JP2007307169A - ゴルフクラブシャフト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プリプレグ21〜32の積層体からなり、シャフト10全長に形成される前記プリプレグからなる全長層Iを少なくとも1層備えると共に、シャフト10のヘッド側先端15を始端とする前記プリプレグからなるヘッド側部分補強層IIを少なくとも1層備え、かつ、10℃における損失正接(tanδ)が1.0以上である材料からなる振動減衰シート40を少なくとも1層積層してなるゴルフクラブシャフトであって、振動減衰シート40の積層位置は、始端Mを、シャフト10のヘッド側先端15からグリップ14側へ20mmの範囲内に位置させ、終端Nを、ヘッド側部分補強層IIのなかでグリップ側端部が最もグリップ14側に位置する層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’の位置からグリップ側後端16までの範囲内に位置させている。
【選択図】図3
Description
シャフト全長に形成される前記繊維強化樹脂層からなる全長層を少なくとも1層備えると共に、シャフトのヘッド側先端を始端とする前記繊維強化樹脂層からなるヘッド側部分補強層を少なくとも1層備え、かつ、
10℃における損失正接(tanδ)が1.0以上である材料からなる振動減衰シートを少なくとも1層積層し、該振動減衰シートの積層位置は、始端Mをシャフトのヘッド側先端からグリップ側へ20mmの範囲内に位置させ、終端Nを前記ヘッド側部分補強層のなかでグリップ側端部が最もグリップ側に位置する層のグリップ側端部の位置からシャフトのグリップ側後端までの範囲内に位置させていることを特徴とするゴルフクラブシャフトを提供している。
さらに、該振動減衰シートの終端Nを前記位置に設定することにより、前記プリプレグからなる各ヘッド側部分補強層のグリップ側端部に形成される全ての段差部に、前記振動減衰シートによる振動減衰効果を及ぼすことができ、段差部に集中しやすい応力を軽減できるため、該段差部により誘発されるシャフト破損を効果的に防止できる。
前記振動減衰シートの終端Nと、前記ヘッド側部分補強層のなかでグリップ側端部が最もグリップ側に位置する層のグリップ側端部の位置との距離Dは、ヘッド側部分補強層のグリップ側端部の耐久性向上の観点から、5mm以上、特に10mm以上に設定することが好ましい。一方、該振動減衰シートの積層範囲を広くしすぎると、材料コストが上昇するのみでなく、シャフト重量の増加によりヘッドスピードが落ち、飛距離が低下するため、前記距離Dは100mm以下、さらに80mm以下、特に50mm以下に設定することが好ましい。
このヘッド側部分補強層のうち、グリップ側端部が最もグリップ側に位置する層の長さは、150mm以上、特に200mm以上がよい。
双極子変換材料とは、以下のような特徴をもつ材料である。双極子変換材料中には、±の双極子が存在し、通常は電荷が引き付け合って安定した状態で存在している。この材料に振動が加わった場合、双極子が変位し双極子同士が一旦離れるが、その後、再び互いに引きつけ合おうとする復元作用が働く。その際に、双極子がベースとなる高分子鎖や双極子と接触し、摩擦熱として振動エネルギーが大量に熱エネルギーに変換される。この作用により振動エネルギーを吸収する材料である。
図1は、本発明の第一実施形態に係るゴルフクラブシャフト10を示し、このシャフト10は、プリプレグ21〜32と振動減衰シート40の積層体からなるテーパー状の長尺な管状体よりなる。該シャフト10の小径側のヘッド側先端部11にはヘッド13が取り付けられ、大径側のグリップ側後端部12には、グリップ14が取り付けられている。
シャフト10は、全長を46インチ(1195mm)とし、塗装前のシャフト全重量を50gとしている。
プリプレグ23、25は、長さを1195mmとする全長層Iであり、厚みを0.057mmとし、強化繊維F23、F25がシャフト軸線に対してなす配向角をそれぞれ−45°、+45゜としている。
プリプレグ24は、長さを1195mmとする全長層Iであり、厚みを0.033mmとし、強化繊維F24がシャフト軸線に対してなす配向角を90°としている。
プリプレグ26は、長さを1195mmとする全長層Iであり、厚みを0.105mmとし、強化繊維F26がシャフト軸線に対してなす配向角を0°としている。
プリプレグ27は、長さを400mm、厚みを0.084mmとし、強化繊維F27がシャフト軸線に対してなす配向角を0°とし、グリップ側に配置してグリップ側部分補強層IIIを形成している。
プリプレグ28は、長さを175mm、厚みを0.085mmとし、強化繊維F28がシャフト軸線に対してなす配向角を0°とし、グリップ側に配置してグリップ側部分補強層IIIを形成している。
プリプレグ29、30は、長さを1195mmとする全長層Iであり、厚みを0.105mmとし、強化繊維F29、F30がシャフト軸線に対してなす配向角を0°としている。
プリプレグ31、32は、長さを235mm、厚みを0.102mmとし、強化繊維F31、F32がシャフト軸線に対してなす配向角を0°とし、ヘッド側先端15を始端として、終端を始端から距離Cの位置に配置し、ヘッド側部分補強層IIを形成している。
以上のことを確認するために、本発明のゴルフクラブシャフトの実施例1〜6および比較例1、2について詳述する。なお、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきでない。
プリプレグ21、22としてTR350C−125S(三菱レイヨン社製、引張弾性率24tonf/mm2)を用いた。
プリプレグ23、25としてHRX350C−075S(三菱レイヨン社製、引張弾性率40tonf/mm2)を用いた。
プリプレグ24として805−3(東レ社製、引張弾性率30tonf/mm2)を用いた。
プリプレグ26、29、30としてMR350C−125S(三菱レイヨン社製、引張弾性率30tonf/mm2)を用いた。
プリプレグ27としてMR350C−100S(三菱レイヨン社製、引張弾性率30tonf/mm2)を用いた。
プリプレグ28としてE8026C−10S(NGF(日本グラファイト)社製、引張弾性率80tonf/mm2)を用いた。
プリプレグ31、32としてE1026A−09N(NGF(日本グラファイト)社製、引張弾性率10tonf/mm2)を用いた。
いずれの実施例および比較例においても、前記双極子変換材料からなる振動減衰シート40の10℃における損失正接(tanδ)を1.2とし、厚みを0.2mmとした。
プリプレグ21〜25を順次芯金(鉄芯)に巻回した後、まず、前記振動減衰シート40の表面(表裏両面)に、プリプレグになじみやすいタック性樹脂をまんべんなく塗布し、該シート40の片面に繊維角度が0゜のプリプレグ26を貼り付けた。
次に、プリプレグ26を貼り付けた振動減衰シート40の他面を、芯金に巻回した繊維角度が45゜のプリプレグ25の外層に、巻回して積層した。
前記第一実施形態と同一とした。即ち、振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mは、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを20mmとし、終端Nは、前記ヘッド側先端15からの距離Bを245mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを225mmとした。
また、ヘッド側部分補強層IIのうち、グリップ側端部が最もグリップ14側に近いプリプレグ層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’は、前記ヘッド側先端15からの距離Cを235mmとした。振動減衰層40’の終端Nは、このプリプレグ層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’よりもグリップ側に位置し、かつその距離Dを10mmとした。振動減衰シート40の積層重量は19gとした。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを10mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを235mmとし、振動減衰シート40の積層重量を20gとした。その他の構成は実施例1と同一とした。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを0mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを245mmとし、振動減衰シート40の積層重量を20gとした。その他の構成は実施例1と同一とした。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを0mmとした点では実施例3と同一である。一方、終端Nの、前記ヘッド側先端15からの距離Bを235mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを235mmとした点、およびヘッド側部分補強層IIのうち、グリップ側端部が最もグリップ14側に近いプリプレグ層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’と、振動減衰層40’の終端Nとの距離Dを0mmとした点で実施例3と相違させた。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを0mmとした点では実施例3と同一とした。一方、終端Nの、前記ヘッド側先端15からの距離Bを285mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを285mmとし、積層重量を24gとした点、および振動減衰層40’の終端Nの位置を、ヘッド側部分補強層IIのうち、グリップ側端部が最もグリップ14側に近いプリプレグ層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’よりもグリップ側へ50mmの位置とした点で実施例3と相違させた。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを0mmとした点では実施例3と同一とした。一方、終端Nの、前記ヘッド側先端15からの距離Bを335mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを335mmとし、積層重量を28gとした点、および振動減衰層40’の終端Nの位置を、ヘッド側部分補強層IIのうち、グリップ側端部が最もグリップ14側に近いプリプレグ層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’よりもグリップ側へ100mmの位置とした点で実施例3と相違させた。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを40mmとし、振動減衰シート40の積層重量を17gとした。その他の構成は実施例1と同一とした。
振動減衰シート40からなる振動減衰層40’の始端Mの、シャフトのヘッド側先端15からの距離Aを0mmとした点では実施例3と同一とした。一方、終端Nの、前記ヘッド側先端15からの距離Bを215mmとし、該振動減衰層40’の長手方向の長さを215mmとし、積層重量を18gとした点、および振動減衰層40’の終端Nの位置を、ヘッド側部分補強層IIのうち、グリップ側端部が最もグリップ14側に近いプリプレグ層31’、32’のグリップ側端部31a’、32a’よりもヘッド側へ20mmの位置とした点で実施例3と相違させた。
実施例および比較例の各シャフトを、金属製の中空ゴルフクラブヘッド(SRIスポーツ社製のXXIO #1W ロフト角9度 ヘッド体積432cc)に装着し、ミヤマエ社製のスイングマシーンにてヘッド速度を50m/sに設定し、3ピースゴルフボール(SRIスポーツ社製のXXIO)を用いて打撃を行った。合計4000発の打撃を行い、100球打撃するごとに、シャフト損傷の発生の有無を外観チェックした。中途で損傷が発見されたものについては、その発見したときの打球数を表1に記載した。4000発後においても損傷発生がなかったものについては表1に○を記載した。
15 ヘッド側先端
21〜32 繊維強化プリプレグ
21’〜32’ プリプレグ層
40 振動減衰シート
40’ 振動減衰層
I 全長層
II ヘッド側部分補強層
III グリップ側部分補強層
Claims (2)
- プリプレグからなる繊維強化層の積層体からなるゴルフクラブシャフトにおいて、
シャフト全長に形成される前記繊維強化樹脂層からなる全長層を少なくとも1層備えると共に、シャフトのヘッド側先端を始端とする前記繊維強化樹脂層からなるヘッド側部分補強層を少なくとも1層備え、かつ、
10℃における損失正接(tanδ)が1.0以上である材料からなる振動減衰シートを少なくとも1層積層し、該振動減衰シートの積層位置は、始端Mをシャフトのヘッド側先端からグリップ側へ20mmの範囲内に位置させ、終端Nを前記ヘッド側部分補強層のなかでグリップ側端部が最もグリップ側に位置する層のグリップ側端部の位置からシャフトのグリップ側後端までの範囲内に位置させていることを特徴とするゴルフクラブシャフト。 - 前記振動減衰シートは双極子変換材料からなるゴルフクラブシャフト。
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