JP2007301667A - 金属製薄板ドラム切断装置及び金属製薄板ドラム切断方法 - Google Patents

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Kenjiro Ukitsu
憲二郎 浮津
Tomonori Ukei
友紀 請井
Atsushi Nishijima
篤師 西島
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Abstract

【課題】 良好な切断面を得、ドラムの変形を回避し、刃先の耐久性を向上し、一度に複数のリングを製造して生産性の向上を図る。
【解決手段】 金属製薄板ドラム切断装置は、金属製薄板ドラム(5)の外周側面に圧接する外側カッター(89)と、該金属製薄板ドラム(5)の内周側面に圧接する内側カッター(91)と、前記外側カッター(89)と内側カッター(91)を前記金属製薄板ドラム(5)の周方向に公転させつつ自転させる駆動手段(73、73a、74、74a、75、75a、76、77、78、79、80、81、82、83、90、92、93、94、95、96)とを備え、前記外側カッター(89)と内側カッター(91)は、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃(89a、89c、91b)と弾性体(89b、91a、91c)とを交互に積層して構成されている。
【選択図】 図7

Description

本発明は、金属製薄板ドラム切断装置及び金属製薄板ドラム切断方法に関し、詳しくは、金属製薄板ドラムを所定幅ずつ端から裁断することができる金属製薄板ドラムの支持装置及び支持方法に関する。
金属製薄板からなる無端ベルト、たとえば、無段変速機用ベルトのエレメント結束リングは、矩形状の金属製薄板の両辺部を溶接接合して形成された円筒状のドラムを所定幅ずつ輪切り状に裁断することによって製造される。
かかる裁断のための従来技術としては、たとえば、特許文献1に記載された「金属製薄板ドラムの切断装置及びその切断方法」が知られている。
図13は、従来技術の概念構造図である。この図において、金属製薄板ドラム(以下、単にドラムという)5の周方向に沿って、その外周面側に金属製の刃当てロール200が配置され、その内周面側に金属製の切刃ロール201とウレタンパッド等の弾性体202とが配置されている。刃当てロール200と弾性体202はドラム5を間に挟んで対向し、また、刃当てロール200はシャフト203に固定されており、さらに、切刃ロール201と弾性体202は互いに当接した状態で、シャフト203と並行するシャフト204に固定されている。
シャフト203及びシャフト204は、たとえば、矢印205、206の方向に回転しながら、軸間距離Lを減少させるようになっており、これによって、切刃ロール201の端に形成されている鋭角な刃先207をドラム5に食い込ませて、いわゆる“突き切り方式”により、ドラム5を輪切り状に切断するようになっている。
特開2001−353612号公報
しかしながら、上記の従来技術にあっては、以下の問題点がある。
(1)鋭角な刃先207を用いた“突き切り方式”によってドラム5を切断する仕組みとなっているため、たとえば、図13(c)に示すように、ドラム5の切断面にバリ208、209や傾斜面210を生じやすく、バリ208、209を取り除いたり、傾斜面210を修正したりするための二次作業が必要になる。
(2)ドラム5の切断部分(リング5a)は、刃当てロール200と弾性体202によって両面から挟装保持されるので変形しにくいが、ドラム5の残余の部分はどこにも保持されていないため、当該部分が刃先207の突き上げ力を受けて変形(図13(c)の一点鎖線参照)しやすい。
(3)鋭角な刃先207は、すぐに丸くなって切れ味が落ちやすく、切刃ロール201の耐久性が低い。
(4)一度の切断で一つの製品(リング5a)しか作ることができず、生産性が悪い。
そこで、本発明は、良好な切断面を得ること、ドラムの変形を回避すること、刃先の耐久性を向上すること、一度に複数のリングを製造して生産性の向上を図ることのすべて又はそれらの一部を達成した金属製薄板ドラム切断装置及び金属製薄板ドラム切断方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明に係る金属製薄板ドラム切断装置は、金属製薄板ドラムの外周側面に圧接する外側カッターと、該金属製薄板ドラムの内周側面に圧接する内側カッターと、前記外側カッターと内側カッターを前記金属製薄板ドラムの周方向に公転させつつ自転させる駆動手段とを備え、前記外側カッターと内側カッターは、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明に係る金属製薄板ドラム切断装置は、請求項1記載の発明において、前記切刃の外周面が平滑になっており、また、前記切刃の外周面と回転軸とが平行になっており、且つ、切刃の外周面と側面との交角が略直角になっていることを特徴とする請求項1記載の金属製薄板ドラム切断装置。
請求項3記載の発明に係る金属製薄板ドラム切断方法は、金属製薄板ドラムの外周側面に、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成され外側カッターを圧接させるとともに、該金属製薄板ドラムの内周側面に、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成され内側カッターを圧接させた状態で、前記外側カッターと内側カッターを前記金属製薄板ドラムの周方向に公転させつつ自転させながら、前記金属製薄板ドラムを切断することを特徴とする。
本発明によれば、金属製薄板ドラムの内・外周側面に圧接する外側カッターと内側カッターが、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成されているため、その切刃の枚数に応じて、金属製薄板ドラムを輪切り状に切断することができる。
また、前記切刃の外周面が平滑で、しかも、前記切刃の外周面と回転軸とが平行になっており、且つ、切刃の外周面と側面との交角が略直角になっているため、金属製薄板ドラムの切断を“せん断力”によって行うことができる。このため、従来技術における切断方式(突き切り方式)の欠点、すなわち、バリ208、209や傾斜面210の発生を回避して、修正のための二次作業を不要にすることができる。
さらに、切刃の角度を略直角(ほぼ90度)としたので、状来技術のような鋭角な刃先207のものと比べて、切れ味が落ちにくく、切刃の耐久性を向上できる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
図1は、本実施形態の金属製薄板ドラム切断装置1の構成図である。この図において、金属製薄板ドラム切断装置1は、共通の架台2の上に載置されたドラム支持部3と、本発明の特徴的事項を有するドラム切断部4とを備える。
<ドラム支持部3の構成と動作>
まず、ドラム支持部3の構成と動作を説明する。ドラム支持部3は、架台2の上に載置された下部ベース12を備える。この下部ベース12は、長手方向をドラム切断部4の方向に指向したケース13と、このケース13の内部の両端間にケース13の長手方向に沿って配設されるとともに、その両端部分を支持部材14、15によって回転自在に支持されたボールネジ16と、このボールネジ16を回転駆動する第一モータ17とを有する。
下部ベース12の上には、この下部ベース12と並行する上部ベース18が配設されており、この上部ベース18も、長手方向をドラム切断部4の方向に指向したケース19と、このケース19の内部の両端間にケース19の長手方向に沿って配設されるとともに、その両端部分を支持部材20、21によって回転自在に支持されたボールネジ22と、このボールネジ22を回転駆動する第二モータ23とを有している。
さらに、この上部ベース18のケース19の下面に一体的に形成された二つの脚部24、25の一方(図では右側の脚部24)は、下部ベース12のボールネジ16に螺合し、また、二つの脚部24、25の他方(図では左側の脚部25)は、下部ベース12のケース13の上に、そのケース13の長手方向に沿って滑動可能に載置されている。
上部ベース18の上には、ドラム5を支持するための支持機構部26が配置されている。この支持機構部26は、上部ベース18のケース19の上面に一体的に取り付けられた第一外枠部27と、上部ベース18のボールネジ22に螺合する第二外枠部28とを含む。第一外枠部26は、第一モータ17を回転駆動することによって上部ベース18と一体となって図面の左右方向に移動可能であり、また、第二外枠部27は、第二モータ23を回転駆動することによって単独で図面の左右方向に移動可能である。
第一外枠部27には、円筒状の開口29が形成されており、この開口29には、充分な長さを有する円筒状のセンターバー30の後端30aが軸受31を介して回転自在に挿入されている。このセンターバー30の後端30aの軸穴30bには、ドローバー32が縮退自在に挿通されており、このドローバー32の後端(図では右端)には、拡張シリンダ33のピストン34が固定されている。
センターバー30の先端(図では左端)には、このセンターバー30の開口径よりも若干大きめのカバー35が取り付けられており、カバー35の軸穴35aには、ドローバー32の先端が縮退自在に挿通されている。ドローバー32の先端には、ドローバー32の軸と直交するアーム部材36が固定されており、このアーム部材36の端部には、拡張リンク37を介して拡張部材38が取り付けられている。この拡張部材38の形状は、たとえば、略L字状を有しており、且つ、その拡張部材38の一端が支点39によってカバー35の端に回転自在に支持されているとともに、その拡張部材38の略中間部分が前記の拡張リンク37を介してアーム部材36に揺動可能に支持されている。
第二外枠部28には、センターバー30の外周面を滑動及び回転可能に保持する円筒状の開口40が形成されており、さらに、この第二外枠部28には、チャックシリンダ41や、センターバー30と同軸の鍔部42などが形成されている。
鍔部42の両面にはそれぞれ軸受43、44が設けられており、この軸受43、44を介して回転自在な第三外枠部45が配置されている。第三外枠部45には、センターバー30の外周面を軸受46を介して滑動及び回転可能に保持する円筒状部材47が取付られている。
この円筒状部材47の端部には、基準パッド48と、その基準パッド48の外周面に当接する割コレット49と、この割コレット49の外周面上を軸方向に移動可能な外筒50とが設けられている。外筒50には、結合部材51とシャフト52を介してチャックシリンダ41のピストン53が接続されており、チャックシリンダ41のピストン53を動かすことによって、外筒50が割コレット49の外周面上を軸方向に移動し、基準パッド48と割コレット49との間の隙間54の大きさを加減するようになっている。
このような構成を有するドラム支持部3は、以下の動作を行うことができる。
<支持機構部26の移動>
第一モータ17を回転駆動することによって、上部ベース18と一緒に支持機構部26を図面の左右方向に動かすことができる。たとえば、図1の状態は、以下に説明する手順でドラム5を支持機構部26に支持させた後に、その支持機構部26をドラム切断部4の方向に移動させたときの様子を示している。この場合、支持機構部26に支持されているドラム5の先端がドラム切断部4に入り込むため、このドラム切断部4の機能により、ドラム5を所定幅ずつ輪切り状に裁断することが可能になる。なお、ドラム切断部4の構成と動作については、後で詳しく説明する。
<センターバー30の引き込み動作>
図2は、センターバー30の引き込み動作の説明図である。第一モータ17を回転駆動して支持機構部26の第一外枠部27をドラム切断部4から遠ざける方向(図面の右方向)に移動するとともに、第二モータ23を回転駆動して支持機構部26の第二外枠部28をドラム切断部4に近付ける方向(図面の左方向)に移動することにより、センターバー30の先端部分を支持機構部26に引き込むことができる。
これは、第一外枠部27がセンターバー30の後端を支持すると共に、第二外枠部28がセンターバー30の外周面を回動及び滑動自在に支持しているからである。なお、センターバー30を支持機構部26に引き込む理由は、ドラム5を外部から持ち込んで図示のようにセットする際に、センターバー30が邪魔にならないようにするためである。
<ドラム5の端部支持動作>
センターバー30の先端部分を支持機構部26に引き込んだ後に、拡張シリンダ33のピストン34を図面の右方向に動かすことにより、センターバー30の内部のドローバー32を第一外枠部27の方向に引き込むことができる。
これにより、ドローバー32の先端に取り付けられているアーム部材36を当該引き込み方向に移動させ、そのアーム部材36の端部に拡張リンク37を介して揺動自在に取り付けられている拡張部材38を矢印55の方向に揺動させることができる。また、このときに、チャックシリンダ41によって外筒50を図面の右方向(矢印56の方向)に移動させることにより、基準パッド48と割コレット49との間の隙間54を広げることができる。
図3は、ドローバー32を第一外枠部27の方向に引き込み且つ基準パッド48と割コレット49との間の隙間54を広げたときの状態図である。このように、隙間54を拡大することにより、その隙間54にドラム5の先端を容易に差し込むことができる。
図4は、ドラム5の端部支持動作の説明図である。上記のように、拡大状態の隙間54にドラム5を差し込んだ後、チャックシリンダ41によって外筒50を図面の左方向(矢印57の方向)に移動させることにより、基準パッド48と割コレット49との間の隙間54を減少させることができ、隙間54に差し込まれたドラム5を所要の力(外筒50の矢印57の方向への移動量に比例する力)で挟持することができる。
<ドラム5の内周面支持動作>
図5及び図6は、ドラム5の内周面支持動作の説明図である。まず、第二モータ23を回転駆動して支持機構部26の第二外枠部28をドラム切断部4から遠ざかる方向(図面の右方向)に移動させる。これにより、隙間54に支持されているドラム5が同方向に移動し、センターバー30の先端部分の拡張部材38がドラム5の内部を図面の左方向に相対移動(矢印58の方向)する。
そして、センターバー30の拡張部材38がドラム5の内周面の所望の位置に達したときに、第二モータ23を回転駆動を停止するとともに、拡張シリンダ33のピストン34を動かしてセンターバー30の内部のドローバー32を突き出すことにより、ドローバー32の先端に取り付けられているアーム部材36が当該突き出し方向(矢印59)に移動し、そのアーム部材36の端部に拡張リンク37を介して揺動自在に取り付けられている拡張部材38が矢印60の方向に揺動する結果、ドラム5の内周面を拡径方向に押圧して、ドラム5の内周面の所望位置を拡張支持することができる。
<ドラム切断部4の構成と動作>
次に、本発明の特徴的事項を有するドラム切断部4の構成と動作について説明する。
図7は、ドラム切断部4の全体構成図、図8は、ドラム切断部4の要部構成図である。これらの図において、ドラム切断部4は、ドラム支持部3と共通の架台2の上に載置固定された主軸台70を有する。この主軸台70には、不図示のドラム支持部3に支持されたドラム5の中心軸71(以下、第一回転軸という)に沿って穿設された軸受72が形成されており、この軸受72には、同軸状に積層された三つの回転軸73〜75が個別回転自在に挿入されている。以下、これら三つの回転軸73〜75のことを、それぞれ外回転軸73、中間回転軸74、内回転軸75ということにする。
外回転軸73、中間回転軸74及び内回転軸75の左端には、それぞれローラや歯車等の駆動部材73a、74a、75aが取り付けられており、これらの駆動部材73a、74a、75aを介して不図示の駆動源(モータ等)から、外回転軸73、中間回転軸74及び内回転軸75の各々に対して個別の回転駆動力が伝達されるようになっている。
外回転軸73の右端には、この外回転軸73と一体的となって第一回転軸71の回りを回転する回転部材76が取り付けられており、この回転部材76の両端には、第一回転軸71から等距離隔てて並行する一対のアーム77、78が水平方向に延設して取り付けられている。
また、中間回転軸74の右端には、第一歯車79が取り付けられており、さらに、内回転軸75の右端には、第一ローラ80が取り付けられている。第一歯車79は、回転部材76に回転自在に取り付けられたシャフト81と一体の第二歯車82と噛合し、このシャフト81の先端には、第二ローラ83が取り付けられている。
一対のアーム77、78の間には、第一回転軸71と直交する方向のカッター軸可動レール84が張り渡されており、このカッター軸可動レール84には、図8に示すように、外側カッター89のシャフト90を支持する外側カッターシャフト用ベアリングボックス90aと、内側カッター91のシャフト92を支持する内側カッターシャフト用ベアリングボックス92aとが設けられているともに、さらに、外側カッターシャフト用ベアリングボックス90aを図面の上下方向に駆動する2個の外側カッター用シリンダ85、85と、内側カッターシャフト用ベアリングボックス92aを図面の上下方向に駆動する1個の内側カッター用シリンダ86とが設けられている。
これらのシリンダ(2個の外側カッター用シリンダ85、85と1個の内側カッター用シリンダ86)を駆動することにより、外側カッター89のシャフト90と内側カッター91とを近づけたり遠ざけたりできる。
図7に示すように、外側カッター89のシャフト90の左端には、第三ローラ93が取り付けられており、この第三ローラ93と第一ローラ80との間には、ベルト94が掛け渡されている。同様に、内側カッター91のシャフト92の左端には、第四ローラ95が取り付けられており、この第四ローラ95と第二ローラ83との間には、ベルト96が掛け渡されている。なお、上記のとおり、外側カッター89のシャフト90と内側カッター91のシャフト92とを近づけたり遠ざけたりできるようになっているため、これらのベルト94、96にあっては、シャフト90、92の移動を阻害しない仕組み又は材質となっていること(たとえば、若干の伸縮が可能な仕組み又は材質)が望ましい。
外側カッターシャフト用ベアリングボックス90aには、外側カッター用シリンダ85のピストン85aが接続されており、このピストン85aを油圧や空気圧等で動かすことによって、外側カッターシャフト用ベアリングボックス90aの中心軸99(以下、第二回転軸という)を第一回転軸71に近づけたり遠ざけたりすることができ、これにより、外側カッター89を白抜き矢印100の方向に任意に動かすことができるようになっている。
同様に、内側カッターシャフト用ベアリングボックス92aには、内側カッター用シリンダ86のピストン86aが接続されており、このピストン86aを油圧や空気圧等で動かすことによって、内側カッターシャフト用ベアリングボックス92aの中心軸103(以下、第三回転軸という)を第一回転軸71に近づけたり遠ざけたりすることができ、これにより、内側カッター91を白抜き矢印104の方向に任意に動かすことができるようになっている。
外側カッター89は、2枚の切刃89a、89cの間にウレタンパッド等からなる弾性体89bを挟み込んで構成されており、切刃89a、89cと弾性体89bはそれぞれ等幅且つ等径の円盤状外形を有している。一方、内側カッター91も、等幅且つ等径の円盤状の切刃や弾性体を有する点で外側カッター89と共通するが、内側カッター91は、ウレタンパッド等からなる2枚の弾性体91a、91cの間に切刃91bを挟み込んで構成されている点で相違する。
外側カッター89及び内側カッター91の切刃89a、89c、91bは、いずれも工具鋼等の硬質素材から作られた所定幅且つ所定径の円盤状外形を有しているが、少なくとも、切刃89a、89c、91bの外周面が平滑になっていること、切刃89a、89c、91bの外周面と回転軸(第二回転軸99や第三回転軸103)とが平行になっていること、及び、切刃89a、89c、91bの外周面と側面との交角が略直角(ほぼ90度)になっていることに構造上のポイントがある。
図9及び図10は、外側カッター89と内側カッター91の拡大図である。図9(a)に示すように、外側カッター89と内側カッター91を互いに離反する方向(矢印Aの方向)に移動させて、外側カッター89と内側カッター91の間に隙間105を作り、この隙間105にドラム5を差し入れる。
ドラム5を切断する際には、まず、図9(b)に示すように、隙間105にドラム5を差し入れた状態で、内側カッター91をドラム5の内周面に接近する方向(矢印Bの方向)に移動させていき、ドラム5の内周面に内側カッター91を当接させる。
次いで、図10に示すように、外側カッター89を内側カッター91に接近する方向(矢印B′の方向)に移動させていきながら、外側カッター89と内側カッター91を自転させつつ、ドラム5の周方向に公転させる。このとき、外側カッター89と内側カッター91の切刃89a、89c、91bが交互に噛み合うため、各々の噛み合い点(符号C及びD参照)で、ドラム5に“せん断力”(Fa、Fb、Fc)が作用する。
そして、この状態で、外側カッター89と内側カッター91を自転させつつ、外側カッター89と内側カッター91をドラム5の周方向に公転させることにより、上記の“せん断力”を用いて、ドラム5の端部を輪切り状に切断することができる。
図11は、外側カッター89と内側カッター91の「自転」及び「公転」の動作を示す図である。この図において、前記のドラム支持部3に支持されているドラム5の外側と内側の各々の周方向に沿って、外側カッター89と内側カッター91が当接しており、ドラム5には、上記の“せん断力”が作用している。
このとき、外側カッター89の回転軸(第二回転軸99)に「駆動部材75a、内回転軸75、第一ローラ80、ベルト94、第三ローラ93及びシャフト90」などからなる駆動手段を介して駆動源からの回転力を伝え、また、内側カッター91の回転軸(第三回転軸103)に「駆動部材74a、中間回転軸74、第一歯車79、第二歯車82、シャフト81、第二ローラ83、ベルト96、第四ローラ95及びシャフト92」などからなる駆動手段を介して駆動源からの逆向きの回転力を伝えることにより、これらの回転力によって、外側カッター89と内側カッター91が互いに逆向き(矢印106、107参照)に「自転」する。さらにまた、外側カッター89と内側カッター91の各々のシャフト90、92を支持するカッター軸可動レール84に「駆動部材73a、外回転軸73、回転部材76、アーム77及びアーム78」などからなる駆動手段を介して駆動源からの回転力を伝えることにより、この回転力によって、外側カッター89と内側カッター91の各々のシャフト90、92がドラム5の中心軸(第一回転軸71)の回りを一定方向(矢印108、109参照)に「公転」する。
このように、外側カッター89と内側カッター91に「自転」と「公転」の運動を与えることにより、ドラム5の全周にわたって上記の“せん断力”を作用させ、当該ドラム5の端部を輪切り状に切断することができる。
以上のとおりであるから、本実施形態のドラム切断部4を有する金属製薄板ドラム切断装置1によれば、次の効果が得られる。
まず、外側カッター89及び内側カッター91の切刃89a、89c、91bは、いずれも工具鋼等の硬質素材から作られた所定幅且つ所定径の円盤状外形を有しており、且つ、少なくとも、切刃89a、89c、91bの外周面が平滑になっていること、切刃89a、89c、91bの外周面と回転軸(第二回転軸99や第三回転軸103)とが平行になっていること、及び、切刃89a、89c、91bの外周面と切刃89a、89c、91bの側面との交角が略直角(ほぼ90度)になっているという構造上のポイントを備えるため、ドラム5の切断に際しては、冒頭で説明した従来技術のような“突き切り方式”ではなく“せん断力”を用いた方式でその切断を行うことができ、“突き切り方式”の欠点、すなわち、バリ208、209や傾斜面210の発生を極小化することができる。
また、切刃89a、89c、91bの角度を略直角(ほぼ90度)としたので、状来技術のような鋭角な刃先207のものと比べて、切れ味が落ちにくく、切刃89a、89c、91bの耐久性を向上できる。
また、複数の切刃89a、89c、91bを交互に配列すると共に、それらの切刃89a、89c、91bと弾性体91a、89b、91cとの間でドラム5を挟み込むようにしたので、切断時のドラム5の変形を抑制することができる。
さらに、複数の切刃89a、89c、91bを有するので、その切刃枚数に対応した個数(切刃枚数−1個)の裁断部品(リング5a、5b)を作ることができ、生産性の向上を図ることができる。
なお、上記の実施形態では、3枚(2+1枚)の切刃89a、89c、91bを有する例を示したが、これに限定されない。
図12は、切刃枚数を5枚(3+2枚)とした例の構成図である。この図において、外側カッター110は、3枚の切刃110a、110c、110eの間にウレタンパッド等からなる弾性体110b、110dを挟み込んで構成されており、切刃110a、110c、110eと弾性体110b、110dはそれぞれ等幅且つ等径の円盤状外形を有している。一方、内側カッター111も、等幅且つ等径の円盤状の切刃や弾性体を有する点で外側カッター110と共通するが、内側カッター111は、ウレタンパッド等からなる3枚の弾性体111a、111c、111eの間に2枚の切刃111b、111dを挟み込んて構成されている点で相違する。このように構成すると、一度に3個(切刃枚数−1個)の裁断部品を作ることができ、さらに生産性の向上を図ることができる。
本実施形態の金属製薄板ドラム切断装置1の構成図である。 センターバー30の引き込み動作の説明図である。 ドローバー32を第一外枠部27の方向に引き込み且つ基準パッド48と割コレット49との間の隙間54を広げたときの状態図である。 ドラム5の端部支持動作の説明図である。 ドラム5の内周面支持動作の説明図である。 ドラム5の内周面支持動作の説明図である。 ドラム切断部4の全体構成図である。 ドラム切断部4の要部構成図である。 外側カッター89と内側カッター91の拡大図である。 外側カッター89と内側カッター91の拡大図である。 外側カッター89と内側カッター91の「自転」及び「公転」の動作を示す図である。 切刃枚数を5枚(3+2枚)とした例の構成図である。 従来技術の概念構造図である。
符号の説明
1 金属製薄板ドラム切断装置
5 金属製薄板ドラム
73 外回転軸(駆動手段)
73a 駆動部材(駆動手段)
74 中間回転軸(駆動手段)
74a 駆動部材(駆動手段)
75 内回転軸(駆動手段)
75a 駆動部材(駆動手段)
76 回転部材(駆動手段)
77、78 アーム(駆動手段)
79 第一歯車(駆動手段)
80 第一ローラ(駆動手段)
81 シャフト(駆動手段)
82 第二歯車(駆動手段)
83 第二ローラ(駆動手段)
89 外側カッター
89a、89c 切刃
89b 弾性体
90 シャフト(駆動手段)
91 内側カッター
91a、91c 弾性体
91b 切刃
92 シャフト(駆動手段)
93 第三ローラ(駆動手段)
94 ベルト(駆動手段)
95 第四ローラ(駆動手段)
96 ベルト(駆動手段)

Claims (3)

  1. 金属製薄板ドラムの外周側面に圧接する外側カッターと、該金属製薄板ドラムの内周側面に圧接する内側カッターと、前記外側カッターと内側カッターを前記金属製薄板ドラムの周方向に公転させつつ自転させる駆動手段とを備え、
    前記外側カッターと内側カッターは、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成されていることを特徴とする金属製薄板ドラム切断装置。
  2. 前記切刃の外周面が平滑になっており、また、前記切刃の外周面と回転軸とが平行になっており、且つ、切刃の外周面と側面との交角が略直角になっていることを特徴とする請求項1記載の金属製薄板ドラム切断装置。
  3. 金属製薄板ドラムの外周側面に、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成され外側カッターを圧接させるとともに、該金属製薄板ドラムの内周側面に、等幅且つ等径の円盤状外形を有する切刃と弾性体とを交互に積層して構成され内側カッターを圧接させた状態で、前記外側カッターと内側カッターを前記金属製薄板ドラムの周方向に公転させつつ自転させながら、前記金属製薄板ドラムを切断することを特徴とする金属製薄板ドラム切断方法。

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