JP2007301466A - 磁性微粒子に担持された4級アンモニウム塩とその製造方法、並びにそれからなる磁性微粒子担持相間移動触媒及びそれを用いた相間移動反応 - Google Patents

磁性微粒子に担持された4級アンモニウム塩とその製造方法、並びにそれからなる磁性微粒子担持相間移動触媒及びそれを用いた相間移動反応 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気による分離回収が可能で尚且つ再利用も可能な相間移動触媒を提供する。
【解決手段】下記に表される、磁石により分離回収可能な磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いる。
Figure 2007301466

(式中、Mは、磁性体微粒子を表し、Rは炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Rは炭素数が1から3のアルキル基を表す。Xは酸の陰イオンを表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、分離回収が容易で尚且つ再利用可能な新規4級アンモニウム塩とその製造方法、並びに前記磁性微粒子担持4級アンモニウム塩からなる相間移動触媒、及びそれを用いた相間移動反応に関する。
相間移動反応は環境調和型の有機合成反応としてその有用性が認識され、広く研究されているだけでなく、多くの化合物の工業的製法にも応用されている。しかしながら、相間移動反応の触媒として用いられる4級アンモニウム塩等は反応後の分離回収が困難な為、触媒の再利用ができないことが問題となっている。そこで、反応終了後の分離回収が容易で尚且つ再利用可能な相間移動触媒の開発が求められている。
上記の問題を解決する手段として、相間移動触媒をポリマーに担持させることによって、ろ過による触媒の分離回収を可能にする方法が提案されている。例えば、非特許文献1、2にはポリスチレン上に担持された4級アンモニウム塩を用いる相間移動反応が記載されている。しかしながら、ポリマーを担体として用いることで、有機溶媒による膨潤の為に使用できる溶媒が限定されることや操作性が悪化すること、物理的に壊れやすいこと、熱安定性が悪いこと等の新たな問題点が生まれる。
一方、マグネタイトやフェライト等の磁性材料はナノサイズの微粒子が製造可能であり、その表面に機能性有機分子を担持させることも可能である。例えば特許文献1、2にはナノサイズの磁性微粒子に担持された生理活性物質や酵素の製造方法が記載されている。しかも、これらの磁性微粒子は無機材料である為、有機溶媒による膨潤も起きず、ポリマー粒子と比べて熱的にも物理的にも安定であることが予想される。更に、磁気により迅速に分離回収することが可能であるというポリマーには無い最大の特徴を有している。
しかしながら、これらの特許文献において磁性微粒子に担持されるものは生理活性物質や酵素にすぎず、相間移動触媒については未だに知られていないのが現状である。
米国特許第4672040号明細書 特開2005−60221号公報 Journal of the American Chemical Society、1975年、第97巻、5956−5957頁 Reactive and Functional Polymers、1999年、第41巻,37−43頁
本発明は上記に挙げた従来技術の問題点を克服する為になされたものであって、4級アンモニウム塩を磁性微粒子に担持させることで、磁気による分離回収が可能で尚且つ再利用も可能な相間移動触媒を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、磁性微粒子に相間移動触媒を固定化することによって、触媒が磁気により操作可能となるため、反応後の触媒の分離回収および再利用が大幅に簡便になるに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)磁性体微粒子上に、下記の一般式(1)
Figure 2007301466
(式中、Rは炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Xは酸の陰イオンを表す。)で表される4級アンモニウム塩部位を有するシロキシ基が結合していることを特徴とする磁性微粒子担持4級アンモニウム塩。
(2)下記の一般式(2)
Figure 2007301466
(式中、Rは炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Rは炭素数が1から3のアルキル基を表す。Xは酸の陰イオンを表す。)で表されるトリアルコキシシリル基を有する4級アンモニウム塩と磁性微粒子を反応させることを特徴とする上記(1)の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩の製造方法。
(3)上記(1)の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩からなることを特徴とする相間移動触媒。
(4)上記(1)の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を触媒に用いることを特徴とする相間移動反応。
本発明の効果
本発明によれば、磁気操作可能な磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を得ることができる。こうして得られた磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いることにより、相間移動反応を有効に進めることができるだけでなく、触媒の迅速且つ簡便な分離回収と再使用が可能となる。
本ハツメイニヨリ得られる、新規な磁性微粒子担持4級アンモニウム塩は、磁性微粒子上に、前記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩部位を有するシロキシ基が結合しているものであって、下記のとおり表される。
Figure 2007301466
(式中、Mは磁性微粒子を表し、磁性微粒子R炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Xは酸の陰イオンを表す。)
以下、上記[化5]で表される磁性微粒子担持4級アンモニウム塩について、その詳細を具体的に記述する。
Mは磁性微粒子を表す。本発明で担体として用いる磁性微粒子の種類には特に制限が無く、マグネタイト、フェライト、マグヘマイト等、公知のものであれば如何なるものでも使用できる。
本発明における磁性微粒子は如何なる大きさものでも使用可能であるが、小さすぎると磁気によって回収する事が困難となり、大きすぎても触媒効率が低下する為、100nmから100μmの粒径を有するものが好ましい。
は、炭化水素基であり、アルキレン基、芳香環上に置換基を有する或は有しないアリール基の中から選ばれる。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基等が挙げられる。
また、R、R、Rは、炭化水素基であり、それぞれが結合して環を形成していてもよく、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、芳香環上に置換基を有する或は有しないアリール基の中から選ばれる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基等が挙げられる。
さらに、Xは酸の陰イオンを表す。好ましいものとして、具体的にはF、Cl、Br、Iのハロゲンイオンの他、OH、HSO 、NO 、(CFSO、CFSO 、(CFSO、PF 、BF 等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
次に、本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩の製造方法について以下に記述する。
上記の本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩は、下記の一般式(2)
Figure 2007301466
(式中、Rは炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Rは炭素数が1から3のアルキル基を表す。Xは酸の陰イオンを表す。)で表されるトリアルコキシシリル基を有する4級アンモニウム塩と磁性微粒子とを溶媒中で反応させることにより得ることができる。
この反応に使用できる溶媒は原料となる一般式(2)で表されるアンモニウム塩を溶解し得るものであれば特に制限は無く、具体的にはエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。これらの溶媒は単独での使用に限られず、適宜混合して用いてもよい。また、この反応では有機溶媒に対して0.5〜1%の水の添加で反応が促進される場合もある。
反応条件としては、反応温度が低すぎると反応が進行しにくく、また、高すぎても好ましくない副反応が起こる可能性があることから、0℃から150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは25℃から120℃の範囲である。又、反応時間は一概に定める事はできないが、通常は12時間〜24時間で十分である。
本発明においては、原料となる一般式(2)で表される4級アンモニウム塩と磁性微粒子の使用割合に特に制限はないが、磁性微粒子に対して原料となるアンモニウム塩の割合が少なすぎると担持量が減少し、また大量に使用しすぎても製造コストの無駄につながる恐れが有る事から、磁性微粒子1モル当たり0.5〜5モルの範囲の4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いることにより、各種の相間移動反応を進行させることができる。具体的にはハロゲン交換反応、脱ハロゲン化水素反応、エーテル合成反応、シアノ化反応、酸化反応等が挙げられる。以下にこれらの中の反応例について示す。なお、本発明の前記磁性微粒子担持4級アンモニウム塩は前記した相間移動反応に用いることができるものであり、相間移動反応であれば、ここに挙げられる相間移動反応以外の相間移動反応にも使用することができる。
上記[化5]で表される本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を触媒として用いることにより、以下の反応を行うことができる。
すなわち、前記触媒の存在下に、下記一般式(3)
−X (3)
(式中Rは炭化水素基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、ベンジル基から選ばれるいずれの基でもよい。XはF、Cl、Br、Iから選ばれるハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化アルキルと、下記一般式(4)
OM (4)
(式中Rは炭化水素基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基から選ばれるいずれの基でもよい。MはLi、Na、Kの中から選ばれる金属原子を表す。)で表される金属アルコキシドを、溶媒の存在下に反応させ、下記一般式(5)
OR (5)
(式中R、Rは前記と同じ意味を持つ。)で表されるエーテル化合物を製造することができる。
この反応は、溶媒に原料物質、及び触媒を添加・溶解させる。溶媒には、水及び有機溶媒を用いる。有機溶媒は炭化水素、ハロゲン化炭化水素等を用いる。反応温度に制限はないが、低すぎると反応の進行が遅くなり、また、高すぎても望ましくない副反応が起こる可能性のあることから、20℃〜120℃で行うのが好ましい。反応中は反応溶液を激しく撹拌する。反応終了後、反応容器の外壁に磁石を密着させることで、触媒のみが反応容器の内壁に集積する為、生成物を含む反応溶液のみをデカンテーションによって分別することが可能である。反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析することにより目的物質の収率を求めることができるが、溶媒抽出することによって目的物質を単離することも可能である。また、触媒は反応容器に残る為、次の反応にそのまま使用することができる。
かくして、上記[化5]で表される本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いることで効率的に相間移動反応を行うことができる。更に、磁気を利用することで、従来のポリマー担持型相間移動触媒に比べ、触媒の分離回収および再利用が大幅に簡便にすることが可能である。
更に詳細な説明の為、以下に実施例を記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)(マグネタイト微粒子の製造)
塩化鉄(II)4水和物1.99gと塩化鉄(III)6水和物3.24gを蒸留水2.4lに加え、減圧脱気し、窒素雰囲気下で撹拌した。均一溶液になるまで撹拌した後、1.5Nの水酸化アンモニウム水溶液を激しく撹拌しながら溶液のpHが約9になるまで滴下した。生成した黒色コロイドはネオジウム磁石により凝集させ、上澄み液はデカンテーションにより取り除いた。残った黒色沈殿を蒸留水で5回、エタノールで2回洗浄した後、減圧乾燥を行い1.63gのマグネタイトを得た。
(実施例2)(ヨウ化トリエチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムの製造)
(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン1.45gをジクロロメタン5mlに溶解し、トリエチルアミン0.56gを加えて40℃で24時間撹拌した。混合物を減圧濃縮して得られた固体をヘキサン、エーテルでそれぞれ3回洗浄した後、減圧乾燥する事により、ヨウ化トリエチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム1.55gを得た(収率79%)。
H−NMR(499MHz,CDCl):δ=0.74(t,2H,J=7.6Hz),1.41(t,9H,J=7.3Hz),1.75−1.85(m,2H),3.29−3.35(m,2H),3.48(q,6H,J=7.3Hz),3.59(s,9H). 13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=5.4,8.1,15.8,50.7,53.7,58.8. FAB−MS(positive):m/z=264([M−I]).
(実施例3)(ヨウ化トリ−n−ブチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムの製造)
(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン5.80g、トリ−n−ブチルアミン3.71g、トルエン10mlの混合物を100℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、分離した粗生成物を含む下層をヘキサン、エーテルでそれぞれ3回洗浄した後、減圧乾燥する事により、ヨウ化トリ−n−ブチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム8.50gを得た(収率88%)。
H−NMR(499MHz,CDCl):δ=0.76(t,2H,J=7.6Hz),0.98(t,9H,J=7.3Hz),1.41(sextet,6H,J=7.3Hz),1.68−1.86(m,8H),3.33−3.39(m,8H),3.59(s,9H). 13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=5.5,13.8,16.3,19.8,24.3,50.9,59.3,60.6. FAB−MS(positive):m/z=348([M-I]).
(実施例4)(ヨウ化トリ−n−ペンチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムの製造)
(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン5.80g、トリ−n−ペンチルアミン4.55g、トルエン10mlの混合物を120℃で36時間撹拌した。室温まで冷却後、混合物を減圧濃縮して得られる粗生成物をヘキサン/エーテル(1/1)、ヘキサンでそれぞれ3回洗浄した後、減圧乾燥する事により、ヨウ化トリ−n−ペンチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム7.64gを得た(収率74%)。
H−NMR(499MHz,CDCl):δ=0.76(t,2H,J=7.3Hz),0.94(t,9H,J=7.3Hz),1.36−1.45(m,12H),1.66−1.84(m,8H),3.30−3.41(m,8H),3.59(s,9H). 13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=5.5,10.1,16.3,22.1,22.3,28.5,50.9,59.5,60.6.FAB−MS(positive):m/z=390([M−I]).
(実施例5)(ヨウ化トリ−n−ヘキシル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムの製造)
実施例4においてトリ−n−ペンチルアミンをトリ−n−ヘキシルアミン5.39gに変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、ヨウ化トリ−n−ヘキシル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム10.5gを得た(収率94%)。
H−NMR(499MHz,CDCl):δ=0.76(t,2H,J=7.6Hz),0.90(t,9H,J=7.0Hz),1.29−1.47(m,18H),1.65−1.89(m,8H),3.30−3.42(m,8H),3.59(s,9H). 13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=5.4,13.7,16.1,22.17,22.24,25.9,31.1,50.7,59.3,60.4. FAB−MS(positive):m/z=432([M−I]).
(実施例6)(ヨウ化トリ−n−ヘプチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムの製造)
実施例4においてトリ−n−ペンチルアミンをトリ−n−ヘプチルアミン6.23gに変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、ヨウ化トリ−n−ヘプチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム11.1gを得た(収率92%)。
H−NMR(499MHz,CDCl):δ=0.76(t,2H,J=7.6Hz),0.89(t,9H,J=7.0Hz),1.24−1.44(m,24H),1.65−1.88(m,8H),3.29−3.41(m,8H),3.59(s,9H). 13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=5.5,13.9,16.2,22.3,22.4,26.7,28.7,31.5,50.8,59.4,60.5. FAB−MS(positive):m/z=474([M-I]).
(実施例7)(ヨウ化トリ−n−オクチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムの製造)
(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン4.66g、トリ−n−オクチルアミン5.69g、トルエン5mlの混合物を120℃で36時間撹拌した。室温まで冷却後、混合物を減圧濃縮して得られる粗生成物をヘキサンで3回洗浄した後、エーテル20mlを加え撹拌した。不溶物をろ過により除いた後、ろ液を減圧濃縮する事により、ヨウ化トリ−n−オクチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム6.61gを得た(収率64%)。
H−NMR(499MHz,CDCl):δ=0.76(t,2H,J=7.6Hz),0.88(t,9H,J=7.0Hz),1.21−1.45(m,30H),1.64−1.87(m,8H),3.27−3.42(m,8H),3.59(s,9H). 13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=5.4,14.0,16.2,22.4,22.5,26.4,28.98,29.0,31.6,50.8,59.4,60.5. FAB−MS(positive):m/z=516([M-I]).
(実施例8)(触媒1の製造)
マグネタイト微粒子308mg、ヨウ化トリエチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム2.60g、クロロホルム10mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、更に12時間還流撹拌した。室温まで冷却後、ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテーションによって磁性体のみを分離し、クロロホルムで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、303mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子のハロゲン元素分析によりヨウ素の含有量は3.18%であることがわかった。
(実施例9)(触媒2の製造)
マグネタイト微粒子578mg、ヨウ化トリ−n−ブチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム5.94g、クロロホルム20mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテーションによって磁性体のみを分離し、クロロホルムで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、531mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子のハロゲン元素分析によりヨウ素の含有量は2.29%であることがわかった。
(実施例10)(触媒3の製造)
マグネタイト微粒子663mg、ヨウ化トリ−n−ペンチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム7.41g、クロロホルム23mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテーションによって磁性体のみを分離し、クロロホルムで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、620mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子のハロゲン元素分析によりヨウ素の含有量は1.68%であることがわかった。
(実施例11)(触媒4の製造)
マグネタイト微粒子495mg、ヨウ化トリ−n−ヘキシル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム6.01g、クロロホルム17mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテーションによって磁性体のみを分離し、クロロホルムで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、479mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子のハロゲン元素分析によりヨウ素の含有量は1.43%であることがわかった。
(実施例12)(触媒5の製造)
マグネタイト微粒子619mg、ヨウ化トリ−n−ヘプチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム8.05g、クロロホルム21mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテーションによって磁性体のみを分離し、クロロホルムで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、562mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子のハロゲン元素分析によりヨウ素の含有量は1.50%であることがわかった。
(実施例13)(触媒6の製造)
マグネタイト微粒子429mg、ヨウ化トリ−n−オクチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウム5.96g、クロロホルム15mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテーションによって磁性体のみを分離し、クロロホルムで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、405mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子のハロゲン元素分析によりヨウ素の含有量は1.27%であることがわかった。
(実施例14)
ナトリウムフェノキシド三水和物128mg(0.750mmol)、触媒1(64mg、アンモニウム塩0.0225mmol相当)、1−ブロモブタン0.12ml(1.50mmol)、トルエン1ml、水1mlの混合物をオイルバス中100℃で12時間撹拌した。内標準物質としてテトラデカン20μlを反応混合物に加え、ガスクロマトグラフィーによりブチルフェニルエーテルの収率を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例14〜19)
実施例14において触媒1に代えて表1に示した触媒を用いた以外は実施例14と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例14において触媒1を省略した以外は実施例14と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例14において触媒1に代えてヨウ化トリ−n−ブチルアンモニウム8.3mg(0.0225mmol)を用いた以外は実施例14と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2007301466
かかる表1の結果から明らかなように、触媒2、3、4はヨウ化トリ−n−ブチルアンモニウム比べてほぼ同等或はそれ以上の触媒活性を有することが確認された。これにより本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩が相間移動反応に対して有効な触媒となることが認められたのである。
(実施例20〜22)(触媒の再利用)
実施例16の反応終了後、反応容器の外壁にネオジウム磁石を密着させることで触媒を反応容器の壁面に集めた。そのままデカンテーションすることで上澄み溶液のみを別の容器へと移した。反応容器に残った触媒をヘキサン、水でそれぞれ3回洗浄し、減圧乾燥した後、実施例16と同じ条件下でのブチルフェニルエーテルの製造に用いた。これらの操作を繰り返し行った結果を表2に示す。
Figure 2007301466
表2の結果から本発明の磁性微粒子担持相間移動触媒は磁気により迅速且つ容易に分離回収されるだけでなく、繰り返し再使用可能であることが確認された。
本発明の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩は、磁気により迅速且つ容易に分離回収されるだけでなく、繰り返し再使用可能であることから、環境調和型の有機合成反応である相間移動反応において特に有用であり、多くの化合物の工業的製法に用いることができる。

Claims (4)

  1. 磁性体微粒子上に、下記の一般式(1)
    Figure 2007301466
    (式中、Rは炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Xは酸の陰イオンを表す。)で表される4級アンモニウム塩部位を有するシロキシ基が結合していることを特徴とする磁性微粒子担持4級アンモニウム塩。
  2. 下記の一般式(2)
    Figure 2007301466
    (式中、Rは炭化水素基を表す。R、R、Rは炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。Rは炭素数が1から3のアルキル基を表す。Xは酸の陰イオンを表す。)で表されるトリアルコキシシリル基を有する4級アンモニウム塩と磁性微粒子を反応させることを特徴とする請求項1記載の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩の製造方法。
  3. 請求項1記載の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩からなることを特徴とする相間移動触媒。
  4. 請求項1記載の磁性微粒子担持4級アンモニウム塩を触媒に用いることを特徴とする相間移動反応。
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