JP4205384B2 - 難燃性樹脂組成物およびこれを用いた配線材 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびこれを用いた配線材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械特性と耐熱性、耐油性に優れた難燃性樹脂組成物および該組成物を被覆材とする配線材、光ファイバコードその他の成形部品に関するものである。
より詳しくは、本発明は、電気・電子機器の内部ないしは外部配線に使用される絶縁電線、圧接性に優れた絶縁電線、電気ケーブル、電気コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどの被覆材として好適な難燃性樹脂組成物およびそれを用いた絶縁電線に関し、特に燃焼時に腐食性ガスの発生がなく、かつ、使用後のリサイクル処理に適し、環境問題対応の難燃性樹脂組成物とそれを用いた配線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線・ケーブル・コードや光ファイバ心線、光ファイバコードには、難燃性、耐熱性、機械特性(例えば、引張特性、耐摩耗性)など種々の特性が要求されている。
このため、これらの配線材に使用される被覆材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや、分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドが主として使用されていた。
しかし、これらを燃焼した場合には、被覆材料に含まれるハロゲン化合物から腐食性ガスが発生することがあり、近年、この問題が議論されており、ハロゲン系ガスなどの発生の恐れがないノンハロゲン難燃材料で被覆した配線材の検討がおこなわれている。
ノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させており、例えばエチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などのエチレン系共重合体に、難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に配合した材料が配線材に使用されている。
【0003】
電気・電子機器の配線材に求められる難燃性、耐熱性、機械特性(例えば引張特性、耐摩耗性)などの規格は、UL、JISなどで規定されている。特に、難燃性に関しては、要求水準(用途)などに応じてその試験方法が変わってくる。したがって実際は、少なくとも要求水準に応じた難燃性を有すればよい。例えば、UL1581(電線、ケーブルおよびフレキシブルコードのための関連規格(Reference Standard for Electrical Wires, Cables and Flexible Cords))に規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)(VW−1)や、JIS C3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)に規定される水平試験や傾斜試験に合格する難燃性などがそれぞれ挙げられる。
この中で、これまで、ノンハロゲン難燃材料に、各種難燃試験に合格するような難燃性を付与する場合、エチレン系共重合体などの樹脂成分100質量部に対して、難燃剤である金属水和物を120質量部以上配合する必要があり、この結果として、被覆材料の引張特性や耐摩耗性などの機械特性が著しく低下するという問題があった。この問題を解決するために、金属水和物の配合量を減少させ(例えば、樹脂100質量部に対して、難燃剤である金属水和物を120質量部程度)、赤リンを配合する方法がとられている。
【0004】
ところで、現在、電気・電子機器に使用されているポリ塩化ビニルコンパウンドやハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドを被覆材料とする配線材は、配線材の種類や接続部を区別することを目的として、電線・電気ケーブル・電気コードの表面に印刷をおこなったり、数種類の色に着色して使用されている。
ところが、高度の難燃性と機械特性を両立させるために金属水和物と赤リンを配合したノンハロゲン被覆材料は、赤リンの発色のため、その上に印刷することや任意の色に着色することができず、種類や接続部を容易に区別することができる配線材が得られないという問題がある。さらに、リンを含む難燃材料から廃棄後に放出されるリンについても、環境への影響、例えば富栄養化による水資源の汚染などが問題となっている。
【0005】
また、電気・電子機器に使用される配線材については、連続使用の状態で80℃〜105℃、さらには、125℃の耐熱性が要求される場合がある。
このような場合、配線材に高耐熱性を付与することを目的として、被覆材料を電子線架橋法や化学架橋法などによって架橋する方法がとられている。
しかしながら、架橋処理された配線材は、被覆材料の耐熱性が向上している反面、その再溶融が不可能であるため、再利用が難しく、リサイクル性が悪いことが指摘されている。例えば、導体に使用されている金属を回収する場合にも、被覆材を燃焼するなどしなければならない場合が多く、従来のハロゲン又はリンを含有する被覆材に伴う前記環境への問題を避けることができない。
さらに細径、薄肉の電線においては、耐熱性、難燃性の保持が困難であり、高い酸含有量を有するエチレン系共重合体をベース材料として用いても難燃性の保持は難しく、またこのような手法をとると、加熱変形性に乏しい等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高度の難燃性と優れた機械特性を有し、任意の色に着色でき、圧接性に優れ、かつ、廃棄時の埋立による重金属化合物やリン化合物の溶出や、焼却による多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題がなく量産性に優れた難燃性樹脂組成物および該組成物を被覆材とする配線材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記の課題は
(1)(a)エチレン・α−オレフィン共重合体および/又はエチレン−酢酸ビニル共重合体および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を3〜97質量%、
(b)アクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を97〜3質量%
含有してなる熱可塑性樹脂成分(J)100質量部に対して、
有機パーオキサイド(K)0.05〜1.0質量部、架橋助剤(L)0.1〜2質量部、金属水和物(M)100〜300質量部を含有し、前記金属水和物(M)のうち少なくとも50質量%以上が反応性のシランカップリング剤で処理された金属水和物である組成の混合物であって、
前記熱可塑性樹脂成分(J)の溶融温度以上で加熱・混練してなり、かつ前記の反応性のシランカップリング剤が、ビニル基を末端に有するシランカップリング剤、メタクリロキシ基を末端に有するシランカップリング剤、エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプト基を末端に有するシランカップリング剤、及びアミノ基を有するシランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(2)(e)ポリプロピレン系樹脂を該熱可塑性樹脂成分(J)中5〜70質量%含む(1)項に記載の難燃性樹脂組成物、
(3)(g)不飽和ジカルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン樹脂を該熱可塑性樹脂成分(J)中2〜20質量%含む(1)または(2)項のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(4)エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体ゴム(h)を該熱可塑性樹脂成分(J)中、(a)成分の代わりに45質量%以下加えたことを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
)前記の反応性のシランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン、及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのシランカップリング剤であることを特徴とする(1)〜()項のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、および
)(1)〜()項のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体および/又は光ファイバの外側に被覆してなることを特徴とする配線材及び配線部品
により達成される。
【0008】
本発明においては、樹脂成分と同時に含有される有機パーオキサイドの量、架橋助剤の量および種類を上記の範囲に適切に設定して、架橋密度の低いルーズな架橋構造としうるとともに、特定の金属水和物を選択することにより多量の金属水和物を配合することが可能になる。
また(b)成分のアクリル酸およびメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂とシラン処理水酸化マグネシウムが接着し、これが燃焼時に殻形成することにより難燃性が非常に高くなる。特にこの効果はエチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体ゴム(h)を加えた際に顕著であり、特に細径、薄肉の電線・コードにおいて難燃性の改善が生じる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0010】
熱可塑性樹脂成分(J)
熱可塑性樹脂成分(J)は、(a)エチレン・α−オレフィン共重合体および/又はエチレン−酢酸ビニル共重合体および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(b)アクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を必須とし、必要に応じて(c)ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体、および/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体、(d)非芳香族系ゴム用軟化剤、(e)ポリプロピレン系樹脂、(f)エチレン・プロピレン共重合体ゴム、(g)不飽和ジカルボン酸またはその誘導体で変性した変性ポリエチレン樹脂、(h)エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物から構成される。
【0011】
(a)成分:エチレン・α−オレフィン共重合体および/又はエチレン−酢酸ビニル共重合体および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
エチレン・α−オレフィン共重合体は、好ましくは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。(a)成分において、α−オレフィンがプロピレンの場合、プロピレン成分の含有量は50質量%未満である。
【0012】
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、及びシングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体等がある。このなかでも、充填されるフィラー受容性および本発明の目的とする樹脂組成物の柔軟性を考慮すると、シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、密度は、0.880g/cm3以上が好ましく、さらに好ましくは0.890g/cm3以上、特に好ましくは0.92g/cm3以上である。この密度の上限には特に制限はないが、通常0.950g/cm3以下とする。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)としては、メルトフローインデックス(ASTM D−1238)が0.5〜30g/10分のものが好ましい。
【0013】
本発明におけるシングルサイト触媒の存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体は、その製法としては、特開平6−306121号公報や特表平7−500622号公報などに記載されている公知の方法を用いることができる。
シングルサイト触媒は、重合活性点が単一であり、高い重合活性を有するものであり、メタロセン触媒、カミンスキー触媒とも呼ばれており、この触媒を用いて合成したエチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布と組成分布が狭いという特徴がある。
このようなシングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が、高い引張強度、引裂強度、衝撃強度などを有することから、金属水和物を高充填する必要があるノンハロゲン難燃材料(配線材の被覆材料)に使用した場合、高充填された金属水和物による機械特性の低下を小さくすることができるという利点がある。
反面、シングルサイト触媒を用いて合成したエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、通常のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合と比べて、溶融粘度の上昇や溶融張力の低下がおこり、成形加工性に問題が生ずる。この点については、シングルサイト触媒として非対称な触媒を用いて長鎖分岐を導入し(Constrained Geometry Catalytic Technology)、または合成の際に2つの重合槽を連結することで分子量分布に2つのピークをつくる(Advanced Performance Terpolymer)ことで、その成形加工性を改良したものもある。
【0014】
本発明において用いられるシングルサイト触媒の存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体(a)としては、前記成形加工性を改良したものが好ましく、このようなものとしては、Dow Chemical社から、「AFFINITY」「ENGAGE」(商品名)が、Exxon Chemical社から、「EXACT」(商品名)、宇部興産(株)社からは「ユメリット」(商品名)が上市されている。
【0015】
またエチレン・α−オレフィン共重合体の代わりやこれと共にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体を使用してもよい。具体的には、エチレン−アクリル酸メチル共重合体としては、ベイマックD、ベイマックDLS(商品名、いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)などを使用することができる。
特に難燃性を向上させるためにはこれらのエチレン系共重合体を使用することが好ましく、エチレン系共重合体の共重合部位の含有量が25質量%以上、さらに好ましくは共重合部位の含有量が28質量%、さらに好ましくは30質量%以上であることが好ましい。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合、酢酸ビニル(VA)含有量は25質量%以上が好ましくなる。またMFRは流動性の面から0.3以上、強度保持の面から30以下が好ましい。
(a)成分の配合量は樹脂成分(J)中、3〜97質量%であることが必要であり、さらに好ましくは15〜88質量%である。
【0016】
高度な難燃性を付与するためには酸含有量が25質量%のエチレン共重合体を35質量%以上配合することが望ましい。(a)成分が3質量%より少ないと、力学的強度が大幅に低下したり、難燃性が満足できなくなる。
また圧接用の電線被覆材として使用する場合、エチレン系共重合体を極力使用しない方がよい。またPEの密度は0.89以上のものを用いた方が良い。エチレン系共重合体を使用すると著しく圧接保持部であるストレインリリーフ部で絶縁部が盛り上がるためである。
【0017】
(b)成分:変性ポリオレフィン樹脂および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
アクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂とはポリオレフィン樹脂にアクリル酸やメタクリル酸がグラフトされた樹脂である。ポリオレフィン樹脂としてはポリプロピレン樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレンなどがある。
またエチレン系共重合体にアクリル酸やメタクリル酸がグラフトされた樹脂を使用してもよい。
通常グラフト率は通常3〜15質量%である。
このような樹脂はポリボンド(製造者:ユニロイヤル)から販売されている。
このアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂の配合量は樹脂成分(J)中3〜97質量%に制限される。この量が3質量%未満であると実質的に効果がなくなり、これが97質量%を越えると伸びが著しく低下するからである。
【0018】
またこれらのアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂と共にまたはこれらの代わりにエチレン−アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体を使用しても良い。これらの樹脂は三井デュポンポリケミカル(株)より『ニュクレル』(商品名)で販売されている。
エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体を使用する場合、その量は樹脂成分(J)中、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下が好ましい。これをあまり大量に加えると、伸びの低下や低温性を低下させるためである。また3質量%未満であると実質的な効果が薄れるため、3質量%以上が好ましい。
このようなアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたオレフィン樹脂やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、難燃剤である金属水和物と接着しており、摩耗性を向上させるのでなく、燃焼時に金属水和物とともに非常に強い殻形成を形成するため、難燃性が著しく向上する。特にエチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系アクリルゴム(h)と併用することにより、この燃焼時の殻形成が非常に強くなり、難燃性が大幅に向上する。
【0019】
このアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を使用することにより、細径薄肉電線の高難燃電線や難燃性の保持がしにくいポリオレフィン系樹脂をベース材料とする電線の難燃性を保つことが可能となる。たとえば細径薄肉電線の場合、ベース材料としてポリオレフィン系樹脂を使用した場合、金属水和物を大量に導入しても垂直難燃性は確保できないが、このアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を導入する事により垂直難燃性を確保することができるようになる。
特にこの難燃性改善に関する効果はアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂を使用した場合に効果が非常に大きく、たとえば圧接用電線におけるポリエチレンの様な比較的硬い樹脂をベース樹脂として使用しなければならないときの難燃性の向上や柔軟性材料のような難燃剤としての水酸化マグネシウムの量の制約のある場合などに非常に有効である。
【0020】
(c)成分:ブロック共重合体
本発明の(c)成分は、ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、あるいはこれらの水素添加されたもの等を挙げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体を意味する)は、ビニル芳香族化合物を5〜60質量%、好ましくは、20〜50質量%含む。
【0021】
ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックAは、50質量%より多い、好ましくは70質量%以上のビニル芳香族化合物と(水素添加された)共役ジエン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物及び/又は水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックであり、特に好ましくは、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロックである。
【0022】
(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBは、50質量%より多い、好ましくは70質量%以上の(水素添加された)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックであり、特に好ましくは、(水素添加された)共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロックである。
【0023】
これらのビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックA及び(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおいて、分子鎖中のビニル芳香族化合物または(水素添加された)共役ジエン化合物由来の繰り返し単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなっていてもよい。ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックA或いは(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0024】
(水添)ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0025】
共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ構造は任意に選ぶことができる。例えばポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が20〜50質量%、特に25〜45質量%であるものが好ましく、ブタジエンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90質量%が水素添加されたものが好ましい。ポリイソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90質量%が水素添加されたものが好ましい。
【0026】
上記構造を有する本発明に用いる(水添)ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましくは100,000〜550,000、特に好ましくは100,000〜400,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0027】
これらの(水添)ブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。また、例えば、上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
【0028】
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、SBS(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー)、SIS(スチレン・イソプレンブロックコポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEPS(水素化SIS)等を挙げることができる。本発明において、特に好ましい(水添)ブロック共重合体は、スチレンをその構成成分の主体とする重合体ブロックAと、イソプレンをその構成成分の主体とし、かつ、イソプレンの70〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90質量%が水素添加されたところの重合体ブロックBとからなる重量平均分子量が50,000〜550,000の水添ブロック共重合体である。更に好ましくは、イソプレンの90〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有する上記水添ブロック共重合体である。
このブロック共重合体を配合する場合の配合量は熱可塑性樹脂(J)中で、成分(a)から(h)の合計100質量%のうち0〜35質量%、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。また、樹脂成分(J)中35質量%以下に制限される。この量が35質量%を越えると耐ヒートショック性が低下する。加熱変形性を重視する場合はこの量が20質量%以下であることが好ましい。
【0029】
(d)成分:非芳香族系ゴム用軟化剤
本発明の(d)成分としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50質量%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40質量%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30質量%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明の(d)成分として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により(c)成分が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。(d)成分としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に好ましい。
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が2×10-5〜5×10-4/s、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃を示すものが好ましい。
【0030】
(d)成分を配合する場合の配合量は熱可塑性樹脂(J)中で、成分(a)から(h)の合計100質量%のうち0〜35質量%、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。また、(d)成分の配合量は、樹脂成分(J)中35質量%以下であり、好ましくは2〜35質量%である。また(c)成分に対して3〜100質量%の配合が好ましい。樹脂成分(J)中35質量%を越える配合は、軟化剤のブリードアウトを生じやすく、配線材に粘着性を与えるおそれがあり、その機械的性質も低下させる。またこの軟化剤を加えた方が押し出し負荷が低下し、量産性が向上する。
(d)成分の一部を、パーオキサイド存在下での熱処理の後に配合することもできるが、ブリードアウトを生じる要因となることがある。
(d)成分は、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
【0031】
(e)成分:ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いることのできるポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体、アタクチックポリプロピレン重合体を主成分とするポリプロピレン樹脂等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は1種類でも良いし、2種類以上混合して使用することができる。
この(e)成分のポリプロピレン系樹脂は、本発明において樹脂組成物(J)を加熱処理に付して部分架橋物として製造するに際して、その一部を熱処理(架橋)後に配合することもできる。
【0032】
熱(架橋)処理前に熱可塑性樹脂(J)に配合したポリプロピレン系樹脂は、その後の加熱処理で、(f)成分の存在により熱分解して適度に低分子量化する。
熱処理前に配合するポリプロピレン系樹脂としては、MFR(メルトフローインデックス;ASTM‐D‐1238、L条件、230℃)が好ましくは0.1〜10g/10分、より好ましくは0.1〜5g/10分、さらに好ましくは0.1〜3g/10分のものを用いる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRが0.1g/10分未満では、熱処理後でもポリプロピレン系樹脂の分子量が低下せず、得られる樹脂組成物(エラストマー)の成形性が悪く、一方、MFRが10g/10分を越えると、低分子量となりすぎて、得られる樹脂組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0033】
熱処理後に配合する場合のポリプロピレン系樹脂としては、被覆層を形成する押出し時の条件に合致するものであればよく、MFRが好ましくは5〜200g/10分、より好ましくは8〜150g/10分、更に好ましくは10〜100g/10分のものを用いる。
熱処理後に配合する場合、ポリプロピレン系樹脂のMFRが5g/10分未満では、得られる樹脂組成物の成形性が悪く、MFRが200g/10分を越えると、得られる樹脂組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0034】
使用されるポリプロピレンとしてはその少なくとも1部分としてホモポリプロピレンやブロック共重合ポリプロピレンの使用が好ましく、さらに好ましくはブロック共重合ポリプロピレンの使用が好ましい。ブロック共重合ポリプロピレンやホモポリプロピレンを(e)成分中少なくとも25質量%以上使用することにより、UL規格の105℃耐熱に適合できるようになる。
【0035】
成分(e)を配合する場合の配合量は、樹脂成分(J)中に5〜70質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは5〜25質量%である。5質量%以下では耐ヒートショック性が低下する。また、(c)成分の量が樹脂成分(J)中10質量%より多い場合、ポリプロピレン(e)の量は10質量%以上に設定した方がよい。
【0036】
(f)成分:エチレン−プロピレン共重合体ゴム
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物中のベース樹脂に使用されるエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)はエチレンとプロピレンのゴム状共重合体である。ここでエチレン・プロピレン共重合体ゴムとはエチレン成分含量が通常40〜75質量%程度のものをいう。エチレン、プロピレン以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を重合体にもたせたエチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)もあるが本発明においては二重結合をもたないEPMを用いる必要がある。EPDMを用いた場合は、本発明の目的である優れた柔軟性と伸びが損なわれるためである。EPMは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
エチレン−プロピレン共重合体ゴム中のエチレン成分含量は40〜85質量%が適当である。好ましくは45〜80質量%であり、さらに好ましくは50〜75質量%である。エチレン成分含量が少なすぎると、得られる樹脂組成物の柔軟性が不足し、多すぎる場合には機械的強度が低下する。
エチレン−プロピレン共重合体ゴムのムーニー粘度、ML1+4(100℃)は、好ましくは10〜120、より好ましくは40〜100である。ムーニー粘度が10未満の場合は、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が劣ることがある。また120を越えたものを用いると成形加工性が悪くなることがあり、特に成形品の外観が悪化する。
【0038】
用いられるエチレン−プロピレン共重合体ゴムの重量平均分子量は50,000〜1,000,000が好ましく、さらには70,000〜500,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が50,000未満の場合は、得られる組成物はゴム弾性が劣ることがある。また、重量平均分子量が1,000,000を越えるものを用いると成形加工性が悪くなり特に成形品の外観が悪化することがある。
エチレン−プロピレン共重合体ゴムを配合する場合の配合量は熱可塑性樹脂(J)中で成分(a)から(h)の合計100質量%のうち0〜35質量%、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。また、エチレン−プロピレン共重合体ゴムの配合量は熱可塑性樹脂成分(J)中、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下である。これが30質量%を越えると押し出し負荷が著しく高くなるためである。また圧接用の電線として使用する場合、この配合量は20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0039】
(g)成分:変性ポリオレフィン樹脂
不飽和ジカルボン酸またはその誘導体で変性されるポリオレフィン樹脂としては、好ましくはポリエチレンが挙げられ、より好ましくは直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。本発明において成分(g)とは、これらの樹脂を不飽和ジカルボン酸やその誘導体(以下、これらを併せて不飽和ジカルボン酸等という)で変性した樹脂のことである。変性に用いられる不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、不飽和ジカルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などを挙げることができる。ポリオレフィンの変性は、例えば、ポリオレフィンと不飽和ジカルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。マレイン酸による変性量は通常0.1〜7質量%程度である。
この不飽和ジカルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂を加えることにより、得られる樹脂組成物の伸びを大きくすると共に強度を保持する効果がある。このポリオレフィン系樹脂を不飽和ジカルボン酸またはその誘導体で変性したものは、金属水和物による機械特性の低下を緩和する効果や電線の白化を防ぐ効果もある。さらに圧接用電線に使用する場合、圧接加工の際、ストレインリリーフ部の盛り上がりを抑える働きがある。
(g)成分の配合量は(J)中、2〜20質量%、好ましくは2〜10質量%である。この成分が20質量%を越えると、伸びが著しく低下する。
【0040】
(h)成分:エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体ゴム
本発明の三元系アクリルゴムは、エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体ゴムである。単量体成分のアクリル酸アルキルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどを使用することができ、また、カルボキシル基を有する不飽和炭化水素としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などを使用することができる。具体的には、ベイマックG、ベイマックHG、ベイマックGLS(商品名、いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)を使用することができる。
【0041】
本発明の三元系アクリルゴムを加えることにより組成物や電線等の成形体の難燃性は大幅に向上する。さらにこの三元系アクリルゴムを配合することにより、皮むきの際にひげ状に被覆材を伸ばすことなく皮むき性が良好になる。
本発明において三元系アクリルゴムは、(a)成分の代わりに、樹脂成分(J)中45質量%以下の割合で使用することができる。これが45質量%を越えるとコンパウンディング時の加工性や押し出し加工性が著しく低下するだけではなく、伸びも著しく低下するためである。
また、三元系アクリルゴムは、これを使用することにより難燃性が向上するため、加えた方が好ましい。配合量としては三元系アクリルゴムを3質量%以上加えた方が好ましく、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上加えた方が好ましい。またこの三元系アクリルゴムは押し出し負荷を上げる傾向があり、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下に抑えた方がよい。
【0042】
さらにエチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体アクリルゴムを使用することにより強固となり、力学的強度が向上する。
さらにアクリル酸およびメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂を併用することにより、燃焼時における殻形成が増大し、難燃性が著しく向上する。特に三元系アクリルゴムとの併用が難燃性に非常に効果がある。
【0043】
有機パーオキサイド(K)
本発明で用いられる有機パーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
【0044】
有機パーオキサイド(K)の配合量は、熱可塑性樹脂成分(J)100質量部に対して、0.05〜1.0質量部の範囲であり、好ましくは0.08〜0.8質量部である。有機パーオキサイドをこの範囲内に選定することにより、架橋が進みすぎず、ブツも発生することなく押し出し性に優れた部分架橋組成物が得られる。
【0045】
(メタ)アクリレート系および/またはアリル系架橋助剤(L)
本発明の難燃性樹脂組成物またはそれに用いる熱可塑性樹脂成分(J)の製造においては、有機パーオキサイドの存在下で架橋助剤を介してビニル芳香族系熱可塑性エラストマーおよびエチレン・α−オレフィン共重合体との間で部分架橋構造を形成する。その際使用される架橋助剤としては、一般式
【0046】
【化1】
Figure 0004205384
【0047】
(式中、RはH又はCHであり、nは1〜9の整数である。)
で表される(メタ)アクリレート系架橋助剤が挙げられる。ここで(メタ)アクリレート系架橋助剤とはアクリレート系およびメタアクリレート系架橋助剤をさす。具体的には、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートが挙げられる。
その他にもジアリルフマレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレートのような末端にアリル基を有するものを使用することができる。
以上の中でも特にnが1〜6の(メタ)アクリレート系架橋助剤が好ましく、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレートを挙げることができる。
【0048】
特に、本発明においては、トリエチレングリコールジメタクリレートが、取扱いやすく、他の成分との相溶性が良好であり、かつパーオキサイド可溶化作用を有し、パーオキサイドの分散助剤として働くため、加熱混練時の架橋効果が均一かつ効果的で、硬さとゴム弾性のバランスのとれた部分架橋熱可塑性樹脂が得られるため、最も好ましい。このような化合物を使用することにより、架橋不足にも架橋過度にもならず、加熱混練時に均一かつ効率的な部分架橋反応が期待できる。
【0049】
本発明で用いられる架橋助剤の添加量は、熱可塑性樹脂成分(J)100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.15〜1.5質量部である。架橋助剤をこの範囲内に設定することにより、架橋が進みすぎることなくゆるやかな架橋となり、ブツも発生することなく押し出し性に優れた組成物が得られる。架橋助剤の配合量は、質量比で有機パーオキサイドの添加量の約1.5〜4.0倍とすることが好ましい。
【0050】
金属水和物(M)
本発明において用いられる金属水和物としては、特に限定はしないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基あるいは結晶水を有する化合物を単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。金属水和物は少なくとも一部がシランカップリング剤で処理されていることが必要であるが、表面処理されていない無処理の金属水和物や脂肪酸等他の表面処理剤で処理した金属水和物を適宜併用することができる。
【0051】
また上記金属水和物の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル基またはエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を末端に有するシランカップリング剤、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤などの架橋性のシランカップリング剤が好ましい。またこれらのシランカップリング剤は2種以上併用してもよい。
このような架橋性のシランカップリング剤の中でも、末端にエポキシ基および/またはビニル基(メタクリロキシ基等の末端2重結合を有する基を含む)を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、これらは1種単独でも、2種以上併用して使用してもよい。
【0052】
本発明で用いることができるシランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウムとしては、表面無処理のもの(市販品としては、キスマ5(商品名、協和化学社製)など)、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの(キスマ5A(商品名、協和化学社製)など)、リン酸エステル処理されたものなどを上記のビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面処理したもの、またはビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤によりすでに表面処理された水酸化マグネシウムの市販品(キスマ5LH、キスマ5PH(いずれも商品名、協和化学社製)など)がある。
また、上記以外にも、予め脂肪酸やリン酸エステルなどで表面の一部が前処理された水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムに、さらにビニル基やエポキシ基等の官能基を末端に有するシランカップリング剤を用い表面処理を行った金属水和物なども用いることができる。
【0053】
金属水和物をシランカップリング剤で処理する場合には、予めシランカップリング剤を金属水和物に対してブレンドして行うことが必要である。このときシランカップリング剤は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には金属水和物に対し0.2〜2質量%が好ましい。シランカップリング剤は原液でもよいし、溶剤で希釈されたものを使用してもよい。
【0054】
金属水和物の配合量は、本発明の樹脂組成物中、熱可塑性樹脂成分(J)100質量部に対して、100〜300質量部であり、特に好ましくは100〜280質量部である。本発明においてその少なくとも50質量%をシランカップリング剤で前処理した金属水和物とすることにより、多量に金属水和物を加えても強度の低下が生じず、樹脂に大量にフィラーを配合することが可能となる。
さらにシラン処理金属水和物とアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂は高い接着性を示し、強度を向上させる。さらに燃焼時に金属水和物とアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂が強固な殻を形成し難燃性が著しく向上する。このアクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂と金属和物との接着はこのシラン処理金属水和物を使用した場合、非常に顕著であり、強度向上や難燃性の向上が確認された。
【0055】
標題の組成物において、成分(K)の有機パーオキサイドによって形成される分子構造は、(c)成分のブロック共重合体中の -CH- 鎖と架橋助剤との間に形成される樹脂−樹脂間の架橋構造(I)と、(c)成分のブロック共重合体中の -CH- 鎖とシランカップリング剤で表面処理なされた金属水和物との間に形成される樹脂−フィラー間の架橋構造(II)である。
【0056】
【化2】
Figure 0004205384
【0057】
特に、後者(II)に関して、シランカップリング剤で表面処理なされた金属水和物は樹脂組成物混練り形成時に成分(K)の有機パーオキサイドによってシランカップリング剤の反応性部位が(c)成分のブロック共重合体と結合し、樹脂成形体の補強剤として機能するようになる。つまり、機械強度、特に微小変形強度を向上させるがゆえに、成形体の傷のつきにくさを保持し、耐摩耗性を保持する。従って樹脂に対するシランカップリング剤で表面処理なされた金属水和物を十分添加することにより、強度、耐摩耗性、傷のつきにくい樹脂組成物、樹脂成形体が得られる。従ってこのシランカップリングで表面処理なされた金属水和物の添加が少ないと所望の特性が得られない。
ここでは例示として(c)成分について述べたが、パーオキサイド架橋型の樹脂(a)、(b)、(d)〜(h)成分についても同様な反応により、強度向上や外傷性が向上する。
【0058】
さらに、有機パーオイサイドの添加量が少なくても所望の特性が得られない。
何れの架橋構造も、樹脂にとっては部分架橋であるため、つまり流動可能な -CH- 鎖を含むため、通常の熱可塑性エラストマーと同様に混練り後押し出しが可能であり、また成形体を回収して再押し出しすることも可能である。さらにこの有機パーオキサイドによる反応により、さらに樹脂組成物や押し出し成形体の熱変形温度を向上させることができる。
【0059】
類似した組成物としては、例えば特公平03−49927号公報に記載された組成物があるが、これは、電子線、紫外線、水などによる架橋を必要とせず、樹脂−樹脂の架橋と同時に樹脂−フィラーの架橋を行うことを目的とした標題の組成物とは、根本的に異なる分子構造を持つものである。すなわちこの場合、主として不飽和シラン化合物の役割は樹脂同士を架橋ならしめるためのものであり、樹脂組成物混練り作成時にシラン化合物の不飽和基と樹脂が反応し、成形体作成時に触媒作用により樹脂分子同士が架橋する水架橋予備樹脂混和物である。この場合成形体作成後再押し出しは不可能であり、また傷のつきにくさ、強度保持等の効果は小さい。さらにこの場合フィラーに含まれている水分により架橋反応が進行し、金属水和物のような水を含みやすいフィラーを大量に加えると水架橋反応が進行し、成形体成型時にブツや外観あれや押し出しが困難になるような現象が生じる。
【0060】
通常のポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂をベース樹脂として使用し、必要とされる難燃性を満足するために金属水和物を多量に加えてゆくと、機械強度の低下が非常に大きい。それに対して、本発明における熱可塑性樹脂成分(J)は、架橋密度が低く樹脂成分同士が(L)成分を介した部分架橋状態になっているのでフィラー受容性に優れ、このような熱可塑性樹脂成分(J)をベース樹脂として使用した場合は金属水和物を多量に配合することが可能になる。その中でもシランカップリング剤で処理された金属水和物を特定量配合した場合に限り、機械的強度の低下は最小限に抑制され、屈曲させた際に白化を生じにくく、配線材及び配線部品として満足する特性が得られる。
【0061】
本発明の難燃性樹脂組成物には一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤、酸無水物及びその変性物などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0062】
酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
【0063】
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが挙げられる。
【0064】
さらに難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
【0065】
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられる。
【0066】
表面平滑材としてシリコーン樹脂を使用することが出来る。シリコーン樹脂を使用することにより圧接加工性がさらに良好になる。
シリコーン化合物としては通常の直鎖のシロキサン構造を有しているシリコーンオイル、ポリジオルガノシロキサンを主原料としたシリコーンゴム、シリコーンゴムの主原料であるシリコーンガム、パウダー状のシリコーンレジン等が挙げられる。
この中でもシリコーンゴムの主原料であるでシリコーンガムが望ましい。シリコーンガムの中でも側鎖にビニル基等の架橋基を有しているシリコーンガムが望ましい。シリコーンガムの基本的な分子構造はシロキサンの側鎖にメチル基、ビニル基、フェニル基を有しているものが挙げられるが、その他のアルキル基、アルケニル基等、芳香族基の選択も可能である。側鎖にビニル基等の架橋基を有しているシリコーンガムの使用により、コンパウンド時に行われる際の緩やかな架橋反応において、シリコーンガムと他のポリマーやシラン処理なされた金属水和物と結合し、ブリードがなく、しかも表面平滑性に優れた電線を得ることができる。
【0067】
このシリコーンガムにその他配合剤として、補強充填剤、可塑剤、増量充填剤、添加剤、架橋剤等を添加しても良い。シリコーンガムとしては重合度5000〜10000程度のものが好ましいが、重合度がこれより低いものも使用しても良い。
またこのシリコーンガム等の代わりに、シリコーンでグラフトされた例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体、或いはシリコーンを予め混合したポリオレフィンやエチレン共重合体を加えてもよい。
【0068】
本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で前記添加物や他の樹脂を導入することができるが、少なくとも前記熱可塑性樹脂組成物(J)を主樹脂成分とする。ここで、主樹脂成分とするとは、本発明の難燃性樹脂組成物の樹脂成分中、通常70質量%以上、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは樹脂成分の全量を前記熱可塑性樹脂組成物(J)が占めることを意味する。
本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物(J)においては、少なくとも前記成分(a)〜(h)を主体とする。ここで、主体とするとは、熱可塑性樹脂組成物(J)中、通常70質量%以上、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは全量を前記成分(a)〜(h)が占めることを意味する。
【0069】
以下、本発明の難燃性樹脂組成物、配線材の製造方法を説明する。
第1工程において、まず成分(c)および成分(d)の全量、成分(M)の少なくとも一部(好ましくは(M)の使用量中、50〜100質量部、さらに好ましくは70〜100質量部、特に好ましくは(M)の全量)、並びに成分(a)、(b)、(e)〜(h)の少なくとも一部(好ましくは、50〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%)、場合により、更に充填剤、抗酸化剤、光安定剤、着色剤等の各種添加剤を、予め溶融混練する。混練温度は、好ましくは160〜240℃である。混練方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法であれば満足に使用でき、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどが用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された組成物を得ることができる。
【0070】
第2工程は、第1工程で得られた組成物に、成分(K)および成分(L)を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は、好ましくは180〜240℃である。このように成分(a)〜(h)、(L)を予め溶融混練してミクロな分散を生じせしめてから、成分(K)を加えて混練を加熱処理下に行い、部分架橋物を生成させることが、特に好ましい物性をもたらす。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
上記第1および第2工程については、単一工程とし、各成分を混合して溶融混練することも可能である。
【0071】
第3工程は、第2工程で得られた部分架橋した組成物に、各成分の残量を加えて混練する。混練温度は、好ましくは180〜240℃である。混練は、一般に、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどを用いて行うことができる。この工程で、各成分の分散がさらに進むと同時に、反応が完了する。
また、前記第1、第2および第3工程を併せて単一工程とし、各成分を一括して溶融混練することも可能である。
【0072】
本発明の難燃性樹脂組成物は電気・電子機器の内部および外部配線に使用される配線材や光ファイバ心線、光ファイバコードなどの成形部品被覆、製造に適する。
本発明の樹脂組成物を配線材の被覆材として使用する場合には、好ましくは押出被覆により、導体の外周に形成した少なくとも1層の前記本発明の難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有すること以外、特に制限はない。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚線などの公知の任意のものを用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。
本発明の配線材は、本発明の難燃性樹脂組成物を、汎用の押出被覆装置を用いて、導体周囲や絶縁電線周囲に押出被覆することにより製造することができる。このときの押出被覆装置の温度は、シリンダー部で約180℃、クロスヘッド部で約200℃程度にすることが好ましい。
本発明の配線材においては、導体の周りに形成される絶縁層(本発明の難燃性樹脂組成物からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが通常0.1mm〜5mm程度である。
【0073】
また、本発明の配線材においては、部分架橋物である本発明の樹脂組成物を押出被覆してそのまま被覆層を形成することが好ましいが、さらに耐熱性を向上させることを目的として、押出後の被覆層を架橋させることも可能である。但し、この架橋処理を施すと、被覆層の押出材料としての再利用はできなくなる。
架橋を行う場合の方法として、常法による電子線照射架橋法や化学架橋法が採用できる。
電子線架橋法の場合は、樹脂組成物を押出成形して被覆層とした後に常法により電子線を照射することにより架橋をおこなう。
電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、被覆層を構成する樹脂組成物に、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。
化学架橋法の場合は、樹脂組成物に有機パーオキサイドを架橋剤として配合し、押出成形して被覆層とした後に常法により加熱処理により架橋をおこなう。
またシートやチューブについても電線被覆と同様な方法で押し出し可能である。また電線と同様、化学架橋法と電子線架橋法により架橋を行う。
また電線部品等の射出成形品についてはシリンダー温度220℃程度、ヘッド温度230℃程度程度で射出成形可能である。射出成形装置は通常のPVC樹脂等を成形している射出成型器で成形可能である。
【0074】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)成分として密度0.898g/cm3のエチレン・1−ヘキセン共重合体(a−1)、VA含有量33質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(a−2)、(b)成分としてメタクリル酸変性されたポリプロピレン樹脂(b−1)、メタクリル酸変性されたポリエチレン樹脂(b−2)、エチレン−メタクリル酸共重合体(b−3)、(c)成分として水素化スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体(SEPS)、(d)成分としてパラフィンオイル、(e)成分としてポリプロピレン(MFR8g/10分)、(f)成分としてPP含有量30質量%のエチレン−プロピレンゴム共重合体ゴム、(g)成分としてマレイン酸変性のポリエチレン、(h)成分の三元系アクリルゴムとしてベイマックGLS、(K)成分として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロオキシ)−ヘキサン、(L)成分としてトリエチレングリコールジメタクリレート、(M)成分としてビニルシランで表面処理された水酸化マグネシウムを用い、各成分を表1〜3に示すような配合量とし組成物を調製した。
【0075】
実施例及び比較例は、すべての成分を室温でドライブレンドし、200℃でバンバリーミキサーを用いて加熱混練して、排出し、難燃性樹脂組成物を得た。排出温度は200℃で行った。
【0076】
得られた樹脂組成物から、プレスにより、各実施例、参考例、比較例に対応する1mmシートを作成した。
得られたシートについて引張特性を測定した。
引張特性は、各絶縁電線の絶縁体(被覆層)の抗張力(MPa)と破断伸び(%)を、標線間隔20mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。伸びは100%以上、強度は10MPa以上必要である。
また混ねり時のモータートルクを観察した。全く問題ない場合を○、負荷が高いものを△、モータートルクが高く実生産が困難なものを×とした。
【0077】
次に、実施例1〜11、比較例1〜4においては電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径:0.48mmφ錫メッキ軟銅撚線 構成:7本/0.16mmφ)上に、あらかじめ溶融した絶縁被覆用の樹脂組成物を押出被覆して、実施例、比較例に対応する外径0.98mmの絶縁電線を製造した。
また、実施例12、比較例5においては電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径:1.0mmφ錫メッキ軟銅撚線 構成:7本/0.32mmφ)上に、あらかじめ溶融した絶縁被覆用の樹脂組成物を押出被覆して、実施例、比較例に対応する外径1.5mmの絶縁電線を製造した。
【0078】
また、得られた各絶縁電線の被覆層について、引張特性、水平燃焼試験、垂直難燃試験及び外観チェック、また押し出し時の押し出し負荷の観察を行い各特性を評価し、その結果を表1〜3に併せて示した。
引張特性は、各絶縁電線の絶縁体(被覆層)の抗張力(MPa)と破断伸び(%)を、標線間隔25mm、引張速度500mm/分の条件で測定した。伸びは100%以上、強度は10MPa以上必要である。
【0079】
水平燃焼試験は、各絶縁電線について、JIS C 3005に規定される水平燃焼試験をおこない、30秒以内で自消したものを合格としてカウントし、10個中の合格数を示した。全数合格することが必要である。
垂直難燃試験はUL1581に規定される垂直難燃試験(VW−1)を行い、合否を判断した。n=10本行い、全数合格することが必要である。
押し出し性試験は、30mmφの押出機で押し出しを行った際の、モーター負荷が正常範囲内で押し出しが行えたもので外観良好なものを○、押し出し負荷がやや大きいものや外観がやや悪かったものを△、押し出し負荷が著しく大きく押し出し困難又は不可なものを×として評価した。△以上が実用上問題のないレベルであり合格である。
同時に外観についても観察を行い、外観が良好なものを○、ややざらつくものを△、さめ肌のものを×とした。△までは実使用範囲内である。
【0080】
表中に示す各化合物としては下記のものを使用した。
熱可塑性樹脂成分(J)
成分(a):エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
(a−1)
製造会社:日本ポリケム社
商品名:KF−360
種類:エチレン・1−ヘキセン共重合体
密度:0.898g/cm3
(a−2)
製造会社:三井デュポンポリケミカル社
商品名:EV170
種類:VA含有量33質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体
【0081】
成分(b):アクリル酸及び/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
(b―1)メタクリル酸変性ポリプロピレン
製造会社:ユニロイヤル社
商品名:ポリボンドP1002
(b―2)メタクリル酸変性高密度ポリエチレン
製造会社:ユニロイヤル社
商品名:ポリボンドP1009
(b−3)エチレン−メタクリル酸共重合体
製造会社:三井デュポンポリケミカル社
商品名:ニュクレルN1207C
【0082】
成分(c):水添ブロック共重合体
製造会社:クラレ社
商品名:セプトン4077
種類:スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体
スチレン成分の含有量:30質量%
イソプレン成分の含有量:70質量%
重量平均分子量:320,000
分子量分布1.23
水素添加率:90%以上
【0083】
成分(d):非芳香族系ゴム軟化剤
製造会社:出光興産社
商品名:ダイアナプロセスオイル PW−90
種類:パラフィン系オイル
重量平均分子量:540
芳香族成分の含有量:0.1%以下
【0084】
成分(e):ポリプロピレン系樹脂
製造会社:トクヤマ社
商品名:PN−610
種類:プロピレン・エチレン共重合体
【0085】
成分(f):エチレン−プロピレンゴム共重合体ゴム
製造会社:JSR社
商品名:EP07P
【0086】
成分(g):マレイン酸変性ポリオレフィン
製造会社:三井化学社
商品名:アドマーXE070
【0087】
成分(h):エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体ゴム
製造会社:三井デュポンポリケミカル社
商品名:ベイマックGLS
【0088】
有機パーオキサイド(K)
製造会社:日本油脂社
商品名:パーヘキサ25B
種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロオキシ)−ヘキサン
【0089】
架橋助剤(L)
製造会社:新中村化学社
商品名:NKエステル3G
種類:トリエチレングリコールジメタクリレート
【0090】
金属水和物(M)
(M−1)水酸化マグネシウム
製造会社:協和化学社
商品名:キスマ5LH
種類:末端にビニル基を有するシランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウム
【0091】
その他成分
フェノール系酸化防止剤
製造会社:チバガイギー社
商品名:イルガノックス1010
種類:ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
滑剤
製造会社:ヘキスト社
商品名:ACポリエチレンNO.6
種類:ポリエチレンWAX
【0092】
【表1】
Figure 0004205384
【0093】
【表2】
Figure 0004205384
【0094】
【表3】
Figure 0004205384
【0095】
実施例1〜11と比較例1〜4で示したとおり、所定量のアクリル酸及び/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を加えた場合においては、細径薄肉電線の難燃性が確保されていることがわかる。また、実施例7において、成分(c)を20質量部に減量し、成分(a−1)を25質量部、成分(b−1)を20質量部とし、絶縁電線を作成した場合、その被覆層は、実施例7の絶縁電線の被覆層に比較し、さらに加熱変形性の向上が見られた。なお、表1〜3に示された各成分の欄における数値の単位は質量部である。
また実施例12及び比較例5で示したとおり、所定量のアクリル酸及び/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を加えた場合において難燃性の上昇が確認され、強度、伸び特性の有した絶縁電線が得られていることが確認できる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、難燃性、耐熱性、機械特性に優れ、かつ燃焼などの廃棄時においては、腐食性ガスの発生がなく、昨今の環境問題に対応した難燃性樹脂組成物と配線材を提供しうる。さらに本発明によれば、これらの特性を満足しながら、被覆材料の再溶融が可能なために再利用でき、傷つきにくい難燃性樹脂組成物およびそれを使用した配線材、光ファイバ心線、光ファイバコード、その他の成形部品を提供しうる。
また、本発明の配線材は、機械特性、難燃性及び耐熱性に優れるとともに、耐油性、耐摩耗性に優れている。さらに圧接加工性にも優れている。このように本発明の配線材は、リンを含まないノンハロゲン難燃配線材として柔軟性と機械強度を両立することができる優れた特性を有するものである。
さらに、本発明の配線材の被覆層は、高い耐熱性を有しながら、被覆材料として再溶融可能な材料を用いて形成することができることから、現行の被覆材料である架橋物で被覆した配線材と比較して、リサイクル性に富む配線材の提供を可能とするものである。
以上から、本発明の配線材は、環境問題を考慮した電気・電子機器用配線材、例えば電源ケーブルなどとして非常に有用なものである。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、このような配線材や、光ファイバ心線、光ファイバコード等の被覆材料として、また成形部品の材料として、さらにはチューブやテープ材料としても好適なものである。

Claims (6)

  1. (a)エチレン・α−オレフィン共重合体および/又はエチレン−酢酸ビニル共重合体および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を3〜97質量%、
    (b)アクリル酸および/又はメタクリル酸で変性されたポリオレフィン樹脂および/又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を97〜3質量%
    含有してなる熱可塑性樹脂成分(J)100質量部に対して、
    有機パーオキサイド(K)0.05〜1.0質量部、架橋助剤(L)0.1〜2質量部、金属水和物(M)100〜300質量部を含有し、前記金属水和物(M)のうち少なくとも50質量%以上が反応性のシランカップリング剤で処理された金属水和物である組成の混合物であって、
    前記熱可塑性樹脂成分(J)の溶融温度以上で加熱・混練してなり、かつ前記の反応性のシランカップリング剤が、ビニル基を末端に有するシランカップリング剤、メタクリロキシ基を末端に有するシランカップリング剤、エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプト基を末端に有するシランカップリング剤、及びアミノ基を有するシランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. (e)ポリプロピレン系樹脂を該熱可塑性樹脂成分(J)中5〜70質量%含む請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. (g)不飽和ジカルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン樹脂を該熱可塑性樹脂成分(J)中2〜20質量%含む請求項1または2のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. エチレンとアクリル酸アルキルとカルボキシル基を有する不飽和炭化水素との三元系共重合体ゴム(h)を該熱可塑性樹脂成分(J)中、(a)成分の代わりに45質量%以下加えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記の反応性のシランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン、及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を導体および/又は光ファイバの外側に被覆してなることを特徴とする配線材及び配線部品。
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