JP3987448B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体に関し、特に電線被覆用難燃性熱可塑性樹脂組成物及び該難燃性熱可塑性樹脂組成物を用いた電線被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性樹脂の架橋物が従来の架橋をしていない熱可塑性樹脂の耐油性、耐熱性を向上させたものとして使用されるようになってきている。また、その中でも加硫工程を必要とせずにゴム弾性を発現する軟質材料であって、熱可塑性樹脂と同様の各種成形加工に適用可能、及びリサイクル可能という特長を持つ熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
【0003】
熱可塑性エラストマーの中でも、オレフィン系共重合体を代表するオレフィン系熱可塑性エラストマーや芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
【0004】
また、上記スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラストマーとして、さらに広く多用されている。
【0005】
しかしながら、これらの水素添加ブロック共重合体を用いた熱可塑性エラストマー組成物は、未だゴム的特性、例えば、耐油性、加熱加圧変形率(圧縮永久歪み、加熱変形率)や高温時のゴム弾性に問題があり、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【0006】
また、従来、難燃性の要求される電線及びケーブルの被覆材料、壁紙等の建築用材料等の用途に用いる難燃性熱可塑性樹脂組成物としては、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)組成物やハロゲン類の難燃剤を配合した樹脂組成物が主として用いられてきたが、近年、PVC組成物、及び、ハロゲン系難燃剤を配合した樹脂組成物に対する環境問題の議論が高まってきており、ハロゲン系の樹脂や難燃剤を含まない電線被覆用難燃性樹脂組成物が注目されてきている。
【0007】
ハロゲン系の樹脂や難燃剤を含まない樹脂組成物に難燃性を付与するためには、樹脂組成物を有機過酸化物の存在下に動的架橋する方法、特に、無機系難燃剤等を含む樹脂組成物を有機過酸化物の存在下に動的架橋する方法等が開発されてきている。例えば、ポリプロピレン/水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献6参照。)、ポリエチレン/水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献7参照。)、ポリエチレン/ポリプロピレン/エチレン・酢酸ビニル共重合体又は水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献8参照。)、水添スチレン・共役ジエンブロック共重合体/軟化剤/難燃剤/パーオキサイド架橋型ポリオレフィン/パーオキサイド分解型ポリオレフィン組成物を有機過酸化物で架橋する方法(例えば、特許文献9参照。)等が示されている。
【0008】
一方、電線被覆用材料には安全性の面から厳しい難燃性規格、例えば、UL1581(電線、ケーブルおよびフレキシブルコードのための関連規格(Reference Standard for Electrical Wires、Cables, and Flexible Cords))などに規定されている垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)、VW−1規格や水平難燃規格、JIS C3005に規定される60度傾斜難燃特性等が定められている。近年は、これらの難燃性規格の中でもより厳しいものに対応することが要求されるようになってきている。また、電線被覆用材料には安全性の面から厳しい諸物性の規格が定められている。これらの諸要求特性を満たすためには、難燃剤である金属水和物の配合割合を非常に多くし、熱可塑性樹脂としては、高強度、高硬度のものを使用する必要があり、必然的に非常に硬い材料になってきており、上記のような材料では、柔軟性と耐油性等で満足するものとはなっていないのが現状である。特に、ロボット、作業用機械、工作機械に使用されるケーブルの被覆材料においては、切削油、機械油、絶縁油などの高膨潤油に対する耐性が必要であり、かつロボットの“腕”の動きの円滑さ、可動範囲の大きさを損なわないための柔軟性が必要なため、柔軟性と高膨潤油に対する耐性を満足する材料が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】
特開昭59−6236号公報
【特許文献2】
特開昭63−57662号公報
【特許文献3】
特公平3−49927号公報
【特許文献4】
特公平3−11291号公報
【特許文献5】
特公平6−13628号公報
【特許文献6】
特開昭58−98347号公報
【特許文献7】
特開昭59−105040号公報
【特許文献8】
特開昭63−172753号公報
【特許文献9】
特開平11−256004号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、難燃性が良好で、さらに柔軟性と耐油性(特に、高膨潤油に対する耐性)とを高い次元で両立させた電線被覆に用いる難燃性熱可塑性樹脂組成物及び該難燃性熱可塑性樹脂組成物を用いた電線被覆材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、結晶性プロピレン系重合体、結晶性エチレン系重合体、過酸化物易架橋型エラストマー、スチレン系水添ブロック共重合体、軟化剤、酸変性ポリオレフィン、難燃剤を特定量含む組成物を有機過酸化物の存在下に加熱架橋処理することにより、柔軟性と耐油性とを高い次元で両立した難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
請求項1に記載の発明は、
(A)結晶性プロピレン系重合体1〜20質量部、
(B)結晶性エチレン系重合体5〜30質量部、
(C)過酸化物易架橋型エラストマー1〜18質量部、
(D)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体(d−1)と非芳香族系ゴム用軟化剤(d−2)とからなるエラストマー組成物17〜93質量部、
(E)酸変性ポリオレフィン0〜15質量部、
(F)金属水和物50〜300質量部、及び
(G)有機過酸化物0.001〜2質量部
を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物である
(ただし、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部であり、(F)及び(G)は、それぞれ(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対する値であり、前記(d−1)と(d−2)との組成割合は、2×(d−1)>(d−2)である
請求項2に記載の発明は、(H)架橋助剤0.001〜4質量部(ただし、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して)をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物である。
請求項3に記載の発明は、(F)金属水和物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物である。
請求項4に記載の発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の硬度が、下記式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物である。
難燃性熱可塑性樹脂組成物のShoreA硬度≦0.1X+75
(ただし、Xは(前記(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対する水酸化マグネシウムの配合量を示す。)
請求項5に記載の発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の硬度が、下記式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物である。
難燃性熱可塑性樹脂組成物のShoreA硬度≦0.1X+72
(ただし、Xは(前記(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対する水酸化マグネシウムの配合量を示す。)
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる成形体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を構成する難燃性熱可塑性樹脂組成物、製造方法、用途について以下に詳細に説明する。
1.難燃性熱可塑性樹脂組成物成分
(A)結晶性プロピレン系重合体
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物において用いる結晶性プロピレン系重合体(A)成分は、熱可塑性の保持に必須の成分であり、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられ、耐油性の観点から結晶性のものが好ましい。特に、プロピレンと少量のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン等との結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体は、そのプロピレンとα−オレフィンとの共重合エラストマー成分が耐油性の低下要因となり易いため奨められない
【0017】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における結晶性プロピレン系重合体(A)成分の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部として、1〜20質量部であり、好ましくは2〜10質量部である。配合量が20質量部を超えると組成物が硬いものになる。一方、1質量部未満であると熱可塑性が不足する。
【0018】
(B)結晶性エチレン系重合体
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物において用いる結晶性エチレン系重合体(B)成分は、引張強度保持に必須の成分である。結晶性エチレン系重合体としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレンと親水性官能基含有モノマーとの共重合体等が挙げられるが、耐油性試験温度の70℃において充分な結晶性を有していることが好ましい。
具体的には、DSC融解曲線の70℃以上における融解熱量(以下、70℃結晶化度指数という。)が80J/g以上のものが好ましく、100〜150J/gなら更に好ましい。70℃結晶化度指数が80J/gよりも小さいと耐油性が不充分になり易く、150J/gよりも大きいと組成物が硬いものになりやすい。
ここで、70℃結晶化度指数とは、示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク面積から求める値であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で190℃まで昇温して融解させたときに描かれる融解曲線、例えば、図1に示す融解曲線の70℃以上の面積から求める値である。
【0019】
また、結晶性エチレン系重合体は、メルトマスフローレート(JIS K6924−2準拠、190℃、荷重21.18Nで測定)が10g/10分以下のものが好ましい。低メルトマスフローレートのものを使用することにより引張強度保持に必要な配合量を削減、すなわち柔軟化することができる。
【0020】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における結晶性エチレン系重合体(B)成分の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部として、5〜30質量部であり、好ましくは10〜25質量部である。配合量が30質量部を超えると組成物が硬いものになる。一方、5質量部未満であると引張強度が不充分なものになる。
【0021】
(C)過酸化物易架橋型エラストマー
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物において用いる過酸化物易架橋型エラストマー(C)成分は、耐油性、特に高膨潤油に対する耐性の保持に必須の成分である。過酸化物易架橋型エラストマーは、炭素−炭素二重結合などの過酸化物架橋反応点を多く保有する化合物であり、具体的には、共役ジエン系重合体等が挙げられ、例えば、ポリブタジエン(1,2−シンジオタクチックポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン等)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等が挙げられる。この中でも、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)が好ましい。
なお、本発明においては、過酸化物易架橋型エラストマーは、炭素−炭素二重結合などの過酸化物架橋反応点を多く保有する化合物ではあるが、単に二重結合含有量が多い化合物を指すのではなく、実際に過酸化物処理を行って架橋し易すかったものを指している。また、本発明の組成物においては、高膨潤油に対して耐性を有しないようなエラストマー、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、水添共役ジエンブロック共重合体(HSBR)等を配合すると、耐油性、及び/又は引張特性が低下し、多量に配合すると本発明の目的を達成することができない。
【0022】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における過酸化物易架橋型エラストマー(C)成分の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部として、1〜18質量部であり、好ましくは3〜15質量部である。配合量が18質量部を超えると熱可塑性を失い、成形品にゲル、ブツなどの外観不良を引き起こし易い。一方、1質量部未満であると高膨潤油(JIS1種2号絶縁油など)に対する耐性の劣るものになる。
【0023】
(D)エラストマー組成物
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物において用いるエラストマー組成物(D)成分は、芳香族ビニル化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体に水素添加して得られる水添ブロック共重合体(d−1)と非芳香族系ゴム用軟化剤(d−2)とからなるエラストマー組成物である。成分(D)において、(d−1)は引張特性(特に伸び)の保持及び非芳香族系ゴム用軟化剤の保持に必須の成分であり、(d−2)は柔軟性の付与に必須の成分である。
上記水添ブロック共重合体(d−1)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の水添物であり、例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水添物を挙げることができる。
【0024】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と、任意成分、例えば共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは共役ジエン化合物のみから成るか、または任意成分、例えば共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
なお、上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%含む。
【0025】
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
水添ブロック共重合体において、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。水添率は任意であるが好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上、よりさらに好ましくは90%以上である。また、1,2−結合を選択的に水素添加したものであっても良い。
ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいては、イソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0026】
ブロック共重合体の重量平均分子量は、任意であるが好ましくは150,000以上であり、より好ましくは、240,000以上である。分子量分布は10以下である。
【0027】
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0028】
水添ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
【0029】
上記非芳香族系ゴム用軟化剤(d−2)としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を挙げることができる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
【0030】
本発明の非芳香族系ゴム用軟化剤として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は、区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により熱可塑性樹脂が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。本発明の非芳香族系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0031】
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜50,000cSt、好ましくは20〜1,000cSt、100℃における動的粘度が5〜1,500cSt、好ましくは5〜100cSt、流動点が−10〜−25℃、さらに、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
例えば、上記非芳香族系ゴム用軟化剤として、出光興産(株)のPW−90、PW−380が挙げられる。
【0032】
エラストマー組成物における水添ブロック共重合体(d−1)と非芳香族系ゴム用軟化剤(d−2)のとの組成割合は、2×(d−1)>(d−2)が好ましく、より好ましくは3×(d−1)>2×(d−2)である。2×(d−1)≦(d−2)であると成形品表面への軟化剤のブリードアウトが非常に起こり易くなる。また引張強度も規格割れになり易い。
【0033】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物におけるエラストマー組成物(D)の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部として、17〜93質量部であり、好ましくは30〜75質量部である。17質量部未満では硬いものになり、93質量部を越えると成形品に外観荒れが起こり易い。
【0034】
(E)酸変性ポリオレフィン
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物においてに用いる酸変性ポリオレフィン(E)成分は、柔軟性と引張強度のバランスを向上させる機能を果たす。酸変性ポリオレフィン(E)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体等のポリオレフィン系樹脂、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックとスチレンブロックを有するブロック共重合体(SEBC)などポリオレフィン構造ブロックを有するブロック共重合体を不飽和カルボン酸またはその無水物等の酸で変性したものを挙げることができる。具体的には、不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られる変性ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。これらの中では、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン樹脂、アクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂が好ましい。無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられ、アクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂としては、アクリル酸および/又はメタクリル酸グラフト変性ポリプロピレン、アクリル酸および/又はメタクリル酸グラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体、アクリル酸および/又はメタクリル酸グラフト変性ポリエチレン等を挙げることができる。
なお、上記変性ポリオレフィンにおける、不飽和カルボン酸またはその無水物のグラフト率は、通常3〜15質量%である。
無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、アドマー(製造者:三井化学)、アクリル酸および/又はメタクリル酸変性ポリオレフィン樹脂としては、ポリボンド(製造者:ユニロイヤル)等が市販されている。
また、上記ポリオレフィン構造ブロックを有するブロック共重合体を不飽和カルボン酸またはその無水物等の酸で変性したものの例としては(例えばダイナロン4630P(酸変性SEBC)等)が挙げられる。
【0035】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における酸変性ポリオレフィン(E)の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部として、15質量部以下であり、好ましくは1〜10質量部である。配合量が15質量部を超えると、組成物が硬いものになり、熱可塑性も不充分になり易い。また耐油性と柔軟性とを高い次元で両立させるという本発明の目的から、酸変性量の多く、低硬度なものが好ましい。
【0036】
(F)金属水和物
本発明の非ハロゲン系熱可塑性樹脂組成物に用いる金属水和物(F)は、無機系難燃剤として配合されるものであって、特に限定はしないが、例えば、ハイドロマグネサイト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基あるいは結晶水を有する化合物を単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、難燃性の面、及び熱分解開始温度と組成物の製造温度や成形温度との関係から水酸化マグネシウムが好ましい。
【0037】
また、金属水和物は、樹脂との親和性を増すために表面処理剤で処理したものを用いるのが好ましい。表面処理処理剤としては、シラン化合物(シランカップリング剤)、脂肪酸、リン酸エステル等を用いることが出来る。本発明で用いる金属水和物は、2種以上の表面処理剤、例えば、シランカップリング剤と脂肪酸の両方で処理しても良いし、一部無処理や脂肪酸、その他の表面処理で施された金属水和物を併用しても良い。
【0038】
ここで、表面処理剤として使用される脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸等の飽和及び不飽和の脂肪酸が挙げられる。ステアリン酸で表面処理なされた水酸化マグネシウムとしては、具体的には、協和化学(株)製のキスマ5A(商品名)、(株)TMG製のファインマグMO−T(商品名)、神島化学(株)製のマグシーズN−4(商品名)等が市販されている。また、オレイン酸で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、協和化学(株)製のキスマ5B(商品名)、(株)TMG製のファインマグMO−L(商品名)等が市販されている。
【0039】
また、表面処理剤として使用されるシランカップリング剤は、末端にビニル基、グリシジル基、アミノ基等のシランカップリング剤を使用するのが好ましい。具体的なシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0040】
シランカップリング剤で表面処理なされた水酸化マグネシウムとしては、協和化学(株)製のキスマ5L(商品名)、キスマ5J(商品名)、キスマ5P(商品名)等が市販されている。
また、シランカップリング剤で表面処理された金属水和物は、乾式処理(▲1▼無処理の金属水和物を混練り前にシランカップリング剤を直接予めドライブレンドする方法。▲2▼無処理の金属水和物を混練り前にアルコールなどで希釈したシランカップリング剤を予めドライブレンドする方法)したり、湿式処理を行ったり、また混練り時にシランカップリング剤をブレンドすることによっても得られる。無処理の水酸化マグネシウムは、キスマ5(協和化学(株))、マグシースNシリーズの無処理品(神島化学(株))等より提供されている。
【0041】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における金属水和物(F)の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して、50〜300質量部であり、好ましくは60〜280質量部である。特に、垂直難燃性を確保するためには150〜300質量部が好ましい。配合量が300質量部を超えると、力学的強度が著しく低下し、耐湿熱性も著しく低下する。一方、50質量部未満であると、難燃性が十分でなくなる。
【0042】
本発明の樹脂組成物は、柔軟性と高難燃性とのバランスが高く、かつ高膨潤油に対する耐性の高いものを目的とし、その機能をより高度に発揮させるようにするには、金属水和物として水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。柔軟性と高難燃性とのバランスの優れた樹脂組成物であることは、水酸化マグネシウムの量と難燃性熱可塑性樹脂組成物の硬度において、次のような関係式を満足するかどうかで判断される。
ShoreA硬度≦0.1X+75
(ただし、Xは水酸化マグネシウムの配合量を示す。)
であり、好ましくは
ShoreA硬度≦0.1X+72
(ただし、Xは水酸化マグネシウムの配合量を示す。)
である。
ShoreA硬度>0.1X+75であるものは、柔軟性と高難燃性とのバランスの低い樹脂組成物と判断される。
【0043】
(G)有機過酸化物
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物において用いる有機過酸化物(G)成分は、ラジカルを発生せしめ、そのラジカルを連鎖的に反応させて、成分(B)、(C)、(D)、及び(E)を部分架橋せしめ、耐油性、耐熱性を向上させる働きをする。成分(G)としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
【0044】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における有機過酸化物(G)の配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して、0.001〜2質量部であり、好ましくは0.01〜1質量部である。配合量が2質量部を超えると、架橋が過剰になり熱可塑性を失う。一方、0.001質量部未満では、架橋を十分達成できず、引張伸び、耐油性に劣る。
【0045】
(H)架橋助剤
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、架橋助剤(H)成分を用いることができる。架橋助剤は、有機過酸化物の配合に際し用いることができ、これによりさらに均一かつ効率的な架橋反応を行うことができる。
架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し単位数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート又はビニルステアレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いても良い。上記の架橋助剤のうち、多官能性アクリレート化合物または多官能性メタクリレート化合物が好ましく、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。これらの化合物は、取扱いが容易であると共に、有機パーオキサイド可溶化作用を有し、有機パーオキサイドの分散助剤として働くため、架橋をさらに均一かつ効果的にすることができる。
【0046】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における架橋助剤(H)の配合量は、添加する場合は(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して、0.001〜4質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜2質量部である。前記上限値を超えると架橋が進みすぎて熱可塑性を失ったり、架橋物の分散が悪くなったりする。また架橋助剤の自己架橋ブツによる外観不良も起こり易い。架橋助剤の配合量は、有機過酸化物配合量の1.5〜4倍の割合が好ましい。
【0047】
(I)難燃性向上剤
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、難燃効果を高めるために、難燃性向上剤(I)を配合することができる。難燃性向上剤(I)としては、例えば、メラミンシアヌレート、スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、赤リン等を挙げることができる。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、例えば、MCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱化学社製)や、Chemie Linz Gmbh社より上市されているものがある。また脂肪酸で表面処理したメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレート化合物としては、MC610、MC640(いずれも商品名、日産化学社製)などがある。
メラミンシアヌレートの配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して、60質量部以下に制限される。この量が60質量部を超えると力学的強度が著しく低下する。
ホウ酸亜鉛としては、平均粒子径が5ミクロン以下、特に好ましくは3ミクロン程度のものが好ましい。ホウ酸亜鉛としては市販品を用いることができ、例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B・3.5HO)、FRC−600(商品名、販売元 水澤化学)などを挙げることができる。
またスズ酸亜鉛としては、スズ酸亜鉛(ZnSnO)、水和物を有するヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH))が好ましく、商品名アルカネックスZS、アルカネックスZHS(販売元 水澤化学)などの市販品を用いることができる。ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5ミクロン以下、特に好ましくは3ミクロン程度が好ましい。
【0048】
赤リンは、前記金属水和物と併用することにより難燃性を著しく向上させることができる。添加する場合、赤リンの配合量は、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して、好ましくは1〜16質量部、更に好ましくは2〜13質量部である。また、さらに好ましくは、赤リンの配合量を3質量部以上に設定することにより、JIS C 3005で規定されている傾斜難燃のみならず、UL1581で規定されている垂直難燃性を保つことができる。また、赤リンについては、熱、水分に対する安定性や樹脂組成物中における分散性の点から、表面処理を施したものが好ましく、さらに、樹脂組成物の物性低下の抑制や難燃性の向上の点から、平均粒径が10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であるものが好ましい。このようなものとしては「ノーバレット」「ノーバエクセル」「ノーバクエル」(商品名、燐化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
【0049】
(J)その他の成分
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、さらに必要に応じて、リン系、フェノール系、硫黄系など各種の酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など各種の耐候剤、銅害防止剤、変性シリコンオイル、シリコンオイル、ワックス、酸アミド、脂肪酸、脂肪酸金属塩など各種の滑剤、芳香族リン酸金属塩系、ゲルオール系など各種の造核剤、グリセリン脂肪酸エステル系、芳香族系パラフィンオイル、フタル酸系、エステル系など各種の可塑剤、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルクなど各種のフィラー、各種の着色剤などの添加剤等を使用することができる。なお成形品表面にブリードアウトするなどのトラブルを防止するため、本発明の熱可塑性樹脂組成物との相容性の高いものが好ましい。
【0050】
2.難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造
本発明の難燃性熱可塑性エラストマー組成物は、上記(A)〜(G)成分、又は必要に応じて成分(H)〜(J)成分等を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。
上記方法の中でも各成分を同時に加えて溶融混練することが好ましい。
【0051】
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは150〜240℃である。
【0052】
3.熱可塑性樹脂組成物の用途
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃性が良好で、ポリ塩化ビニル樹脂を電線被覆材料とする難燃性規格値を満足し、柔軟性と高難燃性のバランスに優れ、さらに、高膨潤油に対する耐性に優れ、柔軟性と耐油性とを高い次元で両立した熱可塑性樹脂組成物であるので、電線、電源コード、センサーケーブル、音響コード等の被覆材用途、特に、ロボット、作業用機械、工作機械に使用されるケーブル被覆材等に用いることができる。
【0053】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性の測定法及び試料を以下に示す。
【0054】
1.物性測定方法及び製造性評価方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
(3)MFR:ASTM−D1238(230℃、211.8N荷重)に準拠して測定した。
(4)引張最大応力、引張最大伸び、100%伸び時の応力:JIS K 6723に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。引張速度は200mm/分とした(室温)。
(5)加熱処理後の引張最大応力残率、引張最大伸び残率:JIS K 6723に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。100℃×48時間の加熱処理を行った後に引張速度200mm/分で引張試験を行った。
(6)油浸漬後の引張最大応力残率、引張最大伸び残率:JIS K 6723に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。IRM#902号油、又はJIS1種2号絶縁油に、70℃×4時間の浸漬処理を行った後、引張速度200mm/分で引張試験を行った。
(7)油浸漬後の質量膨潤率(%):ASTM D471に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、2号ダンベル型試験片に打抜いて使用した。IRM#902号油、又はJIS1種2号絶縁油に、70℃×4時間の浸漬処理を行った後、サンプルの質量変化率を求めた。
(8)加熱変形:JIS K 6723(測定条件:120℃、1000g荷重、1時間)に準拠し、測定を行なった。
(9)排出時混練物性状:溶融混練物の排出時の樹脂組成物を目視にて次の基準で評価した。
良好:ねっとり感があり、なおかつ混練羽根、混練槽への付着なし。
粘調:混練羽根、混練槽への付着あり。
ぼそぼそ:ねっとり感がなく、ぼそぼその状態。特にひどい場合は粉々になる。
(10)ロール作業性:ロールへの混練物の付着状態を目視にて次の基準で判断した。
良好:混練物にねっとり感があり、なおかつロール表面に粘着しないで良好に作業できる状態
剥離不良:混練物がロール表面に粘着し、作業不能。
巻き付き不良:混練物が粘性不足でロールに巻き付かず、作業不能。
【0055】
2.実施例及び比較例において用いた試料
(A)結晶性プロピレン系ランダム共重合体(RPP):FW3E(日本ポリケム社製)、MFR7g/10分、Tm140℃
(B−1)メタロセン系触媒使用直鎖状低密度ポリエチレン(MeLLDPE−1):SP2040(三井住友ポリオレフィン社製)、密度920Kg/m、MFR4g/10分、70℃結晶化度指数125J/g
(B−2)メタロセン系触媒使用直鎖状低密度ポリエチレン(MeLLDPE−2):カーネルKF280(日本ポリケム社製)、密度918Kg/m、MFR2.0g/10分、70℃結晶化度指数93J/g
(C−1)1,2−シンジオタクチックポリブタジエン(1,2−sPB):RB810(JSR社製)
(C−2)SBSブロック共重合体(SBS):VECTOR2518(DEXCO POLYMERS社製)溶液粘度75cps(5%トルエン溶液、77°F、ASTM D−2196)、ShoreA硬度(デュロメーター硬度Aスケール)78、スチレン含有量31質量%
(C’−3)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM):Nordel4520(デュポンダウエラストマージャパン製)ENB4.9%(比較例で用いるエラストマー)
(C’−4)水添共役ジエンブロック共重合体(HSBR):ダイナロン1320P(ジェイエスアール社製)スチレン含有量10質量%、ShoreA硬度(デュロメーター硬度Aスケール)41、MFR3.5g/10分(比較例で用いるエラストマー)
(D:d−1)水添ブロック共重合体成分(SEEPS):セプトン4077(クラレ株式会社製)、スチレン含有量:30質量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(D:d−2)パラフィンオイル(Oil):ダイアナプロセスオイル PW−90(出光興産株式会社製)動的粘度(40℃、95.54cSt)(100℃、11.25cSt)、流動点−15℃
(E)無水マレイン酸変性ポリエチレン(MAH−PE):アドマーSF731(三井化学社製)ShoreD硬度(デュロメーター硬度Dスケール)23、MFR2.6g/10分
(F−1)シランカップリング処理水酸化マグネシウム(Si処理Mg(OH)):キスマ5L(協和化学製)
(F−2)脂肪酸被覆処理水酸化マグネシウム(脂肪酸処理Mg(OH)):キスマ5A(協和化学製)
(G)有機過酸化物(Peroxide):パーヘキサ25B(日本油脂株式会社製)、1分半減期温度179℃
(H)架橋助剤:NKエステルIND(新中村化学製)
【0056】
実施例1〜7、比較例1〜6
表1及び2に示す量の各成分を用い、室温ですべての成分をドライブレンドし、モリヤマ社製の20L加圧ニーダーを用いて、溶融混練して動的架橋を行い、排出し樹脂組成物を得た。次に、得られた樹脂組成物を、ナカタニ社製の二軸押出機を用いニーダー排出時温度相当のダイス温度でホットカット方式の造粒を行い、得られたペレットをロールによりシート化し、さらにそれを熱プレスして試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1及び2に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003987448
【0058】
【表2】
Figure 0003987448
【0059】
表1及び表2より明らかなように、実施例1〜7の樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物であり、ポリ塩化ビニル樹脂を電線被覆材料とする難燃性規格値を満足し、さらに柔軟性と高難燃性のバランスに優れ、高膨潤油に対する耐性に優れている。
【0060】
一方、比較例1は、成分(G)有機過酸化物を用いないものであり、引張特性、耐油性に劣った。
比較例2は、成分(C)過酸化物易架橋型エラストマーの代わりに、比較成分としてH−SBRを使用したものであり、引張特性、耐油性に劣った。
比較例3は、成分(C)過酸化物易架橋型エラストマーの代わりに、比較成分としてEPDMを使用したものであり、引張特性、耐油性に劣った。
比較例4は、成分(C)過酸化物易架橋型エラストマーを用いないものであり、典型的な従来技術の高耐油性材料であるが、柔軟性と耐油性のバランスに劣った。
比較例5は、成分(C)過酸化物易架橋型エラストマーを上限を超えて配合したものであり、ニーダー排出時の混練物性状が粉々となり、ロール作業も設定温度を高くしても全く巻付かず不可能であることから実用上使用できるものではなかった。
比較例6は、成分(A)結晶性プロピレン系重合体を用いないものであり、ニーダー排出時の混練物性状が粉々となり、ロール作業設定温度を高くしても全く巻付かず不可能であることから実用上使用できるものではなかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃性が良好で、ポリ塩化ビニル樹脂を電線被覆材料とする難燃性規格値を満足し、柔軟性と高難燃性のバランスに優れ、さらに、高膨潤油に対する耐性に優れ、柔軟性と耐油性とを高い次元で両立した熱可塑性樹脂組成物で、主として、電線被覆用材料として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】融解熱量の求め方を説明するDSC融解曲線の図である。

Claims (6)

  1. (A)結晶性プロピレン系重合体1〜20質量部、
    (B)結晶性エチレン系重合体5〜30質量部、
    (C)過酸化物易架橋型エラストマー1〜18質量部、
    (D)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体(d−1)と非芳香族系ゴム用軟化剤(d−2)とからなるエラストマー組成物17〜93質量部、
    (E)酸変性ポリオレフィン0〜15質量部、
    (F)金属水和物50〜300質量部、及び
    (G)有機過酸化物0.001〜2質量部
    を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    (ただし、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部であり、(F)及び(G)は、それぞれ(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対する値であり、前記(d−1)と(d−2)との組成割合は、2×(d−1)>(d−2)である
  2. (H)架橋助剤0.001〜4質量部(ただし、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対して)をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. (F)金属水和物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 難燃性熱可塑性樹脂組成物の硬度が、下記式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    難燃性熱可塑性樹脂組成物のShoreA硬度≦0.1X+75
    (ただし、Xは(前記(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対する水酸化マグネシウムの配合量を示す。)
  5. 難燃性熱可塑性樹脂組成物の硬度が、下記式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    難燃性熱可塑性樹脂組成物のShoreA硬度≦0.1X+72
    (ただし、Xは(前記(A)+(B)+(C)+(D)+(E)=100質量部に対する水酸化マグネシウムの配合量を示す。)
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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