JP2007302906A - 架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体 - Google Patents

架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機過酸化物による架橋時における樹脂、添加剤、充填剤の劣化を抑制して、かつ架橋により、物性改良効果を効率的に引出し、混練機への粘着を低減して生産性を向上させ、成形品表面のべたつきを抑えた架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体の提供。
【解決手段】 熱可塑性樹脂100質量部と1分半減期温度165℃以下の有機過酸化物0.001〜2質量部とを溶融混練して得られ、前記熱可塑性樹脂が、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下であり、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、金属水和物10〜300質量部をさらに含み、かつ前記金属水和物が、水酸化アルミニウムである架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体に関し、特に製造性に優れた難燃性架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体に関する。
近年、熱可塑性樹脂の架橋物が従来の架橋をしていない熱可塑性樹脂の耐油性、耐熱性を向上させたものとして使用されるようになってきている。また、その中でも加硫工程を必要とせずにゴム弾性を発現する軟質材料であって、熱可塑性樹脂と同様の各種成形加工に適用可能、及びリサイクル可能という特長を持つ熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
熱可塑性エラストマーの中でも、オレフィン系共重合体を代表するオレフィン系熱可塑性エラストマーや芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
また、上記スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラストマーとして、さらに広く多用されている。
しかしながら、これらの水素添加ブロック共重合体を用いた熱可塑性エラストマー組成物は、未だゴム的特性、例えば、耐油性、加熱加圧変形率(圧縮永久歪み、加熱変形率)や高温時のゴム弾性に問題があり、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
しかしながら、上記公報に開示されている水添ブロック共重合体の架橋組成物は、溶融混練時に過酸化物の分解温度の関係から165℃を超える温度にまで上げるため、過酸化物による樹脂、添加剤、及び充填剤の劣化も顕著に起こり、これが架橋の効果を打ち消して、耐油性、耐熱性の改良効果は不十分であり、成形品の表面にはべたつきがあり、組成物の製造性や押出成形性、射出成形性、ブロー成形性等の加工性に問題のあるものになっている。
また、上記オレフィン系熱可塑性エラストマーもスチレン系熱可塑性エラストマーと同様な問題があった。
さらに、従来、難燃性の要求される電線及びケーブルの被覆材料、壁紙等の建築用材料等の用途に用いる熱可塑性樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)組成物やハロゲン類の難燃剤を配合した樹脂組成物が主として用いられてきたが、近年、環境問題の議論の高まりからハロゲンを含まない難燃性樹脂組成物が注目されてきている。
これらのハロゲンを含まない樹脂組成物に難燃性を付与するためには、樹脂組成物を有機過酸化物の存在下に動的架橋する方法、特に、難燃剤を含む樹脂組成物を有機過酸化物の存在下に動的架橋する方法等が開発されてきている。例えば、ポリプロピレン/水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献6参照。)、ポリエチレン/水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献7参照。)、ポリエチレン/ポリプロピレン/エチレン・酢酸ビニル共重合体又は水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献8参照。)、水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体/軟化剤/難燃剤/パーオキサイド架橋型ポリオレフィン/パーオキサイド分解型ポリオレフィン組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献9参照。)等が示されている。
しかしながら、動的架橋は、有機過酸化物により発生させたラジカルによる急速な反応と、動的架橋を行う混練機内におけるせん断発熱のため設定温度以上に樹脂温度が高くなり易く、樹脂温度が高温になることにより、樹脂、添加剤、充填剤の劣化が生じ易いという問題がある。また、有機過酸化物により架橋する樹脂の多い場合は、混練時に混練ロールへの巻付き不良が生じ、さらに有機過酸化物により分解する樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリレート共重合体、酸変性ポリオレフィン、アイオノマー等の接着性樹脂の多い場合には、架橋樹脂の混練機からの排出性(金属剥離性)不良による生産性の低下が問題となっていた。
また、ハロゲンを含まない難燃剤として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物を添加することが行われているが、水酸化アルミニウムは水酸化マグネシムと比較して安価だが、熱分解温度が低い(200℃程度から結晶水の脱離が始まる)という欠点があった。
特開昭59−6236号公報 特開昭63−57662号公報 特公平3−49927号公報 特公平3−11291号公報 特公平6−13628号公報 特開昭58−98347号公報 特開昭59−105040号公報 特開昭63−172753号公報 特開平11−256004号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、有機過酸化物による架橋時における樹脂、添加剤、充填剤の劣化を抑制して、かつ架橋により、
(i)物性改良効果を効率的に引出すことができる、
(ii)混練機への粘着を低減して生産性を向上させることができる、
(iii)成形品表面のべたつきを抑えることができる
等の利点を有する架橋熱可塑性樹脂組成物、特に難燃性が良好な架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の有機過酸化物を使用することにより、低温で部分架橋樹脂組成物を得ることができ、樹脂組成物の製造時の樹脂、添加剤、充填剤の劣化や混練機への粘着低減による生産性の向上、とりわけ安価な水酸化アルミニウムを使用した動的架橋難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂100質量部と1分半減期温度165℃以下の有機過酸化物0.001〜2質量部とを溶融混練して得られる架橋熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂が、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下、又はJIS K 7206に従い測定したビカット軟化点が150℃以下の何れかの条件を満たす熱可塑性樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、金属水和物10〜300質量部をさらに含み、かつ
前記金属水和物が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする架橋熱可塑性樹脂組成物である。
請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体、及び(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ランダム共重合体、(水添)共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の架橋熱可塑性樹脂組成物である。
請求項3に記載の発明は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、金属水和物10〜300質量部および1分半減期温度165℃以下の有機過酸化物0.001〜2質量部を配合し、165℃以下で溶融混練する架橋熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂が、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下、又はJIS K 7206に従い測定したビカット軟化点が150℃以下の何れかの条件を満たす熱可塑性樹脂であり、かつ
前記金属水和物が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする架橋熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋熱可塑性樹脂組成物からなる成形体である。
本発明の架橋熱可塑性樹脂組成物は、難燃性が良好で、かつ製造性が良好な熱可塑性樹脂組成物で、押出成形性、射出成形性、ブロー成形性の加工性に優れ、主として、電線、電源コード、センサーケーブル、音響コード等の被覆材用途および柔軟で難燃性を必要とする部材に用いることができる。
本発明を構成する架橋熱可塑性樹脂組成物、製造方法、用途について以下に詳細に説明する。
1.架橋熱可塑性樹脂組成物の構成成分
(1)熱可塑性樹脂
本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂であっても非結晶性樹脂であっても良いが、165℃以下で充分に溶融混練の可能な熱可塑性樹脂を選択することが好ましい。そのような結晶性樹脂としては、例えば、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下の樹脂が好ましく、より好ましくはピークトップ融点が140℃以下の樹脂である。非結晶性樹脂としては、例えば、JIS K 7206に従い測定したビカット軟化点が150℃以下の樹脂が好ましく、より好ましくはビカット軟化点が140℃以下の樹脂である。結晶性樹脂において、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃を超えると165℃以下での低い温度で溶融混練することが困難になり、非結晶性樹脂において、軟化点が150℃を超えると165℃以下での低い温度で溶融混練することが困難になる。
ここで、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点は、示差走査熱量計(DSC)を用い、測定試料を、230℃で5分間保持した後、10℃/分の降温速度で0℃まで降温し、更に0℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温させたときに描かれる融解曲線における最も高い温度側のピークトップ位置から求める値である。
上記のような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリブタジエン(1,2−シンジオタクチックポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、等)、(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体、及び(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ランダム共重合体、(水添)共役ジエン系共重合体等が挙げられ、単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体においては、いずれもそのMFR(190℃、2.16kg)は、50g/10分以下が好ましく、より好ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは0.1〜10g/10分である。MFRが高過ぎると機械特性が低下し、低過ぎると成形性が悪化する。
ここで、上記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体における(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸のエステルが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が例示される。
なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、含有されるCOOR型官能基が、(1)熱分解時に脱炭酸反応を起こし、そのままCO2になる。つまり燃焼エネルギーを発散することなく不燃性ガスを発生させる、(2)親水性なので無機難燃剤の金属水和物との界面強度が高く、多量の無機難燃剤を添加しても物性低下の程度が小さい、(3)エチレンと共重合するコモノマーがバルキーであるので無機難燃剤の受容性が高く、多量の無機難燃剤を添加しても物性低下の程度が小さい、という点で非ハロゲン系難燃性樹脂組成物の基材として有利な樹脂である。また、本発明においては、低温での溶融混練により架橋樹脂組成物を製造することに特徴があり、これらの樹脂を用いることによる組成物製造時の接着能の発現による製造性の低下という欠点を抑えることができる。
上記プロピレン系樹脂としては、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体が挙げられるが、プロピレンと少量のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン等とのランダム共重合体であって、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下であるものが好ましく、140℃以下のものがより好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられるが、シングルサイト触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン系樹脂のMFR(190℃、2.16kg)は、50g/10分以下が好ましく、より好ましくは0.05〜30g/10分、さらに好ましくは0.1〜10g/10分である。MFRが高過ぎると機械特性が低下し、低過ぎると成形性が悪化する。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
上記ポリブタジエンとしては、室温固体のポリブタジエンが挙げられ、好ましくはシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンが挙げられる。
上記(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はその水添物である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体又はその水添物を挙げることができる。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは芳香族ビニル化合物のみから成るか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と、任意成分、例えば共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは共役ジエン化合物のみから成るか、または任意成分、例えば共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
なお、上記ブロック共重合体は、例えば、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体(SEBC)等を挙げることができる。
上記(水添)ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物をその構成成分の主体とした重合体ブロックAと共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした重合体ブロックBとからなるブロック共重合体に水素添加して得られる水添ブロック共重合体であって、水素添加により生じるエチレン単位構造数と直鎖α−オレフィン単位構造数とのモル比が2以下であるものであってもよい。またこの場合、芳香族ビニル化合物の含有量は、50重量%以下、好ましくは、5〜35重量%である。50重量%を超えると得られる成形品の感触が硬くなり、本発明の目的に添わない。
上記(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体としては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合体であって、数平均分子量が好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜350,000であり、多分散度(Mw/Mn)の値が10以下であり、且つ、その共役ジエン部の1,2結合あるいは3,4結合などのビニル結合含有量が5%以上であり、好ましくは20〜90%である。5%未満では得られる成形品の感触が硬くなり、本発明の目的に添わない。
ここで、芳香族ビニル化合物の含有量は、50重量%以下、好ましくは、5〜35重量%である。50重量%を超えると得られる成形品の感触が硬くなり、本発明の目的に添わない。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。
また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物は、ランダムに結合しており、コルソフ[I.M.Kolthoff,J.Polymer Sci.,Vol. 1p.429 (1946)]の方法によりブロック状の芳香族ビニル化合物含量が全結合芳香族ビニル化合物中10重量%以下、好ましくは5重量%以下であるのが好ましい。また、該共重合体は、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
具体例としては、上記(水添)スチレン・ブタジエンランダム共重合体は、水添SBR(ジェイエスアール社 ダイナロン1820P)等を挙げることができる。
上記(水添)共役ジエン系共重合体としては、共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物が挙げられ、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明においては、共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物の具体例としては、ダイナロン6100P(商標;ジェイエスアール株式会社製)等が挙げられる。
(2)有機過酸化物
本発明で用いる有機過酸化物は、1分半減期温度が165℃以下の有機過酸化物である。低温でラジカルを発生せしめ、そのラジカルを連鎖的に反応させて、熱可塑性樹脂を動的架橋せしめ、難燃性、耐油性、耐熱性を向上させる機能を果たす。
1分半減期温度が低い有機過酸化物ほど、低い混練温度で動的架橋を行うことができるが、低すぎると消防法に定められた危険物としての取り扱いがより難しくなること、及び低い温度では、樹脂の粘度が高すぎるため、せん断発熱が大きくなることから、1分半減期温度が160℃以下の有機過酸化物が好ましく、140〜155℃の有機過酸化物が特に好ましい。
1分半減期温度が165℃以下の有機過酸化物の具体例としては、例えば、1,1−Bis(t−hexylperoxy)−3,3,5−trimethylcyclohexane(1分半減期温度147.1℃)、1,1−Bis(t−butylperoxy)−3,3,5−trimethylcyclohexane(1分半減期温度149.0℃)、Benzoyl peroxide+Benzoyl m−methylbenzoyl peroxide+m−Toluoyl peroxide(1分半減期温度131.1℃)、t−Hexyl peroxybenzoate(1分半減期温度160.3℃)、1,1−Bis(t−butyl peroxy)2−methylcyclohexane(1分半減期温度142.1℃)、1,1−Bis(t−hexylperoxy)cyclohexane(1分半減期温度149.2℃)、1,1−Bis(t−butyl peroxy)cyclohexane(1分半減期温度153.8℃)、2,2−Bis(4,4−di−butyl peroxy cyclohexyl)propane(1分半減期温度153.8℃)、1,1−Bis(t−butyl peroxy)cyclododecane(1分半減期温度152.9℃)、t−Hexyl peroxy isopropyl monocarbonate(1分半減期温度155.0℃)、Succinic peroxide(1分半減期温度131.8℃)、1−Cyclohexyl−1−methylethyl peroxy 2−ethylhexanoate(1分半減期温度137.7℃)、t−Hexyl peroxy 2−ethylhexanoate(1分半減期温度132.6℃)、t−Butyl peroxy 2−ethylhexanoate(1分半減期温度134.0℃)、m−Toluoyl and benzoyl peroxide(1分半減期温度131.1℃)、t−Butyl peroxy isobutyrate(1分半減期温度136.1℃)、t−Butyl peroxy laurate(1分半減期温度159.4℃)、2,5−Dimethyl−2,5−di(m−toluoyl peroxy)hexane(1分半減期温度156.0℃)、t−Butyl peroxy isopropyl monocarbonate(1分半減期温度158.8℃)、t−Butyl peroxy 2−ethylhexyl monocarbonate(1分半減期温度161.4℃)、2,5−Di−methyl−2,5−di(benzoyl peroxy)hexane(1分半減期温度158.2℃)、t−Butyl peroxy acetate(1分半減期温度159.9℃)、2,2−Bis(t−butyl peroxy)butane(1分半減期温度159.9℃)が挙げられるが、これらのうちで1分半減期温度140〜155℃のものが特に好ましい。
上記化合物を使用した製品名としては、例えば、日本油脂株式会社からパーヘキサTMH(1分半減期温度147.1℃)、パーヘキサ3M(1分半減期温度149.0℃)、ナイパーBMT(1分半減期温度131.1℃)、パーヘキシルZ(1分半減期温度160.3℃)、パーヘキサMC(1分半減期温度142.1℃)、パーヘキサHC(1分半減期温度149.2℃)、パーヘキサC(1分半減期温度153.8℃)、パーテトラA(1分半減期温度153.8℃)、パーヘキサCD(1分半減期温度152.9℃)、パーヘキシルI(1分半減期温度155.0℃)、パーヘキシルI(C)(1分半減期温度155.0℃)、パーロイルSA(1分半減期温度131.8℃)、パーシクロ0(1分半減期温度137.7℃)、パーヘキシル0(1分半減期温度132.6℃)、パーブチル0(1分半減期温度134.0℃)、ナイパーBMT(1分半減期温度131.1℃)、パーブチルIB(1分半減期温度136.1℃)、パーブチルL(1分半減期温度159.4℃)、パーヘキサ25MT(1分半減期温度156.0℃)、パーブチルI(1分半減期温度158.8℃)、パーブチルE(1分半減期温度161.4℃)、パーヘキサ25Z(1分半減期温度158.2℃)、パーブチルA(1分半減期温度159.9℃)、パーヘキサ22(1分半減期温度159.9℃)等が挙げられる。また、化薬アクゾ株式会社等にも同等な製品がある。
有機過酸化物の配合量は、熱可塑性樹脂と必要に応じて配合する後述の非芳香族系ゴム用軟化材との合計100質量部に対して、0.001〜2質量部であり、好ましくは0.005〜1質量部である。配合量が0.001質量部未満では、架橋を十分達成できず、2質量部を超えると架橋が進み過ぎて熱可塑性を失う。
(3)金属水和物
本発明の組成物には、必要に応じて、金属水和物の難燃剤を用いることができる。金属水和物は、難燃性樹脂組成物の無機系難燃剤として配合されるものであって、特に限定はしないが、例えば、ハイドロマグネサイト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基あるいは結晶水を有する化合物を単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらは、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。また、これらの中でも、水酸化アルミニウムが価格と、難燃効果のバランス点から最も好ましい。
さらに、上記難燃剤は各種カップリング剤(シラン、チタン等)および各種表面処理剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩等)で処理されたものを用いても良い。
金属水和物の配合量は、熱可塑性樹脂と必要に応じて配合する後述の非芳香族系ゴム用軟化材との合計100質量部に対して、10〜300質量部であり、好ましくは50〜275質量部である。配合量が10質量部未満では、難燃性が発現せず、300質量部を超えると、機械特性が低下し、成形性が悪化する。
(4)架橋助剤
本発明の組成物には、必要に応じて、架橋助剤を用いることができる。架橋助剤は、動的架橋に際し配合することができ、これにより均一かつ効率的な架橋反応を行うことができる。
架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し単位数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート又はビニルステアレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いても良い。上記の架橋助剤のうち、多官能性アクリレート化合物または多官能性メタクリレート化合物が好ましく、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。これらの化合物は、取り扱いが容易であると共に、有機パーオキサイド可溶化作用を有し、有機パーオキサイドの分散助剤として働くため、架橋を均一かつ効果的にすることができる。
架橋助剤の配合量は、熱可塑性樹脂と必要に応じて配合する後述の非芳香族系ゴム用軟化材の合計100質量部に対して、0.001〜6質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜4質量部である。前記下限値未満では、架橋反応が充分でない。一方、前記上限値を超えると架橋が進みすぎて、架橋物の分散が悪くなる。また、架橋助剤の配合量は、有機過酸化物の配合量の1.5〜4倍の割合が好ましい。
(5)非芳香族系ゴム用軟化剤
本発明の組成物には、必要に応じて、柔軟性を向上させる場合に、非芳香族系ゴム用軟化剤を配合することができる。非芳香族系ゴム用軟化剤としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を挙げることができる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明で非芳香族系ゴム用軟化剤として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は、区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により熱可塑性樹脂が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。本発明の非芳香族系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜50,000cSt、好ましくは20〜1,000cSt、100℃における動的粘度が5〜1,500cSt、好ましくは5〜100cSt、流動点が−10〜−25℃、引火点(COC)が170〜350℃を示すのが好ましい。さらに、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
非芳香族系ゴム用軟化剤の配合量は、成形品表面へのブリードアウトが起こらない範囲に制限するのが好ましく、熱可塑性樹脂成分との混和性(保持能)を勘案して決めるのが特に好ましい。
熱可塑性樹脂として、SEEPS、SEPS、SEBSなどの水添芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体を用いる場合、これらの樹脂は、非芳香族系ゴム用軟化剤の保持能が非常に高いので、配合量の目安としては、下記式を満足するように配合することが推奨される。
2×(X2)>(X1)、
より好ましくは
3×(X2)>2×(X1)
(但し、(X1)は軟化剤の配合量、(X2)は熱可塑性樹脂の配合量である。)
熱可塑性樹脂として、エチレン・α−オレフィン共重合体、(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ランダム共重合体を用いる場合、これらの樹脂は、溶融混練時に非芳香族系ゴム用軟化剤に対して可溶化してくるので、配合量の目安としては、下記式を満足するように配合することが推奨される。
(X3)≧(X1)
より好ましくは
2×(X3)>(X1)
(但し、(X1)は軟化剤の配合量、(X3)は熱可塑性樹脂の配合量である。)
熱可塑性樹脂として、上記以外の熱可塑性樹脂を用いる場合、これらの樹脂は、非芳香族系ゴム用軟化剤の保持能が低いので、配合量の目安としては、下記式を満足するように配合することが推奨され、より好ましくは添加剤程度(スリップ性などの目的)の配合量に抑えることが推奨される。
2×(X4)≧(X1)
(但し、(X1)は軟化剤の配合量、(X4)は熱可塑性樹脂の配合量である。)
(6)その他の成分
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、さらに必要に応じて、リン系、フェノール系、硫黄系など各種の酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など各種の耐候剤、銅害防止剤、変性シリコンオイル、シリコンオイル、ワックス、酸アミド、脂肪酸、脂肪酸金属塩など各種の滑剤、芳香族リン酸金属塩系、ゲルオール系など各種の造核剤、グリセリン脂肪酸エステル系、芳香族系パラフィンオイル、フタル酸系、エステル系など各種の可塑剤、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルクなど各種のフィラー、各種の着色剤などの添加剤等を使用することができる。なお成形品表面にブリードアウトするなどのトラブルを防止するため、本発明の架橋熱可塑性樹脂組成物との相容性の高いものが好ましい。
2.架橋熱可塑性樹脂組成物の製造
本発明の架橋熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂に上記有機過酸化物を加え、又は必要に応じて、さらに上記任意成分を加えて室温でドライブレンドし、混練機で加熱溶融混練して動的架橋を行うことにより得られる。
溶融混練の温度は、架橋反応を完全に終了させる(過酸化物を完全に分解させる)ため、少なくとも過酸化物の1分半減期温度以上、好ましくは1分半減期温度+5℃以上が好ましく、かつ165℃以下の樹脂温度において終了させるのが好ましい。溶融混練の温度が、165℃を超えると、樹脂、添加剤、充填剤の劣化が生じ易く、また、有機過酸化物により架橋する樹脂の多い場合は、混練時に混練ロールへの巻付き不良が生じ、さらに有機過酸化物により分解する樹脂、及び/又は接着性樹脂の多い場合には、架橋樹脂の混練機からの排出性(金属剥離性)不良による生産性の低下が起きやすい。
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。
金属水和物を多量に配合することを考慮するとバンバリーミキサー、加圧ニーダーなどの各種のニーダーが好ましい。
3.架橋熱可塑性樹脂組成物の用途
本発明の架橋熱可塑性樹脂組成物は、有機過酸化物による架橋時における樹脂、添加剤、充填剤の劣化を抑制した組成物であるので、架橋による物性改良効果を効率的に引出すことができ、混練機への粘着を低減して生産性を向上させることができ、成形品表面のべたつきを抑えることができる。また、この効果のみでなく、押出成形性、射出成形性、ブロー成形性等の加工性にも優れる。
また、任意成分である難燃剤を配合した場合、上記利点に加え難燃性が良好であるので、柔軟性と耐油性が要求される電線、電源コード、センサーケーブル、音響コード等の被覆材用途、壁紙等の建築用材料用途等に用いることができる。特に、電線被覆材、特に600Vケーブルシース材のポリ塩化ビニル材料規格値対応する材料及び600Vケーブルシース材のポリエチレン材料規格値対応する材料として用いることができる。
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性の測定法及び試料を以下に示す。
1.物性測定方法及び製造性評価方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
(3)MFR:ASTM−D1238に準拠して測定した。
(4)引張最大応力、引張最大伸び、100%伸び時の応力:JIS K 6723に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。引張速度は200mm/分とした(室温)。
(5)加熱処理後の引張最大応力残率、引張最大伸び残率:JIS K 6723に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。100℃×48時間、又は90℃×96時間の加熱処理を行った後に引張速度200mm/分で引張試験を行った。
(6)油浸漬後の引張最大応力残率、引張最大伸び残率:JIS K 6723に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。IRM#902号油、又はJIS1種2号絶縁油に、70℃×4時間の浸漬処理を行った後、引張速度200mm/分で引張試験を行った。
(7)加熱変形:JIS K 6723に準拠し、測定を行なった。
(8)製造性:溶融混練時の組成物の製造性を、次のようにして評価した。ここで、混練温度は、排出時樹脂温度である。
(i)排出性:加圧ニーダーからの排出工程における状況を次の基準で評価した。
良好:トラブルなし
不良:混練羽根、混練槽壁面に混練物が粘着して排出しない
(ii)排出時混練物性状:上記排出時の樹脂組成物を目視にて次の基準で評価した。
良好:ねっとり感があり、なおかつ混練羽根、混練槽への付着なし
粘調:混練羽根、混練槽への付着あり
ぼそぼそ:ねっとり感がなく、ぼそぼその状態
(9)ロール作業性:ロールへの混練物の付着状態を目視にて次の基準で判断した。
良好:混練物がロール表面に粘着しない(適度な粘性を有する状態)
剥離不良:混練物が粘性過多でロール表面に粘着し、作業不能
巻付き不良:混練物が粘性不足でロールに巻付かず、作業不能
(10)ホットカット性:加圧ニーダーによる溶融混練で得られた樹脂組成物をナカタニ社製の2軸押出機を用い、ホットカット方式の造粒を行い、そのペレット化の状態を次の基準で評価した。
良好:通常通りペレット化できる
製造不能:ペレットとペレットが再融着して塊化する
2.実施例及び比較例において用いた試料
(1)プロピレン・エチレン・1−ブテン三元ランダム共重合体(RPP):F−794NV(出光石油化学社製)、MFR5g/10分、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点130℃
(2)シングルサイト触媒使用直鎖状低密度ポリエチレン(MeLLDPE−1):SP2040(三井住友ポリオレフィン社製)、密度920Kg/m3、MFR4g/10分、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点117℃
(3)シングルサイト触媒使用直鎖状低密度ポリエチレン(MeLLDPE−2):SP2520(三井住友ポリオレフィン社製)、密度928Kg/m3、MFR1.7g/10分、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点121℃
(4)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA−1):V−220(宇部興産社製)MFR2.0g/10分、VA含量20質量%、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点86℃
(5)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA−2):V5274(三井デュポン社製)MFR0.8g/10分、VA含量17質量%、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点88℃
(6)1,2−シンジオタクチックポリブタジエン(1,2−sPB):RB810(JSR社製)、1,2結合量90%、MFR3.0g/10分(150℃、2160g)、融点75℃、JIS K 7206に従い測定したビカット軟化点39℃、硬さ(ショアD32、JIS A79)
(7)水添ブロック共重合体成分(SEEPS):セプトン4077(クラレ株式会社製)、スチレン含有量:30重量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(8)パラフィンオイル(Oil):ダイアナプロセスオイル PW−90(出光興産株式会社製)、動的粘度(40℃、95.54cSt)(100℃、11.25cSt)、COC 270℃
(9)有機過酸化物−1(Peroxid−1):パーヘキサTMH(1,1−Bis(t−hexylperoxy)−3,3,5−trimethylcyclohexane、日本油脂株式会社製)、1分半減期温度147℃
(10)有機過酸化物−2(Peroxid−2):パーヘキサC(1,1−Bis(t−butyl peroxy)cyclohexane)、日本油脂株式会社製)、1分半減期温度153℃
(11)有機過酸化物−3(Peroxid−3):パーヘキサ25B(2,5−ジメチル2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日本油脂株式会社製)、1分半減期温度179℃
(12)水酸化アルミニウム(Al(OH)3):ハイジランドH−42M(昭和電工社製)
(13)水酸化マグネシウム(Mg(OH)2):マグシーズS−3(神島化学社製)シランカップリング処理
実施例1、比較例1〜2
表1に示す量の各成分を用い、室温ですべての成分をドライブレンドし、モリヤマ社製の20L加圧ニーダーを用いて、溶融混練して動的架橋を行い、排出し、架橋熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、溶融混練温度は、パーヘキサTMHの1分半減期温度147+5℃以上、165℃以下の排出時樹脂温度を目標とし、実測値を排出時樹脂温度測定値として表1に示した。
次に、ナカタニ社製の2軸押出機を用い、排出時樹脂温度相当のダイス温度で、ホットカット方式の造粒を行い、得られたペレットをロールによりシート化し、さらに、それを熱プレスして試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1に示す。
Figure 2007302906
実施例2、比較例3〜4
表2に示す量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、夫々の試験に供した。評価結果を表2に示す。
Figure 2007302906
実施例3、比較例5〜6
表3に示す量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、夫々の試験に供した。評価結果を表3に示す。
Figure 2007302906
実施例4、比較例7〜8
表4に示す量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、夫々の試験に供した。評価結果を表4に示す。
Figure 2007302906
表1〜4より明らかなように、実施例1、2、3及び4は、本発明の架橋熱可塑性樹脂組成物で、優れた生産性を示す。
一方、比較例1は、1分半減期温度が165℃を超える有機過酸化物を使用した場合であり、得られた架橋熱可塑性樹脂組成物は、PVC材料規格に必要な引張最大応力≧10MPaを満足せず、またJIS1種2号絶縁油に対する耐性も低い。
比較例2は、有機過酸化物を配合しない場合であり、得られた架橋熱可塑性樹脂組成物は、やはりPVC材料規格に必要な引張最大応力≧10MPaを満足せず、またJIS1種2号絶縁油に対する耐性も低い。
比較例3は、1分半減期温度が165℃を超える有機過酸化物を使用した場合場合であり、混練、ロール、造粒何れの工程にも非常に大きな問題を抱え、実質的に製造不能である。
比較例4は、有機過酸化物を配合しない場合であり、やはり混練、ロール、造粒何れの工程にも非常に大きな問題を抱え、実質的に製造不能である。
比較例5は、1分半減期温度が165℃を超える有機過酸化物を使用した場合であり、混練、ロール、造粒何れの工程にも非常に大きな問題を抱え、実質的に製造不能である。
比較例6は、有機過酸化物を配合しない場合であり、やはり混練、ロール、造粒何れの工程にも非常に大きな問題を抱え、実質的に製造不能である。
比較例7は、1分半減期温度が165℃を超える有機過酸化物を使用した場合であり、混練、ロール、造粒何れの工程にも非常に大きな問題を抱え、実質的に製造不能である。
比較例8は、有機過酸化物を配合しない場合であり、やはり混練、ロール、造粒何れの工程にも非常に大きな問題を抱え、実質的に製造不能である。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂100質量部と1分半減期温度165℃以下の有機過酸化物0.001〜2質量部とを溶融混練して得られる架橋熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂が、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下、又はJIS K 7206に従い測定したビカット軟化点が150℃以下の何れかの条件を満たす熱可塑性樹脂であり、
    前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、金属水和物10〜300質量部をさらに含み、かつ
    前記金属水和物が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする架橋熱可塑性樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体、及び(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ランダム共重合体、(水添)共役ジエン系共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の架橋熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂100質量部に対し、金属水和物10〜300質量部および1分半減期温度165℃以下の有機過酸化物0.001〜2質量部を配合し、165℃以下で溶融混練する架橋熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂が、DSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点が150℃以下、又はJIS K 7206に従い測定したビカット軟化点が150℃以下の何れかの条件を満たす熱可塑性樹脂であり、かつ
    前記金属水和物が、水酸化アルミニウムであることを特徴とする架橋熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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