JP2007311328A - 非水電解液電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張りに対する電極の強度を維持しながら、電極間に電解液を迅速に浸透できるようにする。
【解決手段】正極6と負極7との間にセパレータ9を介在させた状態で巻回して電極体2を形成してあり、その電極体2を電池缶1に収容して電池を組み立てたのちに、非水電解液を電池内に注入する。正極6と負極7とのうち、少なくとも一方の電極には、その電極の少なくとも一方の面側に形成された活物質層に溝21が形成される。溝21は、斜めに延びる複数の上向溝部21aと、斜め下方向に延びる複数の下向溝部21bとが交差するクロス格子状に形成してある。溝21は、集電体側となる奥面が平滑な面状に形成されており、上向溝部21aと下向溝部21bとの交差位置の交差溝部21cの深さが、溝部21a・21bの深さよりも浅くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解液電池に関する。
特許文献1〜7には、帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた状態で渦巻状に巻回して電極体を形成し、その電極体および非水電解液を電池缶内に収容して密封する非水電解液電池が開示されている。
前記非水電解液電池は、電圧が高いうえに高エネルギー密度であることから、その需要がますます増えるとともに、その用途も広がっており、特に高容量化への要望が高まっている。これに対応するために、正極や負極の電極を高密度で収容したり、電池缶内の空間を有効利用したりして、電池缶内にできるだけ多くの活物質を充填して高容量化を図ることが試みられている。
この場合に、正極と負極との間に浸透する電解液の浸透性(注液性)の低下が問題となる。つまり、電解液の浸透性が悪いと電池特性が低下する。この問題を解決する方法としては、特許文献1〜7に示すように、正極あるいは負極の電極に形成される活物質層に多数の溝を設けて、電解液の浸透性を向上させ、これによって充放電効率等を良くすることが知られている。
特開平9−298057号公報(図2) 特開平11−154508号公報(図2−5) 特開2000−195525号公報(図3・4) 特開2001−23612号公報(図2) 特開2001−35484号公報(図1−5) 特開2001−176558号公報(図2−4) 特開2005−285607号公報(図2・5)
特許文献1・3・5では、溝が電極の幅方向に延びる縦格子状に形成されている。このため、電極の巻回時に電極の長さ方向に加わる張力や、充放電に伴う活物質層の膨張収縮に応じて電極の長さ方向に加わる張力で、電極が前記溝の部分を起点に破断し易いことになる。
特許文献2では、溝が電極の幅方向の中間部で折れ曲がっており、その折れ曲がり部に先の電極の長さ方向の張力による応力が集中して、やはり電極が前記折れ曲がり部を起点に破断し易いことになる。溝を電極の幅方向に対して円弧状に形成しても電極の破断を確実には防止できない。
特許文献4・7では、溝が電極の幅方向に対して傾いた状態で延びている。かかる溝は、その溝と同一断面形状の突条を設けたローラを用いて形成するが(特許文献7の図2参照)、その際にローラの突条によって活物質層が溝の両縁側に押し退けられて盛り上がってしまい(特許文献7の図3参照)、その分だけ電極の全厚寸法が大きくなって電池の高容量化が図り難くなる。また、前記盛り上がった活物質が電極から剥がれ落ちて、正極と負極との間での短絡等を招くおそれがある。
特許文献6では、当該特許文献6の図4に示すように溝をクロス格子状に形成してあるが、溝の断面がV字状のためにその溝を起点に破断し易いうえに、溝を形成するローラの突条が断面V字状になるために活物質層に対して簡単に食い込む(特許文献6の段落0058の実施例2の記載参照)。この結果、ローラの突条が電極の集電体に当たって集電体の破損等を招きやすいことになる。
そこで本発明の目的は、引張りに対する電極の強度を維持しながら、電極間に電解液を迅速に浸透させて電解液の注液速度を向上できる非水電解液電池を提供することにある。
本発明が対象とする非水電解液電池は、図1に示すように、帯状の正極6と帯状の負極7との間に帯状のセパレータ9を介在させた状態で巻回して電極体2を形成してあり、図2に示すように、電極体2および非水電解液を電池缶1内に収容して密封している。
本発明では、図4および図7に示すように、正極6および負極7の両電極が帯状の集電体6c・7cを含んでいて、電極6・7の集電体6c・7cの裏表両面のうちの少なくとも一方の面に活物質層6a・6b・7a・7bが形成されており、電極6・7の活物質層6a・6b・7a・7bのいずれかに溝21が形成されている。溝21は、図1に示すように、電極6・7の一方の面の長さ方向に対して斜め上方向に直線状に延びる複数の上向溝部21aと、電極6・7の長さ方向に対して斜め下方向に直線状に延びる複数の下向溝部21bとが交差するクロス格子状に形成してある。電極6・7のもう一方の面の活物質層6a・6b・7a・7bに溝22が形成されている場合も、同様に電極6・7の他方の面の長さ方向に対して斜め上方向に直線状に延びる複数の上向溝部22aと、電極6・7の長さ方向に対して斜め下方向に直線状に延びる複数の下向溝部22bとが交差するクロス格子状に形成してある。
溝21・22の断面形状は、特に限定されず四角形やU字状等であってもよい。また、複数種類の断面形状の溝21・22が混在していてもよい。溝21・22は、強度維持等の点から電極6・7の裏表の面のうちのいずれか一方の面のみに設けることが好ましく、正極6および負極7のいずれか一方のみに設けてもよく、正極6および負極7の両方に設けてもよい。図1では、溝21(22)の上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)とが直角状に交差しているが、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)とは直角に交差していなくてもよい。溝21(22)は、前記突条27を平板状のプレートに設け、このプレートを電極6・7に押し付けて形成することができる。
前記活物質層6a・6b・7a・7bが形成された電極6・7の裏表両面のうちの一方の面側の前記活物質層6a・7aに溝21が形成されている場合には、溝21の上向溝部21aと下向溝部21bは、図7に示すように、電極6・7の集電体6c・7c側となる奥面がそれぞれ平滑な面状に形成されている。溝21の上向溝部21aと下向溝部21bとは、電極外面側の幅寸法L1が0.07〜0.3mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2・L7が0.5〜1.5mm、深さ寸法L3が活物質層6a・6b(7a・7b)の厚さ寸法L4の10〜30%に設定されている。
また、前記活物質層6a・6b・7a・7bが形成された電極6・7の裏表両面の前記活物質層6a・6b・7a・7bに溝21・22がそれぞれ形成されている場合には、溝21(22)の上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)とは、図4に示すように、電極6・7の集電体6c・7c側となる奥面がそれぞれ平滑な面状に形成されている。溝21(22)の上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)とは、電極外面側の幅寸法L6が0.07〜0.3mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2・L7が0.5〜1.5mm、深さ寸法L8が活物質層6a・6b(7a・7b)の厚さ寸法L9の5〜15%に設定されている。
さらに、図5に示すように、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との交差位置である交差溝部21c・22cの深さL5・L10は、それぞれの溝部21a・22a・21b・22bの深さよりも浅くなっている。
電極6・7の一方の面と他方の面との活物質層6a・6b・7a・7bの厚さ寸法L4・L9、上向溝部21a・22aと下向溝部21b・22bとの幅寸法L1・L6、隣り合う溝部どうしのピッチL2・L7および上向溝部21a・22aと下向溝部21b・22bとの深さ寸法L3・L8、上向溝部どうしのピッチL2・L7、下向溝部どうしのピッチL2・L7は同じであってもよく異なっていてもよく、それぞれの値が前記数値範囲を満足していればよい。
ここでは、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)とにおいて集電体6c・7c側となる奥面は、鋭角状に折れ曲がっていなければよく、それぞれ円弧状の面に形成されている場合も含まれる。
上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との電極外面側の幅寸法L1(L6)が0.07mmよりも小さいと、巻回時等に上向溝部21a(22a)や下向溝部21b(22b)が潰れて埋まるおそれがあり、溝部21a(21b)・22a(22b)の電極外面側の幅寸法L1(L6)が0.3mmよりも大きいと、電極6・7の強度低下を招くおそれがある。電解液の浸透性(注液性)の点からは前記ピッチL2(L7)が小さい方が好ましく、その点で前記ピッチL2(L7)が1.5mm以下であることが好ましいが、前記ピッチL2(L7)が0.5mmよりも小さいと、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)とで囲まれた四角形部分(図1参照)が剥がれ易くなる。
電極6・7の裏表両面のうちの一方の面側の前記活物質層6a・7aに溝21が形成されている場合には、上向溝部21aと下向溝部21bとの深さ寸法L3が、活物質層6a・7aの厚さ寸法L4の10%よりも小さいと、溝21・22が電解液の浸透性を改善する効果が極めて小さくなり、上向溝部21aと下向溝部21bとの深さ寸法L3が、活物質層6a・7aの厚さ寸法L4の30%よりも大きいと、電極6・7の強度低下を招くおそれがあるだけでなく、電極6・7を巻回して電極体2を作製する作業が困難になるおそれがある。
同様に電極6・7の裏表両面の前記活物質層6a・6b・7a・7bに溝21・22がそれぞれ形成されている場合には、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との深さ寸法L3(L8)が、活物質層6a・6b・7a・7bの厚さ寸法L4(L9)の5%よりも小さいと、溝21・22が電解液の浸透性を改善する効果が極めて小さくなり、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との深さ寸法L3(L8)が、活物質層6a・6b・7a・7bの厚さ寸法L4(L9)の15%よりも大きいと、電極6・7の強度低下を招くおそれがあるだけでなく、電極6・7を巻回して電極体2を作製する作業が困難になるおそれがある。
詳しくは、交差溝部21c・22cの深さ寸法L5(L10)は、電極6・7の表裏に溝21・22を設けた場合には、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との深さ寸法L3(L8)の20〜50%に設定され、電極6・7の片面のみに設けた場合には、25〜70%に設定されている。交差溝部21c・22cの深さ寸法L5(L10)が、上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との深さ寸法L3(L8)の20%よりも小さいと、交差溝部21c・22cが浅い分だけ電極6・7の強度低下の軽減を図れるが、交差溝部21c・22cが電解液の浸透を妨げて溝21が電解液の浸透性を改善する効果が小さくなる。交差溝部21c・22cの深さ寸法L5(L10)が、溝部21a(21b)・22a(22b)の深さ寸法L3(L8)の70%よりも大きいと、前述の電極6・7の強度低下の軽減効果が得られ難くなる。
上向溝部21a(22a)と下向溝部21b(22b)との幅方向に切断した断面形状は、電極外面側に向かうに従って幅寸法が大きくなる台形形状であることが好ましい。そのうえで、クロス格子状に突設した突条27を活物質層6a・7aに押し付けることで溝21を形成すると、溝21(22)の奥面等で活物質層6a・7aが圧縮されて、電極6・7の強度が向上する。
溝21(22)を電極6・7に形成する方法は特に限定されないが、溝21(22)を形成するための突条27が配設された突条ローラ25・29と、突条27のない平滑なバックアップローラ26・30との間に原反23・31を通過させることにより溝21(22)を形成することが簡便であるために好ましい。突条ローラ25・29とバックアップローラ26・30との間隔は、電極6・7の全厚寸法より5μm以上であって、一方の面の活物質層の厚み相当分よりも小さく設定することが好ましく、電極6・7の全厚寸法よりも10μm以上であって50μm以下に設定することが優れた電解液注液効果と、電極の強度低下防止が得られるためにより好ましい。
負極7の活物質層7a・7bの密度は1.6〜2.0g/cm3 であることが望ましい。負極7の活物質層7a・7bの密度が1.6g/cm3 よりも低いと、活物質層7a・7bの密度が低い分だけ電池容量が低下するうえ、活物質層7a・7b自体に電解液が浸透し易い分だけ溝21(22)による注液性の向上効果が顕著ではなくなる。また、負極7の活物質層7a・7bの密度が2.0g/cm3 よりも高いと、溝21(22)による注液性の向上効果は大きくなるが、活物質層7a・7b内に電解液が浸透し難い分だけ電池特性の低下を招いてしまう。
正極6の活物質層6a・6bの密度は3.6〜4.6g/cm3 であることが望ましい。正極6の活物質層6a・6bの密度が3.6g/cm3 よりも低いと、活物質層6a・6bの密度が低い分だけ電池容量が低下するうえ、活物質層6a・6b自体に電解液が浸透し易い分だけ溝21(22)による注液性の向上効果への寄与が小さくなる。また、正極6の活物質層6a・6bの密度が4.6g/cm3 よりも高いと、溝21(22)による注液性の向上効果は大きくなるが、活物質層6a・6b内に電解液が浸透し難い分だけ電池特性の低下を招いてしまう。
セパレータ9を厚くすると、その分だけ正極6や負極7の収容容積が小さくなって電池容量の低下を招いてしまうために、セパレータ9を薄くすることが好ましいが、セパレータ9を薄くすると、セパレータ9が保持しうる電解液量が少なくなり、また、電極6・7とが密着し易くなって短絡の可能性が高くなる問題がある。本発明では、以上のことからセパレータ9の厚さ寸法は22μm以下であるものを用いた。
本発明によれば、電極6・7に溝21(22)を設けたので、電解液の浸透性が向上して、正極6と負極7との間に電解液を迅速かつ確実に浸透させることができ、電池の充放電効率等を良くすることができる。
そのうえで、クロス格子状の溝21(22)での集電体6b・7b側の奥面を平滑な面状に形成し、また溝21の交差溝部21c・22cの深さを溝部21a(21b)・22a(22b)よりも浅くしたので、溝21の形成部分での電極6・7の強度低下を低減できて、巻回や充放電等に伴って電極6・7に加わる張力で、電極6・7が溝21の部分を起点に破断することを低減できる。
本発明に係る非水電解液電池は、図2および図3に示すように、上面に左右横長の開口を有する有底角筒形状の電池缶1と、電池缶1内に収容された電極体2および非水電解液と、電池缶1の開口上面を塞いで密封する左右横長の蓋3と、蓋3の内側に配置されるプラスチック製の絶縁体5とを含む。電池缶1の左右幅寸法は29.0mm、上下高さ寸法は46.0mm、前後厚み寸法は4.2mmである。
電極体2は、図1に示すように、電極としての帯状の正極6と帯状の負極7とを有しており、その正極6と負極7との間に帯状のセパレータ9を介在させた状態で渦巻状に巻回して作製される。電極体2は、巻回状態で図3に示す扁平状になっている。尚、本発明に係る電池は、電池缶1が有底円筒形状であって、その電池缶1内に円筒状に巻回した電極体2を収容した円筒型の電池であってもよい。
正極6は、図4に示すように、正極活物質を含有する正極活物質層6a・6bが帯状の正極集電体6cの裏表両面に形成されており、正極集電体6cからは、図1に示す薄板状の正極集電リード10が導出される。同様に負極7は、負極活物質を含有する負極活物質層7a・7bが帯状の負極集電体7cの裏表両面に形成されており(図4参照)、負極集電体7cからは、図1に示す薄板状の負極集電リード11が導出される。セパレータ9は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の微多孔性薄膜フィルム等から成る。尚、正極6および負極7は、集電体6c・7cの裏表のいずれか一方のみに活物質層6a・6b・7a・7bを形成したものであってもよい。
電池缶1は、図2および図3に示すように、アルミニウム合金等の板材の深絞り成形品である。蓋3は、アルミニウム合金等の板材のプレス成形品であり、電池缶1の開口周縁に蓋3の外周縁がシーム溶接される。蓋3の中央には、上側の絶縁パッキング12および下側の絶縁板13を介して負極端子15が貫通状に取り付けられる。蓋3の左右方向の右端寄りには、電解液を電池缶1内に注入するための円形の注液孔16が上下貫通状に形成されている。注液孔16は、栓17で封口される。
負極端子15の下端には、蓋3の内面において左右横長の薄板からなるリード体19が接続される。リード体19は、注液孔16の反対側に延びており、絶縁板13で蓋3と絶縁されている。このリード体19の下面に負極集電リード11が溶接される。正極集電リード10は、蓋3の裏面において絶縁板13と注液孔16との間のスペースに溶接される。これで正極集電リード10が蓋3および電池缶1に導通して、蓋3および電池缶1が正極電位に帯電する。蓋3の左右方向の一端寄り(図2の左端寄り)には、開裂ベント20が形成されており、開裂ベント20は、電池内圧が異常上昇したときに開裂して電池内圧を解放する。
電池の組み立てに際しては、蓋3に対し、前述のように負極端子15、絶縁パッキング12、絶縁板13およびリード体19をそれぞれ取り付けておく。そして、電極体2および絶縁体5を電池缶1内に収容したのちに、負極集電リード11をリード体19に、正極集電リード10を蓋3にそれぞれ前述の要領で溶接する。次いで、電池缶1の開口周縁に蓋3をシーム溶接したのちに、電池缶1内を減圧して注液孔16から電解液を注入する。この後、注液孔16が、封止栓17で塞がれて封口される。
前記正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムおよびニッケル酸リチウムや、これらを基本構造とするリチウム含有複合酸化物等が設定される。正極集電体6cは、アルミニウム、ステンレス鋼あるいはチタン等の導電性金属材料を網状、パンチドメタル状、フォームメタル状あるいは平板状に加工した箔等からなる。正極集電体6cの厚さ寸法は、5〜50μmであることが好ましい。
前記負極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な炭素材料等が該当し、乱層構造の炭素質材料、天然黒鉛、人造黒鉛あるいはガラス状黒鉛等の炭素材料等が設定される。負極集電体7cは、網状、パンチドメタル状、フォームメタル状あるいは平板状に加工した銅箔等からなる。負極集電体7cの厚さ寸法は、5〜50μmであることが好ましく、裏表の各負極活物質層7a・7bの厚さ寸法は、後述する加圧処理の工程後で30〜150μmであることが好ましい。
正極6および負極7の少なくとも一方の電極には、その電極の裏表両面のうち、少なくとも一方の面側に形成された活物質層に溝が形成される。例えば図7に示すように、正極6および負極7の少なくとも一方の電極において、その電極の裏表両面のうち、一方の面(図7では上側)である表面(おもてめん)のみにクロス格子状の溝21が形成される場合や、例えば図4に示すように、正極6および負極7の少なくとも一方の電極において、一方の面(図4では上側)である表面(おもてめん)にクロス格子状の溝21が形成されるとともに、他方の面(図4では下側)である裏面にクロス格子状の溝22が形成される場合が含まれる。その溝21・22を形成したことによって、注液孔16から電解液を電池内に注入する際のその電解液の浸透性が向上する。
以下、図4に示す正極6および負極7の両電極における裏表両面の活物質層6a・6b・7a・7bに溝21・22がそれぞれ形成されている実施例に基づいて説明する。つまり、各電極6・7の表裏の各溝21・22は、図1に示すように、電極6・7の長さ方向(図1では左右方向)に対して斜め上方向に直線状に延びる多数の上向溝部21a・22aと、電極6・7の長さ方向に対して斜め下方向に直線状に延びる多数の下向溝部21b・22bとが互いに直交(交差)するよう形成してある。溝部21a・22aの幅方向に切断した断面形状は、図4および図5に示すように、それぞれ電極外面側に向かうに従って幅寸法が大きくなる台形形状になっている。各電極6・7の裏表の上向溝部21a・22aと下向溝部21b・22bとは、集電体6c・7c側となる奥面がそれぞれ平滑な面状に形成されている。
各電極6・7の表面の溝21における各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1および裏面の溝22における各溝部22a・22bの電極外面側の幅寸法L6は、それぞれ0.05〜0.3mmの範囲内に設定してあり、表裏の各面において隣り合う溝部どうしのピッチL2・L7は、それぞれ0.4〜2.0mmの範囲内に設定してある。各電極6・7の表面の溝21の各溝部21a・21bの深さ寸法L3は、それぞれ表面側の正極活物質層6aや表面側の負極活物質層7aの厚さ寸法L4の5〜15%の寸法に設定してあり、各電極6・7の裏面の溝22の各溝部22a・22bの深さ寸法L8は、それぞれ裏面側の正極活物質層6bや裏面側の負極活物質層7bの厚さ寸法L9の5〜15%の寸法に設定してある。
表側の溝21の溝部21a・21bどうしの交差位置(図1参照)である各交差溝部21cの深さは、図5に示すように、それぞれ溝部21a・21bよりも浅くなっており、同様に裏側の溝22の溝部22a・22bどうしの交差位置である各交差溝部22cの深さは、それぞれ溝部22a・22bよりも浅くなっている。溝21の各交差溝部21cの深さ寸法L5は、それぞれ各溝部21a・21bの深さ寸法L3の20〜50%の寸法に設定してあり、同様に溝22の各交差溝部22cの深さ寸法L10は、それぞれ各溝部22a・22bの深さ寸法L8の20〜50%の寸法に設定してある。
そして、注液孔16から電池缶1内に注入された電解液は、電極体2の上面側から正極6とセパレータ9との間や、負極7とセパレータ9との間等を通って電極体2の全体に浸透し、また電解液の一部が、正極6や負極7の表裏にそれぞれ形成された溝21・22を通って電極6・7とセパレータ9との間に速やかに広がっていく。電解液の一部は、電極体2の中心部に生じた空間や、電極体2と電池缶1の内面との間に生じた隙間等を通って電極体2の下側に流れ込んだのち、電極体2に浸透する。
各正極活物質層6a・6bの密度(前記加圧処理の工程後の密度)は、3.6g/cm3 以上であることが好ましく、3.7g/cm3 以上であることがより好ましく、3.75g/cm3 以上であることが更に好ましい。これにより、電池の高容量化を達成することができるうえに、本発明による注液性向上の作用を確実に得ることができる。但し、各正極活物質層6a・6bの密度が高すぎると、正極活物質層6a・6b自体への電解液の浸透性が低くなって、電池特性が低下するので、各正極活物質層6a・6bの密度は、4.6g/cm3 以下であることが好ましく、4.4g/cm3 以下であることがより好ましく、4.2g/cm3 以下であることが更に好ましい。
そして、正極活物質を含む正極合剤含有組成物を塗布したのちの正極原反23を、図6に示す溝21の形成用の上下一対のローラ25・26間に通過させて、正極原反23の一方の面(表面)に溝21を形成したのちに、図6に示す溝22の形成用の上下一対のローラ29・30間に通過させて、正極原反23の他方の面(裏面)に溝22を形成する。溝21の形成用のローラ25・26のうち、一方のローラである突条ローラ25の表面には、断面台形状であって先端面がほぼ平滑な面状の突条27がクロス格子状に突設されており、この突条27によって溝21が形成される。同様に溝22の形成用のローラ29・30のうち、一方のローラである突条ローラ29の表面にも、断面台形状であって先端面がほぼ平滑な面状の突条27がクロス格子状に突設されており、この突条27によって溝22が形成される。このように、溝21の形成後に正極原反23を巻き取らずに、溝21の形成に引き続いて溝22の形成を行うことで、正極6の製造工程の短縮を図ることができる。
突条ローラ25・29の各突条27は、例えば突条27と同一形状の凹部を有するローラ状のダイズを、突条形成前の突条ローラ25・29の表面に押し付けることで設けられる。尚、突条27は、突条形成前の突条ローラ25・29に対してエッチング加工を施す等によっても設けることができる。ローラ25・26・29・30は、ステンレススチール等で形成されている。ローラ25・26のうち、他方のローラであるバックアップローラ(バックアップロール)26は、突条を設けておらず平滑な表面に形成されており、同様にローラ29・30のうち、他方のローラであるバックアップローラ30も平滑な表面に形成されている。電極6・7の表面側の溝21と裏面側の溝22との位置関係は、表裏で互いに重なる位置関係であってもよいが、その重なる位置からずれる位置関係に設定することが、溝21・22を設けたことによる電極6・7の引張強度の低下を低減できる分だけ好ましいことになる。
(正極6の作成) 正極活物質としては、例えば、平均粒径が13μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )を用いた。この正極活物質を98質量部、電子伝導助剤としてのアセチレンブラックを1質量部およびバインダー(結合剤)としてのポリフッ化ビニリデンを1質量部で含有させ、さらに溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を含有させた正極合剤含有組成物を調製した。
詳しく説明すると、ポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに予め溶解しておき、この溶液にコバルト酸リチウムとアセチレンブラックとを加え、攪拌しながらさらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてコバルト酸リチウムとアセチレンブラックとを十分に分散(一部の成分が溶解する場合も含む)させるとともに粘度を調節して、スラリー状の前記正極合剤含有組成物を調製した。この調製後のスラリーを、厚さ寸法が15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体6cの裏表両面にアプリーケータを用いて均一に塗付したのちに乾燥させて、正極活物質層6a・6bを形成した。次に、ローラプレス機で加圧処理して、全厚寸法が135μmの帯状の正極原反23を作製した。正極原反23の裏表両面の正極活物質層6a・6bの密度は、それぞれ3.80g/cm3 であった。
次いで、先に説明したローラ25・26・29・30を用いて正極原反23の裏表両面に溝21・22をそれぞれ形成した。そして、溝21・22の形成後の正極原反23を、所定の幅および長さで切断するとともに正極集電リード10を溶接することで正極6を作製する。尚、ローラ25・26の上下の間隔およびローラ29・30の上下の間隔は、それぞれ正極6の全厚寸法よりも小さな寸法に設定してある。ローラ25・26による溝21の形成後に正極原反23を巻き取ったのちに、再度正極原反23を繰り出してローラ29・30間に通過させることにより、他方の面に溝22を形成してもよい。
尚、負極7と対向しない部分は前記スラリーの塗布を行わなかった。正極合剤含有組成物の溶剤としては、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)等であってもよい。乾燥後の各正極活物質層6a・6bの厚さ寸法は、30〜150μmであることが好ましい。正極集電体6cの裏表両面のうち、一方の面のみに正極合剤含有組成物を塗布してもよい。この場合、正極合剤含有組成物を塗布した一方の面の正極活物質層6aのみに溝21が形成されることになる。
負極活物質層7aの密度(加圧処理の工程後の密度)は、1.5g/cm3 以上であることが好ましく、1.6g/cm3 以上であることがより好ましく、1.7g/cm3 以上であることが更に好ましい。これにより、電池の高容量化を達成することができるうえに、本発明による注液性向上の作用を確実に得ることができる。但し、黒鉛の理論密度の点から、負極活物質層7aの密度の上限は2.1〜2.2g/cm3 に限定され、これよりも負極活物質層7aの密度を高くしても、負極活物質層7a自体への電解液の浸透性が低くなって、電池特性が低下するので、負極活物質層7aの密度は、2.0g/cm3 以下であることが好ましく、1.9g/cm3 以下であることがより好ましく、1.8g/cm3 以下であることが最も好ましい。尚、先の加圧処理工程においては、負極7をより均一に加圧する点から、一回の加圧処理よりも複数回の加圧処理を施すことが好ましい。
(負極7の作成) 負極活物質としては、比表面積が3.6m2 /gの黒鉛を用いた。バインダーとしてのスチレン−ブタジエンゴム(SBR)の懸濁液および1.5質量%の濃度のカルボキシメチルセルロース(CMC)の水溶液を用意し、それぞれの固形分が1質量部(全体の固形分としては2質量部)となるように混合したうえで、前記負極活物質を98質量部だけ混合し、必要に応じて電子伝導助剤を混合し、さらに溶剤として水等を混合して、スラリー状の負極合剤含有組成物を調製した。
負極合剤含有組成物の溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンやN,N−ジメチルフォルムアミド等であってもよい。負極合剤含有組成物の調製にあっては、バインダーは予め有機溶剤や水に溶解させた溶液、または分散させた懸濁液を用いて、負極活物質等の固体粒子と混合することが好ましい。負極7の製造時には、負極活物質にリチウムを含んでいなくてもよい。この場合には、負極活物質として作用するときに化学的あるいは電気的等の手段によってリチウムを含有させることになる。負極集電体7cの一方の面のみに負極活物質層7aを形成してもよい。この調製後のスラリーを、厚さ寸法が8μmの銅箔からなる負極集電体7cの裏表両面にアプリーケータを用いて均一に塗付したのちに乾燥させ、次にローラプレス機で加圧処理して、負極活物質層7a・7bの厚さ寸法が60μm、全厚寸法が128μmとなる帯状の負極原反31を作製した。この負極原反31の裏表両面の負極活物質層7a・7bの密度は、それぞれ1.70g/cm3 であった。
次いで、前述の正極原反23と同様に負極原反31を溝21の形成用の上下一対のローラ25・26間に通過させて、負極原反31の一方の面(表面)に溝21を形成したのちに、溝22の形成用の上下一対のローラ29・30間に通過させて、負極原反31の他方の面(裏面)に溝22を形成する。尚、正極6と同様に溝21の形成後に負極原反31を巻き取ったのち、再度負極原反31を繰り出してローラ25・26間に通過させることによって溝22を形成してもよい。そして、溝21・22を形成した後の負極原反31を、所定の幅および長さに切断するとともに負極集電リード11を溶接することで負極7を作製する。
尚、正極合剤含有組成物の正極集電体6cへの塗布や負極合剤含有組成物の負極集電体7cへの塗布の手段としては、押し出しコータ、リバースローラおよびドクターブレード等の他、各種の公知の塗布手段を適用できる。
(電解液の作成) エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比が1:2の比率で混合した溶媒を作製し、これにLiPF6 を1.2mol/リットル(あるいは1.4mol/リットル)の濃度となるよう溶解させた非水電解液を用意した。
次に、本発明の効果を確かめるために、以下の実施例1〜20および比較例1〜7を用いて破断強度試験および注液性試験を行った。
各電極6・7の表面側の溝21の各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1および裏面側の溝22の各溝部22a・22bの電極外面側の幅寸法L6は、それぞれマイクロメータ付きのX−Yステージを有する顕微鏡を用いて200倍の拡大で測定した。各電極6・7の表面側の溝21の各溝部21a・21bの深さ寸法L3および裏面側の溝22の各溝部22a・22bの深さ寸法L8は、それぞれ走査電子顕微鏡(SEM)での焦点距離の差から測定した。同様に、各電極6・7の溝21の各交差溝部21cの深さ寸法L5および溝22の各交差溝部22cの深さ寸法L10も、それぞれ走査電子顕微鏡での焦点距離の差から測定した。
実施例1〜14では、図7に示すように、正極6および負極7の少なくとも一方の電極において、その電極の裏表両面のうちの表面のみに溝21を形成してあり、実施例15〜21では、図4に示すように、正極6および負極7の少なくとも一方の電極において、表面に溝21を形成してあるとともに裏面に溝22を形成してある。
(実施例1) 実施例1では、負極7の表面側の負極活物質層7aの外面のみに溝21を形成した(図7の状態)。その溝21は、突条27の先端面の幅寸法が0.12mm、突条27の高さ寸法が0.25mm、隣り合う突条27・27のピッチが1mmである断面台形状の突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した(図9参照)。突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔寸法は、負極7の全厚寸法よりも30μmだけ小さい98μmに設定した。
そのローラ25・26で形成した負極7の溝21は、図7および図8に示す各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.140mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.015mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.006mmである。つまり、実施例1では、負極7の溝21の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の40%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の25%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の10%である。尚、負極活物質層7aの厚さ寸法L4は0.06mmである。
溝21を形成したのちの負極原反31を所定の幅および長さに切断するとともに、負極集電リード11を溶接して負極7を作製した。その後、溝21を形成していない正極6と、前記表面のみに溝21を形成した負極7とを厚み寸法が20μmの微孔性ポリエチレンフィルム製のセパレータ9を介して巻回して、断面長円形状の電極体2(図2)を作製した。
(実施例2) 実施例2では、実施例1の溝21を形成した突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて、正極6の表面側の正極活物質層6aの外面のみに溝21を形成した(図7参照)。実施例2では、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔寸法は、正極6の全厚寸法よりも30μmだけ小さい105μmに設定した。そのローラ25・26で形成した正極6の溝21は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.125mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.009mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.003mmである。
つまり、実施例2では、溝21の各交差溝部21cの深さ寸法L5が各溝部21a・21bの深さ寸法L3の33.3%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が正極活物質層6aの厚さ寸法L4の15%、各交差溝部21cの深さ寸法L5が正極活物質層6aの厚さ寸法L4の5%である。尚、正極活物質層6aの厚さ寸法L4は0.06mmである。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例3) 実施例3では、正極6の裏表両面のうち、表面側の正極活物質層6aの外面のみに溝21を形成したとともに、負極7の裏表両面のうち、負極7の表面側の負極活物質層7aの外面のみに溝21を形成した。つまり、実施例3の正極6は実施例2の正極6と同様の構成を成し、実施例3の負極7は実施例1の負極7と同様の構成を成す。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例4) 実施例4では、実施例1と同様に負極7の表面側の負極活物質層7aの外面のみに溝21を形成したが、その溝21は、突条27の先端面の幅寸法が0.08mm、突条27の高さ寸法が0.25mm、隣り合う突条27・27のピッチが0.5mmである断面台形状の突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、実施例1と同様に負極7の全厚寸法よりも30μmだけ小さい98μmに設定した。
実施例4の負極7は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.090mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が0.5mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.015mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.006mmである。つまり、実施例4では、負極7の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の40%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の25%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の10%である。尚、負極活物質層7aの厚さ寸法L4は0.06mmである。実施例4では、実施例1に比べて負極7の各溝部21a・21bの幅寸法L1を小さくしてあるとともに、隣り合う溝部どうしのピッチL2を小さくして溝部21a・21bの数を増やしている。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例5) 実施例5では、実施例2と同様に正極6の表面のみに溝21を形成しており、その溝21は、実施例4で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、実施例2と同様に正極6の全厚寸法よりも30μmだけ小さい105μmに設定した。
実施例5の正極6は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.075mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が0.5mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.009mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.003mmである。つまり、実施例5では、正極6の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の33%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の15%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の5%である。尚、正極活物質層6aの厚さ寸法L4は0.06mmである。実施例5は、実施例2に比べて正極6の各溝部21a・21bの幅寸法L1を小さくしてあるとともに、隣り合う溝部どうしのピッチL2を小さくして溝部21a・21bの数を増やしている。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例6) 実施例6では、実施例3と同様に、正極6の裏表両面のうち、表面側の正極活物質層6aの外面のみに溝21を形成したとともに、負極7の裏表両面のうち、負極7の表面側の負極活物質層7aの外面のみに溝21を形成した。そのうえで、実施例6の正極6は実施例5の正極6と同様の構成を成し、実施例6の負極7は実施例4の負極7と同様の構成を成す。つまり、実施例6は、実施例3に比べて正極6および負極7の各溝部21a・21bの幅寸法L1を小さくしてあるとともに、隣り合う溝部どうしのピッチL2を小さくして溝部21a・21bの数を増やしている。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例7) 実施例7では、セパレータ9の厚み寸法を16μmに設定した以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例8) 実施例8では、非水電解液のLiPF6 の濃度を1.4mol/リットルに設定した。電極体2は、実施例1と同様にして作製した。
(実施例9) 実施例9では、実施例1と同様に負極7の表面側のみに溝21を形成したが、その溝21は、突条27の先端面の幅寸法が0.23mm、突条27の高さ寸法が0.5mm、隣り合う突条27・27のピッチが1.5mmである断面台形状の突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、実施例1と同様に負極7の全厚寸法よりも30μmだけ小さい98μmに設定した。
実施例9の負極7は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.260mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1.5mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.012mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.006mmであった。つまり、実施例9では、負極7の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の50%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の20%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の10%である。尚、負極活物質層7aの厚さ寸法L4は0.06mmである。実施例9は、実施例1に比べて負極7の各溝部21a・21bの幅寸法L1を大きくし深さ寸法L3を小さくしてあるとともに、隣り合う溝部どうしのピッチL2を大きくして溝部21a・21bの数を減らしている。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例10) 実施例10では、実施例2と同様に正極6の表面側のみに溝21を形成したが、その溝21は、実施例9で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、実施例2と同様に正極6の全厚寸法よりも30μmだけ小さい105μmに設定した。実施例10の正極6は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.240mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1.5mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.006mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.003mmであった。
つまり、実施例10では、正極6の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の50%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の10%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の5%である。尚、正極活物質層6aの厚さ寸法L4は0.06mmである。実施例10は、実施例2に比べて正極6の各溝部21a・21bの幅寸法L1を大きくし深さ寸法L3を小さくしてあるとともに、隣り合う溝部どうしのピッチL2を大きくして溝部21a・21bの数を減らしている。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例11) 実施例11では、実施例3と同様に、正極6の裏表両面のうち、表面側の正極活物質層6aの外面のみに溝21を形成したとともに、負極7の裏表両面のうち、負極7の表面側の負極活物質層7aの外面のみに溝21を形成した。そのうえで、実施例11の正極6は実施例10の正極6と同様の構成を成し、実施例11の負極7は実施例9の負極7と同様の構成を成す。つまり、実施例11は、実施例3に比べて正極6および負極7の各溝部21a・21bの幅寸法L1を大きくしてあるとともに、隣り合う溝部どうしのピッチL2を大きくして溝部21a・21bの数を減らしている。また、実施例11は、実施例3に比べて正極6の各溝部21a・21bの深さ寸法L3を小さくし、負極7の各溝部21a・21bの深さ寸法L3を小さくしてある。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例12) 実施例12では、実施例2と同様に正極6の表面側のみに溝21を形成してあり、ローラプレス機での加圧処理条件を調整して、全厚寸法が139μmの帯状の正極原反23を作製した。正極原反23の裏表両面の正極活物質層6a・6bの密度は、それぞれ3.68g/cm3 である。その正極原反23に対して、実施例2で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて溝21を形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、正極6の全厚寸法よりも30μmだけ小さい109μmに設定した。
実施例12の正極6は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.13mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1.0mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.011mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.005mmである。つまり、実施例12では、正極6の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の45.5%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の17.7%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の8%である。尚、正極活物質層6aの厚さ寸法L4は0.062mmである。セパレータ9としては、厚み寸法が16μmの微孔性ポリエチレンフィルム製を使用した。実施例12では、実施例2に比べて正極活物質層6a・6bの密度を低くし、セパレータ9の厚み寸法を小さくしてある。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例13) 実施例13では、実施例1と同様に負極7の表面側のみに溝21を形成してあり、ローラプレス機での加圧処理条件を調整して、全厚寸法が134μmの帯状の負極原反31を作製した。負極原反31の裏表両面の負極活物質層7a・7bの密度は、それぞれ1.62g/cm3 である。この負極原反31に対して、実施例1で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて溝21を形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、負極7の全厚寸法よりも30μmだけ小さい104μmに設定した。
実施例13の負極7は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.135mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.010mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.007mmである。つまり、実施例13では、負極7の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の70%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の15.9%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の11.1%である。尚、負極活物質層7aの厚さ寸法L4は0.06mmである。実施例13の正極6は実施例2の正極6と同様の構成を成し、セパレータ9としては、厚み寸法16μmの微孔性ポリエチレンフィルム製を使用した。実施例13では、実施例1に比べて負極活物質層7a・7bの密度を低くし、セパレータ9の厚み寸法を小さくしてある。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例14) 実施例14では、実施例1と同様に負極7の表面側のみに溝21を形成してあり、その溝21は、実施例1で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、負極7の全厚寸法よりも20μmだけ小さい108μmに設定した。実施例14の負極7は、各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.128mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が1mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.006mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5が0.004mmである。
つまり、実施例14では、負極7の各交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の66.7%、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の10%、各交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の6.7%である。尚、負極活物質層7aの厚さ寸法L4は0.06mmである。実施例14では、実施例1に比べて負極7の各溝部21a・21bの深さ寸法L3および各交差溝部21cの深さ寸法L5をそれぞれ小さくしてある。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(比較例1) 比較例1では、正極6および負極7の裏表両面の何れにも溝21を形成していない電極体2を作製した。溝21を形成していないこと以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(比較例2) 比較例2では、比較例1の溝21を形成していない電極体2を用いるとともに、セパレータ9として厚み寸法を16μmに設定した。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(比較例3) 比較例3では、比較例1の溝21を形成していない電極体2を用いるとともに、非水電解液としてLiPF6 濃度が1.4mol/リットルに設定した電解液を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(比較例4) 比較例4では、正極6および負極7の両電極の表面側において、電極の幅方向(図1では上下方向)に延びる縦格子状の多数の溝をそれぞれ形成してある。それらの縦格子状の溝は、ほぼ平滑な面状の先端面の幅寸法が0.04mm、高さ寸法が0.1mm、隣り合う突条のピッチが0.3mmである断面台形状の突条を縦格子状に形成した突条ローラと、バックアップローラとを用いて形成した。尚、突条ローラとバックアップローラとの間隔は、正極6については正極6の全厚寸法よりも30μmだけ小さい105μm、負極7については負極7の全厚寸法よりも30μmだけ小さい98μmに設定した。比較例4では、正極6の各溝の電極外面側の幅寸法が0.026mm、隣り合う溝どうしのピッチが0.3mm、溝の深さ寸法が0.012mmである。負極7の各溝の幅寸法は0.032mm、隣り合う溝どうしのピッチは0.3mm、溝の深さ寸法は0.015mmである。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(比較例5) 比較例5では、正極6の裏表両面のうち、表面側の正極活物質層6aの外面のみに溝21を形成したとともに、負極7の裏表両面のうち、負極7の表面側の負極活物質層7aの外面のみに溝21を形成した。つまり、両電極6・7の溝21は、突条27の先端面の幅寸法が1mm、突条27の高さ寸法が0.5mm、隣り合う突条27・27のピッチが6.5mmである断面台形状の突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて形成した。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、正極6については正極6の全厚寸法よりも30μmだけ小さい105μm、負極7については負極7の全厚寸法よりも30μmだけ小さい98μmに設定した。
比較例5では、正極6の各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.78mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が6.5mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.007mm、交差溝部21cの深さ寸法L5は0.002mmである。つまり、正極6の交差溝部21cの深さ寸法L5は、各溝部21a・21bの深さ寸法L3の28.6%である。正極6の各溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の11.7%、交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の3.3%である。尚、正極活物質層6aの厚さ寸法L4は0.06mmである。
比較例5では、同様に負極7の各溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1が0.855mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2が6.5mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3が0.012mm、交差溝部21cの深さ寸法L5が0.005mmである。つまり、負極7の交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の41.7%、負極7の各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の20%、交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の8.3%である。尚、負極活物質層7aの厚さ寸法L4は0.06mmである。比較例5では、実施例1に比べて正極6および負極7の各溝部21a・21bの幅寸法L1は大きくしているが、隣り合う溝部どうしのピッチL2を大きくして溝部21a・21bの数を減らしている。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
そして、まず実施例1〜14および比較例1〜5について破断強度試験および注液性試験を行った。
(破断強度試験) 破断強度試験では、実施例1〜14および比較例1〜5の条件でそれぞれ作製した正極6および負極7の各原反23・31を、それぞれ20mmの幅寸法で所定長さで切断して試料とし、その試料の長さ方向の一端から10mmの位置で折り曲げたのち、試料上に15kgの重りを25秒間だけ載せておき、その後に試料の両面にチャックによる切断防止用のテープを貼った。この試料を引張試験機(SHIMPO社製:FGC−10B)を用いて、チャック間の長さ寸法を50mm、引張り速度を5mm/minの条件下で、引張り破断強度(N/mm2 )を測定した。
(注液性試験) 注液性試験では、実施例1〜14および比較例1〜5の条件でそれぞれ作製した正極6と負極7とセパレータ9とで作製した電極体2をそれぞれ用意し、またエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比が1:2の比率で混合した溶媒を作製し、これにLiPF6 を1.2mol/リットル(あるいは1.4mol/リットル)の濃度となるように溶解させた非水電解液を用意した。そして、前述のように電極体2を電池缶1に収容して電池を組み立てたのちに、電池缶1内を真空減圧し、次いで前記非水電解液を注入して、1.8gの非水電解液が電池缶1内に完全に注入されるまでの注入完了時間(秒)を測定した。尚、注液性試験は、露点が−30℃となる雰囲気下で行った。表1に、破断強度試験と注液性試験との測定結果を示す。
Figure 2007311328
表1に示すように、溝21を形成した実施例1〜14の電極の引張り破断強度は、溝21を形成していない比較例1の電極6・7と比べて引張り破断強度が向上している。これは溝形成用の突条ローラ26の突条27が活物質層6a・6b・7a・7bに食い込むことによって、活物質層6a・6b・7a・7bが締まって電極6・7の強度が向上したためと考えられる。
また、溝21を形成した実施例1〜14での注液時間は、溝21を形成していない比較例1での注液時間に比べて短くなっており、溝21を形成したことによって電解液が電池内に迅速に浸透することが確認できた。この効果は、特に正極6のみに溝21を形成した実施例2・5・10に比べて、負極7のみに溝21を形成した実施例1・4・9に顕著であった。これは同じ突条ローラ25とバックアップローラ26とを用いても、負極7の方が正極6よりも溝21の幅や深さが大きくなるためと考えられる。
更に溝21の形状の影響について比べてみると、溝21の深さを実施例1よりも浅くした実施例14では、実施例1に比べて僅かではあるが注液性が低下した。これは溝21の断面積が実施例1よりも小さくなったことで、電解液が浸透し難くなったためと考えられる。一方、縦格子状の溝を形成した比較例4や、溝21の幅は大きいが溝部21a・21bの数が少ない比較例5では、実施例1〜14と比べて注液性が低下した。比較例4では電解液が横方向には浸透し難いためと考えられ、比較例5では溝21の断面積が大きくなっているが電極6・7での単位面積あたりの溝21の数が少ないためと考えられる。
また、セパレータ9の厚さを実施例1よりも薄くした実施例7では、注液時間が実施例1での注液時間に比べて長くなるが、その実施例7と、セパレータ9の厚さは等しいが溝21を形成していない比較例2とを比べた場合、実施例7での注液時間が、比較例2での注液時間に比べて顕著に短くなっていた。電解液の濃度を実施例1よりも濃くした実施例8では、注液時間が実施例1での注液時間に比べて長くなるが、その実施例8と、電解液の濃度は等しいが溝21を形成していない比較例3とを比べた場合、実施例8での注液時間が、比較例3での注液時間に比べて顕著に短くなっていた。
活物質層の密度の影響についてみると、正極活物質層6a・6bの密度を実施例2よりも低くした実施例12では、注液時間が実施例2での注液時間に比べて顕著に短くなった。また、負極活物質層7a・7bの密度を実施例1よりも低くした実施例13では、注液時間が実施例1での注液時間に比べてやや短くなった。このことから負極活物質層7a・7bの密度よりも正極活物質層6a・6bの密度を低くするほうが望ましいと考えられる。
(実施例15) 実施例15では、負極7の裏表両面の負極活物質層7a・7bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した(図4参考)。尚、正極6には、溝21・22を形成していない。ここでは、負極7の溝21・22は、図9に示す突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて、負極原反31の一方の面に溝21を形成したのちに、その負極原反31の表裏を逆にして前記突条ローラ25とバックアップローラ26とを用いて、負極原反31の他方の面に溝22を形成した。実施例15で用いた突条ローラ25は、突条27の先端面の幅寸法が0.1mm、突条27の高さ寸法が0.25mm、隣り合う突条27・27のピッチが1mmである。尚、突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、負極7の全厚寸法よりも15μmだけ小さい113μmに設定した。
実施例15では、図4および図5に示す負極7の一方の面の負極活物質層7aに形成した溝部21a・21bにおいて、その電極外面側の幅寸法L1は0.13mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2は1mm、各溝部21a・21bの深さ寸法L3は0.008mm、各交差溝部21cの深さ寸法L5は0.003mmである。負極7の他方の面の負極活物質層7bに形成した溝部22a・22bにおいて、その電極外面側の幅寸法L6は0.13mm、隣り合う溝部どうしのピッチL7は1mm、各溝部22a・22bの深さ寸法L8は0.007mm、各交差溝部22cの深さ寸法L10は0.002mmである。
つまり、実施例15では、負極7の一方の面の交差溝部21cの深さ寸法L5は溝部21a・21bの深さ寸法L3の37.5%、負極7の他方の交差溝部22cの深さ寸法L10は各溝部22a・22bの深さ寸法L8の28.6%である。負極7の一方の面の各溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の13.3%、交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の5%である。負極7の他方の面の各溝部22a・22bの深さ寸法L8は負極活物質層7bの厚さ寸法L9の11.7%、交差溝部22cの深さ寸法L10は負極活物質層7bの厚さ寸法L9の3.3%である。それ以外は実施例1と同様の電極体2を作製した。尚、負極活物質層7a・7bの厚さ寸法L4・L9は0.06mmである。
(実施例16) 実施例16では、正極6の裏表両面の正極活物質層6a・6bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した(図4の状態)。尚、負極7には、溝21・22を形成していない。正極6の溝21・22は、実施例15と同じ方法で正極6の裏表両面に形成される。突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、正極6の全厚寸法よりも15μmだけ小さい120μmに設定した。
実施例16では、正極6の一方の面の正極活物質層6aに形成した溝部21a・21bにおいて、その電極外面側の幅寸法L1は0.125mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2は1mm、溝部21a・21bの深さ寸法L3は0.005mm、交差溝部21cの深さ寸法L5は0.003mmである。正極6の他方の面の正極活物質層6bに形成した溝部22a・22bにおいて、その電極外面側の幅寸法L6は0.125mm、隣り合う溝部どうしのピッチL7は1mm、溝部22a・22bの深さ寸法L8は0.005mm、交差溝部22cの深さ寸法L10は0.003mmである。
つまり、実施例16では、正極6の一方の面の交差溝部21cの深さ寸法L5は各溝部21a・21bの深さ寸法L3の60%、溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の8.3%、交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の5%である。また、正極6の他方の面の交差溝部22cの深さ寸法L10は各溝部22a・22bの深さ寸法L8の60%、溝部22a・22bの深さ寸法L8は正極活物質層6bの厚さ寸法L9の8.3%、交差溝部22cの深さ寸法L10は正極活物質層6bの厚さ寸法L9の5%である。尚、正極活物質層6a・6bの厚さ寸法L4・L9は0.06mmである。それ以外は実施例2と同様の電極体2を作製した。
(実施例17) 実施例17では、正極6の裏表両面の正極活物質層6a・6bの外面に溝21・22をそれぞれ形成したとともに、負極7の裏表両面の負極活物質層7a・7bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した。実施例17の正極6は実施例16の正極6と同様の構成を成し、実施例17の負極7は実施例15の負極7と同様の構成を成す。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例18) 実施例18では、実施例4で用いた突条27の先端面の幅寸法が0.08mm、突条27の高さ寸法が0.25mm、隣り合う突条27・27のピッチが0.5mmである断面台形状の突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて負極7の裏表両面の負極活物質層7a・7bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した。尚、正極6には、溝21・22を形成していない。突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、負極7の全厚寸法よりも15μmだけ小さい113μmに設定した。
実施例18では、負極7の一方の面の負極活物質層7aに形成した溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1は0.09mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2は0.5mm、溝部21a・21bの深さ寸法L3は0.008mm、交差溝部21cの深さ寸法L5は0.003mmである。負極7の他方の面の負極活物質層7bに形成した溝部22a・22bの電極外面側の幅寸法L6は0.09mm、隣り合う溝部どうしのピッチL7は0.5mm、溝部22a・22bの深さ寸法L8は0.007mm、交差溝部22cの深さ寸法L10は0.002mmである。
つまり、実施例18では、負極7の一方の面の交差溝部21cの深さ寸法L5は溝部21cの深さ寸法L3の37.5%、溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の13.3%、交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の5%である。また、負極7の他方の面の交差溝部22cの深さ寸法L10は溝部22a・22bの深さ寸法L8の28.6%、溝部22a・22bの深さ寸法L8は負極活物質層7bの厚さ寸法L9の11.7%、交差溝部22cの深さ寸法L10は負極活物質層7bの厚さ寸法L9の3.3%である。尚、負極活物質層7a・7bの厚さ寸法L4・L9は0.06mmである。実施例18では、実施例15に比べて負極7の溝部21a・21b・22a・22bの数を増やしている。
(実施例19) 実施例19では、実施例5で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて正極6の裏表両面の正極活物質層6a・6bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した。尚、負極7には、溝21・22を形成していない。突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、正極6の全厚寸法よりも15μmだけ小さい120μmに設定した。
実施例19では、正極6の一方の面の正極活物質層6aに形成された溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1は0.075mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2は0.5mm、溝部21a・21bの深さ寸法L3は0.005mm、交差溝部21cの深さ寸法L5は0.002mmである。正極6の他方の面の正極活物質層6bに形成された溝部22a・22bの電極外面側の幅寸法L6は0.075mm、隣り合う溝部どうしのピッチL7は0.5mm、溝部22a・22bの深さ寸法L8は0.005mm、交差溝部22cの深さ寸法L10は0.002mmである。
つまり、実施例19では、正極6の一方の面の交差溝部21cの深さ寸法L5は溝部21a・21bの深さ寸法L3の40%、溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の8.3%、交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の3.3%である。また、正極6の他方の面の交差溝部22cの深さ寸法L10は溝部22a・22bの深さ寸法L8の40%、溝部22a・22bの深さ寸法L8は正極活物質層6bの厚さ寸法L9の8.3%、交差溝部22cの深さ寸法L10は正極活物質層6bの厚さ寸法L9の3.3%である。尚、正極活物質層6a・6bの厚さ寸法L4・L9は0.06mmである。実施例19では、実施例16に比べて正極6の溝部21a・21b・22a・22bの数を増やしている。
(実施例20) 実施例20では、実施例17と同様に、正極6の裏表両面の正極活物質層6a・6bの外面に溝21・22をそれぞれ形成したとともに、負極7の裏表両面の負極活物質層7a・7bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した。実施例17と異なる点は、実施例20の負極7が、実施例18の負極7と同様の構成を成し、実施例20の正極6が、実施例19の正極6と同様の構成を成す。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(実施例21) 実施例21では、実施例10で用いた突条ローラ25と、バックアップローラ26とを用いて正極6の裏表両面の正極活物質層6a・6bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した。突条ローラ25とバックアップローラ26との間隔は、正極6の全厚寸法よりも15μmだけ小さい120μmに設定した。また、同様に負極7の裏表両面の負極活物質層7a・7bの外面に同様に溝21・22をそれぞれ形成した。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
実施例21では、正極6の一方の面の正極活物質層6aに形成された溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1は0.26mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2は1.5mm、溝部21a・21bの深さ寸法L3は0.003mm、交差溝部21cの深さ寸法L5は0.002mmである。正極6の他方の面の正極活物質層6bに形成された溝部22a・22bの電極外面側の幅寸法L6は0.26mm、隣り合う溝部どうしのピッチL7は1.5mm、溝部22a・22bの深さ寸法L8は0.003mm、交差溝部22cの深さ寸法L10は0.002mmであった。
つまり、実施例21では、正極6の一方の面の交差溝部21cの深さ寸法L5は溝部21a・21bの深さ寸法L3の66.7%、溝部21a・21bの深さ寸法L3は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の5%、交差溝部21cの深さ寸法L5は正極活物質層6aの厚さ寸法L4の3.3%である。また、正極6の他方の面の交差溝部22cの深さ寸法L10は溝部22a・22bの深さ寸法L8の66.7%、溝部22a・22bの深さ寸法L8は正極活物質層6bの厚さ寸法L9の5%、交差溝部22cの深さ寸法L10は正極活物質層6bの厚さ寸法L9の3.3%である。尚、正極活物質層6a・6bの厚さ寸法L4・L9は0.06mmである。
負極7の一方の面の負極活物質層7aに形成された溝部21a・21bの電極外面側の幅寸法L1は0.26mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2は1.5mm、溝部21a・21bの深さ寸法L3は0.008mm、交差溝部21cの深さ寸法L5は0.002mmである。負極7の他方の面の負極活物質層7bに形成された溝部22a・22bの電極外面側の幅寸法L6は0.26mm、隣り合う溝部どうしのピッチL7は1.5mm、溝部22a・22bの深さ寸法L8は0.006mm、交差溝部22cの深さ寸法L10は0.002mmであった。
つまり、実施例21では、負極7の一方の面の交差溝部21cの深さ寸法L5は溝部21a・21bの深さ寸法L3の25%、溝部21a・21bの深さ寸法L3は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の13.3%、交差溝部21cの深さ寸法L5は負極活物質層7aの厚さ寸法L4の3.3%である。また、負極7の他方の面の交差溝部22cの深さ寸法L10は溝部22a・22bの深さ寸法L8の33.3%、溝部22a・22bの深さ寸法L8は負極活物質層7bの厚さ寸法L9の10%、交差溝部22cの深さ寸法L10は負極活物質層7bの厚さ寸法L9の3.3%である。実施例21では、実施例17や実施例20に比べて正極6の溝部21a・21b・22a・22bの数を減らしている。尚、負極活物質層7a・7bの厚さ寸法L4・L9は0.06mmである。
(比較例6) 比較例6では、正極6および負極7の両電極の裏表両面において、電極6・7の幅方向(図1では上下方向)に延びる縦格子状の多数の溝をそれぞれ形成してあり、それらの溝は、先端面の幅寸法が25μm、高さ寸法が0.1mm、隣り合う突条のピッチが0.3mmである突条を縦格子状に設けたステンレススチール製の突条ローラと、バックアップローラとを用いて、正極6および負極7の両電極の裏表両面にそれぞれ形成した。
比較例6では、正極6の一方の面における縦格子状の溝の電極外面側の幅寸法は0.026mm、隣り合う溝どうしのピッチが0.3mm、溝の深さ寸法が0.004mmである。正極6の他方の面における縦格子状の溝の電極外面側の幅寸法が0.026mm、隣り合う溝どうしのピッチが0.3mm、溝の深さ寸法が0.04mmである。また、負極7の一方の面における縦格子状の溝の電極外面側の幅寸法は0.028mm、隣り合う溝どうしのピッチが0.3mm、溝の深さ寸法が0.007mmである。負極7の他方の面における縦格子状の溝の電極外面側の幅寸法が0.028mm、隣り合う溝どうしのピッチが0.3mm、溝の深さ寸法が0.007mmである。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
(比較例7) 比較例7では、負極7の裏表両面の負極活物質層7a・7bの外面に溝21・22をそれぞれ形成したとともに、正極6の裏表両面の正極活物質層6a・6bの外面に溝21・22をそれぞれ形成した。この両電極6・7の裏表両面の溝21・22は、先端面の幅寸法が1mm、高さ寸法が0.5mm、隣り合うピッチが6.5mmである断面台形状の突条を設けたステンレススチール製の突条ローラと、バックアップローラとを用いて、正極6および負極7の両電極の裏表両面にそれぞれ形成した。突条ローラとバックアップローラとの間隔は、正極6および負極7の全厚寸法よりもそれぞれ15μmだけ小さい120μmおよび113μmに設定した。
比較例7では、正極6の表裏面の溝部21a・21b・22a・22bの電極外面側の幅寸法L1・L6がいずれも0.77mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2・L7がいずれも6.5mm、溝部21a・21b・22a・22bの深さ寸法L3・L8がいずれも0.003mmであり、交差溝部21c・22cの深さ寸法L5・L10は0.001mmである。つまり、比較例7では、正極6の表裏面の溝部21a・21b・22a・22bの深さ寸法L3・L8は正極活物質層6aの厚さ寸法L4・L9の5%である。
また、比較例7では、負極7の表裏面の溝部21a・21b・22a・22bの電極外面側の幅寸法L1・L6がいずれも0.8mm、隣り合う溝部どうしのピッチL2・L7がいずれも6.5mm、溝部21a・21b・22a・22bの深さ寸法L3・L8がいずれも0.006mmであり、交差溝部21c・22cの深さ寸法L5・L10が0.002mmである。つまり、比較例7では、負極7の交差溝部21c・22cの深さ寸法L5・L10は、各溝部21a・21b・22a・22bの深さ寸法L3・L8の33.3%であり、負極7の溝部21a・21b・22a・22bの深さ寸法L3・L8は負極活物質層7a・7bの厚さ寸法L4・L9の10%、交差溝部21c・22cの深さ寸法L5・L10は負極活物質層7a・7bの厚さ寸法L4・L9の3.3%である。それ以外は、実施例1と同様にして電極体2を作製した。
次に、実施例15〜21および比較例6・7について前述の破断強度試験および注液性試験を行った。表2に、破断強度試験と注液性試験との測定結果を示す。
Figure 2007311328
表2に示すように、正極6および負極7の少なくとも一方の電極において、その電極の裏表両面に形成された活物質層に溝21・22を形成した実施例15〜21でも、全く溝21・22を設けていない比較例1に比べて注液時間が短くなっており、溝21・22を電極の裏表両面に形成したことによって、電解液が電池内に迅速に浸透することが確認できた。
実施例15〜17と、溝21を電極6・7の裏表の一方の面のみに形成した実施例1〜3とを比べても、引張り破断強度および注液時間に大きな違いは見られなかった。これは実施例15〜17と実施例1〜3との溝の断面積(溝の幅×深さ)が、ほとんど同じであるためと考えられる。また、実施例15〜17と、溝部21a・21b・22a・22bの数を増やした実施例18〜20とを比べても、引張り破断強度および注液時間に大きな違いは見られなかった。
本発明に係る非水電解液電池の電極体の斜視図である。 非水電解液電池の縦断正面図である。 非水電解液電池の分解斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 電極の裏表両面に溝を形成する工程を示す概略図である。 一方の面のみに溝を形成した電極の断面図である。 一方の面のみに溝を形成した電極の図5相当の断面図である。 電極の一方の面に溝を形成する工程を示す概略図である。
符号の説明
1 電池缶
2 電極体
3 蓋
6 正極
6a・6b 正極活物質層
6c 正極集電体
7 負極
7a・7b 負極活物質層
7c 負極集電体
9 セパレータ
21・22 溝
21a・22a 上向溝部
21b・22b 下向溝部
21c・22c 交差溝部
23 正極原反
31 負極原反
27 突条
25・29 突条ローラ
26・30 バックアップローラ

Claims (11)

  1. 帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた状態で巻回して電極体を形成してあり、
    前記電極体および非水電解液を電池缶内に収容して密封する非水電解液電池において、
    前記正極および前記負極の両電極は、帯状の集電体を含んでいて、前記集電体の裏表両面のうちの少なくとも一方の面に活物質層が形成されており、
    前記正極および前記負極の少なくとも一方の電極は、その電極の裏表両面のうちの一方の面側の前記活物質層に溝が形成されており、
    前記溝は、前記電極の長さ方向に対して斜め上方向に直線状に延びる複数の上向溝部と、前記電極の長さ方向に対して斜め下方向に直線状に延びる複数の下向溝部とが交差するクロス格子状に形成してあり、
    前記上向溝部と前記下向溝部とは、前記集電体側となる奥面がそれぞれ平滑な面状に形成されており、
    前記上向溝部と前記下向溝部とは、電極外面側の幅寸法(L1)が0.07〜0.3mm、隣り合う前記溝部どうしのピッチ(L2)が0.5〜1.5mm、深さ寸法(L3)が前記活物質層の厚さ寸法(L4)の10〜30%に設定されており、
    前記溝部どうしの交差位置である交差溝部の深さが、前記溝部よりも浅くなっていることを特徴とする非水電解液電池。
  2. 前記交差溝部の深さ寸法(L5)が、前記溝部の深さ寸法(L3)の25〜70%に設定されている請求項1に記載の非水電解液電池。
  3. 前記各溝部の幅方向に切断した断面形状が、電極外面側に向かうに従って幅寸法が大きくなる台形形状である請求項1と2の何れかに記載の非水電解液電池。
  4. クロス格子状に突設した突条を前記活物質層に押し付けることで前記溝を形成した請求項1と2と3の何れかに記載の非水電解液電池。
  5. 帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた状態で巻回して電極体を形成してあり、
    前記電極体および非水電解液を電池缶内に収容して密封する非水電解液電池において、
    前記正極および前記負極の両電極は、帯状の集電体を含んでいて、前記正極および前記負極の少なくとも一方の電極は、前記集電体の裏表両面に活物質層がそれぞれ形成されており、
    前記少なくとも一方の電極は、前記活物質層が形成された裏表両面の前記活物質層に溝がそれぞれ形成されており、
    前記溝は、前記電極の長さ方向に対して斜め上方向に直線状に延びる複数の上向溝部と、前記電極の長さ方向に対して斜め下方向に直線状に延びる複数の下向溝部とが交差するクロス格子状に形成してあり、
    前記上向溝部と前記下向溝部とは、前記集電体側となる奥面がそれぞれ平滑な面状に形成されており、
    前記上向溝部と前記下向溝部とは、電極外面側の幅寸法(L1・L6)が0.07〜0.3mm、隣り合う前記溝部どうしのピッチ(L2・L7)が0.5〜1.5mm、深さ寸法(L3・L8)が前記活物質層の厚さ寸法(L4・L9)の5〜15%に設定されており、
    前記溝部どうしの交差位置である交差溝部の深さが、前記溝部よりも浅くなっていることを特徴とする非水電解液電池。
  6. 前記交差溝部の深さ寸法(L5・L10)が、前記溝部の深さ寸法(L3・L8)の20〜50%に設定されている請求項5に記載の非水電解液電池。
  7. 前記各溝部の幅方向に切断した断面形状が、電極外面側に向かうに従って幅寸法が大きくなる台形形状である請求項5と6の何れかに記載の非水電解液電池。
  8. クロス格子状に突設した突条を前記電極の一方の面側の前記活物質層に押し付けて、その一方の面側の前記活物質層に前記溝を形成したのち、クロス格子状に突設した突条を前記電極の他方の面側の前記活物質層に押し付けて、その他方の面側の前記活物質層に前記溝を形成した請求項5に記載の非水電解液電池。
  9. 前記負極の活物質層の密度が1.5〜2.0g/cm3 である請求項1と2と3と4と5と6と7と8の何れかに記載の非水電解液電池。
  10. 前記正極の活物質層の密度が3.6〜4.6g/cm3 である請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9の何れかに記載の非水電解液電池。
  11. 前記セパレータの厚さ寸法が20μm以下である請求項1と2と3と4と5と6と7と8と9と10の何れかに記載の非水電解液電池。
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