本発明は、遊技盤の盤面に下穴を形成する遊技盤用の下孔加工システムに関するものである。
代表的な遊技機であるパチンコ機の遊技盤には、遊技領域内に多数の遊技釘が打設されると共に、図柄変動ゲームを行なう図柄表示装置や、該図柄表示装置での図柄変動ゲームを開始させる始動入賞装置、大当りの発生時に開放する大型の特別入賞装置等の多数の遊技部品が配設されている。そして、打球発射装置の操作により遊技領域内に打ち出されたパチンコ球が、遊技釘に接触して方向を変更しながら流下する際に、前記入賞装置に入賞することで、所要の遊技が行なわれるようになっている。
ところで、遊技盤は、所定の厚み寸法に設定された合板の一面に、所要の絵柄等が描かれたメラミン樹脂等の合成樹脂で形成した化粧板を貼着して構成されている。このため、遊技釘を遊技盤に直接打ち込むと、化粧板の表面で遊技釘の先端が滑って遊技釘の打設位置や遊技釘の傾斜角度に誤差が生じたり、化粧板にひび割れが生じたりすることもある。そこで、遊技釘の打設に先立って遊技盤に下穴を形成し、遊技釘の打設位置のズレや化粧板のひび割れを防止する技術が提案されている。例えば特許文献1には、保持台に遊技盤を載置保持し、該遊技盤に対してポンチを取り付けた加工部材を近接移動することで、遊技盤に対して下穴を形成する下孔加工装置が開示されている。なお、特許文献1の下孔加工装置では、水平面に対して傾斜するよう前記保持台が設けられると共に、前記加工部材を鉛直方向に移動するよう設けて、遊技盤に対して斜めに下孔を形成するよう構成されている。
特開2003−320093号公報
ところで、遊技盤に形成する下孔の直径が大きくなったり、小さくなったりすると、遊技釘を打設した際に釘の位置ズレが生じ易く、正確な座標に釘が打設されない虞があることから、遊技盤にはできる限り一定の下孔を形成することが望まれる。しかしながら、遊技盤の厚みは、遊技盤を構成する合板や化粧板の寸法公差に起因して一台毎に異なる。一方で、従来の下孔加工装置では、下孔加工時における加工部材の移動距離が予め設定されて(多くの場合は厚み寸法の平均値とした遊技盤に対する下孔加工時の移動距離とされる)、遊技盤の厚み寸法に拘わらず設定した距離だけ加工部材を移動させるよう構成されている。このため、平均値より厚みの大きい遊技盤では、加工部材のポンチが盤面に深く刺さって下穴の直径が大きくなる一方、平均値より厚みの小さい遊技盤では、盤面へのポンチの刺さりが浅く下穴の直径が小さくなってしまい、下孔の大きさにバラツキが生じていた。すなわち、従来の下孔加工装置では、遊技盤の厚み寸法に誤差がある場合には一定の直径の下孔を形成することができず、遊技釘の打設時における遊技釘の位置ズレが生ずるといった問題を解消するのは困難であった。
そこで、本発明は、遊技盤の厚み寸法に誤差がある場合であっても、遊技盤に一定の下穴を形成し得る下孔加工システムを提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技盤用の下孔加工システムは、
遊技盤(50)の盤面に遊技釘用の下孔を形成する下孔加工システムにおいて、
前記遊技盤(50)の遊技釘打設位置に対応してポンチ(32)が設けられ、加工位置にある遊技盤(50)の盤面に対して近接および離間移動可能な加工部材(28)と、
前記加工部材(28)に接続され、前記ポンチ(32)が遊技盤(50)から離間する第1位置、およびポンチ(32)で遊技盤(50)に下孔を形成する第2位置の間で加工部材(28)を移動させる駆動手段(36)と、
加工前の遊技盤(50)の厚み寸法(T)を測定する測定手段(42)と、
前記測定手段(42)の測定結果に基づいて前記駆動手段(36)を駆動制御して、前記加工部材(28)の第1位置から第2位置までの移動距離(M)を変更する制御手段(44,60)とを備えることを要旨とする。
このように、遊技盤に対する下孔加工に先立って測定手段で遊技盤の厚み寸法を測定し、該測定手段の測定結果に基づいて加工部材の第1位置から第2位置までの移動距離を遊技盤毎に変更するよう構成したことで、遊技盤の厚み寸法に誤差がある場合であっても、一定の下孔を遊技盤の盤面に形成することが可能となる。
請求項2に係る遊技盤用の下孔加工システムは、前記制御手段(44,60)は、前記遊技盤(50)における厚み寸法(T)の許容誤差の最小値(Ts)に対応する前記加工部材(28)の移動距離(M)が基準移動距離(Ms)として設定され、
前記測定手段(42)の測定値(L)が前記遊技盤(50)の許容誤差範囲内の場合には、前記加工部材(28)の移動距離(M)が前記測定値(L)と最小値(Ts)との寸法差(D)だけ前記基準移動距離(Ms)より短くなるよう制御手段(44,60)が前記駆動手段(36)を駆動制御することを要旨とする。
このように、測定手段の測定値が遊技盤の許容誤差範囲内の場合には、測定値と最小値との寸法差だけ加工部材の移動距離を基準移動距離より短くすることで、遊技盤の厚み寸法に誤差がある場合であっても、一定の下孔を遊技盤の盤面に形成することができる。
請求項3に係る遊技盤用の下孔加工システムは、前記制御手段(44,60)に駆動制御されて加工位置の遊技盤(50)を排除する排除手段(16,18)を備え、
前記測定手段(42)の測定値(L)が遊技盤(50)における厚み寸法(T)の許容誤差範囲外の場合には、加工前に遊技盤(50)を加工位置から排除するよう前記制御手段(44,60)が前記排除手段(16,18)を駆動制御することを要旨とする。
このように、測定手段の測定値が前記遊技盤としての許容誤差範囲外の場合には、加工前に排除手段が加工位置にある遊技盤を排除することで、基準に適合しない遊技盤を効率的に区別することが可能となる。
請求項4に係る遊技盤用の下孔加工システムは、前記加工部材(28)は、前記遊技盤(50)の盤面に異なる形状または大きさの下孔を形成する第2ポンチ(34)が設けられると共に、加工位置にある遊技盤(50)の盤面に対して垂直方向に近接および離間するよう構成され、
前記ポンチ(32)は、遊技盤(50)の盤面に対して斜め方向から遊技釘を打設可能な下孔を形成し、前記第2ポンチ(34)は、遊技盤(50)の盤面に対して垂直方向から固定部材を固定可能な下孔を形成するようになっていることを要旨とする。
このように、加工部材に第2のポンチ部材を設けることで、1回の加工で異なる形状または大きさの下孔を遊技盤に形成することができる。また測定手段の測定結果に基づいて加工部材の移動距離を変更するから、遊技盤の厚み寸法に誤差がある場合であっても、第2のポンチ部材により一定の下孔を形成することが可能となる。
本発明に係る遊技盤用の下孔加工システムによれば、遊技盤の厚み寸法に誤差がある場合であっても、遊技盤に一定の下穴を形成し得る。
次に、本発明に係る遊技盤用の下孔加工システムにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、所定の厚み寸法に設定された合板の一面に、所要の絵柄等が描かれたメラミン樹脂等の合成樹脂で形成した化粧板を貼着して形成された遊技盤に、遊技釘打設用の下孔およびビス取付用の下孔を形成する下孔加工システムを例にして説明する。
図1は、実施例1に係る遊技盤用の下孔加工システムの下孔加工ライン10を概略で示す説明図である。前記下孔加工ライン10は、前工程から遊技盤50を搬送する第1コンベア12と、該第1コンベア12の下流端に配設された下孔加工装置20と、該下孔加工装置20に接続する回転式搬送装置16と、該回転式搬送装置16に接続し、遊技盤50を次工程へ搬送する第2コンベア14と、該第2コンベア14とは異なる位置で回転式搬送装置16に接続する第3コンベア18と、第1〜第3コンベア12,14,18および回転式搬送装置16を制御する制御装置44(図4参照)とから基本的に構成されている。実施例1では、ルータ加工機で各種遊技部品取付用の取付孔(図示せず)を形成した遊技盤50を前記第1コンベア12で下孔加工装置20へ搬送し、該下孔加工装置20で下穴を形成した遊技盤50を前記第2コンベア14で次工程となる釘打ち機へ搬送するようになっている。ここで、前記回転式搬送装置16は、回転により搬送方向を第2コンベア14および第3コンベア18に任意に変更し得るローラコンベアタイプのものが採用され、常には搬送方向が第2コンベア14へ向く姿勢で保持されて(図7(a)参照)、遊技盤50を加工ラインから排除する場合に90度回転して搬送方向が第3コンベア18へ向く(図7(b)参照)よう前記制御装置44が制御する。なお、実施例1では、前記第1〜第3コンベア12,14,18としてローラーコンベアを用いている。
前記下孔加工装置20は、図2または図3に示すように、前記第1コンベア12の下方に配置されて第1コンベア12より幅広に形成された本体部22と、該本体部22の4隅に立設された支柱24,24,24,24と、第1コンベア12の上方に配置されて4本の支柱24の上端部近傍に固定された固定台26と、第1コンベア12および固定台26の間に配置される加工部材28と、固定台26の上面に配設されて加工部材28を昇降移動させるサーボモータ(駆動手段)36と、本体部22に固定されたアーム41に取り付けられて第1コンベア12で搬送された遊技盤50の厚み寸法Tを測定する厚み測定センサ(測定手段)42とを基本的に備えている。すなわち、前記下孔加工装置20の本体部22および加工部材28は、前記第1コンベア12の下流端を挟んで上下に位置する。ここで、前記厚み測定センサ42は、前記下孔加工装置20における最上流側に位置するよう配置されて、遊技盤50の下穴形成に先立って前記第1コンベア12により搬送された遊技盤50の厚み寸法Tを測定し、該測定値L(すなわち遊技盤50の厚み寸法T)を前記制御装置44に送信するようになっている。
前記固定台26は、図1〜図3に示すように、略矩形状に形成されて、4隅近傍に前記支柱24の上端部が夫々固定されている。また、前記固定台26の略中央位置には、上下に開口する開口部26aが形成されており、該固定台26の上面に配設した前記サーボモータ36の回転軸36aが開口部26aの上方に臨んでいる。そして、前記サーボモータ36の回転軸36aに、円盤状のカム板38が連結固定されると共に、前記固定台26の開口部26aを介して加工部材28側に延在する連結杆40の一方の端部(上端部)が、該カム板38の偏心する位置に回転可能に枢支されている。
また、図2または図3に示すように、前記加工部材28は、前記固定台26と略整合する矩形板状に形成されて、4隅近傍に上下に貫通するよう形成した通孔28a,28a,28a,28aの夫々に、対応する支柱24,24,24,24が挿通される。また、前記加工部材28の上面には、上方へ突出する一対の支持片29,29が形成されて、前記連結杆40の他方の端部(下端部)が支持片29,29の間に介挿した状態で回転可能に枢支されている。すなわち、前記加工部材28は、前記サーボモータ36の駆動によりカム板38を回転させて前記連結杆40を上下方向に変位させることで、前記支柱24に沿って昇降移動し、第1コンベア12上の遊技盤50に対して垂直方向に近接および離間移動し得るようになっている。
また、前記加工部材28の下面には、前記遊技盤50に打設する遊技釘の打設位置に対応させた複数の第1ポンチ(ポンチ)32と、遊技盤50の取付孔に臨ませた遊技部品を固定するビスの取付位置に対応させた複数の第2ポンチ34とを設けたゲージ板30が取り付けられている。すなわち、前記加工部材28の昇降移動に伴って、ゲージ板30が遊技盤50に対して垂直方向から近接および離間し、該ゲージ板30が遊技盤50に近接した際に、該第1および第2ポンチ32,34の先端が遊技盤50に刺さることで、各ポンチ32,34が各対応の形状・大きさの下孔を形成するようになっている(図5参照)。なお、実施例1では、前記加工部材28が基準移動距離Msだけ移動した際に、基準厚み寸法Tsの遊技盤50に対して第1ポンチ32が直径0.8mm、深さ1.5mmの下孔を形成し、前記第2ポンチ34が直径1.8mm、深さ3.0mmの下孔を形成するよう構成してある。
ここで、実施例1では、遊技機として許容し得る遊技盤50の厚み寸法Tは、19.815mm≦T≦20.415mmの範囲に設定されて、遊技盤50の厚み寸法Tの最小値が前記基準厚み寸法Tsとして前記制御装置44に設定されている。従って実施例1では、基準厚み寸法Tsは19.815mmに設定される。なお、許容可能な遊技盤50の厚み寸法Tの範囲は一例であって、必要に応じて変更可能である。また、前記基準移動距離Msは、基準厚み寸法Tsの遊技盤50に対して適切な大きさの下孔を形成可能な加工部材28の移動距離Mを示すものである。ここで、実施例1では、前記加工部材28を最上方位置から最下方位置まで変位させた場合に加工部材28が移動する移動距離(すなわちサーボモータ36を1回転した際における加工部材28の移動距離)が、前記基準移動距離Msとなるよう構成してある。
また、以下の説明において、最も上方に位置して遊技盤50から離間する前記加工部材28の位置を第1位置と指称し、遊技盤50に近接して第1および第2ポンチ32,34で遊技盤50に下孔を形成する前記加工部材28の位置を第2位置と指称する(図5参照)。すなわち、加工部材28の第2位置は、遊技盤50の厚み寸法Tに応じて加工部材28の移動距離Mを変更するよう制御装置44が制御することにより適宜変化するものである(後述)。なお、前記ゲージ板30は、前記加工部材28に対して着脱可能に構成されて、加工部材28に取り付けるゲージ板30を、加工する遊技盤50の遊技釘打設位置およびビス取付位置に合わせて第1および第2ポンチ32,34を設けたものに交換し得るようになっている。
前記制御装置44は、前記厚み測定センサ42が測定した測定値Lが遊技盤50の許容誤差範囲(すなわち19.815mm≦L≦20.415mm)にある場合には、該測定値Lに基づいて前記サーボモータ36を駆動制御して、前記加工部材28が第1位置から第2位置まで移動する距離を変更する。具体的には、19.815mm≦L≦20.415mmに設定した区分領域F1と、L<19.815mmおよび20.415mm<Lに設定した区分領域2とを設定した記憶手段46を設けて(表1参照)、厚み測定センサ42の測定値Lが記憶手段46の区分領域F1に属する場合には、遊技盤50の基準厚み寸法Tsと測定値Lとの寸法差Dだけ、加工部材の移動距離Mを基準移動距離Msより短縮するよう前記サーボモータ36を駆動制御し、厚み測定センサ42の測定値Lが記憶手段46の区分領域F2に属する場合には、前記回転式搬送装置16および第3コンベア18を駆動制御して下孔加工前に遊技盤50を加工位置から排除するよう構成される。
すなわち、前記厚み測定センサ42の測定値Lが遊技盤50の許容誤差範囲内の場合(すなわち、測定値Lが19.815mm≦L≦20.415mm、表1における区分領域F1)には、制御装置44は、前記加工部材28の第1位置から第2位置までの移動距離Mが、M={(基準移動距離Ms)−(寸法差D)}となるようサーボモータ36を駆動制御する(図6参照)。例えば、前記測定値L=19.815mmの場合には、寸法差D=0mmであるから、制御装置44はサーボモータ36を1回転するよう駆動制御して加工部材28を基準移動距離Msだけ移動させ、測定値L=20.000mmの場合には、寸法差D=0.185mmであるから、制御装置44はサーボモータ36を正回転するよう駆動制御して加工部材28を{(基準移動距離Ms)−(0.185mm、寸法差D)}だけ下降移動させた後に、サーボモータ36を逆回転するよう制御装置44が駆動制御する。そして、前記加工部材28が第1位置に復帰して遊技盤50に対する下孔加工が完了すると、前記第1コンベア12を駆動して遊技盤50を回転式搬送装置16へ搬送し、該回転式搬送装置16が受取った遊技盤50を前記第2コンベア14へ搬送するよう前記制御装置44が第1コンベア12、回転式搬送装置16および第2コンベア14の夫々を駆動制御するようになっている。
一方、前記厚み測定センサ42の測定値Lが許容誤差範囲外にある場合(すなわちL<19.815mmおよび20.415mm<L、表1における区分領域F2)には、下孔加工を行なう前に遊技盤50を排除するよう前記第1コンベア12、回転式搬送装置16および第3コンベア18の夫々を制御するよう前記制御装置44が設定されている。具体的には、前記第1コンベア12を駆動して下孔加工前の遊技盤50を回転式搬送装置16へ搬送し、搬送方向が第3コンベア18側へ向くよう前記回転式搬送装置16を90度回転させた後に遊技盤50を第3コンベア18へ遊技盤50を搬送するよう前記制御装置44が駆動制御する。すなわち、実施例1では前記回転式搬送装置16および第3コンベア18の夫々が、遊技盤50を排除する排除手段として機能する。
また、前記下孔加工装置20は、図2に示すように、前記第1コンベア12で搬送される遊技盤50を所定の加工位置で位置決めする位置決め手段48を備えており、該位置決め手段48で遊技盤50を位置決めすることで、前記加工部材28を遊技盤50に近接移動させた際に、前記第1および第2ポンチ32,34が遊技盤50の所定位置に下孔を形成するようになっている。なお、前記位置決め手段48としては、種々のタイプの手段を採用でき、実施例1では、第1コンベア12の下方に板状の位置決め手段48を昇降可能に設け、該位置決め手段48を第1コンベア12から突出するよう上昇させて遊技盤50の前端を当接させることで、遊技盤50を所定の加工位置で停止させ、該位置決め手段48を第1コンベア12の下方に退避するよう下降させて遊技盤50との接触を解除することで、当該第1コンベア12により遊技盤50を搬送し得るよう構成している(図2では位置決め手段48が遊技盤50に当接して位置決めした状態を示す)。また、加工位置にある遊技盤50の外周縁に当接および離間可能な当接片を更に設けて、遊技盤50を加工位置に確実に保持することも可能である。
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る遊技盤用の下孔加工システムの作用につき説明する。
ルータ加工機により各種遊技部品取付用の取付孔が形成された遊技盤50は、第1コンベア12により下孔加工装置20へ向けて搬送される。遊技盤50が下孔加工装置20まで搬送されると、先ず厚み測定センサ42が遊技盤50の厚み寸法Tを測定し、その測定値Lを制御装置44へ送信する。前記制御装置44は、送信された測定値Lを記憶手段46に記憶させた記憶データと照合する。このとき、前記位置決め手段48が第1コンベア12から突出するよう上昇して、遊技盤50を加工位置に位置決めする。
そして、厚み測定センサ42の測定値Lが許容厚み寸法の範囲内にある場合(すなわち、測定値Lが19.815mm≦L≦20.415mm、表1における区分領域F1の場合)には、制御装置44が測定値Lに基づいて前記サーボモータ36を駆動制御して、前記加工部材28を第1位置から第2位置まで移動させる。具体的には、前記測定値LがL=19.815mmである場合には、制御装置44はサーボモータ36を1回転するよう駆動制御して加工部材28を基準移動距離Msだけ移動させて加工部材28を第2位置に変位することで、第1ポンチ32および第2ポンチ34の夫々が遊技盤50に対応の下孔を形成する。また、測定値Lが19.815mm<L≦20.415である場合には、制御装置44はサーボモータ36を駆動制御して加工部材28を、(移動距離M)={(基準移動距離Ms)−(寸法差D)}だけ下降移動させて加工部材28を第2位置に変位させることで、第1ポンチ32および第2ポンチ34の夫々が遊技盤50に対応の下孔を形成する。その後、サーボモータ36を逆方向に回転するよう制御装置44が駆動制御して加工部材28を第1位置に復帰させる。加工部材28が第1位置に復帰すると、前記位置決め手段48を第1コンベア12の下方へ退避させて遊技盤50の位置決めを解除すると共に、前記第1コンベア12を駆動するよう制御装置44が制御し、加工位置の遊技盤50を回転式搬送装置16へ搬送し、受取った遊技盤50を前記第2コンベア14へ搬送する(図7(b)参照)。
このように、実施例1に係る下孔加工装置20では、遊技盤50に対する下孔加工に先立って厚み測定センサ42で遊技盤50の厚み寸法Tを測定して、遊技盤50が基準厚み寸法Tsの場合には加工部材28を基準移動距離Msだけ移動すると共に、遊技盤50の厚み寸法Tが増大した場合には、基準厚み寸法Tsとの寸法差Dだけ加工部材28の移動距離Mを短縮する。すなわち、遊技盤50の厚み寸法Tに誤差がある場合でも、各遊技盤50の下孔加工に適した移動距離Mだけ加工部材28を移動させ得るから、各遊技盤50に一定の大きさの下孔を形成することが可能となる。従って、遊技盤50に対して略一定の大きさで下孔を形成することで、該下孔に打設した遊技釘の位置ズレが防止され、正確な座標に遊技釘を取り付け得る。
殊に、一般的な遊技機では、遊技盤50に対して遊技釘を斜め上方向(盤面に垂直な線に対して例えば5度傾斜する方向)から打設して盤面に対して遊技釘を傾斜させ、遊技時に遊技釘に接触した遊技球の弾かれる方向をランダムにして遊技の興趣を向上させると共に、遊技球とガラス板との接触防止を図っている。この遊技盤50に斜め上方向から遊技釘を打設する形式では、打設時における遊技釘の位置ズレが発生し易いため、高精度で下孔を形成することがより一層強く求められる。そこで、実施例1のように、遊技盤50の厚み寸法Tに応じて下孔加工における加工部材28の移動距離Mを変更して遊技盤50に一定の大きさの下孔を形成することで、遊技釘を遊技盤50に対して斜め上方向から打設する場合であっても、遊技釘の位置ズレを効果的に防止することが可能となる。
ところで、遊技盤50の許容誤差範囲の中間値を基準厚み寸法Tsとした場合には、遊技盤50の厚み寸法Tに応じて加工部材28の移動距離Mを短縮または延長するよう制御装置44がサーボモータ36を駆動制御する必要が生ずる。そこで、実施例1では、遊技盤50として許容し得る厚み寸法Tの最小値を基準厚み寸法Tsとしている。従って、加工する遊技盤50の厚み寸法Tに誤差がある場合には、加工部材28の移動距離Mを基準移動距離Msより基準厚み寸法Tsとの寸法差Dだけ短縮するよう制御装置44がサーボモータ36を制御すればよい。すなわち、遊技盤50の厚み寸法Tに応じて移動距離Mを短縮または延長するよう制御装置44が制御する場合に較べて、制御装置44に掛かる負荷を低減でき、制御効率の向上を図り得る利点がある。
一方、前記厚み測定センサ42の測定値Lが許容誤差範囲外の場合(すなわち、測定値Lが、L<19.815mmまたは20.415mm<L、表1における区分領域F2の場合)には、前記サーボモータ36を駆動することなく前記位置決め手段48を第1コンベア12の下方へ退避させて遊技盤50の位置決めを解除すると共に、前記第1コンベア12を駆動するよう制御装置44が制御し、下孔加工前の遊技盤50を加工位置から回転式搬送装置16へ搬送する。前記回転式搬送装置16が遊技盤50を受取ると、該回転式搬送装置16を90度回転するよう駆動制御して、遊技盤50を第3コンベア18へ搬送する(図7(b)参照)。このように、厚み測定センサ42の測定値Lが前記遊技盤50としての許容誤差範囲外の場合には、加工前に回転式搬送装置16および第3コンベア18により遊技盤50を排除し得るから、所定の規格に適合しない遊技盤50を効率的に仕分けすることができ、遊技盤50製造の作業効率の向上が図られる。
また、遊技盤50の盤面に対して斜め上方向から遊技釘を打設可能な下孔と、遊技盤50の盤面に対して垂直方向からビス固定可能な下孔とを形成する場合において、前述した特許文献1に記載の下孔加工装置のように、水平面に対して傾斜するよう遊技盤の保持台を設け、遊技盤に対して加工部材を鉛直方向に移動させて遊技釘打設用の下孔を形成する構成では、遊技釘用の下孔を形成する下孔加工装置とは別に、ビス固定可能な下孔を形成する下孔加工装置を設ける必要がある。これに対して、実施例1では、前記加工部材28の下面に、前記遊技釘打設用の下孔を形成する第1ポンチ32と、ビス取付用の下孔を形成する第2ポンチ34とを設けたゲージ板30を取り付けてあるから、該加工部材28を移動して第1ポンチ32により遊技釘用の下孔を形成すると同時に、第2ポンチ34によりビス取付用の下孔を形成することができる。すなわち、遊技盤50の盤面に対して斜め上方向から遊技釘を打設可能な下孔、および遊技盤50の盤面に対して垂直方向からビス固定可能な下孔のように、形状・大きさの異なる下孔を1回の加工で遊技盤50に形成し得るから、下孔加工工程の簡略化、効率化を図り得ると共に、設備投資に掛かるコストを低減し得る利点がある。
更に、第2ポンチ34は、加工部材28(ゲージ板30)に設けられているから、前述の如く遊技盤50の厚み寸法Tに応じて(厚み測定センサ42の測定結果に基づいて)加工部材28の移動距離Mを変更することで、遊技盤50の厚み寸法Tに誤差がある場合であっても、第2ポンチ34が遊技盤50に形成する下孔の大きさを略一定とすることができ、ビスの取付精度向上も達成し得る。
次に、実施例2に係る遊技盤用の下孔加工システムについて説明する。なお、実施例2に係る遊技盤用の下孔加工システムは、実施例1に係る遊技盤用の下孔加工システムと基本的な構成は同一であって、遊技盤の厚み寸法Tに応じた加工部材の移動距離Mの制御態様が相違する。従って、以下の説明において、実施例1と同一の構成・機能を備える部材に関しては同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2に係る制御装置44は、下孔加工時における加工部材28の移動距離Mを補正する補正値(移動補正距離)Sを記憶させた記憶手段46を備えており、厚み測定センサ42が測定した測定値Lと、記憶手段46から得られる補正値Sとに基づいて、加工部材28が第1位置から第2位置まで移動する距離を決定し、該決定に基づいてサーボモータ36を駆動制御するようになっている。ここで、前記記憶手段46には、基準厚み寸法Tsに対して寸法差Dが一定値増加する毎に区分領域F11〜F25が区分設定されて、区分領域F11〜F25毎に異なる補正値Sを対応して記憶させるようになっている(表2参照)。具体的には、基準厚み寸法Tsとの寸法差Dが0.05mm増加する毎に区分領域F11〜F25が設定され、各区分領域F11〜F25における寸法差Dの中間値を前記補正値Sとして記憶手段46に記憶させてある。
すなわち、前記厚み測定センサ42の測定値Lが遊技盤50の許容誤差範囲内の場合(すなわち、測定値Lが19.815mm≦L≦20.415mmの場合)には、測定値Lの属する区分領域F12〜F24に対応する補正値Sを決定して、基準移動距離Msと補正値Sとに基づいて加工部材28の移動する距離を決定し、この決定に基づいて加工部材28が移動するよう制御装置44がサーボモータ36を駆動制御する(図8参照)。具体的には、前記加工部材28の第1位置から第2位置までの移動距離Mが、M={(基準移動距離Ms)−(補正値S)}となるようサーボモータ36を駆動制御する。例えば、前記測定値Lに基づいて決定される区分領域F12の場合には、制御装置44はサーボモータ36を1回転するよう駆動制御して加工部材28を基準移動距離Msだけ移動させ、測定値Lに基づいて決定される区分領域F24の場合には、制御装置44はサーボモータ36を正回転するよう駆動制御して加工部材28を{(基準移動距離Ms)−(0.575mm、補正値S)}だけ下降移動させた後に、サーボモータ36を逆回転するよう制御装置44が駆動制御する。そして、前記加工部材28が第1位置に復帰して遊技盤50に対する下孔加工が完了すると、前記第1コンベア12を駆動して遊技盤50を回転式搬送装置16へ搬送し、該回転式搬送装置16が受取った遊技盤50を前記第2コンベア14へ搬送するよう前記制御装置44が第1コンベア12、回転式搬送装置16および第2コンベア14の夫々を駆動制御するようになっている。
〔実施例2の作用〕
次に、実施例2に係る遊技盤用の下孔加工システムの作用につき説明する。
ルータ加工機により各種遊技部品取付用の取付孔が形成された遊技盤50は、第1コンベア12により下孔加工装置20へ向けて搬送される。遊技盤50が下孔加工装置20まで搬送されると、先ず厚み測定センサ42が遊技盤50の厚み寸法Tを測定し、その測定値Lを制御装置44へ送信する。前記制御装置44は、送信された測定値Lを記憶手段46に記憶させた記憶データと照合する。このとき、前記位置決め手段48が第1コンベア12から突出するよう上昇して、遊技盤50を加工位置に位置決めする。
そして、厚み測定センサ42の測定値Lが許容誤差範囲内にある場合(すなわち、測定値Lが19.815mm≦L≦20.415mmの場合)には、測定値Lの属する区分領域F12〜F24に対応する補正値Sを決定して、基準移動距離Msおよび補正値Sに基づいて加工部材28の移動距離Mを決定し、この決定した移動距離Mだけ加工部材28が移動するよう制御装置44がサーボモータ36を駆動制御する。具体的には、前記測定値Lが区分領域F12に対応する場合には、制御装置44はサーボモータ36を1回転するよう駆動制御して加工部材28を基準移動距離Msだけ移動させて加工部材28を第2位置に変位することで、第1ポンチ32および第2ポンチ34の夫々が遊技盤50に夫々対応の下孔を形成する。また、測定値Lが区分領域F13〜F24に対応する場合には、制御装置44はサーボモータ36を駆動制御して加工部材28を、(移動距離M)={(基準移動距離Ms)−(補正値S)}だけ下降移動させて加工部材28を第2位置に変位させることで、第1ポンチ32および第2ポンチ34の夫々が遊技盤50に夫々対応の下孔を形成する。その後、サーボモータ36を逆方向に回転するよう制御装置44が駆動制御して加工部材28を第1位置に復帰させる。加工部材28が第1位置に復帰すると、前記位置決め手段48を第1コンベア12の下方へ退避させて遊技盤50の位置決めを解除すると共に、前記第1コンベア12を駆動するよう制御装置44が制御し、加工位置の遊技盤50を回転式搬送装置16へ搬送し、受取った遊技盤50を前記第2コンベア14へ搬送する(図7(b)参照)。
このように、実施例2に係る下孔加工装置20では、遊技盤50に対する下孔加工に先立って厚み測定センサ42で遊技盤50の厚み寸法Tを測定し、該厚み測定センサ42の測定値Lおよび記憶手段46に記憶させた補正値Sに基づいて、前記加工部材28の移動距離Mを変更する。すなわち、遊技盤50が基準厚み寸法Tsの場合には加工部材28を基準移動距離Msだけ移動すると共に、遊技盤50の厚み寸法Tが増大した場合には、その分だけ加工部材28の移動距離Mを短縮することで、第1および第2ポンチ32,34の遊技盤50に対する刺さり具合を略一定にすることができる。従って、遊技盤50の厚み寸法Tに誤差がある場合でも、遊技盤50の盤面に略一定の大きさで下孔を形成することが可能となる。すなわち、遊技盤50に対して略一定の大きさで下孔を形成することで、該下孔に打設した遊技釘の位置ズレが防止され、正確な座標に遊技釘を取り付け得る。
殊に、一般的な遊技機では、遊技盤50に対して遊技釘を斜め方向(盤面に対して例えば5度)から打設して盤面に対して遊技釘を傾斜させ、遊技時に遊技釘に接触する遊技球の弾かれる方向をランダムにして遊技の興趣を向上させると共に、遊技球とガラス板との接触防止を図っている。この遊技盤50に斜め方向から遊技釘を打設する形式では、打設時における遊技釘の位置ズレが発生し易いため、高精度で下孔を形成することがより一層強く求められる。そこで、実施例2のように、遊技盤50の厚み寸法Tに応じて下孔加工における加工部材28の移動距離Mを変更して遊技盤50に略一定の大きさの下孔を形成することで、遊技釘を遊技盤50に対して斜め方向から打設する場合であっても、遊技釘の位置ズレを効果的に防止することが可能となる。
また、実施例2では、遊技盤50として許容し得る厚み寸法Tの最小値を基準厚み寸法Tsとしている。従って、加工する遊技盤50の厚み寸法Tに誤差がある場合には、加工部材28の移動距離Mを補正値Sだけ基準移動距離Msより短縮するよう制御装置44がサーボモータ36を制御すればよい。すなわち、遊技盤50の厚み寸法Tに応じて移動距離Mを短縮または延長するよう制御装置44が制御する場合に較べて、制御装置44に掛かる負荷を低減でき、制御効率の向上を図り得る利点がある。
更に、各区分領域F11〜F25における寸法差Dの中間値を補正値Sとして記憶手段46に記憶させているから、遊技盤50毎に基準厚み寸法Tsと測定値Lとの寸法差Dだけ加工部材28の移動距離Mを変更する構成に較べて制御効率の向上を図り得ると共に、厚み寸法T(測定値L)が各区分領域F11〜F25の上限または下限にある遊技盤50であっても、形成される下孔の大きさのバラツキを最小限に抑制して略均一の下孔を遊技盤50に形成することができる。すなわち、各区分領域F11〜F25における寸法差Dの中間値を補正値Sとして設定することで、遊技盤50に対する下孔加工の精度向上と、制御効率の向上との両立(調和)が図られる。
一方、前記厚み測定センサ42の測定値Lが許容誤差範囲外の場合(すなわち、測定値Lが、L<19.815mmまたは20.415mm<Lの場合)には、前記サーボモータ36を駆動することなく前記位置決め手段48を第1コンベア12の下方へ退避させて遊技盤50の位置決めを解除すると共に、前記第1コンベア12を駆動するよう制御装置44が制御し、下孔加工前の遊技盤50を加工位置から回転式搬送装置16へ搬送する。前記回転式搬送装置16が遊技盤50を受取ると、該回転式搬送装置16を90度回転するよう駆動制御して、遊技盤50を第3コンベア18へ搬送する(図7(b)参照)。このように、厚み測定センサ42の測定値Lが前記遊技盤50としての許容誤差範囲外の場合には、加工前に回転式搬送装置16および第3コンベア18により遊技盤50を排除し得るから、所定の規格に適合しない遊技盤50を効率的に仕分けすることができ、遊技盤50製造の作業効率の向上が図られる。
次に、実施例3に係る遊技盤用の下孔加工システムについて説明する。なお、実施例3に係る遊技盤用の下孔加工システムは、実施例1および2に係る遊技盤用の下孔加工システムと基本的な構成は同一であって、遊技盤の厚み寸法Tに応じた加工部材の移動距離Mの制御態様が相違する。従って、以下の説明において、実施例1および2と同一の構成・機能を備える部材に関しては同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3に係る制御装置44では、記憶手段46に下孔加工時における加工部材28の移動距離Mを記憶させて、前記厚み測定センサ42が測定した測定値Lに基づいて、記憶手段46から移動距離Mを決定し、該決定に基づいて前記サーボモータ36を駆動制御するようになっている。具体的には、前記記憶手段46には、前記基準厚み寸法Tsに対して寸法差Dが一定値増加する毎に区分領域F31〜F45が区分設定されて、区分領域F31〜F45毎に対応する遊技盤50の厚み寸法Tに応じた適切な移動距離Mを記憶させてある(表3参照)。従って、基準厚み寸法Tsと測定値Lとの寸法差Dが0mmとなる区分領域F32には、前記基準移動距離Msが加工部材28の移動距離Mとして記憶され、測定値Lが増大するにつれて、区分領域F33〜F44に{(基準移動距離Ms)−(対応する区分領域F33〜F44の中間値)}の値が加工部材28の移動距離Mとして記憶させてある。
すなわち、前記厚み測定センサ42の測定値Lが遊技盤50の許容誤差範囲内の場合(すなわち、測定値Lが19.815mm≦L≦20.415mmの場合)には、測定値Lの属する区分領域F32〜F44から移動距離Mを決定して、この決定した移動距離Mだけ加工部材28が移動するよう制御装置44がサーボモータ36を駆動制御する。例えば、前記測定値Lに基づいて決定される区分領域F32の場合には、制御装置44はサーボモータ36を1回転するよう駆動制御して加工部材28を基準移動距離Msだけ移動させ、測定値Lに基づいて決定される区分領域F33〜F44の場合には、制御装置44はサーボモータ36を正回転するよう駆動制御して加工部材28を{(基準移動距離Ms)−(対応する区分領域F33〜F44の中間値)}だけ下降移動させた後に、サーボモータ36を逆回転するよう制御装置44が駆動制御する。
一方、前記厚み測定センサ42の測定値Lが許容誤差範囲外にある場合(すなわちL<19.815mmおよび20.415mm<L、表3における区分領域F31,F45)には、実施例1と同様に、下孔加工を行なう前に遊技盤50を排除するよう前記第1コンベア12、回転式搬送装置16および第3コンベア18の夫々を制御するよう前記制御装置44が設定されている。
このように、加工部材28の厚み寸法Tに応じた移動距離Mを前記記憶手段46の各区分領域F31〜F45に記憶させ、前記厚み測定センサ42の測定値Lに対応して移動距離Mを決定してサーボモータ36を駆動制御する構成であっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、記憶手段46に加工部材28の移動距離Mを記憶させて、決定した移動距離Mだけ加工部材28を移動させるよう制御する構成であれば、実施例2のように記憶手段46に補正値Sを記憶させて、加工部材28の移動距離Mを基準移動距離Msより補正値Sだけ短縮するよう駆動制御する場合に較べて、制御装置44での演算処理を簡略化できるから、処理速度の向上による下孔加工の効率の向上が図られる。
〔変更例〕
なお、本発明に係る遊技盤用の下孔加工システムとしては、実施例1および2のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、実施例1〜3では、遊技盤の厚み寸法の最小値を基準厚み寸法として設定したが、これに限られるものではなく、遊技盤の厚み寸法の最大値または任意の厚み寸法を基準厚み寸法として設定し、この基準厚み寸法の遊技盤に対応する加工部材の移動距離を基準移動距離としてもよい。なお、遊技盤の厚み寸法の最大値を基準厚み寸法とした場合には、遊技盤の厚み寸法が減少した場合に加工部材の移動距離が基準移動距離より長くなるように設定される。また、任意の厚み寸法を基準厚み寸法とした場合には、基準厚み寸法より遊技盤の厚み寸法が減少した場合には加工部材の移動距離が基準移動距離より延長され、基準厚み寸法より遊技盤の厚み寸法が増大した場合には加工部材の移動距離が基準移動距離より短縮されるように設定される。
また、実施例2および3では、記憶手段に設定する各区分領域の幅を0.05mm単位としたが、これに限らず、所定の寸法で区切るようにすればよい。すなわち、各区分領域の寸法幅を細かく設定する場合には、中間値を補正値として加工部材の移動距離を変更する場合における下孔の大きさのぶれを低減でき、各区分領域の寸法幅を大きく設定する場合には、設定に要する手間を省略してコスト低減を図り得る利点がある。なお、各区分領域における中間値以外を補正値として設定することも可能である。
なお、実施例1〜3では、第1コンベア上で遊技盤を位置決め保持した状態で下孔加工を行なうよう構成したが、該第1コンベアとは別の保持台を設けて、下孔加工時に遊技盤を保持台に保持するよう構成することも可能である。なお、前記保持台は、下孔加工装置と一体として設けても、別体として設けてもよい。
更に、実施例1〜3では、駆動手段としてサーボモータを用いたが、これに限られるものではなく、高精度な位置決め制御が可能なものであれば、例えばサーボ制御可能な油圧シリンダやガスシリンダ等、その他各種の従来公知の手段を採用することができる。
実施例1〜3では、サーボモータと加工部材との連係構造として、サーボモータの回転軸に連結したカム板と、該カム板に支持した連結杆を用いるよう構成したが、これに限られるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、ボールネジやチェーン、ラックアンドピニオン等を介して、サーボモータと加工部材とを連携するよう構成した場合であっても、高精度な位置決め制御を行なうことができる。
実施例1〜3では、基準範囲外の遊技盤を排除する排除手段として、回転式搬送装置および第3コンベアを用いたが、これに限られるものではなく、第3コンベアへ向けて遊技盤を押出す押出装置により遊技盤を排除するよう構成することも可能である。また、実施例のように加工位置から遊技盤を一旦移動させた後に回転式搬送装置により遊技盤を第3コンベアへ向かわせて排除する構成に限らず、加工位置にある遊技盤を排除手段で直接排除するよう構成してもよい。
実施例1〜3では、測定手段を下孔加工装置に設けるようにしたが、これに限られるものではなく、加工前の遊技盤の厚み寸法を測定し得る位置であれば、測定手段を任意位置に設けることができる。
実施例1〜3では、回転式搬送装置としてローラコンベアタイプのものを用いたが、必要に応じて遊技盤を第2コンベアまたは第3コンベアへ選択的に搬送し得る選択搬送手段であれば、各種手段を採用可能である。同様に、前記第1〜第3コンベアも実施例に示すローラーコンベアに限られるものではなく、遊技盤を所定方向へ搬送し得る搬送手段であれば従来公知の各種手段を採用可能である。
本発明の実施例1に係る下孔加工システムの下孔加工ラインを概略で示す平面図である。
実施例1に係る下孔加工システムの下孔加工装置を示す正面図であって、加工部材が第1位置にある状態を示す。
実施例1に係る下孔加工システムの下孔加工装置を第1コンベア側から見た状態を示す側面図であって、加工部材が第1位置にある状態を示す。
実施例1に係る第1〜第3コンベア、回転式搬送装置および下孔加工装置と、制御装置との関係を示すブロック図である。
実施例1に係る加工部材の移動状態を示す概略図である。
実施例1に係る下孔加工システムにおいて、遊技盤の厚み寸法の変化によって加工部材の移動距離が変化する状態を示す概略説明図であって、(a)は遊技盤の厚み寸法が基準厚み寸法の場合における加工部材の移動距離を示し、(b)は遊技盤の厚み寸法が基準厚み寸法を越えて許容誤差範囲内にある場合の加工部材の移動距離を示す。
実施例1に係る回転式搬送装置の動作を示す概略説明図である。
実施例2に係る下孔加工システムにおいて、遊技盤の厚み寸法の変化によって加工部材の移動距離が変化する状態を示す概略説明図であって、(a)は遊技盤の厚み寸法が基準厚み寸法の場合における加工部材の移動距離を示し、(b)は遊技盤の厚み寸法が基準厚み寸法を越えて許容誤差範囲内にある場合の加工部材の移動距離を示す。
符号の説明
16 回転式搬送装置(排除手段)
18 第3コンベア(排除手段)
28 加工部材
32 第1ポンチ(ポンチ)
34 第2ポンチ
36 サーボモータ(駆動手段)
42 厚み測定センサ(測定手段)
44 制御手段
50 遊技盤
60 制御手段
D 基準厚み寸法と測定値との寸法差
L 測定値
M 加工部材の移動距離
Ms 加工部材の基準移動距離
T 遊技盤の厚み寸法
Ts 遊技盤の基準厚み寸法