ウェーハ側の電流の方向と平面状インダクタ側の電流の方向とは逆向きであるので、ウェーハ側の電流で発生する磁力線の方向は、平面状インダクタ側の電流で発生する磁力線の方向の逆である。したがって、平面状インダクタ側で発生する磁力線は、ウェーハ側で発生する磁力線によって打ち消され、この打ち消された分だけ小さくなる。
ウェーハが正常な研磨状態にあると、平面状インダクタ側で発生する磁力線に対する前記打ち消し分に大きな変動はなく、平面状インダクタのインダクタンスは、前記磁力線の打ち消し分に相当する分だけ等価的に減少した値を保持する。そして、発振器は、平面状インダクタにおけるその保持されたインダクタンスで特定される周波数の信号を発振する。
これに対し、ウェーハに割れによる異常が発生すると、静電結合により該ウェーハ側に流れる電流が大きく減少する。このため、前記磁力線の打ち消し分が大きく減少して前記平面状インダクタのインダクタンスが等価的に大きく増加する。この結果、発振器の発振周波数が大きく減少し、この発振周波数の大きな減少からウェーハの割れによる異常発生が検出される。
また、ウェーハが外部に飛び出るスリップアウトによる異常が発生すると、前記磁力線の打ち消し分が消滅して前記平面状インダクタのインダクタンスは、さらに大きく増加する。この結果、発振器の発振周波数は、前記ウェーハ割れによる異常発生の場合よりも大きく減少し、この発振周波数のさらに大きな減少からウェーハのスリップアウトによる異常発生が検出される。前記発振器の各発振周波数は周波数カウンタを用いて測定することが可能である。
請求項2記載の発明は、上記研磨ヘッドに、複数の上記静電結合分布インダクタンス型センサを組み込んでなる静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生
検出装置を提供する。
この構成によれば、研磨ヘッドに組み込まれた複数の各静電結合分布インダクタンス型センサにより、上記請求項1記載の発明の作用と同様のウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生の検出作用が得られる。
請求項3記載の発明は、上記プラテンに、複数の上記静電結合分布インダクタンス型センサを組み込んでなる静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置を提供する。
この構成によれば、プラテンに組み込まれた複数の各静電結合分布インダクタンス型センサにより、上記請求項1記載の発明の作用と同様のウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生の検出作用が得られる。
請求項1記載の発明は、発振器における発振周波数を特定するインダクタンスを持つ平面状インダクタを備えた静電結合分布インダクタンス型センサを前記研磨ヘッドもしくは前記プラテンのいずれかに組み込み、前記ウェーハと前記平面状インダクタとの間で静電結合を引きおこし、前記ウェーハに前記割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生した場合に前記インダクタンスを変化させ、該インダクタンスの変化に基づく前記発振器の発振周波数の変化から前記ウェーハ異常発生を検出するように構成したので、ウェーハに割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生したとき、平面状インダクタのインダクタンスが等価的に大きく増加して発振器の発振周波数が大きく減少することから、ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生をリアルタイムで精度良く検出することができる。また、平面状インダクタを含む発振器を主体として構成された静電結合分布インダクタンス型センサは、従来の撮像装置及び画像処理装置等を備えてウェーハ割れ等を光学的に検出する方式に比べて安価であるという利点がある。
請求項2記載の発明は、上記研磨ヘッドに、複数の上記静電結合分布インダクタンス型センサを組み込んだので、研磨ヘッドに組み込まれた複数の静電結合分布インダクタンス型センサでウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生を監視することで、該ウェーハ異常発生の検出確率を向上させることができるという利点がある。
請求項3記載の発明は、上記プラテンに、複数の上記静電結合分布インダクタンス型センサを組み込んだので、プラテンに組み込まれた複数の静電結合分布インダクタンス型センサでウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生を監視することで、該ウェーハ異常発生の検出確率を向上させることができるという利点がある。
ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生をリアルタイムで精度良く検出し、また、従来のウェーハ割れ等の光学的検出方式に比べて安価とするという目的を、回転するプラテンの表面に設けられた研磨パッドに、研磨ヘッドに保持されたウェーハを回転させながら押しつけて研磨する化学機械研磨における前記ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生を検出するウェーハ異常発生検出装置であって、発振器における発振周波数を特定するインダクタンスを持つ平面状インダクタを備えた静電結合分布インダクタンス型センサを前記研磨ヘッドもしくは前記プラテンのいずれかに組み込み、前記ウェーハと前記平面状インダクタとの間で静電結合を引きおこし、前記ウェーハに前記割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生した場合に前記インダクタンスを変化させ、該インダクタンスの変化に基づく前記発振器の発振周波数の変化から前記ウェーハ異常発生を検出することにより実現した。
以下、本発明の好適な一実施例を図面に従って詳述する。図1は静電結合分布インダクタンス型センサが組み込まれた化学機械研磨装置の斜視図、図2は研磨ヘッドの拡大縦断面図、図3は静電結合分布インダクタンス型センサが研磨ヘッドに組み込まれた状態を説明するための概略構成図、図4は静電結合分布インダクタンス型センサのブロック図である。
まず、本実施例に係る静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置の構成を、化学機械研磨装置の構成から説明する。図1において化学機械研磨装置1は、主としてプラテン2と、研磨ヘッド3とから構成されている。前記プラテン2は、円盤状に形成され、その下面中央には回転軸4が連結されており、モータ5の駆動によって矢印A方向へ回転する。前記プラテン2の上面には研磨パッド6が貼着されており、該研磨パッド6上に図示しないノズルから研磨剤(スラリー)が供給される。
前記研磨ヘッド3は、図2に示すように、主としてヘッド本体7、キャリア8、リテーナリング9、リテーナリング押圧手段10、弾性シート11、キャリア押圧手段16及びエアー等の制御手段で構成されている。
前記ヘッド本体7は円盤状に形成され、その上面中央に回転軸12(図1参照)が連結されている。該ヘッド本体7は前記回転軸12に軸着されて図示しないモータで駆動され図1の矢印B方向に回転する。
前記キャリア8は円盤状に形成され、前記ヘッド本体7の中央に配設されている。該キャリア8の上面中央部とヘッド本体7の中央下部との間にはドライプレート13が設けられており、ピン14,14を介してヘッド本体7から回転が伝達される。
前記ドライプレート13の中央下部と前記キャリア8の中央上部との間には作動トランス本体15aが固定されており、さらにキャリア8の中央上部には作動トランス15のコア15bが固定され、図示しない制御部に連結されてウェーハWの研磨状態信号を該制御部に出力している。
前記キャリア8の上面周縁部にはキャリア押圧部材16aが設けられており、該キャリア8は該キャリア押圧部材16aを介してキャリア押圧手段16から押圧力が伝達される。
前記キャリア8の下面にはエアーフロートライン17から弾性シート11にエアーを噴射するためのエアー吹出し口19が設けられている。該エアーフロートライン17にはエアーフィルタ20及び自動開閉バルブV1を介してエアー供給源である給気ポンプ21に接続されている。前記エアー吹出し口19からのエアーの吹出しは前記自動開閉バルブV1の切替えによって実行される。
前記キャリア8の下面にはバキューム及び必要によりDIW(純水)又はエアーを吹き出すための孔22が形成されている。該エアーの吸引は真空ポンプ23の駆動によって実行され、そして、自動開閉バルブV2をバキュームライン24に設け、該自動開閉バルブV2の切替えによって該バキュームライン24を介し、バキューム及びDIWの送給が実行される。
前記エアーフロートライン17からのエアー送給及びバキュームライン24からのバキューム作用及びDIWの送給等は制御部からの指令信号によって実行される。
なお、前記キャリア押圧手段16は、ヘッド本体7下面の中央部周縁に配置され、キャリア押圧部材16aに押圧力を与えることにより、これに結合されたキャリア8に押圧力を伝達する。このキャリア押圧手段16は、好ましくはエアーの吸排気により膨脹収縮するゴムシート製のエアバック25で構成される。該エアバック25にはエアーを供給するための図示しない空気供給機構が連結されている。
前記リテーナリング9はリング状に形成され、キャリア8の外周に配置されている。このリテーナリング9は研磨ヘッド3に設けられたリテーナリングホルダ27に取り付けられ、その内周部に前記弾性シート11が張設されている。
前記弾性シート11は円形状に形成され、複数の孔22が開穿されている。該弾性シート11は、周縁部がリテーナリング9とリテーナリングホルダ27との間で挟持されることにより、リテーナリング9の内側に張設される。
前記弾性シート11が張設されたキャリア8の下部には、キャリア8と弾性シート11との間にエアー室29が形成されている。ウェーハWは該エアー室29を介してキャリア8に押圧される。前記リテーナリングホルダ27はリング状に形成された取付部材30にスナップリング31を介して取り付けられている。該取付部材30にはリテーナリング押圧部材10aが連結されている。リテーナリング9は、このリテーナリング押圧部材10aを介してリテーナリング押圧手段10からの押圧力が伝達される。
リテーナリング押圧手段10はヘッド本体7の下面の外周部に配置され、リテーナリング押圧部材10aに押圧力を与えることにより、これに結合しているリテーナリング9を研磨用パッド6に押し付ける。このリテーナリング押圧手段10も好ましくは、キャリア押圧手段16と同様に、ゴムシート製のエアバック16bで構成される。該エアバック16bにはエアーを供給するための図示しない空気供給機構が連結されている。
そして、上記のように構成された研磨ヘッド3におけるキャリア8の部分に、発振器における発振周波数を特定するインダクタンスとなる平面状インダクタを備えた静電結合分布インダクタンス型センサ32が組み込まれている。
該静電結合分布インダクタンス型センサ32の主体を構成している前記発振器33は、図4に示すように、インダクタンスLとなる平面状インダクタ34に、キャパシタンスCとなる集中型キャパシタ35が直列に接続されて、LC回路が構成されている。LC回路からの出力信号はオペアンプ等で構成された増幅器36に入力されている。
該増幅器36の出力は、抵抗等で構成されたフィードバック・ネットワーク37と周波数カウンタ38に入力されている。フィードバック・ネットワーク37の出力信号が、平面状インダクタ34にポジティブ・フィードバックされることにより、該平面状インダクタ34を含めて発振器33が構成されている。前記周波数カウンタ38からウェーハ異常発生を示す信号が、図示しないスリップリングを介して外部に出力される。
前記平面状インダクタ34は、絶縁物からなる基板34a上に、銅等の導電物質を用いてメアンダ型に構成されている。該平面状インダクタ34は、図示のメアンダ型の他に、スパイラル型に構成してもよい。
図4に示した前記発振器33は、平面状インダクタ34を除いた他の構成部品ないしは回路がIC(集積回路)化されてパッケージ32aに内装されている。前記平面状インダクタ34は、薄い絶縁膜で被覆されて前記パッケージ32aの表面に固定されている。図
3に示すように、パッケージ化された静電結合分布インダクタンス型センサ32が研磨ヘッド3に組み込まれるとき、前記平面状インダクタ34が下側に位置してウェーハWと対向するように組み込まれている。
次に、上述のように構成された静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置が組み込まれた化学機械研磨装置の研磨作用及びウェーハ異常発生検出動作を説明する。
なお、本実施例で研磨が行われる前記ウェーハWは、Cu等の導電性膜を形成して成る半導体ウェーハを含み、また化学機械研磨は、前記半導体ウェーハの導電性膜のうち不要部分を除去して配線層を形成する場合における該除去のための研磨も含む。
まず、研磨ヘッド3を図示しない移動機構により所定箇所に待機中の非研磨ウェーハ上に載置する。そして、該研磨ヘッド3のバキュームライン24を作動させ、バキューム口19a及び孔22(バキューム孔)を介して弾性シート11下面のエアー室29を真空にし、これにより前記非研磨ウェーハを吸着保持し、そして、前記移動機構により、該非研磨ウェーハを吸着保持した研磨ヘッド3をプラテン2上に運び、該非研磨ウェーハを該プラテン2上に貼着されている研磨パッド6上に載置する。
前記バキュームライン24はウェーハWの研磨作業が終了したとき、再び、該バキュームライン24の作動により研磨ウェーハを該研磨ヘッド3によって吸着保持し、図示しない洗浄装置へ搬送するときにも用いられる。
次いで、前記バキュームライン24の作動を解除し、図示しないポンプからエアバック25にエアーを供給して該エアバック25を膨らませる。これと同時にキャリア8に設けたエアー吹出し口19からエアー室29にエアーを供給する。これにより、エアー室29の内圧が高くなる。
前記エアバック25の膨らみによって、ウェーハWとリテーナリング9が所定の圧力で研磨パッド6に押し付けられる。この状態でプラテン2を図1の矢印A方向に回転させるとともに研磨ヘッド3を図1の矢印B方向に回転させる。そして、回転する研磨パッド6上に図示しないノズルからスラリーを供給してウェーハWの下面を研磨パッド6により研磨する。
そして、該研磨中のウェーハWに対し、静電結合分布インダクタンス型センサ32により、次のように該ウェーハWの異常発生が監視される。静電結合分布インダクタンス型センサ32における平面状インダクタ34に発振器33で発振されたMHzオーダーの高周波数の電流が流れると、該平面状インダクタ34とウェーハW間の静電結合により、ウェーハWにおける前記平面状インダクタ34との対向面に、平面状インダクタ34側と符号が異なる電荷が出現する。誘導された該電荷によってウェーハW側に流れる電流の方向と、平面状インダクタ34側を流れる電流の方向とは逆向きである。
平面状インダクタ34を流れる電流は空間的に磁力線を発生し、発生した磁力線が該平面状インダクタ34自身を流れる電流と電磁気的に結合することにより、自己インダクタンスを形成する。この自己インダクタンスが平面状インダクタのインダクタンスLに相当する。
一方、ウェーハW側に流れる電流も空間的に磁力線を発生する。該ウェーハW側の電流の方向と平面状インダクタ側の電流の方向とは逆向きであるので、ウェーハW側の電流で発生する磁力線の方向は、平面状インダクタ34側の電流で発生する磁力線の方向の逆で
ある。したがって、平面状インダクタ34側で発生する磁力線は、ウェーハW側で発生する磁力線によって打ち消され、この打ち消された分だけ小さくなる。
ウェーハWが正常な研磨状態にあると、平面状インダクタ34側で発生する磁力線に対する前記打ち消し分に大きな変動はなく、平面状インダクタ34のインダクタンスは、前記磁力線の打ち消し分に相当する分だけ等価的に減少した値を保持する。そして、発振器33は、平面状インダクタ34におけるその保持されたインダクタンスで特定される周波数の信号を発振する。
これに対し、ウェーハWに割れによる異常が発生すると、静電誘導により該ウェーハW側に流れる電流が大きく減少する。このため、前記磁力線の打ち消し分が大きく減少して前記平面状インダクタ34のインダクタンスが等価的に大きく増加する。この結果、発振器33の発振周波数が大きく減少し、この発振周波数の大きな減少からウェーハWの割れによる異常発生が検出される。
また、ウェーハWが外部に飛び出るスリップアウトによる異常が発生すると、前記磁力線の打ち消し分が消滅して前記平面状インダクタ34のインダクタンスは、さらに大きく増加する。この結果、発振器33の発振周波数は、前記ウェーハ割れによる異常発生の場合よりも大きく減少し、この発振周波数のさらに大きな減少からウェーハWのスリップアウトによる異常発生が検出される。前記発振器33の各発振周波数は前記周波数カウンタ38を用いて測定することが可能である。
上記の静電結合分布インダクタンス型センサ32によるウェーハ異常発生の監視は、研磨中のウェーハWを監視対象とする場合のみについて述べたが、研磨前の準備段階において、非研磨ウェーハを研磨ヘッド3に吸着保持して移動機構によりプラテン2上に運ぶ段階時にも静電結合分布インダクタンス型センサ32を作動させてウェーハ異常発生の監視を行うと、該非研磨ウェーハの運ぶ段階時におけるウェーハ割れ発生や研磨ヘッド3への吸着ミス等を検出することもできる。
なお、本実施例に係るパッケージ化された静電結合分布インダクタンス型センサ32は、研磨ヘッド3に2以上の複数個を組み込むこともできる。この組み込み態様をとったときは、複数の静電結合分布インダクタンス型センサ32により、ウェーハWの異常発生が監視されて、ウェーハWの異常発生の検出確率が向上する。
また、図5に示すように、パッケージ化された静電結合分布インダクタンス型センサ32は、プラテン2側に組み込むこともできる。静電結合分布インダクタンス型センサ32をプラテン2側に組み込んだ場合においても、上述の研磨ヘッド3側に組み込んだ場合とほぼ同様のウェーハ異常発生検出動作が得られる。前記周波数カウンタ38からの発振周波数出力信号は、プラテン2の回転軸4に取り付けられたスリップリング39を介して外部に取り出される。
上述したように、本実施例に係る静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置においては、ウェーハWに割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生したとき、平面状インダクタ34のインダクタンスが等価的に大きく増加して発振器33の発振周波数が大きく減少することから、ウェーハWの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生をリアルタイムで精度良く検出することができる。
発振器33及び平面状インダクタ34等で構成された静電結合分布インダクタンス型センサ32は、従来の撮像装置及び画像処理装置等を備えてウェーハ割れ等を光学的に検出する方式に比べて安価である。
研磨ヘッド3に、複数の静電結合分布インダクタンス型センサ32を組み込んだ構成としたときには、ウェーハ異常発生の検出確率を向上させることができる。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
本発明の実施例に係る静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置が組み込まれた化学機械研磨装置の斜視図。 図1の化学機械研磨装置における研磨ヘッドの拡大縦断面図。 静電結合分布インダクタンス型センサが研磨ヘッドに組み込まれた状態を説明するための図1の概略構成図。 図1の静電結合分布インダクタンス型センサのブロック図。 静電結合分布インダクタンス型センサがプラテンに組み込まれた状態を説明するための図1の概略構成図。
符号の説明
1 化学機械研磨装置
2 プラテン
3 研磨ヘッド
6 研磨パッド
32 静電結合分布インダクタンス型センサ
33 発振器
34 平面状インダクタ


Claims (3)

  1. 回転するプラテンの表面に設けられた研磨パッドに、研磨ヘッドに保持されたウェーハを回転させながら押しつけて研磨する化学機械研磨における前記ウェーハの割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常発生を検出するウェーハ異常発生検出装置であって、
    発振器における発振周波数を特定するインダクタンスを持つ平面状インダクタを備えた静電結合分布インダクタンス型センサを前記研磨ヘッドもしくは前記プラテンのいずれかに組み込み、前記ウェーハと前記平面状インダクタとの間で静電結合を引きおこし、前記ウェーハに前記割れ及びスリップアウトを含むウェーハ異常が発生した場合に前記インダクタンスを変化させ、該インダクタンスの変化に基づく前記発振器の発振周波数の変化から前記ウェーハ異常発生を検出するように構成してなることを特徴とする静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置。
  2. 上記研磨ヘッドに、複数の上記静電結合分布インダクタンス型センサを組み込んでなることを特徴とする請求項1記載の静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置。
  3. 上記プラテンに、複数の上記静電結合分布インダクタンス型センサを組み込んでなることを特徴とする請求項1記載の静電結合分布インダクタンス型センサを用いたウェーハ異常発生検出装置。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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