JP2007307568A - 塑性結合部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カウンタシャフトは、シャフト2とギヤ3とを有し、ギヤ3の挿入穴31の内周面311は歯部4を有する。歯部4は、第1締結歯41と第2締結歯42とのいずれかを構成している。第1締結歯41の傾斜面432と第2締結歯42の傾斜面432とが対面する部位には、谷部433の外接円430よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する傾斜面432を滑らかに繋いだ第1控え部441を設けてある。シャフト2の結合外面部21にギヤ3の歯部4を食い込ませて結合外面部21の一部を塑性流動させた塑性結合部6を形成することにより、シャフト2とギヤ3とを一体的に結合している。
【選択図】図8
Description
該外挿部材の上記挿入穴の内周面は、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を有し、かつ、上記軸部材との係合の前に、少なくとも上記歯部の表面を硬化する硬化処理を施してあり、
上記歯部は、上記軸部材の軸線を含む軸平面となす角度がαである受圧面と、上記軸平面となす角度がβ(β>α)である傾斜面とにより鋭角状を呈していると共に、上記受圧面を周方向における第1の方向に位置させた第1締結歯と、その反対側の第2の方向に上記受圧面を位置させた第2締結歯とを構成し、
上記第1締結歯を並べた第1領域と、上記第2締結歯を並べた第2領域とは、上記挿入穴の周方向に交互に配列されており、
上記第1締結歯の上記傾斜面と上記第2締結歯の上記傾斜面とが対面する部位には、上記受圧面と上記傾斜面とにより形成された谷部の外接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記傾斜面を滑らかに繋いだ第1控え部を設けてあり、
上記軸部材は、上記歯部の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部を有しており、
該結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた塑性結合部を形成することにより、上記軸部材と上記外挿部材とを一体的に結合していることを特徴とする塑性結合部材にある(請求項1)。
すなわち、上記外挿部材の硬度が上記軸部材よりも高い場合において、両者を塑性結合する際に、上記歯部における上記傾斜面が対面する部位には、最も大きな引張応力が発生する。この応力が集中する部位に、滑らかな形状の上記第1控え部を設けたのである。
中央に上記挿入穴を有する上記外挿部材を準備する外挿部材準備工程と、
上記挿入穴の内周面に、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を設ける歯部形成工程と、
少なくとも上記歯部の表面を硬化する外挿部材硬化処理工程と、
上記歯部の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部を有する棒状の軸部材を準備する軸部材準備工程と、
上記軸部材を上記外挿部材の上記挿入穴に挿入すると共に、上記結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた塑性結合部を形成することにより、上記軸部材と上記外挿部材とを一体的に結合する塑性結合工程とを有し、
上記歯部形成工程では、上記軸部材の軸線を含む軸平面となす角度がαである受圧面と、上記軸平面となす角度がβ(β>α)である傾斜面とにより鋭角状に構成されていると共に、上記受圧面を周方向における第1の方向に位置させた第1締結歯と、その反対側の第2の方向に上記受圧面を位置させた第2締結歯とを形成し、
上記第1締結歯を並べた第1領域と、上記第2締結歯を並べた第2領域とは、上記挿入穴の周方向に交互に配列し、
上記第1締結歯の上記傾斜面と上記第2締結歯の上記傾斜面とが対面する部位には、上記受圧面と上記傾斜面とにより形成された谷部の外接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記傾斜面を滑らかに繋いだ第1控え部を設けることを特徴とする塑性結合部材の製造方法にある(請求項11)。
すなわち、上記外挿部材の硬度が上記軸部材よりも高い場合において、両者を塑性結合する際に、上記歯部における上記傾斜面が対面する部位には、最も大きな引張応力が発生する。この応力が集中する部位に、滑らかな形状の上記第1控え部を設けるのである。
この場合には、上記軸部材と上記外挿部材との塑性結合の際に、応力が集中する部位である上記第1控え部周辺に発生する引張応力を、上記間隙によってさらに効果的に低減することができる。
該第2控え部は、上記結合外面部に当接して配置されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記軸部材と上記外挿部材との同軸度のズレが抑制され、位置精度を向上させることができる。なお、ここでいう当接とは、塑性結合を行った結果として当接されているという意味であり、結合時の塑性変形を考慮して上記第2控え部の寸法を適切に調整しておくことが望ましい。
この場合には、上記軸部材と上記外挿部材との塑性結合の際に、上記各谷部に発生する引張応力を低減することができる。
上記歯部は、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を有しており、
上記塑性結合部は、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて形成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記軸部材と上記外挿部材との同軸度のズレが抑制され、位置精度を向上させることができる。
上記歯部の軸方向端面には、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を有しており、上記塑性結合部形成状態において、上記外鍔部と上記先端当接面とが当接していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、塑性結合後の上記軸部材と上記外挿部材とを充分に固定させることができる。これにより、両者の同軸度のズレ、両者間のガタを抑制することができる。
この場合には、上記歯部の優れた強度特性によって、上記軸部材と上記外挿部材との上記塑性結合部がより安定した結合部となり、寸法精度の安定性も高くすることができる。
なお、本発明においては、上記歯部の少なくとも表面の硬さがHv600以上であればよく、内部まで深く高硬度であっても良いし、そうでなくても良い。したがって、浸炭、浸炭窒化等の表面硬化処理だけでなく、ズブ焼入れ焼戻しのような調質処理によって表面硬さをHv600以上としても良い。
すなわち、硬度差が小さい場合には、塑性結合時における上記軸部材表面の塑性流動がスムーズに進まなくなり、結合後の寸法精度が低下する。したがって、硬度差をHv300以上としておくことにより、上記歯部と上記結合外面部との硬度差によって、塑性変形した上記結合外面部が上記歯部間に塑性流動し易くなり、より一層安定して、精度のよい上記塑性結合部を得ることができる。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。)
この場合には、上記軸部材の表面硬さを高周波焼入処理によって向上させることができる。なお、上記軸部材の炭素当量Ceqが0.4未満の場合には、高周波焼入後の硬さ不足、強度不足等の不具合を生じる場合がある。
この場合には、ショットピーニング処理を施すことによって、上記歯部に圧縮の残留応力を発生させることができる。そのため、上記軸部材と上記外挿部材との塑性結合の際に、上記歯部に生じる引張応力を低減し、塑性結合後に発生するおそれのある上記外挿部材の破壊(遅れ破壊を含む)を効果的に防止することができる。
この場合には、上記塑性結合工程における塑性結合の際に、応力が集中する部位である上記第1控え部周辺に発生する引張応力を、上記間隙によってさらに効果的に低減することができる。
上記塑性結合工程では、上記第2控え部は、上記結合外面部に当接させて配置することが好ましい(請求項13)。
この場合には、上記軸部材と上記外挿部材との同軸度のズレが抑制され、位置精度を向上させることができる。なお、ここでいう当接とは、塑性結合を行った結果として当接された状態になるという意味であり、結合時の塑性変形を考慮して上記第2控え部の寸法を適切に調整しておくことが望ましい。
この場合には、上記塑性結合工程における塑性結合の際に、上記各谷部に発生する引張応力を低減することができる。
上記歯部形成工程では、上記歯部に、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を設け、
上記塑性結合工程では、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて上記塑性結合部を形成することが好ましい(請求項15)。
この場合には、上記塑性結合工程において、上記軸部材と上記外挿部材との軸方向の位置決めを容易に行うことができる。そのため、両者の同軸度のズレが抑制され、位置精度を向上させることができる。
上記歯部形成工程では、上記歯部の軸方向端面に、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を設け、
上記塑性結合工程では、上記外鍔部と上記先端当接面とを当接させることが好ましい(請求項16)。
この場合には、上記塑性結合工程後の上記軸部材と上記外挿部材とを充分に固定させることができる。これにより、両者の同軸度のズレ、両者間のガタを抑制することができる。
この場合には、上記塑性結合工程において、上記歯部の優れた強度特性によって、上記軸部材と上記外挿部材との上記塑性結合部をより安定して形成することができ、寸法精度の安定性も高くすることができる。
なお、本発明においては、上記歯部の少なくとも表面の硬さがHv600以上であればよく、内部まで深く高硬度であっても良いし、そうでなくても良い。したがって、浸炭等の表面硬化処理だけでなく、ズブ焼入れ焼戻しのような調質処理によって表面硬さをHv600以上としても良い。
この場合には。上記塑性結合工程において、上記歯部と上記結合外面部との硬度差によって、塑性変形した上記結合外面部が上記歯部間に塑性流動し易くなり、より一層安定して、精度のよい上記塑性結合部を形成することができる。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。)
この場合には、上記軸部材の表面硬さを高周波焼入処理によって向上させることができる。なお、上記軸部材の炭素当量Ceqが0.4未満の場合には、高周波焼入後の硬さ不足、強度不足等の不具合を生じる場合がある。
この場合には、上記ショットピーニング処理工程を行うことによって、上記歯部に圧縮の残留応力を発生させることができる。そのため、上記塑性結合工程における塑性結合の際に、上記歯部に生じる引張応力を低減し、塑性結合後に発生するおそれのある上記外挿部材の破壊(遅れ破壊を含む)を効果的に防止することができる。
本発明の実施例にかかる塑性結合部材及びその製造方法について、図を用いて説明する。
本例では、本発明の塑性結合部材として、図1に示すごとく、自動車等の変速機に用いられ、シャフト2(軸部材)とそのシャフト2に外挿された複数のギヤ3(外挿部材)とを塑性結合してなるカウンタシャフト1を例に説明する。
また、歯部4は、受圧面431を周方向における第1の方向D1(時計回りの方向)に位置させた第1締結歯41と、その反対側の第2の方向D2(反時計回りの方向)に受圧面431を位置させた第2締結歯42とで構成されている。また、歯部4において、第1締結歯41を並べた第1領域51と、第2締結歯42を並べた第2領域52とが、挿入穴31の周方向に交互に配列されている。
なお、図8、図9においては、結合前(塑性変形前)の結合外面部21の外周面210を示してある。
シャフト2の素材としては、炭素当量Ceq(Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。以下同様。)が0.4以上のS45C(炭素鋼)を用いた。シャフト2の結合外面部21は、表面硬さ、内部硬さ共にHv220である。
ギヤ3の素材としては、SCr20(クロム鋼)を用いた。ギヤ3の歯部4は、表面硬さがHv750(JIS G0557による有効硬化深さ0.5mm)である。
本例のカウンタシャフト1の製造方法は、図4〜図6に示すごとく、少なくとも、中央に挿入穴31を有するギヤ3を準備する外挿部材準備工程と、挿入穴31の内周面311に、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部4を設ける歯部形成工程と、少なくとも歯部4の表面を硬化する外挿部材硬化処理工程と、歯部4の内接円400の径よりも大きい外径の結合外面部21を有する棒状のシャフト2を準備する軸部材準備工程と、シャフト2をギヤ3の挿入穴31に挿入すると共に、結合外面部21に歯部4を食い込ませて結合外面部21の一部を塑性流動させた塑性結合部6を形成することにより、シャフト2とギヤ3とを一体的に結合する塑性結合工程とを有する。
以下、これを詳説する。
ギヤ3の素材として用いるSCr20(クロム鋼)を所定長さに切断する。その後、熱間鍛造によって成形し、加熱処理(焼きならし)を行い、中央に挿入穴31を有する円筒形状のギヤ3(図3)を準備する。
次に、ギヤ3の挿入穴31の内周面311に、冷間鍛造又は切削加工を行い、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部4を形成する。
このとき、図7〜図9を参照のごとく、各歯部4を、受圧面431と傾斜面432とにより鋭角状に構成すると共に、第1締結歯41と第2締結歯42とを形成する。また、第1締結歯41を並べた第1領域51と、第2締結歯42を並べた第2領域52とを、挿入穴31の周方向に交互に配列する。
次に、ギヤ3に対して、表面硬化処理としての浸炭処理(焼入れ、焼戻し)を行い、ギヤ3の表面を硬化する。このとき、ギヤ3の歯部4の表面硬さをHv600以上とする。本例では、歯部4の表面硬さをHv750(硬化深さ0.5mm)とした。
次に、本例では、外挿部材表面硬化処理工程後、ギヤ3の歯部4にショットピーニング処理を行う。これにより、ギヤ3の歯部4に圧縮の残留応力を発生させる。
次に、シャフト2の素材として用いる炭素当量Ceqが0.4以上のS45C(炭素鋼)を所定長さに切断する。その後、加熱処理(焼きならし)、冷間加工(塑性加工、切削加工)を行い、ギヤ3における歯部4の内接円400の径よりも大きい外径の結合外面部21を有する棒状のシャフト2(図2)を準備する。このとき、シャフト2の結合外面部21の表面硬さ、内部硬さは共にHv220である。
なお、本工程における加熱処理(焼きならし)は、必要がなければ省略することもできる。
次に、シャフト2をギヤ3の挿入穴31に挿入し、シャフト2とギヤ3とを塑性結合により一体的に結合する。以下、これについて詳しく説明する。
まず、図4に示すごとく、受け型8にギヤ3をセットし、シャフト2をギヤ3の挿入穴31に押し込んでいく。そして、図5に示すごとく、ギヤ3の歯部4の大径先端部33内にシャフト2の結合外面部21を収容すると共に、シャフト2の接触面211とギヤ3の位置決め傾斜部32とを当接させる。これにより、シャフト2及びギヤ3の軸方向の位置決めを行う。
次に、本例では、塑性結合工程後、シャフト2の結合外面部21以外の部分において表面硬さが必要な部分に、高周波焼入処理を行う。
なお、この軸部材表面硬化処理工程は、塑性結合工程前に行ってもよい。
最後に、シャフト2及びギヤ3の寸法を調整するための仕上げ加工(切削加工)を行う。
以上により、カウンタシャフト1(図1)を得る。
本例のカウンタシャフト1は、シャフト2とシャフト2を挿入させる挿入穴31を設けたギヤ3とを有し、ギヤ3の挿入穴31の内周面311は、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部4を有する。そして、シャフト2とギヤ3とは、シャフト2の結合外面部21にギヤ3の歯部4を食い込ませ、結合外面部21の一部を歯部4の谷部433に塑性流動(塑性変形)させた塑性結合部6を形成し、いわゆる塑性結合によって一体的に結合している。
すなわち、ギヤ3の硬度がシャフト2よりも高い場合において、両者を塑性結合する際に、ギヤ3における傾斜面対面部位46には、最も大きな引張応力が発生する。この応力が集中する部位に、上述した特許文献2に記載されているような応力調整歯を形成せず、滑らかな形状の第1控え部441を設けたのである。
シャフト2とギヤ3との結合部分を強化するために、圧入部の軸方向の長さを長くする必要がないため、部材の小型化を図ることができる。
また、谷部433は、滑らかな曲線状に形成されている。そのため、シャフト2とギヤ3との塑性結合の際に、各谷部433に発生する引張応力を低減することができる。
本例は、本発明の塑性結合部材について、遅れ破壊の評価を行った例である。
本発明品としては、実施例1のカウンタシャフト1においてショットピーニング処理を施さなかったことのみが異なる試料E1と、実施例1のカウンタシャフト1である試料E2を準備し、遅れ破壊の評価を行った。各試料の条件は、実施例1と同様であり、シャフト2の素材がS45C、表面硬さがHv220、ギヤ3の素材がSCr20、表面硬さがHv750である。シャフト2には焼きならし処理、ギヤ3には浸炭処理が施されている。
遅れ破壊は、水素の侵入によって起きると考えられているため、大気中と大気中よりも水素が侵入しやすく、非常に厳しい条件である酸浸漬させた状態とにおいて一定時間放置し、遅れ破壊の発生の有無を調べた。なお、各試料について5個の試験体を評価した。
大気中における評価は、塑性結合が終了してから10日間そのまま放置し、割れ発生の有無を観察することにより行った。また、酸浸漬中における評価は、塑性結合が終了した試料を室温の状態で15%塩酸中に24時間浸漬させ、浸漬終了後の割れ発生の有無を確認することにより行った。
表1から知られるように、比較品である試料C1は、大気中において遅れ破壊を起こした(試験体5個中4個)。また、試料C1にショットピーニング処理工程を施した試料C2は、大気中において非破壊であったが、酸浸漬中においてすべての試験体で遅れ破壊を起こした。したがって、ショットピーニング処理によって明確な効果が得られることが確認できたものの、酸浸漬中においては、遅れ破壊を防止するまでには至らなかった。
一方、本発明品である試料E1、E2は、大気中及び酸浸漬中においても、すべての試験体で遅れ破壊は見られなかった。なお、本発明品では、ショットピーニング処理を施したことによる差異はみられなかったものの、比較品の結果より、本発明品についてもショットピーニング処理による遅れ破壊の抑制効果があると考えられる。
2 シャフト
21 結合外面部
3 ギヤ
31 挿入穴
311 内周面
4 歯部
41 第1締結歯
42 第2締結歯
430 外接円
432 傾斜面
433 谷部
6 塑性結合部
Claims (20)
- 軸部材と該軸部材を挿入させる挿入穴を設けた外挿部材とを有し、
該外挿部材の上記挿入穴の内周面は、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を有し、かつ、上記軸部材との係合の前に、少なくとも上記歯部の表面を硬化する硬化処理を施してあり、
上記歯部は、上記軸部材の軸線を含む軸平面となす角度がαである受圧面と、上記軸平面となす角度がβ(β>α)である傾斜面とにより鋭角状を呈していると共に、上記受圧面を周方向における第1の方向に位置させた第1締結歯と、その反対側の第2の方向に上記受圧面を位置させた第2締結歯とを構成し、
上記第1締結歯を並べた第1領域と、上記第2締結歯を並べた第2領域とは、上記挿入穴の周方向に交互に配列されており、
上記第1締結歯の上記傾斜面と上記第2締結歯の上記傾斜面とが対面する部位には、上記受圧面と上記傾斜面とにより形成された谷部の外接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記傾斜面を滑らかに繋いだ第1控え部を設けてあり、
上記軸部材は、上記歯部の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部を有しており、
該結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた塑性結合部を形成することにより、上記軸部材と上記外挿部材とを一体的に結合していることを特徴とする塑性結合部材。 - 請求項1において、上記第1控え部は、上記結合外面部との間に間隙を設けて配置されていることを特徴とする塑性結合部材。
- 請求項1又は2において、上記第1締結歯の上記受圧面と上記第2締結歯の上記受圧面とが対面する部位には、上記歯部の内接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記受圧面を滑らかに繋いだ第2控え部を設けてあり、
該第2控え部は、上記結合外面部に当接して配置されていることを特徴とする塑性結合部材。 - 請求項1〜3のいずれか1項において、上記谷部は、滑らかな曲線状に形成されていることを特徴とする塑性結合部材。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記軸部材の上記結合外面部は、その外周角部に傾斜した接触面を有しており、
上記歯部は、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を有しており、
上記塑性結合部は、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて形成してあることを特徴とする塑性結合部材。 - 請求項1〜5のいずれか1項において、上記軸部材は、上記結合外面部よりも外径が大きい外鍔部を有しており、
上記歯部の軸方向端面には、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を有しており、上記塑性結合部形成状態において、上記外鍔部と上記先端当接面とが当接していることを特徴とする塑性結合部材。 - 請求項1〜6のいずれか1項において、上記外挿部材の上記歯部は、表面硬さがHv600以上であることを特徴とする。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、上記外挿部材の上記歯部は、上記軸部材の上記結合外面部の表面硬さよりHv300以上大きいことを特徴とする塑性結合部材。
- 請求項1〜8のいずれか1項において、上記軸部材は、下記式により示される炭素当量Ceqが0.4以上の素材よりなり、上記外挿部材との結合前又は結合後に、上記結合外面部以外の少なくとも一部に、高周波焼入処理によって表面硬化処理を施してあることを特徴とする塑性結合部材。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。) - 請求項1〜9のいずれか1項において、上記外挿部材の上記歯部は、上記硬化処理を施した後に、ショットピーニング処理を施してあることを特徴とする塑性結合部材。
- 軸部材と該軸部材を挿入させる挿入穴を設けた外挿部材とを塑性結合してなる塑性結合部材の製造方法において、
中央に上記挿入穴を有する上記外挿部材を準備する外挿部材準備工程と、
上記挿入穴の内周面に、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を設ける歯部形成工程と、
少なくとも上記歯部の表面を硬化する外挿部材硬化処理工程と、
上記歯部の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部を有する棒状の軸部材を準備する軸部材準備工程と、
上記軸部材を上記外挿部材の上記挿入穴に挿入すると共に、上記結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた塑性結合部を形成することにより、上記軸部材と上記外挿部材とを一体的に結合する塑性結合工程とを有し、
上記歯部形成工程では、上記歯部は、上記軸部材の軸線を含む軸平面となす角度がαである受圧面と、上記軸平面となす角度がβ(β>α)である傾斜面とにより鋭角状に構成すると共に、上記受圧面を周方向における第1の方向に位置させた第1締結歯と、その反対側の第2の方向に上記受圧面を位置させた第2締結歯とを形成し、
上記第1締結歯を並べた第1領域と、上記第2締結歯を並べた第2領域とを、上記挿入穴の周方向に交互に配列し、
上記第1締結歯の上記傾斜面と上記第2締結歯の上記傾斜面とが対面する部位には、上記受圧面と上記傾斜面とにより形成された谷部の外接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記傾斜面を滑らかに繋いだ第1控え部を設けることを特徴とする塑性結合部材の製造方法。 - 請求項11において、上記塑性結合工程では、上記第1控え部は、上記結合外面部との間に間隙を設けて配置することを特徴とする塑性結合部材の製造方法。
- 請求項11又は12において、上記歯部形成工程では、上記第1締結歯の上記受圧面と上記第2締結歯の上記受圧面とが対面する部位には、上記歯部の内接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記受圧面を滑らかに繋いだ第2控え部を設け、
上記塑性結合工程では、上記第2控え部は、上記結合外面部に当接させて配置することを特徴とする塑性結合部材の製造方法。 - 請求項11〜13のいずれか1項において、上記歯部形成工程では、上記谷部は、滑らかな曲線状に形成することを特徴とする塑性結合部材の製造方法。
- 請求項11〜14のいずれか1項において、上記軸部材準備工程では、上記軸部材の上記結合外面部に、その外周角部に傾斜した接触面を設け、
上記歯部形成工程では、上記歯部に、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を設け、
上記塑性結合工程では、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて上記塑性結合部を形成することを特徴とする塑性結合部材の製造方法。 - 請求項11〜15のいずれか1項において、上記軸部材準備工程では、上記軸部材に、上記結合外面部よりも外径が大きい外鍔部を設け、
上記歯部形成工程では、上記歯部の軸方向端面に、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を設け、
上記塑性結合工程では、上記外鍔部と上記先端当接面とを当接させることを特徴とする塑性結合部材の製造方法。 - 請求項11〜16のいずれか1項において、上記外挿部材硬化処理工程では、上記外挿部材の上記歯部の表面硬さをHv600以上とすることを特徴とする塑性結合部材の製造方法。
- 請求項11〜17のいずれか1項において、上記外挿部材硬化処理工程では、上記外挿部材の上記歯部の表面硬さを、上記軸部材の上記結合外面部の表面硬さよりHv300以上大きくすることを特徴とする塑性結合部材の製造方法。
- 請求項11〜18のいずれか1項において、上記軸部材は、下記式により示される炭素当量Ceqが0.4以上の素材よりなり、上記塑性結合工程の前又は後に、上記結合外面部以外の少なくとも一部に、高周波焼入処理によって表面硬化処理を施す軸部材表面硬化処理工程をさらに有することを特徴とする塑性結合部材の製造方法。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。) - 請求項11〜19のいずれか1項において、上記外挿部材硬化処理工程の後に、上記外挿部材の上記歯部に、ショットピーニング処理を施すショットピーニング処理工程をさらに有することを特徴とする塑性結合部材の製造方法。
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