JP2007308388A - 有機過酸化物、ラジカル開始剤、その誘導体および製造方法 - Google Patents

有機過酸化物、ラジカル開始剤、その誘導体および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な有機過酸化物、ラジカル開始剤、その誘導体および製造方法の提供。
【解決手段】ジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシドまたは下式Ibで表される有機過酸化物:
【化1】
Figure 2007308388

ここでR’は、炭素原子数2〜20のペルフルオロアルキレン基であり、エーテル性酸素原子を含有していてもよい。
上記有機過酸化物からなるラジカル開始剤。エチレン性不飽和化合物の重合方法および末端不飽和ポリマーの製造方法。上記有機過酸化物の誘導体としてのポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な有機過酸化物、ラジカル開始剤、その誘導体および製造方法に関する。
従来、有機過酸化物をラジカル開始剤とするエチレン性不飽和化合物の付加重合が知られている。この重合により得られるポリマーの末端には、有機過酸化物の脱酸素ラジカル残基が結合するため、エチレン性不飽和化合物として含フッ素オレフィンを重合する場合には、生成するポリマーの熱安定性などを考慮して、通常、含フッ素有機過酸化物が選択される。
含フッ素有機過酸化物としては、[B(CFCOO−](Bは水素原子またはフッ素原子)、で示されるジ(ポリフルオロアシル)ペルオキシド、(CCOO−)などのペルフルオロアシルペルオキシド、アシル基内にエーテル結合を含むジ(ポリフルオロアシル)ペルオキシドなどが知られている(特許文献1〜2など参照)。特許文献2には、含フッ素有機過酸化物の合成原料として、Cl(CFCOY(n=1〜10,Yはハロゲン原子)も例示されている。このハロゲン化アシルから導かれる含フッ素有機過酸化物は、両末端に1つずつ塩素原子が結合している。ジ(ハロアシル)ペルオキシドとして[Cl(CFCFCl)CFCOO−](n=1〜10)の開示もある(特許文献3参照)。該ジ(ハロアシル)ペルオキシドは、水性懸濁重合における開始剤効率が高いことが、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとの共重合において示されている(特許文献4参照)。
2006−89472号公報 特開平5−97797号公報 特公昭47-44031号公報 特開昭49−10290号公報
本発明は、新規な有機過酸化物、ラジカル開始剤、エチレン性不飽和化合物の重合方法および末端不飽和ポリマーの製造方法、さらに上記有機過酸化物の誘導体としてのポリマーを提供することを目的としている。
本発明では、ジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシド、および後述の式Ibで表される有機過酸化物を提供する。
本発明では、上記有機過酸化物からなるラジカル開始剤を提供する。
本発明では、上記ラジカル開始剤を用いるエチレン性不飽和化合物の重合方法を提供する。本発明の重合方法では、分子末端にClFC−CFCl−基を有するポリマーを得ることができる。このポリマーの数平均分子量(Mn)は、通常、500〜1,000,000である。
さらに、本発明では、
(1)後述の式Iで表される有機過酸化物をラジカル開始剤として用い、少なくとも一種のエチレン性不飽和化合物を重合して、分子末端にClFC−CFCl−基を有するポリマーを得る工程:
(2)上記で得られたポリマーを脱塩素化して、該ポリマーの末端にエチレン性不飽和基を導入する工程を含む末端不飽和ポリマーの製造方法を提供する。
上記により得られるポリマーの数平均分子量(Mn)は、通常、500〜1,000,000である。
本発明では、上記重合方法または上記重合工程(1)に使用するエチレン性不飽和化合物の態様例として、両末端にエチレン性不飽和結合を有するペルフルフロアルキルジエンが挙げられる。このペルフルフロアルキルジエンは、アルキレン鎖中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよく、すなわちペルフルフロオキサアルキルジエンであってもよい。また、このペルフルフロアルキルジエンの環化重合を好ましく挙げることができる。
本発明の有機過酸化物は、エチレン性不飽和化合物のラジカル開始剤として用いたときに、有機過酸化物の誘導体として、分子末端にビシナルジクロロ構造を有するポリマーを得ることができる。このポリマーは、脱塩素化により、末端にエチレン性不飽和基(二重結合)を容易に導入することができる。このポリマーの架橋剤としての応用、ポリマーへのさらなる官能基導入などが期待される。
本発明に係る含フッ素有機過酸化物(以下、単に有機過酸化物とも記す。)は、下式Iで示されるとおり、分子末端にビシナルジクロロ(ClFC−CFCl−)構造を有する。
Figure 2007308388

ここでRは、炭素原子数0〜20のペルフルオロアルキレン基であり、エーテル性酸素原子を含有していてもよい。エーテル性酸素原子を2以上含んでいてもよい。Rは直鎖状でも分岐状でもよい。なお、本発明では、エーテル性酸素原子を含有するペルフルオロアルキレン基をペルフルオロオキサアルキレン基ということもある。しかしながらペルフルオロアルキレン基の語は、特にペルフルオロオキサアルキレン基について説明する場合を除き、ペルフルオロオキサアルキレン基を包含する総称として使用される。
この有機過酸化物は、分子末端のビシナルジクロロ構造以外には塩素原子を含まない。
Rとしては、CFCF、CFCFCF、CFCFCFCF、CFCFCFCFCF、CF(CF)−O−CFCF(CF)、CF(CF)−O−CFCF(CF)−O−CFCF(CF)、CF(CF)−O−CFCF(CF)−O−CFCF(CF)−O−CFCF(CF)などが例示される。
上記式Iにおいて、Rが炭素原子数0のとき、すなわち下記式Iaで表されるジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシド:[ClFCCFClCOO−]
Figure 2007308388
およびRが炭素原子数2〜20のとき、すなわち下式Ibで表される化合物が新規な有機過酸化物として提供される。
Figure 2007308388
ここでR’は、炭素原子数2〜20である以外、式IにおけるRの定義と同様である。
上記のうちでも、製造の容易性の面から、式Iにおける炭素原子数が0または2〜4であるもの、すなわちジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシド、4,5−ジクロロ−2,2,3,3,4,5,5−ヘプタフルオロペンタノイル)ペルオキシド、5,6−ジクロロ−2,2,3,3,4,4,5,6,6−ノナフルオロヘキサノイル)ペルオキシドなどが好ましい。
上記式Iで表される有機過酸化物(以下、有機過酸化物[I]とも記す)は、下式IIで表される対応する酸ハライド(以下、酸ハライド[II]とも記す)を塩基(アルカリ性)の存在下、過酸化水素と反応させることにより合成することができる。
Figure 2007308388

ここでRは式IにおけるRの定義と同様であり、Xはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子が好ましい。
有機過酸化物Iがジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシドであるとき、対応する酸ハライド[II]としては、たとえば2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロピオニルフルオリドが挙げられる。
酸ハライド[II]は、公知の方法、たとえば特開2006−28023号などに記載される方法により得ることができる。
酸ハライド[II]から有機過酸化物[I]を得る具体的な合成方法としては、たとえば次の第一方法または、第二方法がある。
第一方法は、酸ハライド[II]を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群より選択される一種以上の塩基化合物の存在下、過酸化水素と反応させる方法。
第二方法は、酸ハライド[II]を、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化バリウムからなる群より選択される一種以上の過酸化塩と反応させる方法。
第一方法において、酸ハライド[II]/過酸化水素/塩基化合物の仕込みモル比は、1/0.3〜20/0.3〜10であるのが好ましく、特に1/0.5〜10/0.5〜7であるのが好ましい。
第二方法において、酸ハライド[II]/過酸化塩の仕込みモル比は、1/0.3〜20であるのが好ましく、特に1/0.5〜15であるのが好ましい。該範囲であると、有機過酸化物の収率が高く、反応に要する時間が短い。
上記において、塩基化合物、過酸化塩は水に溶解して用いるのが好ましい。水溶液中の塩基化合物または過酸化塩の濃度は1〜60質量%が好ましく、特に5〜30質量%が好ましい。該範囲であると、有機過酸化物の収率が高い。
また、第一方法または第二方法における反応温度は、−30℃〜+50℃が好ましい。該温度であると反応時間が短く、生成した有機過酸化物の分解が促進せず、収率が高い。また反応時間は0.5〜10時間であるのが好ましい。得られた反応の粗生成物は水などを用いた洗浄などの方法により、精製してもよい。
さらにこれらの反応は溶媒を用いてもよい。有機過酸化物を安定に取り扱うためには溶媒を用いることが好ましい。該溶媒としては、酸ハライドおよび有機過酸化物が可溶であれば、特に限定されない。たとえばハロゲン化脂肪族溶媒、ハロゲン化芳香族溶媒などが好ましい。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、2−クロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオロエタン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロテトラクロロエタン、1,2−ジフルオロテトラクロロエタン、フルオロトリクロロメタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン、トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ヘプタフルオロシクロペンタン、ベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロキシレン、ペンタフルオロベンゼンなどが挙げられる。溶媒は一種を用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
一般に、含フッ素有機過酸化物は、市販の炭化水素系過酸化物に比べて10時間半減温度が低くなる傾向があり、氷点下の値をもつものもあるが、上記のような本発明に係る含フッ素有機過酸化物は、直鎖炭化水素系過酸化物と同等である。具体的には、たとえばペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナノイルペルオキシシドの16.4℃、ペルフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカノイルペルオキシシドの15.8℃に対し、本発明のジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシドは、実施例として後述するように約18℃である。このように本発明の有機過酸化物は、含フッ素有機過酸化物として充分に高い10時間半減温度を有し、したがって不飽和化合物の重合におけるラジカル開始剤として有用である。
10時間半減温度は、下記式(ii)で規定され、10時間で濃度が半減すると期待される温度であり、有機過酸化物の分解温度の指標である。たとえば希釈状態での熱分解速度の測定により、以下のように求められる。
−O−O−結合を有する有機過酸化物の熱分解特性は、希釈状態で、一次反応と近似することができる。この場合、下記式(i)が成立する。
ln(C/C)=Kt ・・・(i)
:有機過酸化物の初期濃度
:t時間後の有機過酸化物の濃度
K:熱分解速度定数
式(i)において、Cが初期濃度Cの1/2となる時間tを半減期t1/2とすれば、半減期t1/2は下記式(ii)で示される。
1/2=(ln2)/K ・・・(ii)
10時間半減温度は、この半減期t1/2=10時間となる温度である。
任意の温度でのKは、アレニウスの式:K=Aexp(−ΔE/RT)[A:頻度因子、ΔE:活性化エネルギー]により算出することができ、熱分解速度の測定により実験的に求めることができる。
上記から、10時間半減温度は、所定温度での熱分解速度定数Kを求めれば、式(ii)により求められるln(t1/2)と1/Tとの関係をプロットし、得られた直線から、半減期t1/2が10時間である温度を内挿または外挿で求めることができる。
また、10時間半減温度は、上記所定温度での熱分解速度定数Kから算出される10時間残存率(%)=exp(−Kt)×100(ここでのt=10)を、いくつかの所定温度について求めることから、残存率50%となる温度を内挿または外挿で求めることができる。
本発明では、上記のような有機過酸化物をラジカル開始剤として用いるエチレン性不飽和化合物の重合方法を提供する。エチレン性不飽和化合物(以下、便宜的にモノマーと記す。)は、過酸化物をラジカル開始剤として用いて重合しうるものであればよく、特に限定されないが、たとえば以下のフルオロモノマーが好ましく挙げられる。
フルオロモノマーとしては、具体的に、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオリド、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロパン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、ペルフルオロ(ブチルエチレン)などのフルオロオレフィン;
ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)などのペルフルオロ(アルキルビニルエーテル);
ペルフルオロ(1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル):CF=CFOCFCFCF=CF、CF=CFOCClCFCF=CF、CF=CFOCFCFCCl=CF、CF=CFOCFCFCF=CF、CF=CFOCFCFClCF=CF、CF=CFOCFCFCF=CFCl、CF=CFOCFCF(CF)CF=CF、CF=CFOCFCF(CF)CCl=CF、CF=CFOCFCF=CF、CF=CFOCF(CF)CF=CF、CF=CFOCFOCF=CF、CF=CClOCFOCCl=CF、CF=CFOCClOCF=CF、CF=CFOC(CFOCF=CFなどのペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル);
ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)などのエーテル性酸素原子含有環状ペルフルオロオレフィン;
(ペルフルオロブチル)エチルアクリレート、(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレート、(ペルフルオロヘプチル)エチルアクリレート、(ペルフルオロオクチル)エチルアクリレートなどの(ペルフルオロアルキル)エチルアクリレート;
(ペルフルオロブチル)エチルメタクリレート、(ペルフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、(ペルフルオロヘプチル)エチルメタクリレート、(ペルフルオロオクチル)エチルメタクリレートなどの(ペルフルオロアルキル)エチルメタクリレート;
α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、ペルフルオロ(スチレン)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレンなどのフルオロスチレンなどが挙げられる。
上記のうち、非共役ジエン構造のペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル)は、環化重合可能であり、分子末端の二重結合同士の結合により形成される環状構造を有する繰り返し単位をもつポリマーを得ることができる。非共役ジエン構造のフルオロモノマーの環化重合条件は、特開昭63−238111号などに記載されており、この記載を引用して本明細書に記載されているものとすることができる。
フルオロモノマーは、二重結合以外の官能基を有するものも好ましい。官能基を有するフルオロモノマーとしては、下式IIIで表されるモノマーなどが挙げられる。
Figure 2007308388

ここで、ZはCHOH、COOH、SOF、CHOCNまたはCHPOHを示し、XおよびYはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、Rは炭素原子数1〜20のポリフルオロアルキレン基であり、エーテル性の酸素原子を含有してもよい。
上記フルオロモノマーは一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、本発明において、上記フルオロモノマーと、非フッ素系モノマーとを共重合することも好ましい。非フッ素系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル、酢酸ビニルなどのビニルエステル、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレートなどの(メタ)アクリレートなどが挙げられる。非フッ素系モノマーは一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。全モノマーに対するフルオロモノマーの割合は、30モル%以上が好ましく、45モル%以上がより好ましく、50モル%以上が最も好ましい。
重合は常圧で行うことができ、重合温度は−50〜120℃であることが好ましく、特に−20℃〜80℃が好ましい。重合温度が上記範囲であると、重合時間が短く、操作が容易であるので好ましい。重合時間は30分〜20時間の範囲が好ましく、実用的には1〜10時間となるように条件を設定することが好ましい。
重合に使用する有機過酸化物の量は、全モノマー1モルに対して、通常0.000001〜1モル、好ましくは0.0001〜0.1モルである。
重合を円滑に行うためには、溶媒を用いることが好ましい。該溶媒としては、ハロゲン化脂肪族溶媒、ハロゲン化芳香族溶媒などが好ましい。具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、2−クロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオロエタン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロテトラクロロエタン、1,2−ジフルオロテトラクロロエタン、フルオロトリクロロメタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン、トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ヘプタフルオロシクロペンタン、ベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロキシレン、ペンタフルオロベンゼンなどが挙げられる。溶媒は一種を用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
溶媒を使用する場合、溶媒中の有機過酸化物の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
上記重合で得られるポリマーは、沈殿法、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法で精製することができる。
本発明では、上記重合により、数平均分子量(Mn)が500〜1,000,000、好ましくは700〜500,000のポリマーを得ることができる。
また本発明のラジカル開始剤を用いて得られるポリマーは、ラジカル開始剤である有機過酸化物の誘導体であり、通常、分子末端にClFC−CFCl−基を有する。なお、(RCOO−)で示される有機過酸化物をラジカル開始剤とするとき、通常、RC(O)・およびR・の2段のラジカル発生機構で説明されるが、含フッ素ジアシルペルオキシドについては、R・ラジカルが生成しやすい(The Journal of Organic Chemistry 2009(1982)参照)。このため、本発明の有機過酸化物をラジカル発生剤として得られる重合体において、分子末端基ClFC−CFCl−は、−C(O)−を介して重合単位の端部に結合している可能性もあるが、主としてClFC−CFCl−であると考えられる。またラジカル開始剤が式Iaで示される有機過酸化物である場合には、その誘導体において、分子末端基ClFC−CFCl−が−R’−を介して重合単位の端部に結合するが、いずれの場合も、分子末端はビシナルジクロロ基ClFC−CFCl−である。
このようなポリマーは、次いで脱塩素化すれば、該ポリマーの末端にエチレン性不飽和基を導入することができる。
分子末端にビシナルジクロロ構造を有する含フッ素有機過酸化物を、ラジカル開始剤として用いて得られるポリマーを脱塩素化して、ポリマーの分子末端にエチレン性不飽和基を導入する方法は提案されていない。したがって本発明は、上記重合工程(1)に次いで脱塩素化工程(2)を含む末端不飽和ポリマーの製造方法も提供することができる。またしたがって、この方法では、上記式Iで表される含フッ素有機過酸化物を特に制限なく使用することができる。
脱塩素化工程(2)は、亜鉛で処理し、脱塩素化して行うことができる。
上記により得られる末端不飽和ポリマーは、重合材料、架橋剤などとしての応用などが期待される。またたとえば上記下式IIIで表されるモノマーから導かれる単位でポリマー主鎖骨格を構成するなどして、官能基導入が容易である。
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、生成物の分析方法であるヨードメトリー法とは、以下の方法である。内容積100mLの三角フラスコにイソプロピルアルコールの30mL、酢酸の2mLおよび飽和ヨウ化カリウム水溶液の2mLをこの順序に取り、ここに試料の約5gを正確に秤量し、加える。密栓して内容物を混合し、暗所で10分間反応させる。0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液にて、ヨウ素の色が消えるまで滴定する。下式により、サンプル中に含まれる生成物の質量百分率を算出する。
質量%=(V×Mw×100)/(20000×Sa)
上記式において、
V:滴定に要した0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液の体積(mL)
Mw:生成物の分子量
Sa:試料量(g)
(実施例1)
式Iaで表される有機過酸化物[ClFCCFClCOO−]:ジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシドの合成
温度計と滴下ロートを備えた三口フラスコ中で、蒸留水の20mLにKOHの12mmol(0.67g)を溶解し、CFClCFCl溶媒の25mLを添加し、氷浴で系の温度を約0℃に調節する。30%のHの1.32g(Hの12mmolに相当)を導入し、次いで滴下ロートからClFCCFClCOF(特開2006−28023号に記載の方法を用いて合成)の8mmol(1.59g)を導入する。反応系の温度を約2℃に調節し、30分撹拌を続ける。粗生成物を分液ロートにより分離し、有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、ヨードメトリー法にて分析を行った。反応収率は23%。
生成物[ClFCCFClCOO−]の分析
19F−NMRスペクトル
ケミカルシフトはppm(CFCl基準)で示した。
CFCl−:−64〜−68 (2F)
−CFCl−:−125.6 (1F)
IRスペクトル主要バンド
1848cm−1(C=O)
熱分解速度定数Kの測定
本発明の有機過酸化物である実施例1で得られた[ClFCCFClCOO]のCFClCFCl中の各温度における熱分解速度定数K(sec−1)を測定した。結果を以下に示す。
Figure 2007308388
上記熱分解速度定数より求めた10時間半減温度は18.1℃であった。
この10時間半減温度は、前述した関係式(ii)に熱分解速度定数Kを挿入して求めたt1/2から、ln(t1/2)を1/Tに対してプロットし、得られた直線から半減期t1/2が10時間である温度を外挿で求めた。
(実施例2)ジエンの重合
実施例1で得られた[ClFCCFClCOO−]の0.45mmolを含むCFClCFCl溶液の4.9g中に、CFCFOCFCFCFCFの1.2g(4.5mmol)を加え、窒素気流下室温にて16時間反応させた。反応後、粗生成物をヘキサンにて充分に洗浄して精製し、以下の生成物を0.1g得た。
Figure 2007308388
得られた生成物(ポリマー)の分子量は、Mn=2330(Mw/Mn=1.46)であった。該ポリマーが、上記で示される環状構造を有する主鎖単位およびビシナルジクロロ分子末端を有することはNMR,IRで確認することができる。

Claims (6)

  1. ジ(2,3−ジクロロ−2,3,3−トリフルオロプロパノイル)ペルオキシド。
  2. 下式Ibで表される有機過酸化物:
    Figure 2007308388

    ここでR’は、炭素原子数2〜20のペルフルオロアルキレン基であり、エーテル性酸素原子を含有していてもよい。
  3. 請求項1または2に記載の有機過酸化物からなるラジカル開始剤。
  4. 請求項3に記載のラジカル開始剤を用いるエチレン性不飽和化合物の重合方法。
  5. (1)下式Iで表される有機過酸化物をラジカル開始剤として用い、少なくとも一種のエチレン性不飽和化合物を重合して、分子末端にClFC−CFCl−基を有するポリマーを得る工程:
    Figure 2007308388

    (ここでRは、炭素原子数0〜20のペルフルオロアルキレン基であり、エーテル性酸素原子を含有していてもよい。)、
    (2)上記で得られたポリマーを脱塩素化して、該ポリマーの末端にエチレン性不飽和基を導入する工程
    を含む末端不飽和ポリマーの製造方法。
  6. 数平均分子量(Mn)が500〜1,000,000である、請求項5または6の方法で得られるポリマー。
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