JP5431287B2 - 難燃性樹脂組成物およびそれを用いた成形物品 - Google Patents
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Description
より詳しくは、本発明は、電気・電子機器の内部ないしは外部配線に使用される絶縁電線、圧接性に優れた絶縁電線、電気ケーブル、電気コードや光ファイバ心線、光ファイバコードなどの被覆材として好適な難燃性樹脂組成物およびそれを用いた配線材その他の成形物品に関し、特に燃焼時に腐食性ガスの発生がなく、耐油性、耐摩耗性、使用後のリサイクル処理に適し、環境問題対応の難燃性樹脂組成物とそれを用いた配線材その他の成形物品に関するものである。
このため、これらの配線材に使用される被覆材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドや、分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィンコンパウンドが主として使用されていた。
しかし、これらを燃焼した場合には、被覆材料に含まれるハロゲン化合物から腐食性ガスが発生することがあり、近年、この問題が議論されており、ハロゲン系ガスなどの発生の恐れがないノンハロゲン難燃材料で被覆した配線材の検討がおこなわれている。
ノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させており、例えばエチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体などのエチレン系共重合体に、難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に配合した材料が配線材に使用されている。
この中で、これまで、ノンハロゲン難燃材料に、VW−1や傾斜試験に合格するような高度の難燃性を付与する場合、エチレン系共重合体などの樹脂成分100質量部に対して、難燃剤である金属水和物を120質量部以上配合する必要があり、この結果として、被覆材料の引張特性や耐摩耗性などの機械特性が著しく低下するという問題があった。この問題を解決するために、金属水和物の配合量を減少させ(例えば、樹脂100質量部に対して、難燃剤である金属水和物を120質量部程度)、赤リンを配合する方法がとられている。
ところが、高度の難燃性と機械特性を両立させるために金属水和物と赤リンを配合したノンハロゲン被覆材料は、赤リンの発色のため、その上に印刷することやまたは任意の色に着色することができず、容易に種類や接続部を区別することができる配線材が得られないという問題がある。さらに、リンを含む難燃材料から廃棄後に放出されるリンについても、環境への影響、例えば富栄養化による水資源の汚染などが問題となっている。
このような場合、配線材に高耐熱性を付与することを目的として、被覆材料を電子線架橋法や化学架橋法などによって架橋する方法がとられている。
また一般に難燃性の高いノンハロゲン電線の場合耐油性に乏しく、耐油性が求められる部分への使用が困難であった。
さらに自動車用途などに使用される電線においては、非常に高い摩耗特性が求められており、従来のノンハロゲン電線は耐摩耗性に乏しく、自動車等の摩耗が求められる分野への使用は困難であった。
(1)(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂10〜75質量%、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂25〜90質量%(ただし、(b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含み、(f)は(A)において5〜50質量%を占める)及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤0〜40質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)に、(d)架橋剤、及び、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、並びに、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(2)(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂10〜75質量%、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂25〜90質量%(ただし、(b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含み、(f)は(A)において5〜50質量%を占める)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤0〜40質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(d−1)有機パーオキサイド0.01〜0.6質量部、(e)架橋助剤0.03〜1.8質量部、及び、金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、並びに、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物、
(6)(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)がメタロセン触媒を用いて合成されたポリエチレン樹脂を必須成分とすることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(7)(e)架橋助剤が多官能性(メタ)アクリレート系および/または多官能性ビニルアリル系であることを特徴とする(1)〜(6)いずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物、
(8)成分(f)がオレフィンとポリエン化合物との共重合体であることを特徴とする(1)〜(7)項いずれか1項に記載の難燃樹脂組成物、
(9)成分(f)がエチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムであることを特徴とする(1)〜(7)項いずれか1項に記載の難燃樹脂組成物、
(11)第一工程で(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、並びに、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(d−1)有機パーオキサイド、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする(2)項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
(12)(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−1)有機パーオキサイドの一部、並びに、(e)架橋助剤の一部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−1)有機パーオキサイドの残分、(e)架橋助剤の残分、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする(2)項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
(13)(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−2)フェノール系架橋剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする(3)項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
(15)(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、並びに、(d−2)フェノール系架橋剤の一部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−2)フェノール系架橋剤の残分、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする(3)項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
(17)第一工程で(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(d−1)有機パーオキサイド、(d−2)フェノール系架橋剤、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする(4)項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
(19)(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、及び(d−2)フェノール系架橋剤を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−1)有機パーオキサイド、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする(4)項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法、
(21)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性組成物を導体、光ファイバ素線又は光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品、及び、
(22)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形物品。
さらに本発明の難燃樹脂組成物を被覆又は成形することにより得られた絶縁電線、光ファイバケーブル、成型部品等の成形物品は、任意の色に着色でき、廃棄時の埋立による重金属化合物やリン化合物の溶出や、焼却による多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題がなく、マテリアルリサイクル可能であり、量産性に優れ、耐熱性に優れ、耐摩耗性、耐油性、圧接加工性に優れている。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物の各成分について説明する。
(A)熱可塑性樹脂成分
熱可塑性樹脂成分は(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤からなるものである。ただし、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤は含有しなくとも良い場合がある。
本発明の成分(a)は、得られる組成物中のゴム分散を良好にし、成形品の外観を良好にする効果を有する。
本発明の成分(a)として好ましいパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、13C−核磁気共鳴吸収法によるペンタッド分率においてrrrr/l−mmmmが20%以上であり、かつ示差走査熱量測定法により求められる融解ピーク温度(Tm)が140℃以上及び融解エンタルピー(△Hm)100J/g以下のものである。
このアタクチックポリプロピレン重合体の市販品としては、CAP2880、ATF−207(いずれも商品名、宇部興産社製)などを用いることもできる。
ポリプロピレン樹脂の場合、MFRが0.1g/10分未満では、熱処理後でもポリプロピレン樹脂の分子量が低下せず、得られる樹脂組成物(エラストマー)の成形性が悪くなることがあり、一方、MFRが25g/10分を越えると、低分子量となりすぎて、得られる樹脂組成物の熱衝撃性が著しく低下することがある。
この(a)成分が下限未満では押し出し等の成形加工がいちじるしく困難になり、またこの成分が上限を超えると、フィラーのローディング性が著しく低下し、伸びが著しく低下したり、低温性が低下したり、折り曲げ白化が著しく低下し、得られた成形品も非常に硬いものとなる。
本発明のパーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを含む。)とは、パーオキサイドの存在下で加熱処理することによって架橋反応を起こし、その流動性が低下する樹脂をいう。
パーオキサイド架橋型のポリオレフィン樹脂及び/又はそれを含む共重合ゴム成分としては、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂やエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン系共重合体やエチレン−αオレフィン共重合体、エチレン系共重合体等が挙げられる。
また、(b)成分は後述の(f)成分を必須とし、また、後述の(g)成分を含む場合には、これを含むものである。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂としては、例えばLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、及びメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体等がある。このなかでも、充填されるフィラー受容性および本発明の目的とする樹脂組成物の柔軟性を考慮すると、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。密度は耐油性、耐摩耗性を考慮すると、0.895g/cm3以上が好ましく、さらに好ましくは密度0.900g/cm3、さらに好ましくは0.905g/cm3以上である。また柔軟性を考慮すると0.93g/cm3以下が好ましく、さらに好ましくは0.925g/cm3以下、特に好ましくは0.92g/cm3以下である。この密度の下限には特に制限はないが、通常0.850g/cm3を下限とする。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、メルトフローインデックス(ASTM D−1238)が0.5〜30g/10分のものが好ましい。
メタロセン触媒は、重合活性点が単一であり、高い重合活性を有するものであり、カミンスキー触媒とも呼ばれており、この触媒を用いて合成したエチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布と組成分布が狭いという特徴がある。
このようなメタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体が、高い引張強度、引裂強度、衝撃強度などを有することから、金属水和物を高充填する必要があるノンハロゲン難燃材料(配線材の被覆材料)に使用した場合、高充填された金属水和物による機械特性の低下を小さくすることができるという利点がある。
反面、メタロセン触媒を用いて合成したエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、通常のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合と比べて、溶融粘度の上昇や溶融張力の低下がおこり、成形加工性に問題が生ずる系もある。この点については、メタロセン触媒として非対称な触媒を用いて長鎖分岐を導入し(Constrained Geometory Catalystic Technology)、または合成の際に2つの重合槽を連結することで分子量分布に2つのピークをつくる(Adavnced Performance Terpolymer)ことで、その成形加工性を改良したものもある。
エチレン系共重合体を使用することにより、難燃性を向上させることができる。
エチレン−αオレフィンゴムとしてはエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プテンゴム等が挙げられ、特にエチレン−プロピレンゴムが好ましい。エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)はエチレンとプロピレンのゴム状共重合体である。ここでエチレン・プロピレン共重合体ゴムとはエチレン成分含量が通常40〜75質量%程度のものをいう。
パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂は、熱可塑性樹脂成分100質量%中25〜90質量%、好ましくは30〜88質量%、さらに好ましくは40〜85質量%に含まれる。これが下限未満では強度が低下するだけでなく耐外傷性が著しく低下し、多すぎると押し出し特性が著しく低下し、得られる成形品も非常に硬いものとなる。
(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーは、成分(b)の必須成分であり、ポリエン化合物含有オレフィンコポリマーともいわれ、オレフィンとポリエン化合物との共重合体が好ましく、より好ましくはエチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムである。さらに具体的には、残基の不飽和度が低い、不飽和ゴムであることが好ましくさらに好ましくはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)タイプのゴムのようなオレフィンゴムである。EPDMタイプのゴムは、一般に、2乃至10の炭素原子、好ましくは2乃至8の炭素原子を有する、二つ以上のモノオレフィンモノマー及び5乃至20の炭素原子を有する、一つ以上のポリエン化合物との重合に由来するターポリマーである。前記モノオレフィンは、好ましくは式CH2=CH−Rを有する(式中、RはH又は1乃至12の炭素原子のアルキル)ものであり、さらに好ましくはエチレン及びプロピレンである。好ましくは、エチレン及びプロピレンはポリマー中に5:95乃至95:5(エチレン/プロピレン)の質量比で存在し、ポリマーの約80乃至約99.9質量%を構成するものである。
(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーの配合量は熱可塑性樹脂成分(A)中、5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。
(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマー成分を加えることにより、柔軟性が著しく向上し、金属水和物を大量に加えることが可能となり、難燃性をより向上させることが可能となる。この(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーを50質量部より多く加えると、押し出し加工性が著しく低下する。
またこの(f)ポリエン化合物含有オレフィンのコポリマーが5質量%より少ないと柔軟性が低下したり、耐外傷性が著しく低下する。
本発明の成分(c)としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。
ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
成分(c)は、質量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
本発明で用いられる架橋剤は、好ましくは、(d−1)有機パーオキサイド、又は、(d−2)フェノール系架橋剤である。
本発明で用いられる有機パーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
本発明で使用されるフェノール系架橋剤の基本的成分は、アルカリ媒体中で、ハロゲンで置換されたフェノール、C1〜C10アルキルで置換されたフェノールもしくは非置換のフェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合により、又は二官能性フェノールジアルコール類の縮合により製造されるフェノール系硬化樹脂である。p位でC5〜C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類が好ましい。アルキルで置換されたフェノール硬化樹脂のハロゲン化により製造されるハロゲン化アルキルで置換されたフェノール硬化樹脂も特に適している。メチロールフェノール系樹脂、ハロゲン供与物質及び金属化合物を含むフェノール系硬化剤系は特に推奨され、それらの詳細は、Gillerによる米国特許第3,287,440号及びGerstinらによる米国特許第3,709,840号に記載されている。
1質量部未満では充分な架橋が得られず、引張強さや耐外傷性が低下する。20質量部を超えると架橋が進みすぎ熱可塑性を失ったり、ブツが発生する。
また、本発明においては(d−1)有機パーオキサイドと(d−2)フェノール系架橋剤を同時に用いることもできる。
本発明の一つの好ましい実施形態における難燃性樹脂組成物、またはそれに用いる熱可塑性樹脂成分(A)の製造においては、有機パーオキサイドの存在下で架橋助剤を介してビニル芳香族系熱可塑性エラストマーおよびエチレン・α−オレフィン共重合体との間で部分架橋構造を形成する。
その際使用される架橋助剤としては、一般式
で表される多官能性(メタ)アクリレート系架橋助剤が挙げられる。ここで多官能性(メタ)アクリレート系架橋助剤とはアクリレート系およびメタアクリレート系架橋助剤をさす。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
以上の中でも特にnが1〜6の多官能性(メタ)アクリレート系架橋助剤が好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
本発明の成分(g)は、芳香族ビニル化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、あるいはこれらの水素添加されたもの等を挙げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体を意味する)は、芳香族ビニル化合物を5〜60質量%、好ましくは、20〜50質量%含む。
上記構造を有する本発明に用いる(水添)ブロック共重合体の質量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましくは100,000〜550,000、特に好ましくは100,000〜400,000の範囲である。分子量分布(質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
この使用量が熱可塑性樹脂成分中多すぎると、押し出し負荷が著しく高くなったり、ヒートショック性が著しく低下したりする。
本発明において用いられる金属水和物としては、特に限定はしないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基あるいは結晶水を有する化合物を単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。金属水和物は少なくとも一部がシランカップリング剤で処理されていることが必要であるが、表面処理されていない無処理の金属水和物や脂肪酸等他の表面処理剤で処理した金属水和物を適宜併用することができる。
少なすぎると引張強さが低下したり、難燃性が低下する。多すぎると耐外傷性や伸びが低下したり、また押し出し特性が著しく低下し、良好な外観の成形品が得られない。
本発明において(i)金属水和物が50質量部以上100質量部未満の場合は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してその50質量部以上を、また(ii)金属水和物が100質量部以上の場合はその少なくとも50質量%をシランカップリング剤で前処理した金属水和物とすることにより、多量に金属水和物を加えても強度の低下が生じず、樹脂に大量にフィラーを配合することが可能となる。金属水和物のうち、少なくとも100質量部がシランカップリング剤で処理された水酸化マグネシウムであることが特に好ましい。この所定量よりシラン処理なされている金属水和物の量が少ない場合、力学的強度や耐摩耗性が低下する。また熱老化特性も低下する。さらに金属水和物を300質量部より多く加えると、力学的強度や伸びが著しく低下する。
本発明において架橋度は、ゲル分率で好ましくは30〜45質量%、さらに好ましくは40〜45質量%である。
金属不活性剤としては、N,N'−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1, 2, 4−トリアゾール、2,2'−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが挙げられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられる。
シリコーン化合物としては通常の直鎖のシロキサン構造を有しているシリコーンオイル、ポリジオルガノシロキサンを主原料としたシリコーンゴム、シリコーンゴムの主原料であるシリコーンガム、パウダー状のシリコーンレジン等が挙げられる。
この中でもシリコーンゴムの主原料であるでシリコーンガムが望ましい。シリコーンガムの中でも側鎖にビニル基等の架橋基を有しているシリコーンガムが望ましい。シリコーンガムの基本的な分子構造はシロキサンの側鎖にメチル基、ビニル基、フェニル基を有しているものが挙げられるが、その他のアルキル基、アルケニル基等、芳香族基の選択も可能である。側鎖にビニル基等の架橋基を有しているシリコーンガムの使用により、コンパウンド時に行われる際の緩やかな架橋反応において、シリコーンガムと他のポリマーやシラン処理なされた金属水和物と結合し、ブリードがなく、しかも表面平滑性に優れ、さらに圧接の際のストレインリリーフにおける被覆材の形状変化が生じないで圧接加工を行うことが可能である。しかも電線の表面平滑性が優れているため、自動機の量産加工性も非常に優れている。
このシリコーン化合物の含有量は樹脂成分100質量部に対して0.5質量部〜12質量部がよい。これをあまり多く加えると、電線の量産性が著しく低下し、さらに圧接コネクタの電線保持力も著しく低下する為である。
またこのシリコーンガム等の代わりに、シリコーンでグラフトされた例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体、或いはシリコーンを予め混合したポリオレフィンやエチレン共重合体を加えてもよい。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−1)および成分(e)及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。このように成分(a)、(b)、(c)を予め溶融混練してミクロな分散を生じせしめてから、成分(d−1)、(e)、(B)を加えて混練を加熱処理下に行い、部分架橋物を生成させることが、特に好ましい物性をもたらす。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−1)および成分(e)の残分及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−2)及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。このように成分(a)、(b)、(c)を予め溶融混練してミクロな分散を生じせしめてから、成分(d−2)、(B)を加えて混練を加熱処理下に行い、部分架橋物を生成させることが、特に好ましい物性をもたらす。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−2)及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は、好ましくは180〜240℃である。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−1)、(d−2)、(e)及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−1)の残分、(d−2)の残分、(e)の残分及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−1)、(e)及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
次に第二工程は、第一工程で得られた組成物に、成分(d−2)及び成分(B)の全部を加え、更に加熱下に混練して部分架橋を生じせしめる。このときの温度は(a)及び(b)の溶融温度以上、好ましくは180〜240℃である。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
本発明の樹脂組成物を配線材の被覆材として使用する場合には、好ましくは押出被覆により、導体の外周に形成した少なくとも1層の前記本発明の難燃性樹脂組成物からなる被覆層を有すること以外、特に制限はない例えば、導体としては軟銅の単線又は撚線などの公知の任意のものを用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物を被覆層として有する配線材においては、導体の周りに形成される絶縁層(本発明の難燃性樹脂組成物からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが通常0.15mm〜5mm程度である。
架橋を行う場合の方法として、常法による電子線照射架橋法や化学架橋法が採用できる。
化学架橋法の場合は、樹脂組成物に有機パーオキサイドを架橋剤として配合し、押出成形して被覆層とした後に常法により加熱処理により架橋をおこなう。
本発明の難燃性樹脂組成物を被覆層として有する光ファイバ心線は、用途によってはさらに周囲に被覆層を設けないでそのまま使用される。
図1は、光ファイバ素線1の外周に直接、難燃性樹脂組成物からなる被覆層2を設けた光ファイバ心線の一例の断面図である。
図2は、複数の抗張力繊維4を縦添えした1本の光ファイバ心線3の外周に被覆層5を形成した光ファイバコードの一例の断面図である。
図3は、2本の光ファイバ心線3および3の外周にそれぞれ複数の抗張力繊維4を縦添えし、さらにその外周に被覆層6を形成した光ファイバコード(光ファイバ2心コード)の一例の断面図である。
なお、表1及び2に示す数字は特に記載がない場合、質量部を示すものである。
(a)成分として、
(a−1)プロピレン・エチレン・ブロック共重合体
製造会社:チッソ株式会社
商品名:P1075
融点(Tm):162℃
曲げ弾性率:1080MPa
MFR: 0.5 g/10分
(a−2)アタクチックポリプロピレン
製造会社:CAP2880
商品名:宇部興産(株)
融点(Tm):143℃
結晶融解熱量(ΔHm):25J/g
(b)成分として、
(b−1)エチレン−αオレフィン共重合体(メタロセン触媒で合成された)
製造会社:日本ポリケム(株)
商品名:カーネルKF360
密度:0.898g/cm3
MFR:3.5g/10分
コモノマー:ヘキセン−1
(b−2)マレイン酸変性ポリエチレン
製造会社:三井住友ポリオレフィン
商品名:アドマーXE−070
(b−3)エチレン−酢酸ビニル共重合体
製造会社:三井デユポンポリケミカル
商品名:EV−170
VA含有量:33質量%
(b−4)エチレン−プロピレンゴム
製造会社:JSR株式会社
商品名:EP07P
エチレン成分含有量:70質量%
(c)成分として:パラフィンオイル
製造会社:出光興産株式会社
商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90
重量平均分子量:540
芳香族成分の含有量:0.1%以下
動的粘度(37.8℃):95cSt
流動点:−15℃
引火点(COC):270℃
(d)成分として、
(d−1)有機パーオキサイド
製造会社:日本油脂株式会社
商品名:パーヘキサ25B
種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン
(d−2)フェノール系架橋剤
製造会社:田岡化学株式会社
商品名:タッキロール25(ハロゲン化アルキルフェノールホルムアルデヒド付加重合物、アルキルフェノールのアルキル基の炭素数5,重合度4)
・ハロゲン化水素掃去剤としては酸化亜鉛を用いた。
(e)成分として:トリエチレングリコールジアクリレート
製造会社:新中村化学株式会社
商品名:NKエステル3G
(f)成分として、
(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム
製造会社:JSR株式会社
商品名:EP57P
エチレン成分含有量:66質量%
ポリエン化合物含有量:4.5質量%(5−エチリデン−2−ノルボルネン)
(g)成分として:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)
製造会社:株式会社クラレ
商品名:セプトン4077
スチレン成分含有量:30質量%
イソプレン成分含有量:70質量%
重量平均分子量:320,000
分子量分布:1.23
水素添加率:90%以上
(B)成分として:水酸化マグネシウム
製造会社:協和化学社製
商品名:キスマ5L
種類:末端にビニル基を有するシランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウム
又は、
製造会社:協和化学社製
商品名:キスマ5B
種類:オレイン酸で表面処理した水酸化マグネシウム
各成分を表1、表2に示すような配合量とし組成物を調製した。
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径:1.14mmφ錫メッキ軟銅撚線 構成:30本/0.18mmφ)上に、あらかじめ溶融した絶縁被覆用の樹脂組成物を押出被覆して、外径3.2mmの絶縁電線を製造した。
得られた各シートについて、以下の物性を測定しその結果を表1、表2に併せて示した。
引張特性(伸び(%)及び強さ(MPa)は、JIS K 6723に基づいて評価を行った。
加熱変形試験は、JIS 6723 (121℃)に基づいて評価を行った。数値の単位は%である。
硬さは、JIS K 7215のAタイプに基づいて評価を行った。
シートの各特性については、伸びは150%以上、抗張力8MPa以上を合格とし、硬度は96以下を合格とした。
水平燃焼試験は、各絶縁電線について、JIS C 3005に規定される水平燃焼試験をおこない、30秒以内で自消したものを合格としてカウントし、3個中の合格数を示した。
垂直燃焼試験は、各絶縁電線について、UL1581に規定される垂直燃焼試験(VW−1)を行い、5個中の合格数を示した。
押し出し性試験は、30mmφの押出機で押し出しを行い、モーター負荷が正常範囲内で押し出しが行えたもので外観良好なものを○、押し出し負荷がやや大きいものや外観がやや悪かったものを△、押し出し負荷が著しく大きく押し出し困難又は不可なものを×、押し出し機が不可過大で途中で止まってしまったものを××として評価した。△以上が実用上問題のないレベルであり合格である。
また、押し出し被覆ができないもの、又は、ブリードが生じたものは、表中の電線特性の最下欄にそれぞれ「押し出し不可」、「ブリード」と記した。
一方、実施例1〜6で得られた難燃性樹脂組成物とこれを用いたシート、電線は、耐摩耗性、及び引張強さに優れ、かつ、通常、必要とされる伸び、外観特性を有し、燃焼試験、加熱試験の結果のいずれも良好で、さらに押し出し性にも優れていた。
なお、実施例1、2、6は参考例である。
2 被覆層
3 光ファイバ心線
4 抗張力繊維
5 被覆層
6 被覆層
7 絶縁電線
7a 絶縁被覆層
7b 導体
8 台
9 クランプ
10 荷重
11 ブレード
11a、11b ブレードの刃部の面
Claims (20)
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂10〜75質量%、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂25〜90質量%(ただし、(b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、(f)は(A)において5〜50質量%を占め、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤0〜40質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)に、(d)架橋剤、及び、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、並びに、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂10〜75質量%、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂25〜90質量%(ただし、(b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、(f)は(A)において5〜50質量%を占め、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤0〜40質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(d−1)有機パーオキサイド0.01〜0.6質量部、(e)架橋助剤0.03〜1.8質量部、及び、金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、並びに、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂10〜75質量%、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂25〜90質量%(ただし、(b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、(f)は(A)において5〜50質量%を占め、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤0〜40質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)に、成分(f)100質量部に対して、(d−2)フェノール系架橋剤1〜20質量部、及び、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、金属水和物(B)を50〜300質量部の割合で含有し、並びに、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂10〜75質量%、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂25〜90質量%(ただし、(b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、(f)は(A)において5〜50質量%を占め、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤0〜40質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)に、成分(f)100質量部に対して、(d−2)フェノール系架橋剤1〜20質量部、及び熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、(d−1)有機パーオキサイド0.01〜0.6質量部、(e)架橋助剤0.03〜1.8質量部、及び、金属水和物(B)50〜300質量部の割合で含有し、並びに、前記金属水和物(B)は、
(i)前記金属水和物(B)が50質量部以上100質量部未満の場合は、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対してシランカップリング剤で前処理された金属水和物が50質量部以上;
(ii)前記金属水和物(B)が100質量部以上300質量部以下の場合は、金属水和物(B)の少なくとも半量が、シランカップリング剤で前処理された金属水和物である
組成の混合物であって、前記熱可塑性樹脂成分(A)の溶融温度以上で加熱・混練してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - (b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)の一部を、(g)芳香族ビニル化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体、および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体とし、前記ブロック共重合体、および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体の量が熱可塑性樹脂成分(A)中40質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
- (b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)がメタロセン触媒を用いて合成されたポリエチレン樹脂を必須成分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
- (e)架橋助剤が多官能性(メタ)アクリレート系および/または多官能性ビニルアリル系であることを特徴とする請求項1、2、4、5又は6いずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)及び、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−1)有機パーオキサイド、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項2記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 第一工程で(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、並びに、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(d−1)有機パーオキサイド、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項2記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−1)有機パーオキサイドの一部、並びに、(e)架橋助剤の一部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−1)有機パーオキサイドの残分、(e)架橋助剤の残分、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項2記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−2)フェノール系架橋剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項3記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 第一工程で(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、並びに、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(d−2)フェノール系架橋剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項3記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、並びに、(d−2)フェノール系架橋剤の一部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−2)フェノール系架橋剤の残分、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項3記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−1)有機パーオキサイド、(d−2)フェノール系架橋剤、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 第一工程で(a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤を加熱・混練して熱可塑性樹脂成分(A)を得た後に、第二工程でこの樹脂成分(A)と(d−1)有機パーオキサイド、(d−2)フェノール系架橋剤、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(fエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−1)有機パーオキサイドの一部、(d−2)フェノール系架橋剤の一部及び(e)架橋助剤の一部を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−1)有機パーオキサイドの残分、(d−2)フェノール系架橋剤の残分、(e)架橋助剤の残分、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤及び(d−2)フェノール系架橋剤を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−1)有機パーオキサイド、(e)架橋助剤、並びに、金属水和物(B)を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- (a)パーオキサイド分解型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、(b)パーオキサイド架橋型の熱可塑性ポリオレフィン樹脂((b)は、(f)エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含み、かつ、(b)は、メタロセン触媒存在下に合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。)、及び(c)非芳香族系ゴム用軟化剤、(d−1)有機パーオキサイド、並びに、(e)架橋助剤を(a)及び(b)の溶融温度以上で加熱・混練し、架橋処理行った後に、(d−2)フェノール系架橋剤、並びに、金属水和物(B)の全部を(a)及び(b)の溶融温度以上で再度加熱・混練し、架橋処理することを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性組成物を導体、光ファイバ素線又は光ファイバ心線の外側に被覆層として有することを特徴とする成形物品。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形物品。
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