JP2007309722A - 光ファイバセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センシング部がグレーテッドインデックス光ファイバ(GIファイバ)1からなり、該センシング部への送信側及び受信側の伝送路がシングルモード光ファイバ(SMファイバ)2からなる光ファイバセンサによる。このような光ファイバセンサは、光ファイバセンサを透過する光強度をモニタしたセンシング光強度を、光源の光強度をモニタした参照光強度と比較演算することにより、センシング部の温度や張力の変化を測定するために用いることができる。
【選択図】図1
Description
例えば特許文献1には、光ファイバの途中に形成した細径部の周囲に、温度により光吸収または散乱特性が変化する感温変色材を塗布して感温層を設けた構成の温度検出装置が記載されている。また、特許文献2には、光ファイバの先端面に対向する位置に光反射体が設けられ、光ファイバの先端面と光反射体との間に、温度により光吸収または散乱特性が変化する感温変色材が充填されて感温部を設けた構成の温度センサが記載されている。
しかし特許文献1の温度検出装置は、特性が細径部の形状に大きく依存するため精度良く作製することが困難であった。また、感温層に特殊な材料を使用する必要があり、繰り返し使用による特性劣化も見られるため、測定の精度を長期に渡り高く維持することが困難であった。また、特許文献2においても、感温部に特殊な材料を使用しているため、長期信頼性の面で問題があった。
また、ヘテロコア型光ファイバ(非特許文献1など)のような構造も提案されているが、温度に対しては感度が小さく、温度計としては使用できなかった。また、歪みを測定する場合も、ファイバを曲げる必要があり、ファイバ軸方向への引っ張り方向の歪み検知と比較して装置構成が複雑になる問題があった。
特許文献3及び4には、シングルモード光ファイバの間にグレーテッドインデックス光ファイバが挿入された構造が記載されている。ただしその目的は、グレーテッドインデックス光ファイバの部分で光エネルギー密度を下げることにより、ファイバヒューズ現象を回避するためとされている。
特許文献5には、発光ダイオードの出力光をカプラで2分岐し、一方を2枚の板部材でクランプされた信号用光ファイバに入射させるとともに、他方を参照用光ファイバに入射させ、両光ファイバの透過光強度を比較することにより、歪量を測定する装置が記載されている。
また、本発明は、光源の光強度をモニタした参照光強度と、光源より入射されて上記の光ファイバセンサを透過する光強度をモニタしたセンシング光強度とを比較演算して、センシング部の温度変化を測定することを特徴とする温度測定方法を提供する。
また、本発明は、上記の光ファイバセンサと、該光ファイバセンサに光を入射する光源と、光源の光強度を参照光強度としてモニタする第1の光検出器と、光源より入射されて前記光ファイバセンサを透過する光強度をセンシング光強度としてモニタする第2の光検出器と、前記センシング光強度を前記参照光強度と比較演算してセンシング部の温度変化を出力する比較演算回路を備えることを特徴とする温度測定システムを提供する。
また、本発明は、光源の光強度をモニタした参照光強度と、光源より入射されて上記の光ファイバセンサを透過する光強度をモニタしたセンシング光強度とを比較演算して、センシング部に印加された張力を測定することを特徴とする張力測定方法を提供する。
また、本発明は、上記の光ファイバセンサと、該光ファイバセンサに光を入射する光源と、光源の光強度を参照光強度としてモニタする第1の光検出器と、光源より入射されて前記光ファイバセンサを透過する光強度をセンシング光強度としてモニタする第2の光検出器と、前記センシング光強度を前記参照光強度と比較演算してセンシング部に印加された張力を出力する比較演算回路を備えることを特徴とする張力測定システムを提供する。
本発明の光ファイバセンサは、図1に模式的に示すように、コア1aの屈折率が光ファイバの半径方向に連続的に変化するように作製されたグレーテッドインデックス光ファイバ1をセンシング部とし、このセンシング部の両端に、使用波長帯においてコア2aの部分でLP01モードのみが伝搬するシングルモード光ファイバ2が接続された構造を有する。なお、以下の説明では、グレーテッドインデックス光ファイバをGIファイバ、シングルモード光ファイバをSMファイバと略記する場合がある。
GIファイバの部分の光路長Loは、GIファイバにかかる張力によっても変化するため、温度変化と同様に、張力変化を光強度変化として測定することも可能である。測定に際しては、光強度が測定対象とするパラメータの変化に基づいて変化するように、外乱となる他の因子による影響がセンシング部になるべく加わらない環境をつくるようにする。すなわち、温度を測定するときはGIファイバに張力が印加しないようにし、また、張力を測定するときは、GIファイバの温度が変化しないような環境とするか、環境温度を別のセンサで測定し、温度による影響を補正する。
また、GIファイバの屈折率nは波長依存性もあるため、波長によっても光ファイバセンサの透過光強度は変化する。このように、GIファイバのコア直径、長さL、測定に使用する光の波長(使用波長)などを最適化することにより、本発明の光ファイバセンサを温度センサあるいは張力センサとして使用することができる。
すなわち、本発明の光ファイバセンサとともに使用する光源のスペクトル帯域幅は、「最大透過率波長と最小透過率波長との差」以下である必要があり、望ましくは「最大透過率波長と最小透過率波長との差」の半分以下である。よって、光源のスペクトル帯域幅は100nm以下であることが望ましい。このようなスペクトル帯域幅を示す光源としては、レーザダイオード(LD)やライトエミッティングダイオード(LED)、各種ランプ、レーザ媒体の自然放出光などが使用できる。また、スペクトル帯域幅が所望より広い光源を使用する場合には、バンドパスフィルタと組み合わせて、所望のスペクトル帯域幅の光を本構成の光ファイバセンサに入射させることにより、使用が可能となる。
GIファイバ1の長さを所望の長さに切断するときには、GIファイバ1の片端にSMファイバ2を接続したものを精密ステージの上におき、マイクロスコープを使用して、融着接続部7からの長さを確認することによって精度良く切断することができる。
本発明の測定システムにおいて、センシング部のGIファイバ1以外の光ファイバ、例えば光源11とカプラ12を接続する光ファイバ等には、シングルモード光ファイバを用いることが好ましい。また、カプラ12として、光ファイバを溶融延伸したカプラを用いる場合には、シングルモード光ファイバから製造したものを用いることが好ましい。
図6に示す測定システム20の場合、光源11からの出力光は、カプラ12により光強度50%ずつに2分岐される。カプラ12で分岐した光のうち一方は、光源11の光強度をモニタする第1の光検出器13に入射する。また、カプラ12で分岐した光のうち他方は、光ファイバセンサ3に入射され、センシング部を透過したのち、反射端Rによる反射光として、センシング光の光強度をモニタする第2の光検出器14に入射する。この測定システム20の場合、SMファイバ2は送信側と受信側の両方の伝送路を兼ねているので、反射光は、カプラ12を通して第2の光検出器14に入射される。
本発明の光ファイバセンサは、光源や検出器などの一般的な装置類と組み合わせて光強度変化による測定システムを構成することができ、遠隔地からの測定を容易に実施することができる。
GIファイバの両端に接続するSMファイバのモードフィールド径(MFD)の違いによる特性変化を確認するため、コア直径が50μmのGIファイバの両端に光ファイバ融着機を用いてそれぞれSMファイバを融着し、SM−GI−SM構成の光ファイバセンサを作製した。光ファイバセンサのGIファイバの部分の長さLは約20mmである。図7及び図8に、GIファイバの温度を0℃〜100℃の範囲で変化させた場合のスペクトル(透過率の波長依存性)を表示している。図7はMFD=10μm(L=20.02mm)の場合を示し、図8はMFD=8μm(L=20.092mm)の場合を示す。どちらの場合も温度変化によりスペクトルのシフトが確認できるが、波長変化による透過率の強度差は、SMファイバのMFDが小さいほど大きい。これは、MFDが小さいほど、GIファイバからSMファイバへ再結合するところでの波長依存性が大きくなるためである。
GIファイバの部分の長さLの違いによる特性変化を確認するため、GIファイバ(コア直径50μm)の両端に光ファイバ融着機を用いてそれぞれSMファイバ(MFD8μm)を融着してSM−GI−SM構成の光ファイバセンサを作製し、GIファイバの温度を0℃〜100℃の範囲で変化させた場合のスペクトル(透過率の波長依存性)を測定した。図9はLが約5mmの場合を、図10はLが約20mmの場合を、図11はLが約30mmの場合を、図12はLが約40mmの場合を、それぞれ表示している。GIファイバ部分の長さLが5mmの場合、GIファイバ部分の光路長Loが短いため、図9に示すように波長依存性や温度変化による特性変動が小さく、光ファイバセンサとしての感度は良くないことが確認できる。長さLが20mmあるいは30mmの場合は、図10および図11に示すように、温度変化による透過率の変動が大きく、光ファイバセンサとしての感度を上げることができる。しかし、長さLを40mmまで長くすると、図12に示すように、波長特性のスペクトルが乱れていることが確認できる。このため、GIファイバ部分の長さは5mm以上40mm以下であることが好ましい。より好ましくは、20mm以上30mm以下である。
図13〜図15には、MFDが8μmのSMファイバと、コア直径が50μmのGIファイバを用いて、GIファイバの両端にそれぞれSMファイバを融着してSM−GI−SM構成の光ファイバセンサを作製し、GIファイバの部分の温度を0℃〜100℃の範囲で変化させた場合のスペクトルを測定した。このとき光源としては、エルビウム添加光ファイバを波長1.48μmのLD光源で励起した場合に得られる自然放出光を用いた。図13は、GIファイバ部分の長さLが20.002mmの場合を、図14は、GIファイバ部分の長さLが20.092mmの場合を、図15は、GIファイバ部分の長さLが20.18mmの場合を、それぞれ表示している。
図13〜図15に示すように、GIファイバ部分の長さLが、20.002mm、20.092mm、20.18mmと長くなるにつれて、透過率のスペクトルが短波長側にシフトしていく様子が確認できる。このとき光源の中心波長である1550μmにおける光の透過率に注目すると、透過率がGIファイバの長さLを長くすることにより増加していることが分かる。これは、図1で示したようにGIファイバ中で拡散・集光を繰り返しながら伝搬していく光が、受信側のSMファイバと結合する位置において、L=20.002mmでは腹の位置、L=20.18mmでは節の位置になっていることに相当する。
これらL=20.002mm、20.092mm、20.18mmの光ファイバセンサを用いて、透過光強度の温度依存性を測定した結果を図16に示す。L=20.002mmの場合とL=20.18mmの場合は、温度変化に対する光強度変化も小さく、単調変化でもないため、光ファイバセンサとしては使用しにくい。一方、GIファイバの長さL=20.092mmの場合は、温度の上昇とともに透過光の光強度が単調に増加していており、その強度変化率も±10%程度であるから光ファイバセンサとして使用できる。よって、光ファイバセンサとして高感度を得るためには、センシング部となるGIファイバの長さLは、使用光源の中心波長の光が受信側のSMファイバと結合する位置が、GIファイバ中を伝搬する光の腹と節の中間となるように設定することが望ましい。
また、L=20.092mmのサンプルを複数個作製して、それぞれのサンプルにつき透過光強度の温度依存性を測定した結果を図17に示す。すべてのサンプルでほぼ同様の曲線が得られており、センサ作製の再現性を確認することができる。
図18には、MFDが8μmのSMファイバと、コア直径が50μmのGIファイバを使用し、GIファイバの両端にそれぞれSMファイバを融着してSM−GI−SM構成の光ファイバセンサを作製し、GIファイバの部分の張力(単位はニュートン(N))を0N〜2.25Nの範囲で変化させた場合のスペクトルを測定した。このとき光源としては、エルビウム添加光ファイバを波長1.48μmのLD光源で励起した場合に得られる自然放出光を用いた。GIファイバ部分の長さLは20.092mmとした。GI部分に張力を加える方法としては、その両端のSMファイバを引っ張る方法を用いた。
図18に示すように、張力の上昇とともに透過光の光強度が単調に増加していており、その強度変化率も±10%程度であるから、光ファイバセンサの透過光強度を測定することで張力センサとして使用することができる。張力センサとして高感度を得るためには、センシング部となるGIファイバの長さLは、使用光源の中心波長の光が受信側のSMファイバと結合する位置が、GIファイバ中を伝搬する光の腹と節の中間となるように設定することが望ましい。
また、L=20.09mmのサンプルを複数個作製して、それぞれのサンプルにつき透過光強度の張力に対する依存性を測定した結果を図19に示す。すべてのサンプルでほぼ同様の曲線が得られており、特性変動も小さく、センサ作製の再現性を確認することができる。
Claims (5)
- センシング部がグレーテッドインデックス光ファイバからなり、該センシング部への送信側及び受信側の伝送路がシングルモード光ファイバからなることを特徴とする光ファイバセンサ。
- 光源の光強度をモニタした参照光強度と、光源より入射されて請求項1に記載の光ファイバセンサを透過する光強度をモニタしたセンシング光強度とを比較演算して、センシング部の温度変化を測定することを特徴とする温度測定方法。
- 請求項1に記載の光ファイバセンサと、該光ファイバセンサに光を入射する光源と、光源の光強度を参照光強度としてモニタする第1の光検出器と、光源より入射されて前記光ファイバセンサを透過する光強度をセンシング光強度としてモニタする第2の光検出器と、前記センシング光強度を前記参照光強度と比較演算してセンシング部の温度変化を出力する比較演算回路を備えることを特徴とする温度測定システム。
- 光源の光強度をモニタした参照光強度と、光源より入射されて請求項1に記載の光ファイバセンサを透過する光強度をモニタしたセンシング光強度とを比較演算して、センシング部に印加された張力を測定することを特徴とする張力測定方法。
- 請求項1に記載の光ファイバセンサと、該光ファイバセンサに光を入射する光源と、光源の光強度を参照光強度としてモニタする第1の光検出器と、光源より入射されて前記光ファイバセンサを透過する光強度をセンシング光強度としてモニタする第2の光検出器と、前記センシング光強度を前記参照光強度と比較演算してセンシング部に印加された張力を出力する比較演算回路を備えることを特徴とする張力測定システム。
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