JP2007302985A - 無電解めっき方法および無電解めっき前処理剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る無電解めっき方法は、樹脂基板上に無電解めっきを施す無電解めっき方法において、ポリビニルイミダゾールからなる無電解めっき前処理剤を有機溶媒に溶解した前処理液を樹脂基板表面に付着させる工程と、前記前処理液を付着させた樹脂基板に活性光線を照射する工程と、上記紫外線を照射した樹脂基板を洗浄して有機溶媒および未反応化合物を除去する工程と、上記洗浄工程の後、無電解めっきを行う工程とを具備することを特徴とする。
【選択図】図6
Description
樹脂基板上にめっきにより金属皮膜を形成するには、まず樹脂基板上に無電解めっき皮膜を形成し、次いでこの無電解めっき皮膜層を給電層として電解めっきを行い、所要厚さの金属皮膜を得るようにしている。
従来、無電解めっき層の樹脂基板への密着性を向上させるため、予めクロム酸と濃硫酸との混合液のような化学粗化液に樹脂基板を浸漬して表面を粗化した後、トリアジン化合物溶液等の前処理液に浸漬し、次いで無電解めっき処理を行うようにしたものがある(特開平1−246894号公報)。
また、平滑な面に密着性のよい金属膜を形成する方法としてグラフト結合による表面改質方法がある(特開昭58−196238号公報)。これは、樹脂基板に接触させたラジカル重合性化合物を活性光線の照射によりグラフト結合させて表面改質を行い、該基板上に無電解めっきすることを特徴とする。
また、特許文献2によるグラフト結合による表面改質では、ラジカル重合性モノマーを樹脂基板上で重合させるため、重合反応を制御しにくいという課題がある。
ポリイミダゾールの分子量は600〜1400が好適である。
前記前処理液を樹脂基板に付着させる前に、樹脂基板に酸素プラズマ処理を行うと好適である。
また、前記樹脂基板にポリイミド基板を用いることを特徴とする。
本発明においては、無電解めっき用前処理剤であるポリイミダゾールを、無電解めっきの前処理工程中で合成させるのではなく、あらかじめ合成しておく。合成方法の実施例は後記する。
なお、前処理液を付着させる前に、樹脂基板を酸素プラズマ処理すると一層好適である。この酸素プラズマ処理を行うことによって、樹脂基板表面が活性化され、ポリイミダゾールとの反応性を向上させることができる。
このように無電解めっき皮膜を形成した後、この無電解めっき皮膜を通電層として電解めっきを施すことによって、所要厚さのめっき皮膜を得ることができる。このめっき皮膜をエッチング加工して所要の配線パターンに形成することができる。
なお、銅の無電解めっきが好適であるが、その他の無電解めっきであっても、密着性に優れるめっき皮膜を得ることができる。
PVIDzはモノマーの1-ビニルイミダゾール(VIDz)のラジカル重合で合成した。モノマーが液体であったことからラジカル開始剤を直接加えて加熱する方法とアルコールを溶媒として用いて重合する方法で行なった。
10mlナス型フラスコへVIDz 847mgとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)97mgを加え室温で撹拌した。AIBNが溶解し均一溶液となったら、フラスコを85℃のオイルバス中へ入れ3min加熱し淡褐色の固形物を得た。エタノールとジエチルエーテルの混合溶液で固形物を洗浄したのち、減圧乾燥して淡褐色固体を得た。収量736mg、収率87%。
このようにして得られた固体がポリビニルイミダゾールであることは、紫外可視吸収スペクトル(UV)、赤外吸収スペクトル(IR)、質量スペクトル(MS)を分析し確認した。
すなわち、図1のUVスペクトルでイミダゾール環の吸収(210nm付近)が存在すること、図2のIRスペクトルで、イミダゾール環(1500cm−1付近)の吸収が存在しているがビニル基(1640cm−1付近)の吸収がなくなっていること、さらに図3と図4の質量スペクトル(MS)で質量数(m/z)740〜1234程度の高分子量成分が検出され、図3のスペクトルにおいて質量数740→ 834→928→1022とVIDzの分子量(94)の差でピークが現れていることから、VIDzが重合したPVIDzであることが確認された。また、この方法で得られたPVIDzは、イミダゾール環が8〜13個連なった分子量740〜1234程度のポリマーが主成分であると考えられる。
他にアルコールおよび水を反応溶媒として用いた以下の実施例2の方法においてもPVIDzが高収率で合成できることが分った。得られた固体が目的のポリビニルイミダゾールであることは、IRスペクトルを分析して確認した。
50ml三口フラスコへエタノール8mlとVIDz 1.8mlおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)91mg加え、混合溶液を5min窒素バブリングしたのちフラスコを窒素置換して、75〜85℃で50min加熱撹拌した。淡黄色の粘性物が得られたのでジエチルエーテルを5ml加え固化させたのち固体をろ取した。さらにもう一度、固体をジエチルエーテルで洗浄したのち、水を加えて不溶物をろ過した。ろ液を濃縮し得られた固体をジエチルエーテルで洗浄したのち、減圧乾燥して淡黄色固体を得た。収量1.63g、収率87%。
樹脂基板にはポリイミドフィルム(東レ・デュポン製、Kapton100H、25mm厚;以降PI)を用いた。表面修飾用処理液としてPVIDzの10%溶液を作製した。溶媒には混合溶媒(エタノール:ジクロロメタン=1:3(vol. ratio))およびエタノールを用いた。
PIは表面を活性化させるために酸素プラズマ処理(400W/40Pa/80sec)を行った。プラズマ処理後、石英ガラス板上にPIを固定し、表面修飾用処理液を滴下した。更に石英ガラス板でPIを挟み込み、処理液がPIを均一な厚さで覆うように調整した。その後、UV照射器(セン特殊光源製,PL-110)でUV照射した。光源-試料間距離:2cm、UV照射時間:1−5minとした。UV照射後、十分な水洗を行い、溶媒および未反応化合物を除去した。比較の為、PVIDzを添加せずに溶媒のみを塗布してUV照射した試料も作製した。これらの表面状態をESCA(X線光電子分光分析装置)で分析した。表1に定量分析結果、図5にC1sの、図6にN1sの、図7にO1sのESCAスペクトルをそれぞれ示す。
すなわち、未処理、プラズマ処理、溶媒処理PIからはポリイミド由来の結合(イミド基 C1s:288.6eV,N1s:400.6eV)が確認された。一方、PVIDz処理ではN1sスペクトルに新しいピークが確認された。これはイミダゾールのアミノ結合(−N<)およびイミノ結合(−N=)に由来すると考えられる。イミダゾールにはアミノ結合(−N<)およびイミノ結合(−N=)の2種類の結合が存在しており、これらは1:1(原子数比)で存在するため、N1sスペクトルに同面積で現れる。しかし、アミノ結合は400.4eV,イミノ結合は398.4eVにピークが現れるのでアミノ結合のピークはPIに由来するイミド基のピーク(400.6eV)と重なってしまう。そこで、イミド基およびアミノ結合のピークをひとつのピークとして考えて、ピーク分離を行った。その結果、イミノ結合は36.6%の割合で存在し、アミノ結合も等量の36.6%存在するはずなので、イミド基は残りの63.4−36.3=26.8%であると考えられる。
表面修飾後の試料はアルカリ性Pd触媒液、リデューサー、無電解銅めっき、電解銅めっき(狙い厚:18μm)を施し、180°ピール試験を行った。ピール強度を図8に示す。
プラズマ処理のみの場合は、平均で250gf/cmの強度であった。溶媒のみでUVを照射した場合は415gf/cmまで強度が向上した。ESCAによる分析の結果からは溶媒のみでUV照射しても新たな官能基の存在は確認できなかった。Clが検出されているが、これは溶媒の残渣であると考えられるので強度向上の原因は不明である。PVIDzを導入した場合は更に強度が向上し、590gf/cmの密着強度を示した。このことからPVIDzの導入が密着強度に対して有効であることが確認された。PVIDzは8〜13個のイミダゾール環を有している為、イミダゾールとCuが強い相互作用を有する為に高い密着性を示したと考えられる。
Claims (6)
- ポリイミダゾールからなる無電解めっき前処理剤。
- ポリイミダゾールの分子量が600〜1400であることを特徴とする請求項1記載の無電解めっき前処理液。
- 樹脂基板上に無電解めっきを施す無電解めっき方法において、
請求項1または2記載の無電解めっき前処理剤を有機溶媒に溶解した前処理液を樹脂基板表面に付着させる工程と、
前記前処理液を付着させた樹脂基板に活性光線を照射する工程と、
上記活性光線を照射した樹脂基板を洗浄して有機溶媒および未反応化合物を除去する工程と、
上記洗浄工程の後、無電解めっきを行う工程とを具備することを特徴とする無電解めっき方法。 - 前記活性光線に紫外線を用いることを特徴とする請求項3記載の無電解めっき方法。
- 前記前処理液を樹脂基板に付着させる前に、樹脂基板に酸素プラズマ処理を行うことを特徴とする請求項3または4記載の無電解めっき方法。
- 前記樹脂基板にポリイミド基板を用いることを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の無電解めっき方法。
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